説明

オーラルケア器具で用いられる液滴ジェットシステムのノズル

ノズル部材(10)は、流体の液滴が目標に向かって移動する開口(32)を有する可撓性の弾性部分(14)をその前端に含む。目詰まり要素がその開口の一部分以上の部分を詰まらせる場合、その可撓性の弾性部分は、そのノズルの目詰まりの圧力に起因する増大した圧力の下で、ゆがみ、かつ、外側に拡がり、その目詰まり要素をそのノズルから排出させるためのその開口のサイズの十分な増大をもたらす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、一般的に、オーラルケア器具、及び、クリーニング/ウォッシングのために流体の液滴の流れを利用する他の器具又は装置に関し、より具体的には、そのような流体液滴システムのためのノズル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
クリーニング又はウォッシングのための全ての液滴システムはノズルを使用し、液滴はそのノズルを通じて高速で目標に向かって移動する。ノズル又はノズル群を持つ液滴システムは、具体的にはオーラルケア装置であるが、シャワーヘッド、食器洗い器及びクリーニング用の他のスプレー装置を含む種々の器具又は装置において存在する。そのノズルの流体開口部は、その液滴を加速するための流体圧及び/又は空気圧を用いて小さいながら高速で移動する液滴を作るために、極めて小さいものである必要がある。
【0003】
適切な小さいオリフィスを持つノズルの製造は、要求されるその機械公差のため、それら装置の通常の製造に比べて、しばしば困難となる。更に、そのノズルにおけるその小さいオリフィスは、詰まりやすく、また、そのような方式のため、しばしば簡単に直すことができないことになる。通常環境(クリーンルームでない。)における流体の使用は、概して、ほこり等の微粒子がポンプシステム内に存在し、そのノズルの詰まりを発生させる結果となる。特定の用途においては、ユーザは、そのノズルの障害物除去を実現する道具、又は、能力を持たないであろう。
【0004】
そのノズルの上流でのフィルターの使用は、詰まりを低減させることができるが、そのようなフィルターも、同じようにしばしば詰まり、その結果、問題を大きくする。その上、流体内の微粒子は、実際に流体が流れる間にノズル内に捕捉され、流体がオリフィスにおいて干上がることができるときに、微粒子が後に残され、同じように詰まりをもたらすこととなり得る。目詰まりは、ノズルの機能性の全損失につながる完全なものか、或いは、不均一なスプレー又はスプレーホットスポットをもたらし得る部分的なものであって、その目標領域、特にオーラルケア用途における歯や歯茎へのダメージを引き起こしうる、部分的なものの何れかとなり得る。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、自己修正するように設計されたノズル、すなわち、通常動作において、自身を清浄で目詰まりのない状態に維持できるノズルが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
従って、本発明は:
流体液滴がそこから外側に向かって目標に移動できるようにその前端にオリフィスを有するノズル部材であって、そのオリフィスが可撓性の弾性部分で規定され、目詰まり要素がそのオリフィスの一部分以上の部分を詰まらせた場合に、流体圧がその可撓性部分の後で形成され、その可撓性部分を外側に拡げさせ、その目詰まり要素をその開口部から通り抜けさせるために、そのオリフィスのサイズを増大させ、このようにして、そのノズルが動作中にセルフクリーニング(自己洗浄)できるようにするところのノズル部材を含む、
流体液滴生成システム用のノズル構造である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
図1、2及び3は、自己洗浄式のノズル構造の断面図であり、流体圧がない状態を図1に、正しい圧力の状態を図2に、また、増大した圧力の状態(目詰まり要素がそのオリフィスを通過できるようにする状態)を図3に図解する。
【0008】
図4及び5は、図3の実施例に対する変形例の断面図である。
【0009】
図6は、代替的な実施例の断面図である。
【0010】
図1、2及び3は、流体液滴ノズル10を示す。ノズル10は、オーラルケア器具で使用される場合があり、また、シャワーヘッド、又は、クリーニング若しくはウォッシングのために流体液滴スプレーを用いる他のアイテム/器具(例えば、食器洗い器若しくは他の同様の器具/システムを含む。)のような別の流体液滴洗浄器具の部品である場合がある。しかしながら、本明細書での説明目的のため、ノズル10は、オーラルケア器具へ適用されたものとして説明される。そのようなオーラルケア器具の使用の際、ノズル10は、典型的には、口内に置かれる。水又は種々の歯磨き剤又は他の同様の流体であり得る流体液滴は、ノズル10を通じて、要望通り、そのユーザの歯や口腔の他の部分に向けて加速される。その液滴の加速は、従来知られている他の手段、及び、圧搾空気を含む種々の手段によって実現され得る。
【0011】
図示された実施例において、ノズル10は、外側の固いハウジング部12、及び、内側の可撓性の弾性オリフィス部14を含む。外側部12は、金属(例えば、ステンレス鋼)のような固い物質でできており、また、種々の形態を有していてもよい。一形態においては、ハウジング部12は、後端17から前端の出口部18まで、約0.1mm以下の肉厚を有する円筒形であり、開口20を含む。開口20のサイズは、当然のことながら、用途に応じて変えられる。その出口部の(後部から前部への)長さは、例えば、図1に示されるように、外側部の円筒壁の厚さとほぼ同じであってもよい。
【0012】
外側部12内に取り付けられるのは、オリフィス部14であり、それは、ハウジング部12の出口部18の背面に対して隣接する。図示された実施例において、オリフィス部14もまた、ほぼ円筒形であり、後端21から前部30まで、約6mmの長さと、これは変化し得るが、部12のものと同じような肉厚とを有し、前部30は、図示された実施例においては、約150μmの直径とその後部から前部までが約0.1mmの長さとを有する中央開口32を有する。これらの寸法はまた、特定の用途に応じて、変わり得る。
【0013】
オリフィス部14は、可撓性の弾性物質、例えば、ゴムや射出成形可能な熱可塑性物質であり得るエラストラマー材料からできており、操作上の有利点を与えるために、材料の硬さが選択される。
【0014】
ノズル10は、そのオリフィス部の可撓性のために、自己洗浄型である。自己洗浄における最良の結果を得るため、前面31のところで前部30における中央開口32の直径は、流体圧が無い場合、前部30の後面35のところにおける開口32の直径と同じか(図1)、或いは、それよりも小さい(図5)。図1、2及び3は、そのような形態にあるノズルの自己洗浄動作を示す。
【0015】
図1は、流体圧がなく、それ故に、オリフィス部14の前部30における開口32を通って出る流体がない状態のノズル10を示す。この場合、前部30は、ゆがんでいない(その開口は直径が約200μmである。)。図2において、流体は、正しい(通常動作の)流体圧で前部30を通って移動する。前部30は、通常圧の下、流体流の方向に前方にゆがみ、開口32の直径の(約150μmまでの)減少をもたらす。これが通常動作におけるノズルの形態である。その開口が目詰まり要素によって詰まった場合、前部30の後部への圧力が著しく上昇する。この圧力は、前部30の更なる前方への移動/ゆがみをもたらし、図3に示されるように、開口32の直径の増大をもたらす。その開口は、今では、目詰まり要素を通過させるのに十分大きいものとなっている。
【0016】
その目詰まり要素の解放の後、その圧力は、通常の圧力値まで減少し、また、前部30は、図2の形態に戻る。
【0017】
一方、後面35における開口32が、図4に示すように、(圧力が無い場合)、前面31における直径より小さい直径を有する場合、そのノズルを通る流体流は、選択された圧力範囲に亘って同じものとなる。この配置において、選択された範囲に亘って変化する圧力は、前部30の同じゆがみをもたらし、開口32の直径は変化せず、このようにして、圧力範囲にわたって一定の流体流を維持する。
【0018】
そういう訳で、可撓性で弾力のあるオリフィス部における開口32の形態は、自己洗浄効果を産み出すために、すなわち、目詰まりを除去するために用いられることができ(図1、5)、或いは、選択された圧力範囲に亘って所望のフローレート(流量)を維持するために用いられることができる(図4)。
【0019】
図1、3に示された実施例は、固いハウジング及び可撓性のオリフィス部インサートを含むが、そのノズルは、図6に示されるように、エラストラマー又はゴムのような可撓性の物質で全体が作られていてもよい。そのノズルは、全体が40で示され、そのノズルの前端部44に開口42を有する。図1、3の実施例は、概して、長期動作の全体に亘ってより安定的であるが、この配置も、ほとんどの場合で望ましい結果をもたらす。
【0020】
そのような訳で、動作中に望ましい動作中自己洗浄をもたらす流体液滴システム用のノズル配置であって、目詰まりが発生した場合、そのノズルの後ろで圧力が形成され、目詰まり要素がそのノズルを通過できるようにエラストラマーインサート部の十分なゆがみを産み出すノズル装置が説明された。
【0021】
本発明の好適な実施例が説明のために本明細書で開示されたが、当然のことながら、添付の請求項で規定される本発明の精神から逸脱することなしに、種々の変更、改良及び置換が組み入れられてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】自己洗浄式のノズル構造の断面図であり、流体圧がない状態を示す。
【図2】自己洗浄式のノズル構造の断面図であり、正しい圧力の状態を示す。
【図3】自己洗浄式のノズル構造の断面図であり、増大した圧力の状態(目詰まり要素がそのオリフィスを通過できるようにする状態)を示す。
【図4】図3の実施例に対する変形例の断面図である。
【図5】図3の実施例に対する変形例の断面図である。
【図6】代替的な実施例の断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体液滴生成システム用のノズル構造であって:
その前端に、流体液滴がそこから目標に向かって外側に移動できるようにするためのオリフィスを有するノズル部材を含み、前記オリフィスは、可撓性の弾性部分に規定され、目詰まり要素が前記オリフィスの一部分以上を詰まらせた場合に、前記目詰まり要素が前記開口を通過できるように、流体圧が前記可撓性部分の後ろで形成され、前記可撓性部分を外側へ拡張させ、前記オリフィスのサイズを増大させ、このようにして、前記ノズルが動作中に自己洗浄する、
ノズル構造。
【請求項2】
前記可撓性部分は、エラストラマー材料でできている、
請求項1のノズル構造。
【請求項3】
前記可撓性部分が適合する外側の剛体部分を含み、
前記可撓性部分は、それを貫く中央オリフィス開口を有する前部を含み、前記前部は、それが前記後ろからの流体圧の下で前方にゆがむように、構成かつ配置され、目詰まり要素が前記開口の一部又は全部を詰まらせたときに、通常動作圧を超えて圧力が上昇し、その場合に、前記目詰まり要素がそれを通過できるように前記開口のサイズを増大させるのに十分な前記前部の追加的なゆがみを、上昇した前記圧力が作り出す、
請求項1のノズル構造。
【請求項4】
前記前部の前面における前記オリフィスの直径は、圧力がない状態の下で、後面における前記オリフィスの直径と同じか、或いは、それより小さい、
請求項1のノズル構造。
【請求項5】
前記前部の前面における前記オリフィスの直径は、圧力がない状態の下で、前記前部の後端における開口の直径よりも大きい、
請求項1のノズル構造。
【請求項6】
前記ノズル部材の全体は、可撓性の弾性物質でできている、
請求項1のノズル構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2009−519128(P2009−519128A)
【公表日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−545226(P2008−545226)
【出願日】平成18年12月13日(2006.12.13)
【国際出願番号】PCT/IB2006/054789
【国際公開番号】WO2007/069202
【国際公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】