説明

オーバーラップ包装用スチレン系熱収縮性フィルム

【課題】優れた低温収縮性、耐熱性が得られ、高価な商品を包装する際に必要とされる高度な収縮仕上がり性を発現することが出来るスチレン系熱収縮性フィルムを提供する。
【解決手段】1種または2種以上のビカット軟化温度が60〜95℃であるスチレン−ブタジエンブロック共重合体からなる未延伸フィルムであって、ビカット軟化温度が80〜95℃のスチレン−ブタジエンブロック共重合体の占める割合が70%以下であり、かつビカット軟化温度が60〜75℃のスチレン−ブタジエンブロック共重合体の占める割合が90%以下である未延伸フィルムに、縦横とも延伸倍率3〜7倍の延伸加工を施し、厚みが6〜35μmのスチレン系熱収縮性フィルムとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収縮仕上がり性に優れたオーバーラップ包装用スチレン系熱収縮性フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、熱収縮性包装材料としては、ポリ塩化ビニル系シュリンクフィルム、ポリプロピレン系シュリンクフィルム、ポリエチレン系シュリンクフィルム等が知られているが、低価格、使用後の廃棄処理の容易さなどの点でポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン系シュリンクフィルムが好んで用いられている。しかしながら、ポリプロピレン系シュリンクフィルムは耐熱性等に優れるものの、低温収縮性、耐引裂性に乏しい等の欠点を有している。一方、ポリエチレン系シュリンクフィルムは、低温収縮性、耐引裂性等に優れるものの、耐熱性に乏しい等の欠点を有している。
【0003】
これらの欠点を改善すべく、エチレン系樹脂に架橋処理を施したポリエチレン系架橋シュリンクフィルムが開示されている(特許文献1)。これらのポリエチレン系架橋シュリンクフィルムは、低温収縮性、耐熱性、耐引裂性等に優れるものの、架橋処理を施されているため、製造工程や規格外製品で発生するスクラップを再利用し難く、製品のコストアップを招く、省資源性が低下するといった問題を有していた。
【0004】
また、プロピレン系樹脂、エチレン系樹脂を表面層や内部層に、単独又はブレンド系で積層したポリオレフィン系熱収縮性フィルム(特許文献2〜7)が開示されている。これらのフィルムは、低温収縮性や耐熱性等が依然不十分であり、化粧品や薬品等の高価な商品を包装する際に必要とされる高度な収縮仕上がり性が得られないという問題を有していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5−84826号公報
【特許文献2】特開平10−296932号公報
【特許文献3】特開2005−144725号公報
【特許文献4】特開2008−036844号公報
【特許文献5】特開2008−149503号公報
【特許文献6】特開2009−039950号公報
【特許文献7】特開2009−101682号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、架橋を行うことなく優れた低温収縮性、耐熱性が得られ、高価な商品を包装する際に必要とされる高度な収縮仕上がり性を発現出来ることを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、かかる課題を解決すべく鋭意検討した結果、原料とするスチレン−ブタジエンブロック共重合体のビカット軟化温度を規定することで、スチレン−ブタジエンブロック共重合体のみからなり、上記課題をクリアするフィルムを得ることができた。
【0008】
すなわち、本発明は、
<1>1種または2種以上のビカット軟化温度が60〜95℃であるスチレン−ブタジエンブロック共重合体からなる未延伸フィルムであって、該フィルムのうちビカット軟化温度が80〜95℃であるスチレン−ブタジエンブロック共重合体の占める割合が70%以下であり、かつビカット軟化温度が60〜75℃であるスチレン−ブタジエンブロック共重合体の占める割合が90%以下である未延伸フィルムに、縦横とも延伸倍率3〜7倍の延伸加工を施してなる、厚みが6〜35μmであることを特徴とするスチレン系熱収縮性フィルム、
<2>前記未延伸フィルムが、ビカット軟化温度が75〜95℃であるスチレン−ブタジエンブロック共重合体(a)とビカット軟化温度が60〜80℃であるスチレン−ブタジエンブロック共重合体(b)とを混合してなる樹脂から製したものであることを特徴とする前記<1>記載のスチレン系熱収縮性フィルム、
<3>前記未延伸フィルムが、ビカット軟化温度が75〜95℃であるスチレン−ブタジエンブロック共重合体(a)からなる表面層と、ビカット軟化温度が60〜80℃であるスチレン−ブタジエンブロック共重合体(b)からなる内部層を有し、少なくとも3層以上からなり、(a):(b)=10:90〜70:30の割合であることを特徴とする前記<1>記載のスチレン系熱収縮性フィルム、
<4>下記(1)〜(3)を満たすことを特徴とする、上記<1>〜<3>のいずれか一つに記載のスチレン系熱収縮性フィルム、
(1)100℃での熱収縮率が縦横ともに25%以上。
(2)グロス(60°)が130%以上。
(3)引張弾性率が縦横ともに400〜1200MPa。
<5>前記スチレン系熱収縮フィルムの厚みが8〜25μmであり、かつ下記(1)〜(3)を満たすことを特徴とする、上記<1>〜<4>のいずれか一つに記載のスチレン系熱収縮性フィルム、
(1)100℃での熱収縮率が縦横ともに30%以上。
(2)グロス(60°)が140%以上。
(3)引張弾性率が600〜1200MPa。
<6>前記延伸加工が、チューブラー同時二軸延伸法によるものであることを特徴とする、上記<1>〜<5>のいずれか一つに記載のスチレン系熱収縮性フィルム、
<7>前記スチレン系熱収縮性フィルムが、オーバーラップシュリンク包装用フィルムであることを特徴とする、上記<1>〜<6>のいずれか一つに記載のスチレン系熱収縮性フィルム
に係るものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明のスチレン系熱収縮性フィルムは、特定のビカット軟化温度であるスチレン−ブタジエンブロック共重合体からなり、縦横とも延伸倍率3〜7倍の延伸を施すことで、従来の熱収縮性フィルムに比べて優れた低温収縮性が得られ、また、耐熱性にも優れるため、高価な商品を包装する際に必要とされる高度な収縮仕上がり性を発現することが出来るという効果を奏する。また、原料樹脂はスチレン−ブタジエンブロック共重合体のみであるため、廃棄部分のリサイクル使用も容易である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明においては、まずビカット軟化温度が60〜95℃であるスチレン−ブタジエンブロック共重合体を原料とし、これを1種、または2種以上を用いて、未延伸フィルムを製する。
この際、該フィルムのうち、ビカット軟化温度が80〜95℃のスチレン−ブタジエンブロック共重合体の占める割合が70%以下であるようにしなければならない。かつ、ビカット軟化温度が60〜75℃のスチレン−ブタジエンブロック共重合体の占める割合が90%以下であるようにしなければならない。
フィルム組成のうち、ビカット軟化温度が80〜95℃のスチレン−ブタジエンブロック共重合体の占める割合が70%を超えると、その未延伸フィルムを延伸して得られた熱収縮フィルムは、収縮包装した際に四隅の角が硬くなる。
また、フィルム組成のうち、ビカット軟化温度が60〜75℃のスチレン−ブタジエンブロック共重合体の占める割合が90%を超えると、その未延伸フィルムを延伸して得られた熱収縮フィルムは、収縮包装した際に四隅の角立ちや小ジワが目立つ。
【0011】
本発明に用いるスチレン−ブタジエンブロック共重合体は、MFRが1.0〜10.0g/10minの範囲内のものが好ましい。MFRが1.0g/10min未満では、溶融押出時のモーター負荷が高くなる等の問題点があり、10.0g/10minを超えると溶断シール性が低下するため好ましくない。
【0012】
本発明における未延伸フィルムは、単層の場合、たとえばビカット軟化温度が75〜95℃であるスチレン−ブタジエンブロック共重合体(a)と、ビカット軟化温度が60〜80℃であるスチレン−ブタジエンブロック共重合体(b)とを混合した樹脂をフィルム化することで得られる。その際に、ビカット軟化温度が80〜95℃のスチレン−ブタジエンブロック共重合体の占める割合が70%以下、かつビカット軟化温度が60〜75℃のスチレン−ブタジエンブロック共重合体の占める割合が90%以下になるように配合する。
なお、(a)と(b)のビカット軟化温度が、それぞれ75〜80℃の範囲であれば、単独でも本発明の目的である優れた低温収縮性、耐熱性が得られ、包装後の四隅の角の柔らかさを達成できるため、(a)と(b)を混合せず、いずれか1種のみ用いてもよい。
【0013】
本発明における未延伸フィルムが多層の場合、たとえば、ビカット軟化温度が75〜95℃であるスチレン−ブタジエンブロック共重合体(a)からなる表面層と、ビカット軟化温度が60〜80℃であるスチレン−ブタジエンブロック共重合体(b)からなる内部層を有し、少なくとも3層以上からなり、(a):(b)=10:90〜70:30の割合となるような各層の厚み比のフィルムにすることで得られる。(a)が10%未満では十分な耐熱性が得られないことがあり、(a)が70%を超えると包装後の四隅の角が硬くなることがある。
【0014】
本発明のフィルムの構成を、多層とする場合は、特に限定されないが、(a)/(b)/(a)、(b)/(a)/(b)、(a)+(b)/(a)/(a)+(b)、(a)+(b)/(b)/(a)+(b)、(a)/(a)+(b)/(a)、(b)/(a+b)/(b)等の3層構成等が挙げられ、耐ブロッキング性を得やすくするためには(a)を表面層とするのが好ましい。
【0015】
次いで、本発明の未延伸フィルムを延伸加工する。
本発明のフィルムの延伸方法はチューブラー同時二軸延伸法である。延伸倍率としては、縦横ともそれぞれ3〜7倍の範囲内である。3倍未満では十分な光沢性、熱収縮性が得られず好ましくない。7倍を超えると、チューブラー法において安定で持続性のある延伸が困難となり好ましくない。
【0016】
本発明のフィルムは、目的に支障をきたさない範囲であれば、トリムや格外品等の再利用樹脂を混合使用する事も出来る。
【0017】
本発明のフィルムは、目的に支障をきたさない範囲であれば、可塑剤、紫外線吸収剤、界面活性剤、滑剤、ブロッキング防止剤、帯電防止剤、無機フィラー、防曇剤、酸化防止剤等の添加剤をそれぞれの有効な作用を具備させる目的でいずれかの層に含んでもよい。
【0018】
延伸後のフィルムの全体厚みは、6〜35μmとする。より好ましくは8〜25μmである。フィルム厚みが6μm以下だと、十分な耐熱性、強度が得られず好ましくない。フィルム厚みが35μmを超えると、収縮包装後の角立ちが大きくなりやすく好ましくない。
【0019】
本発明のスチレン系熱収縮性フィルムは、100℃での熱収縮率が25%以上であり、より好ましくは30%以上である。100℃での熱収縮率が25%未満では、良好な包装仕上がり性が得られず好ましくない。
【0020】
本発明のスチレン系熱収縮性フィルムは、グロス(60°)が130%以上であり、より好ましくは140%以上である。130%未満だと、外見美麗な包装体が得られず好ましくない。
【0021】
本発明のポリスチレン系熱収縮性フィルムは、引張弾性率が縦横ともに400〜1200MPaであり、より好ましくは600〜1200MPaである。引張弾性率が400MPa未満では安定した包装機走行性が得られず好ましくない。引張弾性率が1200MPaを超えると、包装後の四隅の角が硬くなり、角に手が触れた時に受傷する恐れがあるため好ましくない。また、(a)と(b)の厚み比、混合比を操作することで、引張弾性率を任意の値に調整できる。引張弾性率を400〜800MPaの範囲内とすることで、L型半折包装機等の低速包装機適性に優れ、800〜1200MPaの範囲内とすることで、ピロー包装機等の高速包装機適性に優れる。
【0022】
以下、3層積層環状製膜延伸の場合を例に挙げ、具体的に説明する。
まず、ビカット軟化温度82℃であるスチレン−ブタジエンブロック共重合体(a1)を表面層、及びビカット軟化温度74℃であるスチレン−ブタジエンブロック共重合体(b1)を内部層となるように、3台の押出機により溶融混練し、3層環状ダイより環状に共押出し、延伸することなく一旦冷却固化してチューブ状未延伸フィルムを作製する。得られたチューブ状未延伸フィルムを、チューブラー延伸装置に供給し、配向可能な温度範囲、例えば内部層樹脂のビカット軟化点以上5℃よりも高い温度で、好ましくはビカット軟化点以上10℃よりも高い温度でチューブ内部にガス圧を適用して膨張延伸により、縦横とも延伸倍率3〜7倍で同時二軸配向を起こさせる。延伸装置から取り出したフィルムは、希望によりアニーリングすることができ、このアニーリングにより保存中の自然収縮を抑制することができる。
【実施例】
【0023】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定される
ものではない。
なお、実施例及び比較例おける測定及び評価の方法は、以下に示す通りに行った。
【0024】
1.ビカット軟化温度:JIS−K7206に準じて測定した。
【0025】
3.フィルム厚み:JIS−Z1709に準じて測定した。
【0026】
4.厚み比:フィルムの断面を顕微鏡で観察することにより測定した。
【0027】
5.グロス(60°):JIS−K7105に準じて測定した。
【0028】
6.引張弾性率:JIS−Z7127に準じて測定した。
【0029】
7.引裂強度:JIS−P8116に準拠し、東洋精機製軽荷重引裂試験機で測定した。
【0030】
8.100℃熱収縮率:縦横それぞれ100mmの正方形に切り取ったフィルムを100℃のグリセリン浴中に10秒間浸漬した後、水中で急冷し、縦横それぞれの長さを測定し、式(1)により流れ方向(MD)、幅方向(TD)の熱収縮率を算出した。
【数1】

【0031】
9.包装適性評価:協和電機(株)製のL型シール式半折自動包装機(型式:AT−500)にて、市販の化粧箱(縦270×横178×高さ47mm)を30パック/分のスピードで包装し、フィルムの耐熱限界5℃手前に設定した収縮トンネル内を10秒滞留させ、収縮仕上がり性、包装収縮後の角硬さについて、以下の基準で評価した。
<収縮仕上がり性>
トンネル通過後の包装サンプルの中から無作為に5つ選び、以下の基準で評価した。
○:包装サンプルの四隅の角立ちが極めて小さく、小ジワも殆ど無く、見栄えが良い。
△:包装サンプルの四隅の角立ちや小ジワがやや目立つ。
×:包装サンプルの四隅の角立ちや小ジワが明らかに目立ち、外観を著しく損ねる。
<包装収縮後の角硬さ>
トンネル通過後の包装サンプルの中から無作為に2つ選び、化粧箱の四隅にできる角の硬さを以下の基準で評価した。
○:包装サンプルの四隅の角を手で押すと、角が潰れ、特に手に痛みを感じない。
×:包装サンプルの四隅の角を手で押すと、手に痛みを感じる。
【0032】
実施例1
表1に示すように、ビカット軟化温度82℃であるスチレン−ブタジエンブロック共重合体(a1)50重量部、ビカット軟化温度が74℃であるスチレン−ブタジエンブロック共重合体(b1)50重量部からなる混合樹脂を、1台の押出機で溶融混練した後、ダイスにより下向きに共押出した。形成されたチューブを、内側は冷却水が循環している円筒状冷却マンドレルの外表面を摺動させながら、外側は水槽を通すことにより冷却して引き取り、未延伸フィルムを得た。得られた未延伸チューブをチューブラー二軸延伸装置に導き、延伸倍率を縦×横=4.0×4.0倍で延伸し、フィルム厚み15μmの単層二軸延伸フィルムを得た。
表1に示すように、得られたフィルムは、グロス、引張弾性率、100℃熱収縮率、引裂強度が良好であった。また、収縮包装仕上がり性に優れ、包装後の四隅の角の硬さも問題なく良好なものであった。
【0033】
実施例2
表1に示すように、ビカット軟化温度82℃であるスチレン−ブタジエンブロック共重合体(a1)20重量部、ビカット軟化温度が74℃であるスチレン−ブタジエンブロック共重合体(b1)80重量部からなる混合樹脂を押出した以外は、実施例1と同様の方法で、フィルム厚み15μmの単層二軸延伸フィルムを得た。
表1に示すように、得られたフィルムは、グロス、引張弾性率、100℃熱収縮率、引裂強度が良好であった。また、収縮包装仕上がり性に優れ、包装後の四隅の角の硬さも問題なく良好なものであった。
【0034】
実施例3
表1に示すように、ビカット軟化温度82℃であるスチレン−ブタジエンブロック共重合体(a1)60重量部とビカット軟化温度60℃であるスチレン−ブタジエンブロック共重合体(b2)40重量部からなる混合樹脂を押出した以外は、実施例1と同様の方法で、フィルム厚み15μmの単層二軸延伸フィルムを得た。
表1に示すように、得られたフィルムは、グロス、引張弾性率、100℃熱収縮率、引裂強度が良好であった。また、収縮包装仕上がり性に優れ、包装後の四隅の角の硬さも問題なく良好なものであった。
【0035】
実施例4
表1に示すように、ビカット軟化温度82℃であるスチレン−ブタジエンブロック共重合体(a1)を両表面層、ビカット軟化温度が74℃であるスチレン−ブタジエンブロック共重合体(b1)を内部層とし、3台の押出機で溶融混練した後、厚み比が1/2/1になるように各押出機の押出量を設定し、3層環状ダイスにより下向きに共押出した以外は、実施例1と同様の方法で、フィルム厚み15μmの積層二軸延伸フィルムを得た。
表1に示すように、得られたフィルムは、グロス、引張弾性率、100℃熱収縮率、引裂強度が良好であった。また、収縮包装仕上がり性に優れ、包装後の四隅の角の硬さも問題なく良好なものであった。
【0036】
実施例5
表1に示すように、厚み比が1/4/1になるように各押出機の押出量を設定し、延伸倍率を縦×横=3.0×4.0倍で延伸した以外は、実施例4と同様の方法で、フィルム厚み15μmの単層二軸延伸フィルムを得た。
表1に示すように、得られたフィルムは、グロス、引張弾性率、100℃熱収縮率、引裂強度が良好であった。また、収縮包装仕上がり性に優れ、包装後の四隅の角の硬さも問題なく良好なものであった。
【0037】
実施例6
表1に示すように、ビカット軟化温度74℃であるスチレン−ブタジエンブロック共重合体(b1)80重量部、実施例4で得られたスクラップ(c)20重量部からなる層を内部層とした以外は、実施例4と同様の方法で、フィルム厚み15μmの積層二軸延伸フィルムを得た。
表1に示すように、得られたフィルムは、グロス、引張弾性率、100℃熱収縮率、引裂強度が良好であった。また、収縮包装仕上がり性に優れ、包装後の四隅の角の硬さも問題なく良好なものであった。
【0038】
比較例1
表2に示すように、ビカット軟化温度82℃であるスチレン−ブタジエンブロック共重合体(a1)100重量部を押出した以外は、実施例1と同様の方法で、フィルム厚み15μmの単層二軸延伸フィルムを得た。
表2に示すように、得られたフィルムは、グロス、引裂強度、100℃熱収縮率が良好で、収縮包装仕上がり性に優れていた。しかしながら、引張弾性率が大きく、包装後にサンプルの四隅の角が硬くなるため、角に手が触れた時に受傷する恐れのあるものであった。
【0039】
比較例2
表2に示すように、ビカット軟化温度60℃であるスチレン−ブタジエンブロック共重合体(b2)100重量部を押出した以外は、実施例1と同様の方法で、フィルム厚み15μmの単層二軸延伸フィルムを得た。
表2に示すように、得られたフィルムは、グロス、引裂強度、100℃熱収縮率、引張弾性率が良好であり、包装後のサンプルの四隅の角硬さについても、問題なく良好なものであった。しかしながら、耐熱性に乏しく、収縮包装後の角立ち、シワが目立ち、美麗な包装体を得ることが出来なかった。
【0040】
比較例3
表2に示すように、ビカット軟化温度82℃であるスチレン−ブタジエンブロック共重合体(a1)90重量部、ビカット軟化温度74℃であるスチレン−ブタジエンブロック共重合体(b1)10重量部からなる混合樹脂を押出した以外は、実施例1と同様の方法で、フィルム厚み15μmの単層二軸延伸フィルムを得た。
表2に示すように、得られたフィルムは、グロス、引裂強度、100℃熱収縮率が良好で、収縮包装仕上がり性に優れ優れていた。しかしながら、引張弾性率が大きく、包装後にサンプルの四隅の角が硬くなるため、角に手が触れた時に受傷する恐れのあるものであった。
【0041】
比較例4
表2に示すように、ビカット軟化温度82℃であるスチレン−ブタジエンブロック共重合体(a1)5重量部、ビカット軟化温度74℃であるスチレン−ブタジエンブロック共重合体(b1)95重量部からなる混合樹脂を押出した以外は、実施例1と同様の方法で、フィルム厚み15μmの単層二軸延伸フィルムを得た。
表2に示すように、得られたフィルムは、グロス、引裂強度、100℃熱収縮率、引張弾性率が良好であり、包装後のサンプルの四隅の角硬さについても、問題なく良好なものであった。しかしながら、耐熱性に乏しく、収縮包装後の角立ち、シワが目立ち、美麗な包装体を得ることが出来なかった。
【0042】
比較例5
表2に示すように、実施例4と同様の方法で、フィルム厚み5μmの積層二軸延伸フィルムを得た。
表2に示すように、得られたフィルムは、グロス、100℃熱収縮率、引張弾性率が良好であり、包装後のサンプルの四隅の角硬さについても、問題なく良好なものであった。しかしながら、耐熱性が乏しいために、収縮包装後の角立ちが大きくなり、また、シワも目立ち、美麗な包装体を得ることが出来なかった。
【0043】
比較例6
表2に示すように、実施例4と同様の方法で、フィルム厚み40μmの積層二軸延伸フィルムを得た。
表2に示すように、得られたフィルムは、グロス、100℃熱収縮率、引張弾性率が良好であり、包装後のサンプルの四隅の角硬さについても、問題なく良好なものであった。しかしながら、フィルム厚みが厚いため、収縮包装後の角立ち、シワが目立ち、美麗な包装体を得ることが出来なかった。
【0044】
比較例7
表2に示すように、延伸倍率を縦×横=2.5×2.5倍とした以外は、実施例4と同様の方法で、フィルム厚み15μmの積層二軸延伸フィルムを得た。
表2に示すように、得られたフィルムは、引裂強度、引張弾性率は良好であった。しかしながら、グロス、100℃熱収縮率については十分な特性が得られず、収縮仕上がり性も劣るものであった。
【0045】
【表1】

【0046】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明の熱収縮性包装材料は、優れた低温収縮性、耐熱性が得られ、高価な商品を包装する際に必要とされる高度な収縮仕上がり性を発現することが出来るという効果を奏する。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
1種または2種以上のビカット軟化温度が60〜95℃であるスチレン−ブタジエンブロック共重合体からなる未延伸フィルムであって、該フィルムのうちビカット軟化温度が80〜95℃であるスチレン−ブタジエンブロック共重合体の占める割合が70%以下であり、かつビカット軟化温度が60〜75℃であるスチレン−ブタジエンブロック共重合体の占める割合が90%以下である未延伸フィルムに、縦横とも延伸倍率3〜7倍の延伸加工を施してなる、厚みが6〜35μmであることを特徴とするスチレン系熱収縮性フィルム。
【請求項2】
前記未延伸フィルムが、ビカット軟化温度が75〜95℃であるスチレン−ブタジエンブロック共重合体(a)とビカット軟化温度が60〜80℃であるスチレン−ブタジエンブロック共重合体(b)とを混合してなる樹脂から製したものであることを特徴とする請求項1記載のスチレン系熱収縮性フィルム。
【請求項3】
前記未延伸フィルムが、ビカット軟化温度が75〜95℃であるスチレン−ブタジエンブロック共重合体(a)からなる表面層と、ビカット軟化温度が60〜80℃であるスチレン−ブタジエンブロック共重合体(b)からなる内部層を有し、少なくとも3層以上からなり、(a):(b)=10:90〜70:30の割合であることを特徴とする請求項1記載のスチレン系熱収縮性フィルム。
【請求項4】
下記(1)〜(3)を満たすことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のスチレン系熱収縮性フィルム。
(1)100℃での熱収縮率が縦横ともに25%以上。
(2)グロス(60°)が130%以上。
(3)引張弾性率が縦横ともに400〜1200MPa。
【請求項5】
前記スチレン系熱収縮フィルムの厚みが8〜25μmであり、かつ下記(1)〜(3)を満たすことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載のスチレン系熱収縮性フィルム。
(1)100℃での熱収縮率が縦横ともに30%以上。
(2)グロス(60°)が140%以上。
(3)引張弾性率が600〜1200MPa。
【請求項6】
前記延伸加工が、チューブラー同時二軸延伸法によるものであることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載のスチレン系熱収縮性フィルム。
【請求項7】
前記スチレン系熱収縮性フィルムが、オーバーラップシュリンク包装用フィルムであることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載のスチレン系熱収縮性フィルム。


【公開番号】特開2011−240619(P2011−240619A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−115146(P2010−115146)
【出願日】平成22年5月19日(2010.5.19)
【出願人】(000142252)株式会社興人 (182)
【Fターム(参考)】