説明

オレフィン系不飽和モノマーのコポリマー、その製造法および該コポリマーの使用

水性媒体中で
(a1)少なくとも1個のキレート形成基を含有する、少なくとも1つのオレフィン系不飽和モノマーおよび
(a2)
(a21)一般式I
12C=CR34 (I)
〔式中、基R1、R2、R3およびR4はそれぞれ互いに無関係に、水素原子または置換または非置換のアルキル基、シクロアルキル基、アルキルシクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、シクロアルキルアリール−アリールアルキル基またはアリールシクロアルキル基を表わすが、但し、置換基R1、R2、R3およびR4の少なくとも2つは、置換または非置換のアリール基、アリールアルキル基またはアリールシクロアルキル基、殊に置換または非置換のアリール基を表わす〕で示されるモノマー、
(a22)オレフィン系不飽和テルペン炭化水素;および
(a23)二量体のα−アルキルビニル芳香族化合物からなる群から選択された、オレフィン系不飽和モノマー(a1)とは異なる少なくとも1つのオレフィン系不飽和モノマーを一工程または多工程で制御してラジカル共重合することによって製造されたオレフィン系不飽和モノマー(a)のコポリマー(A)、その製造法および該コポリマー(A)の使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オレフィン系不飽和モノマーの新規のコポリマーに関する。更に、本発明は、オレフィン系不飽和モノマーのコポリマーを製造するための新規方法に関する。とりわけ本発明は、オレフィン系不飽和モノマーの新規コポリマーの使用及び前記の新規方法により製造された、オレフィン系不飽和モノマーのコポリマーに関する。
【0002】
従来技術
少なくとも1つの第1のオレフィン系不飽和モノマーと
一般式I
12C=CR34 (I)
〔式中、基R1、R2、R3およびR4は、それぞれ互いに無関係に、水素原子または置換または非置換のアルキル基、シクロアルキル基、アルキルシクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、シクロアルキルアリール−アリールアルキル基またはアリールシクロアルキル基を表わすが、但し、基R1、R2、R3およびR4の少なくとも2つは、置換または非置換のアリール基、アリールアルキル基またはアリールシクロアルキル基、殊に置換または非置換のアリール基を表わすものとする〕で示される第1のオレフィン系不飽和モノマーとは異なる少なくとも1つの第2のオレフィン系不飽和モノマーとを制御された一工程または多工程で水性媒体中でラジカル共重合することによって製造されたオレフィン系不飽和モノマーのコポリマーは、ドイツ連邦共和国特許出願公開第10126651号明細書A1の記載から公知である。このオレフィン系不飽和モノマーのコポリマーは、顔料添加された粉末コーティング懸濁液(粉末スラリー)を製造する際に乳化剤として使用される。この場合、このオレフィン系不飽和モノマーのコポリマーは、好ましくは顔料ペーストまたは顔料調製物を経て粉末コーティング懸濁液の水性媒体中に導入される。この顔料ペーストまたは顔料調製物は、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、ならびに遷移金属、特にモリブデンおよびタングステンの多酸およびヘテロポリ酸を基礎とするナノ粒子、殊に親水性の酸化物ナノ粒子の特に高い含量を有することができる。ナノ粒子は、50nm未満の一次粒径を有する。
【0003】
この公知のコポリマーは、殊に硫酸バリウム一次粒子を安定化させるために、硫酸バリウムナノ粒子に対して結晶化抑制剤および分散剤として作用する状態にあるかどうかは、前記のドイツ連邦共和国特許出願公開明細書の記載からは明らかでない。
【0004】
発明の課題
本発明は、ナノ粒子のための分散剤として特に好適である、オレフィン系不飽和モノマーの制御されたラジカル共重合によって製造可能な新規のコポリマーを見い出すという課題に基づく。殊に、このコポリマーは、硫酸バリウムナノ粒子のための結晶化抑制剤および/または分散剤として特に好適であるはずである。とりわけこのコポリマーは、硫酸バリウム一次粒子の安定化に特に好適である。
【0005】
更に、本発明の課題は、簡単で安全で極めて良好に再現可能な方法で実施することができる、水性媒体中での制御されたラジカル共重合によりオレフィン系不飽和モノマーのコポリマーを製造するための新規方法を見出すことであった。
【0006】
オレフィン系不飽和モノマーの制御されたラジカル共重合により製造可能かまたは製造された新規コポリマーの水性分散液は、特に大量のナノ粒子、殊に硫酸バリウムナノ粒子を安定して分散させる状態にあるはずである。
【0007】
新規のナノ粒子分散液は、物理的、熱的、化学線により、ならびに熱的および化学線で硬化可能な新規材料、殊に新規のコーティング材料、接着剤およびパッキング材料ならびに成形体およびシートの前駆体の製造に特に好適である。
【0008】
新規の硬化可能な材料は、極めて良好な使用技術的性質を有する、新規の熱可塑性材料または熱硬化性材料、殊に新規のコーティング、接着剤層、パッキング、成形材料およびシートを提供するはずである。
【0009】
本発明による解決
それに応じて、水性媒体中で、
(a1)少なくとも1個のキレート形成基を含有する、少なくとも1つのオレフィン系不飽和モノマーおよび
(a2)
(a21)一般式I
12C=CR34 (I)
〔式中、基R1、R2、R3およびR4はそれぞれ互いに無関係に、水素原子または置換または非置換のアルキル基、シクロアルキル基、アルキルシクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、シクロアルキルアリール−アリールアルキル基またはアリールシクロアルキル基を表わすが、但し、置換基R1、R2、R3およびR4の少なくとも2つは、置換または非置換のアリール基、アリールアルキル基またはアリールシクロアルキル基、殊に置換または非置換のアリール基を表わす〕で示されるモノマー、
(a22)オレフィン系不飽和テルペン炭化水素;および
(a23)二量体のα−アルキルビニル芳香族化合物からなる群から選択された、オレフィン系不飽和モノマー(a1)とは異なる少なくとも1つのオレフィン系不飽和モノマーを一工程または多工程で制御してラジカル共重合することによって製造されたオレフィン系不飽和モノマー(a)の新規のコポリマー(A)が見い出された。
【0010】
以下、オレフィン系不飽和モノマー(a)の新規のコポリマー(A)は、「本発明によるコポリマー(A)」と呼称される。
【0011】
更に、
(a1)少なくとも1個のキレート形成基を含有する、少なくとも1つのオレフィン系不飽和モノマーおよび
(a2)
(a21)一般式I
12C=CR34 (I)
〔式中、基R1、R2、R3およびR4はそれぞれ互いに無関係に、水素原子または置換または非置換のアルキル基、シクロアルキル基、アルキルシクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、シクロアルキルアリール−アリールアルキル基またはアリールシクロアルキル基を表わすが、但し、置換基R1、R2、R3およびR4の少なくとも2つは、置換または非置換のアリール基、アリールアルキル基またはアリールシクロアルキル基、殊に置換または非置換のアリール基を表わす〕で示されるモノマー、
(a22)オレフィン系不飽和テルペン炭化水素;および
(a23)二量体のα−アルキルビニル芳香族化合物からなる群から選択された、オレフィン系不飽和モノマー(a1)とは異なる少なくとも1つのオレフィン系不飽和モノマーを水性媒体中で制御してラジカル共重合させることにより、一工程または多工程で制御された共重合によって製造されたオレフィン系不飽和モノマー(a)の新規のコポリマー(A)が見い出された。
【0012】
以下、本発明によるコポリマー(A)を製造するための新規方法は、「本発明による方法」と呼称される。
【0013】
特に、ナノ粒子のための分散剤としての、本発明によるコポリマー(A)および本発明による方法により製造された本発明によるコポリマー(A)の新規の使用が見出されたが、これは以下、「本発明による使用」と呼称される。
【0014】
他の本発明の対象は、発明の詳細な説明から明らかである。
【0015】
発明の利点
公知従来技術に照らしてみると、本発明の基礎となる課題が、本発明によるコポリマー(A)、本発明による方法および本発明による使用によって解決され得たことは意外なことであり、かつ当業者にとって予期し得なかったことであった。
【0016】
殊に、本発明によるコポリマー(A)がナノ粒子のための分散剤として特に好適であることは、意外なことであった。殊に、本発明によるコポリマー(A)は、特に硫酸バリウムナノ粒子のための結晶化抑制剤および/または分散剤として殊に好適である。とりわけ、本発明によるコポリマー(A)は、硫酸バリウム一次粒子の安定化に特に好適である。
【0017】
更に、本発明による方法が特に簡単で、確実で極めて良好に再現可能な方法で実施可能であることは、意外なことであった。
【0018】
本発明によるコポリマー(A)の生じる新規の水性分散液は、特に大量のナノ粒子、殊に硫酸バリウムナノ粒子を安定性で分散させる状態にあった。
【0019】
生じる新規のナノ粒子分散液は、物理的、熱的、化学線で、ならびに熱的および化学線で硬化可能な新規材料、殊に新規のコーティング材料、接着剤およびシール材料ならびに成形体およびシートの前駆物質の製造に特に好適である。
【0020】
本発明による硬化可能な材料は、極めて良好な使用技術的性質を有する、新規の熱可塑性材料または熱硬化性材料、殊に新規のコーティング、接着剤層、シール、成形体およびシートを提供した。
【0021】
発明の詳細な記載
本発明によるコポリマー(A)は、少なくとも
(a1)少なくとも1個、殊に1個のキレート形成基を含有する、少なくとも1つ、殊に少なくとも1つのオレフィン系不飽和モノマーおよび
(a2)
(a21)一般式I
12C=CR34 (I)
〔式中、基R1、R2、R3およびR4はそれぞれ互いに無関係に、水素原子または置換または非置換のアルキル基、シクロアルキル基、アルキルシクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、シクロアルキルアリール−アリールアルキル基またはアリールシクロアルキル基を表わすが、但し、置換基R1、R2、R3およびR4の少なくとも2つは、置換または非置換のアリール基、アリールアルキル基またはアリールシクロアルキル基、殊に置換または非置換のアリール基を表わす〕で示されるモノマー、
(a22)オレフィン系不飽和テルペン炭化水素;および
(a23)二量体のα−アルキルビニル芳香族化合物からなる群から選択された、オレフィン系不飽和モノマー(a1)とは異なる少なくとも1つ、殊に少なくとも1つのオレフィン系不飽和モノマー、
ならびに場合によっては
(a3)モノマー(a1)および(a2)とは異なる少なくとも1つのオレフィン系不飽和モノマーを水性媒体中で制御してラジカル共重合させることにより製造されたものである。
【0022】
この場合、オレフィン系不飽和モノマー(a)は、キレートを形成させる状態にある少なくとも1個、殊に1個のキレート形成基を含有する(Roempp Online, Georg Thieme Verlag, Stuttgart New York, 2005, >>Chelate<<参照)。
【0023】
特に、モノマー(a1)のキレート形成基は、少なくとも2座、殊に2座である(Roempp Online 2005, >>Chelate<<参照)。
【0024】
好ましくは、キレート形成基は、電子供与体として作用する、少なくとも2個、殊に2個の原子団を含有する。モノマー(a1)は、前記原子団により、金属原子または金属陽イオンとの配位化合物を形成する状態にある。
【0025】
特に好ましくは、カルボニル基(>C=O)、チオカルボニル基(>C=S)、エーテル基(−CH2−O−CH2−)、チオエーテル基(−CH2−S−CH2−)、Rが水素原子または1〜6個の炭素原子を有するアルキル基である第1級、第2級および第3級のアミノ基(>C−NR52)、R5が水素原子または1〜6個の炭素原子を有するアルキル基である第1級および第2級のイミノ基(>CR5)、オキシム基(>C=N−O−H)、R6が1〜10個の炭素原子を有するアルキル基または4〜10個の炭素原子を有するシクロアルキル基であるイミノエーテル基(>C=N−O−R6)、ならびにR7が水素原子または1〜6個の炭素原子を有するアルキル基、4〜10個の炭素原子を有するシクロアルキル基または6〜10個の炭素原子を有するアリール基である第1級、第2級および第3級のホスフィン基(−PR72)の群から選択される原子団が使用される。
【0026】
殊に好ましいのは、原子団のカルボニル基(>C=O)である。
【0027】
殊に、キレート形成基は、1,3−ジカルボニル基、特にアセトアセトキシ基(CH3−C(O)−CH2−C−(O)−O−)である。
【0028】
特に、モノマー(a1)のオレフィン系不飽和基は、(メタ)アクリレート基、エタクリレート基、クロトネート基、シンナメート基、ビニルエーテル基、ビニルエステル基、ジシクロペンタジエニル基、ノルボルネニル基、イソプレニル基、イソプロペニル基、アリル基またはブテニル基;ジシクロペンタジエニルエーテル基、ノルボルネニルエーテル基、イソプレニルエーテル基、イソプロペニルエーテル基、アリルエーテル基またはブテニルエーテル基またはジシクロペンタジエニルエステル基、ノルボルネニルエステル基、イソプレニルエステル基、イソプロペニルエステル基、アリルエステル基またはブテニルエステル基からなる群から選択されている。
【0029】
殊に、オレフィン系不飽和基は、(メタ)アクリレート基である。
【0030】
この場合および以下、「(メタ)アクリレート基」の概念は、「アクリレート基および/またはメタクリレート基」のための要約形として使用される。
【0031】
モノマー(a1)において、単数のキレート形成基または複数のキレート形成基は、単数のオレフィン系不飽和基または複数のオレフィン系不飽和基と、少なくとも1個の共有結合または少なくとも2価、殊に2価の結合基により結合されている。
【0032】
特に、モノマー(a1)において、キレート形成基は、オレフィン系不飽和基と2価の結合基により結合されている。
【0033】
2価の結合基としては、原則的に、不活性である全ての2価の有機基がこれに該当する。
【0034】
本発明の範囲内で、「不活性」とは、当該2価の結合基が本発明によるコポリマー(A)の製造の際に制御されたラジカル共重合を妨害せず、本発明によるコポリマー(A)の製造前、製造中および製造後に望ましくない副反応、例えば分解反応を引き起こさないことを意味する。
【0035】
特に、2価の結合基は、アルキレン基、シクロアルキレン基および/またはアリーレン基を含有するかまたはアルキレン基、シクロアルキレン基および/またはアリーレン基からなる基である。好ましくは、アルキレン基、特に有利に2〜6個の炭素原子を有するアルキレン基、殊に1,2−エチレン基が使用される。
【0036】
特に好適なモノマー(a1)の例は、2−(アセトアセトキシ)エチルメタクリレートおよび2−(アセトアセトキシ)エチルアクリレート、殊に2−(アセトアセトキシ)エチルメタクリレートであり、これは、商品名Lonzamon(登録商標)AAEMAでLonza社から販売されている。
【0037】
制御されたラジカル共重合の際に使用される、オレフィン系不飽和モノマー(a)の量は、極めて幅広く変動することができ、したがって有利に個々の場合の要件に適合させることができる。特に、(a1)の量は、それぞれモノマー(a1)および(a2)の総和に対して1〜99.9質量%、有利に2〜99質量%、特に有利に3〜98質量%、殊に5〜97質量%である。
【0038】
モノマー(a2)として、一般式Iのモノマー(a21)が使用されてよい。
【0039】
一般式I中、基R1、R2、R3およびR4は、それぞれ互いに無関係に、水素原子または置換または非置換のアルキル基、シクロアルキル基、アルキルシクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、シクロアルキルアリール−アリールアルキル基またはアリールシクロアルキル基を表わすが、但し、基R1、R2、R3およびR4の少なくとも2つは、置換または非置換のアリール基、アリールアルキル基またはアリールシクロアルキル基、殊に置換または非置換のアリール基を表わすものとする。
【0040】
適当なアルキル基の例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、第三ブチル、アミル、ヘキシルまたは2−エチルヘキシルである。
【0041】
適当なシクロアルキル基の例は、シクロブチル、シクロペンチルまたはシクロヘキシルである。
【0042】
適当なアルキルシクロアルキル基の例は、メチレンシクロヘキサン、エチレンシクロヘキサンまたはプロパン−1.3−ジイル−シクロヘキサンである。
【0043】
適当なアルキルアルキル基の例は、2−、3−または4−メチル−、−エチル−、−プロピル−または−ブチルシクロヘキシ−1−イルである。
【0044】
適当なアリール基の例は、フェニル、ナフチルまたはビフェニリルである。
【0045】
適当なアルキルアリール基の例は、ベンジルまたはエチレン−またはプロパン−1,3−ジイル−ベンゼンである。
【0046】
適当なシクロアルキルアリール基の例は、2−、3−または4−フェニルシクロヘキシ−1−イルである。
【0047】
適当なアリールアルキル基の例は、2−、3−または4−メチル−、−エチル−、−プロピル−または−ブチルフェン−1−イルである。
【0048】
適当なアリールシクロアルキル基の例は、2−、3−または4−シクロヘキシルフェニ−1−イルである。
【0049】
前記の基R1、R2、R3およびR4は、置換されていてよい。このために、電子求引性または電子移動性の原子、または有機基が使用されてよい。
【0050】
適当な置換基の例は、ハロゲン原子、殊に塩素および弗素、ニトリル基、ニトロ基、前記に例示的に記載された、殊に第三ブチルを含めて、部分的または完全にハロゲン化された、殊に塩素化および/または弗素化された、アルキル基、シクロアルキル基、アルキルシクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、シクロアルキルアリール基、アリールアルキル基およびアリールシクロアルキル基;アリールオキシ基、アルキルオキシ基およびシクロアルキルオキシ基、殊にフェノキシ、ナフトキシ、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブチルオキシまたはシクロヘキシルオキシ;アリールチオ基、アルキルチオ基およびシクロアルキルチオ基、殊にフェニルチオ、ナフチルチオ、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、ブチルチオまたはシクロヘキシルチオ;ヒドロキシル基;および/または第1アミノ基、第2アミノ基および/または第3アミノ基、殊にアミノ、N−メチルアミノ、N−エチルアミノ、N−プロピルアミノ、N−フェニルアミノ、N−シクロヘキシルアミノ、N,N−ジメチルアミノ、N,N−ジエチルアミノ、N,N−ジプロピルアミノ、N,N−ジフェニルアミノ、N,N−ジシクロヘキシルアミノ、N−シクロヘキシル−N−メチルアミノまたはN−エチル−N−メチルアミノである。
【0051】
本発明により特に有利に使用されるモノマー(a21)の例は、ジフェニルエチレン、ジナフタリンエチレン、シス−またはトランス−スチルベン、ビニリデン−ビス(4−N,N−ジメチルアミノベンゼン)、ビニリデン−ビス(4−アミノベンゼン)またはビニリデン−ビス(4−ニトロベンゼン)である。
【0052】
モノマー(a21)は、個別的に使用されてもよいし、少なくとも2つのモノマー(a21)からなる混合物として使用されてもよい。
【0053】
生じるコポリマー(A)の反応の実施および性質に関連して、ジフェニルエチレン(a21)は、特に有利であり、したがって殊に有利に一般式Iのモノマー(a21)として使用される。
【0054】
更に、モノマー(a2)として、オレフィン系不飽和テルペン炭化水素(a22)が使用される。
【0055】
オレフィン系不飽和テルペン炭化水素(a22)は、通常の公知の、天然に由来するかまたは合成の化合物である。特に、反応性の官能基、例えばヒドロキシル基、アミノ基またはカルボニル基を全く含有しないオレフィン系不飽和テルペン炭化水素が使用される。
【0056】
好ましくは、非環式ジテルペネン、単環式テルペネン、二環式テルペネン、非環式セスキテルペネン、単環式セスキテルペネン、二環式セスキテルペネン、三環式セスキテルペネン、非環式ジテルペネン、単環式ジテルペネンおよび三環式ジテルペネンからなる群からのオレフィン系不飽和テルペン炭化水素(a22)が選択される。
【0057】
特に有利には、非環式モノテルペネン、単環式テルペネンおよび二環式テルペネンからなる群からのテルペン炭化水素(a22)が選択される。
【0058】
殊に有利には、オシメン、ミルセン、メンテン、メンタジエン、α−ピネンおよびβ−ピネンからなる群からのテルペン炭化水素(a22)が選択される。
【0059】
殊に、α−テルピネン、βーテルピネン、γ−テルピネン、テルピノール、α−フェランドレン、βーフェランドレン、リモネンおよびジペンテンからなる群からのメンタジエン(a22)が選択される。
【0060】
特に、γ−テルピネンがモノマー(a22)として使用される。
【0061】
とりわけ、モノマー(a2)として二量体のα−アルキルビニル芳香族化合物(a23)および特に二量体のα−アルキルスチレン(a23)、殊に二量体のα−メチルスチレン(a23)が使用されてよい。
【0062】
制御されたラジカル共重合の場合、使用されるモノマー(a2)の量は、幅広く変動することができ、即ち有利に個々の場合の要件に適合させることができる。特に、(a2)の量は、それぞれモノマー(a1)および(a2)の総和に対して0.1〜99質量%、有利に1〜98質量%、特に有利に2〜97質量%、殊に3〜95質量%である。
【0063】
前記のオレフィン系不飽和モノマー(a1)および(a2)は、なお種々のオレフィン系不飽和モノマー(a3)の中の少なくとも1つと共重合されてよい。特に、少なくとも2つのオレフィン系不飽和モノマー(a3)が使用される。
【0064】
オレフィン系不飽和モノマー(a3)の構造は、強く変動することができる。本質的なことは、オレフィン系不飽和モノマー(a3)が前記のオレフィン系不飽和モノマー(a1)および(a2)と制御されてラジカル共重合可能であることであり、この場合には、望ましくない副反応は惹起されない。
【0065】
オレフィン系不飽和モノマー(a3)は、多種多様の官能基を含有することができるかまたはこの官能基を含有していなくともよい。このオレフィン系不飽和モノマー(a3)が官能基を有する場合には、モノマー(a1)のキレート形成基と一緒に望ましくない物理的および化学的な相互作用を生じてはならず、制御されたラジカル共重合を阻止することもないし、促進することもない。従って、当業者であれば、適当なオレフィン系不飽和モノマー(a3)をその一般的な専門知識により簡単に場合により若干僅かに方針を定める試験を用いて選択することができる。
【0066】
オレフィン系不飽和モノマー(a3)は、本発明によるコポリマー(A)の特性プロフィールの変法に使用される。多数の適当なオレフィン系不飽和モノマー(a3)のために、本発明によるコポリマー(A)の特性プロフィールは、簡単に極めて広範囲に変動することができ、それぞれの使用目的の必要性に有利に適合させることができ、このことは、本発明によるコポリマー(A)の特別な利点である。
【0067】
適当なオレフィン系不飽和モノマー(a3)の例は、ドイツ連邦共和国特許出願公開第10126651号明細書A1、第4〜5頁、段落[0024]および[0025]の記載から公知である。
【0068】
本発明によるコポリマー(A)は、本発明による方法の範囲内で前記のオレフィン系不飽和モノマー(a1)および(a2)ならびに場合によっては(a3)、特に(a1)、(a2)および(a3)を制御してラジカル共重合させることによって製造される。
【0069】
特に、オレフィン系不飽和モノマー(a1)、(a2)および(a3)は、それぞれ(a1)、(a2)および(a3)に対して
(a1)1〜30質量%、有利に2〜20質量%、殊に5〜15質量%、
(a2)0.1〜25質量%、有利に1〜15質量%、殊に2〜10質量%および
(a3)45〜98.9質量%、有利に65〜97質量%、殊に75〜93質量%の量で使用される。
【0070】
モノマー(a1)および(a2)ならびに場合によっては(a3)は、少なくとも1つのラジカル開始剤の存在で互いに反応され、コポリマー(A)に変わる。使用可能な開始剤のための例としては、次のものが挙げられる:ジアルキルペルオキシド、例えばジ−第三ブチルペルオキシドまたはジクミルペルオキシド;ヒドロペルオキシド、例えばクメンヒドロペルオキシドまたは第三ブチルヒドロペルオキシド;ペルエステル、例えば第三ブチルペルベンゾエート、第三ブチルペルピバレート、第三ブチルペル−3,5,5−トリメチル−ヘキサノエートまたは第三ブチルペル−2−エチルヘキサノエート;カリウム−、ナトリウム−またはアンモニウムペルオキソジスルフェート;アゾジニトリル、例えばアゾビスイソブチロニトリル;C−C分解性開始剤、例えばベンゾピナコールシリルエーテル;または非酸化性開始剤と過酸化水素との組合せ物。
【0071】
有利には、比較的多量のラジカル開始剤が添加され、この場合、反応混合物中の開始剤の含量は、モノマー(a1)および(a2)ならびに場合によっては(a3)と開始剤との全量に対してそれぞれ、有利に0.5〜50質量%、特に有利に1〜20質量%、殊に2〜15質量%である。
【0072】
特に、開始剤とモノマー(a2)との質量比は、4:1〜1:4、特に有利に3:1〜1:3、殊に2:1〜1:2である。更に、利点は、開始剤が記載された範囲内で過剰量で使用される場合に生じる。
【0073】
特に、ランダム共重合は、通常の公知の装置内、殊に攪拌釜、管状反応器またはテイラー反応器(Taylorreaktoren)内で実施され、この場合このテイラー反応器は、反応媒体の動的粘度が共重合のために強く変動する、殊に上昇する場合であっても、反応器の全長に亘ってテイラー流(Taylorstroemung)の条件が満たされているように設計される。
【0074】
共重合は、水性媒体中で実施される。
【0075】
水性媒体は、本質的に水を含有する。この場合、水性媒体は、有機溶剤および/または他の溶解された固体、液状またはガス状の有機および/または無機の低分子量および/または高分子量の物質が共重合に不利に影響を及ぼさないかまたは共重合を全く阻止しない限り、前記の有機溶剤および/または他の溶解された固体、液状またはガス状の有機および/または無機の低分子量および/または高分子量の物質を二次的量で含有することができる。本発明の範囲内で、「二次的量」の概念は、水性媒体の水性特性を相殺しない量である。しかし、水性媒体は、純粋な水であってもよい。
【0076】
特に、共重合は、少なくとも1つの塩基の存在で実施される。特に好ましいのは、低分子量塩基、例えば苛性ソーダ液、苛性カリ液、アンモニア、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノ−、ジ−およびトリエチルアミン、および/またはジメチルエタノールアミン、殊にアンモニアおよび/またはジ−および/またはトリエタノールアミンである。
【0077】
共重合は、有利に室温を上廻る温度およびそれぞれ使用されるモノマー(a1)および(a2)ならびに場合によっては(a3)の最も低い分解温度を下廻る温度で実施され、この場合には、有利に10〜150℃、特に有利に70〜120℃、殊に80〜110℃の温度範囲が選択される。
【0078】
特に易揮発性のモノマー(a1)および(a2)ならびに場合によっては(a3)を使用する場合には、共重合は、圧力下、特に1.5〜3000バール、有利に5〜1500バール、殊に10〜1000バールで実施されてよい。
【0079】
数平均分子量Mnおよび質量平均分子量Mwならびに分子量分布Mw/Mnに関連して、本発明によるコポリマー(A)は、全く制限を受けない。
【0080】
しかし、好ましくは、共重合は、標準としてのポリスチレンを使用しながらゲル浸透クロマトグラフィーで測定した分子量分布Mw/Mnが4以下、特に有利に2以下、殊に1.5以下ならびに詳細な場合には1.3以下を生じるように実施される。
【0081】
コポリマー(A)の分子量MnおよびMwは、モノマー(a1)および(a2)ならびに場合によっては(a3)とラジカル開始剤との比を選択することによって幅広い範囲内で制御可能である。この場合、殊にモノマー(a2)の含量は、実際にモノマー(a2)の含量が大きければ大きいほど、得られる分子量はますます少なくなるように分子量を定める。
【0082】
特に、数平均分子量Mnは、1000〜100000ダルトン、有利に1500〜50000ダルトン、殊に2000〜25000ダルトンである。
【0083】
本発明による方法の場合、本発明によるコポリマー(A)は、微細な分散液の形で生じ、この分散液は、以下、「本発明による分散液(A)」と呼称される。本発明による分散液(A)の粒径は、幅広く変動しうる。特に、前記分散液の光子相関分光分析またはレーザー回折によって測定された粒径d50は、1nm〜500μmである。
【0084】
本発明による分散液(A)それ自体は、本発明による使用に供給されてよい。しかし、本発明によるコポリマー(A)は、本発明による分散液(A)から通常の公知方法、例えば凍結乾燥法により単離されてよく、液状または固体の樹脂(A)の形で使用されてよい。どのような形で本発明によるコポリマー(A)が本発明による方法で使用されるのかは、個々の場合の要件に左右される。
【0085】
本発明によるコポリマー(A)および本発明による分散液(A)は、有利に、コポリマーおよび分散液にとって通常でありかつ公知である全ての使用目的に供給されてよい。
【0086】
しかし、特に、本発明によるコポリマー(A)および本発明による分散液(A)は、殊にナノ粒子の分散液の製造の際に、ナノ粒子のための結晶抑制剤および/または分散剤として使用される。
【0087】
ナノ粒子としては、通常の公知の全てのナノ粒子を使用することができる。
【0088】
特に、ナノ粒子は、金属、金属化合物および有機化合物、殊に金属化合物からなる群から選択される。
【0089】
特に、金属は、ルテニウム、オスミウム、コバルト、ロジウム、イリジウム、ニッケル、パラジウム、白金、銀および金からなる群から選択される。
【0090】
特に、金属化合物は、元素の周期律表の第2主族〜第5主族、第3副族〜第6副族ならびに第1副族および第2副族の金属の化合物からの金属化合物、有利にバリウム、硼素、アルミニウム、ガリウム、ケイ素、ゲルマニウム、錫、砒素、アンチモン、銀、亜鉛、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、モリブデン、タングステンおよびセリウムからなる群からの金属化合物が選択される。殊に、バリウムが使用される。
【0091】
特に、金属化合物は、酸化物、酸化物水和物、スルフェート、水酸化物またはホスフェート、殊にスルフェートである。
【0092】
適当な有機化合物の例は、リグニンおよび澱粉である。
【0093】
殊に、硫酸バリウムナノ粒子が使用される。
【0094】
特に、ナノ粒子は、光散乱法および/またはレーザー回折法で測定された、50nm未満、有利に5〜50nm、殊に10〜30nmの一次粒径を有する。
【0095】
特に有利には、本発明によるコポリマー(A)およびその分散液(A)は、例えばドイツ連邦共和国特許出願公開第10 2004 010201号明細書A1、第6頁、段落[0043]〜第7頁、段落[0050]の記載と同様に、バリウムイオンを硫酸イオンで沈殿させることによる解凝集された硫酸バリウムのナノ粒子の製造の際に結晶抑制剤および分散剤として使用される。「解凝集された」は、平均二次粒径が平均一次粒径より最大で30%大きいことを意味する。
【0096】
硫酸バリウムナノ粒子の本発明による分散液は、分散液に対して20質量%までの硫酸バリウムナノ粒子の特に高い含量を有する。
【0097】
本発明による解凝集された硫酸バリウムナノ粒子は、その本発明による分散液から、例えば凍結乾燥によって単離されることができ、さらに使用されるまで問題なしに貯蔵されかつ運搬されることができる。この場合、本発明による解凝集された硫酸バリウムナノ粒子が、本発明によるコポリマー(A)に対する当該硫酸バリウムナノ粒子の含量のために、特に簡単に水中および/または有機溶剤中に再分散されうることは、特に有利であることが証明された。
【0098】
特に、解凝集された本発明による硫酸バリウムナノ粒子と本発明によるコポリマー(A)とからなる混合物のナノ粒子の含量は、それぞれ当該混合物に対して、10〜90質量%、有利に15〜85質量%、殊に20〜80質量%であり、当該コポリマー(A)の含量は、それぞれ当該混合物に対して、90〜10質量%、有利に85〜15質量%、殊に80〜20質量%である。
【0099】
特に、本発明によるコポリマー(A)を含有する前記の本発明によるナノ粒子は、本発明により物理的、熱的、化学線で硬化可能な材料および熱的および化学線で硬化可能な材料の製造のために、当該ナノ粒子の分散液の形でまたは単離されたナノ粒子として使用される。
【0100】
本発明の範囲内で化学線は、電磁線、例えば近赤外線(NIR)、可視光線、UV線、X線またはγ線、殊にUV線、および粒子線、例えば電子線、β線、α線、陽子線または中性子線、殊に電子線である。
【0101】
本発明により硬化可能な材料は、熱可塑性材料および熱硬化性材料の製造に特に好適である。
【0102】
特に、本発明により硬化可能な材料は、コーティング材料、接着剤、シール材料としてならびに本発明によるコーティング、接着剤層、シール、成形品およびシートを製造するための成形品およびシートのための前駆体として使用される。
【0103】
殊に、本発明による熱可塑性材料および熱硬化性材料、殊に熱硬化性材料は、コーティング、成形品およびシートである。
【0104】
特に、本発明によるコーティングは、高度に耐引掻性の塗膜、顔料添加された塗膜および顔料添加されていない塗膜、有利に透明の、殊に澄明なクリアコート、殊に光学的成形品および自立シートである。
【0105】
特に有利には、本発明による塗膜は、高度に耐引掻性のクリアコートならびに通常の公知の支持体上の色付与性および/または効果付与性の多層塗膜の範囲内の高度に耐引掻性のクリアコートである(これ関しては、WO 03/016411、第41頁、第6行〜第43頁、第6行、および同第44頁、第6行〜第45頁、第6行参照)。
【0106】
本発明による硬化可能な材料からの本発明による熱可塑性材料および熱硬化性材料の製造は、方法的特殊性を有さずに、それぞれ本発明による熱可塑性材料および熱硬化性材料にとって典型的な通常の公知の方法および装置を用いて実施される。
【0107】
殊に、本発明によるコーティング材料は、WO 03/016411、第37頁、第4〜24行に記載された、通常の公知の方法および装置を用いて支持体上に適用される。
【0108】
本発明による硬化可能な材料の硬化は、WO 03/016411、第38頁、第1行〜第41頁、第4行の記載と同様に実施されることができる。
【0109】
本発明による硬化可能な材料は、本発明による熱可塑性材料および熱硬化性材料、殊に熱硬化性材料、殊に高度に耐引掻性および耐化学薬品性である、塗膜、特殊なクリアコート、成形品、特殊な光学的成形品および自立シートを提供する。殊に、本発明による塗膜、特にクリアコートは、応力の亀裂を起こすことなしに、40μmを上廻る層厚で製造されてもよい。
【0110】
従って、本発明による熱可塑性材料および熱硬化性材料、殊に熱硬化性材料は、全ての種類の移動手段(殊に、筋力で駆動する移動手段、例えば自転車、馬車または足けり式自転車;エンジンで駆動する移動手段、例えば飛行装置、殊に航空機、ヘリコプターまたは飛行船;浮上体、例えば船舶またはブイ;軌道を走る乗り物、例えば機関車、気動車および鉄道車両;ならびに自動車、例えばオートバイ、バス、トラックまたは乗用車)の車体またはその部材;インドアおよびアウトドアの領域内の建物;家具、窓およびドア;特にポリカーボネートからなるプラスチック成形品、殊にCDおよび窓、特に自動車の範囲内の窓;工業用小型部材;コイル、コンテナおよび包装品;白色製品;シート;工学的構造部材、電気工学的構造部材および機械的構造部材ならびにガラス中空体および日用品の対象の高度に耐引掻性の塗膜、装飾的塗膜、保護性塗膜および/または効果付与性塗膜として卓越して好適である。
【0111】
殊に、本発明による塗膜、殊にクリアコートは、自動車量産塗膜(OEM)の工業的および審美的に特に要求の多い分野で使用されてよい。この場合、本発明による塗膜は、なかんずく特に高い耐道路洗浄性(Waschstrassenbestaendigkeit)および耐引掻き性、殊に耐乾燥引掻き性(Trockenkratzfestigkeit)を示す。
【0112】
実施例
コポリマー(A)の製造
5リットルの容積の鋼製反応器中に脱イオン水1716.9gを装入し、90℃に加熱した。引続き、この温度で3つの同時に開始された、別々の供給量を均一に4時間(供給量1)で、3.75時間(供給量2)および4.5時間(供給量3)で攪拌しながら供給した。
【0113】
供給量1は、アクリル酸47.7g、2−(アセトアセトキシ)エチルメタクリレート75.3g(Lonza社のLonzamon(登録商標)AAEMA)、メチルメタクリレート199.5g、2−エチルヘキシルメタクリレート267.3g、スチレン113gおよびジフェニルエチレン50.1gから構成されていた。
【0114】
供給量2は、25%のアンモニア溶液46.4gおよび脱イオン水232.2gから構成されていた。
【0115】
供給量3は、水176g中のアンモニウムペルオキソジスルフェート75.5gの溶液であった。
【0116】
供給の終結(供給量3の終結)後、3時間の後重合は、90℃で終結した。4.7のpH値および27質量%のコポリマー(A)の帯黄白色の分散液が生じた(60分間/130℃)。
【0117】
コポリマー(A)の分散液は、解凝集された硫酸バリウムナノ粒子の製造のために結晶抑制剤および分散剤として卓越して好適であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水性媒体中で、
(a1)少なくとも1個のキレート形成基を含有する、少なくとも1つのオレフィン系不飽和モノマーおよび
(a2)
(a21)一般式I
12C=CR34 (I)
〔式中、基R1、R2、R3およびR4はそれぞれ互いに無関係に、水素原子または置換または非置換のアルキル基、シクロアルキル基、アルキルシクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、シクロアルキルアリール基、アリールアルキル基またはアリールシクロアルキル基を表わすが、但し、置換基R1、R2、R3およびR4の少なくとも2つは、置換または非置換のアリール基、アリールアルキル基またはアリールシクロアルキル基、殊に置換または非置換のアリール基を表わす〕で示されるモノマー、
(a22)オレフィン系不飽和テルペン炭化水素;および
(a23)二量体のα−アルキルビニル芳香族化合物からなる群から選択された、オレフィン系不飽和モノマー(a1)とは異なる少なくとも1つのオレフィン系不飽和モノマーを一工程または多工程で制御してラジカル共重合することによって製造されたオレフィン系不飽和モノマー(a)のコポリマー(A)。
【請求項2】
モノマー(a1)の少なくとも1つのキレート形成基が少なくとも2座である、請求項1記載のコポリマー(A)。
【請求項3】
モノマー(a1)の少なくとも1個のキレート形成基が電子供与体として作用する少なくとも2個の原子団を含有する、請求項1または2記載のコポリマー(A)。
【請求項4】
原子団が、カルボニル基(>C=O)、チオカルボニル基(>C=S)、エーテル基(−CH2−O−CH2−)、チオエーテル基(−CH2−S−CH2−)、Rが水素原子または1〜6個の炭素原子を有するアルキル基である第1級、第2級および第3級のアミノ基(>C−NR52)、R5が水素原子または1〜6個の炭素原子を有するアルキル基である第1級および第2級のイミノ基(>C=NR5)、オキシム基(>C=N−O−H)、R6が1〜10個の炭素原子を有するアルキル基または4〜10個の炭素原子を有するシクロアルキル基であるイミノエーテル基(>C=N−O−R6)、ならびにR7が水素原子または1〜6個の炭素原子を有するアルキル基、4〜10個の炭素原子を有するシクロアルキル基または6〜10個の炭素原子を有するアリール基である第1級、第2級および第3級のホスフィン基(−PR72)の群から選択されている、請求項3記載のコポリマー(A)。
【請求項5】
原子団が、カルボニル基(>C=O)である、請求項4記載のコポリマー(A)。
【請求項6】
キレート形成基が1,3−ジカルボニル基である、請求項5記載のコポリマー(A)。
【請求項7】
モノマー(a1)のオレフィン系不飽和基が、(メタ)アクリレート基、エタクリレート基、クロトネート基、シンナメート基、ビニルエーテル基、ビニルエステル基、ジシクロペンタジエニル基、ノルボルネニル基、イソプレニル基、イソプロペニル基、アリル基またはブテニル基;ジシクロペンタジエニルエーテル基、ノルボルネニルエーテル基、イソプレニルエーテル基、イソプロペニルエーテル基、アリルエーテル基またはブテニルエーテル基またはジシクロペンタジエニルエステル基、ノルボルネニルエステル基、イソプレニルエステル基、イソプロペニルエステル基、アリルエステル基またはブテニルエステル基からなる群から選択されている、請求項1から6までのいずれか1項に記載のコポリマー(A)。
【請求項8】
オレフィン系不飽和基が、(メタ)アクリレート基である、請求項7記載のコポリマー(A)。
【請求項9】
モノマー(a1)において、単数のキレート形成基または複数のキレート形成基が、単数のオレフィン系不飽和基または複数のオレフィン系不飽和基と、少なくとも1個の共有結合または少なくとも2価の結合基により結合されている、請求項7または8記載のコポリマー(A)。
【請求項10】
モノマー(a1)において、キレート形成基が、オレフィン系不飽和基と2価の結合基により結合されている、請求項7から9までのいずれか1項に記載のコポリマー(A)。
【請求項11】
2価の結合基がアルキレン基である、請求項9または10記載のコポリマー(A)。
【請求項12】
モノマー(a21)のアリール基R1、R2、R3および/またはR4がフェニル基またはナフチル基である、請求項1から11までのいずれか1項に記載のコポリマー(A)。
【請求項13】
モノマー(a21)のアリール基R1、R2、R3および/またはR4がフェニル基である、請求項1から12までのいずれか1項に記載のコポリマー(A)。
【請求項14】
モノマー(a21)の基R1、R2、R3および/またはR4中の置換基が電子求引性または電子移動性の原子、または有機基からなる群から選択されている、請求項1から13までのいずれか1項に記載のコポリマー(A)。
【請求項15】
置換基が、ハロゲン原子、ニトリル基、ニトロ基、部分的または完全にハロゲン化された、アルキル基、シクロアルキル基、アルキルシクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、シクロアルキルアリール基、アリールアルキル基およびアリールシクロアルキル基;アリールオキシ基、アルキルオキシ基およびシクロアルキルオキシ基;アリールチオ基、アルキルチオ基およびシクロアルキルチオ基ならびに第1アミノ基、第2アミノ基および/または第3アミノ基からなる群から選択されている、請求項14記載のコポリマー(A)。
【請求項16】
テルペン炭化水素(a22)が、非環式ジテルペネン、単環式テルペネン、二環式テルペネン、非環式セスキテルペネン、単環式セスキテルペネン、二環式セスキテルペネン、三環式セスキテルペネン、非環式ジテルペネン、単環式ジテルペネンおよび三環式ジテルペネンからなる群から選択されている、請求項1から15までのいずれか1項に記載のコポリマー(A)。
【請求項17】
テルペン炭化水素(a22)が、非環式モノテルペネン、単環式テルペネンおよび二環式テルペネンからなる群から選択されている、請求項1から16までのいずれか1項に記載のコポリマー(A)。
【請求項18】
テルペン炭化水素(a22)が、オシメン、ミルセン、メンテン、メンタジエン、α−ピネンおよびβ−ピネンからなる群から選択されている、請求項1から17までのいずれか1項に記載のコポリマー(A)。
【請求項19】
メンタジエン(a22)が、α−テルピネン、βーテルピネン、γ−テルピネン、テルピノール、α−フェランドレン、βーフェランドレン、リモネンおよびジペンテンからなる群から選択されている、請求項18記載のコポリマー(A)。
【請求項20】
γ−テルピネン(a22)が選択されている、請求項19記載のコポリマー(A)。
【請求項21】
二量体のα−アルキルビニル芳香族化合物(a23)が二量体のα−アルキルスチレンである、請求項1から20までのいずれか1項に記載のコポリマー(A)。
【請求項22】
二量体のα−アルキルスチレン(a23)として二量体のα−メチルスチレンが使用されている、請求項21記載のコポリマー(A)。
【請求項23】
オレフィン系不飽和モノマー(a1)および(a2)がこれとは異なるオレフィン系不飽和モノマー(a3)の少なくとも1つと共重合されている、請求項1から22までのいずれか1項に記載のコポリマー(A)。
【請求項24】
請求項1から23までのいずれか1項に記載のコポリマー(A)の製造法において、
少なくとも、
(a1)少なくとも1個のキレート形成基を含有する、少なくとも1つのオレフィン系不飽和モノマーを、
(a2)
(a21)一般式I
12C=CR34 (I)
〔式中、基R1、R2、R3およびR4はそれぞれ互いに無関係に、水素原子または置換または非置換のアルキル基、シクロアルキル基、アルキルシクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、シクロアルキルアリール基、アリールアルキル基またはアリールシクロアルキル基を表わすが、但し、置換基R1、R2、R3およびR4の少なくとも2つは、置換または非置換のアリール基、アリールアルキル基またはアリールシクロアルキル基、殊に置換または非置換のアリール基を表わす〕で示されるモノマー、
(a22)オレフィン系不飽和テルペン炭化水素;および
(a23)二量体のα−アルキルビニル芳香族化合物からなる群から選択された、オレフィン系不飽和モノマー(a1)とは異なる少なくとも1つのオレフィン系不飽和モノマーを水性媒体中で制御してラジカル共重合させることを特徴とする、請求項1から23までのいずれか1項に記載のコポリマー(A)の製造法。
【請求項25】
ナノ粒子のための結晶抑制剤および/または分散剤としての請求項1から23までのいずれか1項に記載のコポリマー(A)および請求項24記載の方法により製造されたコポリマー(A)の使用。
【請求項26】
ナノ粒子が硫酸バリウムナノ粒子である、請求項25記載の使用。
【請求項27】
硫酸バリウムナノ粒子が解凝集される、請求項26記載の使用。
【請求項28】
解凝集された硫酸バリウムナノ粒子が50nm未満の一次粒径を有する、請求項27記載の使用。
【請求項29】
ナノ粒子は、物理的、熱的、化学線で、および熱的と化学線とで硬化可能な材料の製造に使用される、請求項25から29までのいずれか1項記載の使用。
【請求項30】
硬化可能な材料が熱可塑性材料および熱硬化性材料の製造に使用される、請求項29記載の使用。
【請求項31】
硬化可能な材料は、コーティング材料、接着剤およびシール材料ならびに成形体およびシートの前駆物質である、請求項29記載の使用。
【請求項32】
熱可塑性材料および熱硬化性材料が、コーティング、接着層、シール、成形品またはシートである、請求項30記載の使用。

【公表番号】特表2009−531479(P2009−531479A)
【公表日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−501871(P2009−501871)
【出願日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際出願番号】PCT/EP2007/000612
【国際公開番号】WO2007/110116
【国際公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【出願人】(390008981)ビーエーエスエフ コーティングス アクチェンゲゼルシャフト (155)
【氏名又は名称原語表記】BASF Coatings AG
【住所又は居所原語表記】Glasuritstrasse 1, D−48165 Muenster,Germany
【Fターム(参考)】