説明

オンラインカタログ作製装置

【課題】紙製カタログからデジタルカタログを作製する際の工数を大幅に低減することができ、その作製コストも大幅に低減することができるようにする。
【解決手段】この発明のオンラインカタログ作製装置1は、紙製カタログCを読み取りHTML方式でのデータに変換する読み取り変換手段11と、HTML方式でのデータを構成する範囲形成データ群の各々を1ボックスに収納し表示するボックス表示手段12と、オンラインカタログの型となるテンプレートを構成する各欄に付与されたカタログ構成要素名を一覧表示する要素名表示手段13と、1ボックスに収納された範囲形成データが何れのカタログ構成要素名に該当するかを決定し、テンプレート中のそのカタログ構成要素名の位置に、当該範囲形成データを取り込み更新することでオンラインカタログを作製するオンラインカタログ作製手段14と、を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、紙カタログからオンラインカタログを作製するオンラインカタログ作製装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、製品のカタログ、例えば機械部品メーカーの部品カタログは、紙で作られており、1冊の部厚い本となっていた。また、ホームページに開示されているオンラインカタログも存在するが、通常PDF方式、JPEG方式のもので、紙イメージそのままのものが多く、本格的なデジタル化されたオンラインカタログは殆ど存在していないのが現状である(例えば、下記の特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−9437号公報
【0004】
その理由は、紙製カタログを読み取ってPDF方式、JPEG方式とするまでにはそれ程工数を要しないが、完全なデジタル化を図るには、入力作業に多大な工数を要し、コストも高く付いてしまうためである。
【0005】
一方、デジタル化されたオンラインカタログは、検索が自在に可能となる、データの訂正・追加等が容易となる、流用が自在である等の使い勝手の面で多大な効果を有している。このため、紙製カタログを簡単にデジタル化し、そのデジタル化されたオンラインカタログを活用したいという要望が高い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明は上記に鑑み提案されたもので、紙製カタログからデジタルカタログを作製する際の工数を大幅に低減することができ、その作製コストも大幅に低減することができるオンラインカタログ作製装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、紙製カタログからオンラインカタログを作製するオンラインカタログ作製装置において、上記紙製カタログを読み取りHTML方式でのデータに変換する読み取り変換手段と、上記HTML方式でのデータを構成する範囲形成データ群の各々を1ボックスに収納し表示するボックス表示手段と、上記オンラインカタログの型となるテンプレートを構成する各欄に付与されたカタログ構成要素名を一覧表示する要素名表示手段と、上記1ボックスに収納された範囲形成データが何れのカタログ構成要素名に該当するかを決定し、テンプレート中のそのカタログ構成要素名の位置に、当該範囲形成データを取り込み更新することでオンラインカタログを作製するオンラインカタログ作製手段と、を有することを特徴としている。
【0008】
また、請求項2に記載の発明は、上記した請求項1に記載の発明において、上記オンラインカタログの各種情報の他サイトからの取り込みを可能とするAPI出力手段を備えるようにしたものである。
【0009】
また、請求項3に記載の発明は、上記した請求項1または2に記載の発明において、上記オンラインカタログを表示したユーザ側コンピュータの画面上で指定された部品をオンラインで受発注可能とするオンライン受発注手段を備えるようにしたものである。
【0010】
請求項4に記載の発明は、上記した請求項1から3の何れか1項に記載の発明において、上記カタログ構成要素名を、カタログ情報、商品インデックス情報、末端商品情報、ページデザイン要素情報、資料情報、販売情報等とするものである。
【0011】
請求項5に記載の発明は、上記した請求項1から4の何れか1項に記載の発明において、上記紙製カタログは、電子化されたカタログを含むものである。
【0012】
また、請求項6に記載の発明は、上記した請求項1から5の何れか1項に記載の発明において、上記オンラインカタログ作製手段は、範囲形成データの取り込み更新時に、それまでの範囲形成データを保存し参照可能とするものである。
【発明の効果】
【0013】
この発明では、紙製カタログをHTML方式でのデータに変換し、そのHTML方式のデータ群を、一纏まりの範囲形成データの集合とみなし、その範囲形成データ毎に、オンラインカタログの型となるテンプレートに取り込み更新するようにしたので、テキストデータとイメージ情報とからなるオンラインカタログを自動的に作製することができるようになる。このため、紙製カタログからデジタルカタログを作製する際の工数を大幅に低減することができ、その作製コストも大幅に低減することができる。
【0014】
このオンラインカタログは、インターフェースにAPI機能を持たせるようにしたため、オンラインカタログ提供側のサーバで使用するだけでなく、他のサーバと連動させることができ、他のサーバにおいてこのオンラインカタログを使用したい場合、商品写真、スペックデータ等、登録されているオンラインカタログの情報更新をリアルタイムで行うことができる。したがって、他のサーバでそのまま公開できるようになる等、オンラインカタログの使い勝手を大幅に改善することができる。
【0015】
また、オンラインカタログを表示したユーザ側コンピュータの画面上で指定された部品をオンラインで受発注可能としたので、受発注業務や在庫管理業務等の効率を向上させることができ、コスト削減に貢献することができる。
【0016】
また、範囲形成データの取り込み更新時に、更新される前の範囲形成データを保存するようにしたので、データの履歴が残ることとなり、オンラインカタログの提供側であれユーザ側であれ、今回の最新データに至る経過を過去に遡って確実に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】この発明の全体構成を概略的に示す図である。
【図2】オンラインカタログ作製装置の説明図である。
【図3】紙製カタログの一例を示す図である。
【図4】図3の紙製カタログをHTML方式データに変換した後の範囲形成データ群を示す図である。
【図5】カタログ構成要素名一覧表を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下にこの発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0019】
図1はこの発明の全体構成を概略的に示す図、図2はオンラインカタログ作製装置の説明図である。これらの図において、この発明のオンラインカタログ作製装置1は、紙製カタログCからオンラインカタログ10を作製する装置であり、作製されたオンラインカタログ10は、サーバ1cに格納される。このサーバ1cは、所定の通信網(例えばインターネット)3を介して、ユーザ側マシン(例えばパーソナルコンピュータ(パソコン)2a,2b,2c,…と互いに接続され、ユーザ側マシン2a,2b,2c,…はサーバ1cのオンラインカタログ10にアクセス可能となっている。
【0020】
オンラインカタログ作製装置1は、読み取り変換手段11、ボックス表示手段12、要素名表示手段13およびオンラインカタログ作製手段14を備えている。
【0021】
読み取り変換手段11は、例えばスキャナ1a(図1)内のCPUがRAMのプログラムに従って実行するソフトウェハの機能として構築され、紙製カタログCを読み取りHTML方式でのデータに変換する。
【0022】
ボックス表示手段12、要素名表示手段13およびオンラインカタログ作製手段14は、例えばパソコン1b(図1)内のCPUがRAMのプログラムに従って実行するソフトウェハの機能として構築されている。
【0023】
これらの各手段12,13,14のうち、ボックス表示手段12は、HTML方式でのデータを構成する範囲形成データ群の各々を1ボックスに収納し表示する。すなわち、ボックス表示手段12は、先ず読み取り変換手段11により得られたHTML方式の文書11a(図2)において、開始タグと終了タグとの間を、一纏まりの範囲形成データA,B,C,D,E,…とみなす。次に、その各々をデータ表示欄12a(図2)に一覧表示する。このデータ表示欄12aは、上から順に記入欄としてのボックス121,122,123,124,125,…を備え、そのボックス121,122,123,124,125,…の各々に順に範囲形成データA,B,C,D,E,…を収納し、表示する。
【0024】
要素名表示手段13は、オンラインカタログ10の型となるテンプレートを構成する各欄に付与されたカタログ構成要素名を一覧表示する。すなわち、この発明では、オンラインカタログの様式(型)を予めテンプレート化して用意する。このテンプレート13a(図2)を構成する各欄は、例えば商品名、仕様、説明文等のカタログ構成要素名N1,N2,N3,N4,N5,…の何れかに該当しており、そのカタログ構成要素名N1,N2,N3,N4,N5,…を要素名表示欄13b(図2)に一覧表示する。
【0025】
なお、このカタログ構成要素名は、カタログ情報、商品インデックス情報、末端商品情報、ページデザイン要素情報、資料情報、販売情報等、多様な情報を含むものであり、上記に挙げた商品名、仕様、説明文はその一部分となっている。
【0026】
オンラインカタログ作製手段14は、データ表示欄12aを構成する各ボックス121,122等に収納された範囲形成データA、B等が、カタログ構成要素名N1,N2等の何れに該当するかを決定し、予め用意されているテンプレート13a中のそのカタログ構成要素名の位置(欄)に、当該範囲形成データを取り込み更新することでオンラインカタログ10を作製する。
【0027】
図2の例で説明すると、オンラインカタログ作製手段14は、同一画面上の例えば左側にデータ表示欄12aを、右側に要素名表示欄13bをそれぞれ画面表示し、続いてオペレータが、範囲形成データAをクリックし続いてカタログ構成要素名N2をクリックし、さらに画面上の登録ボタン(図示省略)をクリックすることで、範囲形成データAがカタログ構成要素名N2に対応付けられる。同様にしてBはN4に、CはN3に、DはN5に、EはN1にそれぞれ対応付けられる。そして、範囲形成データA,B,C,D,Eは、テンプレート13a中の該当するカタログ構成要素名N3,N1,N4,N2,N5の位置(欄)に取り込まれて更新され、最終的に、サーバ1cにオンラインカタログ10が作製される。
【0028】
このオンラインカタログ作製手段14は、範囲形成データA等の今回の取り込み更新が、前回までのオンラインカタログ10の当該範囲形成データの修正変更に相当すると判定した場合、前回までの範囲形成データを更新前データ保存部18(図1)に保存し参照可能とする。この保存は、例えば3世代前までのものがその対象となり、それより古いデータは消去される。
【0029】
このようにしてサーバ1cに構築されたオンラインカタログ10は、上記のように、通信網3を介してユーザ側マシン2a,2b,2c,…からアクセス可能となっている。
【0030】
そして、サーバ1cは、API出力手段17をインターフェースとして備えている(図1)。したがって、ユーザ側マシン2a,2b,2c,…は、オンラインカタログ10のデータを自由に取り込み活用することができる。
【0031】
また、サーバ1cは、オンライン受発注手段16を備えている(図1)。したがって、オンラインカタログを表示したユーザ側マシン2a,2b,2c,…の画面上で、ユーザが指定した部品をオンラインで受発注可能とすることができる。
【0032】
次に、オンラインカタログ作製の手順を、図3、図4および図5を用いてより具体的に説明する。
【0033】
図3は紙製カタログの一例を示す図、図4は図3の紙製カタログをHTML方式データに変換した後の範囲形成データ群を示す図、図5はカタログ構成要素名一覧表を示す図である。これらの図において、オンラインカタログ作製は、先ず図3の紙製カタログをスキャナで読み取り、HTML方式データに変換する。
【0034】
次に、HTML方式データの文書において、開始タグと終了タグとの間を、一纏まりの範囲形成データa,b,…とみなし、図4に示すような範囲形成データ群を構成し、その範囲形成データa,b,…を画面の左側に上から順に表示し、データ表示欄とする。また図5に示すようなカタログ構成要素名一覧表を同一画面の右側に一覧表示する。
【0035】
オペレータは、その画面を見て左側に表示されたデータ表示欄のうち、範囲形成データa(ここでは「マグネット応用」という文字情報)のボックスをクリックし、続いて画面の右側に表示されているカタログ構成要素名一覧表から、該当するカタログ構成要素名n4(ここでは「商品名−商品分類・品番コード等の肩見出し(文字列)」、(図5参照))をクリックし、さらに画面上の登録ボタン(図示省略)をクリックする。これによって、範囲形成データaとカタログ構成要素名n4とが対応づけられる。この作業を順次繰り返すことで、範囲形成データa,b,…に該当するカタログ構成要素名が、n1〜n30から選択され対応づけられる。ここでは例えばaとn4、bとn5、cとn6というように対応付けられる。
【0036】
そして、今回テンプレートとして、カタログ構成要素名が上から、n4→n5→n6…の順で配列されたものを使用した場合、それに応じて、n4に対応する範囲形成データa→n5に対応する範囲形成データb→n6に対応する範囲形成データc→……、が上から順に表示され、このようにしてオンラインカタログが作製される。
【0037】
以上述べたように、この発明では、紙製カタログCをHTML方式でのデータに変換し、そのHTML方式のデータ群を、一纏まりの範囲形成データの集合とみなし、その範囲形成データ毎に、オンラインカタログの型となるテンプレートに取り込み更新するようにしたので、テキストデータとイメージ情報とからなるオンラインカタログ10を自動的に作製することができるようになる。このため、紙製カタログCからデジタルカタログを作製する際の工数を大幅に低減することができ、その作製コストも大幅に低減することができる。
【0038】
このオンラインカタログ10は、インターフェースにAPI機能を持たせるようにしたため、オンラインカタログ提供側のサーバで使用するだけでなく、他のサーバと連動させることができ、他のサーバにおいてこのオンラインカタログを使用したい場合、商品写真、スペックデータ等、登録されているオンラインカタログの情報更新をリアルタイムで行うことができる。したがって、他のサーバでそのまま公開できるようになる等、オンラインカタログの使い勝手を大幅に改善することができる。
【0039】
また、オンラインカタログ10を表示したユーザ側マシン2a等の画面上で指定された部品をオンラインで受発注可能としたので、受発注業務や在庫管理業務等の効率を向上させることができ、コスト削減に貢献することができる。
【0040】
また、範囲形成データa等の取り込み更新時に、更新される前の範囲形成データを保存するようにしたので、データの履歴が残ることとなり、オンラインカタログ10の提供側であれユーザ側であれ、今回の最新データに至る経過を過去に遡って確実に把握することができる。
【0041】
なお、上記の説明では、紙製カタログをスキャナで読み取るようにしたが、紙製カタログに限らず、PDF方式、JPEG方式の紙イメージのものを読み取るようにしてもよい。
【符号の説明】
【0042】
1 オンラインカタログ作製装置
1a スキャナ
1b パソコン
1c サーバ
2a,2b,2c ユーザ側マシン
3 通信網
10 オンラインカタログ
11 変換手段
11a 文書
12 ボックス表示手段
12a データ表示欄
13 要素名表示手段
13a テンプレート
13b 要素名表示欄
14 オンラインカタログ作製手段
16 オンライン受発注手段
17 API出力手段
18 更新前データ保存部
121,122,123,124,125 ボックス
A,B,C,D,E 範囲形成データ
C 紙製カタログ
N1,N2,N3,N4,N5, カタログ構成要素名

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙製カタログからオンラインカタログを作製するオンラインカタログ作製装置において、
上記紙製カタログを読み取りHTML方式でのデータに変換する読み取り変換手段と、
上記HTML方式でのデータを構成する範囲形成データ群の各々を1ボックスに収納し表示するボックス表示手段と、
上記オンラインカタログの型となるテンプレートを構成する各欄に付与されたカタログ構成要素名を一覧表示する要素名表示手段と、
上記1ボックスに収納された範囲形成データが何れのカタログ構成要素名に該当するかを決定し、テンプレート中のそのカタログ構成要素名の位置に、当該範囲形成データを取り込み更新することでオンラインカタログを作製するオンラインカタログ作製手段と、
を有することを特徴とするオンラインカタログ作製装置。
【請求項2】
上記オンラインカタログの各種情報の他サイトからの取り込みを可能とするAPI出力手段を備える、請求項1に記載のオンラインカタログ作製装置。
【請求項3】
上記オンラインカタログを表示したユーザ側コンピュータの画面上で指定された部品をオンラインで受発注可能とするオンライン受発注手段を備える、請求項1または2に記載のオンラインカタログ作製装置。
【請求項4】
上記カタログ構成要素名は、カタログ情報、商品インデックス情報、末端商品情報、ページデザイン要素情報、資料情報、販売情報等である、請求項1から3の何れか1項に記載のオンラインカタログ作製装置。
【請求項5】
上記紙製カタログは、電子化されたカタログを含む、請求項1から4の何れか1項に記載のオンラインカタログ作製装置。
【請求項6】
上記オンラインカタログ作製手段は、範囲形成データの取り込み更新時に、それまでの範囲形成データを保存し参照可能とする、請求項1から5の何れか1項に記載のオンラインカタログ作製装置。

【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図1】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−253278(P2011−253278A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−125651(P2010−125651)
【出願日】平成22年6月1日(2010.6.1)
【出願人】(504073791)株式会社山辺 (1)