説明

オーディオ機器の載置用家具

【課題】上面に載置された薄型テレビに接続される電気コードが外部に露出しないように処理できるオーディオ機器の載置用家具を提供することにある。
【解決手段】上面に天板1aが設けられ内部の前後方向の後方に収容部11が区画形成されていて、天板には収容部を開放する切り欠き部8が形成された中空箱型状の家具本体1と、家具本体の上面の少なくとも長手方向の両端に所定の高さで立設された支持板14と、支持板によって家具本体の天板の上方に所定の高さで水平に支持された上部載置板19と、家具本体の天板に前後方向に沿って所定の範囲で移動可能に設けられた下部載置板15とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はたとえば薄型テレビなどのオーディオ機器を載置するための載置用家具に関する。
【背景技術】
【0002】
最近ではオーディオ機器であるテレビが薄型化する傾向にあり、それに伴ってテレビを載置するための載置用家具の形状も変化してきている。すなわち、従来の載置用家具は上面にテレビを単に載置することができるだけのものであったが、最近ではテレビを載置するだけでなく、家具として外観を損なうことのないよう、上記テレビを載置することができるようにすることが要求されている。
【0003】
家具としての外観を損なうことがないようにするためには、たとえば薄型テレビに接続される電気コードができるだけ載置用家具の前面に露出しないようにする構成が望まれている。そのような載置用家具としては特許文献1に示される構成が知られている。
【0004】
特許文献1に示された載置用家具は、背板を家具後端よりやや前方に配置し、その家具を壁面に当接させて載置し、壁面に設けたコンセントを背板との間の隙間に収め、背板のコンセントに対向する箇所にコンセントよりも大きい開口を形成するようにしている。上記家具の天板には上記開口に近い部分に配線孔を設ける。
【0005】
それによって、天板に載置された薄型テレビに接続された電気コードを上記配線孔から上記背板に形成された開口を通すことで、この背板の背面側に位置するコンセントに接続することができる。
【特許文献1】特開2001―8754号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような構成によれば、上記コンセントに接続された電気コードは上記背板と上記壁面との間の空間部に収容され、載置用家具の前面にはほとんど露出することがないため、外観的には良好である。
【0007】
しかしながら、上記背板と壁面との間の空間部は側方が上記載置用家具の左右一対の側板によって閉塞され、上面が天板によって閉塞されている。そのため、コンセントに対して電気コードを接続したり、取り外す場合、載置用家具をその背面が壁面から離れる位置まで移動させなければならないから、載置用家具の上面に薄型テレビを設置する際の作業性が非常に悪いということがあった。
【0008】
とくに、載置用家具に載置される薄型テレビが大型化すると、それに伴って載置用家具も大型化するから、薄型テレビが載置された載置家具を移動させることが容易でないということがある。しかも、特許文献1の構成では壁面に設けたコンセントを載置用家具の背板との間に収めなければならないから、壁面のコンセントが設けられていない箇所には載置用家具を設置し難いということになる。
【0009】
この発明は、オーディオ機器に接続される電気コードが外部に露出することがほとんどなく、しかもオーディ機器に対する電気コードの接続や取り外しを容易に行なうことができるようにしたオーディオ機器の載置用家具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明は、オーディオ機器を載置することが可能な載置用家具であって、
上面に天板が設けられ内部の前後方向の後方に収容部が区画形成されていて、上記天板には上記収容部を開放する切り欠き部が形成された中空箱型状の家具本体と、
この家具本体の上面の少なくとも長手方向の両端に所定の高さで立設された支持板と、
この支持板によって上記家具本体の天板の上方に所定の高さで水平に支持された上部載置板と、
上記家具本体の天板に前後方向に沿って所定の範囲で移動可能に設けられた下部載置板と
を具備したことを特徴とするオーディオ機器の載置用家具にある。
【0011】
上記家具本体の背面には、上記収容部を含む上記家具本体の内部を長手方向全長にわたって開放する開口部が形成されていることが好ましい。
【0012】
上記家具本体は前面が開口し、内部は前後方向に沿って設けられた仕切り板によって複数の空間部に形成され、各空間部には引き出しが出し入れ可能に設けられているとともに、上記仕切り板の後部上端部はこの仕切り板の一部を除去して隣り合う空間部を連通させる連通部に形成されていることが好ましい。
【0013】
上記上部載置板の後端は上記家具本体の背面よりも所定寸法後方へ突出していることが好ましい。
【0014】
上記オーディオ機器は上記上部載置板に載置されていて、
上記上部載置板の前後方向後端部の長手方向中央部には、上記オーディオ機器に接続される電気コードを上記切り欠き部を通して上記収容部に収容するための挿通部が形成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
この発明によれば、上部載置板と下部載置板とにオーディオ機器を載置することができ、家具本体の後方に形成された収容部は天板に形成された切り欠き部によって上面が開放している。
【0016】
そのため、上部載置板と下部載置板とにオーディオ機器を載置した場合、オーディオ機器に接続された電気コードを、家具本体を移動させずに上記収容部に収容することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、この発明の一実施の形態を図面を参照しながら説明する。
図1は載置用家具を示す正面図であって、この載置用家具は家具本体1を有する。この家具本体1は平面形状が矩形状で、前面が開口した箱型状に形成されている。この家具本体1の内部空間は複数、この実施の形態では2枚の仕切り板2(図5に示す)によって3つの空間部3a〜3cに区画されている。各空間部3a〜3cにはそれぞれ引き出し4が出し入れ可能に収容されている。
【0018】
なお、各仕切り板2の両側面及び家具本体1の側板1cの内面には図4に示すようにそれぞれガイドレール5が前後方向に沿って設けられ、各引き出し4の両側外面には上記ガイドレール5に転動可能に係合するローラ6が設けられている。それによって、上記引き出し4は軽い力で出し入れ可能となっている。なお、側板1cの内面に設けられるガイドレール5は図示されていない。
【0019】
図2、図3及び図5に示すように、上記家具本体1の天板1aの長手方向中央部で、前後方向の後端部には切り欠き部8が後端面に開放して形成されている。3つの空間部3a〜3cのうち、中央に位置する空間部3bの後端部の一対の仕切り板2間には間仕切り板9が設けられている。この間仕切り板9は、一対の仕切り板2間の上記空間部3bの後端部側に収容部11を区画形成している。上記収容部11は上記天板1aに形成された切り欠き部8によって家具本体1の上面に開口している。
【0020】
上記仕切り板2の後端の上部は斜めに切り欠かれた連通部12となっていて、その連通部12によって上記仕切り板2によって隔別された3つの空間部3a〜3c、つまり左右一対の空間部3a、3cと、中央の空間部3bに区画形成された収容部11とを連通させている。
【0021】
図5に示すように、上記家具本体1の背面板1bは、高さ寸法が全長にわたって家具本体1よりも低く設定されている。それによって、家具本体1の背面の天板1aの後端の下方と背面板1bの上端との間には家具本体1の幅方向全長にわたる開口部13が形成されている。それによって、上記収容部11は上記開口部13によって家具本体1の背面に開口している。
【0022】
上記家具本体1の天板1aの上面には、長手方向の両端及び中途部の2箇所の合計4箇所に支持板14が立設されている。天板1aの長手方向両端に設けられた一対の支持板14は後端面を家具本体1の背面と面一にしている。4枚の支持板14の先端面は図3に示すように上方に行くにつれて後方へ傾斜した傾斜面14aに形成されている。
【0023】
4枚の支持板14によって区画された3つの部分のそれぞれの上記天板1aの上面には下部載置板15が前後方向に所定の範囲で移動可能に設けられている。すなわち、図4に示すように、上記下部載置板15の幅方向両端面には係合溝16が前後方向に沿って所定の長さで形成されていて、この係合溝16には上記支持板14の下端部の両側面にそれぞれ所定間隔で突設された一対のガイドピン17(各側面の1のガイドピン17で図示)が係合している。
【0024】
それによって、上記下部載置板15は、上記係合溝16の一端と他端とが一方のガイドピン17と他方のガイドピン17に当たる範囲で前後方向に沿って移動させることができるようになっている。上記下部載置板15の後方への移動範囲は、上記天板1aに形成された切り欠き部8を塞ぐことがないよう設定されている。
【0025】
なお、図示しないが、4枚の支持板14のうち、家具本体1の長手方向両端に立設された支持板14の下端部には内面となる一方の側面だけに一対のガイドピン17が設けられている。
【0026】
4枚の支持板14の上端には上部載置板19が水平に支持されている。この上部載置板19は図3に示すように前端が家具本体1の前面よりも内方に位置し、後端は同図にeで示すように上記家具本体1の背面よりも後方へ突出している。
【0027】
それによって、家具本体1の背面を図3に鎖線で示す壁面21に接近させて設置したとき、上記上部載置板19の後端面が壁面21に当たることで、家具本体1の背面と壁面21との間に隙間22が生じる。
【0028】
家具本体1の背面と壁面21との間に隙間22が生じれば、壁面21の下端に幅木23が設けられている場合であっても、上部載置板19の後端面を壁面21に接触させることで、家具本体1を壁面21に沿って安定した状態で設置することができる。
【0029】
図1に示すように、上記上部載置板19の上面にはオーディオ機器としての薄型テレビ25が載置され、上記下部載置板15にはオーディオ機器としてのビデオデッキ26が載置される。上記上部載置板19の前後方向後端部の長手方向中央部には後端面に開放した挿通部としての凹部27が形成されている。
【0030】
そして、図3に示すように上記薄型テレビ25に接続される各種の電気コードCは上記凹部27及び家具本体1の天板1aに形成された切り欠き部8を通されて家具本体1の内部に区画形成された上記収容部11に導入される。
上記下部載置板15に載置されるビデオデッキ26に接続される各種の電気コードCは上記天板1aの切り欠き部8を通されて上記収容部11に導入されている。
【0031】
上記収容部11には図示せぬ電源に接続されるテーブルタップの接続部28が収容されていて、この凹部27に上記薄型テレビ25やビデオデッキ26に給電するための電気コードCが接続される。
【0032】
上記テーブルタップの接続部28に接続された図示しない電気コードは上記収容部11から壁面21と家具本体1の背面との隙間22を通されて外部に導出され、図示せぬコンセントに接続される。薄型テレビ25に接続される図示しないアンテナ線は壁面21と家具本体1の背面との隙間22を通されて上記収容部11に収容され、ここから薄型テレビ25やビデオデッキ26に接続される。
【0033】
このように構成された家具本体1によれば、上記テーブルタップの接続部28やこの接続部28に接続された電気コード、或いは薄型テレビ25やビデオデッキ26に接続されるアンテナ線や電気コードCを上記収容部11に収容することができる。
【0034】
そのため、アンテナ線や電気コードCを家具本体1の外部に露出させることなく、下部載置板15に載置されたビデオデッキ26や上部載置板19に載置された薄型テレビ25に配線することができる。
【0035】
上記テーブルタップの接続部28、アンテナ線或いは電気コードCは上記収容部11に収容されている。家具本体1の天板1aには切り欠き部8が形成され、この切り欠き部8によって上記収容部11の上面は開放している。
【0036】
そのため、上記家具本体1を壁面21に接近させて設置した状態で、家具本体1の前方から上記切り欠き部8を介して上記収容部11に収容されたアンテナ線や電気コードCなどを取り扱うことができるから、ビデオデッキ26や薄型テレビ25に対するアンテナ線や電気コードCの接続や取り外しを容易に行なうことができる。
【0037】
上記収容部11は開口部13によって家具本体1の背面に開口している。上記開口部13は家具本体1の幅方向全長にわたって形成されている。そのため、家具本体1の外部から上記収容部11への電気コードCの収納や収容部11に収容された電気コードCの家具本体1の外部への引き出しなどを上記開口部13及び仕切り板2の後端に形成された連通部12を通じて比較的容易に、しかも家具本体1の空間部3a〜3cを利用して行うことができる。
【0038】
ビデオデッキ26が載置される下部載置板15を前後方向に所定の範囲で移動させることができるようにした。そのため、ビデオデッキ26に対する配線を行う際、上記下部載置板15を前方へスライドさせることで、その背面に対する配線を比較的容易に行うことができる。
【0039】
上記一実施の形態では上部載置板の幅方向中央部の後端に薄型テレビに接続される電気コードなどを通すための凹部を後端面に開放させて形成したが、凹部を形成せず、挿通孔を穿設し、その挿通孔に樹脂製のブッシュを設け、そのブッシュに電気コードなどを通すようにしてもよい。
【0040】
また、家具本体の天板に立設された支持板は、少なくとも天板の長手方向両端に設ければよく、また中途部に支持板を設ける場合、その支持板の枚数は2枚でなく、1枚或いは3枚以上であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】この発明の一実施の形態を示す載置用家具の正面図。
【図2】上記載置用家具の上部載置板を長手方向の中央部で切断した平面図。
【図3】上記載置用家具の拡大側面図。
【図4】家具本体の引き出し及び上下の載置板が設けられた部分の拡大断面図。
【図5】家具本体の収容部が形成された部分の斜視図。
【符号の説明】
【0042】
1…家具本体、2…仕切り板、3a〜3c…空間部、4…引き出し、8…切り欠き部、11…収容部、12…連通部、13…開口部、14…支持板、15…下部載置板、19…上部載置板、25…薄型テレビ(オーディオ機器)、26…ビデオデッキ(オーディオ機器)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オーディオ機器を載置することが可能な載置用家具であって、
上面に天板が設けられ内部の前後方向の後方に収容部が区画形成されていて、上記天板には上記収容部を開放する切り欠き部が形成された中空箱型状の家具本体と、
この家具本体の上面の少なくとも長手方向の両端に所定の高さで立設された支持板と、
この支持板によって上記家具本体の天板の上方に所定の高さで水平に支持された上部載置板と、
上記家具本体の天板に前後方向に沿って所定の範囲で移動可能に設けられた下部載置板と
を具備したことを特徴とするオーディオ機器の載置用家具。
【請求項2】
上記家具本体の背面には、上記収容部を含む上記家具本体の内部を長手方向全長にわたって開放する開口部が形成されていることを特徴とする請求項1記載のオーディオ機器の載置用家具。
【請求項3】
上記家具本体は前面が開口し、内部は前後方向に沿って設けられた仕切り板によって複数の空間部に形成され、各空間部には引き出しが出し入れ可能に設けられているとともに、上記仕切り板の後部上端部はこの仕切り板の一部を除去して隣り合う空間部を連通させる連通部に形成されていることを特徴とする請求項1記載のオーディオ機器の載置用家具。
【請求項4】
上記上部載置板の後端は上記家具本体の背面よりも所定寸法後方へ突出していることを特徴とする請求項1記載のオーディオ機器の載置用家具。
【請求項5】
上記オーディオ機器は上記上部載置板に載置されていて、
上記上部載置板の前後方向後端部の長手方向中央部には、上記オーディオ機器に接続される電気コードを上記切り欠き部を通して上記収容部に収容するための挿通部が形成されていることを特徴とする請求項1記載のオーディオ機器の載置用家具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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