説明

オートファジー促進遺伝子産物の変調によりオートファジーを変調する方法

本発明は、オートファジーの変調、並びに癌、神経変性疾患および膵炎を含むオートファジー関連疾患の治療のための方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本出願は、ここにその全てを引用する、2009年9月30日に出願された米国仮特許出願第61/247251号、および2009年9月30日に出願された米国仮特許出願第61/247309号への優先権の恩恵を主張するものである。
【政府の支援】
【0002】
本発明は、アメリカ国立衛生研究所により付与された助成第AG012859号および第AG027916号の下で政府の支援により行われた。政府は本発明に一定の権利を有する。
【技術分野】
【0003】
本発明は、オートファジー阻害遺伝子産物の変調によりオートファジーを変調する方法に関する。
【背景技術】
【0004】
オートファジーは、リソソーム依存様式で細胞内成分の代謝回転を媒介する異化プロセスである(非特許文献1)。オートファジーは隔離膜の形成によって開始される。この膜は、細胞質の一部分を飲み込むように拡大して、オートファゴソームと呼ばれる二重膜小胞を形成する。次いで、オートファゴソームはリソソームと融合してオートリソソームを形成する。ここで、捕捉された物質および内側の膜はリソソーム加水分解酵素により分解される。したがって、オートファジーは、大きいタンパク質複合体および欠陥細胞小器官のクリアランスにとって重大であり、細胞増殖、生存およびホメオスタシスにおいて重要な役割を果たす。
【0005】
オートファジーは、単細胞真核生物において主に研究されており、ここで、飢餓状態での生存にとって重大であることが知られている。単細胞真核生物が栄養飢餓条件下で培養される場合、アミノ酸、脂肪酸およびヌクレオチドなどのオートファジー分解の産生物が、構造成分として、かつエネルギー源として細胞により使用され得る(非特許文献1;非特許文献2)。
【0006】
哺乳類などの複雑な多細胞真核生物における細胞は、正常な生理条件下では栄養飢餓をめったに経験しない。しかしながら、そのような細胞が栄養飢餓または細胞ストレスを経験すると、オートファジーがしばしばアップレギュレーションされ、これにより細胞の生存が向上する。それらの急激な増殖および遺伝的不安定性のために、癌細胞は、形質転換されていない細胞よりも、生存と増殖に関してオートファジーに一層依存する(非特許文献3)。さらに、オートファジーは、化学療法薬により生じる細胞ストレスに応答する癌細胞における生存機構としてしばしば活性化される。したがって、オートファジー阻害剤が、単独または他の癌治療との組合せのいずれかで、抗癌治療剤として働き得る(非特許文献4;非特許文献5)。
【0007】
細胞ストレスに応答する役割に加え、オートファジーは、機能不全の、加齢のまたは損傷したタンパク質および細胞小器官の代謝回転による細胞ホメオスタシスを維持するための重要な細胞内機構である(非特許文献2)。その結果、低減したレベルのオートファジーは、ミスフォールドタンパク質の蓄積を増加させることによって、神経変性に寄与する(非特許文献6;非特許文献7)。オートファジーのアップレギュレーションが、凝集タンパク質のレベルおよび神経変性疾患の症状の両方を減少させることが示されてきた(非特許文献8)。したがって、細胞オートファジーを促進させる作用物質(agent)が、神経変性疾患の予防または治療のための治療剤として働き得る。
【0008】
癌および神経変性に加え、オートファジーの変調が、幅広い様々な追加の疾患および障害における治療戦略である。例えば、いくつかの肝疾患、心臓病および筋疾患が、ミスフォールドタンパク質凝集塊の蓄積に関連付けられている。そのような疾患において、細胞オートファジーを増加させる作用物質は、疾患発症凝集塊のクリアランスを向上させ、それによって、治療に寄与し、疾患の重症度が減少するであろう(非特許文献2)。その上、上昇したレベルのオートファジーも膵臓病において観察され、急性膵炎の経過の初期事象であることが示されてきた(非特許文献9)。したがって、オートファジーの阻害剤が、膵炎の治療における治療剤として機能するであろう。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Levine and Klionsky, (2004) Dev Cell 6, 463-377
【非特許文献2】Levine and Kroemer, (2008), Cell 132, 27-42
【非特許文献3】Ding et al., (2009), Mol. Cancer Ther., 8(7), 2036-2045
【非特許文献4】Maiuri et al., (2007) Nat. Rev. Cell Biol. 8, 741-752
【非特許文献5】Amaravadi et al., (2007) J. Clin. Invest. 117, 326-336
【非特許文献6】Hara et al., (2006), Nature, 441, 885-889
【非特許文献7】Komatsu et al., (2006), Nature, 441, 880-884
【非特許文献8】Rubinsztein et al., (2007), Nat. Rev. Drug Discov. 6, 304-312
【非特許文献9】Fortunato and Kroemer, (2009), Autophagy, 5(6)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、オートファジーの変調が幅広い疾患と障害の治療のための有用な手法であることを示す十分な証拠がある。しかしながら、哺乳類のオートファジーの調節を担う遺伝子および経路は不十分にしか理解されていないので、そのような疾患を治療するための新規の治療剤および方法の開発のための標的になり得る有効なオートファジー調節因子は数少ない。したがって、オートファジーの変調およびオートファジー関連疾患の治療のための新規の方法が非常に望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、オートファジーの変調、並びに癌、神経変性疾患、肝疾患、筋疾患および膵炎を含む、オートファジー関連疾患の治療のための新規の方法を提供する。本発明の方法を特定するために、ヒトsiRNAライブラリの高スループットの画像に基づく全ゲノムスクリーニングを使用して、236のオートファジー関連遺伝子を特定した。これらの遺伝子は、高スループットアッセイ、低スループットアッセイおよびバイオインフォマティクス解析の組合せを使用して、広範囲に亘って特徴付けた。これらの研究の結果に基づいて、これらの遺伝子およびその遺伝子産物の変調に有用な生物剤および治療剤を特定し、オートファジーの変調およびオートファジー関連疾患の治療のための新規の方法を開発した。
【0012】
いくつかの実施の形態において、本発明は、細胞におけるオートファジーを誘発する方法であって、細胞を、本発明のオートファジー阻害遺伝子の産物の活性を阻害する作用物質に接触させる工程を含む方法に関する。ある実施の形態において、オートファジー阻害遺伝子は、表1、表3、表5、表7、図14、図15、図39、図44、および/または図55に列記された遺伝子から選択される。他の実施の形態において、オートファジー阻害遺伝子は、TRPM3, TMPRSS5, IRAK3, ADMR, FGFR1, UNC13B, PTGER2, AGER, BGN, GABBR2, PPARD, GHSR, BAIAIP2, SORCS2, PAQR6, EPHA6, TRHR, C5AR1, BAI3, TLR3, PTPRH, ADRA1A, UTS2R, RORC, CHRND, TACR2, P2RX1, PLXNA2, PTPRU, FCER1A, CD300C, TNFRSF19L CLCF1, LIF, FGF2, SDF1またはIGFである。本発明のある態様において、作用物質は、抗体、siRNA分子、shRNA分子、および/またはアンチセンスRNA分子である。他の態様において、作用物質は、TK1258, PF 04494700, PMX53, タムスロシン、ドキサゾシン、塩酸プラゾシン、塩酸アルフゾシン、ウロテンシンII、塩酸メカミラミン、ISIS 3521、ゲムシタビン、LY900003, MK-5108, U73122またはD609である。
【0013】
本発明のある実施の形態は、細胞におけるオートファジーを阻害する方法であって、細胞を、本発明のオートファジー促進遺伝子の産物の活性を阻害する作用物質に接触させる工程を含む方法に関する。いくつかの実施の形態において、オートファジー促進遺伝子は、表2、表4および/または表6に列記された遺伝子から選択される。他の実施の形態において、オートファジー促進遺伝子は、TPR, GPR18, RelAまたはNFκBである。ある実施の形態において、作用物質は、抗体、siRNA分子、shRNA分子、および/またはアンチセンスRNA分子である。
【0014】
ある態様において、本発明は、細胞におけるオートファジーを阻害する方法であって、細胞を、本発明のオートファジー阻害遺伝子の産物の活性を向上させる作用物質に接触させる工程を含む方法に関する。いくつかの実施の形態において、オートファジー阻害遺伝子は、表1、表3、表5、表7、図14、図15、図39、図44、および/または図55に列記された遺伝子から選択される。他の実施の形態において、オートファジー阻害遺伝子は、TRPM3, TMPRSS5, IRAK3, ADMR, FGFR1, UNC13B, PTGER2, AGER, BGN, GABBR2, PPARD, GHSR, BAIAIP2, SORCS2, PAQR6, EPHA6, TRHR, C5AR1, BAI3, TLR3, PTPRH, ADRA1A, UTS2R, RORC, CHRND, TACR2, P2RX1, PLXNA2, PTPRU, FCER1A, CD300C, TNFRSF19L CLCF1, LIF, FGF2, SDF1またはIGFである。ある実施の形態において、作用物質は抗体である。いくつかの実施の形態において、作用物質は、FGF-1, 酸性FGF-1, XRP0038, RhaFGF, GW501516, メシル酸イブタモレン, KP-102LN, EP1572, TRH, S-0373, Poly-ICR, CQ-07001またはクリプトタンシノンである。いくつかの実施の形態において、作用物質は成長因子である。他の実施の形態において、成長因子は、CLCF1, LIF, FGF2, SDF1またはIGF1である。
【0015】
本発明のいくつかの実施の形態は、細胞におけるオートファジーを誘発する方法であって、細胞を、本発明のオートファジー促進遺伝子の産物の活性を向上させる作用物質に接触させる工程を含む方法に関する。いくつかの実施の形態において、オートファジー促進遺伝子は、表2、表4および/または表6に列記された遺伝子から選択される。他の実施の形態において、オートファジー促進遺伝子は、TPR, GPR18, RelAまたはNFκBである。ある実施の形態において、作用物質は抗体である。
【0016】
いくつかの実施の形態において、本発明は、対象(subject)における神経変性疾患および/またはタンパク質症を治療する方法であって、対象に、本発明のオートファジー阻害遺伝子の産物の活性を阻害する作用物質を投与する工程を含む方法に関する。ある実施の形態において、オートファジー阻害遺伝子は、表1、表3、表5、表7、図14、図15、図39、図44、および/または図55に列記された遺伝子から選択される。他の実施の形態において、オートファジー阻害遺伝子は、TRPM3, TMPRSS5, IRAK3, ADMR, FGFR1, UNC13B, PTGER2, AGER, BGN, GABBR2, PPARD, GHSR, BAIAIP2, SORCS2, PAQR6, EPHA6, TRHR, C5AR1, BAI3, TLR3, PTPRH, ADRA1A, UTS2R, RORC, CHRND, TACR2, P2RX1, PLXNA2, PTPRU, FCER1A, CD300C, TNFRSF19L CLCF1, SDF1, LIF, FGF2またはIGFである。いくつかの実施の形態において、作用物質は、抗体、siRNA分子、shRNA分子、および/またはアンチセンスRNA分子である。他の態様において、作用物質は、TK1258, PF 04494700, PMX53, タムスロシン、ドキサゾシン、塩酸プラゾシン、塩酸アルフゾシン、ウロテンシンII、塩酸メカミラミン、ISIS 3521、ゲムシタビン、LY900003, MK-5108, U73122またはD609である。
【0017】
本発明のいくつかの実施の形態は、本発明は、対象における神経変性疾患および/またはタンパク質症を治療する方法であって、対象に、本発明のオートファジー促進遺伝子の産物の活性を向上させる作用物質を投与する工程を含む方法に関する。いくつかの実施の形態において、オートファジー促進遺伝子は、表2、表4および/または表6に列記された遺伝子から選択される。他の実施の形態において、オートファジー促進遺伝子は、TPR, GPR18, RelAまたはNFκBである。ある実施の形態において、作用物質は抗体である。
【0018】
ある実施の形態において、神経変性疾患は、副腎白質萎縮症、アルコール中毒症、アレキサンダー病、アルパース病、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症、毛細血管拡張性運動失調症、バッテン病、牛海綿状脳症、カナバン病、脳性小児まひ、コケイン症候群、大脳皮質基底核変性症、クロイツフェルト・ヤコブ病、致死性家族性不眠症、前頭側頭葉変性症、ハンチントン病、HIV関連認知症、ケネディ病、クラッベ病、レビー小体型認知症、神経ボレリア症、マシャド・ジョセフ病、多系統萎縮症、多発性硬化症、ナルコレプシー、ニーマンピック病、パーキンソン病、ペリツェウス・メルツバッハー病、ピック病、原発性側索硬化症、プリオン病、進行性核上性麻痺、レフサム病、サンドオフ病、シルダー病、悪性貧血の次の脊髄の亜急性連合変性症、シュピールマイアー・フォークト・シェーグレン・バッテン病、脊髄小脳性運動失調、脊髄性筋萎縮症、スティール・リチャードソン・オルゼウスキー病、脊髄癆、中毒性脳症およびこれらの疾患の併発である。いくつかの実施の形態において、タンパク質症は、α1−アンチトリプシン欠乏症、孤発性封入体筋炎、2B型肢体型筋ジストロフィー症および三好型ミオパチー、アルツハイマー病、パーキンソン病、レビー小体型認知症、ALS、ハンチントン病、脊髄小脳性運動失調、球脊髄性筋萎縮症およびこれらの疾患の併発である。
【0019】
本発明のある実施の形態は、対象の癌または膵炎を治療する方法であって、対象に、本発明のオートファジー促進遺伝子の産物の活性を阻害する作用物質を投与する工程を含む方法に関する。いくつかの実施の形態において、オートファジー促進遺伝子は、表2、表4および/または表6に列記された遺伝子から選択される。他の実施の形態において、オートファジー促進遺伝子は、TPR, GPR18, RelAまたはNFκBである。ある実施の形態において、作用物質は、抗体、siRNA分子、shRNA分子、および/またはアンチセンスRNA分子である。
【0020】
ある態様において、本発明は、対象の癌または膵炎を治療する方法であって、対象に、本発明のオートファジー阻害遺伝子の産物の活性を向上させる作用物質を投与する工程を含む方法に関する。いくつかの実施の形態において、オートファジー阻害遺伝子は、表1、表3、表5、表7、図14、図15、図39、図44、および/または図55に列記された遺伝子から選択される。他の実施の形態において、オートファジー阻害遺伝子は、TRPM3, TMPRSS5, IRAK3, ADMR, FGFR1, UNC13B, PTGER2, AGER, BGN, GABBR2, PPARD, GHSR, BAIAIP2, SORCS2, PAQR6, EPHA6, TRHR, C5AR1, BAI3, TLR3, PTPRH, ADRA1A, UTS2R, RORC, CHRND, TACR2, P2RX1, PLXNA2, PTPRU, FCER1A, CD300C, TNFRSF19L CLCF1, SDF1, LIF, FGF2またはIGFである。ある実施の形態において、作用物質は抗体である。いくつかの実施の形態において、作用物質は、FGF-1, 酸性FGF-1, XRP0038, RhaFGF, GW501516, メシル酸イブタモレン, KP-102LN, EP1572, TRH, S-0373, Poly-ICR, CQ-07001またはクリプトタンシノンである。いくつかの実施の形態において、作用物質は成長因子である。他の実施の形態において、成長因子は、CLCF1, LIF, FGF2, SDF1またはIGF1である。
【0021】
いくつかの実施の形態において、癌を治療する方法は、化学療法薬の投与および/または放射線療法などの公知の癌治療法をさらに含む。ある実施の形態において、化学療法薬は、アルトレタミン、アスパラギナーゼ、BCG、硫酸ブレオマイシン、ブスルファン、カンプトテシン、カルボプラチン、カルムスチン、クロラムブシル、シスプラチン、クラドリビン、2−クロロデオキシアデノシン、シクロホスファミド、シタラビン、ダカルバジン、イミダゾールカルボキサミド、ダクチノマイシン、ダウノルビシン−ダウノマイシン、デキサメタゾン、ドキソルビシン、エトポシド、フロクスウリジン、フルオロウラシル、フルオキシメステロン、フルタミド、フルダラビン、ゴセレリン、ヒドロキシウレア、イダルビシン塩酸塩、イホスファミド、インターフェロンα、インターフェロンα2a、インターフェロンα2b、インターフェロンαn3、イリノテカン、ロイコボリンカルシウム、ロイプロリド、レバミゾール、ロムスチン、メゲストロール、メルファラン、L−サルコシリン(sarcosylin)、メルファラン塩酸塩、MESNA、メクロレタミン、メトトレキセート、マイトマイシン、ミトキサントロン、メルカプトプリン、パクリタキセル、プリカマイシン、プレドニゾン、プロカルバジン、ストレプトゾシン、タモキシフェン、6−チオグアニン、チオテパ、トポテカン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、または酒石酸ビレノルビンである。
【0022】
本発明の他の実施の形態は、作用物質がオートファジー阻害剤であるか否かを決定する方法であって、細胞を作用物質に接触させる工程を有してなり、細胞が本発明の異種(heterologous)オートファジー促進遺伝子を発現し、それによって、細胞におけるオートファジーの低減が、その作用物質がオートファジー阻害剤であることを示す方法に関する。ある態様において、作用物質は、小分子、抗体、または抑制性RNA分子である。
【0023】
本発明のある実施の形態は、作用物質がオートファジー阻害剤であるか否かを決定する方法であって、細胞を作用物質に接触させる工程を有してなり、本発明のオートファジー促進遺伝子の発現が細胞中で阻害され、それによって、細胞中のオートファジーの低減が、その作用物質がオートファジー阻害剤であることを示す方法に関する。ある態様において、作用物質は、小分子、抗体、または阻害性RNA分子である。いくつかの実施の形態において、細胞は、オートファジー関連遺伝子に対する突然変異を含む。他の実施の形態において、オートファジー関連遺伝子は、抑制性RNAまたは小分子により阻害される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】図1Aは、LC3−GFPを安定に発現し、非標的の対照siRNA(ntRNA)もしくはmTORまたはAtg5に対するsiRNAがトランスフェクションされたH4細胞中で発現されたGFPの局在を示す蛍光顕微鏡画像を示す。図1Bは、非標的の対照siRNA(ntRNA)もしくはmTORまたはAtg5に対するsiRNAがトランスフェクションされたH4細胞の溶解物およびLC3またはチューブリンいずれかに特異的な抗体を使用して行ったウェスタンブロットの結果を示す。
【図2】図2は、LC3−GFPを安定に発現し、非標的の対照siRNA(ntRNA)もしくはmTORまたはAtg5に対するsiRNAがトランスフェクションされたH4細胞中のオートファゴソーム関連GFPのレベルの数量化を示す。アスタリスクは、表示したレベルと、ntRNAがトランスフェクションされた細胞のレベルとの間の差が統計的有意であることを示す。
【図3−1】図3は、本発明のオートファジー変調遺伝子の遺伝子記号、Unigene ID番号、Genbank登録番号および名称を示す。
【図3−2】図3−1の続き
【図3−3】図3−2の続き
【図3−4】図3−3の続き
【図3−5】図3−4の続き
【図3−6】図3−5の続き
【図3−7】図3−6の続き
【図4】図4は、本発明のオートファジー変調遺伝子を特定し、特徴付けるために使用したスクリーニングおよび特徴付けアッセイの選択を示す説明図を示す。
【図5】mTORC1活性を測定する一連のin−cell western(商標)ブロットアッセイの数量化を示す。アスタリスクは、表示のサンプルとntRNA対照サンプルとの間の差が統計的有意であることを示す。
【図6】図6は、その産物の阻害がmTORCの発現の減少をもたらす遺伝子の遺伝子記号、Unigene ID番号、Genbank登録番号および名称を示す。
【図7】図7は、その産物の阻害が、ラパマイシンの存在下でmTORCの低減した発現およびオートファジーのダウンレギュレーションの両方をもたらす遺伝子の遺伝子記号、Unigene ID番号、および名称を示す。
【図8】図8Aは、Lamp1−RFPを安定に発現し、非標的の対照siRNA(ntRNA)もしくはmTORに対するsiRNAがトランスフェクションされたH4細胞中で発現されたRFPの局在を示す蛍光顕微鏡画像を示す。図8Bは、LC3−GFPを安定に発現し、非標的の対照siRNA(ntRNA)もしくはmTORまたはAtg5に対するsiRNAがトランスフェクションされたH4細胞中のオートファゴソーム関連RFPのレベルの数量化を示す。アスタリスクは、表示したレベルと、ntRNAがトランスフェクションされた細胞のレベルとの間の差が統計的有意であることを示す。
【図9−1】図9は、その産物の阻害がLamp1−RFP発現細胞中のオートファゴソーム関連Lamp1−RFPのレベルにおける著しい変化をもたらす遺伝子の遺伝子記号、Unigene ID番号、Genbank登録番号および名称を示す。
【図9−2】図9−1の続き
【図9−3】図9−2の続き
【図10】図10Aは、FYVE−dsRedを安定に発現し、Vprs34またはmTORに対するsiRNAがトランスフェクションされたH4細胞中で発現されたdsRedの局在を示す蛍光顕微鏡画像を示す。図10Bは、FYVE−dsRedを安定に発現し、Vprs34またはmTORに対するsiRNAがトランスフェクションされたH4細胞中のオートファゴソーム関連dsRedのレベルの数量化を示す。アスタリスクは、表示したレベルと、ntRNAがトランスフェクションされた細胞のレベルとの間の差が統計的有意であることを示す。図10Cは、FYVE−dsRedを安定に発現し、RaptorまたはmTORに対するsiRNAがトランスフェクションされたH4細胞中のオートファゴソーム関連dsRedのレベルの数量化を示す。
【図11−1】図11は、その産物の阻害がPtdIns3Pのレベルにおける著しい変化をもたらす遺伝子の遺伝子記号、Unigene ID番号、Genbank登録番号および名称を示す。
【図11−2】図11−1の続き
【図11−3】図11−2の続き
【図11−4】図11−3の続き
【図12】図12は、その産物の阻害がオートファジーの誘導をもたらす遺伝子の、III型PI3キナーゼ活性、リソソーム機能およびmTORC1活性への依存性に基づく機能別カテゴリーへの細分を示すベン図を示す。
【図13】図13は、siRNA(H4+Bcl−2)を標的とするオートファジー関連遺伝子がトランスフェクションされたBcl−2発現H4細胞と比べた、siRNA(H4)を標的とするオートファジー関連遺伝子がトランスフェクションされた野生型H4細胞の相対的平均生存率を示す。
【図14−1】図14は、その産物の阻害がBcl−2発現細胞におけるオートファジーの促進をもたらす遺伝子の相対生存率、遺伝子記号、Unigene ID番号、および名称を示す。
【図14−2】図14−1の続き
【図14−3】図14−2の続き
【図15−1】図15は、その産物の阻害が、Bcl−2発現細胞ではなく、野生型細胞におけるオートファジーの促進をもたらす遺伝子の相対生存率、遺伝子記号、Unigene ID番号、および名称を示す。
【図15−2】図15−1の続き
【図15−3】図15−2の続き
【図15−4】図15−3の続き
【図16】図16は、ツニカマイシンにより処理されたH4細胞中のGRP78およびGRP94のレベルの増加を示す「in−cell western」アッセイの数量化を示す。アスタリスクは統計的有意を示す。
【図17】図17は、その産物の阻害が、オートファジーの向上および小胞体(ER)ストレスレベルにおける変化をもたらす遺伝子の遺伝子記号、Unigene ID番号、および名称を示す。
【図18】図18は、pBabe−Bcl−2レトロウイルスへの感染およびプロマイシンの選択後のH4 LC3−GFPおよびH4 FYVE−dsRed細胞におけるBcl−2発現を示すウェスタンブロットを示す。
【図19】図19Aは、LC3−GFPおよびBcl−2を安定に発現し、非標的の対照siRNA(ntRNA)もしくはmTORに対するsiRNAがトランスフェクションされたH4細胞中のオートファゴソーム関連GFPのレベルの数量化を示す。アスタリスクは、表示したレベルと、ntRNAがトランスフェクションされた細胞のレベルとの間の差が統計的有意であることを示す。図19Bは、FYVE−dsRedおよびBcl−2を安定に発現し、非標的の対照siRNA(ntRNA)もしくはmTORに対するsiRNAがトランスフェクションされたH4細胞中のオートファゴソーム関連dsRedのレベルの数量化を示す。アスタリスクは、表示したレベルと、ntRNAがトランスフェクションされた細胞のレベルとの間の差が統計的有意であることを示す。図19Cは、FYVE−dsRedを安定に発現し、Bcl−2(H4)も発現せず、Bcl−2(H4+Bcl−2)も発現しないオートファジー関連遺伝子産物に対するsiRNAがトランスフェクションされたH4細胞中のオートファゴソーム関連dsRedのレベルの数量化を示す。アスタリスクは、表示したレベルの間の差が統計的有意であることを示す。
【図20】図20は、そのノックダウンが、低PtdIns3Pの条件下でオートファジーを誘発することができたオートファジー関連遺伝子の、III型PI3キナーゼ活性をアップレギュレーションするまたはリソソーム機能を変更する能力に基づく機能的カテゴリーへの細分を示す。
【図21】図21Aは、本発明の選択されたオートファジー関連遺伝子産物がどのように特定のタンパク質複合体に関連付けられるかを示す。図21Bは、本発明の選択されたオートファジー関連遺伝子産物がどのように転写調節因子およびクロマチン修飾酵素のネットワークに関連付けられるかを示す。
【図22】図22は、本発明の選択されたオートファジー関連遺伝子産物がどのようにコアのオートファジー機構と相互作用するかを示す。
【図23】図23は、本発明の選択されたオートファジー関連遺伝子産物がどのように軸索誘導調節経路内で相互作用するかを示す。
【図24】図24は、本発明の選択されたオートファジー関連遺伝子産物がどのようにアクチン細胞骨格調節経路内で相互作用するかを示す。
【図25】図25Aは、本発明のオートファジー関連遺伝子の分子機能別カテゴリーへの細分を示す。図25Bは、図25Aにおいて受容体と分類された本発明のオートファジー関連遺伝子の受容体別カテゴリーへのさらなる細分を示す。
【図26−1】図26は、本発明のオートファジー関連遺伝子の分子機能別カテゴリー、遺伝子記号、Unigene ID番号、および名称を示す。
【図26−2】図26−1の続き
【図26−3】図26−2の続き
【図26−4】図26−3の続き
【図26−5】図26−4の続き
【図26−6】図26−5の続き
【図26−7】図26−6の続き
【図26−8】図26−7の続き
【図27】図27Aは、本発明のオートファジー関連遺伝子の生物学的プロセス別カテゴリーへの細分を示す。図27Bは、図27Aにおけるシグナル伝達のメディエータとして分類された本発明のオートファジー関連遺伝子のシグナル伝達別カテゴリーへのさらなる細分を示す。
【図28】図28は、示された成長因子(IGF1、FGF2、LIF、CLCF1およびSDF1)の存在下で増殖したH4 CL3−GFP細胞中のオートファゴソーム関連GFPの数量化を示す。アスタリスクは、示したレベルと未処理細胞のレベルとの間の差が統計的有意であることを示す。
【図29】図29は、LC3−GFPを安定に発現し、栄養飢餓条件下で未処理の(未処理)、通常の(normal)増殖条件下で未処理の(血清)、または栄養飢餓条件下でCLCF1、LIF、FGF2またはIGF1で処理した(それぞれ、CLCF1、LIF、FGF2およびIGF1)H4細胞中で発現されたGFPの局在を示す蛍光顕微鏡画像を示す。
【図30】図30は、サイトカインが、ラパマイシンの不在下と存在下でオートファジーを抑制できることを示す。H4細胞を無血清培地中で増殖させ、その後、100ng/mLのIFG1(A)、50ng/mLのFGF2(B)、50ng/mLのLIF(C)、50ng/mLのCLCF1(D)または10μg/mLのE64d(E)を添加した。示された場合、サイトカインの添加前に、細胞を1時間に亘り50nMのラパマイシンで前処理した。オートファジーのレベルは、LC3に対する抗体を使用してウェスタンブロットにより評価した;mTORC1活性は、ホスホ−S6(Ser235/236、P−S6)およびホスホ−S6キナーゼ(Thr389、P−S6K)に対する抗体により評価した。LC3 II/チューブリン比の数量化が示されている。
【図31】図31Aは、5、20、100または200ng/mlのTNFαの存在下またはラパマイシンの存在下で増殖したH4 LC3−GFP細胞中のオートファゴソーム関連GFPの数量化を示す。アスタリスクは、示したレベルと未処理細胞のレベルとの間の差が統計的有意であることを示す。図31Bは、栄養飢餓条件下で未処理の(−)、通常の増殖条件下で未処理の(血清)、ラパマイシンで処理された(Rap)、または栄養飢餓条件下で5ng/mlのTNFαで処理されたH4細胞中のp62のレベルを示すウェスタンブロットを示す。
【図32】図32は、LC3−GFPを安定に発現し、非標的の対照siRNA(ntRNA)またはRelAに特異的な4つの別個のsiRNAがトランスフェクションされたH4細胞中で発現されたGFPの局在を示す蛍光顕微鏡画像を示す。
【図33】図33は、LC3−GFPを安定に発現し、非標的の対照siRNA(ntRNA)またはRelAに特異的な4つの別個のsiRNAがトランスフェクションされたH4細胞中のオートファゴソーム関連RFPのレベルの数量化を示す。アスタリスクは、示したレベルとntRNAがトランスフェクションされた細胞のレベルとの間の差が統計的有意であることを示す。
【図34】図34Aは、非標的の対照siRNA(ntRNA)またはRelAに特異的な4つの別個のsiRNAの内の1つがトランスフェクションされたH4細胞中のRelA mRNAのレベルを示す半定量的RT−PCRの結果を示す。図34Bは、非標的の対照siRNA(ntRNA)、RelAに特異的な4つの別個のsiRNAの内の1つ、または4つのRelA特異的siRNAのプールがトランスフェクションされたH4細胞中のp65のレベルを検出するウェスタンブロットの結果を示している。
【図35】図35Aは、野生型(wt)H4細胞並びにRelA-/-およびNFκB-/-ダブルノックアウト(DKO)H4細胞中のRelAおよびLC3のレベルを示すウェスタンブロットを示す。図35Bは、RelAに特異的なsiRNA、非標的siRNA(nt)、mTまたはAtg5がトランスフェクションされたH4細胞中のRelA、p62およびLC3のレベルを示すウェスタンブロットを示す。
【図36】図36Aは、通常の増殖条件下(mock)および栄養飢餓条件下(飢餓)での野生型H4細胞並びにRelA-/-およびNFκB-/-ダブルノックアウト(DKO)H4細胞中の反応性酸素種のレベルを示すFACSヒストグラムを示す。図36Bは、図36Aに示されたデータの数量化を示す。図36Cは、通常(+血清)または飢餓(HBSS)条件下で増殖した、非標的の対照siRNA(ntRNA)またはRelAに特異的なsiRNAがトランスフェクションされたH4細胞中の反応性酸素種のレベルの数量化を示す。
【図37】図37は、LC3−GFPを安定に発現し、栄養飢餓条件下で、酸化防止剤存在下(NAC)または酸化防止剤の不在下で増殖した、非標的の対照siRNA(ntRNA)またはRelAに特異的なsiRNAがトランスフェクションされたH4細胞中のオートファゴソーム関連GFPのレベルの数量化を示す。
【図38】図38は、その産物がミトコンドリアに局在化されることが予測される本発明のオートファジー関連遺伝子に関する、遺伝子記号、Unigene ID番号および予測理由を示す。
【図39−1】図39は、酸化的損傷または反応性酸素種の調節に対する関連が知られている、本発明のオートファジー関連遺伝子の遺伝子記号、Unigene ID番号および名称を示す。
【図39−2】図39−1の続き
【図39−3】図39−2の続き
【図40】図40Aは、非標的の対照siRNA(ntRNA)またはSOD1に特異的なsiRNAがトランスフェクションされたH4細胞中のSOD1、p62およびLC3のレベルを示すウェスタンブロットを示す。図40Bは、非標的の対照siRNA(ntRNA)またはSOD1に特異的なsiRNAがトランスフェクションされた、もしくは100mMのTBHPにより処理された細胞中の反応性酸素種のレベルを示す蛍光顕微鏡画像を示す。図40Cは、非標的の対照siRNA(nt)またはSOD1に特異的なsiRNAがトランスフェクションされた細胞中の反応性酸素種のレベルの数量化を示す。アスタリスクは、示したレベルとntRNAがトランスフェクションされた細胞のレベルとの間の差が統計的有意であることを示す。
【図41】LC3−GFPを安定に発現し、酸化防止剤の存在下(NAC)または酸化防止剤の不在下(−)いずれかで、非標的の対照siRNA(ntRNA)もしくはmTORまたはSOD1に特異的なsiRNAがトランスフェクションされたH4細胞中のオートファゴソーム関連GFPのレベルの数量化を示す。
【図42−1】図42は、その産物の阻害により、酸化防止剤の存在下ではなく不在下でオートファジーの促進がもたらされる遺伝子の遺伝子記号、Unigene ID番号および名称を示す。
【図42−2】図42−1の続き
【図42−3】図42−2の続き
【図42−4】図42−3の続き
【図43】図43は、酸化防止剤の存在下(NAC)でオートファジーを誘発できる(yes)またはできない(no)本発明のオートファジー関連遺伝子の産物の阻害後の平均のIII型PI3キナーゼ活性の数量化を示す。
【図44−1】図44は、その産物の阻害が、酸化防止剤の存在下でオートファジーの向上をもたらす遺伝子の遺伝子記号、Unigene ID番号および名称を示す。
【図44−2】図44−1の続き
【図44−3】図44−2の続き
【図45】図45は、スクリーニングにおいて調査した全ての遺伝子に対するヒット(hit)遺伝子の中での標準経路(MSigDB)のEA法(enrichment analysis)を示す。p値<0.05(超幾何分布)が有意であると考えられる。少なくとも5つの遺伝子を有するカテゴリーのみが示されている。
【図46】図46は、50ng/mLのFGF2によるオートファジーのダウンレギュレーションが、MEK阻害因子UO126の添加により妨げられることを示す。H4細胞は、無血清培地中で増殖させ、10μg/mLのE64dの存在下で、LC3に対する抗体、ホスホ−ERK1/2、ホスホ−RSKおよびホスホ−S6(Ser235/236)に関するMEKの阻害について、オートファジーのレベルを評価した。LC3II/チューブリン比の数量化が示されている。
【図47】図47は、MSigDBからのモチーフに基づく遺伝子セットおよびTRANSFACデータベースに定義されたTF−結合部位を使用して、ヒット遺伝子のプロモータ中のシスエレメント/転写因子(TF)−結合部位のEA法を示す。SRF部位が強調されている。
【図48】図48は、50ng/mLのCLCF1による処理後のStat3のリン酸化を示すウェスタンブロットを示す。
【図49】図49は、50ng/mLのLIFによるオートファジーのダウンレギュレーションが、Stat3のsiRNA媒介ノックダウンにより妨げられることを示す。H4細胞に表示のsiRNAを72時間に亘りトランスフェクションし、次いで、細胞を、図46について記載したように処理した。タンパク質レベルおよびStat3のリン酸化が示されている。
【図50】図50は、100ng/mLのIGF1によるオートファジーの抑制が、Akt阻害因子VIIIにより妨げられることを示す。細胞を図46について記載したように処理した。Akt活性を、ホスホ−Foxo3aおよびホスホ−rpS6に対する抗体について評価した。
【図51】図51は、若年(40才以下)または老年(70才以上)のヒトの脳のサンプルにおける選択されたオートファジーヒット遺伝子のmRNA発現レベルのクラスター分析を示す。
【図52】図52は、図45に示されたデータに関する相関行列を示す。
【図53】図53は、若年(40才以下)または老年(70才以上)のヒトの脳のサンプルにおける選択されたオートファジーヒット遺伝子のmRNA発現レベルのクラスター分析(dChip)を示す。
【図54】図54は、年齢依存性調節が最も著しい、本発明のオートファジー関連遺伝子に関する相関行列を示す。
【図55−1】図55は、老化中にヒトの脳において特異に調節される本発明のオートファジー関連遺伝子の遺伝子記号、Unigene ID番号、倍率変化およびp値を示す。
【図55−2】図55−1の続き
【図56】図56は、老化中の本発明のオートファジー関連遺伝子の発現レベルを示す。
【図57】図57は、特異な遺伝子発現によりアルツハイマー病におけるオートファジーのアップレギュレーションがもたらされることを示す。スクリーンニングヒット遺伝子セットに関する標準偏差と共にNormarized Enrichment Score(NES)推定値のフォレスト・プロットが示されている。図57Aは、影響を受けていない同年齢の対照と比べたAD脳の異なる領域における全体のスクリーニングヒット遺伝子発現のGSEA解析を示す。図57Bおよび57Cは、オートファジーフラックス(flux)の陰性(B)および陽性(C)調節因子として機能することが決定されたヒット遺伝子のGSEA解析を示す。正方形のサイズは、それぞれのSDに反比例する。
【図58】図58は、H4細胞の5μMのAβによる処理後の10μMのE64dの存在下と不在下でのLC3−IIの蓄積のレベルの比較を示す。
【図59】図59は、AβがPtdIns3Pの蓄積を誘発することを示す。FYVE−dsRed細胞を図58に記載したように調製し、固定化し、画像化した。示された場合、III型PI3キナーゼ阻害因子3MA(10mM)を、固定化前に8時間に亘り加えた。
【図60】図60は、AβによるIII型PI3キナーゼ活性の誘発が、酸化防止剤の存在下で抑制されることを示す。細胞を、図59に記載したように調製し、酸化防止剤NACの存在下または不在下で処理した。
【図61】図61は、Aβによるオートファジーの誘発が、III型PI3キナーゼ活性に依存することを示す。H4GFP−LC3細胞を、図59に記載したように処理し、画像化した。
【図62】図62は、Aβによるオートファジーの誘発が、III型PI3キナーゼ活性に依存することを示す。H4細胞に、III型PI3キナーゼサブユニットVps34に対するsiRNAまたは非標的の対照siRNAをトランスフェクションし、次いで、図59に記載したように処理した。それぞれ、LC3およびLamp2に対する抗体を使用して、オートファジーおよびリソソーム変化を決定した。
【図63−1】図63は、本発明のオートファジー関連遺伝子の活性を変調させる選択された小分子作用物質の化学構造を示す。
【図63−2】図63−1の続き
【図63−3】図63−2の続き
【図63−4】図63−3の続き
【図63−5】図63−4の続き
【図64】本発明のオートファジー関連遺伝子のGenbank登録番号、名称、遺伝子記号およびmRNA配列を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
オートファジーは、細胞成分の代謝回転を媒介し、幅広い疾患から多細胞真核生物を保護するリソソーム依存性代謝プロセスである。オートファジーの変調およびオートファジー関連疾患の治療のための新規な方法を開発するために、ヒトのsiRNAライブラリの高スループットの画像に基づく全ゲノムスクリーニングを行って、オートファジー変調および調節に関与する遺伝子を特定した。このスクリーニングにより、ノックダウンされたときに、通常の栄養条件下でオートファジーのレベルの増加または減少のいずれかをもたらした236のオートファジー関連遺伝子を特定した。本発明のオートファジー関連遺伝子が図3に列記されている。これらの遺伝子を、高スループットアッセイ、低スループットアッセイおよびバイオインフォマティクス解析の組合せを使用して、広範囲に亘って特徴付けた。これらの研究の結果に基づいて、これらの遺伝子およびその遺伝子産物の変調に有用な生物剤および治療剤を特定し、オートファジーの変調およびオートファジー関連疾患の治療のための新規の方法を特定した。したがって、本発明は、オートファジーの変調、並びに癌、神経変性疾患、肝疾患、筋疾患および膵炎を含む、オートファジー関連疾患の治療のための新規の方法を提供する。
【0026】
1. 定義
本発明をより容易に理解するために、特定の用語および語句を以下、明細書に亘り定義する。
【0027】
単数形は、物品の文法上の目的語の1つまたは複数(すなわち、少なくとも1つ)を意味するためにここに用いられる。一例として、「要素」は、1つの要素または複数の要素を意味する。
【0028】
ここに用いたように、「投与する(administering)」という用語は、対象に治療剤または組成物を提供することを意味し、以下に限られないが、医療専門家による投与および自己投与を含む。
【0029】
ここに用いたように、「作用物質(agent)」という用語は、対象または細胞に所望の生物学的作用を及ぼすことのできる実体を称する。様々な治療剤(therapeutic agent)が、当該技術分野において公知であり、その作用により特定されるであろう。生物学的起源の治療剤の例としては、成長因子、ホルモン、およびサイトカインが挙げられる。様々な治療剤が、当該技術分野において公知であり、その作用により特定されるであろう。その例としては、小分子(例えば、薬剤)、抗体、ペプチド、タンパク質(例えば、サイトカイン、ホルモン、可溶性受容体および非特異的タンパク質)、オリゴヌクレオチド(例えば、ペプチドコード化DNAおよびRNA、二本鎖RNAおよびアンチセンスRNA)およびペプチドミメティクスが挙げられる。
【0030】
ここに用いたように、「抗体」という用語は、全長の抗体およびその任意の抗原結合断片(すなわち、「抗原結合部分」)または一本鎖を含む。「抗体」という用語は、以下に限られないが、ジスルフィド結合により相互に接続された少なくとも2つの重(H)鎖および2つの軽(L)鎖を含む糖タンパク質、またはその抗原結合部分を含む。抗体は、ポリクローナルまたはモノクローナルであってよく;異種、同種、または同系であってよく;またはその修飾形態(例えば、ヒト化、キメラ)であってもよい。
【0031】
ここに用いたように、抗体の「抗原結合タンパク質」という語句は、抗原に特異的に結合する能力を維持する抗体の1つ以上の断片を称する。抗体の抗原結合機能は、全長の抗体の断片により行うことができる。抗体の「抗原結合部分」という用語に包含される結合断片の例としては、(i)Fab断片、VH、VL、CLおよびCH1領域からなる一価断片;(ii)F(ab’)2断片、ヒンジ領域でジスルフィド結合により連結された2つのFab断片を含む二価断片;(iii)VHおよびCH1領域からなるFd断片;(iv)抗体のシングルアームのVHおよびVL領域からなるFv断片;(v)VH領域からなる、dAb断片(Ward et al., (1989) Nature 341:544 546);および(vi)単離された相補性決定領域(CDR)または(vii)合成リンカーにより必要に応じて結合してよい2つ以上の単離されたCDRの組合せ;が挙げられる。さらに、Fv断片の2つの領域VHおよびVLは、別々の遺伝子によりコード化されているが、それらは、組換え方法を使用して、VHおよびVL領域が対になって一価分子(一本鎖Fv(scFv)として知られている;例えば、Bird et al. (1988) Science 242:423 426; および Huston et al. (1988) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:5879 5883を参照のこと)を形成する1つのタンパク質鎖としてそれらを作製することのできる合成リンカーによって、結合することができる。そのような一本鎖抗体も、抗体の「抗原結合部分」の用語に包含されることが意図されている。これらの抗体断片は、当業者に公知の従来の技法を使用して得られ、その断片は、完全な抗体と同じ様式で有用性についてスクリーニングされる。
【0032】
ここに用いたように、「癌」という用語は、以下に限られないが、固形腫瘍および血液性腫瘍を含む。癌という用語は、皮膚、組織、器官、骨、軟骨組織、血液および体内の管の疾患を含む。「癌」という用語はさらに、原発性癌および転移性癌の両方を包含する。
【0033】
ここに用いたように、「遺伝子産物」および「遺伝子の産物」という用語は、遺伝子によりコード化され、遺伝子の転写により、直接的または間接的いずれかで産生され得る物質を称する。「遺伝子産物」および「遺伝子の産物」という用語は、RNA遺伝子産物(例えば、mRNA)、DNA遺伝子産物(例えば、cDNA)およびポリペプチド遺伝子産物(例えば、タンパク質)を含む。
【0034】
ここに用いたように、遺伝子産物の「活性を向上させる」という語句は、遺伝子産物に関連する特定の活性の増加を称する。向上した活性の例としては、以下に限られないが、mRNAの増加した翻訳、ポリペプチドまたはタンパク質による増加したシグナル伝達および酵素による増加した触媒作用が挙げられる。活性の向上は、例えば、個々の遺伝子産物により生じる活性の増加量により、その活性を生じる遺伝子産物の増加した数により、またはその任意の組合せにより、起こり得る。遺伝子産物が生物学的プロセス(例えば、オートファジー)を向上させる場合、そのような遺伝子産物の「活性を向上させる」ことは、一般に、そのプロセスを向上させる。逆に、遺伝子産物が生物学的プロセスの阻害因子として働く場合、そのような遺伝子産物の「活性を向上させる」ことは、一般に、そのプロセスを阻害する。
【0035】
ここに用いたように、遺伝子産物の「活性を阻害する」という語句は、その遺伝子産物に関連する特定の活性の減少を称する。阻害される活性の例としては、以下に限られないが、mRNAの減少した翻訳、ポリペプチドまたはタンパク質による減少したシグナル伝達および酵素による減少した触媒作用が挙げられる。活性の阻害は、例えば、個々の遺伝子産物により生じる減少した量の活性により、活性を生じる遺伝子産物の減少した数により、またはそれらの任意の組合せにより、起こり得る。遺伝子産物が生物学的プロセスを向上させる場合、そのような遺伝子産物の「活性の阻害」は、一般に、そのプロセスを阻害する。逆に、遺伝子産物が生物学的プロセスの阻害因子として機能する場合、そのような遺伝子産物の「活性の阻害」は、一般に、そのプロセスを促進させる。
【0036】
ここに用いたように、「単離された」という用語は、物質(例えば、ポリペプチドまたはポリヌクレオチド)が、自然環境またはそれらが調製される環境(例えば、細胞培養)において、それらと共に見つかる他のポリペプチドまたはポリヌクレオチドなどの、それらが天然に関連している物質を含まないまたは実質的に含まない状態を称する。ポリペプチドまたはポリヌクレオチドは、希釈剤またはアジュバントを配合しても差し支えなく、それでも、「単離されている」と考えられる。例えば、ポリペプチドまたはポリヌクレオチドは、診断または治療に使用するときに、薬学的に許容される担体または希釈剤と混合して差し支えない。
【0037】
ここに用いたように、「変調」という用語は、生物活性のアップレギュレーション(すなわち、活性化または刺激)、ダウンレギュレーション(すなわち、阻害または抑制)、もしくはそれら2つの組合せまたは別々を称する。
【0038】
ここに用いたように、「神経変性疾患 」および「神経変性疾病」という語句は、神経病理学などの中枢および末梢神経系の幅広い疾病および/または疾患を称し、以下に限られないが、パーキンソン病、アルツハイマー病(AD)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、脱神経性萎縮、耳硬化症、脳梗塞、痴呆、多発性硬化症、ハンチントン病、後天性免疫不全症候群(AIDS)に関連する脳障害、並びに神経性細胞毒性および細胞死に関連する他の疾病を含む。
【0039】
ここに用いたように、「薬学的に許容される」という語句は、有効な医学判断の範囲内で、過剰な毒性、刺激、アレルギー反応、または妥当なリスク便益比に相応の他の問題および合併症なく、ヒトおよび動物の組織と接触して使用するのに適した作用物質、化合物、材料、組成物、および/または投与形態を称する。
【0040】
ここに用いたように、「薬学的に許容される担体」という語句は、作用物質をある器官または体の部分から別の器官または体の部分に運ぶまたは輸送するのに関与する、液体または固体充填剤、希釈剤、賦形剤、または溶媒被包材料などの、薬学的に許容される材料、組成物またはビヒクルを意味する。各担体は、配合物の他の成分と相溶性であり、患者にとって有害ではないという意味で「許容され」なければならない。薬学的に許容される担体として働ける材料のいくつかの例としては、(1)ラクトース、グルコースおよびスルロースなどの糖類、(2)トウモロコシデンプンおよびジャガイモデンプンなどのデンプン、(3)ナトリウムカルボキシメチルセルロース、エチルセルロースおよび酢酸セルロースなどのセルロースおよびその誘導体、(4)粉末トラガカント、(5)麦芽、(6)ゼラチン、(7)タルク、(8)カカオバターおよび座薬ワックスなどの賦形剤、(9)ピーナツ油、綿実油、ヒマワリ油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油および大豆油などの油、(10)プロピレングリコールなどのグリコール、(11)グリセリン、ソルビトール、マンニトールおよびポリエチレングリコールなどのポリオール、(12)オレイン酸エチルおよびラウリン酸エチルなどのエステル、(13)寒天、(14)水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウムなどの緩衝剤、(15)アルギン酸、(16)発熱物質を含まない水、(17)等張生理食塩水、(18)リンガ溶液、(19)エチルアルコール、(20)pH緩衝溶液、(21)ポリエステル、ポリカーボネートおよび/またはポリ無水物、および(22)薬剤配合物中に使用される他の非毒性相溶性物質が挙げられる。
【0041】
ここに用いたように、「薬学的に許容される塩」という語句は、化合物の比較的非毒性の無機および有機塩を称する。
【0042】
ここに用いたように、「対象」という用語は、治療または療法のために選択されたヒトまたはヒトではない動物を意味する。
【0043】
ここに用いたように、「有することが疑われる対象」という語句は、疾病またはよくない健康状態の1つ以上の臨床的指標を示す対象を意味する。ある実施の形態において、その疾病またはよくない健康状態は、癌、神経変性疾患または膵炎である。
【0044】
ここに用いたように、「その必要のある対象」という語句は、本発明の療法または治療を必要としていると認定された対象を意味する。
【0045】
ここに用いたように、「治療効果」という語句は、作用物質により生じる、動物、特に哺乳類、とりわけヒトにおける局所効果または全身的な効果を称する。「治療に効果的な量」および「効果的な量」という語句は、少なくとも細胞の部分的個体群においてある程度所望の効果を生じる作用物質の量を意味する。治療に効果的な量は、任意の治療に適用できる妥当なリスク便益比である程度の所望の局所効果または全身的な効果を生じる作用物質の量を含む。例えば、本発明の方法に使用される特定の作用物質は、そのような治療に適用できる妥当なリスク便益比を生じるのに十分な量で投与してよい。
【0046】
ここに用いたように、対象における疾病を「治療する」もしくは疾病を有するまたは有すると疑われる対象を「治療する」という用語は、疾病の少なくとも1つの症状が軽減される、または悪化するのが防がれるように、対象に、薬品治療を施す、例えば、作用物質を投与することを称する。
【0047】
2. オートファジー関連遺伝子
本発明のオートファジー関連遺伝子は、その産物がオートファジーを阻害する遺伝子(すなわち、表1に列記されたオートファジー阻害遺伝子)およびその産物がオートファジーを促進させる遺伝子(すなわち、表2に列記されたオートファジー促進遺伝子)に分類できる。
【0048】
オートファジー阻害遺伝子の産物の活性を変調する作用物質が、オートファジー関連疾病の治療において有用である。オートファジー阻害遺伝子の産物の活性を阻害する作用物質は、上昇したオートファジーレベルをもたらし、したがって、オートファジーを促進する方法、並びに神経変性疾患およびタンパク質症などの、オートファジーの上昇したレベルに応答するオートファジー関連疾病の治療において有用である。他方で、オートファジー阻害遺伝子の産物の活性を促進する作用物質は、減少したオートファジーレベルをもたらし、したがって、オートファジーを阻害する方法、並びに癌および膵炎などの、オートファジーの阻害に応答するオートファジー関連疾病の治療において有用である。
【表1−1】

【表1−2】

【表1−3】

【表1−4】

【表1−5】

【表1−6】

【表1−7】

【表1−8】

【表1−9】

【0049】
オートファジー促進遺伝子の産物の活性を変調する作用物質も、オートファジー関連疾病の治療において有用である。例えば、オートファジー促進遺伝子の産物の活性を阻害する作用物質は、減少したオートファジーレベルをもたらし、したがって、オートファジーを阻害する方法、並びに癌および膵炎などの、オートファジーの阻害に応答するオートファジー関連疾病の治療において有用である。オートファジー促進遺伝子の産物の活性を促進する作用物質は、上昇したオートファジーレベルをもたらし、したがって、オートファジーを促進する方法、並びに神経変性疾患およびタンパク質症などの、オートファジーの上昇したレベルに応答するオートファジー関連疾病の治療において有用である。
【表2】

【0050】
それゆえ、本発明のある実施の形態は、表1に列記されたオートファジー阻害遺伝子の産物の活性化の阻害により、または表2に列記されたオートファジー促進遺伝子の産物の活性の向上により、オートファジーを促進させるおよび/または神経変性疾患および/またはタンパク質症を治療する方法に関する。本発明の他の実施の形態は、表1に列記されたオートファジー阻害遺伝子の産物の活性の向上により、または表2に列記されたオートファジー促進遺伝子の産物の活性の阻害により、オートファジーを阻害するおよび/または癌または膵炎を治療する方法に関する。
【0051】
本発明の他の実施の形態は、表3に列記されたオートファジー阻害遺伝子の産物の活性の阻害により、または表4に列記されたオートファジー促進遺伝子の産物の活性の向上により、オートファジーを促進させるおよび/または神経変性疾患および/またはタンパク質症を治療する方法に関する。本発明の他の実施の形態は、表3に列記されたオートファジー阻害遺伝子の産物の活性の向上により、または表4に列記されたオートファジー促進遺伝子の産物の活性の阻害により、オートファジーを阻害するおよび/または癌または膵炎を治療する方法に関する。
【表3−1】

【表3−2】

【表3−3】

【表3−4】

【表3−5】

【表3−6】

【表3−7】

【表3−8】

【表4】

【0052】
本発明のオートファジー関連遺伝子の産物は、数多くの相互排他的ではない部類に分類できる。例えば、本発明のある遺伝子産物は、酸化還元酵素、受容体、プロテアーゼ、リガーゼ、キナーゼ、シンターゼ、シンテターゼ、シャペロン、加水分解酵素、膜交通タンパク質(membrane traffic proteins)、カルシウム結合タンパク質および/または調節分子と分類できる。選択されたオートファジー阻害遺伝子産物の分類が表5に列記されており、一方で、選択されたオートファジー促進遺伝子産物の分類が表6に列記されている。あるタイプの作用物質が、特定の部類の遺伝子産物の活性の変調により適しているが、いくつかの実施の形態において、本発明は、オートファジー関連遺伝子産物の1つ以上の部類の変調に関する。
【表5−1】

【表5−2】

【表5−3】

【表5−4】

【表5−5】

【表5−6】

【表6】

【0053】
3. オートファジー関連遺伝子産物の変調物質(modulators)
本発明のある実施の形態は、オートファジーを変調するまたはオートファジー関連疾病(例えば、神経変性疾患、肝疾患、心臓病、癌、膵炎)を治療する方法に関する。これらの方法は、本発明の1種類以上のオートファジー関連遺伝子産物の活性を変調する作用物質を投与する工程を含む。ある実施の形態において、本発明の方法は、対象に、表1〜4に列記された遺伝子の1種類以上の産物の活性を減少させる作用物質を投与することによる、オートファジー関連疾病の治療を含む。他の実施の形態において、本発明の方法は、対象に、表1〜4に列記された遺伝子の1種類以上の産物の活性を増加させる作用物質を投与することによる、オートファジー関連疾病の治療を含む。表1〜4に列記された遺伝子産物の活性を変調し、それにより、オートファジー関連疾病を治療するまたは予防するのに使用してよい作用物質としては、抗体(例えば、結合(conjugated)抗体)、タンパク質、ペプチド、小分子、RNA干渉剤、例えば、siRNA分子、リボザイム、およびアンチセンスオリゴヌクレオチドが挙げられる。
【0054】
本発明のある方法を実施するために、本発明のオートファジー関連遺伝子産物の活性を変調するどのような作用物質を使用しても差し支えない。そのような作用物質は、ここに記載されたもの、当該技術分野に公知のもの、または決まりきったスクリーニングアッセイ(例えば、ここに記載されたスクリーニングアッセイ)により特定されたものであって差し支えない。
【0055】
いくつかの実施の形態において、本発明の方法に有用な作用物質を特定するために使用されるアッセイは、オートファジー関連遺伝子産物と1種類以上のアッセイ成分との反応を含む。他の成分は、試験化合物(例えば、潜在的な作用物質)、または試験化合物とオートファジー関連遺伝子産物の天然の結合パートナーとの組合せのいずれであってもよい。ここに記載されたものなどのそのようなアッセイにより特定された作用物質は、例えば、オートファジーの変調およびオートファジー関連疾病の治療のために有用であろう。
【0056】
本発明の方法に有用な作用物質は、天然および/または合成化合物の系統的ライブラリを含む、どのような入手可能な供給源から得てもよい。作用物質は、生物学的ライブラリ;ペプチドライブラリ(ペプチドの機能を有するが、酵素分解に対して耐性であるが、それにもかかわらず生物活性のままである新規の非ペプチド主鎖を有する分子のライブラリ;例えば、Zuckermann et al., 1994, J. Med. Chem. 37:2678-85を参照);空間的にアドレス可能な並列固相または溶液相ライブラリ;デコンボリューションを要する合成ライブラリ法;「1ビーズ−1化合物」ライブラリ法;およびアフィニティークロマトグラフィー選択を使用する合成ライブラリ法を含めた当該技術分野において公知のコンビナトリアルライブラリ法の中の多数の手法のうちのいずれにより得てもよい。生物学的ライブラリおよびペプチドライブラリの手法は、ペプチドライブラリに限られるが、その他の4つの手法は、ペプチド、非ペプチドオリゴマーまたは化合物の小分子ライブラリに適用することができる(Lam (1997) Anticancer Drug Des. 12:145)。
【0057】
分子ライブラリの合成に関する方法の例は、当該技術分野、例えば、DeWitt et al. (1993) Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 90:6909; Erb et al. (1994) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91:11422; Zuckermann et al. (1994). J. Med. Chem. 37:2678; Cho et al. (1993) Science 261:1303; Carrell et al. (1994) Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 33:2059; Carell et al. (1994) Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 33:2061; および in Gallop et al. (1994) J. Med. Chem. 37:1233に見出すことができる。
【0058】
作用物質のライブラリは、溶液中(例えば、Houghten, 1992, Biotechniques 13:412-421)、ビーズ上(Lam, 1991, Nature 354:82-84)、チップ上(Fodor, 1993, Nature 364:555-556)、細菌および/または胞子上(Ladner、米国特許第5,223,409号明細書)、プラスミド上(Cull et al, 1992, Proc Natl Acad Sci USA 89:1865-1869)、またはファージ上(Scott and Smith, 1990, Science 249:386-390; Devlin, 1990, Science 249:404-406; Cwirla et al, 1990, Proc. Natl. Acad. Sci. 87:6378-6382; Felici, 1991, J. Mol. Biol. 222:301-310; Ladner, 前出)に提示されるであろう。
【0059】
本発明の方法において有用な作用物質は、例えば、本発明のオートファジー関連遺伝子産物またはその生物学的活性部分の担体である候補すなわち試験化合物をスクリーニングするアッセイを使用して特定してもよい。別の実施の形態において、本発明の方法において有用な作用物質は、本発明のオートファジー関連遺伝子産物またはその生物学的活性部分に結合する候補すなわち試験化合物をスクリーニングするアッセイを使用して特定してもよい。オートファジー関連遺伝子産物に直接結合する試験化合物の能力を決定することは、例えば、その化合物のオートファジー関連遺伝子産物との結合が、複合体における標識された化合物を検出することにより決定できるように化合物を放射性同位体または酵素標識に結合させることによって行っても差し支えない。例えば、化合物は、直接的または間接的いずれかで、125I、35S、14C、または3Hで標識付けることができ、その放射性同位体は、放射線の直接計数またはシンチレーション計数により検出できる。あるいは、アッセイ成分に、例えば、ホースラディッシュ・ペルオキシダーゼ、アルカリ性ホスファターゼ、またはルシフェラーゼで酵素的に標識し、酵素標識を、適切な基質の生成物への転化の決定により検出することができる。
【0060】
本発明の方法において有用な作用物質は、例えば、オートファジー関連遺伝子産物とその担体および/または結合パートナーとの間の相互作用を変調する(例えば、プラスまたはマイナスいずれかに影響を与える)化合物を特定するアッセイを使用して特定してもよい。そのような化合物としては、以下に限られないが、抗体、ペプチド、ホルモン、オリゴヌクレオチド、核酸、その類似体などの分子が挙げられる。そのような化合物は、天然および/または合成化合物の系統的ライブラリを含むどのような利用可能な供給源から得てもよい。
【0061】
オートファジー関連遺伝子産物とその結合パートナーとの間の相互作用を変調する化合物を特定するために使用されるアッセイシステムの基本原理は、オートファジー関連遺伝子産物およびその結合パートナーを含有する反応混合物を、この2つの産物が相互作用し、結合する条件下で十分な時間に亘り調製し、それゆえ、複合体を形成する工程を含む。阻害活性について作用物質を試験するために、反応混合物は、試験化合物の存在下と不在下で調製される。試験化合物は、反応混合物中に最初に含ませても、またはオートファジー関連遺伝子産物とその結合パートナーの添加後に加えても差し支えない。対照反応混合物は、試験化合物を含まず、またはプラシーボと共に、インキュベーションされる。次いで、オートファジー関連遺伝子産物とその結合パートナーとの間のどのような複合体の形成も検出される。対照反応における複合体の形成と、試験化合物を含有する反応混合物中にそのような形成がわずかしかまたは全くないことは、その化合物が、オートファジー関連遺伝子産物とその結合パートナーの相互作用に干渉することを示す。逆に、対照反応中ではなく、化合物の存在下でより多くの複合体が形成されたことは、その化合物がオートファジー関連遺伝子産物とその結合パートナーとの相互作用を促進させるであろうことを示す。
【0062】
オートファジー関連遺伝子産物のその結合パートナーとの相互作用を変調する化合物に関するアッセイは、不均一または均一形態で行ってもよい。不均一アッセイは、オートファジー関連遺伝子産物またはその結合パートナーいずれかを固相に固定化し、反応の終わりで固相に固定化された複合体を検出する各工程を含む。均一アッセイにおいて、全反応は液相中で行われる。いずれの手法においても、反応体の添加順序は、試験されている化合物についての異なる情報を得るために、変えても差し支えない。例えば、オートファジー関連遺伝子産物とその結合パートナーとの間の相互作用に干渉する(例えば、競合により)試験化合物は、試験基質の存在下で反応を行うことにより、すなわち、試験物質を、オートファジー関連遺伝子産物とその反応性の結合パートナーと同時に、またはその添加後に、反応混合物に添加することによって、特定することができる。あるいは、予め形成された複合体を妨害する試験化合物、例えば、その複合体からの成分の内の1つを置換する、結合定数が高い化合物は、複合体が形成された後に、試験化合物を反応混合物に添加することによって、試験できる。様々な形態を以下に手短に記載する。
【0063】
不均一アッセイシステムにおいて、オートファジー関連遺伝子産物またはその結合パートナーのいずれかを固体表面またはマトリクスに固定化し、一方で、他方の対応する非固定化成分に、直接的または間接的いずれかで標識付けてもよい。実際には、この手法のために、マイクロタイタプレートをよく利用する。固定化種は、典型的に当業者によく知られた数多くの方法により、非共有または共有いずれで、固定化して差し支えない。非共有結合は、しばしば、固体表面をオートファジー関連遺伝子産物またはその結合パートナーの溶液で被覆し、乾燥することにより、単純に行うことができる。あるいは、固定化すべきアッセイ成分に特異的な固定化抗体を、この目的に使用しても差し支えない。
【0064】
関連するアッセイにおいて、アッセイ成分の一方または両方をマトリクスに固定化できる領域を加える融合タンパク質を提供しても差し支えない。例えば、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ/マーカー融合タンパク質またはグルタチオン−S−トランスフェラーゼ/結合パートナーを、グルタチオンセファロースビーズ(ミズーリ州、セントルイス所在のシグマケミカル社(Sigma Chemical))またはグルタチオン誘導マイクロタイタプレートに固定化することができ、次いで、これを試験化合物または試験化合物および非固定化オートファジー関連遺伝子産物またはその結合パートナーいずれかと組み合わせ、その混合物を、複合体形成を助長する条件下(例えば、生理的条件下)でインキュベーションする。インキュベーション後、ビーズまたはマイクロタイタプレートのウェルを洗浄して、どのような未結合のアッセイ成分も除去し、固定化された複合体を、例えば、上述したように、直接的または間接的いずれかで評価する。あるいは、複合体をマトリクスから解離させ、標準技法を使用して、オートファジー関連遺伝子産物の結合または活性のレベルを決定しても差し支えない。
【0065】
均一アッセイを使用して、オートファジー関連遺伝子産物の変調物質を特定してもよい。これは、典型的に、上述したものと類似の反応であり、これは、その試験化合物の存在下または不在下で液相中において行われる。次いで、形成された複合体を未反応成分から分離し、形成された複合体の量を決定する。不均一アッセイシステムについて述べたように、反応体の液相への添加順序によって、どの試験化合物が複合体の形成を変調する(阻害するまたは促進する)かについて、および予め形成された複合体を妨害するかについての情報を生成することができる。
【0066】
そのような均一アッセイにおいて、反応生成物は、以下に限られないが、分画遠心法、クロマトグラフィー、電気泳動および免疫沈降を含む数多くの標準技法のいずれによって、未反応アッセイ成分から分離してもよい。分画遠心法において、分子の複合体は、その異なるサイズおよび密度に基づいて、複合体の異なる沈降平衡のために、一連の遠心工程により、複合体を形成していない分子から分離してもよい(例えば、Rivas, G., and Minton, A.P., Trends Biochem Sci 1993 Aug;18(8):284-7を参照)。標準的なクロマトグラフィー技法を利用して、複合体を形成していないものから、複合体を形成した分子を分離してもよい。例えば、ゲル濾過クロマトグラフィーは、サイズに基づいて分子を分離し、例えば、カラム形態にある適切なゲル濾過樹脂を利用することにより、比較的大きな複合体が、比較的小さい、複合体を形成していない成分から分離されるであろう。同様に、複合体を形成していない分子と比べて、複合体の比較的異なる電荷特性を活用して、例えば、イオン交換クロマトグラフィー樹脂を使用することにより、複合体を、残りの個々の反応体から区別して分離してもよい。そのような樹脂およびクロマトグラフィー技法が、当業者によく知られている(例えば、Heegaard, 1998, J Mol. Recognit. 11:141-148; Hage and Tweed, 1997, J. Chromatogr. B. Biomed. Sci. Appl., 699:499-525を参照)。ゲル電気泳動を利用して、未結合種から複合体を形成した分子を分離してもよい(例えば、Ausubel et al (eds.), In: Current Protocols in Molecular Biology, J. Wiley & Sons, New York. 1999を参照)。この技法において、タンパク質または核酸の複合体は、例えば、サイズまたは電荷に基づいて分離される。電気泳動プロセス中に結合相互作用を維持するために、還元剤の不在下での非変性ゲルが典型的に好ましいが、特定の反応体に適切な条件が、当業者によく知られているであろう。免疫沈降は、溶液からタンパク質−タンパク質複合体を単離するために利用される別の一般的な技法である(例えば、Ausubel et al (eds.), In: Current Protocols in Molecular Biology, J. Wiley & Sons, New York. 1999を参照)。この技法において、結合分子の内の1つに特異的な抗体に結合する全てのタンパク質が、遠心法により容易に収集されるポリマービーズにその抗体を結合させる(conjugating)ことによって、溶液から沈降される。結合したアッセイ成分は、ビーズから放出され(特異的タンパク質分解事象または複合体中のタンパク質−タンパク質相互作用を妨害しない当該技術分野によく知られた他の技法により)、この時には対応する異なる相互作用アッセイ成分に特異的な抗体を利用して、第2の免疫沈降工程が行われる。このようにして、唯一の形成された複合体がビーズに結合したままになるはずである。試験化合物の存在下と不在下の両方における複合体の形成における変異を比べることができ、それゆえ、その化合物の、オートファジー関連遺伝子産物とその結合パートナーとの間の相互作用を変調する能力についての情報が提供される。
【0067】
オートファジー関連遺伝子産物の発現の変調物質は、例えば、細胞を候補の化合物と接触させ、細胞中のオートファジー関連遺伝子に対応するmRNAまたはタンパク質の発現を決定する方法を使用して特定してもよい。候補の化合物の存在下でのmRNAまたはタンパク質の発現のレベルが、候補の化合物の不在下でのmRNAまたはタンパク質の発現のレベルと比べられる。次いで、候補の化合物を、この比較に基づいて、オートファジー関連遺伝子産物の発現の変調物質として特定することができる。例えば、オートファジー関連遺伝子産物の発現が、候補の化合物の存在下でのほうが、不在下でよりも大きい場合、候補の化合物が、マーカーmRNAまたはタンパク質発現の刺激剤(stimulator)として特定される。逆に、オートファジー関連遺伝子産物の発現が、候補の化合物の存在下でのほうが、不在下でよりも小さい場合、候補の化合物が、マーカーmRNAまたはタンパク質発現の阻害剤(inhibitor)として特定される。細胞中のオートファジー関連遺伝子産物の発現レベルは、マーカーmRNAまたはタンパク質を検出するための、ここに記載された方法によって決定できる。
【0068】
オートファジー阻害遺伝子産物の活性を阻害する作用物質は、例えば、オートファジーの促進および神経変性疾患の治療において、有用である。オートファジー阻害遺伝子産物のそのような阻害剤の例が、表7および図63に列記されている。
【表7】

【0069】
あるいは、オートファジー阻害遺伝子産物の活性を促進させる作用物質は、例えば、オートファジーの阻害並びに癌および膵炎の治療において、有用である。オートファジー阻害遺伝子産物のそのような促進物質の例が、表8および図63に列記されている。
【表8】

【0070】
表1〜4に列記されたオートファジー関連遺伝子産物を変調する作用物質のさらに別の例が、例えば、米国特許第7,348,140号; 同第6,982,265号; 同第6,723,694号; 同第6,617,311号; 同第6,372,250号; 同第6,334,998号; 同第6,319,905号; 同第6,312,949号; 同第6,297,238号; 同第6,228,835号; 同第6,214,334号; 同第6,096,778号; 同第5,990,083号; 同第5,834,457号; 同第5,783,683号; 同第5,681,747号; 同第5,556,837号; 同第5,464,614号の各明細書に見られ、これらの各々の全てがここに具体的に引用される。表1〜4に列記されたオートファジー関連遺伝子産物を変調する作用物質の例が、例えば、米国特許出願公開第2009/0137572号; 同第2009/0136475号; 同第2009/0105149号; 同第2009/0088401号; 同第2009/0087454号; 同第2009/0087410号; 同第2009/0075900号; 同第2009/0074774号; 同第2009/0074711号; 同第2009/0074676号; 同第2009/0069245号; 同第2009/0068194号; 同第2009/0068168号; 同第2009/0060898号; 同第2009/0047240号; 同第2009/0042803号; 同第2009/0029992号; 同第2009/0011994号; 同第2009/0005431号; 同第2009/0005309号; 同第2009/0004194号; 同第2008/0319026号; 同第2008/0312247号; 同第2008/0300316号; 同第2008/0300180号; 同第2008/0299138号; 同第2008/0280991号; 同第2008/0280886号; 同第2008/0268071号; 同第2008/0262086号; 同第2008/0255200号; 同第2008/0255084号; 同第2008/0255036号; 同第2008/0242687号; 同第2008/0241289号; 同第2008/0234284号; 同第2008/0234257号; 同第2008/0221132号; 同第2008/0194672号; 同第2008/0194555号; 同第2008/0187490号; 同第2008/0171769号; 同第2008/0167312号; 同第2008/0146573号; 同第2008/0132555号; 同第2008/0125386号; 同第2008/0124379号; 同第2008/0103189号; 同第2008/0051465号; 同第2008/0051383号; 同第2008/0045588号; 同第2008/0045561号; 同第2008/0045558号; 同第2008/0039473号; 同第2008/0033056号; 同第2008/0021036号; 同第2008/0021029号; 同第2008/0004300号; 同第2007/0293525号; 同第2007/0293494号; 同第2007/0287734号; 同第2007/0286853号; 同第2007/0281965号; 同第2007/0281894号; 同第2007/0280886号; 同第2007/0274981号; 同第2007/0259891号; 同第2007/0259827号; 同第2007/0254877号; 同第2007/0249519号; 同第2007/0248605号; 同第2007/0219235号; 同第2007/0219114号; 同第2007/0203064号; 同第2007/0173440号; 同第2007/0155820号; 同第2007/0149622号; 同第2007/0149580号; 同第2007/0134273号; 同第2007/0129389号; 同第2007/0112031号; 同第2007/0099964号; 同第2007/0099952号; 同第2007/0098716号; 同第2007/0093480号; 同第2007/0082929号; 同第2007/0004765号; 同第2007/0004654号; 同第2006/0286102号; 同第2006/0276381号; 同第2006/0265767号; 同第2006/0263368号; 同第2006/0257867号; 同第2006/0223742号; 同第2006/0211752号; 同第2006/0199796号; 同第2006/0194821号; 同第2006/0166871号; 同第2006/0147456号; 同第2006/0134128号; 同第2006/0115475号; 同第2006/0110746号; 同第2006/0058255号; 同第2006/0025566号; 同第2006/0009454号; 同第2006/0009452号; 同第2006/0002866号; 同第2005/0288316号; 同第2005/0288243号; 同第2005/0250719号; 同第2005/0249751号; 同第2005/0246794号; 同第2005/0227921号; 同第2005/0222171号; 同第2005/0197341号; 同第2005/0187237号; 同第2005/0182006号; 同第2005/0175581号; 同第2005/0171182号; 同第2005/0164298号; 同第2005/0153955号; 同第2005/0153878号; 同第2005/0148511号; 同第2005/0143381号; 同第2005/0119273号; 同第2005/0106142号; 同第2005/0096363号; 同第2005/0070493号; 同第2005/0043233号; 同第2005/0043221号; 同第2005/0038049号; 同第2005/0015263号; 同第2005/0009870号; 同第2004/0266777号; 同第2004/0261190号; 同第2004/0248965号; 同第2004/0248884号; 同第2004/0242559号; 同第2004/0241797号; 同第2004/0229250号; 同第2004/0220270号; 同第2004/0204368号; 同第2004/0192629号; 同第2004/0186157号; 同第2004/0132648号; 同第2004/0091919号; 同第2004/0072836号; 同第2004/0063708号; 同第2004/0063707号; 同第2004/0057950号; 同第2003/0225098号; 同第2003/0220246号; 同第2003/0211967号; 同第2003/0199525号; 同第2003/0187001号; 同第2003/0186844号; 同第2003/0166574号; 同第2003/0166573号; 同第2003/0166001号; 同第2003/0153752号; 同第2003/0077298号; 同第2003/0069430号; 同第2003/0059455号; 同第2003/0040612号; 同第2009/0099069号; 同第2008/0312413号; 同第2008/0280845号; 同第2008/0248462号; 同第2008/0248462号; 同第2008/0213250号; 同第2008/0145313号; 同第2008/0021080号; 同第2008/0021036号; 同第2008/0004309号; 同第2007/0298124号; 同第2007/0298104号; 同第2007/0281986号; 同第2007/0264195号; 同第2007/0232556号; 同第2007/0190149号; 同第2007/0111934号; 同第2007/0071675号; 同第2007/0021360号; 同第2007/0010658号; 同第2006/0235034号; 同第2006/0233799号; 同第2006/0160737号; 同第2006/0128696号; 同第2006/0121042号; 同第2006/0039904号; 同第2006/0019882号; 同第2005/0272655号; 同第2005/0197293号; 同第2004/0247592号; 同第2004/0204356号; 同第2004/0132023号; 同第2004/0116669号; 同第2004/0072836号; 同第2004/0048895号; 同第2004/0022765号; 同第2003/0165485号; 同第2003/0162964号; 同第2003/0153503号; 同第2003/0125276号; 同第2003/0114657号; 同第2003/0091569号; 同第2003/0078199号; 同第2002/0137095号; 同第2001/0006793号; 同第2001/0002393号; 同第2002/0183319号; および 同第2002/0156081号の各明細書にも見られ、これらの各々の全てがここに具体的に引用される。
【0071】
4. オートファジー関連遺伝子産物のオリゴヌクレオチド阻害剤
本発明のある実施の形態において、オートファジー関連RNA遺伝子産物のオリゴヌクレオチド阻害剤が、オートファジーを変調し、オートファジー関連疾病を治療するために使用される。オリゴヌクレオチド阻害剤としては、以下に限られないが、アンチセンス分子、siRNA分子、shRNA分子、リボザイムおよび三重分子(triplex molecules)が挙げられる。そのような分子が当該技術分野において公知であり、当業者は、所定の方法を使用して、本発明のオートファジー関連遺伝子のいずれについてのオリゴヌクレオチド阻害剤も作製することができるであろう。
【0072】
アンチセンス分子、siRNAまたはshRNA分子、リボザイムまたは三重分子は、細胞と接触させても、または生物に投与してもよい。あるいは、そのような分子をコード化する構築体(constructs)を細胞と接触させても、もしくは細胞または生物に導入してもよい。アンチセンス構築体、アンチセンスオリゴヌクレオチド、RNA干渉構築体またはsiRNA二重RNA分子を使用して、関心のあるタンパク質、例えば、本発明のオートファジー関連遺伝子の発現を妨げても差し支えない。典型的にmRNA配列の補体の少なくとも15、17、19、または21のヌクレオチドが、アンチセンス分子にとって十分である。典型的に標的配列の少なくとも15、17、19、または21のヌクレオチドが、RNA干渉分子にとって十分である。いくつかの実施の形態において、RNA干渉分子は2ヌクレオチド3’オーバーハングを有する。RNA干渉分子が、構築体からの、例えば、ヘアピン分子からまたは所望のオートファジー関連遺伝子配列の逆繰返し配列からの細胞中で発現される場合、内因性細胞機構により、オーバーハングが作製されるであろう。siRNAは、化学合成、インビトロ転写、またはRnase IIIまたはDicerによる長いdsRNAの消化によって調製できる。これらは、トランスフェクション、エレクトロポレーション、細胞内感染または当該技術分野に公知の他の方法により細胞中に導入できる。例えば、Hannon, GJ, 2002, RNA Interference, Nature 418: 244-251; Bernstein E et al., 2002, The rest is silence. RNA 7: 1509-1521; Hutvagner G et al., RNAi: Nature abhors a double-strand. Cur. Open. Genetics & Development 12: 225-232; Brummelkamp, 2002, A system for stable expression of short interfering RNAs in mammalian cells. Science 296: 550-553; Lee NS, Dohjima T, Bauer G, Li H, Li M-J, Ehsani A, Salvaterra P, and Rossi J. (2002). Expression of small interfering RNAs targeted against HIV-1 rev transcripts in human cells. Nature Biotechnol. 20:500-505; Miyagishi M, and Taira K. (2002). U6-promoter-driven siRNAs with four uridine 3' overhangs efficiently suppress targeted gene expression in mammalian cells. Nature Biotechnol. 20:497-500; Paddison PJ, Caudy AA, Bernstein E, Hannon GJ, and Conklin DS. (2002). Short hairpin RNAs (shRNAs) induce sequence-specific silencing in mammalian cells. Genes & Dev. 16:948-958; Paul CP, Good PD, Winer I, and Engelke DR. (2002). Effective expression of small interfering RNA in human cells. Nature Biotechnol. 20:505-508; Sui G, Soohoo C, Affar E-B, Gay F, Shi Y, Forrester WC, and Shi Y. (2002). A DNA vector-based RNAi technology to suppress gene expression in mammalian cells. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 99(6):5515-5520; Yu J-Y, DeRuiter SL, and Turner DL. (2002). RNA interference by expression of short-interfering RNAs and hairpin RNAs in mammalian cells. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 99(9):6047-6052;国際公開第2006/066048号、同第2009/029688号の各パンフレット、米国特許出願公開第2009/0123426号明細書を参照のこと。これらの各々を全て引用する。
【0073】
アンチセンスまたはRNA干渉分子は、細胞にインビトロで、または例えば、腫瘍または哺乳類の疾病組織にインビボで、送達することができる。当該技術分野に公知の典型的な送達手段を使用することができる。例えば、腫瘍への送達は、腫瘍内注射により行うことができる。制限なく、静脈内、筋肉内、腹膜内、動脈内、手術中の局部送達、内視鏡、皮下、および経口を含む送達の他の態様を使用することができる。任意の特定の施用に関する所望の特性のために、ベクターを選択しても差し支えない。ベクターは、ウイルス、細菌またはプラスミドであり得る。この点に関して、アデノウイルスベクターが有用である。組織特異的、細胞タイプ特異的、または他の調節可能なプロモータを使用して、抑制性ポリヌクレオチド分子の転写を調節するために使用することができる。リポソームまたはナノスフェアなどの非ウイルス担体を使用しても差し支えない。
【0074】
本発明の方法において、RNA干渉分子またはRNA干渉コード化オリゴヌクレオチドを、例えば、送達試薬とも組合せた裸RNAとして、および/またはsiRNAまたはshRNA分子を発現する配列を含む核酸として、対象に投与することができる。いくつかの実施の形態において、siRNAまたはshRNA分子を発現する配列を含む核酸は、ベクター、例えば、プラスミド、ウイルスおよび細菌ベクター内で送達される。当該技術分野に公知のどのような核酸送達法を本発明に使用しても差し支えない。適切な送達試薬としては、以下に限られないが、例えば、Mirus Transit TKO脂肪親和性試薬、lipofectin(登録商標)、lipofectamine(商標)、cellfectin(登録商標)、ポリカチオン(例えば、ポリリシン)、アテロコラーゲン、nanoplex(商標)およびリポソームが挙げられる。
【0075】
核酸分子の送達ビヒクルとしてのアテロコラーゲンの使用が、Minakuchi et al. Nucleic Acids Res., 32(13):e109 (2004); Hanai et al. Ann NY Acad Sci., 1082:9-17 (2006); および Kawata et al. Mol Cancer Ther., 7(9):2904-12 (2008)に記載されており、その各々の全てがここに引用される。
【0076】
本発明のいくつかの実施の形態において、抑制性オリゴヌクレオチドを対象に送達するために、リポソームが使用される。本発明に使用するのに適したリポソームは、標準的な小胞形成脂質から形成でき、これは、一般に、中性のまたは負に荷電したリン脂質およびコレステロールなどのステロールを含む。脂質の選択は、一般に、所望のリポソームのサイズおよび血流中のリポソームの半減期などの要因の検討により導かれる。例えば、Szoka et al. (1980), Ann. Rev. Biophys. Bioeng. 9:467;および米国特許第4,235,871号, 同第4,501,728号, 同第4,837,028号, および同第5,019,369号の各明細書に記載されているような、リポソームを調製するための様々な方法が公知である。その全ての開示がここに引用される。
【0077】
本発明の方法に使用するためのリポソームは、リポソームを癌細胞、膵炎細胞またはニューロンに向けるリガンド分子を含み得る。細胞タイプに特異的な抗原に結合するモノクローナル抗体などの、癌細胞、膵炎細胞またはニューロン中に蔓延した受容体に結合するリガンドが好ましい。
【0078】
本発明に使用するためのリポソームは、単核マクロファージ系(「MMS」)および細網内皮系(「RES」)によるクリアランスを避けるように修飾することもできる。そのような修飾リポソームは、表面上にまたはリポソーム構造中に組み込まれたオプソニン作用阻害部位を有する。ある実施の形態において、本発明のリポソームは、オプソニン作用阻害部位およびリガンドの両方を含み得る。
【0079】
本発明のリポソームを調製するのに使用するオプソニン作用阻害部位は、典型的に、リポソーム膜に結合した大きい親水性ポリマーである。ここに用いたように、オプソニン作用阻害部位は、例えば、膜自体中に脂質可溶性アンカーのインターカレーションにより、または膜脂質の活性基への直接的な結合により、化学的または物理的に膜に付着されたときに、リポソーム膜に「結合」している。これらのオプソニン作用阻害親水性ポリマーは、例えば、ここにその開示を引用する、米国特許第4920016号明細書に記載されているように、MMSおよびRESによるリポソームの摂取を著しく減少させる保護表面層を形成する。
【0080】
リポソームを修飾するのに適したオプソニン作用阻害部位は、好ましくは約500から約40,0000ダルトン、より好ましくは約2,000から約20,000ダルトンの数平均分子量を有する水溶性ポリマーである。そのようなポリマーとしては、ポリエチレングリコール(PEG)またはポリプロピレングリコール(PPG)誘導体;例えば、メトキシPEGまたはPPG、およびステアリン酸PEGまたはPPG;ポリアクリルアミドまたはポリN−ビニルピロリドンなどの合成ポリマー;直鎖、分岐鎖、またはデンドリマーポリアミドアミン;ポリアクリル酸;ポリアルコール、例えば、カルボン酸基またはアミノ基が化学的に結合するポリビニルアルコールおよびポリキシリトール、並びにガングリオシドGM1などのガングリオシドが挙げられる。PEG、メトキシPEG、またはメトキシPPG、もしくはその誘導体のコポリマーも適している。その上、オプソニン作用阻害ポリマーは、PEGおよびポリアミノ酸、多糖類、ポリアミドアミン、ポリエチレンアミン、またはポリヌクレオチドいずれかのブロックコポリマーであって差し支えない。オプソニン作用阻害ポリマーは、アミノ酸またはカルボン酸、例えば、ガラクツロン酸、グルクロン酸、マンヌロン酸、ヒアルロン酸、ペクチン酸、ノイラミン酸、アルギン酸、カラギーナンを含有する天然の多糖類;アミン化多糖類またはオリゴ糖類(直鎖または分岐鎖);またはカルボキシル化多糖類またはオリゴ糖類、例えば、カルボキシル基の結果としての結合によるカルボン酸の誘導体と反応した;であって差し支えない。オプソニン作用阻害部位がPEG、PPG、またはその誘導体であることが好ましい。PEGまたはPEG誘導体により修飾されたリポソームは、ときには、「PEG化(PEGylated)リポソーム」と呼ばれる。
【0081】
オプソニン作用阻害部位は、数多くのよく知られた技法のいずれか1つによってリポソーム膜に結合させても差し支えない。例えば、PEGのN−ヒドロキシスクシンイミドエステルは、ホスファチジル−エタノールアミン脂質可溶性アンカーに結合させ、次いで、膜に結合させることができる。同様に、デキストランポリマーは、60℃での30:12の比率のテトラヒドロフランと水などの、溶媒混合物およびNa(CN)BH3を使用した還元性アミン化により、ステアリルアミン脂質可溶性アンカーにより誘導体化できる。
【0082】
オプソニン作用阻害部位により修飾されたリポソームは、未修飾のリポソームよりもずっと長く、循環中に残る。この理由のために、そのようなリポソームは、ときには「ステルス(stealth)」リポソームと呼ばれる。ステルスリポソームは、多孔質または「漏れ孔のある(leaky)」微小血管系により供給される組織中に蓄積することが知られている。それゆえ、そのような微小血管系欠陥により特徴付けられる組織、例えば、固形癌は、これらのリポソームを効率的に蓄積する。Gabizon, et al. (1988), Proc. Natl. Acad. Sci., USA, 18:6949-53を参照のこと。その上、RESによる摂取の減少により、肝臓および脾臓中のリポソームの著しい蓄積を防ぐことによって、ステルスリポソームの毒性が低下する。
【0083】
5. オートファジー関連遺伝子産物に特異的な抗体
高い特異性で特定の標的に結合する能力のために、ポリペプチドオートファジー関連遺伝子産物に特異的な抗体は、そのような遺伝子産物の活性を阻害するかまたは促進し、それによって、オートファジーを阻害するかまたは促進することができる。例えば、いくつかの実施の形態において、受容体に特異的な抗体は、活性化リガンドとの相互作用を遮断することによって、その受容体の活性を阻害することができる。同様に、可溶性リガンド(例えば、サイトカインまたは成長因子)または膜結合リガンドに特異的な抗体は、リガンドの受容体への結合を阻害することによって、リガンドに結合できる受容体の活性を阻害することができる。他の実施の形態において、受容体に特異的な抗体を使用して、架橋させ、それによって、受容体を活性化させることもできる。抗体は、細胞外タンパク質(例えば、受容体および/またはリガンド)の活性を阻害または促進するのに特に有用であるが、細胞中のタンパク質機能を阻害するための細胞内抗体の使用も、当該技術分野において公知である(例えば、Carlson, J. R. (1988) Mol. Cell. Biol. 8:2638-2646; Biocca, S. et al. (1990) EMBO J. 9:101-108; Werge, T. M. et al. (1990) FEBS Lett. 274:193-198; Carlson, J. R. (1993) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:7427-7428; Marasco, W. A. et al. (1993) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:7889-7893; Biocca, S. et al. (1994) Biotechnology (NY) 12:396-399; Chen, S-Y. et al. (1994) Hum. Gene Ther. 5:595-601; Duan, L et al. (1994) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91:5075-5079; Chen, S-Y. et al. (1994) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91:5932-5936; Beerli, R. R. et al. (1994) J. Biol. Chem. 269:23931-23936; Beerli, R. R. et al. (1994) Biochem. Biophys. Res. Commun. 204:666-672; Mhashilkar, A. M. et al. (1995) EMBO J. 14:1542-1551; Richardson, J. H. et al. (1995) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 92:3137-3141; Marasco et al.による国際公開第94/02610号パンフレッ; および Duan et al.による国際公開第95/03832号パンフレットを参照のこと)。したがって、オートファジー関連遺伝子のペプチド産物に特異的な抗体は、本発明の方法のための生物学的作用物質として有用である。
【0084】
オートファジー関連遺伝子のペプチド産物に特異的に結合する抗体は、Kohler and Milstein, Nature 256: 495 (1975)により記載されている標準的な体細胞ハイブリダイゼーション技法などの様々な公知の技法を使用して産生できる。さらに、当該技術分野に公知のモノクローナル抗体を製造するための他の技法、例えば、Bリンパ球のウイルスまたは発癌形質転換、ヒト抗体遺伝子のライブラリを使用したファージディスプレイ技法を利用しても差し支えない。
【0085】
ポリクローナル抗体は、適切な対象をポリペプチド免疫原で免疫化させることによって調製することができる。免疫化された対象におけるポリペプチド抗体の力価は、固定化ポリペプチドを使用した酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)などの標準技法によって、時間の経過でモニタすることができる。所望であれば、抗原に対して作られた抗体を哺乳類から(例えば、血液から)単離し、さらに、IgG分画を得るためのタンパク質Aクロマトグラフィーなどの、よく知られた技法によって精製しても差し支えない。免疫化後の適切な時間で、例えば、抗体の力価が最高であるときに、抗体産生細胞を、対象から得て、モノクローナル抗体を調製するために使用することができる。
【0086】
リンパ球および不死化された細胞系統を融合するために使用される多くのよく知られたプロトコルのいずれを、オートファジー関連遺伝子の産物に対して特異的なモノクローナル抗体を産生する目的に適用しても差し支えない(例えば、Galfre, G. et al. (1977) Nature 266:55052; Gefter et al. (1977) 前出; Lerner (1981) 前出; Kenneth (1980) 前出を参照のこと)。さらに、当業者には、有用であろうそのような方法の多くの変種があることが認識されよう。典型的に、不死細胞系統(例えば、骨髄腫細胞系統)が、リンパ球と同じ哺乳類種から誘導される。例えば、ネズミ・ハイブリドーマは、本発明の免疫原調製物により免疫化されたネズミからのリンパ球を、不死化されたネズミ細胞系統と融合することによって作製することができる。適切なネズミ細胞系統の例は、ハイポキサンチン、アミノプテリンおよびチミジンを含有する培養培地(「HAT培地」)に感受性のあるネズミ骨髄腫細胞系統である。標準技法による融合パートナーとして、数多くの骨髄腫細胞系統のいずれを、例えば、P3-NS1/1-Ag4-1, P3-x63-Ag8.653 または Sp2/O-Ag14骨髄腫系統を使用しても差し支えない。これらの骨髄腫系統は、メリーランド州、ロックビル所在のアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC)から入手できる。典型的に、HAT−感受性ネズミ骨髄腫細胞は、ポリエチレングリコール(「PEG」)を使用して、ネズミ脾細胞に融合される。次いで、融合から生じたハイブリドーマ細胞を、HAT培地を使用して選択する。この培地は、未融合のおよび非生産的に融合された骨髄腫細胞を殺す(形質転換されていないので、未融合の脾細胞は数日後に死亡する)。本発明のモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞は、例えば、標準的ELISA検定法を使用して、所定のポリペプチドに結合する抗体について、ハイブリドーマ培養上清をスクリーニングすることによって検出される。
【0087】
モノクローナル抗体分泌ハイブリドーマの調製の代案として、適切なオートファジー関連遺伝子産物に関する組換え組合せイムノグロブリンライブラリ(例えば、抗体ファージまたは酵母ディスプレイライブラリ)をスクリーニングし、それによって、オートファジー関連遺伝子産物に結合するイムノグロブリンライブラリの構成員を単離することによって、上述したオートファジー関連遺伝子産物の内の1つに特に特異的なモノクローナル抗体を特定し、単離することができる。ファージディスプレイライブラリを生成し、スクリーニングするためのキットが市販されており(例えば、the Pharmacia Recombinant Phage Antibody System, Catalog No. 27-9400-01; および the Stratagene SurfZAP(商標) Phage Display Kit, Catalog No. 240612)、ファージおよび酵母ディスプレイライブラリをスクリーニングする方法が当該技術分野において公知である。抗体ディスプレイライブラリを生成し、スクリーニングするのに特に使用しやすい方法および試薬の例が、例えば、Ladner et al. 米国特許第5,223,409号明細書; Kang et al. 国際公開第92/18619号パンフレット; Dower et al. 国際公開第91/17271号パンフレット; Winter et al. 国際公開第92/20791号パンフレット; Markland et al. 国際公開第92/15679号パンフレット; Breitling et al. 国際公開第93/01288号パンフレット; McCafferty et al. 国際公開第92/01047号パンフレット; Garrard et al. 国際公開第92/09690号パンフレット; Ladner et al. 国際公開第90/02809号パンフレット; Fuchs et al. (1991) Biotechnology (NY) 9:1369-1372; Hay et al. (1992) Hum. Antibod. Hybridomas 3:81-85; Huse et al. (1989) Science 246:1275-1281; Griffiths et al. (1993) EMBO J. 12:725-734; Hawkins et al. (1992) J. Mol. Biol. 226:889-896; Clarkson et al. (1991) Nature 352:624-628; Gram et al. (1992) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:3576-3580; Garrard et al. (1991) Biotechnology (NY) 9:1373-1377; Hoogenboom et al. (1991) Nucleic Acids Res. 19:4133-4137; Barbas et al. (1991) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88:7978-7982; および McCafferty et al. (1990) Nature 348:552-554に見つけられる。
【0088】
その上、オートファジー関連遺伝子産物に対するキメラヒト化抗体は、米国特許第5,565,332号明細書に開示されたものなどの標準プロトコルにしたがって作製することができる。別の実施の形態において、抗体鎖または特異的結合対構成員は、例えば、米国特許第5,565,332号, 同第5,871,907号, または同第5,733,743号の各明細書に記載されているような、当該技術分野に公知の技法を使用して、再生可能な包括的ディスプレイパッケージの成分および特定の結合対構成員のポリペプチド鎖の融合をコード化する核酸分子を含むベクターと、1つの結合対構成員の第2のポリペプチド鎖をコード化する核酸分子を含有するベクターとの間の組換えによって、産生することができる。
【0089】
別の実施の形態において、オートファジー関連遺伝子産物に対して作られたヒトモノクローナル抗体は、マウス系ではなくヒト免疫系の部分を担持する遺伝子導入または染色体導入マウスを使用して、生成できる。ある実施の形態において、ここでは「ヒト化マウス」と称される遺伝子導入マウスは、内因性μおよびκ鎖座を不活性化させるまたは削除する標的突然変異と共に、未再配列ヒト重鎖および軽鎖可変部位イムノグロブリン配列をコード化するヒトイムノグロブリン遺伝子ミニ遺伝子座を含有する(Lonberg, N. et al. (1994) Nature 368(6474): 856 859)。このマウスは、ヒト重鎖定常部位イムノグロブリン配列も含有するであろう。したがって、マウスは、マウスIgMまたはκをわずかしかまたは全く発現せず、免疫に応答して、導入されたヒト重鎖および軽鎖可変部位導入遺伝子は、クラススイッチおよび体細胞突然変異を受けて、高親和性ヒト可変部位抗体を生成する(Lonberg, N. et al. (1994), 前出; reviewed in Lonberg, N. (1994) Handbook of Experimental Pharmacology 113:49 101; Lonberg, N. and Huszar, D. (1995) Intern. Rev. Immunol. Vol. 13: 65 93, および Harding, F. and Lonberg, N. (1995) Ann. N. Y Acad. Sci 764:536 546)。上述した技法または当該技術分野に公知の任意の他の技法を使用して、完全ヒトモノクローナル抗体を生成するために、これらのマウスを使用することができる。ヒト化マウスの調製は、Taylor, L. et al. (1992) Nucleic Acids Research 20:6287 6295; Chen, J. et al. (1993) International Immunology 5: 647 656; Tuaillon et al. (1993) Proc. Natl. Acad. Sci USA 90:3720 3724; Choi et al. (1993) Nature Genetics 4:117 123; Chen, J. et al. (1993) EMBO J. 12: 821 830; Tuaillon et al. (1994) J. Immunol. 152:2912 2920; Lonberg et al., (1994) Nature 368(6474): 856 859; Lonberg, N. (1994) Handbook of Experimental Pharmacology 113:49 101; Taylor, L. et al. (1994) International Immunology 6: 579 591; Lonberg, N. and Huszar, D. (1995) Intern. Rev. Immunol. Vol. 13: 65 93; Harding, F. and Lonberg, N. (1995) Ann. N.Y. Acad. Sci 764:536 546; Fishwild, D. et al. (1996) Nature Biotechnology 14: 845 851に記載されている。さらに、全てLonberg および Kayの米国特許第5,545,806号; 同第5,569,825号; 同第5,625,126号; 同第5,633,425号; 同第5,789,650号; 同第5,877,397号; 同第5,661,016号; 同第5,814,318号; 同第5,874,299号; および 同第5,770,429号; Surani等の米国特許第5,545,807号の各明細書も参照のこと。
【0090】
6. 薬剤組成物
本発明は、オートファジー関連遺伝子産物の変調物質を含む薬剤組成物を提供する。ある態様において、本発明は、1種類以上の薬学的に許容される担体(添加剤)および/または希釈剤が共に配合された、上述した作用物質を1種類以上、治療に効果的な量で含む薬学的に許容される組成物を提供する。別の態様において、本発明の作用物質は、そのままで投与しても、または薬学的に許容される担体との混合物で投与しても差し支えなく、他の作用物質と共に投与しても差し支えない。それゆえ、併合療法は、本発明の1種類以上の作用物質の連続、同時および別々の投与または同時投与を含み、ここで、最初に投与されたものの治療効果は、その後の化合物が投与されたときに、完全には消えていない。
【0091】
以下に詳しく記載するように、本発明の薬剤組成物は、以下のために適用されたものを含む、固体または液体の形態で投与するために特別に配合してもよい:(1)経口投与、例えば、水薬(水性または非水性溶液または懸濁液)、錠剤、例えば、口内、舌下、および全身吸収を目的としたもの、大きい丸薬、粉末、顆粒、舌に施すためのペースト;(2)例えば、滅菌溶液または懸濁液、または持効性配合物として、皮下、筋肉内または硬膜外注射による、非経口投与;(3)例えば、クリーム、軟膏、または制御放出貼布または皮膚に塗布されるスプレーとしての局所適用;(4)例えば、ペッサリー、クリームまたは泡としての膣内または直腸内;(5)舌下;(6)眼;(7)経皮;または(8)鼻。
【0092】
上述したように、ある実施の形態において、本発明の作用物質は、アミノまたはアルキルアミノなどの塩基性官能基を含有する化合物であってよく、それゆえ、薬学的に許容される酸と薬学的に許容される塩を形成することができる。これらの塩は、投与ビヒクルまたは投与形態製造プロセス中にその場で、または遊離塩基形態にある本発明の精製化合物の適切な有機または無機酸との別の反応、およびそのように形成された塩のその後の精製中の単離によって、調製しても差し支えない。代表的な塩としては、臭化水素酸塩、塩化水素酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、酢酸塩、吉草酸塩、オレイン酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩、ラウリン酸塩、安息香酸塩、乳酸塩、トシル酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、ナフチル酸塩、メシル酸塩、グルコヘプトン酸塩、ラクトビオン酸塩、およびラウリルスルホン酸塩などが挙げられる(例えば、Berge et al. (1977) "Pharmaceutical Salts", J. Pharm. Sci. 66:1-19を参照のこと)。
【0093】
主題の化合物の薬学的に許容される塩としては、例えば、非毒性有機または無機酸からの、その化合物の従来の非毒性塩または第四級アンモニウム塩が挙げられる。例えば、そのような従来の非毒性塩としては、塩化水素酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸などの無機酸由来の塩;並びに酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パルミチン酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、スルファニル酸、2−アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、オキサル酸、イセチオン酸などの有機酸から調製された塩が挙げられる。
【0094】
他の場合において、本発明の作用物質は、1種類以上の酸性官能基を含有する化合物であってよく、それゆえ、薬学的に許容される塩基と薬学的に許容される塩を形成することができる。これらの塩は同様に、投与ビヒクルまたは投与形態製造プロセス中にその場で、または遊離酸形態にある精製化合物を、薬学的に許容される金属陽イオンの水酸化物、炭酸塩または重炭酸塩などの適切な塩基と、アンモニアと、または薬学的に許容される有機第一級、第二級または第三級アミンと別々に反応させることによって、調製しても差し支えない。代表的なアルカリまたはアルカリ土類塩としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムおよびアルミニウムの塩などが挙げられる。塩基性付加塩の形成に有用な代表的な有機アミンとしては、エチレンアミン、ジエチレンアミン、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペラジンなどが挙げられる(例えば、Berge et al.前出を参照のこと)。
【0095】
湿潤剤、乳化剤およびラウリル硫酸ナトリウムやステアリン酸マグネシウムなどの滑剤、並びに着色剤、離型剤、コーティング剤、甘味料、香味料および香料、保存料および酸化防止剤が、前記組成物中に存在しても差し支えない。
【0096】
薬学的に許容される酸化防止剤の例としては、(1)アスコルビン酸、システイン塩酸塩、重硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウムなどの水溶性酸化防止剤;(2)パルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、レシチン、没食子酸プロピル、α−トコフェロールなどの油溶性酸化防止剤;および(3)クエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ソルビトール、酒石酸、リン酸などの金属キレート剤が挙げられる。
【0097】
本発明の作用物質の配合物は、単位投与形態で提示されてもよく、製薬学の当該技術分野でよく知られたどの方法により調製されてもよい。単一投与形態を生成するために担体材料と組み合わせることのできる活性成分の量は、治療されている宿主および投与の特定の形態に応じて、様々である。単一投与形態を生成するために担体材料と組み合わせることのできる活性成分の量は、一般に、治療効果を生じる作用物質のその量である。
【0098】
ある実施の形態において、本発明の配合物は、以下に限られないが、シクロデキストリン、リポソーム、ミセル形成剤、例えば、胆汁酸、および高分子担体、例えば、ポリエステルおよびポリ無水物を含む賦形剤;および本発明の作用物質を含む。ある実施の形態において、上述した配合物により、本発明の作用物質が経口的に生物学的に利用可能になる。
【0099】
これらの配合物または組成物を調製する方法は、本発明の作用物質を担体、および必要に応じて1種類以上の副成分と会合させる工程を含んでよい。
【0100】
本発明の化合物の経口投与のための液体投与形態としては、薬学的に許容されるエマルション、マイクロエマルション、溶液、懸濁液、シロップおよびエリキシル剤が挙げられる。活性剤に加え、この液体投与形態は、例えば、水または他の溶媒などの当該技術分野で一般に使用される不活性希釈剤、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、油(特に、綿実油、ラッカセイ油、トウモロコシ油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフリルアルコール、ポリエチレングリコールおよびソルビタンの脂肪酸エステルなどの可溶化剤および乳化剤、およびそれらの混合物を含有してもよい。
【0101】
この経口組成物は、不活性希釈剤以外に、湿潤剤、乳化剤、懸濁剤、甘味料、香味料、着色剤、香料および保存料などのアジュバントも含有して差し支えない。
【0102】
懸濁液は、活性化合物に加え、例えば、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールおよびソルビタンエステル、微結晶性セルロース、メタ水酸化アルミニウム、ベントナイト、寒天(agar-agar)およびトラガカントなどの懸濁剤、およびそれらの混合物を含有するであろう。
【0103】
経口投与に適した本発明の配合物は、各々が活性成分として本発明の化合物を所定の量で含有する、カプセル、カシェ剤(cachets)、丸薬、錠剤、トローチ剤(loenges)(風味基剤、通常スクロースおよびアカシアまたはトラガカントを使用した)、粉末、顆粒の形態にある、または水性または非水性液体中の溶液または懸濁液として、または水中油または油中水液体エマルション、またはエリキシル剤またはシロップ、もしくはトローチ剤(pastilles)(ゼラチンおよびグリセリン、またはスクロースおよびアカシアなどの不活性基剤を使用した)としておよび/またはマウスウォッシュなどとしてであってよい。本発明の化合物は、大きい丸薬、舐剤またはペーストとして投与してもよい。
【0104】
経口投与のための本発明の固体投与形態(カプセル、錠剤、丸薬、糖衣錠、粉末、顆粒など)において、活性成分は、クエン酸ナトリウムまたはリン酸二カルシウムなどの1種類以上の薬学的に許容される担体および/または以下の内のいずれか:(1)デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、および/またはケイ酸などの充填剤または増量剤;(2)例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロースおよび/またはアカシアなどの結合剤;(3)グリセロールなどの湿潤剤;(4)寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモまたはタピオカデンプン、アルギン酸、特定のケイ酸塩、および炭酸ナトリウムなどの崩壊剤;(5)パラフィンなどの溶解遅延剤;(6)第四級アンモニウム化合物などの吸収促進剤;(7)例えば、セチルアルコール、モノステアリン酸グリセロール、および非イオン界面活性剤などの湿潤剤;(8)カオリンおよびベントナイト粘土などの吸収剤;(9)タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、およびそれらの混合物などの滑剤;および(10)着色剤;と混合される。カプセル、錠剤および丸薬の場合、薬剤組成物は緩衝剤も含んでよい。類似のタイプの固体組成物は、ラクトースすなわち乳糖、並びに高分子量ポリエチレングリコールなどの賦形剤を使用した殻の軟らかいおよび硬いゼラチンカプセル内に充填剤して使用してもよい。
【0105】
錠剤は、1種類以上の副成分と共に、圧縮または成形により製造してもよい。圧縮錠剤は、結合剤(例えば、ゼラチンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース)、滑剤、不活性希釈剤、保存料、崩壊剤(例えば、デンプングリコール酸ナトリウムまたは架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム)、界面活性剤または分散剤を使用して調製してもよい。成形錠剤は、適切な装置内で、不活性液体希釈剤で湿らされた粉末化合物の混合物を成形することによって、製造してもよい。
【0106】
本発明の薬剤組成物の錠剤、および糖衣錠、カプセル、丸薬および顆粒などの他の固体投与形態は、必要に応じて、刻み目を入れても、薬剤配合の技術分野においてよく知られた腸溶コーティングまたは他のコーティングなどの、コーティングおよび殻と共に調製してもよい。それらは、所望の放出プロファイルを提供するための様々な比率での、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、他のポリマーマトリクス、リポソームおよび/または微小球を使用して、その中の活性成分の放出を遅くするまたは制御するように配合されてもよい。本発明の組成物は、迅速な放出のために配合されても、例えば、凍結乾燥されてもよい。それらは、例えば、細菌保持フィルタに通す濾過により、または使用直前に滅菌水または他の滅菌注射用媒質中に溶解させられる滅菌固体組成物の形態で滅菌剤を含ませることにより、滅菌されてもよい。これらの組成物は、必要に応じて、隠蔽剤を含有してもよく、胃腸管の特定の部分内のみで、またはそこで優先的に、必要に応じて、遅延様式で、活性成分が放出されるような組成物の形態にあってよい。使用できる包埋組成物の例としては、高分子物質および蝋が挙げられる。活性成分は、適切な場合、1種類以上の上述した賦形剤と共に、微小被包形態にあっても差し支えない。
【0107】
直腸または膣投与のための本発明の薬剤組成物の配合物は、座薬として提供してもよく、これは、本発明の1種類以上の化合物を、例えば、カカオバター、ポリエチレングリコール、座薬ワックスまたはサリチル酸エステルを含む1種類以上の適切な非刺激性賦形剤または担体と混合することにより調製してよく、室温で固体であるが、体温で液体であり、したがって、直腸または膣の腔内で溶融し、活性化合物を放出する。
【0108】
膣投与に適した本発明の配合物としては、適切であることが当該技術分野において知られているような担体を含有する、ペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、泡またはスプレー配合物が挙げられる。
【0109】
本発明の化合物の局所または経皮投与のための投与形態としては、粉末、スプレー、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、溶液、貼布および吸入薬が挙げられる。活性化合物は、無菌条件下で、薬学的に許容される担体と、また要求されるであろう任意の保存料、緩衝剤、または噴霧剤と混合してもよい。
【0110】
これらの軟膏、ペースト、クリームおよびゲルは、本発明の活性化合物に加え、獣脂および植物油、蝋、パラフィン、澱粉、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、ケイ酸、タルクおよび酸化亜鉛、またはそれらの混合物などの賦形剤を含有してもよい。
【0111】
粉末およびスプレーは、本発明の化合物に加え、ラクトース、タルク、ケイ酸、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウムおよびポリアミド粉末、またはこれらの物質の混合物などの賦形剤を含有して差し支えない。スプレーは、それに加え、クロロフルオロ炭化水素、並びにブタンおよびプロパンなどの揮発性未置換炭化水素などの通例の噴霧剤を含有し得る。
【0112】
経皮貼布には、本発明の化合物の体への制御された送達を提供する追加の利点がある。そのような投与形態は、化合物を適切な媒質中に溶解させるまたは分散させることによって製造することができる。吸収促進剤を使用して、皮膚を通過する化合物の流れを増加させても差し支えない。そのような流れの速度は、速度制御膜を提供する、または化合物を高分子マトリクスまたはゲル中に分散させることによって、制御することができる。
【0113】
眼内配合物、眼用軟膏粉末、溶液なども、本発明の範囲内であると考えられる。
【0114】
非経口投与に適した本発明の薬剤組成物は、使用直前に滅菌注射用溶液または分散液中でもどされ、糖類、アルコール、酸化防止剤、緩衝剤、静菌剤、配合物を意図する受容者の血液と等張性にする溶質、もしくは懸濁剤または増粘剤を含有してよい、1種類以上の薬学的に許容される滅菌等張水性または非水性溶液、分散液、懸濁液またはエマルション、もしくは滅菌粉末と組み合わせて、本発明の1種類以上の化合物を含む。
【0115】
本発明の薬剤組成物に使用してよい適切な水性および非水性溶液の例としては、水、エタノール、ポリオール(グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)、およびその適切な混合物、オリーブ油などの植物油、およびオレイン酸エチルなどの注射用有機エステルが挙げられる。適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティング材料の使用により、分散液の場合の要求される粒径の維持により、また界面活性剤の使用により、維持することができる。
【0116】
ある場合には、薬物の効果を長引かせるために、皮下または筋肉内注射からの薬物の吸収を遅らせることが望ましい。このことは、水溶性が不十分な結晶質または非晶質材料の懸濁液の使用により行われるであろう。その結果、薬物の吸収速度は、その溶解速度に依存し、この速度は、次に、結晶サイズおよび結晶形態に依存するであろう。あるいは、非経口投与される薬物形態の遅延吸収は、薬物を油ビヒクル中に溶解させるまたは懸濁させることによって行われる。
【0117】
注射用デポー剤形態は、ポリラクチド−ポリグリコリドなどの生分解性高分子中に主題の化合物の微小カプセルマトリクスを形成することによって製造される。薬物対高分子の比、および使用される特定の高分子の性質に応じて、薬物放出の速度を制御することができる。他の生分解性高分子の例としては、ポリ(オルトエステル)およびポリ(無水物)が挙げられる。デポー剤注射用配合物は、体内組織に適合性であるリポソームまたはマイクロエマルション中に薬物を取り込むことによって調製される。
【0118】
本発明の作用物質を含む例示の配合物は、以下に限られないが、体温での化学的安定性、放出の機能的効率時間、毒性および最適投与量を含む様々な性質に基づいて決定される。
【0119】
本発明の調製物は、経口、非経口、局所、または直腸で与えられる。それらは、もちろん、各投与経路に適した形態で与えられる。例えば、それらは、錠剤またはカプセル形態で、注射、吸入、眼用ローション、軟膏、座薬により、注射、注入または吸入による投与;ローションまたは軟膏により局所;および座薬による直腸で投与される。
【0120】
選択された投与経路にかかわらず、適切な水和形態で使用してよい本発明の化合物、および/または本発明の薬剤組成物は、当業者に公知の従来の方法によって、薬学的に許容される投与形態に配合される。
【0121】
ある実施の形態において、上述した薬剤組成物は、本発明の1種類以上の作用物質、化学療法薬、および必要に応じての薬学的に許容される担体を含む。
【0122】
化学療法薬という用語は、制限するものではなく、カルボプラチンおよびシスプラチンなどの白金系作用物質;窒素マスタードアルキル化剤;カルムスチン(BCNU)などのニトロソウレアアルキル化剤および他のアルキル化剤;メトトレキサートなどの代謝拮抗物質;プリン類似体代謝拮抗物質;フルオロウラシル(5−FU)およびゲムシタビンなどのピリミジン類似体代謝拮抗物質;ゴセレリン、ロイプロリド、およびタモキシフェンなどのホルモン抗腫瘍薬;タキサン(例えば、ドセタキセルおよびパクリタキセル)、アルデスロイキン、インターロイキン−2、エトポシド(VP−16)、インターフェロンα、およびトレチノイン(ATRA)などの天然抗腫瘍薬;ブレオマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、およびマイトマイシンなどの抗生物質である天然抗腫瘍薬;並びにビンブラスチンおよびビンクリスチンなどのビンカアルカロイドである天然抗腫瘍薬が挙げられる。
【0123】
さらに、それ自体では化学療法薬と考えられていなくても、以下の薬物を、化学療法薬と組み合わせて使用してもよい:ダクチノマイシン;ダウノルビシンHCl;ドセタキセル;ドキソルビシンHCl;エポエチンα;エトポシド(VP−16);ガンシクロビルナトリウム;ゲンタマイシン硫酸塩;インターフェロンα;ロイプロリド酢酸塩;メペリジンHCl;メタドンHCl;ビンブラスチン硫酸塩;およびジドブジン(AZT)。例えば、フルオロウラシルは、最近、特に効果的な組合せを形成するために、エピネフリンおよびウシのコラーゲンと共に配合されている。
【0124】
さらにまた、アミノ酸、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、多糖類、および他の巨大分子の以下のリストを使用してもよい:突然変異体および類似体を含む、インターロイキン1から18;インターフェロンα、βおよびγなどのインターフェロンまたはサイトカイン;黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)および類似体、並びにゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)などのホルモン;トランスフォーミング増殖因子−β(TGF−β)、線維芽細胞増殖因子(FGF)、神経成長因子(NGF)、成長ホルモン放出因子(GHRF)、上皮成長因子(EGF)、線維芽細胞増殖因子相同因子(FGFHF)、肝細胞成長因子(HGF)、およびインスリン様成長因子(IGF)などの成長因子;腫瘍壊死因子−αおよびβ(TNF−αおよびβ);浸潤阻害因子−2(IIF−2);骨形成タンパク質1−7(BMP−1−7);ソマトスタチン;サンモシン−α−1;γ−グロブリン;スーパーオキシドディムスターゼ(SOD);補体因子;血管新生阻害因子;抗原性物質;およびプロドラッグ。
【0125】
ここに記載された組成物および治療方法に使用するための化学療法薬としては、以下に限られないが、チオテパおよびシクロホスファミドなどのアルキル化剤;ブスルファン、インプロスルファンおよびピポスルファンなどのスルホン酸アルキル;ベンゾドーパ(benzodopa)、カルボコン、メツレドーパ(meturedopa)、およびウレドーパ(uredopa)などのアジリジン;アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホルアミド、トリエチレンチオホスホルアミドおよびトリメチロールメラミンを含むエチレンイミンおよびメチラメラミン;アセトゲニン(特にブラタシンおよびブラタシノン);カンプトセシン(合成類似体トポテカンを含む);カンプトテシン(合成類似体トポテカンを含む);ブリオスタチン;カリスタチン;CC-1065(そのアドゼレシン、カルゼレシンおよびビゼレシン合成類似体を含む);クリプトフィシン(特にクリプトフィシン1およびクリプトフィシン8);ドラスタチン;ズオカルマイシン(合成類似体、KW-2189およびCB1-TM1を含む);エレウテロビン;パンクラチスタチン;サルコジクチン(sarcodictyin);スポンジスタチン;クロランブシル、クロロナファジン(chlornaphazine)、コロホスファミド(cholophosphamide)、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、メクロレタミンオキシドヒドロクロリド、メルファラン、ノベンビチン(novembichin)、フェネステリン(phenesterine)、プレドニムスチン(prednimustine)、トロフォスファミド(trofosfamide)、ウラシルマスタードなどのナイトロジェンマスタード;カルムスチン、クロロゾトシン(chlorozotocin)、フォテムスチン(fotemustine)、ロムスチン、ニムスチン、およびラニムスチンなどのニトロスレアス(nitrosureas);抗生物質、例えば、エネジイン抗生物質(例えば、カリケアマイシン(calicheamicin)、特にカリケアマイシンγ1IおよびカリケアマイシンωI1;ダイネマイシン(dynemicin)Aを含むダイネマイシン;クロドロネートなどのビスホスホネート;エスペラマイシン;並びにネオカルチノスタチン発色団および関連する色素蛋白エネジイン抗生物質発色団、アクラシノマイシン(aclacinomysins)、アクチノマイシン、オースラマイシン(authramycin)、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン(cactinomycin)、カラビシン(carabicin)、カルミノマイシン、カルジノフィリン(carzinophilin)、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン(detorbicin)、6−ジアゾ−5−オキソ−L−ノルロイシン、ドキソルビシン(モルホリノ−ドキソルビシン、シアノモルホリノ−ドキソルビシン、2−ピロリノ−ドキソルビシンおよびデオキシドキソルビシンを含む)、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシンCなどのマイトマイシン、マイコフェノール酸(mycophenolic acid)、ノガラマイシン(nogalamycin)、オリボマイシン(olivomycins)、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン(potfiromycin)、ピューロマイシン、ケラマイシン(quelamycin)、ロドルビシン(rodorubicin)、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン(tubercidin)、ウベニメクス、ジノスタチン(zinostatin)、ゾルビシン(zorubicin);代謝拮抗剤、例えば、メトトレキセートおよび5−フルオロウラシル(5−FU);葉酸類似体、例えば、デノプテリン(denopterin)、メトトレキセート、プテロプテリン(pteropterin)、トリメトレキセート(trimetrexate);プリン類似体、例えば、フルダラビン(fludarabine)、6-メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニン;ピリミジン類似体、例えば、アンシタビン、アザシチジン(azacitidine)、6−アザウリジン(azauridine)、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン(enocitabine)、フロキシウリジン(floxuridine);アンドロゲン、例えば、カルステロン(calusterone)、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトン(testolactone);抗副腎剤、例えば、アミノグルテチミド、ミトタン、トリロ
スタン;葉酸リプレニッシャー(replenisher)、例えば、フロリン酸(frolinic acid);アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;エニルウラシル;アムサクリン(amsacrine);ベストラブシル(bestrabucil);ビサントレン(bisantrene);エダトラキセート(edatraxate);デフォファミン(defofamine);デメコルシン(demecolcine);ジアジコン(diaziquone);エルフォルニチン(elfornithine);酢酸エリプチニウム(elliptinium);エポチロン(epothilone);エトグルシド(etoglucid);硝酸ガリウム;ヒドロキシ尿素;レンチナン;ロニダミン;メイタンシノイド(maytansinoid)、例えば、メイタンシン(maytansine)およびアンサミトシン(ansamitocine);ミトグアゾン(mitoguazone);ミトキサントロン;モピダンモール(mopidanmol);ニトラエリン(nitraerine);ペントスタチン;フェナメット(phenamet);ピラルビシン;ロソキサントロン(losoxantrone);ポドフィリン酸(podophyllinic acid);2−エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK多糖類複合体);ラゾキサン(razoxane);リゾキシン;シゾフィラン;スピロゲルマニウム(spirogermanium);テニュアゾン酸(tenuazonic acid);トリアジコン(triaziquone);2,2’,2”−トリクロロトリエチルアミン;トリコテセン(特にT−2毒素、ベラクリン(verracurin)A、ロリジン(roridine)Aおよびアングイジン(anguidine));ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン(mannomustine);ミトブロニトール;ミトラクトール(mitolactol);ピポブロマン(pipobroman);ガシトシン(gacytosine);アラビノシド(「Ara−C」);シクロホスファミド;チオテパ;タキソイド、例えば、パクリタキセル、ドキセタキセル;クロランブシル;ゲムシタビン(gemcitabine);6−チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキセート;白金配位錯体、例えば、シスプラチン、オキサリプラチンおよびカルボプラチン;ビンブラスチン;白金;エトポシド(VP-16);イホスファミド;マイトキサントロン;ビンクリスチン;ビノレルビン;ノバントロン(novantrone);テニポシド;エダトレキセート(edatrexate);ダウノマイシン;アミノプテリン;キセローダ(xeloda);イバンドロナート(ibandronate);イリノテカン(例えば、CPT−11);トポイソメラーゼインヒビターRFS2000;ジフルオロメチロールニチン(DMFO);レチノイン酸などのレチノイド;カペシタビン(capecitabine);および上述したものの任意のものの薬学的に許容される塩、酸または誘導体が挙げられる。
【0126】
別の実施の形態において、本発明の組成物は、治療薬またはプロドラッグ、例えば、他の化学療法薬、スカベンジャー化合物、抗生物質、抗ウイルス薬、抗真菌剤、抗炎症剤、血管収縮薬および抗凝血薬、癌ワクチン用途に有用な抗原または対応するプロドラッグを含んでよい。
【0127】
例示のスカベンジャー化合物としては、以下に限られないが、グルタチオン、チオウレア、およびシステインなどのチオール含有化合物;マンニトール、置換フェノールなどのアルコール;キノン、置換フェノール、アリールアミンおよびニトロ化合物が挙げられる。
【0128】
化学療法薬および/または他の生物学的に活性な作用物質の様々な形態を使用してよい。これらは、制限するものではなく、生物学的に活性である、非荷電分子、分子複合体、塩、エーテル、エステル、アミドなどの形態を含む。
【0129】
7. 本発明の治療法
本発明はさらに、癌、神経変性疾患、肝疾患、筋疾患および膵炎を含むオートファジー関連疾病を治療する新規の治療方法であって、対象(例えば、その必要がある対象)に、本発明のオートファジー関連遺伝子産物の変調物質を効果的な量、投与する工程を含む方法を提供する。
【0130】
その必要がある対象としては、例えば、前癌状態腫瘍を含む腫瘍、癌と診断された対象、または以前の治療では効果がなかった対象を含む、治療されてきた対象が挙げられる。
【0131】
オートファジーは、神経損傷後に生じる軸索変性において役割を果たすのに関係すると見なされてきた。例えば、外傷性脊髄損傷により、軸索内カルシウムレベルが急激に上昇し、これにより、ニューロンのオートファジーおよび細胞死が増加する(Knoferle et al., (2009), PNAS, 107, 6064-6069)。カルシウムの流れまたはオートファジーいずれかの阻害により、軸索変性が軽減される。特に、本発明のオートファジー変調物質のスクリーニングにおいて、数多くのカルシウム結合タンパク質が特定された(表5)。それゆえ、ある実施の形態において、本発明は、カルシウム結合オートファジー変調遺伝子産物の変調による、または他のオートファジー関連遺伝子産物の変調による、神経外傷後の軸索変性の治療または予防に関する。
【0132】
本発明の方法は、どのような癌性または前癌状態の腫瘍を治療するために使用してもよい。本発明の方法および組成物により治療されるであろう癌としては、以下に限られないが、膀胱、血液、骨、骨髄、脳、乳房、結腸、食道、胃腸、歯肉、頭部、腎臓、肝臓、肺、鼻咽頭、頚部、卵巣、前立腺、皮膚、胃、精巣、舌、または子宮からの癌細胞が挙げられる。その上、癌は、具体的には、以下に限られないが、以下の組織タイプのものであってよい:腫瘍、悪性;癌;癌、未分化;巨細胞および紡錘細胞癌;小細胞癌;乳頭癌;扁平上皮癌;リンパ上皮癌;基底細胞癌;毛母癌;移行上皮癌;乳頭移行上皮癌;腺癌;ガストリノーマ、悪性;胆管癌;肝細胞癌;肝細胞癌および胆管癌の合併;索状腺癌;腺様嚢胞癌;腺腫性ポリープにおける腺癌;腺癌、家族性結腸ポリポーシス;固形癌;カルチノイド腫瘍、悪性;細気管支肺胞癌;乳頭腺癌;嫌色素癌;好酸性癌;好酸性腺癌;好塩基性癌;透明細胞腺癌;顆粒細胞癌;濾胞状腺癌;乳頭腺癌および濾胞状腺癌;非被嚢性硬化性癌;副腎皮質細胞癌;類内膜癌;皮膚付属器癌;アポクリン腺癌;皮脂腺癌;耳垢腺癌;粘膜表皮癌;嚢胞腺癌;乳頭状嚢胞腺癌;乳頭漿液性嚢胞腺;ムチン性嚢胞腺癌;粘液腺癌;印環細胞癌;浸潤性導管癌;髄様癌;小葉癌;炎症性乳癌;パジェット病、乳房;腺房細胞癌;腺扁平上皮癌;腺癌w/扁平上皮化生;胸腺腫、悪性;卵巣間質性腫瘍、悪性;卵胞膜細胞腫、悪性;顆粒膜細胞腫、悪性;神経芽細胞腫、悪性;セルトリ細胞癌;ライディッヒ細胞腫、悪性;脂質細胞腫瘍、悪性;傍神経節腫、悪性;乳房外傍神経節腫、悪性;褐色細胞腫;血管球血管肉腫;悪性黒色腫;メラニン欠乏性黒色腫;表在拡大型黒色腫;巨大色素性母斑における悪性黒色腫;類上皮細胞黒色腫;青色母斑、悪性;肉腫;線維肉腫;線維性組織球腫、悪性;粘液肉腫;脂肪肉腫;平滑筋肉腫;横紋筋肉腫;胎児性横紋筋肉腫;胞巣状横紋筋肉腫;間質肉腫;混合腫瘍、悪性;ミュラー管混合腫瘍;腎芽細胞腫;肝芽腫;癌肉腫;間葉腫、悪性;ブレンナー腫瘍、悪性;葉状腫瘍、悪性;滑膜肉腫;中皮腫、悪性;未分化胚細胞腫;胚性癌腫;奇形腫、悪性;卵巣甲状腺腫、悪性;絨毛癌;中腎腫、悪性;血管肉腫;血管内皮腫、悪性;カポジ肉腫;血管周囲細胞腫、悪性;リンパ管肉腫;骨肉腫;傍骨性骨肉腫;軟骨肉腫;軟骨芽細胞腫、悪性;間葉性軟骨肉腫;骨巨細胞腫;ユーイング肉腫;歯原性腫瘍、悪性;エナメル上皮歯芽肉腫;エナメル上皮腫、悪性;エナメル上皮線維肉腫;松果体腫、悪性;脊索腫;神経膠腫、悪性;上衣腫;星状細胞腫;原形質性星状細胞腫;線維性星状細胞腫;星状芽細胞腫;膠芽細胞腫;乏突起膠腫;乏突起膠芽細胞腫;未分化神経外胚葉性腫瘍;小脳肉腫;神経節芽細胞腫;神経芽細胞腫;網膜芽腫;嗅神経原性腫瘍;髄膜腫、悪性;神経線維肉腫;神経鞘腫、悪性;顆粒細胞腫、悪性;悪性リンパ腫;ホジキン病;ホジキンリンパ腫;側肉芽腫;悪性リンパ腫、小リンパ球性;悪性リンパ腫、大細胞、びまん性;悪性リンパ腫、濾胞性;菌状息肉腫;その他の特定の非ホジキンリンパ腫;悪性組織球増殖症;多発性骨髄腫;肥満細胞腫;免疫増殖性小腸疾患;白血病;リンパ性白血病;形質細胞白血病;赤白血病;リンパ肉腫細胞性白血病;骨髄性白血病;好塩基球性白血病;好酸球性白血病;単球性白血病;肥満細胞性白血病;巨核芽球性白血病;骨髄性肉腫;および有毛細胞白血病。
【0133】
ある実施の形態において、本発明の方法は、化学療法薬と組み合わせた本発明のオートファジー阻害剤の投与を含む、癌の治療を含む。そのようなオートファジー阻害剤としては、オートファジー促進遺伝子の産物の活性を阻害する作用物質(表2)およびオートファジー阻害遺伝子の産物の活性を向上させる作用物質(表1)が挙げられる。どのような化学療法薬も、本発明の方法に使用するのに適しており、特に、癌細胞中に細胞ストレスを誘発する化学療法薬が適している。本発明に有用な化学療法薬としては、以下に限られないが、チオテパおよびシクロホスファミドなどのアルキル化剤;ブスルファン、インプロスルファンおよびピポスルファンなどのスルホン酸アルキル;ベンゾドーパ(benzodopa)、カルボコン、メツレドーパ(meturedopa)、およびウレドーパ(uredopa)などのアジリジン;アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホルアミド、トリエチレンチオホスホルアミドおよびトリメチロールメラミンを含むエチレンイミンおよびメチラメラミン;アセトゲニン(特にブラタシンおよびブラタシノン);カンプトセシン(合成類似体トポテカンを含む);カンプトテシン(合成類似体トポテカンを含む);ブリオスタチン;カリスタチン;CC-1065(そのアドゼレシン、カルゼレシンおよびビゼレシン合成類似体を含む);クリプトフィシン(特にクリプトフィシン1およびクリプトフィシン8);ドラスタチン;ズオカルマイシン(合成類似体、KW-2189およびCB1-TM1を含む);エレウテロビン;パンクラチスタチン;サルコジクチン(sarcodictyin);スポンジスタチン;クロランブシル、クロロナファジン(chlornaphazine)、コロホスファミド(cholophosphamide)、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、メクロレタミンオキシドヒドロクロリド、メルファラン、ノベンビチン(novembichin)、フェネステリン(phenesterine)、プレドニムスチン(prednimustine)、トロフォスファミド(trofosfamide)、ウラシルマスタードなどのナイトロジェンマスタード;カルムスチン、クロロゾトシン(chlorozotocin)、フォテムスチン(fotemustine)、ロムスチン、ニムスチン、およびラニムスチンなどのニトロスレアス(nitrosureas);抗生物質、例えば、エネジイン抗生物質(例えば、カリケアマイシン(calicheamicin)、特にカリケアマイシンγ1IおよびカリケアマイシンωI1;ダイネマイシン(dynemicin)Aを含むダイネマイシン;クロドロネートなどのビスホスホネート;エスペラマイシン;並びにネオカルチノスタチン発色団および関連する色素蛋白エネジイン抗生物質発色団、アクラシノマイシン(aclacinomysins)、アクチノマイシン、オースラマイシン(authramycin)、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン(cactinomycin)、カラビシン(carabicin)、カルミノマイシン、カルジノフィリン(carzinophilin)、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン(detorbicin)、6−ジアゾ−5−オキソ−L−ノルロイシン、ドキソルビシン(モルホリノ−ドキソルビシン、シアノモルホリノ−ドキソルビシン、2−ピロリノ−ドキソルビシンおよびデオキシドキソルビシンを含む)、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシンCなどのマイトマイシン、マイコフェノール酸(mycophenolic acid)、ノガラマイシン(nogalamycin)、オリボマイシン(olivomycins)、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン(potfiromycin)、ピューロマイシン、ケラマイシン(quelamycin)、ロドルビシン(rodorubicin)、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン(tubercidin)、ウベニメクス、ジノスタチン(zinostatin)、ゾルビシン(zorubicin);代謝拮抗剤、例えば、メトトレキセートおよび5−フルオロウラシル(5−FU);葉酸類似体、例えば、デノプテリン(denopterin)、メトトレキセート、プテロプテリン(pteropterin)、トリメトレキセート(trimetrexate);プリン類似体、例えば、フルダラビン(fludarabine)、6-メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニン;ピリミジン類似体、例えば、アンシタビン、アザシチジン(azacitidine)、6−アザウリジン(az
auridine)、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン(enocitabine)、フロキシウリジン(floxuridine);アンドロゲン、例えば、カルステロン(calusterone)、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトン(testolactone);抗副腎剤、例えば、アミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタン;葉酸リプレニッシャー(replenisher)、例えば、フロリン酸(frolinic acid);アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;エニルウラシル;アムサクリン(amsacrine);ベストラブシル(bestrabucil);ビサントレン(bisantrene);エダトラキセート(edatraxate);デフォファミン(defofamine);デメコルシン(demecolcine);ジアジコン(diaziquone);エルフォルニチン(elfornithine);酢酸エリプチニウム(elliptinium);エポチロン(epothilone);エトグルシド(etoglucid);硝酸ガリウム;ヒドロキシ尿素;レンチナン;ロニダミン;メイタンシノイド(maytansinoid)、例えば、メイタンシン(maytansine)およびアンサミトシン(ansamitocine);ミトグアゾン(mitoguazone);ミトキサントロン;モピダンモール(mopidanmol);ニトラエリン(nitraerine);ペントスタチン;フェナメット(phenamet);ピラルビシン;ロソキサントロン(losoxantrone);ポドフィリン酸(podophyllinic acid);2−エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK多糖類複合体);ラゾキサン(razoxane);リゾキシン;シゾフィラン;スピロゲルマニウム(spirogermanium);テニュアゾン酸(tenuazonic acid);トリアジコン(triaziquone);2,2’,2”−トリクロロトリエチルアミン;トリコテセン(特にT−2毒素、ベラクリン(verracurin)A、ロリジン(roridine)Aおよびアングイジン(anguidine));ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン(mannomustine);ミトブロニトール;ミトラクトール(mitolactol);ピポブロマン(pipobroman);ガシトシン(gacytosine);アラビノシド(「Ara−C」);シクロホスファミド;チオテパ;タキソイド、例えば、パクリタキセル、ドキセタキセル;クロランブシル;ゲムシタビン(gemcitabine);6−チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキセート;白金配位錯体、例えば、シスプラチン、オキサリプラチンおよびカルボプラチン;ビンブラスチン;白金;エトポシド(VP-16);イホスファミド;マイトキサントロン;ビンクリスチン;ビノレルビン;ノバントロン(novantrone);テニポシド;エダトレキセート(edatrexate);ダウノマイシン;アミノプテリン;キセローダ(xeloda);イバンドロナート(ibandronate);イリノテカン(例えば、CPT−11);トポイソメラーゼインヒビターRFS2000;ジフルオロメチロールニチン(DMFO);レチノイン酸などのレチノイド;カペシタビン(capecitabine);および上述したものの任意のものの薬学的に許容される塩、酸または誘導体が挙げられる。
【0134】
ある実施の形態において、本発明の方法は、放射線療法と組み合わせた本発明のオートファジー阻害剤の投与を含む、癌の治療を含む。放射線療法の最適線量は、一日当たりの線量として対象に与えられる。放射線療法の最適の一日当たりの線量は、例えば、約0.25から0.5Gy、約0.5から1.0Gy、約1.0から1.5Gy、約1.5から2.0Gy、約2.0から2.5Gy、および約2.5から3.0Gyであってよい。例示の一日当たりの線量は、例えば、約2.0から3.0Gyであってよい。例えば、腫瘍が放射線の低線量に対して耐性である場合、より高い線量の放射線を照射してもよい。放射線の高線量は、例えば、4Gyに到達するであろう。さらに、治療の過程で照射される放射線の総線量は、例えば、約50から200Gyに及んでよい。例示の実施の形態において、治療の過程で照射される放射線の総線量は、例えば、約50から80Gyに及んでよい。ある実施の形態において、放射線の線量は、例えば、1、2、3、4、または5分間の時間に亘り与えられてよく、ここで、時間は、放射線源の線量率に依存する。
【0135】
ある実施の形態において、最適化された放射線の一日当たりの線量を、約4から8週間に亘り、例えば、一週当たり4または5日、照射してよい。代わりの実施の形態において、最適化された放射線の一日当たりの線量を、約4から8週間に亘り、一週当たり7日、すなわち毎日、照射してよい。放射線の毎日の線量は、一回の線量として与えてもよい。あるいは、放射線の毎日の線量は、複数回の線量として与えてもよい。さらに別の実施の形態において、放射線の最適化された線量は、毎日の基準で患者が許容できる線量よりも高い放射線線量であってよい。それゆえ、放射線の高線量を患者に照射してよいが、少ない頻度の照射計画においてである。
【0136】
癌治療に使用してよい放射線のタイプが当該技術分野においてよく知られており、その例としては、電子ビーム、線形加速装置からもしくはコバルトやセシウムなどの放射性線源からの高エネルギー光子、陽子、および中性子が挙げられる。例示の電離放射線は、X線である。
【0137】
放射線を照射する方法が当該技術分野においてよく知られている。例示の方法としては、以下に限られないが、外部ビーム照射、内部ビーム照射、および放射性医薬品が挙げられる。外部ビーム照射において、癌の影響を受けている体の区域に高エネルギーX線を送達するために、線形加速装置が使用される。放射線源が体外にあるので、均一な放射線量で、体の広い区域を治療するために、外部ビーム照射を使用することができる。近接照射療法としても知られている内部照射療法は、体内の特定の部位に高線量の放射線を送達することを含む。内部照射療法の2つの主要なタイプには、影響を受けた組織内に放射線源が配置される組織内照射、および影響を受けた区域から短距離にある体腔内に放射線源が配置される腔内照射がある。放射性物質は、腫瘍特異的抗体に結合させることによって、腫瘍細胞に送達してもよい。内部照射療法に使用される放射性物質は、典型的に、小さなカプセル、ペレット、ワイヤ、管、またはインプラント内に収容される。反対に、放射性医療品は、体腔中に、経口、静脈または直接与えてもよい非密封線源である。
【0138】
放射線療法は、線形加速装置またはガンマナイフを使用して正確な量の放射線を小さい腫瘍区域に送達できる定位手術または定位放射線療法、および放射線治療の前に腫瘍の位置をマッピングするためのコンピュータ支援療法である三次元原体照射療法(3DCRT)を含んでもよい。
【0139】
その必要がある対象の例としては、以前の治療では効果のない対象を含む、神経変性疾患について治療されている対象または神経変性疾患と診断された対象が挙げられる。
【0140】
本発明の方法を使用して、どのような神経変性疾患を治療してもよい。ある実施の形態において、神経変性疾患は、タンパク質症、またはタンパク質フォールディング病である。そのようなタンパク質症の例としては、以下に限られないが、アルツハイマー病、パーキンソン病、レビー小体型認知症、ALS、ハンチントン病、脊髄小脳性運動失調、および球脊髄性筋萎縮症が挙げられる。他の実施の形態において、本発明の方法を使用してどのような神経変性疾患も治療することができる。本発明の方法により治療できる神経変性疾患としては、以下に限られないが、副腎白質萎縮症、アルコール中毒症、アレキサンダー病、アルパース病、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症、毛細血管拡張性運動失調症、バッテン病、牛海綿状脳症、カナバン病、脳性小児まひ、コケイン症候群、大脳皮質基底核変性症、クロイツフェルト・ヤコブ病、致死性家族性不眠症、前頭側頭葉変性症、ハンチントン病、HIV関連認知症、ケネディ病、クラッベ病、レビー小体型認知症、神経ボレリア症、マシャド・ジョセフ病、多系統萎縮症、多発性硬化症、ナルコレプシー、ニーマンピック病、パーキンソン病、ペリツェウス・メルツバッハー病、ピック病、原発性側索硬化症、プリオン病、進行性核上性麻痺、レフサム病、サンドオフ病、シルダー病、悪性貧血の次の脊髄の亜急性連合変性症、シュピールマイアー・フォークト・シェーグレン・バッテン病、脊髄小脳性運動失調、脊髄性筋萎縮症、スティール・リチャードソン・オルゼウスキー病、脊髄癆、および中毒性脳症が挙げられる。
【0141】
その必要がある対象の例としては、以前の治療では効果のない対象を含む、肝疾患について治療されている対象または肝疾患と診断された対象が挙げられる。ある実施の形態において、肝疾患は、タンパク質症、またはタンパク質フォールディング病である。そのようなタンパク質症の例は、α1−アンチトリプシン欠乏症である。
【0142】
その必要がある対象の例としては、以前の治療では効果のない対象を含む、筋疾患について治療されている対象または筋疾患と診断された対象が挙げられる。ある実施の形態において、筋疾患は、タンパク質症、またはタンパク質フォールディング病である。そのようなタンパク質症の例は、以下に限られないが、孤発性封入体筋炎、2B型肢体型筋ジストロフィー症および三好型ミオパチーが挙げられる。
【0143】
その必要がある対象の例としては、以前の治療では効果のない対象を含む、タンパク質症と診断された対象が挙げられる。タンパク質症の例としては、以下に限られないが、アルツハイマー病、脳βアミロイド血管障害、網膜神経節細胞の変性、プリオン病(例えば、牛海綿状脳症、クル病、クロイツフェルト・ヤコブ病、変異型クロイツフェルト・ヤコブ病、ゲルストマン・ストロイスラー・シャインカー症候群、致死性家族性不眠症)、タウオパチー(例えば、前頭側頭型認知症、アルツハイマー病、進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症、前頭側頭葉変性症)、前頭側頭葉変性症、筋萎縮性側索硬化症、ハンチントン病、家族性英国型認知症、家族性デンマーク型認知症、アミロイドーシスを伴う遺伝性脳出血(アイスランド型)、CADASIL、アレキサンダー病、セルピン病、家族性アミロイドニューロパシー、老人性全身性アミロイドーシス、セルピン病、ALアミロイドーシス、AAアミロイドーシス、2型糖尿病、大動脈内側アミロイドーシス、ApoAIアミロイドーシス、ApoIIアミロイドーシス、ApoAIVアミロイドーシス、フィンランド型家族性アミロイドーシス、リゾチームアミロイドーシス、フィブリノーゲンアミロイドーシス、透析アミロイドーシス、封入体筋炎/ミオパチー、白内障、甲状腺髄様癌、心房アミロイドーシス、下垂体プロラクチノーマ、遺伝性格子状角膜異栄養症、皮膚苔癬アミロイドーシス、隔膜ラクトフェリンアミロイドーシス、肺胞蛋白症、アミロイド産生性歯原性腫瘍、精嚢アミロイドーシス、嚢胞性線維症、鎌状赤血球症および重症疾患ミオパチーが挙げられる。
【0144】
いくつかの実施の形態において、本発明の主題の薬剤組成物は、予防または治療上の処置の一部として、含まれる治療薬または他の材料の治療に効果的な量を患者に送達するのに十分な量で送達されるべき物質を含む。活性剤の所望の濃度は、吸収、不活性化、および薬物の排泄速度並びに化合物の送達速度に依存する。用量値も、緩和すべき症状の重症度により様々であろうことに留意すべきである。任意の特定の対象について、個々の必要性および組成物を投与するまたはその投与を管理する人の専門的な判断力にしたがって、特定の投与計画を時間の経過と共に調節すべきことがさらに理解すべきである。典型的に、投与は、当業者に公知の技法を使用して決定される。
【0145】
主題の作用物質の投与は、その作用物質の血漿濃度を参照して決定してよい。例えば、最大血漿濃度(Cmax)および時間の0から無限大までの血漿濃度対時間の曲線の下の面積(AUC(0−4))を使用してもよい。本発明の服用量は、CmaxおよびAUC(0−4)に関する上述した値を生じるもの、およびそれらのパラメータについてより大きいまたは小さい値を生じる他の服用量を含む。
【0146】
本発明の薬剤組成物中の活性成分の実際の服用量レベルは、患者にとって毒性ではない、特定の患者、組成物、および投与様式について所望の治療反応を達成するのに効果的である活性成分の量を得るように変えてもよい。
【0147】
選択される服用量レベルは、使用する特定の作用物質の活性、投与経路、投与時間、使用されている特定の化合物の排泄または代謝速度、治療期間、使用されている特定の化合物と組み合わせて使用される他の薬物、化合物および/または材料、治療されている患者の年齢、性別、体重、状態、一般的な健康および以前の病歴、および医術でよく知られた同様に要因を含む様々な要因に依存する。
【0148】
当該技術分野において通常の技術を備えた医師または獣医は、要求される薬剤組成物の効果的な量を容易に決定し、処方できる。例えば、医師または獣医は、所望の治療効果を達成するために必要な容量よりも少ないレベルで薬剤組成物中に用いられる本発明の作用物質の用量を処方および/または投与し、所望の効果が達成されるまでその用量を徐々に増加させても差し支えない。
【0149】
一般に、本発明の作用物質の適切な毎日の用量は、治療効果を生じるのに効果的な最小の容量である作用物質の量である。そのような効果的な用量は、一般に、上述した要因に依存する。
【0150】
所望であれば、作用物質の効果的な毎日の用量は、必要に応じて、単位投与形態で、一日中、適切な間隔で別々に投与される2、3、4、5、6回以上の副用量として投与してもよい。
【0151】
所定の患者において最も効果的な治療を生じる、投与の正確な時間および任意の特定の作用物質の量は、特定の作用物質の活性、薬物動力学、および生物学的利用率、患者の生理的状態(年齢、性別、疾患のタイプおよび段階、一般的な健康状態、所定の服用量に対する感応性および医薬品のタイプ)、投与経路などに依存する。ここに提示されたガイドラインを使用して治療を最適化する、例えば、投与の最適時間および/または量を決定してもよく、これには、対象をモニタすること、および服用量および/またはタイミングを調節することからなる決まりきった実験以上は必要としない。
【0152】
対象が治療されている間、対象の健康状態は、24時間中の所定の時間で関連する指標の1つ以上を測定することによってモニタしてもよい。補給物、量、投与の時間および配合を含む、治療の全ての態様は、そのようなモニタの結果にしたがって、最適化してもよい。患者は、同じパラメータを測定することによって、改善の程度を決定するために、定期的に再評価してもよく、そのような再評価の最初のものは、典型的に、治療の始まりから4週間後に行われ、その後の再評価は、治療中4から8週間毎に行われ、次いで、その後は、3ヶ月毎に行われる。治療は、数ヶ月または数年に亘り継続してもよく、最小で1ヶ月が、ヒトにとっての典型的な治療期間である。例えば、投与される作用物質の量および投与の時間に対する、調節は、これらの再評価に基づいて行ってよい。
【0153】
治療は、化合物の最適用量未満の少ない服用量で開始してもよい。その後、服用量は、最適な治療効果が得られるまで、わずかな増分だけ増加させてもよい。オートファジー関連遺伝子産物を変調する作用物質、および第2の作用物質、例えば、オートファジー関連疾患の治療に有用な別の作用物質の併用により、任意の個々の作用物質の必要服用量が減少するかもしれない。何故ならば、異なる化合物および/または作用物質の効果の開始と期間が相補的であるかもしれないからである。
【実施例】
【0154】
材料および方法
細胞株および培養条件
H4ヒト神経芽細胞腫細胞を、10%の正常子牛血清、ペニシリン/ストレプトマイシン、ピルビン酸ナトリウム(Invitrogen)および適切であれば、0.4〜1.2mg/mLのG418を補給したDMEM培地中において標準組織培養条件下で培養した。LC3−GFPおよびFYVE−dsRedH4細胞を、Zhang et al., PNAS, 102, 15545-15550 (2007)に記載されたように生成した。Lamp1を発現する安定株を生成するために、TransIT LT1試薬(Mirus)を使用して、H4細胞にLamp1−RFPをトランスフェクションし、その後、0.4mg/mLのG418で選択した。LC3−GFPおよびFYVE−dsRedH4細胞をpBabe−Bcl−2レトロウイルスに感染させることによりBcl−2発現細胞株を生成し、その後、1μg/mLのピューロマイシンにより選択した。
【0155】
サイトカインアッセイのために、24ウェル(ウェスタン)または96ウェル(LC3−GFP数量化)プレートいずれか内で完全培地中0.5×105で播種した。24時間後、細胞をPBS中で洗浄し、さらに24時間に亘り、無血清OptiMEM培地(Invitrogen)を、表示の成長因子および/またはサイトカインと共に加えた。使用した成長因子およびサイトカインとしては、ヒトTNFα(Cell Science)、ヒトLIF(GeneScript Corporation)、ヒトFGF2(ProSpec)、ヒトIGF1(ProSpec)、ヒトSDF1(ProSpec)およびヒトCLCF1(R&D Systems)が挙げられる。飢餓を誘発するために、細胞を24時間に亘り完全培地中で培養し、PBS中で洗浄し、HBSS培地(Invitrogen)中でさらに4時間に亘り培養した。表示されている場合、2.5mMのN−アセチル−L−システイン(NAC, Sigma)を、培地の交換時に加えた。
【0156】
酸化防止剤アッセイについて、細胞を、siRNAトランスフェクションの24時間後に2.5mMのN−アセチル−L−システイン(NAC, Sigma)で処理し、固定化と画像解析(詳細については以下参照)前に、さらに48時間に亘り培養した。ウェスタンブロット分析について、細胞溶解の前に最後の8〜12時間に亘り、リソソームプロテアーゼ阻害剤E64d(Sigma)を加えた。
【0157】
siRNAトランスフェクション
一次スクリーニングについて、ヒトゲノムの大半を網羅する21,121のsiRNAプールのアレイ・ライブラリを使用した(Dharmacon siARRAYsiRNAライブラリ(ヒトゲノム、G−005000−05)、コロラド州、ラフィーエット、Thermo Fisher Scientific)。各プールは、同じ遺伝子からの異なる配列を標的とする4つの特有のオリゴヌクレオチドを含んでいた。各アッセイプレートは、以下の対照も含んだ:非標的siRNA、mTORsiRNA、ATG5siRNAおよびPLK1siRNA(トランスフェクション効率の対照)。siRNAを、HiPerfect試薬(Qiagen)によるリバーストランスフェクションを使用して、40nMの最終濃度でLC3−GFPレポーターを安定に発現するH4細胞中に三重で一時的にトランスフェクションした。HiPerfectをDMEM中で1:20に希釈し、この混合物8μlを384ウェルプレートのウェルに加えた。これらのプレートを1,000rpmで遠心分離し、その後、1μMのアレイsiRNAプール2μlを各ウェルに加えた。30分間のインキュベーション後、ウェルに40μlの培地中の500の細胞を加えた。細胞を、標準培養条件下で72時間に亘りインキュベーションし、1時間に亘り0.5μMのHoechst33342(Invitrogen)で対比染色し、30μlの8%パラホルムアルデヒドの添加により固定化した。30分後、解析前に、細胞をPBSで3回洗浄した。
【0158】
二次スクリーニングについて、各siRNAプールの4つのsiRNAが個々のウェル中に分けられたsiRNAライブラリを使用した。siRNAを30nMの最終濃度(1.5μL/1μMの株のウェル)で使用し、HiPerfectをOptiMEM(Invitrogen)中で1:30に希釈したことを除いて、細胞を、一次スクリーニングにおけるようにトランスフェクションし、処理した。二次スクリーニングのトランスフェクションは、2ラウンドで行った:最初のラウンドでは、LC3−GFPを安定に発現するH4細胞のFYVE−dsRedとの1:1の混合物を三重でトランスフェクションした;二回目のラウンドでは、LC3−GFPを発現するH4細胞のLamp1−RFPとの1:1の混合物を二重でトランスフェクションした。三次特徴付けスクリーニングの全ては、LC3−GFPおよびFYVE−dsRed細胞の混合物を使用して二重で行った。各アッセイプレートは、非標的siRNA並びにmTOR、ATG5、PLK1およびスクリーニングに応じて、Vps34またはSOD1siRNA対照の10〜12ウェルを含んだ。
【0159】
スクリーニングヒットの低スループット確認について、培地1mL当たり2μlまたは6μlのHiPerfect、40nMまたは10nMの最終siRNA濃度およびそれぞれ、H4およびMCF7細胞について、5×104または2×105細胞/mLでの細胞によるリバーストランスフェクションを使用して、12または6ウェルプレート内で細胞をトランスフェクションした。RT−PCRおよびFACS分析のために、72時間後に細胞を収穫した。ウェスタンおよびイメージング分析のために、細胞を、トランスフェクションの24時間後に2.5×104または1×105細胞/mLで24ウェルプレートに分割し、さらに48時間後に収穫した。
【0160】
イメージングおよび画像数量化
高スループットスクリーニングについて、一次スクリーニングについては2つの波長(Hoechstを検出するために350nm、LC3−GFPを検出するために488nm)を、二次スクリーニングについては3つの波長(Lamp1−RFPまたはFYVE−dsRedを検出するために350nm、488nmおよび550nm)を使用して、10倍の倍率で自動化CellWoRx顕微鏡(Applied Precision)により細胞をイメージングした。全ての画像を、VHSscanおよびVHSview画像解析ソフトウェア(Cellomics)を使用して数量化した。合計細胞数、合計LC3−GFP強度/細胞並びにLC3−GFP陽性オートファゴソーム/細胞の数、面積および強度を記録した。核発色強度に基づく解析から、死細胞および分裂細胞の全ては排除した。各ウェルについての最終的なオートファジースコアは、合計オートファゴソーム強度/細胞をオートファゴソーム/細胞の数で乗じ、平均細胞強度で割ることによって、得た。この式は、mTORおよびAtg5対照に対してsiRNAを使用したときの一貫して有意であるz−スコアおよびp−値により反映されるように、サイトゾルからオートファゴソームへのLC3−GFP転座を正確に測定するために、経験的に決定した。転座よりむしろ、レポーターの合計累積を測定する、Lamp1−RFPについて、平均細胞強度による除算を除外したことを除いて、FYVE−dsRedおよびLamp1−RFPスコアは、LC3−GFPと類似の様式で得た。
【0161】
低スループット追加解析について、細胞をガラス製カバースリップ上で増殖させた。4%のパラホルムアルデヒド中の固定化およびHoechstによる対比染色後、カバースリップを50%のグリセロール、0.1%の没食子酸n−プロピル/PBS中に取り付けた。細胞を、Nikon Eclipse E800顕微鏡で40倍の倍率でイメージングした。Metamorphソフトウェアを使用して、細胞数、細胞面積および強度、並びにオートファゴソーム数および強度を数量化した。オートファジーを、細胞当たりのオートファゴソームの数として記録した。
【0162】
「In−cell−western」アッセイ
mTORC1信号伝達および小胞体ストレスの誘発の定量分析について、それぞれ、rpS6リン酸化反応およびKDEL(GRP78/GRP94)発現の「in−cell western」分析を行った。H4細胞を、LC3−GFPアッセイについて記載したように、384ウェルプレート内で培養し、固定化し、対比染色した。イメージング後、細胞を、0.2%のTx−100を含有するPBS中で透過性にし、15分間に亘り20ng/mLで、相対的細胞数を測定するために使用される非特異的リジン反応性プローブである、Alexa−680 NHS−エステルで染色した。その後、細胞を、0.2%のTx−100を含有するPBSで洗浄し、ブロッキング緩衝液(PBS+0.2.%のTx−100で1:1に希釈されたLiCORブロッキング緩衝液)中で30分間に亘りインキュベーションした。次いで、細胞を、ブロッキング緩衝液中で1:1000に希釈されたウサギ−抗−rpS6ホスホ−235/236(Cell Signaling Technologies)、またはマウス−抗−KDEL(Stressgen)抗体と共にインキュベーションした。一次抗体の染色後、細胞を、PBS+0.2%のTx−100中で洗浄し、ブロッキング緩衝液中で1:1000に希釈されたIRDye−800−結合二次抗体(LiCOR)で染色した。プレートをAerium赤外イメージングシステム(LiCOR)で走査した。rpS6ホスホ−235/236またはKDEL染色と、NHS−エステル染色の両方の強度を積算し、ホスホ−rpS6またはKDEL強度をNHS−エステル強度で割ることによって、正規化ホスホ−S6またはKDELスコアを計算した。
【0163】
統計分析
全てのスクリーニングデータを、対数目盛(log10)への変換によって正規化した。一次スクリーニングについて、z−スコアは、プレート中央値(対照は除外した)および中央絶対的偏差(MAD)に基づいて計算した。ここで、z−スコア=(細胞スコア−中央プレートスコア)/(プレートMAD×1.4826)。次いで、z−スコア>1.7または<−1.9にカットオフを設定して、スクリーニングヒットを3つのレプリカ・プレートの中央z−スコアに基づいて選択し、これにより、0.02のp値が得られる。アッセイを二重に行ったことを除いて、rpS6およびKDEL二次スクリーニングについても同じ方法を使用した。LC3−GFP、FYVE−dsRedおよびLamp1−RFP二次スクリーニングについて、z−スコアは、非標的siRNA対照平均および標準偏差に基づいて計算した。LC3−GFPアッセイにおけるヒットの二次確認について、各遺伝子について、4つの個別のsiRNAオリゴヌクレオチドの内の少なくとも2つが、5つのレプリカ・プレートに基づいて中央z−スコア>1.5または<−1.5を有し、一次スクリーニングのz−スコアと一貫していることが要求される。これにより、p<0.01が得られた。全ての他の二次アッセイにおいて、z−スコア>1.5または<−1.5も有意であると考えられた。確認された遺伝子に関する最終的なz−スコアは、二次LC3−GFPアッセイにおいて陽性であると考えられたオリゴヌクレオチドについて、全てのウェルの平均z−スコアに基づいて計算した。
【0164】
LC3−GFPおよび他の二次アッセイの間の相関分析を、個々のアッセイのウェルの四分割分析に基づいて行った:各ウェルについて、両方の特徴についてのz−スコアが>1.5または<−1.5の場合、+1のスコアを割り当て;z−スコアのいずれかがカットオフに到達しなかった場合、0のスコアを割り当てた。次いで、個々のウェルのスコアを、LC3−GFPアッセイにおいて有意であると考えられた全てのオリゴヌクレオチドの各遺伝子について、合計し、これらのオリゴヌクレオチドについてアッセイを行ったウェルの総数で割った。特徴間の相関は、最終的なスコアが≧0.5であれば、陽性であり、≦−0.5であれば、陰性であると考えた。
【0165】
相対生存率は、Hoechstイメージングに基づく各ウェル内の細胞数をプレート内の平均細胞数により割ることによって計算した。各ヒット遺伝子について報告された生存率は、二次LC3−GFPアッセイにおいて陽性のオリゴヌクレオチドについての全てのウェルの平均生存率を反映している。50%未満の平均生存率を有する陽性オリゴヌクレオチドの数も報告されている。+NACおよびBcl−2三次アッセイに関する相対生存率は、各ウェル中の細胞数を、それぞれ、NACまたはBcl−2を含まない対応の対照プレート中の平均細胞数で割ることによって計算した。
【0166】
別記しない限り、残りのp値の全ては、等しい変化の両側のスチューデントのt検定から計算した。全てのエラーバーは標準誤差である。
【0167】
ウェスタン分析
ウェスタンブロットについて、細胞を、Lammeliサンプル緩衝液中で溶解させ、10〜12%のSDS−PAGEゲル上で分離し、PVDF膜に移した。以下の抗体を使用した:全て1:1000での、LC3(Novus)、p62(Pharmigen)、ホスホ−S6K(Thr389)、ホスホ−Akt(Ser473)、ホスホ−Stat3(Thr705)、RelA、Sod1、ホスホ−PTEN(Ser380/Thr382/383)(全てCell Signaling)、Bcl−2(Santa Cruz)、1:2000でのホスホ−S6(Ser235/236)(Cell Signaling)およびホスホ−ERK1/2(Sigma)、1:5000でのチューブリン(Sigma)。表示されている場合、ブロットは、NIH ImageJ64ソフトウェアを使用して数量化した。
【0168】
半定量RT−PCR
全RNAは、製造業者の使用説明書にしたがって、RNeasyミニキット(Qiagen)を使用して調製した。cDNA合成について、オリゴdTプライマーによるRT−PCRのためのSuperScript First−Strand Synthesis System(Invitrogen)に1.25μgのRNAを使用した。RT−PCR反応に、以下のプライマーを使用した:RelA AGCGCATCCAGACCAACAACAACC および CCGCCGCAGCTGCATGGAGACC, AMPKα2 CACCTCGCCTGGGCAGTCACACC および ATTGGGGGCATAAACACAGCATAA, Sod1 GGTGCTGGTTTGCGTCGTAGTCTC および ACCAGTGTGCGGCCAATGATG, βアクチン GACCTGACAGACTACCTCAT および AGACAGCACTGTGTTGGCTA。PCR産物は、2%のアガロースゲル上で分離し、NIH ImageJ64ソフトウェアを使用して数量化した。
【0169】
細胞反応性酸素種(ROS)レベルの数量化
ROSレベルを、siRNAトランスフェクションの72時間後に、製造業者の使用説明書にしたがってImage−iT LIVE Green ROS Detection Kitを使用して、数量化した。画像を、40倍の倍率でNikon Eclipse E800顕微鏡で得て、Metamorphソフトウェアを使用して数量化した。あるいは、ROSレベルは、HBSSにおける4時間の飢餓後に数量化した。細胞を、37℃で20分間に亘り10μMのジヒドロエチジウムにより染色し、PBS中で2回洗浄し、フローサイトメトリーによって分析した。
【0170】
バイオインフォマティクス分析
解析(enrichment analyses)について、siRNAスクリーニングヒット遺伝子を、生物学的プロセス、分子機能(PANTHER分類システム)、細胞成分(遺伝子オントロジー(GO)分類システム)、古典的(canonical)経路(MSigDB)および転写調節因子結合部位(MSigDBおよびTRANSFACv7.4)などの機能別カテゴリーに分類した。siRNAスクリーニングにおいて調査される遺伝子の広域なセットにおけるそれらの表示に対するヒット遺伝子に関するこれらのカテゴリーの統計的集積または過剰な表示を評価するために、超幾何学的確率分布を使用してp−値を計算し、これは、R原語で実行した。
【0171】
タンパク質相互作用ネットワークについて、このネットワークは、相互作用タンパク質を、データベース:HPRD、MINT、REACTOMEおよび管理された文献記載事項からの、全ゲノムのインタラクトームスクリーニングから抽出されたデータと反復して結び付けることによって、構築した。酵母相互作用データについて、酵母タンパク質をヒトオルソログにマッピングした(相互Blastp分析およびHomologene)。このネットワークでは、グラフ理論表示を使用し、これは、Perlプログラミング原語で実行される、ノードとしての成分(遺伝子産物)およびエッジとしての成分間の関係(相互作用)を抽出する。
【0172】
老化中のヒット遺伝子発現の分析
老化分析中の遺伝子発現は、若年(40才以下)および老年(70才以上)のヒトの脳のサンプルのAffymetrix HG−U133_Plus_2マイクロアレイデータに基づいた。アレイ正規化、発現値計算およびクラスター分析は、dChipソフトウェアを使用して行った。階層的クラスター分析を使用して、同様の発現パターンを有する遺伝子またはサンプルを分類した。最も近い距離の2つの遺伝子またはサンプルを、最初に超遺伝子または超サンプルにマージさせ、その距離を表す長さを有する枝により接続し、将来のマージから削除した。次いで、最小の距離を有する遺伝子またはサンプルの次の対(超遺伝子または超サンプル)を、マージさせるものとして選択した。全ての遺伝子およびサンプルが1つのクラスターにマージされるまで、このプロセスを繰り返した。
【0173】
実施例1. オートファジーの調節に関与する遺伝子に関する高スループット画像ベースsiRNAスクリーニング
哺乳類におけるオートファジーの調節に関与する遺伝子を特定するために、LC3−GFPレポーターを安定に発現するヒト神経芽細胞腫H4細胞を使用した。通常の増殖条件下で、これらの細胞中のLC3−GFPは拡散したサイトゾル局在化を示す。これらの細胞においてオートファジーが誘発された場合、LC3−GFPは、サイトゾルから動員され、オートファゴソームに対応する点状パターンで視覚化できる。このシステムを検証するために、必須オートファジー媒介物質のATG5または飢餓誘発オートファジーのサプレッサであるmTORいずれかに対するsiRNAでトランスフェクションした。通常の栄養条件下での72時間のインキュベーション後、細胞をATG5 siRNAでトランスフェクションした。これにより、LC3−GFP陽性オートファゴソームの数および強度の減少(図1A)、並びにウェスタンブロットでのLC3II対LC3Iの比の減少(図1B)により評価されるような、オートファジーの著しいダウンレギュレーションがもたらされた。反対に、mTORC1の触媒サブユニットであるmTORに対するsiRNAの発現により、LC3−GFP陽性オートファゴソームの数および強度の増加(図1A)、並びにLC3II対LC3Iの比の増加(図1B)がもたらされた。高スループット自動化蛍光顕微鏡で得られた384ウェル形式のLC3−GFP画像の数量化により、ATG5またはmTOR siRNAトランスフェクション後のオートファジーのレベルにおける変化は、非標的の対照siRNAと比べて、統計的に有意であることが示された(図2)。
【0174】
各プールが、各遺伝子について4つの独立したsiRNAオリゴヌクレオチドを含有している、21,121の遺伝子を標的とするsiRNAプールを含有するヒトゲノムsiRNAライブラリをスクリーニングするために、このシステムを使用した。一次スクリーニングを三重で行い、574の遺伝子(試験した全遺伝子の2.7%)が特定され、そのノックダウンにより、少なくとも1.9の標準偏差(SD)だけLC3−GFP陽性オートファゴソームの形成が中央値で減少するか、またはプレート中央値から少なくとも1.7SDだけ増加した。
【0175】
一次スクリーニングにおいて特定された候補遺伝子を、各プールから4つのsiRNAが別々に評価された逆重畳ライブラリを使用して確認した。547の候補遺伝子の内、236(41%)が、少なくとも2つの独立したsiRNAを有すると確認され、非標的siRNA対照と比べて、少なくとも1.5のSDだけオートファジーのレベルが中央値で増加または減少する(図3、p<0.05)。これらのヒットの大半(219、確認した全遺伝子の93%、表1)のノックダウンにより、オートファジーの誘発がもたらされ、これらの遺伝子がオートファジー阻害遺伝子であることを示したのに対し、残りの17のヒットのノックダウンでは、オートファジーが阻害させ、これらの遺伝子がオートファジー促進遺伝子であることを示した(表2)。
【0176】
実施例2. 候補遺伝子の二次高スループット特徴付け
新たに特定された遺伝子によるオートファジーの調節に関与する分子経路を解明するために、追加の高スループットアッセイを開発し、実施して、ヒットを特徴付けた(図4)。これらのアッセイの内の1つにおいて、飢餓誘発オートファジーの必須媒介物質であるmTORC1の機能を調査した。候補遺伝子の内のどれが、mTORC1活性を変えることによってオートファジーを調節するかを決定するために、「in−cell western」アッセイを使用して、mTORC1シグナル伝達の下流標的であるリボソームS6タンパク質(rpS6)のリン酸化反応状態を評価した。このシステムを検証するために、H4細胞をmTOR siRNAでトランスフェクションした。非標的siRNAと比べて、mTOR siRNAトランスフェクション済み細胞においてrpS6リン酸化反応のレベルの著しい減少が観察された(図5)。「in−cell western」アッセイを使用して、そのノックダウンによりオートファジーの誘発がもたらされた219の確認された遺伝子の内の14(6%)のみが、mTORC1活性のダウンレギュレーションと強力に相関したのに対し、そのノックダウンによりオートファジーとmTORC1活性のアップレギュレーションがもたらされた9の遺伝子(4%)が特定された(図6)。
【0177】
そのノックダウンによりオートファジーが抑制された17の確認された遺伝子の追加の三次スクリーニングにおいて、これらの遺伝子の35%が、mTORC1の効力のある阻害剤であるラパマイシンの存在下でオートファジーをダウンレギュレーションできることが分かり、このことは、そのような遺伝子がmTORC1の下流で機能することを示す(図7)。
【0178】
LC3−GFPの蓄積は、例えば、オートファジーの開始の増加またはオートファゴソームの分解の遮断によるものであろう。リソソーム部分の形状およびサイズを評価するために、リソソームタンパク質Lamp1−RFPを安定に発現するH4細胞を使用した。mTORのノックダウンにより、Lamp1−RFPのレベルにおける著しい増加並びに再分布がもたらされ(図8)、オートファジーのアップレギュレーションに加え、mTORの阻害によっても、リソソーム部分の拡張が生じることを示唆している。このシステムを使用して、78の遺伝子(30%)に対するsiRNAのトランスフェクションにより、Lamp1−RFPのレベルが著しく(±1.5のSD)変化し、このことは、オートファジーのレベルの変化と正相関しており、これらの遺伝子が、リソソーム機能を変えることによって、オートファジーを調節することを示唆している(図9)。
【0179】
酵母および哺乳類細胞両方におけるオートファジーの重要な媒介物質である、III型PI3キナーゼの活性への、個々のヒットのノックダウンの影響も決定した。III型PI3キナーゼの活性を変えることによって、オートファジーを誘発するまたは抑制する遺伝子を特定するために、III型PI3キナーゼの産物であるPtdIns3Pに特異的に結合するFYVE−dsRedレポーターを安定に発現するH4細胞を使用した。上昇したIII型PI3キナーゼの活性により生じるPtdIns3Pの蓄積により、このレポーターの点状小胞局在化がもたらされる。このキナーゼの触媒成分である、Vps34に対するsiRNAのトランスフェクションにより、FYVE−dsRed小胞動員が著しく減少した(図10AおよびB)。ラパマイシンの効果と一致して、mTORC1成分のmTORおよびRaptorのノックダウンにより、FYVE−dsRed小胞シグナルが強力に増加した(図10C)。このシステムを使用して、236の確認した遺伝子の内の110(47%)のノックダウンにより、PtdIns3Pレベルが著しく(±1.5のSD)変わり、これは、LC3−GFP陽性オートファゴソームの形成における変化と正相関する(図11)ことも実証され、これらの遺伝子が、オートファジーの調節においてIII型PI3キナーゼの上流で働くことを示唆している。LC3−GFPおよびFYVE−dsRed小胞動員の両方のレベルを増加させる作用物質が、オートファジー変性を誘発しそうなものの内にある。
【0180】
そのノックダウンがオートファジーを誘発した219の遺伝子をさらに細分するために、二次特徴付けアッセイにおいて特定されたサブグループの各々に属するヒットを比較した(図12)。FYVE−dsRedの小胞局在化が増加したヒットと、Lamp1−RFPを蓄積したヒットとの間の相当な重複が示された。これらの内のこの遺伝子のサブセットの活性を阻害する作用物質は、III型PI3キナーゼ、オートファジーおよびリソソーム活性を同時に調節しそうである。
【0181】
実施例3. 細胞死およびERストレスは、siRNAのスクリーニング中に誘発されたオートファジーの誘発に対する主要な要因ではない
siRNAのスクリーニング中に観察されたオートファジーの誘発が、必須遺伝子のノックダウン後の細胞ストレスに対する一般的な応答を、オートファジーの調節におけるその遺伝子の特異的な機能よりも、反映したか否かを調査した。Bcl−2の発現により、siRNAトランスフェクション後の平均細胞生存率が著しく改善された(図13〜15)。Kif11およびインテグリンα5を除いて、Bcl−2を発現する細胞中でオートファジーを誘発できる91の遺伝子のノックダウンでは、これらの細胞中の生存率の実質的な損失を生じなかった。このことは、これらの遺伝子の阻害後のオートファジーのアップレギュレーションは、細胞死応答の誘発に依存しなかったことを示唆している。そのノックダウンにより、Bcl−2を発現する細胞においてオートファジーをアップレギュレーションできなかった遺伝子の内、81の遺伝子が、野生型細胞において高い(85%超の)生存率を有した。したがって、129の特定したオートファジー阻害剤遺伝子の170の活性の阻害が、細胞死に無関係の機構によるオートファジーの誘発をもたらす。
【0182】
細胞死に加え、ERストレスを含む細胞ストレスの様々な形態に応答して、オートファジーがしばしば誘発される。我々のヒット遺伝子のノックダウンに応答したオートファジーの刺激が、ERストレスによるものであり得るか否かを決定するために、ERストレスの特異的マーカーであるGRP78およびGRP94の発現レベルを評価する「in−cell western」アッセイを行った。ERストレスの強力な誘導物質であるツニカマイシンによる処理が、GRP78およびGRP94の用量依存性アップレギュレーション(図16)、並びにオートファジーの増加を引き起こした。試験した遺伝子の97%において(試験した188の遺伝子の内の182、図17)、遺伝子のノックダウン後に、オートファジーの刺激をもたらすERストレスの著しいアップレギュレーションはなかった。したがって、ERストレスは、スクリーニングにおいて観察されたオートファジーの誘発に対する主要な要因ではない。したがって、データは、ヒットの大半のノックダウン後のオートファジーの誘発は、広まったERストレスの結果または細胞死により誘発された一般的な細胞ストレス応答の一部というよりむしろ、特異的なシグナル伝達事象の誘発のためであることを示唆している。
【0183】
実施例4. オートファジーの誘発へのBcl−2の影響
最初に、III型PI3キナーゼの調節オートファジー特異的成分であるbeclin 1が、抗アポトーシスタンパク質Bcl−2の結合パートナーとして特定された。アポトーシス細胞死の調節におけるその突出した機能に加え、Bcl−2は、beclin 1との相互作用および結果として生じるIII型PI3キナーゼの活性の阻害により、オートファジーをマイナスに調節すると示唆されてきた。Bcl−2の機能を評価するために、三次特徴付けスクリーニングを行って、野生型H4細胞およびBcl−2を安定に発現する細胞におけるオートファジーの誘発およびIII型PI3キナーゼの活性を比較した(図18)。対照として、mTORのノックダウンが、Bcl−2発現細胞においてLC3−GFPおよびFYVE−dsRed小胞動員の両方を著しく誘発できたことが示された(図19AおよびB)。Bcl−2によるIII型PI3キナーゼの提案されたマイナスの調節と一致して、野生型対照と比べて、Bcl−2を発現するH4細胞におけるヒット遺伝子のノックダウン後の平均FYVE−dsRed誘発の著しい減少が生じた(図19C)。215の試験した遺伝子の内の91(42%)のノックダウンが、Bcl−2の存在下でLC3−GFPのオートファゴソームへの転座を誘発できた(図14および20)。これらの91の遺伝子の内の17(19%)において、オートファジーの誘発は、FYVE−dsRedの小胞動員により評価されるIII型PI3キナーゼの活性における増加と相関し、これらの遺伝子がBcl−2の下流のPtdIns3Pの産生を調節する追加の機構に関与することを示した。他方で、残りの74の遺伝子のノックダウンが、III型PI3キナーゼを追加に起動させずに、オートファジーを誘発することができた。これらの遺伝子の31のノックダウンが、野生型H4細胞中のLamp1−RFPの蓄積を引き起こし、これらの場合、リソソーム分解の遮断が、Bcl−2発現細胞におけるオートファジーの増加に寄与するであろうことを示した。残りの43の遺伝子について、リソソーム機能における変化は観察されなかった。それゆえ、III型PI3キナーゼへのBcl−2の阻害効果は、オートファジーの誘発と常に相容れないわけではなく、その起動は、PtdIns3Pレベルを上昇させずに行うことができる。最後に、残りの124(58%)の遺伝子のノックダウンは、Bcl−2を過剰発現する細胞中の小胞LC3−GFPの蓄積を誘発できなかった(図15)。
【0184】
実施例5. オートファジー関連遺伝子のバイオインフォマティクスネットワーク解析
オートファジーの調節に関与する生物学的ネットワークをさらに解明するために、ヒット遺伝子間の相互作用を、哺乳類および酵母データの両方に基づくその直接的な物理的相互作用をマッピングすることによって、調査した。ヒットの中には、NF−κBの2つのサブユニット(NFκB1およびRelA)、pre−mRNAプロセシングに関与する3つのリボ核タンパク質(HNRPK、HNRPMおよびHNRPNU)、3つのコートマー成分(CopB2、CopEおよびArcn1)および2つのAMPKサブユニット(AMPKα2およびAMPKγ3)を含むいくつかの公知のタンパク質複合体の多数の構成員が含まれた(図21A)。さらに、p300HATおよびNFκBに集中するクロマチン修飾酵素および相互作用する転写調節因子の大きなネットワークを特定した(図21B)。後者は、転写調節がオートファジーの調節において重大な役割を果たすであろうことを示す。
【0185】
スクリーニングにおいて特定した遺伝子とコアオートファジー成分との間のInterolog解析(タンパク質−タンパク質の相互作用の酵母−ヒトのオルソロガス・マッピング)により、ヒットの少なくとも2つ、Xpo1およびOGDHが、コアオートファジー機構と物理的に相互作用するであろうことが判明した(図22)。Xpo1は、酵母CRM1の哺乳類ホモログであり、核外輸送機構の必須成分である。Beclin 1およびAtg12とのその相互作用は、これらのタンパク質の核外輸送における機能を反映するようである。他方で、ミトコンドリアマトリックスに局在化された代謝酵素であるOGDHは、関連する複合体の酵素活性とは関係ない細胞保護活性を有することが報告されており、ミトコンドリアの損傷により誘発されるオートファジーの調節に関する候補になる。
【0186】
オートファジー、軸索誘導およびアクチン動態の間の関係を調査するために、これらの標準経路に属するヒット遺伝子により繋ぎ留められたタンパク質−タンパク質相互作用ネットワークを作成した(図23および24)。この解析により、それぞれ、27および61のヒット遺伝子を網羅する2つの関連したネットワークが判明した。
【0187】
これらの解析は、ここでオートファジーの調節に関連すると特定された特有の経路および複合体の活性を変調する作用物質の使用により、オートファジーを変調できることを示す。
【0188】
実施例6. オートファジーの変調におけるサイトカインの使用
遺伝子オントロジー(GO)を使用した236の確認したヒットの分子機能解析により、キナーゼコード化遺伝子(p=0.0006)、受容体活性を有するタンパク質(p=7.7×10-5)および細胞外基質タンパク質(p=0.03)における非常に著しい増加を示した(図25および26)。後者のカテゴリーは、成長因子、ホルモンおよびサイトカインの存在を含む細胞外環境が、通常の栄養条件下でオートファジーの調節に役割を果たすことを示す。GO生物学的プロセス解析の結果も、シグナル伝達分子の著しい増加(p=2.8×10-7)を示した(図27A)。オートファジーの調節における細胞外因子の提案された機能に一致して、これらのシグナル伝達分子のさらなる細分により、最大のサブグループ(49%)が細胞表面受容体シグナル伝達に関与したことが判明した(図27B)。
【0189】
細胞を、我々のスクリーニングにおいてヒットと特定されたサイトカインおよび成長因子のいくつかで処理した。特徴付けアッセイの結果に基づいて、IGF1、FGF2、LIF、CLCF1およびケモカインSDF1(CXCL12)のノックダウンにより、オートファジーの開始の際にmTORC1が独立して増加した。これと一致して、無血清培地中で増殖したH4 LC3−GFP細胞のこれらのサイトカインのいずれかによる処理が、LC3−GFP転座により測定されるオートファジーの著しいダウンレギュレーションをもたらした(図28および29)。このデータを、ウェスタンブロット法により多数の細胞株(H4、HEK293、HeLaおよびMCF7)において確認した(図30)。オートファジーの調節におけるサイトカインの提案された機能に一致して、それらがない状態で培養した細胞は、LC3IIの蓄積により評価された高い基礎レベルのオートファジーを示し、オートファジーは、スクリーニングにおいて特定されたサイトカインを1種類だけでも添加することによって、ある程度抑制された。それゆえ、特定されたサイトカインおよび成長因子は、オートファジーの調節にとって必要かつ十分である。
【0190】
上述したスクリーニングにおいて、TNF遺伝子のノックダウンにより、LC3−GFP陽性オートファゴソームの形成が増加し、基礎オートファジーの調節にけるこのサイトカインの陰性の役割を示した。オートファジーにおけるTNFαの役割をさらに調査するために、既知組成培地中で増殖したH4 LC3−GFP細胞を、TNFαの用量を増加させながら処理した。低用量のTNFαはオートファジーのダウンレギュレーションをもたらすのに対し、より高い用量では、オートファジーのアップレギュレーションをもたらした(図31A)。これを、低レベルのTNFαによる処理後のp62の蓄積を示すウェスタンブロット法により確認した。TNFαの生理的レベルは非常に低いので、このことは、このサイトカインはオートファジーの陰性調節因子として通常機能することを示唆している。他方で、病理状況下でのTNFαの増加した濃度はオートファジーのアップレギュレーションをもたらす。
【0191】
実施例7. オートファジーの調節におけるNF−κBの機能
上述した標準経路は、NF−κB(p=8.7×10-6)およびRelA(p=1.2×10-6)経路におけるオートファジーヒットの増加を示した。スクリーニングの確認として、RelAに対してsiRNAでトランスフェクションしたH4 LC3−GFP細胞を個々にイメージングした。蛍光顕微鏡検査法によるLC3−GFPの転座を数量化することによるオートファジーのレベルを、代わりの低スループット法を使用して評価した。我々のスクリーニングの結果に一致して、RelAに対する4つのオリゴヌクレオチド全てによる処理が、オートファゴソームの数と強度の強力なダウンレギュレーションをもたらした(図32および33)。オートファジーのレベルにおいて観察した差が、標的遺伝子のノックダウンのためであったことを確認して、mRNA(図34A)およびタンパク質レベル(図34B)の両方でRelAの強力なダウンレギュレーションが観察された。オートファジーの陽性媒介物質としてのNF−κBの機能に関する発見はH4細胞に限られないことを確認するために、野生型でダブルノックアウトRelA-/-;NF−κB-/-(DKO)MEFおよびいずれかのsiRNAでトランスフェクションされたヒト乳癌MCF7細胞におけるオートファジーのレベルを、RelAまたは対照非標的siRNAに対して比較した。RelA/NFκBの不在またはダウンレギュレーションは、LC3IIの減少およびp62の蓄積により評価されるようにオートファジーの抑制をもたらした(図35)。これらのデータにより、NFκBが基礎オートファジーの陽性調節因子として確認される。
【0192】
ここに記載した結果とは対照的に、NF−κBの活性化が、栄養飢餓または死受容体連結などの有害な刺激に応答して誘発された細胞死に関連するオートファジーをマイナスに調節することが以前に報告された(Djavaheri-Mergy et al., J. Biol. Chem 281, 30373-30382 (2006))。反応性酸素種(ROS)が、飢餓誘発オートファジーの媒介に関与することが提案されているので、栄養欠乏条件下で、オートファジーのダウンレギュレーションは、NF−κBによるROS産生が弱まった結果であろうと推測された。野生型でdKOMEFおよび非標的siRNAまたはRelAに対するsiRNAいずれかでトランスフェクションされたH4 LC3−GFP細胞を栄養欠乏に曝した。RelA/NF−κB欠乏細胞の飢餓は、野生型対照に観察されたよりも高いROS蓄積をもたらした(図36)。RelA欠乏H4細胞における飢餓に応答して観察されたオートファジーの上昇した誘発は、酸化防止剤N−アセチル−L−システイン(NAC)の存在下で弱まった(図37)。
【0193】
これらのデータは、NF−κBが基礎オートファジーの調節においてプラスの機能を果たすのに対し、ROS産生を弱めるその能力は、栄養欠乏条件下で観察されたオートファジーのレベルの減少を間接的にもたらし得ることを示す。それゆえ、以前の報告とは反対に、NF−κBは、多細胞生物において最も優勢な非飢餓条件下ではオートファジー促進因子として働く。したがって、NF−κBの成分(NFKB1およびRELA)の活性を阻害する作用物質は、オートファジーの阻害因子として働き、癌および/または膵炎の治療に有用である。
【0194】
実施例8. オートファジーの調節における反応性酸素種(ROS)の機能
ノックダウンされたときにオートファジーを誘発する遺伝子は、ROS無害化経路の主成分であるSOD1およびGPx2、並びにその多くが酸化呼吸と電子伝達に関与するいくつかのミトコンドリアタンパク質を含んだ(図38)。これらの遺伝子のいずれの活性の阻害も、それらの産生を増加させるか、またはそれらの分解を遮断することによって、ROSのレベルのアップレギュレーションをもたらすと予測されるであろう。さらに、多くの追加のスクリーニングのヒットが、調節に関与する、またはROSにより調節されると報告されてきた(図39)。オートファジーの一般的な媒介因子としてのROSの潜在的な役割を評価するために、最初に、SOD1 siRNAのトランスフェクションが、オートファジーの誘発並びにROSの上昇したレベルの両方をもたらしたことを確認した(図40)。ROSの因果関係の役割を確認して、酸化防止剤NACによる処理によって、Sod1のノックダウンにより生じたオートファジーの誘発が著しく弱まった(図41)。したがって、正常な細胞ROSホメオスタシスの干渉が、オートファジーの誘発にとって十分である。
【0195】
オートファジーの誘発中にROSに一般的なシグナル伝達の役割があるか否かを決定するために、NACの存在下と不在下で、我々のヒット遺伝子のノックダウンにより誘発されるIII型PI3キナーゼの活性およびオートファジーのレベルを比較する三次特徴付けスクリーニングを行った。確認した遺伝子のグループ(117、または試験した全遺伝子の54%)のノックダウンにより、酸化防止剤の不在下で小胞LC3−GFPが蓄積したが、存在下では蓄積せず、オートファジーの誘発にとってROSが必要であったことを示す(図42)。これらの遺伝子のノックダウンは、NACの存在下で小胞関連FYVE−dsRedの蓄積をおおむね増加させられなかった(図42および43)。このことは、ROSはIII型PI3キナーゼの活性化において一般的な機能を果たし、それらを、オートファジー経路の初期段階で重要なシグナル伝達分子として関係させる。
【0196】
他方で、残りの98(46%)の遺伝子の活性の阻害は、NACの存在下でLC3−GFPの蓄積を誘発させることができ、これらの場合、オートファジーはROSとは関係なく誘発できることを示した(図44)。これらの遺伝子のノックダウンは、NACの存在下と不在下で類似の平均レベルの小胞FYVE−dsRedを誘発することもできた(図43)。それゆえ、このグループの遺伝子の活性化の阻害は、ROSとは関係ない機構によって、III型PI3キナーゼの誘発をもたらした。
【0197】
実施例9. 成長促進経路は、オートファジーをマイナスに調節する
オートファジースクリーニングのヒットのバイオインフォマティクス解析は、細胞表面受容体からのシグナル伝達を媒介することが知られているいくつかの標準経路について著しい増加を示した(図45)。これらの経路は、スクリーニングにおいて特定したサイトカインにより調節されるMAPK(p=0.039)、Stat3(p=0.008)およびCXCR4(p=1.1×10-5)経路を含んだ。FGF2は、MAPK経路を活性化させことが知られており、ホスホ−ERK1/2およびホスホ−RSKの増加レベルが、FGF2による処理後に観察された(図46)。MAPK経路の必須機能を確認して、MEKの阻害因子であるUO126による前処理で、FGF2の添加後にオートファジーの阻害が弱まった(図46)。さらに、ヒット遺伝子の全ての促進因子部分の解析により、RSRFC4の3つの強化部位、血清応答因子(SRF)ファミリーの一員およびMAPKシグナル伝達の下流標的を含むいくつかの転写調節因子のコンセンサス部位の著しい増加が示され(図47)、通常の増殖条件下でのオートファジーの制御においてMAPK経路による転写調節の追加の関与を示唆している。
【0198】
オートファジーのマイナスの調節因子としてのスクリーニングから抜粋された別のヒット遺伝子は、LIFおよびCLCF1信号伝達の媒介因子である、転写調節因子Stat3であった。実際に、LIFまたはCLCF1いずれかによる処理で、Stat3のリン酸化反応の活性化が上昇した(図48および49)。Stat3の必須機能と一致して、そのsiRNA媒介ノックダウンは、LIFに応答してオートファジーのダウンレギュレーションを弱めた(図49)。したがって、LIFおよびCLCF1は、Stat3経路を通じてオートファジーを調節する。
【0199】
mTORC1を活性化することに加え、Aktは、筋変性中にオートファジーをプラスに調節する転写調節因子であり、Foxo3aを直接リン酸化し、阻害する。実際に、AktおよびFoxo3aの両方のリン酸化は、ラパマイシンの不在下と存在下の両方において、IGF−1処理後に増加した(図50)。Akt阻害因子VIIIでの処理によるAktの阻害により、Foxo3aおよびmTORC1標的S6キナーゼ両方のリン酸化を弱め、IGF1によるオートファジーの阻害を防いだ(図50)。したがって、通常の栄養条件下で、IGF−1は、おそらくmTORC1およびFoxo3a経路の両方を通じて、I型PI3キナーゼ/Akt依存様式で、オートファジーを調節する。
【0200】
実施例10. ヒトの老化中のオートファジーのダウンレギュレーション
老化に関連する神経変性におけるオートファジー関連遺伝子の潜在的機能に特異的に対処するために、オートファジーヒット遺伝子のmRNA発現を一連の若年対老年のヒトの脳のサンプルにおいて解析した。年齢と共に、著しく(p<0.05)アップレギュレーションされた32の遺伝子および著しくダウンレギュレーションされた46の遺伝子のグループ(図53〜55)を含む遺伝子の大きいサブセット(図51および52)の発現差異が観察された。興味深いことに、遺伝子オントロジー(GO)生物学的プロセス解析により、年齢のアップレギュレーションされたグループは、MAPK経路の媒介および調節に関与した遺伝子が非常に豊富である(p=1.6×10-4)ことが判明し、その増加した活性は、オートファジーの抑制をもたらすと我々の分析により予測される。逆に、鍵となるオートファジー遺伝子、Atg5およびAtg7の発現は、老化中にダウンレギュレーションされた(図55)。これらのデータは、遺伝子発現差異により、老化中に脳におけるオートファジーのダウンレギュレーションがもたらされることを示唆しており、このことは、慢性神経変性疾患の発症に寄与するであろう。この仮説と一致して、中年の個人からのサンプルを含む、サンプルのより広範囲に及ぶセットのさらなる解析により、Atg5およびAtg7は、その発現が60歳代前半で始まる年齢依存様式で徐々にダウンレギュレーションされた哺乳類細胞におけるオートファジーの媒介にとって必要な遺伝子のグループの中にあったことが判明し(図56)、この年齢は、しばしば、アルツハイマー病(AD)などの散発性神経変性疾患に関する兆候の最も早い年齢である。したがって、我々のスクリーニングにおいて特定された遺伝子の年齢依存性調節は、正常なヒトの老化中のオートファジーのダウンレギュレーションに寄与しそうであり、それゆえ、年齢関連神経変性疾患を予防し、治療するための治療標的として有用である。
【0201】
実施例11. アルツハイマー病の脳サンプルにおけるオートファジー調節因子の発現差異
ROSおよびオートファジー小胞(AV)の両方の蓄積が、ADにおける初期の特徴である。この疾患におけるオートファジーの調節に関与する遺伝子の発現の変化を検出できるか否かを決定するために、14才の適合した正常な対照およびADを有する34の場合の6つの脳領域からのオートファジースクリーニングヒット遺伝子の発現を分析した。特に、この疾患により最も影響した脳領域である海馬状隆起および嗅内皮質において対照に匹敵するAD患者のサンプルにおいてヒット遺伝子の全体的な著しい低発現が観察された(図57A)。ADにより影響を受けた他の脳領域(上前頭回、後帯状皮質、および大脳側頭葉の外面)において、一貫した傾向が観察された。特に、AD病状に対して比較的抵抗性である視覚皮質において、これらの変化がなかった。さらに、ヒット遺伝子のさらなる細分により、嗅内皮質において、オートファジーの流れの負の調節因子が特異的に負に強化されたことが判明した(図57B)。ADの影響を受けた他の脳領域においても、同様の傾向が観察された。逆に、オートファジーのプラスの調節因子は、嗅内皮質において、プラスに強化された(図57C)。オートファジー調節因子のそのような発現差異パターンは、AD脳におけるオートファジーのアップレギュレーションを示唆している。
【0202】
実施例12. ROSがアミロイドβに応答してオートファジーを媒介する
アミロイドβ(Aβ)は、ADにおける主要な病原因子である。Aβによるオートファジーの誘発がROSにより媒介されたか否かを調査した。H4細胞のAβによる処理後、増加したレベルのオートファジーが観察された(図58)。これが、オートファジーの開始の増加によるものか、またはリソソームの分解の遮断によるものかを決定するために、リソソームプロテアーゼ阻害因子E64dの不在下と存在下で、Aβ処理後のLC3−IIの蓄積を観察した(図58)。処理してから8時間後まで、CL3−IIの蓄積はE64dの存在下のみで観察できた。Aβを添加してから48時間後で、E64dの不在下でさえ、増加したレベルのLC3−IIが観察されたが、E64dの存在下では、さらに増加していた。その上、Aβ処理の4時間後から始まるAtg12−Atg5の増加した結合(conjugation)が観察された。これらのデータは共に、Aβに応答したオートファジーの増加した開始を示す。
【0203】
Aβによるオートファジーの誘発におけるIII型PI3キナーゼの関与を調査した。PtdIns3Pの蓄積が観察され、これは3MAの存在下で抑制され(図59)、III型PI3キナーゼの関与が確認された。ROSの因果関係の役割と一致して、PtdIns3Pの蓄積がNACの存在下で抑制された(図60)。最後に、3MAによる処理(図61)またはVps34のノックダウン(図62)が、Aβに応答するオートファジーの誘発を弱めることができた。
【0204】
同等物
本発明は、オートファジーを変調する方法およびオートファジー関連疾患の治療法を提供する。本発明の特定の実施の形態を論じてきたが、先の明細書は、説明であって、制限的ではない。本発明の多くの変種が、この明細書を検討した際に当業者には明白となるであろう。添付の特許請求の範囲は、そのような実施の形態および変種の全てをクレームすることが意図されており、本発明の全範囲は、同等範囲と共に請求項を、変種と共に明細書を参照することによって決定されるべきである。
【0205】
ここに述べられた全ての刊行物および特許は、各個別の刊行物または特許が参照により含まれることが具体的に個別に示されているかのように、その全てが参照によりここに含まれる。係争の場合、ここでの任意の定義を含む本出願が規制する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞におけるオートファジーを阻害する方法であって、前記細胞を、表2に列記された遺伝子からなる群より選択される遺伝子の産物の活性を阻害する作用物質と接触させる工程を有してなる方法。
【請求項2】
前記遺伝子が、表4に列記された遺伝子からなる群より選択されることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記遺伝子が、表6に列記された遺伝子からなる群より選択されることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記作用物質が、siRNA、shRNAまたはアンチセンスRNA分子であることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記遺伝子がTPRまたはGPR18であることを特徴とする請求項3記載の方法。
【請求項6】
前記作用物質が、前記遺伝子の産物に特異的な抗体であることを特徴とする請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記遺伝子がRelAまたはNFκBであることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記遺伝子がRelAであることを特徴とする請求項7記載の方法。
【請求項9】
細胞においてオートファジーを誘発する方法であって、前記細胞を、表2に列記された遺伝子(オートファジーを減少させるヒット)からなる群より選択される遺伝子の産物の活性を向上させる作用物質と接触させる工程を有してなる方法。
【請求項10】
前記遺伝子が、表4に列記された遺伝子からなる群より選択されることを特徴とする請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記遺伝子が、表6に列記された遺伝子からなる群より選択されることを特徴とする請求項9記載の方法。
【請求項12】
前記遺伝子がTPRまたはGPR18であることを特徴とする請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記作用物質が、前記遺伝子の産物に特異的な抗体であることを特徴とする請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記遺伝子がRelAまたはNFκBであることを特徴とする請求項9記載の方法。
【請求項15】
前記遺伝子がRelAであることを特徴とする請求項14記載の方法。
【請求項16】
対象における神経変性疾患を治療する方法であって、前記対象に、表2に列記された遺伝子からなる群より選択される遺伝子の産物の活性を向上させる作用物質を投与する工程を有してなる方法。
【請求項17】
前記遺伝子が、表4に列記された遺伝子からなる群より選択されることを特徴とする請求項16記載の方法。
【請求項18】
前記遺伝子が、表6に列記された遺伝子からなる群より選択されることを特徴とする請求項16記載の方法。
【請求項19】
前記遺伝子がTPRまたはGPR18であることを特徴とする請求項18記載の方法。
【請求項20】
前記作用物質が、前記遺伝子の産物に特異的な抗体であることを特徴とする請求項19記載の方法。
【請求項21】
前記遺伝子がRelAまたはNFκBであることを特徴とする請求項16記載の方法。
【請求項22】
前記遺伝子がRelAであることを特徴とする請求項21記載の方法。
【請求項23】
前記神経変性疾患が、副腎白質萎縮症、アルコール中毒症、アレキサンダー病、アルパース病、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症、毛細血管拡張性運動失調症、バッテン病、牛海綿状脳症、カナバン病、脳性小児まひ、コケイン症候群、大脳皮質基底核変性症、クロイツフェルト・ヤコブ病、致死性家族性不眠症、前頭側頭葉変性症、ハンチントン病、HIV関連認知症、ケネディ病、クラッベ病、レビー小体型認知症、神経ボレリア症、マシャド・ジョセフ病、多系統萎縮症、多発性硬化症、ナルコレプシー、ニーマンピック病、パーキンソン病、ペリツェウス・メルツバッハー病、ピック病、原発性側索硬化症、プリオン病、進行性核上性麻痺、レフサム病、サンドオフ病、シルダー病、悪性貧血の次の脊髄の亜急性連合変性症、シュピールマイアー・フォークト・シェーグレン・バッテン病、脊髄小脳性運動失調、脊髄性筋萎縮症、スティール・リチャードソン・オルゼウスキー病、脊髄癆、および中毒性脳症からなる群より選択されることを特徴とする請求項16記載の方法。
【請求項24】
前記神経変性疾患がタンパク質症であることを特徴とする請求項16記載の方法。
【請求項25】
前記タンパク質症が、アルツハイマー病、パーキンソン病、レビー小体型認知症、ALS、ハンチントン病、脊髄小脳性運動失調、および球脊髄性筋萎縮症からなる群より選択されることを特徴とする請求項24記載の方法。
【請求項26】
対象における疾患を治療する方法であって、前記対象に、表2に列記された遺伝子(オートファジーを減少させるヒット)からなる群より選択される遺伝子の産物の活性を阻害する作用物質を投与する工程を有してなり、前記疾患が癌または膵炎であることを特徴とする方法。
【請求項27】
前記遺伝子が、表4に列記された遺伝子からなる群より選択されることを特徴とする請求項26記載の方法。
【請求項28】
前記遺伝子が、表6に列記された遺伝子からなる群より選択されることを特徴とする請求項26記載の方法。
【請求項29】
前記作用物質が、siRNA、shRNAまたはアンチセンスRNA分子であることを特徴とする請求項26記載の方法。
【請求項30】
前記遺伝子がTPRまたはGPR18であることを特徴とする請求項28記載の方法。
【請求項31】
前記作用物質が、前記遺伝子の産物に特異的な抗体であることを特徴とする請求項30記載の方法。
【請求項32】
前記遺伝子がRelAまたはNFκBであることを特徴とする請求項26記載の方法。
【請求項33】
前記遺伝子がRelAであることを特徴とする請求項32記載の方法。
【請求項34】
前記疾患が癌であることを特徴とする請求項26記載の方法。
【請求項35】
化学療法薬の投与をさらに含むことを特徴とする請求項34記載の方法。
【請求項36】
前記化学療法薬が、アルトレタミン、アスパラギナーゼ、BCG、硫酸ブレオマイシン、ブスルファン、カンプトテシン、カルボプラチン、カルムスチン、クロラムブシル、シスプラチン、クラドリビン、2−クロロデオキシアデノシン、シクロホスファミド、シタラビン、ダカルバジン、イミダゾールカルボキサミド、ダクチノマイシン、ダウノルビシン−ダウノマイシン、デキサメタゾン、ドキソルビシン、エトポシド、フロクスウリジン、フルオロウラシル、フルオキシメステロン、フルタミド、フルダラビン、ゴセレリン、ヒドロキシウレア、イダルビシン塩酸塩、イホスファミド、インターフェロンα、インターフェロンα2a、インターフェロンα2b、インターフェロンαn3、イリノテカン、ロイコボリンカルシウム、ロイプロリド、レバミゾール、ロムスチン、メゲストロール、メルファラン、L−サルコシリン、メルファラン塩酸塩、MESNA、メクロレタミン、メトトレキセート、マイトマイシン、ミトキサントロン、メルカプトプリン、パクリタキセル、プリカマイシン、プレドニゾン、プロカルバジン、ストレプトゾシン、タモキシフェン、6−チオグアニン、チオテパ、トポテカン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、および酒石酸ビレノルビンからなる群より選択されることを特徴とする請求項35記載の方法。
【請求項37】
放射線療法の実施をさらに含むことを特徴とする請求項34記載の方法。
【請求項38】
前記疾患が膵炎であることを特徴とする請求項26記載の方法。
【請求項39】
対象におけるタンパク質症を治療する方法であって、前記対象に、表2に列記された遺伝子からなる群より選択される遺伝子の産物の活性を向上させる作用物質を投与する工程を有してなる方法。
【請求項40】
前記遺伝子が、表4に列記された遺伝子からなる群より選択されることを特徴とする請求項39記載の方法。
【請求項41】
前記遺伝子が、表6に列記された遺伝子からなる群より選択されることを特徴とする請求項39記載の方法。
【請求項42】
前記遺伝子がTPRまたはGPR18であることを特徴とする請求項41記載の方法。
【請求項43】
前記作用物質が、前記遺伝子の産物に特異的な抗体であることを特徴とする請求項42記載の方法。
【請求項44】
前記遺伝子がRelAまたはNFκBであることを特徴とする請求項39記載の方法。
【請求項45】
前記遺伝子がRelAであることを特徴とする請求項44記載の方法。
【請求項46】
前記タンパク質症が、α1−アンチトリプシン欠乏症、孤発性封入体筋炎、2B型肢体型筋ジストロフィー症および三好型ミオパチー、アルツハイマー病、パーキンソン病、レビー小体型認知症、ALS、ハンチントン病、脊髄小脳性運動失調、および球脊髄性筋萎縮症からなる群より選択されることを特徴とする請求項39記載の方法。
【請求項47】
作用物質がオートファジー阻害剤であるか否かを決定する方法であって、細胞を前記作用物質に接触させる工程を有してなり、前記細胞が異種オートファジー促進遺伝子を発現し、該オートファジー促進遺伝子が、表2に列記された遺伝子からなる群より選択され、それによって、前記細胞におけるオートファジーの低減が、前記作用物質がオートファジー阻害剤であることを示す方法。
【請求項48】
前記作用物質が小分子であることを特徴とする請求項47記載の方法。
【請求項49】
前記作用物質が抗体であることを特徴とする請求項47記載の方法。
【請求項50】
前記作用物質が阻害性RNA分子であることを特徴とする請求項47記載の方法。

【図2】
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【図3−1】
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【図3−2】
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【図3−3】
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【図3−4】
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【図3−5】
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【図3−6】
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【図3−7】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図9−1】
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【図9−2】
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【図9−3】
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【図11−1】
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【図11−2】
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【図11−3】
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【図11−4】
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【図13】
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【図14−1】
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【図14−2】
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【図14−3】
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【図15−1】
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【図15−2】
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【図15−3】
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【図15−4】
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【図16】
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【図17】
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【図19】
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【図21A】
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【図21B】
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【図26−1】
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【図26−2】
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【図26−3】
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【図26−4】
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【図26−5】
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【図26−6】
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【図26−7】
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【図26−8】
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【図28】
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【図29】
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【図32】
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【図33】
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【図37】
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【図38】
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【図39−1】
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【図39−2】
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【図39−3】
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【図42−1】
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【図42−2】
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【図42−3】
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【図42−4】
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【図44−1】
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【図44−2】
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【図44−3】
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【図51】
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【図52】
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【図53】
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【図54】
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【図55−1】
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【図55−2】
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【図56】
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【図59】
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【図60】
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【図61】
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【図63−1】
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【図63−2】
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【図63−3】
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【図63−4】
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【図63−5】
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【図64−1】
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【図64−2】
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【図64−3】
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【図64−4】
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【図64−5】
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【図64−6】
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【図64−7】
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【図64−8】
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【図64−9】
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【図64−10】
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【図64−11】
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【図64−12】
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【図64−13】
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【図64−14】
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【図64−15】
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【図64−16】
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【図64−17】
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【図64−18】
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【図64−19】
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【図64−20】
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【図64−21】
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【図64−22】
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【図64−23】
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【図64−24】
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【図64−25】
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【図64−26】
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【図64−27】
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【図64−28】
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【図64−29】
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【図64−30】
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【図64−31】
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【図64−32】
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【図64−33】
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【図64−34】
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【図64−35】
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【図64−36】
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【図64−37】
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【図64−38】
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【図64−39】
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【図64−40】
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【図64−41】
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【図64−42】
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【図64−43】
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【図64−44】
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【図64−45】
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【図64−46】
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【図64−47】
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【図64−48】
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【図64−49】
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【図64−50】
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【図64−51】
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【図64−52】
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【図64−53】
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【図64−54】
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【図64−55】
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【図64−56】
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【図64−57】
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【図64−58】
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【図64−59】
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【図64−60】
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【図64−61】
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【図64−62】
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【図64−63】
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【図1】
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【図8】
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【図10】
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【図12】
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【図18】
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【図20】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図27】
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【図30】
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【図31】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図40】
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【図41】
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【図43】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図57】
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【図58】
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【図62】
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【公表番号】特表2013−506687(P2013−506687A)
【公表日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−532326(P2012−532326)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際出願番号】PCT/US2010/050968
【国際公開番号】WO2011/041584
【国際公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【出願人】(502072134)プレジデント アンド フェロウズ オブ ハーバード カレッジ (92)
【氏名又は名称原語表記】President and Fellows of Harvard College
【Fターム(参考)】