説明

オーバーコートされるフォトレジストと共に使用するためのコーティング組成物

【課題】基体からオーバーコートされたフォトレジスト層中へ戻る露光放射線の反射を減少することができ、および/または平坦化またはビア−フィル層として機能することができる反射防止コーティング組成物を含む有機コーティング組成物を提供する。
【解決手段】本発明の好ましい組成物は、リソグラフィー処理の過程における、昇華または組成物コーティング層からの他の移動を抑えるクロスリンカー成分を含有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基体から、オーバーコートされたフォトレジスト層中へ戻る露光放射線の反射を減少することができ、および/または平坦化またはビア−フィル層として機能することができる組成物(特に、反射防止コーティング組成物または「ARC」)に関する。より詳細には、本発明は、リソグラフィー処理の過程における昇華または組成物コーティング層からの他の移動を抑えるクロスリンカー成分を含有する有機コーティング組成物、特に反射防止コーティング組成物に関する。本発明の好ましい反射防止組成物は、増大した分子量を有するクロスリンカー成分を含有することができる。
【背景技術】
【0002】
フォトレジストは、画像を基体に転写するために用いられる感光性フィルムである。フォトレジストのコーティング層は基体上に形成され、フォトレジスト層はついでフォトマスクを通して活性化放射線源に露光される。フォトマスクは活性化放射線に対して不透明な領域と活性化放射線に対して透明なその他の領域を有する。活性化放射線への露光はフォトレジストコーティングの光誘起または化学的変換を提供し、これによりフォトマスクのパターンがフォトレジストでコートされた基体に転写される。露光後、フォトレジストは現像されレリーフ画像を提供し、これにより基体の選択的処理が可能になる。
【0003】
フォトレジストはポジ型またはネガ型のいずれかであり得る。ほとんどのネガ型フォトレジストについては、活性化放射線に露光されたこれらのコーティング層部分が、光活性化合物とフォトレジスト組成物の重合可能な薬剤との間の反応により重合されまたは架橋される。その結果、露光されたコーティング部分は露光されていない部分よりも現像液中に溶解しにくくなる。ポジ型フォトレジストについては、露光された部分は現像液中にさらに溶解するようになるが、露光されていない領域は比較的現像液に溶解しにくいままである。フォトレジスト組成物は、Deforest、Photoresist Materials and Processes(McGraw Hill Book Company、ニューヨーク)第2章、1975およびMoreau著、Semiconductor Lithography、Principles、Practices and Materials(Plenum Press、ニューヨーク)第2章および第4章に記載されている。
【0004】
フォトレジストの主な使用は、半導体製造におけるものであり、ここにおける目的は、高度に研磨された半導体薄片、例えばケイ素またはヒ化ガリウムを、好ましくはミクロンまたはサブミクロンの大きさの形状の、回路機能を果たす電子伝導路の複合体マトリックスに変換することである。適切なフォトレジスト処理はこの目的の達成において重要である。様々なフォトレジスト処理工程の間には強い相互依存性が有るが、露光は高解像度フォトレジスト画像を達成するのに最も重要な工程の1つであると考えられる。
【0005】
フォトレジストを露光するために使用される活性化放射線の反射は、しばしばフォトレジスト層においてパターン化される画像の解像度への制限をもたらす。基体/フォトレジスト界面からの放射線の反射は、フォトレジスト中の放射線強度の空間的ばらつきをもたらす場合があり、その結果、現像に際にフォトレジスト線幅が不均一になる。また、放射線は、基体/フォトレジスト界面から、露光を意図しないフォトレジスト領域中へ散乱することもあり、その結果、この場合においても線幅が変動する。散乱および反射の量は典型的には領域によって異なり、その結果、さらに線幅が不均一になる。基体形態における多様性も解像度を制限する問題をもたらし得る。
【0006】
反射された放射線の問題を減少するために用いられる1つの方法は、基体表面とフォトレジストコーティング層との間に挿入される放射線吸収層の使用である。例えば、PCT出願番号WO90/03598、欧州特許出願番号第0639941A1および米国特許第4,910,122号、第4,370,405号、第4,362,809号、および第5,939,236号参照されたし。このような層は、反射防止層または反射防止組成物とも呼ばれる。米国特許第5,939,236号;第5,886,102号;第5,851,738号;第5,851,730号;第5,939,236号;第6,165,697号;第6,316,165号;第6,451,503号;第6,472,128号;第6,502,689号;第6,503,689号;第6,528,235号;第6,653,049号;および米国公開特許出願番号20030180559号および2003008237参照も参照されたし(これらはすべてシップレーカンパニーに譲渡され、非常に有用な反射防止組成物を開示している)。
【0007】
多くの高性能リソグラフィー用途に関して、所望の性能特性、例えば、最適の吸収特性およびコーティング特性を得るために特定の反射防止組成物が用いられる。例えば、上記特許文献参照。それにもかかわらず、電子装置製造業者らは、反射防止コーティング層上にパターン化されるフォトレジスト画像の解像度の向上を求め続けており、言い換えれば反射防止組成物に、性能の絶え間ない向上を求め続けている。
【特許文献1】国際公開WO90/03598号パンフレット
【特許文献2】欧州特許出願公開0639941A1号明細書
【特許文献3】米国特許第4,910,122号明細書
【特許文献4】米国特許第4,370,405号明細書
【特許文献5】米国特許第4,362,809号明細書
【特許文献6】米国特許第5,939,236号明細書
【特許文献7】米国特許第5,886,102号明細書
【特許文献8】米国特許第5,851,738号明細書
【特許文献9】米国特許第5,851,730号明細書
【特許文献10】米国特許第5,939,236号明細書
【特許文献11】米国特許第6,165,697号明細書
【特許文献12】米国特許第6,316,165号明細書
【特許文献13】米国特許第6,451,503号明細書
【特許文献14】米国特許第6,472,128号明細書
【特許文献15】米国特許第6,502,689号明細書
【特許文献16】米国特許第6,503,689号明細書
【特許文献17】米国特許第6,528,235号明細書
【特許文献18】米国特許第6,653,049号明細書
【特許文献19】米国特許出願公開20030180559号明細書
【特許文献20】米国特許出願公開2003008237号明細書
【非特許文献1】Deforest、Photoresist Materials andProcesses(McGraw Hill Book Company、ニューヨーク)第2章、1975
【非特許文献2】Moreau著、Semiconductor Lithography、Principles、Practices and Materials(Plenum Press、ニューヨーク)第2章及び第4章
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、オーバーコートされるフォトレジストと共に使用するための新規反射防止組成物を得ることが望ましい。性能の向上を示し、オーバーコートされたフォトレジスト中にパターン化される画像の解像度の向上を提供することができる新規反射防止組成物を得ることが特に望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らはオーバーコートされるフォトレジスト層と共に使用するための新規反射防止組成物(ARC)を見いだした。本発明の好ましい有機コーティング組成物および系は、オーバーコートされたフォトレジスト画像のリソグラフィー効果(例えば解像度)の向上をもたらすことができる。
【0010】
さらに詳細には、有機コーティング組成物、特に、オーバーコートされるフォトレジストと共に使用するための、反射防止組成物であって、組成物のコーティング層の熱処理過程において起こり得るコーティング層からの昇華を抑えるクロスリンカー成分を含む反射防止組成物が提供される。例えば、本発明の組成物において用いられるクロスリンカー成分は、1以上の比較的高分子量のクロスリンカー化合物を提供する、1以上の薬剤の反応生成物を含むことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
ある好ましい具体例において、クロスリンカー成分は、1以上の窒素含有クロスリンカー化合物、例えば1以上のアミンクロスリンカーおよび1以上のヒドロキシ含有化合物を含む薬剤の反応生成物を含むことができる。本明細書において言及する場合、窒素含有クロスリンカー化合物と、または他のクロスリンカー化合物との反応生成物を好適に形成することができる「ヒドロキシ含有化合物」には、アルコール基、フェノールまたは他の芳香族ヒドロキシ基をはじめとする1以上のヒドロキシ基ならびにカルボニル(すなわち酸−COOH)基を有し得る様々な化合物が包含される。特に好ましい系において、クロスリンカー成分は、次の1)および2)の反応生成物を含むことができる:1)1以上のグリコールウリル、メラミン、尿素、またはグアナミン化合物、またはその混合物、および2)アルコール、カルボキシおよび/またはフェノール部分、またはその混合物を含む1以上の化合物。
【0012】
本発明の反射防止コーティング組成物は、好ましくは、オーバーコートされたフォトレジスト層を画像化するために用いられる露光放射線を効率よく吸収することができる1以上の発色団基を含有する成分も含む。典型的な発色団基は芳香族基であり、例えば、任意に置換されていてもよいフェニル、アントラセンおよびナフチルをはじめとする任意に置換されていてもよい炭素環式アリール基が挙げられる。248nmで画像化されるオーバーコートされるフォトレジスト組成物と共に用いられる反射防止コーティング組成物についての好ましい発色団基は、任意に置換されていてもよいアントラセンおよび任意に置換されていてもよいナフチルを含むことができる。193nmで画像化されるオーバーコートされるフォトレジスト組成物と共に用いられる反射防止コーティング組成物についての好ましい発色団基は、任意に置換されていてもよいフェニルを含むことができる。
【0013】
このような発色団基は、様々な方法を介して本発明の反射防止コーティング組成物中に組み入れることができる。好ましい組成物は、クロスリンカー成分に加えて樹脂成分を含むことができ、この場合、樹脂成分は、樹脂主鎖からつり下がっているかまたは一体となっている1以上の発色団基、例えば任意に置換されていてもよい炭素環式アリール基を含む1以上の樹脂を含む。かかる吸収樹脂の使用の代わりに、またはかかる吸収樹脂の使用に加えて、クロスリンカー成分が1以上のかかる発色団基を含んでいてもよいし、または反射防止組成物がさらなる成分、例えばかかる発色団基を含む1以上の非ポリマー性色素化合物、例えば1以上の任意に置換されていてもよいフェニル、任意に置換されていてもよいアントラセンまたは任意に置換されていてもよいナフチル基をはじめとする1以上の発色団部分を含有する小分子(例えば約1000または500未満のMw)を含んでいてもよい。
【0014】
好ましくは、本発明のコーティング組成物は、組成物コーティング層の熱処理により硬化させることができる。好適には、コーティング組成物は、架橋反応を促進するために、酸またはより好ましくは酸発生剤化合物、特に熱酸発生剤化合物も含有する。
【0015】
反射防止コーティング組成物としての使用、ならびにビア−フィルをはじめとする他の用途に関して、好ましくは該組成物は、組成物層上にフォトレジスト組成物層を適用する前に架橋される。
【0016】
本発明のコーティング組成物は、典型的には有機溶媒溶液として、配合され及び好適にはスピンコーティングにより基体へ適用される(すなわちスピン−オン組成物)。
【0017】
様々なフォトレジストを本発明のコーティング組成物との組み合わせにおいて(すなわちオーバーコートして)用いることができる。本発明の反射防止組成物と共に用いるための好ましいフォトレジストは、化学増幅型レジスト、特に1以上の光酸発生剤化合物と、光により生成した酸の存在下で脱保護または開裂反応を受ける単位、例えば光酸不安定エステル、アセタール、ケタールまたはエーテル単位を含有する樹脂成分とを含有するポジ型フォトレジストである。ネガ型フォトレジスト、例えば活性化放射線に露光されると架橋(すなわち硬化または硬質化)するレジストも本発明のコーティング組成物と共に用いることができる。本発明のコーティング組成物と共に使用するために好ましいフォトレジストは、比較的短い波長の放射線、例えば300nm未満または260nm未満、例えば248nmの波長を有する放射線、あるいは約200nm未満、例えば193nmの波長を有する放射線で画像化することができる。
【0018】
本発明はさらに、フォトレジストリリーフ画像を形成するための方法、および電子装置ならびに本発明の反射防止組成物単独で、あるいはフォトレジスト組成物と組み合わせてコーティングされた基体(例えばマイクロエレクトロニックウェハ基体)を含む新規製造物品を提供する。
【0019】
本発明の他の態様は以下に開示される。
【0020】
前述のように、コーティング組成物のコーティング層の熱処理の過程で起こるようなコーティング層からの昇華を抑えるクロスリンカー成分を含む有機コーティング組成物、特にオーバーコートされるフォトレジストと共に使用するための反射防止組成物が提供される。例えば、本発明の組成物において用いられるクロスリンカー成分は、比較的高分子量のクロスリンカー化合物を提供することができる1以上の薬剤の反応生成物である。
【0021】
いかなる理論にも束縛されないが、下層コーティング組成物の1以上の成分はリソグラフィー処理の過程において、適用されたコーティング層から外に移動することができると考えられる。特に、コーティング層を架橋または他の方法で硬化させるために適用されたコーティング組成物を熱処理する過程で、1以上の組成物の成分は昇華するか、または他の方法でコーティング層から移動し得ると考えられる。かかる昇華した物質は、その後に適用されるフォトレジストコーティング層に蒸着することによるなど様々な方法でリソグラフィー特性を損ない得る。
【0022】
下層コーティング組成物のクロスリンカー成分
前述のように、本発明者らは、下層コーティング組成物のクロスリンカー成分を修飾することにより前記クロスリンカー成分の起こり得る昇華を最小限に抑えられることを見いだした。
【0023】
クロスリンカー成分は、本発明に従った多くの方法の任意のもので修飾することができる。一般に、好ましい修飾は、クロスリンカー物質の分子量を増大させる。
【0024】
例えば、非ポリマー性クロスリンカー物質は二量化、三量化などされて、より高分子量のオリゴマーまたはポリマー、例えば少なくとも約250ダルトン、さらに好ましくは少なくとも約300、400、500、600、700、800、900、1000、1500、2000、2500、3000、3500、4000、4500または5000ダルトンの分子量を有するクロスリンカー物質を形成することができる。
【0025】
このようなクロスリンカー成分の自己縮合ではなく、または自己縮合に加えて、クロスリンカーは、分子量を増大させるために1以上の異なる物質、例えば、1以上のジオール、トリオールおよび/または他のポリオールをはじめとする1以上のアルコール化合物、ならびにカルボキシ基およびフェノール基を含有する薬剤、例えば様々なグリコール、例えばエチレングリコール、プロピレングリコールなど、カルボキシ官能基とは別個にヒドロキシ基を有する酸およびエステル、例えばメチル2−ヒドロキシイソブチレートなど、と反応させることができる。
【0026】
本発明に従った使用には、グリコールウリル、グアナミン(ベンゾグアナミンを含む)、メラミン、尿素組成物、および1以上の窒素部分を含む他の反応性組成物をはじめとするアミン系クロスリンカーが特に好ましい。
【0027】
本発明の特に好ましい態様において、グリコールウリルまたは他のアミン系クロスリンカーは、1以上のアルコール、例えばジオールまたはトリオールまたは他のポリオールと反応させて、より高分子の反応生成物を提供することができ、これらは望ましくない昇華または反射防止組成物コーティング層からの他の移動の可能性を少なくし得る。アルコールとの反応に加えて、グリコールウリルまたは他のアミン系クロスリンカーは、他の反応性基、例えばフェノールおよびカルボキシル部分を含有する化合物と反応させることができる。
【0028】
特に好ましい態様において、アルコキシル化グリコールウリル(例えばテトラメトキシメチルグリコールウリル)をはじめとするグリコールウリルを水の存在下で1以上の追加の薬剤、例えば1以上のアルコール、例えば、水、アルコール、ジオールおよび/または他のポリオールと反応させて、1以上のダイマー、トリマー、オリゴマーおよび比較的低分子量のポリマーを含む可溶性、非昇華性の生成混合物を得ることができる。
【0029】
水の使用を含むこのような分子量が増大する置換反応に加えて、このような反応は乾燥反応物質を用いて乾燥(無水)条件下でも行うことができる。
【0030】
しかしながら、水および1以上の追加の薬剤、例えば1以上のアルコール化合物を含む置換反応は、無水置換反応よりも好ましい場合がある。微量の水の存在下で行われる反応により、費用および安全性における利点がもたらされ得る。また、様々な量の水が縮合反応に関与し得る。
【0031】
前述のように、様々なクロスリンカー物質を本発明に従って修飾することができ、クロスリンカー物質には、様々なアミン系クロスリンカー、例えば、ブチル化グリコールウリルをはじめとする様々なグリコールウリル;メラミン樹脂;例えばジメトキシメチル尿素、ブチル化ヒドロキシエチレン尿素樹脂など、およびメチル化プロピレン尿素樹脂などのアルコキシ尿素をはじめとする様々な尿素;および例えばメチル化グアナミン樹脂などの様々なグアナミン組成物が包含される。
【0032】
本発明の下層有機コーティング組成物のクロスリンカー物質として使用するために修飾され得る(例えばヒドロキシまたはカルボキシ含有化合物と反応させる)具体的な物質としては、例えばCytec Industriesにより製造され、Cymel300、301、303、350、370、380、1116および1130の商品名で販売されるメラミン樹脂をはじめとするメラミン物質が挙げられる。Cytec Industriesから入手可能なグリコールウリルをはじめとするグリコールウリルが特に好ましいクロスリンカー物質である。ベンゾグアナミンおよび尿素系物質も好適であり、例えばCytec IndustriesからCymel1123および1125の名前で入手可能なベンゾグアナミン、およびCytec IndustriesからPowderlink1174および1196の名前で入手可能な尿素樹脂などの樹脂が包含される。このようなアミン系樹脂は、商業的に入手可能であるだけでなく、例えばアクリルアミドまたはメタクリルアミドコポリマーをアルコール含有溶液中でホルムアルデヒドと反応させるか、あるいはN−アルコキシメチルアクリルアミドまたはメタクリルアミドを他の好適なモノマーと共重合させることにより調製することができる。
【0033】
本発明の下層有機コーティング組成物のクロスリンカー物質として使用するために修飾され得る(例えば、ヒドロキシまたはカルボキシ含有化合物と反応させる)好適な実質的に中性のクロスリンカーは、ヒドロキシ化合物、特に多官能性化合物、例えば、フェニル、または1以上のヒドロキシもしくはヒドロキシアルキル置換基(例えばC1−8ヒドロキシアルキル置換基)を有する他の芳香族を含む。フェノール化合物が一般的に好ましく、例えばジメタノールフェノール(C(CHOH))OH)並びに隣接する(1〜2個の環原子の範囲内の)ヒドロキシとヒドロキシアルキル置換基とを有する他の化合物、特に1以上のメタノールもしくは他のヒドロキシアルキル環置換基と、かかるヒドロキシアルキル置換基に隣接する少なくとも1つのヒドロキシとを有するフェニルまたは他の芳香族化合物が一般的に好ましい。
【0034】
本発明の下層コーティング組成物のクロスリンカー成分は通常好適には反射防止組成物の合計固形分(溶媒担体を除く全成分)の約5〜50重量%の量、さらに典型的には約7〜25重量%固形分の量で存在することができる。
【0035】
本発明のコーティング組成物、特に反射制御用途のためのものは、オーバーコートされたフォトレジスト層を露光するために使用される放射線を吸収する追加の色素化合物を含有することができる。他の任意の添加剤としては、表面レベリング剤、例えば商品名Silwet7604でUnion Carbideから入手可能なレベリング剤、または3M Companyから入手可能な界面活性剤FC171またはFC431が挙げられる。
【0036】
クロスリンカー成分は、例えば樹脂が熱硬化過程で樹脂自体と反応することができる場合に、樹脂成分と共有結合され得る。しかしながら、多くの好ましい系において、クロスリンカー成分および樹脂成分は別個の(すなわち共有結合していない)物質である。
【0037】
下層コーティング組成物の樹脂成分
本発明の好ましい反射防止コーティング組成物は好適に1以上の樹脂成分を含む。
【0038】
本発明の下層コーティング組成物において用いられる好ましい樹脂には、例えばカルボキシ含有化合物(例えばカルボン酸、エステル、無水物など)と、ヒドロキシ含有化合物、好ましくは複数のヒドロキシ基を有する化合物、例えばエチレングリコールまたはプロピレングリコールなどのグリコール、またはグリセロール、または他のジオール、トリオール、テトラオールなどとの重合により提供されるような、エステル繰り返し単位(ポリエステル)を含有する樹脂が含まれる。
【0039】
好ましくは、エステル官能基は、ペンダントまたは側鎖単位としてではなく、ポリマー主鎖の成分として、または主鎖内に存在する。エステル部分はペンダント基として存在していてもよいが、好ましくはポリマーは、ポリマー主鎖に沿ったエステル官能基も含有する。エステル繰り返し単位が芳香族置換、例えば任意に置換されていてもよい炭素環式アリール基、例えば任意に置換されていてもよいフェニル、ナフチルまたはアントラセニル置換を、側鎖として、またはさらに好ましくはポリマー主鎖に沿ってのいずれかとして含むことも好ましい。
【0040】
このようなポリエステル樹脂において、少なくともエステル基のいくつかは光酸不安定でなく、すなわち、エステル繰り返し単位は、露光前ベーク、活性化放射線への露光、露光後加熱、および/または現像の、典型的なリソグラフィー処理の過程で脱保護または他の開裂を受けないと理解される。好ましくは、エステル繰り返し単位は、ポリマー主鎖中に存在する。すなわち、エステル基(−(C=O)O−)はポリマーの全長を形成する分岐鎖または実質的に直線状の鎖上に存在する。このようなエステル基が、例えばアルキルフタレートとポリオールとの反応により提供されるような芳香族置換(例えばフェニル、ナフチルまたはアントラセン基)を含有するのも好ましい。
【0041】
このようなポリエステル樹脂は、ペンダントまたは側鎖単位の何れかとして、あるいはポリマー主鎖に沿った他の繰り返し単位として、他の繰り返し単位を含むことができる。例えば、樹脂は、コポリマー(例えば、樹脂主鎖に沿った2つの異なる繰り返し単位)、ターポリマー(例えば、樹脂主鎖に沿った3つの異なる繰り返し単位)、テトラポリマー(例えば、ポリマー主鎖に沿った4つの異なる繰り返し単位)、またはペンタポリマー(例えば、ポリマー主鎖に沿った5つの異なる繰り返し単位)であってもよい。例えば、エーテルおよびエステル繰り返し単位、またはアルキレン繰り返し単位をエステルおよびエーテル単位とともに含有するポリマーが好適である。1以上の酸素原子を含有する追加の繰り返し単位が多くの用途に対し好ましい。
【0042】
本発明のコーティング組成物において用いることができる好ましい樹脂の例には、1以上のカルボキシル(例えば、エステル、無水物、炭素環式酸)基を含有する化合物の、1以上のヒドロキシ基(好ましくは少なくとも2個のヒドロキシ基)を含有する化合物との反応により形成されるものが含まれる。カルボキシル含有化合物は、2以上のカルボキシル(−C=OO−)基を好ましく含有することもできる。カルボキシルおよびヒドロキシ化合物は、酸の存在下で、コポリマーまたは他の高次ポリマーが所望の場合には任意に他の化合物とともに、好適に反応させられ、これによりポリエステル樹脂が得られる。
【0043】
このようなポリエステル樹脂は、反応容器にポリオール、カルボキシレート化合物、および形成される樹脂中に組み入れられる他の化合物、酸、例えばスルホン酸、例えばメタンスルホン酸またはパラトルエンスルホン酸などを入れることにより好適に調製される。反応混合物は、高温、例えば少なくとも約80℃、さらに典型的には少なくとも約100℃、110℃、120℃、130℃、140℃、または150℃で、ポリマー形成に十分な時間、例えば、少なくとも約2、3、4、5、6、8、12、16、20、24時間好適に撹拌される。有用な樹脂を合成するための好ましい条件の例は、以下の実施例において詳細に記載される。
【0044】
アクリル系樹脂も、本発明の下層コーティング組成物において使用するのための好ましい物質である。かかる樹脂は、公知方法、例えば、1以上のアクリレートモノマー、例えばヒドロキシエチルメチルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレートメチルアントラセンメタクリレートまたは他のアントラセンアクリレートなどの重合(例えばラジカル開始剤の存在下)により調製することができる。好適なポリマーの例については、シップレーカンパニーに譲渡された米国特許5,886,102を参照されたし。好適なアクリレート樹脂およびその合成法については、以下の実施例も参照されたし。
【0045】
反射防止用途に関して、樹脂を形成するために反応させられる1以上の化合物は、好適には、オーバーコートされたフォトレジストコーティング層を露光するために使用される放射線を吸収する発色団として機能することができる部分を含む。例えば、フタレート化合物(例えば、フタル酸またはジアルキルフタレート(すなわち、ジエステル、例えば各エステルが1〜6個の炭素原子を有するようなジエステル、好ましくはジメチルまたはエチルフタレート))を芳香族または非芳香族ポリオールおよび任意の他の反応性化合物と重合させて、200nm未満の波長、例えば193nmで画像化されるフォトレジストとともに用いられる反射防止組成物において特に有用なポリエステルが提供され得る。同様に、300nm未満の波長または200nm未満の波長、例えば248nmまたは193nmで画像化されるオーバーコートされるフォトレジストと共に組成物において用いられる樹脂では、ナフチル化合物、例えば1または2またはそれ以上のカルボキシル置換基を含有するナフチル化合物、例えばジアルキル、特にジC1−6アルキルナフタレンジカルボキシレートが重合させられ得る。反応性アントラセン化合物、例えば1以上のカルボキシまたはエステル基、たとえば1以上のメチルエステルまたはエチルエステル基を有するアントラセン化合物も好ましい。
【0046】
遠紫外線適用(即ち、オーバーコートされたレジストが遠紫外線放射線を用いて画像化される場合)に関して、反射防止組成物のポリマーは、遠紫外線範囲(典型的には約100〜300nm)の反射を好ましく吸収する。従って、ポリマーは、好ましくは、遠紫外線発色団である単位、即ち、遠紫外線放射線を吸収する単位を含有する。高度に共役された部分は、一般的に好適な発色団である。芳香族基、特に多環式炭化水素またはヘテロ環式単位、たとえば各環に3〜8個の環員を有し、1つの環につき0〜3個のN、O、またはS原子を有する、2個から3個ないし4個までの縮合環または別々の環を有する基が、典型的に好ましい遠紫外線発色団である。このような発色団としては、任意に置換されていてもよいフェナントリル、任意に置換されていてもよいアントラシル、任意に置換されていてもよいアクリジン、任意に置換されていてもよいナフチル、任意に置換されていてもよいキノリニル、および環置換キノリニル、たとえばヒドロキシキノリニル基が挙げられる。任意に置換されていてもよいアントラセニル基は、オーバーコートされたレジストの248nmでの画像化に特に好ましい。好ましい反射防止組成物樹脂はペンダントアントラセン基を有している。好ましい樹脂としては、シップレーカンパニーの欧州特許出願公開第813114A2号の4ページに開示されている式Iの樹脂が挙げられる。
【0047】
他の好ましい樹脂バインダーは、任意に置換されていてもよいキノリニル基または1以上のN、OまたはS環原子を有するキノリニル誘導体、例えばヒドロキシキノリニルを含む。ポリマーは他の単位、例えばポリマー主鎖からつり下がったカルボキシおよび/またはアルキルエステル単位を含有することができる。特に好ましい反射防止組成物樹脂としては、このような単位を含有するアクリル樹脂として、例えばシップレーカンパニーの欧州特許出願公開813114A2号の4〜5ページに開示されている式IIの樹脂が挙げられる。
【0048】
前述のように、193nmでの画像化に関して、反射防止組成物は、好ましくは、フェニル発色団単位を有する樹脂を含有することができる。たとえば、193nmで画像化されるフォトレジストと共に使用するための一つの好適な反射防止樹脂は、スチレン、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、およびメチルメタクリレート(30:38:32のモル比)の重合単位からなるターポリマーである。このようなフェニル基含有樹脂、および反射防止組成物におけるその使用は、シップレーカンパニーに譲渡された、1998年出願の米国出願番号第09/153,575号、およびこれに対応する欧州公開出願EP87600A1号に開示されている。
【0049】
樹脂または他の成分を含むこのようなコーティング組成物は、前述のように用いられる。従って、例えば、組成物はクロスリンカーおよび酸供給源、例えば酸または酸発生剤化合物、特に熱酸発生化合物を好適に含むことができ、これにより、オーバーコートされるフォトレジスト層の適用前の熱処理などによって、適用されたコーティング組成物を架橋させることができる。
【0050】
好ましくは、本発明の反射防止組成物の樹脂は、約1,000〜約10,000,000ダルトン、さらに典型的には約5,000〜約1,000,000ダルトンの重量平均分子量(Mw)、および約500〜約1,000,000ダルトンの数平均分子量(Mn)を有する。本発明のポリマーの分子量(MwまたはMnのいずれか)は、ゲル透過クロマトグラフィーにより好適に決定される。
【0051】
吸収性発色団を有するコーティング組成物樹脂が一般的に好ましいが、本発明の反射防止組成物は、混合樹脂(co−resin)または単独の樹脂(sole−resin)バインダー成分のいずれかとして他の樹脂を含むことができる。フェノール樹脂、例えば、ポリ(ビニルフェノール)およびノボラックを用いることができる。このような樹脂は、本明細書の一部とされるシップレーカンパニーの欧州出願EP542008号に開示されている。フォトレジスト樹脂バインダーとして以下で記載されている他の樹脂も本発明の反射防止組成物の樹脂バインダー成分において使用できる。
【0052】
本発明のコーティング組成物におけるこのような樹脂成分の濃度は比較的広い範囲にわたって様々に変化させることができるが、一般的には、樹脂バインダーは、コーティング組成物の乾燥成分全体の約50〜95重量パーセントの濃度、さらに典型的には全乾燥成分(溶媒担体を除くすべての成分)の約60〜90重量パーセントの濃度で使用される。
【0053】
酸または酸発生剤化合物
前述のように、本発明の好ましい下層コーティング組成物は、例えば熱および/または放射線処理により架橋させることができる。例えば、本発明の好ましい下層コーティング組成物は、反射防止組成物の1以上の他の成分と架橋することができる独立したクロスリンカー成分を含有することができる。一般に好ましい架橋性下層組成物は、独立したクロスリンカー成分を含む。特に好ましい本発明の反射防止組成物は、独立した成分として;樹脂、クロスリンカー、および熱酸発生剤化合物を含有する。さらに、本発明の架橋性反射防止組成物は、好ましくはオーバーコートされたフォトレジスト層のフッティング(footing)またはノッチング(notching)の除去を促進するためのアミン塩基性添加剤を含有することもできる。架橋性下層組成物は好ましくは反射防止コーティング層上にフォトレジスト層を適用する前に架橋される。熱酸発生剤の活性化による下層組成物の熱誘発された架橋が一般に好ましい。
【0054】
本発明の架橋性下層組成物は、反射防止組成物コーティング層の硬化の過程で架橋を触媒または促進するために、好ましくは、イオン性または実質的に中性の熱酸発生剤、例えばアンモニウムアレンスルホネート塩を含む。典型的には1以上の熱酸発生剤が反射防止組成物中、前記組成物の全乾燥成分(溶媒担体を除くすべての成分)の約0.1〜10重量%、さらに好ましくは全乾燥成分の約2重量%の濃度で存在する。
【0055】
本発明のコーティング組成物は、典型的には酸または熱酸発生剤化合物をはじめとする別な酸供給源に加え、1以上の光酸発生剤化合物も含むことができる。このような光酸発生剤化合物(PAG)の使用において、光酸発生剤は架橋反応を促進するための酸の供給源としては使用されず、従って、好ましくは、光酸発生剤は、コーティング組成物の(架橋性コーティング組成物の場合における)架橋過程において実質的に活性化されない。光酸発生剤のこのような使用は、シップレーカンパニーに譲渡された米国特許第6,261,743号に開示されている。特に、熱的に架橋されるコーティング組成物に関して、コーティング組成物PAGは架橋反応の条件に対して実質的に安定であり、従ってPAGは、オーバーコートされたレジスト層のその後の露光過程において活性化され、酸を発生させることができる。詳細には、好ましいPAGは、約140℃または150℃から190℃の温度で5〜30分間以上さらされた場合に、実質的に分解せず、または他の劣化をしない。
【0056】
本発明の反射防止組成物または他のコーティングにおけるこのような使用に対して一般的に好適な光酸発生剤としては、たとえばオニウム塩、たとえばジ(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムパーフルオロオクタンスルホネート、ハロゲン化非イオン性光酸発生剤、たとえば1,1−ビス[p−クロロフェニル]−2,2,2−トリクロロエタン、およびフォトレジスト組成物における使用について開示されている他の光酸発生剤が挙げられる。本発明の少なくともいくつかの反射防止組成物について、反射防止組成物の光酸発生剤は、界面活性剤として作用することができ、反射防止組成物/レジストコーティング層界面に近接した反射防止組成物層の上部付近に集まることができることが好ましい。従って、たとえば、このような好適なPAGは、伸長された脂肪族基、たとえば4個以上の炭素、好ましくは6〜15個以上の炭素を有する置換または非置換アルキルまたは脂環式基、またはフッ素化された基、たとえば1個、または好ましくは2個以上のフルオロ置換基を有するC1−15アルキルまたはC2−15アルケニルなどを含むことができる。
【0057】
下層コーティング組成物の配合
本発明の液体コーティング組成物を作るため、下層コーティング組成物の成分を好適な溶媒、たとえば1以上のオキシイソ酪酸エステル、特に上記のメチル−2−ヒドロキシイソブチレート、エチルラクテート、または1以上のグリコールエーテル、たとえば2−メトキシエチルエーテル(ジグリム)、エチレングリコールモノメチルエーテル、およびプロピレングリコールモノメチルエーテル;エーテルおよびヒドロキシ部分の両方を有する溶媒、たとえばメトキシブタノール、エトキシブタノール、メトキシプロパノール、およびエトキシプロパノール;エステル、たとえばメチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ならびに他の溶媒、たとえば二塩基エステル、プロピレンカーボネート、およびガンマ−ブチロラクトンなどに溶解させる。本発明の反射防止コーティング組成物のための好ましい溶媒は、メチル−2−ヒドロキシイソブチレートであり、任意にアニソールと混合される。溶媒中の乾燥成分の濃度はいくつかの要因、たとえば適用方法などに依存する。一般的に、反射防止組成物の固形分含有量は、コーティング組成物の合計重量の約0.5〜20重量パーセントの範囲で変化し、好ましくは、固形分含有量は、コーティング組成物の約2〜10重量パーセントの範囲で変化する。
【0058】
フォトレジスト系の例
様々なフォトレジスト組成物を本発明のコーティング組成物と共に使用することができ、これにはポジ型およびネガ型の光酸発生性の組成物が包含される。本発明の下層組成物と共に使用されるフォトレジストは、典型的には、樹脂バインダーおよび光活性成分、典型的には光酸発生剤化合物を含む。好ましくは、フォトレジスト樹脂バインダーは、画像化されるレジスト組成物にアルカリ水性現像可能性を付与する官能基を有する。
【0059】
本発明の下層組成物と共に使用するための特に好ましいフォトレジストは化学増幅型レジスト、特にポジ型の化学増幅型レジスト組成物であり、ここにおいて、レジスト層中の光活性化された酸が、1以上の組成物成分の脱保護型反応を誘発し、これにより、レジストコーティング層の露光された領域と露光されなかった領域との間に溶解性の差が提供される。多くの化学増幅型レジスト組成物が、たとえば米国特許第4,968,581号;第4,883,740号;第4,810,613号;第4,491,628号、および第5,492,793号に開示されており、これらのはすべて、化学増幅型のポジ型レジストの製造および使用に関するそれらの教授のために参照により本明細書に組み入れられる。本発明のコーティング組成物は、光酸の存在下において脱保護を受けるアセタール基を有するポジ型の化学増幅型フォトレジストと共に特に好適に使用される。このようなアセタール系レジストは、たとえば米国特許第5,929,176号および第6,090,526号などに記載されている。
【0060】
本発明の下層組成物は、たとえばヒドロキシルまたはカルボキシレートなどの極性官能基を含む樹脂バインダーを含有するレジストをはじめとする他のポジ型レジストと共に使用することもでき、前記樹脂バインダーは、レジストを水性アルカリ溶液で現像可能にするのに十分な量でレジスト組成物において使用される。一般的に好ましいレジスト樹脂バインダーは、当該分野においてノボラック樹脂として知られているフェノールアルデヒド縮合物、ホモおよびコポリマーまたはアルケニルフェノール、ならびにN−ヒドロキシフェニル−マレイミドのホモおよびコポリマーをはじめとするフェノール樹脂である。
【0061】
本発明の下層コーティング組成物と共に使用するのに好ましいポジ型フォトレジストは、画像化に有効な量の光酸発生剤化合物および以下の群から選択される1以上の樹脂を含む:
1)特に248nmでの画像化に適した化学増幅型のポジ型レジストを提供することができる酸不安定基を含有する、フェノール樹脂。この種類の特に好ましい樹脂は以下のものを含む:
i)ビニルフェノールおよびアルキルアクリレートの重合単位を含むポリマーであって、ここにおいて、重合されたアルキルアクリレート単位は光酸の存在下において脱保護反応を受けることができる。光酸により誘発される脱保護反応を受けることができるアルキルアクリレートの例としては、たとえば、t−ブチルアクリレート、t−ブチルメタクリレート、メチルアダマンチルアクリレート、メチルアダマンチルメタクリレート、および光酸により誘発される反応を受けることができる他の非環式アルキルおよび脂環式アクリレート、例えば、米国特許第6,042,997号および第5,492,793号(参照により本明細書に組み入れられる)のポリマーが挙げられる;ii)ビニルフェノールと、任意に置換されていてもよいビニルフェニルであってヒドロキシまたはカルボキシ環置換基を含んでいないビニルフェニル(たとえばスチレン)と、上記のポリマーi)に関して記載されている脱保護基をはじめとするアルキルアクリレートとの、重合単位を含むポリマー、たとえば米国特許第6,042,997号(参照により本明細書に組み入れられる)に記載されているポリマー;ならびにiii)光酸と反応するアセタールまたはケタール部分を含む繰り返し単位、および任意にフェニルまたはフェノール基などの芳香族の繰り返し単位を含むポリマー;このようなポリマーは、米国特許第5,929,176号および第6,090,526号(参照により本明細書に組み入れられる)に記載されている。
2)実質的にまたは完全にフェニル基または他の芳香族基を含まず、200nm未満の波長、たとえば193nmでの画像化に特に好適な化学増幅型のポジ型レジストを提供することができる樹脂。この種類の特に好ましい樹脂は以下のものを含む:i)非芳香族環状オレフィン(環内二重結合)、たとえば任意に置換されていてもよいノルボルネンなどの重合単位を含むポリマー、たとえば米国特許第5,843,624号および第6,048,664号(参照により本明細書に組み入れられる)に記載されているポリマー;ii)アルキルアクリレート単位、たとえばt−ブチルアクリレート、t−ブチルメタクリレート、メチルアダマンチルアクリレート、メチルアダマンチルメタクリレート、および他の非環状アルキルおよび脂環式アクリレートなどを含有するポリマー;このようなポリマーは、米国特許第6,057,083号;欧州出願公開番号EP01008913A1およびEP00930542A1;ならびに米国係属特許出願番号第09/143,462号に記載されている(すべて参照により本願明細書に組み入れられる)、およびiii)重合された無水物単位、特に重合された無水マレイン酸および/または無水イタコン酸単位を含有するポリマー、たとえば欧州出願公開番号EP01008913A1および米国特許第6,048,662号(どちらも参照により本願明細書に組み入れられる)において開示されている。
3)ヘテロ原子、特に酸素および/または硫黄を含む繰り返し単位を含有し(但し、酸無水物以外、即ち、この単位はケト環原子を含有しない)、好ましくは、実質的にまたは完全に任意の芳香族単位を含まない樹脂。好ましくは、ヘテロ脂環式単位は樹脂骨格に縮合されており、前記樹脂が、縮合炭素脂環式単位、たとえばノルボレン基の重合により提供される単位、および/または酸無水物単位、たとえば無水マレイン酸または無水イタコン酸の重合により提供される単位などを含むことがさらに好ましい。このような樹脂は、PCT/US01/14914号および米国出願番号09/567,634に開示されている。
4)フッ素置換を含む樹脂(フルオロポリマー)、たとえばテトラフルオロエチレン、フッ素化された芳香族基、たとえばフルオロ−スチレン化合物などの重合により提供され得るものなど。このような樹脂の例は、たとえばPCT/US99/21912に開示されている。
【0062】
本発明のコーティング組成物上にオーバーコートされるポジ型またはネガ型のフォトレジストにおいて使用するのに好適な光酸発生剤は、イミドスルホネート、たとえば次式の化合物を含む:
【0063】
【化1】

【0064】
(式中、Rはカンファ、アダマンタン、アルキル(たとえばC1−12アルキル)、およびパーフルオロアルキル、たとえばパーフルオロ(C1−12アルキル)、特にパーフルオロオクタンスルホネート、パーフルオロノナンスルホネートなどである)。特に好ましいPAGはN−[(パーフルオロオクタンスルホニル)オキシ]−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミドである。
【0065】
スルホネート化合物も本発明のコーティング組成物上にオーバーコートされるレジストの好適なPAGであり、特にスルホン酸塩が好適である。193nmおよび248nmでの画像化に好適な2つの物質は以下のPAG1および2である:
【0066】
【化2】

【0067】
このようなスルホネート化合物は欧州特許出願番号96118111.2(公開番号0783136)に開示されているようにして調製することができ、この出願公報は上記PAG1の合成を詳細に記載している。
【0068】
上の図示されているカンファスルホネート基以外のアニオンと錯体形成した上記の2つのヨードニウム化合物も好適である。特に、好ましいアニオンとしては、式RSO−(式中、Rはアダマンタン、アルキル(たとえばC1−12アルキル)、およびパーフルオロアルキル、たとえばパーフルオロ(C1−12アルキル)、特にパーフルオロオクタンスルホネート、パーフルオロブタンスルホネートなどである)のアニオンが挙げられる。
【0069】
他の公知PAGも、下層コーティング組成物と共に用いられれるフォトレジストにおいて使用することができる。
【0070】
本発明のコーティング組成物上にオーバーコートされるフォトレジストの好ましい任意の添加剤は、追加の塩基、特にテトラブチルアンモニウムヒドロキシド(TBAH)、またはテトラブチルアンモニウムラクテートであり、これらは現像されたレジストレリーフ画像の解像度を向上させることができる。193nmで画像化されるレジストについて、好ましい追加の塩基はヒンダードアミン、たとえばジアザビシクロウンデセンまたはジアザビシクロノネンなどである。追加の塩基は、好適には、比較的少量で、たとえば全固形分に対して約0.03〜5重量パーセントで使用される。
【0071】
オーバーコートされる本発明のコーティング組成物と共に使用するのに好ましいネガ型レジスト組成物は、酸に暴露されると硬化、架橋、または硬質化する物質と、光酸発生剤との混合物を含む。
【0072】
特に好ましいネガ型レジスト組成物は、樹脂バインダー、たとえばフェノール樹脂、クロスリンカー成分、および本発明の光活性成分を含む。このような組成物およびその使用については、欧州特許出願番号0164248および0232972、ならびにThackerayらの米国特許第5,128,232号に開示されている。樹脂バインダー成分としての使用に好ましいフェノール樹脂は、ノボラックおよびポリ(ビニルフェノール)、たとえば上記のものなどを含む。好ましいクロスリンカーは、アミン系物質、例えばメラミン、グリコールウリル、ベンゾグアナミンベースの物質、および尿素系物質を含む。メラミン−ホルムアルデヒド樹脂が一般的に最も好ましい。このようなクロスリンカーは商業的に入手可能であり、たとえばメラミン樹脂はCytec IndustriesからCymel300、301、および303の商品名で販売されている。グリコールウリル樹脂は、Cytec IndustriesからCymel1170、1171、1172、Powderlink1174の商品名で販売されており、ベンゾグアナミン樹脂はCymel1123および1125の商品名で販売されている。
【0073】
本発明の下層組成物と共に使用されるレジストの好適な光酸発生剤化合物としては、オニウム塩、たとえば米国特許第4,442,197号、第4,603,10号、および第4,624,912号(それぞれ参照により本明細書に組み入れられる)に開示されているもの;および非イオン性有機光活性化合物、たとえばThackerayらの米国特許第5,128,232号におけるようなハロゲン化された光活性化合物、ならびにスルホン化されたエステルおよびスルホニルオキシケトンをはじめとするスルホネート光酸発生剤が挙げられる。ベンゾイントシレート、t−ブチルフェニルアルファ−(p−トルエンスルホニルオキシ)−アセテート、およびt−ブチルアルファ(p−トルエンスルホニルオキシ)−アセテートを包含する好適なスルホネートPAGの開示については、J.of Photopolymer Science and Technology、4(3):337−340(1991)参照されたし。好ましいスルホネートPAGは、Sintaらの米国特許第5,344,742号にも開示されている。上述のカンファスルホネートPAG1および2も、本発明の下層組成物と共に使用されるレジスト組成物、特に本発明の化学増幅型レジストの好ましい光酸発生剤である。
【0074】
本発明の反射防止組成物と共に使用するためのフォトレジストは、他の物質をも含むこともできる。たとえば、他の任意の添加剤としては、化学線色素および造影剤、ストリエーション防止剤、可塑剤、増感剤などが挙げられる。このような任意の添加剤は、典型的には、比較的高濃度(たとえばレジストの乾燥成分の合計重量の約5〜50重量パーセントの量)で存在することができる充填剤および色素以外は、フォトレジスト組成物中に低濃度で存在する。
【0075】
「任意に置換されていてもよい」という場合、様々な置換基および物質(樹脂、小分子化合物、酸発生剤などを含む)は、1以上の置換可能な位置で、たとえばハロゲン(F、Cl、Br、I);ニトロ;ヒドロキシ;アミノ;アルキル、たとえばC1−8アルキル;アルケニル、たとえばC2−8アルケニル;アルキルアミノ、たとえばC1−8アルキルアミノ;炭素環式アリール、たとえばフェニル、ナフチル、アントラセニルなどにより好適に置換されていてもよい。
【0076】
リソグラフィー処理
使用に際し、本発明のコーティング組成物は、たとえばスピンコーティングなどの様々な方法の任意のものにより、基体にコーティング層として適用される。コーティング組成物は、一般的に、乾燥した層の厚さが約0.02μm〜0.5μmの間、好ましくは、乾燥した層の厚さが約0.04μm〜0.20μmの間になるように基体上に適用される。基体は、好適には、フォトレジストを含むプロセスにおいて使用される任意の基体である。たとえば、基体はシリコン、二酸化ケイ素、またはアルミニウム−酸化アルミニウムマイクロエレクトロニックウェハであり得る。ガリウムヒ化、炭化ケイ素、セラミック、石英、または銅基体も使用することができる。液晶ディスプレイまたは他のフラットパネルディスプレイ用途の基体、たとえばガラス基体、酸化インジウムスズでコーティングされた基体なども好適に使用することができる。また、光学装置および光学電子装置(たとえば導波管など)のための基体も使用することができる。
【0077】
好ましくは、適用されたコーティング層は、当該反射防止組成物上にフォトレジスト組成物が適用される前に硬化される。硬化条件は反射防止組成物の成分によって変化する。特に、硬化温度は、コーティング組成物において使用される具体的な酸または酸(熱的)発生剤に依存する。典型的な硬化条件は、約80℃〜225℃の温度で約0.5〜40分間である。硬化条件は、好ましくは、コーティング組成物のコーティング層をフォトレジスト溶媒ならびにアルカリ水性現像液に対して実質的に不溶性にする。
【0078】
このような硬化後、最上のコーティング組成物の表面上にフォトレジストが適用される。底部のコーティング組成物層を適用する場合と同様、オーバーコートするフォトレジストは任意の標準的な手段、たとえばスピニング、ディッピング、メニスカスまたはローターコーティングにより適用することができる。適用後、フォトレジストコーティング層を、典型的には加熱により乾燥させ、好ましくはレジスト層に粘着性がなくなるまで溶媒を除去する。最適には、底部組成物層とオーバーコートされたフォトレジスト層との混合は本質的に起こるべきではない。
【0079】
レジスト層を、次いで一般的な方法でマスクを通して活性化放射線で画像化させる。露光エネルギーは、レジストコーティング層においてパターン化された像を生じさせるために、レジスト系の光活性成分を効果的に活性化するのに十分な量である。典型的には、露光エネルギーは、約3〜300mJ/cmの範囲であり、露光手段および具体的なレジスト、ならびに用いられるレジスト処理に一部依存する。コーティング層の露光された領域と露光されなかった領域との間の溶解性の差を生じさせるか、または向上させることが望ましい場合は、露光されたレジスト層を露光後ベークに付してもよい。たとえば、ネガ型の酸硬化性フォトレジストは、典型的には、酸により促進される架橋反応を誘発するために露光後の加熱を必要とし、多くの化学的に増幅されたポジ型のレジストは、酸により促進された脱保護反応を誘発するために露光後の加熱を必要とする。典型的には、露光後のベーキング条件は、約50℃以上の温度、さらに詳細には約50℃〜約160℃の範囲の温度を含む。
【0080】
フォトレジスト層は、液浸リソグラフィー系、すなわち、露光手段(特に映写レンズ)とフォトレジストでコートされた基体との間の空間が浸漬液、例えば水あるいは、流体の屈折率を向上させることができる硫酸セシウムなどの1以上の添加剤と混合された水で占められている系において露光することもできる。好ましくは、浸漬液(例えば水)は、発泡を防ぐために処理される。たとえば、ナノバブルを回避するために水を脱気することができる。
【0081】
本明細書において「液浸露光」または他の類似した用語への言及は、露光手段とコートされたフォトレジスト組成物層間に挿入された、かかる流体層(例えば水または水と添加剤)を用いて露光が行われることを示す。
【0082】
露光されたレジストコーティング層を次いで、好ましくは、例えば水酸化テトラブチルアンモニウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、珪酸ナトリウム、メタ珪酸ナトリウム、アンモニア水などにより例示されるアルカリをはじめとする水性現像液で現像する。あるいは、有機現像液を用いることもできる。一般的に、現像は当該分野において承認された手順に従う。現像後、約100℃〜約150℃の温度で酸硬化性フォトレジストの最終ベークを数分間行い、現像された露光コーティング層領域をさらに硬化させることが多い。
【0083】
次いで、現像された基体は、フォトレジストのない基体領域上が選択的に処理され得る。例えば、当該分野においてよく知られた手順に従ってフォトレジストのない基体領域が化学的にエッチングまたはメッキされ得る。好適なエッチング剤としては、フッ化水素酸エッチング溶液およびプラズマガスエッチ、例えば酸素プラズマエッチが挙げられる。
【0084】
以下の非制限的な実施例は本発明の例証するものである。本明細書に述べられているすべての文献は、参照により本明細書に組み入れられる。
【実施例】
【0085】
実施例1〜26 樹脂合成
【0086】
実施例1
30:38:32のモル比でスチレン、2−ヒドロキシエチルメタクリレートおよびメタクリレートモノマーからなるターポリマーを次の手順に従って合成した:
モノマー(スチレン、純度99%、Aldrichから入手、169.79g;2−ヒドロキシエチルメタクリレート、Rohm and Haas Corporationから入手「Rocryl400」、269.10g;およびメチルメタクリレート、Rohm and Haas Corporationから入手、173.97g)を、オーバーヘッドスターラー、凝縮器、および窒素注入口を備えた5Lの三口丸底フラスコ中、2375gのTHF中に溶解させた。反応溶液を窒素気流で20分間脱気した。Vazo52開始剤(11.63g、DuPont corporationから入手)を添加し、溶液を還流まで加熱した。この温度を15時間維持した。反応溶液を周囲温度まで冷却し、12Lのメチルターシャリーブチルエーテル(MTBE)/シクロヘキサン(v/v1/1)中に沈殿させた。ポリマーを減圧下での濾過により集め、真空下、約50℃で48時間乾燥させた。ポリマー収率は68%であり、その2.4重量%は残存モノマーであった。この生成物は約92℃のガラス転移温度Tgおよびゲル透過クロマトグラフィーによるとポリスチレン標準に対して約Mw=22416、Mn=10031の分子量を有することが判明した。
【0087】
実施例2
スチレン:2−ヒドロキシエチルメタクリレート:メチルメタクリレート:n−ブチルメタクリレート(モル%比30:38:31:1)のテトラポリマーを、0.72%の開始剤(Vazo52)のモル%で、実施例1の手順に従って合成した。ポリスチレン標準に対するゲル透過クロマトグラフィーによる分子量分析により、重量平均分子量は約22646、数平均分子量は約10307ダルトンであった。
【0088】
実施例3
スチレン:2−ヒドロキシエチルメタクリレート:メチルメタクリレート:n−ブチルメタクリレート(モル%比55:30:14:1)のテトラポリマーを、0.27%の開始剤(Vazo52)のモル%で、実施例1の手順に従って合成した。ポリスチレン標準に対するゲル透過クロマトグラフィーによる分子量分析により、重量平均分子量は約124761、数平均分子量は約36638ダルトンであった。
【0089】
実施例4
スチレン:2−ヒドロキシエチルメタクリレート:メチルメタクリレート(モル%比10:70:20)のターポリマーを次の手順に従って合成した:窒素注入口、水冷凝縮器、熱電対、テフロン(登録商標)2ブレート撹拌機を有する電気モーターおよび加熱/冷却用ジャケットを備えた1Lのリアクターに、32.4gのポリプロピレングリコールメチルエーテル(PGME)を装入し、続いて前記のモル比であらかじめ調製された42gのモノマー混合物を装入した。反応混合物を20℃で撹拌し、14.6gの開始剤溶液(249gのPGME中16.8gの2,2−アゾビス−メチルブチロニトリル(ABMBN))を添加した。開始剤を添加した後、反応混合物を100℃に加熱し、98gのモノマー混合物を1時間かけて添加した。同時に、開始剤溶液の残り(131.28g)をゆっくりと4時間かけて添加した。添加の間中、温度を100℃に維持した。開始剤添加の終わったときに、反応温度を100℃でさらに1時間保持した。反応混合物をさらに290gのPGMEで希釈し、25℃に冷却した。本発明の目的に関して、必要に応じて、この濃度またはそれ以下の濃度でポリマー溶液を使用することができる。ターポリマーの単離は、120gのポリマー溶液を1.2Lの脱塩水中にゆっくりと添加することにより達成された。沈殿をブフナー漏斗上で集め、150gずつの脱塩水で2回洗浄した。生成物をまず空気乾燥し、続いて50℃で真空乾燥した。ポリスチレン標準に対するゲル透過クロマトグラフィによる乾燥試料の分子量分析により、重量平均分子量は約31286、数平均分子量は約5912ダルトンであった。
【0090】
実施例5〜12
2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)およびメチルメタクリレート(MMA)の代表的コポリマーを実施例4の手順に従って調製した。モノマーモル%フィード比、開始剤モル%および得られたポリマー分子量に基づくコポリマー組成を表1に示す。
【0091】
【表1】

【0092】
実施例13〜15
メチル2−ヒドロキシメチルアクリレート(HMAAME)とメチルメタクリレート(MMA)、およびエチル2−ヒドロキシメチルアクリレート(HMAAEE)とMAAのコポリマーを実施例4の手順に従って調製した。全てのコポリマーを50:50モノマーフィードで調製した。開始剤濃度および得られたポリマー分子量を表2にまとめる。
【0093】
【表2】

【0094】
実施例16
9−アントラセンメチルメタクリレート(ANTMA):2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA):メチルメタクリレート(MMA)の43:25:32のモル%比のターポリマーを次の手順に従って合成した:
オーバーヘッドスターラー、凝縮器および窒素注入口を備えた12Lの三口丸底フラスコに、537.5gの9−アントラセンメチルメタクリレート、312.5gの2−ヒドロキシエチルメタクリレート、400.0gのメチルメタクリレート、および8.00Lのテトラヒドロフラン(THF)を装入した。ANTMAをまず反応容器中、4LのTHF中に溶解させ、次いでHEMAおよびMMAをさらに別の4LのTHFと共に添加した。分散を通した窒素で溶液を20分間脱気した。温度をほぼ25℃に維持するために、脱気の間、反応混合物を加熱した。脱気後、5.0gのAIBNを添加した。反応混合物を還流温度で24時間加熱した。反応混合物を室温に冷却し、メチルt−ブチルエーテル(MBTE)中に沈殿させ、集め、真空下、70℃で96時間乾燥させた。64640のMw、26258のMnおよび138℃のTgを有する約1kg(収率80%)の淡黄色ポリマーを得た。
【0095】
実施例17〜26のポリエステルの一般的合成手段
次のポリエステル実施例は、モノマーの組み合わせ、発色団の選択、発色団の量、溶媒の装入、酸触媒の装入、およびポリマー単離に関して独自の特徴を示す。全ての薬剤を、添加の順序はあまり考慮せずに反応容器中にまず装入した。反応装備は、機械式スターラー、温度制御ボックス、温度プローブ、加熱マントル、凝縮器、ディーン・スタークトラップ、および窒素パージ注入口(スィープ)を備えた100または250mLの三口丸底フラスコから構成されていた。各反応を最初に実質的な還流(120〜150℃)まで加熱し、次いで30分以内でゆっくりと約150℃のピーク温度まで加熱した。各反応についての合計反応時間(表3)を実質的な還流点から熱的急冷の開始まで記録した。冷却された溶液を沈殿前に希釈した。ポリマーをブフナー漏斗を通した濾過により集め、空気乾燥し、次いで真空中、40〜70℃の間で乾燥させた。ポリマー収率およびGPC結果を表3に記載する。
【0096】
実施例17
装入物:ジメチルテレフタレート(DMT)(46.15g、237.6ミリモル)、1,3,5−トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート(THEIC)(62.08g、237.6ミリモル)、4−ヒドロキシフェニル酢酸(4−HPAA)(8.48g、55.7ミリモル)、p−トルエンスルホン酸一水和物(PTSA)(2.1g、11ミリモル)、およびアニソール(80g)。ポリマー溶液をイソプロピルアルコール(IPA)およびテトラヒドロフラン(THF)で希釈し、イソプロピルアルコール(IPA)中に沈殿させて、81%の収率を得た。
【0097】
実施例18
装入物:ジメチルテレフタレート(DMT)(36.19g、186.4ミリモル)、1,3,5−トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート(THEIC)(48.69g、186.4ミリモル)、4−ヒドロキシフェニル酢酸(4−HPAA)(30.54g、200.7ミリモル)、p−トルエンスルホン酸一水和物(PTSA)(2.1g、11ミリモル)、およびアニソール(80g)。ポリマー溶液をIPAおよびTHFで希釈し、IPA中に沈殿させた。
【0098】
実施例19
装入物:DMT(22.3g、115ミリモル)、ジメチル5−ヒドロキシイソフタレート(18.1g、86ミリモル)、THEIC(52.5g、201ミリモル)、2−ヒドロキシイソ酪酸(17.9g、172ミリモル)、PTSA(2.1g、11ミリモル)、およびアニソール(80g)。ポリマー溶液をTHF(355g)で希釈し、IPA中に沈殿させた。
【0099】
実施例20
装入物:DMT(22.3g、115ミリモル)、ジメチル5−ヒドロキシイソフタレート(18.1g、86ミリモル)、THEIC(52.5g、201ミリモル)、2−ヒドロキシイソ酪酸(18.0g、172ミリモル)、PTSA(2.1g、11ミリモル)、およびアニソール(82g)。ポリマー溶液をTHF(355g)で希釈し、IPA中に沈殿させた。
【0100】
実施例21
装入物:DMT(39.0g、201ミリモル)、THEIC(52.5g、201ミリモル)、2−ヒドロキシイソ酪酸(18.0g、172ミリモル)、PTSA(2.7g、14ミリモル)、およびアニソール(83g)。ポリマー溶液をTHF(358g)で希釈し、IPA中に沈殿させた。
【0101】
実施例22
装入物:ジメチルテレフタレート(48.5g、250ミリモル)、エチレングリコール(12.4g、200ミリモル)、グリセロール(9.0g、100ミリモル)、およびPTSA(0.54g、2.8ミリモル)。十分なプロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PMA)を添加し、8%溶液を調製した。
【0102】
実施例23
装入物:ジメチル2,6−ナフタレンジカルボキシレート(24.33g、99.63ミリモル)、ジメチルテレフタレート(19.44g、100.1ミリモル)、エチレングリコール(7.63g、123ミリモル)、グリセロール(7.29g、79.2ミリモル)、およびPTSA(0.46g、2.4ミリモル)。得られたポリマーをHBM、アニソール、およびメチル2−メトキシイソブチレート(MBM)の溶媒混合物中に溶解させて、10%溶液を調製した。
【0103】
実施例24
装入物:ジメチルテレフタレート(31.15g、160.4ミリモル)、1,3,5−トリス(2−ヒドロキシエチル)シアヌル酸(46.09g、176.4ミリモル)、およびPTSA(1.35g、7.1ミリモル)およびアニソール(52g)。得られたポリマーをHBMで25%溶液に希釈し、IPA中に沈殿させて、45.3g(67%)の樹脂を得た。
【0104】
実施例25
装入物:ジメチルテレフタレート(31.11g、160.2ミリモル)、1,3,5−トリス(2−ヒドロキシエチル)シアヌル酸(45.80g、175.3ミリモル)、およびPSTA(0.67g、3.5ミリモル)。得られたポリマーをTHF中に溶解させ、MTBE中に沈殿させて、50.0g(75%)を得た。
【0105】
実施例26
装入物:ジメチルフタレート(30.91g、159.2ミリモル)、1,3,5−トリス(2−ヒドロキシエチル)シアヌル酸(46.06g、176.3ミリモル)、およびPTSA(0.67g、3.5ミリモル)。得られたポリマーをTHF中に溶解させ、MTBE中に沈殿させて、51.1g(76%)を得た。
【0106】
【表3】

【0107】
実施例27〜34
クロスリンカー物質
【0108】
実施例27
テトラメトキシメチルグリコールウリルとジオールのオリゴマー
撹拌機、凝縮器、熱電対および加熱マントルを備えた三口反応容器に、30gのテトラメトキシメチルグリコールウリル、60gのテトラヒドロフラン、および21.3gのエチレングリコールを添加した。混合物を撹拌しながら70℃に加熱し、0.85gの濃塩酸を添加した。70℃で3時間を経て、反応溶液を50℃に冷却し、0.85gのトリエチルアミンを添加して、酸を中和し、さらなる縮合反応のために生成物を安定化させた。生成混合物を周囲温度に冷却し、濾過して塩酸塩を除去し、ロータリーエバポレーターを用いて濃縮乾燥させた。生成物はポリスチレン標準に対してゲル濾過クロマトグラフィーによると、およそMw=1430、Mn=1203の分子量を有し、約9.7面積%のテトラメトキシメチルグリコールウリルを有することが判明した。試料の熱重量分析は、150℃より上でわずかな重量損失を示した。同じ試験条件下で、テトラメトキシメチルグリコールウリルは試験装置から昇華した。
【0109】
実施例28
撹拌機、凝縮器、熱電対および加熱マントルを備えた三口反応容器に、30gのテトラメトキシメチルグリコルリルおよび60gのメチル2−ヒドロキシイソブチレートを添加した。スラリーを70℃に加熱して、グリコールウリルを完全に溶解させた。濃塩酸(0.85g)を添加し、反応溶液を70℃で3時間保持した。周囲温度に冷却して、約0.85gのトリエチルアミンを添加し、混合物を約30分間撹拌した。静置すると、沈殿が形成され、これを焼結ガラスフィルターを用いて濾過することにより除去した。ポリスチレン標準に対するゲル濾過クロマトグラフィーによる溶液の分子量分析によると、およそMn=902、Mn=791であり、未結合テトラメトキシメチルグリコールウリルは約37面積%であった。
【0110】
実施例29
反応を促進するために1.41gの濃塩酸を使用し、70℃で2.15時間後に反応を停止させるために1.41gのトリエチルアミンを使用する以外は実施例28の手順に従って、テトラメトキシメチルグリコールウリル(50g)およびメチル2−ヒドロキシイソブチレート(100g)を反応させた。ポリスチレン標準に対するゲル濾過クロマトグラフィーによる溶液の分子量分析によると、およそMn=1696、Mn=853で、未反応テトラメトキシメチルグリコールウリルは約13.7面積%であった。
【0111】
実施例30
50%トルエンスルホン酸水混合物(0.544g)を触媒として使用し、酸を中和し、反応を停止するために約0.145gのトリエチルアミンを使用して反応を90℃で4時間行う以外は実施例29の方法を繰り返した。ポリスチレン標準に対するゲル透過クロマトグラフィーによる溶液の分子量分析によると、およそMw=974、Mn=645で、テトラメトキシメチルグリコールウリルは約23.3面積%であった。
【0112】
実施例31
テトラメトキシメチルグリコールウリル(10g)を、20gのテトラヒドロフラン中0.28gの濃塩酸(水の供給源)で、実施例28の方法に従って処理した。約0.28gのトリエチルアミンを添加して酸を中和した。ポリスチレン標準に対するゲル濾過クロマトグラフィーによる溶液の分子量分析によると、およそMw=616、Mn=529で、遊離テトラメトキシメチルグリコールウリルは約62面積%であった。さらに厳しい条件下で、反応生成物は反応溶液から沈殿した。アルコールをはじめとする共反応物質も反応混合物中に存在する場合に、これは観察されない。
【0113】
実施例32
この実施例は、テトラメトキシメチルグリコールウリルの反射防止樹脂との結合を示す。反応は、樹脂中に存在する微量の酸により促進される。
【0114】
三口反応容器に、メチル2−ヒドロキシイソブチレート中約18.8重量%の実施例24からの樹脂を含有する約253.6gの樹脂溶液および12.25gのテトラメトキシメチルグルコリルを添加した。混合物を70℃に加熱し、この温度で4.5時間保持した。溶液をついで混床式イオン交換樹脂で処理して、酸を除去し、濾過した。ポリスチレン標準に対するゲル濾過クロマトグラフィーによる溶液の分子量分析によると、およそMw=3009、Mn=1470で、残存するテトラメトキシメチルグリコールウリルは約4.3面積%であった。熱重量分析は、約140〜150℃より上でわずかな重量損失を示した。同じ試験条件下で、テトラメトキシメチルグリコールウリルは昇華により実質的な重量損失を受けることが観察された。
【0115】
実施例33
反応を90℃で1時間行う以外は実施例32の手順を繰り返した。ポリスチレン標準に対するゲル透過クロマトグラフィーによる溶液の分子量分析によると、およそMw=3881、Mn=1654で、遊離テトラメトキシメチルグリコールウリルは約3.2%(面積パーセント)であった。
【0116】
実施例34
約11.3gの実施例2のポリマー、約2.82gのテトラメトキシメチルグルコリルを約45.2gのメチル2−ヒドロキシイソブチレート中に溶解させた。触媒量のp−トルエンスルホン酸一水和物(0.0048g)を添加し、反応混合物を約70℃で約1時間加熱した。反応混合物を周囲温度に冷却し、ポリスチレン標準を用いたゲル透過クロマトグラフィーにより分析した。得られたポリマーは、約67010ダルトンの重量平均分子量を有し、約5%の未反応テトラメトキシメチルグリコールウリルを有することが判明した。
【0117】
配合例35〜51の一般的手順:
代表的ポリマー例および修飾グリコールウリルを本発明の反射防止組成物中に配合した。表示された成分を清浄な瓶中に添加の順序を考慮せずに装入することにより各組成物を調製した。完全に溶解するまで試料を振とうするか、またはローラー上に置いた。各試料を次いで0.2μmPTFEメンブランフィルターを通して清浄な瓶中に入れた。代表的な本発明の反射防止組成物は、光学密度(OD)、nおよびk光学パラメータ、酸化物エッチ速度、ならびにプロピレングリコールメチルエーテル(PGME)またはプロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)中の溶解度によっても特徴づけた。
【0118】
実施例35
約3.14重量%のポリマーと共に、約0.80重量%のテトラメトキシメチルグリコールウリル、約0.06重量%のトリエチルアンモニウムp−トルエンスルホネート、および約96重量%のメチル2−ヒドロキシイソブチレートを混合することにより、実施例24のポリマーを反射防止組成物中に配合した。
【0119】
実施例36
約3.35重量%のポリマーと共に、約0.61重量%のテトラブトキシメチルグリコールウリル、約0.061重量%のトリエチルアンモニウムp−トルエンスルホネート、および約96重量%のメチル2−ヒドロキシイソブチレートを混合することにより、実施例24のポリマーを反射防止組成物中に配合した。
【0120】
実施例37
約3.19重量%のポリマーと共に、約0.57重量%の実施例28からの生成混合物、約0.04重量%のアンモニウムp−トルエンスルホネート、および約96.2重量%のメチル2−ヒドロキシイソブチレートを混合することにより、実施例24のポリマーを反射防止組成物中に配合した。
【0121】
実施例38
約3.2重量%のポリマーと共に、約0.76重量%の実施例27からの生成混合物、約0.04重量%のアンモニウムp−トルエンスルホネート、および約96重量%のメチル2−ヒドロキシイソブチレートを混合することにより、実施例24のポリマーを反射防止組成物中に配合した。
【0122】
実施例39
約3.2重量%のポリマーと共に、約0.76重量%の実施例31からの生成混合物、約0.04重量%のアンモニウムp−トルエンスルホネート、および約96重量%のメチル2−ヒドロキシイソブチレートを混合することにより、実施例24のポリマーを反射防止組成物中に配合した。
【0123】
実施例40
約3.96重量%の生成混合物および約0.04重量%のアンモニウムp−トルエンスルホネート、および約96重量%のメチル2−ヒドロキシイソブチレートを混合することにより、実施例32の生成混合物を反射防止組成物中に配合した。
【0124】
実施例41
約3.96重量%の生成混合物および約0.04重量%のアンモニウムp−トルエンスルホネート、および約96重量%のメチル2−ヒドロキシイソブチレートを混合することにより、実施例33の生成混合物を反射防止組成物中に配合した。
【0125】
実施例42〜51
実施例35の手順に従って、実施例19のポリマーを実施例4のポリマーと混合することにより、及び実施例19のポリマーを実施例5〜12に従って調製された様々なHEMA:MMAコポリマーと混合することにより、実施例42〜50を調製した。実施例2のポリマーを実施例7のポリマーと混合することにより、実施例35の手順に従って実施例51を調製した。ポリマー、ポリマーブレンド比、光学的性質および混合物の酸化物エッチを表4にまとめる。
【0126】
次の手順を用いて、表4に説明するような光学密度(OD)値、光学パラメータ(n、k)およびエッチ速度を決定した。
【0127】
OD決定のための一般的手順
卓上スピンコーターを30秒間用いて、配合された試料を4インチのシリコンおよび石英ウェハ上にコーティングすることにより光学密度(OD)測定値を得た。スピン速度は40〜120nmの範囲の膜厚を得るために必要に応じて変えた。コーティングされたウェハを接触ホットプレート上、215℃で60秒間硬化させた。膜厚(シリコンウェハ上)を偏光解析法により測定した。石英上のフィルムの吸光度をUV分光測光法により決定した。吸光度をブランク石英ウェハに対して測定した。厚さおよび吸光度の測定値を用いてODを193nmで計算した(表4)。
【0128】
光学パラメータを測定するための一般的手順
ACT8コーティング手段を用いて200mmシリコンウェハ上に反射防止コーティングを得た。40〜120nmの範囲の膜厚を得るために必要に応じてスピン速度を変えた。硬化条件は、近接ホットプレート上、215℃/60秒であった。膜厚を偏光解析法により決定した。屈折率の実数部(n)および虚数部(k)(表4)を決定するためにWVASE32偏光解析器を使用した。
【0129】
エッチ速度を測定するための一般的手順
ACT8コーティング手段を用いて200mmシリコンウェハ上に、エッチ速度試験のための反射防止コーティングを得た。100nmより厚い膜厚を得るために必要に応じてスピン速度を変えた。硬化条件は、近接ホットプレート上、215℃/60秒であった。膜厚を偏光解析法により測定した。フィルムを次いでブランケット酸化物エッチ(C/O/CO/Ar)に30秒間付した。エッチングされたフィルムの厚さを再度測定し、エッチ速度を計算した(表4)。
【0130】
【表4】

【0131】
実施例52〜54
昇華比較
実施例35、39、および40の反射防止コーティングを、ACT8ウェハコーティング手段を用いて100の200nmシリコンウェハセット上にそれぞれスピンコートした。各ウェハセットを次いで以下の昇華検出試験にしたがって試験した。
昇華検出試験−TEL MARK8に対する手順
アルミニウム箔「対象」(図1中に描かれる)を用いて、架橋ベーク工程中に反射防止コーティングからの昇華する物質の量を決定した。
試験工程:
1.標準的アルミニウム箔を用い、図1の図表に示したように試験対象を調製する。
2.5桁メトラー天秤を用い、Alテンプレートを3回秤量して、測定の再現精度を決定する。
3.図1に示すように6個のねじを用いて対象をカバーに取り付ける。
4.対象を取り外し、再度秤量して、初期対象重量を確立する。
5.慎重に対象をカバーに再度取り付け、カバーをTEL Mark8上の適切な操作位置に戻す。
6.標準的手順によりTridakディスペンスユニットを準備し、適切な試料物質で満たす。
7.標準的分注およびベーク手法およびフローを用いて複数のウェハ(典型的には100)をコーティングする。
8.完了したら、ホットプレートを冷却し、対象を変形させたり、破らないようにカバーを慎重にとりはずす。
9.対象から物質が移動しないように注意して秤量するために箔状対象を折りたたむ。
10.対象を再度秤量し、初期対象重量との差を計算して記録する。
11.次の試料について繰り返す。
【0132】
【表5】

【0133】
実施例55
リソグラフィー評価
ACT8ウェハコーティング手段を用いて、実施例36〜39の反射防止コーティングを200mmシリコンウェハ上にスピンコートし、次いで215℃/60秒で近接ホットプレートを用いて硬化させた。スピン速度は、硬化後の反射防止膜厚が40〜120nmになるように必要に応じて変化させた。次に、光酸開裂可能なエステル基を有するが、芳香族基、光酸発生剤化合物および塩基性添加剤を有さない化学増幅型のポジ型フォトレジストコーティング樹脂を溶媒担体と共に反射防止フィルムの最上面上にスピンコートし、120℃/90秒で乾燥させて、330nmの膜厚のフォトレジストを得た。フォトレジストを次いで、0.75開口数および0.85/0.55内部/外部部分干渉性の環状照明を有する193nmArFウェハスキャナーを用いて対象マスクを通して露光した。露光されたレジストフィルムを120℃/60秒の露光後ベークをし、次いで水性アルカリ性現像液(2.38%水中テトラメチルアンモニウムヒドロキシド)を用いて標準的60秒シングルパドル法で現像した。
【0134】
レジストパターンの品質を、走査電子顕微鏡(SEM)により75000の倍率で調べた。SEM画像は、良好なパターン忠実性を示し、レジストと反射防止層間の界面がきれいであった。レジストパターンは、反射干渉現象により生じる「定常波」の不自然な結果がなかった。実施例36および37の反射防止コーティング上の110nm1:1の線:空間フォトレジストパターンのSEM画像をそれぞれ図2および3に示す。
【0135】
本発明の前記事項は単に例示的であり、特許請求の範囲に記載される本発明の精神または範囲から逸脱することなく変更および修正を行うことができると理解される。
【図面の簡単な説明】
【0136】
【図1】実施例52〜54において詳細に記載される昇華試験において用いられる箔「対象」を図示する。
【図2】実施例36の反射防止組成物上の実施例55の現像されたフォトレジストリリーフ画像の走査電子顕微鏡写真(SEM)を示す。
【図3】実施例37の反射防止組成物上の実施例55の現像されたフォトレジストリリーフ画像のSEMを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂成分とクロスリンカー成分とを含む有機コーティング組成物層を含むコーティングされた基体であって、クロスリンカー成分が、1以上の窒素含有クロスリンカーと1以上のヒドロキシ含有化合物とを含む薬剤の反応生成物を含む、コーティングされた基体。
【請求項2】
樹脂成分とクロスリンカー成分とを含む有機コーティング組成物層を含むコーティングされた基体であって、クロスリンカー成分が非ポリマー性であり、かつ少なくとも約300ダルトンの分子量を有する、コーティングされた基体。
【請求項3】
クロスリンカー成分が、
1)1以上のグリコールウリル、メラミン、尿素、もしくはグアナミン化合物、またはその混合物と、2)アルコール、カルボキシおよび/またはフェノール部分を含む1以上の化合物とを含む薬剤の反応生成物
を含む、請求項1記載のコーティングされた基体。
【請求項4】
フォトレジストコーティング層が反射防止コーティング層の上に配置される、請求項1または請求項2に記載のコーティングされた基体。
【請求項5】
フォトレジストコーティング層が、光酸不安定基を有する1以上の樹脂を含み、かつ実質的に芳香族基を含まない、請求項4に記載のコーティングされた基体。
【請求項6】
有機コーティング組成物が反射防止コーティング組成物である、請求項1または請求項2に記載のコーティングされた基体。
【請求項7】
樹脂成分とクロスリンカー成分とを含む有機コーティング組成物を基体上に適用すること、ここにおいて、クロスリンカー成分は1以上の窒素含有クロスリンカー化合物と1以上のヒドロキシ含有化合物との反応生成物を含む;及び
フォトレジスト組成物層を反射防止組成物層の上に適用すること、
を含む、マイクロエレクトロニック基体を処理する方法。
【請求項8】
有機コーティング組成物を基体上に適用すること、(該コーティング組成物、樹脂成分およびクロスリンカー成分)、ここにおいて、前記クロスリンカー成分は非ポリマー性であり、少なくとも約300ダルトンの分子量を有する;及び
フォトレジスト組成物層を反射防止組成物層の上に適用すること
を含む、マクロエレクトロニック基体を処理する方法。
【請求項9】
オーバーコートされるフォトレジスト層と共に使用するための反射防止コーティング組成物であって、樹脂成分とクロスリンカー成分とを含み、クロスリンカー成分が、1以上の窒素含有クロスリンカーと1以上のヒドロキシ含有化合物とを含む薬剤の反応生成物を含む、反射防止コーティング組成物。
【請求項10】
オーバーコートされるフォトレジスト層と共に使用するための反射防止コーティング組成物であって、樹脂成分とクロスリンカー成分とを含み、クロスリンカー成分が非ポリマー性でありかつ少なくとも約300ダルトンの分子量を有する、反射防止コーティング組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−341590(P2006−341590A)
【公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−74157(P2006−74157)
【出願日】平成18年3月17日(2006.3.17)
【出願人】(591016862)ローム・アンド・ハース・エレクトロニック・マテリアルズ,エル.エル.シー. (270)
【Fターム(参考)】