説明

オーバーヘッドプロジェクタ

【課題】運搬移動が容易であり、かつ種々の用途に適応可能なオーバーヘッドプロジェクタ(OHP)を提供する。
【解決手段】スクリーン4の半透明のパネルの背面8にイメージを投射して、パネルの前面20に表示されるイメージを、ユーザが観察しうるようにするOHP2であって、スクリーン4は、引込位置及びこの引込位置に対して、パネルの表面積が少なくとも10%増加する伸長位置間でシフト可能であり、イメージの投射装置5は、スクリーン4の引込位置及び伸長位置に投射イメージを適合させるようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オーバーヘッドプロジェクタに関し、特にパネルの背面からイメージを投射し、前面からユーザがイメージを観察するタイプのオーバーヘッドプロジェクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の一般的なオーバーヘッドプロジェクタ(以下、原則としてOHPと省略する)は、フレーム及びこのフレームに張り付けられた半透明のパネルを有するスクリーンと、この半透明パネルの背面にイメージを投射する装置とを備え、この半透明パネルは、イメージを表示して観察可能にする前面、及びイメージが投射される背面を有する。
【0003】
ここで、「OHP」の用語は、イメージが半透明パネルを透過した後に、観察者が直接的に観察可能な装置を意味するものとする。OHPは、イメージが不透明スクリーンに投射される装置とは異なる。上述した不透明スクリーンを使用する装置の場合には、イメージが半透明スクリーンで反射された後のみに、観察者は投射されたイメージを観察可能である。
【0004】
「半透明パネル」の用語は、その背面に投射されたイメージを、前面側において、このパネルの前にいる人、又はユーザが直接観察可能にするパネルである。そのため、このパネルは、例えば背面に投射された光ビームの開口角を、このビームがパネルを通過時に誘発して光を散乱させるエージェント、又は手段を有する。このビームの開口角は、例えば多重屈折により誘発される。
【0005】
OHPは、色々な面で利用されている。例えばテレビ受像機として使用されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
OHPには、大きなスクリーンを有するものがあり、そのためユーザに好まれている。スクリーンのサイズが大きくなると、OHPの運搬移動は困難になるので、何らかの兼ね合いが求められる。
【0007】
本発明は、従来のOHPの上述の如き課題に鑑みてなされたものであり、上記課題を克服した、即ち移動運搬が容易であるOHPを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決すると共に上述した目的を達成するために、本発明のOHPは、次の如き特徴的な構成を採用している。即ち、スクリーンは、引込位置と伸長位置間でシフト可能であり、パネルの表面積を、引込位置のパネル表面積に対して、少なくとも10%増加可能である。また、投射装置は、引込位置及び伸長位置におけるスクリーンの投射イメージのサイズに適合可能である。
【0009】
本発明によるOHPの実施形態においては、次に列記する複数の特徴のうちの1以上を備えている。
・パネルは、少なくとも10%以上、好ましくは30%以上の破壊点を有するストレッチ可能な材料製からなっている。
・このストレッチ可能な材料は、5GPa以下、好ましくは2GPa以下のヤング率を有する。
・投射装置は、パネルの背面にイメージを投射する光ビームの開口角を調節可能であり、投射されるイメージのサイズを、スクリーンの位置に適合させる装置を有する。
・投射装置は、投射される初期イメージを処理する装置を有し、パネルの背面の外周に投射されるように、設計されたバンドで包囲される初期イメージの縮小を含む新たな初期イメージを発生可能であり、このバンドの幅は、スクリーン位置の減少サイズに応じて調節可能である。
・パネルの背面へイメージを投射する光ビームの開口角は、スクリーン位置とは無関係に一定である。
・OHPは、スクリーンの位置センサを有し、投射装置は、センサにより測定された位置の関数としてスクリーン位置にイメージのサイズを自動的に適合可能である。
・OHPは、スクリーンを引込位置と伸長位置間の少なくとも1つの中間位置に、スクリーン位置をロックするロックメカニズムを有する。
【発明の効果】
【0010】
上述の如き特徴的な構成を備える本発明のOHPは、次の如き特有の効果を奏しうる。先ず、スクリーンサイズを変更可能にすることにより、例えば運搬時にはスクリーンのサイズを減少させてOHP全体の占有体積を小型化する。反対に、運搬時以外では、スクリーンを伸長又は拡大可能である。従って、このOHPは、既存のOHPの利点を保持しながら運搬移動を容易にする。
【0011】
また、引込位置及び伸長位置のスクリーンにイメージを投射可能であるので、ユーザに新たな機能を提供可能にする。例えば、イメージのズーミングにより細部を拡大してイメージの詳細を示す代わりに、ユーザは、スクリーンのサイズを拡大してイメージ全体を拡大可能である。反対に、公共交通機関等のモバイルユースの場合には、ユーザは、スクリーンサイズを縮小することにより、イメージのサイズを縮小する決定が可能である。
【0012】
更に、本発明のOHPは、次の如き付加的な効果を奏する。
・ストレッチ可能なパネルを使用することにより、パネルの巻き上げ、又は巻き戻し等の巻き上げメカニズムや、その他のメカニズムを使用することなく、スクリーンの拡張が可能である。
・例えば5GPa未満の低ヤング率のストレッチ可能な材料を使用することにより、スクリーンを拡大するためにユーザが加えなければならない力を低減できる。
・光ビームの開口角の調節装置を使用することにより、スクリーン位置にイメージのサイズを適合できる。
・投射される初期イメージを処理する装置を使用することにより、イメージを投射する光ビームの開口角を調節する光学装置を使用する必要がなくなる。
・イメージを投射する光ビームの開口角を一定に維持することにより、OHPを簡単にすることができる。
・スクリーン位置に、イメージのサイズを自動的に適合させうるので、OHPの使用は容易である。
【0013】
本発明の上述したところ、及びその他の特徴的な構成及び特有の効果は、添付図面を参照して行う、以下の詳細な説明から一層明瞭に理解しうると思う。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明によるOHPの好適な実施形態のスクリーンが引込位置にある状態を示す側面図である。
【図2】図1に示すOHPのスクリーンが伸長位置にある状態を示す側面図である。
【図3】図1に示すOHPのスクリーンの正面図である。
【図4】図2に示すOHPのスクリーンの正面図である。
【図5】本発明のOHPにおけるスクリーン位置をロックするロックメカニズムの1例を示す説明図である。
【図6】直交する2方向へストレッチ可能な本発明によるOHPのスクリーンの正面図である。
【図7】拡張可能なスクリーンを有する本発明によるOHPの他の実施形態の正面図である。
【図8】図7に示すスクリーンの断面図である。
【図9】拡張可能なスクリーンを備える本発明によるOHPの他の実施形態を説明する側面図である。
【図10】拡張可能なスクリーンを備える本発明によるOHPの更に他の実施形態を説明する側面図である。
【図11】図10に示すOHPのスクリーン上における光ビーム投射イメージの1例である。
【図12】図10に示すOHPのスクリーン上における光ビーム投射イメージの他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明によるオーバーヘッドプロジェクタの好適な実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。尚、これら添付図において、説明の便宜上、同様の要素には同じ符号を使用している。また、当業者に公知である特徴や作用については、詳細な説明を省略する。
【0016】
図1及び図2は、本発明によるスクリーン4を備えるOHP2の好適な実施形態を示す側面図である。スクリーン4は、x(水平)方向、及びy(垂直)方向と平行な面内で伸長することができる。x方向及びy方向は、相互に直交している。スクリーン4の詳細を、図3及び図4に示してある。図1及び図3は、スクリーン4の引込位置又は状態を示し、図2及び図4は、スクリーン4の伸長位置又は状態を示している。
【0017】
OHP2は、スクリーン4の半透明パネル10の背面8にイメージを投射する投射装置5を有する。投射装置5で投射されたイメージは、このパネル10の前面20側にいるユーザが直接観察するようになっている。
【0018】
そのために、イメージ投射装置5は、プロジェクタ6及び光学機器16を有する。プロジェクタ6は、光学軸14に沿って一定の開口角αを有する光ビーム12を発生させる。光学軸14は、x方向及びy方向と直交するz方向を向いている。開口角αは、光学機器16の中心である光学軸14、及び光学軸14から最も離れている光線のなす角度である。光学機器16は、光ビーム12の開口角を調節するために使用される。
【0019】
光学機器16は、上述した開口角αを、調節可能な開口角θに変更する。この開口角θは、光学軸14及びこの光学軸14から最も離れており、パネル10の周辺に当たる光線のなす角度である。スクリーン4の引込位置と伸長位置間の開口角θの変化の大きさは、少なくとも10°であり、好ましくは少なくとも25°、30°、50°又は80°である。この開口角θの最大値は、例えば少なくとも30°であり、好ましくは50°又は80°である。この開口角の最大値が大きければ大きいほど、OHP2が必要とするスペースの低減可能性が大きくなる。
【0020】
同様に、OHP2が必要とするスペースを低減させるために、プロジェクタ6は、可能な限り小さな寸法を有する。例えば、プロジェクタ6の最大寸法は、3cm未満であり、好ましくは2cm未満である。
【0021】
プロジェクタ6は、対角法が20cmのスクリーン上に、例えば10ルーメンのオーダーの照度を生じる。プロジェクタ6は、透過型又は反射型のLCD(液晶表示器)スクリーン、又はレーザで照明されるマイクロエレクトロメカニカルシステム(MEMS)又はマイクロミラー等の技術で形成可能である。
【0022】
スクリーン4は、図3に示す引込位置から、図4に示す伸長位置へシフト可能である。そのために、スクリーン4は、延長可能なフレーム18を有し、このフレーム18上にパネル10がストレッチされる。この実施形態において、パネル10は、ストレッチ可能に構成されている。そのために、パネル10は、その破壊点が少なくとも10%以上、好ましくは30%、100%、又は200%以上の材料で形成されている。
【0023】
上述した破壊点は、パネル10が断裂又は破壊される前に得られる所定のストレッチ方向への最大ストレッチである。この限界は、ストレッチ方向へストレッチされたパネル10の長さと、リラックス(即ち、張力解放)状態におけるパネル10の長さの差で表わされる。この差は、リラックス状態のパネルの長さに対するパーセンテージで表わされる。
【0024】
パネル10は、その弾性限界が破壊強度±5%であるエラスチック(伸縮自在)材料で形成することができる。このストレッチパネルは、その形状を永久変形させることなく、リラックス位置に復帰可能である。
【0025】
パネル10の形成に使用される材料のヤング率も低く、5GPa未満であり、好ましくは2GPa未満である。従って、このパネル10をストレッチするためにユーザが加えなければならない力も小さい。
【0026】
パネル10は、例えばラテックス、ポリウレタン、ネオプレーン、ポリアクリル等のエラストマにより形成されている。
【0027】
フレーム18は、y方向のみへパネル10を引張るように設計されている。従って、パネル10は、水平方法、即ちx方向へは全く自由度がなく、フレーム18は、上部水平杆24及び下部水平杆26に固定されている。これらの水平杆24及び26は、テレスコープ状(又は伸縮自在構造)の垂直杆28及び30により相互に水平方向に離間されている。垂直杆28及び30は、パネル10の周辺に沿って設けられている。
【0028】
垂直杆28及び30は、図3に示す引込位置と図4に示す伸長位置間で配置可能である。このために、垂直杆28及び30は同様であるので、垂直杆28のみについて詳細に説明する。垂直杆28は、滑り杆32を備え、その内部でスライダ34をy方向へスライドさせる。滑り杆32の上端は、全く自由度なく垂直杆28に固定されている。他方、スライダ34の下端は、全く自由度なく水平杆26に固定されている。
【0029】
また、投射装置5は、スクリーン4の位置センサ40、及び投射装置5を制御する制御ユニット42を有する。この制御ユニット42は、位置センサ40によるスクリーン4の位置の測定値に応じて、投射されたイメージのサイズをスクリーン4の背面8の少なくとも90%及び最大100%を占めるように、角度θを自動的に適合又はマッチングさせる。
【0030】
また、フレーム18は、スクリーン4をその引込位置、伸長位置及び両方の位置間の多くの中間位置にロックするロックメカニズムを有する。このロックメカニズムの一例を、図5に示してある。
【0031】
スライダ34の端部にはボス46が形成され、このボス46は、滑り杆32に形成された対応する溝48と協働して、スクリーン4の位置をロックする。滑り杆32は、y方向に沿って溝48と同様の一連の溝を有する。ボス46は、例えば板ばね50により、溝48と係合される。ユーザが水平杆24及び26を移動させるとき、ユーザが加える力が十分であれば、ボス46を隣の溝48へ移動させる。また、ユーザが加える力を停止すると、板ばね50は、ボス46を特定の溝48内に保持して、スクリーン4の位置をロックする。
【0032】
OHP2の運搬又は移動時には、OHP2のスクリーン4を引込位置とし、OHP2の占有スペースを小さくする。この位置では、制御ユニット42は、角度θを自動的に減少させ、投射されるイメージのサイズを、パネル10のサイズに適合させる。ユーザが希望すれば、水平杆24又は26を引張り、パネル10が希望するストレッチ位置になるようにする。そこで、位置センサ40は、スクリーン4の新たな位置を測定し、この情報を制御ユニット42へ伝送し、投射されるイメージのサイズが、パネル10の表面サイズに適合するように、角度θを自動的に増加させる。従って、ユーザは、スクリーン4の拡大機能を活用して、観察するイメージを拡大することができる。
【0033】
図6は、スクリーン4の代替として使用可能な他のスクリーン60を示す。このスクリーン60は、y方向及びx方向へ同時にストレッチ可能である。このスクリーン60は、フレーム62を備えている。このフレーム62は、2つの対角状に対向する角板64及び66で形成されている。角板64は、相互に直交配置された2個のスライドレール68及び70を備えている。相互にx方向及びy方向に沿ってスライドレール68及び70内でスライドしうるように、スライダ72及び74が取り付けられている。
【0034】
同様に、角板66は、垂直のスライドレール76及び水平スライドレール78を備え、それらの内部に、スライダ80及び82がスライド可能に取り付けられている。
【0035】
スライダ80の上端は、スライダ84の右端に自由度なく直角に固定されている。スライダ82の左端は、スライダ72の下端に自由度なく直角に固定されている。パネル10が、取付点84〜87でフレーム62の各角部に固定されている。従って、スクリーン60は、角板64及び66上で、x方向及びy方向の何れか一方、又は一度に両方へ引っ張ることにより拡大可能である。
【0036】
図7及び図8は、上述したスクリーン4の代替として使用可能な他のスクリーン90を示す。このスクリーン90は、例えば水平杆26を、半透明パネル98の巻き上げ機構92に置換したことを除き、スクリーン4と同じである。
【0037】
上述した巻き上げ機構92は、水平軸96の周りに回転可能に取り付けられたローラ94を備えている。ローラ94の各端は、スライダ34の下端に固定された対応するベアリングに受容されている。パネル98の端は、一側でローラ94に、他側で水平杆24に固定されている。このパネル98は、スクリーンが引込位置のとき、ローラ94の周りに数回転巻き取られる。従って、水平杆24がローラ94から離れているとき、パネル98は巻き解きされず、スクリーンの表面積は拡大される。この実施形態において、パネル98の破壊強度は10%を超えているか、或いはパネル98が高い弾性を有する必要はない。好ましくは、ローラ94は、電気エネルギーを消費することなく、フレーム上でパネル98のストレッチのために、弾性手段と関連づけてあるのが好ましい。
【0038】
次に、図9は、本発明によるOHP110の他の実施形態を示す側面図である。
【0039】
このOHP110は、光学軸14がz方向に対して傾斜していることを除き、上述したOHP2と同じである。光学軸14とy方向のなす角度は、例えば0°±45°である。
【0040】
光ビーム12をスクリーン4の背面8へ向けるために、OHP110は、ミラー112を有している。ミラー112は、光学軸14に固定されている。
【0041】
図9において、スクリーン4の伸長又はストレッチ位置を破線で示し、引込位置を、連続線又は実線で示している。同様に、伸長位置のスクリーン4に投射された光ビームを破線で示し、引込位置のスクリーン4に投射された光ビームを実線で示している。
【0042】
スクリーン4に対するプロジェクタ6のレイアウトは、OHP110が必要とするz方向のスペースを小さくしている。
【0043】
図10は、本発明の更に他の実施形態によるOHP120を示す側面図である。このOHP120は、光学機器16除き、かつ投射装置5がイメージ投射装置121に置換されていることを除き、上述したOHP110と同じである。イメージの投射装置121は、制御ユニット42がプロジェクタ6により投射されるイメージを発生可能なイメージ処理ユニット122に置換されていることを除き、投射装置5と同じである。この実施形態において、光ビーム12の開口角θは、スクリーン4の位置と無関係に一定である。この断面を図11に矩形で表している。角度θは、スクリーン4が伸長位置のとき、ミラー112で反射された後、光ビーム12が背面8の全体を照らすように選択されている。
【0044】
上述したイメージ処理ユニット122は、スクリーン4の背面8に投射された初期イメージを受け、位置センサ40により測定する。位置センサ40の測定により、スクリーン4のサイズが変更されたことが分かると、イメージ処理ユニット122は、初期イメージを処理して、初期イメージがスクリーン4の背面8の90%以上、及び少なくとも100%を占めるようにする。そのために、イメージ処理ユニット122は、例えばイメージ126を減縮させ、そのイメージの減縮イメージ128を得て(図12参照)、スクリーン4の背面8の外周をバンド130で囲むように投射する。このバンド130は、例えば黒いバンドである。
【0045】
従って、図12に示す如く、減縮イメージ128は、断面124の中心部分のみを占める。この減縮イメージ128の大きさは、減縮イメージ128がスクリーンの背面8上に投射され、バンド130は背面8の外に投射されるように選択される。よって、この実施形態において、開口角θを調節する必要はない。その代わりに、バンド130の幅Lのみを調節すればよい。
【0046】
本発明の要旨や精神を逸脱することなく、上述した以外の多くの実施形態が可能である。例えば、水平杆28及び30をエラストマ材料製としたり、フレームを大きくするための他のメカニズムを設計することも可能である。
【0047】
単一のステレッチ方向へのみストレッチ可能なパネルであれば、パネルの両端及びフレームのアップライトを、ストレッチ方向と平行方向に接触して保持するメカニズムを設けることが可能である。このメカニズムにより、ストレッチ方向と直交方向にパネルが引き込まれるのを阻止又は低減する。
【0048】
また、上述したものとは異なるロックメカニズムの使用も可能である。例えば、フレームをその引込位置又は伸長位置にロックするには、ピンを移動させたり、又はクランプねじにより行ってもよい。このロックメカニズムは、スクリーンのロック位置数を決定する。このロック位置数は、引込位置と伸長位置の如き最低数2に制限してもよい。
【0049】
本発明の変形例として、投射されるイメージのサイズをユーザが手動で調節してもよい。この場合には、上述した位置センサ40を省略することも可能である。
【0050】
フレームを引込位置と伸長位置へシフトするには、ユーザが制御可能な電気的アクチュエータによるモータ駆動であってもよい。
【0051】
投射されるイメージの内容は、位置センサ40により測定されたスクリーン4の位置の関数として変更可能である。例えば、引込位置では、イメージはパネル面の殆どの部分を占める初期イラストレーションのみで形成される。そして、伸長位置では、投射されるイメージは、同じ初期イラストレーションと補足イラストレーションとにより形成される。この補足イラストレーションは、例えば伸長位置へシフトした後に現れるパネルの付加部分にレイアウトされる。
【0052】
スクリーン上の初期イラストレーションの大きさは、引込位置及び伸長位置で同じである。従って、引込位置へスクリーンをシフトすることにより、補足イラストレーションにアクセスすることが可能になる。これは、町の中心部又は郊外の地図等を参照する場合に応用可能である。初期イラストレーションは、町の中心部のみの地図である。補足のイラストレーションは、その郊外を含む区域の地図である。この適用例において、スクリーンを、引込位置から伸長位置へシフトすることにより、ユーザは、より多くの情報、即ち郊外の地図にアクセス可能になる。
【符号の説明】
【0053】
2 OHP
4 スクリーン
5 投射装置
6 プロジェクタ
8 スクリーンの背面
10 パネル
12 光ビーム
14 光学軸
16 光学機器
18 フレーム
20 パネルの前面
24、26 水平杆
28、30 垂直杆
32 滑り杆
34 スライダ
40 位置センサ
42 制御ユニット
46 ボス
48 溝
50 板ばね
60 スクリーン
62 フレーム
64、66 角板
68、70 スライドレール
72、74 スライダ
76、78 スライドレール
80、82 スライダ
84、85、86、87 取付点
90 スクリーン
92 巻上げ機構
94 ローラ
96 水平軸
98 パネル
110 OHP
112 ミラー
120 OHP
121 投射装置
122 イメージ処理ユニット
124 断面
126 イメージ
128 減縮イメージ
130 バンド
α、θ 開口角

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オーバーヘッドプロジェクタであって、
フレーム(10;98)を備えるスクリーン(4;60;90)と、前記フレームに張られた半透明のパネルを備え、前記半透明のパネルは、イメージが表示される前面と、イメージが投射される背面を有し、
前記半透明パネルの背面にイメージを投射する装置(5;121)をも備えるオーバーヘッドプロジェクタであって、
前記スクリーン(4;60;90)は、引込位置と伸長位置間でシフト可能であり、前記伸長位置では、前記パネルの表面積が前記引込位置に対して少なくとも10%増加し、
前記装置(5;121)は、投射イメージのサイズを、前記スクリーンの伸長位置と同様に、引込位置に適合可能であることを特徴とする、オーバーヘッドプロジェクタ。
【請求項2】
前記パネル(10)は、破壊点が少なくとも10%を超え、好ましくは30%を超えるストレッチ可能な材料で形成されていることを特徴とする請求項1に記載のオーバーヘッドプロジェクタ。
【請求項3】
前記ストレッチ可能な材料は、5GPa未満、好ましくは2GPa未満のヤング率を有することを特徴とする請求項2に記載のオーバーヘッドプロジェクタ。
【請求項4】
前記投射装置(5)は、前記パネルの背面にイメージを投射する光ビームの開口角を調節して、前記投射イメージのサイズを前記スクリーンの位置に適合させる機器(16)を有することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のオーバーヘッドプロジェクタ。
【請求項5】
前記投射装置(121)は、前記投射される初期イメージを処理して、前記パネルの背面の外部周辺に投射されるように設計され、前記スクリーンの位置の減少サイズに適合するよう調節可能な幅を有するバンド(130)で包囲された初期イメージの縮小を含み、投射される新たなイメージを発生させる装置(122)を有することを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載のオーバーヘッドプロジェクタ。
【請求項6】
前記パネルの背面にイメージを投射する光ビームの開口角は、前記スクリーンの位置に無関係に一定であることを特徴とする請求項5に記載のオーバーヘッドプロジェクタ。
【請求項7】
前記スクリーンの位置を検出する位置センサ(40)を備え、前記投射装置は、前記位置センサで求めた位置の関数で、前記イメージのサイズを前記スクリーンの位置に自動的に適合させることができることを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載のオーバーヘッドプロジェクタ。
【請求項8】
前記スクリーンの位置を、前記引込位置と伸長位置間の少なくとも1つの中間位置にロックするロックメカニズムを備えることを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載のオーバーヘッドプロジェクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−18041(P2011−18041A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−138961(P2010−138961)
【出願日】平成22年6月18日(2010.6.18)
【出願人】(510132347)コミサリア ア レネルジ アトミク エ オウ エネルジ アルタナティヴ (51)
【Fターム(参考)】