説明

オープンショーケース

【課題】メンテナンス作業性を簡素化することができると共に、陳列室内の冷却効率の向上を図ることができる照明装置を備えたオープンショーケースを提供する。
【解決手段】本発明のオープンショーケース1は、断熱壁2内に陳列室11を構成し、該陳列室11の前面開口12上縁に設けられた冷気吐出口16、17より冷気を吐出し、開口12下縁に設けられた冷気吸込口18、19より吸い込むことにより、当該陳列室11の前面開口12に冷気エアーカーテンを形成して成るものであって、冷気吸込口18、19より外側に位置する断熱壁2の前壁2C上端に設けられたハンドレール本体24と、該ハンドレール本体24に設けられた反射板26と、該反射板26に取り付けられたLED照明40とを備え、該LED照明40の発光により陳列室11内を照明する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、断熱壁内に陳列室を構成し、当該陳列室内にて商品を冷却しながら陳列して成るオープンショーケースであって、特に、陳列室内の照明に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来よりこの種オープンショーケースには、例えば特許文献1や図10に示される如きオープンショーケース100がある。図10は従来のオープンショーケース100の縦断側面図を示している。係るオープンショーケース100は、断面略コ字状の断熱壁101の開口102上縁に形成した吐出口103から、開口102下縁の吸込口104に向けて冷気を吐出することにより、前記開口102に冷気エアーカーテンを形成する。これにより、断熱壁101にて囲繞された陳列室105内は所定の温度に冷却される。そして、開口102上縁の外側に位置するキャノピー107や開口102両側縁及び棚106前部下面などに複数の蛍光灯108を取り付け陳列室105内及びショーケース100自体の照明を行っていた。
【特許文献1】特開平5−146346号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、従来のオープンショーケース100では、照明装置として蛍光灯108を使用し、当該蛍光灯108を陳列室105の上前方や陳列室105内に架設される棚106の下面などに設けられていたため、当該蛍光灯108による照明によって、陳列室105内に熱負荷が生じる問題があった。一般に、蛍光灯は、電気エネルギーを可視放射、赤外放射、紫外放射に変換し、可視光線を放射することで、照明として用いるものである。その際、熱損失が生じるため、蛍光灯自体のみ成らず、当該蛍光灯による輻射熱によって、陳列室105内が加熱される問題がある。
【0004】
そのため、陳列室105内を所定の温度に冷却する冷却ショーケースでは、照明による熱負荷を考慮した冷却運転を行うため、冷却効率の低下を生じる。これにより、ランニングコストの高騰を招く問題があった。また、紫外線が陳列室105内に陳列される商品に照射されることから、商品に悪影響を及ぼす問題がある。
【0005】
更に、蛍光灯は、交流を使用するためチラツキが生じる問題があるため、目に悪影響を及ぼす問題がある。
【0006】
また、蛍光灯108を陳列室105内に取り付けるためには、ソケットや安定器等の部品が必要となるため、取り付け位置には、蛍光灯のみならず、ソケットや安定器などの取り付け場所をも確保する必要がある。また、それぞれの蛍光灯に給電を行うための配線接続を行わなければならず、組み立て作業性が悪化すると共に、部品点数の増加と生産コストの高騰を招く問題があった。
【0007】
近年、陳列室105内における陳列効率の向上を図ることを目的として棚106全体の厚さを薄くする傾向にあるが、実際には、棚106下側に設けられる蛍光灯によって棚106の厚さ寸法が制限されてしまう問題があった。
【0008】
また、蛍光灯108は、経年劣化による輝度の低下や点灯不良により、交換作業が余儀なくされる。そのため、使用者は、蛍光灯108の交換作業を強いられることとなり、作業が煩雑となる問題がある。交換のため新しい蛍光灯108を常備しておく必要があり、当該蛍光灯108の保管場所を確保する必要がある。更には、当該蛍光灯108内に水銀が含有されていることから、使用後の蛍光灯108を容易に廃棄することができないという問題があった。
【0009】
そこで、本発明は、従来の技術的課題を解決するために成されたものであり、メンテナンス作業性を簡素化することができると共に、陳列室内の冷却効率の向上を図ることができる照明装置を備えたオープンショーケースを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のオープンショーケースは、断熱壁内に陳列室を構成し、該陳列室の前面開口上縁に設けられた冷気吐出口より冷気を吐出し、開口下縁に設けられた冷気吸込口より吸い込むことにより、当該陳列室の前面開口に冷気エアーカーテンを形成して成るものであって、冷気吸込口より外側に位置する断熱壁の前壁上端に設けられたハンドレールと、該ハンドレールに設けられた反射部と、該反射部に取り付けられたLED照明とを備え、該LED照明の発光により陳列室内を照明することを特徴とする。
【0011】
請求項2の発明のオープンショーケースは、上記発明において、反射部を金属部材にて構成すると共に、LED照明の基板を当該反射部と熱交換可能に取り付けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、断熱壁内に陳列室を構成し、該陳列室の前面開口上縁に設けられた冷気吐出口より冷気を吐出し、開口下縁に設けられた冷気吸込口より吸い込むことにより、当該陳列室の前面開口に冷気エアーカーテンを形成して成るオープンショーケースにおいて、冷気吸込口より外側に位置する断熱壁の前壁上端に設けられたハンドレールと、該ハンドレールに設けられた反射部と、該反射部に取り付けられたLED照明とを備え、該LED照明の発光により陳列室内を照明することにより、陳列室の下前方からLED照明によって、効果的に陳列室内全体を照明することが可能となる。
【0013】
そのため、陳列室内に設けられる各棚の下面などに蛍光灯その他の照明具を設けない構成としても、各棚上に陳列される商品のフェイス面を効果的に照明することが可能となる。従って、各棚に照明具を不要とすることから、露付きによる漏電を防止することができると共に、これら照明具を取り付けるためのソケットなどの照明に付属する部品をも不要とすることができ、棚の構成を簡素化することが可能となる。
【0014】
また、反射板に取り付けられたLED照明により、従来の如き複数の蛍光灯等の照明装置が陳列室内に設けられていた場合と同様の照明効果を奏することができるため、ショーケース全体での消費電力を著しく低減することが可能となる。
【0015】
また、LED照明は、陳列室内に陳列される商品に有害な紫外線や熱線を放射しないため、商品を加熱することなく照明することができると共に、当該LED照明は、冷気エアーカーテンの外側に設けられることから、照明に関する陳列室内の熱負荷を零とすることができ、ショーケース自体の冷却効率の低下を未然に防止することが可能となる。これにより、ショーケース全体としてのランニングコストの低減を図ることが可能となる。
【0016】
また、照明による有害な紫外線によって、商品に悪影響が及ぼされる不都合を回避することが可能となる。これにより、商品をより新鮮な状態を維持しつつ、陳列することが可能となる。
【0017】
また、上記請求項1の発明と同様に、LED照明は、従来用いられていた蛍光灯とは異なり、ちらつきが生じないため、安定した照明を行うことができ、適切に商品を照明することが可能となる。また、LED照明は、調光を容易に変更することが可能であるため、陳列室内に陳列される商品に応じて、調光を変化させることで、より一層効果的な照明が可能となる。
【0018】
更にまた、LED照明は、蛍光灯に比して、耐用年数が著しく長いため、照明の交換作業を不要とすることができる。そのため、交換部品の常備や交換によって排出される廃棄物の処理など煩雑な作業を不要とすることができる。
【0019】
請求項2の発明によれば、上記発明において、反射部を金属部材にて構成すると共に、LED照明の基板を当該反射部と熱交換可能に取り付けたことにより、LEDの基板から生じる排熱が反射部に伝達されることによって、反射部による放熱効果を得ることができる。
【0020】
これにより、冷気吸込口付近に設けられるハンドレールに取り付けられた反射部において、LED照明の基板から生じる熱を放出させることによって、結露が生じやすい冷気吸込口付近を加熱することができ、ハンドレールへの結露の発生を抑制することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
次に、図面を参照して本発明の実施形態について詳述する。図1は本発明を適用したオープンショーケース1の斜視図、図2は図1のオープンショーケース1の縦断側面図をそれぞれ示している。オープンショーケース1は、例えばスーパーマーケットなどの店舗内に据え付けられる縦型のオープンショーケースであり、前面に開口する断面略コ字状の断熱壁2と、据え付け現場において断熱壁2の側面に取り付けられた断熱性の側板5、5とから構成されている。
【0022】
オープンショーケース1の断熱壁2の内側にはそれぞれ間隔を存して仕切板4及び図示しないもう一枚の仕切板が取り付けられ、これら仕切板4などと断熱壁2間に図示しない内外二層のダクトが形成されている。内側の仕切板を構成する背部仕切板10の下端前方には、底板9が断熱壁2の底壁2Aとの間にダクト用の間隔を存して取り付けられており、これら仕切板4及び底板9の内側を陳列室11としている。
【0023】
また、この陳列室11内には、高さ及び取付角度が変更可能であると共に、陳列室11内背部の図示しない支柱に取り付けられる一対のブラケット31及びこれらと共に棚を構成する棚板32が複数段に渡って架設されている。棚板32の前縁には、硬質合成樹脂により成形されるプライスレール34が取り付けられており、当該プライスレール34は、棚板32の装飾体を兼用している。また、この棚板32の前壁とプライスレール34との間には、所定の間隔が形成されており、当該間隔には棚板32上の商品が落下することを防止するためのガード35が取り付けられる。
【0024】
なお、本実施例において棚板32は、透孔性を有する透明素材、例えば、ガラス板やアクリル板により構成されているものとする。また、当該透明素材により構成される棚板32は、所定の強度を有するものとする。これ以外にも、棚板32を支柱に取り付けるためのブラケット31やプライスレール34、ガード35等も同様に透明素材により構成しても良いものとする。
【0025】
断熱壁2の前面開口12の上縁にはハニカム材13、14がそれぞれ取り付けられた内層吐出口16及び外層吐出口17が並設されており、これら内層吐出口16及び外層吐出口17は、前記内層ダクト及び外層ダクトにそれぞれ連通している。また、開口12の下縁には、内層吸込口18と外層吸込口19が並設されている。
【0026】
一方、底板9下方後部には断熱壁2の底壁2A上に前記内層ダクト及び外層ダクトのそれぞれに対応する図示しない送風機が複数台設置されている。
【0027】
背部仕切板10後方の内層ダクト内には冷却装置の冷却器39が縦設されており、前記内層ダクトに対応した送風機が運転されると冷却器と熱交換した冷気は内層ダクト内を上昇せられ、内層吐出口16より内層吸込口18に向かって吐出される。そして、内層吸込口18から吸い込まれた冷気は再び前記送風機によって加速される。
【0028】
他方、前記外層ダクトに対応した送風機が運転されると外層ダクト内の空気は外層ダクト内を上昇せられ、外層吐出口17より外層吸込口19に向かった吐出される。そして、外層吸込口19から吸い込まれた空気は再び前記送風機によって加速される。これによって、開口12には前後二重のエアーカーテンが形成され、内側の冷気エアーカーテンの一部が陳列室11内に循環されて陳列室11は冷却される。
【0029】
一方、断熱壁2の下側前壁2Cの上面には、ショーケース1の開口12下縁の全幅に渡って設けられるハンドレール20が取り付けられる。この前壁2Cの前面には、ハンドレール20と連続するように前面下パネル21が取り付けられ、該前面下パネル21の下方には前面下パネル21と略面一となるようにバンパー22が取り付けられる。
【0030】
次に、図3乃至図5を参照して、断熱壁2の天壁2B前部の構成について説明する。図3は図2の部分拡大断面図、図4はシェード46の拡大断面図、図5はLED照明40の取付状態を示す図である。
【0031】
断熱壁2の天壁2B前端(上部前端)には、前方に張り出したキャノピー33が取り付けられており、このキャノピー33の内側には、陳列室11の前面開口12より外側に延在した状態で反射板45が取り付けられる。尚、キャノピー33の前面には図1に示されるように温度計38が設けられている。
【0032】
この反射板45は、化粧塗装が施された金属板にて構成されており、前部には、長手方向に渡って凹陥された照明取付部41が形成されている。この照明取付部41は、下後方に位置する陳列室11の前面開口12に向けて開口しており、当該照明取付部41の前後縁は、開口にいくに従い、互いに近接する方向に少許傾斜して形成されている。
【0033】
そして、この照明取付部41の当該開口に対向する面は、照明取付面41Aとされており、上前方から陳列室11の前面開口12を臨む角度、即ち、後斜め下方の陳列室11方向に面して構成されており、当該照明取付面41Aには、LED照明40が取り付けられている。
【0034】
このLED照明40は、長手方向に延在する基板42に所定間隔を存して複数取り付けられており、当該LED照明40が設けられた基板42は、照明取付面41Aに当接した状態で、複数の固定ネジ43・・により固定されている。なお、本実施例において用いられるLED照明40は、日亜化学製のチップタイプの白色のLED照明(品番NS6W083T)である。また、当該LED照明40は、一列若しくは、前後に二列以上並設してもよく、本実施例では、二列設けられているものとする。本実施例では、オープンショーケース1の前面開口12が6尺(約1830mm程度)延在して形成されているため、当該LED照明40は、108個程度使用する。
【0035】
また、LED照明40が取り付けられる反射板45の照明取付面41Aには、図5に示すように長手方向に渡って複数の排気孔44が穿設されている。
【0036】
そして、照明取付部41の照明取付面41Aは、LED照明40、基板42、排気孔44を下側から囲繞するかたちで取り付けられるシェード46によってカバーされる。シェード46は、陳列室11の前面開口11に向けて突出するように所定曲率にて湾曲した形状とされている。なお、当該シェード46は、反射板45の照明取付部41に嵌め合わせることによって、着脱自在に取り付けられる。図5では、照明取付部41の一部にシェード46が取り付けられている状態を示している。
【0037】
このシェード46は、透孔性を有する無色透明の材料により構成されており、本実施例では、LED照明40からの光を陳列室11の前面開口12に対して拡散させるため、LED照明40側に面する面が平滑に形成されていると共に、LED照明40とは反対側となるシェード46の外面46Aは、図4に示すように断面波形若しくはノコギリ刃形状とされている。
【0038】
これにより、LED照明40から平行に直進し、シェード46に入射された光は、断面波形若しくはノコギリ刃形状とされた外面46Aにおいて、多方向に屈折され、広範囲に拡散することが可能となる。
【0039】
係る構成により、LED照明40が点灯されると、シェード46において拡散された後のLED照明40の照射光により、陳列室11の外側に位置する上前方から効果的に陳列室11内全体を照明することが可能となる。
【0040】
ここで、図6の実験結果を参照して、従来の蛍光灯により陳列室11内の照明を行った場合と、本実施例の如くLED照明40により陳列室11内の照明を行った場合との比較を行う。係る実験では照明以外の装置は、比較のため、同一のショーケースを用いる。従来の蛍光灯を用いた実験では、図10に示す如くキャノピー部、庫内天板部、4段架設されるそれぞれの棚106の前部下面に照明としてT10(φ32mm)を用いたものと、T5管(φ16mm)を用いたものの2種類を示す。他方、本実施例の如きLED照明40を用いた実験では、図7に示す如くキャノピー33にLED照明40を1列取り付けたものを示す。
【0041】
そして、各ショーケース1の陳列室内に4段の棚を架設し、各棚上前端に商品Sを載置し、それぞれの商品のフェイス面に照射された光の照度を測定した。なお、一番上の棚上の商品Sのフェイス面をA点とし、二段目の棚上の商品Sのフェイス面をB点、三段目の棚上の商品Sのフェイス面をC点、4段目の棚上の商品Sのフェイス面をD点とする。
【0042】
これによると、T10蛍光灯を用いた場合における各点の照度は、A点が1260LX、B点が830LX、C点が600LX、D点が600LXであった。また、T5管蛍光灯を用いた場合における各点の照度は、A点が1800LX、B点が1300LX、C点が700LX、D点が470LXであった。D点以外の位置では、T5管蛍光灯の方がT10蛍光灯を用いた場合に比して照度が高いことが分かる。
【0043】
これに対し、本実施例の如きLED照明40をキャノピー33内側の反射板45に取り付けた場合には、各点の照度は、A点が2380LX、B点が1520LX、C点が1000LX、D点が812LXであった。従って、各棚に載置された商品に照射される光の照度は、いずれの点においても、従来の如き蛍光灯を用いた場合に比してLED照明40を用いた場合の方が高いことが分かる。
【0044】
また、上述した各場合における照明に要する全消費電力で比較すると、T10蛍光灯を用いた場合には468W、T5管蛍光灯を用いた場合には356W、LED照明40を用いた場合には、198Wである。T10蛍光灯を使用した場合の電力を100とした場合のT5管蛍光灯の消費電力は76%であり、LED照明40の消費電力は42%であった。
【0045】
従って、本実施例の如くLED照明40を陳列室11内の照明として用いた場合には、従来の如き複数の蛍光灯等の照明装置が陳列室内に設けられていた場合と比較して、同等以上の照明効果を奏することができる。そのため、該棚板32には自ら発光する照明具、例えば、棚板32下面などに蛍光灯その他の照明具を設けない構成としても、各棚板32上に陳列される商品、特に、牛乳パックやペットボトル入り飲料などの起立した状態で載置され、陳列室11の前面開口12に面する商品のフェイス面を効果的に照明することが可能となる。
【0046】
これにより、各棚板32に照明具を不要とすることから、露付きによる漏電を防止することができると共に、これら照明具を取り付けるためのソケットや安定器などの照明に付属する部品をも不要とすることができ、棚の構成を簡素化することが可能となる。また、部品点数を削減することができるため、生産性の向上を図ることが可能となる。
【0047】
また、キャノピー33の反射板45に取り付けられたLED照明40により、従来の如き複数の蛍光灯等の照明装置が陳列室内に設けられていた場合と同様の照明効果を奏することができるため、ショーケース1全体としての消費電力を著しく低減することが可能となる。
【0048】
更に、当該LED照明40は、陳列室11内に陳列される商品に、有害な紫外線や熱線を放射しないため、商品を加熱することなく照明することができる。特に、それ自体が発熱するLED照明40は、断熱壁2の上部前端より前方に張り出したキャノピー33の内側に設けられているため、陳列室11の外側、即ち、冷気エアーカーテンの外側から陳列室11内を照明することとなる。そのため、照明に関する陳列室11内の熱負荷を零とすることができ、ショーケース1自体の冷却効率の低下を未然に防止することが可能となる。従って、ショーケース1全体としてのランニングコストの低減を図ることが可能となる。
【0049】
また、照明による有害な紫外線によって、商品に悪影響が及ぼされる不都合を回避することが可能となる。これにより、商品をより新鮮な状態を維持しつつ、陳列することが可能となる。
【0050】
他方、LED照明40が取り付けられる基板42は、金属板により構成される反射板45に当接した状態で、熱交換可能に取り付けられているため、LED照明40の基板42から生じる排熱が反射板45に伝達されることによって、反射板45による放熱効果を得ることができる。これにより、LED照明40の基板42から生じる熱を円滑に放出することが可能となる。
【0051】
また、LED照明40は、従来用いられていた蛍光灯とは異なり、ちらつきが生じないため、安定した照明を行うことができ、適切な商品の照明を実現することができる。更に、LED照明40は、調光を容易に変更することが可能であるため、陳列室11内に陳列される商品に応じて、調光を変化させることで、より一層効果的な照明が可能となる。
【0052】
更にまた、LED照明40は、蛍光灯に比して、耐用年数が著しく長いため、照明の交換作業を不要とすることができる。そのため、交換部品の常備や交換によって排出される廃棄物の処理など煩雑な作業を不要とすることができる。
【0053】
また、本実施例では、LED照明40からの平行に直進して来る光は、当該LED照明40をカバーする透孔性のシェード46によって、多方向に拡散させることができるため、陳列室11の前面開口12にLED照明40からの光を広い範囲に照射することができ、一方向から照射されるLED照明40によっても効果的に陳列室11内全体を照明することが可能となる。
【0054】
これにより、陳列室11の前面開口12に臨んで陳列される商品、特に、牛乳パックやペットボトル入り飲料などの起立した状態で載置され、陳列室11の前面開口12に面する商品のフェイス面をシェード46を経て拡散されたLED照明40からの発光によって照明することができるため、商品の照明効果を向上させることが可能となる。
【0055】
また、本実施例では、シェード46は、LED照明40とは反対側となるシェードの外面46Aを、断面波形若しくはノコギリ刃形状としたので、当該断面波形若しくはノコギリ刃形状とされたシェード46Aの外面がプリズムとなってLED照明から平行に直進して来る光を多方向に屈折させて、反射・拡散させることが可能となり、LED照明からの発光をシェードによって広範囲に照射することが可能となる。
【0056】
従って、上述したように当該LED照明40からの光によって、従来の如く複数の蛍光灯等の照明装置が陳列室内に設けられていた場合と同等以上の照明効果を奏することが可能となる。
【0057】
また、本実施例では、陳列室11内に架設される棚の棚板32等は、上述したように透明素材にて構成されているため、上方から照射されるLED照明40の発光が透明素材にて構成される棚を透過することにより、LED照明40からの発光を棚によって阻害されることなく、陳列室11内全体に行き渡らせることが可能となり、陳列室11全体の照明効果を向上させることが可能となる。
【0058】
従って、係る構成によっても、各棚板32に照明具を格別に設けることなく、各棚上の商品を照明することが可能となることから、これら照明具を取り付けるためのソケットなどの照明に付属する部品をも不要とすることができ、棚の構成を簡素化することが可能となる。
【0059】
また、棚板32等を透明素材により構成する以外にも、図8に示すように、棚板32を従来用いられていた如き鋼板性材料により構成し、当該棚板32の下面に導光板48を取り付けても良い。この導光板48は、例えばアクリル樹脂などにより構成されており、棚板32(プライスレール34等を含むめた棚全体)の前端よりも少許前方に(LED照明40側に)延出させた状態で、棚板32の下面全体に取り付けられている。棚板32よりも前側に突出した状態で設けられる導光板48の前端には、入光部49が形成されており、当該入光部49は、LED照明40から照射された光を受光し、後方に反射する構成とされている。
【0060】
他方、導光板48の棚板32下面側に面する面には、導出された光を乱反射させるための複数の溝や傷などが施されていると共に、当該面には、反射シート50が貼付されている。そして、導光板48の棚板32下面とは反対側の面、即ち発光面52には、拡散シート51が貼付されている。
【0061】
係る構成により、上方からLED照明40によって陳列室11内を照明することで、各棚板32より前側に突出して設けられる導光板48の入光部49にLED照明40からの発光が入射される。これにより、入光部49から後方に導出された光は、棚板32下面側の面に形成される傷や反射シート50によって、乱反射され、対向する発光面52において、拡散シート51により拡散され、発光する。従って、導光板48を介して棚板32下面全体に設けられる導光板48の発光面52からLED照明40からの照射光が発光されることとなる。
【0062】
そのため、導光板48の発光面52から拡散光が照射されることにより、当該導光板48が設けられた棚板32の下方に位置して対向する棚板32上全面が照明される。従って、陳列室11内を上方から照明するLED照明40のみで、陳列室11内を上方から照明することができると共に、各棚板32に載置される商品のフェイス面のみならず、棚板32の後方に載置されている商品をも照明することが可能となり、これにより、陳列室11内全体を効果的に照明することができる。
【0063】
特に、上方に導光板48が設けられた棚板32の照明は、導光板48の入光部49に入射されるLED照明40からの発光を当該棚板32に対向して設けられる導光板48の発光面52において発光させることにより行われるため、格別に照明具を設ける必要がなくなり、ソケットや配線などが不要となるため、棚の構成を簡素化することが可能となる。
【0064】
なお、本実施例では、導光板48を棚板32下面の全面にわたって設けているが、棚板32の前側から奥行き寸法に延在して構成されているものであれば、係る構成に限定されるものではない。
【0065】
また、キャノピー33の内側に設けられるLED照明40の構成に加えて、若しくは、当該LED照明40の構成に代えて、陳列室11の下前方から陳列室11内をLED照明40によって照明する構成としても良い。
【0066】
係る場合には、図9に示す如く上記実施例におけるハンドレール20をショーケース1の前面開口12下縁の全幅に渡って設けられるハンドレール本体24と、当該ハンドレール本体24の上面に開口12下縁の全幅に渡って設けられる反射板26と、当該ハンドレール本体24の上端から前面を被覆する前面上パネル25により構成し、当該反射板26にLED照明40を取り付ける。
【0067】
反射板26は、金属板により構成し、同じく金属板により構成されるハンドレール本体24や前面上パネル25と交熱的に配設する。なお、反射板26に使用される金属板には、例えば、熱交換効率の高いアルミ材を用いる。そして、反射板26の上面には、上記反射板45と同様に、長手方向に渡って凹陥された照明取付部26Aが形成されている。この照明取付部26Aには、前後縁にシェード53を着脱自在に取り付けるための係合爪26Bが形成されている。
【0068】
そして、この照明取付部26Aの開口に対向する面は、照明取付面26Cとされており、下前方から陳列室11の前面開口12を臨む角度、即ち、後斜め上方の陳列室11方向に面して構成されており、当該照明取付面26Cには、上記キャノピー33の内側に取り付けられるものと同様に構成されるLED照明40が取り付けられている。
【0069】
そして、照明取付部26Aの照明取付面26Cは、LED照明40等を上側から囲繞するかたちで取り付けられるシェード53によってカバーされる。シェード53は、陳列室11の前面開口11に向けて突出するように所定曲率にて湾曲した形状とされている。なお、当該シェード53は、反射板26の照明取付部26Aの係合爪26Bに前後端を嵌め合わせることによって、着脱自在に取り付けられる。なお、当該シェード53の構成は、上記シェード46の構成と略同一であるため詳細な説明は省略する。
【0070】
係る構成により、LED照明40が点灯されると、シェード53において拡散された後のLED照明40の照射光により、陳列室11の外側に位置する下前方から効果的に陳列室11内全体を照明することが可能となる。
【0071】
そのため、係る構成とした場合であっても、上述した如きキャノピー33の内側にLED照明40を取り付けた場合と同様に、陳列室11内に設けられる各棚板32の下面などに蛍光灯その他の照明具を設けない構成としても、各棚上に陳列される商品のフェイス面を効果的に照明することが可能となる。従って、各棚に照明具を不要とすることから、露付きによる漏電を防止することができると共に、これら照明具を取り付けるためのソケットや安定器などの照明に付属する部品をも不要とすることができ、棚の構成を簡素化することが可能となる。
【0072】
また、反射板26に取り付けられたLED照明40により、従来の如き複数の蛍光灯等の照明装置が陳列室11内に設けられていた場合と同様の照明効果を奏することができるため、ショーケース全体での消費電力を著しく低減することが可能となる。
【0073】
また、この場合においても、当該LED照明40は、冷気エアーカーテンの外側に設けられることから、照明に関する陳列室11内の熱負荷を零とすることができ、ショーケース1自体の冷却効率の低下を未然に防止することが可能となる。これにより、ショーケース1全体としてのランニングコストの低減を図ることが可能となる。
【0074】
また、外層吸込口19等の冷気吸込口付近に設けられるハンドレール本体24に取り付けられた反射板26において、LED照明40の基板42から生じる熱を放出させることによって、結露が生じやすい冷気吸込口付近を加熱することができ、ハンドレール20を構成する反射板26、ハンドレール本体24や前面上パネル25への結露の発生を抑制することが可能となる。
【0075】
これにより、LED照明40から放出される熱を利用して結露を防止することが可能となり、ハンドレール20に格別に結露防止用のヒータを設ける必要がなくなる。
【0076】
なお、上記実施例では、ハンドレール20は、ハンドレール本体24と、反射板26と前面上パネル25とから構成しているが、係る構成に限定されるものではなく、ハンドレール20を一部品にて構成し、当該ハンドレール20を金属部材により形成して、陳列室11の前面開口12を下前方から臨む位置に反射部を設け、当該反射部にLED照明40を取り付ける構成としても同様の効果を奏するものとする。
【0077】
また、上記実施例では、LED照明40をキャノピー33の内側やハンドレール20に取り付け、陳列室11内を、上前方若しくは、下前方から照明しているが、これに限定されるものではなく、LED照明40自体が陳列室11の外側に配設されているものであれば、例えば側板5等にLED照明40を取付、陳列室11内を側方から照明しても良い。これにより、照明に関する陳列室11内の熱負荷を零とすることができ、ショーケース1自体の冷却効率の低温ショーケースかを未然に防止することが可能となる。
【0078】
また、これ以外にも、内層吐出口16の陳列室11側の天面仕切板8や側板5等に上記実施例と同様のLED照明40を取り付けて、陳列室11内を上方や側方から照明しても良いものとする。これによっても、陳列室11内を効果的に照明することが可能となる。
【0079】
上記各場合において、ハンドレール20の如く結露が生じやすい場所若しくは、結露が生じやすい場所と交熱的にLED照明40の基板42を取り付けることによって、LED照明40から放出される熱を利用して結露を防止することが可能となり、格別に結露防止用のヒータを設ける必要がなくなる。
【0080】
また、本実施例では、所謂縦型のオープンショーケースにLED照明40を取り付けたものを例として挙げているが、これに限定されるものではなく、平型のオープンショーケースであっても同様の効果を奏することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明を適用したオープンショーケースの斜視図である。
【図2】図1のオープンショーケースの縦断側面図である。
【図3】図2の部分拡大断面図である。
【図4】シェードの断面図である。
【図5】LED照明の取付状態を示す図である。
【図6】照度測定の結果を示す図である。
【図7】図6の照度測定に用いられたショーケースの縦断側面図である。
【図8】棚板前部の拡大断面図である。
【図9】ハンドレール部分の拡大断面図である。
【図10】従来のオープンショーケースの縦断側面図である。
【符号の説明】
【0082】
1 オープンショーケース
2 断熱壁
11 陳列室
12 前面開口
16、17 吐出口
18、19 吸込口
20 ハンドレール
26、45 反射板
31 ブラケット
32 棚板(棚)
33 キャノピー
34 プライスレール
35 ガード
39 冷却器
40 LED照明
41 照明取付部
41A 照明取付面
42 基板
45 反射板
46、53 シェード
48 導光板
49 入光部
50 反射シート
51 拡散シート
52 発光面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
断熱壁内に陳列室を構成し、該陳列室の前面開口上縁に設けられた冷気吐出口より冷気を吐出し、開口下縁に設けられた冷気吸込口より吸い込むことにより、当該陳列室の前面開口に冷気エアーカーテンを形成して成るオープンショーケースにおいて、
前記冷気吸込口より外側に位置する前記断熱壁の前壁上端に設けられたハンドレールと、
該ハンドレールに設けられた反射部と、
該反射部に取り付けられたLED照明とを備え、
該LED照明の発光により前記陳列室内を照明することを特徴とするオープンショーケース。
【請求項2】
前記反射部を金属部材にて構成すると共に、前記LED照明の基板を当該反射部と熱交換可能に取り付けたことを特徴とする請求項1に記載のオープンショーケース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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