説明

オーバーコートされるフォトレジストと共に用いるためのコーティング組成物

【課題】オーバーコートされたフォトレジスト組成物と共に用いるための下地コーティング組成物を提供すること。
【解決手段】一態様において、このコーティング組成物は架橋可能であり、並びに架橋の後に反応性である1以上の酸不安定性基および/または1以上の塩基反応性基を含む1以上の成分を含有する。別の態様において、処理されて調製された水接触角を提供することができる下地コーティング組成物が提供される。好ましいコーティング組成物は関連づけられたフォトレジスト組成物のリソグラフィー性能を向上することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はオーバーコートされるフォトレジスト組成物と共に用いるための組成物(特には、反射防止コーティング組成物、すなわち、「ARC」)に関する。一態様において、このコーティング組成物は架橋することが可能であり、かつ架橋の後に反応性である1以上の酸不安定性基および/または1以上の塩基反応性基を含む1以上の成分を含む。別の態様において、処理されて調節された水接触角を提供することができる下地コーティング組成物が提供される。
【背景技術】
【0002】
フォトレジストは画像を基体に転写するのに用いられる感光性フィルムである。フォトレジストのコーティング層を基体上に形成し、次いでフォトレジスト層はフォトマスクを通して活性化放射線の源に暴露される。フォトマスクは活性化放射線に対して不透明である領域および活性化放射線に対して透明である他の領域を有する。活性化放射線への露光はフォトレジストの光誘起もしくは化学的変形をもたらし、それによりフォトマスクのパターンが、フォトレジストがコートされた基体に転写される。露光に続いて、フォトレジストを現像してレリーフ画像を得、それが基体の選択的処理を可能にする。
【0003】
フォトレジストの主な用途は半導体製造におけるものであり、そこでは高度に研磨された半導体スライス、例えば、シリコンもしくはヒ化ガリウムを回路機能を果たす電子伝導性経路の複雑なマトリックスに変換することを目的とする。適正なフォトレジスト処理はこの目的を達成するための鍵である。様々なフォトレジスト処理工程の間には強い相互依存が存在するが、露光が高解像度フォトレジスト画像を達成する上で最も重要な工程のうちの1つであるものと考えられる。
【0004】
フォトレジストの露光に用いられる活性化放射線の反射は、しばしば、フォトレジスト層にパターン化される画像の解像度に限界をもたらす。基体/フォトレジスト界面からの放射線の反射は、フォトレジスト内での放射線強度の空間的変動を生じさせる可能性があり、これは現像時に不均一なフォトレジスト線幅を生じさせる。放射線が基体/フォトレジスト界面から露光を意図しないフォトレジストの領域内に散乱する可能性もあり、これも線幅の変動を生じさせる。
【0005】
反射した放射線の問題を低減するのに用いられるアプローチの1つは基体表面とフォトレジストコーティング層との間に挿入される放射線吸収層の使用である。米国特許出願公開第2004/0197709号を参照のこと。
【特許文献1】米国特許出願公開第2004/0197709号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
電子装置製造者は反射防止コーティング層上にパターン化されたフォトレジスト画像の解像度の増加を継続的に求めている。
【0007】
とりわけ、特に、90nmプロセスノード以下で用いられるますます小さいフォトレジスト画像のフォトレジストパターンで、現像工程の過程中にフォトレジストパターンが崩壊する、いわゆるフォトレジストパターンの潰れが生じる。現像時に露出させようとするウエハ領域に残留するフォトレジストおよび/または反射防止コーティング組成物の有機残滓にも問題があり、除去されていないならば、そのような残滓またはウエハの欠陥を除去するさらなる処理工程が必要となり得る。装置製造者はそのようなパターンの潰れおよび問題のある有機残滓の堆積を回避しようと努めている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで、発明者らは、調節された(変更された)水接触角をもたらすことができる新規の有機コーティング組成物を提供する。
【0009】
第1の好ましい態様において、本発明の有機コーティング組成物は水接触角の減少をもたらすように処理され得る。かかる態様においては、水接触角の減少をもたらすように処理された組成物コーティング層領域は、より親水性を提供する。
【0010】
さらなる態様において、本発明の有機コーティング組成物は水接触角の増加をもたらすように処理され得る。かかる態様においては、水接触角の増加をもたらすように処理された組成物コーティング層領域は、より疎水性を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の好ましいコーティング組成物は、水接触角を調節するための処理に先立って架橋される。かかる架橋は硬化および1以上の組成物成分の間での共有結合形成反応を含む。
【0012】
好ましくは、本発明のコーティング組成物のそのような架橋は、それに続くオーバーコートされたフォトレジスト層のリソグラフィー処理の過程で反応させようとする酸不安定性または塩基反応性基の反応を生じさせてはならない。したがって、例えば、コーティング組成物が熱酸発生剤から生じるような酸の存在下で架橋する場合、その酸促進架橋反応はコーティング組成物のフォト酸不安定性基の反応を著しく引き起こしてはならない。
【0013】
本発明のコーティング組成物は、様々な方法によって処理されて、組成物コーティング層領域の水接触角が調節され得る。例えば、コーティング組成物層は、放射線、例えば、300nm未満もしくは200nm未満の放射線で、または熱的に、処理され得る。好ましい処理は、コーティング組成物層を酸および/または塩基と接触させ、酸または塩基と接触するそれらの組成物コーティング層領域の調節された水接触角をもたらすことを含む。
【0014】
したがって、例えば、好ましい態様において、本発明のコーティング組成物は、オーバーコートされた層、特には、オーバーコートされたフォトレジスト組成物層において生じるフォト酸に反応性である1以上の成分を含む。
【0015】
光発生した酸はフォトレジスト層から少なくとも下地コーティング組成物層の頂部に移動することができ、下地コーティング組成物中の1以上の成分と反応することができる。例えば、下地組成物コーティング層は、特にオーバーコートされたレジストの露光後ベーキング処理の間に移動するフォト酸と反応するフォト酸不安定性基、例えば、エステルまたはアセタールを含む1以上の成分を含有することができ、それにより、下地組成物コーティング層の水接触角を減少させる極性でより親水性の基、例えば、ヒドロキシまたはカルボン酸をもたらすことができる。上で論じられるように、そのような脱保護反応は、好適には、下地組成物コーティング層のそれに先立つ架橋とは異なる温度および条件で起こり得る。
【0016】
好ましくは、例えば酸または塩基によることをはじめとする処理で、塗布された組成物コーティング層の水接触角は少なくとも5、10、15、20または30パーセント調節(増加または減少)される。
【0017】
別の好ましい態様において、本発明のコーティング組成物は、例えば、水性アルカリ性フォトレジスト現像組成物をはじめとする塩基に対し反応性である1以上の成分を含むことができる。この塩基性組成物は下地コーティング組成物層の少なくとも頂部と接触し、下地コーティング組成物中の1以上の成分と反応する。例えば、下地組成物コーティング層は、例えば、水性アルカリ性フォトレジスト現像組成物をはじめとする塩基の存在下で開環する無水物基を含む1以上の成分を含有することができ、それにより、下地組成物コーティング層の水接触角を減少させるカルボン酸部分をもたらすことができる。
【0018】
別の態様において、本発明のコーティング組成物は、オーバーコートされた層、特には、オーバーコートされたフォトレジスト組成物層において生じるフォト酸に反応性である1以上の成分を含むことができる。この態様においては、光発生した酸との反応が下地組成物コーティング層の水接触角を増加させる。例えば、フォト酸発生酸は下地コーティング組成物の1以上の成分の架橋またはより広範な架橋を誘導し、または他の方法で生じることができ、これがその組成物コーティング層の水接触角を増加させることができる。
【0019】
上に示されるように、本発明の下地組成物はまた、反射してレジスト層に戻る、オーバーコートされたレジスト層の露光に用いられる望ましくない放射線を吸収することができる発色団基を含む成分を、好ましくは含有することもできる。そのような発色団基は他の組成物成分、例えば、樹脂(1以上)もしくは酸発生剤化合物と共に存在することができ、またはその組成物がそのような発色段単位、例えば、1以上の発色団部分、例えば、1以上の任意に置換されたフェニル、任意に置換されたアントラセンもしくは任意に置換されたナフチル基を含む小分子(例えば、約1000もしくは500未満のMW)を含み得る他の成分を含有することができる。
【0020】
本発明の下地コーティング組成物、特には、反射防止用途に用いられるそれらに含めるのに一般に好ましい発色団には、単環および多環の両者の芳香族基、例えば、任意に置換されたフェニル、任意に置換されたナフチル、任意に置換されたアントラセニル、任意に置換されたフェナントラセニル、任意に置換されたキノリニル等が含まれる。特に好ましい発色団はオーバーコートされたレジスト層の露光に用いられる放射線により異なり得る。より具体的には、オーバーコートされたレジストの248nmでの露光には、任意に置換されたアントラセンおよび任意に置換されたナフチルが反射防止組成物の好ましい発色団である。オーバーコートされたレジストの193nmでの露光には、任意に置換されたフェニルおよび任意に置換されたナフチルが反射防止組成物の特に好ましい発色団である。好ましくは、そのような発色団基は反射防止組成物の樹脂成分に連結する(例えば、ペンダント基)。
【0021】
上で論じられるように、本発明のコーティング組成物は、好ましくは、架橋性組成物であり、例えば、熱もしくは活性化放射線処理で架橋もしくはそれ以外の硬化をする材料を含む。典型的には、この組成物は架橋剤成分、例えば、アミン含有材料、例えば、メラミン、グリコウリルもしくはベンゾグアナミン化合物もしくは樹脂を含む。
【0022】
好ましくは、本発明の架橋性組成物は組成物コーティング層の熱処理によって硬化され得る。好適には、このコーティング組成物は、架橋反応を促進するため、酸、もしくは、より好ましくは、酸発生剤化合物、特には、熱酸発生剤化合物をも含有する。
【0023】
反射防止コーティング組成物として用いるため並びに他の用途、例えば、ビアフィル(via−fill)として用いるために、好ましくは、当該組成物は、当該組成物層上にフォトレジスト組成物層を適用する前に架橋される。
【0024】
本発明の特に好ましい下地コーティング組成物は1以上のフォト酸発生剤化合物をさらに含むことができる。下地コーティング組成物中に1以上のフォト酸発生剤化合物を含めることが、フォトレジスト現像後にマイクロビア(microvia)内に残留する望ましくないフォトレジスト残滓の減少並びに焦点深度値の増加(すなわち、処理ウィンドウの拡大)を含むリソグラフィー性能の強化をもたらし得ることが見出されている。イオン性フォト酸発生剤化合物、例えば、オニウム塩(例えば、スルホニウムおよび/またはヨードニウム化合物)、並びに非イオン性フォト酸発生剤、例えば、イミドスルホネート、N−スルホニルオキシイミド、ジスルホン化合物、およびニトロベンジル系フォト酸発生剤、並びにフォトレジスト組成物中に用いられている他のフォト酸発生剤を含む、様々なフォト酸発生剤化合物を下地コーティング組成物中で用いることができる。そのような1以上のフォト酸発生剤化合物は、フォトレジストの下層をなすコーティング組成物中で、他の酸源(例えば、通常酸塩である熱酸発生剤)に加えて用いることができる。したがって、例えば、フォトレジスト組成物のオーバーコートに先立つ下地コーティング組成物の熱処理が熱酸発生剤成分からの酸を活性化することができ、その酸がそのコーティング組成物の架橋もしくは他の硬化に関与することができる。その熱処理は、そのコーティング組成物中に存在する1以上のフォト酸発生剤化合物を著しく活性化すること、またはその他の影響を与えることはできず、すなわち、その熱処理は1以上のフォト酸発生剤化合物から著しく酸を遊離させることはない。その後、フォトレジスト層がコーティング組成物層上に適用され、レジスト層がパターン化された放射線(例えば、193nmもしくは248nm)で画像形成された後、その放射線はレジスト層を通過して下地コーティング組成物層まで透過し、1以上のフォト酸発生剤化合物を活性化して酸を生じることができる。そのような光発生した酸は、例えば、下地コーティング組成物の樹脂成分の酸不安定性基と反応することができる。
【0025】
本発明のコーティング組成物は、典型的には、有機溶媒溶液として配合され、好適には、スピンコーティングによって基体に塗布される(すなわち、スピンオン組成物)。
【0026】
様々なフォトレジストを本発明のコーティング組成物と組み合わせて(すなわち、オーバーコート)用いることができる。本発明の反射防止組成物と共に用いるのに好ましいフォトレジストは化学増幅型レジスト、特には、1以上のフォト酸発生剤化合物および光発生した酸の存在下で脱ブロックもしくは開裂反応を受ける単位、例えば、フォト酸不安定性エステル、アセタール、ケタールもしくはエーテル単位を含む樹脂成分を含有するポジ型フォトレジストである。ネガ型フォトレジスト、例えば、活性化放射線への露光で架橋(すなわち、硬化または硬質化)するレジストを本発明のコーティング組成物と共に用いることもできる。本発明のコーティング組成物と共に用いるのに好ましいフォトレジストは比較的短波長の放射線、例えば、300nm未満もしくは260nm未満、例えば、248nmの波長を有する放射線、または約200nm未満、例えば、193nmの波長を有する放射線で画像形成することができる。
【0027】
本発明は、さらに、フォトレジストレリーフ画像の形成方法および本発明のコーティング組成物だけで、もしくはフォトレジスト組成物との組み合わせでコートされている基体(例えば、マイクロエレクトロニクスウエハ基板)を含む新規製造物品を提供する。
【0028】
上に論じられるように、本発明の好ましいコーティング組成物は水接触角の増加もしくは減少をもたらすことができる。本明細書で言及される場合、本発明のコーティング組成物の水接触角は、組成物層を、例えばスピンコーティングにより、基体、例えば、マイクロエレクトロニクスウエハ基板上に適用することによって決定することができる。回転速度は、40〜120nmの範囲内の膜厚が得られるように必要に応じて変化させることができる。その後、適用された組成物層を熱処理(例えば、近接ホットプレート上、180℃で60秒)し、例えば、キャスト溶媒を除去し、およびコーティング層を架橋もしくは他の様式で硬化させることができる。そのように処理されたコーティング組成物層の接触角の測定を、例えば、商業的に入手可能な装置、例えば、JDSA−100 Dynamic Contact Angle Goniometerを含む、ドイツ国ハンブルグのKruss GmbHによって製造される装置をはじめとする装置を用いることによって決定することができる。
【0029】
本発明の他の態様は以下に開示される。
【0030】
本発明者らは、ここで、オーバーコートされたフォトレジスト層に対して特に有用である新規の有機コーティング組成物を提供する。本発明の好ましいコーティング組成物はスピンコーティングによって適用することができ(スピンオン組成物)、溶媒組成物として配合することができる。本発明のコーティング組成物はオーバーコートされたフォトレジストの反射防止組成物および/またはオーバーコートされたフォトレジスト組成物コーティング層の平坦化もしくはビアフィル組成物として特に有用である。
【0031】
本発明者らは、好ましい下地コーティング組成物が処理された基体における欠陥の減少、特には、フォトレジストを取り除こうとする基体領域における有機残滓の堆積の減少をもたらし得ることを見出した。加えて、好ましい下地コーティング組成物の使用は、その下地層の上に形成されるフォトレジストレリーフ画像の望ましくないパターン潰れの発生を減少もしくは最小化することができる。
【0032】
いかなる理論によっても束縛されることはないが、下地組成物コーティング層の、少なくとも下地コーティング組成物コーティング層の頂部における、水接触角を調節することにより、その下地層をフォトレジスト現像液でより有効に除去することができるものと考えられる。それにより、望ましくない有機残滓が、現像に続いて除去しようとする基体領域に残留する傾向が弱まる。
【0033】
同じくいかなる理論によっても束縛されることはないが、本発明の好ましい下地コーティング組成物はオーバーコートされたフォトレジストレリーフ画像へのより有効な接着をもたらすことができ、それによりレジストレリーフ画像の望ましくないパターン潰れの発生の低減を可能にするものと考えられる。
【0034】
コーティング組成物:
本発明の一態様において、処理されて異なる水接触角を提供することができる、例えば、酸もしくは塩基で処理することにより水接触角が変化する、コーティング組成物が提供される。
【0035】
上で論じられるように、コーティング組成物は、酸もしくは塩基と反応してそれぞれ酸もしくは塩基がコーティング層と接触するコーティング層領域における水接触角の減少をもたらすことができるフォト酸不安定性基もしくは例えば無水物基をはじめとする塩基反応性基を好適に含むことができる。
【0036】
好ましい態様において、下地コーティング組成物は、樹脂成分および1以上のフォト酸発生剤化合物を含むことができる。別の好ましい態様においては、下地コーティング組成物は、樹脂成分および1以上の熱酸発生剤化合物を含むことができる。さらなる態様においては、下地コーティング組成物は、樹脂成分、1以上の熱酸発生剤化合物、および1以上のフォト酸発生剤化合物を含むことができる。そのような好ましい態様において、樹脂成分は酸不安定性および/または無水物基を含む樹脂を含有することができる。そのような好ましい態様において、下地コーティング組成物は架橋剤成分を含むこともできる。
【0037】
下地コーティング組成物において用いるのに好適なフォト酸不安定性基には化学増幅型ポジ型フォトレジストにおいて用いるための以下に論じられるものが含まれる。フォト酸不安定性基、例えば、ペンダントフォト酸不安定性エステル(例えば、tert−ブチルエステル)もしくはアセタール基を含む1以上の重合単位を含有する樹脂成分を用いることが一般に好ましい。1以上の塩基反応性基、例えば、フォトレジスト水性アルカリ性現像液への暴露でより親水性になり得る基を含む樹脂をはじめとする成分の使用も好ましい。好ましい塩基反応性基には、好適な塩基の存在下で開環して親水性部分を提供することができる無水物基が含まれる。例示的な好適な塩基反応性無水物基には、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、無水マレイン酸、3−メチレン−ジヒドロ−ピラン−2,6イジオン、4−メチレン−ジヒドロ−ピラン−2,6−ジオン、および3H−ピラン−2,6−ジオンの重合単位が含まれる。そのような塩基反応性基は下地コーティング組成物の樹脂成分の重合単位であってもよい。
【0038】
反射防止用途には、樹脂成分は1以上の発色団基を好適に含むこともでき、これらの発色団基は、論じられるように、好適には、任意に置換されていてもよい炭素環式アリール基、例えば、任意に置換されていてもよいアントラセン、任意に置換されていてもよいナフチル基もしくは任意に置換されていてもよいフェニル基であり得る。下地コーティング組成物において用いるのに好ましい樹脂は、1)フォト酸不安定性基および/または塩基反応性基、例えば、無水物基と、2)発色団基と、を含むコポリマー(ターポリマーおよび他の高次ポリマーを含む)である。本発明の下地コーティング組成物において用いるための例示的な好ましいコポリマーについての以下の例を参照のこと。
【0039】
下地コーティング組成物の樹脂成分の1以上の樹脂は様々な主鎖構造を有することができる。例えば、好適な樹脂にはポリエステル、ポリアクリレート、ポリスルホン、ポリアミド、ポリ(ビニルアルコール)等が含まれる。1以上のポリエステル樹脂および/または1以上のポリ(アクリレート)樹脂を含む樹脂成分が特に好ましい。ポリエステルは、カルボキシ含有化合物(例えば、カルボン酸、カルボン酸エステル、無水カルボン酸等)と、ヒドロキシ含有化合物、好ましくは、複数のヒドロキシ基を有する化合物、例えば、グリコール、例えば、エチレングリコールもしくはプロピレングリコール、またはグリセロール、または他のジオール、トリオール、テトラオール等との重合によって得ることができる。そのようなポリエスエル樹脂においては、そのポリエステル樹脂がフォト酸不安定性エステル基を含むことはできるものの、少なくともいくつかのエステル基はフォト酸不安定性ではなく、すなわち、エステル反復単位が、露光前ベーキング、活性化放射線への暴露、露光後加熱、および/または現像の典型的なリソグラフィー処理の間に脱ブロック化もしくは他の開裂を受けることがないことは理解される。好ましくは、エステル反復単位はポリマー主鎖中に存在し、すなわち、エステル基(−(C=O)O−)がポリマー長を形成する分岐鎖もしくは実質的な直鎖上に存在する。そのようなエステル基が芳香族置換、例えばフェニル、ナフチルもしくはアントラセン基(例えば、アルキルフタレートとポリオールとの反応によってもたらされ得る)を含むことも好ましい。
【0040】
そのようなポリエスエル樹脂は、好適には、反応容器にポリオール、カルボキシレート化合物、および形成される樹脂中に組み込もうとする他の化合物、酸、例えば、スルホン酸、例えば、メタンスルホン酸もしくはパラ−トルエンスルホン酸等を投入することによって調製される。その反応混合物を、好適には、高温、例えば、少なくとも約80℃、より典型的には、少なくとも約100℃、110℃、120℃、130℃、140℃、もしくは150℃で、ポリマー形成に十分な時間、例えば、少なくとも約2、3、4、5、6、8、12、16、20、24時間攪拌する。有用な樹脂を合成するための例示的な好ましい条件が以下の例において詳述される。
【0041】
アクリレート系樹脂も本発明の下地コーティング組成物において用いるのに好ましい物質である。そのような樹脂は知られた方法、例えば、1以上のアクリレートモノマー、例えば、ヒドロキシエチルメチルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレートメチルアントラセンメタクリレートもしくは他のアントラセンアクリレート等の重合(例えばラジカル開始剤の存在下で)によって調製することができる。例示的な好適なポリマーについてはShipley Companyに与えられている米国特許第5,886,102号を参照のこと。好適なアクリレート樹脂およびそれらの合成については以下の例も参照のこと。
【0042】
論じられるように、反射防止用途には、好適には、反応して樹脂を形成する1以上の化合物が、発色団として機能してオーバーコートされたフォトレジストコーティング層の露光に用いられる放射線を吸収することができる部分を含む。例えば、フタレート化合物(例えば、フタル酸もしくはジアルキルフタレート(すなわち、ジエステル、例えば、各々のエステルが1〜6個の炭素原子を有する、好ましくは、ジメチルもしくはエチルフタレート))を芳香族もしくは非芳香族ポリオールおよび任意に他の反応性化合物と共に重合し、200nm未満の波長、例えば、193nmで画像形成されるフォトレジストと共に用いられる反射防止組成物において特に有用なポリエステルを得ることができる。同様に、300nm未満の波長もしくは200nm未満の波長、例えば、248nmもしくは193nmで画像形成されるオーバーコートされたフォトレジストを伴う組成物において用いられる樹脂、ナフチル化合物、例えば、1もしくは2以上のカルボキシル置換基を含むナフチル化合物、例えば、ジアルキル、特には、ジ−C1−6アルキルナフタレンジカルボキシレートを重合することができる。反応性アントラセン化合物、例えば、1以上のカルボキシもしくはエステル基、例えば、1以上のメチルエステルもしくはエチルエステル基を有するアントラセン化合物も好ましい。
【0043】
発色団単位を含む化合物も1もしくは、好ましくは、2以上のヒドロキシ基を含むことができ、カルボキシ含有化合物と反応させることができる。例えば、1、2もしくはそれ以上のヒドロキシ基を有するフェニル化合物もしくはアントラセン化合物をカルボキシ含有化合物と反応させることができる。
【0044】
加えて、反射防止の目的で用いられる下地コーティング組成物は、水接触角の調節をもたらす樹脂成分(例えば、フォト酸不安定性基および/または塩基反応性基を含む樹脂)とは別の発色団単位を含む材料を含有することができる。例えば、当該コーティング組成物は、フェニル、アントラセン、ナフチル等の単位を含むポリマー化合物もしくは非ポリマー化合物を含有することができる。しかしながら、水接触角の調節をもたらす1以上の樹脂が発色団部分をも含むことが多くの場合好ましい。
【0045】
ある好適な態様において、下地コーティング組成物の樹脂は:シアノ、アダマンチル、ノルボルニル、フルオロ、フルオロアルコール(例えば、ヘキサフルオロプロピルアルコール(CFC(OH)−)、フェニル、ナフチルおよび/または無水物の1以上の基を含む反復単位を含むことができ、そのような基のすべては単独で樹脂中に存在することができ、または2以上のそのような基が共に組み合わされて単一の樹脂中に存在していてもよい。
【0046】
加えて、ある好ましい態様において、下地コーティング組成物は、(1)1以上の酸不安定性基およびおよび/または無水物基を含む樹脂と、(2)好適には、酸不安定性基および/または無水物基をまったく含まないか、または少なくとも実質的に含まないものであり得る1以上のポリエステル樹脂と、を含む樹脂成分を含有することができる。ポリエステルが「少なくとも実質的に含まない」と述べることが意味するところは、その樹脂が含む酸不安定性基および/または無水物基が5重量パーセント未満であり、好ましくは、酸不安定性基および/または無水物基が4、3、2、1もしくは0.5重量パーセント未満であることである。そのような下地コーティング組成物は、組成が異なっていてもよい複数のポリエステル樹脂を含有することができる。下地成分の樹脂成分において用いるのに好ましいポリエステル樹脂にはフェニルおよび/またはナフチル部分を含むものが含まれる。
【0047】
好ましくは、本発明の下地コーティング組成物の樹脂は、約1,000ないし約10,000,000ダルトン、より典型的には、約5,000ないし約1,000,000ダルトンの重量平均分子量(Mw)、および約500ないし約1,000,000ダルトンの数平均分子量(Mn)を有する。本発明のポリマーの分子量(MwもしくはMnのいずれか)はゲル濾過クロマトグラフィーによって好適に決定される。
【0048】
言及されるように、本発明の好ましい下地コーティング組成物は、例えば熱および/または放射線処理により、架橋させることができる。例えば、本発明の好ましい下地コーティング組成物は、そのコーティング組成物の1以上の他の成分と架橋することができる別個の架橋剤成分を含有することができる。一般には、好ましい架橋性コーティング組成物は別個の架橋剤成分を含有する。本発明の特に好ましいコーティング組成物は、別々の成分として:樹脂、架橋剤、および酸源、例えば、熱酸発生剤化合物を含有する。本発明の特に好ましいコーティング組成物は、別々の成分として:樹脂、架橋剤、1以上の熱酸発生剤化合物、および1以上のフォト酸発生剤化合物を含有することもできる。熱酸発生剤の活性化によるコーティング組成物の熱誘導架橋が一般に好ましい。
【0049】
コーティング組成物において用いるのに好適な熱酸発生剤化合物には、反射防止組成物コーティング層の硬化の過程において架橋を触媒もしくは促進するためのイオン性もしくは実質的に中性の熱酸発生剤、例えば、アンモニウムアレンスルホネート塩が含まれる。典型的には、1以上の熱酸発生剤がコーティング組成物中に、その組成物の乾燥成分(溶媒坦体を除くすべての成分)の合計の約0.1ないし10重量パーセント、より好ましくは、全乾燥成分の約2重量パーセントの濃度で存在する。
【0050】
本発明の好ましい架橋型コーティング組成物は架橋剤成分も含有する。Shipley欧州出願第542008号(参照により本明細書に組み込まれる)に開示される架橋剤を含む、様々な架橋剤を用いることができる。例えば、好適なコーティング組成物架橋剤には、アミン系架橋剤、例えば、メラミン物質が含まれ、これには、例えば、Cytec Industriesによって製造され、Cymel 300、301、303、350、370、380、1116および1130の商品名で販売されるメラミン樹脂が含まれる。Cytec Industriesから入手可能なグリコールウリルを含めて、グリコールウリルが特に好ましい。Cytec IndustriesからCymel 1123および1125の名称で入手可能なベンゾキナミン樹脂、並びにCytec IndustriesからPowderlink 1174および1196の名称で入手可能な尿素樹脂をはじめとする樹脂を含む、ベンゾキアナミンおよび尿素系物質も好適である。商業的に入手可能なものに加えて、そのようなアミン系樹脂は、例えば、アクリルアミドもしくはメタクリルアミドコポリマーとホルムアルデヒドとのアルコール含有溶液中での反応によって、または、その代わりに、N−アルコキシメチルアクリルアミドもしくはメタクリルアミドと他の好適なモノマーとの共重合によって調製することができる。
【0051】
本発明のコーティング組成物の架橋剤成分は、一般には、反射防止組成物の全固形分(溶媒坦体を除くすべての成分)の約5ないし50重量パーセントの量、より典型的には、全固形分の約7ないし25重量パーセントの量で存在する。
【0052】
特には反射制御用途の、本発明のコーティング組成物は、オーバーコートされたフォトレジスト層の露光に用いられる放射線を吸収するさらなる色素化合物を含むこともできる。他の任意の添加物には、表面レベリング剤、例えば、商品名Silwet7604でUnion Carbideから入手可能なレベリング剤、または3M Companyから入手可能な表面活性剤FC171もしくはFC431が含まれる。
【0053】
上で論じられるように、本発明の特に好ましい下地コーティング組成物は1以上のフォト酸発生剤化合物をさらに含有することができる。下地コーティング組成物中に1以上のフォト酸発生剤化合物を含めることがリソグラフィー性能の向上をもたらし得ることが見出されており、これには、フォトレジストの現像後にマイクロビアに残留する望ましくないフォトレジスト残滓の減少、並びに焦点深度値の増加(すなわち、処理ウィンドウの拡大)が含まれる。様々なフォト酸発生剤化合物を下地コーティング組成物において用いることができ、これにはイオン性および化合物、例えば、オニウム塩(例えば、スルホニウムおよび/またはヨードニウム化合物)、および非イオン性フォト酸発生剤、例えば、イミドスルホネート、N−スルホニルオキシイミド、ジスルホン化合物、およびニトロベンジル系フォト酸発生剤、並びにフォトレジスト組成物において用いられている他のフォト酸発生剤が含まれる。本発明のコーティング組成物において用いるのに特に好適なフォト酸発生剤化合物には、以下でフォトレジスト組成物における使用について同定されるもの、並びに米国特許第6,20,911号および第6,803,169号に開示されるイオン性および非イオン性フォト酸発生剤、例えば、トリフェニルスルホニウム塩を含むスルホニウム化合物、ジフェニルヨードニウム化合物を含むヨードニウム化合物およびイミドスルホネート化合物並びに他の非イオン性フォト酸発生剤化合物が含まれる。本発明の下地フォトレジスト組成物において用いるための他の特に好適なフォト酸発生剤化合物にはN−[(ペルフルオロオクタンスルホニル)オキシ]−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシミドが含まれる。特定の態様においては、ジアゾナフトキノン物質は任意の有効量(例えば、全流動組成物重量を基準にして2、1もしくは0.5重量パーセントを上回る量)で下地コーティング組成物には用いられなくてもよく、または下地コーティング組成物はいかなるジアゾナフトキノン物質をも含まなくてもよい。
【0054】
1以上のフォト酸発生剤を下地コーティング組成物において様々な量で用いることができ、例えば、1以上のフォト酸発生剤化合物が下地コーティング組成物の全固形分(溶媒坦体を除くすべての成分)を基準にして約5重量パーセント以下、好適には、下地コーティング組成物の全固形分の4、3、2もしくは1重量パーセントの量で存在することができる。
【0055】
上で論じられるように、そのような1以上のフォト酸発生剤化合物は、下地コーティング組成物中に存在し得るさらなる酸源(例えば、通常は酸塩である熱酸発生剤)と共に用いることができる。熱酸発生剤化合物は、多くの場合、熱処理で解離するがフォトレジスト組成物のオーバーコートや露光に用いられる放射線での処理の際に著しく活性化し得ない(例えば、結合破壊反応のない)酸塩複合体である。
【0056】
より具体的には、上に論じられるように、熱酸発生剤成分は、オーバーコートするフォトレジスト層の適用に先立って、熱処理によって活性化させることができる。続いて、1以上のフォト酸発生剤化合物をオーバーコートされたフォトレジスト層の露光(例えば、193nmもしくは248nmで)の間に活性化させることができる。
【0057】
本発明の液状コーティング組成物を作るため、コーティング組成物の成分を好適な溶媒、例えば、1以上のオキシイソ酪酸エステル、特には、上で論じられるようなメチル−2−ヒドロキシイソブチレート、エチルラクテートまたは1以上のグリコールエーテル、例えば、2−メトキシエチルエーテル(ジグリム)、エチレングリコールモノメチルエーテル、およびプロピレングリコールモノメチルエーテル;エーテルおよびヒドロキシ部分の両者を有する溶媒、例えば、メトキシブタノール、エトキシブタノール、メトキシプロパノール、およびエトキシプロパノール;メチル2−ヒドロキシイソブチレート;エステル、例えば、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート並びに他の溶媒、例えば、二塩基性エステル、プロピレンカーボネートおよびガンマ−ブチロラクトンに溶解させる。溶媒中の乾燥成分の濃度は幾つかの要素、例えば、適用方法に依存する。一般には、下地コーティング組成物の固形分含有率はそのコーティング組成物の総重量の約0.5ないし20重量パーセントを変動し、好ましくは、固形分含有率はそのコーティング組成物の約2ないし10重量を変動する。
【0058】
例示的なフォトレジスト系
ポジ型およびネガ型フォト酸発生組成物を含む、様々なフォトレジスト組成物を本発明のコーティング組成物と共に用いることができる。本発明の反射防止組成物と共に用いられるフォトレジストは、典型的には、樹脂結合剤および光活性成分、典型的には、フォト酸発生剤化合物を含有する。好ましくは、フォトレジスト樹脂結合剤は画像形成されたレジスト組成物にアルカリ性水性現像性を付与する官能基を有する。
【0059】
上に論じられるように、本発明の下地コーティング組成物と共に用いるのに特に好ましいフォトレジストは化学増幅レジスト、特には、ポジ型化学増幅型レジスト組成物であり、そのレジスト層中の光活性化された酸は1以上の組成物成分の脱保護型反応を誘導し、それによりレジストコーティング層の露光領域と非露光領域との間の溶解度の差をもたらす。幾つかの化学増幅レジスト組成物が、例えば、米国特許第4,968,581号;第4,883,740号;第4,810,613号;第4,491,628号および第5,492,793号に記載されている。本発明のコーティング組成物は、フォト酸の存在下で脱ブロック化を受けるアセタール基を有する、ポジ型化学増幅型フォトレジストと共に特に好適に用いられる。そのようなアセタール系レジストは、例えば、米国特許第5,929,176号および第6,090,526に記載されている。
【0060】
本発明の下地コーティング組成物は、極性官能基、例えば、ヒドロキシルもしくはカルボキシレートを含む樹脂結合剤を含有するものを含む他のポジ型レジストと共に用いることもでき、樹脂結合剤はレジスト組成物中に、そのレジストを水性アルカリ性溶液で現像可能とするのに十分な量で用いられる。一般には、好ましいレジスト樹脂結合剤は、当該技術分野においてノボラック樹脂として知られる、フェノールアルデヒド濃縮体を含むフェノール樹脂、アルケニルフェノールのホモおよびコポリマー並びにN−ヒドロキシフェニル−マレイミドのホモもしくはコポリマーである。
【0061】
本発明の下地コーティング組成物と共に用いるのに好ましいポジ型フォトレジストは画像形成有効量のフォト酸発生剤化合物および以下の群から選択される1以上の樹脂を含有する。
【0062】
1)248nmでの画像形成に特に適する化学増幅型ポジ型レジストをもたらし得る酸不安定性基を含有するフェノール樹脂。この分類の特に好ましい樹脂には以下が含まれる:i)ビニルフェノールおよびアルキルアクリレートの重合単位を含み、重合したアルキルアクリレート単位がフォト酸の存在下で脱ブロック化反応を受けることができるポリマー。フォト酸誘導脱ブロック化反応を受けることができる例示的なアルキルアクリレートには、例えば、t−ブチルアクリレート、t−ブチルメタクリレート、メチルアダマンチルアクリレート、メチルアダマンチルメタクリレート、並びのフォト酸誘導反応を受けることができる他の非環状アルキルおよび脂環式アクリレート、例えば、米国特許第6,042,997号および第5,492,793号におけるポリマーが含まれる;ii)ビニルフェノール、ヒドロキシもしくはカルボキシ環置換基を含まず任意に置換されていてもよいビニルフェニル(例えば、スチレン)、およびアルキルアクリレート(例えば、上記ポリマーi)に関して記載されるそれらの脱ブロック化基)を含むポリマー、例えば、米国特許第6,042,997号に記載されるポリマー;並びにiii)フォト酸と反応するアセタールもしくはケタール部分を含む反復単位と、任意に芳香族反復単位(例えば、フェニルもしくはフェノール基)とを含有するポリマー;そのようなポリマーは米国特許第5,929,176号および第6,090,526号に記載されている。
【0063】
2)200nm未満の波長、例えば、193nmでの画像形成に特に好適な化学増幅型ポジ型樹脂をもたらし得る、フェニルもしくは他の芳香族基を実質的にもしくは完全に含まない樹脂。この分類の特に好ましい樹脂には以下が含まれる:i)非芳香族環状オレフィン(環内二重結合)、例えば任意に置換されていてもよいノルボルネン、の重合単位を含むポリマー、例えば、米国特許第5,843,624号および第6,048,664号に記載されるポリマー;ii)アルキルアクリレート単位、例えば、t−ブチルアクリレート、t−ブチルメタクリレート、メチルアダマンチルアクリレート、メチルアダマンチルメタクリレート、並びに他の非環式アルキルおよび脂環式アクリレートを含むポリマー;そのようなポリマーは米国特許第6,057,083号;欧州公開出願EP01008913A1およびEP00930542A1;並びに米国係属特許出願第09/143,462号に記載されている;iii)重合した無水物単位、特には、重合した無水マレイン酸および/または無水イタコン酸単位を含むポリマー、例えば、欧州公開出願EP01008913A1および米国特許第6,048,662号に開示されるものが挙げられる。
【0064】
3)ヘテロ原子、特には、酸素および/またはイオウを含む反復単位(しかしながら、無水物以外、すなわち、この単位はケト環原子を含まない)を含有し、いかなる芳香族単位をも実質的に、もしくは完全に含まないことが好ましい樹脂。好ましくは、このヘテロ脂環式単位は樹脂主鎖に融合し、樹脂が融合炭素脂環式単位、例えば、ノルボルネン基の重合によってもたらされるものおよび/または無水物単位、例えば、無水マレイン酸もしくは無水イタコン酸の重合によってもたらされるものを含むことがさらに好ましい。そのような樹脂はPCT/US01/14914および米国出願番号第09/567,634号に開示されている。
4)フッ素置換を含む樹脂(フルオロポリマー)、例えば、テトラフルオロエチレン、フッ化芳香族基、例えば、フルオロ−スチレン化合物等の重合によってもたらされ得るもの。そのような樹脂の例は、例えば、PCT/US99/21912に開示される。
【0065】
本発明のコーティング組成物の上にオーバーコートさせるポジ型もしくはネガ型フォトレジストにおいて用いるのに好適なフォト酸発生剤には、イミドスルホネート、例えば、下記式の化合物が含まれる。
【0066】
【化1】

【0067】
式中、Rはカンファ、アダマンタン、アルキル(例えば、C1−12アルキル)およびペルフルオロアルキル、例えば、ペルフルオロ(C1−12アルキル)、特には、ペルフルオロオクタンスルホネート、ペルフルオロノナンスルホネート等である。特に好ましいPAGはN−[(ペルフルオロオクタンスルホニル)オキシ]−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシミドである。
【0068】
スルホネート化合物、特には、スルホネート塩も、本発明のコーティング組成物にオーバーコートされるレジストに好適なPAGである。193nmおよび248nm画像形成に適する2種類の作用物質は以下のPAG1および2である。
【0069】
【化2】

【0070】
そのようなスルホネート化合物は欧州特許出願第96118111.2号(公開番号第0783136号)に開示される通りに調製することができ、これは上記PAG1の合成を詳述する。
【0071】
上述のカンファスルホネート基以外のアニオンと複合体化する上記2種類のヨードニウム化合物も好適である。特には、好ましいアニオンには式RSOのものが含まれ、式中、Rはアダマンタン、アルキル(例えば、C1−12アルキル)およびペルフルオロアルキル、例えば、ペルフルオロ(C1−12アルキル)、特には、ペルフルオロオクタンスルホネート、ペルフルオロブタンスルホネート等である。
【0072】
他の公知PAGも、下地コーティング組成物と共に用いられるフォトレジストにおいて用いることができる。
【0073】
本発明のコーティング組成物にオーバーコートされるフォトレジストの好ましい任意添加物は、添加塩基、特には、水酸化テトラブチルアンモニウム(TBAH)、もしくは乳酸テトラブチルアンモニウムであり、これらは現像されたレジストレリーフ画像の解像度を向上することができる。193nmで画像形成されるレジストについては、好ましい添加塩基はヒンダードアミン、例えば、ジアザビシクロウンデセンもしくはジアザビシクロノネンである。添加塩基は比較的少量で、例えば、全固形分に対して約0.03ないし5重量パーセントで好適に用いられる。
【0074】
オーバーコートされた本発明のコーティング組成物と共に用いるのに好ましいネガ型レジストは、酸への暴露で硬化、架橋もしくは硬質化する材料およびフォト酸発生剤の混合物を含む。
【0075】
特に好ましいネガ型レジスト組成物は、樹脂結合剤、例えば、フェノール樹脂、架橋剤成分および本発明の光活性成分を含む。そのような組成物およびそれらの使用は欧州特許出願第0164248号および第0232972号並びにThackerayらの米国特許第5,128,232号に開示されている。樹脂結合剤成分として用いるのに好ましいフェノール樹脂には、ノボラックおよびポリ(ビニルフェノール)、例えば、上で論じられるものが含まれる。好ましい架橋剤にはアミン系物質が含まれ、これにはメラミン、グリコールウリル、ベンゾグアナミン系物質および尿素系物質が含まれる。メラミン−ホルムアルデヒド樹脂が一般に最も好ましい。そのような架橋剤は商業的に入手可能であり、例えば、Cytec Industriesによって商品名Cymel 300、301および303で販売されるメラミン樹脂がある。グリコウリル樹脂はCytec Industriesによって商品名Cymel 1170、1171、1172、Powderlink 1174で販売され、ベンゾグアナミン樹脂はCymel 1123および1125の商品名で販売される。
【0076】
リソグラフィー処理
使用において、本発明のコーティング組成物は、任意の様々な方法、例えば、スピンコーティングによって、コーティング層として基体に適用される。このコーティング組成物は、一般には、基体上に約0.02ないし0.5μmの乾燥層厚、好ましくは、約0.04ないし0.20μmの乾燥層厚で適用される。基体は、好適には、フォトレジストを含む処理において用いられる任意の基体である。例えば、基体はシリコン、二酸化ケイ素もしくはアルミニウム−酸化アルミニウムマイクロエレクトロニクスウエハであり得る。ヒ化ガリウム、炭化ケイ素、セラミック、石英もしくは銅基体も用いることができる。液晶ディスプレイもしくは他のフラットパネルディスプレイ用途の基体、例えば、ガラス基体、酸化スズインジウムがコートされた基体等も好適に用いられる。光学および光学電子装置(例えば、導波路)のための基体も用いることもできる。
【0077】
好ましくは、適用されたコーティング層は、フォトレジスト組成物がその下地コーティング組成物上に適用される前に硬化される。硬化条件は下地コーティング組成物の成分に従って変化する。特に、硬化温度はそのコーディング組成物中に用いられる具体的な酸もしくは酸(熱による)発生剤に依存する。典型的な硬化条件は約80℃ないし225℃で約0.5ないし40分である。硬化条件は、好ましくは、そのコーティング組成物コーティング層を、フォトレジスト溶媒並びにアルカリ性水性現像液に対して実質的に不溶性にする。
【0078】
そのような硬化の後、適用されたコーティング組成物の表面上にフォトレジストを適用する。下部コーティング組成物層(1又は複数)の塗布と同様に、オーバーコートされるフォトレジストは任意の標準的な方法、例えば、スピニング、浸漬、メニスカスもしくはローラーコーティングによって適用することができる。適用の後、フォトレジストコーティング層を、典型的には、加熱によって乾燥させ、好ましくはレジスト層がタックフリーとなるまで、溶媒を除去する。最適には、下部組成物層とオーバーコートされるフォトレジスト層との混合は本質的に生じるべきではない。
【0079】
次に、レジスト層を、活性化放射線でマスクを通して通常の方法で画像形成する。露光エネルギーは、レジスト系の光活性成分を有効に活性化してパターン化された画像をレジストコーティング層に生じるのに十分なものである。典型的には、露光エネルギーは約3ないし300mJ/cmの範囲であり、及び露光ツールおよび特にそのレジストおよび用いられるレジスト処理に一部依存する。露光されたレジストは、所望であれば、露光後ベーキングに付してコーティング組成物の露光領域と非露光領域との間の溶解度の差を創出もしくは強化することができる。例えば、ネガ型酸硬化性フォトレジストは、典型的には、酸促進架橋反応を誘導するのに露光後加熱を必要とし、多くの化学増幅型ポジ型レジストは酸促進脱保護反応を誘導するのに露光後加熱を必要とする。典型的には、露光後ベーキング条件は約50℃以上の温度、より具体的には、約50℃ないし約160℃の範囲の温度を含む。
【0080】
フォトレジスト層は液浸リソグラフィー系、すなわち、露光ツール(特には、投射レンズ)とフォトレジストがコートされた基体との間の空間が浸漬液、例えば、水もしくは屈折率が向上された液体をもたらし得る1以上の添加物(例えば、硫酸セシウム)と混合された水で占められる系において露光することもできる。好ましくは、浸漬液(例えば、水)は泡を回避するように処理され、例えば、水を脱気してナノバブルを回避することができる。
【0081】
本明細書での「液浸露光」もしくは他の類似の用語への言及は、露光ツールとコートされたフォトレジスト組成物層との間に挿入されたそのような液層(例えば、水もしくは添加物を含有する水)で露光を行うことを示す。
【0082】
次に、露光したレジストコーティング層を、好ましくは、水性現像液、例えば、水酸化テトラブチルアンモニウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、珪酸ナトリウム、メタ珪酸ナトリウム、アンモニア水等によって例示されるアルカリで現像する。その代わりに、有機現像液を用いることもできる。一般には、現像は当該技術分野で認められる手順に従う。現像の後、現像した露光コーティング層領域をさらに硬化するのに約100℃ないし約150℃の温度で数分の酸硬化フォトレジストの最終ベーキングがしばしば用いられる。
【0083】
続いて、現像した基体を、フォトレジストが除去された基体領域に対して選択的に処理することができ、例えば、フォトレジストが除去された基体領域を当該技術分野においてよく知られた手順に従って化学的にエッチングまたはメッキすることができる。好適なエッチャントにはフッ化水素酸エッチング液およびプラズマガスエッチング、例えば、酸素プラズマエッチングが含まれる。プラズマガスエッチングは下地コーティング層を除去する。
【0084】
上に論じられるように、下地コーティング組成物は、処理された基体における欠陥を減少させ、特には、フォトレジストを除去しようとする基体領域における有機残滓の堆積を減少させることができる。加えて、下地コーティング組成物の使用は、その下地層の上に形成されるフォトレジストレリーフ画像の望ましくないパターン潰れの発生を減少または最小化することができる。
【0085】
以下の非限定的な例は本発明を説明するものである。
【実施例】
【0086】
実施例1−3:コーティング組成物において有用なポリマーの合成
実施例1:ポリエステルの合成
最初にすべての試薬を、添加の順序はほとんど考慮することなく、反応器に投入した。分量:ジメチルテレフタレート(22.3g、115ミリモル)、ジメチル5−ヒドロキシイソフタレート(18.1g、86ミリモル)、1,3,5−トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート(52.5g、201ミリモル)、2−ヒドロキシイソ酪酸(17.9g、172ミリモル)、p−トルエンスルホン酸(2.1g、11ミリモル)、およびアニソール(80g)。反応の構成は機械式攪拌機、温度制御ボックス、温度プローブ、加熱マントル、凝縮器、ディーン・スターク・トラップ、および窒素パージ導入口(掃引)を取り付けた250mL三首丸底フラスコからなるものであった。最初に、その混合物を実質的な還流まで加熱(120〜150℃)した後、30分以内に150℃のピーク温度まで徐々に加熱した。実質的な還流の時点から記録される合計反応時間が5.25時間に達するまでその温度を維持した。その後、熱源を取り外し、混合物を冷却した。次に、冷却した溶液をTHF(355g)で希釈し、IPA中に沈殿させた。ブフナー漏斗を介した濾過によってポリマーを集め、風乾した後、真空中、40〜70℃で乾燥させた。ポリマーの收率は28%であった。分子量はGPCによって決定した;Mw=2840およびMn=2064。
【0087】
実施例2:酸開裂性基を含む樹脂の合成
機械式攪拌機、温度制御ボックス、温度プローブ、滴下漏斗、凝縮器、および窒素導入口(ブランケット)を取り付けた500mL三首丸底フラスコにt−ブチルメタクリレート(11.90g、83ミリモル)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(19.85g、153ミリモル)、スチレン(6.91g、66ミリモル)、メチルメタクリレート(12.55g、126ミリモル)、およびメチル2−ヒドロキシイソブチレート(HBM)(200g)を投入した。滴下漏斗に、HBM(16g)に溶解したVazo−67(Dupont)(4g)の溶液を投入した。このモノマー混合物を攪拌しながら85℃に加熱した後、開始剤を添加した。添加の時間を書き留め、混合物を85℃で22時間反応させ続けた。その後、熱源を取り除くことによって反応を熱的に停止させ、混合物を室温に冷却した。ポリマーを溶液中に25%固形分で留めた。分子量をGPCによって決定した;Mw=11010、およびMn=4704。
【0088】
実施例3:開環性無水物を含む樹脂の合成
機械式攪拌機、温度制御ボックス、温度プローブ、滴下漏斗、濃縮器、および窒素導入口(ブランケット)を取り付けた500−mL三首丸底フラスコにn−ブチルメタクリレート(27.20g、192ミリモル)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(9.95g、77ミリモル)、無水イタコン酸(12.80g、114ミリモル)、およびメチル2−ヒドロキシイソブチレート(HBM)(280g)を投入した。滴下漏斗に、HBM(16g)に溶解したVazo−67(Dupont)(2g)の溶液を投入した。そのモノマー混合物を攪拌しながら85℃に加熱した後、開始剤を添加した。添加の時間を書き留め、混合物を85℃で22時間反応させ続けた。その後、熱源を取り除くことによって反応を熱的に停止させ、混合物を室温に冷却した。ポリマーを溶液中に15%固形分で留めた。分子量をGPCによって決定した;Mw=16258、およびMn=6444。
【0089】
実施例4−12:接触角の変更
下記表1に記載される成分を混合することにより、(以下でコーティング組成物1ないし9と呼ばれる)9種類の下地コーティング組成物を調製した。
【0090】
【表1】

【0091】
上記表1において、以下の略語は以下の物質を示す:
TBMA:tert−ブチルメタクリレート;HEMA:2−ヒドロキシエチルメタクリレート;STY:スチレン;MMA:メチルメタクリレート;CNNMA:5−シアノ−2−ノルボルニルメタクリレート;MAMA:2−メチル−2−アダマンチルメタクリレート;ECPMA:1−エチル−1−シクロペンチルメタクリレート;n−BMA:n−ブチルメタクリレート;IA:無水イタコン酸;ポリエステル1:フェニル基を含むポリエステル樹脂;ポリエステル2:フェニルおよびナフチル基の両者を含むポリエスエル樹脂;pTSA−NH:p−トルエンスルホン酸のアンモニア塩;HBM:メチル2−ヒドロキシイソブチレート。表1において、指示された重合モノマーに続く数値(例えば、(10/25/15/30))は樹脂調製物におけるモノマーのモル投入量を指定する。グリコウリル樹脂は商品名Powderlink 1774でCytec Industriesによって販売される。これらのコーティング組成物1ないし9において、架橋剤樹脂は樹脂成分の約15重量パーセントで存在し、酸源(熱酸発生剤)は全固形分(溶媒を除くすべての物質)の約0.8重量パーセントで存在する。溶媒は全コーティング組成物重量の約96重量パーセントの量で存在する。
【0092】
コーティング組成物1ないし9の各々をシリコンウエハ基板上にスピンコーティングし、175℃でベークして溶媒を除去し、コーティング組成物層を硬化もしくは架橋させる。
【0093】
コーティング組成物1ないし7(実施例4ないし10)については、193nmフォトレジスト組成物をコーティング組成物上にスピンコーティングし、フォトレジスト組成物の領域を様々なエネルギー線量の193nm放射線に暴露した。次に、露光したフォトレジスト層を約110℃で60秒間露光後ベークし、ベークしたフォトレジスト層を水性アルカリ性現像液で現像した。現像の後、下地コーティング組成物の水接触角を、JDSA−100 Dynamic Contact Angle Goniometer(Kruss GmbH)を用いて決定した。露光したフォトレジストと接触していない領域においても下地コーティング組成物の水接触角を試験した。結果を下記表2に記載する。
【0094】
コーティング組成物8および9(実施例11および12)については、下地コーティング組成物を0.26N水性アルカリ性フォトレジスト現像液で処理した。フォトレジスト現像液と接触した、もしくは接触していないコーティング層の水接触角を、JDSA−100 Dynamic Contact Angle Goniometer(Kruss GmbH)を用いて決定した。コーティング組成物8および9の結果も下記表2に記載した。
【0095】
【表2】

【0096】
実施例13:コーティング組成物の調製およびリソグラフィー処理
以下の物質を混合することによってコーティング組成物を調製した。
樹脂成分
p−ヒドロキシスチレン/tert−ブチルアクリレートコポリマー
アントラセンメタクリレート/2−ヒドロキシエチルメタクリレートコポリマー
架橋剤成分
グリコウリル樹脂
メラミン樹脂
酸源
p−トルエンスルホン酸トリエチルアミン塩
溶媒
プロピレングリコールメチルエーテル
プロピレングリコールメチルエーテルアセテート
【0097】
これらの2種類の樹脂はほぼ等しい重量比で存在していた。架橋剤成分は樹脂成分の11重量パーセントで存在していた。熱酸発生剤化合物は全固形分(溶媒を除くすべての成分)の約0.5重量パーセントの量で存在していた。溶媒は70:30(プロピレングリコールメチルエーテル:プロピレングリコールメチルエーテルアセテート)の重量比で存在していた。
【0098】
配合したコーティング組成物をシリコンマイクロチップウエハ上にスピンコーティングし、真空ホットプレート上、175℃で60秒間硬化させて80nmの乾燥硬化コーティング層厚を得た。
【0099】
次に、商業的に入手可能な248nmフォトレジストを、硬化させたコーティング組成物層上にスピンコーティングした。適用したレジスト層を、真空ホットプレート上、100℃で60秒間ソフトベークし、フォトマスクを通してパターン化された248nm放射線に露出し、110℃で60秒間露光後ベークした後、0.26N水性アルカリ性現像液で現像してレジストレリーフ画像を得た。
【0100】
実施例14:さらなるコーティング組成物
以下の成分を混合することによってコーティング組成物を調製した。
1.樹脂1:ジヒドロピラン(DHP)/無水マレイン酸(MA)/2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)(35/35/30)
2.樹脂2:フェニル基を有するポリエステル
3.樹脂3:フェニルおよびナフチル基を有するポリエステル
4.フォト酸発生剤:トリフェニルスルホニウム塩
5.熱酸発生剤:pTSA−NH:p−トルエンスルホン酸のアンモニア塩
5.架橋剤:グリコウリル樹脂
6.溶媒:メチル2−ヒドロキシイソブチレート
【0101】
すぐ上に示される組成物において、指定された重合モノマーに続く数値(35/35/30)は樹脂調製物中のモノマーのモル分量を指定する。グリコウリル樹脂は商品名Powderlink 1774でCytec Industriesによって販売される。このコーティング組成物において、架橋剤樹脂は樹脂成分の約15重量パーセントで存在し、酸源(熱酸発生剤)は全固形分の約0.8重量パーセントで存在し、フォト酸発生剤は全固形分(溶媒を除くすべての物質)の約2重量パーセントで存在する。溶媒は全コーティング組成物重量の約96重量パーセントの量で存在する。
【0102】
このコーティング組成物をシリコンウエハ基板上にスピンコーティングし、215℃でベークして溶媒を除去し、コーティング組成物層を硬化もしくは架橋させる。
【0103】
193nmフォトレジスト組成物をこのコーティング組成物上にスピンコーティングし、フォトレジスト組成物の領域を様々なエネルギー線量の193nm放射線に暴露した。次に、露光したフォトレジスト層を約110℃で60秒間、露光後ベークし、ベークしたフォトレジスト層を水性アルカリ性現像液で現像した。現像の後、下地コーティング組成物の水接触角を、JDSA−100 Dynamic Contact Angle Goniometer(Kruss GmbH)を用いて決定した。露光したフォトレジストに接触していない領域においても下地コーティング組成物層の水接触角を試験した。フォトレジスト現像液に接触する、および接触しないコーティング層の水接触角を、JDSA−100 Dynamic Contact Angle Goniometer(Kruss GmbH)を用いて決定した。63度の水接触角が露光前に測定され、47度の水接触角が露光後に測定された。
【0104】
実施例15:リソグラフィー試験
2種類の下地コーティング組成物(「第1コーティング組成物」および「第2コーティング組成物」)を、第2コーティング組成物がフォト酸発生剤化合物を含有しないことを除いて、上記実施例14の組成物に相当する成分およびそれらの量で調製した。
【0105】
第1コーティング組成物および第2コーティング組成物を、マイクロビアを含む半導体ウエハ基板に適用した。193nmフォトレジスト組成物を、上記実施例14において説明されるように、第1コーティング組成物および第2コーティング組成物にオーバーコートした。第1コーティング組成物で処理した半導体ウエハは、第2コーティング組成物で処理した半導体ウエハに対して、ビア底部のフォトレジスト屑が減少していた。第1コーティング組成物で処理した半導体ウエハは焦点深度(DOF)値の向上も示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理されて異なる水接触角を提供することができるコーティング組成物層;および
該コーティング組成物層上のフォトレジスト層、
を含むコートされた基体。
【請求項2】
酸もしくは塩基での処理によって水接触角が変化する請求項1記載の基体。
【請求項3】
酸もしくは塩基での処理によって水接触角が減少する請求項1記載の基体。
【請求項4】
コーティング組成物が、酸不安定性基もしくは無水物基を含む成分を含有する請求項1記載の基体。
【請求項5】
コーティング組成物が1以上のフォト酸発生剤化合物をさらに含有する請求項1記載の基体。
【請求項6】
1以上の酸不安定性基および/または1以上の塩基反応性基を含む1以上の成分を含有する架橋性コーティング組成物層;および
該コーティング組成物層上のフォトレジスト層、
を含むコートされた基体。
【請求項7】
フォトレジストレリーフ画像の形成方法であって:
コーティング組成物を基体上に適用し、適用された組成物は、処理されて異なる水接触角を提供することができ;
フォトレジスト組成物を該コーティング組成物層上に適用し;および
該フォトレジスト層を露光および現像してレジストレリーフ画像を提供すること、
を含む方法。
【請求項8】
適用されたコーティング組成物がフォトレジスト層からのフォト酸で処理され、フォト酸と接触するコーティング組成物領域の減少した水接触角を提供する、請求項7記載の方法。
【請求項9】
コーティング組成物が酸不安定性基もしくは無水物基を含む成分を含有する請求項7記載の方法。
【請求項10】
オーバーコートされるフォトレジスト組成物と共に用いるための架橋性反射防止組成物であって、1以上の酸不安定性基および/または1以上の塩基反応性基を含む1以上の成分を含有する反射防止組成物。

【公開番号】特開2007−17970(P2007−17970A)
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−184178(P2006−184178)
【出願日】平成18年7月4日(2006.7.4)
【出願人】(591016862)ローム・アンド・ハース・エレクトロニック・マテリアルズ,エル.エル.シー. (270)
【Fターム(参考)】