説明

オレフィン系樹脂組成物で形成された発泡体及びその製造方法

【課題】剛性などの機械的特性を維持しつつ、金型に対する転写性又は離型性などの特性が改善された樹脂組成物で形成された発泡体を提供する。
【解決手段】鎖状オレフィン系樹脂と環状オレフィン系樹脂とで構成された樹脂組成物で発泡体を形成する。前記鎖状オレフィン系樹脂は、ポリエチレン系樹脂とポリプロピレン系樹脂とのポリマーアロイで構成されている。前記ポリエチレン系樹脂のエチレン含有量は、ポリエチレン系樹脂全体に対して、80モル%以上である。前記環状オレフィン系樹脂の割合は、前記鎖状オレフィン系樹脂100重量部に対して5〜18重量部である。前記発泡体の発泡倍率は1.2〜40倍であり、独立気泡率は85〜98%であり、かつ発泡セルの隔膜の平均厚みが5〜50μmである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オレフィン系樹脂組成物で形成された発泡体、及びこの発泡体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
オレフィン系樹脂発泡体は、柔軟性などに優れる特性を有しており、種々の分野において広く検討されている。
【0003】
例えば、特開平2005−272542号公報(特許文献1)には、ポリプロピレン系樹脂(a)とポリエチレン系樹脂(b)と軟質オレフィン系樹脂(c)とで構成される発泡用無架橋ポリオレフィン系樹脂組成物が開示されている。しかし、この文献の樹脂組成物では、剛性、金型に対する転写性又は離型性などを向上させることが困難である。
【0004】
また、剛性を改善するために、様々な試みがなされている。例えば、特開平2001−11229号公報(特許文献2)には、(a)230℃におけるメルトテンションが5g以上であるポリプロピレン系樹脂50〜95重量部と(b)環状オレフィン系樹脂50〜5重量部との混合樹脂を基材樹脂とする耐熱発泡シートが開示されている。しかし、この文献では、ポリプロピレン系樹脂としてプロピレンの単独重合体、ブロック共重合体及びランダム共重合体を用いるため、金型に対する転写性、離型性などが不十分である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平2005−272542号公報(請求項1)
【特許文献2】特開平2001−11229号公報(請求項1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明の目的は、剛性などの機械的特性を維持しつつ、金型に対する転写性又は離型性などの特性が改善された樹脂組成物で形成された発泡体及びこの発泡体の製造方法を提供することにある。
【0007】
本発明の他の目的は、外観特性に優れた発泡体及びこの発泡体の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、ポリエチレン系樹脂とポリプロピレン系樹脂とのポリマーアロイと、環状オレフィン系樹脂とで樹脂組成物を構成すると、高い剛性を維持しつつ、金型に対する転写性又は離型性などの特性を向上でき、有用な発泡体が得られることを見いだし、本発明を完成した。
【0009】
すなわち、本発明の発泡体は、鎖状オレフィン系樹脂と環状オレフィン系樹脂とで構成された樹脂組成物で形成された発泡体であって、前記鎖状オレフィン系樹脂が、ポリエチレン系樹脂とポリプロピレン系樹脂とのポリマーアロイで構成され、前記ポリエチレン系樹脂のエチレン含有量が、ポリエチレン系樹脂全体に対して、80モル%以上であり、前記環状オレフィン系樹脂の割合が、前記鎖状オレフィン系樹脂100重量部に対して5〜18重量部であり、発泡倍率が1.2〜40倍であり、独立気泡率が85〜98%であり、かつ発泡セルの隔膜の平均厚みが5〜50μmである。前記ポリエチレン系樹脂と前記ポリプロピレン系樹脂との重量割合は、前者/後者=20/80〜30/70程度であってもよい。前記環状オレフィン系樹脂の割合は、前記鎖状オレフィン系樹脂100重量部に対して5〜15重量部程度であってもよい。前記発泡倍率は1.2〜2倍程度であってもよい。前記発泡体は、シート状であってもよい。
【0010】
さらに本発明には、前記樹脂組成物を発泡成形して、前記発泡体を製造する方法も含まれる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の発泡体は、ポリエチレン系樹脂とポリプロピレン系樹脂とのポリマーアロイと、環状オレフィン系樹脂とで樹脂組成物で形成されているため、高い剛性を維持しつつ、金型に対する転写性又は離型性などの特性を向上できる。さらに、鎖状オレフィン系樹脂と、環状オレフィンを特定の割合で含む環状オレフィン系共重合体とで構成された樹脂組成物は、外観特性に優れた発泡体を形成できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、実施例3で得られた発泡体の表面を斜めから観察した200倍の顕微鏡写真である。
【図2】図2は、実施例3で得られた発泡体の表面における200倍の顕微鏡写真である。
【図3】図3は、実施例3で得られた発泡体の裏面における200倍の顕微鏡写真である。
【図4】図4は、成形体の表面における50倍の顕微鏡写真である。図中、左側は、実施例2で得られた成形体、右側は、比較例1で得られた成形体である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の樹脂組成物は、鎖状オレフィン系樹脂と環状オレフィン系樹脂とで構成されている。前記鎖状オレフィン系樹脂は、ポリエチレン系樹脂とポリプロピレン系樹脂とのポリマーアロイで構成されている。
【0014】
[鎖状オレフィン系樹脂]
(ポリエチレン系樹脂)
ポリエチレン系樹脂としては、エチレンの単独又は共重合体が挙げられる。エチレンの単独重合体としては、ポリエチレン[低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン(HDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)など]などが挙げられる。前記エチレンの単独重合体は、単独で又は組み合わせて使用してもよい。
【0015】
前記ポリエチレン系樹脂は、エチレンと共重合可能なモノマーとの共重合体であってもよい。前記共重合可能なモノマーとしては、鎖状オレフィン(1−プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセンなどのC3−20α−直鎖状オレフィン;3−メチル−1−ブテン、2−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、4−エチル−1−ヘキセン、3−エチル−1−ヘキセンなどのC3−20α−分岐鎖状オレフィンなど);アルカジエン(1,4−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエンなどの非共役アルカジエン、ブタジエン、イソプレンなどの共役アルカジエンなど);エチレン系不飽和カルボン酸及びその酸無水物[(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、メサコン酸、アンゲリカ酸など];(メタ)アクリル酸エステル[(メタ)アクリル酸アルキルエステル、グリシジル(メタ)アクリレートなど];カルボン酸ビニルエステル(酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどの飽和カルボン酸ビニルエステルなど)などが挙げられる。これらの共重合可能なモノマーは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。前記共重合可能なモノマーのうち、1−プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセンなどのC3−10α−直鎖状オレフィンなどが好ましい。
【0016】
前記ポリエチレン系樹脂のエチレン含有量は、ポリエチレン系樹脂全体に対して、80モル%以上(例えば、80〜100モル%)、好ましくは85モル%以上(例えば、85〜99モル%)、さらに好ましくは90モル%以上(例えば、90〜98モル%程度)であるのが好ましい。
【0017】
これらのポリエチレン系樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。ポリエチレン系樹脂のうち、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレンなどのエチレンの単独重合体などが好ましい。
【0018】
また、エチレンの共重合体は、グラフト共重合体であってもよいが、通常、ランダム共重合体又は交互共重合体である。
【0019】
ポリエチレン系樹脂の数平均分子量は、10,000〜300,000、好ましくは15,000〜200,000、さらに好ましくは20,000〜100,000程度であってもよい。なお、ポリエチレン系樹脂の数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC法)により測定できる。前記ポリエチレン系樹脂の数平均分子量は、GPC法において、測定温度140℃で、溶媒としてオルトジクロロベンゼン、及びカラム(Shodex GPC AD−806MS)を用いて、ポリスチレンを基準とするユニバーサルキャリブレーションにより測定した値である。
【0020】
前記ポリエチレン系樹脂の融点又は軟化点は、80〜150℃、好ましくは90〜140℃、さらに好ましくは100〜130℃程度であってもよい。
【0021】
また、温度190℃、荷重21.18Nの条件下、ポリエチレン系樹脂のメルトフローレートは、例えば、0.2〜5g/10分、好ましくは0.25〜4.5g/10分、さらに好ましくは0.3〜4g/10分程度であってもよい。
【0022】
(ポリプロピレン系樹脂)
ポリプロピレン系樹脂としては、プロピレンの単独又は共重合体が含まれる。プロピレンの単独重合体としては、ポリプロピレンが挙げられる。前記ポリプロピレンの立体構造は、アイソタクチック、シンジオタクチック、アタクチック構造のいずれであってもよい。また、前記ポリプロピレンは、結晶性ポリプロピレンであってもよい。
【0023】
前記ポリプロピレン系樹脂は、プロピレンと共重合可能なモノマーとの共重合体であってもよい。共重合可能なモノマーとしては、プロピレン以外の前記ポリエチレン系樹脂の項で例示のモノマー[鎖状オレフィン(エチレン、1−ブテン、1−ペンテンなどのα−直鎖状オレフィン);エチレン系不飽和カルボン酸及びその酸無水物など((メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸など)など]などが挙げられる。これらの共重合可能なモノマーは、単独で又は二種以上組合せて使用してもよい。
【0024】
前記ポリプロピレン系樹脂のプロピレン含有量は、ポリプロピレン系樹脂全体に対して、80モル%以上(例えば、80〜100モル%)、好ましくは85モル%以上(例えば、85〜99モル%)、さらに好ましくは90モル%以上(例えば、90〜98モル%程度)であるのが好ましい。
【0025】
また、プロピレンの共重合体は、グラフト共重合体であってもよいが、通常、ランダム共重合体又は交互共重合体である。
【0026】
好ましいポリプロピレン系樹脂には、ポリプロピレン、プロピレンと共重合可能なモノマーとの共重合体(プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−(メタ)アクリル酸共重合体などの二元共重合体;プロピレン−エチレン−ブテン−1などの三元共重合体)などが含まれる。これらのポリプロピレン系樹脂のうち、特に、ポリプロピレンなどのプロピレンの単独重合体などが好ましい。ポリプロピレン系樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0027】
ポリプロピレン系樹脂の数平均分子量は、10,000〜500,000、好ましくは15,000〜300,000、さらに好ましくは20,000〜100,000程度であってもよい。なお、ポリプロピレン系樹脂の数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC法)により測定できる。前記ポリプロピレン系樹脂の数平均分子量は、前記ポリエチレン系樹脂の数平均分子量の測定方法と同じ条件で測定した値である。
【0028】
ポリプロピレン系樹脂の融点又は軟化点は、120〜180℃、好ましくは130〜175℃、さらに好ましくは140〜170℃程度であってもよい。
【0029】
また、温度230℃、荷重21.18Nの条件下、ポリプロピレン系樹脂のメルトフローレートは、例えば、0.3〜5g/10分、好ましくは0.35〜4.5g/10分、さらに好ましくは0.4〜4g/10分程度であってもよい。
【0030】
前記ポリエチレン系樹脂と前記ポリプロピレン系樹脂とのポリマーアロイを用いると、高い剛性を維持しつつ、独立気泡構造を有する発泡体を形成できる。
【0031】
前記ポリエチレン系樹脂と前記ポリプロピレン系樹脂との割合(重量比)は、5/95〜50/50、好ましくは10/90〜45/55、さらに好ましくは15/85〜40/60(特に、20/80〜30/70)程度であってもよい。
【0032】
前記ポリエチレン系樹脂と前記ポリプロピレン系樹脂とのポリマーアロイにおいて、相溶性を高めるために、相溶化剤を用いてもよい。前記相溶化剤としては、ソフトセグメント(エチレン、ブテンなど)とハードセグメント(プロピレンなど)とのブロック共重合体(エチレン−プロピレンブロック共重合体、ブテン−プロピレンブロック共重合体など)などが挙げられる。
【0033】
ブロック共重合体の構造としては、リニア(直鎖状)型(AB型、ABA型など)、星型(ラジアルテレブロック型など)、テーパー型などが挙げられる。これらのブロック共重合体の構造のうち、リニア型などが好ましい。また、ブロック共重合体としては、ジブロック、トリブロック、テトラブロック共重合体などが例示できる。
【0034】
ブロック共重合体において、ソフトセグメントとハードセグメントとの割合(重量比)は、前者/後者=20/80〜80/20、好ましくは30/70〜70/30、さらに好ましくは40/60〜60/40程度であってもよい。
【0035】
相溶化剤の割合(重量比)は、鎖状オレフィン系樹脂(前記ポリエチレン系樹脂と前記ポリプロピレン系樹脂との合計量)100重量部に対して、0〜30重量部、好ましくは0.1〜20重量部、さらに好ましくは0.5〜10重量部(例えば、1〜7重量部)程度であってもよい。
【0036】
[環状オレフィン系樹脂]
前記環状オレフィン系樹脂は、環内にエチレン性二重結合を有する重合性の環状オレフィンを少なくとも重合成分とする樹脂であればよい。環状オレフィンは、単環式オレフィンであってもよく、多環式オレフィンであってもよい。
【0037】
代表的な環状オレフィンとしては、例えば、ノルボルネン類、シクロペンタジエン類又はジシクロペンタジエン類、ノルボルネン類とシクロペンタジエンとの縮合により得られる1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン類、ヘキサシクロ[6.6.1.1.1.0.0]ヘプタデセン−4類、1−ブテンとシクロペンタジエンとから合成される6−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンなどの多環式オレフィンが例示できる。
【0038】
また、環状オレフィンは、置換基{例えば、炭化水素基[例えば、アルキル基(例えば、メチル基などのC1−10アルキル基、好ましくはC1−5アルキル基)、シクロアルキル基(例えば、シクロヘキシル基などのC5−10シクロアルキル基)、アリール基(例えば、フェニル基などのC6−10アリール基)、アルケニル基(例えば、プロペニル基などのC2−10アルケニル基など)、シクロアルケニル基(例えば、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基などのC5−10シクロアルケニル基など)、アルキリデン基(例えば、エチリデン基などのC2−10アルキリデン基、好ましくはC2−5アルキリデン基など)など]、アルコキシ基(例えば、メトキシ基などのC1−10アルコキシ基、好ましくはC1−6アルコキシ基)、アシル基(例えば、アセチル基などのC2−5アシル基など)、アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基などのC1−10アルコキシ−カルボニル基)、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、置換アミノ基、ハロゲン原子、ハロアルキル基、ニトロ基、シアノ基、オキソ基(=O)、複素環基(ピリジル基などの窒素原子含有複素環基など)など}を有していてもよい。環状オレフィンは、単独で又は二種以上組み合わせて置換基を有していてもよい。
【0039】
具体的な環状オレフィンとしては、単環式オレフィン[例えば、シクロアルケン(例えば、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘプテン、シクロオクテンなどのシクロC3−10アルケンなど)など、シクロアルカジエン(例えば、シクロペンタジエンなどのシクロC3−10アルカジエン)など];二環式オレフィン{例えば、ビシクロアルケン[例えば、ノルボルネン類(例えば、2−ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネン、5,5又は5,6−ジメチル−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−シアノ−2−ノルボルネン、5−メトキシカルボニル−2−ノルボルネン、5−フェニル−2−ノルボルネン、5−メチル−5−メトキシカルボニル−2−ノルボルネン、5,6−ジメトキシカルボニル−2−ノルボルネン、5,6−ジ(トリフルオロメチル)−2−ノルボルネン、7−オキソ−2−ノルボルネンなど)などのC4−20ビシクロアルケンなど]、ビシクロアルカジエン[例えば、ノルボルナジエン類(例えば、2,5−ノルボルナジエン、5−メチル−2,5−ノルボルナジエン、5−シアノ−2,5−ノルボルナジエン、5−メトキシカルボニル−2,5−ノルボルナジエン、5−フェニル−2,5−ノルボルナジエン、5,6−ジメチル−2,5−ノルボルナジエン、5,6−ジ(トリフルオロメチル)−2,5−ノルボルナジエン、7−オキソ−2−ノルボルナジエンなど)など]など}、三環式オレフィン{例えば、トリシクロアルケン[例えば、ジヒドロジシクロペンタジエン類(ジヒドロジシクロペンタジエンなど)などのC6−25トリシクロアルケンなど]、トリシクロアルカジエン[例えば、ジシクロペンタジエン類(ジシクロペンタジエン、メチルジシクロペンタジエンなど)、トリシクロ[4.4.0.12,5]ウンデカ−3,7−ジエン、トリシクロ[4.4.0.12,5]ウンデカ−3,8−ジエンなどのC6−25トリシクロアルカジエンなど]など}、四環以上の多環式オレフィン{例えば、四環式オレフィン[例えば、テトラシクロアルケン(例えば、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8,9−ジメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセンなどのC8−30テトラシクロアルケンなど)など]、五環式オレフィン[例えば、ペンタシクロアルカジエン(例えば、トリシクロペンタジエンなどのC10−35ペンタシクロアルカジエン)など]、六環式オレフィン[例えば、ヘキサシクロアルケン(例えば、ヘキサシクロ[6.6.1.13,6.02,7.09,14]−4−ヘプタデセンなどのC12−40ヘキサシクロアルケン)など]など}などが挙げられる。
【0040】
これらの環状オレフィンは単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの環状オレフィンのうち、多環式オレフィン(特に、ノルボルネン類などの二環式オレフィン)が好ましい。
【0041】
環状オレフィン系樹脂は、環状オレフィンの単独又は共重合体(例えば、単環式オレフィンと多環式オレフィンとの共重合体など)であってもよく、環状オレフィンと共重合可能なモノマーとの共重合体であってもよい。
【0042】
共重合可能なモノマーとしては、環状オレフィンと共重合可能な限り特に限定されず、前記鎖状オレフィン系樹脂の項で例示されたモノマーなどが挙げられる。これらの共重合可能なモノマーは、単独で又は二種以上組み合わせて使用してもよい。共重合可能なモノマーのうち、鎖状オレフィン(エチレンなどの直鎖状オレフィンなど)、エチレン系不飽和カルボン酸及びその酸無水物((メタ)アクリル酸など)などが好ましい。
【0043】
環状オレフィン系共重合体において環状オレフィン(特に、ノルボルネンなどの二環式オレフィン)の含有量は、環状オレフィン系樹脂全体に対して、40〜100モル%程度の範囲から選択でき、例えば、50〜80モル%、好ましくは55〜75モル%(例えば、60〜75モル%)、さらに好ましくは60〜70モル%程度であってもよい。このような割合で環状オレフィンを含む環状オレフィン系共重合体を用いると、外観特性に優れるとともに経済的である。
【0044】
好ましい環状オレフィン系樹脂としては、環状オレフィンと鎖状(直鎖状又は分岐鎖状)オレフィンとの共重合体、例えば、多環式オレフィン(二乃至六環式オレフィンなど)と鎖状オレフィンとの共重合体[二環式オレフィンと鎖状オレフィンとの共重合体(特に、ノルボルネン類とエチレンとの共重合体など)など]などが挙げられる。
【0045】
環状オレフィン系樹脂の数平均分子量は、例えば、5,000〜300,000、好ましくは10,000〜200,000、さらに好ましくは20,000〜150,000(特に、30,000〜120,000)程度であってもよい。
【0046】
前記環状オレフィン系樹脂のガラス転移温度は、60〜160℃(例えば、60〜120℃)、好ましくは65〜110℃、さらに好ましくは70〜100℃(特に、75〜90℃)程度であってもよい。
【0047】
環状オレフィン系樹脂は、付加重合により得られた樹脂であってもよく、開環重合(開環メタセシス重合など)により得られた樹脂であってもよい。また、環状オレフィン系樹脂(例えば、開環メタセシス重合により得られた樹脂など)は、水素添加された水添樹脂であってもよい。また、環状オレフィン系樹脂は、結晶性又は非晶性樹脂であってもよく、通常、非晶性樹脂であってもよい。なお、環状オレフィン系樹脂は、慣用の重合方法(例えば、チーグラー型触媒を用いた付加重合、メタロセン系触媒を用いた付加重合、メタセシス重合触媒を用いた開環メタセシス重合など)により調製してもよい。
【0048】
このような環状オレフィン系樹脂と、前記鎖状オレフィン(特に、前記ポリエチレン系樹脂と前記ポリプロピレン系樹脂とのポリマーアロイ)とを組み合わせると、高い独立気泡率を有し、発泡セルの隔膜が厚く、発泡セルのセル径が適度な大きさに形成された発泡体が得られ、金型を用いて成形体(二次成形体)を形成しても金型の形状(特に、金型に形成された文字など)が精度よく転写された成形体が得られる。
【0049】
環状オレフィン系樹脂の割合は、前記鎖状オレフィン系樹脂100重量部に対して、1〜20重量部、好ましくは3〜19重量部、さらに好ましくは5〜18重量部(例えば、5〜15重量部)程度であってもよい。このような割合であると、剛性などの機械的特性が向上した発泡体を得ることができる。
【0050】
前記樹脂組成物は、添加剤を含んでいてもよい。前記添加剤としては、安定剤[酸化防止剤(ヒンダードフェノール系酸化防止剤など)、帯電防止剤、紫外線吸収剤、耐熱安定剤、耐候安定剤など]、有機又は無機充填剤(粉粒状又は繊維状補強剤を含む)、滑剤、離型剤、潤滑剤、衝撃改良剤、着色剤(染料や顔料など)、可塑剤、表面平滑剤、収縮防止剤、難燃剤、抗菌剤、防腐剤、防カビ剤、防虫剤、消臭剤などが挙げられる。これらの添加剤のうち、表面平滑剤、収縮防止剤などを用いる場合が多い。
【0051】
前記表面平滑剤としては、フッ素含有樹脂[ポリビニルフルオライド(PVF)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などのフッ素含有単量体の単独重合体;フッ素含有単量体と、フッ素化されていてもよい他の共重合性単量体との共重合体(テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体(PETFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(PFEP)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、フッ素含有単量体と(メタ)アクリル系単量体との共重合体など)など]などが挙げられる。共重合体としては、ランダム共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体などが挙げられ、特に、グラフト共重合体が好ましい。また、前記フッ素含有樹脂は、少なくとも(メタ)アクリル系単量体の単位[(メタ)アクリル系単量体又は(メタ)アクリル系重合体]がグラフト重合して変性されたフッ素含有樹脂であってもよい。
【0052】
これらの表面平滑剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用してもよい。表面平滑剤のうち、(メタ)アクリル系単量体又は(メタ)アクリル系重合体がグラフト重合して変性されたフッ素含有樹脂((メタ)アクリル系変性PTFEなど)などを用いると、外観特性に優れた発泡体を得ることができる。
【0053】
前記収縮防止剤としては、界面活性剤、例えば、ノニオン性界面活性剤(ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンショ糖脂肪酸エステルなど)などが例示できる。これらの収縮防止剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用してもよい。これらの収縮防止剤のうち、グリセリン脂肪酸エステル(ステアリン酸モノグリセライドなどのグリセリンC6−24脂肪酸エステルなど)などが汎用される。
【0054】
これらの添加剤は単独で又は二種以上組み合わせてもよい。各添加剤の割合は、それぞれ、前記鎖状オレフィン系樹脂及び前記環状オレフィン系樹脂の合計量100重量部に対して、0.1〜30重量部、好ましくは0.15〜20重量部(例えば、0.2〜15重量部)、さらに好ましくは0.5〜10重量部程度であってもよい。
【0055】
[発泡体]
前記樹脂組成物は、剛性などの機械的特性、金型に対する転写性又は離型性などの特性が高いため、発泡体を形成するのに有用である。
【0056】
前記発泡体の気泡構造は、連続気泡構造であってもよく、独立気泡構造であってもよい。本発明では、ポリエチレン系樹脂とポリプロピレン系樹脂とのポリマーアロイを用いるため、独立気泡構造を好適に形成できる。
【0057】
前記発泡体の独立気泡率は、80%以上(例えば、80〜100%)、好ましくは83〜99%、さらに好ましくは85〜98%程度であってもよい。
【0058】
前記発泡体において、発泡セルの隔膜(又は隔壁)の平均厚みは、1〜50μm(例えば、5〜50μm)、好ましくは10〜40μm、さらに好ましくは15〜30μm程度、通常、5〜30μm程度であってもよい。このように前記発泡体は、発泡セルの隔膜の平均厚みが厚く、剛性などの機械的特性に優れている。
【0059】
なお、発泡セルの隔膜の平均厚みは、光学顕微鏡写真などを使用して実測する方法、以下の式を利用して測定する方法などにより測定できる。
【0060】
(ρf−ρg)/(ρs−ρg)={(d+t)−d}/(d+t)
[式中、ρfは発泡体密度(kg/m)、ρgは気体密度(kg/m)、ρsは樹脂密度(kg/m)、dはセル径(μm)、tは隔膜厚さ(μm)を示す。]
【0061】
また、前記発泡体の発泡倍率は、例えば、1.2〜60倍、好ましくは1.3〜50倍、さらに好ましくは1.5〜40倍程度であってもよい。
【0062】
前記発泡体の形状は特に制限されず、例えば、棒状、紐状などの一次元的形状、シート状、フィルム状、二次元網目(ネット)状などの二次元的形状、ブロック状、板状、三次元網目状、パイプ状などの三次元的形状であってもよい。シート状発泡体の平均厚みは、例えば、0.5〜5mm、好ましくは0.6〜3mm、さらに好ましくは0.8〜2mm(例えば、1〜1.8mm)程度であってもよい。
【0063】
前記発泡体(特に、シート状発泡体)は、金型に対する転写性又は離型性が高いため、簡便に二次成形品を形成できる。
【0064】
[発泡体の製造方法]
本発明の発泡体は、前記樹脂組成物を発泡成形して製造することができる。発泡体を製造する適当な工程において、必要により、発泡剤(又は発泡助剤)、発泡核剤などを用いてもよい。
【0065】
前記発泡剤としては、物理発泡に用いられる揮発性発泡剤や、化学発泡に用いられる分解性発泡剤などが挙げられる。揮発性発泡剤としては、例えば、不活性又は不燃性ガス(窒素、炭酸ガス、フロン、代替フロンなど)、水、有機系物理発泡剤[例えば、脂肪族炭化水素(プロパン、n−ブタン、イソブタン、ペンタン(n−ペンタン、イソペンタンなど)、ヘキサン(n−ヘキサンなど)など)、芳香族炭化水素(トルエンなど)、ハロゲン化炭化水素(三塩化フッ化メタンなど)、エーテル類(ジメチルエーテル、石油エーテルなど)、ケトン類(アセトンなど)など]が挙げられる。また、分解性発泡剤としては、例えば、重炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウムなどの無機炭酸塩又はその塩;クエン酸などの有機酸又はその塩(クエン酸ナトリウムなど);2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、アゾジカルボン酸アミドなどのアゾ化合物;ベンゼンスルホニルヒドラジドなどのスルホニルヒドラジド化合物;N,N′−ジニトロソペンタメチレンテトラミン(DNPT)などのニトロソ化合物;テレフタルアジドなどのアジド化合物などが挙げられる。これらの発泡剤のうち、クエン酸などの有機酸又はその塩(クエン酸ナトリウムなど)などを用いる場合が多い。発泡剤としてクエン酸などの有機酸の塩(クエン酸ナトリウムなど)を用いる場合、塩(ナトリウム塩など)のイオン濃度は、0.5〜15重量%、好ましくは1〜10重量%程度であってもよい。このようなイオン濃度であると、導電性が低く、電子部品用ケースとしても好適に使用できる。これらの発泡剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用してもよい。
【0066】
発泡剤の割合は、前記鎖状オレフィン系樹脂及び前記環状オレフィン系樹脂の合計量100重量部に対して、0.1〜40重量部、好ましくは0.3〜30重量部、さらに好ましくは0.5〜20重量部程度であってもよい。
【0067】
前記発泡核剤としては、例えば、ケイ酸化合物(タルク、シリカ、ゼオライトなど)、金属水酸化物(水酸化アルミニウムなど)、金属酸化物(酸化亜鉛、酸化チタン、アルミナなど)などが挙げられる。これらの発泡核剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用してもよい。前記発泡核剤のうち、特に、タルクなどのケイ酸化合物などを使用すると、気泡構造を均一化できる。
【0068】
発泡核剤の割合は、特に限定されず、前記鎖状オレフィン系樹脂100重量部に対して、例えば、0.5〜10重量部、好ましくは0.6〜8重量部、さらに好ましくは0.7〜5重量部程度であってもよい。
【0069】
発泡剤、発泡核剤は、それぞれ、前記樹脂組成物(樹脂ペレットなどを含む)に予め含有させてもよく、発泡成形過程で樹脂組成物に添加又は圧入してもよい。なお、前記例示の添加剤なども、必要により、発泡成形の適当な段階で、樹脂組成物に添加してもよい。
【0070】
前記樹脂組成物は、各成分の混合物であってもよく、ペレット状などの形態であってもよい。
【0071】
通常、前記樹脂組成物を溶融混練し、発泡成形することにより、発泡体を得ることができる。
【0072】
溶融混練は、慣用の溶融混練機、例えば、一軸又はベント式二軸押出機などを用いて行うことができる。また、溶融混練に先だって、慣用の方法、例えば、混合機(タンブラー、V型ブレンダー、ヘンシェルミキサー、ナウタミキサー、リボンミキサー、メカノケミカル装置、押出混合機など)を用いて、鎖状オレフィン系樹脂及び環状オレフィン系樹脂と、他の成分(相溶化剤、発泡剤、発泡核剤、添加剤など)などとを予備混合してもよい。
【0073】
発泡成形法としては、慣用の方法、例えば、押出成形法(例えば、Tダイ法、インフレーション法など)、射出成形法などが使用できる。また、必要により、前記発泡体(特に、シート状発泡体)を二次加工[例えば、真空成形、圧空成形、真空圧空成形、マッチモールド成形などの熱成形(例えば、金型を用いる熱成形)]してもよい。前記発泡体は、金型に対する転写性が高いため、二次加工を好適に行うことができる。
【0074】
なお、発泡成形又は二次成形温度は、例えば、70〜300℃、好ましくは80〜280℃、さらに好ましくは85〜260℃程度であってもよい。
【実施例】
【0075】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0076】
[独立気泡率]
ウルトラピクノメーター1000(QUANTACHROME社製)を使用し、実施例及び比較例で得られた発泡体の独立気泡率を測定した。
【0077】
[発泡倍率]
実施例及び比較例で得られた発泡体の発泡倍率は、以下の式に基づいて算出した。
【0078】
発泡倍率=樹脂組成物の密度/発泡体の密度。
【0079】
[引張強度]
JIS K6767に準じて、実施例及び比較例で得られたシート状発泡体の引張強度を測定した。
【0080】
[破断伸率]
JIS K6767に準じて、実施例及び比較例で得られたシート状発泡体の破断伸率を測定した。
【0081】
[引張弾性率]
引張試験機を用いて、JIS K6767に準じて、実施例及び比較例で得られたシート状発泡体の引張弾性率を測定した。
【0082】
[曲げ強さ及び曲げ弾性率]
JIS K6767に準じて、実施例及び比較例で得られたシート状発泡体の曲げ強さ及び曲げ弾性率を測定した。
【0083】
[引裂強さ]
JIS K6767に準じて、実施例及び比較例で得られたシート状発泡体の引裂強さを測定した。
【0084】
[発泡セルの隔膜の平均厚み]
発泡セルの隔膜の平均厚みは、光学顕微鏡を用いて実測し、平均厚みを計算した。
【0085】
[真空成形試験(転写性)]
真空圧空成形機(第一プラスチック(株)製、CUPF−1525−PWB)を用いて、実施例及び比較例で得られたシート状発泡体を真空成形し、得られた成形体の金型に対する転写性を以下の基準で評価した。転写パターンは、幅3.1mm、高さ0.35mmのI字状であった
○:金型に対する転写の精度が高く、転写パターンがはっきりと転写されている
△:金型に対する転写の精度がやや高く、転写パターンがややはっきりと転写されている
×:金型に対する転写の精度が低く、金型の全体形状は転写されていたが、転写パターンの細部がはっきりと転写されていない。
【0086】
実施例1〜2、参考例1及び比較例1
低密度ポリエチレン(LDPE)(東ソー(株)製、339)、ポリプロピレンA(サンアロマー(株)製、PF−814)、ポリプロピレンB(日本ポリプロ(株)製、FB3312)、環状オレフィン系樹脂(ポリプラスチックス(株)製、TOPAS FS3012)、表面平滑剤としてアクリル変性PTFE(三菱レイヨン(株)製、メタブレン)、収縮防止剤としてステアリン酸モノグリセライド[べーリンガーインゲルハイムケミカルズ(株)製、アクティベックス325、成分(グリセリンモノステアレート50%、ポリエチレン50%)]、発泡助剤としてクエン酸マスターバッチ(大日精化工業(株)製、PO410K)を表1に示す割合で用いた。押出機を用いて、混合物を溶融混練させ、冷却しつつ、ダイスから混合物をシート状に押出し、引き取ってシート状発泡体を得た。また、シート状発泡体について真空成形試験を行い、成形体の金型に対する転写性を評価した。
【0087】
結果を表1に示す。
【0088】
【表1】

【0089】
表1から明らかなように、比較例に比べ、実施例では特定の鎖状オレフィン系樹脂のポリマーアロイと、環状オレフィン系樹脂とで樹脂組成物を構成するため、表面が平滑で、厚みが均一であり、転写性又は離型性に優れた成形体が得られた。さらに、実施例では、剛性の高いシート状発泡体が得られた。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明の発泡体は、剛性などの機械的特性、金型に対する転写性又は離型性などの特性が高い樹脂組成物で形成されているため、電子部品用ケース(又はトレー)(例えば、電子部品用非導電性ケース、電子部品用導電性ケースなど)、食品用容器(弁当用容器、総菜用容器など)、飲料などの液体充填用容器などに有用である。電子部品用導電性ケースに本発明の樹脂組成物を用いる場合、発泡体(特に、シート状発泡体)の表面に導電性塗料を均一に塗布でき、二次加工を行っても、電子部品用ケースの形状(凹凸形状)にかかわらず、安定した導電性を付与できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鎖状オレフィン系樹脂と環状オレフィン系樹脂とで構成された樹脂組成物で形成された発泡体であって、
前記鎖状オレフィン系樹脂が、ポリエチレン系樹脂とポリプロピレン系樹脂とのポリマーアロイで構成され、
前記ポリエチレン系樹脂のエチレン含有量が、ポリエチレン系樹脂全体に対して、80モル%以上であり、
前記環状オレフィン系樹脂の割合が、前記鎖状オレフィン系樹脂100重量部に対して5〜18重量部であり、
発泡倍率が1.2〜40倍であり、
独立気泡率が85〜98%であり、かつ
発泡セルの隔膜の平均厚みが5〜50μmである発泡体。
【請求項2】
ポリエチレン系樹脂とポリプロピレン系樹脂との重量割合が、前者/後者=20/80〜30/70である請求項1記載の発泡体。
【請求項3】
環状オレフィン系樹脂の割合が、鎖状オレフィン系樹脂100重量部に対して5〜15重量部である請求項1又は2記載の発泡体。
【請求項4】
発泡倍率が1.2〜2倍である請求項1〜3のいずれかに記載の発泡体。
【請求項5】
シート状である請求項1〜4のいずれかに記載の発泡体。
【請求項6】
樹脂組成物を発泡成形して、請求項1〜5のいずれかに記載の発泡体を製造する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−108094(P2013−108094A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−35246(P2013−35246)
【出願日】平成25年2月26日(2013.2.26)
【分割の表示】特願2007−312678(P2007−312678)の分割
【原出願日】平成19年12月3日(2007.12.3)
【出願人】(000214788)DMノバフォーム株式会社 (25)
【Fターム(参考)】