説明

オレフィン重合用触媒成分

Mg、Ti、ハロゲンおよびエーテル類、エステル類、アミン類、ケトン類またはニトリル類に属する電子供与化合物(ED)を含み、Mg/Tiモル比が5より高く、且つED/Tiモル比が3.5より高いことを特徴とするオレフィン(共)重合用、特にLLDPEの製造用触媒成分。この触媒成分は、コポリマー鎖の中と間のコモノマーの均一な分布を発揮する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、オレフィン類CH2=CHR (ここで、Rは水素または1〜12の炭素原子を有する炭化水素基である)の重合用触媒成分に関する。特に、この発明は、Mg、Ti、ハロゲンと電子供与化合物を特定のモル比で含む触媒成分に関する。これらの触媒成分は、ポリマー鎖に沿ってかつ各種のポリマー鎖中にα-オレフィン類を均一に分布し得る能力が故に、触媒に変換したときに、エチレンとα-オレフィン類のコポリマーの製造用に特に適している。
【0002】
したがって、この発明のもう一つの目的は、エチレン/α-オレフィンコポリマーを生産するため、オレフィン類の共重合法における前記触媒の使用である。
【0003】
直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)は、ポリオレフィン分野の最も重要な製品ファミリーの1つである。そのファミリーは、範囲0.925〜0.88に密度を持つ製品を有するような単位を誘導するα-オレフィンの量を含むエチレン/α-オレフィンコポリマーから構成される。それらの特性のため、これらのコポリマーは、多くの分野、ことに、例えばLLDPEに基づく伸縮自在フィルムの使用が商業上著しく重要な適用を構成する製品の包装材料と包装材料の分野において応用を見出している。LLDPEは、液相法(溶液もしくはスラリー)またはより経済的な気相法によって商業的に生産されている。両方法は、チタン化合物が、ハロゲン化マグネシウムに支持されている固形触媒成分と、適当な活性化剤、通常アルキルアルミニウム化合物との反応により一般に形成されるチーグラー・ナッタMgCl2支持触媒の広範な使用を含む。
【0004】
LLDPEの製造に関する限り、この触媒は適切に高い収率と共に良好なコモノマー分布を示すことが要求される。
【0005】
ポリマー鎖の中と間のコモノマー(α-オレフィン)の均一な分布が非常に重要である。事実、不規則にまたは二者択一的にポリマー鎖に沿って分布されたコモノマーを有し、且つ同時にコモノマーの類似の平均含量(組成の狭い分布)を有することは、高品質のエチレンコポリマーの達成を可能にする。後者は、通常、同時にHDPEに関して十分に低い密度と、このコポリマーの特定の性質を悪化させるヘキサンまたはキシレンのような炭化水素溶剤に可溶なポリマー画分の低い含有量を併せ有する。
【0006】
上記の観点で、上で説明したようにコモノマーの均一な分布に対する好適な能力を示すには、触媒がLLDPE製造に使用されることが非常に重要である。上記したように、一般に不均一なチーグラー・ナッタ触媒はそうするのに特に十分でないので、一般的な試みは、いわゆる電子供与化合物を使用することによりこの特性の改善をためすことである。
【0007】
米国特許第4,142,532号は、式MgmTiCl2mY・nE (ここで、YはTiの原子価を満足する1つの原子または原子の群であり、Eは電子供与化合物である)の金属錯体で得られるオレフィン類の重合用触媒成分を開示している。これらの錯体の特別の例は、例えばTiCl3とMgCl2および酢酸エチル、エタノールまたはテトラヒドロフランのような電子供与体との反応により得られたものである。その文献には、これらの触媒成分はオレフィンの共重合には用いられておらず、単独重合方法にのみに使用されている。その上、報告された数値から、比活性(KgPE/gcat・atm・h)は非常に低いことが読みとり得る。
【0008】
ヨーロッパ特許第004647号には、式MgmTi (OR)nXpEDq (ここで、mは0.1〜56であり、nは0、1または2であり、nは2〜116であり、qは2〜85である)の前駆体を含む気相重合条件下のエチレンコポリマーの製造用の触媒成分が開示されている。好ましくはmは1.5〜5であり、qは4〜11であり、EDはエステル類、エーテル類とケトン類から選択するのが好ましい。活性は特別に高くなく、シリカでの支持が、気相操作性のために触媒に必要な形態学的特性を付与するのに必要とされる。
【0009】
したがって、均一なコモノマー分布、高い重合活性と好ましくは気相重合への適合を与えるべく触媒の発輝能力の必要が感じられる。
【0010】
今回、本出願人は、Mg、Ti、ハロゲンと、エーテル類、エステル類、ケトン類またはニトリル類に属する電子供与化合物(ED)を含み、Mg/Tiモル比が5より高く、ED/Tiモル比が3.5より高いことを特徴とするオレフィン重合用、特にLLDPEの製造用の触媒成分を見出した。
【0011】
上記の電子供与化合物は、互いに、またはアルコール類、無水物などのような異なる電子供与化合物との混合物でも使用できる。しかしながら、ED/Ti比を計算する目的には、エーテル類、エステル類、アミン類、ケトン類とニトリル類に属するEDのみが考慮に入れるべきである。
【0012】
ED化合物は、エーテル類またはエステル類から選択されるのが好ましい。好ましいエーテル類は、C2〜C20脂肪族エーテル類であり、特に環状エーテル類、好ましくはテトラヒドロフラン、ジオキサンのような3〜5炭素原子を有する環状エーテル類である。好ましいエステル類は、C1〜C20アルキルエステル類、好ましくはC1〜C10の脂肪族カルボン酸とアルキルエステル類で、特に酢酸エチル、ギ酸メチルのような脂肪族モノカルボン酸のC1〜C4アルキルエステル類である。
【0013】
ED/Tiモル比は、好ましくは3.7〜40、より好ましくは4〜40、特に4.5〜30を範囲とする。また、5〜20の範囲、特に6〜15の範囲がことに好ましい。
Mg/Tiモル比は、好ましくは7〜120、好ましくは10〜110、さらに特に15〜100を範囲とする。
【0014】
この発明の特定の具体例において、触媒成分は、電子供与化合物(ED)に加えて、上で開示したモル比が満足されるような量でTi化合物とマグネシウムジハライドを含む。好ましいチタン化合物は、テトラハライドまたは式TiXn (OR1)4-n (式中、0≦n≦3、Xはハロゲン、好ましくは塩素であり、R1はC1〜C10炭化水素基である)の化合物である。チタンテトラクロリドが好ましい化合物である。
【0015】
マグネシウムジハライドは、チーグラー・ナッタ触媒の支持体として特許文献で広く知られている活性型のMgCl2が好ましい。米国特許第4,298,718号および米国特許第4,495,338号がチーグラー・ナッタ触媒におけるこれらの化合物の使用を記載した最初であった。オレフィン類の重合用触媒の成分中で支持体または共支持体として使用される活性型のマグネシウムジハライドは、非活性型のスペクトルのASTM-カード基準に現れる最大強度回折線が、強度で減少し、ブロード化するX線スペクトルにより特徴付けられることが、これらの特許で知られている。活性型の好ましいマグネシウムジハライドのX線スペクトルにおいて、その最大強度線が強度を減少し、この最大強度が、最大強度線に対しより低い角度に移動させられるハロによって置換される。
【0016】
この発明の触媒成分はいくつかの方法によって製造できる。これらの方法の1つに従って無水状態のマグネシウムジハライドと適当量のEDを、マグネシウムジハライドの活性化が起こる条件下で一緒に粉砕する。そのようにして得られた生成物は、適当量のTiCl4で1回以上処理され得る。この処理に続き、クロリドイオンが消失するまで、炭化水素溶剤で洗浄される。
【0017】
特別の具体例によると、式Ti (OR1)n-yXy (式中、nはチタンの原子価であり、Yは1とnとの間の数である)、好ましくはTiCl4のチタン化合物の適当量と、式MgCl2・pR2OH (式中、pは0.1〜6、好ましくは2〜4.5の間の数であり、R2は炭素原子1〜18を有する炭化水素基である)の付加物から誘導されるマグネシウムクロリドとを適当量のED化合物の存在下で反応させて固形触媒成分を製造することができる。付加物は、アルコールとマグネシウムクロリドを、付加物と不混和性の不活性炭化水素の存在下で、付加物の溶融温度における撹拌条件下に操作して混合することにより球状形態に適宜製造できる。次いで、エマルジョンを速やかに急冷し、その結果、球状粒子の形態の付加物の固化が生じる。
【0018】
本発明による触媒、特に気相重合に適当である触媒の特に好適な方法は、次の工程:
(a) MgCl2・mR3OH (式中、0.3≦m≦2.3、R3は炭素原子1〜12を有するアルキル、シクロアルキルまたはアリール基である)の化合物と脱アルコール化剤およびED化合物との反応、そして、
(b) (a)で得られた生成物と、式Ti (OR1)nXy-n (式中、nは0〜0.5の間からなり、yはチタンの原子価であり、Xはハロゲンであり、Rは炭素原子2〜8を有するアルキル基またはCOR基である)のチタン化合物との反応
を含む。
【0019】
この付加物MgCl2・mR3OHは、付加物MgCl2・pEtOH (式中、pは2に等しいか2より大きく、好ましくは2.5〜4.5の範囲である)の熱的脱アルコール化により製造できる。球状形態にあるこの付加物は、溶融した付加物を液体炭化水素中でエマルジョン化し、その後、急速な冷却をして固化させることにより製造できる。これらの球状付加物の製造の代表的な方法は、例えば米国特許第4,469,648号、米国特許第4,399,054号とWO98/44009号に報告されている。球状化のもう一つの使用可能な方法は、例えば米国特許第5,100,849号および第4,829,034号に記載されているスプレー冷却である。上記のように、そこで得た付加物は、50〜150℃の温度で、アルコール含量が、マグネシウムジクロリドのモル当たり2.5より低い、好ましくは1.7〜0.3モルの間に含まれる値に減少するまで熱的脱アルコールに付される。
【0020】
工程(a)における脱アルコール化剤は、OH基と反応し得る官能性を有する何れの化学剤でもよい。脱アルコール化剤の特に好ましいグループはアルキルアルミニウム化合物類のものである。例えば、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ-n-ブチルアルミニウム、トリ-n-ヘキシルアルミニウム、トリ-n-オクチルアルミニウムおよびトリス(2,4,4-トリメチルペンチル)アルミニウムのようなトリアルキルアルミニウム化合物の使用が特に好ましい。トリエチルアルミニウムの使用が特別に好ましい。トリアルキルアルミニウム化合物と、AlEt2ClとAl2Et3Cl3のようなアルキルアルミニウムハライド類、アルキルアルミニウムヒドリド類またはアルキルアルミニウムセスキクロリド類との混合物を使用することもできる。
【0021】
アルキルアルミニウム化合物は、Ti化合物に対して還元活性を有し得ることが知られている。したがって、この活性が望まれないならば、脱活性化剤、例えばO2を、工程(b)を行う前に添加することができ、このようにしてチタン化合物の還元を回避することができる。
使用可能な脱アルコール化剤のもう一つのグループは、ハロゲン含有シリコン化合物類である。そのようなシリコン化合物の特別の例は、式SiX4-nYn (式中、XとYはハロゲン原子、例えばClとBrを表し、nは0から3に変化する数である)を有するシリコンハライド類を含む。SiCl4の使用が特に好ましい。
【0022】
上記のように、工程(a)は、各種の様式に従って行うことができるED化合物との反応も含む。1つの手法によれば、脱アルコール化剤と付加物の反応は、ED化合物の存在下で行われる。このEDは、反応混合物に脱アルコール化剤と共に、あるいは、別々に添加され得る。EDが脱アルコール化剤と共に添加されれば、工程(a)の反応混合物に連続的に供給される2つの成分の別々の混合物の調製の好ましい具体例を構成する。脱アルコール化剤とED化合物の何れかまたは両者は、そのまま添加できるが、または例えば液体炭化水素のような液体担体中に希釈できる。反応工程(a)は−10℃〜130℃の間の温度で、液体炭化水素中で行うことができる。20〜100℃の温度で反応を行うのが好ましい。
【0023】
脱アルコール化化合物と付加物のアルコールとの間のモル比は、一般に0.01〜100、特に0.1〜50を変動する。Al-アルキル化合物が脱アルコール化剤として使用されるとき、付加物のアルコールとのそのモル比は、好ましくは0.01〜70、好ましくは0.1〜40を変動する。ED化合物は、0.1〜20、好ましくは0.5〜10の範囲であるMg/EDモル比を有するような量で使用できる。厳密には要求されないが、工程(a)は1回以上繰り返すことができる。本発明の好ましい具体例によれば、脱アルコール化剤とEDが別々の化合物として組合され、次いで付加物と反応されるとき、反応工程(a)は3回行われる。この手法により使用できるEDの1つの好ましい群は、エーテル類特に環状脂肪族エーテル類である。それらの中で、テトラヒドロフランが特に好ましい。
【0024】
他の特別の手法によれば、ED化合物との反応は、MgCl2・mROHと脱アルコール化剤との反応が終了し、任意に反応生成物を分離した後に行われる。この手法は、脱アルコール化剤がED化合物と反応できる場合に特に適する。環状脂肪族エーテル類とアセテート類のような脂肪族カルボン酸のエステル類の両者が、この手法に従って有利に使用できる。
【0025】
次いで、工程(a)由来の生成物は、工程(b)においてTi化合物と反応させられる。またこの場合においてもこの反応は、溶剤として液体炭化水素中、−10℃〜135℃の間、好ましくは20〜130℃の間の温度で行うことができる。使用されるTi化合物の量は、最終触媒成分中、本発明によるMg/Tiモル比とED/Tiモル比を有するようにすべきである。一つの例として、本出願人は、工程(a)のMgCl2・mROH付加物の0.01〜1重量%を変動するTi化合物の重量を用いることにより、触媒性能に関して良好な結果を得ることができることを見出した。
【0026】
また好ましい代替の方法は、脱アルコール化剤として、チタンハライド好ましくはチタンテトラクロリドの使用、および引き続き得られる固体と適量のED化合物との接触を含む。チタンハライドとEDは上で説明した同じ条件下で使用できる。
本発明による固形触媒成分は、それらを公知法に従って有機アルミニウム化合物と反応させることによりオレフィン類の重合用触媒に変換される。
【0027】
特に、この発明の目的は:
(a) 上記したごとき固形触媒成分、
(b) アルキルアルミニウム化合物、および任意に、
(c) 外部電子供与化合物
との間の反応生成物からなるオレフィン類CH2=CHR (式中、Rは水素または炭素原子1〜12を有する炭化水素基である)の重合用触媒である。
【0028】
アルキル-Al化合物は、好ましくは例えばトリメチルアルミニウム(TMA)、トリエチルアルミニウム(TEAL)、トリイソブチルアルミニウム(TIBA)、トリ-n-ブチルアルミニウム、トリ-n-ヘキシルアルミニウム、トリ-n-オクチルアルミニウムのようなトリアルキルアルミニウム化合物類から選択できる。また、アルキルアルミニウムハライド類、特にジエチルアルミニウムクロリド(DEAC)、ジイソブチルアルミニウムクロリド、Al-セスキクロリドおよびジメチルアルミニウムクロリド(DMAC)のようなアルキルアルミニウムクロリド類が使用できる。トリアルキルアルミニウムとアルキルアルミニウムハライド類との混合物も使用でき、かつある場合には好ましい。それらの中で、TEALとDEACとの混合物が特に好ましい。単独または混合物中のTIBAの使用も好ましい。TMAの使用もまた特に好ましい。
【0029】
外部電子供与化合物は、固形触媒成分に使用されるEDと同一であっても異なっていてもよい。好ましくは、エーテル類、エステル類、アミン類、ニトリル類、シラン類および上記の混合物からなる群から選択される。特に、C2〜C20脂肪族エーテル類および環状エーテル類、好ましくはテトラヒドロフラン、ジオキサンのような炭素原子3〜5を有する環状エーテル類から選択するのが有利である。
【0030】
加えて、電子供与化合物は式Ra5Rb6Si (OR7)c (式中、aとbは0〜2の整数であり、cは1〜3の整数であり、(a+b+c)の和は4であり;R5、R6、R7は任意に異原子を含んでもよい炭素原子1〜18を有するアルキル、シクロアルキルまたはアリール基である)のシリコン化合物からも有利に選択できる。特に、aが0であり、cが3であり、R6が任意に異原子を含んでもよい炭素原子1〜18を有する分枝アルキルか、またはシクロアルキル基であり、R7がメチルであるシリコン化合物が好ましい。そのような好ましいシリコン化合物の例は、シクロヘキシルトリメトキシシラン、t-ブチルトリメトキシシラン、テキシルトリメトキシシランである。
【0031】
上記の成分(a)〜(c)は反応器に別々に供給でき、そこでは重合条件下でそれらの活性を利用できる。しかしながら、任意に少量のオレフィン類の存在下で、0.1〜120分を範囲とする、好ましくは1〜60分を範囲とする時間、上記の成分の予備接触は、特に有利な具体例を構成する。予備接触は、0〜90℃、好ましくは20〜70℃の範囲の温度で、液体希釈剤中で行うことができる。
【0032】
このように形成された触媒系は、主重合工程において直接使用できるか、あるいは予め予備重合できる。予備重合工程は通常、主重合工程が気相で行われるとき好ましい。予備重合は、オレフィン類CH2=CHR (ここで、RはHまたはC1〜C10炭化水素基である)の何れかと行うことができる。特に、エチレンまたはエチレンと1以上のα-オレフィンとの混合物(この混合物はα-オレフィンを20モル%まで含有する)を予備重合させるのが好ましく、固形成分のg当たり約0.1 gから固形触媒成分のg当たり約1000 gまでのポリマー量を形成する。
【0033】
予備重合工程は、液相または気相中0〜80℃、好ましくは5〜70℃の温度で行うことができる。予備重合工程は、連続重合法の一部としてインラインで、または別々にバッチ処理で行うことができる。触媒成分g当たり0.5〜20 gを範囲とするポリマー量を生産するため、本発明の触媒とエチレンとのバッチ式予備重合が特に好ましい。また、予備重合した触媒成分も、主重合工程に使用される前に、チタン化合物とのさらなる処理に付すこともできる。この場合、TiCl4の使用が特に好ましい。Ti化合物との反応は、任意に液体希釈剤との混合物における液体Ti化合物に、予備重合した触媒成分を懸濁し;混合物を60〜120℃に加熱し、この温度で0.5〜2時間保持して行うことができる。
【0034】
本発明の触媒を使用できる気相方法の例は、WO92/21706号、米国特許5,733,987号とWO93/03078号に記載されている。これらの方法は、触媒成分の予備接触工程、予備重合工程、流動床また機械的撹拌床の一連の1以上の反応器中での気相重合工程を含む。
【0035】
特別の具体例において、気相工程は次の工程:
(i) 触媒成分(a)、(b)と任意に(c)を0.1〜120分間を範囲とする時間、0〜90℃を範囲とする温度における接触;任意に
(ii) 固形触媒成分(a)のg当たり約0.1〜約1000 gまでのポリマー量を形成するに至るまでの、式CH2=CHR (ここで、RはHまたはC1〜C10炭化水素基である)の1以上のオレフィン類との予備重合;そして
(iii) (i)または(ii)由来の生成物の存在下における、1以上の流動床または機械的撹拌床反応器中での、エチレンまたはα-オレフィン類CH2=CHR (ここで、Rは炭素原子1〜10を有する炭化水素基である)とのその混合物の気相重合
に従い好適に実施できる。
【0036】
既に記載したように、本発明の触媒は、エチレンと1以上の炭素原子3〜12を有するα-オレフィンとのコポリマーからなり、80%より高いエチレン誘導単位のモル含量を有する直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE、0.940 g/cm3より低い密度を有す)、および極低密度および超極低密度ポリエチレン(VLDPEおよびULDPE、0.920 g/cm3より低く、0.880g/cm3までの密度を有す)を作るのに特に適している。
【0037】
以下の実施例で示されるように、前記のコポリマーは、一般にコモマーの導入程度と密度に関して、キシレン可溶画分の低い量で特徴付けられる。多くの場合、特に外部供与体が使用されると、導入されたコモノマーが比較的少量でも実質的に密度の低下が示されるように、コモノマーは鎖中および間にもよく分布されている。
【0038】
当該触媒は、例えば、エチレンホモポリマーおよびエチレンと炭素原子3〜12を有するα-オレフィン類とのコポリマーを含む高密度エチレンポリマー(HDPE、0.940 g/cm3より高い密度を有する);エチレンとプロピレンとの弾性コポリマーおよびエチレン誘導単位を約30〜70重量%の含量を有するエチレン、プロピレンと少割合のジエンとの弾性ターポリマー;アイソタクチックポリプロピレン類およびプロピレン誘導単位を85重量%より高い含量で有するプロピレンとエチレン、および/または他のα-オレフィン類との結晶性コポリマー類;エチレンを30重量%まで含有する、プロピレンおよびプロピレンとエチレンとの混合物の逐次重合で得られるプロピレンの耐衝撃性ポリマー;1-ブテン誘導単位を10〜40重量%の数値で有するプロピレンと1-ブテンのコポリマー類を含む、広範囲のポリオレフィン製品を作るのにも使用できる。
【0039】
次の実施例は、非限定的な様式で本発明をさらに説明するため与えるものである。
特徴付け
次の方法に従って特性を決定した:
メルトインデックス:ASTM D−1238条件“E”(2.16 Kgの負荷)と“F”(21.6 Kgの負荷)に従い190℃で測定した。
【0040】
キシレン可溶画分:25℃におけるキシレンへの可溶性を次の方法で決定した:ポリマー約2.5 gとo-キシレン250 mlを、冷却器、還流濃縮器を備え窒素下に保った丸底フラスコに入れた。得られた混合物を135℃に加熱し、撹拌下約60分間保った。最終溶液を連続撹拌下に25℃に冷却させ、次いで濾過した。次に、濾液を定重量に達するまで窒素気流中140℃で蒸発させた。該キシレン可溶画分の含有量を元の2.5 gのパーセントとして表す。
【0041】
コモノマー含有量
1-ブテンは、赤外分光測定で決定した。1-ブテンより高級なα-オレフィンは赤外分析で決定した。
有効密度:ASTM−D 1505
粘着力(Blocking Force):ASTM D 3354に従って25μmインフレートフィルム(ブローアップ比2.5/1)について測定。
ダート(Dart):ASTM D 1709に従って25μmインフレートフィルム(ブローアップ比2.5/1)について測定。
【0042】
実施例
球状支持体(MgCl2/EtOH付加物)の製造
アルコール約3モルを含有するマグネシウムクロリド・アルコール付加物を、米国特許第4,399,054号の実施例2に記載の方法に従って製造したが、10000 RPMの代わりに2000 RPMで操作した。
【0043】
実施例1
固形成分の製造
一般的な方法で作った球状支持体を、球状粒子が約35%(各MgCl2モルに対しエタノール1.1モル)の残留エタノール含有量を有するまで、N2気流下、50〜150℃の温度範囲で熱処理にかけた。
撹拌器を備えた2Lガラス反応器中に、ヘキサン1.2 L、上記で作った支持体60 gと別に作ったAlEt3/THFの1.3モル混合物([Al]=ヘキサン中100 g/L) 0.27 Lを0℃の温度で導入した。全混合物を加熱し、50℃で30分間撹拌下に保った。その後、撹拌を停止し、液体を吸い出した。AlEt3/THF混合物での処理を、室温から始める同じ条件下で2回繰り返した。新鮮なヘキサンで3回洗浄し、次いで(ヘキサン200 mlに添加希釈した) TiCl4 4 mlを含有するヘキサン1 L中、60℃の温度で2時間撹拌下にさらなる処理を行った。
【0044】
無水ヘキサンで洗浄し、次いで約50℃で真空下に乾燥した固形物は、次の特徴を示した:
−全チタン 2.1%(重量)
−Mg 18.2%(重量)
−Cl 48.6%(重量)
−THF 13.8%(重量)
−Al 0.8%(重量)
−EtOH 14.3%(重量)
したがって、この触媒成分中のMg/Tiモル比は17であり、THF/Tiモル比は4.4である。
【0045】
実施例2
固形成分の製造
実施例1に記載の方法に従って製造した球状支持体を、球状粒子が約35%(各MgCl2モルに対しエタノール1.1モル)の残留エタノール含有量を有するまで、N2気流下、50〜150℃の温度範囲で熱処理にかけた。
【0046】
撹拌器を備えた1000 Lのスチール製反応器中に、ヘキサン700 L、上記のようにして作った支持体24.5kgと別に作ったAlEt3/THFの1.3モル混合物([Al]=ヘキサン中100 g/L) 120 Lを、0℃の温度で導入した。全混合物を加熱し、50℃で30分間撹拌下に保った。その後、撹拌を停止し、液体を吸い出した。AlEt3/THF混合物での処理を、室温から始める同じ条件下で2回繰り返した。新鮮なヘキサンで5回洗浄し、次いで(ヘキサン10 Lに添加希釈した) TiCl4 0.43 Lを有するヘキサン700 L中、60℃の温度で2時間撹拌下にさらなる処理を行った。
【0047】
無水ヘキサンで2回洗浄後に、球状固形成分を得た。約50℃で真空乾燥後に、固体は次の特性を示した:
−全チタン 0.7%(重量)
−Mg 15.2%(重量)
−Cl 48.3%(重量)
−THF 15.2%(重量)
−Al 0.7%(重量)
−EtOH 7.0%(重量)
したがって、この触媒成分中のMg/Tiモル比は43であり、THF/Tiモル比は14.5である。
【0048】
実施例3
固形成分の製造
実施例1に記載の方法で作った球状支持体を、球状粒子が約25%(各MgCl2モルに対しエタノール0.8モル)の残留エタノール含有量を有するまで、N2気流下、50〜150℃の温度範囲で熱処理にかけた。
【0049】
撹拌器を備えた1000 Lのスチール製反応器に、ヘキサン700 L、上記のように作った支持体35 Kgと別に作ったAlEt3/THFの1.3モル混合物([Al]=ヘキサン中100 g/L) 110 Lを、0℃の温度で導入した。全混合物を加熱し、50℃で30分間撹拌下に保った。その後、撹拌を停止し、液体を吸い出した。AlEt3/THF混合物での処理を、室温から始めて同じ条件下で2回繰り返した。新鮮ヘキサンで5回洗浄し、次いで(ヘキサン10 Lに添加希釈した) TiCl4 0.65 Lを有するヘキサン700 L中、60℃の温度で2時間撹拌下にさらなる処理を行った。
【0050】
無水ヘキサンでの2回の洗浄後に、球状固形成分を得た。約50℃での真空乾燥後に、固体は次の特性を示した。
−全チタン 0.4%(重量)
−Mg 17.5%(重量)
−Cl 51.9%(重量)
−THF 10.3%(重量)
−Al 0.2%(重量)
−EtOH 12.8%(重量)
したがって、この触媒成分中のMg/Tiモル比は86.7であり、THF/Tiモル比は17である。
【0051】
実施例4
固形成分の製造
実施例1に記載の方法により作った球状支持体を、球状粒子が約35%(各MgCl2モルに対しエタノール1.1モル)の残留エタノール含有量を有するまで、N2気流下、50〜150℃の温度範囲で熱処理にかけた。
【0052】
撹拌器を備えた600 Lのスチール製反応器に、ヘキサン300 L、上記のように作った支持体15 Kgと、AlEt3 ([Al]=ヘキサン中100 g/L) 6.5 Kgを0℃の温度で導入した。全混合物を加熱し、50℃で30分間撹拌下に保った。その後、撹拌を停止し、液体を吸い出した。新鮮なヘキサンで3回洗浄し、次いで、THF 3.5 Lを有するヘキサン220 L中、60℃で2時間撹拌下にさらなる処理を行なった。その後、撹拌を停止し、液体を吸い出した。新鮮なヘキサンで3回洗浄し、次いで(ヘキサン10 Lに添加希釈した) TiCl4 0.61 Lを有するヘキサン220 L中、60℃の温度で2時間撹拌下にさらなる処理を行った。
【0053】
最後に、無水ヘキサンで1回洗浄し、球状固形成分を回収した。約50℃での真空乾燥後に、固形物は次の特性を示した:
−全チタン 1.3%(重量)
−Mg 13.8%(重量)
−Cl 45.3%(重量)
−THF 11.0%(重量)
−Al 2.7%(重量)
−EtOH 19.2%(重量)
したがって、この触媒成分中のMg/Tiモル比は21でであり、THF/Tiモル比は5.6である。
【0054】
実施例5
固形成分の製造
実施例3に従って作った球状触媒(800 g)を、20 Lのヘキサンを含み、撹拌器を備えた60 Lのスチール製反応器に導入した。
内温を0℃に保持しながら、AlEt3 ([Al]=ヘキサン中100 g/L) 40 gを反応器に徐々に添加し、数分後に、800 gのモノマー消費するようにエチレンを供給した。無水ヘキサンで2回洗浄した後に、球状固形成分を得た。
【0055】
実施例6
固形成分の製造
実施例2に従って作った球状触媒(800 g)を、20 Lのヘキサンを含み、撹拌器を備えた60 Lのスチール製反応器に導入した。
内温を0℃に保持しながら、AlEt3 ([Al]=ヘキサン中100 g/L) 40 gを反応器に徐々に添加し、数分後に、800 gのモノマー消費するようにエチレンを供給した。無水ヘキサンで2回洗浄した後に、球状固形成分を得た。
【0056】
実施例7
固形成分の製造
実施例3に従って作った球状成分を、前もってOB22油(市販入手可能) 2.9 LとAlEt2Cl ([A]=OB22油中100 g/L) 25 gを入れた、撹拌器を備えた5 Lのガラス反応器に導入した。室温で一定に保ちながら、スラリーを30分間撹拌し、次いで次のテスト用に排出させた。
【0057】
実施例8
固形成分の製造
一般的な方法に従って作った球状支持体を、球状粒子が約46%(各MgCl2モルに対しエタノール1.8モル)の残留エタノール含有量を有するまで、N2気流下、50〜150℃の温度範囲で熱処理にかけた。
【0058】
撹拌器を備えた1 Lのガラス反応器に、ヘプタン400 mlと上記のように作った支持体24.6 gを導入した。懸濁液を−20℃に冷却し、AlEt3とTHF (Al/THF=1.5モル/モル、ヘプタン中[Al]=108 g/L)を含有するヘプタン溶液410 mlを撹拌下に60分間で供給した。添加後に、懸濁液を−20℃で60分間撹拌した。
次いで、撹拌を停止し、液体を吸い出した。固体をヘプタンで2回洗浄した。ヘプタン(400 ml)を添加し、TiCl4 7.5 mlを撹拌下に供給した。懸濁液を−20℃で1時間撹拌し、撹拌を停止し液体を吸い出した。固体をヘプタンで3回洗浄した。
【0059】
25℃でヘプタン(200 ml)を添加し、AlEt3とTHF (Al/THF=1モル/モル、ヘプタン中[Al]=108 g/L)を含有するヘプタン溶液77.7 mlを撹拌下に滴加した。次いで、懸濁液を50℃に加温し60分間撹拌した。
【0060】
撹拌を停止し、液体を吸い出し、球状固形成分をヘキサンで3回洗浄し、50℃で真空乾燥後に、固体は次の特性を示した:
−全チタン 1.6%(重量)
−Mg 13.0%(重量)
−THF 18.0%(重量)
したがって、この触媒成分中のMg/Tiモル比は15.6であり、THF/Tiモル比は7.3である。
【0061】
実施例9
固形成分の製造
一般的な方法に従って作った球状支持体を、球状粒子が約46%(各MgCl2モルに対しエタノール1.8モル)の残留エタノール含有量を有するまで、N2気流下、50〜150℃の温度範囲で熱処理にかけた。
【0062】
撹拌器を備えた1 Lのガラス反応器に、ヘプタン400 mlと上記のように作った支持体20 gを導入した。懸濁液を−20℃に冷却し、AlEt3とTHF (Al/THF=1.5モル/モル、ヘプタン中[Al]=108 g/L)を含有するヘプタン溶液333 mlを撹拌下に60分間で供給した。添加後に、懸濁液を−20℃で60分間撹拌した。
【0063】
撹拌を停止し、液体を吸い出した。固体をヘプタンで2回洗浄し、ヘプタン(400 ml)を添加し、TiCl4 6.1 mlを撹拌下に供給した。懸濁液を−20℃で1時間撹拌し、撹拌を停止し液体を吸い出した。固体をヘプタンで3回洗浄した。
25℃でヘプタン(200 ml)を添加し、AlMe3とTHF (Al/THF=1モル/モル、ヘプタン中[Al]=100 g/L)を含有するヘプタン溶液44.5 mlを撹拌下に滴加した。次いで懸濁液を50℃に加温し60分間撹拌した。
【0064】
撹拌を停止し、液体を吸い出し、球状固形成分をヘキサンで3回洗浄し、50℃で真空乾燥後に、固体は次の特性を示した:
−全チタン 1.6%(重量)
−Mg 13.7%(重量)
−THF 16.4%(重量)
したがって、この触媒成分中のMg/Tiモル比は16.6であり、THF/Tiモル比は6.7である。
【0065】
実施例10
固形成分の製造
一般的な方法に従って作った球状支持体を、球状粒子が約46%(各MgCl2モルに対しエタノール1.8モル)の残留エタノール含有量を有するまで、N2気流下、50〜150℃の温度範囲で熱処理にかけた。
1 Lのガラス製反応器に、トルエン500 mlと上記のように作った支持体25 gを導入した。懸濁液を0℃に冷却し、SiCl4 43 mlを15分間で供給した。懸濁液を1時間で90℃に加熱し、次いで3時間反応させた。
酢酸エチル2.3 mlとTiCl4 20 mlを添加し、混合物を100℃で1時間反応させた。
【0066】
撹拌を停止し、液体を吸い出し、球状固形成分をヘキサンで3回洗浄し、約50℃で真空乾燥後に、固形物は次の特性を示した:
−全チタン 0.7%(重量)
−Mg 21.3%(重量)
−AcOEt 6.4%(重量)
したがって、この触媒成分のMg/Tiモル比は59.8であり、AcOEt/Tiモル比は4.98である。
【0067】
実施例11
固形成分の製造
一般的な方法に従って作った球状支持体を、球状粒子が約46%(各MgCl2モルに対しエタノール1.8モル)の残留エタノール含有量を有するまで、N2気流下、50〜150℃の温度範囲で熱処理にかけた。
1 Lのガラス製反応器に、トルエン500 mlと上記で作った支持体25 gとを導入した。懸濁液を0℃に冷却し、SiCl4 43 mlと酢酸エチル3.5 mlを15分間で供給した。懸濁液を1時間で90℃に加熱し、次いで3時間反応させた。
TiCl4 55 mlを添加し、混合物を100℃で1時間反応させた。
【0068】
撹拌を停止し、液体を吸い出し、球状固形成分をヘキサンで3回洗浄し、約50℃で真空乾燥後に、固形物は次の特性を示した:
−全チタン 0.9%(重量)
−Mg 20.2%(重量)
−AcOEt 11.7%(重量)
したがって、この触媒成分のMg/Tiモル比は44.4であり、AcOEt/Tiモル比は7.1である。
【0069】
実施例12
固体成分の製造
窒素でパージした500 mlの四頚丸底フラスコに、TiCl4 250 mlを0℃で導入した。次いで、同温度で、25重量%のエタノール含有の球状MgCl2/EtOH付加物(上記のように作り、次いで、球状粒子が所望のアルコール含有量に達するまでN2気流下、50〜150℃の温度で熱処理に付した) 17.5 gを撹拌下に添加した。温度を1時間で130℃に上げ、60分間維持した。次いで、撹拌を停止し、固形生成物を沈殿させ、上澄液を吸い出した。
固形物を無水ヘキサンで(60℃で(5×100 ml)および25℃で1回) 6回洗浄した。最後に、固形物を真空乾燥して分析した(Ti=4.9重量%、Mg=19.4重量%)。
【0070】
機械的撹拌器を備え、窒素でパージした500 mlの四頚丸底フラスコに、室温で、無水ヘキサン200 mlと上記で得たチタン含有固形物10 gを導入した。同温度で撹拌下に、AcOEt/Tiモル比が4に達するAcOEtの量を滴下した。温度を50℃に上げ、混合物を3時間撹拌した。次いで、撹拌を停止し、固形生成物を沈殿させ、上澄液を吸い出した。
【0071】
固形物を、無水ヘキサンで3回(3×100 ml) 25℃で洗浄し、回収し、真空乾燥し、そして分析して次の結果を得た:
−全チタン 3.7%(重量)
−Mg 15.2%(重量)
−AcOEt 27%(重量)
したがって、この触媒成分中のMg/Tiモル比は8.3で、AcOEt/Tiモル比は4.1である。
【0072】
実施例13〜16
実施例12に記載した同じ手法で、異なる電子供与(ED)化合物を使用して、一連の触媒成分を作った。使用した特定のED化合物と触媒成分の組成を表1に記載する。
【0073】
実施例17
米国特許第4,220,554号の実施例1 (a)に記載の手法に従って、MgCl2プレカーサーを作った。そのようにして得られた固形物(17 g)を120℃で1時間、過剰のTiCl4 (250 ml)で処理し、さらに120℃で2回(30分間) TiCl4処理した。固形物を無水ヘキサンで、60℃で2回(2×100 ml)そして25℃で2回洗浄した。最後に固形物を真空乾燥し分析した(Ti=5.8重量%、Mg=18.8重量%)。AcOEtとの接触工程は一般的な方法に従って行った。触媒成分の特性を表1に記載する。
【0074】
実施例18
実施例12に従って作った固形中間体(Ti=4.9重量%;Mg=19.4重量%)をオートクレーブに注入し、窒素気流下に無水ヘキサン(固形濃度は40 g/Lであった)中、撹拌しながら30℃で保持した。懸濁液を、TEA/固形物比=0.5重量/重量に達する量のヘキサン中10重量%トリエチルアルミニウム(TEA)溶液で処理する。次に固形物の当初量の0.7倍に相当するプロピレン量を、30℃で一定に保つのに適切な速度で徐々に供給した。30分後に重合を停止した。固形物を無水ヘキサンで3回25℃で洗浄し、再びヘキサンに懸濁し、AcOEt/Ti比8が使用される差で、実施例12に開示した同じ手法に従って、ID化合物としてAcOEtで処理した。触媒成分の特性を表1に記載する。
【0075】
実施例19
ヘキサンの代わりにヘプタン中100℃で接触を行う差で、電子供与体としてAcOEtを使用し、実施例13〜16に開示と同じ手法に従って、触媒成分を作った。触媒成分の特性を表1に記載する。
【0076】
実施例20
接触工程を2回行う差で、電子供与体としてAcOEtを使用して、実施例13〜16に開示と同じ手法に従って、触媒を作った。第1回目は、AcOEt/Ti供給モル比1で30分間行い、第2回目は、固形物をヘキサンで洗浄後、AcOEt/Ti供給モル比4で接触を2.5時間継続させた。触媒成分の特性を表1に報告する。
【0077】
実施例21
原料のMgCl2 (EtOH)付加物が35重量%のアルコール含有量を有していた差で、電子供与体としてAcOEtを使用し、実施例13〜16に開示と同じ手法に従って、触媒成分を作った。触媒成分の特性を表1に記載する。
【0078】
実施例22
エチレン/1-ブテン共重合
磁製撹拌器、温度計、圧力計、エチレン、プロパン、1-ブテンと水素の供給ラインと触媒の注入用のスチールバイアルを備えた4.5 Lのステンレス鋼製のオートクレーブに、70℃で60分間純窒素を流して精製した。次いでプロパンで洗浄し、75℃に加熱し、最後にプロパン800 g、1-ブテン(表2に記載の量)、エチレン(7.0バール、分圧)および水素(2.0バール、分圧)を装填した。
【0079】
100 cm3三頚ガラスフラスコに、次の順番で、無水ヘキサン50 cm3、表1に記載した助触媒と任意に外部供与体の量および実施例1の固形触媒(表1に示した量)を導入した。これらを混合し、室温で20分間撹拌し、次いで反応器にスチールバイアルを通して、窒素過圧を使用して導入した。
連続撹拌下に、全圧は、エチレンを供給することにより、75℃で120分間一定に維持した。最後に、反応器を減圧し、温度を30℃に下げた。回収したポリマーを窒素気流下に70℃で乾燥し、秤量した。重合条件と対応する結果を表2に示す。
【0080】
実施例23〜29
エチレン/1-ブテン共重合
実施例2で作った触媒成分を使用して実施例22に開示の手法に従って、重合を行った。特定の重合条件と対応する結果を表2に記載する。
【0081】
実施例30
エチレン/1-ブテン共重合
実施例4で作った触媒成分を使用する差で、実施例22に開示の手法に従って、重合を行った。特定の重合条件と対応する結果を表2に記載する。
【0082】
実施例31〜32
実施例8で作った触媒成分を使用する差で、実施例22に開示の手法に従って、重合を行った。特定の重合条件と対応する結果を表2に記載する。
【0083】
実施例33
実施例9で作った触媒成分を使用する差で、実施例22に開示の手法に従って、重合を行った。特定の重合条件と対応する結果を表2に記載する。
【0084】
実施例34
実施例10で作った触媒成分を使用する差で、実施例22に開示の手法に従って、重合を行った。特定の重合条件と対応する結果を表2に記載する。
【0085】
実施例35
実施例11で作った触媒成分を使用する差で、実施例22に開示の手法に従って、重合を行った。特定の重合条件と対応する結果を表2に記載する。
【0086】
実施例36
気相でのエチレン/1-ブテン共重合
ガス循環システム、サイクロン分離器、熱交換器、温度および圧力計、エチレン、プロパン、1-ブテンと水素用の供給ライン、および触媒の予備重合および/または触媒系の流動化床反応器への注入用の1 Lのスチール製反応器を備えた15 Lのステンレス鋼製の反応器。
【0087】
気相装置を40℃で12時間、純窒素を流して精製し、次いでTMA 1.0 gを含有するプロパン(10バール、分圧)を80℃で30分間循環させた。次いで減圧し、反応器を純プロパンで洗浄し、75℃に加熱し、最後に、プロパン(9.7バール、分圧)、1-ブテン(1.4バール、分圧)、エチレン(5.4バール、分圧)と水素(1.4バール、分圧)を装填した。
【0088】
100 mlの三頚ガラスフラスコに、次の順で無水ヘキサン20 ml、TMA 0.6 g、(実施例2に従って作った)触媒0.1 gとAl/供与体モル比5を与える量のTHFを導入した。これらを混合し、室温で5分間撹拌し、次いで、プロパン流で維持された1 Lの反応器に導入した。
【0089】
プロパン過圧を用いて、活性化触媒を気相反応器に注入した。最終圧は、約18バールであり、これを6重量%の1-ブテン/エチレン混合物を供給して75℃で180分間の重合の間一定に保った。最後に、反応器を減圧し、温度を30℃に下げた。回収したポリマーを窒素気流下に70℃で乾燥し、秤量した。
エチレンコポリマーは5.4%のブテン含有量、0.86のMIE、0.9238の密度と3.5%のキシレン可溶画分を示した。
【0090】
実施例37〜44
重合方法を、連続的に作動させ、かつ基本的に、触媒系を形成すべく触媒成分を混合させる小反応器(予備接触ポット)、前工程で形成された触媒系を受領するループ反応器(プロパンスラリー相中で運転する予備重合部)と一つの流動床反応器(重合反応器)を備えるプラントで行った。
【0091】
表2に示した以外に、次の反応剤を予備接触ポットに供給する。
−前記実施例の1つに記載のようにして作った固形触媒成分
−希釈剤としての液体プロパン
−アルミニウムアルキル化合物の溶液
−外部電子供与体としてのTHF
−少量のプロピレン
【0092】
温度は通常10〜60℃の範囲で、滞留時間は10〜40分間の範囲である。そのようにして得られた触媒系は、予備接触ポットから、75℃で24バールの総圧力下で操作される気相流動床反応器に直接供給した。この反応器に、さらなる重合条件が例示されている表3に示すように、第2の量のAlR3を添加できる。
【0093】
実施例37と41において、予備接触ポットに由来する触媒系は、まず20〜50℃の範囲の温度に保ったループ反応器に供給される。ループでの滞留時間は約40分で、この工程の間にはさらなる反応剤は添加されない。その後で、生成物はループ反応器から排出され、上記の条件下で操作する流動床反応器に移された。
【0094】
実施例41において、第1の気相反応器で作られたポリマーは、表4に記載の条件下で操作する第2の気相反応器に移された。
全ての実験で、最終反応器から排出されたポリマーは、窒素気流下に70℃で乾燥し、秤量した。ポリマーの性質を表5に記載する。
【0095】
実施例45
N2気流下に70℃で脱気した10 Lのステンレス鋼製オートクレーブに、無水ヘキサン4 L、実施例12の触媒(予め、25 gのプロピレン中20℃で45分間予備重合した) 20mg、トリエチルアルミニウム(TEA) 0.5 gと、Al/CMMSモル比60を与えるようなシクロヘキシルメチルジメトキシシラン(CMMS)の量を導入した。全体を撹拌し、75℃に加熱し、その後、3バールのH2と7バールのエチレンを供給した。重合の間、一定圧を維持すべくエチレンを供給した。3時間後に、重合を停止し、回収したポリマーをN2気流下に70℃で乾燥した。プレポリマー中に含まれる触媒に関する活性は7.7 Kg/g(触媒)であった。ポリマーのMIEは0.34で、TF/MIE比は23.5であった。
【0096】
実施例46
CMMSの代わりに同量のジシクロペンチルジメトキシシランを使用して同じ重合テストを繰り返した。プレポリマー中に含まれる触媒に関する活性は92 Kg/g(触媒)であった。ポリマーのMIEは0.53でIF/MIE比は22.3であった。
【0097】
実施例47〜55
実施例22に記載の方法に従って共重合を行った。
特定の条件と結果を表6に示す。
【0098】
【表1】

【0099】
【表2】

【0100】
【表3】

【0101】
【表4】

【0102】
【表5】

【0103】
【表6】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
Mg、Ti、ハロゲンおよびエーテル類、エステル類、アミン類、ケトン類またはニトリル類に属する電子供与化合物(ED)を含み、Mg/Tiモル比が5より高く、且つED/Tiモル比が3.5より高いことを特徴とするオレフィン類の重合用固形触媒成分。
【請求項2】
ED化合物がエーテル類、エステル類およびケトン類からなる群から選択される請求項1に記載の固形触媒成分。
【請求項3】
ED化合物がC2〜C20脂肪族エーテル類から選択される請求項2に記載の固形触媒成分。
【請求項4】
エーテル類が環状エーテル類である請求項3に記載の固形触媒成分。
【請求項5】
環状エーテル類が炭素原子3〜5を有する請求項4に記載の固形触媒成分。
【請求項6】
環状エーテルがテトラヒドロフランである請求項5に記載の固形触媒成分。
【請求項7】
ED化合物がC1〜C20脂肪族カルボン酸類のアルキルエステル類から選択される請求項2に記載の固形触媒成分。
【請求項8】
エステルが脂肪族物モノカルボン酸のC1〜C4アルキルエステル類から選択される請求項7に記載の固形触媒成分。
【請求項9】
エステルが酢酸エチルである請求項8に記載の固形触媒成分。
【請求項10】
ED/Tiモル比が3.7〜40を範囲とする請求項1に記載の固形触媒成分。
【請求項11】
ED/Tiモル比が4.5〜30を範囲とする請求項1に記載の固形触媒成分。
【請求項12】
Mg/Tiモル比が7〜120を範囲とする請求項1に記載の固形触媒成分。
【請求項13】
Mg原子がMgCl2由来である請求項1に記載の固形触媒成分。
【請求項14】
チタン原子がチタンテトラハライド類または式TiXn(OR1)4-n (ここで、0≦n≦3、Xはハロゲンであり、RはC1〜C10炭化水素基である)の化合物由来である請求項1に記載の固形触媒成分。
【請求項15】
(a) 請求項1〜14のいずれか一つに記載の固形触媒成分、
(b) 1以上のアルキルアルミニウム化合物、および任意に、
(c) 外部電子供与化合物
を接触させることにより得られる生成物を含むオレフィン類の重合用触媒。
【請求項16】
アルキルアルミニウム化合物がトリアルキルAlである請求項15に記載の触媒。
【請求項17】
アルキルアルミニウム化合物がアルキルアルミニウムハライドである請求項15に記載の触媒。
【請求項18】
アルキルアルミニウム化合物がトリアルキルAl化合物をアルキルアルミニウムハライドと混合して得られる生成物である請求項15に記載の触媒。
【請求項19】
外部電子供与化合物がC2〜C20脂肪族エーテルである請求項15に記載の触媒。
【請求項20】
エーテルがテトラヒドロフランである請求項19に記載の触媒
【請求項21】
外部電子供与化合物が式Ra5Rb6Si(OR7)c (ここで、aは0であり、cは3であり、R6は任意に異原子を含んでもよい分枝状アルキルか、またはシクロアルキル基であり、R7がメチルである)のシリコン化合物である請求項15に記載の触媒。
【請求項22】
0〜90℃を範囲とする温度で、0.1〜120分間を範囲とする時間成分(a)、(b)および任意の(c)を予備接触させて得られる請求項15に記載の触媒。
【請求項23】
予備接触が20〜70℃を範囲とする温度で、液体希釈剤中、1〜60分間を範囲とする時間、少量のオレフィン類の存在下に行なわれる請求項22に記載の触媒。
【請求項24】
式CH2=CHR (ここで、RはHまたはC1〜C10炭化水素基である)の1以上のオレフィン類と、固形触媒成分(a)のg当たり約0.1 g〜約1000 gまでのポリマー量を形成するまで予備重合させる、請求項15に記載の触媒。
【請求項25】
請求項15〜24のいずれか一つに記載の触媒の存在下に行なわれる、オレフィン類CH2=CHR (ここで、RはHまたは炭素原子1〜12を有する炭化水素基である)の(共)重合方法。
【請求項26】
0.1〜20モル%を範囲とするα-オレフィンの含有量を有するエチレン/α-オレフィンコポリマーの製造のための請求項25に記載の方法。
【請求項27】
気相中で行なわれることを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項28】
次の工程:
(i) 触媒成分(a)、(b)と任意に(c)を0.1〜120分間を範囲とする時間、0〜90℃を範囲とする温度における接触;任意に
(ii) 固形触媒成分(a)のg当たり約0.1〜約1000 gまでのポリマー量を形成するに至るまでの、式CH2=CHR (ここで、RはHまたはC1〜C10炭化水素基である)の1以上のオレフィン類との予備重合;そして
(iii) (i)または(ii)由来の生成物の存在下における、1以上の流動床または機械的撹拌床反応器中での、エチレンまたはα-オレフィン類CH2=CHR (ここで、Rは炭素原子1〜10を有する炭化水素基である)とのその混合物の気相重合
に従って行なわれることを特徴とする請求項27に記載の方法。

【公表番号】特表2006−510751(P2006−510751A)
【公表日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−559767(P2004−559767)
【出願日】平成15年11月25日(2003.11.25)
【国際出願番号】PCT/EP2003/013807
【国際公開番号】WO2004/055065
【国際公開日】平成16年7月1日(2004.7.1)
【出願人】(501468046)バセル ポリオレフィン イタリア エス.アール.エル. (33)
【住所又は居所原語表記】Via Pergolesi 25,20124 Milano,Italy
【Fターム(参考)】