説明

オンライン型非破壊分光分析装置

【課題】被測定物のサイズ計測における誤差を小さく抑え、測定範囲が広く測定精度が高いオンライン型非破壊分光分析装置を提供する。
【解決手段】被測定物Gの透過光強度分布を2次元的に測定するために透過型分光光度計3よりも搬送方向上流側に設置した発光素子群P及び受光素子群Rを有する透過型光ゲート部1を備え、透過型光ゲート部1により、所定閾値よりも透過光強度が高い第1測定不要部位UN1を検出し、透過光強度だけでは検出できない第2測定不要部位UN2を透過光強度及び形状判定により検出し、第1測定不要部位UN1及び第2測定不要部位UN2を除いて測定必要部位のサイズ及び有効測定領域を算出し、分光光度計3に対して有効蓄積領域の画素の透過光強度を積算したスペクトルの飽和を制御するための積算透過光強度信号並びに搬送装置Cのクロック信号に同期した蓄積開始点及び蓄積時間を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送装置により順次搬送されてくる被測定物の内部性状の測定等をオンラインでかつ非破壊で行う、オンライン型非破壊分光分析装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
青果物等の被測定物の内部性状を光学的に非破壊で測定する分光分析装置として、光源から被測定物に照射した光の透過光を回折格子で分光し、必要とする波長の分光をラインセンサにより測定し、該測定値を信号処理及び制御装置により演算処理及び波形分析するとともに検量線を用いて演算処理するものがある(例えば、特許文献1及び特許文献2参照。)。
このような非破壊分光分析装置において、特許文献2は搬送装置(コンベア)により順次搬送されてくるサイズ(光路長)が異なる被測定物の内部性状をオンラインで測定するオンライン型非破壊分光分析装置を示しており、被測定物のサイズ計測器として単一光軸の投光器(光源)及び受光センサを、搬送路の上流の両側に、透過型分光光度計の受光部受光領域の中心と同じ高さに対向設置し、順次搬送される被測定物による光線遮断時間から該被測定物のサイズを測定し、透過型分光光度計に対して測定開始タイミング及びラインセンサが光電荷を蓄積するための蓄積時間を与えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−213804号公報
【特許文献2】特開平7−229840号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献2のような光線遮断時間から被測定物のサイズ(大きさ)を測定する方式(以下において、「光線遮断方式」という。)では、例えば玉ねぎのような測定に必要な部位(以下において、「測定必要部位」という。)である鱗葉の他に、浮き上がった保護葉(表皮)、首部(芽)及び根等の測定に不要な部位(以下において、「測定不要部位」という。)がある被測定物を姿勢が不揃いな状態で搬送する場合に、被測定物のサイズ計測における誤差が大きくなり、搬送速度から算出する蓄積開始及び蓄積終了のタイミングがずれてしまうため、スペクトルデータに飽和がなくても測定不要部位と測定必要部位のスペクトルデータが加算されることになって測定精度が悪くなるという問題点がある。
【0005】
また、オンライン型非破壊分光分析測定装置において、その透過型分光光度計は微弱光(10-6〜10-7程度)の測定が必要であり、一般に受光センサであるフォトダイオード群は、大きなダイナミックレンジを得るために電荷蓄積方式で駆動し、被測定物と測定方法によってはサイズに応じて蓄積時間を伸縮している。
したがって、被測定物にひげ根又は表皮等の光の透過光強度が高い部位がある場合には、スペクトルデータに飽和が生じて測定不能になるという問題点がある。
その上、測定中に被測定物から一瞬でも強い透過光があった際には受光センサ及び増幅回路が飽和し、次の測定に備えたフォトダイオードの電荷の放電に時間がかかるため、小さい被測定物が高速に搬送される場合には、これらの被測定物を連続して測定することができなくなるという問題点がある。
【0006】
さらに、光線遮断方式では、測定不要部位がある被測定物において、被測定物の測定必要部位に対して正確なサイズ測定ができないため、測定不要部位を測定しないようにするための工夫として、分光測定の蓄積開始タイミングを遅く、蓄積終了タイミングを早くセットして余裕を持たせた測定を行なっているが、このような測定では、受光素子群の光電荷の蓄積時間が短くなってしまうことや測定データに測定必要部位の両端付近の情報が含まれなくなること等の問題点がある。
さらにまた、被測定物の種類によっては透過型分光光度計の投受光部の高さの変更を行う必要があり、その度にサイズ計測器の投受光器の光軸の高さを変えるか、透過型分光光度計の投受光部に上流側のサイズ計測器の投受光器を機械的に直結する必要があり、特にごぼう又は大根等の長尺の被測定物においてはサイズ計測器と透過型分光光度計の距離が長くなり、透過型分光光度計のコンピュータ等からの指令により、透過型分光光度計の投受光部とサイズ計測器の投受光器とを安定かつ高精度に平行に昇降させるためには、駆動系や機械系の構造が複雑にかつ大掛かりになってしまうという問題点がある。
また、カメラを透過型分光光度計の上流側に設置する構成(例えば図1及び図2参照。)では、カメラを跨いで平行に昇降する機構が必要となるため非現実的である。
【0007】
また、カメラにより被測定物を撮像し、被測定物のサイズ測定及び形状判定を行って蓄積開始タイミングを算出することも考えられるが、このような方式では、例えば大きな葉、大きな表皮の付着、長い芽等がある農作物が被測定物であり、このような被測定物を姿勢が不揃いな状態で搬送する場合には、測定必要部位の位置がカメラの画像エリアから外れ、解析ができなくなるという問題点がある。
さらに、例えば、被測定物によっては測定必要部位が葉等により隠れているものや、玉ねぎのように、その表皮による膨らみが玉ねぎの形状を保っているものもあり、被測定物からの反射光によるカメラ撮像による形状判定には無理がある。
さらにまた、多種類の被測定物に対して、あるいは同種類でも大小の差が大きく、複雑な形状の葉、根及び芽等並びに包装容器及び包装フイルム等の測定不要部位が含まれる被測定物に対しては、一般の反射光によるカメラ画像解析での形状判定では測定必要部位の算出の精度が悪く誤判定をしやすいため、このようなカメラ画像解析での形状判定は実用に値しないものである。
【0008】
また、形状判定に2次元イメージセンサ又はラインセンサを使用して強い光での透過光を撮像することも考えられるが、例えば玉ねぎの重なった表皮、ひげ根等の測定不要部位を透過するような強い光が、搬送される被測定物の周囲の遮光されない領域、及び次に搬送される被測定物の間隙で、2次元イメージセンサやラインセンサのフォトダイオードに照射されることになり、その結果、フォトダイオード接合容量は有限であるため、飽和電荷量以上の信号電荷を蓄積できずに外に溢れ出し、溢れ出した電荷が隣接フォトダイオードやビデオラインにも影響を及ぼすブルーミング現象が生じて測定不能になるという問題点があり、一般のアンチブルーミング対策を行ったイメージセンサあるいはラインセンサを用いたとしても、上述した強い光の条件下では実用に値しない。
【0009】
そこで、本発明が前述の状況に鑑み、解決しようとするところは、測定不要部位を含む被測定物を姿勢が不揃いな状態で搬送しながら内部性状の測定等を行う場合であっても、被測定物のサイズ計測における誤差を小さく抑えることができ、測定範囲が広くかつ測定精度が高く、透過型分光光度計の投受光部の高さ変更にも容易に対応することができる、オンライン型非破壊分光分析装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るオンライン型非破壊分光分析装置は、前記課題解決のために、搬送装置により順次搬送されてくる被測定物の内部性状の測定等を透過型分光光度計により行うオンライン型非破壊分光分析装置であって、前記搬送装置は搬送に同期したクロック信号を出力するものであり、前記被測定物の透過光強度分布を2次元的に測定するために前記透過型分光光度計よりも搬送方向上流側に設置した発光素子群及び該発光素子群により照射された光を受光する受光素子群を有する透過型光ゲート部を備え、該透過型光ゲート部により、所定閾値よりも透過光強度が高い前記被測定物の第1測定不要部位を検出するとともに、透過光強度だけでは検出できない前記被測定物の第2測定不要部位を透過光強度及び形状判定により検出し、前記第1測定不要部位及び第2測定不要部位を除いて前記被測定物の測定必要部位のサイズ及び有効測定領域を算出し、前記透過型分光光度計に対して、前記有効蓄積領域の画素の透過光強度を積算した、スペクトルの飽和を制御するための積算透過光強度信号、並びに、前記クロック信号に同期した蓄積開始点及び蓄積時間を出力するものである。
【0011】
このような構成によれば、透過型光ゲート部により被測定物の測定不要部位を除去することができ、このように測定不要部位を除去して被測定物の測定必要部位のサイズ及び有効測定領域を算出していることから、測定必要部位の他に測定不要部位がある被測定物を姿勢が不揃いな状態で搬送する場合においても、被測定物のサイズ計測における誤差を非常に小さくすることができ、搬送装置により搬送される被測定物の搬送速度から算出する蓄積開始及び蓄積終了のタイミング(透過型分光光度計の測定開始タイミング及びラインセンサが光電荷を蓄積するための蓄積時間)のずれを抑制することができるため、測定精度が高くなる。
【0012】
その上、透過型光ゲート部により透過型分光光度計に対してスペクトルの飽和を制御するための積算透過光強度信号を出力していることから、この積算透過光強度信号を用いた分光光度計の光学絞りの制御等によりスペクトルデータに飽和が生じないようにすることができる。
よって、飽和のない最適な光量で計測することができるとともに、透過型分光光度計に照度の強い光源を使用することにより総合的に高いダイナミックレンジを得ることができるため、測定精度を高くすることができるとともに測定範囲を広くすることができる。
【0013】
その上さらに、有効蓄積領域内での透過光の積算を行う工程で、強い光による飽和のチェックを行い、透過型分光光度計ではその被測定物の測定を行わないこと、分割測定時の被測定物で飽和の部分があれば、透過型分光光度計では、そのタイミングで高速シャターを閉じて前記部分の測定を行なわないことにより測定作業効率を上げることができる。
その上、透過型分光光度計の投受光部の高さの変更を行った場合においても、透過型光ゲート部において、その高さ方向の受光素子の個数を多くして最大サイズの被測定物をカバーすることができるようにしておくことにより、従来におけるサイズ計測器の投受光器の光軸の高さを機械的に変更する構成のように駆動系や機械系の構造が複雑にかつ大掛かりになることはなく、構成の簡素化を図ることができる。
【0014】
ここで、前記透過型光ゲート部の発光素子群及び受光素子群よりも搬送方向下流側で、前記透過型分光光度計よりも搬送方向上流側又は下流側に、前記被測定物の表面異状を計測するために前記被測定物を撮像するカメラ及び前記被測定物を照らす投光器を有する表面撮像装置を備え、該表面撮像装置に対して前記透過型光ゲート部から、前記被測定物の画像中心付近が前記カメラの画像エリアの中央に位置するように、前記クロック信号に同期した撮像開始トリガー信号及びサイズを出力すると好ましい。
このような構成によれば、透過型光ゲート部から表面撮像装置に対して、被測定物の画像中心付近がカメラの画像エリアの中央に位置するように、搬送装置のクロック信号に同期した撮像開始トリガー信号及びサイズが出力されるため、測定必要部位の位置がカメラの画像エリアから外れて画像解析が不能になることがない。
その上、表面撮像装置の画像解析による被測定物の表面異状の判定結果と透過型分光光度計による被測定物の内部性状の判定結果との合成である総合判定出力により被測定物の良否の判定選別を行うことができるため、被測定物の良否の判定精度を向上することができる。
なお、表面撮像装置を透過型分光光度計の下流側に設置した場合、透過型光ゲート部の発光素子群及び受光素子群と透過型分光光度計との距離が短くなるため、被測定物の揺れ等による誤差の影響が少なくなるが、その反面、透過型分光光度計と表面撮像装置との間の搬送装置上にある被測定物のスペクトルデータ分のバッファーメモリが必要になるとともに、タイミング的にアルゴリズムが複雑になる。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、本発明に係るオンライン型非破壊分光分析装置によれば、測定不要部位を含む被測定物を姿勢が不揃いな状態で搬送しながら内部性状の測定等を行う場合であっても、被測定物のサイズ計測における誤差を小さく抑えることができ、測定範囲が広くかつ測定精度が高く、透過型分光光度計の投受光部の高さ変更にも容易に対応することができ、表面撮像装置を用いて被測定物の表面異状を計測する際の画像解析を有効に行うことができ、被測定物の良否の判定精度を向上することができるという顕著な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態に係るオンライン型非破壊分光分析装置の平面図である。
【図2】同オンライン型非破壊分光分析装置の構成の概要を示すブロック図である。
【図3】透過型光ゲート部を前方から見た図である。
【図4】透過型光ゲート部による信号処理を示すブロック図である。
【図5】透過型光ゲート部の回路構成図である。
【図6】タイミングを示す図である。
【図7】透過型光ゲート部のバリエーションを示す概略図であり、(a)は発光素子群と受光素子群を略中央で焦点を結ぶように配列する構成例を、(b)は上下方向に投受光を行う構成例を示している。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に本発明の実施の形態を添付図面に基づき詳細に説明するが、本発明は、添付図面に示された形態に限定されず特許請求の範囲に記載の要件を満たす実施形態の全てを含むものである。なお、本明細書においては、被測定物の搬送方向(図中矢印A参照。)を前、その反対側を後とし、左右は前方に向かっていうものとする。
【0018】
図1及び図2に示すように、本発明の実施の形態に係るオンライン型非破壊分光分析装置は、搬送装置Cにより順次搬送されてくる被測定物の内部性状の測定等をオンラインでかつ非破壊で行うものであり、搬送方向(図中矢印A参照。)の上流側から下流側に向かって、透過型光ゲート部1の発光素子群P及び発光素子群Pにより照射された光を受光する受光素子群R、表面撮像装置2並びに透過型分光光度計3が配設される。
本実施の形態では、被測定物の一例として、剥がれかけた表皮、葉、芽、ひげ根(細いひげ状の根)等の測定不要部位がある玉ねぎGを主に示しており、サイズの差が大きく、表皮、芽等が不規則な方向(姿勢が不揃いな状態)で高速で搬送される玉ねぎGの外部又は内部の腐れ等の良否の測定は、規格化され包装等がされた加工食品とは異なり、非常に難しいものである。
【0019】
透過型光ゲート部1は、発光素子群Pから投射光L1を投射し、受光素子群Rにより受光光L2を受光することにより、後述するように、被測定物である玉ねぎGの各部位における光が透過したレベルと形状判定により測定必要部位と測定不要部位とを判別して測定不要部位を除去し、玉ねぎGの径及び有効蓄積領域を算出し、透過型分光光度計3に対して、有効蓄積領域の画素の透過光強度を積算した、スペクトルの飽和を制御するための積算透過光強度信号B、及び、分光光度計測定タイミング・サイズTである蓄積開始点と蓄積時間を出力し、表面撮像装置2に対して、カメラ用測定タイミング・サイズTCを出力するものである。
【0020】
また、表面撮像装置2は、玉ねぎGの表面異状の計測を行うものであり、玉ねぎGを上側から撮像するカメラ21、玉ねぎGを照らす照明である投光器22、搬送路の左右に設置された反射用側面ミラー23,23及びカメラインターフェース24等を備えている。
さらに、透過型分光光度計3は、玉ねぎGの内部性状の計測等を行うものであり、玉ねぎGに所定波長の光(例えば近赤外光)を照射するハロゲンランプ38等からなる光源37、玉ねぎGからの透過光を受光する受光器33、光量の調整を行う光学絞り34及び光学絞り34を駆動する光絞りアクチュエータ35(液晶等を用いた電子光学絞りであってもよい。)、光を伝送する光ファイバー36、玉ねぎGからの透過光を分光処理する分光器及び制御部31、玉ねぎVの内部性状を評価するための検量線(判別式)を用いて演算処理するとともに表面撮像装置2によるカメラ画像を解析する分光器演算部及びカメラ画像解析部32等からなる。
なお、図1に示すように、側面ミラー23,23は左右に配置され、光源37及び受光器33も左右に配置されるものであるが、図2においては、これらを見やすくするための便宜上、前後方向に配置している。
【0021】
図3に示す透過型光ゲート部1において、その発光素子群Pは上下方向直列に並設された発光素子P1,P2,…,P20により、その受光素子群Rは発光素子P1,P2,…,P20にそれぞれ対向する受光素子R1,R2,…,R20により構成され、発光素子P1,P2,…,P20により照射されるパルス変調光が、埃対策を行ったフード6及びコリメーターレンズ5を通り、狭指向角で対向する受光素子R1,R2,…,R20に各々照射される。
なお、発光素子P1,P2,…及び受光素子R1,R2,…の個数は、図3に示す例のような20個に限定されるものではなく、後述するように2個以上であればよく、発光素子P1,P2,…及び受光素子R1,R2,…の個数は同数である必要はない。
【0022】
ここで、発光素子P1,P2,…として、例えば発光ダイオード又はレーザーダイオードを用いており、例えば玉ねぎGでは水分の減衰の少ない820nm程度の波長帯を選んでいるが、被測定物の測定不要部位の判定に最適な波長を選んでもよい。
また、発光素子P1,P2,…として強い光のレーザーダイオードを用いる場合には、受光素子R1,R2,…の増幅回路のゲインを低くできるが、この場合においては、発光素子P1,P2,…と受光素子R1,R2,…との光軸の位置を若干ずらして直接光を避けるようにするとよい。
【0023】
図4は、玉ねぎGが、その芽の突起部分が透過型分光光度計3の受光器33の受光面を通過する方向で、搬送同期クロック信号(クロックパルス)CLに同期しながら搬送装置C上を搬送される状態を模式的に示しており、搬送方向をX軸、透過型光ゲート部1の発光素子群P及び受光素子群Rの位置をX=0、受光素子群R(受光素子R1〜Rn)の配列方向をY軸、搬送装置Cの表面高さをY=0とする。
透過型光ゲート部1により、X軸の搬送同期クロック信号CLとY軸の受光素子群R(受光素子R1〜Rn)による出力波形S1〜Snを、ワンチップCPU20のアナログマルチプレクサ16を介してA/D変換器17,18によりデジタル化し、後述するように透過光強度で表わす2次元画像を得ることができる。
【0024】
次に、透過型光ゲート部1の回路構成例について説明する。
図5に示すように、投光部回路7の発光素子駆動回路9に、ワンチップCPU20により、例えば100μsec周期で20μsecの発光素子駆動パルス14を加え、1/5のデューティ比で輝度を上げるため定常電流の5倍程度の電流を発光素子P1,P2,…(図3も参照。)に流して駆動する。
パルス駆動によりパルス変調された光は、受光部回路8の受光素子R1,R2,…(図3も参照。)に入射し、光起電力効果により前置増幅器10の入力電流となり前置増幅器10により電圧に変換される。
NPN型のアンチ飽和FET11は前置増幅器10の入力(−)にドレーン、出力側にソースを接続しゲートにアンチ飽和バイアス電圧V1を与える。
【0025】
入射光が強く、前置増幅器10の負電圧出力がアンチ飽和FET11のソース電位を下げてゲート電圧の閾値に近づくと、アンチ飽和FET11のドレーンとソース間が導通を始め、前置増幅器10のゲインが下がり一定のレベルでクランプされる。
被測定物(例えば玉ねぎG)による光の遮断がなく強い入射光において、アンチ飽和バイアス電圧V1の調整により適切な出力を得ることができる。
【0026】
零点補正回路13は、零点補正パルス15により発光素子駆動パルス14の直前で前置増幅器10の出力を零にするものであり、外乱光、受光素子R1,R2,…を含めた前置増幅器10の揺らぎのノイズをキャンセルしており、零点補正パルス15と発光素子駆動パルス14の和以上のパルス幅を持つノイズ、すなわちそれ以下の周波数のノイズ成分をキャンセルしている。
後段増幅器12は前置増幅器10の出力を増幅するもので、直接の入射光による前置増幅器10の出力レベルに対し、後段増幅器12の増幅領域の上限をレベルシフトバイアス電圧V2により設定する。
【0027】
ここで、アンチ飽和バイアス電圧V1、レベルシフトバイアス電圧V2、発光素子電流制御電圧V3は、それぞれワンチップCPU20のPWM変調した出力を積分したDC電圧により可変にでき、分光器及び制御部31のコンピュータの指令により設定することができる。
また、後段増幅器12の出力(S1〜Sn)は、ワンチップCPU20のアナログマルチプレクサ16に接続され、A/D変換器17,18により12Bitデジタル変換され、搬送同期クロック信号CL(X軸)に同期した透過光強度(Y軸)で表わす2次元画像としてワンチップCPU20のRAMに格納される。
【0028】
透過型光ゲート部1の必要なパラメータと相互の伝達は、図2、図4及び図5に示す指令信号データ線19を通じて送受され、カメラ用測定タイミング・サイズTC、分光光度計測定タイミング・サイズT、積算透過光強度信号Bの信号が分光器及び制御部31(図2及び図4参照。)を経て、表面撮像装置2に送られる。
なお、透過型光ゲート部1の投光部回路7及び受光部回路8等の回路は、光ファイバーで光を導くことにより発光素子群P及び受光素子群Rから離した位置に配置してもよく、このようにすることにより、被測定物に応じた光学的に自由度の高い投受光部を持つ透過型光ゲート部1を構成することができる。
【0029】
また、図4及び図5のワンチップCPU20のRAM上に記録された透過光強度で表わす2次元画像から、表面撮像装置2には、光ゲート画像解析部4により、後述する判定で得た、表皮等を除去したカメラ用タイミング・サイズTCにおける玉ねぎGの全長(玉ねぎの芽を含むサイズ)L/2より、玉ねぎGの画像中央付近がカメラ21の画像エリアの中央に来るよう搬送同期クロック信号CLをカウントしてカメラ用測定タイミング・サイズTCである撮像開始トリガーを出力する(図6に示すタイミング図も参照。)。
さらに、透過型分光光度計3には、光ゲート画像解析部4により、有効蓄積領域の画素の透過光強度を積算した積算透過光強度信号B、分光光度計測定タイミング・サイズTを算出し、搬送同期クロック信号CLをカウントして、光学絞り34の応答遅れを見込んで早いタイミングで透過光強度信号Bのデータを出力し、次に分光光度計測定タイミング・サイズTを透過型分光光度計3に与え、透過型分光光度計3の受光器33の受光面に十分到達した瞬間から蓄積を開始し、玉ねぎGの測定必要部位長(サイズ)LNから時間換算することにより蓄積時間としている(図6に示すタイミング図も参照。)。
【0030】
ここで、強い透過光強度では光学絞り34により光学的絞りを行い、スペクトルデータに飽和が生じないようにするが、光学絞り34が装備されていない場合、被測定物によっては、蓄積時間を短くすること、分割測定の回数を多くすること、分割測定時の休止時間(電荷蓄積型センサの放電時間)を長くすること等により、分光器の受光センサの蓄積電荷量を少なくしてスペクトルデータに飽和が生じないようにすることができる。
【0031】
ワンチップCPU20のRAMに格納されると同時に玉ねぎGの2次元透過光強度データ(透過光強度で表わす2次元画像データ)は、指令信号データ線19を通じ、分光器及び制御部31に送られ、分光器演算部・カメラ画像解析部32により分光分析とカメラ画像解析のパラメータ一の一部とし、表面撮像装置2の画像解析による玉ねぎGの表面異状の判定結果と透過型分光光度計3による玉ねぎGの内部性状の判定結果との合成である総合判定出力D(図2及び図4参照。)を通じて、図示しない仕分け装置及び撰果装置に指令信号データが送られ、玉ねぎGの良否の判定選別が行われる。
【0032】
次に、玉ねぎGの外部異状(腐り、傷)及び内部異状(腐り)並びに内部性状(糖度)等の測定をおこなうための透過型光ゲート部1の動作について述べる。
ここで、玉ねぎGの部位名称と測定必要部位及び測定不要部位について、鱗葉が測定必要部位であり、第1測定不要部位を保護葉(葉、表皮(図3及び図4のUN1参照。))及びひげ根とし、第2測定不要部位を首部(芽(図3及び図4のUN2参照。))及び根とする。なお、剥がれかけた表皮及び鱗葉から浮いた表皮を表皮としている。
例えば、透過型光ゲート部1による玉ねぎGの各部位の透過光強度のレベルをIとし、
予め設定した閾値をTa>Tbとして、以下の(a)〜(c)の不等式により規定される条件を設定する。
【0033】
(a)玉ねぎGのない時(I>Ta)
(b)保護葉又はひげ根の時(Ta>I>Tb)
(c)首部(芽)若しくは根又は鱗葉等の時(Tb>I)
【0034】
(1)被測定物の有無、保護葉及びひげ根の検出
玉ねぎGがない状態で、透過光強度レベルIがTaよりも低くなった場合(Ta>I)は、透過型光ゲート部1の発光素子P1,P2,…及び受光素子R1,R2,…への埃等の付着又は発光素子P1,P2,…の劣化等を意味する。
また、玉ねぎGがある状態で、透過光強度レベルIがTaよりも低い場合(Ta>I)に、保護葉又はひげ根を検出することができる。
(2)光の透過による保護葉及びひげ根の部位の除去
保護葉又はひげ根を光が透過する透過光強度レベルIがI>Tb、すなわちTbよりも高い透過光は除去する。
(3)玉ねぎ本体の形状の検出
透過光強度レベルIが、Tb>I、すなわちTbよりも低い透過光である場合に遮光とみなす。
【0035】
以上のように、第1測定不要部位は、上記(b)の条件を満たすことにより判別される。
また、第2測定不要部位は、上記(c)の条件を満たし、かつ、以下の追加条件をみたすときに判別される。
追加条件の一例として、玉ねぎGの2値化画像(上記(c)の条件を満たす部分と、上記(c)の条件を満たさない上記(a)及び(b)の条件を満たす部分)からその輪郭を得て該輪郭線をフーリエ記述子により記述し、高周波成分を除去する。この低周波成分は、前記輪郭の凹凸をならした円形に近くなる。
別の追加条件の例として、予め定めた玉ねぎGの形状に対する解析幾何学的モデル(円や楕円等)に対し、玉ねぎGの2値化画像からその輪郭を得て、その各座標を最小自乗法によりフィッティングする。
【0036】
上記手法は公知の形状判定アルゴリズムであり、芽等の突起部を除去するのであるが、径の小さな玉ねぎGでは、その周辺領域を光が通過する距離も径に比例して小さくなり、透過光強度レベルIも高くなる。したがって、実際の玉ねぎGの測定必要部位の径よりも過少に評価される。
特に、径の小さな玉ねぎGは透過型分光光度計3の受光器33の受光面に対し遮光度合が小さくなるため、このような問題を解消するために、測定された玉ねぎGの径は、これに径補正係数を乗じて径を修正する必要があるが、この径補正係数は予め実験で得ておくことができる。
【0037】
透過型光ゲート部1は、上記手法等により測定不要部位を除去し、玉ねぎGの径を算出し、透過型分光光度計3の受光器33の受光面の高さの位置でのサイズより有効蓄積領域を算出し、透過型分光光度計3に対して、有効蓄積領域の画素の透過光強度を積算した、スペクトルの飽和を制御するための積算透過光強度信号B、分光光度計測定タイミング・サイズTである蓄積開始点と蓄積時間を出力し、表面撮像装置に対して、カメラ用測定タイミング・サイズTCを出力する。
【0038】
上記は公知の形状判定アルゴリズム等により、芽等の突起部を除去するのであるが、例えば図4の透過型光ゲート部1による信号処理を示すブロック図は、玉ねぎGが透過型光ゲート部1の発光素子群P及び受光素子群Rの位置を通過するとY軸である透過光強度(S1〜Sn)とX軸の搬送に同期したクロック信号CLによって、玉ねぎGの2次元透過光強度データを得ている。
しかし、透過型分光光度計3の受光器33の受光面の縦幅(以下において、「受光面縦幅」という。)Hと同じ縦幅に対応する受光素子はR2〜R5であり、透過光強度を示す受光素子出力波形はS2〜S5である。
例えば受光素子出力波形S2〜S5の周辺を含めS1〜S6について、この領域のフィルタリングにより、芽等の突起を除去して、有効蓄積領域を算出すると処理速度も速くなる。
有効蓄積領域を算出し、透過型分光光度計3に対し、有効蓄積領域の画素の透過光強度を積算したスペクトルの飽和を制御する積算透過光強度信号B、分光光度計測定タイミング・サイズTである蓄積開始点と蓄積時間を出力する。
【0039】
(サイズ及び形状が比較的均一な玉ねぎGの計測判定)
図4において受光面縦幅Hと同じ縦幅に対応する受光素子はR2〜R5であり、受光素子出力波形S2〜S5である。
選別基準最大の玉ねぎGの芽UN2の幅が、搬送される過程で上記S2からS5の間隙の中に入り(b)の条件を満たし、X軸上のS2,S3,S4,S5のすべてが(c)の条件を満たした瞬間が蓄積開始点となり、そのすべてが(c)の期間が有効蓄積領域であり蓄積時間となる。
【0040】
(受光素子間隙による玉ねぎの計測判定)
透過型光ゲート部1のY軸としての最小単位は2個の受光素子で構成でき、例えば玉ねぎGの芽の部分の最大幅が、搬送時に通過するよう透過型光ゲート部1の2個の素子間隙を、受光面縦幅Hの両端とほぼ等しい間隙で配置し、2個の素子出力信号の両方が(c)の条件を満たすとき、すなわち2個の論理積をとり、上記2つの受光素子を玉ねぎが遮光している間を、X軸の搬送に同期したクロック信号CLをカウントすることにより玉ねぎGのサイズが得られる、クロックCLの速さから算出した蓄積開始タイミングと有効蓄積時間を透過型分光光度計3にセットすることにより、測定不要部位を除去した内部異状、内部性状の計測判定を行うことができる。
上記手法は被測定物の種類が固定化した専用機としてのオンライン型非破壊分光分析測定装置では透過型光ゲート部1が小規模になる利点がある。
しかし、被測定物の種類や多様な形状に対して敏速に対応するためは、受光素子R1,R2,…の間隙を小さくするとともに個数を多くしてY軸の分解能を上げた透過型光ゲート部1とした方が有利となる。
【0041】
(分光光度計投受光部の高さ合わせ)
良品として選別される最小サイズの玉ねぎGを、搬送装置Cにより透過型光ゲート部1の発光素子群P及び受光素子群Rの位置を通過させ、玉ねぎGの2値化画像から得た輪郭からY軸上で玉ねぎGの中心の高さを算出し、図4に示す投受光エレベーション部39により透過型分光光度計3の受光器33の受光面の光軸中心を玉ねぎGの中心高さに合わせて自動でセットすることにより、最小サイズから最大サイズまでの玉ねぎGの全ての分光分析測定を行うこともできる。
これは、照射した分光光度計光源37からの光が玉ねぎGを透過すると、玉ねぎGの内部で乱反射をして外部(受光部側)に出てくることから、玉ねぎGの大小に拘わらず透過した光は内部情報を含んでいるため、多変量解析手法等を用いて内部性状を計測判定するものである。
【0042】
このように投受光エレベーション部39により透過型分光光度計3の投受光部の高さの変更を行った場合においても、透過型光ゲート部1を、例えば図3及び図4に示すようにY軸(高さ方向)の受光素子R1,R2,…の個数を多くして最大サイズの被測定物をカバーすることができるようにしておくことにより、従来におけるサイズ計測器の投受光器の光軸の高さを機械的に変更する構成のように駆動系や機械系の構造が複雑にかつ大掛かりになることはなく、構成の簡素化を図ることができる。
【0043】
(房付き葡萄の計測測定)
被測定物が玉ねぎGではない場合の一例として房付き葡萄の糖度の測定について説明する。
透過型分光光度計3によるオンライン測定では、搬送装置Cとして急峻なスペクトル特性を持たないテフロン(登録商標)系のコンベア等を使用し、透過型光ゲート部1及び透過型分光光度計3の投受光部を搬送方向に対して垂直方向(左右)に設置して、その透過光によるスペクトル解析により計測判定を行っている。
測定は、葡萄の房の茎を搬送装置Cの中央に進行方向に向け、房の広い部分を透過型分光光度計3で10回程度の分割測定を行うのであるが、房によっては葡萄の実の間隙から強い光の漏れがあるものがあり、これを透過型光ゲート部1で事前に測定しておき、透過型分光光度計3の読み込みに際して分割測定の何番目に当たるかを定め、透過型分光光度計3の高速シャッターを閉じてスペクトル特性が飽和しないようにして読み込みを行うことができる。
このようにすると、高速シャッターを閉じた部分の測定は行われないことになるが、葡萄の房全体から見れば支障はない。
【0044】
飽和回数/分割測定回数(%)は葡萄の房の密度を表し、一定値を上回るとその葡萄の房はエラーとして排除する。
例えば房付き葡萄の茎の部分の除去は、受光面縦幅Hに対応する受光素子群がR3〜R8とすると、葡萄の茎は細く、R3〜R8の範囲で1個か2個の受光素子の光を遮るだけであり、葡萄の実により出力回路波形S3,S4,S5,S6,S7,S8の遮光したことを(真)としてその論理積をとることにより房付き葡萄の茎は除去できる。
X軸上でS3,S4,S5,S6,S7,S8のすべてが(真)になった時点が蓄積開始点となり、そのすべてが(真)の期間が有効蓄積領域であり蓄積時間となる。
【0045】
このように、有効蓄積領域内での透過光の積算を行う工程で、強い光による飽和のチェックを行い、透過型分光光度計3ではその被測定物の測定を行わないこと、分割測定時の被測定物で飽和の部分があれば、透過型分光光度計3では、そのタイミングで高速シャターを閉じ、その部分の測定を行なわないことにより測定作業効率を上げることができる。
【0046】
次に、透過型光ゲート部1のバリエーションの例について説明する。
透過型光ゲート部1は図3に示す構成に限定されるものではなく、透過型光ゲート部1は、例えば、図7(a)に示すように発光素子群Pと受光素子群Rを略中央で焦点を結ぶように配列する構成、図7(b)に示すように上下方向に投受光を行う構成等であってもよく、必要に応じて搬送方向に対する発光素子群P及びと受光素子群Rの配置を定めて使用することができる。また、発光素子群Pに発光波長が2波長以上の素子を光学的に並列に使用し、波長ごとに時分割で受光信号を取得し、其々の2次元画像から被測定物の形状判定を行ってもよく、搬送装置C上に、発光素子群Pの波長が異なる透過型光ゲート部1を波長ごとに密に配置し、其々の2次元画像を判定して、被測定物の形状判定を行ってもよい。
【0047】
また、透過型光ゲート部1は、その複数台を設置してもよく、例えば発光波長の異なる発光素子群P及び受光素子群Rを透過型分光光度計3よりも搬送方向上流側に複数設置してなる複数台の透過型光ゲート部1,1,…を用い、被測定物に対し最適な波長の画像解析部4からの信号を選択したり、或いはそのすべての情報から、分光器演算部及びカメラ画像解析部32により演算を行い総合判定出力をすることもできる。このような複数台の透過型光ゲート部1,1,…は、一つの筺体内にまとめて配設し、発光波長の異なる発光素子、受光素子を有用に配列した透過型光ゲート部としてもよい。
【0048】
以上のように、本発明のオンライン型非破壊分光分析装置は、図4に示すようにS1〜Snに示す被測定物の透過光強度分布を2次元的に測定し、図5に示すように受光部回路8においてFETによる飽和対策を行い、透過型光ゲート部1の発光素子群P及び受光素子群Rを表面撮像装置2及び透過型分光光度計3の上流側に設置して、透過光強度のレベルと形状に対し、予め定めた被測定物の形状パターンにより論理フィルター処理を行い、測定不要部位を除去して、2次元透過光強度データより測定必要部位の有効測定領域を算出し、表面撮像装置2に対して、カメラ用測定タイミング・サイズTCを出力し、透過型分光光度計3に対して、有効蓄積領域の画素の透過光強度を積算したスペクトルの飽和を制御する積算透過光強度信号B及び分光光度計測定タイミング・サイズTを出力することにより、判別精度を向上するものである。
【0049】
また、透過型光ゲート部1は強い光源と受光部の飽和処理により実用的には埃などの影響を低減でき、受光素子群Rの出力波形(S1〜Sn)は被測定物を透過した透過光強度として扱っているが、既知の減衰特性を持つNDフイルター板を例えば受光素子群Rの前で切り替え、被測定物のないときにサンプルングしてリファレンスデータとして記録することにより、透過度(S1〜Sn)=被測定物データ/(NDフイルタデータ×減衰率(実数表記))として発光素子(P1〜Pn)の波長における被測定物の2次元透過度特性が得られる。
これにより、発光素子(P1〜Pn)の経時的劣化、光学系の汚れ、個々の発光素子、受光素子の光学及び電子回路の感度の補正もできる。
さらに、より高精度な測定をする必要があれば、透過光強度を透過度にして演算処理を行なえばよい。
【符号の説明】
【0050】
A 被測定物搬送方向
B 積算透過光強度信号
C 搬送装置
CL クロック信号
D 総合判定出力
G 玉ねぎ(被測定物)
H 受光面縦幅
I 透過光強度
L 全長(玉ねぎの芽を含むサイズ)
LN 測定必要部位長
L1 投射光
L2 受光光
P 発光素子群
R 受光素子群
P1,P2,P3,…,P20 発光素子
R1,R2,R3,…,R20 受光素子
S1,S2,S3,…,S20 受光素子出力波形
Ta,Tb 閾値
T 分光光度計測定タイミング・サイズ
TC カメラ用タイミング・サイズ
UN1 表皮(第1測定不要部位)
UN2 芽(第2測定不要部位)
V1 アンチ飽和バイアス電圧
V2 レベルシフトバイアス電圧
V3 発光素子電流制御電圧
1 透過型光ゲート部
2 表面撮像装置
3 透過型分光光度計
4 光ゲート画像解析部
5 コリメーターレンズ
6 フード
7 投光部回路
8 受光部回路
9 発光素子駆動回路
10 前置増幅器
11 アンチ飽和FET
12 後段増幅器
13 零点補正回路
14 発光素子駆動パルス
15 零点補正パルス
16 アナログマルチプレクサ
17,18 A/D変換器
19 指令信号データ線
20 ワンチップCPU
21 カメラ
22 投光器
23 側面ミラー
24 カメラインターフェース
31 分光器及び制御部
32 分光器演算部及びカメラ画像解析部
33 受光器
34 光学絞り
35 光絞りアクチュエータ
36 光ファイバー
37 光源
38 ハロゲンランプ
39 投受光エレベーション部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送装置により順次搬送されてくる被測定物の内部性状の測定等を透過型分光光度計により行うオンライン型非破壊分光分析装置であって、
前記搬送装置は搬送に同期したクロック信号を出力するものであり、
前記被測定物の透過光強度分布を2次元的に測定するために前記透過型分光光度計よりも搬送方向上流側に設置した発光素子群及び該発光素子群により照射された光を受光する受光素子群を有する透過型光ゲート部を備え、該透過型光ゲート部により、所定閾値よりも透過光強度が高い前記被測定物の第1測定不要部位を検出するとともに、透過光強度だけでは検出できない前記被測定物の第2測定不要部位を透過光強度及び形状判定により検出し、前記第1測定不要部位及び第2測定不要部位を除いて前記被測定物の測定必要部位のサイズ及び有効測定領域を算出し、前記透過型分光光度計に対して、前記有効蓄積領域の画素の透過光強度を積算した、スペクトルの飽和を制御するための積算透過光強度信号、並びに、前記クロック信号に同期した蓄積開始点及び蓄積時間を出力するオンライン型非破壊分光分析装置。
【請求項2】
前記透過型光ゲート部の発光素子群及び受光素子群よりも搬送方向下流側で、前記透過型分光光度計よりも搬送方向上流側又は下流側に、前記被測定物の表面異状を計測するために前記被測定物を撮像するカメラ及び前記被測定物を照らす投光器を有する表面撮像装置を備え、該表面撮像装置に対して前記透過型光ゲート部から、前記被測定物の画像中心付近が前記カメラの画像エリアの中央に位置するように、前記クロック信号に同期した撮像開始トリガー信号及びサイズを出力する請求項1記載のオンライン型非破壊分光分析装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−117942(P2011−117942A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−236960(P2010−236960)
【出願日】平成22年10月22日(2010.10.22)
【出願人】(000173706)財団法人雑賀技術研究所 (11)
【Fターム(参考)】