説明

オーラルケアシステムにおける液滴生成のためのガスアシストシステム

歯の洗浄のため液滴流を用いるオーラルケアシステムは、ノズルを備えたハンドル部分をその前方端のところに有するハンドヘルドのポータブルオーラルケアデバイス、歯科用流体源、及び、10〜30barの間の加圧ガスの源を含み、それら源の双方がそのハンドル部分に位置付けられる。また、そのシステムは、加圧エアのためのリザーバタンク、流体のためのリザーバタンク、及び、そのガスリザーバに接続されるコンプレッサを含むベースユニットを含む。そのハンドルは、加圧ガス及び流体の、そのハンドルからノズルへの解放を制御するためのバルブを含む。連絡管は、流体及び加圧ガスの源からノズルへ配置され、そのノズルからの加圧ガス液滴が所望の速度まで加速するようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に、洗浄のために液滴流を用いるオーラルケアシステムに関し、より詳細には、加圧ガスを用いた、液滴の生成及び加速を支援するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
高速液滴を用いたオーラルケアデバイスが知られている。あるシステムは、国際公開第2004/034923A1号に示され、液滴の噴霧を実現するノズルに流体を高圧で提供することを含むオーラルケアシステムに関連する。そのようなシステムは、しばしば“液体限定”システムとして参照される。高圧ポンプを用いながら液体自体が高圧でノズルに供給され、ノズル口のところで、或いは、ノズル口を超えたところで液滴を生み出すようにするからである。しかしながら、そのようなシステムは、典型的に生み出されるその比較的小さな液滴サイズ、ノズル口を超えたところの液滴の急減速、及び、効率的な洗浄をもたらすための対応するその高い速度の必要性のために、不利となる。
【0003】
液滴流オーラル洗浄システムの別の例は、国際公開第9408533A1号に示され、流体源、及び、洗浄のために比較的高い速度で歯に向けられる液滴を生み出すための加圧流体をもたらすコンプレッサを含む。
【特許文献1】国際公開第04/034923号パンフレット
【特許文献2】国際公開第94/08533号パンフレット
【特許文献3】国際公開第02/13721号パンフレット
【特許文献4】米国特許出願公開第60/537690号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
更に別の液滴流洗浄システムは、国際公開第02/13721A3号に示され、ユーザの歯の方に高圧で向けられる加圧ガス、流体及び粉末の源を含む。そのユニットのハンドヘルド部分は、液体と加圧ガス源とが入っているベースユニットに繋がれる。その流体は、ノズルに到達したときに高圧となる。そのような拘束されたシステムは、より大きなパワーを必要とし、しばしば扱いにくいものとなる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
別の液滴システムは、2003年6月26日に出願され、タイトルを“Droplet Jet System for Cleaning”とし、本発明の譲受人によって所有される米国特許出願第60/537690号に示され、その内容は、参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0006】
従って、本発明は、洗浄のため液滴流を用いるオーラルケアシステムであり、ノズルを備えたハンドル部分をその前方端のところに有するハンドヘルドのポータブルオーラルケアデバイス、流体源、0.5〜1000barの範囲内の加圧ガス源、並びに、液滴が生成され、その後、毎秒20メートルと毎秒40メートルとの間の速度まで加圧ガスによって加速されるような方法で加圧ガス及び流体のそのノズルまでの動きを制御するための手段、を含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
一般に、本発明は、ガスアシスト液滴流オーラル洗浄システムに対して行われる。典型的には、そのガスは、空気であるが、他のタイプのガスであってもよい。低圧ガスは、そのシステムのノズル部分で生成される液滴を加速する。
【実施例】
【0008】
本発明のシステムは、図1に示され、数字10によって全体が示される。それは、ハンドヘルドのポータブルハンドルユニット12及びベースユニット14を含む。ハンドルユニット12は、ベース14から分離可能であり、言い換えれば、ベース14に拘束されない。ハンドルユニット12は、加圧ガスのノズルに対する流れ及び圧力を調整するコントロールバルブ18を備えた高圧エアタンク16、水等の液体のためのタンク20、ステム部分22、及び、ステム22の自由遠位端におけるノズル24を含む。連絡管26及び28は、エアタンク及び液体タンク20から、それぞれ、ステム22を通ってノズル24に伸びる。
【0009】
エアタンク16における典型的な圧力は、0.5〜100barの間であり、好適には、5〜50barの間である。タンク16の容積は、典型的には10〜200ccの範囲であり、好適には、30〜100ccの間である。タンク16からコントロールバルブ18を経てノズル24に供給される空気は、液滴を加速するために使用され、10bar未満であり、好適には、5bar未満である。流体タンク20の容積は、20ccと100ccとの間である。
【0010】
システムのベースユニット部分14は、大容量高圧エア貯蔵リザーバタンク40、大容量流体貯蔵リザーバ42及びガス貯蔵リザーバ40を加圧するために用いられるコンプレッサ/ポンプ44を含む。ハンドルにおける高圧エアタンク16は、そのハンドルにおける高圧コネクション45とベースユニット14におけるはめ合いコネクション46とを介して加圧可能であり、ベースユニットにおけるそのコネクションは、ガス貯蔵リザーバ40まで伸びる。ハンドルにおける流体貯蔵タンク20は、そのハンドルにおけるコネクション47とベースユニットにおけるはめ合いコネクション48とを介して、流体貯蔵タンク42から補充可能である。流体の移動は、コネクションライン49によって示されるように、高圧エア貯蔵リザーバ40からの圧力により実現可能である。リザーバ40の容積は、典型的には、10〜200ccの範囲であり、好適には、20〜80ccである。
【0011】
また、ベースユニットにおける貯蔵リザーバ42からハンドルにおける貯蔵タンク20に液体を移動させるために、別のポンプ(図示せず。)が使用されてもよい。
【0012】
また、別の方法として、エアタンク16を加圧するために、ハンドル12にポンプを備えることもできる。しかしながら、ハンドル12における加圧容器の使用は、ハンドルにおける別のポンプとは対照的に、或いは、ベースユニットとハンドルとの間に拘束された装置の使用とは対照的に、ユーザにとって効率的であるという利点を有する。一般的には、バッテリでエアポンプを動作させるのは困難である。好適な実施例では、ハンドル内にはポンプもモータも存在しない。従って、それは、軽量で、かつ、操作が簡単である。
【0013】
また、ハンドルユニット12は、高圧エアタンク16を流体貯蔵タンク20に接続するコントロールバルブ23であって、ノズルへの流体送出の流れ及び圧力を調整するコントロールバルブ23を含む。作動中、水等の流体は、貯蔵タンク20からその関連する連絡管28を通ってノズル24に向けられ、そのノズルに到達したらすぐに流体圧力が10barより低く、好適には、5barより低くなるようにし、かつ、それらの既存のノズル口より前で、ノズルの一機能として液滴が生成されるようにする。液滴は、タンク16からの加圧ガスによって、ノズル口より前で、ノズル口で、かつ、ノズル口を超えたところで、加速される。示された実施例では、結果として生じる、このシステムによってもたらされる液滴速度は、典型的には、直径30マイクロメートルより大きい比較的大きな液滴で毎秒30〜200メートルであり、より小さい液滴ではより大きな速度となり得る。
【0014】
そのハンドルにおけるガスの速度は、一般的には、毎秒20〜400メートルの間であり、好適には、毎秒50〜200メートルの間である。
【0015】
上述の装置では、比較的安全な液滴速度が大型の液滴で使用され得る。ノズルでの流体圧力は、上述のように、液滴が加圧ガスの流れによって加速されるため、比較的小さい。それ故に、より高い液滴速度が可能である。ノズルでの高い流体圧力が、所望の高い速度を実現するために、もはや必要とされないからである。他のシステムにおいては所望の高い液滴速度を実現するためのノズルでの高い圧力の必要性は、それらのシステムにおける重大な不利点であった。
【0016】
図1の実施例の変形として、図2に示すように、ハンドルにおける一つの容器に液体とガスと有することが可能である。流体容器52は、ガス容器54内に位置付けられる。バルブ56は、ガス容器内の凝縮を取り除くために使用される。
【0017】
再び図1を参照すると、ベースユニット14は、57として包括的に示される、流体リザーバ42のためのレベルインジケータ、ガスリザーバ40における圧センサ、及び、液体のための温度センサを含む、各種センサを含んでもよい。同様のセンサがハンドル12においても使用され得る。
【0018】
加圧ガス及びハンドルにおける液体の温度は、ユーザの全般的な快適性に対し重要となり得る。加圧ガスがタンク18から圧力を掛けられてノズル24に移動する際、そのガスの温度は、大幅に下がり、歯に冷たいエアの流れをもたらし、不快となり得る。その影響を弱めるために、液体リザーバ20における液体が、補正のために加熱され、或いは、ハンドヘルドユニットにおけるガスが、ハンドルにおける別個の加熱エレメント(図示せず。)によって加熱される。その加熱エレメントは、ハンドルがベースユニットに接触しているときに作動させられる。
【0019】
別の特徴において、ベースユニットにおけるコンプレッサ44は、ベースユニットでガスリザーバを補充するための急速動作モード及び低速動作モードの双方を備え得る。その選択は、許容され得る騒音の量によって決まる。“低速充填”動作は、より静かである。ベースユニットは、ハンドルをベースステーションに接続する単純なクリッピング(クリップ留め)システム、ベースユニットで入力される(子供には知られていない)コード、又は、デッドマンスイッチを含む、子供による使用を防止するためのいくつかの手段を含む、いくつかの追加的な特徴を含むことができる。
【0020】
また、ロック及びキーによるシステムも、ベースユニットにおいて使用され得る。オーソライズされた(許可された)ハンドルだけがそのベースユニットとともに使用されるようにするためである。更に、IDタグが、ブラッシング回数、又は、各種ハンドルによる使用回数のような、そのシステムの使用に関する統計データを保存するために使用され得る。更にまた、ベースユニットにおける流体リザーバ42は、ユーザが未許可の液体をそのリザーバに補充しないよう特別な物理的接続を含むようにしてもよい。
【0021】
コントロールシステムは、液滴流に対する所望の制御を提供するために、ハンドルにおけるガスタンク及び液体タンクの双方で使用されてもよい。更にまた、ベースユニットにおける圧力のチャージ及び/又はディスチャージの後の所定時間後に手動又は自動でハンドルにおける圧力を放出するための手段を含む、各種圧力保護手段がそのシステムに組み込まれていてもよい。また、そのシステムにおける圧力の危険な増大を防止するために、自動圧力リリーフバルブが備えられてもよい。
【0022】
この装置は、所望の範囲のサイズ及び効果的な速度を持つ液滴が生成されるときに、歯間を含む歯の洗浄を実現する。
【0023】
図1のハンドヘルドデバイスは、歯間洗浄に適応され得る。ノズルの表面は、人間の歯間領域に合うよう構成され、実質的に歯間を塞ぎ、液滴が正確に歯間の隙間を通って移動するのを支援する。
【0024】
本発明の好適な実施例が説明目的のために開示されたが、当然のことながら、付随する請求項によって規定される本発明の精神から逸脱することなく、様々な変更、変形及び代用がその実施例に組み込まれてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明のシステム全体を示す概略図である。
【図2】図1の実施例の一部の変形物である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄のために液滴の流れを使用するオーラルケアシステムであって:
ハンドヘルドのポータブルオーラルケアデバイスであり、その前方端にノズルを備えたハンドル部分を有するハンドヘルドのポータブルオーラルケアデバイス;
流体の源;
0.5乃至100barの範囲内の加圧ガスの源;及び
液滴が生成され、かつ、その後に、前記加圧ガスによって毎秒30メートルと毎秒200メートルとの間の速度に加速するような方法で加圧ガス及び流体の前記ノズルへの動きを制御する手段
を有するシステム。
【請求項2】
前記流体の源は、20ccと100ccとの間の容量を持つ容器である、
ことを特徴とする請求項1のシステム。
【請求項3】
前記液滴を加速するガスの速度は、毎秒20メートル及び毎秒400メートルの範囲内である、
ことを特徴とする請求項1のシステム。
【請求項4】
前記液滴を加速するガスの速度は、毎秒50メートル及び毎秒200メートルの範囲内である、
ことを特徴とする請求項1のシステム。
【請求項5】
前記流体を加熱する手段を有する、
ことを特徴とする請求項1のシステム。
【請求項6】
前記加圧ガスを加熱する手段を有する、
ことを特徴とする請求項1のシステム。
【請求項7】
前記ガスの源は、前記ハンドルに位置付けられた加圧容器であり、前記流体の源は、前記ハンドルにおける容器である、
ことを特徴とする請求項1のシステム。
【請求項8】
前記加圧ガス容器は、30ccと100ccとの間の容量を有する、
ことを特徴とする請求項7のシステム。
【請求項9】
当該システムは、高圧ガスリザーバと流体リザーバと該ガスリザーバに接続されるコンプレッサとを有するベースユニットを有し、該ベースユニットは、前記ハンドルにおける前記ガス容器及び前記流体容器を補充し、かつ、加圧するために、前記ハンドルにおける接続要素と結合する接続要素を有する、
ことを特徴とする請求項1のシステム。
【請求項10】
前記ハンドル及び/又は前記ベースユニットにおける前記ガスリザーバの圧力を解放する手段を有する、
ことを特徴とする請求項1のシステム。
【請求項11】
前記流体の源は、前記ハンドルにおける前記加圧ガスの源内に位置付けられる、
ことを特徴とする請求項1のシステム。
【請求項12】
前記ベースユニットにおける前記流体リザーバは、許可された流体だけを受け入れるよう構成される、
ことを特徴とする請求項8のシステム。
【請求項13】
前記ベースユニット及び前記ハンドルにおける前記接続要素は、前記ベースユニットに対する未許可のハンドルの接続を防止するよう構成される、
ことを特徴とする請求項9のシステム。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2008−525095(P2008−525095A)
【公表日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−547778(P2007−547778)
【出願日】平成17年12月21日(2005.12.21)
【国際出願番号】PCT/IB2005/054365
【国際公開番号】WO2006/067760
【国際公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】