説明

オーバープリントワニス配合物

【課題】フューザー油をその表面に有していてもよい基板に塗布されるオーバープリントワニス組成物を提供する。
【解決手段】このワニスは、基板の上にあるフューザー油に対し、強い親和性を有する濡れ添加剤を含んでいる為に、印刷物に対し、欠陥のない濡れ性を付与し、基板上に裏透けまたは油の染みがあまり存在しないか、またはまったく存在しないという利点を与える。又、ワニスを使用するための方法および装置についても記載する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板の上にある画像を保護するためのオーバープリントワニス配合物に関する。開示されているオーバープリントワニス配合物は、印刷物に対し、欠陥のない濡れ性を付与し、基板上に裏透けまたは油の染みがあまり存在しないか、またはまったく存在しないというさらなる利点を与える。
【発明の概要】
【0002】
いくつかの実施形態は、オーバープリントワニス配合物、およびこれらを使用するための方法および装置を記載する。いくつかの実施形態のオーバープリントワニス配合物は、モノマーまたはオリゴマーのうち少なくとも1つのワニス媒剤と、濡れ添加剤とを含む。濡れ添加剤は、オーバープリントワニスの媒剤と、基板上にあるフューザー油とに対し、親和性を有する。この組成物は、場合により、ワックスまたは転相剤を含んでいてもよい。さらに、基板の上に耐久性のあるトナーに由来する画像を作り出すため、オーバープリントワニスを基板に塗布し、印刷装置内で利用するための方法が開示される。
【0003】
いくつかの実施形態は、数秒間の融合の間に塗布された場合であっても、油が混入した印刷物に対し、優れた濡れ性を付与する。いくつかの実施形態は、優れた堅牢性を付与する。例えば、紙の上にある典型的な画像は、硬度2Bの鉛筆で引っかくと簡単に取れてしまうが、鉛筆試験D3363による膜強度に関するASTM標準試験法を用いると、引っかきの閾値は、2Hまで増加する。また、いくつかの実施形態は、250fpmまでの速度、およびこれよりも大きな速度でもおそらく硬化し、硬化時に黄変せず、レオロジー特性は、デジタル用途に適している。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【図1】図1は、デジタル処理によって塗布し、硬化したオーバープリントワニスのNanovea光学プロファイラー粗さ(Pa)を示す。
【図2】図2は、その下にある粗さおよび表面張力の欠陥を示す。
【発明を実施するための形態】
【0005】
本開示は、本明細書に記載される特定の実施形態に限定されず、ある成分およびプロセスを、本開示に基づいて、当業者が変えてもよい。
【0006】
いくつかの実施形態のオーバープリントワニス配合物は、モノマーまたはオリゴマーのうち少なくとも1つのワニス媒剤と、濡れ添加剤とを含む。濡れ添加剤は、ワニス媒剤(主に、アクリレートであってもよい)とフューザー油(アミノ官能基化シリコーン油であってもよい)との両方に対し、親和性を有する。また、いくつかの実施形態は、例えば、硬化性アミドゲル化転相剤、ワックス、光開始剤、安定化剤、または他の添加剤を含んでいてもよい。
【0007】
本明細書で使用される場合、用語「粘度」は、複素粘度を指し、複素粘度は、サンプルに一定の剪断歪みを与えるか、または振れ幅の小さな正弦振動的変形を加えることが可能な機械的なレオメーターによって与えられる、典型的な測定値である。この種類の装置では、操作者によってモーターに剪断歪みが加えられ、トランスデューサーによってサンプルの変形(トルク)が測定される。または、剪断応力を加え、得られる歪みを測定する制御式応力装置を用いてもよい。このようなレオメーターは、例えば、細管粘度計のような過渡測定値ではなく、種々のプレート回転頻度ωで粘度を周期的に測定する。往復式プレートレオメーターは、同相および相外の両方で応力または変位に対する流体の応答を測定することができる。複素粘度η*は、η*=η’−iη”で定義され;式中、η’=G”/ωであり、η”=G’/ωであり、iは√−1である。または、例えば、細管粘度または剪断粘度の過渡測定値のみを測定することが可能な粘度計を用いてもよい。
【0008】
本明細書に記載の実施形態は、約70℃〜約100℃、例えば、約75℃〜約90℃の温度で吐出されてもよい。吐出時に、オーバープリントワニス配合物は、粘度が約5〜約16cPs、例えば、約8〜約13cPs、例えば、約9〜約10cPsであってもよい。したがって、オーバープリントワニス配合物は、インクジェットデバイスに用いるのに理想的に適している。
【0009】
「濡れ添加剤」は、ゼログラフィー式印刷で用いられることが多いフューザー油(例えば、アミノ官能基化シリコーン油)と、ワニス媒剤(主に、アクリレートであってもよい)との両方に対し、親和性を有する添加剤を指す。濡れ添加剤は、親油性および親アクリレート性の両方によって選択されてもよく、高分子量シリコーンアクリレート液であってもよい。濡れ添加剤は、例えば、ケイ素系であってもよく、例えば、ワニス媒剤に対して親和性を有する官能基部分を有していてもよい。
【0010】
フューザー油が、例えば、シリコーン系フューザー油である場合、適切な濡れ添加剤としては、限定されないが、アクリレート化シリコーン、例えば、ポリジメチルシロキサンアクリレートコポリマー(例えば、Silmer Acr−ジ−50、Siltechから入手可能);アクリレート化アルキルシロキサン;アクリレート化アルキルシロキサン;アクリレート化アリールシロキサン;アクリレート化アリルシロキサンなどが挙げられる。適切な濡れ添加剤の他の例としては、メタクリルオキシ官能基化シリコーン、例えば、Dow Additive 31が挙げられる。
【0011】
濡れ添加剤は、典型的には、粘度が低く、例えば、90℃で約20〜約500cPs、例えば、約50〜約300cPs、または約100〜約200cPsの粘度を有する。濡れ添加剤は、約0.1%〜約5%の量で含まれていてもよい。例えば、UV硬化系の添加剤として、濡れ添加剤は、約0.1%〜約3.0%、例えば、0.2%〜約2%、例えば、約0.5%〜約1.0%の量で含まれていてもよい。
【0012】
オーバープリントワニス配合物中で使用可能な、適切な放射線硬化性モノマーの例としては、プロポキシル化ネオペンチルグリコールジアクリレート(例えば、Sartomer製SR9003)、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ブタンジオールジアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、アルコキシル化ネオペンチルグリコールジアクリレート、アクリル酸イソデシル、アクリル酸トリデシル、アクリル酸イソボルニル、プロポキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート、ジ−トリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、エトキシル化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、プロポキシル化グリセロールトリアクリレート、メタクリル酸イソボルニル、アクリル酸ラウリル、メタクリル酸ラウリル、ネオペンチルグリコールプロポキシレートメチルエーテルモノアクリレート、メタクリル酸イソデシル、カプロラクトンアクリレート、2−フェノキシエチルアクリレート、アクリル酸イソオクチル、メタクリル酸イソオクチル、アクリル酸ブチル、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、ジオキサングリコールジアクリレート、これらの混合物などを挙げることができる。比較的極性のないモノマーとして、(メタ)アクリル酸イソデシル、カプロラクトンアクリレート、2−フェノキシエチルアクリレート、(メタ)アクリル酸イソオクチル、アクリル酸ブチルが挙げられる。それに加え、多官能アクリレートモノマー/オリゴマーを、反応性希釈剤としてだけではなく、硬化した画像の架橋密度を高めることが可能な材料として用いてもよく、それによって、硬化した画像の靱性を高めることができる。
【0013】
オーバープリントワニス配合物で用いてもよい、適切な放射線硬化性オリゴマーの例は、粘度が低く、例えば、約50cps〜約10,000cps、例えば、約75cps〜約7,500cps、または約100cps〜約5,000cpsの粘度を有している。このようなオリゴマーの例としては、CN549、CN131、CN131B、CN2285、CN 3100、CN3105、CN132、CN133、CN 132(Sartomer Company,Inc.(エクセター、PA)から入手可能)、Ebecryl 140、Ebecryl 1140、Ebecryl 40、Ebecryl 3200、Ebecryl 3201、Ebecryl 3212(Cytec Industries Inc(スミュルナ、GA)から入手可能)、PHOTOMER 3660、PHOTOMER 5006F、PHOTOMER 5429、PHOTOMER 5429F(Cognis Corporation(シンシナティ、OH)から入手可能)、LAROMER PO 33F、LAROMER PO 43F、LAROMER PO 94F、LAROMER UO 35D、LAROMER PA 9039V、LAROMER PO 9026V、LAROMER 8996、LAROMER 8765、LAROMER 8986(BASF Corporation(フローラムパーク、NJ)から入手可能)などが挙げられる。
【0014】
いくつかの実施形態では、硬化性モノマーは、プロポキシル化ネオペンチルグリコールジアクリレート(例えば、Sartomer製SR9003)とジペンタエリスリトールペンタアクリレート(例えば、Sartomer製SR399LV)の両方を含む。ペンタアクリレートを含むことは、ジアクリレートよりも多くの官能基を与え、したがって、多くの反応性を与えるという点で有利である。しかし、ペンタアクリレートの量は、オーバープリントワニス配合物中で制限される必要があり、これは、量が多すぎると、塗布温度で組成物の粘度に悪影響を与える場合があるからである。したがって、ペンタアクリレートは、組成物の10重量%以下、例えば、組成物の0.5〜5重量%を構成する。
【0015】
硬化性モノマーは、いくつかの実施形態では、オーバープリントワニス組成物中に、例えば、オーバープリントワニス組成物の約20〜約95重量%、例えば、約30〜約85重量%、または約40〜約75重量%の量で含まれていてもよい。オリゴマーは、場合により、オーバープリントワニス組成物中で、オーバープリントワニス組成物の0〜約30重量%、例えば、約0〜約25重量%、または約0〜約20重量%の量で使用されてもよい。また、モノマーとオリゴマーとを混合してもよい。また、UV硬化性ワニスは、所望な場合、さらなるポリマー成分を含んでいてもよい。
【0016】
オーバープリントワニス配合物は、転相剤(硬化性アミドゲル化転相剤を含む)を含んでいてもよい。「転相剤」は、所望な温度範囲でオーバープリントワニス組成物の粘度を上げるように機能する添加剤を指す。特定的には、ゲル化剤は、ゲル化剤のゲル化点よりも低い温度(例えば、オーバープリントワニス組成物が吐出される温度よりも低い温度)で、オーバープリントワニス配合物中に固体状態のゲルを形成する。例えば、いくつかの実施形態は、固体状態の相では、粘度が約10〜約10cPs、例えば、約103.5〜約106.5cPsの範囲にある。これらの粘度は、円錐形および平板を取り付けた歪み制御式レオメーターを用い、周波数1Hzで得られる。ゲル相は、典型的には、固体状態の相と、液相とが同時に存在しており、固体状態の相は、液相全体にわたって三次元網目構造を形成しており、液相が巨視的なレベルで流出するのを防いでいる。オーバープリントワニス配合物は、温度をオーバープリントワニス組成物のゲル点よりも高い温度、または低い温度に変動させると、ゲル状態と液体状態の間の熱可逆的な転移を示す。この温度は、一般的にゾル−ゲル温度またはゲル化点と呼ばれる。ゲルは、ゲル化剤分子の間の物理的な非共有結合性相互作用(例えば、水素結合、芳香族相互作用、イオン結合、配位結合、ロンドン分散相互作用など)によって形成するため、このゲル再形成サイクルは、何回も繰り返すことができる。
【0017】
いくつかの実施形態では、インク組成物がゲル状態を形成する温度は、インク組成物の吐出温度よりも低い任意の温度であり、例えば、インク組成物の吐出温度よりも約10℃以上低い任意の温度である。いくつかの実施形態では、ゲル状態は、約40℃〜約85℃、約40℃〜約75℃、約45℃〜約70℃、または約40℃〜約65℃、例えば、約60℃の温度で形成されてもよい。インク組成物が液体状態である吐出温度からゲル転移温度まで冷えると、インク粘度がすばやく、大きく増加し、インク組成物がゲル状態へと変わる。
【0018】
組成物中のモノマー(と、場合によりゲル化剤)は、1つ以上の光開始剤にUV光をあてた結果、重合し、容易に架橋し、ポリマー網目構造を形成するような官能基を含む。光開始剤が存在しない状態で、これらの官能基は、電子線にさらされた結果、重合してもよい。このポリマー網目構造は、印刷した画像に、例えば、耐久性、熱安定性および光安定性、耐引っ掻き性および防汚性を付与する。したがって、この組成物が、画像が割れたり、退色したりしないように保護し、画像が不変となり、汚れおよびビーディングを起こさずに重ね塗りすることができるため、特に、この組成物は、熱および日光にさらされる基板に、インクに由来する画像およびトナーに由来する画像をコーティングするのに十分に適している。
【0019】
放射性硬化性オーバープリントワニス配合物中で用いるのに適したゲル化剤としては、硬化性ポリアミド−エポキシアクリレート成分とポリアミド成分とから構成される硬化性ゲル化剤、硬化性エポキシ樹脂とポリアミド樹脂とから構成される硬化性コンポジットゲル化剤、アミドゲル化剤などが挙げられる。本明細書に記載のオーバープリントワニス組成物中にゲル化剤が含まれることで、オーバープリントワニス組成物が冷えるにつれて、オーバープリントワニス組成物の粘度がすばやく増加するため、基板内に過剰に浸透することなく、オーバープリントワニス組成物を基板(基板上に画像があってもなくてもよい)に塗布することができる。液体が多孔性基板(例えば、紙)に過剰に浸透すると、基板の不透明度を望ましくないレベルまで下げてしまうことがある。いくつかの実施形態では、硬化性ゲル化剤は、本明細書に記載のモノマーの硬化に関与する。酸素が遊離ラジカル重合の阻害剤であるため、ゲル化剤を含むことによる粘度の増加によって、オーバープリントワニス内に酸素が拡散するのを減らしてもよい。
【0020】
本明細書に記載のオーバープリントワニス配合物で使用するのに適したゲル化剤は、オーバープリントワニス組成物を、シリコーン油が表面に存在する基板に利用する場合に、濡れ性を高めるために、両親媒性であってもよい。本明細書で使用される場合、両親媒性とは、分子に極性部分と非極性部分の両方を有する分子を指す。例えば、本明細書に記載のゲル化剤は、非極性の長鎖炭化水素鎖と、極性のアミド結合とを有していてもよい。
【0021】
硬化性エポキシ樹脂およびポリアミド樹脂で構成される適切なコンポジットゲル化剤が、例えば、同一出願人による米国特許出願公開第2007−0120921 A1号に開示されている。コンポジットゲル化剤中のエポキシ樹脂成分は、任意の適切なエポキシ基を含有する材料であってもよい。いくつかの実施形態では、エポキシ基を含有する成分は、ポリフェノール系エポキシ樹脂またはポリオール系エポキシ樹脂のジグリシジルエーテル、またはこれらの混合物の中から選択される。つまり、いくつかの実施形態では、エポキシ樹脂は、分子の末端に位置する2個のエポキシ官能基を有する。ポリフェノール系エポキシ樹脂は、いくつかの実施形態では、2個以下のグリシジルエーテル末端基を有するビスフェノールA−コ−エピクロロヒドリン樹脂である。ポリオール系エポキシ樹脂は、2個以下のグリシジルエーテル末端基を有するジプロピレングリコール−コ−エピクロロヒドリン樹脂であってもよい。適切なエポキシ樹脂は、重量平均分子量が、約200〜約800、例えば、約300〜約700の範囲である。エポキシ樹脂の市販の供給源は、例えば、Dow Chemical Corp.製のビスフェノール−A系エポキシ樹脂(例えば、DER 383)、またはDow Chemical Corp.製のジプロピレングリコール系樹脂(例えば、DER 736)である。天然の供給源に由来するエポキシ系材料の他の供給源、例えば、植物由来または動物由来のエポキシ化トリグリセリド脂肪酸エステル、例えば、エポキシ化された亜麻仁油、菜種油など、またはこれらの混合物を用いてもよい。また、植物油から誘導されるエポキシ化合物、例えば、Arkema Inc.(フィラデルフィア、PA)製のVIKOFLEX系列の製品を用いてもよい。したがって、エポキシ樹脂成分を、不飽和カルボン酸または他の不飽和試薬との化学反応によって、アクリレートまたは(メタ)アクリレート、ビニルエーテル、アリルエーテルなどで官能基化する。例えば、樹脂の末端エポキシド基は、この化学反応で開環し、(メタ)アクリル酸とのエステル化反応によって、(メタ)アクリル酸エステルに変換される。
【0022】
エポキシ−ポリアミドコンポジットゲル化剤のポリアミド成分として、任意の適切なポリアミド材料を用いてもよい。いくつかの実施形態では、ポリアミドは、重合した脂肪酸(例えば、天然の供給源(例えば、ヤシ油、菜種油、ヒマシ油など、これらの混合物を含む)から得られるもの)または二量化したC−18不飽和酸原料、例えば、オレイン酸、リノール酸などから調製される一般的に知られている炭化水素「ダイマー酸」と、ポリアミン(例えば、ジアミン(例えば、アルキレンジアミン、例えば、エチレンジアミン、DYTEK(登録商標)シリーズのジアミン、ポリ(アルキレンオキシ)ジアミンなど)から誘導されるポリアミド樹脂、または、さらに、ポリアミドのコポリマー、例えば、ポリエステル−ポリアミドおよびポリエーテル−ポリアミドで構成される。ゲル化剤を作成する際に、1種類以上のポリアミド樹脂を用いてもよい。ポリアミド樹脂の市販の供給源としては、例えば、Cognis Corporation(以前はHenkel Corp.)から入手可能なポリアミドのVERSAMID(登録商標)シリーズ、特に、VERSAMID 335、VERSAMID 338、VERSAMID 795、VERSAMID 963(すべて、低分子量であり、アミン価が低い)が挙げられる。Arizona Chemical Company製のSYLVAGEL(登録商標)ポリアミド樹脂およびこれらの変形(ポリエーテル−ポリアミド樹脂を含む)を使用してもよい。Arizona Chemical Companyから得られるSYLVAGEL(登録商標)樹脂の組成物は、以下の一般式を有するポリアルキレンオキシジアミンポリアミドとして記載され、
【化1】

式中、Rは、約12〜約17個の炭素を有するアルキル基であり、Rは、ポリアルキレンオキシドを含み、Rは、C−6炭素環基を含み、nは、少なくとも1、例えば、1〜約100、約1〜約50、約5〜約25の整数である。
【0023】
硬化性ポリアミド−エポキシアクリレート成分とポリアミド成分とで構成される適切なゲル化剤が、例えば、同一出願人による米国特許公開第2007−0120924 A1号に開示されている。硬化性ポリアミド−エポキシアクリレートは、その中に少なくとも1つの官能基を含むという点で、硬化性である。一例として、ポリアミド−エポキシアクリレートは、二官能である。官能基(例えば、アクリレート基)は、遊離ラジカルによって開始する放射線硬化性であり、硬化したインク媒剤にゲル化剤を化学結合させることができる。市販のポリアミド−エポキシアクリレートは、Cognis製のPHOTOMER(登録商標)RM370である。また、硬化性ポリアミド−エポキシアクリレートは、硬化性エポキシ樹脂とポリアミド樹脂とで構成される硬化性コンポジットゲル化剤について
上に記載した構造の中から選択されてもよい。
【0024】
ポリアミド樹脂成分は、オーバープリントワニス組成物のゲル状態の弾性を高めてもよい。つまり、弾性係数(G’)の値は、高い。紙に直接印刷する場合、オーバープリントワニス組成物の弾性係数(G’)が高いことに対する要求は低い。ゲル化剤のポリアミド成分のために、任意の適切なポリアミド材料を用いてもよく、例示的な材料は、低分子量、例えば、1,000〜5,000グラム/モルの範囲のポリエーテル−ポリアミドであるが、この範囲からはずれていてもよく、アミン価が低い(例えば、0〜10の範囲)。ポリアミド樹脂の市販の供給源としては、例えば、Arizona Chemicals製のSYLVAGEL(登録商標)1000ポリアミド樹脂、およびこれらの変形が挙げられる。
【0025】
ここで使用するのに適したアミドゲル化剤は、米国特許第7,272,614号および第7,279,587号に開示されている。
【0026】
オーバープリントワニス配合物は、ゲル化剤を任意の適切な量で、例えば、オーバープリントワニス組成物の約1重量%〜約50重量%の量で含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、ゲル化剤は、オーバープリントワニス組成物の約2重量%〜約20重量%、例えば、約3重量%〜約10重量%の量で存在してもよい。
【0027】
また、組成物は、場合により、ワックスを含んでおり、したがって、この組成物は、インクに由来する画像をコーティングするのに特に十分適している場合があり、この場合、画像のインクは、少なくとも1つのワックスを含んでおり、トナーに由来する画像をコーティングするのに特に十分適している場合があり、この場合、画像のトナーは、少なくとも1つのワックスを含んでいる。「ワックス」または「複数のワックス」は、例えば、一般的にワックスと呼ばれる種々の天然材料、改質された天然材料、合成材料のうち任意のものを指す。ワックスは、室温、約20℃〜約25℃で固体である。ワックスを含むことにより、吐出温度から冷却するにつれて、ワニスの粘度上昇を促進する。したがって、ワックスは、オーバープリントワニス組成物が基板を通ってにじみ出てしまうのを避ける際に、ゲル化剤を補助する場合がある。
【0028】
ワックスは、例えば、UV硬化性ワニスの約1〜約25重量%、例えば、約2または約5〜約10または約15重量%の量で含まれていてもよい。一実施形態では、硬化性ワックスは、UV硬化性ワニス中に、UV硬化性ワニスの約2〜約10重量%、例えば、約3〜約6重量%の量で含まれていてもよい。
【0029】
特定の実施形態では、ワックスは硬化性である。「硬化性ワックス」は、他の成分と混和させることができ、硬化性モノマーまたは硬化性オリゴマーと重合し、ポリマーを形成するであろう、任意のワックス成分を指す。硬化性ワックスの適切な例としては、限定されないが、硬化性基を含むワックス、または硬化性基で官能基化されたワックスが挙げられる。硬化性基としては、例えば、アクリレート、メタクリレート、アルケン、アリルエーテル、エポキシド、オキセタンなどを挙げることができる。これらのワックスは、変換可能な官能基(例えば、カルボン酸またはヒドロキシル)が接続したワックスの反応によって合成してもよい。いくつかの実施形態では、硬化性ワックスの適切な例としては、末端がヒドロキシルのポリエチレンワックス、末端がカルボン酸のポリエチレンワックスを挙げることができる。本明細書に記載の硬化性ワックスを、開示されているモノマーを用いて硬化させてもよい。
【0030】
硬化性基で官能基化されていてもよい、末端がカルボン酸のポリエチレンワックスの適切な例としては、構造CH−(CH−COOHを有する炭素鎖の混合物(鎖長nの混合物が存在する場合、平均鎖長は、約16〜約50の範囲である)、同様の平均鎖長を有する直鎖低分子量ポリエチレンが挙げられる。このようなワックスの適切な例としては、限定されないが、Mが、それぞれ約390、475、565、720g/molに等しいUNICID(登録商標)350、UNICID(登録商標)425、UNICID(登録商標)550、UNICID(登録商標)700が挙げられる。他の適切なワックスは、構造CH−(CH−COOHを有し、例えば、n=14のヘキサデカン酸またはパルミチン酸、n=15のヘプタデカン酸またはマルガリン酸またはダツル酸、n=16のオクタデカン酸またはステアリン酸、n=18のエイコサン酸またはアラキジン酸、n=20のドコサン酸またはベヘン酸、n=22のテトラコサン酸またはリグノセリン酸、n=24のヘキサコサン酸またはセロチン酸、n=25のヘプタコサン酸またはカルボセリック酸、n=26のオクタコサン酸またはモンタン酸、n=28のトリアコンタン酸またはメリシン酸、n=30のドトリアコンタン酸またはラセロン酸、n=31のトリトリアコンタン酸またはセロメリッシン酸またはプシリン酸、n=32のテトラトリアコンタン酸またはゲド酸、n=33のペンタトリアコンタン酸またはセロプラスチン酸が挙げられる。Guerbet酸(2,2−ジアルキルエタン酸として特徴づけられる)も、適切な化合物である。例示的なGuerbet酸としては、炭素を16〜36個含むものが挙げられ、これらの多くは、Jarchem Industries Inc.(ニューアーク、NJ)から市販されている。PRIPOL(登録商標)1009(以下の式の異性体
【化2】

と、不飽和部および環状基を含んでいてもよい他の分枝型異性体とを含むC−36ダイマー酸混合物、Uniqema(ニューキャッスル、DE)から入手可能;この種類のC36ダイマー酸に関するさらなる情報は、例えば、「Dimer Acids」、Kirk−Othmer Encyclopedia of Chemical Technology、第8巻、第4版(1992)、pp.223〜237に開示されている)も使用することができる。これらのカルボン酸を、UV硬化性部分を有するアルコールと反応させ、反応性エステルを得てもよい。これらのアルコールの例としては、限定されないが、Sigma−Aldrich Co.製の2−アリルオキシエタノール;
【化3】

The Dow Chemical Company製のTONE M−101(R=H、navg=1)、TONE M−100(R=H、navg=2)、TONE M−201(R=Me、navg=1);および
【化4】

Sartomer Company,Inc.製のCD572(R=H、n=10)、SR604(R=Me、n=4)が挙げられる。
【0031】
硬化性ワックスは、いくつかの実施形態では、例えば、オーバープリントワニス組成物の約1重量%〜約20重量%、例えば、約1重量%〜約15重量%、または約2重量%〜10重量%の量で含まれていてもよい。いくつかの実施形態では、硬化性ワックスは、オーバープリントワニス組成物中に、オーバープリントワニス組成物の約3重量%〜約10重量%、例えば、約4重量%〜約9重量%の量で含まれていてもよい。
【0032】
いくつかの実施形態は、少なくとも1つの光開始剤を含んでいてもよい。用語「光開始剤」は、硬化(例えば、UV硬化)を開始させる添加剤を指す。放射線(例えば、UV放射線)を吸収し、配合物の硬化性成分の硬化を開始させる任意の光開始剤を用いてもよいが、硬化したときに、光開始剤が実質的に黄変を生じさせないことが望ましい。放射線の露光は、長時間である必要はなく、例えば、約0.05〜約10秒、例えば、約0.2〜約2秒行われてもよい。これらの露光時間は、インク組成物がUVランプの下を通る基板速度としてあらわされることが多い。例えば、UV Fusionから入手可能な、マイクロ波によってエネルギーを与えられる、ドープされた水銀球を、10cm幅の楕円形の鏡の集合体の中に置き;複数のユニットを直列に置いてもよい。したがって、ベルト速度0.1ms−1だと、画像上の点が1個のユニットの下を通るのに1秒必要であり、一方、ベルト速度4.0ms−1だと、4個の球の集合体の下を通るのに0.2秒必要であろう。組成物の硬化性成分の架橋を開始させるのに用いられるエネルギー源は、化学線であってもよく、例えば、スペクトルの紫外線または可視光領域の波長を有する放射線、加速された粒子、例えば、電子線照射、熱(例えば、熱または赤外線照射)などであってもよい。いくつかの実施形態では、エネルギーは、化学線照射である。というのも、このエネルギーは、架橋開始および架橋速度を強力に制御するからである。適切な化学線源としては、水銀ランプ、キセノンランプ、カーボンアークランプ、タングステンフィラメントランプ、レーザー、発光ダイオード、日光、電子線エミッタなどが挙げられる。硬化する光は、所望な場合、または必要な場合、フィルタにかけられてもよく、集められてもよい。インク組成物の硬化性成分を反応させ、適切な硬度および堅牢性の硬化または架橋した網目構造を形成する。いくつかの実施形態では、硬化は、実質的に完全なものから、完全なものまであり、硬化性成分の少なくとも75%が硬化する(反応および/または架橋する)。いくつかの実施形態は、250fpmまでの速度、およびこれよりも大きな速度でもおそらく硬化するであろう。
【0033】
アクリレートを含む組成物とともに用いるのに適した遊離ラジカル光開始剤の例としては、ベンゾフェノン、ベンゾインエーテル、ベンジルケタール、α−ヒドロキシアルキルフェノン、アシルホスフィン光開始剤、例えば、IRGACUREおよびDAROCURの商品名でCibaから販売されているものが挙げられる。適切な光開始剤の特定の例としては、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド(BASF LUCIRIN TPOとして入手可能);2,4,6−トリメチルベンゾイルエトキシフェニルホスフィンオキシド(BASF LUCIRIN TPO−Lとして入手可能);ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニル−ホスフィンオキシド(Ciba IRGACURE 819として入手可能)および他のアシルホスフィン;2−メチル−1−(4−メチルチオ)フェニル−2−(4−モルホリニル)−1−プロパノン(Ciba IRGACURE 907として入手可能)および1−(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン(Ciba IRGACURE 2959として入手可能);2−ヒドロキシ−1−(4−(4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニル)−ベンジル)−フェニル)−2−メチルプロパン−1−オン(Ciba IRGACURE 127として入手可能);チタノセン;イソプロピルチオキサントン(ITX);1−ヒドロキシ−シクロヘキシルフェニルケトン;ベンゾフェノン;2,4,6−トリメチルベンゾフェノン;4−メチルベンゾフェノン;ジフェニル−(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド;2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルホスフィン酸エチルエステル;オリゴ(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−(1−メチルビニル)フェニル)プロパノン);2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−プロパノン;ベンジル−ジメチルケタール;およびこれらの混合物が挙げられる。
【0034】
アミン共力剤、つまり、水素原子を光開始剤に与え、それによって、重合を開始させるラジカル種を形成する補助開始剤(アミン共力剤は、配合物中に溶解している酸素を消費することができ、酸素は遊離ラジカル重合を阻害するため、酸素の消費によって重合速度が上がる)、例えば、エチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、2−エチルヘキシル−4−ジメチルアミノ−ベンゾエートも含まれていてもよい。このリストは、排他的なものではなく、望ましい波長の放射線(例えば、UV光)にさらされると遊離ラジカル反応が開始するが、照射後に着色しないような任意の既知の光開始剤を、制限なく使用することができる。
【0035】
いくつかの実施形態では、光開始剤のパッケージは、少なくとも1つのα−ヒドロキシケトン光開始剤と、少なくとも1つのホスフィノイル型光開始剤とを含んでいてもよい。α−ヒドロキシケトン光開始剤の一例は、IRGACURE 127であってもよく、一方、ホスフィノイル型光開始剤の一例は、IRGACURE 819であってもよく、両方ともCiba−Geigy Corp.(タリータウン、NY)から入手可能である。α−ヒドロキシケトン光開始剤とホスフィノイル型光開始剤との比率は、例えば、約90:10〜約10:90、例えば、約80:20〜約20:80、または約70:30〜約30:70であってもよい。
【0036】
オーバープリントワニス配合物中に含まれる光開始剤の合計量は、例えば、オーバープリントワニス組成物の約0重量%〜約15重量%、例えば、約0.5〜約10重量%であってもよい。α−ヒドロキシケトン光開始剤とホスフィノイル型光開始剤との比率は、例えば、約90:10〜約10:90、例えば、約80:20〜約20:80、または約70:30〜約30:70であってもよい。いくつかの実施形態では、組成物は、光開始剤を含んでいなくてもよく、例えば、電子線照射を硬化エネルギー源として使用してもよい。
【0037】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のオーバープリントワニス配合物は、硬化性モノマーと濡れ添加剤とを、均一になるまで、約75℃〜約100℃、例えば、約80℃〜約95℃、または約75℃〜約90℃の温度で混合することによって調製されてもよい。硬化性ワックスが利用される場合、モノマーと濡れ添加剤との混合物中に、使用される場合は、ゲル化剤が含まれていてもよい。モノマーとゲル化剤との混合物が均一になったら、次いで、使用される場合、光開始剤または複数の光開始剤と、任意要素の界面活性剤とを加えてもよい。または、硬化性モノマー、濡れ添加剤、任意要素のゲル化剤、任意要素の光開始剤、任意要素のワックス、任意要素の界面活性剤をすぐに合わせてもよい。得られた混合物を、約75℃〜約100℃、例えば、約80℃〜約95℃、または約75℃〜約90℃の温度で、約1時間〜約3時間、例えば、約2時間撹拌する。
【0038】
いくつかの実施形態は、インクに由来する画像またはトナーに由来する画像を基板の上に作成することと、その後、画像を作成し、オーバープリントワニス組成物を全体として基板の上に、全体として画像の上に、画像の一部分に、基板の一部分に、またはこれらの組み合わせにインクジェット印刷することと、オーバープリントワニス組成物を硬化させることとと含む画像処理で用いることができる。
【0039】
基板に塗布したら、組成物が適切に平滑化されているかどうかを、Pa粗さとして測定することができる。Pa粗さは、International Standard ISO4287の「Geometrical Product Specifications(GPS)−Surface texture:Profile method−Terms,definitions and surface texture parameters.」を指す。Paは、特定的には、評価されたプロフィールの算術平均の偏差であると4.2.1章に定義されており、ここで、Pは、3.2.1章に定義されている一次プロフィールを指す。Pa粗さは、軸方向の色収差の原理を利用する非接触型装置であるNanovea ST400 Optical Profilerを含む、種々の接触型および非接触型の表面形状測定装置を用いて測定することができる。塗布され、硬化したオーバープリントコーティングの場合、Paが低いことは、粗さが少なく、したがって、良好に平滑化していることを示し、一方、Paが高いことは、粗さが大きく、したがって、硬化前の平滑化が悪いことをあらわす。これらの実施形態では、Pa粗さが低いとは、Paが約6ミクロン未満であることを指し、Paが高いとは、粗さが6ミクロンを超えることを指す。
【0040】
組成物の放射線硬化性オリゴマーおよび/またはモノマー成分の架橋を開始させるために用いられるエネルギー源は、化学線であってもよく、例えば、スペクトルの紫外線または可視光領域の波長を有する放射線、加速された粒子、例えば、電子線照射、熱(例えば、熱または赤外線照射)などであってもよい。いくつかの実施形態では、エネルギーは、化学線照射である。というのも、このエネルギーは、架橋開始および架橋速度を強力に制御するからである。適切な化学線源としては、限定されないが、水銀ランプ、キセノンランプ、カーボンアークランプ、タングステンフィラメントランプ、レーザー、発光ダイオード、日光などが挙げられる。
【0041】
いくつかの実施形態が基板を濡らす能力は、一般的に、その表面張力および粘度に依存する。例えば、表面張力が低い場合、オーバープリントワニスによって覆われる表面積は大きくなり、その結果、基板を十分に濡らすであろう。いくつかの実施形態は、表面張力が、約60℃〜約90℃で、約18ダイン/cm〜約50ダイン/cm、より特定的には、約20ダイン/cm〜約40ダイン/cm、最も特定的には、約20ダイン/cm〜約30ダイン/cmの範囲であってもよい。
【0042】
オーバープリントワニスの粘度は、温度に依存して、約5cPs〜約106.5cPsの範囲である。例えば、組成物の粘度は、約90℃で約10cPsであり、約25℃で約106.5cPsである。吐出可能な範囲は、約70℃〜約95℃の温度範囲で、約15cPs〜約3cPsである。
【0043】
いくつかの実施形態は、望ましくは、実質的に着色剤を含まない(例えば、完全に含まない)。「実質的に着色剤を含まない」は、オーバープリントワニス組成物が、硬化した後に、実質的または完全に透明であるか、または無色であることを指す。この場合、オーバープリントワニスは、着色剤(例えば、顔料、染料、顔料と染料の混合物、顔料混合物、染料混合物など)を実質的に含まなくてもよい。本明細書に記載のオーバープリントワニスは、硬化中に黄変せず、実質的または完全に無色透明であり、つまり、L*a*b*値、またはk、c、m、yのいずれも測定可能な差がほとんどないか、またはまったくないことが観察される。「実質的に黄変しない」または「実質的または完全に透明または無色」であるとは、オーバープリントワニス組成物を硬化させて、色または色相の変化が約15%未満、例えば、約10%未満、または約5%未満、例えば、ほぼ0%であることを指す。
【0044】
種々の上に開示した特徴および機能、またはこれらの代替物、および他の特徴および機能、またはこれらの代替物を、望ましくは、多くの他の異なるシステムまたは用途と組み合わせてもよいことが理解されるであろう。また、種々の現時点で予測されないか、または予期されない代替物、改変、変形または改良は、後で当業者によってなされると考えられ、これもまた以下の特許請求の範囲に包含されることが意図される。
【実施例】
【0045】
本開示を以下の非限定的な実施例においてさらに説明する。実施例は、単なる具体例であることを意図している。本開示は、本明細書に引用されている材料、条件、プロセスパラメータなどに限定することを意図したものではない。部および百分率は、他の意味であると示されていないかぎり、重量基準である。
【0046】
試験1:濡れ特性
【0047】
表1に記載の成分を含むオーバープリントワニス組成物を、光開始剤以外のすべての成分を合わせ、磁気撹拌によって、90℃で30分間混合し、次いで、光開始剤を加え、さらに30〜60分間撹拌することによって調製する。
【表1】

【0048】
接触角は、垂滴を表面に接触させた後、0.4〜0.6秒間測定され、FTA 200装置を用い、温度85℃で測定される。試験結果を以下の表2に示す。
【表2】

【0049】
表2に報告された接触角は、液滴の接触角によって測定されるような濡れ性の実質的な低下は、基板の上にフューザー油が存在することによって増え、また、表1に示されるように、好ましいコーティングは、従来のコーティングと比較して、油のついた基板の上の接触角を下げる能力が示されている。
【0050】
試験2:Pa粗さ
【0051】
実施例2は、以下の表3に与えられている成分を含む実施形態である。
【表3】

【0052】
実施例2は、表3に記載の成分を含み、光開始剤以外のすべての成分を合わせ、磁気撹拌によって90℃で30分間混合し、次いで、光開始剤を加え、さらに30〜60分間撹拌することによって調製される。
【0053】
実施例3は、実施例1の表1で上に記載された成分を含む実施形態である。実施例3は、実施例1と同じ様式で調製される。
【0054】
比較例1は、以下の表4に与えられる成分を含むUVコーティングである。
【表4】

【0055】
比較例1は、表4に記載の成分を含み、光開始剤以外のすべての成分を合わせ、磁気撹拌によって90℃で30分間混合し、次いで、光開始剤を加え、さらに30〜60分間撹拌することによって調製された。
【0056】
比較例2は、以下の表5に与えられている成分を含み、比較例1を濡れ性およびレベリング性が高まるように改変した態様である。
【表5】

【0057】
比較例2は、表4に記載されている成分を含み、光開始剤以外のすべての成分を合わせ、磁気撹拌によって90℃で30分間混合し、次いで、光開始剤を加え、さらに30〜60分間撹拌することによって調製された。
【0058】
比較例3は、比較例1を濡れ性およびレベリング性が高まるように改変した態様である。比較例3は、以下の表6に与えられている成分を含む。
【表6】

比較例3は、表5に記載されている成分を含み、光開始剤以外のすべての成分を合わせ、磁気撹拌によって90℃で30分間混合し、次いで、光開始剤を加え、さらに30〜60分間撹拌することによって調製された。
【0059】
実施例2および3、比較例1、2、3を、Digital Color Elite Glossコート紙に塗布した。まず、これらを紙の画像のない領域に塗布し、これらは、フューザーを通らなかった。フューザー油が存在しない場合、それぞれのコーティングについて、図1のグラフの最も左側の棒によって示されるように、Paは5〜6であり、平滑化は同様である。
【0060】
第2に、実施例2および3、比較例1、2、3を、紙をiGen 3フューザーに通し、紙にフューザー油をつけた後に、画像のない領域に塗布した。比較例1、2、3のPaは、10〜12ミクロンまで上がる。実施例2および3のPaは、5ミクロン未満のままである。それぞれ、図1のグラフの中央の棒に示されるとおり。
【0061】
次いで、実施例2および3、比較例1、2、3を、紙をiGen 3フューザーに通し、紙の上の画像にフューザー油をつけた後に、画像の領域に塗布した。比較例1、2、3のPaは、5ミクロンよりも大きい。実施例2および3のPaは、5ミクロン未満のままである。それぞれ、図1のグラフの最も右側の棒に示されるとおり。
【0062】
フューザー油が存在しない場合、それぞれのコーティングについて、Paが5〜6ミクロンであり、平滑化は良好である。しかし、紙をフューザーに通し、フューザー油をつけると、比較例のPa粗さは、6ミクロンよりも大きくなり、本開示の実施形態は、6ミクロン未満のままである。
【0063】
図2は、実施例3(右側の画像)と比較して、比較例1(左側の画像)のワニス平滑化によって、その下にある粗さおよび表面張力の欠陥を示しており、欠陥は最低限であり、ピンホールは存在しないことを示す。
【0064】
本開示を特定の実施形態を参照して記載してきたが、多くの代替物、改変、変形を行ってもよいことが当業者には明らかであろう。添付の特許請求の範囲の精神および範囲の中に入るであろう場合には、このような代替物、改変、変形を包含することを意図している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
デジタル処理によって塗布されるような構成のオーバープリントワニスであって、
モノマー、オリゴマー、またはこれら混合物のうち少なくとも1つを含むワニス媒剤と;
前記ワニス媒剤に対する親和性を有する官能基部分を含むシロキサン系濡れ添加剤と;
場合により、転相剤および/または光開始剤とを含む、オーバープリントワニス。
【請求項2】
前記濡れ添加剤が、アクリレート化シリコーン、アクリレート化アルキルシロキサン、アクリレート化アルキルシロキサン、アクリレート化アリールシロキサン、アクリレート化アリルシロキサンからなる群から選択される、請求項1に記載のオーバープリントワニス。
【請求項3】
前記濡れ添加剤が、前記ワニスの約0.1重量%〜約5重量%の量で存在する、請求項1に記載のオーバープリントワニス。
【請求項4】
少なくとも1つのモノマーまたはオリゴマーが、アクリレート化モノマーまたはアクリレート化オリゴマーである、請求項1に記載のオーバープリントワニス。
【請求項5】
前記モノマーが、プロポキシル化ネオペンチルグリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、アルコキシル化ネオペンチルグリコールジアクリレート、アクリル酸イソデシル、アクリル酸トリデシル、アクリル酸イソボルニル、プロポキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート、ジ−トリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、エトキシル化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、プロポキシル化グリセロールトリアクリレート、メタクリル酸イソボルニル、アクリル酸ラウリル、メタクリル酸ラウリル、ネオペンチルグリコールプロポキシレートメチルエーテルモノアクリレート、メタクリル酸イソデシル、カプロラクトンアクリレート、2−フェノキシエチルアクリレート、アクリル酸イソオクチル、メタクリル酸イソオクチル、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、ジオキサングリコールジアクリレート、ブタンジオールジアクリレート、アクリル酸ブチル、またはこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載のオーバープリントワニス。
【請求項6】
前記ワニスが、黄変することなく、少なくとも250fpmの速度で硬化性である、請求項1に記載のオーバープリントワニス。
【請求項7】
前記ワニスが、フューザー油を表面に有する基板または画像をコーティングした後に、6ミクロン未満のPa粗さを維持している、請求項1に記載のオーバープリントワニス。
【請求項8】
前記ワニスが、約70℃〜約100℃の温度で約5cPs〜約16cPsの粘度を有する、請求項1に記載のオーバープリントワニス。
【請求項9】
オリゴマーが、前記ワニスの約1重量%〜約30重量%の量で存在する、請求項1に記載のオーバープリントワニス。
【請求項10】
前記フューザー油が、アミノ官能基化シリコーン油である、請求項9に記載のオーバープリントワニス。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−107237(P2012−107237A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−244000(P2011−244000)
【出願日】平成23年11月7日(2011.11.7)
【出願人】(596170170)ゼロックス コーポレイション (1,961)
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
【Fターム(参考)】