説明

オーニング装置

【課題】キャンパスをスムーズにスライドさせて操作性良く開閉することができるとともに、ハンドル以外の機構部品を内蔵することによって外観性と安全性を高めることができるオーニング装置を提供すること。
【解決手段】互いに平行な前桁と後桁3及び左右の側桁5とで構成される矩形枠状のフレーム6を、垂直に起立する複数の支柱7によって水平に支持し、前記フレーム6に沿って張設された撓曲可能なキャンパス8を左右の側桁5の長手方向に沿ってスライドさせて開閉するオーニング装置1において、前記左右の側桁5内に巻き掛け伝動機構をそれぞれ設けるとともに、前記複数の支柱7の1つに設けられたハンドル12の回転操作によって左右の前記巻き掛け伝動機構を同期して駆動し、両巻き掛け機構によって前記キャンパス8を左右の側桁5に沿って平行にスライドさせるよう構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撓曲可能なキャンパスを左右の側桁の長手方向に沿ってスライドさせて開閉するオーニング装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
憩いの空間を提供するために一般家庭の庭等に設置されるガーデンパーゴラ等のオーニング装置は、日除けや雨除け、或いは有害な紫外線をカットする機能を有している。
【0003】
斯かるオーニング装置としては、今まで種々のものが提案され、既に実用に供されている。例えば、特許文献1には、テントフレーム間にテント布(キャンパス)を水平に張設して成る水平式テントにおいて、テント布に所定間隔をおいて芯材を互いに相反する方向へ向けて斜めに取り付け、相隣り合う芯材によって区画されるテント布の各区画部位を互い違いに正逆の略台形とする提案がなされている。
【0004】
又、特許文献2には、複数に折り畳まれたテントの各谷部を山形にすることによって高い排水機能を有する移動式テント装置が提案されている。
【特許文献1】特許第3337069号公報
【特許文献2】特開2004−308333号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のオーニング装置においては、テント(キャンパス)をスライドさせて開閉する際にテントはその幅方向一端のみが引かれる構成が採用されていたため、テントはその左右が平行を成してスムーズにスライドすることができないという問題があった。
又、従来のオーニング装置にあっては、テントの開閉駆動機構が外部に露出していたため、外観性と安全性に欠けるという問題もあった。
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、その目的とする処は、キャンパスをスムーズにスライドさせて操作性良く開閉することができるとともに、ハンドル以外の機構部品を内蔵することによって外観性と安全性を高めることができるオーニング装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、互いに平行な前桁と後桁及び左右の側桁とで構成される矩形枠状のフレームを、垂直に起立する複数の支柱によって水平に支持し、前記フレームに沿って張設された撓曲可能なキャンパスを左右の側桁の長手方向に沿ってスライドさせて開閉するオーニング装置において、前記左右の側桁内に巻き掛け伝動機構をそれぞれ設けるとともに、前記複数の支柱の1つに設けられたハンドルの回転操作によって左右の前記巻き掛け伝動機構を同期して駆動し、両巻き掛け伝動機構によって前記キャンパスを左右の側桁に沿って平行にスライドさせるよう構成したことを特徴とする。
【0007】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記ハンドルの回転を前記巻き掛け伝動機構の一方に伝達する伝動機構を前記支柱内に設けるとともに、該一方の巻き掛け伝動機構の回転を他方の巻き掛け伝動機構に伝達するシャフトを前記後桁内に設けたことを特徴とする。
【0008】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の発明において、前記伝動機構と前記一方の巻き掛け伝動機構とをギヤによって着脱可能に連結するとともに、両巻き掛け伝動機構と前記シャフトとをカップリングによって着脱可能に連結したことを特徴とする。
【0009】
請求項4記載の発明は、請求項1〜3の何れかに記載の発明において、前記巻き掛け伝動機構を駆動プーリと従動プーリ間に無端状のロープを巻装して構成するとともに、前記ロープに前記キャンパスの前端部を連結したことを特徴とする。
【0010】
請求項5記載の発明は、請求項4記載の発明において、前記駆動プーリのロープ巻き掛け面に複数の突起を突設するとともに、該駆動プーリに巻き掛けられたロープを駆動プーリ側に押圧するバックアップガイドを設けたことを特徴とする。
【0011】
請求項6記載の発明は、請求項1〜5の何れかに記載の発明において、前記左右の側桁間に架設された複数の吊パイプによって前記キャンパスを支持するとともに、各吊パイプの長手方向両端部をローラを介して左右の側桁の底面内部に形成された各ガイドレールに移動可能に支持したことを特徴とする。
【0012】
請求項7記載の発明は、請求項1〜6の何れかに記載の発明において、前記キャンパスを前記複数の吊パイプ間に弛みをもって支持するとともに、隣接する吊パイプ同士を前記キャンパスの吊パイプ間での弛み長さよりも短い紐状部材で連結したことを特徴とする。
【0013】
請求項8記載の発明は、請求項1〜7の何れかに記載の発明において、前記キャンパスの下縁をスライド方向に対して直角方向に水平から所定角度傾斜させたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1記載の発明によれば、ハンドルの回転操作によって左右の巻き掛け伝動機構を同期して駆動し、両巻き掛け機構によってキャンパスを左右の側桁に沿って平行にスライドさせるよう構成したため、キャンパスをスムーズにスライドさせて操作性良く開閉することができる。
【0015】
請求項2記載の発明によれば、ハンドル以外の巻き掛け伝動機構、伝動機構、シャフト等はフレームや支柱に内蔵されて外部に露出しないため、当該オーニング装置の外観性と安全性が高められる。
【0016】
請求項3記載の発明によれば、伝動機構と一方の巻き掛け伝動機構とをギヤによって着脱可能に連結するとともに、両巻き掛け伝動機構とシャフトとをカップリングによって着脱可能に連結したため、当該オーニング装置の各構成部品を工場でのユニット組立式とし、現場では各ユニットを短時間で簡単に組み立てることができ、現場での施工性が高められる。
【0017】
請求項4記載の発明によれば、巻き掛け伝動機構を駆動プーリと従動プーリ間に無端状のロープを巻装して構成するとともに、ロープにキャンパスの前端部を連結したため、左右一対の巻き掛け伝動機構を同期して駆動し、ロープによってキャンパスの前端部の左右を同時に引くことによってキャンパスが左右の側桁に沿って平行にスライドして確実に開閉される。
【0018】
請求項5記載の発明によれば、巻き掛け伝動機構の駆動プーリのロープ巻き掛け面に複数の突起を突設するとともに、該駆動プーリに巻き掛けられたロープを駆動プーリ側に押圧するバックアップガイドを設けたため、ロープと駆動プーリとの間に大きな摩擦力が作用し、この大きな摩擦力によって回転動力が駆動プーリからロープへと確実に伝達される。このため、ロープは、滑ることなく回転してキャンパスを左右の側桁に沿って確実にスライドさせることができる。
【0019】
請求項6記載の発明によれば、ローラは転動するガイドレールを側桁の底面内部に形成したため、ガイドレールが側桁によって覆われて外部に露出することがなく、該ガイドレールが雨や埃に晒されることがない。このため、ローラがガイドレール上を安定的に転動し、キャンパスが左右の側桁に沿ってスムーズにスライドして開閉される。
【0020】
請求項7記載の発明によれば、キャンパスを複数の吊パイプ間に弛みをもって支持するとともに、隣接する吊パイプ同士をキャンパスの吊パイプ間での弛み長さよりも短い紐状部材で連結したため、紐状部材によって吊パイプ同士が引っ張られて移動し、キャンパスに無理な力が掛からないために該キャンパスの耐久性が高められるとともに、全開時にキャンパスを均一な形状を保つことができる。
【0021】
請求項8記載の発明によれば、キャンパスの下縁をスライド方向に対して直角方向に水平から所定角度傾斜させたため、雨天時にキャンパス上に降った雨が該キャンパスの傾斜に沿って流れ落ちてキャンパス上に溜まることがなく、当該オーニング装置に高い排水性が確保される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0023】
図1は本発明に係るオーニング装置の斜視図、図2は同オーニング装置の右側面図、図3は同オーニング装置の平面図、図4は同オーニング装置の正面図、図5は同オーニング装置の開閉駆動機構の構成を模式的に示す斜視図である。
【0024】
本発明に係るオーニング装置1は、図1〜図4に示すように、互いに平行な前桁2と後桁3及び左右の側桁4,5とで構成される矩形枠状のフレーム6を、垂直に起立する複数の支柱7によって水平に支持し、前記フレーム6に沿って張設された撓曲可能なキャンパス8を左右の側桁4,5の長手方向(図1〜図3の左右方向)に沿ってスライドさせて開閉する装置であって、例えば一般家庭の庭等に設置されるガーデンパーゴラとしての用途に供させる。尚、オーニング装置1においては、図1〜図3の右方を前側とし、左右は後方から前方に向かって見たときの左右とする。
【0025】
ここで、前記フレーム6を構成する前桁2と後桁3は、アルミ製の角パイプで構成され、左右の側桁4,5は、下面の一部が開口するアルミ製の型材によって構成されており、左右の側桁4,5間には複数(図示例では、7本)のアルミ製の吊パイプ9がその両端をスライド可能に支持されて架設されている。そして、これらの吊パイプ9には前記キャンパス8が支持されているが、このキャンパス8は、アクリル繊維を織り込んだ布の表面に防水処理を施したものであって、隣接する吊パイプ9間に所定の弛みをもって支持され、図1及び図2に示すように、隣接する吊パイプ9間では側面視U字状を成している。又、図2及び図3に示すように、隣接する吊パイプ9同士は、その幅方向両側がキャンパス8の吊パイプ9間での弛み長さよりも短い紐状部材10によって互いに連結されている。
【0026】
更に、図4に示すように、キャンパス8はその下縁(U字状に弛んだ部分の下縁)がスライド方向に対して直角方向(図4の左右方向)において右側(図4においては左側)に向かって下がるよう水平から所定角度θ(本実施の形態では、4°)だけ傾斜している。
【0027】
ところで、図1〜図3はキャンパス8が全開された状態を示しているが、キャンパス8は、後述のように最前端の吊パイプ9が左右の側桁4,5に沿って後方(図2及び図3の左方)に引かれることによって全閉され、このとき、キャンパス8は後端部に寄せられる。このとき、この寄せられたキャンパス8の上方は図3に示す雨カバー11によって覆われる。
【0028】
又、前記支柱7は、アルミ製の角パイプによって構成され、これらは矩形枠状のフレーム6の四隅を支持しており、その下端部は地中に埋設されている。そして、これら4本の支柱7のうちの1本の中間高さ位置の内側にはハンドル12が回転可能に設けられている。
【0029】
ここで、キャンパス8を開閉操作するための開閉駆動機構の全体構成を図5に模式的に示すが、この開閉駆動機構は、前記ハンドル12の回転操作力を、支柱7に内蔵されたチェーン伝動機構C及びギヤ伝動機構Gを経て左側の側桁4に内蔵されたロープ伝動機構R1に伝達すると同時に、後桁3に内蔵されたカップリング13及びカップリングシャフト14を経て右側の側桁5に内蔵されたロープ伝動機構R2に伝達することによってキャンパス8の前端左右を均等に引っ張って該キャンパス8を左右の側桁4,5の長手方向に沿ってスライドさせるものである。ここで、キャンパス8の前端縁を支持する最前端の吊パイプ9の幅方向両端は、左右のロープ伝動機構R1,R2の駆動プーリ15と従動プーリ16間に巻き掛けられたロープ17に連結されている。
【0030】
次に、上記開閉駆動機構の構成の詳細を図6〜図11に基づいて説明する。
【0031】
図6はチェーン伝動機構部分の正断面図、図7は図6のA−A線断面図、図8は左右のロープ伝動機構とその連結構造を示す正断面図、図9は一方(左側)のロープ伝動機構部分の側断面図、図10は図9のB−B線断面図、図11は図9のC−C線断面図である。
【0032】
図6及び図7に示すように、チェーン伝動機構Cは、ハンドル12が設けられた支柱7に内蔵されており、支柱7内に取り付けられたシャフトホルダ18とサポートステー19にはハンドルシャフト20が回転可能に支持され、該ハンドルシャフト20の支柱7外へ突出する端部にはハンドル12が取り付けられている。又、ハンドルシャフト20の支柱7内に臨む中間部にはスプロケット21が結着されている。
【0033】
又、支柱7内の前記スプロケット21の上方には、スプロケットシャフト22がサポートステー23に回転可能に支持されて配置されるとともに、ギヤシャフト24がギヤプレート25とサポートステー23に回転可能に支持されて配置されており、スプロケットシャフト22にはテンション調整用のスプロケット27が結着され、ギヤシャフト24にはスプロケット28とギヤ29が結着されている。そして、スプロケット21,27,28には無端状のチェーン30が巻き掛けられており、このチェーン30のテンションはスプロケット27によって調整される。即ち、図7に示すように、前記サポートステー23には横方向に長い長孔23aが形成されており、この長孔23aに挿通するスプロケットシャフト22とこれに結着されたスプロケット27を長孔23aに沿って横方向にスライドさせることによってチェーン30のテンションを調整することができる。尚、テンション調整後はナット31を締め付けてスプロケットシャフト22とスプロケット27の位置が固定される。
【0034】
他方、図8に示すように、左右の側桁4,5には前記ロープ伝動機構R1,R2がそれぞれ内蔵されており、各ロープ伝動機構R1,R2には、ギヤボックス32に回転可能に支承されたギヤシャフト33が水平に配置されており、左側のギヤシャフト33にはギヤ34が結着され、このギヤ34は前記ギヤ29に噛合している。又、両ギヤシャフト33の外端部には前記駆動プーリ15がそれぞれ結着されており、両ギヤシャフト33の内端部は側桁4,5の側壁を貫通して後桁3内に臨んでおり、これらの内端部は、後桁3内に回転可能に配された前記カップリングシャフト14の長手方向端部にカップリング13を介して連結されている。従って、左右のロープ伝動機構R1,R2同士は、カップリング13とカップリングシャフト14を介して互いに連結されている。
【0035】
而して、本実施の形態では、支柱7に内蔵されたチェーン伝動機構Cと左側の側桁4に内蔵されたロープ伝動機構R1とはギヤ29,34によって着脱可能に連結され、左右の側桁4,5にそれぞれ内蔵されたロープ伝動機構R1,R2とカップリングシャフト14とはカップリング13によって着脱可能に連結されている。
【0036】
次に、左側のロープ伝動機構R1の構成を図9〜図11に基づいて説明する。尚、右側のロープ伝動機構R2の基本構成は左側のロープ伝動機構R1のそれと同じであるため、これについての図示及び説明は省略する。
【0037】
図9に示すように、側桁4内の後方に回転可能に配された前記駆動プーリ15と側桁4内の前端部に回転可能に配された前記従動プーリ16にはロープ17が巻き掛けられており、このロープ17の端部同士は、図11に示すように、上下一対のガイドレール4aに沿って前後方向(図11の紙面垂直方向)に転動する前後一対のローラ35を連結するスライドジョイント36にジョイントピン37によって連結されて無端状を成している。
【0038】
ここで、上下一対のガイドレール4aは、図11に示すように、側桁4の底面内部に前後方向(図11の紙面垂直方向)に沿って一体に形成されており、ロープ17の端部同士を連結する前記スライドジョイント36をガイドレール4aに沿ってスライド可能に支持するローラ35には最前端の吊パイプ9が吊金具38によって支持されている。従って、最前端の吊パイプ9によって前端の左右が支持されたキャンパス8は、後述のように左右のロープ伝動機構R1,R2が同期して駆動され、最前端の吊パイプ9がロープ17によって前後何れかの方向に引っ張られて左右の側桁4,5の長手方向に沿ってスライドすることによって、その前端が吊パイプ9と共にスライドして開閉される。尚、図示しないが、最前端以外の吊パイプ9もその左右端がローラ35を介して左右の側桁4,5の長手方向に沿って前後にスライド可能に支持されている。又、図8に示すように、右側の側桁5の底面内部にも上下一対のガイドレール5aが前後方向(図8の紙面垂直方向)に沿って一体に形成されており、このガイドレール5aに沿って右側のローラ35も転動しながら最前端の吊パイプ9及びキャンパス8と共に前後方向に移動する。
【0039】
ところで、図9に示すように、駆動プーリ15のロープ巻き掛け面には複数の突起15aが全周に亘って等角度ピッチで突設されている。又、駆動プーリ15の近傍には、該駆動プーリ15に巻き掛けられたロープ17を駆動プーリ15側に押圧するバックアップガイド39が前後方向に移動可能に設けられており、このバックアップガイド39の駆動プーリ15側の面には、駆動プーリ15の外周の半分を覆う半円溝39aが形成され、この半円溝39aがロープ17に当接して該ロープ17を駆動プーリ15側に押圧する。
【0040】
ここで、バックアップガイド39は、2本のボルト40を緩めてこれを前後に移動させることによって押圧力を調整することができ、押圧力が調整されるとボルト40が締め付けられて該バックアップガイド39の位置が固定される。
【0041】
他方、前記従動プーリ16は、テンションスライダ41と共に側桁4内を前後に移動可能に支持されており、テンションスライダ41には、その後方に固定されたテンションプレート42に挿通する調整ボルト43が螺合している。従って、調整ボルト43を回してテンションスライダ41と従動プーリ16を側桁4内で前後に移動させることによって、従動プーリ16と駆動プーリ15に巻き掛けられたロープ17のテンションを調整することができる。
【0042】
次に、以上にように構成されたオーニング装置1におけるキャンパス8の開閉動作について説明する。
【0043】
図1〜図3に示すように全開状態にあるキャンパス8を閉じるには、ハンドル12を回転操作する。すると、ハンドル12の回転は、ハンドルシャフト20からスプロケット21、チェーン30及びスプロケット28を経てギヤシャフト24に伝達される。そして、ギヤシャフト24の回転は、ギヤ29,34を経て左側のロープ伝動機構R1に伝達されるとともに、カップリング13とカップリングシャフト14を経て右側のロープ伝動機構R2に伝達される。従って、ユーザーは、ハンドル12を回転操作することによって左右のロープ伝動機構R1,R2を同期して同時に駆動することができる。
【0044】
即ち、各ロープ伝動機構R1,R2においては、駆動プーリ15が回転駆動されると、該駆動プーリ15に巻き掛けられたロープ17が従動プーリ16との間で回転し、最前端の吊パイプ9を側桁4,5に沿って後方へとスライドさせる。すると、キャンパス8は、前端側から吊パイプ9と共に側桁4,5に沿って後方へとスライドするため、折り畳まれながら後方端へと寄せられて閉じられる。このとき、左右のロープ伝動機構R1,R2は同期して駆動されるため、キャンパス8の前端部の左右が均等な力で引っ張られて左右の側桁4,5に沿って平行にスライドすることができ、該キャンパス8をスムーズにスライドさせてこれを閉じることができる。
【0045】
又、本実施の形態では、各ロープ伝動機構R1,R2の駆動プーリ15のロープ巻き掛け面に複数の突起15aを突設するとともに、該駆動プーリ15に巻き掛けられたロープ17を駆動プーリ15側に押圧するバックアップガイド39を設けたため、ロープ17と駆動プーリ15との間に大きな摩擦力が作用し、この大きな摩擦力によって回転動力が駆動プーリ15からロープ17へと確実に伝達される。このため、ロープ17は、駆動プーリ15との間で滑ることなく回転してキャンパス8を左右の側桁4,5に沿って確実にスライドさせることができる。
【0046】
次に、閉じたキャンパス8を開けるには、ハンドル12を逆回転させれば良い。すると、ハンドル12の回転は、前記と同様の経路を経て左右のロープ伝動機構R1,R2に伝達されるが、各ロープ伝動機構R1,R2においてロープ17は逆方向に回転するため、最前端の吊パイプ9が側桁4,5に沿って前方へとスライドする。
【0047】
上述のように最前端の吊パイプ9が側桁4,5に沿って前方へとスライドすると、キャンパス8は、最前端の吊パイプ9によって引っ張られながら左右の側桁4,5に沿って前端側から順次前方へとスライドし、図1〜図3に示すように全開される。このとき、キャンパス8を複数の吊パイプ9間に弛みをもって支持するとともに、隣接する吊パイプ9同士をキャンパス8の吊パイプ9間での弛み長さよりも短い紐状部材10で連結したため、紐状部材10によって吊パイプ9同士が引っ張られて移動し、キャンパス8に無理な力が掛からないために該キャンパス8の耐久性が高められるとともに、全開時にキャンパス8を均一な形状を保つことができる。
【0048】
又、キャンパス8を開く場合も、左右のロープ伝動機構R1,R2は同期して駆動されるため、キャンパス8の前端部の左右が均等な力で引っ張られて左右の側桁4,5に沿って平行にスライドすることができ、該キャンパス8をスムーズにスライドさせてこれを開くことができる。
【0049】
更に、キャンパス8の下縁(U字状に弛んだ部分の下縁)はスライド方向に対して直角方向(左右方向)において右側に向かって下がるよう水平から所定角度θ(本実施の形態では、4°)だけ傾斜しているため(図4参照)、雨天時にキャンパス8上に降った雨が該キャンパス8の下縁の傾斜に沿って流れ落ちてキャンパス8上に溜まることがなく、当該オーニング装置1に高い排水性が確保される。
【0050】
以上において、本発明に係るオーニング装置1においては、ハンドル12以外のチェーン伝動機構C、ギヤ伝動機構G、左右のロープ伝動機構R1,R2、カップリング13、カップリングシャフト14等はフレーム6や支柱7に内蔵されて外部に露出しないため、当該オーニング装置1の外観性と安全性が高められる。
【0051】
又、本発明に係るオーニング装置1では、チェーン伝動機構Cと一方のロープ伝動機構R1とをギヤ29,34によって着脱可能に連結するとともに、両ロープ伝動機構R1,R2とカップリングシャフト14とをカップリング13によって着脱可能に連結したため、当該オーニング装置1の各構成部品を工場でのユニット組立式とし、現場では各ユニットを短時間で簡単に組み立てることができ、現場での施工性が高められる。具体的には、チェーン伝動機構Cを組み込んだ支柱7、ロープ伝動機構R1,R2を組み込んだ側桁4,5、カップリング13とカップリングシャフト14を組み込んだ後桁3をユニットとして構成して施工現場に搬入し、ギヤ29,34同士を連結するとともに、カップリング13を連結することによって各ユニット同士を容易且つ短時間に組み立てることができるため、現場での施工性が高められる。
【0052】
更に、本発明に係るオーニング装置1においては、ローラ35が転動するガイドレール4a,5aを側桁4,5の底面内部に形成したため、これらのガイドレール4a,5aが側桁4,5によって覆われて外部に露出することがなく、該ガイドレール4a,5aが雨や埃に晒されることがない。このため、ローラ35がガイドレール4a,5a上を安定的に転動し、キャンパス8が左右の側桁4,5に沿ってスムーズにスライドして開閉される。
【0053】
尚、本発明に係るオーニング装置1は、ガーデンパーゴラ以外に、店舗用テラス、カーポート等の他の任意の用途に供せられるものである。又、本実施の形態では、キャンパス8を側桁4,5に沿ってスライドさせる巻き掛け伝動機構としてロープ伝動機構を採用したが、ロープ伝動機構、チェーン伝動機構、ワイヤー伝動機構等の他の任意の巻き掛け伝動機構を採用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明に係るオーニング装置の斜視図である。
【図2】本発明に係るオーニング装置の右側面図である。
【図3】本発明に係るオーニング装置の平面図である。
【図4】本発明に係るオーニング装置の正面図である。
【図5】本発明に係るオーニング装置の開閉駆動機構の構成を模式的に示す斜視図である。
【図6】本発明に係るオーニング装置のチェーン伝動機構部分の正断面図である。
【図7】図6のA−A線断面図である。
【図8】本発明に係るオーニング装置の左右のロープ伝動機構とその連結構造を示す正断面図である。
【図9】本発明に係るオーニング装置の一方(左側)のロープ伝動機構部分の側断面図である。
【図10】図9のB−B線断面図である。
【図11】図9のC−C線断面図である。
【符号の説明】
【0055】
1 オーニング装置
2 前桁
3 後桁
4,5 側桁
4a,5a ガイドレール
6 フレーム
7 支柱
8 キャンパス
9 吊パイプ
10 紐状部材
11 雨カバー
12 ハンドル
13 カップリング
14 カップリングシャフト(シャフト)
15 駆動プーリ
15a 駆動プーリの突起
16 従動プーリ
17 ロープ
18 シャフトホルダ
19 サポートステー
20 ハンドルシャフト
21 スプロケット
22 スプロケットシャフト
23 スポートステー
23a スポートステーの長孔
24 ギヤシャフト
25 ギヤプレート
27,28 スプロケット
29 ギヤ
30 チェーン
31 ナット
32 ギヤボックス
33 ギヤシャフト
34 ギヤ
35 ローラ
36 スライドジョイント
37 ジョイントピン
38 吊金具
39 バックアップガイド
39a バックアップガイドの半円溝
40 ボルト
41 テンションスライダ
42 テンションプレート
43 調整ボルト
C チェーン伝動機構(伝動機構)
G ギヤ伝動機構
R1,R2 ロープ伝動機構(巻き掛け伝動機構)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに平行な前桁と後桁及び左右の側桁とで構成される矩形枠状のフレームを、垂直に起立する複数の支柱によって水平に支持し、前記フレームに沿って張設された撓曲可能なキャンパスを左右の側桁の長手方向に沿ってスライドさせて開閉するオーニング装置において、
前記左右の側桁内に巻き掛け伝動機構をそれぞれ設けるとともに、前記複数の支柱の1つに設けられたハンドルの回転操作によって左右の前記巻き掛け伝動機構を同期して駆動し、両巻き掛け伝動機構によって前記キャンパスを左右の側桁に沿って平行にスライドさせるよう構成したことを特徴とするオーニング装置。
【請求項2】
前記ハンドルの回転を前記巻き掛け伝動機構の一方に伝達する伝動機構を前記支柱内に設けるとともに、該一方の巻き掛け伝動機構の回転を他方の巻き掛け伝動機構に伝達するシャフトを前記後桁内に設けたことを特徴とする請求項1記載のオーニング装置。
【請求項3】
前記伝動機構と前記一方の巻き掛け伝動機構とをギヤによって着脱可能に連結するとともに、両巻き掛け伝動機構と前記シャフトとをカップリングによって着脱可能に連結したことを特徴とする請求項1又は2記載のオーニング装置。
【請求項4】
前記巻き掛け伝動機構を駆動プーリと従動プーリ間に無端状のロープを巻装して構成するとともに、前記ロープに前記キャンパスの前端部を連結したことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のオーニング装置。
【請求項5】
前記駆動プーリのロープ巻き掛け面に複数の突起を突設するとともに、該駆動プーリに巻き掛けられたロープを駆動プーリ側に押圧するバックアップガイドを設けたことを特徴とする請求項4記載のオーニング装置。
【請求項6】
前記左右の側桁間に架設された複数の吊パイプによって前記キャンパスを支持するとともに、各吊パイプの長手方向両端部をローラを介して左右の側桁の底面内部に形成された各ガイドレールに移動可能に支持したことを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載のオーニング装置。
【請求項7】
前記キャンパスを前記複数の吊パイプ間に弛みをもって支持するとともに、隣接する吊パイプ同士を前記キャンパスの吊パイプ間での弛み長さよりも短い紐状部材で連結したことを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載のオーニング装置。
【請求項8】
前記キャンパスの下縁をスライド方向に対して直角方向に水平から所定角度傾斜させたことを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載のオーニング装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−19339(P2009−19339A)
【公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−180463(P2007−180463)
【出願日】平成19年7月10日(2007.7.10)
【出願人】(000108627)タカノ株式会社 (250)
【Fターム(参考)】