説明

オートサンプラ及び試料注入方法

【課題】サンプリングニードルで試料容器を密閉するセプタムを貫通して試料を吸引するオートサンプラにおいて、コンタミネーション等の問題を防止しながらセプタムを貫通する際の試料容器内の気圧変化による不具合を防止する。
【解決手段】試料を分析装置に注入する際は、サンプリングニードル5を試料容器3上まで移動させた後((A)を参照。)、サンプリングニードル5を先端部がセプタム26を貫通するまで降下させる((B)を参照。)。一旦セプタム26を抜けるまでサンプリングニードル5を上昇させた後((C)を参照。)、サンプリングニードル5を再度下降させてセプタム26を貫通させて試料24内まで浸入させ、サンプリングニードル5の吸引口から試料24を吸引する((D)を参照。)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液体クロマトグラフなどの分析装置の分析流路中にサンプリングニードルから試料を注入するオートサンプラと、オートサンプラによる試料注入方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液体クロマトグラフのオートサンプラでは、サンプリングニードルを試料容器に向かって下降させることによって試料容器を密閉するセプタムをサンプリングニードルで貫通する。そして、試料容器内の試料の所定量をサンプリングニードルの先端から吸引して採取し、その試料を液体クロマトグラフの分析流路中に注入する(特許文献1参照。)。
【0003】
通常、試料容器は試料の揮発や異物混入を防止するために気密性の高いセプタム(蓋)で封止されている。セプタムはサンプリングニードルで貫通可能な材質で形成されている。試料吸引時には、サンプリングニードルでセプタムを貫通して先端部を試料容器内部まで挿入して試料を吸引する。
【0004】
サンプリングニードルによる従来の試料の吸引方法を、図7を用いて説明する。ラックに配置されている試料容器3の内部に収容されている試料24の蒸発及び外部からの異物の混入を防止するために、試料容器3の上面にはアルミシールなどからなるセプタム26が貼られている。試料容器3内の試料24を吸引するために、サンプリングニードル5が試料容器3上まで移動させられる(a)。その後、サンプリングニードル5を下降させてセプタム26を貫通させ(b)、さらにサンプリングニードル5を試料容器3内に進入させて試料24を吸引する(c及びd)。
【特許文献1】特開2003−215118号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図7中の(b)に示されているように、サンプリングニードル5がセプタム26を貫通する際、セプタム26がサンプリングニードル5の挿入方向(下方向)に大きく撓み、セプタム26をサンプリングニードル5が完全に貫通した瞬間に元の状態に戻る。このセプタム26の変形によって試料容器3内では気圧変化が起こり、サンプリングニードル5の試料吸引口に空気が入ることがある。サンプリングニードル5の試料吸引口に空気が入ると、その分だけ試料を吸引できる量が減少するため、試料を規定量より少ない量しか吸引することができず、測定値であるピーク面積値が小さくなるという問題があった。
【0006】
上記問題を解決するために、セプタムを貫通した状態でサンプリングニードルとセプタムとの間に空気が出入りできるよう、サンプリングニードルの外周面に溝を設けるなどの措置が採られていた。しかし、そのような溝の形成では研磨加工が困難であるために、溝部分はサンプリングニードル外周部よりも面粗さが粗くなっている。その結果、溝部分は液切れ性が悪く、そこに試料が付着すると試料が残りやすい。そのため、溝つきのサンプリングニードルは単純な円筒形状のサンプリングニードルに比べてキャリーオーバー性能が悪く、また溝部分に残った試料によってコンタミネーションが発生するという問題があった。
【0007】
そこで本発明は、サンプリングニードルで試料容器を密閉するセプタムを貫通して試料を吸引するオートサンプラにおいて、コンタミネーション等の問題を防止しながらセプタムを貫通する際の試料容器内の気圧変化による不具合を防止することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のオートサンプラは、試料容器のセプタムを貫通して試料容器内に挿入され、その試料容器内の試料を先端部から吸引するためのサンプリングニードルと、サンプリングニードルを駆動する駆動機構と、駆動機構の動作を制御する制御部とを備えている。そして、制御部は、図2に示されるように、セプタム貫通手段30、試料吸引手段32及び試料注入手段34を備え、セプタム貫通手段30、試料吸引手段32及び試料注入手段34をその順に動作させる。
【0009】
セプタム貫通手段30は、サンプリングニードルの先端部がセプタムを貫通するまでサンプリングニードルを下降させた後、サンプリングニードルによる吸引動作を行なうことなくサンプリングニードルの先端部がセプタムから抜ける位置までサンプリングニードルを上昇させることを行なうものである。セプタム貫通手段30による動作は続けて複数回繰り返してもよい。
【0010】
試料吸引手段32は、サンプリングニードルの先端部がセプタムを貫通して試料容器内の試料内に到達するまでサンプリングニードルを下降させて試料を吸引するものである。
【0011】
試料注入手段34は、サンプリングニードルの先端部をセプタムから抜いて分析装置の注入ポートへ移動させて分析流路へ試料を注入するものである。
【0012】
セプタム貫通手段30はサンプリングニードルをその先端部が試料容器内の試料に触れない深さまでしか下降させないものであることが好ましい。試料吸引前にサンプリングニードルの試料吸引口に試料が付着すると、試料吸引時にその付着していた分だけ多く試料が吸引されることになり、分析の測定値に影響が出る。そこで、試料吸引前にサンプリングニードルの吸引口に試料が付着しないようにすることで、試料吸引時に正確な量の試料吸引を行なうことができる。
【0013】
試料吸引手段32は、セプタム貫通手段30がサンプリングニードルを下降させるときのサンプリングニードルの水平面内での位置からずれた位置にサンプリングニードルを配置してサンプリングニードルを下降させるものであることが好ましい。そうすれば、試料吸引手段32によりサンプリングニードルが下降してセプタムを貫通する際に、セプタム貫通手段30によりサンプリングニードルの下降動作でセプタムにできた貫通孔からずれた位置を貫通することになり、セプタム貫通手段30によるサンプリングニードルの下降動作でセプタムにできた貫通孔から空気を出入させることができるので、試料吸引前の試料容器内における圧力変化をより確実に防止することができる。
【0014】
本発明では試料容器内の圧力変化を防止することができるので、サンプリングニードルとして外周面に空気を出入りさせるための溝などの加工の施されていない円筒形状の外形をもつものを使用することもできる。外形が円筒形状のサンプリングニードルは研磨加工が容易であるので、溝つきのサンプリングニードルに比べてキャリーオーバーやコンタミネーションに対する性能がよい。
【0015】
さらに、制御部は、セプタム貫通手段30、試料吸引手段32及び試料注入手段34をその順に動作させる第1の動作モードと、セプタム貫通手段30を動作させることなく、試料吸引手段32及び試料注入手段34をその順に動作させる第2の動作モードを備え、いずれかの動作モードを選択できるようになっていてもよい。
【0016】
試料容器を密閉するセプタムには、使い捨て(ディスポーサブル)のものと再利用できるものとがある。使い捨てのセプタムは、アルミニウム、ポリエチレン又はポリプロピレンなどの材質で構成され、一度サンプリングニードルで貫通するとサンプリングニードルを抜いた後も貫通孔ができたままとなる。再利用できるセプタムは、シリコーンゴムなどの弾性を有する材質からなり、サンプリングニードルによる貫通孔がサンプリングニードルを抜いた後にその弾性力によって再度閉じられて再利用できる。試料容器を密閉しているセプタムとして使い捨てのものが用いられている場合は、セプタム貫通手段30による動作を経ることによって試料容器内部の圧力変化による影響をなくすことができる。しかし再利用できるものが用いられている場合は、セプタム貫通手段30による動作を行なってもサンプリングニードルを引き抜くとセプタムの貫通孔が閉じられてしまうため、試料吸引手段32による動作においてサンプリングニードルの先端部がセプタムを貫通する際に試料容器内で再度、圧力変化が生じてしまい、セプタム貫通手段30を動作させる効果がない。したがって、セプタムが再利用可能なものである場合は、セプタム貫通手段30を動作させることなく試料吸引手段32及び試料注入手段34をその順に動作させる第2の動作モードを行う方が効率がよい。そこで、本発明のオートサンプラの好ましい形態においては、第1の動作モードと第2の動作モードを選択できるようにした。
【0017】
本発明の試料注入方法は、試料容器セプタムを貫通して試料容器内に挿入され、その試料容器内の試料を先端部から吸引して分析装置に注入するサンプリングニードルを備えたオートサンプラを用い、以下の工程S1からS3をその順に実行させる。
(S1)サンプリングニードルの先端部がセプタムを貫通するまでサンプリングニードルを下降させた後、サンプリングニードルによる吸引動作を行なうことなくサンプリングニードルの先端部がセプタムから抜ける位置までサンプリングニードルを上昇させるセプタム貫通工程。
(S2)サンプリングニードルの先端部がセプタムを貫通して試料容器内の試料内に到達するまでサンプリングニードルを下降させて試料を吸引する試料吸引工程。
(S3)サンプリングニードルの先端部をセプタムから抜いて分析装置の注入ポートへ移動させて分析流路へ試料注入する試料注入工程。
【0018】
工程S1はセプタム貫通工程を続けて複数回繰り返してもよい。
【0019】
工程S1の下降動作では、サンプリングニードルの先端部が試料容器内の試料に触れない深さまでしか下降させないことが好ましい。
【0020】
工程S2の下降工程でのサンプリングニードルの水平面内での位置を、工程S1の下降工程での水平面内での位置からずらすようにしてもよい。
【0021】
工程S1からS3をその順に実行させる第1の動作モードと、工程S1を経ることなく工程S2とS3をその順に実行させる第2の動作モードを備え、いずれかの動作モードを選択して動作させるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明のオートサンプラ及び試料注入方法では、サンプリングニードルを下降させて試料容器を密閉しているセプタムを貫通して穴をあけた後、試料を吸引することなく一旦サンプリングニードルをセプタムから抜き、その後、再度サンプリングニードルを下降させてセプタムを貫通して試料容器内の試料を吸引する。サンプリングニードルが一度セプタムを貫通するとセプタムに穴が残るセプタムでは、試料を吸引するためにサンプリングニードルがセプタムを貫通する際に起こる試料容器内部の気圧変化によってサンプリングニードルの吸引口に空気が入った状態で試料の吸引を行う欠点がなくなり、サンプリングニードルによる試料吸引時の定量性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
図1は液体クロマトグラフ用オートサンプラの一実施例を概略的に示す流路構成図である。
【0024】
回転式の6ポート2ポジション流路切替えバルブ1は、等間隔に配置された6つのポートをもち、ロータの回転によって隣り合う2つのポートを連通するためのパスの位置を移動させることにより接続する流路を切り替える。
【0025】
分析対象である試料(液体)はラック4上に配置された試料容器3内に収容されている。サンプリングニードル5はループ状の可撓性導管(以下、ループと記す)6と流路切替えバルブ1を介してポンプ2に接続され、このポンプ2により吸引力が付与される。サンプリングニードル5は駆動部20によって移動させられる。制御部22は駆動部20を介してニードル5の移動を制御し、ポンプ16を介してニードル5による試料の吸引及び吐出を制御する。
【0026】
ニードル5は、図中に破線で示す位置(サンプリングポジション)で試料を吸引した後、実線で示す位置(インジェクションポジション)に移動してインジェクションポート9に挿入される。インジェクションポート9へのニードル5の挿入後のニードル5とインジェクションポート9との間は液密性が保たれる。インジェクションポート9は流路切替えバルブ1に直接取りつけられて連結されている。
【0027】
液体クロマトグラフの移動相は送液ポンプ16から移動相送液流路7を経て流路切替えバルブ1を通過し、さらにカラム上流側の流路8を経てカラム18へと流れる。洗浄機構10は別のバルブ(低圧バルブ)11及び洗浄ポート12などを含む。洗浄機構10は次回の試料の分析に先立ってニードル5を含む試料採取に係わる機構を洗浄して前回の試料による汚染を防止するためのものである。
【0028】
制御部22は図2に示されるように、セプタム貫通手段30、試料吸引手段32及び試料注入手段34を備えている。制御部22はこれらの手段を動作させる動作モードとして、セプタム貫通手段30、試料吸引手段32及び試料注入手段34をその順に動作させる第1の動作モードのみを備えたものとすることができる。制御部22はまた、第1の動作モードのほかに、セプタム貫通手段30を動作させることなく、試料吸引手段32及び試料注入手段34をその順に動作させる第2の動作モードも備えて、いずれかの動作モードを選択できるようになっているものとすることもできる。
【0029】
制御部22はオートサンプラの専用コンピュータにより、又はそのオートサンプラが利用される液体クロマトグラフなどの分析装置の専用コンピュータにより、さらにはまた、汎用のパーソナルコンピュータにより実現することができる。
【0030】
次に、この実施例のオートサンプラの動作を説明する。このオートサンプラは、図6に示されているように、試料を吸引して分析装置に注入する動作として2つの動作モードをもち、それらの動作モードから1つの動作モードを選択して実行することができるようになっている。すなわち、このオートサンプラは分析者が分析開始時にいずれかの動作モードを選択すると、オートサンプラが自動的にその動作モードの動作で分析装置の注入ポートに試料を注入する。動作モード1は試料容器3がアルミシールなどの使い捨てのセプタムで密閉されている場合に選択し、動作モード2はセプタムがシリコーンなど弾性を有する材質で構成されて再利用可能な場合に選択することが好ましい。
【0031】
まず、動作モード1について図3の工程断面図及び図4のフローチャートを参照しながら説明する。
【0032】
試料容器3の上面には、例えばアルミシールなどからなるセプタム26が貼られており、内部に収容されている試料24の蒸発や外部からの異物の混入が防止されている。
【0033】
ニードル5の移動は、制御部22により駆動部20を介して駆動される。ニードル5による試料の吸入と吐出の動作は制御部22によりポンプ2を介して制御される。
【0034】
(A)ニードル5を試料容器3上まで移動させる。
【0035】
(B)ニードル5をその先端部がセプタム26を貫通するまで下降させる。ニードル5がセプタム26を貫通する際、セプタム26がニードル5の挿入方向に大きく撓んだ後に元の状態に戻るため、試料容器3内では急激な気圧変化が起こる。なお、この下降動作では、ニードル5の先端が試料24に接触しない深さまでしか下降させないように制御されていることが好ましい。そうすることで、試料を吸引しないこの下降動作においてニードル5に試料が付着することを防止できる。
【0036】
(C)ニードル5をセプタム26から抜けるまで上昇させる。この動作により、試料容器3内の気圧は常圧になる。また、ニードル5がセプタム26を貫通したときにニードル5の吸引口に入った空気はニードル5から抜ける。
【0037】
(D)再度、ニードル5を下降させてセプタム26を貫通させ、さらにニードル5の先端部を試料24に侵入させて試料24を吸引する。この下降動作では、ニードル5を前の下降動作時の水平面内での位置からずれた位置に移動させてから下降させるようになっていてもよい。そうすることで、前の下降動作でセプタム26にできた貫通孔を通気口として利用することができるため、試料容器3内部の気圧変化をさらに確実に防止することができる。
【0038】
ニードル5の先端から吸引された試料はループ6に一時的に貯留し、ニードル5をセプタム26から抜けるまで上昇させてからインジェクションポート9まで移動させ、ループ6に貯留した試料を注入する。
【0039】
次に、動作モード2について説明する。動作モード2はニードル5の1回の下降動作で試料を吸引し、分析装置の注入ポートに注入する動作モードである。すなわち、図5に示されているように、ニードル5を試料容器3の上方から下降させてセプタムを貫通させ、そのまま試料内に到達するまで侵入させて試料を吸引する。吸引した試料をループ6に貯留した状態でニードル5をセプタムから抜けるまで上昇させた後、分析装置の注入ポートまで移動させて貯留した試料を注入ポートから注入する。
【0040】
このオートサンプラは、動作モード1と動作モード2を備えてそのうちのいずれかを選択的に実行させることができるようになっているが、動作モード1と動作モード2を備えて動作モード1のみを実行するよう構成されていてもよく、さらには動作モード1のみを備えるように構成されていてもよい。
【0041】
以上のように、試料容器3を密閉しているセプタム26をニードル5で貫通した後、一旦、ニードル5を試料容器3外に引き抜いてセプタム26を貫通したときに起こる試料容器3内の気圧変化による影響をなくし、再度、ニードル5を試料容器3内に進入させて試料24を吸引するようにしているので、試料容器3内の気圧変化によって起こる試料吸引ミスを防止でき、試料の吸引における定量性を向上させることができる。これにより、液体クロマトグラフによる連続分析においても安定したピーク面積値を得ることができ、またキャリーオーバーを小さく抑えることができる。
【0042】
なお、本発明のオートサンプラは、液体クロマトグラフに限らず、試料容器に封入された試料を所定の位置に注入して分析する分析装置に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】液体クロマトグラフ用のオートサンプラの一実施例を概略的に示す流路構成図である。
【図2】本発明における制御部を概略的に示すブロック図である。
【図3】同実施例のオートサンプラの試料吸引動作の一例を順に示す工程断面図である。
【図4】同実施例のオートサンプラの試料吸引動作における一方の動作モードを示すフローチャートである。
【図5】オートサンプラの試料吸引動作における他方の動作モードを示すフローチャートである。
【図6】同実施例のオートサンプラの試料吸引動作の全体的な流れを示すフローチャートである。
【図7】従来のオートサンプラの試料吸引動作を順に示す工程断面図である。
【符号の説明】
【0044】
1 流路切替えバルブ
2,12,16 ポンプ
3 試料容器
4 ラック
5 サンプリングニードル
6 ループ
7 移動相送液流路
8 カラム上流側流路
10 洗浄機構
11 低圧バルブ
18 カラム
20 駆動部
22 制御部
24 試料
26 セプタム
30 セプタム貫通手段
32 試料吸引手段
34 試料注入手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料容器のセプタムを貫通して試料容器内に挿入され、その試料容器内の試料を先端部から吸引するためのサンプリングニードルと、前記サンプリングニードルを駆動する駆動機構と、前記駆動機構の動作を制御する制御部とを備えたオートサンプラにおいて、
前記制御部は
前記サンプリングニードルの先端部が前記セプタムを貫通するまでサンプリングニードルを下降させた後、サンプリングニードルによる吸引動作を行なうことなくサンプリングニードルの先端部がセプタムから抜ける位置までサンプリングニードルを上昇させることを少なくとも1回行なうセプタム貫通手段、
サンプリングニードルの先端部がセプタムを貫通して試料容器内の試料内に到達するまでサンプリングニードルを下降させて試料を吸引する試料吸引手段、及び
前記サンプリングニードルの先端部をセプタムから抜いて分析装置の注入ポートへ移動させて分析流路へ試料注入する試料注入手段を備え、
前記セプタム貫通手段、試料吸引手段及び試料注入手段をその順に動作させるものであることを特徴とするオートサンプラ。
【請求項2】
前記セプタム貫通手段は、サンプリングニードルをその先端部が前記試料容器内の試料に触れない深さまでしか下降させないものである請求項1に記載のオートサンプラ。
【請求項3】
前記試料吸引手段は、前記セプタム貫通手段がサンプリングニードルを下降させるときのサンプリングニードルの水平面内での位置からずれた位置にサンプリングニードルを配置してサンプリングニードルを下降させるものである請求項1又は2に記載のオートサンプラ。
【請求項4】
前記サンプリングニードルは外形が円筒形状である請求項1から3のいずれか一項に記載のオートサンプラ。
【請求項5】
前記制御部は、前記セプタム貫通手段、試料吸引手段及び試料注入手段をその順に動作させる第1の動作モードと、前記セプタム貫通手段を動作させることなく、試料吸引手段及び試料注入手段をその順に動作させる第2の動作モードを備え、いずれかの動作モードを選択できるようになっている請求項1から4のいずれか一項に記載のオートサンプラ。
【請求項6】
試料容器のセプタムを貫通して試料容器内に挿入され、その試料容器内の試料を先端部から吸引して分析装置に注入するサンプリングニードルを備えたオートサンプラを用い、以下の工程S1からS3をその順に実行させる試料注入方法。
(S1)サンプリングニードルの先端部がセプタムを貫通するまでサンプリングニードルを下降させた後、サンプリングニードルによる吸引動作を行なうことなくサンプリングニードルの先端部がセプタムから抜ける位置までサンプリングニードルを上昇させるセプタム貫通工程。
(S2)サンプリングニードルの先端部がセプタムを貫通して試料容器内の試料内に到達するまでサンプリングニードルを下降させて試料を吸引する試料吸引工程。
(S3)サンプリングニードルの先端部をセプタムから抜いて分析装置の注入ポートへ移動させて分析流路へ試料注入する試料注入工程。
【請求項7】
工程S1はセプタム貫通工程を続けて複数回繰り返す請求項6に記載の試料注入方法。
【請求項8】
工程S1のサンプリングニードルの下降動作では、サンプリングニードルの先端部が前記試料容器内の試料に触れない深さまでしか下降させない請求項6又は7に記載の試料注入方法。
【請求項9】
工程S2の下降工程でのサンプリングニードルの水平面内での位置を、工程S1の下降工程でのサンプリングニードルの水平面内での位置からずらす請求項6から8のいずれか一項に記載の試料注入方法。
【請求項10】
工程S1からS3をその順に実行させる第1の動作モードと、工程S1を経ることなく工程S2とS3をその順に実行させる第2の動作モードを備え、いずれかの動作モードを選択して動作させるようにした請求項6から9のいずれか一項に記載の試料注入方法。。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−122091(P2009−122091A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−263857(P2008−263857)
【出願日】平成20年10月10日(2008.10.10)
【出願人】(000001993)株式会社島津製作所 (3,708)
【Fターム(参考)】