説明

オレフィン製造用触媒及びオレフィンの製造方法

【課題】アルコールを原料として、そのアルコールよりも炭素原子数が1以上大きいオレフィンを高い収率で効率よく製造できるオレフィン製造用触媒、及びそのオレフィン製造用触媒を用いたオレフィンの製造方法を提供する。
【解決手段】アルコールから、該アルコールよりも炭素原子数が1以上多いオレフィンを製造するための触媒であって、酸化セリウムと、周期表における3〜6族(但し、セリウムを除く)から選ばれる少なくとも1種の第1添加元素とを含み、セリウム元素のモル量が前記添加元素のモル量よりも大きいオレフィン製造用触媒、及びそのオレフィン製造用触媒を用いたオレフィンの製造方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルコールを原料として、そのアルコールの炭素原子数より1以上多いオレフィンを製造するためのオレフィン製造用触媒、及びそのオレフィン製造用触媒を用いたオレフィンの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な化学製品の原料となるオレフィンの現在の主要な製造方法は、石油留分の熱分解法である。しかし、近年の石油資源の枯渇問題の観点から、石油資源に依存しないようなオレフィン製造用原料の多様化が求められている。また、地球温暖化防止の観点から、CO2排出量の少ないオレフィンの製造方法が求められている。
【0003】
これまでに、天然ガス、石炭(石炭ガス化ガス)等から合成されるアルコールやDMEを原料とするオレフィンの製造方法が開発され、多くの文献で報告されている。一方で、石油や石炭、天然ガス等の化石燃料を使わないオレフィン製造方法も検討されている。例えば、バイオエタノールをはじめとするバイオマス原料、すなわち、カーボンニュートラルなアルコールを原料とした方法も検討されている。
【0004】
アルコールやDME(ジメチルエーテル)からのオレフィン製造には、MTO(Methanol to Olefin)反応に代表される酸触媒を用いた反応系が利用される。この場合、酸触媒としてはゼオライトが一般的に使用されている。酸触媒の利点は高活性な点であるが、目的とするオレフィン以外に多くの副生成物が生成し、目的物の収率や選択率が低くなることや、触媒表面上で炭素析出が生じることにより触媒劣化が生じる点に問題がある。特に、ゼオライト触媒に関しては、脱アルミニウムによる触媒劣化も大きな問題である。
【0005】
このような問題を解決するため、ゼオライト触媒の細孔径の最適化や、添加物による酸強度の調整等の改良が試みられているが(例えば特許文献1及び2)、ゼオライトを触媒に利用する以上は、根本的な解決策には至っていない。
【0006】
また、エタノールからのオレフィン製造方法として、バイオエタノールを利用した方法が提案されている(例えば特許文献3及び4)。しかし、エタノールからのオレフィン製造においても、酸触媒、特にゼオライトが主に用いられている。従って、酸触媒に特有の問題の解決方法は示されていない。
さらに、酸触媒でエタノールからそのエタノールより炭素数の多いオレフィンを製造しようとすると、エタノールの脱水反応が併発し、エチレンが多量に生成する。そのため、より有用な化学製品原料としての、プロピレンやブテン等の選択率が低いという問題点がある。
【0007】
ゼオライトを利用しない触媒系に、金属を担持したメゾ多孔体触媒がある(例えば特許文献5)。この金属担持メゾ多孔体触媒は、酸触媒の問題点を改善できると期待されたが、エタノールからプロピレンやブテンを得ようとすると、副生成物のエチレン生成量が多く、目的物の収率を高くすることができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平01−50827号公報
【特許文献2】特表2005−520763号公報
【特許文献3】特開2007−290991号公報
【特許文献4】特開2007−291076号公報
【特許文献5】WO2007/083684 A1号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明者らはこれまでに、アルコールから、そのアルコールより炭素数の多いオレフィンを生成する触媒として酸化セリウムが有効であることを見出した。すなわち、当該酸化セリウム触媒によれば、触媒表面における炭素析出に起因する触媒劣化や、副反応であるアルコールの脱水による炭素数の増えないオレフィン生成を抑制することができた。
しかし、主生成物が含酸素化合物であり、所望のオレフィン収率の向上には未だ改善の余地があった。
【0010】
以上から、アルコールを原料として、そのアルコールよりも炭素原子数が1以上大きいオレフィンを高い収率で効率よく製造できるオレフィン製造用触媒、及びそのオレフィン製造用触媒を用いたオレフィンの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、本発明者らは下記本発明に想到し当該課題を解決できることを見出した。すなわち、本発明は下記の通りである。
【0012】
[1] アルコールから、該アルコールよりも炭素原子数が1以上多いオレフィンを製造するための触媒であって、酸化セリウムと、周期表における3〜6族(但し、セリウムを除く)から選ばれる少なくとも1種の第1添加元素とを含み、セリウム元素のモル量が前記第1添加元素のモル量よりも大きいオレフィン製造用触媒。
[2] 周期表における1〜2族から選ばれる少なくとも1種の第2添加元素を含む[1]に記載のオレフィン製造用触媒。
[3] 前記第1添加元素が、イットリウム、サマリウム、チタニウム、ジルコニウム、ニオブ、タンタル、及びタングステンから選ばれる少なくとも1種である[1]又は[2]記載のオレフィン製造用触媒。
[4] 前記アルコールがバイオエタノールである[1]〜[3]のいずれかに記載のオレフィン製造用触媒。
[5] 前記オレフィンがプロピレンである[1]〜[4]のいずれかに記載のオレフィン製造用触媒。
【0013】
[6] アルコールから、該アルコールよりも炭素原子数が1以上多いオレフィンを製造する方法であって、前記アルコールを[1]〜[3]のいずれかに記載のオレフィン製造用触媒に接触させる接触反応工程を含むオレフィンの製造方法。
[7] 前記アルコールがバイオエタノールである[6]に記載のオレフィンの製造方法。
[8] 前記オレフィンがプロピレンである[6]又は[7]に記載のオレフィンの製造方法。
[9] 前記接触反応工程に係る反応系に水を共存させる[6]〜[8]のいずれかに記載のオレフィンの製造方法。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、アルコールを原料として、該アルコールよりも炭素原子数が1以上大きいオレフィンを高い収率で効率よく製造できるオレフィン製造用触媒、及びそのオレフィン製造用触媒を用いたオレフィンの製造方法を提供することができる。
また、有用な化学品を効率よく製造することが可能となり、貴重な石油資源の消費抑制や化石燃料を起源とする二酸化炭素の排出量の抑制を図ることができる。特に、バイオアルコールを原料に用いることによる、LCA(Life Cycle Assessment)の観点から原料のカーボンニュートラル化にも寄与することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[オレフィン製造用触媒]
本発明のオレフィン製造用触媒は、アルコールから、そのアルコールよりも炭素原子数が1以上多いオレフィンを製造するための触媒である。当該触媒は、酸化セリウムと、周期表における3〜6族(但し、セリウムを除く)から選ばれる少なくとも1種の第1添加元素とを含み、セリウム元素のモル量が添加元素のモル量よりも大きい。
酸化セリウムを主成分とすることでアルコールから、そのアルコールよりも炭素原子数が1以上多いオレフィンを効率よく製造することが可能となり、添加元素との複合効果によって、1以上大きいオレフィンを高収率で製造することができる。
【0016】
第1添加元素のモル量は、セリウム元素のモル量に対して、0.1〜50モル%であることが好ましく、1〜30モル%であることがより好ましく、5〜20モル%であることがさらに好ましい。0.1〜50モル%であることで、既述のような複合効果を効率よく発揮させることができる。
【0017】
周期表における3〜6族から選ばれる元素は、収率をより向上させる観点から、イットリウム、サマリウム、チタニウム、ジルコニウム、ニオブ、タンタル、及びタングステンの少なくとも1種であることが好ましい。
【0018】
本発明のオレフィン製造用触媒は、さらに、周期表における1〜2族から選ばれる第2添加元素を少なくとも1種を含むことが好ましい。第2添加元素を含有することで、アルコールの脱水反応を抑え、本来の望ましい原料アルコールよりも炭素数が増えるオレフィン製造反応を進行させることができる。
【0019】
第2添加元素としては、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、及びストロンチウムの少なくとも1種であることが好ましい。第2添加元素のモル量は、第1添加元素よりも少量で、セリウム元素のモル量に対して、0.1〜25モル%であることが好ましく、1〜10モル%であることが好ましく、3〜7モル%であることがさらに好ましい。0.1〜25モル%であることで既述のような脱水反応を抑制することができる。
【0020】
本発明のオレフィン製造用触媒は、酸化セリウムに第1添加元素や第2添加元素を含有させたバルク触媒(第1添加元素や第2添加元素を含む酸化セリウムを主体とした触媒)、及び酸化セリウムに第1添加元素や第2添加元素を含有させて、さらにこれを担体上に担持させた担持触媒のいずれの形態でもよい。
【0021】
バルク触媒を作製するには、例えば、セリウムを含む塩(硝酸塩、硫酸塩、塩化物等)を空気中でそのまま焼成する方法や、該金属成分を含む水溶液に、アンモニア水等の塩基を滴下して沈殿を形成させ、濾過後焼成する方法により酸化セリウムを作製する。その後、第1添加元素を含む前駆体を含浸法やイオン交換法等で担持させる。第2添加金属を含有させるには、第1添加元素を担持させた後に担持させるか、第1添加元素と一緒に担持させればよい。
また、別の方法としては、セリウムを含む塩と同時に第1添加元素さらには第2添加元素の塩(硝酸塩、硫酸塩、塩化物等)を一緒に混合して焼成する方法や、当該添加成分とセリウム成分を含む水溶液に、アンモニア水等の塩基を滴下して同時に沈殿を形成させ、濾過後焼成する方法等もある。
【0022】
本発明のオレフィン製造用触媒が担持触媒の場合、その担体としては、アルミナ、シリカ、シリカアルミナ、ジルコニア、酸化亜鉛、チタニア、マグネシア等の無機酸化物材料を使用することができる。また、多孔質なゼオライトやMCM−41等のメゾポーラス材料も使用することができる。
【0023】
上記担体に担持する方法としては含浸法、イオン交換法、物理混合法等が挙げられる。酸化セリウムの担持量は1質量%以上とすることが好ましく、2質量%以上とすることがより好ましい。1質量%以上とすることで、触媒活性や、エタノールを原料とした場合のプロピレン選択率を良好なものとすることができる。
【0024】
本発明のオレフィン製造用触媒による接触反応の原料であるアルコールとしては、バイオエタノールであることが好ましい。また、製造されるオレフィンとしては、プロピレンであることが好ましい。
【0025】
[オレフィンの製造方法]
本発明のオレフィンの製造方法は、アルコールから、該アルコールよりも炭素原子数が1以上多いオレフィンを製造する方法であって、アルコールを既述の本発明のオレフィン製造用触媒に接触させる接触反応工程を含む。
【0026】
ここで、接触反応工程に係る反応系には水(水蒸気)を共存させることが好ましい。水を共存させることで、触媒上への炭素付着及び触媒の還元を抑制することができる。また、アルコールの脱水反応も抑制される。このときの水の添加量は、供給するガス中で1〜70容量%であることが好ましく、10〜50容量%であることがより好ましい。
【0027】
当該工程における反応は、固定床、移動床、流動床等どのような形式でも実施できるが、粉末状もしくは成型した触媒を充填した管状反応器に、エタノールと水とを供給する固定床型反応で実施することが好ましい。
当該反応における空間速度は、400〜6500h-1とすることが好ましく、400〜4000h-1とすることがより好ましい。
反応温度は250〜600℃であることが好ましく、300〜550℃であることがより好ましく、350〜500℃であることがさらに好ましい。
反応圧力は、減圧、常圧、加圧のいずれでも実施できるが、通常は、常圧〜やや加圧の雰囲気で実施される。
また、本反応は、窒素、水素、その他の炭化水素ガス等の共存下でも実施することができる。
【0028】
本発明において、原料であるアルコールはバイオエタノールであることが好ましい。また、製造されるオレフィンはプロピレンであることが好ましい。
【実施例】
【0029】
[実施例1]
(触媒Aの調製)
酸化セリウム(触媒学会参照触媒;JRC−CEO−3)に硝酸イットリウム六水和物(和光純薬)の水溶液を含浸し、続いて600℃で5時間焼成した。その後、0.3〜0.6mmに整粒して、イットリウムを担持させた酸化セリウム触媒(触媒A)を調製した。このとき、イットリウムの量がセリウムに対して10モル%となるように含浸液の量を調整した。
【0030】
(触媒評価)
触媒の評価は、通常の常圧式流通反応装置を用いて行った。触媒Aを2g石英製反応管に充填し、エタノール濃度が30vol%であるエタノール/窒素混合ガスを13ml/minの速度で反応管へ供給し、反応温度を400℃から450℃まで変化させ反応を行った。生成物の分析は、オンラインガスクロマトグラフィーにて分析を行った。得られた分析結果の中で最もオレフィン収率が高かった反応温度の時の成績を表1に示す。
【0031】
[実施例2]
(触媒Bの調製)
実施例1の触媒調製において、イットリウムの量がセリウムに対して20モル%となるように含浸液の量を調整した。
【0032】
(触媒評価)
実施例1の触媒評価と同様にして行った。得られた分析結果の中で最もオレフィン収率が高かった反応温度の時の成績を表1に示す。
【0033】
[実施例3]
(触媒評価)
触媒Bを用い、供給原料をエタノール濃度が30vol%、水濃度が30vol%であるエタノール/水/窒素混合ガスを13ml/minの速度で反応管へ供給した以外は、実施例1の触媒評価と同様にして行った。得られた分析結果の中で最もオレフィン収率が高かった反応温度の時の成績を表1に示す。
【0034】
[実施例4]
(触媒Cの調製)
触媒Bに対して、硝酸カルシウム四水和物(和光純薬)の水溶液を含浸し、その後600℃、5時間焼成することによりカルシウムとイットリウムとを担持させた酸化セリウム触媒(触媒C)を調製した。このとき、カルシウムの量がセリウムに対して5モル%となるように含浸液の量を調整した。
【0035】
(触媒評価)
実施例1の触媒評価と同様にして行った。得られた分析結果の中で最もオレフィン収率が高かった反応温度の時の成績を表1に示す。
【0036】
[実施例5]
(触媒Dの調製)
実施例1の触媒調製において、硝酸イットリウム六水和物の替わりに酢酸サマリウム四水和物(和光純薬)を用いた以外は実施例1と同様な操作を行い、サマリウムを担持させた酸化セリウム触媒(触媒D)を調製した。このとき、サマリウムの量がセリウムに対して10モル%となるように含浸液の量を調整した。
【0037】
(触媒評価)
実施例1の触媒評価と同様にして行った。得られた分析結果の中で最もオレフィン収率が高かった反応温度の時の成績を表1に示す。
【0038】
[実施例6]
(触媒Eの調製)
実施例1の触媒調製において、硝酸イットリウム六水和物の替わりにシュウ酸チタンアンモニウム(添川理化)を用いた以外は実施例1と同様な操作を行い、チタンを担持させた酸化セリウム触媒(触媒E)を調製した。このとき、チタンの量がセリウムに対して10モル%となるように含浸液の量を調整した。
【0039】
(触媒評価)
実施例1の触媒評価と同様にして行った。得られた分析結果の中で最もオレフィン収率が高かった反応温度の時の成績を表1に示す。
【0040】
[実施例7]
(触媒Fの調製)
実施例1の触媒調製において、硝酸イットリウム六水和物の替わりに硝酸ジルコニル二水和物(和光純薬)を用いた以外は実施例1と同様な操作を行い、ジルコニウムを担持させた酸化セリウム触媒(触媒F)を調製した。このとき、ジルコニウムの量がセリウムに対して10モル%となるように含浸液の量を調整した。
【0041】
(触媒評価)
実施例1の触媒評価と同様にして行った。得られた分析結果の中で最もオレフィン収率が高かった反応温度の時の成績を表1に示す。
【0042】
[実施例8]
(触媒Gの調製)
実施例1の触媒調製において、硝酸イットリウム六水和物の替わりにシュウ酸ニオブアンモニウム(アルドリッチ)を用いた以外は実施例1と同様な操作を行い、ニオブを担持させた酸化セリウム触媒(触媒G)を調製した。このとき、ニオブの量がセリウムに対して10モル%となるように含浸液の量を調整した。
【0043】
(触媒評価)
実施例1の触媒評価と同様にして行った。得られた分析結果の中で最もオレフィン収率が高かった反応温度の時の成績を表1に示す。
【0044】
[実施例9]
(触媒Hの調製)
実施例1の触媒調製において、硝酸イットリウム六水和物の替わりにタンタルエトキシド(アルドリッチ)を用いた以外は実施例1と同様な操作を行い、タンタルを担持させた酸化セリウム触媒(触媒H)を調製した。このとき、タンタルの量がセリウムに対して10モル%となるように含浸液の量を調整した。
【0045】
(触媒評価)
実施例1の触媒評価と同様にして行った。得られた分析結果の中で最もオレフィン収率が高かった反応温度の時の成績を表1に示す。
【0046】
[実施例10]
(触媒Iの調製)
実施例1の触媒調製において、硝酸イットリウム六水和物の替わりにタングステン酸アンモニウム(和光純薬)を用いた以外は実施例1と同様な操作を行い、タングステンを担持させた酸化セリウム触媒(触媒I)を調製した。このとき、タングステンの量がセリウムに対して10モル%となるように含浸液の量を調整した。
【0047】
(触媒評価)
実施例1の触媒評価と同様にして行った。得られた分析結果の中で最もオレフィン収率が高かった反応温度の時の成績を表1に示す。
【0048】
[参考例]
(触媒Jの調製)
酸化セリウム(触媒学会参照触媒;JRC−CEO−3)を0.3〜0.6mmに整粒し、触媒Jとした。
【0049】
(触媒評価)
実施例1の触媒評価と同様にして行った。得られた分析結果の中で最もオレフィン収率が高かった反応温度の時の成績を表1に示す。
【0050】
【表1】

【0051】
表1に示すように、いずれの実施例においても、参考例と比較して、原料アルコールの炭素数よりも炭素数が増加したオレフィン(本実施例の場合、プロピレン及びブテン)の収率が著しく増加しており、酸化セリウム触媒の低いオレフィン収率をより向上させることができた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルコールから、該アルコールよりも炭素原子数が1以上多いオレフィンを製造するための触媒であって、
酸化セリウムと、周期表における3〜6族(但し、セリウムを除く)から選ばれる少なくとも1種の第1添加元素とを含み、セリウム元素のモル量が前記第1添加元素のモル量よりも大きいオレフィン製造用触媒。
【請求項2】
周期表における1〜2族から選ばれる少なくとも1種の第2添加元素を含む請求項1に記載のオレフィン製造用触媒。
【請求項3】
前記第1添加元素が、イットリウム、サマリウム、チタニウム、ジルコニウム、ニオブ、タンタル、及びタングステンから選ばれる少なくとも1種である請求項1又は2記載のオレフィン製造用触媒。
【請求項4】
前記アルコールがバイオエタノールである請求項1〜3のいずれか1項に記載のオレフィン製造用触媒。
【請求項5】
前記オレフィンがプロピレンである請求項1〜4のいずれか1項に記載のオレフィン製造用触媒。
【請求項6】
アルコールから、該アルコールよりも炭素原子数が1以上多いオレフィンを製造する方法であって、
前記アルコールを請求項1〜3のいずれか1項に記載のオレフィン製造用触媒に接触させる接触反応工程を含むオレフィンの製造方法。
【請求項7】
前記アルコールがバイオエタノールである請求項6に記載のオレフィンの製造方法。
【請求項8】
前記オレフィンがプロピレンである請求項6又は7に記載のオレフィンの製造方法。
【請求項9】
前記接触反応工程に係る反応系に水を共存させる請求項6〜8のいずれか1項に記載のオレフィンの製造方法。

【公開番号】特開2012−240008(P2012−240008A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−114217(P2011−114217)
【出願日】平成23年5月20日(2011.5.20)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成20年9月26日付け委託契約(平成22年3月19日付け変更契約)、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構、「新エネルギー技術研究開発/バイオマスエネルギー等高効率転換技術開発(先導技術開発)/セルロース系バイオマスエタノールからプロピレンを製造するプロセス開発」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける出願
【出願人】(304021417)国立大学法人東京工業大学 (1,821)
【出願人】(000183646)出光興産株式会社 (2,069)
【Fターム(参考)】