説明

オレフィン重合体の製造方法、エチレン系重合体および成形体

【課題】成形加工性に優れるオレフィン重合体の製造方法、成形加工性に優れるエチレン系重合体、および、該エチレン系重合体の押出成形体の提供。
【解決手段】下記成分(A1)と、下記成分(A2)と、活性化用助触媒成分とを用いてオレフィンを重合するオレフィン重合体の製造方法。成分(A1):下記一般式(1−1)または(1−2)で表される錯体


成分(A2):メタロセン遷移金属化合物またはそのμ−オキソタイプの遷移金属化合物二量体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オレフィン重合体の製造方法、エチレン系重合体および該エチレン系重合体を押出成形して得られる成形体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ポリエチレン、ポリプロピレンなどのオレフィン重合体は、機械的性質等に優れ、また、安価であることから各種成形品に広く用いられている。
従来から、オレフィン重合体の製造方法としては、遷移金属化合物(例えば、メタロセン錯体や非メタロセン化合物)からなる遷移金属成分とアルミノキサン等からなる有機金属成分とを含む触媒を用いる方法が知られている。例えば、2種類のメタロセン錯体を含む触媒の存在下にオレフィンを重合する方法(特許文献1)、2種類のメタロセン錯体、または、ビスフェノキシイミン錯体とメタロセン錯体を含む触媒の存在下にオレフィンを重合する方法(特許文献2)が開示されている。
【0003】
しかしながら、これらのオレフィン重合用触媒は、成形加工性に優れたオレフィン系重合体を得るという観点では、未だ十分なものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−321991号公報
【特許文献2】特開2006−233208号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
かかる状況のもと、本発明の目的は、成形加工性に優れるオレフィン重合体の製造方法、成形加工性に優れるエチレン系重合体、および、該エチレン系重合体を押出成形して得られる成形体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、鋭意検討することにより本発明により上記課題を解決できることを見出した。
【0007】
本発明は、下記成分(A1)と、下記成分(A2)と、活性化用助触媒成分(B)とを用いてオレフィンを重合するオレフィン重合体の製造方法にかかるものである。
成分(A1):下記一般式(1−1)または(1−2)で表される錯体

(式中、nは1、2または3であり、
Mは、ジルコニウム原子またはハフニウム原子を表す。
およびRは、それぞれ独立して、
水素原子、
ハロゲン原子、
炭素原子数1〜20のアルキル基、
環を構成する炭素原子数が3〜10のシクロアルキル基、
炭素原子数2〜20のアルケニル基、
炭素原子数2〜20のアルキニル基、
炭素原子数7〜30のアラルキル基、
炭素原子数1〜20のアルコキシ基、
炭素原子数7〜30のアラルキルオキシ基、
炭素原子数6〜30のアリールオキシ基、
または、置換シリル基を表す。
〜RおよびR〜R10は、それぞれ独立して、
水素原子、
ハロゲン原子、
炭素原子数1〜20のアルキル基、
環を構成する炭素原子数が3〜10のシクロアルキル基、
炭素原子数2〜20のアルケニル基、
炭素原子数2〜20のアルキニル基、
炭素原子数7〜30のアラルキル基、
炭素原子数6〜30のアリール基、
炭素原子数1〜20のアルコキシ基、
炭素原子数7〜30のアラルキルオキシ基、
炭素原子数6〜30のアリールオキシ基、
置換シリル基、
または環を構成する炭素原子数が3〜20のヘテロ環式化合物残基を表す。
〜R10における上記アルキル基、上記シクロアルキル基、上記アルケニル基、上記アルキニル基、上記アラルキル基、上記アリール基、上記アルコキシ基、上記アラルキルオキシ基、上記アリールオキシ基および上記へテロ環式化合物残基は置換基を有していてもよい。
上記R〜R10の定義に関わらず、RとR、RとR、RとR、RとR、RとR、RとR、RとRおよびRとR10の組み合わせのうち少なくとも1つの組み合わせでは、2つの置換基は相互に連結して環を形成してもよく、形成された環は置換基を有していてもよい。
Xは、それぞれ独立して、
水素原子、
ハロゲン原子、
炭素原子数1〜20のアルキル基、
環を構成する炭素原子数が3〜10のシクロアルキル基、
炭素原子数2〜20のアルケニル基、
炭素原子数7〜30のアラルキル基、
炭素原子数6〜30のアリール基、
炭素原子数1〜20のアルコキシ基、
炭素原子数7〜30のアラルキルオキシ基、
炭素原子数6〜30のアリールオキシ基、
置換シリル基、
置換アミノ基、
置換チオラート基、または
炭素原子数1〜20のカルボキシラート基を表す。
Xにおける上記アルキル基、上記シクロアルキル基、上記アルケニル基、上記アラルキル基、上記アリール基、上記アルコキシ基、上記アラルキルオキシ基および上記アリールオキシ基は置換基を有していてもよい。
隣接するX同士は、相互に連結して環を形成してもよい。
Lは中性のルイス塩基を表す。Lが複数ある場合は、複数のLは同一でも異なっていてもよい。lは、0、1、または2である。)

成分(A2):下記一般式(2)で表される遷移金属化合物またはそのμ−オキソタイプの遷移金属化合物二量体

(式中、Mは周期律表第4〜11族の遷移金属原子である。Cpは、シクロペンタジエン型アニオン骨格を有する基であり、Zは、シクロペンタジエン型アニオン骨格を有する基またはヘテロ原子を含有する基である。Qは、シクロペンタジエニル基とZを連結する架橋基である。Zが、シクロペンタジエン型アニオン骨格を有する基である場合、CpおよびZは同一でも異なっていてもよい。
は、それぞれ独立して、
水素原子、
ハロゲン原子、
炭素原子数1〜20のアルキル基、
環を構成する炭素原子数が3〜10のシクロアルキル基、
炭素原子数2〜20のアルケニル基、
炭素原子数7〜30のアラルキル基、
炭素原子数6〜30のアリール基、
炭素原子数1〜20のアルコキシ基、
炭素原子数7〜30のアラルキルオキシ基、
炭素原子数6〜30のアリールオキシ基、
置換シリル基、
置換アミノ基、
置換チオラート基、または
炭素原子数1〜20のカルボキシラート基を表す。
a’は1≦a’≦3を満足する数である。)
【0008】
さらに、本発明は下記要件(1)〜(5)を満たすエチレン系重合体にかかるものである。
(1)密度が850〜980kg/m3である。
(2)JIS K7210−1995に規定された方法において、温度190℃、荷重21.18Nの条件で、A法により測定されるメルトフローレートが0.01〜100g/10分である。
(3)ゲル・パーミエイション・クロマトグラフ法により測定される分子量分布曲線が二峰性の分子量分布を有し、分子量分布曲線における高分子量側のピークトップ分子量が50,000以上であり、低分子量側のピークトップ分子量が10,000以下である。
(4)重量平均分子量の数平均分子量に対する比が4〜55である。
(5)13C−NMRにより測定される炭素原子数5以上の分岐数が炭素原子1000個あたり0.2〜0.7である。
【0009】
また、本発明は、前記エチレン系重合体を押出成形して得られる成形体にかかるものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、成形加工性に優れるオレフィン重合体を製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明において、「重合」という語は単独重合のみならず共重合を包含したものであり、また「重合体」という語は単独重合体のみならず共重合体を包含したものである。
【0012】
成分(A1)
以下、成分(A1)について説明する。

Mは、ジルコニウム原子またはハフニウム原子を表す。
【0013】
nは1、2または3であり、好ましくは2、3である。
【0014】
およびRとして好ましくは、それぞれ独立して
水素原子、
ハロゲン原子、
炭素原子数1〜20のアルキル基、
環を構成する炭素原子数が3〜10のシクロアルキル基、
炭素原子数7〜30のアラルキル基、
炭素原子数1〜20のアルコキシ基、
炭素原子数7〜30のアラルキルオキシ基、
炭素原子数6〜30のアリールオキシ基または、
置換シリル基であり、
より好ましくは、それぞれ独立して
ハロゲン原子、
炭素原子数1〜20のアルキル基、
環を構成する炭素原子数が3〜10のシクロアルキル基、
炭素原子数7〜30のアラルキル基、
置換シリル基であり、
とRの特に好ましい形態は、RとRが同一であって、
炭素原子数1〜20のアルキル基、
環を構成する炭素原子数が3〜10のシクロアルキル基、
炭素原子数7〜30のアラルキル基、
または置換シリル基である。
【0015】
およびR10として好ましくは、それぞれ独立して、
ハロゲン原子、
炭素原子数1〜20のアルキル基、
環を構成する炭素原子数が3〜10のシクロアルキル基、
炭素原子数7〜30のアラルキル基、
炭素原子数6〜30のアリール基、
置換シリル基、
または炭素原子数3〜20のヘテロ環式化合物残基であり、
より好ましくは、それぞれ独立して
炭素原子数1〜20のアルキル基、
環を構成する炭素原子数が3〜10のシクロアルキル基、
炭素原子数7〜30のアラルキル基、
炭素原子数6〜30のアリール基、
または炭素原子数3〜20のヘテロ環式化合物残基であり、
とR10の特に好ましい形態は、RとR10が同一であって、
炭素原子数1〜20のアルキル基、
環を構成する炭素原子数が3〜10のシクロアルキル基、
炭素原子数7〜30のアラルキル基、
炭素原子数6〜30のアリール基、
または炭素原子数3〜20のヘテロ環式化合物残基である。
【0016】
〜RおよびR〜Rとして好ましくは、それぞれ独立して
水素原子、
ハロゲン原子、
炭素原子数1〜20のアルキル基、
環を構成する炭素原子数が3〜10のシクロアルキル基、
炭素原子数7〜30のアラルキル基、
炭素原子数6〜30のアリール基、
炭素原子数1〜20のアルコキシ基、
炭素原子数6〜30のアリールオキシ基、
置換シリル基であり、
より好ましくは、それぞれ独立して
水素原子、
炭素原子数1〜20のアルキル基、
環を構成する炭素原子数が3〜10のシクロアルキル基、
炭素原子数7〜30のアラルキル基、
炭素原子数6〜30のアリール基、
または置換シリル基である。
、R、RおよびRとして、さらに好ましくは、水素原子である。
およびRとしてさらに好ましくは、それぞれ独立して
炭素原子数1〜20のアルキル基
環を構成する炭素原子数が3〜10のシクロアルキル基、
炭素原子数7〜30のアラルキル基、
炭素原子数6〜30のアリール基、
または置換シリル基である。
およびRとして特に好ましい形態は、RとRが同一であって、
炭素原子数1〜20のアルキル基
環を構成する炭素原子数が3〜10のシクロアルキル基、
炭素原子数7〜30のアラルキル基、
炭素原子数6〜30のアリール基、
または置換シリル基であり、
最も好ましくは、
炭素原子数1〜20のアルキル基である。
【0017】
上記アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アリール基、アルコキシ基、アラルキルオキシ基、アリールオキシ基およびヘテロ環式化合物残基は置換基を有していてもよい。
【0018】
〜R10におけるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子を挙げることができる。
【0019】
〜R10における炭素原子数1〜20の置換または無置換のアルキル基としては、例えば、パーフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロ−n−プロピル基、パーフルオロイソプロピル基、パーフルオロ−n−ブチル基、パーフルオロ−sec−ブチル基、パーフルオロイソブチル基、パーフルオロ−tert−ブチル基、パーフルオロ−n−ペンチル基、パーフルオロイソペンチル基、パーフルオロ−tert−ペンチル基、パーフルオロネオペンチル基、パーフルオロ−n−ヘキシル基、パーフルオロ−n−ヘプチル基、パーフルオロ−n−オクチル基、パーフルオロ−n−デシル基、パーフルオロ−n−ドデシル基、パーフルオロ−n−ペンタデシル基、パーフルオロ−n−エイコシル基、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、tert−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、テキシル基、ネオヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基、n−ペンタデシル基、n−エイコシル基が挙げられる。
【0020】
、R、RおよびR10における炭素原子数1〜20の置換または無置換のアルキル基として好ましくは、n−ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、tert−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、テキシル基、ネオヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−デシル基などの炭素原子数4〜10のアルキル基であり、より好ましくは、n−ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、tert−ペンチル基、ネオペンチル基、テキシル基などの炭素原子数4〜6のアルキル基であり、さらに好ましくは、tert−ブチル基、tert−ペンチル基、テキシル基などの炭素原子数4〜6の第3級アルキル基である。
【0021】
〜RおよびR〜Rにおける炭素原子数1〜20の置換または無置換のアルキル基として好ましくは、パーフルオロメチル基、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、tert−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、テキシル基、ネオヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−デシル基などの炭素原子数1〜10のアルキル基であり、
より好ましくは、パーフルオロメチル基、メチル基、イソプロピル基、イソブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、tert−ペンチル基、ネオペンチル基、テキシル基などの炭素原子数1〜8のアルキル基であり、
さらに好ましくは、パーフルオロメチル基、メチル基、イソプロピル基、イソブチル基、tert−ブチル基といった炭素原子数1〜4のアルキル基である。
【0022】
〜R10における環を構成する炭素原子数が3〜10の置換または無置換のシクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、1−メチルシクロペンチル基、1−メチルシクロヘキシル基、1−フェニルシクロヘキシル基、1−インダニル基、2−インダニル基、ノルボルニル基、ボルニル基、メンチル基、1−アダマンチル基、2−アダマンチル基が挙げられ、
好ましくはシクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、1−メチルシクロペンチル基、1−メチルシクロヘキシル基、1−インダニル基、2−インダニル基、ノルボルニル基、ボルニル基、メンチル基、1−アダマンチル基、2−アダマンチル基などの環を構成する炭素原子数が5〜10のシクロアルキル基であり、
より好ましくは、シクロヘキシル基、1−メチルシクロヘキシル基、ノルボルニル基、ボルニル基、1−アダマンチル基、2−アダマンチル基などの、環を構成する炭素原子数が6〜10のシクロアルキル基である。これらのシクロアルキル基は、炭素原子数1〜10のハイドロカルビル基を置換基として有していてもよい。
【0023】
〜R10における炭素原子数2〜20の置換または無置換のアルケニル基としては、ビニル基、アリル基、プロペニル基、2−メチル−2−プロペニル基、ホモアリル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基などが挙げられ、好ましくは炭素原子数3〜6のアルケニル基であり、より好ましくはアリル基、ホモアリル基である。
【0024】
〜R10における炭素原子数2〜20の置換または無置換のアルキニル基としては、例えばエチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、1−ブチニル基、3−メチル−1−ブチニル基、3,3−ジメチル−1−ブチニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、1−ペンチニル基、4−メチル−1−ペンチニル基、2−ペンチニル基、3−ペンチニル基、4−ペンチニル基、4−メチル−1−ペンテニル基、1−ヘキシニル基、1−オクチニル基、フェニルエチニル基が挙げられ、好ましくは炭素原子数3〜8のアルキニル基であり、より好ましくは3−メチル−1−ブチニル基、3,3−ジメチル−1−ブチニル基、4−メチル−1−ペンテニル基またはフェニルエチニル基である。
【0025】
〜R10における炭素原子数7〜30の置換または無置換のアラルキル基としては、例えば、ベンジル基、(2−メチルフェニル)メチル基、(3−メチルフェニル)メチル基、(4−メチルフェニル)メチル基、(2,3−ジメチルフェニル)メチル基、(2,4−ジメチルフェニル)メチル基、(2,5−ジメチルフェニル)メチル基、(2,6−ジメチルフェニル)メチル基、(3,4−ジメチルフェニル)メチル基、(3,5−ジメチルフェニル)メチル基、(2,3,4−トリメチルフェニル)メチル基、(2,3,5−トリメチルフェニル)メチル基、(2,3,6−トリメチルフェニル)メチル基、(3,4,5−トリメチルフェニル)メチル基、(2,4,6−トリメチルフェニル)メチル基、(2,3,4,5−テトラメチルフェニル)メチル基、(2,3,4,6−テトラメチルフェニル)メチル基、(2,3,5,6−テトラメチルフェニル)メチル基、(ペンタメチルフェニル)メチル基、(エチルフェニル)メチル基、(n−プロピルフェニル)メチル基、(イソプロピルフェニル)メチル基、(n−ブチルフェニル)メチル基、(sec−ブチルフェニル)メチル基、(tert−ブチルフェニル)メチル基、(イソブチルフェニル)メチル基、(n−ペンチルフェニル)メチル基、(ネオペンチルフェニル)メチル基、(n−ヘキシルフェニル)メチル基、(n−オクチルフェニル)メチル基、(n−デシルフェニル)メチル基、ナフチルメチル基、アントラセニルメチル基、ジメチル(フェニル)メチル基、ジメチル(4−メチルフェニル)メチル基、ジメチル(1−ナフチル)メチル基、ジメチル(2−ナフチル)メチル基、メチル(ジフェニル)メチル基、メチルビス(4−メチルフェニル)メチル基、トリフェニルメチル基が挙げられ、
好ましくはベンジル基、ナフチルメチル基、アントラセニルメチル基、ジメチル(フェニル)メチル基、ジメチル(4−メチルフェニル)メチル基、ジメチル(1−ナフチル)メチル基、ジメチル(2−ナフチル)メチル基、メチル(ジフェニル)メチル基、メチルビス(4−メチルフェニル)メチル基、トリフェニルメチル基であり、
より好ましくは、ジメチル(フェニル)メチル基、ジメチル(4−メチルフェニル)メチル基、ジメチル(1−ナフチル)メチル基、ジメチル(2−ナフチル)メチル基、メチル(ジフェニル)メチル基、メチルビス(4−メチルフェニル)メチル基、トリフェニルメチル基などの炭素原子数9〜20の第3級アラルキル基である。
【0026】
〜RおよびR〜R10における炭素原子数6〜30の置換または無置換のアリール基としては、例えば、フェニル基、2−トリル基、3−トリル基、4−トリル基、2,3−キシリル基、2,4−キシリル基、2,5−キシリル基、2,6−キシリル基、3,4−キシリル基、3,5−キシリル基、2,3,4−トリメチルフェニル基、2,3,5−トリメチルフェニル基、2,3,6−トリメチルフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、3,4,5−トリメチルフェニル基、2,3,4,5−テトラメチルフェニル基、2,3,4,6−テトラメチルフェニル基、2,3,5,6−テトラメチルフェニル基、ペンタメチルフェニル基、エチルフェニル基、n−プロピルフェニル基、イソプロピルフェニル基、n−ブチルフェニル基、sec−ブチルフェニル基、tert−ブチルフェニル基、イソブチルフェニル基、n−ペンチルフェニル基、ネオペンチルフェニル基、n−ヘキシルフェニル基、n−オクチルフェニル基、n−デシルフェニル基、n−ドデシルフェニル基、n−テトラデシルフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、3,5−ジイソプロピルフェニル基、2,6−ジイソプロピルフェニル基、3,5−ジtert−ブチルフェニル基、2−フルオロフェニル基、3−フルオロフェニル基、4−フルオロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、2−トリフルオロメチルフェニル基、3−トリフルオロメチルフェニル基、4−トリフルオロメチルフェニル基、2,3−ジフルオロフェニル基、2,4−ジフルオロフェニル基、2,5−ジフルオロフェニル基、2,6−ジフルオロフェニル基、2−クロロフェニル基、2,3−ジクロロフェニル基、2,4−ジクロロフェニル基、2,5−ジクロロフェニル基、2−ブロモフェニル基、3−ブロモフェニル基、4−ブロモフェニル基、2,3−ジブロモフェニル基、2,4−ジブロモフェニル基、あるいは2,5−ジブロモフェニル基が挙げられ、
好ましくは、フェニル基、2−トリル基、3−トリル基、4−トリル基、2,3−キシリル基、2,4−キシリル基、2,5−キシリル基、2,6−キシリル基、3,4−キシリル基、3,5−キシリル基、2,3,4−トリメチルフェニル基、2,3,5−トリメチルフェニル基、2,3,6−トリメチルフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、3,4,5−トリメチルフェニル基、エチルフェニル基、n−プロピルフェニル基、イソプロピルフェニル基、3,5−ジイソプロピルフェニル基、2,6−ジイソプロピルフェニル基、3,5−ジtert−ブチルフェニル基などの炭素原子数6〜20のフェニル基;2−フルオロフェニル基、3−フルオロフェニル基、4−フルオロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、2,3−ジフルオロフェニル基、2,4−ジフルオロフェニル基、2,5−ジフルオロフェニル基、2,6−ジフルオロフェニル基などのフッ素化フェニル基;2−トリフルオロメチルフェニル基、3−トリフルオロメチルフェニル基、4−トリフルオロメチルフェニル基などのフッ素化アルキルフェニル基であり、
より好ましくは、フェニル基、2−トリル基、3−トリル基、4−トリル基、2,6−キシリル基、3,5−キシリル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、3,5−ジイソプロピルフェニル基、2,6−ジイソプロピルフェニル基、3,5−ジtert−ブチルフェニル基、2−フルオロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、2,3−ジフルオロフェニル基、2,4−ジフルオロフェニル基、2,5−ジフルオロフェニル基、2,6−ジフルオロフェニル基、2,4,6−トリフルオロフェニル基である。
【0027】
〜R10における置換シリル基としては、例えば、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリ−n−プロピルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリ−n−ブチルシリル基、トリイソブチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、メチルジフェニルシリル基、ジメチル(フェニル)シリル基、tert−ブチルジフェニルシリル基、トリフェニルシリル基、メチルビス(トリメチルシリル)シリル基、ジメチル(トリメチルシリル)シリル基、トリス(トリメチルシリル)シリル基が挙げられ、
好ましくはトリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリ−n−プロピルシリル基、トリイソプロピルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基などの炭素原子数3〜20のトリアルキルシリル基;メチルビス(トリメチルシリル)シリル基、ジメチル(トリメチルシリル)シリル基、トリス(トリメチルシリル)シリル基などの炭素原子数3〜20のハイドロカルビルシリル基を置換基として有するシリル基が挙げられる。
【0028】
〜R10における炭素原子数1〜20の置換または無置換のアルコキシ基としては、例えば、パーフルオロメトキシ基、パーフルオロエトキシ基、パーフルオロ−n−プロポキシ基、パーフルオロイソプロポキシ基、パーフルオロ−n−ブトキシ基、パーフルオロ−sec−ブトキシ基、パーフルオロイソブトキシ基、パーフルオロ−n−ペンチルオキシ基、パーフルオロネオペンチルオキシ基、パーフルオロ−n−ヘキシルオキシ基、パーフルオロ−n−ヘプチルオキシ基、パーフルオロ−n−オクチルオキシ基、パーフルオロ−n−デシルオキシ基、パーフルオロ−n−ドデシルオキシ基、パーフルオロ−n−ペンタデシルオキシ基、パーフルオロ−n−エイコシルオキシ基、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、イソブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、n−デシルオキシ基、n−ドデシルオキシ基、n−ペンタデシルオキシ基、n−エイコシルオキシ基が挙げられ、好ましくは炭素原子数1〜4のアルコキシ基であり、より好ましくはメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基である。
【0029】
〜R10における炭素原子数6〜30のアリールオキシ基としては、例えばフェノキシ基、2,3,4−トリメチルフェノキシ基、2,3,5−トリメチルフェノキシ基、2,3,6−トリメチルフェノキシ基、2,4,6−トリメチルフェノキシ基、3,4,5−トリメチルフェノキシ基、2,3,4,5−テトラメチルフェノキシ基、2,3,4,6−テトラメチルフェノキシ基、2,3,5,6−テトラメチルフェノキシ基、ペンタメチルフェノキシ基、2,6−ジイソプロピルフェノキシ基、2−フルオロフェノキシ基、3−フルオロフェノキシ基、4−フルオロフェノキシ基、ペンタフルオロフェノキシ基、2−トリフルオロメチルフェノキシ基、3−トリフルオロメチルフェノキシ基、4−トリフルオロメチルフェノキシ基、2,3−ジフルオロフェノキシ基、2,4−フルオロフェノキシ基、2,5−ジフルオロフェノキシ基、2−クロロフェノキシ基、2,3−ジクロロフェノキシ基、2,4−ジクロロフェノキシ基、2,5−ジクロロフェノキシ基、2−ブロモフェノキシ基、3−ブロモフェノキシ基、4−ブロモフェノキシ基、2,3−ジブロモフェノキシ基、2,4−ジブロモフェノキシ基、あるいは2,5−ジブロモフェノキシ基が挙げられ、好ましくは炭素原子数6〜14のアリールオキシ基であり、より好ましくは2,4,6−トリメチルフェノキシ基、3,4,5−トリメチルフェノキシ基、2,6−ジイソプロピルフェノキシ基、ペンタフルオロフェノキシ基である。
【0030】
〜R10における炭素原子数7〜30の置換または無置換のアラルキルオキシ基としては、例えば、ベンジルオキシ基、(2−メチルフェニル)メトキシ基、(3−メチルフェニル)メトキシ基、(4−メチルフェニル)メトキシ基、(2,3−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2,4−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2,5−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2,6−ジメチルフェニル)メトキシ基、(3,4−ジメチルフェニル)メトキシ基、(3,5−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,4−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,5−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,6−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,4,5−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,4,6−トリメチルフェニル)メトキシ基、(3,4,5−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,4,5−テトラメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,4,6−テトラメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,5,6−テトラメチルフェニル)メトキシ基、(ペンタメチルフェニル)メトキシ基、(エチルフェニル)メトキシ基、(n−プロピルフェニル)メトキシ基、(イソプロピルフェニル)メトキシ基、(n−ブチルフェニル)メトキシ基、(sec−ブチルフェニル)メトキシ基、(tert−ブチルフェニル)メトキシ基、(n−ヘキシルフェニル)メトキシ基、(n−オクチルフェニル)メトキシ基、(n−デシルフェニル)メトキシ基、(n−テトラデシルフェニル)メトキシ基、ナフチルメトキシ基、アントラセニルメトキシ基が挙げられ、好ましくは炭素原子数7〜12のアラルキルオキシ基であり、より好ましくはベンジルオキシ基である。
【0031】
〜RおよびR〜R10における環を構成する炭素原子数が3〜20の置換または無置換のヘテロ環式化合物残基としては、例えば、チエニル基、フリル基、1−ピロリル基、1−イミダゾリル基、1−ピラゾリル基、ピリジル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、2−イソインドリル基、1−インドリル基、キノリル基、ジベンゾ−1H−ピロール−1−イル基、N−カルバゾリル基が挙げられ、好ましくはチエニル基、フリル基、1−ピロリル基、ピリジル基、ピリミジニル基、2−イソインドリル基、1−インドリル基、キノリル基、ジベンゾ−1H−ピロール−1−イル基、N−カルバゾリル基である。
【0032】
上記R〜R10の定義に関わらず、RとR、RとR、RとR、RとR、RとR、RとR、RとRおよびRとR10の組み合わせのうち少なくとも1つの組み合わせでは、2つの置換基は相互に連結して環を形成してもよく、形成された環は置換基を有していてもよい。好ましくは、ベンゼン環上の2つの炭素原子を含む4〜10員環のハイドロカルビル環または複素環であり、該環は置換基を有していてもよい。
【0033】
該環として具体的には、シクロブテン環、シクロペンテン環、シクロペンタジエン環、シクロヘキセン環、シクロヘプテン環、シクロオクテン環、ベンゼン環、ナフタレン環、フラン環、2,5−ジメチルフラン環、チオフェン環、2,5−ジメチルチオフェン環、ピリジン環などが挙げられ、好ましくは、シクロペンテン環、シクロペンタジエン環、シクロヘキセン環、ベンゼン環またはナフタレン環であり、より好ましくは、RとR、RとR、RとRおよび/またはRとR10とが連結したシクロペンテン環、シクロヘキセン環、ベンゼン環、ナフタレン環である。
【0034】
Xにおけるハロゲン原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、環を構成する炭素原子数が3〜10のシクロアルキル基、炭素原子数2〜20のアルケニル基、炭素原子数7〜30のアラルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基、炭素原子数1〜20のアルコキシ基、炭素原子数7〜30のアラルキルオキシ基、炭素原子数6〜30のアリールオキシ基、置換シリル基は、R〜RおよびR〜Rにおける前記の基と同様である。
【0035】
Xにおける置換アミノ基としては、例えば、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジ−n−ブチルアミノ基、ジ−n−プロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ジベンジルアミノ基またはジフェニルアミノ基といった炭素原子数2〜14のハイドロカルビルアミノ基が挙げられ、好ましくは、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジ−n−プロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基またはジベンジルアミノ基である。
【0036】
Xにおける置換チオラート基としては、例えば、チオフェノキシ基、2,3,4−トリメチルチオフェノキシ基、2,3,5−トリメチルチオフェノキシ基、2,3,6−トリメチルチオフェノキシ基、2,4,6−トリメチルチオフェノキシ基、3,4,5−トリメチルチオフェノキシ基、2,3,4,5−テトラメチルチオフェノキシ基、2,3,4,6−テトラメチルチオフェノキシ基、2,3,5,6−テトラメチルフェノキシ基、ペンタメチルフェノキシ基、2−フルオロチオフェノキシ基、3−フルオロチオフェノキシ基、4−フルオロフェノキシ基、ペンタフルオロチオフェノキシ基、2−トリフルオロメチルチオフェノキシ基、3−トリフルオロメチルチオフェノキシ基、4−トリフルオロメチルチオフェノキシ基、2,3−ジフルオロチオフェノキシ基、2,4−フルオロチオフェノキシ基、2,5−ジフルオロチオフェノキシ基、2−クロロチオフェノキシ基、2,3−ジクロロチオフェノキシ基、2,4−ジクロロチオフェノキシ基、2,5−ジクロロチオフェノキシ基、2−ブロモチオフェノキシ基、3−ブロモチオフェノキシ基、4−ブロモチオフェノキシ基、2,3−ジブロモチオフェノキシ基、2,4−ジブロモチオフェノキシ基、あるいは2,5−ジブロモチオフェノキシ基といった炭素原子数6〜12のハイドロカルビルチオラート基が挙げられ、好ましくはチオフェノキシ基、2,4,6−トリメチルチオフェノキシ基、3,4,5−トリメチルチオフェノキシ基、2,3,4,5−テトラメチルチオフェノキシ基、2,3,4,6−テトラメチルチオフェノキシ基、2,3,5,6−テトラメチルチオフェノキシ基、ペンタメチルチオフェノキシ基、ペンタフルオロチオフェノキシ基である。
【0037】
Xにおける炭素原子数1〜20のカルボキシラート基としては、例えば、アセテート基、プロピオネート基、ブチレート基、ペンタネート基、ヘキサノエート基、2−エチルヘキサノエート基またはトリフルオロアセテート基が挙げられ、好ましくは炭素原子数2〜10のハイドロカルビルカルボキシラート基であり、より好ましくは、アセテート基、プロピオネート基、2−エチルヘキサノエート基またはトリフルオロアセテート基である。
【0038】
Xは、好ましくは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数7〜30のアラルキル基、炭素原子数1〜20のアルコキシ基、炭素原子数6〜30のアリールオキシ基、または炭素原子数1〜20のハイドロカルビルアミノ基であり、より好ましくは、塩素原子、臭素原子、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数7〜10のアラルキル基、炭素原子数1〜6のアルコキシ基、炭素原子数6〜10のアリールオキシ基、炭素原子数2〜10のハイドロカルビルアミノ基であり、さらに好ましくは、塩素原子、メチル基、エチル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、ベンジル基、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、tert−ブトキシ基、フェノキシ基ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基であり、特に好ましくは、塩素原子、メチル基、ベンジル基、イソプロポキシ基、フェノキシ基、ジメチルアミノ基であり、最も好ましくは、塩素原子、ベンジル基である。
【0039】
上記Xの定義に関わらず、2つのXは相互に連結して環を形成してもよく、形成された環は置換基を有していてもよい。
【0040】
〜R10およびXは、それぞれ独立して、ハロゲン原子、酸素原子、ケイ素原子、窒素原子、リン原子、硫黄原子を含む置換基を有していてもよい。
【0041】
Lは中性のルイス塩基を表す。Lが複数ある場合は、複数のLは同一でも異なっていてもよい。lは、0、1、または2である。
Lとしては、エーテル類、アミン類またはチオエーテル類などが挙げられ具体的には、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、1,4−ジオキサンまたはピリジンが挙げられる。Lとして好ましくは、テトラヒドロフランである。
lは好ましくは1または0であり、さらに好ましくは0である。
【0042】
式(1−1)で表される錯体の具体例としては下記の化合物が挙げられる。





【0043】
また、これらの他にも、上記化合物のジルコニウム原子に直接結合しているベンジル基を、塩素原子、メチル基、ジメチルアミノ基、イソプロポキシ基、tert−ブトキシ基、フェノキシ基に変更した化合物も挙げられる。
【0044】
さらには、上記それぞれの化合物におけるジルコニウム原子をハフニウム原子に変更した化合物も挙げられる。
【0045】
さらには、上記それぞれの化合物におけるRおよびRに相当する基を水素原子、メチル基に変更した化合物も挙げることができる。
【0046】
さらには、上記それぞれの化合物の硫黄原子を架橋するシクロオクタン環をシクロへプタン環またはシクロヘキサン環で置換した化合物も挙げることができる。
【0047】
錯体(1−1)として好ましくは下記の化合物が挙げられる。

【0048】
また、これらの他にも、上記化合物のジルコニウム原子に直接結合しているベンジル基を、塩素原子、メチル基に変更した化合物も挙げられる。
【0049】
さらには、上記それぞれの化合物におけるジルコニウム原子をハフニウム原子に変更した化合物も挙げられる。
【0050】
さらには、上記それぞれの化合物のRおよびRに相当する基を水素原子、メチル基に変更した化合物も挙げることができる。
【0051】
さらには、上記それぞれの化合物の硫黄原子を架橋するシクロオクタン環をシクロへプタン環で置換した化合物も挙げることができる。
【0052】
錯体(1−1)としてさらに好ましくは下記の化合物が挙げられる。

【0053】
また、これらの他にも、上記化合物のジルコニウム原子に直接結合しているベンジル基を、塩素原子に変更した化合物も挙げられる。
【0054】
さらには、上記それぞれの化合物のRおよびRに相当する基を、メチル基に変更した化合物も挙げることができる。
【0055】
式(1−2)で表される錯体の具体例としては下記の化合物が挙げられる。









【0056】
また、これらの他にも、上記化合物のチタン原子に直接結合しているベンジル基を、塩素原子、メチル基、ジメチルアミノ基、イソプロポキシ基、tert−ブトキシ基、フェノキシ基に変更した化合物も挙げられる。
【0057】
さらには、上記それぞれの化合物におけるRおよびRに相当する基を水素原子、メチル基に変更した化合物も挙げることができる。
【0058】
さらには、上記それぞれの化合物の硫黄原子を架橋するシクロオクタン環をシクロへプタン環またはシクロヘキサン環で置換した化合物も挙げることができる。
【0059】
錯体(1−2)として好ましくは下記の化合物が挙げられる。



【0060】
また、これらの他にも、上記化合物のチタン原子に直接結合しているベンジル基を、塩素原子、メチル基に変更した化合物も挙げられる。
【0061】
さらには、上記それぞれの化合物のRおよびRに相当する基を水素原子、メチル基に変更した化合物も挙げることができる。
【0062】
さらには、上記それぞれの化合物の硫黄原子を架橋するシクロオクタン環をシクロへプタン環またはシクロヘキサン環で置換した化合物も挙げることができる。
【0063】
錯体(1−2)としてさらに好ましくは下記の化合物が挙げられる。

【0064】
また、これらの他にも、上記化合物のチタン原子に直接結合しているベンジル基を、塩素原子に変更した化合物も挙げられる。
【0065】
さらには、上記それぞれの化合物のRおよびRに相当する基をメチル基に変更した化合物も挙げることができる。
【0066】
さらには、上記それぞれの化合物の硫黄原子を架橋するシクロオクタン環をシクロへプタン環またはシクロヘキサン環で置換した化合物も挙げることができる。
【0067】
一般式(1−1)または(1−2)で表される錯体は、例えば、Journal of American Chemical Society, 2009, Volume 131,13566-13567に記載の方法により合成することができ、具体的には一般式(2−1)で表される化合物および一般式(3−1)で表される化合物を出発原料としてScheme1−1により一般式(1−1)で表される化合物を製造することができ、一般式(2−2)で表される化合物および一般式(3−2)で表される化合物を出発原料としてScheme1−2により一般式(1−2)で表される化合物を製造することができる。なお、以下の明細書では、一般式(1−1)または(1−2)で表される錯体を一般式(1)で表される錯体、一般式(2−1)または(2−2)で表される化合物を一般式(2)で表される化合物、一般式(3−1)または(3−2)で表される化合物を一般式(3)で表される化合物と記載することもある。


Scheme1−1


Scheme1−2
【0068】
化合物(3−1)中のMおよびXは、一般式(1−1)におけるMおよびXと同様である。MXとしては、例えば、Zr(CHPh),ZrCl(CHPh),Zr(CHSiMe),ZrF,Zr Cl,ZrBr,ZrI,Zr(OMe),Zr(OEt),Zr(O−i−Pr),ZrCl(O−i−Pr),Zr(O−n−Bu),Zr(O−i−Bu),Zr(O−t−Bu),Zr(OPh),Zr(NMe),ZrCl(NMe),Zr(NEt),Hf(CHPh),HfCl(CHPh),Hf(CHSiMe),HfF,Hf Cl,HfBr,HfI,Hf(OMe),Hf(OEt),Hf(O−i−Pr),HfCl(O−i−Pr),Hf(O−n−Bu),Hf(O−i−Bu),Hf(O−t−Bu),Hf(OPh),Hf(NMe),HfCl(NMe),Hf(NEt)が挙げられる。好ましくは、Zr(CHPh),ZrCl(CHPh),Zr(CHSiMe),ZrCl,ZrBr,Zr(OMe),Zr(OEt),Zr(O−i−Pr),Zr(O−i−Bu),Zr(O−t−Bu),Zr(OPh),Zr(NMe),ZrCl(NMe),Zr(NEt),Hf(CHPh),HfCl(CHPh),Hf(CHSiMe),HfCl,HfBr,Hf(OMe),Hf(OEt),Hf(O−i−Pr),Hf(O−i−Bu),Hf(O−t−Bu),Hf(OPh),Hf(NMe),HfCl(NMe),Hf(NEt)である。
【0069】
化合物(3−2)中のXは、一般式(1−2)におけるXと同様である。TiXとしては、例えば、Ti(CHPh),TiCl(CHPh),Ti(CHSiMe),TiF,Ti Cl,TiBr,TiI,Ti(OMe),Ti(OEt),Ti(O−i−Pr),TiCl(O−i−Pr),Ti(O−n−Bu),Ti(O−i−Bu),Ti(O−t−Bu),Ti(OPh),Ti(NMe),TiCl(NMe),Ti(NEt)が挙げられる。好ましくは、Ti(CHPh),TiCl(CHPh),Ti(CHSiMe),TiCl,TiBr,Ti(OMe),Ti(OEt),Ti(O−i−Pr),Ti(O−i−Bu),Ti(O−t−Bu),Ti(OPh),Ti(NMe),TiCl(NMe),Ti(NEt)である。
【0070】
錯体(1)は、化合物(2)と化合物(3)とをそのまま反応させてもよく、必要に応じて化合物(2)を塩基と反応させた後に化合物(3)を反応させてもよい。これらの反応は通常、溶媒中で行う。用いる塩基としては、例えば有機リチウム試薬、Grignard試薬および金属水素化物が挙げられ、具体的にはn−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド、リチウムヘキサメチルジシラザン、カリウムヘキサメチルジシラザン、水素化ナトリウムまたは水素化カリウムを挙げることができ、好ましくは、n−ブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド、カリウムヘキサメチルジシラザン、水素化ナトリウムまたは水素化カリウムである。
【0071】
化合物(2)と塩基を反応させて得られる化合物、化合物(1)および化合物(3)は、通常空気および湿気に対して不安定であるため、これらの反応は脱水脱酸素下で行うことが好ましい。具体的には、乾燥窒素または乾燥アルゴン下である。
【0072】
化合物(2)の使用量は、化合物(3)に対して1モル当量以上であればよく、好ましくは、1.0〜1.5モル当量の範囲で用いればよい。また、反応の過程で化合物(2)が残存する場合は、反応の途中で化合物(3)を追加してもよい。
【0073】
化合物(2)と化合物(3)とを反応させる温度は、−100℃〜150℃の温度範囲であり、好ましくは−80℃〜50℃の温度範囲である。ただし、この範囲に限定される意図ではない。
【0074】
化合物(2)と化合物(3)との反応は、生成物の収率が最も高くなる時間まで反応を行えばよく、好ましくは5分間〜48時間であり、より好ましくは10分間〜24時間である。
【0075】
化合物(2)と塩基とを反応させる温度は−100℃〜150℃の温度範囲であり、好ましくは−80℃〜50℃の温度範囲である。ただし、この範囲に限定される意図ではない。
【0076】
化合物(2)と塩基とを反応させる時間は、生成物の収率が最も高くなる時間まで反応を行えばよく、5分間〜24時間であり、好ましくは10分間〜12時間、より好ましくは30分間〜3時間である。
【0077】
化合物(2)と塩基とを反応させて生じた化合物と、化合物(3)とを反応させる温度は、−100℃〜150℃の温度範囲であり、好ましくは−80℃〜50℃の温度範囲ある。ただし、この範囲に限定される意図ではない。
【0078】
化合物(2)と塩基とを反応させて生じた化合物と、化合物(3)とを反応させる時間は、生成物の収率が最も高くなる時間まで反応を行えばよく、5分間〜48時間であり、好ましくは10分間〜24時間である。
【0079】
用いる溶媒は、類似の反応で一般的に用いられる溶媒であれば特に制限されるものではなく、ハイドロカーボン溶媒またはエーテル系溶媒が挙げられる。好ましくは、トルエン、ベンゼン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、ヘキサン、ペンタン、ヘプタン、シクロヘキサン、ジエチルエーテルまたはテトラヒドロフランであり、より好ましくは、ジエチルエーテル、トルエン、テトラヒドロフラン、ヘキサン、ペンタン、ヘプタン、またはシクロヘキサンである。
【0080】
化合物(2)は、例えば、Journal of American Chemical Society, 2009, Volume 131,13566-13567に記載の方法に準じて合成することができる。具体的には下記scheme2により製造することができるが、本方法に限定されるべきものではない。以下各工程について詳しく説明する。
【0081】

scheme 2
【0082】
scheme 2における各化合物中のR〜R10およびnは、錯体(1)のR〜R10およびnと同様である。
【0083】
以下の明細書では、一般式(5−1)または(5−2)で表される化合物を一般式(5)で表される化合物、一般式(6−1)または(6−2)で表される化合物を一般式(6)で表される化合物、一般式(7−1)または(7−2)で表される化合物を一般式(7)で表される化合物と記載することもある。
【0084】
X’はアニオン性脱離基を表し、例えばハロゲン原子、アセテート基、トリフルオロアセテート基、ベンゾエート基、CF3SO3基、CH3SO3基、4−MeC64SO3基またはPhSO3基などであり、好ましくは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、CF3SO3基、CH3SO3基、4−MeC64SO3基またはPhSO3基である。
【0085】
[step1]
化合物(4)に1.0〜4.0当量、好ましくは1.0〜1.5当量の化合物(5)を塩基存在下で反応させ、化合物(6)を合成することができる。
【0086】
塩基としては、特に限定されるべきものではないが、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムおよび炭酸水素カルシウム等の無機塩基、ならびにトリエチルアミンおよびトリイソブチルアミン等のアミン塩基が挙げられ、好ましくはアミン塩基である。
【0087】
本反応は、空気、ヘリウム、アルゴンまたは窒素雰囲気下で行うことができる。好ましくは、ヘリウム、アルゴンまたは窒素雰囲気下、より好ましくは、窒素またはアルゴン雰囲気下である。
【0088】
反応終了後、必要に応じて化合物(6)を精製してもよい。精製方法としては、例えば、反応溶液に対して塩化アンモニウム水溶液、塩酸水溶液または塩化ナトリウム水溶液を加え、次に酢酸エチルまたはジエチルエーテルを加え、抽出操作を行い、過剰の塩基または塩を除去する方法が挙げられる。さらに蒸留、再結晶またはシリカゲルクロマトグラフィー等の精製操作により、純度を高めることができる。
【0089】
[step2]
化合物(6)に1.0〜4.0当量、好ましくは1.0〜1.5当量の化合物(7)を塩基存在下で反応させ、化合物(2)を合成することができる。
【0090】
塩基としては、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムおよび炭酸水素カルシウム等の無機塩基、ならびにトリエチルアミンおよびトリイソブチルアミン等のアミン塩基が挙げられ、好ましくはアミン塩基である。
【0091】
本反応は、空気、ヘリウム、アルゴンまたは窒素雰囲気下で行うことができる。好ましくは、ヘリウム、アルゴンまたは窒素雰囲気下、より好ましくは、窒素またはアルゴン雰囲気下である。
【0092】
反応終了後、必要に応じて化合物(2)を精製してもよい。精製方法としては、例えば、反応溶液に対して塩化アンモニウム水溶液、塩酸水溶液または塩化ナトリウム水溶液を加え、次に酢酸エチルまたはジエチルエーテルを加え、抽出操作を行い、過剰の塩基または塩を除去する方法が挙げられる。さらに蒸留、再結晶またはシリカゲルクロマトグラフィー等の精製操作により、純度を高めることができる。
【0093】
[step1]の反応条件を制御することで、反応器内で生成した化合物(6)と化合物(7)とを反応させ、化合物(2)を得ることもできる。
【0094】
がR(またはRがR10)と同じであり、R2がRと同じであり、R3がR7と同じであり、かつR4がR8と同じである場合、化合物(5)と化合物(7)を合わせて、化合物(4)に対して2.0〜8.0当量、好ましくは2.0〜4.0当量を塩基存在下で化合物(4)と反応させることで、化合物(2)を合成することもできる。
【0095】
式(2−1)で表される化合物の具体例としては下記の化合物が挙げられるが、これらの化合物に限定される意図ではない。





【0096】
また、これらの他にも、上記化合物のRおよびRに相当する基を水素原子、メチル基で置換した化合物も挙げることができる。
【0097】
さらには、これらの化合物の硫黄原子間を架橋するシクロオクタン環をシクロへプタン環またはシクロヘキサン環で置換した化合物も挙げることができる。
【0098】
式(2−2)で表される化合物の具体例としては、上記化合物(2−1)の具体例に加えて、下記の化合物およびこれらの化合物のRおよびRに相当する基を水素原子、メチル基で置換した化合物が挙げられる。
【0099】



【0100】
さらには、これらの化合物の硫黄原子間を架橋するシクロオクタン環をシクロへプタン環またはシクロヘキサン環で置換した化合物も挙げることができる。
【0101】
化合物(5−1)および化合物(7−1)の具体例としては下記の化合物が挙げられるが、これらの化合物に限定される意図ではない。



【0102】
また、これらの他にも、上記化合物のRまたはRに相当する基を水素原子、メチル基で置換した化合物も挙げることができる。
【0103】
化合物(5−2)および化合物(7−2)の具体例としては、上記化合物(5−1)および化合物(7−1)の具体例に加えて、下記の化合物およびこれらの化合物のRおよびRに相当する基を水素原子、メチル基で置換した化合物が挙げられる。
【0104】

【0105】
成分(A2)
以下、成分(A2)について説明する。成分(A2)は、下記一般式(8)で表される遷移金属化合物またはそのμ−オキソタイプの遷移金属化合物二量体である。


(式中、Mは周期律表第4〜11族の遷移金属原子である。Cpは、シクロペンタジエン型アニオン骨格を有する基であり、Zは、シクロペンタジエン型アニオン骨格を有する基またはヘテロ原子を含有する基である。Qは、シクロペンタジエニル基とZを連結する架橋基である。CpおよびZが、いずれもシクロペンタジエン型アニオン骨格を有する基である場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
は、それぞれ独立して、
水素原子、
ハロゲン原子、
炭素原子数1〜20のアルキル基、
環を構成する炭素原子数が3〜10のシクロアルキル基、
炭素原子数2〜20のアルケニル基、
炭素原子数7〜30のアラルキル基、
炭素原子数6〜30のアリール基、
炭素原子数1〜20のアルコキシ基、
炭素原子数7〜30のアラルキルオキシ基、
炭素原子数6〜30のアリールオキシ基、
置換シリル基、
置換アミノ基、
置換チオラート基、または
炭素原子数1〜20のカルボキシラート基を表す。
a’は1≦a’≦3を満足する数である。)
【0106】
は周期律表第4〜11族の遷移金属原子であり、好ましくは、周期律表第4族の遷移金属原子であり、具体的にはチタニウム原子、ジルコニウム原子、ハフニウム原子であり、特に好ましくはチタニウム原子およびジルコニウム原子である。
【0107】
CpまたはZにおけるシクロペンタジエン型アニオン骨格を有する基としては、例えば、置換または無置換のシクロペンタジエニル基、置換または無置換のインデニル基、置換または無置換のフルオレニル基を挙げることができる。具体的には、シクロペンタジエニル基、メチルシクロペンタジエニル基、エチルシクロペンタジエニル基、n−ブチルシクロペンタジエニル基、tert−ブチルシクロペンタジエニル基、ジメチルシクロペンタジエニル基、エチル(メチル)シクロペンタジエニル基、tert−ブチル(メチル)シクロペンタジエニル基、イソプロピル(メチル)シクロペンタジエニル基、メチル(n−ブチル)シクロペンタジエニル基、トリメチルシクロペンタジエニル基、テトラメチルシクロペンタジエニル基、インデニル基、4,5,6,7−テトラヒドロインデニル基、2−メチルインデニル基、3−メチルインデニル基、4−メチルインデニル基、5−メチルインデニル基、6−メチルインデニル基、7−メチルインデニル基、2−tert−ブチルインデニル基、3−tert−ブチルインデニル基、4−tert−ブチルインデニル基、5−tert−ブチルインデニル基、6−tert−ブチルインデニル基、7−tert−ブチルインデニル基、2,3−ジメチルインデニル基、4,7−ジメチルインデニル基、2,4,7−トリメチルインデニル基、2−メチル−4−イソプロピルインデニル基、4,5−ベンズインデニル基、2−メチル−4,5−ベンズインデニル基、4−フェニルインデニル基、2−メチル−5−フェニルインデニル基、2−メチル−4−フェニルインデニル基、2−メチル−4−ナフチルインデニル基、フルオレニル基、2,7−ジメチルフルオレニル基および2,7−ジ−tert−ブチルフルオレニル基を例示することができる。
【0108】
CpまたはZにおけるシクロペンタジエン型アニオン骨格を有する基がMに配位する原子数ηは、シクロペンタジエン型アニオン骨格を有する基がとり得るいずれの値でもよいが、好ましくは5、3または1であり、より好ましくは5または3である。
【0109】
Zが、シクロペンタジエン型アニオン骨格を有する基である場合、CpおよびZは同一でも異なっていてもよい。
【0110】
Zはヘテロ原子を含有する基であってもよく、例えば、−O−、−S−、−NR−、−PR−、下記式(i)〜(iv)のいずれかで表される基を表す。また、Zに含まれる原子のうち、Mと結合を形成する原子は、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、リン原子である。
【0111】

【0112】
前記R、Rはそれぞれ独立して
水素原子、
ハロゲン原子、
炭素原子数1〜20のアルキル基、
環を構成する炭素原子数が3〜10のシクロアルキル基、
炭素原子数2〜20のアルケニル基、
炭素原子数2〜20のアルキニル基、
炭素原子数7〜30のアラルキル基、
炭素原子数6〜30のアリール基、
炭素原子数1〜20のアルコキシ基、
炭素原子数7〜30のアラルキルオキシ基、
炭素原子数6〜30のアリールオキシ基、
置換シリル基、または
環を構成する炭素原子数が3〜20のヘテロ環式化合物残基を表す。R、Rにおける上記アルキル基、上記シクロアルキル基、上記アルケニル基、上記アルキニル基、上記アラルキル基、上記アリール基、上記アルコキシ基、上記アラルキルオキシ基、上記アリールオキシ基および上記へテロ環式化合物残基はそれぞれ置換基を有していてもよい。
【0113】
として好ましくは、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数7〜30のアラルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基または置換シリル基である。
【0114】
として好ましくは、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数7〜30のアラルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基、炭素原子数1〜20のアルコキシ基、炭素原子数7〜30のアラルキルオキシ基、炭素原子数6〜30のアリールオキシ基または置換シリル基である。また、隣接する2つのR同士は互いに連結して環を形成していてもよい。
【0115】
Zにおけるヘテロ原子を含有する基として、好ましくは、−NR−および前記式(i)で表される基である。
【0116】
Qは、CpとZを架橋する基であり、例えば、メチレン基、エチレン基およびプロピレン基等のアルキレン基;ジメチルメチレン基(イソプロピリデン基)およびジフェニルメチレン基等の置換アルキレン基;シリレン基、ジメチルシリレン基、ジエチルシリレン基、ジフェニルシリレン基、テトラメチルジシリレン基、およびジメトキシシリレン基等の置換シリレン基;窒素原子、酸素原子、硫黄原子、およびリン原子等のヘテロ原子を例示することができる。好ましくは、メチレン基、エチレン基、ジメチルメチレン基(イソプロピリデン基)、ジフェニルメチレン基、ジメチルシリレン基、ジエチルシリレン基、ジフェニルシリレン基またはジメトキシシリレン基である。
【0117】
のハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、およびヨウ素原子を挙げることができる。
【0118】
における炭素原子数1〜20のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、アミル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基、n−ペンタデシル基、およびn−エイコシル基を挙げることができ、なかでも、より好ましくはメチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、イソブチル基またはアミル基である。これらのアルキル基はいずれも、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、およびヨウ素原子等のハロゲン原子を置換基として有していてもよい。ハロゲン原子を置換基として有しているアルキル基としては、例えば、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、クロロメチル基、トリクロロメチル基、フルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロオクチル基、パークロロプロピル基、パークロロブチル基、およびパーブロモプロピル基を挙げることができる。またこれらのアルキル基は、メトキシ基およびエトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基またはベンジルオキシ基等のアラルキルオキシ基等を置換基として有していてもよい。
【0119】
における炭素原子数7〜30、好ましくは炭素原子数7〜20のアラルキル基としては、例えば、ベンジル基、(2−メチルフェニル)メチル基、(3−メチルフェニル)メチル基、(4−メチルフェニル)メチル基、(2,3−ジメチルフェニル)メチル基、(2,4−ジメチルフェニル)メチル基、(2,5−ジメチルフェニル)メチル基、(2,6−ジメチルフェニル)メチル基、(3,4−ジメチルフェニル)メチル基、(3,5−ジメチルフェニル)メチル基、(2,3,4−トリメチルフェニル)メチル基、(2,3,5−トリメチルフェニル)メチル基、(2,3,6−トリメチルフェニル)メチル基、(3,4,5−トリメチルフェニル)メチル基、(2,4,6−トリメチルフェニル)メチル基、(2,3,4,5−テトラメチルフェニル)メチル基、(2,3,4,6−テトラメチルフェニル)メチル基、(2,3,5,6−テトラメチルフェニル)メチル基、(ペンタメチルフェニル)メチル基、(エチルフェニル)メチル基、(n−プロピルフェニル)メチル基、(イソプロピルフェニル)メチル基、(n−ブチルフェニル)メチル基、(sec−ブチルフェニル)メチル基、(tert−ブチルフェニル)メチル基、(n−ペンチルフェニル)メチル基、(ネオペンチルフェニル)メチル基、(n−ヘキシルフェニル)メチル基、(n−オクチルフェニル)メチル基、(n−デシルフェニル)メチル基、(n−ドデシルフェニル)メチル基、ナフチルメチル基、およびアントラセニルメチル基を挙げることができ、より好ましくはベンジル基である。これらのアラルキル基は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、およびヨウ素原子等のハロゲン原子、メトキシ基およびエトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基またはベンジルオキシ基等のアラルキルオキシ基等を置換基として有していてもよい。
【0120】
における炭素原子数6〜30、好ましくは炭素原子数6〜20のアリール基としては、例えば、フェニル基、2−トリル基、3−トリル基、4−トリル基、2,3−キシリル基、2,4−キシリル基、2,5−キシリル基、2,6−キシリル基、3,4−キシリル基、3,5−キシリル基、2,3,4−トリメチルフェニル基、2,3,5−トリメチルフェニル基、2,3,6−トリメチルフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、3,4,5−トリメチルフェニル基、2,3,4,5−テトラメチルフェニル基、2,3,4,6−テトラメチルフェニル基、2,3,5,6−テトラメチルフェニル基、ペンタメチルフェニル基、エチルフェニル基、n−プロピルフェニル基、イソプロピルフェニル基、n−ブチルフェニル基、sec−ブチルフェニル基、tert−ブチルフェニル基、n−ペンチルフェニル基、ネオペンチルフェニル基、n−ヘキシルフェニル基、n−オクチルフェニル基、n−デシルフェニル基、n−ドデシルフェニル基、n−テトラデシルフェニル基、ナフチル基、およびアントラセニル基を挙げることができ、より好ましくはフェニル基である。これらのアリール基は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、メトキシ基およびエトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基またはベンジルオキシ基等のアラルキルオキシ基等を置換基として有していてもよい。
【0121】
における炭素原子数2〜20、好ましくは炭素原子数3〜20のアルケニル基としては、例えば、アリル基、メタリル基、クロチル基、1,3−ジフェニル−2−プロペニル基を挙げることができ、なかでも、より好ましくはアリル基またはメタリル基である。
【0122】
における炭素原子数1〜20のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペントキシ基、ネオペントキシ基、n−ヘキソキシ基、n−オクトキシ基、n−ドデソキシ基、n−ペンタデソキシ基、およびn−イコソキシ基を挙げることができ、なかでも、好ましくはメトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、またはtert−ブトキシ基である。これらのアルコキシ基は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子等のハロゲン原子、メトキシ基およびエトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基またはベンジルオキシ基等のアラルキルオキシ基等を置換基として有していてもよい。
【0123】
における炭素原子数7〜30、好ましくは炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基としては、例えば、ベンジルオキシ基、(2−メチルフェニル)メトキシ基、(3−メチルフェニル)メトキシ基、(4−メチルフェニル)メトキシ基、(2、3−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2、4−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2、5−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2、6−ジメチルフェニル)メトキシ基、(3,4−ジメチルフェニル)メトキシ基、(3,5−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,4−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,5−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,6−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,4,5−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,4,6−トリメチルフェニル)メトキシ基、(3,4,5−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,4,5−テトラメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,4,6−テトラメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,5,6−テトラメチルフェニル)メトキシ基、(ペンタメチルフェニル)メトキシ基、(エチルフェニル)メトキシ基、(n−プロピルフェニル)メトキシ基、(イソプロピルフェニル)メトキシ基、(n−ブチルフェニル)メトキシ基、(sec−ブチルフェニル)メトキシ基、(tert−ブチルフェニル)メトキシ基、(n−ヘキシルフェニル)メトキシ基、(n−オクチルフェニル)メトキシ基、(n−デシルフェニル)メトキシ基、ナフチルメトキシ基、およびアントラセニルメトキシ基を挙げることができ、なかでも、より好ましくはベンジルオキシ基である。これらのアラルキルオキシ基は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子等のハロゲン原子、メトキシ基およびエトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基またはベンジルオキシ基等のアラルキルオキシ基等を置換基として有していてもよい。
【0124】
における炭素原子数6〜30、好ましくは炭素原子数6〜20のアリールオキシ基としては、例えば、フェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、3−メチルフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基、2、3−ジメチルフェノキシ基、2、4−ジメチルフェノキシ基、2、5−ジメチルフェノキシ基、2、6−ジメチルフェノキシ基、3,4−ジメチルフェノキシ基、3,5−ジメチルフェノキシ基、2−tert−ブチル−3−メチルフェノキシ基、2−tert−ブチル−4−メチルフェノキシ基、2−tert−ブチル−5−メチルフェノキシ基、2−tert−ブチル−6−メチルフェノキシ基、2,3,4−トリメチルフェノキシ基、2,3,5−トリメチルフェノキシ基、2,3,6−トリメチルフェノキシ基、2,4,5−トリメチルフェノキシ基、2,4,6−トリメチルフェノキシ基、2−tert−ブチル−3,4−ジメチルフェノキシ基、2−tert−ブチル−3,5−ジメチルフェノキシ基、2−tert−ブチル−3,6−ジメチルフェノキシ基、2,6−ジ−tert−ブチル−3−メチルフェノキシ基、2−tert−ブチル−4,5−ジメチルフェノキシ基、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノキシ基、3,4,5−トリメチルフェノキシ基、2,3,4,5−テトラメチルフェノキシ基、2−tert−ブチル−3,4,5−トリメチルフェノキシ基、2,3,4,6−テトラメチルフェノキシ基、2−tert−ブチル−3,4,6−トリメチルフェノキシ基、2,6−ジ−tert−ブチル−3,4−ジメチルフェノキシ基、2,3,5,6−テトラメチルフェノキシ基、2−tert−ブチル−3,5,6−トリメチルフェノキシ基、2,6−ジ−tert−ブチル−3,5−ジメチルフェノキシ基、ペンタメチルフェノキシ基、エチルフェノキシ基、n−プロピルフェノキシ基、イソプロピルフェノキシ基、n−ブチルフェノキシ基、sec−ブチルフェノキシ基、tert−ブチルフェノキシ基、n−ヘキシルフェノキシ基、n−オクチルフェノキシ基、n−デシルフェノキシ基、n−テトラデシルフェノキシ基、ナフトキシ基、およびアントラセノキシ基を挙げることができる。これらのアリールオキシ基は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子等のハロゲン原子、メトキシ基およびエトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基またはベンジルオキシ基等のアラルキルオキシ基等を置換基として有していてもよい。
【0125】
における置換シリル基としては、例えば、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリ−n−プロピルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリ−n−ブチルシリル基、トリイソブチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、メチルジフェニルシリル基、ジメチル(フェニル)シリル基、tert−ブチルジフェニルシリル基、トリフェニルシリル基、メチルビス(トリメチルシリル)シリル基、ジメチル(トリメチルシリル)シリル基、トリス(トリメチルシリル)シリル基が挙げられ、
好ましくはトリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリ−n−プロピルシリル基、トリイソプロピルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基などの炭素原子数3〜20のトリアルキルシリル基;メチルビス(トリメチルシリル)シリル基、ジメチル(トリメチルシリル)シリル基、トリス(トリメチルシリル)シリル基などの炭素原子数3〜20のハイドロカルビルシリル基を置換基として有するシリル基が挙げられる。
【0126】
Xにおける置換アミノ基としては、例えば、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジ−n−ブチルアミノ基、ジ−n−プロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ジベンジルアミノ基またはジフェニルアミノ基といった炭素原子数2〜14のハイドロカルビルアミノ基が挙げられ、好ましくは、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジ−n−プロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基またはジベンジルアミノ基である。
【0127】
Xにおける置換チオラート基としては、例えば、チオフェノキシ基、2,3,4−トリメチルチオフェノキシ基、2,3,5−トリメチルチオフェノキシ基、2,3,6−トリメチルチオフェノキシ基、2,4,6−トリメチルチオフェノキシ基、3,4,5−トリメチルチオフェノキシ基、2,3,4,5−テトラメチルチオフェノキシ基、2,3,4,6−テトラメチルチオフェノキシ基、2,3,5,6−テトラメチルフェノキシ基、ペンタメチルフェノキシ基、2−フルオロチオフェノキシ基、3−フルオロチオフェノキシ基、4−フルオロフェノキシ基、ペンタフルオロチオフェノキシ基、2−トリフルオロメチルチオフェノキシ基、3−トリフルオロメチルチオフェノキシ基、4−トリフルオロメチルチオフェノキシ基、2,3−ジフルオロチオフェノキシ基、2,4−フルオロチオフェノキシ基、2,5−ジフルオロチオフェノキシ基、2−クロロチオフェノキシ基、2,3−ジクロロチオフェノキシ基、2,4−ジクロロチオフェノキシ基、2,5−ジクロロチオフェノキシ基、2−ブロモチオフェノキシ基、3−ブロモチオフェノキシ基、4−ブロモチオフェノキシ基、2,3−ジブロモチオフェノキシ基、2,4−ジブロモチオフェノキシ基、あるいは2,5−ジブロモチオフェノキシ基といった炭素原子数6〜12のハイドロカルビルチオラート基が挙げられ、好ましくはチオフェノキシ基、2,4,6−トリメチルチオフェノキシ基、3,4,5−トリメチルチオフェノキシ基、2,3,4,5−テトラメチルチオフェノキシ基、2,3,4,6−テトラメチルチオフェノキシ基、2,3,5,6−テトラメチルチオフェノキシ基、ペンタメチルチオフェノキシ基、ペンタフルオロチオフェノキシ基である。
【0128】
Xにおける炭素原子数1〜20のカルボキシラート基としては、例えば、アセテート基、プロピオネート基、ブチレート基、ペンタネート基、ヘキサノエート基、2−エチルヘキサノエート基またはトリフルオロアセテート基が挙げられ、好ましくは炭素原子数2〜10のハイドロカルビルカルボキシラート基であり、より好ましくは、アセテート基、プロピオネート基、2−エチルヘキサノエート基またはトリフルオロアセテート基である。
【0129】
として、好ましくは塩素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、トリフルオロメトキシ基、フェニル基、フェノキシ基、2,6−ジ−tert−ブチルフェノキシ基、3,4,5−トリフルオロフェノキシ基、ペンタフルオロフェノキシ基、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−ペンタフルオロフェニルフェノキシ基またはベンジル基である。
【0130】
式(8)におけるa’は1≦a’≦3を満たす数であり、Mの価数に応じて適宜選択される。Mがチタン原子、ジルコニウム原子またはハフニウム原子である場合、a’は2であることが好ましい。
【0131】
遷移金属原子がチタン原子である式(8)で表される化合物としては、例えば、
【0132】
ジメチルシリレンビス(シクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−メチルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレンビス(3−メチルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−n−ブチルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレンビス(3−n−ブチルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレンビス(2,3−ジメチルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレンビス(2,4−ジメチルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレンビス(2,5−ジメチルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレンビス(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレンビス(2,3−エチルメチルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレンビス(2,4−エチルメチルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレンビス(2,5−エチルメチルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレンビス(3,5−エチルメチルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレンビス(2,3,4−トリメチルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレンビス(2,3,5−トリメチルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレンビス(テトラメチルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、
【0133】
ジメチルシリレンビス(インデニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−メチルインデニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−tert−ブチルインデニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレンビス(2,3−ジメチルインデニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレンビス(2,4,7−トリメチルインデニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−メチル−4−イソプロピルインデニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレンビス(4,5−ベンズインデニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−メチル−4,5−ベンズインデニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−フェニルインデニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレンビス(4−フェニルインデニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−メチル−4−フェニルインデニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−メチル−5−フェニルインデニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−メチル−4−ナフチルインデニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレンビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)チタンジクロライド、
【0134】
ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(インデニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(メチルシクロペンタジエニル)(インデニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(n−ブチルシクロペンタジエニル)(インデニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(インデニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(メチルシクロペンタジエニル)(フルオレニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(n−ブチルシクロペンタジエニル)(フルオレニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(インデニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(インデニル)(フルオレニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレンビス(フルオレニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(テトラメチルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(フルオレニル)チタンジクロライド、
【0135】
ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3−メチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3,5−ジメチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3,5−ジ−tert−ブチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(5−メチル−3−フェニル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3−tert−ブチルジメチルシリル−5−メチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(5−メチル−3−トリメチルシリル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メトキシ−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−クロロ−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3,5−ジアミル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3−フェニル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(1−ナフトキシ−2−イル)チタンジクロライド、
【0136】
ジメチルシリレン(メチルシクロペンタジエニル)(2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(メチルシクロペンタジエニル)(3−メチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(メチルシクロペンタジエニル)(3,5−ジメチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(メチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(メチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(メチルシクロペンタジエニル)(3,5−ジ−tert−ブチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(メチルシクロペンタジエニル)(5−メチル−3−フェニル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(メチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチルジメチルシリル−5−メチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(メチルシクロペンタジエニル)(5−メチル−3−トリメチルシリル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(メチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メトキシ−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(メチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−クロロ−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(メチルシクロペンタジエニル)(3,5−ジアミル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(メチルシクロペンタジエニル)(3−フェニル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(メチルシクロペンタジエニル)(1−ナフトキシ−2−イル)チタンジクロライド、
【0137】
ジメチルシリレン(n−ブチルシクロペンタジエニル)(2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(n−ブチルシクロペンタジエニル)(3−メチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(n−ブチルシクロペンタジエニル)(3,5−ジメチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(n−ブチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(n−ブチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(n−ブチルシクロペンタジエニル)(3,5−ジ−tert−ブチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(n−ブチルシクロペンタジエニル)(5−メチル−3−フェニル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(n−ブチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチルジメチルシリル−5−メチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(n−ブチルシクロペンタジエニル)(5−メチル−3−トリメチルシリル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(n−ブチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メトキシ−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(n−ブチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−クロロ−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(n−ブチルシクロペンタジエニル)(3,5−ジアミル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(n−ブチルシクロペンタジエニル)(3−フェニル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(n−ブチルシクロペンタジエニル)(1−ナフトキシ−2−イル)チタンジクロライド、
【0138】
ジメチルシリレン(tert−ブチルシクロペンタジエニル)(2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(tert−ブチルシクロペンタジエニル)(3−メチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(tert−ブチルシクロペンタジエニル)(3,5−ジメチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(tert−ブチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(tert−ブチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(tert−ブチルシクロペンタジエニル)(3,5−ジ−tert−ブチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(tert−ブチルシクロペンタジエニル)(5−メチル−3−フェニル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(tert−ブチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチルジメチルシリル−5−メチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(tert−ブチルシクロペンタジエニル)(5−メチル−3−トリメチルシリル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(tert−ブチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メトキシ−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(tert−ブチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−クロロ−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(tert−ブチルシクロペンタジエニル)(3,5−ジアミル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(tert−ブチルシクロペンタジエニル)(3−フェニル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(tert−ブチルシクロペンタジエニル)(1−ナフトキシ−2−イル)チタンジクロライド、
【0139】
ジメチルシリレン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−メチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(3,5−ジメチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(3,5−ジ−tert−ブチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(5−メチル−3−フェニル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチルジメチルシリル−5−メチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(5−メチル−3−トリメチルシリル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メトキシ−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−クロロ−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(3,5−ジアミル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−フェニル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(1−ナフトキシ−2−イル)チタンジクロライド、
【0140】
ジメチルシリレン(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)(2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)(3−メチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)(3,5−ジメチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)(3,5−ジ−tert−ブチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)(5−メチル−3−フェニル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチルジメチルシリル−5−メチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)(5−メチル−3−トリメチルシリル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メトキシ−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−クロロ−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)(3,5−ジアミル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)(3−フェニル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)(1−ナフトキシ−2−イル)チタンジクロライド、
【0141】
ジメチルシリレン(インデニル)(2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(インデニル)(3−メチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(インデニル)(3,5−ジメチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(インデニル)(3−tert−ブチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(インデニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(インデニル)(3,5−ジ−tert−ブチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(インデニル)(5−メチル−3−フェニル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(インデニル)(3−tert−ブチルジメチルシリル−5−メチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(インデニル)(5−メチル−3−トリメチルシリル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(インデニル)(3−tert−ブチル−5−メトキシ−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(インデニル)(3−tert−ブチル−5−クロロ−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(インデニル)(3,5−ジアミル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(インデニル)(3−フェニル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(インデニル)(1−ナフトキシ−2−イル)チタンジクロライド、
【0142】
ジメチルシリレン(フルオレニル)(2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(フルオレニル)(3−メチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(フルオレニル)(3,5−ジメチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(フルオレニル)(3−tert−ブチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(フルオレニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(フルオレニル)(3,5−ジ−tert−ブチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(フルオレニル)(5−メチル−3−フェニル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(フルオレニル)(3−tert−ブチルジメチルシリル−5−メチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(フルオレニル)(5−メチル−3−トリメチルシリル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(フルオレニル)(3−tert−ブチル−5−メトキシ−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(フルオレニル)(3−tert−ブチル−5−クロロ−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(フルオレニル)(3,5−ジアミル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(フルオレニル)(3−フェニル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(フルオレニル)(1−ナフトキシ−2−イル)チタンジクロライド、
【0143】
(tert−ブチルアミド)テトラメチルシクロペンタジエニル−1,2−エタンジイルチタンジクロライド、(メチルアミド)テトラメチルシクロペンタジエニル−1,2−エタンジイルチタンジクロライド、(エチルアミド)テトラメチルシクロペンタジエニル−1,2−エタンジイルチタンジクロライド、(tert−ブチルアミド)テトラメチルシクロペンタジエニルジメチルシランチタンジクロライド、(ベンジルアミド)テトラメチルシクロペンタジエニルジメチルシランチタンジクロライド、(フェニルフォスファイド)テトラメチルシクロペンタジエニルジメチルシランチタンジクロライド、(tert−ブチルアミド)インデニル−1,2−エタンジイルチタンジクロライド、(tert−ブチルアミド)テトラヒドロインデニル−1,2−エタンジイルチタンジクロライド、(tert−ブチルアミド)フルオレニル−1,2−エタンジイルチタンジクロライド、(tert−ブチルアミド)インデニルジメチルシランチタンジクロライド、(tert−ブチルアミド)テトラヒドロインデニルジメチルシランチタンジクロライド、(tert−ブチルアミド)フルオレニルジメチルシランチタンジクロライド、が挙げられる
【0144】
また、上記化合物の「チタン」を「ジルコニウム」または「ハフニウム」に置き換えた化合物、「(2−フェノキシ)」を「(3−フェニル−2−フェノキシ)」、「(3−トリメチルシリル−2−フェノキシ)」、または「(3−tert−ブチルジメチルシリル−2−フェノキシ)」に置き換えた化合物、「ジメチルシリレン」を「メチレン」、「エチレン」、「ジメチルメチレン(イソプロピリデン)」、「ジフェニルメチレン」、「ジエチルシリレン」、「ジフェニルシリレン」、または「ジメトキシシリレン」に置き換えた化合物、「ジクロライド」を「ジフルオライド」、「ジブロマイド」、「ジアイオダイド」、「ジメチル」、「ジエチル」、「ジイソプロピル」、「ジフェニル」、「ジベンジル」、「ジメトキシド」、「ジエトキシド」、「ジ(n−プロポキシド)」、「ジ(イソプロポキシド)」、「ジフェノキシド」、または「ジ(ペンタフルオロフェノキシド)」に置き換えた化合物も、式(8)で表される遷移金属化合物の例として挙げることができる。
【0145】
式(8)で表される遷移金属化合物は一種類のみを用いても、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0146】
本発明で用いる成分(A2)として、上記式(8)におけるMがジルコニウムの化合物が好ましく、特に式(8)におけるZがシクロペンタジエン型アニオン骨格を有する基であり、Qがアルキレン基、置換アルキレン基、置換シリレン基であるジルコニウム化合物が特に好ましい。
【0147】
式(8)で表される遷移金属化合物は、特開平6−340684号公報、特開平7−258321号公報、国際特許公開第95/00562号明細書などに記載の製造方法によって製造することが可能である。
【0148】
活性化用助触媒成分(B)
活性化用助触媒成分は、成分(A1)と、成分(A2)と、を活性化させ、オレフィンを重合可能とするものであれば特に制限はないが、例えば、
(B−1)有機アルミニウム化合物
(B−2)ホウ素化合物
よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を挙げることができる。
【0149】
有機アルミニウム化合物(B−1)は公知の化合物であってもよく、好ましくは下式で表される化合物またはそれらの混合物である:
(1)E1a AlY13-aで表される化合物(以下、有機アルミニウム化合物(B−1−1)と記載することもある);
(2){−Al(E2 )−O−}bで表される環状のアルミノキサン(以下、有機アルミニウム化合物(B−1−2)と記載することもある);および
(3)E3 {−Al(E3)−O−}c AlE32 で表される線状のアルミノキサン(以下、有機アルミニウム化合物(B−1−3)と記載することもある);
式中、E1 、E2 、E3 は炭素数1〜8のハイドロカルビル基であり、全てのE 、全てのE2 及び全てのE は同じか異なり、Y1は水素原子又はハロゲン原子を表し、全てのY1は同じか異なり、aは0<a≦3の数、bは2以上の整数、cは1以上の整数をそれぞれ表す。
【0150】
有機アルミニウム化合物(B−1−1)として、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、およびトリヘキシルアルミニウムのようなトリアルキルアルミニウム;ジメチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムクロライド、ジプロピルアルミニウムクロライド、ジイソブチルアルミニウムハクロライド、およびジヘキシルアルミニウムクロライドのようなジアルキルアルミニウムクロライド;メチルアルミニウムジクロライド、エチルアルミニウムジクロライド、プロピルアルミニウムジクロライド、イソブチルアルミニウムジクロライド、およびヘキシルアルミニウムジクロライドのようなアルキルアルミニウムジクロライド;ならびにジメチルアルミニウムハイドライド、ジエチルアルミニウムハイドライド、ジプロピルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライド、およびジヘキシルアルミニウムハイドライドのようなジアルキルアルミニウムハイドライドを例示することができる。中でも、好ましくはトリアルキルアルミニウムであり、より好ましくはトリエチルアルミニウムまたはトリイソブチルアルミニウムである。
【0151】
上式におけるE2およびE3として、メチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、イソプロピル基、ノルマルブチル基、イソブチル基、ノルマルペンチル基、およびネオペンチル基のようなアルキル基を例示することができる。中でも、好ましくはメチル基またはイソブチル基である。bは2以上の整数、好ましくは2〜40の整数であり、cは1以上の整数、好ましくは1〜40の整数である。
【0152】
上記のアルミノキサンの製造方法は特に制限されず、公知の方法であってもよい。製造方法とてし、トリアルキルアルミニウム(例えば、トリメチルアルミニウム)を適当な有機溶剤(例えば、ベンゼンまたは脂肪族ハイドロカルビル)に溶かした溶液を水と接触させる方法や、トリアルキルアルミニウム(例えば、トリメチルアルミニウム)を結晶水を含んでいる金属塩(例えば、硫酸銅水和物)に接触させる方法を例示することができる。
【0153】
上記のホウ素化合物(B−2)として、以下の化合物を例示することができる:
(1)式BR131415で表されるホウ素化合物(以下、ホウ素化合物(B−2−1)と記載することもある);
(2)式M3 + (BR13141516 で表されるホウ素化合物(以下、ホウ素化合物(B−2−2)と記載することもある);および
(3)式(M4−H)+ (BR13141516で表されるホウ素化合物(以下、ホウ素化合物(B−2−3)と記載することもある);
式中、R13 〜R16 はハロゲン原子、1〜20個の炭素原子を含むハイドロカルビル基、1〜20個の 炭素原子を含むハロゲン化ハイドロカルビル基、1〜20個の炭素原子を含む置換シリル基、1〜20個の炭素原子を含むアルコキシ基または2〜20個の炭素原子を含む2置換アミノ基であり、それらは同じか異なり、好ましいくははハロゲン原子、1〜20個の炭素原子を含むハイドロカルビル基、または1〜20個の炭素原子を含むハロゲン化ハイドロカルビル基であり、M3+は無機または有機のカチオンであり、M4は中性ルイス塩基であり、(M4−H)+ はブレンステッド酸である。
上式(1)で表される化合物として、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン、トリス(2,3,5,6−テトラフルオロフェニル)ボラン、トリス(2,3,4,5−テトラフルオロフェニル)ボラン、トリス(3,4,5−トリフルオロフェニル)ボラン、トリス(2,3,4−トリフルオロフェニル)ボラン、およびフェニルビス(ペンタフルオロフェニル)ボランを例示することができる。中でも、最も好ましくはトリス(ペンタフルオロフェニル)ボランである。
【0154】
上式(2)のM3+として、フェロセニウムカチオン、アルキル置換フェロセニウムカチオン、銀陽イオンおよびトリフェニルメチルカチオンを例示することができる。式(2)の(BR13141516として、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(2,3,5,6−テトラフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(2,3,4,5−テトラフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(3,4,5−トリフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(2,2,4ートリフルオロフェニル)ボレート、フェニルビス(ペンタフルオロフェニル)ボレ−ト、およびテトラキス(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)ボレートを例示することができる。式(2)の化合物として、フェロセニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、1,1’−ジメチルフェロセニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、銀テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルメチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルメチルテトラキス(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)ボレートなどを例示することができる。中でも、最も好ましくは、トリフェニルメチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートである。
【0155】
上式(3)の(M4−H)+として、トリアルキル置換アンモニウム、N,N−ジアルキルアニリニウム、ジアルキルアンモニウム、およびトリアリールホスホニウムを例示することができ、(BR13141516として前述と同様のものを例示することができる。式(3)の化合物として、トリエチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリプロピルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリ(ノルマルブチル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリ(ノルマルブチル)アンモニウムテトラキス(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジエチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−2,4,6−ペンタメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)ボレート、ジイソプロピルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジシクロヘキシルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルホスホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリ(メチルフェニル)ホスホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、およびトリ(ジメチルフェニル)ホスホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートを例示することができる。中でも、最も好ましくは、トリ(ノルマルブチル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、もしくは、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートである。
【0156】
活性化用助触媒成分は、好ましくは上記の有機アルミニウム化合物(B−1−2)、有機アルミニウム化合物(B−1−3)、有機アルミニウム化合物(B−1−2)と有機アルミニウム化合物(B−1−3)を組み合わせたもの、または有機アルミニウム化合物(B−1−1)とホウ素化合物とを組合せたものが挙げられる。
【0157】
本発明に係る重合用触媒を、スラリー重合、気相重合およびバルク重合のような重合体粒子の形成を伴う重合に適用する場合、上記の活性化用助触媒成分として、たとえば、アルミノキサン(a)と粒子(b)とを接触させて得られる改質された粒子が好適に用いられる。
該アルミノキサン(a)として好ましくは前記有機アルミニウム化合物(B−1−2)および(B−1−3)である。
【0158】
アルミノキサン(a)と粒子(b)とを接触させる方法は特に制限されない。該方法として、粒子(b)を分散させた溶媒中にアルミノキサン(a)を添加する方法を例示することができる。該溶媒として、既述の溶媒を例示することができ、アルミノキサン(a)と反応しない溶媒が好ましく、アルミノキサン(a)を溶解させる溶媒がより好ましい。溶媒は、好ましくはベンゼンや、トルエン、およびキシレンのような芳香族ハイドロカルビル溶媒、またはヘキサン、ヘプタンおよびオクタンのような脂肪族ハイドロカルビル溶媒であり、更に好ましくはトルエンまたはキシレンである。
【0159】
アルミノキサン(a)と粒子(b)とを接触させる温度や時間は特に限定されず、温度は通常−100℃〜200℃、好ましくは−50℃〜150℃、更に好ましくは−20℃〜120℃である。特に接触の初期は、反応による発熱を抑えるために低温でこれらを接触させることが好ましい。アルミノキサン(a)および粒子(b)の使用量は特に制限されない。アルミノキサン(a)は、使用されるアルミノキサン中のアルミニウム原子換算で、粒子(b)の単位グラム当たり、通常0.01〜100mmol、好ましくは0.1〜20mmol、更に好ましくは1〜10mmolである。
【0160】
その他の改質された粒子としては、例えば、特開2003−171412、特開2003−171413、特開2005−126627、特開2005−126628、特開2007−269997、特開2012−31154、特開2012−31397に記載の改質された粒子を好適に挙げることができる。
【0161】
オレフィン重合体の製造方法
【0162】
本発明は、成分(A1)と、成分(A2)と、活性化用助触媒成分(B)とを用いてオレフィンを重合するオレフィン重合体の製造方法である。例えば、成分(A1)、成分(A2)および活性化用助触媒成分(B)を接触させて触媒を形成し、該触媒によりオレフィンを重合する方法である。
成分(A1)と成分(A2)と成分(B)との接触処理は、成分(A1)と成分(A2)と成分(B)とが接触し、触媒が形成されるならどのような手段によってもよく、あらかじめ各成分を溶媒で希釈して、もしくは希釈せずに成分(A1)と成分(A2)と成分(B)とを混合して接触させる方法や、成分(A1)と成分(A2)と成分(B)とを別々に重合槽に供給して重合槽の中でこれらを接触させる方法を取ることができる。ここで、成分(B)としては複数種類を組み合わせて使用する場合があるが、それらのうちの一部をあらかじめ混合して使用してもよいし、別々に重合槽に供給して使用してもよい。
【0163】
移動しました。
成分(A1)の成分(A2)に対するモル比((A1)/(A2))として、特に制限はないが、好ましくは、0.01〜100であり、より好ましくは0.05〜50であり、さらに好ましくは0.1〜20であり、特に好ましくは0.15〜10である。
【0164】
成分(B)として有機アルミニウム化合物(B−1)を用いる場合、成分(A1)と成分(A2)の合計の使用量に対する(B−1)のモル比が0.01〜10000であり、好ましくは1〜5000である。成分(B)としてホウ素化合物(B−2)を用いる場合、成分(A1)と成分(A2)の合計の使用量に対する(B−2)のモル比が0.01〜100であり、好ましくは1.0〜50である。
【0165】
重合槽において重合反応前に触媒を製造する場合、各成分を溶液状態または溶媒に懸濁もしくはスラリー化した状態で供給する場合の濃度は、重合槽に各成分を供給する装置の性能などの条件により、適宜選択される。
一般に、成分(A1)と成分(A2)の合計の濃度は、通常0.0001〜10000mol/Lで、より好ましくは、0.001〜1000mol/L、さらに好ましくは、0.01〜100mol/Lである。有機アルミニウム化合物(B−1)の濃度は、Al原子換算で、通常0.01〜10000mol/Lであり、より好ましくは、0.05〜5000mol/Lであり、さらに好ましくは、0.1〜2000mol/Lである。ホウ素化合物(B−2)の濃度は、通常0.001〜500mol/Lであり、より好ましくは、0.01〜250mol/Lであり、さらに好ましくは、0.05〜100mol/Lである。
【0166】
成分(A1)と、成分(A2)と、有機アルミニウム化合物(B−1)とを接触させる際は、有機アルミニウム化合物(B−1)としては、前記の環状のアルミノキサン(B−1−2)および/または線状のアルミノキサン(B−1−3)が好ましい。
また、成分(A1)、成分(A2)、(B−1)および(B−2)を接触させる際は、有機アルミニウム化合物(B−1)としては前記の有機アルミニウム化合物(B−1−1)が好ましく、ホウ素化合物(B−2)としては、ホウ素化合物(B−2−1)またはホウ素化合物(B−2−2)が好ましい。
【0167】
本発明のオレフィン重合体の製造方法は、成分(A1)と、成分(A2)と、活性化用助触媒成分(B)とを用いて、炭素原子数2〜20のオレフィンを単独重合または共重合させる方法である。
【0168】
重合するオレフィンの種類は単独でも複数でもよい。単独のオレフィンを重合すれば、単独重合体が得られ、複数のオレフィンを重合すれば、共重合体が得られる。共重合の場合は、例えば、エチレンとプロピレン、エチレンと1−ブテン、エチレンと1−ヘキセン、エチレンと1−ブテンと1−ヘキセン等の、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとの組合せを挙げることができる。
【0169】
オレフィンの例としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、1−ノナデセン、1−エイコセン、などの炭素原子数2〜20の1−アルケン(枝分かれしていてもよい)、または、シクロペンテン、シクロヘキセン、5−メチルノルボルネン、5−エチルノルボルネン、5−ブチルノルボルネン、5−フェニルノルボルネン、5−ベンジルノルボルネン、テトラシクロドデセン、トリシクロデセン、トリシクロウンデセン、ペンタシクロペンタデセン、ペンタシクロヘキサデセン、8−メチルテトラシクロドデセン、8−エチルテトラシクロドデセン、5−アセチルノルボルネン、5−アセチルオキシノルボルネン、5−メトキシカルボニルノルボルネン、5−エトキシカルボニルノルボルネン、5−メチル−5−メトキシカルボニルノルボルネン、5−シアノノルボルネン、8−メトキシカルボニルテトラシクロドデセン、8−メチル−8−テトラシクロドデセン、8−シアノテトラシクロドデセン等などの環状アルケン等を挙げることができる。
【0170】
オレフィンとして、好ましくは、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、4−メチル−1−ペンテンであり、より好ましくはエチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、4−メチル−1−ペンテンであり、さらに好ましくはエチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテンである。
【0171】
重合方法としては、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族ハイドロカーボン、ベンゼン、トルエン等の芳香族ハイドロカーボン、またはメチレンジクロライド等のハロゲン化ハイドロカーボンを溶媒として用いる溶媒重合法、またはスラリー重合法、気相重合法、バルク重合法などがあげられる。気相重合法に用いられる気相重合反応装置としては、通常、流動層型反応槽を有する装置であり、好ましくは、拡大部を有する流動層型反応槽を有する装置である。反応槽内に撹拌翼が設置されていてもよい。連続重合、回分式重合のどちらでも可能である。
【0172】
重合反応の温度および時間は、所望の重合平均分子量と触媒の活性度および使用量を考慮して決定することができる。重合温度は通常、−50℃〜200℃の範囲を取り得るが、特に、−20℃〜100℃の範囲が好ましく、重合圧力は通常、常圧〜50MPaが好ましい。重合時間は、一般的に、目的とするポリマーの種類、反応装置により適宜決定されるが通常、1分間〜20時間の範囲、好ましくは5分間〜18時間の範囲を取ることができる。但し、これらの範囲に制限される意図ではない。また、本発明は重合体の分子量を調節するために水素等の連鎖移動剤を添加することもできる。
【0173】
重合反応に溶媒を使用する場合、溶媒中の各化合物の濃度は、特に制限はない。溶媒中の成分(A1)と成分(A2)の合計の濃度は、例えば、1×10-8mmol/L〜10mol/Lの範囲を選択でき、活性化用助触媒成分の濃度は、例えば、1×10-8mmol/L 〜10mol/Lの範囲を選択することができる。また、オレフィン:溶媒は体積比で100:0〜1:1000の範囲を選択することができる。但し、これらの範囲は例示であって、それらに限定される意図ではない。また、溶媒を使用しない場合も、上記の範囲を参考に適宜濃度の設定をすることができる。
【0174】
本発明の製造方法は、成分(A1)と、成分(A2)と、成分(B)とを用いてオレフィンを重合する限り、制限されるものではないが、好ましくは、成分(A1)と、成分(B)とを接触させて得られる触媒の存在下、オレフィンを重合する工程(前段)、および、前段で得られた重合体の存在下、成分(A2)を重合槽に供給し、オレフィンを重合する工程(後段)を含む多段重合方法が挙げられる。
【0175】
前記多段重合方法における、前段に使用する成分(A1)と、後段に使用する成分(A2)とのモル比((A1)/(A2))としては、特に制限はないが、好ましくは、0.05〜10であり、より好ましくは0.1〜5である。
【0176】
前記多段重合方法における前段で重合するオレフィンとしては、好ましくは、エチレンのみや、エチレンとプロピレン、エチレンと1−ブテン、エチレンと1−ヘキセン、エチレンと1−ブテンと1−ヘキセン、の組合せを挙げることができる。後段で重合するオレフィンとしては、好ましくは、エチレンのみや、エチレンとプロピレン、エチレンと1−ブテン、エチレンと1−ヘキセン、エチレンと1−ブテンと1−ヘキセン、の組合せを挙げることができる。
【0177】
前記多段重合方法における前段の重合時間は、特に制限されるものではないが、好ましくは5分以上、より好ましくは10分以上、さらに好ましくは20分以上である。
【0178】
前記多段重合方法における前段の重合中のオレフィン分圧は、特に制限されるものではないが、好ましくは0.2MPa以上、より好ましくは0.4MPa以上、さらに好ましくは0.6MPa以上である。前記多段重合方法における後段の重合中のオレフィン分圧は、特に制限されるものではないが、好ましくは0.05MPa以上、より好ましくは0.1MPa以上、さらに好ましくは0.2MPa以上である。前記多段重合方法における前段、後段の重合中のオレフィン分圧は、(前段の重合中のオレフィン分圧)≧(後段の重合中のオレフィン分圧)となることが好ましい。
【0179】
エチレン系重合体
本発明のエチレン系重合体は、エチレンに基づく単量体単位と、任意に炭素原子数3〜20のα−オレフィンに基づく単量体単位とを含むエチレン系重合体である。該α−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ドデセン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン等があげられ、これらは単独で用いられていてもよく、2種以上を併用されていてもよい。α−オレフィンとしては、好ましくは1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテンである。
【0180】
本発明のエチレン系重合体中のエチレンに基づく単量体単位の含有量は、エチレン系重合体の全重量(100重量%)に対して、通常50〜100重量%である。またα−オレフィンに基づく単量体単位の含有量は、エチレン系重合体の全重量(100重量%)に対して、通常0〜50重量%である。
【0181】
本発明のエチレン系重合体として、好ましくは、エチレン単独重合体、または、エチレンに基づく単量体単位及び炭素原子数4〜20のα−オレフィンに基づく単量体単位を有するエチレン−α−オレフィン共重合体であり、より好ましくは、エチレン単独重合体、または、エチレンに基づく単量体単位及び炭素原子数5〜20のα−オレフィンに基づく単量体単位を有するエチレン−α−オレフィン共重合体であり、さらに好ましくは、エチレン単独重合体、または、エチレンに基づく単量体単位及び炭素原子数6〜8のα−オレフィンに基づく単量体単位を有するエチレン−α−オレフィン共重合体である。
【0182】
本発明のエチレン系重合体としては、例えば、エチレン単独重合体、エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン−1−オクテン共重合体、エチレン−1−ブテン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−1−ブテン−4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン−1−ブテン−1−オクテン共重合体、エチレン−1−ヘキセン−1−オクテン共重合体等があげられ、好ましくはエチレン単独重合体、エチレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン−1−ブテン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−1−ブテン−1−オクテン共重合体、エチレン−1−ヘキセン−1−オクテン共重合体である。
【0183】
本発明のエチレン系重合体は、下記要件(1)〜(5)を満たす。
(1)密度が850〜980kg/m3である。
(2)JIS K7210−1995に規定された方法において、温度190℃、荷重21.18Nの条件で、A法により測定されるメルトフローレートが0.01〜100g/10分である。
(3)ゲル・パーミエイション・クロマトグラフ法により測定される分子量分布曲線が二峰性の分子量分布を有し、分子量分布曲線における高分子量側のピークトップ分子量が50,000以上であり、低分子量側のピークトップ分子量が10,000以下である。
(4)重量平均分子量の数平均分子量に対する比が4〜55である。
(5)13C−NMRにより測定される炭素数5以上の分岐数が炭素原子1000個あたり0.2〜0.7である。
【0184】
エチレン系重合体の密度は、850〜980kg/m3であり、得られる成形体の剛性を高める観点から、好ましくは900kg/m3以上であり、より好ましくは920kg/m3以上であり、更に好ましくは940kg/m3以上であり、特に好ましくは950kg/m3以上である。得られる成形体の機械的強度を高める観点から、好ましくは970kg/m3以下である。
なお、該密度は、JIS K6760−1995に記載のアニーリングを行った後、JIS K7112−1980のうち、A法に規定された方法に従って測定される。エチレン系重合体の密度は、エチレンに対するα−オレフィンの投入量割合を高めることで、小さくすることができる。また、エチレン系重合体の密度は、成分(A2)に対する成分(A1)の使用割合を高めることで、小さくすることができる。
【0185】
エチレン系重合体のメルトフローレートは、0.01〜100g/10分である。該メルトフローレートは、成形加工性を高める観点、特に押出負荷を低減する観点から、好ましくは0.05g/10分以上であり、より好ましくは0.1g/10分以上である。また、溶融張力を高める観点から、好ましくは50g/10分以下であり、より好ましくは30g/10分以下であり、更に好ましくは20g/10分以下である。メルトフローレートは、JIS K7210−1995に規定された方法において、温度190℃、荷重21.18Nの条件で、A法により測定される値である。なお、該メルトフローレートの測定では、通常、エチレン系重合体に予め酸化防止剤を1000ppm程度配合したものを用いる。また、エチレン系重合体のメルトフローレートは、例えば、重合時の水素濃度または重合温度を変化させることにより変化させることができ、水素濃度または重合温度を高くすると、エチレン系重合体のメルトフローレートを大きくすることができる。
【0186】
エチレン系重合体は、二峰性の分子量分布を示す。ここで、二峰性分布とは、ゲル・パーミエイション・クロマトグラフ(GPC)法により測定された分子量分布曲線が2つのピークを有し、かつ、2つのピーク間に極小値をとることを意味する。分子量分布が単峰性分布の場合、押し出し負荷が高くなる。
【0187】
エチレン系重合体の分子量分布曲線における、高分子量側のピークトップ分子量は50,000以上であり、好ましくは60,000以上であり、より好ましくは70,000以上であり、低分子量側のピークトップ分子量は10,000以下であり、好ましくは8,000以下であり、より好ましくは7,000以下である。押し出し負荷をより低くする観点からは、2つのピーク間距離が遠いことが好ましい。また、押出加工時の引取性を高めるために、高分子量側のピークトップ分子量は600,000以下であることが好ましく、100,000以下であることがより好ましく、90,000以下であることがさらに好ましく、80,000以下であることが特に好ましい。また、本発明のエチレン系重合体を用いて得られる成形体の機械強度を高める観点、および、押出成形時の発煙を低減する観点から、低分子量側のピークトップ分子量が1,000以上であることが好ましく、1,500以上であることがより好ましい。
また、高分子量側のピークトップ分子量は、例えば、水素濃度や、成分(A2)の種類、により変更することができる。水素濃度を低くすると、エチレン系重合体の高分子量側のピークトップ分子量が高くなり、成分(A2)として水素制御性の小さいものを選ぶと、エチレン系重合体の高分子量側のピークトップ分子量が高くなる。低分子量側のピークトップ分子量は、例えば、水素濃度や、成分(A1)の種類を変化させることにより変化させることができる。水素濃度を低くすると、エチレン系重合体の低分子量側のピークトップ分子量が高くなり、成分(A1)として水素制御性の小さいものを選ぶと、エチレン系重合体の低分子量側のピークトップ分子量が高くなる。
【0188】
エチレン系重合体の二峰性の分子量分布において、低分子量側のピークは主として成分(A1)からできるポリマーに由来するピークであり、高分子量側のピークは主として成分(A2)からできるポリマーに由来するピークである。該分子量分布において、高分子量側のピーク面積の割合と低分子量側のピーク面積の割合は、エクセル(マイクロソフト社製)を使用して下記の方法によって算出した。
【0189】
[1]GPCの分子量分布曲線(G)を、log(分子量)と、対応するdwt/d(log分子量)の数値データとして、log(分子量)の最大値から最小値を引いた差をデータ間隔数(=データ数ー1)で除した値を得た。
[2][1]で得られた値を増分値として、開始値を分子量分布曲線(G)のlog(分子量)の最小値、停止値を分子量分布曲線(G)のlog(分子量)の最大値として連続データ(x)を作成した。
[3]分子量分布曲線(G)より、低分子量側ピーク、高分子量側ピークそれぞれのピークトップのlog(分子量)を求めた。
[4]NORMDIST関数を用いて、平均を[3]の各ピークトップlog(分子量)、標準偏差を0.36、関数形式を確率密度関数として、[2]で求めた連続データ(x)に対する正規分布関数を、低分子量側ピーク、高分子量側ピークそれぞれに対して求め、それぞれf(x)A1、f(x)A2とした。
[5]f(x)A1、f(x)A2の足し合わせで描かれる曲線を
G’=a’’f(x)A1+b’’f(x)A2 (a’’、b’’はそれぞれ係数)
とし、ソルバーを使用して(G−G’)の総和が最小になる様に、a’’、b’’の値を求めた。
[6][5]で得られたa’’、b’’より、G’の面積に対するa’’f(x)A1の面積割合を低分子量側ピークのピーク面積の割合、G’の面積に対するb’’f(x)A2の面積割合を高分子量側ピークのピーク面積の割合とした。
【0190】
また、GPC法により測定された分子量分布曲線の、2つのピークの高さの比は、低分子量側のピークの高さをL、高分子量側のピークの高さをHとした時に、好ましくは0.80<H/L<1.50である。エチレン系重合体を用いて得られる成形体の機械強度を高くするために、H/Lは、より好ましくは0.90以上である。エチレン系重合体の押し出し負荷を低減するために、H/Lは、より好ましくは1.40以下である。H/Lは、例えば、成分(A1)と成分(A2)との使用割合を変化させることにより、変化させることができる。成分(A1)に対する成分(A2)の使用比率を高くすると、エチレン系重合体のH/Lを大きくすることができる。
【0191】
エチレン系重合体の重量平均分子量(以下、「Mw」と記載することがある。)の数平均分子量(以下、「Mn」と記載することがある。)に対する比(以下、「Mw/Mn」と記載することがある。)は、4〜55である。Mw/Mnが小さすぎると、成形加工時の押出負荷が高くなることがある。Mw/Mnは、好ましくは4.5以上であり、より好ましくは5.5以上であり、さらに好ましくは6以上である。エチレン系重合体を用いて得られる成形体の機械強度を高くするためには、Mw/Mnは、好ましくは45以下であり、より好ましくは40以下であり、さらに好ましくは20以下であり、特に好ましくは15以下である。
【0192】
また、エチレン系重合体のZ平均分子量(以下、「Mz」と記載することがある。)のMwに対する比(以下、「Mz/Mw」と記載することがある。)は、好ましくは2〜15である。Mz/Mwが小さすぎると、エチレン系重合体の溶融張力が低下し、成形性に劣る傾向があるため、Mz/Mwはより好ましくは、3以上である。Mz/Mwが大きすぎると、エチレン系重合体の押し出し負荷が高くなるために、Mz/Mwは好ましくは12以下であり、より好ましくは10以下であり、さらに好ましくは8以下である。
【0193】
なお、該Mw/Mnと該Mz/Mwとは、GPC法により、Mn、MwおよびMzを測定し、MwをMnで除し、MzをMwで除すことにより、それぞれ求めることができる。また、Mw/Mnは、例えば、水素濃度や、成分(A1)と成分(A2)の種類を変化させることにより、変化させることができる。水素濃度を高くすると、エチレン系重合体のMw/Mnが小さくなり、成分(A1)として水素制御性の低いものを選ぶと、エチレン系重合体のMw/Mnが小さくなり、成分(A2)として水素制御性の高いものを選ぶと、エチレン系重合体のMw/Mnが小さくなる。さらに、Mz/Mwは、例えば、成分(A1)と成分(A2)との使用割合により変更することができる。成分(A1)に対する成分(A2)の使用比率を高くすると、エチレン系重合体のMz/Mwを大きくすることができる。
【0194】
GPC法による測定は、次の条件により行った。二峰性分布の各ピーク位置の分子量は、校正により、ポリエチレンに換算して求めた値である。
(1)装置:Waters製Waters150C
(2)分離カラム:TOSOH TSKgelGMH6−HT
(3)測定温度:140℃
(4)キャリア:オルトジクロロベンゼン
(5)流量:1.0mL/分
(6)注入量:500μL
(7)検出器:示差屈折
(8)分子量標準物質:標準ポリスチレン
【0195】
エチレン系重合体は、エチレン系重合体を構成する全炭素原子1000個あたりの炭素原子数5以上の分岐数(以下、「NLCB」と記載することがある。)が0.2〜0.7である。NLCBは、成形加工時の押出負荷をより低減する観点から、好ましくは0.3以上であり、より好ましくは0.4以上である。NLCBは、成形体の機械強度を高める観点から、好ましくは0.65以下であり、より好ましくは0.6以下である。
LCBは、先述の製造方法において、例えば、重合中の水素濃度や、重合中のエチレン分圧や、成分(A1)と成分(A2)の使用量の和に対する成分(B)の使用量の比率や、成分(A1)と成分(A2)と成分(B)の重合槽への供給方法を変化させることにより、変化させることができる。水素濃度を低くすると、エチレン系重合体のNLCBを増やすことができる。また、成分(A1)と成分(A2)の使用量の和に対する、成分(B)の使用量の比率を低くすると、エチレン系重合体のNLCBを増やすことができる。また、成分(A1)と成分(B)を別々に、または、同時に重合槽に供給して重合を行い、一定時間後に成分(A2)を重合槽に供給して重合を行うことによって、エチレン系重合体のNLCBを増やすことができる。また、重合の途中で、エチレンの分圧を下げることによっても、エチレン系重合体のNLCBを増やすことができる。
【0196】
LCBは、カーボン核磁気共鳴(13C−NMR)法によって測定された13C−NMRスペクトルから、5〜50ppmに観測される全てのピークの面積の総和を1000として、炭素数5以上の分岐が結合したメチン炭素に由来するピークの面積を求めることにより得られる。炭素数5以上の分岐が結合したメチン炭素に由来するピークは38.2ppm付近(参考:学術文献「Macromolecules」,(米国),American Chemical Society,1999年,第32巻,p.3817−3819)に観測される。この炭素数5以上の分岐が結合したメチン炭素に由来するピークの位置は、測定装置および測定条件によりずれることがあるため、通常、測定装置および測定条件毎に、標品の測定を行って決定する。また、スペクトル解析には、窓関数として、負の指数関数を用いることが好ましい。
【0197】
エチレン系重合体のスウェル比は、溶融張力を高める観点から好ましくは1.35以上であり、より好ましくは1.40以上であり、さらに好ましくは1.45以上である。また、該スウェル比は、押出成形時の引き取り性を高める観点からは、好ましくは2.5以下であり、より好ましくは2.0以下である。該スウェル比は、メルトフローレート(MFR)を測定する際に、温度190℃、荷重21.18Nの条件でオリフィスから、15〜20mm程度の長さで押出したエチレン系重合体のストランドを、空気中で冷却し、得られた固体状のストランドについて、押出し上流側先端から約5mmの位置でのストランドの直径D(単位:mm)を測定し、その直径Dをオリフィス径2.095mm(D0)で除した値(D/D0)である。エチレン系重合体のスウェル比は、例えば、水素濃度を変化させることにより、変化させることができる。水素濃度を高くすることにより、エチレン系重合体のスウェル比を大きくすることができる。
【0198】
エチレン系重合体の特性緩和時間は、成形時の引き取り性を高める観点から、好ましくは0.01〜30秒である。エチレン系重合体を用いた積層体の外観を高める観点から、より好ましくは20秒以下であり、さらに好ましくは10秒以下である。特性緩和時間は、エチレン系重合体が有する長鎖分枝の長さを示す指標であり、長鎖分枝が短いと特性緩和時間は小さな値となり、長鎖分枝が長いと特性緩和時間は大きな値となる。特性緩和時間は、例えば、水素濃度やエチレン圧などの重合条件や、成分(A1)と成分(A2)との使用割合を変化させることにより、変化させることができる。重合中のエチレン圧を低くすると、エチレン系重合体の特性緩和時間を長くすることができる。成分(A1)に対する成分(A2)の使用割合を少なくすると、エチレン系重合体の特性緩和時間を長くすることができる。
【0199】
特性緩和時間は、温度−時間重ね合わせ原理に基づいて作成される、190℃での溶融複素粘度(単位:Pa・sec)の角周波数(単位:rad/sec)依存性を示すマスターカーブから算出される数値である。具体的には、130℃、150℃、170℃および190℃夫々の温度(T、単位:℃)におけるエチレン系重合体の溶融複素粘度−角周波数曲線(溶融複素粘度の単位はPa・sec、角周波数の単位はrad/secである。)を求めて、温度−時間重ね合わせ原理に基づいて、130℃、150℃および170℃における溶融複素粘度−角周波数曲線を190℃における溶融複素粘度−角周波数曲線に重ね合わせてマスターカーブを作成し、得られたマスターカーブを下記式(I)で近似することにより算出される値である。
η=η0/[1+(τ×ω)n] (I)
η:溶融複素粘度(単位:Pa・sec)
ω:角周波数(単位:rad/sec)
τ:特性緩和時間(単位:sec)
η0:エチレン系重合体毎に求まる定数(単位:Pa・sec)
n:エチレン系重合体毎に求まる定数
上記計算は、市販の計算ソフトウェアを用いてもよく、該計算ソフトウェアとしては、Rheometrics社製 Rhios V.4.4.4などがあげられる。
【0200】
エチレン系重合体の流動の活性化エネルギー(以下、「Ea」と記載することがある。)は、成形加工時の押出負荷をより低減する観点から、好ましくは35kJ/mol以上であり、より好ましくは40kJ/mol以上である。また、流動の活性化エネルギーは、押出成形時の引き取り性を高める観点からは、好ましくは100kJ/mol以下であり、より好ましくは90kJ/mol以下であり、更に好ましくは80kJ/mol以下であり、もっとも好ましくは70kJ/mol以下である。また、流動の活性化エネルギーは、例えば、成分(A1)と成分(A2)との使用割合を変化させることによって、変化させることができる。成分(A1)に対する成分(A2)の使用割合を高くすると、エチレン系重合体の流動の活性化エネルギーを高くすることができる。
【0201】
流動の活性化エネルギー(Ea)は、温度−時間重ね合わせ原理に基づいて、190℃での溶融複素粘度(単位はPa・secである。)の角周波数(単位:rad/sec)依存性を示すマスターカーブを作成する際のシフトファクター(aT)からアレニウス型方程式により算出される数値であって、以下に示す方法で求められる値である。すなわち、130℃、150℃、170℃および190℃夫々の温度(T、単位:℃)におけるエチレン−α−オレフィン共重合体の溶融複素粘度−角周波数曲線(溶融複素粘度の単位はPa・sec、角周波数の単位はrad/secである。)を、温度−時間重ね合わせ原理に基づいて、各温度(T)での溶融複素粘度−角周波数曲線毎に、190℃でのエチレン系共重合体の溶融複素粘度−角周波数曲線に重ね合わせた際に得られる各温度(T)でのシフトファクター(aT)を求め、夫々の温度(T)と、各温度(T)でのシフトファクター(aT)とから、最小自乗法により[ln(aT)]と[1/(T+273.16)]との一次近似式(下記(II)式)を算出する。次に、該一次式の傾きmと下記式(III)とからEaを求める。
ln(aT) = m(1/(T+273.16))+n (II)
Ea = |0.008314×m| (III)
T :シフトファクター
Ea:流動の活性化エネルギー(単位:kJ/mol)
T :温度(単位:℃)
上記計算は、市販の計算ソフトウェアを用いてもよく、該計算ソフトウェアとしては、Rheometrics社製 Rhios V.4.4.4などがあげられる。
なお、シフトファクター(aT)は、夫々の温度(T)における溶融複素粘度−角周波数の両対数曲線を、log(Y)=−log(X)軸方向に移動させて(但し、Y軸を溶融複素粘度、X軸を角周波数とする。)、190℃での溶融複素粘度−角周波数曲線に重ね合わせた際の移動量であり、該重ね合わせでは、夫々の温度(T)における溶融複素粘度−角周波数の両対数曲線は、各曲線ごとに、角周波数をaT倍に、溶融複素粘度を1/aT倍に移動させる。また、130℃、150℃、170℃および190℃の4点の値から(I)式を最小自乗法で求めるときの相関係数は、通常、0.99以上である。
【0202】
上記、特性緩和時間と流動の活性化エネルギーの算出に用いられる、溶融複素粘度−角周波数曲線の測定は、粘弾性測定装置(例えば、Rheometrics社製Rheometrics Mechanical Spectrometer RMS−800など。)を用い、通常、ジオメトリー:パラレルプレート、プレート直径:25mm、プレート間隔:1.5〜2mm、ストレイン:5%、角周波数:0.1〜100rad/秒の条件で行われる。なお、測定は窒素雰囲気下で行われ、また、測定試料には予め酸化防止剤を適量(例えば1000ppm。)を配合することが好ましい。
【0203】
本発明のエチレン系重合体を用いて発泡体を製造する場合、使用するエチレン系重合体のメルトテンションは、発泡体の発泡倍率を高める観点から好ましくは3cN以上である。メルトテンションが小さすぎると、発泡成形時に破泡が発生しやすくなり、高い発泡倍率を維持できなくなることがある。また、該メルトテンションは、発泡体の発泡倍率を高める観点からは、好ましくは40cN以下であり、より好ましくは30cN以下であり、さらに好ましくは20以下である。溶融張力が高すぎると、ガスの流入による気泡成長の際に、膨らみにくくなり発泡倍率の高い成形体を得ることが困難になる傾向がある。該メルトテンションは、190℃の温度および0.32g/分の押出速度で、直径2.095mm、長さ8mmのオリフィスから溶融したエチレン系重合体を押出し、押出された溶融したエチレン系重合体を6.3(m/分)/分の引取上昇速度でフィラメント状に引取る際の張力において、引取開始からフィラメント状のエチレン系重合体が切断されるまでの間の最大張力である。また、メルトテンションは、例えば、重合中のエチレンの圧力により変化させることができ、重合中のエチレンの圧力を低くすると、エチレン系重合体のメルトテンションを高くすることができる。また、メルトテンションは、成分(A1)と成分(A2)との使用割合により変化させることができ、成分(A2)の使用割合を高くすると、エチレン系重合体のメルトテンションを高くすることができる。
【0204】
高速加工性は、最大引取り速度(MTV)(単位:m/分)で評価することができる。この値が大きいほど高速加工性に優れる。該MTVは、9.5mmφのバレルに充填した溶融樹脂を、温度190℃、ピストン降下速度5.5mm/分の条件で、径が2.09mmφ、長さ8mmのオリフィスから押し出し、該押し出された溶融樹脂を、径が150mmφの巻き取りロールを用い、40rpm/分の巻き取り上昇速度で巻き取った際に、溶融樹脂が破断した時点での引取速度である。好ましくは10m/分以上であり、より好ましくは20m/分以上であり、さらに好ましくは30m/分以上である。また、MTVは、先述の製造方法において、例えば、成分(A1)と成分(A2)との使用割合や、重合中の水素濃度によって変化させることができる。成分(A2)に対する成分(A1)の使用割合を高くすると、エチレン系重合体のMTVを高くすることができる。また、重合中の水素濃度を高くすると、エチレン系重合体のMTVを高くすることができる。
【0205】
本発明のエチレン系重合体は、公知の成形加工方法、例えば、インフレーションフィルム成形加工法、Tダイフィルム成形加工法、ラミネーションフィルム成形加工法などの押出成形法、射出成形法、圧縮成形法などが用いられ、押出成形法が好適に用いられる。
【0206】
本発明のエチレン系重合体は、種々の形態に成形して用いられる。成形品の形態は特に限定されないが、フィルム、シート、容器(トレイ、ボトルなど)などに用いられる。該成形品は、食品包装材;医薬品包装材;半導体製品などの包装に用いる電子部品包装材;表面保護材などの用途にも好適に用いられる。
【実施例】
【0207】
以下、実施例および比較例によって本発明をさらに詳細に説明する。実施例中の各項目の測定値は、下記の方法で測定した。
【0208】
(1)密度(d、単位:Kg/m3
JIS K7112−1980のうち、A法に規定された方法に従って測定した。なお、試料には、JIS K6760−1995に記載のアニーリングを行った。
【0209】
(2)メルトフローレート(MFR、単位:g/10分)
JIS K7210−1995に規定された方法において、荷重21.18N、温度190℃の条件で、A法により測定した。
【0210】
(3)スウェル比(SR)
(2)のメルトフローレートの測定において、温度190℃、荷重21.18Nの条件で、オリフィスから15〜20mm程度の長さで押出したエチレン系重合体のストランドを、空気中で冷却し、固体状のストランドを得た。次に、該ストランドの押出し上流側先端から約5mmの位置でのストランドの直径D(単位:mm)を測定し、その直径Dをオリフィス径2.095mm(D0)で除した値(D/D0)を算出し、スウェル比とした。
【0211】
(4)分子量分布(Mw/Mn、Mz/Mw)、高分子量及び低分子量側ピークトップの分子量、ピークの高さ比(H/L)
ゲル・パーミエイション・クロマトグラフ(GPC)法を用いて、下記の条件(1)〜(8)により、z平均分子量(Mz)、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)を測定し、Mw/MnとMz/Mwを求めた。クロマトグラム上のベースラインは、試料溶出ピークが出現するよりも十分に保持時間が短い安定した水平な領域の点と、溶媒溶出ピークが観測されたよりも十分に保持時間が長い安定した水平な領域の点とを結んでできる直線とした。二峰性分布の各ピーク位置の分子量は、校正により、ポリエチレンに換算して求めた値である。
(1)装置:Waters製Waters150C
(2)分離カラム:TOSOH TSKgelGMH6−HT
(3)測定温度:140℃
(4)キャリア:オルトジクロロベンゼン
(5)流量:1.0mL/分
(6)注入量:500μL
(7)検出器:示差屈折
(8)分子量標準物質:標準ポリスチレン
【0212】
(5)長鎖分岐数(NLCB、単位:1/1000C)
カーボン核磁気共鳴法によって、次の測定条件により、カーボン核磁気共鳴スペクトル(13C−NMR)を測定し、下記算出方法より求めた。
<測定条件>
装置 :Bruker社製 AVANCE600
測定溶媒:1,2−ジクロロベンゼン/1,2−ジクロロベンゼン−d4
=75/25(容積比)の混合液
測定温度:130℃
測定方法:プロトンデカップリング法
パルス幅:45度
パルス繰り返し時間:4秒
測定基準:トリメチルシラン
窓関数 :負の指数関数
<算出方法>
5〜50ppmに観測されるすべてのピークの総和を1000として、38.22〜38.27ppm付近にピークトップを有するピークのピーク面積を求めた。当該ピークのピーク面積は、高磁場側で隣接するピークとの谷のケミカルシフトから、低磁場側で隣接するピークとの谷のケミカルシフトまでの範囲でのシグナルの面積とした。なお、本条件によるエチレン系重合体の測定では、炭素数5の分岐が結合したメチン炭素に由来するピークのピークトップの位置は、38.21ppmであった。
【0213】
(6)特性緩和時間(τ)(単位:sec)
粘弾性測定装置(Rheometrics社製Rheometrics Mechanical Spectrometer RMS−800)を用いて、下記測定条件で130℃、150℃、170℃および190℃での溶融複素粘度−角周波数曲線を測定し、次に、得られた溶融複素粘度−角周波数曲線から、Rheometrics社製計算ソフトウェア Rhios V.4.4.4を用いて、190℃での溶融複素粘度−角周波数曲線のマスターカーブを作成し、特性緩和時間(τ)を求めた。
<測定条件>
ジオメトリー:パラレルプレート
プレート直径:25mm
プレート間隔:1.5〜2mm
ストレイン :5%
角周波数 :0.1〜100rad/秒
測定雰囲気 :窒素
【0214】
(7)流動の活性化エネルギー(Ea、単位:kJ/mol)
粘弾性測定装置(Rheometrics社製Rheometrics Mechanical Spectrometer RMS−800)を用いて、下記測定条件で130℃、150℃、170℃および190℃での溶融複素粘度−角周波数曲線を測定し、次に、得られた溶融複素粘度−角周波数曲線から、Rheometrics社製計算ソフトウェア Rhios V.4.4.4を用いて、190℃での溶融複素粘度−角周波数曲線のマスターカーブを作成し、活性化エネルギー(Ea)を求めた。
<測定条件>
ジオメトリー:パラレルプレート
プレート直径:25mm
プレート間隔:1.5〜2mm
ストレイン :5%
角周波数 :0.1〜100rad/秒
測定雰囲気 :窒素
【0215】
(8)メルトテンション(MT、単位:cN)
東洋精機製作所製メルトテンションテスターを用い、190℃の温度および0.32g/分の押出速度で、直径2.095mm、長さ8mmのオリフィスからエチレン−α−オレフィン共重合体を溶融押出し、該押出された溶融したエチレン系重合体を引取ロールにより6.3(m/分)/分の引取上昇速度でフィラメント状に引取り、引取る際の張力を測定した。引取開始からフィラメント状のエチレン系重合体が切断するまでの間の最大張力をメルトテンションとした。
【0216】
(9)最高引取速度(MTV、単位:m/分)
(8)のメルトテンションの測定において、フィラメント状のエチレン系重合体が切断する際の引取速度を最高引取速度とした。この値が高いほど押出成形時の引取性に優れる。
【0217】
(参考例1)
trans-1,2-ビス(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ブチルベンジルスルファニル)シクロヘプタンの合成
アルゴン雰囲気下、trans-シクロヘプタン-1,2-ジチオール(文献既知)1.64 g(10.1 mmol)と臭化3,5-ジ-tert-ブチル-2-ヒドロキシベンジル6.04 g(20.2 mmol)をテトラヒドロフラン110 mLに溶かし0 ℃に冷却した。そこに、トリエチルアミン2.8 mL(20.2 mmol)を加え、0 ℃で12時間攪拌した。生成した沈殿物を濾過で除き、濾液を減圧下濃縮した。得られた残渣にエーテルと希塩酸を加え、エーテル層を水洗、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下溶媒を留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 ヘキサン-ジクロロメタン 1:1)で精製し無色結晶として表題化合物3.79 g(収率63%)を得た。
融点:109-110 ℃ 分解
1H-NMR (500 MHz, δ, CDCl3)
1.14-1.93 (m, 46H,), 2.68-2.69 (m, 2H), 3.71-3.79 (m, 4H), 6.80 (s,2H), 6.89 (d, J = 3 Hz, 2H), 7.25 (d, J = 3 Hz, 2H).
13C NMR (100.7 MHz, δ, CDCl3)
25.0, 28.7, 29.7, 31.6, 31.9, 34.2, 34.6, 35.0, 50.3, 121.4, 123.7, 125.1, 137.3, 142.1, 152.1.
元素分析:計算値(C37H56O2S2)C, 74.19%; H, 9.42% 実測値: C, 74.08%; H,9.84%
【0218】
(参考例2)
[シクロヘプタンジイル−trans-1,2-ビス(2-オキソイル-3,5-ジ-tert-ブチルベンジルスルファニル)]ジクロロジルコニウム
以下の実験はアルゴン雰囲気下で行った。100 mLのシュレンク管中、trans-1,2-ビス(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ブチルベンジルスルファニル)シクロヘプタン 1.00 g(1.67 mmol)をジエチルエーテル15 mLに溶かし、この溶液にノルマルブチルリチウム 2.2 mL(1.67 mol/L, 3.67 mmolを0 ℃で1時間攪拌した。この溶液を-78℃でテトラクロロジルコニウム400 mg(1.72 mmol)のジエチルエーテル溶液20 mLへと滴下し、さらに終夜攪拌した。生成した沈殿物を濾過して除き、濾液を減圧下濃縮した。残渣をヘキサン8 mLで洗浄後乾燥し、無色結晶として表題化合物803 mg(収率63%)を得た。
1H NMR (500 MHz, δ, ppm, C6D6)
0.67-1.95 (m, 46H), 2.37 (s, 2H), 3.17 (d, J = 14 Hz, 2H), 4.34 (d, J = 14 Hz, 2H), 6.55 (s, 2H), 7.53 (d, J = 1 Hz, 2H).
13C NMR (100.7 MHz, δ, ppm, C6D6)
25.8, 29.6, 30.5, 31.0, 31.8, 34.4 35.6, 36.0, 49.7, 120.8, 124.8, 125.8, 138.6, 142.7, 157.2.
【0219】
(参考例3)
trans-1,2-ビス(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ブチルベンジルスルファニル)シクロオクタンの合成
アルゴン雰囲気下、trans-シクロオクタン-1,2-ジチオール2.18g(12.4mmol)と臭化3,5-ジ-t-ブチル-2-ヒドロキシベンジル7.52g(25.1mmol)をテトラヒドロフラン80mLに溶かし0℃に冷却した。そこに、トリエチルアミン3.5mL(24.9mmol)を加え、0℃で1時間、室温で終夜撹拌した。生成した沈殿物を濾過して除き、濾液を減圧下濃縮した。得られた残渣にエーテルと飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、エーテル層を水洗、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下溶媒を留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 ヘキサン-ジクロロメタン 1:1)で精製し無色結晶として表題化合物6.74g(収率89%)を得た。
融点:122-123℃ (ヘキサンより再結晶)
1H-NMR (400 MHz,δ, ppm, CDCl3)
1.12-1.94 (m, 48 H), 2.63-2.65 (m, 2 H), 3.81 (d, J = 13 Hz, 2 H), 3.90 (d, J = 13 Hz, 2 H), 6.92 (d, J = 2 Hz, 2 H), 6.95 (s, 2 H), 7.26 (d, J = 2 Hz, 2 H).
13C-NMR (100.7 MHz,δ, CDCl3)
25.7, 25.8, 29.8, 31.2, 31.6, 34.2, 35.0, 35.4, 49.6, 121.6, 123.7, 125.4, 137.4, 142.0, 152.2.
元素分析:計算値(C38H60O2S2)C, 74.45%; H, 9.87%.
実測値: C, 74.39%; H, 10.09%.
文献:A. Ishii, A. Ono, N. Nakata, J. Sulf. Chem. 2009, 30, 236-244.
【0220】
(参考例4)
[シクロオクタンジイル−trans-1,2-ビス(2-オキソイル-3,5-ジ-tert-ブチルベンジルスルファニル)]ジクロロジルコニウムの合成
50mLのシュレンク管中、trans-1,2-ビス(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ブチルベンジルスルファニル)シクロオクタン1.00 g(1.63 mmol)およびジエチルエーテル12 mLを仕込み、氷冷した。この溶液に氷冷下、n-ブチルリチウム 2.2 mL(1.6 Mヘキサン溶液、3.5 mmol)を加え、室温まで昇温した後、1時間撹拌した。この溶液を、-78 ℃まで冷却した四塩化ジルコニウムのジエチルエーテル懸濁液に滴下し、室温まで昇温後、終夜撹拌した。減圧下揮発成分を留去した後、得られた白色固体をジクロロメタンで抽出し、濾過した。濾液を減圧下濃縮し、約3倍量のヘキサンを加えた後、再度体積が1/3程度になるまで濃縮した。析出した白色固体を回収し、減圧下乾燥させることで、[シクロオクタンジイル−trans-1,2-ビス(2-オキソイル-3,5-ジ-tert-ブチルベンジルスルファニル)]ジクロロジルコニウム・0.6CH2Cl2 0.94 g(収率 75%)を白色粉末として得た。
1H-NMR (400 MHz,δ, ppm, CDCl3)
0.80-1.85 (m, 12H), 1.26 (s, 18H), 1.56 (s, 18H), 2.58 (m, 2H), 3.84 (d, J = 14 Hz, 2H), 4.47 (d, J = 14 Hz, 2H), 6.87 (d, J = 2 Hz, 2H), 7.37 (d, J = 2Hz, 2H).
【0221】
(実施例1)
減圧乾燥後、アルゴンで置換した内容積5リットルの撹拌機付きオートクレーブ内を真空にし、溶媒としてトルエンを500ml仕込み、オートクレーブを70℃まで昇温した。その後、エチレンを、その分圧が0.6MPaになるように加え系内を安定させた。これに、濃度を2.5mmol/mlに調製したメチルアルミノキサンのトルエン溶液2.0mlを投入した。次に、濃度を1.0μmol/mlに調製した、上記参考例2で得られた[シクロヘプタンジイル−trans-1,2-ビス(2-オキソイル-3,5-ジ-tert-ブチルベンジルスルファニル)]ジクロロジルコニウム(A1)のトルエン溶液を0.50ml加え、全圧を一定に保つようにエチレンをフィードしながら70℃で、前段30分間重合を行った。その後、オートクレーブ内のエチレンを、その分圧が0.2MPaになるまでパージし、次に、濃度を1.0μmol/mlに調製した、ラセミ−エチレンビス(インデニル)ジルコニウムジフェノキシド(A2)のトルエン溶液を0.50ml加えた。全圧を一定に保つようにエチレンをフィードしながら70℃で、さらに後段30分間重合を行った。その結果、エチレン重合体 67.1gが得られた。成分(A1)と成分(A2)の合計の使用量に対する重合活性は0.7×10g/molであった。得られたエチレン重合体の物性を表1に示した。
【0222】
(比較例1)
減圧乾燥後、アルゴンで置換した内容積5リットルの撹拌機付きオートクレーブ内を真空にし、溶媒としてトルエンを500ml仕込み、オートクレーブを70℃まで昇温した。その後、エチレンを、その分圧が0.6MPaになるように加え系内を安定させた。これに、濃度を2.5mmol/mlに調製したメチルアルミノキサンのトルエン溶液2.0mlを投入した。次に、濃度を1.0μmol/mlに調製した、上記参考例2で得られた[シクロヘプタンジイル−trans-1,2-ビス(2-オキソイル-3,5-ジ-tert-ブチルベンジルスルファニル)]ジクロロジルコニウム(A1)のトルエン溶液を0.50ml加え、全圧を一定に保つようにエチレンをフィードしながら70℃で、前段30分間重合を行った。その後、オートクレーブ内のエチレンを、その分圧が0.2MPaになるまでパージし、全圧を一定に保つようにエチレンをフィードしながら70℃で、さらに後段30分間重合を行った。その結果、エチレン重合体38.3gが得られた。成分(A1)に対する重合活性は0.8×10g/molであった。得られたエチレン重合体の物性を表1に示した。
【0223】
(比較例2)
減圧乾燥後、アルゴンで置換した内容積5リットルの撹拌機付きオートクレーブ内を真空にし、溶媒としてトルエンを500ml仕込み、オートクレーブを70℃まで昇温した。その後、エチレンを、その分圧が0.2MPaになるように加え系内を安定させた。これに、濃度を2.5mmol/mlに調製したメチルアルミノキサンのトルエン溶液2.0mlを投入した。次に、濃度を1.0μmol/mlに調製した、ラセミ−エチレンビス(インデニル)ジルコニウムジフェノキシド(A2)のトルエン溶液を0.50ml加え、全圧を一定に保つようにエチレンをフィードしながら70℃で、30分間重合を行った。その結果、エチレン重合体23.6gが得られた。成分(A2)に対する重合活性は0.5×10g/molであった。得られたエチレン重合体の物性を表1に示した。
【0224】
【表1】

a:[シクロヘプタンジイル−trans-1,2-ビス(2-オキソイル-3,5-ジ-tert-ブチルベンジルスルファニル)]ジクロロジルコニウム
b:ラセミ−エチレンビス(インデニル)ジルコニウムジフェノキシド
※1:分子量が低すぎて測定不可
【0225】
表1に示した結果より、実施例1で得られたポリマーが成分(A1)由来ポリマーと成分(A2)由来ポリマーの単純な混合物であるならば、NLCBの値は、0.11となるはずである。
0.23(成分(A1)単独ポリマーのNLCB)×0.45(低分子量側のピークの面積割合)+0.01(成分(A2)単独ポリマーのNLCB)×0.55(高分子量側のピークの面積割合)=0.11
しかし、実施例1で得られたポリマーのNLCBは0.41であり、単純な混合物として推測されるNLCBの値よりは有意に高い値である。
【0226】
(実施例2)
減圧乾燥後、アルゴンで置換した内容積5リットルの撹拌機付きオートクレーブ内を真空にし、溶媒としてトルエンを500ml仕込み、オートクレーブを70℃まで昇温した。その後、エチレンを、その分圧が0.6MPaになるように加え系内を安定させた。これに、濃度を2.5mmol/mlに調製したメチルアルミノキサンのトルエン溶液2.0mlを投入した。次に、濃度を1.0μmol/mlに調製した、上記参考例4で得られた[シクロオクタンジイル−trans-1,2-ビス(2-オキソイル-3,5-ジ-tert-ブチルベンジルスルファニル)]ジクロロジルコニウム(A1)のトルエン溶液を0.50ml加え、全圧を一定に保つようにエチレンをフィードしながら70℃で、前段30分間重合を行った。その後、オートクレーブ内のエチレンを、その分圧が0.2MPaになるまでパージし、次に、濃度を1.0μmol/mlに調製した、ラセミ−エチレンビス(インデニル)ジルコニウムジフェノキシド(A2)のトルエン溶液を0.50ml加えた。全圧を一定に保つようにエチレンをフィードしながら70℃で、さらに後段30分間重合を行った。その結果、オレフィン重合体121.3gが得られた。成分(A1)と成分(A2)の合計の使用量に対する重合活性は1.2×10g/molであった。得られたエチレン重合体の物性を表2に示した。
【0227】
(比較例3)
減圧乾燥後、アルゴンで置換した内容積5リットルの撹拌機付きオートクレーブ内を真空にし、溶媒としてトルエンを500ml仕込み、オートクレーブを70℃まで昇温した。その後、エチレンを、その分圧が0.6MPaになるように加え系内を安定させた。これに、濃度を2.5mmol/mlに調製したメチルアルミノキサンのトルエン溶液2.0mlを投入した。次に、濃度を1.0μmol/mlに調製した、上記参考例4で得られた[シクロオクタンジイル−trans-1,2-ビス(2-オキソイル-3,5-ジ-tert-ブチルベンジルスルファニル)]ジクロロジルコニウム(A1)のトルエン溶液を0.50ml加え、全圧を一定に保つようにエチレンをフィードしながら70℃で、前段30分間重合を行った。その後、オートクレーブ内のエチレンを、その分圧が0.2MPaになるまでパージし、全圧を一定に保つようにエチレンをフィードしながら70℃で、さらに後段30分間重合を行った。その結果、オレフィン重合体78.7gが得られた。成分(A1)に対する重合活性は1.6×10g/molであった。得られたエチレン重合体の物性を表2に示した。
【0228】
【表2】

c:[シクロオクタンジイル−trans-1,2-ビス(2-オキソイル-3,5-ジ-tert-ブチルベンジルスルファニル)]ジクロロジルコニウム
b:ラセミ−エチレンビス(インデニル)ジルコニウムジフェノキシド
※1:分子量が低すぎて測定不可
【0229】
表2に示した結果より、実施例2で得られたポリマーが成分(A1)由来ポリマーと成分(A2)由来ポリマーの単純な混合物であるならば、NLCBの値は、
0.63(成分(A1)単独ポリマーのNLCB)×0.58(低分子量側のピークの面積割合)+0.01(成分(A2)単独ポリマーのNLCB)×0.42(高分子量側のピークの面積割合)=0.37
となるはずである。しかし、実施例2で得られたポリマーのNLCBは0.63であり、単純な混合物として推測されるNLCBの値よりは有意に高い値である。
【0230】
(実施例3)
減圧乾燥後、アルゴンで置換した内容積5リットルの撹拌機付きオートクレーブ内を真空にし、溶媒としてトルエンを500ml仕込み、オートクレーブを70℃まで昇温した。その後、エチレンを、その分圧が0.6MPaになるように加え系内を安定させた。これに、濃度を2.5mmol/mlに調製したメチルアルミノキサンのトルエン溶液2.0mlを投入した。次に、濃度を1.0μmol/mlに調製した、上記参考例2で得られた[シクロヘプタンジイル−trans-1,2-ビス(2-オキソイル-3,5-ジ-tert-ブチルベンジルスルファニル)]ジクロロジルコニウム(A1)のトルエン溶液を0.50ml加え、全圧を一定に保つようにエチレンをフィードしながら70℃で、前段30分間重合を行った。その後、オートクレーブ内のエチレンを、その分圧が0.2MPaになるまでパージし、次に、濃度を1.0μmol/mlに調製した、ジメチルシリレンテトラメチルシクロペンタジエニル(tert−ブチルアミド)チタニウムジクロリド(A2)のトルエン溶液を3.0ml加えた。全圧を一定に保つようにエチレンをフィードしながら70℃で、さらに後段30分間重合を行った。その結果、オレフィン重合体30.0gが得られた。成分(A1)と成分(A2)の合計の使用量に対する重合活性は0.09×10g/molであった。得られたエチレン重合体の物性を表3に示した。
【0231】
(比較例4)
減圧乾燥後、アルゴンで置換した内容積5リットルの撹拌機付きオートクレーブ内を真空にし、溶媒としてトルエンを500ml仕込み、オートクレーブを70℃まで昇温した。その後、エチレンを、その分圧が0.2MPaになるように加え系内を安定させた。これに、濃度を2.5mmol/mlに調製したメチルアルミノキサンのトルエン溶液2.0mlを投入した。次に、濃度を1.0μmol/mlに調製した、ジメチルシリレンテトラメチルシクロペンタジエニル(tert−ブチルアミド)チタニウムジクロリド(A2)のトルエン溶液を3.0ml加え、全圧を一定に保つようにエチレンをフィードしながら70℃で、30分間重合を行った。その結果、オレフィン重合体11.1gが得られた。成分(A2)に対する重合活性は0.04×10g/molであった。得られたエチレン重合体の物性を表3に示した。
【0232】
【表3】

a:[シクロヘプタンジイル−trans-1,2-ビス(2-オキソイル-3,5-ジ-tert-ブチルベンジルスルファニル)]ジクロロジルコニウム
d:ジメチルシリレンテトラメチルシクロペンタジエニル(tert−ブチルアミド)チタニウムジクロリド
※1:分子量が低すぎて測定不可
※2:分子量が高すぎて測定不可
【0233】
表3に示した結果より、実施例3で得られたポリマーが成分(A1)由来ポリマーと成分(A2)由来ポリマーの単純な混合物であるならば、NLCBの値は、
0.23(成分(A1)単独ポリマーのNLCB)×0.82(低分子量側のピークの面積割合)+0.00(成分(A2)単独ポリマーのNLCB)×0.18(高分子量側のピークの面積割合)=0.19
となるはずである。しかし、実施例3で得られたポリマーのNLCBは0.32であり、単純な混合物として推測されるNLCBの値よりは有意に高い値である。
【0234】
(実施例4)
減圧乾燥後、アルゴンで置換した内容積5リットルの撹拌機付きオートクレーブ内を真空にし、溶媒としてトルエンを500ml仕込み、オートクレーブを70℃まで昇温した。その後、エチレンを、その分圧が0.6MPaになるように加え系内を安定させた。これに、濃度を2.5mmol/mlに調製したメチルアルミノキサンのトルエン溶液2.0mlを投入した。次に、濃度を1.0μmol/mlに調製した、上記(参考例2)で得られた[シクロヘプタンジイル−trans-1,2-ビス(2-オキソイル-3,5-ジ-tert-ブチルベンジルスルファニル)]ジクロロジルコニウム(A1)のトルエン溶液を0.25mlと、濃度を1.0μmol/mlに調製した、ラセミ−エチレンビス(インデニル)ジルコニウムジフェノキシド(A2)のトルエン溶液を0.25ml加えた。全圧を一定に保つようにエチレンをフィードしながら70℃で、30分間重合を行った。その結果、オレフィン重合体94.2gが得られた。成分(A1)と成分(A2)の合計の使用量に対する重合活性は1.9×10g/molであった。得られたエチレン重合体の物性を表4に示した。
【0235】
(実施例5)
濃度を1.0μmol/mlに調製した、 [シクロヘプタンジイル−trans-1,2-ビス(2-オキソイル-3,5-ジ-tert-ブチルベンジルスルファニル)]ジクロロジルコニウム(A1)のトルエン溶液を0.4mlと、濃度を1.0μmol/mlに調製した、ラセミ−エチレンビス(インデニル)ジルコニウムジフェノキシド(A2)のトルエン溶液を0.1ml用いた以外は、実施例1と同様の方法にて重合を行った。その結果、オレフィン重合体39.0gが得られた。成分(A1)と成分(A2)の合計の使用量に対する重合活性は0.8×10g/molであった。得られたエチレン重合体の物性を表4に示した。
【0236】
(実施例6)
濃度を1.0μmol/mlに調製した、 [シクロヘプタンジイル−trans-1,2-ビス(2-オキソイル-3,5-ジ-tert-ブチルベンジルスルファニル)]ジクロロジルコニウム(A1)のトルエン溶液を0.1mlと、濃度を1.0μmol/mlに調製した、ラセミ−エチレンビス(インデニル)ジルコニウムジフェノキシド(A2)のトルエン溶液を0.4ml用いた以外は、実施例1と同様の方法にて重合を行った。その結果、オレフィン重合体45.4gが得られた。成分(A1)と成分(A2)の合計の使用量に対する重合活性は0.9×10g/molであった。得られたエチレン重合体の物性を表4に示した。
【0237】
【表4】

a:[シクロヘプタンジイル−trans-1,2-ビス(2-オキソイル-3,5-ジ-tert-ブチルベンジルスルファニル)]ジクロロジルコニウム
b:ラセミ−エチレンビス(インデニル)ジルコニウムジフェノキシド
※1:分子量が低すぎて測定不可
【0238】
(比較例5)
(1)固体触媒成分の調製
窒素置換した撹拌機を備えた反応槽に、窒素流通下で300℃において加熱処理したシリカ(デビソン社製 Sylopol948)2.8kgとトルエン24kgとを入れて、撹拌した。その後、5℃に冷却した後、1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザン0.9kgとトルエン1.4kgとの混合溶液を反応槽の温度を5℃に保ちながら30分間で滴下した。滴下終了後、5℃で1時間撹拌し、次に95℃に昇温し、95℃で3時間撹拌し、ろ過した。得られた固体生成物をトルエン20.8kgで6回、洗浄を行った。その後、トルエン7.1kgを加えスラリーとし、一晩静置した。
【0239】
上記で得られたスラリーに、ジエチル亜鉛のヘキサン溶液(ジエチル亜鉛濃度:50重量%)1.73kgとヘキサン1.02kgとを投入し、撹拌した。その後、5℃に冷却した後、3,4,5−トリフルオロフェノール0.78kgとトルエン1.44kgとの混合溶液を、反応槽の温度を5℃に保ちながら60分間で滴下した。滴下終了後、5℃で1時間撹拌し、次に40℃に昇温し、40℃で1時間撹拌した。その後、22℃に冷却し、H2O0.11kgを反応槽の温度を22℃に保ちながら1.5時間で滴下した。滴下終了後、22℃で1.5時間撹拌し、次に40℃に昇温し、40℃で2時間撹拌し、更に80℃に昇温し、80℃で2時間撹拌した。撹拌後、室温にて、残量16Lまで上澄み液を抜き出し、トルエン11.6kgを投入し、次に、95℃に昇温し、4時間撹拌した。撹拌後、室温にて、上澄み液を抜き出し、固体生成物を得た。得られた固体生成物をトルエン20.8kgで4回、ヘキサン24リットルで3回、洗浄を行った。その後、乾燥することにより、固体触媒成分を得た。
【0240】
(2)重合
減圧乾燥後、アルゴンで置換した内容積3リットルの撹拌機付きオートクレーブ内を真空にし、水素をその分圧が0.01MPaになるように加え、1−ブテンを30g、重合溶媒としてブタンを720g仕込み、70℃まで昇温した。その後、エチレンを、その分圧が1.6MPaになるように加え系内を安定させた。ガスクロマトグラフィー分析の結果、系内のガス組成は、水素=0.36mol%、1−ブテン=1.58mol%であった。これに、有機アルミニウム化合物として濃度を1mol/lに調整したトリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液 0.9mlを投入した。次に、濃度を10μmol/mlに調整したジメチルシランジイルビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドのトルエン溶液1.5mlと濃度を2μmol/mlに調整したラセミ−エチレンビス(1−インデニル)ジルコニウムジフェノキシドのトルエン溶液 0.25mlを投入し、続いて上記(1)で得られた固体触媒成分148.8mgを投入した。重合中は全圧を一定に維持するように、エチレンガスを連続的に供給しながら、70℃で60分間重合した。その後、ブタン、エチレン、水素をパージして、エチレン−1−ブテン共重合体188gを得た。ジメチルシランジイルビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドとラセミ−エチレンビス(1−インデニル)ジルコニウムジフェノキシドの合計の使用量に対する重合活性は0.1×10g/molであった。得られた共重合体の物性を表5に示した。
【0241】
【表5】

錯体b:ラセミ−エチレンビス(1−インデニル)ジルコニウムジフェノキシド
錯体e:ジメチルシランジイルビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記成分(A1)と、下記成分(A2)と、活性化用助触媒成分(B)とを用いてオレフィンを重合するオレフィン重合体の製造方法。
成分(A1):下記一般式(1−1)または(1−2)で表される錯体

(式中、nは1、2または3であり、
Mは、ジルコニウム原子またはハフニウム原子を表す。
およびRは、それぞれ独立して、
水素原子、
ハロゲン原子、
炭素原子数1〜20のアルキル基、
環を構成する炭素原子数が3〜10のシクロアルキル基、
炭素原子数2〜20のアルケニル基、
炭素原子数2〜20のアルキニル基、
炭素原子数7〜30のアラルキル基、
炭素原子数1〜20のアルコキシ基、
炭素原子数7〜30のアラルキルオキシ基、
炭素原子数6〜30のアリールオキシ基、
または、置換シリル基を表す。
〜RおよびR〜R10は、それぞれ独立して、
水素原子、
ハロゲン原子、
炭素原子数1〜20のアルキル基、
環を構成する炭素原子数が3〜10のシクロアルキル基、
炭素原子数2〜20のアルケニル基、
炭素原子数2〜20のアルキニル基、
炭素原子数7〜30のアラルキル基、
炭素原子数6〜30のアリール基、
炭素原子数1〜20のアルコキシ基、
炭素原子数7〜30のアラルキルオキシ基、
炭素原子数6〜30のアリールオキシ基、
置換シリル基、
または環を構成する炭素原子数が3〜20のヘテロ環式化合物残基を表す。
〜R10における上記アルキル基、上記シクロアルキル基、上記アルケニル基、上記アルキニル基、上記アラルキル基、上記アリール基、上記アルコキシ基、上記アラルキルオキシ基、上記アリールオキシ基、およびヘテロ環式化合物残基は置換基を有していてもよい。
上記R〜R10の定義に関わらず、RとR、RとR、RとR、RとR、RとR、RとR、RとRおよびRとR10の組み合わせのうち少なくとも1つの組み合わせでは、2つの置換基は相互に連結して環を形成してもよく、形成された環は置換基を有していてもよい。
Xは、それぞれ独立して、
水素原子、
ハロゲン原子、
炭素原子数1〜20のアルキル基、
環を構成する炭素原子数が3〜10のシクロアルキル基、
炭素原子数2〜20のアルケニル基、
炭素原子数7〜30のアラルキル基、
炭素原子数6〜30のアリール基、
炭素原子数1〜20のアルコキシ基、
炭素原子数7〜30のアラルキルオキシ基、
炭素原子数6〜30のアリールオキシ基、
置換シリル基、
置換アミノ基、
置換チオラート基、または
炭素原子数1〜20のカルボキシラート基を表す。
Xにおける上記アルキル基、上記シクロアルキル基、上記アルケニル基、上記アラルキル基、上記アリール基、上記アルコキシ基、上記アラルキルオキシ基および上記アリールオキシ基は置換基を有していてもよい。
隣接するX同士は、相互に連結して環を形成してもよい。
Lは中性のルイス塩基を表す。Lが複数ある場合は、複数のLは同一でも異なっていてもよい。lは、0、1、または2である。)

成分(A2):下記一般式(8)で表される遷移金属化合物またはそのμ−オキソタイプの遷移金属化合物二量体

(式中、Mは周期律表第4〜11族の遷移金属原子である。Cpは、シクロペンタジエン型アニオン骨格を有する基であり、Zは、シクロペンタジエン型アニオン骨格を有する基またはヘテロ原子を含有する基である。Qは、シクロペンタジエニル基とZを連結する架橋基である。CpおよびZが、いずれもシクロペンタジエン型アニオン骨格を有する基である場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
は、それぞれ独立して、
水素原子、
ハロゲン原子、
炭素原子数1〜20のアルキル基、
環を構成する炭素原子数が3〜10のシクロアルキル基、
炭素原子数2〜20のアルケニル基、
炭素原子数7〜30のアラルキル基、
炭素原子数6〜30のアリール基、
炭素原子数1〜20のアルコキシ基、
炭素原子数7〜30のアラルキルオキシ基、
炭素原子数6〜30のアリールオキシ基、
置換シリル基、
置換アミノ基、
置換チオラート基、または
炭素原子数1〜20のカルボキシラート基を表す。
a’は1≦a’≦3を満足する数である。)
【請求項2】
前段にて請求項1に記載の成分(A1)と活性化用助触媒成分(B)とを用いてオレフィンを重合した後、後段にて請求項1に記載の成分(A2)と活性化用助触媒成分(B)とを用いてオレフィンを重合することを特徴とする請求項1に記載のオレフィン重合体の製造方法。
【請求項3】
活性化用助触媒成分(B)がホウ素化合物または有機アルミニウム化合物である請求項1に記載のオレフィン重合体の製造方法。
【請求項4】
一般式(1−1)におけるRおよびRが、それぞれ独立して
ハロゲン原子、
炭素原子数1〜20のアルキル基、
炭素原子数3〜10のシクロアルキル基、
炭素原子数7〜30のアラルキル基、
または置換シリル基
である請求項1に記載のオレフィン重合体の製造方法
【請求項5】
一般式(1−2)におけるRおよびR10が、それぞれ独立して
ハロゲン原子、
炭素原子数1〜20のアルキル基、
炭素原子数3〜10のシクロアルキル基、
炭素原子数7〜30のアラルキル基、
炭素原子数6〜30のアリール基、
置換シリル基、
または炭素原子数3〜20のヘテロ環式化合物残基
である請求項1に記載のオレフィン重合体の製造方法。
【請求項6】
オレフィンがエチレンのみである請求項1に記載のオレフィン重合体の製造方法。
【請求項7】
オレフィンが、エチレンと炭素原子数3〜20のα−オレフィンとを含む請求項1に記載のオレフィン重合体の製造方法。
【請求項8】
下記要件(1)〜(5)を満たすエチレン系重合体。
(1)密度が850〜980kg/m3である。
(2)JIS K7210−1995に規定された方法において、温度190℃、荷重21.18Nの条件で、A法により測定されるメルトフローレートが0.01〜100g/10分である。
(3)ゲル・パーミエイション・クロマトグラフ法により測定される分子量分布曲線が二峰性の分子量分布を有し、分子量分布曲線における高分子量側のピークトップ分子量が50,000以上であり、低分子量側のピークトップ分子量が10,000以下である。
(4)重量平均分子量の数平均分子量に対する比が4〜55である。
(5)13C−NMRにより測定される炭素原子数5以上の分岐数が炭素原子1000個あたり0.2〜0.7である。
【請求項9】
請求項8に記載のエチレン系重合体を押出成形して得られる成形体。

【公開番号】特開2013−53308(P2013−53308A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−174712(P2012−174712)
【出願日】平成24年8月7日(2012.8.7)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】