説明

オーガドリルの流体噴射装置

【課題】コンクリート杭中を通って杭の下方の地盤を掘削するオーガドリルの高圧流体噴射ノズルの先端をオーガドリルの羽根の外径より外方に突出させることができるようにし、拡径掘削や大径の根固めコンクリート形成が容易にできるようにした。
【解決手段】オーガドリルの下端近傍側面に取り付けられた高圧流体噴射ノズル20を、固定外筒21と、固定外筒21内を一定距離前進後退する可動内筒30とからなる二重筒とし、可動内筒30は先端に噴出孔32を備え後端に高圧流体供給管14の先端を挿入するシールされたスリーブ34を備え、内筒30を後退方向に付勢するばね23を備えた。高圧流体噴出時に、高圧流体がばね23の付勢力に抗して、内筒30を前進させる構造とした。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、オーガドリルの流体噴射装置に関する。さらに詳しくは、コンクリート杭等を地中に沈設する場合に、杭中にオーガドリルを挿入して、杭より下方の地盤を拡径掘削したり、大径のコンクリート球根を形成する場合に用いる、高圧流体噴射装置の構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
コンクリート杭等の基礎杭を地中に沈設する場合に、杭の中空部を通ってオーガドリルを挿入し、このオーガドリルで杭下端より下方の地盤を掘削しながら杭を沈設施工することが行われている。この場合に、杭下端部近傍及びその下方の支持層に拡径部を形成し、杭の外径より大径の根固めコンクリートを支持層中に形成し、これを杭と一体化させ、杭の支持力を大幅に増大させる技術がある。
【0003】
この根固めコンクリートを形成する場合、オーガドリルを杭下端より下方に突出させ、杭下端より下方の地盤を掘削混練するために、圧縮空気、高圧水、ベントナイト泥水等を噴射したり、球根築造のためのセメントミルク等の噴射のための高圧流体噴出装置をオーガドリルの下端近傍に取り付ける。
【0004】
このような高圧流体噴出装置のノズルは、高圧流体を半径方向外側に噴射するように、オーガドリルの下端部材にオーガー軸に直角に突出させて設けられている。
【0005】
しかしながら、従来、このような高圧流体噴射ノズルは、ノズルの先端をオーガドリルのスクリュー羽根の外径より半径方向外方に突出させることはできなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述のように、従来のオーガドリルの高圧流体噴射ノズルは、ノズルの先端がオーガドリルの羽根の外径より外方に突出させることはできなかったが、一方、拡径掘削や大径の根固めコンクリート形成のためには、高圧流体噴射装置のノズルの先端をオーガドリルの羽根の外径より半径方向外側に突出させることができれば、ノズルを拡径寸法に近づけて作用させることができ、メリットが大きい。
【0007】
本発明はこのような観点に立脚して開発されたもので、高圧流体を噴射しない時は、先端がオーガドリルの羽根の外径より外方に突出することなく、高圧流体を噴射するときは、先端がオーガドリルの外径より半径方向外側に突出するようなオーガドリルの流体噴射装置を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたもので、その技術手段は、オーガドリルの下端近傍側面に取り付けられた高圧流体噴射ノズルを、固定外筒と、該固定内筒内を一定距離前進後退する可動内筒とからなる二重筒とし、該可動内筒は先端に噴出孔を備え後端に高圧流体供給管の先端を挿入するシールされたスリーブを備え、前記内筒を後退方向に付勢するばねを備え、高圧流体噴出時に、高圧流体が前記ばねの付勢力に抗して、内筒を前進させる構造としたことを特徴とするオーガドリルの流体噴射装置である。
【0009】
本発明のノズルは、高圧流体の圧力により、可動内筒を前方に前進させ、ノズルの先端を延出自在に構成したものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下図面を参照して本発明のオーガドリルの流体噴射装置について実施の形態を説明する。
【0011】
図1は本発明の実施例のオーガドリルの最下端部材10の縦断面図を示すものである。この最下端部材10は掘削刃、スクリュー羽根等の記載を省略して、流体噴射装置を主に記載してある。
【0012】
オーガドリルの最下端部材10には、連結部材11、流体通路基底部13から噴射ノズル20に高圧流体を供給する供給管14が取付けられている。
【0013】
流体噴射装置のノズル20がこのオーガドリルの最下端部材10の側面に設けられている。
【0014】
ノズル20は固定外筒21とこの固定外筒21内に同軸に挿入された可動内筒30を備えている。固定外筒21は先端部に口金22を取付け、可動内筒30は尾端外周にフランジ31を設けこの口金22とフランジ31間にコイルばね23が介装されている。可動内筒30はフランジ31が固定外筒21の内周面を前後進方向に摺動し、可動内筒30の外径は固定外筒21の先端口金22内を前後進方向に摺動する。可動内筒30は先端に高圧流体噴出孔32を備えたピース33を有し、尾端側はスリーブ34を形成している。このスリーブ34円には高圧流体供給管14が挿入されている。
【0015】
スリーブ34の内径と高圧流体供給管14との間はシール材36によってシールされている。また可動内筒30内にはボールバルブ35が設けられ、不使用時にノズル20を閉止している。
【0016】
図2は高圧流体を供給して可動内筒30が前進した状態を示している。高圧流体は高圧流体供給管14から可動内筒30スリーブ34内に供給され、ばね23の付勢力に抗して可動内筒30を前進させる。このとき、ボールバルブ35が開き、高圧流体噴出孔32から高圧流体を噴出する。高圧流体の圧力、及びスリーブの直系、ばね23のばね常数及び設定長さ、ボールバルブ35の開閉圧力等は設計によって適切に定めされ設定される。
【0017】
ノズルの突出長さは例えば外径600mmφのプレストレストコンクリート杭に用いるオーガドリルでは、90mm程度の突出が可能である。
【0018】
【発明の効果】
本発明のオーガドリルの流体噴射装置は以上のように構成されているので、コンクリート杭下端の支持地盤に拡径された支持球根を容易に造成することができ、杭の支持力増強に寄与するところがきわめて大であるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例の縦断面図である
【図2】図1の部分図であって拡径時の状態を示す縦断面図である。
【符号の説明】
10 最下端部材
11 連結部材
13 流体通路基底部
14 供給管
20 噴射ノズル
21 固定外筒
22 口金
23 コイルばね
30 可動内筒
31 フランジ
32 高圧流体噴出孔
33 ピース
34 スリーブ
36 シール材
35 ボールバルブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オーガドリルの下端近傍側面に取り付けられた高圧流体噴射ノズルを、固定外筒と、該固定内筒内を一定距離前進後退する可動内筒とからなる二重筒とし、該可動内筒は先端に噴出孔を備え後端に高圧流体供給管の先端を挿入するシールされたスリーブを備え、前記内筒を後退方向に付勢するばねを備え、高圧流体噴出時に、高圧流体が前記ばねの付勢力に抗して、内筒を前進させる構造としたことを特徴とするオーガドリルの流体噴射装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2004−324274(P2004−324274A)
【公開日】平成16年11月18日(2004.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2003−121850(P2003−121850)
【出願日】平成15年4月25日(2003.4.25)
【出願人】(591197699)日本高圧コンクリート株式会社 (20)
【Fターム(参考)】