説明

オーバーコートを有する燃料電池基板

【課題】燃料電池を構成する要素にオーバーコート層を形成して耐久性の向上を図った膜電極アセンブリを提供する。
【解決手段】セリウム又はマンガン基の少なくとも1種を含むように修飾されたイオノマーを含むオーバーコート14を有する燃料電池基板16、及びそれを製造し、使用する方法。基板は転写バッキング、多価電解質膜、ガス拡散媒体層、微孔層、触媒被覆膜、触媒被覆ガス拡散媒体、又は触媒含有電極12の少なくとも1を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示が概して関連する分野には燃料電池とその要素が含まれ、これにはイオノマーオーバーコート(ionomer overcoat)、電極、膜、触媒被覆膜、触媒被覆拡散媒体(catalyst coated diffusion media)、及びこれらを含む製品が含まれ、また、これらを製造及び使用する方法が含まれる。
【背景技術】
【0002】
固体多価電解質膜を用いる燃料電池が知られている。当業者は、膜、膜アセンブリ(membrane assembly)、及びこれらを製造し使用する方法を継続して研究し、膜の耐久性を改善させ、代替態様を提供している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、先行技術における膜、膜アセンブリ、及びそれらを製造し使用する方法の代替を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の概要
本発明の一態様は、上にオーバーコートを有する燃料電池基板を含む製品を含み、該オーバーコートは、CeまたはMn基を含むイオノマーを含んでなる。
【0005】
本発明の一態様は、燃料電池基板上に溶液を塗布することを含む方法を含み、該溶液は、セリウム又はマンガンイオンで修飾されたイオノマーを含む。
本発明の一態様は、イオノマーのプロトン基をCe又はMnイオンに置換することを含み、これは、Ce又はMnの塩を溶液中のイオノマーと混合することを含む。
【0006】
本発明の別の態様は、イオノマーを修飾することを含む方法を含み、これは、イオノマーとビヒクル(vehicle)を含む溶液にCe3+又はMn2+の塩を溶解することを含んでなる。
【0007】
本発明の他の例示態様は、後に示される詳細な説明から明らかとなるだろう。詳細な説明と具体的な実施例とは、本発明の例示態様を開示してはいるが、例示のみを目的とすることが意図されており、本発明の範囲を制限することは意図されていないことを理解すべきである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
例示態様の詳細な説明
以下の態様の説明は単に例示の性質を有し、本発明やその適用又は用途を制限することは意図していない。
【0009】
本発明の一態様には、イオノマー及びビヒクルを含む溶液にCe3+又はMn2+の塩を溶解することにより、イオノマーを修飾することを含む方法が含まれる。一態様において、塩はCe3+又はMn2+の炭酸塩である。一態様において、塩には、Ce2(CO33又はMnCO3が含まれる。一態様において、ビヒクルには、水か、エタノール、メタノール、プロパノール、ブタノール等のようなアルコールか、或いはこれらの混合物が含まれ得る。
【0010】
イオノマー材料は多価電解質材料であり、イオン伝導性である。そのような適する多価電解質材料の例は、米国特許番号4,272,353号、米国特許番号3,134,689号、及びJournal of Power Sources, Volume 28 (1990), page 367-387に開示されている。そのような材料はイオン交換樹脂としても知られる。樹脂は、そのポリマー構造中にイオン性基を含み、ポリマーマトリクスに1のイオン成分が固定又は保持されており、この固定された成分に静電的に結合している交換可能な可動イオンである少なくとも1の他のイオン成分を有する。適切な条件下で他のイオンと交換され得る可動イオンの能力は、これら材料にイオン交換特性を付与する。
【0011】
イオン交換樹脂は、イオン成分を原料の1つとして含む混合物を重合することにより調製することができる。カチオン交換プロトン伝導性樹脂の1つの広いクラスは、いわゆるスルホン酸カチオン交換樹脂である。スルホン酸樹脂において、カチオン交換基はポリマー主鎖に付着しているスルホン酸基である。
【0012】
本発明の一態様において、イオン交換樹脂はパーフルオロスルホン酸ポリマー電解質であり、イオン交換特性を有する。そのようなポリマー電解質は、E. I. DuPont de Nemours & Companyから商標名NAFIONRで入手可能である。他のそのような多価電解質材料は、Asahi GlassとAsahi Kasei Chemical Companyから入手可能である。これらに限定されないが、パーフルオロカチオン交換樹脂、炭化水素系カチオン交換樹脂並びにアニオン交換樹脂のような、他の多価電解質材料の使用は全て本発明の範囲内である。
【0013】
本発明の別の態様には、イオノマー溶液を基板へと塗布することを含む方法が含まれる。イオノマー溶液には、セリウム及び/又はマンガンイオン基を含むように修飾されたイオノマーが含まれる。イオノマーは以下に記載するように修飾することができる。本発明の多様な態様において、イオノマー溶液は、噴霧、浸漬、スクリーン印刷、静電印刷、スピンコーティング、ロール等により塗布することができる。本発明の多様な態様において、イオノマー溶液が上に塗布される基板は、これらに限定されないが、転写バッキング(decal backing)、多価電解質膜、ガス拡散媒体層、微孔層(microporous layer)、触媒被覆ガス拡散媒体、触媒被覆膜、又は触媒を有する電極を含むことができる。ビヒクルが蒸発して、基板上に固体のオーバーコートが与えられる。
【0014】
本発明の別の態様において、50gのAsahi Kaseiイオノマー溶液(5wt%イオノマー、900当量)を、202mg(0.44mmol)のCe2(CO33・H2Oに添加した。得られた溶液を短時間40℃に温めて、室温で一晩撹拌させた。得られた溶液を200gのメタノールで希釈して、1wt%のイオノマー溶液を製造した。この希釈されたイオノマー溶液(70mL)を、触媒転写体(catalyst decal)上に噴霧し、約0.2mg/cm2の過多量の最終イオノマーオーバースプレー(final ionomer overspray overage)を得た。大きい触媒転写体をダイでカットして、膜電極アセンブリにつき50cm2の転写体にした。この手順により、50cm2の転写体中のセリウム含量は約0.5mgCe(3.6μmol)である。この修飾された転写体を、次いで、4000ポンド(300psi)の圧力下で、295°Fで4分間、NAFIONR112膜に熱プレスした。アノード及びカソードのその活性領域は、それぞれ、38cm2及び44cm2であった。
【0015】
燃料電池を評価するために、この膜電極アセンブリを50cm2の機材中に入れた。膜電極アセンブリの寿命性能の開始を、80℃、0〜1.5A/cm2で、H2/空気分極曲線(polarization curve)により評価した。ガス圧力は150kPa absであり、アノード及びカソードの相対湿度はそれぞれ100%及び50%であった。アノード及びカソードの両者について化学量論(stoichiometry)は2.0であった。アノード及びカソード電極の両者について、白金充填量は0.4mg/cm2であった。図11は、慣用的な膜電極アセンブリとの比較における、セリウム修飾イオノマーオーバーコートを有する膜電極アセンブリについての電圧vs電流密度分極曲線のグラフである。図11は、本発明の一態様に従うイオノマー修飾オーバーコートを含む膜電極アセンブリの電圧対電流密度のグラフである。図11において、線102は、Ceオーバースプレー(Ceで修飾されたイオノマー)を表し、線100は、(イオンにより修飾されたイオノマーを有さない)基準オーバースプレー(baseline overspray)を表す。図11は、本発明の金属イオン修飾イオノマーオーバーコートの使用に付随する性能上の不利はないことを示している。
【0016】
膜電極アセンブリの耐久性を、アノード及びカソードの両方について95℃、相対湿度50%、開回路条件の下での作動中の、電圧とフッ化物放出速度(fluoride release rate, FRR)をモニターすることにより評価した。本発明の膜電極アセンブリの電圧低下速度及びフッ化物放出速度(FRR)を、非修飾イオノマー溶液の慣用的なオーバースプレーで調製した基準膜電極アセンブリと比較して評価した。図12は、本発明の一態様に従うイオノマー修飾オーバーコートを有する膜電極アセンブリの耐久性試験の結果のグラフである。図12において、線104はCe OS電圧(即ちCeイオンで修飾されたイオノマーの電圧)を表し、線106は基準電圧(イオンで修飾されていないイオノマー)を表し、線110はCeオーバースプレーFRRを表し、そして線108は基準FRRを表す。金属イオン修飾イオノマーオーバースプレーの使用により、電圧低下速度とFRRの両者における劇的な低下が導かれることは明らかである。図12の例において、電圧低下速度は20分の1に減少し、FRRは500分の1に減少する。これらの結果は、本発明が膜電極の耐久性に多大な改良を与えることを示している。
【0017】
図1を参照する。本発明の一態様には、触媒を有する電極層12を含む製品10が含まれる。オーバーコート14は電極層12上に提供される。触媒は、担持されていても担持されていなくてもよい。電極層12は、白金のような微細に分割された触媒粒子とプロトン伝導イオノマーのようなイオン伝導性材料が粒子とともに混合されて担持される微細に分割された粒子の群を含むことができる。プロトン伝導性材料はパーフルオロスルホン酸ポリマーのようなイオノマーであってもよく、上記の任意の他のイオノマーであってもよい。触媒材料には、白金及びパラジウムや、白金とモリブデン、白金とコバルト、白金とルテニウム、白金とニッケル、白金とスズ、その他の白金遷移金属合金、金属間化合物(intermetallic compounds)、及び当該分野で知られる他の燃料電池電極触媒のような金属の混合物が含まれる。担持粒子は、電気伝導性であり、炭素を含むことができる。担持粒子には、これらに限定されないが、活性炭、カーボンナノチューブ、カーボンファイバー、メソポアカーボン(mesopore carbon)、及び触媒を担持するのに適する表面領域を有する他の電気伝導性粒子が含まれる。基板16には、転写バッキング材料、多価電解質膜、又はガス拡散媒体層が含まれる。
【0018】
図2を参照する。本発明の一態様に従う製品10には、触媒を含む電極層12と、触媒層12上のオーバーコート14が含まれる。オーバーコート14には、イオノマーで修飾されたセリウム又はマンガンが含まれる。基板16は、この態様では転写バッキングだが、電極層12とオーバーコート14とを担持する。アセンブリを、多価電解質膜18に面するオーバーコート14を有する多価電解質膜18上に置くことができ、オーバーコート14と電極層12とが多価電解質膜18に接着するように熱プレスされ、転写バッキング16を剥がして図3に示される構造を製造する。
【0019】
図4は、本発明の別の態様に従う製品10を示し、ここにおいて、基板16は、ガス拡散媒体層20と、任意に微孔層22を含む。ガス拡散媒体層20及び/又は微孔層22は、電極層12で被覆され、第一触媒被覆拡散媒体を提供する。オーバーコート14を第一触媒被覆拡散媒体に塗布する。オーバーコート14を有する触媒被覆拡散媒体は、多価電解質膜18の第一面17に接して配置することができる。オーバーコート14を有する第二触媒被覆拡散媒体層を、オーバーコート14が多価電解質膜18の第二面19に接するように配置することができる。オーバーコートを有する第一触媒被覆拡散媒体、膜、及びオーバーコートを有する第二触媒被覆拡散媒体を、ともに熱プレスしてもよい。
【0020】
図5は、本発明の一態様に従う製品10を示し、イオノマーで修飾されたセリウム又はマンガンを含むオーバーコート層14を基板16上に含む。基板16は、微孔層を有さないガス拡散媒体層20であってもよく、ガス拡散媒体20とオーバーコート層14との間にはさまれた触媒層12であってもよい。
【0021】
図6は、本発明の一態様に従う製品10を示し、イオン修飾されたイオノマーオーバーコート14を触媒層12上に含む触媒被覆膜を含み、触媒層12は膜18とイオノマーオーバーコート14との間に配置されている。
【0022】
図7は、図4の代替態様を示し、イオノマーオーバーコート層14は、触媒層12とガス拡散媒体層20上の微孔層22との間に配置されている。
図8は、本発明の別の態様に従う製品10を示し、多価電解質膜18の上にある触媒をその中に含むアノード層12aを有する多価電解質膜18を含む燃料電池スタックの一部が含まれる。第一オーバーコート層14aは、アノード層12aと多価電解質膜18との間に配置される。同様に、触媒をその中に有するカソード層12cは、多価電解質膜18の下に付与される。第二イオノマー修飾オーバーコート14cは、触媒層12cと多価電解質膜18との間に配置される。アノードガス拡散媒体層20aと任意の微孔層22aはアノード層12a上にある。第一双極板(bipolar plate)24aは、アノードガス拡散媒体層20a上にある。第一双極板24aは、反応ガス流動場(reactant gas flow field)を提供するその中に画定された複数のランド28a及びチャネル30aを含む第一面26aを含む。第一双極板24aは、その中に形成された冷却チャネル34aを含む第二面32aを含む。同様に、ガス拡散媒体層20cと任意の微孔層22cが触媒層12cの下にある。第二双極板層24cは、カソードガス拡散媒体層20cの下に付与される。第二双極板24cは、反応ガス流動場を画定する複数のランド28cとチャネル30cを含む第一面26cを含む。第二双極板24cは、その中に形成された冷却チャネルを含む第二面32cを含む。
【0023】
図9は、別の態様を示し、イオン修飾イオノマーオーバーコート14aaがアノード触媒層12aと、アノード微孔層22aまたはアノードガス拡散媒体層20aのうちの一方との間に配置される。同様に、イオン修飾イオノマーオーバーコート層14ccは、カソード触媒層12cと、カソード微孔層22c又はカソードガス拡散媒体層20cのうちの一方との間に配置される。
【0024】
図10は別の態様を示し、第一アノードイオン修飾イオノマーオーバーコート層14aが、アノード触媒層12aと膜18との間に配置されている。第二イオン修飾イオノマーオーバーコート層14aaは、アノード触媒層12aと、アノード微孔層22a又はアノードガス拡散媒体層20aのうちの一方との間に配置される。同様に、第一カソードイオン修飾イオノマーオーバーコート層14cは、カソード触媒層12cと膜18との間に配置される。第二カソードイオン修飾イオノマーオーバーコート14ccは、カソード触媒層12cと、カソード微孔層22c又はカソードガス拡散媒体層20cとの間に配置される。
【0025】
図13は、本発明の別の態様を示し、多価電解質膜18と、膜18の第一面210a上にアノードサブガスケット(anode subgasket)200aを含む製品10を含む。アノードサブガスケット200aは、内部端202aにより画定された窓(window)をその中に含み、膜のアノード側の活性領域を画定する膜18の第一面210aの一部を露出させている。アノードイオン修飾イオノマーオーバーコート層14aは、アノードサブガスケット窓202a中に付与される。アノードサブガスケット200aに重なるアノードイオン修飾イオノマーオーバーコート層の一部204aは、アノードサブガスケットの内部端202aに沿ったピンホールと、サブガスケット200aの下のピンホールを抑制し、また実質的に低減させる。
【0026】
同様に、カソードサブガスケット200cを、膜18の第二面210c上に提供することができる。カソードサブガスケット200cは、内部端202cにより画定された窓をその中に含み、膜18のカソード側の活性領域を画定する膜18の第二面210cの一部を露出させている。カソードイオン修飾イオノマーオーバーコート層14cは、カソードサブガスケット窓202c中に付与され、カソードサブガスケット200cの一部に重なる部分204cを含む。カソードサブガスケット200cに重なるカソードイオン修飾イオノマーオーバーコート層の一部204cは、カソードサブガスケットの内部端202cに沿ったピンホールと、サブガスケット200cの下のピンホールを抑制し、また実質的に低減させる。カソード触媒層12cは、カソードサブガスケット200cに重なる部分206cも含むことができる。この態様において、アノードサブガスケット窓202aにける開口部は、カソードサブガスケット窓202cにおける開口部よりも小さい。たとえば、アノード側の開口部又は活性領域は、38cm2であることができ、一方、カソード側の開口部又は活性領域は、44cm2であることができる。さらに、カソードイオン修飾イオノマーオーバーコート層14cの端208cは、アノードイオン修飾イオノマーオーバーコート14aの端208aを越えて横方向に伸びることができる。
【0027】
本発明の態様の上記の説明は、例示の性質のみを有し、従って、その変形は、本発明の精神及び範囲から逸脱したものとみなされるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】図1は、触媒を含む電極上に、セリウム又はマンガンイオンで修飾したイオノマーオーバーコートを含む、本発明の一態様を示す。
【図2】図2は、転写移動法(decal transfer process)を用いて、触媒とイオン修飾オーバーコートとを有する電極を膜の上に熱プレスすることを含む、本発明の一態様を示す。
【図3】図3は、触媒被覆膜を含み、該触媒層の下にイオン修飾イオノマーオーバーコートを含む、本発明の一態様を示す。
【図4】図4は、触媒被覆拡散媒体(微孔層を有する)を含み、該触媒層の上にイオン修飾イオノマー層を含む、本発明の別の態様を示す。
【図5】図5は、触媒被覆拡散媒体(微孔層を有さない)を含み、該拡散媒体層の直接上にある触媒層上にイオン修飾イオノマー層を含む、本発明の別の態様を示す。
【図6】図6は、触媒被覆膜を含み、該触媒層上にイオン修飾イオノマーオーバーコートを含み、該触媒層が膜とイオノマーオーバーコートとの間にはさまれている、本発明の一態様を示す。
【図7】図7は、触媒被覆拡散媒体(微孔層を有する)を含み、該触媒層と該微孔層との間に配置されたイオン修飾イオノマー層を含む、本発明の別の態様を示す。
【図8】図8は、アノード層、カソード層、及びアノード層とカソード層の各々と膜との間にはさまれたイオン修飾イオノマー層、を有する膜電極アセンブリを有する燃料電池の一部を含む、本発明の一態様を示す。
【図9】図9は、アノード層、カソード層、及びアノード層とカソード層の各々の上にあるイオン修飾イオノマー層、を有する膜電極アセンブリを有する燃料電池の一部を含む、本発明の一態様を示す。
【図10】図10は、アノード層、カソード層、アノード層とカソード層の各々と膜との間にはさまれたイオン修飾イオノマー層、及びアノード層とカソード層の各々の上にある第二イオン修飾イオノマー層、を有する膜電極アセンブリを有する燃料電池の一部を含む、本発明の一態様を示す。
【図11】図11は、本発明の一態様に従うイオノマー修飾オーバーコートを含む膜電極アセンブリについての電圧対電流密度のグラフである。
【図12】図12は、本発明の一態様に従うイオノマー修飾オーバーコートを含む膜電極アセンブリの耐久性試験の結果のグラフである。
【図13】図13は、本発明の別の態様を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
転写バッキング、多価電解質膜、ガス拡散媒体層、微孔層、触媒被覆膜、触媒被覆ガス拡散媒体、又は触媒含有電極の少なくとも1を含んでなる基板にイオノマー溶液を塗布することを含む方法であって、該イオノマー溶液が、セリウム又はマンガン基の少なくとも1を含むように修飾されたイオノマーを含む、方法。
【請求項2】
該基板が電極である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
該基板が転写バッキング材料を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
該基板が多価電解質膜を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
該基板がガス拡散媒体層を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
該基板が、微孔層で被覆されたガス拡散媒体層を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
該塗布することが、噴霧、浸漬、スクリーン印刷、ロール、コーティング、又はブラッシングの少なくとも1を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
該オーバーコート層と転写バッキング材料を多価電解質膜に熱プレスすること、及びオーバーコート層が多価電解質膜に面するように転写バッキング材料を除去することをさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項9】
多価電解質膜の第一面に接して該オーバーコートを配置することをさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項10】
多価電解質膜に接して該オーバーコート層を配置することをさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項11】
イオノマーを修飾することを含む方法であって、イオノマー及びビヒクルを含む溶液にセリウム又はマンガンの少なくとも1の塩を溶解することを含む、方法。
【請求項12】
該塩がセリウム又はマンガンの炭酸塩を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
該ビヒクルが、水又はアルコールの少なくとも1を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
該ビヒクルが、エタノール、メタノール、プロパノール、又はブタノールの少なくとも1を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
該溶液を触媒含有電極に塗布することをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
該電極を担持する基板をさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
該基板が転写バッキング材料を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
該基板が多価電解質膜を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
該基板がガス拡散媒体層を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
該基板が、微孔層で被覆されたガス拡散媒体層を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項21】
プロトン基を含むイオノマーを準備すること、
プロトン基の少なくとも1をCe又はMnイオンで置換すること、
を含む方法であって、Ce又はMnの塩を溶液中の該イオノマーと混合することを含む、方法。
【請求項22】
該プロトン基がスルホン酸基を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
該溶液中に触媒をさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
該溶液で被覆すること、及び該溶液を乾燥して基板を形成させることをさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
該塩がCe2(CO33である、請求項21に記載の方法。
【請求項26】
該塩がMnCO3である、請求項21に記載の方法。
【請求項27】
触媒含有電極層と、該電極層上のオーバーコートを有する製品であって、該オーバーコートはセリウム又はマンガン基の少なくとも1を含むように修飾されたイオノマーを含んでなる、製品。
【請求項28】
該イオノマーがパーフルオロスルホン酸ポリマーを含む、請求項27に記載の製品。
【請求項29】
該電極層の下にある基板をさらに含む、請求項27に記載の製品。
【請求項30】
該基板が転写バッキング材料を含む、請求項29に記載の製品。
【請求項31】
該基板が多価電解質膜を含む、請求項29に記載の製品。
【請求項32】
該基板がガス拡散媒体層を含む、請求項29に記載の製品。
【請求項33】
該基板が、上に微孔層が被覆されたガス拡散媒体層を含む、請求項29に記載の製品。
【請求項34】
該オーバーコート層に隣接する多価電解質膜をさらに含む、請求項27に記載の製品。
【請求項35】
第一面及び反対側の第二面を有する多価電解質膜、該膜の第一面上にあり燃料を解離させてプロトンを提供するための触媒を含有するアノード、該膜の第二面上にありプロトンと酸素との反応を触媒するための触媒を含むカソード、該カソード上のカソード側ガス拡散媒体層、及び該アノード上のアノード側ガス拡散媒体層を有する少なくとも1の燃料電池;
該アノードと膜との間に配置されているか該アノードと該アノード側ガス拡散媒体層との間に配置されており、セリウム又はマンガン基の少なくとも1を含むように修飾されたイオノマーを有する第一アノード側イオノマーオーバーコート;
該カソードと膜との間に配置されているか該カソードと該カソードガス拡散媒体層との間に配置されており、セリウム又はマンガン基の少なくとも1を含むように修飾されたイオノマーを有する第一カソード側イオノマーオーバーコート
を含む製品。
【請求項36】
該第一アノード側イオノマーオーバーコートがセリウム基を含み、該第一カソード側イオノマーオーバーコートがマンガン基を含む、請求項35に記載の製品。
【請求項37】
該第一アノード側イオノマーオーバーコートがマンガン基を含み、該第一カソード側イオノマーオーバーコートがセリウム基を含む、請求項35に記載の製品。
【請求項38】
該第一アノード側イオノマーオーバーコートが該アノードと膜との間に配置されており、かつ、該アノードと該アノード側ガス拡散媒体層との間に配置されセリウム又はマンガン基の少なくとも1を含むように修飾されたイオノマーを有する第二アノード側イオノマーオーバーコートをさらに含む、請求項35に記載の製品。
【請求項39】
該カソード側イオノマーオーバーコートが該カソードと膜との間に配置されており、かつ、該カソードと該カソード側ガス拡散媒体層との間に配置されセリウム又はマンガン基の少なくとも1を含むように修飾されたイオノマーを有する第二カソード側イオノマーオーバーコートをさらに含む、請求項35に記載の製品。
【請求項40】
第一面及び第二面を有する燃料電池多価電解質膜、該第一面上にあり該膜の第一面の一部を露出させる第一窓を画定する内部端を有する第一サブガスケット、該第一窓中にある部分を有する第一イオン修飾イオノマーオーバーコート層、及び該第一サブガスケットの一部に重なる該第一イオン修飾イオノマーオーバーコート層の一部、を含む製品。
【請求項41】
該第二面上にあり該膜の第二面の一部を露出さあせる第二窓を画定する内部端を有する第二サブガスケット、該第二窓中にある部分を有する第二イオン修飾イオノマーオーバーコート層、及び該第二サブガスケットの一部に重なる該第二イオン修飾イオノマーオーバーコート層の一部、をさらに含む、請求項40に記載の製品。
【請求項42】
該第一窓により露出された該膜の第一面の領域が、該第二窓により露出された該膜の第二面の領域よりも小さい、請求項41に記載の製品。
【請求項43】
該第一イオン修飾イオノマーオーバーコート層上にあるアノード触媒層、及び該第二イオン修飾イオノマーオーバーコート層上にあるカソード触媒層をさらに含む、請求項41に記載の製品。
【請求項44】
該第一イオン修飾イオノマーオーバーコート層が該アノード触媒層と該膜との間に配置される、請求項43に記載の製品。
【請求項45】
該第二イオン修飾イオノマーオーバーコート層が該カソード触媒層と該膜との間に配置される、請求項43に記載の製品。
【請求項46】
該第一オーバーコート層がセリウム又はマンガン基を含む、請求項40に記載の製品。
【請求項47】
該第二オーバーコート層がセリウム又はマンガン基を含む、請求光41に記載の製品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−159573(P2008−159573A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−289236(P2007−289236)
【出願日】平成19年11月7日(2007.11.7)
【出願人】(505212049)ジーエム・グローバル・テクノロジー・オペレーションズ・インコーポレーテッド (221)
【Fターム(参考)】