説明

オレフィン系セグメント化共重合体の製造方法

本発明は、トリチオカーボネート系連鎖移動剤を用いて可逆的付加開裂連鎖移動法(RAFT)でビニル系単量体を重合してビニル系重合体を合成する段階と;前記合成されたビニル系重合体をオレフィン系重合体にグラフトする段階とを含んでなる、可逆的付加開裂連鎖移動方法(RAFT)を用いたオレフィン系セグメント化共重合体の製造方法に関する。本発明の方法は、上述した簡単な2段階の反応を介して成功的にオレフィン系セグメント化共重合体を合成する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可逆的付加開裂連鎖移動(RAFT、reversible addition-fragmentation chain transfer)方法を用いたオレフィン系セグメント化共重合体の製造方法に係り、さらに詳しくは、前記可逆的付加開裂連鎖移動方法でトリチオカーボネート系連鎖移動剤を用いてビニル系重合体を合成することにより、オレフィン系重合体に容易にグラフトさせることが可能な、オレフィン系セグメント化共重合体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高分子の分子構造を制御して高分子の化学的、物理的性質を調節する研究は、高分子化学の最も重要な課題の一つである。高分子鎖は、その構成成分によって単独重合体と共重合体に分類され、鎖間の連結形態によっても様々に分類される。これらの構成成分および分子構造の変換は、高分子の化学的、物理的性質の変化を伴うので、適切な高分子の合成を介して、多様な性質を有する高分子を得ることができる。既存の高分子構造を改質する研究が興味深いのは、既存の高分子構造を改質することにより、既存の高分子の性質とは異なる特異的性質を発現するためである。これらの性質は有用に利用できる。例えば、産業的に最も多く使われているオレフィン高分子鎖にヒドロキシ基又はカルボニル基を置換させることにより、親水性又は極性を帯びるようにすることを挙げることができる。この際、鎖中の改質される比率又は量が、元来改質目的を成し遂げるにあたり重要な尺度になる。もし改質程度が高くない場合には、高分子の物性は大きく変わらない。ところが、物性の他に、不溶性物質との相溶性又は接着性が改善される効果などを得ることがある。また、線形高分子物質の架橋は高分子の粘度、ガラス転移温度などを変化させる。
【0003】
異種高分子成分の結合は主に相互補完的性質を有する成分の結合に焦点が合わせられており、既存の高分子鎖と異種高分子を化学的に結合する形式にはブロック共重合体とグラフト共重合体がある。ブロック共重合体は、鎖の末端に異種単量体を重合させる方法を使用するが、リビング重合法が多用される。グラフト共重合体は、鎖の繰り返し単位に開始点を用いて異種重合体を重合する方法(grafting-from)や、異種高分子と主鎖の作用基を用いて主鎖に異種高分子鎖を作る方法(grafting-onto)などを用いる。
【0004】
オレフィン高分子の場合、かなり以前から改質に関する研究が行われてきた。グラフト共重合体に関する研究としては、主に極性高分子をポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体(EPDM)などにグラフトさせる研究が行われてきた。オレフィン高分子を改質してグラフト共重合体を製造する方法は、主に、過酸化物でオレフィン高分子の鎖内の水素を除去して開始した後、異種高分子を重合して製造する。ところが、オレフィン高分子鎖の開始効率が低く、開始した鎖同士の結合で所望の構造のグラフト共重合体を得ることが難しい。それゆえ、効果的に異種高分子をグラフトさせる研究が必要である。
【0005】
最近、高分子の重合反応をうまく制御して設計した構造の高分子を合成することが可能なリビングラジカル重合法(controlled/“living” radical polymerization、CRP)を用いたオレフィン高分子、ジエン高分子などの改質が研究されている。一般のラジカル重合は、分子量が一定ではなく、分子の大きさが広い分布を持つ。最近さかんに研究されているリビングラジカル重合法は、重合反応中に連鎖移動又は停止反応を制御して分子量や分子量分布の調節、高分子鎖の構造設計、作用基の導入、共重合体組成の制御などに有用なので、材料の高機能化、高性能化及び高分子新素材の創出に多く応用されている。
【0006】
ところが、可逆的付加開裂連鎖移動(RAFT)方法を応用して効率よく且つ簡単にオレフィン系セグメント化共重合体を製造する具体的な方法は、未だ提示されていないのが実情である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明は、上述した従来技術の問題点及び過去から要請されてきた技術的課題を解決するためのもので、その目的は、製造されるオレフィン系セグメント化共重合体中のグラフト鎖の長さ及び数だけでなく、グラフト効率の調節が可能な、オレフィン系セグメント化共重合体の新規製造方法を開発し、重合体の改質のための新しいリビングラジカル重合の技術プラットフォームを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した技術的課題を解決するための技術的手段として、本発明の第1側面は、トリチオカーボネート系連鎖移動剤(chain transfer agent)を用いて可逆的付加開裂連鎖移動法(RAFT)でビニル系単量体を重合してビニル系重合体を合成する段階と; 前記合成されたビニル系重合体をオレフィン系重合体にグラフトする段階とを含んでなる、オレフィン系セグメント化共重合体の製造方法を提供する。
【0009】
また、本発明の第2側面は、前述した製造方法で製造されたオレフィン系セグメント化共重合体を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本発明の一実施例に係るスチレンの重合過程における転換率と分子量の増加との関係を示すグラフである。
【図2】図2は、本発明の一実施例に係る図1とは異なる条件のスチレンの重合過程における転換率と分子量の増加との関係を示すグラフである。
【図3】図3は、EPDM及びPSのFT−IRスペクトルを示すグラフである。
【図4】図4は、EPDMとPSとを物理的に混合した後、PSの含量によるピーク高さの比を計算し、較正(calibration)曲線で表現したグラフである。
【図5】図5は、本発明の一実施例に係るPSがグラフトされたEPDMに対するFT−IRスペクトルを示すグラフである。
【図6】図6は、本発明の一実施例に係るPSがグラフトされたEPDMに対するH−NMRスペクトルを示すグラフである。
【図7】図7は、本発明の一実施例に係るグラフト反応前のEPDMのGPC結果と反応後のGPC結果を示すグラフである。
【図8】図8は、本発明の一実施例に係る溶融反応によるEPDM−graft−PSの合成反応を示す概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施し得るように本発明の具現例及び実施例を詳細に説明する。
【0012】
ところが、以下の説明は、本発明を特定した実施形態について限定するものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれる全ての変換、均等物ないし代替物を含むものと理解されるべきである。本発明を説明するにあたり、関連した公知の技術に対する具体的な説明が本発明の要旨を乱すおそれがあると判断される場合はその詳細な説明を省略する。
【0013】
本明細書で使用した用語は、特定の実施例を説明するために使用されたもので、本発明を限定しようとするものではない。単数の表現は、文脈上明確に異なる意味を示さない限り、複数の表現を含む。本明細書において、「含む」又は「有する」などの用語は、明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品又はこれらの組み合わせが存在することを指定しようとするもので、一つ又はそれ以上の異なる特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品又はこれらの組み合わせの存在又は付加可能性を予め排除しないものと理解されるべきである。
【0014】
本明細書で使用された「セグメント化(segmented)共重合体」という表現は、互いに異なる高分子セグメントが含まれた共重合体を意味するもので、グラフト共重合体及びブロック共重合体を含む意味で解釈されるべきである。但し、より好ましくはグラフト共重合体を意味するものと解釈できる。
【0015】
本発明の第1側面は、トリチオカーボネート系連鎖移動剤(chain transfer agent又はRAFT agent)を用いて可逆的付加開裂連鎖移動法(RAFT)でビニル系単量体を重合してビニル系重合体を合成する段階(第1段階)と; 前記合成されたビニル系重合体をオレフィン系重合体にグラフトする段階(第2段階)とを含んでなる、オレフィン系セグメント化共重合体の製造方法を提供する。
【0016】
前記第1段階は、オレフィン系重合体に所望の特性を導入するためにグラフトされる重合体を製造する段階であって、通常のジチオエステル連鎖移動剤の代わりに、トリチオカーボネート構造を有するトリチオカーボネート系連鎖移動剤を用いてグラフトされる重合体を合成することを特徴とし、このようなトリチオカーボネート系連鎖移動剤を用いて重合を行うことにより生成される重合体内にトリチオカーボネート構造(unit)が含まれる。このように生成された重合体を用いて前記第2段階のグラフトを行うことができる。
【0017】
前述したように、前記第1段階は、トリチオカーボネート系連鎖移動剤を用いて可逆的付加開裂連鎖移動法(RAFT)でビニル系単量体を重合してビニル系重合体を合成する段階であって、概略的反応は下記反応式1のとおりである。
【化1】

【0018】
前記トリチオカーボネート系連鎖移動剤は、分子内にトリチオカーボネート構造を持っており、RAFT重合反応で連鎖移動剤として使用できる化合物をいい、好ましくは下記化学式1で表される化合物であってもよいが、これに限定されるものではない。
【化2】

【0019】
式中、前記2つのRはそれぞれアルキル;アルケニル;飽和、不飽和又は芳香族炭素環又は複素環;アルキルチオ;アルコキシ;及びジアルキルアミノよりなる群から独立に選択され、前記アルキル;アルケニル;飽和、不飽和又は芳香族炭素環又は複素環;アルキルチオ;アルコキシ;及びジアルキルアミノはエポキシ、ヒドロキシ、アルコキシ、アリール、アシル、アシルオキシ、カルボキシ及びその塩、スルホン酸及びその塩、アルキルカルボニルオキシ、イソシアナート、シアノ、シリル、ハロ、並びにジアルキルアミノよりなる群から選ばれた置換基で独立に置換できる。
【0020】
また、前記アルキルは、好ましくはC〜C18アルキル、さらに好ましくはC〜Cアルキルであり、前記炭素環又は複素環は、好ましくは5〜14個の環原子を持ってもよいが、これに限定されるものではない。
【0021】
前記ビニル系単量体(vinylic monomer)は、自由ラジカル重合が可能なビニル系単量体であって、好ましくは下記化学式2で表される化合物及びこれらの組み合わせであってもよいが、これに限定されるものではない。
【化3】

【0022】
式中、Uは水素;ハロゲン;並びにヒドロキシ、C〜C18アルコキシ、アリールオキシ(OR’)、カルボキシ、アシルオキシ、アロイルオキシ(OCR’)、アルコキシ−カルボニル及びアリールオキシ−カルボニル(COR’)よりなる群から独立に選ばれた置換基で置換できるC〜Cアルキルよりなる群から選択され、
Vは水素、R’、COH、COR’、COR’、CN、CONH、CONHR’、CONR’、OCR’、OR’及びハロゲンよりなる群から選択され、
【0023】
ここで、前記R’はそれぞれC〜C18アルキル、C〜C18アルケニル、アリール、ヘテロシクリル、アラルキル、およびアルカリール(alkaryl)よりなる群から独立に選択され、前記C〜C18アルキル、C〜C18アルケニル、アリール、ヘテロシクリル、アラルキル、及びアルカリールはエポキシ、ヒドロキシ、アルコキシ、アリール、アシル、アシルオキシ、カルボキシ及びその塩、スルホン酸及びその塩、アルコキシ−又はアリールオキシ−カルボニル、イソシアナート、シアノ、シリル、ハロ、及びジアルキルアミノよりなる群から独立に選ばれた置換基によって置換できる。
【0024】
本発明の一具現例によれば、前記ビニル系単量体は、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、メタクリル酸、ベンジルメタクリレート、フェニルメタクリレート、メタクリロニトリル、アルファ−メチルスチレン、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、イソボルニルアクリレート、アクリル酸、ベンジルアクリレート、フェニルアクリレート、アクリロニトリル、スチレン;グリシジルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート、トリエチレングリコールメタクリレート、イタコン酸無水物、イタコン酸、グリシジルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルアクリレート、トリエチレングリコールアクリレート、メタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−tert−ブチルメタクリルアミド、N−n−ブチルメタクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−エチロールメタリルアミド、N−tert−ブチルアクリルアミド、N−n−ブチルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−エチロールアクリアミド、ビニル安息香酸、ジエチルアミノスチレン、アルファ−メチルビニル安息香酸、ジエチルアミノアルファ−メチルスチレン、p−ビニルベンゼンスルホン酸、p−ビニルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩、トリメトキシシリルプロピルメタクリレート、トリエトキシシリルプロピルメタクリレート、トリブトキシシリルプロピルメタクリレート、ジメトキシメチルシリルプロピルメタクリレート、ジエトキシメチルシリルプロピルメタクリレート、ジブトキシメチルシリルプロピルメタクリレート、ジイソプロポキシメチルシリルプロピルメタクリレート、ジメトキシシリルプロピルメタクリレート、ジエトキシシリルプロピルメタクリレート、ジブトキシシリルプロピルメタクリレート、ジイソプロポキシシリルプロピルメタクリレート、トリメトキシシリルプロピルアクリレート、トリエトキシシリルプロピルアクリレート、トリブトキシシリルプロピルアクリレート、ジメトキシメチルシリルプロピルアクリレート、ジエトキシメチルシリルプロピルアクリレート、ジブトキシメチルシリルプロピルアクリレート、ジイソプロポキシメチルシリルプロピルアクリレート、ジメトキシシリルプロピルアクリレート、ジエトキシシリルプロピルアクリレート、ジブトキシシリルプロピルアクリレート、ジイソプロポキシシリルプロピルアクリレート、酢酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニル、塩化ビニル、フッ化ビニル、臭化ビニル、マレイン酸無水物、N−フェニルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカルバゾール、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン及びプロピレンよりなる群から選ばれる官能化メタクリレート、アクリレート及びスチレン;並びにこれらの組み合わせよりなる群から選択できるが、これに限定されるものではない。
【0025】
本発明の一具現例によれば、前記ビニル系単量体の重合で合成されるビニル系重合体は、ポリスチレン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート及びポリアクリロニトリルよりなる群から選択できるが、これに限定されるものではない。
【0026】
また、前記第1段階では、前記トリチオカーボネート系連鎖移動剤及びビニル系単量体以外に、ラジカル開始剤(radical initiator)を必要に応じて添加することができる。前記ラジカル開始剤は、ビニル系単量体の重合を開始することができ、RAFT重合に通常使用されるラジカル開始剤であれば特に限定されない。
【0027】
前記第2段階では、オレフィン系重合体と、前記第1段階で合成されたビニル系重合体とを反応させることにより、前記ビニル系重合体を前記オレフィン系重合体の鎖にグラフトさせる。好ましくは、前記第2段階では前記オレフィン系重合体に反応性ラジカルサイトを生成させるラジカル生成剤の存在下で反応させることができる。前記ラジカル生成剤の存在下で前記オレフィン系重合体と前記合成されたビニル系重合体とを反応させると、前記オレフィン系重合体に生成したラジカルにより、トリチオカーボネート構造を含んでいる前記ビニル系重合体が連鎖移動剤の役目をして前記オレフィン系重合体にグラフトされる。ここで、前記ラジカル生成剤は、前記オレフィン系重合体に反応性ラジカルサイトを生成させることが可能なものであれば特に限定されない。
【0028】
前記オレフィン系重合体は、オレフィン単量体の重合により生成される重合体であって、単独重合体及び共重合体を含む。本発明の一具現例によれば、前記オレフィン系重合体は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体(EPDM)、及びこれらの組み合わせよりなる群から選択できるが、これに限定されるものではない。
【0029】
前記第2段階は、溶媒の存在下に溶液相で行うことができる。本発明の一具現例によれば、前記溶媒は、例えばキシレンなどを使用することができるが、これに限定されるものではない。多様な有機溶媒を溶媒として使用することができる。また、前記第2段階は溶媒の不在下に溶融相で行うことも可能である。
【0030】
本発明の第2側面は、前述した製造方法で製造されたオレフィン系セグメント化共重合体を提供する。前述した製造方法によって、産業的に多く用いられているポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体などのオレフィン系重合体にビニル系重合体がグラフトされた共重合体の提供が可能であり、目的の改善された物性を有する重合体への改質が可能なので、多様な分野に応用することができる。
【0031】
以下、本発明の構成を下記実施例によってより具体的に説明するが、これらの実施例は本発明を限定するものではない。
【実施例】
【0032】
<試薬>
オレフィン系重合体としてエチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体(EPDM)ゴムは、錦湖ポリケム社のKEP−650L(M=120700g/mol、M/M=2.20、エチリデンノルボルネンの含量=8.9wt%、EPDM鎖あたり約90個のエチリデンノルボルネンユニット)を使用した。連鎖移動剤としてジベンジルトリチオカーボネート(DBTTC)はArkema社から購入した。スチレン(99.8wt%、Aldrich社製)は使用前にCaHの下で真空蒸留した。2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN、98wt%、Samchun Chemical社製)、過酸化ジクミル(DCP、99wt%、Aldrich社製)、キシレン98wt%、Samchun Chemical社製)、アセトン(95wt%、Samchun Chemical社製)、テトラヒドロフラン(THF、98wt%、Samchun Chemical社製)及びアニソール(99wt%、Aldrich社製)は追加の精製なしで使用した。
【0033】
<分析方法>
ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)分析
GPCはRI−ディテクターとUV−ディテクター(RID−10A、SPD−20AV、Shimadzu社製)及び3つのカラム(Styragel HR 5、4、2)を使用した。分子量はポリスチレン標準物質で較正した。オーブン温度40℃、ポンプ圧力5MPa、流速1.0mL/minの条件でHPLC THFを溶媒とした試料を40μL注入することにより、分子量を測定することができた。
【0034】
ガスクロマトグラフィー(GC)分析
GC(GC−2010、Shimadzu社製)のカラムはVB−WAX(長さ30m、内径0.32mm ID、フィルム厚さ0.25μm)を使用し、カラムの測定条件は温度40℃、平衡時間(equilibration time)1.5分であった。ディテクターはFID1を使用した。温度:250℃、インジェクションモード:スプリット(split)、サンプリング時間:1分、圧力:48.3kPa、全流量(total flow):83.8mL/min、パージフロー(puge flow):3.0mL/min、カラムフロー(column flow):1.58mL/minの状態で純度99.99%のN、H、空気を使用した。気体フローの条件はN=30mL/min、H=40mL/min、空気=400mL/minであった。
【0035】
FT−IR及びH−NMR分析
フーリエ変換分光(FT−IR)はThermo nicolet 380で分析した。FT−IRの試験片は、PSの場合はTHFに溶解した試料をKBrウィンドウ上に滴下した後、真空オーブンで12時間以上乾燥させて製造し、EPDMの場合はホットプレス(hot press)を用いてフィルムを製造した。H−NMR分光は500HMz Bruker avance spectrometerで測定した。使用した溶媒はd−CDClであり、標準ピークとしてはTMS(tetramethylsilane)によるピークを使用した。
【0036】
1.DBTTCを用いたポリスチレン(PS)の重合
重合反応は200mLのシュレンク(schlenk)フラスコを使用した。反応温度は温度調節が可能なヒーター上の油浴(oil bath)を用いて維持し、反応器内の雰囲気は窒素雰囲気を維持した。ポリスチレン(PS)を重合するための一般の実験手続きは次のとおりである。
【化4】

【0037】
スチレン(48mL、0.42mol)、AIBN(0.42g、2.6×10−3mol)、DBTTC(0.65mL、2.33×10−3mol)、及びアニソール(スチレン基準10%v/v、重合反応進行のGCモニタリングのための標準物質として添加される)をシュレンクフラスコに磁石攪拌器と共に仕込み、窒素状態を維持した([Sty]:[AIBN]:[DBTCC]=180:1.1:1)。3回のFreeze−Pump−Thawサイクルを介して酸素を除去し、60℃で350rpmにて攪拌しながら重合した。結果物をメタノールを用いて沈澱させ、60℃の真空オーブンで24時間乾燥させた。重合反応中に0、1、2、3、4及び5時間の間隔でサンプルを採取し、これをGC、GPCを用いてスチレンの高分子への転換率、数平均分子量、理論分子量及び分子量分布度を測定した。
【0038】
2.製造されたPSの「グラフトオントゥ(grafting-onto)」反応によるEPDM−graft−PSの合成(溶液反応)
反応は100mLのシュレンクフラスコを使用した。反応温度は温度調節が可能なヒーター上の油浴を用いて維持し、反応器内の雰囲気は窒素雰囲気を維持した。EDPM−graft−ポリスチレンを合成するための一般な実験手続きは次のとおりである。
【化5】

【0039】
EPDM(1g、8.0×10−6mol)、PS(0.96g、1.85×10−3mol)、過酸化ジクミル(DCP、0.05g、1.85×10−3mol)、キシレン(40mL)をシュレンクフラスコに仕込み、磁石攪拌器を用いて攪拌しながら溶かした。EPDMをキシレンに完全に溶かした後、30分間Nバブリング(bubbling)を行った([PS]:[DCP]=1:1)。混合物を138℃で4時間350rpmにて攪拌しながら反応させた。反応時間はDCPの半減時間(138℃で1時間)を考慮して充分に分解することが可能な時間を選定した。反応の後、未反応のPSをアセトンを用いて抽出し、THF溶液に溶かした後、さらにアセトンに沈澱させた。結果物を40℃の真空オーブンで10時間乾燥させ、FT−IR、H−NMR分析を行った。それぞれの実験条件を下記表1に示す。
【0040】
【表1】

【0041】
3.製造されたPSの「グラフトオントゥ(grafting-onto)」反応によるEPDM−graft−PSの合成(溶融反応)
溶融反応を介してEPDM−graft−PSを製造するために、内部ミキサー(internal mixer)(Brabender Plasticorder PLE 331)を用いた。一般な実験手続きは次のとおりである(図8参照)。内部ミキサー内にEPDM(140g、1.2×10−3mol)及び製造されたPS(15g、2.5×10−3mol)を仕込み、100℃(樹脂温度120℃)に昇温させた後、ローター(rotor)の速度を20rpmにして混練した。5分間の混練の後、過酸化ジベンゾイル(0.6g、2.5×10−3mol)を入れ、20分間反応させた([PS]:[過酸化ジベンゾイル]=1:1)。反応時間は過酸化ジベンゾイルの半減時間(100℃で1分)を考慮して充分に分解することが可能な時間に選定した。反応物からアセトンを抽出溶液として用いてSoxhlet抽出器で24時間未反応のPSを抽出し、最終結果物を40℃の真空オーブンで10時間乾燥させた後、その構造を調べるためにFTIR分析を行った。それぞれの実験条件を下記表2に示す。
【0042】
【表2】

【0043】
4.分析結果
DBTTCを用いたポリスチレン(PS)の重合
前述したように、EPDM−graft−ポリスチレンを「グラフトオントゥ(grafting-onto)」反応を介して製造するために連鎖移動剤(RAFT agent)のDBTTCを用いてグラフト鎖としてのポリスチレンを重合した。
【0044】
図1ではスチレンの時間による高分子への転換率とスチレンの転換率によるポリスチレン分子量の増加を示した([Sty]:「AIBN」:「DBTTC」=180:1.1:1、[スチレン]=7.90mol/L、温度=60℃)。図1aに示すように、スチレンの転換率が時間によって線形的に増加することが分かる。図1bでは、数平均分子量がスチレンの転換率と線形的な関係をもって増加し、分子量分布も1.2以下であることを確認した。以上の結果より、重合はリビング重合の特徴を帯び、成功的に製造されたことを確認することができた。図1bにおける理論的分子量は、下記の式によって計算し、実際分子量と比較したときに大きな差を示さなかった。
【0045】
n,th=MDBTTC+[(スチレンの転換率)×[スチレン]/([DBTTC]+[AIBN]×(1−e−kini×t))]×Mスチレン
【0046】
ここで、MDBTTC(296g/mol)及びMスチレン(104.15g/mol)はそれぞれDBTTCの分子量とスチレンの分子量を示し、[スチレン]、[DBTTC]及び[AIBN]はそれぞれスチレン単量体の初期濃度、DBTTCの初期濃度及びAIBNの初期濃度を示し、e−kiniはAIBNの分解に関する定数値を示すもので0.9L/mol・minであり、tは重合時間を示す。
【0047】
分子量を調節することが可能なリビング重合の特徴を用いてスチレンの添加量と反応時間を変化させて重合を行った。図2では、変化した条件([Sty]:[AIBN]:[DBTTC]=955:1.1:1、[スチレン]=7.90mol/L、温度=80℃)におけるスチレンの時間による高分子への転換率とスチレンの転換率によるポリスチレン分子量の増加を示した。図2の結果から分かるように、数平均分子量がスチレンの転換率と線形的な関係をもって増加し、分子量分布も1.2以下を示し、リビング重合の特徴を帯びた。これにより、分子量と分子量分布を調節したリビングラジカル重合が成功的に行われたことを確認した。それぞれの実験の組成、分子量及び分子量分布を下記表3に示す。
【0048】
【表3】

【0049】
製造されたPSの「グラフトオントゥ(grafting-onto)」反応によるEPDM−graft−PSの合成(溶液反応)
前述したように、連鎖移動剤(DBTTC)を用いて重合されたPSのトリチオカーボネート構造を用いてEPDMにグラフトさせる実験を行った。反応系の溶媒としてキシレンを用い、EPDMの水素を分離するために過酸化ジクミル(DCP)をDBTTCから重合されたPSに入れて一定の温度で反応させた。それぞれの条件でPS及び過酸化物の量を変化させ、それによる結果を調べた。
【0050】
前述した反応式3に示すように、過酸化物の存在下でEPDMとPSとを反応させると、EPDMに生成したラジカルにより、トリチオカーボネート構造を持つPSが連鎖移動剤の役目をしてEPDMにグラフトされる。この際、トリチオカーボネート構造を持つPSは、分子量及び分子量分布が調節されたもので、NMR分析方法によってグラフトされたとき、EPDM鎖あたり枝分かれPSの定量的分析が可能である。
【0051】
H−NMR分析で定量的分析が可能であるが、反応の際に過酸化物又は熱によりゴムが部分硬化した場合、溶媒に溶けなくて分析が不可能である。そのような理由で、FT−IR分析方法によって定量的分析を試みた。
【0052】
図3ではEPDMとPSのFT−IR分析結果を示した。それぞれのFT−IR分析によって確認したEPDM(C−C 伸縮、1160cm−1)とPS(芳香族C=C 伸縮(4つのバンド)、1590cm−1)の特性ピークを確認した。図4ではEPDMとPSを物理的に混合した後、PSの含量によるピーク高さの比を計算して較正曲線で表現した。この際、PSの含量によるピーク高さの比が傾向性を示し、この曲線から結果物の枝分かれの程度を推測した。
【0053】
PSがグラフトされたEPDMに対するFT−IR分析結果を図5に示し(sE−S001(a)、sE−S02(b)、sE−S03(c)、sE−S04(d)、サンプルの組成及び名称は下記表4を参照)、PSがグラフトされたEPDMをH−NMRで分析し、その結果を表6に示す。図6から分かるように、6.3〜7.5ppmで導出されたピークはPSの芳香族プロトンに対するものであり、4.9ppmと5.2ppmで導出されたピークはEPDMのエチルジエンノルボルネン単位のうち=CH−のプロトンに対するものである。GPC分析で確認されたEPDMの分子量(Mn=120700)とEPDM鎖中のエチルジエンノルボルネンの含量(ENB含量=8.9wt%)によって計算されたエチルジエンノルボルネンの数(90ユニット/鎖)を知ることができ、未反応のPSが全部抽出されたという仮定の下にそれぞれ導出されたPSの芳香族プロトンのピークとEPDMのエチルジエンノルボルネン単位のうち=CH−のプロトンピークの積分値によってPDの枝分かれの程度を計算した。表4では実験組成によってFT−IRとH−NMRで分析したEPDMにグラフトされたPSの重量と鎖の数を示した。
【0054】
【表4】

【0055】
下記表5では、表4に示したEPDMにグラフトされたPSの定量的分析結果に基づいてグラフト効率(grafting efficiency、GE)を計算した。
【表5】

【0056】
前記グラフト効率(GE)は次の式を用いて計算した。
【数1】

【0057】
前記式において、反応に使用されたPSの重量は実験の組成によって決定し、グラフトされたPSの重量はFT−IRとH−NMRの分析結果によって決定した。
【0058】
前記表4及び表5に示すように、過酸化物が増加すると、EPDMの鎖内にPSが枝分かれできるサイトが多くなり、それによりPSがさらに多く枝分かれしたことを推測することができ、PSの量が増加したときは、反応の際に豊富な連鎖移動剤によってPSがさらに多く枝分かれすることを推測することができる。
【0059】
表5に示したFT−IRとH−NMR分析によって計算されたsE−S02とsE−S03のグラフト効率をみれば、反応組成においてsE−S03よりPSの量が1/2であり、過酸化物を2倍使用したsE−S02のグラフト効率がより低いことが観察される。このような結果より、過酸化物がEPDM鎖の水素を分離してラジカルを形成する効率、及び連鎖移動剤の構造を含むPSがEPDM鎖のラジカルへ鎖移動する反応に関する研究が必要であり、使用する過酸化物(peroxide)の種類及び量、連鎖移動剤の構造を含むPSの量に対する精密な調節が必要であると判断される。
【0060】
図7では「グラフトオントゥ(grafting-onto)」反応前のEPDMのGPC結果と反応後のGPC結果を示した。重合前のGPC曲線と重合後のGPC曲線とを比較したとき、曲線が移動することを確認することができた。
【0061】
製造されたPSの「グラフトオントゥ(grafting-onto)」反応によるEPDM−graft−PSの合成(溶融反応)
溶液反応は溶媒の使用により環境問題、費用問題、及び量産の困難さを伴う。このような湿式反応の問題点を改善するために溶融反応法を研究した。湿式反応とは異なり、溶媒を使用せず改質原料を内部ミキサー内で反応させる方法を用いた。実験の組成は前記表2のとおりにした。様々な温度で混合した結果、ミキサーの温度が100℃、改質原料の温度が120℃のとき、よく混じることを肉眼で確認することができた。ミキサーの温度を100℃にして実験し、その結果物をTHF溶液に溶かした結果、反応過程中に部分的に硬化が起こったことが分かった。硬化の程度は過酸化物を大量添加し或いはPSを少量添加したものであるほど激しかった。これは、PSの量が増加すると、連鎖移動剤として作用することが可能なトリチオカーボネートの構造が多くなってEPDM鎖同士の架橋を防ぐためであると考えられる。反応の後、未反応のPSを除去するためにアセトンを抽出溶液としてSoxhlet抽出器で24時間未反応のPSを抽出した。最終結果物は、乾燥させた後、構造及び枝分かれの程度を調べるために、FTIR分析を行った。FT−IR分析の結果、溶融反応法で製造したEPDM−graft−PSでも溶液反応法と同様にPSの特性ピークが現れることが分かった。これにより、PSが枝分かれしたことが分かった。
【0062】
前述したように、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体−グラフト−ポリスチレン(EPDM−graft−PS)共重合体を、ジベンジルトリチオカーボネート(DBTTC)を用いた可逆的付加開裂連鎖移動(RAFT)プロセスによるスチレンの重合反応と、ラジカル生成剤としての過酸化ジクミル(DCP)の存在下でPSの鎖移動反応の2段階反応で成功的に製造した。これにより、EPDM当たり1〜5個のPSグラフト枝を有するグラフト共重合体を得た。
【0063】
EPDMあたりPS鎖の数及び組成は、2つの変数、すなわちラジカル生成剤およびPSの量を制御することにより調節された。ラジカル生成剤及びPSの量が増加するほど、グラフト共重合体はさらに高いPS鎖の濃度を得ることができた。ラジカル生成剤及びPSの量が増加するほど、グラフト効率(GE)も増加した。RAFTプロセス中にPSの分子量を容易に調節することができるため、前記結果はグラフト共重合体の3つの変数(すなわち、グラフト枝の長さ、グラフト枝の数およびグラフト効率)が全て調節できることを示唆する。
【0064】
前述した本発明の説明は、例示に過ぎないもので、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者であれば、本発明の技術的思想又は必須的な特徴を変更することなく、様々な具体的形態に容易に変形可能であることを理解することができるであろう。よって、上述した実施例は全ての面で例示的なもので、限定的なものではないと理解されるべきである。例えば、単一型と説明されている各構成要素は分散して実施してもよく、これと同様に、分散したものと説明されている構成要素も結合して実施してもよい。
【0065】
本発明の範囲は上述した詳細な説明よりは特許請求の範囲によって定められ、特許請求の範囲の意味と範囲、そしてその均等概念から導出される全ての変更又は変形様態が本発明の範囲に含まれるものと解釈されるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明の製造方法によれば、簡単な2段階反応によって成功的にオレフィン系セグメント化共重合体を容易に合成することができる。
【0067】
また、本発明の製造方法によれば、ラジカル生成剤及びグラフトされるビニル系重合体の量を調節することにより、得られるオレフィン系セグメント化共重合体中のグラフト鎖の長さ及び数だけでなく、グラフト効率の調節が可能である。
【0068】
よって、本発明の製造方法を用いて、多様な改善された物性及び幅広い応用性を有するオレフィン系セグメント化共重合体の合成が可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トリチオカーボネート系連鎖移動剤を用いて可逆的付加開裂連鎖移動法(RAFT、reversible addition-fragmentation chain transfer)でビニル系単量体を重合してビニル系重合体を合成する段階と;
前記合成されたビニル系重合体をオレフィン系重合体にグラフトする段階とを含んでなることを特徴とする、オレフィン系セグメント化共重合体の製造方法。
【請求項2】
前記トリチオカーボネート系連鎖移動剤が、下記化学式1で表される化合物であることを特徴とする、請求項1に記載のオレフィン系セグメント化共重合体の製造方法:
【化1】

式中、前記2つのRはそれぞれアルキル;アルケニル;飽和、不飽和又は芳香族炭素環又は複素環;アルキルチオ;アルコキシ;及びジアルキルアミノよりなる群から独立に選択され、前記アルキル;アルケニル;飽和、不飽和又は芳香族炭素環又は複素環;アルキルチオ;アルコキシ;及びジアルキルアミノはエポキシ、ヒドロキシ、アルコキシ、アリール、アシル、アシルオキシ、カルボキシ及びその塩、スルホン酸及びその塩、アルキルカルボニルオキシ、イソシアナート、シアノ、シリル、ハロ及びジアルキルアミノよりなる群から選ばれた置換基で独立に置換できる。
【請求項3】
前記トリチオカーボネート系連鎖移動剤がジベンジルトリチオカーボネート(dibenzyltrithiocarbonate、DBTTC)であることを特徴とする、請求項2に記載のオレフィン系セグメント化共重合体の製造方法。
【請求項4】
前記ビニル系単量体が、下記化学式2で表される化合物及びこれらの組み合わせよりなる群から選ばれることを特徴とする、請求項1に記載のオレフィン系セグメント化共重合体の製造方法:
【化2】

式中、Uは水素;ハロゲン;並びにヒドロキシ、C〜C18アルコキシ、アリールオキシ(OR’)、カルボキシ、アシルオキシ、アロイルオキシ(OCR’)、アルコキシ−カルボニル及びアリールオキシ−カルボニル(COR’)よりなる群から独立に選ばれた置換基で置換できるC〜Cアルキルよりなる群から選択され、
Vは水素、R’、COH、COR’、COR’、CN、CONH、CONHR’、CONR’、OCR’、OR’及びハロゲンよりなる群から選択され、
ここで、前記R’はそれぞれC〜C18アルキル、C〜C18アルケニル、アリール、ヘテロシクリル、アラルキルおよびアルカリール(alkaryl)よりなる群から独立に選択され、前記C〜C18アルキル、C〜C18アルケニル、アリール、ヘテロシクリル、アラルキル及びアルカリールはエポキシ、ヒドロキシ、アルコキシ、アリール、アシル、アシルオキシ、カルボキシ及びその塩、スルホン酸及びその塩、アルコキシ−又はアリールオキシ−カルボニル、イソシアナート、シアノ、シリル、ハロ及びジアルキルアミノよりなる群から独立に選択された置換基によって置換できる。
【請求項5】
前記ビニル系単量体が、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、メタクリル酸、ベンジルメタクリレート、フェニルメタクリレート、メタクリロニトリル、アルファ−メチルスチレン、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、イソボルニルアクリレート、アクリル酸、ベンジルアクリレート、フェニルアクリレート、アクリロニトリル、スチレン;グリシジルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート、トリエチレングリコールメタクリレート、イタコン酸無水物、イタコン酸、グリシジルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルアクリレート、トリエチレングリコールアクリレート、メタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−tert−ブチルメタクリルアミド、N−n−ブチルメタクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−エチロールメタリルアミド、N−tert−ブチルアクリルアミド、N−n−ブチルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−エチロールアクリアミド、ビニル安息香酸、ジエチルアミノスチレン、アルファ−メチルビニル安息香酸、ジエチルアミノアルファ−メチルスチレン、p−ビニルベンゼンスルホン酸、p−ビニルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩、トリメトキシシリルプロピルメタクリレート、トリエトキシシリルプロピルメタクリレート、トリブトキシシリルプロピルメタクリレート、ジメトキシメチルシリルプロピルメタクリレート、ジエトキシメチルシリルプロピルメタクリレート、ジブトキシメチルシリルプロピルメタクリレート、ジイソプロポキシメチルシリルプロピルメタクリレート、ジメトキシシリルプロピルメタクリレート、ジエトキシシリルプロピルメタクリレート、ジブトキシシリルプロピルメタクリレート、ジイソプロポキシシリルプロピルメタクリレート、トリメトキシシリルプロピルアクリレート、トリエトキシシリルプロピルアクリレート、トリブトキシシリルプロピルアクリレート、ジメトキシメチルシリルプロピルアクリレート、ジエトキシメチルシリルプロピルアクリレート、ジブトキシメチルシリルプロピルアクリレート、ジイソプロポキシメチルシリルプロピルアクリレート、ジメトキシシリルプロピルアクリレート、ジエトキシシリルプロピルアクリレート、ジブトキシシリルプロピルアクリレート、ジイソプロポキシシリルプロピルアクリレート、酢酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニル、塩化ビニル、フッ化ビニル、臭化ビニル、マレイン酸無水物、N−フェニルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカルバゾール、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン及びプロピレンよりなる群から選ばれる官能化メタクリレート、アクリレート及びスチレン;並びに
これらの組み合わせよりなる群から選択されることを特徴とする、請求項4に記載のオレフィン系セグメント化共重合体の製造方法。
【請求項6】
前記合成されたビニル系重合体が、ポリスチレン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート及びポリアクリロニトリルよりなる群から選択されることを特徴とする、請求項1に 記載のオレフィン系セグメント化共重合体の製造方法。
【請求項7】
前記オレフィン系重合体が、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体、及びこれらの組み合わせよりなる群から選ばれることを特徴とする、請求項1に記載のオレフィン系セグメント化共重合体の製造方法。
【請求項8】
前記グラフトする段階が、前記オレフィン系重合体に反応性ラジカルサイトを生成させるラジカル生成剤の存在下で行われることを特徴とする、請求項1に記載のオレフィン系セグメント化共重合体の製造方法。
【請求項9】
前記ラジカル生成剤及び前記合成されたビニル系重合体の量を調節することにより、得られるオレフィン系セグメント化共重合体中にグラフトされるビニル系重合体鎖の数及びグラフト効率が調節されることを特徴とする、請求項8に記載のオレフィン系セグメント化共重合体の製造方法。
【請求項10】
前記グラフトする段階が溶媒の存在下に溶液相で行われることを特徴とする、請求項1に記載のオレフィン系セグメント化共重合体の製造方法。
【請求項11】
前記グラフトする段階が溶融相で行われることを特徴とする、請求項1に記載のオレフィン系セグメント化共重合体の製造方法。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか1項に記載の製造方法で製造されたオレフィン系セグメント化共重合体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2013−501822(P2013−501822A)
【公表日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−523561(P2012−523561)
【出願日】平成22年8月2日(2010.8.2)
【国際出願番号】PCT/KR2010/005077
【国際公開番号】WO2011/016656
【国際公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【出願人】(512030485)
【Fターム(参考)】