説明

オーグメンテーションシステムの衛星ペイロード

【課題】
オーグメンテーションシステムの衛星ペイロードを提供する。
【解決手段】
本発明は、第1の周波数帯域において少なくとも1つの航法陸上地球局(NLES)により送信された航法信号を受信するのに好適な入力チャネル(201、202、503)と、それぞれが第1の帯域および他の同報通信帯域と異なる周波数帯域において航法信号を同報通信するのに好適な複数の出力チャネル(206、207、208、216、217、218)と、を含むオーグメンテーション衛星(600)のペイロードであって、航法プロセッサ(501)も含むことを特徴とするオーグメンテーション衛星(600)のペイロードに関する。本発明はまた、このようなペイロードを含む衛星とこのような衛星を含むオーグメンテーションシステムとに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衛星航法システム(satellite navigation system)の完全性と正確性と頑強性を増大するオーグメンテーションシステム(augmentation system)の分野に関する。
【0002】
本発明はより具体的には、多くの航法陸上地球局(navigation land earth station)とオーグメンテーションデータ送信専用衛星間のアップリンクに関する。本発明の課題は特には、このような衛星に対し半トランスペアレントであるデジタル航法ペイロード(digital navigation payload)である。
【背景技術】
【0003】
以下、本分野において周知の以下の頭文字が使用される。衛星航法および測位システムは通常、GNSSシステム(全地球的航法衛星システム:Global Navigation Satellite System)で示される。性能オーグメンテーションシステムはSBASシステム(サテライトベースオーグメンテーションシステム:Satellite Based Augmentation System)と呼ばれる。衛星へオーグメンテーションデータを送信するのに好適な地上局は、NLES局(航法陸上地球局:Navigation Land Earth Station)と呼ばれる。オーグメンテーションデータを含む衛星信号の受信とこれらの信号の測定とに好適な地上局は通常、RIMS局(測距および完全性監視局:Ranging & Integrity Monitoring Station)と呼ばれる。
【0004】
公知のSBASオーグメンテーションシステムは、特に、実行される地理定位(geo−localization)の精度を増すためにGNSS受信機へリアルタイムで補正結果を送出できるようにする。これらのシステムはまた、システムにより提供されるサービスの完全性を改善するのに使用される情報を同報通信できるようにする。通常、このようなシステムにより生成され同報通信される補正結果と他の情報は、オーグメンテーションデータと呼ばれ、オーグメンテーションメッセージの形式で航法信号(navigation signal)内に直接送信される。
【0005】
このようなデータを生成し同報通信するために、SBASシステムは通常、航法衛星により送信されるGNSS信号を恒久的に測定するRIMS地上局と、これらの測定結果を受信しオーグメンテーションメッセージを生成する処理センターと、GNSS受信機へ受信信号を再送信することにより中継器として機能するSBASオーグメンテーション衛星へGNSS航法信号によりこれらのメッセージを送信するNLES地上局と、を含む。このようなシステムでは、SBAS衛星のペイロードがトランスペアレントであると言われ、これはユーザ受信信号の内容の修正を生じる処理は一切衛星上で実行されないことを意味する。
【0006】
このようなシステムは、特にはいくつかの装備項目の冗長性によるシステムのさらなる複雑性という犠牲を払ってのみ保証される、システムが提供する可用性と動作の連続性に関し限界がある。
【0007】
SBAS衛星のペイロードはトランスペアレントなタイプのものであるので、その資源への同時アクセスを許容しない。したがってSBAS衛星はマスタまたは公称局(nominal station)と呼ばれる単一のNLES局により送信される公称パワーの信号を受信および再送信することだけができるので、公称NLES地上局と冗長待機(redundant standby)NLES局間のホット冗長性(hot redundancy)の実施は可能ではない。
【0008】
表現「ホット冗長性」は、少なくとも2つのNLES地上局がSBAS衛星のアップリンクチャネル上で信号を同時に送信することができるシステムに関して使用される。対照的に、用語「コールド冗長性(cold redundancy)」は、少なくとも2つの局がSBAS衛星への航法信号の送信には利用可能であるが同時に送信しないときに使用される。コールド冗長性の原理は公知のSBASシステムに適用されている。公称NLES局の故障が検出されると、初期設定ではアクティブでない待機NLES局が局の切り替えとサービスの継続性を処理するために起動される。待機局を起動するのに必要な時間は、連続性の喪失と結果として生ずるサービス中断とをもたらし、これは1分を超えることがある。この中断時間はまた、リンクを再設定するのに必要な処理動作、すなわち故障の検出と、冗長NLES局への切り替えと、局サーボ制御ループの安定化と、必要な完全性レベルの取得と、による。
【0009】
SBAS衛星のトランスペアレントな態様に関連した別の問題は、この衛星により受信される航法メッセージの完全性に関する。公知の解決策ではNLES地上局内の信号の完全性チェックを実施する。このチェックは、アップリンクチャネル上で送信される航法信号とダウンリンクチャネル上でSBAS衛星により送信されNLES局により拾われる信号とを比較することにより行われる。
【0010】
航法信号のあり得るスクランブルまたは虚偽表示(misrepresentation)の検出は地上で行われ、瞬間的でない特定の警報メッセージの同報通信またはNLES局からの送信の中止のいずれかを生じる。地上からの遠隔制御リンクを介しペイロードをスイッチオフすることによる以外にSBAS衛星自体上の虚偽表示信号の同報通信を防止する方法はあり得ない。このタイプの動作は、衛星が新しい有効信号を送信するのを待たなければならないGNSS受信機の可用性の喪失をもたらす可能性がある。
【0011】
第3の問題は、複数の周波数帯域のNLES局により送信される航法信号の送信の使用にある。例えばGPSシステムは、様々な用途の帯域L内の3つの周波数副帯域(すなわち帯域L1、L2、L5)を使用することができる。同様に、欧州のガリレオシステムは4つの周波数副帯域の使用を規定する。さらにシステムの運用維持は検査チャネルの送信を必要とすることがある。
【0012】
NLES局と衛星間のアップリンク上の信号の送信は従来はFDMA型周波数計画に従ってかつ単一偏波(single polarization)上で行われる。すなわち、各信号は対応する周波数帯域(L1、L2、L5等)で送信される。したがって非常に多数のチャネルは極めて著しいスペクトル占有を生じ、地上局とペイロードの複雑性の増加を招く可能性がある。
【0013】
衛星上で、ペイロードは各周波数帯域に適した多くの処理チャネルを提供する。少なくとも2つの別個の周波数帯域上の信号の送信は、これらの異なる周波数に対する航法チャネル間の利得と位相の差動分散を生じる。実際には、伝播チャネルは転送周波数によって様々な擾乱(雑音、電離層の衝撃)を生ずる。したがって信号はこれらの差動誤差を補正するために振幅、遅延、位相が補正されなければならない。さらに、それらの間のチャネルをペアにし較正する際の困難さが2つ以上の別個の周波数帯域上で送信される信号の貧弱な同時管理を生じ、ひいてはシステムのユーザにとっては性能低下をもたらす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は特に、デジタルでかつ半トランスペアレントなSBAS衛星のペイロードを提案することにより公知のSBASシステムの上記限界を克服することを目的とする、すなわち、セキュリティ、サービス連続性、完全性チェックの制御、無線性能を改善できるようにする衛星上のいくつかの特定の処理動作を導入しつつ、依然として航法メッセージとオーグメンテーションメッセージをトランスペアレントに中継するという衛星の使命が果たされるようにする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
この目的を達成するために、本発明の課題は、第1の周波数帯域において少なくとも1つの航法陸上地球局により送信された航法信号を受信するのに好適な入力チャネルと、それぞれが前記第1の帯域および他の同報通信帯域と異なる周波数帯域において航法信号を同報通信するのに好適な複数の出力チャネルとを含むオーグメンテーション衛星のペイロードにおいて、前記受信信号毎に、次の動作:
・それぞれが航法陸上地球局に関連した第1の組の拡散コードから、そして前記コード毎に、パイロット信号を抽出するために同相の受信信号を逆拡散する動作、
・前記パイロット信号を認証し、それから前記信号を送信する局を導出する動作、
・認証が否定であれば前記航法信号を遮断する動作、
・前記パイロット信号に影響を与える信号対雑音および干渉比を測定する動作、
・受信された航法信号から、最も高い信号対雑音および干渉比を示しその認証が肯定であるものを保持する動作であって、前記保持された信号は公称信号と呼ばれ、公称信号を送信する局は公称局と呼ばれ、他の送信局は冗長局と呼ばれる、動作、
・それぞれが同報通信周波数帯域のうちの1つの周波数帯域上で送信されることを目的としたあるタイプの航法信号と関連した第2の組の拡散コードから、そして前記コード毎に、直角位相の公称航法信号を逆拡散する動作、
・使用した拡散コードに関連した同報通信周波数帯域で公称航法信号を送信する動作、
を実施するのに好適な航法プロセッサを含むことを特徴とする。
【0016】
本発明の特定の態様によると、前記パイロット信号は最初に「巡回コードシフトキーイング(Cyclic Code Shift Keying)」型変調に従って復調され、パイロット信号の認証は前記変調に関連したコードを識別することにより行われる。
【0017】
本発明の別の課題は、第1の周波数帯域において少なくとも1つの航法陸上地球局により送信された航法信号を受信するのに好適な入力チャネルと、それぞれが前記第1の帯域および他の同報通信帯域と異なる周波数帯域において航法信号を同報通信するのに好適な複数の出力チャネルとを含むオーグメンテーション衛星のペイロードにおいて、前記受信信号毎に、次の動作:
・「巡回コードシフトキーイング」型変調に従って前記受信信号を復調する動作、
・前記変調に関連したコードを識別することにより前記受信信号を認証し、それから前記信号を送信する局を導出する動作、
・認証が否定であれば前記航法信号を遮断する動作、
・前記受信信号に影響を与える信号対雑音および干渉比を測定する動作、
・受信された航法信号から、最も高い信号対雑音および干渉比を示しその認証が肯定であるものを保持する動作であって、前記保持された信号は公称信号と呼ばれ、公称信号を送信する局は公称局と呼ばれ、他の送信局は冗長局と呼ばれる、動作、
・それぞれが同報通信周波数帯域の一周波数帯域上で送信されることを目的としたあるタイプの航法信号と関連した一組の拡散コードから、そして前記コード毎に、直角位相の公称航法信号を逆拡散する動作、
・使用した拡散コードに関連した同報通信周波数帯域で前記公称航法信号を送信する動作、
を実施するのに好適な航法プロセッサを含むことを特徴とする。
【0018】
本発明の特定の態様によると、前記公称信号上で測定した信号対雑音および干渉比が所定の閾値を下回った場合、保持される新しい公称信号は最も高い信号対雑音および干渉比を示すものである。
【0019】
変形実施形態では、本発明によるペイロードはまた、少なくとも1つのサービス信号を少なくとも1つの航法陸上地球局へ前記第1の周波数帯域で同報通信するのに好適な帰路チャネルを含み、前記サービス信号は少なくとも公称信号の信号対雑音および干渉比の少なくとも測定結果を含み、前記サービス信号は、前記冗長局の送信パワーのサーボ制御を公称局の送信パワーに対し実施するのに好適である。
【0020】
本発明の特定の態様によると、前記サービス信号はまた、衛星により受信されすべての送信局により送信される航法信号の信号対雑音および干渉比の測定結果を含む。
【0021】
本発明の特定の態様によると、前記サービス信号はまた、一方では公称信号の、そして冗長航法陸上地球局により送信された信号の衛星による受信間の時間オフセットの測定結果を含み、前記サービス信号は前記局間の時間同期を行うのに好適である。
【0022】
本発明の特定の態様によると、前記帰路チャネルはまた、前記第1の周波数帯域において公称航法信号を同報通信するのに好適である。
【0023】
本発明の特定の態様によると、前記第1の周波数帯域は帯域CまたはKuであり、前記同報通信周波数帯域は少なくとも帯域L1およびL5である。
【0024】
本発明の特定の態様によると、前記拡散コードはウォルシュコードである。
【0025】
本発明の別の課題は、第1の周波数帯域におけるアップリンク上で航法信号を受信するとともに複数の同報通信周波数帯域におけるダウンリンク上で前記信号を再放送するのに好適な本発明によるペイロードを含むオーグメンテーション衛星である。
【0026】
本発明の別の課題は、オーグメンテーションメッセージを受信するとともに前記メッセージを含む航法信号を生成するのに好適な航法陸上地球局であり、前記航法信号はその同報通信周波数帯域に関連した第1の拡散コードを使用してスペクトル拡散され、前記航法信号は同報通信周波数帯域と異なる第1の周波数帯域においてアップリンク上で送信される。
【0027】
本発明による航法陸上地球局の特定の態様によると、前記航法信号は、前記航法陸上地球局に関連した第2の拡散コードを使用してスペクトル拡散されるパイロット信号に対し直角位相で加えられる。
【0028】
本発明による航法陸上地球局の特定の態様によると、「巡回コードシフトキーイング」型変調は最初に前記航法信号または前記パイロット信号に適用される。
【0029】
本発明による航法陸上地球局の特定の態様によると、送信された航法信号の偏波は同報通信周波数帯域によって異なる。
【0030】
本発明の別の課題は、
・少なくとも1つの無線航法衛星により送信された無線航法信号を受信するとともに前記信号を測定するのに好適な少なくとも1つの監視局と、
・少なくとも1つの測定局により送信された前記測定結果を受信するとともに前記測定結果から少なくとも1つのオーグメンテーションメッセージを生成するのに好適な少なくとも1つの処理センターと、
・本発明による複数の航法陸上地球局と、
・本発明による少なくとも1つのオーグメンテーション衛星と、を含むオーグメンテーションシステムである。
【0031】
特定の実施形態では、本発明によるオーグメンテーションシステムはホット冗長性型の航法陸上地球局の切り替えを実施するのに好適である。
【0032】
特定の実施形態では、送信される航法信号の偏波は2つの冗長航法陸上地球局間で異なる。
【0033】
特定の実施形態では、前記オーグメンテーション衛星により送信されたサービス信号であって、少なくとも前記公称信号の信号対雑音および干渉比の少なくとも測定結果を含むサービス信号を受信すると、前記航法陸上地球局は公称局の送信パワーに対しその送信パワーのサーボ制御を実施する。
【0034】
特定の実施形態では、前記サービス信号を受信すると、前記航法陸上地球局はそれぞれの送信の時間同期を行う。
【0035】
本発明の他の特徴と利点は、以下の図を表す添付図面に照らした以下の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】従来技術によるSBASシステムのアーキテクチャのブロック図。
【図2】従来技術によるSBAS衛星のペイロードの機能ブロック図。
【図3】従来技術によるNLES局とSBAS衛星間のアップリンク信号の生成を示す線図。
【図4a】本発明による、NLES局による航法信号の生成を示す線図。
【図4b】図4aの変形実施形態。
【図5a】第1の実施形態における本発明によるSBAS衛星のペイロードの機能ブロック図。
【図5b】第2の実施形態における本発明によるSBAS衛星のペイロードの機能ブロック図。
【図6】ペイロードの第2の実施形態における本発明によるSBASシステムのアーキテクチャのブロック図。
【図7】本発明による航法プロセッサの機能ブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図1に、従来技術によるSBASシステムの全体のアーキテクチャをブロック図で概略的に表す。このようなシステムは、複数の無線航法衛星NAVにより送信される航法信号101の測定結果からオーグメンテーションデータを生成するのに好適である。無線航法衛星NAVに由来する測定結果とデータは複数の監視局RIMSにより収集され、次に所与の速度で複数の処理センターCPFへ送信される(102)。後者は、受信された測定結果から、無線航法信号に適用される差動補正の推定を行い、次にこれらの補正結果を含むオーグメンテーションメッセージを生成し航法陸上地球局NLESへ送信する(103)。NLES局はオーグメンテーションメッセージを受信し、それらをオーグメンテーション衛星SATへ送信し(104)、次にこれはユーザ(U)と地上局RIMS、NLESへ同報通信される(105)。オーグメンテーションメッセージはこの目的を達成するために、航法メッセージと同様なやり方で、GNSSシステムと互換の航法信号に組み入れられる。したがって、NLES局により生成され次に衛星SATにより同報通信される航法信号は航法メッセージと、それらの定位性能を改善するためにGNSS受信機により利用されることができるオーグメンテーションメッセージの両方を含む。オーグメンテーション衛星SATは、静止衛星、または高地球周回軌道HEO衛星、またはIGSO(傾斜地球同期軌道衛星軌道:Inclined Geosynchronous Satellite Orbit)タイプの傾斜地球静止軌道の衛星であってよい。NLES局は、ダウンリンク上でオーグメンテーション衛星SATにより同報通信されたメッセージにより、処理センターCPFにより送信され受信されたメッセージに対して完全性チェックを行う。オーグメンテーション衛星SATにより再送信された信号はまたRIMS局により受信される。処理センターCPFは、主NLES局が故障の場合、第2の冗長NLES局をアドレス指定することができるが、この冗長性はコールドタイプである、すなわち冗長NLES局は上記主局が送信中はオフである。NLES局とオーグメンテーション衛星SAT間のアップリンクチャネルは帯域Kuまたは帯域Cにおいて動作する。オーグメンテーション衛星SATとRIMS局またはユーザU間のダウンリンクチャネルは航法信号の送信用帯域Lにおいて動作する。
【0038】
さらに、欧州のEGNOSシステム等のいくつか既知のオーグメンテーションシステムは、オーグメンテーション衛星SATとNLES地上局間の帯域Kuまたは帯域C内に、衛星リンクの物理的パラメータの二周波数(bi−frequency)推定(KuまたはCおよびL)を可能にする帰路チャネルを実現する。この帰路チャネルは、長ループの利用による衛星の送信時刻のサーボ制御を実施するためだけに使用される。オーグメンテーション衛星SATにより航法信号の送信時刻を正確に同期させるために、NLES地上局はアップリンクチャネル上でそれらの信号の送信を進ませるかあるいは遅らせて上記衛星を固定クロックに同期させる。
【0039】
利用可能な帰路チャネルが無い場合、時間サーボ制御はまた、帯域Lにおいてユーザに送信される航法信号を介し、但し検査手順に固有でありしたがってユーザにより目に見えないPRNコードにより、実施されることができる。
【0040】
図1の線図はシステムが含むエンティティ毎の1ユニットだけを表すが、実際には、多くのオーグメンテーション衛星SAT、多くのRIMS監視局、多くの処理センターCPF、多くのNLES送信局を含む。通常は2つのNLES送信局(公称および冗長局)がオーグメンテーション衛星に使用される。
【0041】
NLES局に欠陥がある場合、切り替えが冗長NLES局に対し実行され、これによりアップリンクチャネル上で送信される信号が中断され、中断は数秒続く。使用可能信号の送信の再設定は数十秒の追加遅延となり、システムの完全な回復に約1分かかる。このサービス連続性の喪失は特に、航空アプリケーション等の高い可用性要求を有するアプリケーションに影響を与える。これは、単一オーグメンテーション衛星の見えるところのユーザにとってはサービスの完全損失を、他のユーザにとっては別の衛星へ切り替える必要性をもたらす。さらに、サービスが再開しても、送信されたメッセージの完全性を保証するために使用される完全性チェックループは、衛星により送信された新しい信号に地上局が再びロックしない限り直ちに動作しない。このとき、システムの完全性の監視はダウンリンク上では効果的でなく、このダウンリンクの虚偽表示は、それを検出することができるシステムが無ければ大きな地域に影響を与えることがある。
【0042】
図2に、従来技術によるSBASオーグメンテーション衛星のペイロードの主要機能をブロック図で概略的に表す。NLES局により送信された信号は帯域Cまたは帯域Kuにおいて信号を受信するのに好適な入力201上で受信され、低雑音増幅器202により増幅され、次に、GNSSシステムにより使用される帯域Lの副帯域の1つの副帯域内の周波数変換チャネルへ分配器203を介し導かれる。図2の線図では、2つの変換チャネルが表され、それぞれGNSSシステムのユーザへの再送信用の帯域L1または帯域L5に信号を変換できるようにしている。
【0043】
変換チャネルは、中間周波数に対する第1の周波数変換装置204,214、帯域L1またはL5内の周波数に対する第2の周波数変換装置205,215、基準局部発振器209、増幅器206,216、帯域通過フィルタ207,217、帯域L1またはL5内の信号の送信に好適な出力208,218を含む。
【0044】
このようなペイロードは、ユーザの帯域への周波数変換に必要とされる処理以外の受信信号に対する特定の処理を行わないので、トランスペアレントであると言われる。したがって衛星により受信された信号は、そのレベルで信号の完全性に関しチェック無しに常に地上へ再送信される。さらにこのようなペイロードはアナログ回路だけからなり、2つのユーザ周波数帯域への適応は周波数変換チャネルを繰り返すことを伴い、これが欠点となる。2つのチャネルは振幅、位相、遅延差においてペアとならなければならない。
【0045】
図3に、従来技術のNLES局と衛星SAT間のアップリンクチャネル上で送信される信号の生成を概略的に表す。送信される信号301,302は最初に、最終ユーザの周波数帯域に依存して周波数L1またはL5に変換される。2つの局部発振器IF1、IF2がこの目的のために使用される。得られた信号はFDMA型周波数計画に準拠し、次に第3の局部発振器IFの手段によって帯域CまたはKuに変換される。したがって航法信号の周波数帯域幅は送信されるオーグメンテーション信号の数に比例する。
【0046】
本発明の目的は特に、図1、図2、図3の助けにより説明された公知のシステムの欠点を克服することである。
【0047】
図4aは、NLES局によりオーグメンテーション衛星SATへ送信された信号の本発明による修正を線図で表す。説明を簡単にするために、前記信号が2つの別個の周波数帯域L1、L5上で送信されるオーグメンテーションメッセージを含む2つの航法信号のケースだけが示される。
【0048】
送信される各航法信号301,302は特定の拡散コードC1、C5、例えばウォルシュコードにより拡散され、その結果、各信号401,402は同じスペクトル帯域幅を占める。このコードの機能は、周波数帯域L1またはL5に関連した送信チャネルを明確に識別することである。次に、正当に拡散された信号401,402はCDMAアクセス方式に従って同じ中央周波数上で送信される。特に、使用される拡散コードは、多くのNLES局から生じるアップリンクチャネル上で信号の同時送信を可能にするように互いに直交している。このようにして得られた航法信号403には、パイロット信号が加えられ、90°だけ位相シフトされ、送信NLES局を識別して航法信号を認証する役目を果たす特定の拡散コードC0を介し拡散される。使用する認証方法は、受信信号の識別を保証できるようにする任意の既知の方法であってよい。特に引用することができる例は、RF信号の源および/またはその内容を認識する手段を提供する方法に関する仏国特許出願第2921528号明細書、米国特許出願公開第2009/0179743号明細書:表題「Pseudo−random authentication code altering scheme for a transponder and a base station」、または米国特許出願公開第2005/0041955号明細書:表題「Authentification of data in a digital transmission system」に記載された認証方法である。衛星リンクに好適な所謂「透かし」技術も使用することができる。得られた信号は最終的に、アップリンクチャネル上でオーグメンテーション衛星SATへ送信される帯域CまたはKuに局部発振器IFを介し変換される。
【0049】
図4aに示すように航法信号の生成を修正することにより、本発明は特には、異なるアップリンク周波数帯域L1、L5に関連した伝播チャネルにより誘起される差動誤差をなくすことができるようにする。パイロット信号の導入により、送信信号の衛星上の認証を実現することができるとともに信号対雑音比推定効率を増大することができる。さらに、これまでは帯域L1またはL5における送信を目的した信号が今や同一の周波数上でスペクトル的にコード化され送信されるので、2つのチャネル間の同期の問題もまた解消される。最後に、各送信NLES局に固有の拡散コードC0の使用により、後で説明されるようにホットタイプの局間の冗長性の実施が可能となる。
【0050】
図4bに示す本発明の変形実施態様では、CCSK(巡回コードシフトキーイング)型変調は、ウォルシュコードC1、C5を使用してスペクトル拡散する工程の前に帯域L1、L5の航法信号に前もって適用される。
【0051】
CCSK変調技術は、例えば非特許文献「Cyclic Code Shift Keying: A Low Probability of Intercept Communication Technique, IEEE Transactions on Aerospace and Electronic Systems,Vol.39,No3,July 2003」により当業者にとって周知である。この技術は、各信号を変調するための所定数の符号によりコードの順番をシフトすることにより各航法信号を変調するためにPN(擬雑音)型の単一Csk拡散コードを使用することからなる。
【0052】
この変形実施態様は、パイロット信号をなくすことができるとともに航法信号に適用されるCCSKコードを直接識別することによりNLES局の認証を実現できるようにする。単一CCSKコードは、信号を変調する前に所定数の符号によりコードの順番をシフトするたびにすべての送信NLES局に対し使用される。
【0053】
本発明の別の変形実施態様(図示せず)では、パイロット信号は、保持されることができるが、CCSK変調自己相関関数の良好な特性により異なるNLES局を検知ししたがって認証する際に効率を改善するためにCCSKコードにより過変調される。
【0054】
本発明の別の変形では、異なる偏波が帯域L1とL5における信号の送信に利用される。例えば、右偏波が信号の一方に、他方には左偏波が使用される。このようにして2つの信号間の相互相関は制限され、信号間の低い差動分散を保つ一方で性能をさらに改善できるようにする。
【0055】
本発明の別の変形では、同じ偏波が同一のNLES局の帯域L1とL5の信号の送信に利用され、異なる偏波が2つの異なる冗長NLES局に使用される。このシナリオはまた、所与のNLES局が帯域L1の信号だけを送信し別の冗長NLES局が第1の局により送信された帯域L1の信号と異なる偏波を有する帯域L5の信号だけを送信する場合を包含する。
【0056】
図5aに、本発明によるSBASオーグメンテーション衛星のペイロードの主要機能をブロック図で概略的に表す。図2に説明した従来技術によるペイロードと共通の要素は同じ参照子で番号が付けられている。
【0057】
チャネル毎の周波数変換装置204,205,214,215は削除され、単一の航法プロセッサ501により置換される。単一の航法プロセッサ501は1つまたは複数のNLES局により送信された航法信号を受信するとともに関連する拡散コードC1、C5により識別された周波数帯域L1、L5に従ってユーザへ同報通信するための増幅チャネルとフィルタリングチャネルの1つへ上記受信信号を送信する。
【0058】
図5bは、本発明によるペイロードの変形実施態様を概略的に表す。この変形では、地上の1つのNLES局または複数のNLES局に特定の帰路チャネルは増幅器502と帯域通過フィルタ504により実現される。第2の帯域通過フィルタ503は、NLES局により受信された信号をこの同じ局に再送信された信号から分離するために必要である。この帰路チャネルは、単にオーグメンテーション衛星に対するアップリンクチャネルのように帯域KuまたはCで動作する。
【0059】
上述のように、欧州のEGNOSシステムのようないくつかオーグメンテーションシステムは、オーグメンテーション衛星用の特定の帰路チャネルを既に実現しており、このチャネルは地上局にリンクされた時間基準による衛星の時間サーボ制御にもっぱら使用される。
【0060】
今説明中の本発明の変形実施態様では、オーグメンテーション衛星の帰路チャネルはまた、2つの送信局間のスイッチオーバー時のサービス連続性をさらに改善するためにNLES地上局へある情報を送信できるようにする。特に、アップリンクの信号対雑音プラス干渉比SNIRの測定は衛星上で実行され、測定結果はこの帰路チャネルを介しNLES局へ再送信される。公称局と冗長局間の相対的な同期もまた実現される。
【0061】
図6は、帰路チャネル611がオーグメンテーション衛星600と航法陸上地球局601,602間に実現された本発明の実施形態によるSBASシステムの全体動作を示す。衛星により送信された情報から、地球局601,602はそれらの間の同期リンク612を設定する。このリンク612は特に、局の相互時間同期を保証するために使用される。
【0062】
図7は本発明による航法プロセッサ501の機能ブロック図を表す。
【0063】
プロセッサ501の入力において受信されたアナログ信号はアナログ/デジタル変換部701を介しデジタル変換される。得られたデジタル信号は第1のパイロット信号処理モジュール702の入力として供給される。このモジュール702は、同期とメモリ内のNLES局毎に参照される拡散コード703からのパイロット信号の復調とを実施する。復調パイロット信号は、認証モジュール706を介し、選択された従来技術の認証方法に従って認証される。上記信号と、雑音と干渉の組み合わせと、の比SNIRは測定モジュール707を介し測定される。
【0064】
並行して、異なるNLES局により送信された航法信号に対応する直角位相の信号は、前記局の基準拡散コードC0に従って受信航法信号とNLES局の識別子とを関連付けるデマルチプレクサ704へ送信される。次に、送信NLES局の識別子に関連した航法信号は、特にはユーザに対する信号の再送信を認可する責任を負うモジュール705へ送信される。認証モジュール706により生成された認証結果に基づき、信号はこの結果が否定である場合には可能性として遮断されてもよい。
【0065】
パイロット信号が使用されない場合(図7に表されない場合)、送信NLES局の認証は航法信号に適用されたCCSKコード上で直接行われる。アップリンクの信号対雑音プラス干渉比SNIRの測定もまたパイロット信号上ではなく航法信号上で直接行なわれる。
【0066】
認証が肯定であれば、異なるNLES局に対して得られた信号対雑音および干渉比SNIR測定結果は比較され、最良リンク予算の恩恵を受ける局により送信された信号だけが地上へ再送信されるために保持される。冗長局により送信された信号(したがって実際に再送信された最適信号ではない)に対して最良SNIR比が得られた場合、本発明によるペイロードは、最も高いSNIR比を示す冗長局により送信されたものとして新しい最適な信号を選択することにより局スイッチオーバーを行なう。したがってスイッチオーバーはいかなるサービス中断も引き起こすことなく衛星上でトランスペアレントに実行される。2つの送信NLES局間のスイッチオーバーの判断は、公称信号上で測定されたSNIR比が所定の閾値より低くなると航法プロセッサ501によりなされる。
【0067】
帰路チャネルが利用可能な(図5bと図6に記載された本発明の実施形態の)場合、信号対雑音および干渉比SNIR測定結果は利用可能な帰路チャネルを介し地上のNLES局へ再送信される。この目的を達成するために、前記測定結果は、例えばBPSK変調を使用することにより変調された変調信号により、そして航法信号を送信するために使用されるものと異なる周波数上で、送信される。FDM型周波数計画が使用される。
【0068】
したがって本発明による帰路チャネルは、一方では、衛星により送信される信号を時間サーボ制御する目的のために公称および冗長航法信号の第1の周波数帯域上の送信を可能にし、他方では、識別された送信NLES局毎のSNIR比情報を伝達するサービス信号の第2の周波数帯域上の送信を可能にする。この目的のためにモジュール705は、モジュール707により推定されたSNIR比情報を伝達するサービス信号を生成する責任を負う。帰路チャネルは、少なくとも1つのオーバーサンプルモジュール708と1つのデジタル/アナログ変換器709の形式で実現される。
【0069】
さらに、スイッチオーバーが衛星上で実行される場合、公称NLES局の選択はまた、スイッチオーバーが発生したということを地上局に通知するためにこのサービス信号を介し再送信されることができる。
【0070】
オーグメンテーション衛星600により送信されたサービス信号をNLES局601,602が受信すると、NLES局601,602は、最適信号の利得または振幅にサーボ制御された信号を、すなわち公称NLES局により送信されたものを、各局が送信するように送信パワーを調整する。したがってオーグメンテーション衛星からアップリンクチャネル上で送信されるすべての信号は、公称局が失敗すると、衛星上の局間のトランスペアレントなスイッチオーバーをさらに容易にする等価パワーを示す。
【0071】
このパワーサーボ制御を実現するためには、公称信号のSNIR比の測定だけが必要である。本発明の変形実施態様では、すべてのSNIR比測定結果は、冗長NLES局がそれらのリンクの品質を推定できるようにするために衛星により送信される。
【0072】
本発明の別の変形実施態様では、SNIR比の測定に加えて、衛星のペイロードは、一方では公称NLES局に他方では冗長NLES局に由来したアップリンクチャネル上で受信された異なる信号間の時間オフセットの測定を行う。公称局からの信号は、先に説明したように送信されたパイロット信号の拡散コードにより、あるいは選択される本発明の変形に依存して航法信号自体のCCSKコードの識別子から直接、識別される。公称信号の受信時点と冗長NLES局により送信された信号のそれぞれの受信時点間の時間オフセットの測定が行なわれる。このオフセット測定結果もまた、衛星の帰路チャネルを介しサービス信号で送信される。この情報はNLES地上局により受信され、NLES地上局は次にアップリンクチャネル上で送信機の送信を同期させるためにそれぞれの送信機毎に地上リンク612を介し時間同期を行うことができる。
【0073】
この同期は、ペイロードにより行われる局スイッチオーバーの場合のサービス連続性をさらに改善する。
【0074】
本発明は、所謂ホット冗長性を実現するためにアップリンクチャネル上で様々なNLES局により送信されるすべての信号の時間とパワーを同期させることを目的とする。
【0075】
さらに、各局は、帰路チャネル上で送信された航法信号を受信すると、受信オーグメンテーションメッセージと以前に送信されたものとを比較することにより完全性チェックを行う。このチェックが否定であれば、局は送信を終了する。衛星はもはやこの局により送信されたいかなる航法信号も受信せず、最良リンク予算の恩恵を受ける冗長局に対しスイッチオーバーを行うことができる。
【0076】
NLES局により送信された様々な信号から最適な航法信号が認証され選択されると、この最適航法信号はその関連する拡散コード711および/またはその偏波成分に従って航法信号の復調を行う第2の信号処理モジュール710へ送信される。具体的には、信号逆拡散操作は公知の拡散コードに基づき実行される。帯域Lの周波数帯域に対応する各拡散コードはユーザへ航法信号を送信するために使用される。例えば帯域L1またはL5の周波数帯域が識別されると、航法信号は少なくとも1つのオーバーサンプルモジュール713と1つのデジタル/アナログ変換器714を含む周波数変換チャネルを介しシステムのユーザへ再送信される。パイロット信号が使用されない場合、送信NLES局の認証はCCSK復調と併せて実行される。
【0077】
さらに、信号処理モジュール710はまた、1つまたは複数の較正表712に基づき信号に対し振幅、位相および/または遅延補正を適用できるようにする。これらの較正表は、ペイロード上で実行され各帯域L送信チャネル間で差動である振幅、遅延、位相の不平衡の識別を可能にする温度関連測定に基づいて完成される。これらの表は衛星の試運転の前に実行される測定から生成される。このとき補正は温度測定装置によりどこかで測定された運転中の装置の温度に従って更新される。これらの補正は差動伝送路を正確な平衡状態にすることができる。
【0078】
異なる帯域Lの送信チャネルの差動補正を実現する別の方法は、送信された信号を保存し保存された送信信号と受信信号間のドリフトを測定することを間接的に可能にする送信モードにおいて1つまたは複数の冗長チャネルを使用することからなる。
【0079】
本発明の特定の用途は、帯域L1とL5の動作信号を同報通信する公称NLES局と、その機能性のいくつかを試験するあるいはシステムの認定を行うためにシステムを検証するために使用される試験信号を送信する冗長NLES局と、を使用することからなる。
【0080】
この場合、使用される異なる拡散コードC1、C5、C0は試験信号に固有である。
【0081】
使用される試験信号は、同一のアンテナ偏波を有するまたは航法信号に対し交差偏波を有する公称航法信号を送信するために使用される同じNLES局により送信されることができる。試験信号はまた、特に試験に専用化したNLES局により送信されることができる。
【0082】
本発明は特に、冗長NLES局間のスイッチオーバーの場合のサービス連続性を改善する一方で、オーグメンテーション衛星の主要な使命を保持する、すなわちユーザへオーグメンテーションメッセージを中継する、という利点がある。本発明はまた、送信される信号の認証を改善できるようにし、いかなる虚偽表示とも戦えるようにし、また異なる周波数帯域L1、L5が航法信号を送信するために使用される場合にシステムの性能を改善できるようにする。
【符号の説明】
【0083】
101 航法信号
102 送信
103 送信
104 送信
105 同報通信
201 入力
202 低雑音増幅器
203 分配器
204、214 第1の周波数変換装置
205、215 第2の周波数変換装置
206、216 増幅器
207、217 帯域通過フィルタ
208、218 出力
209 基準局部発振器
301、302 航法信号
401、402 拡散信号
403 航法信号
501 航法プロセッサ
502 増幅器
503、504 帯域通過フィルタ
600 オーグメンテーション衛星
601、602 地球局
611 帰路チャネル
612 同期リンク
701 アナログ/デジタル変換部
702 第1のパイロット信号処理モジュール
703 第1の組の拡散コード
704 デマルチプレクサ
705 モジュール
706 認証モジュール
707 測定モジュール
708、713 オーバーサンプルモジュール
709、714 デジタル/アナログ変換器
710 第1の信号処理モジュール
711 第2の組の拡散コード
712 校較表
C0、C1、C5、Csk 拡散コード
CPF 処理センター
L1、L5 周波数帯域
IF、IF1、IF2 局部発振器
NAV 無線航法衛星
NLES 航法陸上地球局
RIMS 測距および完全性監視局
SAT オーグメンテーション衛星
U ユーザ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の周波数帯域において少なくとも1つの航法陸上地球局(NLES)により送信された航法信号を受信するのに好適な入力チャネル(201、202、503)と、それぞれが前記第1の帯域および他の同報通信帯域と異なる周波数帯域において航法信号を同報通信するのに好適な複数の出力チャネル(206、207、208、216、217、218)とを含むオーグメンテーション衛星(600)のペイロードにおいて、
前記受信信号毎に、次の動作:
・それぞれが航法陸上地球局(NLES)に関連した第1の組の拡散コード(703)から、そして前記コード毎に、パイロット信号を抽出するために同相の前記受信信号を逆拡散する(702)動作、
・前記パイロット信号を認証し(706)、それから前記信号を送信する局(NLES)を導出する動作、
・前記認証(706)が否定であれば前記航法信号を遮断する動作、
・前記パイロット信号に影響を与える信号対雑音および干渉比(SNIR)を測定する(707)動作、
・前記受信された航法信号から、最も高い信号対雑音および干渉比を示しその認証が肯定であるものを保持する動作であって、前記保持された信号は公称信号と呼ばれ、前記公称信号を送信する前記局(NLES)は公称局と呼ばれ、その他の送信局(NLES)は冗長局と呼ばれる、動作、
・それぞれが同報通信周波数帯域のうちの1つの周波数帯域上で送信されることを目的としたあるタイプの航法信号と関連した第2の組の拡散コード(711)から、そして前記コード毎に、直角位相の前記公称航法信号を逆拡散する(710)動作、
・前記使用した拡散コードに関連した前記同報通信周波数帯域で前記公称航法信号を送信する(713、714)動作、
を実施するのに好適な航法プロセッサ(501)も含むことを特徴とするペイロード。
【請求項2】
前記パイロット信号は最初に「巡回コードシフトキーイング」型変調に従って復調され、前記パイロット信号の前記認証は前記変調に関連した前記コードを識別することにより行われる、請求項1に記載のオーグメンテーション衛星(600)のペイロード。
【請求項3】
第1の周波数帯域において少なくとも1つの航法陸上地球局(NLES)により送信された航法信号を受信するのに好適な入力チャネル(201、202、503)と、それぞれが前記第1の帯域および他の同報通信帯域と異なる周波数帯域において航法信号を同報通信するのに好適な複数の出力チャネル(206、207、208、216、217、218)とを含むオーグメンテーション衛星(600)のペイロードにおいて、
前記受信信号毎に、次の動作:
・「巡回コードシフトキーイング」型変調に従って前記受信信号を復調する動作、
・前記変調に関連したコードを識別することにより前記受信信号を認証し(706)、それから前記信号を送信する局(NLES)を導出する動作、
・前記認証(706)が否定であれば前記航法信号を遮断する動作、
・前記受信信号に影響を与える信号対雑音および干渉比(SNIR)を測定する(707)動作、
・前記受信された航法信号から、最も高い信号対雑音および干渉比を示しその認証が肯定であるものを保持する動作であって、前記保持された信号は公称信号と呼ばれ、前記公称信号を送信する前記局(NLES)は公称局と呼ばれ、その他の送信局(NLES)は冗長局と呼ばれる、動作と、
・それぞれが同報通信周波数帯域のうちの1つの周波数帯域上で送信されることを目的としたあるタイプの航法信号と関連した一組の拡散コード(711)から、そして前記コード毎に、直角位相の前記公称航法信号を逆拡散する(710)動作、
・前記使用した拡散コードに関連した前記同報通信周波数帯域で前記公称航法信号を送信する(713、714)動作、
を実施するのに好適な航法プロセッサ(501)も含むことを特徴とするペイロード。
【請求項4】
前記公称信号上で測定した信号対雑音および干渉比(SNIR)が所定の閾値を下回った場合、保持される新しい公称信号は最も高い信号対雑音および干渉比を示すものである、ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のオーグメンテーション衛星(600)のペイロード。
【請求項5】
少なくとも1つのサービス信号を少なくとも1つの航法陸上地球局(NLES)へ前記第1の周波数帯域で同報通信するのに好適な帰路チャネル(502、504)も含み、
前記サービス信号は少なくとも前記公称信号の信号対雑音および干渉比(SNIR)の少なくとも測定結果を含み、
前記サービス信号は、前記公称局(NLES)の送信パワーに対する前記冗長局(NLES)の送信パワーのサーボ制御の実施に好適である、ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のオーグメンテーション衛星(600)のペイロード。
【請求項6】
前記サービス信号はまた、前記衛星(600)により受信され、すべての前記送信局(NLES)により送信された前記航法信号の信号対雑音および干渉比(SNIR)の測定結果を含む、ことを特徴とする請求項5に記載のオーグメンテーション衛星(600)のペイロード。
【請求項7】
前記サービス信号はまた、一方では前記公称信号の、そして前記冗長航法陸上地球局(NLES)により送信された信号の前記衛星(600)による受信間の時間オフセットの測定結果を含み、前記サービス信号は前記局(NLES)間の時間同期を行うのに好適である、ことを特徴とする請求項5または6に記載のオーグメンテーション衛星(600)のペイロード。
【請求項8】
前記帰路チャネル(502、504)はまた、前記第1の周波数帯域において前記公称航法信号を同報通信するのに好適である、ことを特徴とする請求項5乃至7のいずれか一項に記載のオーグメンテーション衛星(600)のペイロード。
【請求項9】
前記第1の周波数帯域は帯域CまたはKuであり前記同報通信周波数帯域は少なくとも帯域L1およびL5である、ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載のオーグメンテーション衛星(600)のペイロード。
【請求項10】
前記拡散コードはウォルシュコードである、ことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載のオーグメンテーション衛星(600)のペイロード。
【請求項11】
第1の周波数帯域においてアップリンク上で航法信号を受信するとともに複数の同報通信周波数帯域においてダウンリンク上で前記信号を再放送するのに好適な請求項1乃至10のいずれか一項に記載のオーグメンテーション衛星(600)のペイロード。
【請求項12】
オーグメンテーションメッセージを受信するとともに前記メッセージを含む航法信号を生成するのに好適な航法陸上地球局(NLES)であって、
前記航法信号はその同報通信周波数帯域(L1、L5)に関連した第1の拡散コード(C1、C5)を使用してスペクトル拡散され、
前記航法信号は前記同報通信周波数帯域(L1、L5)と異なる第1の周波数帯域においてアップリンク上で送信される、航法陸上地球局(NLES)。
【請求項13】
前記の航法信号は、前記航法陸上地球局(NLES)に関連した第2の拡散コード(C0)を使用してスペクトル拡散されたパイロット信号に直角位相で加えられる、請求項12に記載の航法陸上地球局(NLES)。
【請求項14】
「巡回コードシフトキーイング」型変調は最初に前記航法信号または前記パイロット信号に適用される、請求項12または13に記載の航法陸上地球局(NLES)。
【請求項15】
前記送信された航法信号の偏波は前記同報通信周波数帯域(L1、L5)によって異なる、請求項12乃至14のいずれか一項に記載の航法陸上地球局(NLES)。
【請求項16】
・少なくとも1つの無線航法衛星(NAV)により送信された無線航法信号を受信するとともに前記信号を測定するのに好適な少なくとも1つの監視局(RIMS)と、
・少なくとも1つの測定局(RIMS)により送信された前記測定結果を受信するとともに前記測定結果から少なくとも1つのオーグメンテーションメッセージを生成するのに好適な少なくとも1つの処理センター(CPF)と、
・複数の請求項12乃至15のいずれか一項に記載の航法陸上地球局(NLES)と、
・請求項11に記載の少なくとも1のオーグメンテーション衛星(600)と、を含むオーグメンテーションシステム。
【請求項17】
ホット冗長性型航法陸上地球局(NLES)の切り替えを行うのに好適であることを特徴とする請求項16に記載のオーグメンテーションシステム。
【請求項18】
前記送信された航法信号の偏波は2つの冗長航法陸上地球局(NLES)間で異なる、請求項16または17に記載のオーグメンテーションシステム。
【請求項19】
前記オーグメンテーション衛星(600)により送信されたサービス信号であって、少なくとも前記公称信号の信号対雑音および干渉比(SNIR)の少なくとも測定結果を含むサービス信号を受信すると、前記航法陸上地球局(NLES)は前記公称局の送信パワーに対しその送信パワーのサーボ制御を行うことを特徴とする請求項16乃至18のいずれか一項に記載のオーグメンテーションシステム。
【請求項20】
前記サービス信号を受信すると、前記航法陸上地球局(NLES)はそれぞれの送信の時間同期を行うことを特徴とする請求項16乃至19のいずれか一項に記載のオーグメンテーションシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図5a】
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【図5b】
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【図6】
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【図7】
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