説明

オーディオ信号のバランス補正回路

【目的】 オーディオステレオ信号であるL,R信号のバランスを自動に補正することによって最適のオーディオを聴取しようとするオーディオ信号のバランス補正回路に関するものである。
【構成】 既存の手動調節による最適のステレオ信号を聴取することができなかった問題点を改善しようとオーディオLチャンネル及びRチャンネルの平均値を検出して自動比較し、これにより反比例する出力を補正印加することによって自動的にL,R信号のバランスが調整される。本発明はステレオの音声信号を受信する装置の左・右のバランス調整回路に適用される。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はオーディオ信号のバランス補正回路に関するもので、特にオーディオのステレオ信号であるL,R信号のバランスを自動に補正することによって最適のオーディオを聴取することができるオーディオ信号のバランス補正回路に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、ステレオ放送は多重通信方式を利用したものであるが、これは一つの電波にいろいろな信号を混合されないように載せて同時に送る方式である。前記方式の原理を見てみれば、立体音を示すために二つの低周波信号を混合して送ると二つの信号がすべて低周波として類似であるので、受信時にそれを分離することができない。
【0003】従って、左側の信号(L信号)を適当な高周波(FM放送の場合38kHz )に振幅変調し、右側の信号(R信号)の低周波と混合させて伝送するものである。従って、周波数が顕著に異なるので、受信側では左側の音と右側の音を完全に分離して出すことができる。
【0004】ここで、前記ステレオ信号のL,R信号は左・右レベルが同一であると最適のステレオ音質を聴取することができるが、これに対する従来の回路を図1に示す。
【0005】オーディオLチャンネル10を通じて出力されるL信号及びオーディオRチャンネル12を通じて出力されるR信号を入力して可変抵抗VR1によって前記L,R信号のバランスを調整するためのバランスコントロール部20の出力は増幅部30に入力されて所定のレベルに増幅された後にLスピーカー50及びRスピーカー52に出力される。
【0006】従って、従来では前記バランスコントロール部20の可変抵抗VR1によって前記L信号及びR信号の出力レベルを手動で調節したので、前記信号入力端の受信電界の強度やその他に回路的な影響によって左・右のバランスが合わないとそのとき毎に使用者は前記可変抵抗VR1を調節しなければならなかった。これは大変に煩雑であるし、最適のステレオ音質を受信することができない問題点がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的は上記のような問題点を勘案してオーディオのステレオ信号であるL,R信号の左・右のバランスを自動的に補正することによって最適のオーディオを聴取することができるオーディオ信号のバランス補正回路を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の目的を達成するために本発明は、オーディオLチャンネル10及びオーディオRチャンネル12を通じて各々出力されるL信号及びR信号を各々入力して前記L信号及びR信号の平均値を検出するための第1検出器14及び第2検出器16と、前記第1〜第2検出器14,16の検出された出力を入力し前記平均値を相互に比較して第1比較信号及び第2比較信号を出力する差動比較部30と、前記差動比較部30の第1比較信号及び第2比較信号を各々入力して一定レベル以下の信号を通過させるための第1LPF32及び第2LPF34と、前記オーディオLチャンネル及びオーディオRチャンネル10,12を通じて各々出力されるL信号及びR信号のDC成分を各々のキャパシターC1,C2として遮断した後に前記L信号及びR信号のバランスを手動に調整するためのバランスコントロール部20と、前記第1LPF30及び第2LPF34の出力を各々入力して第1補正信号及び第2補正信号を前記バランスコントロール部36の出力端A,Bに各々出力して自動に前記L,R信号のバランシングを補償するための第1〜第2ゲインコントロール部36,38と、前記出力端A,Bに各々連結されて補償された前記L,R信号を低周波増幅するための第1〜第2低周波増幅器40,42と、前記第1〜第2低周波増幅部40,42の増幅された出力を各々入力してステレオ音を出力するLスピーカー50及びRスピーカー52とから構成される。
【0009】
【実施例】以下、本発明を添付の図面を参照して詳細に説明する。
【0010】図2は本発明の回路図であって、オーディオLチャンネル10及びオーディオRチャンネル12を通じて各々出力されるL信号及びR信号を各々入力して前記L信号及びR信号の平均値を検出するための第1検出器14及び第2検出器16と、前記第1〜第2検出器14,16の検出された出力を入力し、前記平均値を相互に比較して第1比較信号及び第2比較信号を出力する差動比較部30と、前記差動比較部30の第1比較信号及び第2比較信号を各々入力して一定レベル以下の信号を通過させるための第1LPF32及び第2LPF34と、前記オーディオLチャンネル及びオーディオRチャンネル10,12を通じて各々出力されるL信号及びR信号のDC成分を各々のキャパシターC1,C2として遮断した後に前記L信号及びR信号のバランスを手動によって調整するためのバランスコントロール部20と、前記第1LPF32及び第2LPF34の出力を各々入力して第1補正信号及び第2補正信号を前記バランスコントロール部36の出力端A,Bに各々出力して自動に前記L,R信号のバランシングを補償するための第1〜第2ゲインコントロール部36,38と、前記出力端A,Bに各々連結されて補償された前記L,R信号を低周波増幅するための第1〜第2低周波増幅器40,42と、前記第1〜第2低周波増幅部40,42の増幅された出力を各々入力してステレオ音声を出力するLスピーカー50及びRスピーカー52とから構成される。
【0011】図3は前記図2中の差動比較部30の具体図であって、前記第1検出器14の出力をベースに入力してコレクタに第2比較信号を出力するための第1トランジスタTR1と、前記第2検出器16の出力をベースに入力してコレクタに第1比較信号を出力するための第2トランジスタTR2と、前記第1〜第2トランジスタTR1,TR2の各々のベースに陽極(+)が連結されたバイアス用電源P1,P2と、前記第1〜第2トランジスタTR1,TR2のコレクタに各々連結された電源電圧(B+ )の印加用抵抗R1,R2とから構成されている。
【0012】図4は前記図2中の第1〜第2ゲインコントロール部36,38の利得特性図であって、X軸を入力電圧として示し、Y幅を増幅利得として示した時負(−)の傾きを有するように設計されている。
【0013】以下、本発明を上述の構成に基づいて図2〜図4を参照して詳細に説明すると、まず、本発明はバランスコントロール部20の出力端A,BにL,R信号の左・右のバランスを自動的に補正することができるようにするために前記オーディオLチャンネル10及びオーディオRチャンネル12のL信号及びR信号の平均値を各々前記第1検出器14及び前記第2検出器16によって検出する。即ち、前記第1検出器14の検出された前記L信号のRMS(平方自乗平均)値であり、これはDCレベルになる。
【0014】前記第2検出器16の検出された出力は前記R信号のRMS値であり、これはDCレベルになる。従って、前記第1検出器14及び第2検出器16の出力は前記差動比較部30に入力される。
【0015】前記差動比較部36の詳細な説明のために前記図3を参照すると前記第1検出器14の出力は前記第1トランジスタTR1のベースに印加され、前記第2検出器16の出力は前記第2トランジスタTR2のベースに印加される。
【0016】ここで、例えば前記受信されるR信号の平均値が前記L信号の平均値よりDCレベルが高いとすると前記第1トランジスタTR1のコレクタの出力は高出力になる。また、前記と反対の場合には前記第2トランジスタTR2のコレクタの出力は高出力になる。
【0017】従って、前記差動比較部30の第1比較信号は前記第2トランジスタTR2のコレクタで出力発生され、第2比較信号は前記第1トランジスタTR1のコレクタで出力発生されて各々前記第1LPF32及び前記第2LPF34に入力して所定の遮断周波数以下の電力のみが通過される。
【0018】前記第1〜第2LPF32,34の出力は前記第1〜第2ゲインコントロール部36,38に各々入力されるが、ここで第1〜第2ゲインコントロール部36,38は前記図4のような特性をもつようにしなければならない。
【0019】即ち、前記4a点を基準としたときに入力電圧が小さいと増幅利得を高め、入力電圧が高いと増幅利得を低くする。ここで、4b方向は基準点4aに下降する方向であり、4c方向は前記基準点4aに上昇する方向である。
【0020】従って、前記第1ゲインコントロール部36及び前記第2ゲインコントロール部38の出力は前記L信号及びR信号が同じときには同一に出力されるが、前記L信号が高いときには前記第1ゲインコントロール部36の出力が相対的に低くなって前記L,R信号が自動的に補償される。
【0021】また、本発明ではバランスコントロール部20の可変抵抗VR1を使用者が手動にでも調整することができるようにしており、自動的に前記L,R信号がバランシングされるようになる。
【0022】従って、前記左・右のバランシングされた前記L,R信号は第1〜第2低周波増幅部40,42によって各々増幅されて前記Lスピーカー50及びRスピーカー52に出力される。
【0023】このとき、前記スピーカー50,52に出力されるL,Rの声信号は自動補正された音声信号であるので、最適の音質を聴取することができるようになる。
【0024】
【発明の効果】上述のように本発明はオーディオのステレオ信号であるL,R信号の左・右のバランスを自動に補正することによって最適のオーディオを聴取することができる長所がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の回路図である。
【図2】本発明の回路図である。
【図3】図2中の差動比較部の具体図である。
【図4】図2中の第1〜第2ゲインコントロール部の利得特性図である。
【符号の説明】
20 バランスコントロール部
30 差動比較部
36,38 第1〜第2ゲインコントロール部

【特許請求の範囲】
【請求項1】 オーディオのステレオ信号であるL、R信号のバランスを補正するためのオーディオ信号のバランス補正回路において、オーディオLチャンネル(10)及びオーディオRチャンネル(12)を通じて各々出力されるL信号及びR信号を各々入力して前記L信号及びR信号の平均値を検出するための第1検出器(14)及び第2検出器(16)と、前記第1〜第2検出器(14,16)の検出された出力を入力し前記平均値を相互に比較して第1比較信号及び第2比較信号を出力する差動比較部(30)と、前記差動比較部(30)の第1比較信号及び第2比較信号を各々入力して一定レベル以下の信号を通過させるための第1LPF(32)及び第2LPF(34)と、前記オーディオLチャンネル及びオーディオRチャンネル(10,12)を通じて各々出力されるL信号及びR信号のDC成分を各々のキャパシター(C1,C2)として遮断した後に前記L信号及びR信号のバランスを手動に調整するためのバランスコントロール部(20)と、前記第1LPF(30)及び第2LPF(34)の出力を各々入力して第1補正信号及び第2補正信号を前記バランスコントロール部(36)の出力端(A,B)に各々出力して自動に前記L,R信号のバランシングを補償するための第1〜第2ゲインコントロール部(36,38)と、前記出力端(A,B)に各々連結されて補償された前記L,R信号を低周波増幅するための第1〜第2低周波増幅器(40,42)と、前記第1〜第2低周波増幅器(40,42)の増幅された出力を各々入力してステレオ音を出力するLスピーカー(50)及びRスピーカー(52)とから構成されることを特徴とするオーディオ信号のバランス補正回路。
【請求項2】 前記第1〜第2ゲインコントロール部(36,38)が前記第1〜第2LPF(32,34)の入力電圧に反比例するように構成されることを特徴とする請求項1に記載のオーディオ信号のバランス補正回路。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図2】
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【公開番号】特開平6−334452
【公開日】平成6年(1994)12月2日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平3−332248
【出願日】平成3年(1991)12月16日
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)