説明

カウルトップカバー

【課題】 狭いスペースを有効に利用して、カウルトップカバーとフロントウィンドシールドとの隙間から浸入した水に対する排水性能の高いカウルトップカバーカウルトップカバーを提供する。
【解決手段】 カウルトップカバー本体部材5の下方にガター部材11を着脱自在に装着して、カウルトップカバー1を構成する。ガター部材11に底壁部12、第1壁部13、第2壁部14により断面形状が矩形の略U字状の水路部16を構成し、ガター部材11の車幅方向に沿ってクリップ部材20を複数設ける。カウルトップカバー本体部材5から下方に連接したクリップ取付部材25を車幅方向に沿って複数設け、クリップ部材20をクリップ取付部材25に係合させる。また、クリップ部材20を第2壁部14に連接させる爪部体24とカウルトップカバー本体部材5の上側部5aとによって、フロントウィンドシールドの保持部を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に用いられているカウルトップカバーに関する。特に、カウルトップカバーとフロントウィンドシールドとの隙間から浸入した水の排水構成を備えたカウルトップカバーに関する。
尚、本願発明で用いている前後方向、上下方向、車幅方向に関して、前後方向は、車両が直進する前進方向を基準として、車両の後方から車両の前進方向を向いたときの方向としている。上下方向は、車両に対して天地の方向を上下方向としており、車幅方向は、車両を正面から見たときの左右方向を車幅方向としている。
【背景技術】
【0002】
従来から車両に用いられているカウルトップパネルは、エンジンルームと車室とを画成するとともに、外気を車室内に取入れるエアボックスとして配設されている。カウルトップパネルは、車両のフロントウィンドシールドとボンネットフードとの間に配設されて両者の間を塞ぎ、かつエアボックスをカバーするものとしてカウルトップカバーを備えた構成になっている。
【0003】
カウルトップカバーの後端部は、フロントウィンドシールドの下端部を支持する構成になっており、前端部は、ボンネットフードの下方に配設されて、ボンネットフードに当接するフード当接部を有する構成になっている。
【0004】
そして、フロントウィンドシールドの下端部は、カウルトップカバーによって液密状態に支持されている。フロントウィンドシールドの下端部を液密状態に支持しているシール部の劣化や、高速洗車時や雨が強くフロントウィンドシールドに吹き付けられたとき、あるいは、雪がフロントウィンドシールドの下端部とカウルトップカバーとの間に堆積したときなどにおいて、フロントウィンドシールドの下端部とカウルトップカバーとの隙間からカウルトップカバー内に水が浸入してしまうことがある。
【0005】
カウルトップカバー内に浸入した水を排出するための構成として、外気導入部の水入り防止構造(特許文献1参照)やカウルトップカバーの取付構造(特許文献2参照)などにおいて、浸入した水を排出するための構成が開示されている。
【0006】
特許文献1の防止構造を本願発明の従来例1として、図14には、車幅方向から見たカウルルーバ(本願発明におけるカウルトップカバーに相当)の断面図を示している。図14に示すように、フロントウィンドシールド50の下端下部には、フロントウィンドシールド50の部分から進入してきた水を受けて左右方向の外部に流すウィンドシールド側樋部52が設けられている。ウィンドシールド側樋部52は、カウルルーバ51の裏面側における車幅方向の端部に設けた連結部53を介して、カウルルーバ51と一体化された構成になっている。
【0007】
特許文献2のカウルトップカバーの取付構造を本願発明の従来例2として、図15には、車幅方向から見たカウルトップカバー60の断面図を示している。図15(a)は、雨水などの水がフロントウィンドシールド61を伝わりカウルトップカバー60の薄板部材65で受け止められている状態を示しており、図15(b)は、薄板部材65で受けた水を排出用水路の途中に設けたクリップ部63の貫通孔64から排水する状態を示している。
【0008】
図15(b)に示すように、フロントウィンドシールド61の下端部61aは、カウルトップカバー60のパネル部62とクリップ部63との間で挟持されている。パネル部62の下面には
、車幅方向に沿って複数のクリップ部63が設けられている。
【0009】
パネル部62の下面から延設された薄板部材65は、薄板前壁65aと薄板底壁65bとによって断面形状が略L字状に形成されており、フロントウィンドシールド61から離間した状態に配されている。薄板前壁65aと薄板底壁65bとによって、フロントウィンドシールド61とカウルトップカバー60との隙間から浸入した水の排出用水路が構成されている。
【0010】
薄板部材65の薄板前壁65aは、クリップ部63の前壁63aと一体に形成されており、薄板前壁65a及び前壁63aは、パネル部62の下面に連接された構成になっている。また、排出用水路を構成している略L字状の薄板部材65は、車幅方向に延設されている。薄板部材65の上部空間66は、クリップ部63に形成した貫通孔64に連通しており、貫通孔64は、薄板底壁65bに開口した構成になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2004−58722号公報
【特許文献2】特開2010−167952号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
特許文献1に記載された発明では、フロントウィンドシールド50の下端部を挟持するガラス挟持部54よりも下方に、ウィンドシールド側樋部52が設けられた構成になっている。この構成を採用するためには、フロントウィンドシールド下端の下方における領域を、ウィンドシールド側樋部52を設けることができる広いスペースとして構成しておかなければならない。
【0013】
フロントウィンドシールド下端の下方に広いエアボックスとしてのスペースを設けることができる車両としては、トラックやバス等の大型の車両などに限られている。一般の乗用車等の車両においては、フロントウィンドシールド下端の下方における領域は、限られたスペースとして制限されている。
【0014】
しかも、限られたスペース内には、ワイパー用の駆動モータやワイパーを駆動するリンク機構等を配設することになる。そのため、一般の乗用車等においてフロントウィンドシールド下端の下方に特許文献1のようなウィンドシールド側樋部52を設けようとした場合には、限られたスペース内にウィンドシールド側樋部52を収めた構成にしなければならない。そして、ウィンドシールド側樋部52の構成を小さく構成しておかなければ、限られた狭いスペース内にウィンドシールド側樋部52を配設しておくことはできない。
【0015】
ウィンドシールド側樋部52を小さく構成した場合には、ウィンドシールド側樋部52における排水能力が低下してしまうことになり、ウィンドシールド側樋部52の途中から排水が溢れ出てしまうことになる。そして、限られたスペース内に共存して配されている電装部品等に排水が被ってしまう状況が発生する。
【0016】
例えば、ワイパー用の駆動モータに排水が被ると、駆動モータが故障したり、漏電等の問題が生じてしまう危険性が増えることになる。また、ワイパーを駆動するリンク機構に排水が被ると、排水によって潤滑油が流されてしまい、リンク機構の作動時にキーキー音が発生したり、リンク機構の作動が滑らかに行われなくなったりする危険性が増えることになる。
【0017】
更に、特許文献1に記載された発明では、ウィンドシールド側樋部52は、カウルルーバ
51と一体化された構成になっている。一体成型によってウィンドシールド側樋部52とカウルルーバ51とを成型する上において、ウィンドシールド側樋部52の形状として、ウィンドシールド側樋部52の自由端側をフロントウィンドシールド50の下面側に近接させた構成にすることは極めて難しい成型になる。
【0018】
そのため、フロントウィンドシールド50の下面側に折り曲げたウィンドシールド側樋部52の自由端側における高さ寸法は、短く構成されることになり、ウィンドシールド側樋部52における排水能力を高めておくことは難しい構成になっている。
【0019】
特許文献2に記載された発明は、フロントウィンドシールド下端の下方におけるエアボックスの領域が、限られたスペースとして制限されている一般の乗用車等に対しても適用できる構成になっている。しかし、パネル部62の下面から延設された薄板部材65の構成は、断面形状が略L字状に形成されているため、排水用の水路として機能する上部空間66の面積は、薄板前壁65aと薄板底壁65bの大きさによって決定されてしまうことになる。しかも、薄板前壁65aと薄板底壁65bの大きさとしては、フロントウィンドシールド下端の下方において使用できるスペースの制約を大きく受けることになる。
【0020】
また、カウルトップカバー60の後端部とフロントウィンドシールド61との隙間から浸入した水の流量によっては、薄板底壁65bから溢れてエアボックス内に落水してしまう危険性が生じてしまうことにもなる。
【0021】
本願発明では、従来におけるこれらの問題点を解決し、フロントウィンドシールド下端の下方におけるスペースの制約を受ける一般の乗用車等に対しても好適に適用することができ、狭いスペースを有効に利用して、カウルトップカバーとフロントウィンドシールドとの隙間から浸入した水に対する排水性能の高いカウルトップカバーの提供を課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本願発明の課題は請求項1〜9に記載された各発明により達成することができる。
即ち、本願発明では、フロントウィンドシールドの下端部に接続するフロントウィンドシールド保持部を一端部に配し、ボンネットフードの下方に配設され、前記ボンネットフードに当接するフード当接部を他端部に配し、前記フロントウィンドシールドと前記ボンネットフードとの間を車幅方向に亘って覆うカウルトップカバーであって、
前記カウルトップカバーは、カウルトップカバー本体部材と、前記カウルトップカバー本体部材に対して着脱自在に構成されたガター部材と、を有し、前記カウルトップカバー本体部材は、前記フロントウィンドシールドの下端部の上面を覆い車幅方向に沿って延設される上側部と、前記フロントウィンドシールドの下端部の下方に配設される下側部と、前記フード当接部と、を有し、
前記カウルトップカバー本体部材の上側部は、前記フロントウィンドシールド保持部の一部を構成し、前記ガター部材は、車両の前後方向における幅を有し、車幅方向に延設される底壁部と、車両の前後方向における前記底壁部の前方側側縁及び後方側側縁からそれぞれ立設し、車幅方向に沿って延設される第1壁部及び第2壁部と、を有し、
前記カウルトップカバー本体部材の下側部に装着され、車幅方向に沿って前記フロントウィンドシールドの下端部の下方に配置された前記ガター部材は、前記第1壁部の上端縁が、前記カウルトップカバー本体部材の上側部の下面に当接若しくは近接して配され、前記第1壁部と前記底壁部と前記第2壁部とによって、前記フロントウィンドシールドの下端部の下方側の周囲を包囲し、車幅方向に延びた水路部を形成してなることを最も主要な特徴としている。
【0023】
また、本願発明に係わるカウルトップカバーでは、前記ガター部材に車幅方向に沿った
複数のクリップ部材を設け、前記カウルトップカバー本体部材の下側部に前記クリップ部材を係合させるクリップ取付部材を設け、前記下側部を車幅方向に沿った複数個所に設け、
前記各クリップ部材は、少なくとも前記底壁部又は前記第2壁部に連接され、前記各下側部は、前記カウルトップカバー本体部に連接された縦壁と、前記縦壁の下端部から車両の後方側に屈折して延設された前記クリップ取付部材と、を有し、前記各クリップ取付部材は、前記カウルトップカバー本体部の上側部の下面から離間した部位に配設され、
前記各クリップ部材又は前記各クリップ取付部材は、前記クリップ部材と前記クリップ取付部材との対向面側において、前記対向面側に開口した挿入穴が形成され、前記各クリップ取付部材又は前記各クリップ部材は、前記挿入穴内に挿入する挿入部材を有し、前記挿入穴と前記挿入部材との対向面間には、前記挿入穴内に挿入した前記挿入部材の抜け止めを行う係止部が設けられてなることを主要な特徴としている。
【0024】
更に、本願発明に係わるカウルトップカバーでは、前記挿入穴は、車幅方向の左右両側部が切欠かれた切欠溝として形成されてなり、前記切欠溝の左右両側部からはみ出す前記挿入部材の左右両端部が、前記底壁部に連接されてなることを主要な特徴としている。
【0025】
更にまた、本願発明に係わるカウルトップカバーでは、前記クリップ部材が、爪部体を介して前記第2壁部に連接し、前記爪部体の上端縁が、前記フロントウィンドシールドの下端部側の下面に当接し、前記カウルトップカバー本体部材の上側部と前記爪部体とによって、前記フロントウィンドシールド保持部を構成してなることを主要な特徴としている。
【0026】
また、本願発明に係わるカウルトップカバーでは、前記第1壁部の内面と前記底壁部の内面と前記第2壁部の内面との各内面を覆い、前記各内面間を連接する薄板部材が、車幅方向に沿って形成されてなることを主要な特徴としている。
【0027】
更に、本願発明に係わるカウルトップカバーでは、前記薄板部材の上端縁が、前記カウルトップカバー本体部材の上側部の下面又は前記フロントウィンドシールドの下端部側の下面に弾性的に接触するリップ部として構成されてなることを主要な特徴としている。
【0028】
更にまた、本願発明に係わるカウルトップカバーでは、前記第1壁部と前記底壁部と前記第2壁部とによって構成される前記水路部の途中に排出部が形成され、前記排出部は、カウルトップカバーによって覆われた領域内に配した電装部品等に排水が被ることがない領域に形成されてなることを主要な特徴としている。
【0029】
また、本願発明に係わるカウルトップカバーでは、前記ガター部材が、車幅方向に沿って複数に分割され、分割された前記各ガター部材が、車幅方向に離間して配設され、前記ガター部材の両端部が前記排出部として構成されてなることを主要な特徴としている。
【0030】
更に、本願発明に係わるカウルトップカバーでは、前記底壁部が、車幅方向における隣接する前記排出部間の中央部の部位から前記各排出部に向かって下り傾斜の傾斜面として形成されてなることを主要な特徴としている。
【発明の効果】
【0031】
本願発明に係わるカウルトップカバーでは、第1壁部と底壁部と第2壁部とによって水路部を構成しているので、水路部を断面形状が矩形のU字状となるように構成しておくことができる。しかも、特に、第2壁部の高さを調整することによって、水路部の断面積を拡大させることができる。そして、水路部を流れる水が水路部の途中からエアボックス内に落水するのを第2壁部によって防止しておくことができる。
【0032】
また、ガター部材は、カウルトップカバー本体部材とは別体に構成されているので、ガター部材とカウルトップカバー本体部材とを一体に製造した場合に比べて、ガター部材を製造する上での自由度が大幅に向上することになる。そして、排水性能を考慮した上で、水路部を流れる水を確実に排水することが可能となり、しかも、フロントウィンドシールドと水路部との間隔ができるだけ最小となるように、ガター部材を構成することができる。
【0033】
このようにガター部材を構成することができるので、フロントウィンドシールド下端の下方におけるスペースの制約を受ける一般の乗用車等に対しても、本願発明を好適に適用することができる。
【0034】
本願発明では、ガター部材にクリップ部材を設け、カウルトップ本体部材の下側部にクリップ部材が係合するクリップ取付部材を設けておくことができる。そして、クリップ部材とクリップ取付部材との係合を、一方の部材に設けた挿入穴に他方の部材に設けた挿入部材を挿入させることで行わせることができ、挿入穴に挿入した挿入部材の抜け止めを係止部によって行わせることができる。
【0035】
係止部によって挿入穴に挿入した挿入部材の抜け止めを行わせることができるので、車両からの振動等によって、ガター部材をカウルトップカバー本体部材の下側部に装着した状態が外れてしまうのを長期に亘って防止しておくことができる。しかも、ガター部材をカウルトップ本体部材に装着してカウルトップカバーを構成することが、容易に行える。
【0036】
本願発明では、クリップ部材とクリップ取付部材との係合部における構成として、一方の部材に構成した挿入部材を挿入する挿入穴を、車幅方向に切欠かれた切欠溝として構成しておくことができる。挿入穴を切欠溝として構成しておくことにより、切欠溝の上下両部材片間による挟持力を利用して、切欠溝内に挿入した挿入部材を挟持しておくことができる。また、挿入部材の左右方向の両端部を切欠溝からはみ出るように構成しておくことができる。そして、切欠溝からはみ出る挿入部材の左右両端部を、水路部を構成している底壁部に連接させた構成にしておくことができる。これにより、挿入部材の強度を向上させておくことができる。
【0037】
本願発明では、クリップ部材を第2壁部に連接させている爪部体を利用して、爪部体とカウルトップカバーの上側部とによって、フロントウィンドシールドの下端部を挟持するフロントウィンドシールド保持部を構成しておくことができる。このようにフロントウィンドシールド保持部を構成することによって、ガター部材を配設することになるフロントウィンドシールド下端の下方におけるスペースを有効利用することができる。
【0038】
しかも、第2壁部の上端部をフロントウィンドシールドの下面にできるだけ近接させた構成にすることも可能となり、第1壁部と底壁部と第2壁部とによって構成される水路部を大きく構成することができる。
【0039】
本願発明では、水路部を構成している第1壁部の内面と底壁部の内面と第2壁部の内面を車幅方向に連続する長尺状の薄板部材によって覆い、薄板部材で囲った水路部を構成しておくことができる。薄板部材を用いることによって、ガター部材の剛性を高めることができる。薄板部材としては、金属材の板状部材、剛性の高い合成樹脂材等を用いて構成しておくことができる。
【0040】
また、合成樹脂材の成形によってガター部材を製造した場合であっても、ガター部材を成形するときの一次収縮や、温度変化時の体積収縮や膨張時の変形を薄板部材で抑えるこ
とができる。更には、単品としてガター部材を保管する場合や輸送時における場合において、自重等による負荷を受けても、ガター部材が弛んだり所望の形状から変形したりするのを薄板部材で抑えておくことができる。
【0041】
このように、ガター部材の変形を抑えておくことができるので、カウルトップカバー本体部材とガター部材との接合部に隙間が発生するのを抑えておくことができ、カウルトップカバーとしての品質の低下を防止することができる。
【0042】
本願発明では、薄板部材の上端縁に弾性変形可能なリップ部を構成しておくことができる。薄板部材の上端縁に弾性変形可能なリップ部を構成しておくことにより、リップ部を介してカウルトップカバー本体部材の上側部の下面又はフロントウィンドシールドの下端部側の下面に対して、薄板部材の上端縁に構成したリップ部を弾性的に接触させることができる。
【0043】
本願発明では、水路部に流入した水を排出する排出部を水路部の途中に設けておくことができる。しかも、電装部品等に排出部から排出された排水が被らない領域に、排出部を設けておくことができる。このように排出部を構成することによって、水が被ってしまってはいけない電装部品等に対して、排出部から排出された排水の影響を除くことができる。
【0044】
本願発明では、ガター部材を車幅方向に対して複数に分割して構成し、前記各ガター部材の両端部を排出部として構成しておくことができる。このように構成しておくことにより、各ガター部材の長さ寸法を短く構成しておくことができ、ガター部材の製造や製造したガター部材の保管、搬送、更には、カウルトップカバー本体部材へのガター部材の取付け作業を容易に行うことができる。
【0045】
本願発明では、水路部の底面を構成するガター部材の底壁部を、車幅方向において隣接する排出部間の中央部の部位から前記各排出部に向かって下り傾斜の傾斜面として構成しておくことができる。底壁部を傾斜面として構成しておくことにより、水路部に流入した水の排出を排出部に向かって良好に流すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】カウルトップカバーの斜視図である。(実施例1)
【図2】ガター部材とカウルトップカバー本体部材との装着構成を示す断面図である。(実施例1)
【図3】ガター部材とカウルトップカバー本体部材との装着構成を示す斜視図である。(実施例1)
【図4】ガター部材とカウルトップカバー本体部材との装着状態を示す断面図である。(実施例1)
【図5】ガター部材とカウルトップカバー本体部材との装着状態を示す斜視図である。(実施例1)
【図6】フロントウィンドシールド保持部の構成を示す断面図である。(実施例1)
【図7】図2のVII−VII断面図である。(実施例1)
【図8】図7のA,B,Cの各部位における断面図を重ね合わせた図である。(実施例1)
【図9】他のフロントウィンドシールド保持部の構成を示す断面図である。(実施例2)
【図10】別のフロントウィンドシールド保持部の構成を示す断面図である。(実施例2)
【図11】更に別のフロントウィンドシールド保持部の構成を示す断面図である。(実施例2)
【図12】他のカウルトップカバーの斜視図である。(実施例3)
【図13】排水構成を説明する説明図である。(説明図)
【図14】車幅方向から見たカウルルーバの断面図である。(従来例1)
【図15】車幅方向から見たカウルトップカバーの断面図である。(従来例2)
【発明を実施するための形態】
【0047】
本発明の好適な実施の形態について、添付図面に基づいて以下において具体的に説明する。本願発明のカウルトップカバーの構成としては、以下で説明する形状、配置構成以外にも本願発明の課題を解決することができる形状、配置構成であれば、それらの形状、配置構成を本願発明のカウルトップカバーとして採用することができるものである。このため、本発明は、以下に説明する実施例に限定されるものではなく、多様な変更が可能である。
【実施例1】
【0048】
カウルトップカバー1は、図示せぬエンジンルームの上部開口を覆うボンネットフード(不図示)と、フロントウィンドシールド2(図2参照)との間を塞ぐように配設されており、車幅方向に延設された構成になっている。図1には、カウルトップカバー1を構成するカウルトップカバー本体部材5とガター部材11の斜視図を示している。そして、図1では、ガター部材11を配した側が車両の後方側であり、カウルトップカバー本体部材5を配した側が車両の前方側とした配置構成を示している。
【0049】
図1及び図12において、カウルトップカバー本体部材5とガター部材11(11')の斜視図を示しているが、カウルトップカバー本体部材5の寸法とガター部材11(11')の寸法とを同じ寸法として図示すると、ガター部材11(11')の構成が見難くなってしまう。そのため、車幅方向の長さ寸法は同じ長さ寸法にした上で、カウルトップカバー本体部材5の寸法に比べてガター部材11(11')の寸法を拡大して示している。
【0050】
ガター部材11に設けた複数のクリップ部材20とカウルトップカバー本体部材5に設けた複数のクリップ取付部材25とをそれぞれ係合させることにより、ガター部材11をカウルトップカバー本体部材5に装着することができる。そして、ガター部材11をカウルトップカバー本体部材5に装着することで、カウルトップカバー1を構成することができる。
【0051】
カウルトップカバー本体部材5及びガター部材11は、合成樹脂材を射出成型等の成型手段を用いて構成されており、合成樹脂材としては、比較的剛性の高い樹脂材料(例えば、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体樹脂(ABS樹脂)、変性PPO樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリアミド系合成樹脂等)が用いられている。
【0052】
図2に示すように、カウルトップカバー1は、車室内に空気を取入れるためのエアボックス3の上部を覆っている。図2に示したエアボックス3内に外気を取入れるための吸気口8(図1参照)は、メッシュ状の開口としてカウルトップカバー本体部材5の上面に複数設けられている。また、カウルトップカバー本体部材5における図1で向かって右側及び中央の二カ所の部位には、図示せぬワイパーを駆動する駆動モータ用の開口孔35が形成されている。そして、ウィンドウォッシャー液用の開口孔37が、カウルトップカバー本体部材5の上面に2カ所設けられている。
【0053】
図1、図2に示すように、カウルトップカバー本体部材5の後端縁側、即ち、車両の後方側には上側部5aが形成されており、上側部5aは、フロントウィンドシールド2の下端部2aの上面を覆い車幅方向に沿って延設されている。そして、ガター部材11に設けた複数のクリップ部材20をそれぞれ係合させる複数のクリップ取付部材25は、フロントウィンドシ
ールド2の下端部2aの下方に配設された下側部5bに構成されている。
【0054】
図2に示すように、下側部5bは、上側部5aの下面から下方に向かって延設された縦壁5cと、縦壁5cの下端部から車両の後方側に屈折して延設されたクリップ取付部材25と、を備えた構成になっている。図1に示すように、クリップ取付部材25は、車幅方向に沿って複数離間して設けられており、各縦壁5cと上側部5aとの連結状態は、連結部材9によって補強されている。
【0055】
図1に示すように、カウルトップカバー本体部材5の前端縁側、即ち、車両の前方側のフード当接部7には、図示せぬボンネットフードとの間を液密状態に支持するシール用ラバー(不図示)を取付けるための取付孔36が、車幅方向に沿って複数形成されている。車幅方向におけるカウルトップカバー本体部材5の左右両端部側には、カウルトップカバー1を図示せぬ車体パネルに取付けるための取付孔38が設けられている。
【0056】
図1、図2に示すように、カウルトップカバー本体部材5の下側部5bに装着されるガター部材11は、車幅方向に延設した水路部16を有し、カウルトップカバー本体部材5の車幅方向に沿って複数設けたクリップ取付部材25に対して、それぞれ係合することのできる複数のクリップ部材20を有する構成になっている。
【0057】
水路部16は、車幅方向に延設した底壁部12と、底壁部12の車両前方側の側縁及び車両後方側の側縁からそれぞれ立設した第1壁部13及び第2壁部14とによって、三方が囲まれた断面形状が矩形のU字形状として構成されている。水路部16の途中及び両端部には、水路部16内を流れる水を排水するための排出部17が形成されている。
【0058】
水路部16における底壁部12の排出部17間は、水路部16内を流れる水を排出部17から排水し易くするため、排出部17に向かって下り傾斜の傾斜面として構成されている。また、排出部17は、カウルトップカバー1の下に設置した電装部品等に排出部17から排出した排水が被らない領域に形成されている。
【0059】
水路部16を構成する内面には、車幅方向に連続する長尺状の薄板部材30が、第1壁部13の内面から底壁部12の内面を通り第2壁部14の内面に連接した状態で配設されている。薄板部材30を水路部16の内面に設けておくことによって、ガター部材11の剛性を高めておくことができる。薄板部材30としては、金属材の板状部材、剛性の高い合成樹脂材等を用いて構成しておくことができる。
【0060】
図2に示すように、カウルトップカバー本体部材5の上側部5aとガター部材11の第2壁部14に連接した爪部体24の頭部との間で、フロントウィンドシールド2の下端部2aを挟持している。カウルトップカバー本体部材5の上側部5aと爪部体24とによって、支持するフロントウィンドシール保持部6が構成されている。
【0061】
フロントウィンドシール保持部6をカウルトップカバー本体部材5の上側部5aと爪部体24とによって構成した構成例について、以下では説明を行うが、フロントウィンドシール保持部6の構成としては、カウルトップカバー本体部材5の上側部5aと爪部体24とを用いた構成に限定されるものではなく、フロントウィンドシール保持部6の構成として爪部体24の頭部を用いることなく、カウルトップカバー本体部材5の上側部5aの裏面側に、フロントウィンドシールド2の下端部2aを挟持する挟持部を上側部5aと一体に構成しておくこともできる。
【0062】
カウルトップカバー本体部材5の上側部5aの裏面側に、フロントウィンドシールド2の下端部2aを挟持する挟持部を構成した場合には、第2壁部14の上端縁14aが上側部5aの裏面
側に形成した挟持部に近接するように、あるいは、上側部5aの裏面側に形成した挟持部よりも車両後方側に位置するように構成しておくことができる。このように構成しておくことにより、水路部16の断面積を大きく構成しておくことができる。
【0063】
第1壁部13の上端縁13a及び第1壁部13の内面に連接した薄板部材30の上端縁は、カウルトップカバー本体部材5の上側部5aの下面に接触又は近接した配置構成になっている。カウルトップカバー本体部材5の上側部5aの下面に延設された縦壁5cの根元部には、脆弱部40が形成されている。
【0064】
縦壁5cの根元部に形成した脆弱部40は、大きな衝撃荷重がボンネットフード上やカウルトップカバー1上に加わったときに破断するように構成されている。脆弱部40が破断することによって、カウルトップカバー1はフロントウィンドシールド2の上側に乗り上げるように移動することになる。そして、フロントウィンドシールド2の下端部2a側の縁部が、車外側に露出してしまうのを抑制することができる。
【0065】
図2のVII−VII断面として示した図7に示すように、水路部16の底面を構成している底壁部12には、車幅方向における所定の部位に排水用の排出部17が設けられている。排出部17は、カウルトップカバー1の下に設置されている電装部品等に排出部から排出された排水が被らない複数の領域に形成されている。
【0066】
図7では、排出部17を底壁部12に形成した構成例を示しているが、排出部17を構成する部位としては、底壁部12に形成することに限定されるものではなく、水路部16の両端部や第2壁部14等に形成しておくことができる。
【0067】
また、図7におけるA断面部、B断面部、C断面部の状態を重ね合わせて示した図8に示すように、水路部16を構成する底壁部12は、車幅方向において隣接する排出部17間の中央部の部位から各排出部17に向かって下り傾斜の傾斜面として形成されている。
【0068】
即ち、図7におけるA断面部において、底壁部12の内面に配設した薄板部材30の底面33aの高さ位置は、B断面部における薄板部材30の底面33bの高さ位置よりも高い位置に形成されており、B断面部における薄板部材30の底面33bの高さ位置は、C断面部における薄板部材30の底面33cの高さ位置よりも高い位置に形成されている。
このように底壁部12は、車幅方向において隣接する排出部17間の中央部の部位から各排出部17に向かって下り傾斜の傾斜面として形成されている。
【0069】
次に、図2〜図7を用いて、カウルトップカバー本体部材5の下側部5bに設けたクリップ取付部材25の構成と、ガター部材11に設けられ、クリップ取付部材25に係合するクリップ部材20の構成について説明する。
【0070】
図2〜図7に示すように、クリップ取付部材25は、車両後方側が開口した挿入穴26を有するボックス部形状に構成されており、挿入穴26における車幅方向の左右は、切欠かれた形状に構成されている。即ち、挿入穴26は車幅方向の左右両側部が切欠かれた切欠溝27として構成されている。挿入穴26は、クリップ部材20に設けた挿入部材21を挿入させることができる構成であれば、切欠溝27として構成しておくことに限定されるものではなく、車幅方向の左右が切欠かれていない挿入穴として構成しておくこともできる。
【0071】
切欠溝27として構成した場合には、挿入部材21の左右方向の両端部が切欠溝27からはみ出るように構成しておくことができる。そして、切欠溝27からはみ出した挿入部材21の左右両端部を、水路部16を構成している底壁部12に連接させた構成にしておくことができる。このように構成することによって、挿入部材21の強度を向上させることができる。
【0072】
切欠溝27は、上部材片27aと下部材片27bとを備えた形状に構成されており、切欠溝27内に挿入した挿入部材21を、上部材片27aと下部材片27bとの間における挟持力で把持することができる。挿入部材21の底面には、弾性力により出没自在の係合爪22が設けられており、切欠溝27の底面には、係合爪22を係止する係合孔28が形成されている。
【0073】
図2に示すように、係合爪22と係合孔28とによって、切欠溝27内に挿入した挿入部材21の抜止めを行う係止部を構成している。係止部の構成としては、係合爪22と係合孔28との組合せによる構成に限定されるものではなく、他の公知の抜止め構成を採用することができる。
【0074】
また、係合爪22と係合孔28との組合せ構成を用いた場合でも、係合爪22と係合孔28とが形成される部位は、それぞれ挿入部材21の底面及び切欠溝27の底面に限定されるものではない。挿入部材21及び切欠溝27における他の部位に形成しておくことができる。
【0075】
図3、図4には、ガター部材11に設けたクリップ部材20をカウルトップカバー本体部材5のクリップ取付部材25に係合させる前の状態を示している。図2、図5、図6には、ガター部材11に設けたクリップ部材20をカウルトップカバー本体部材5のクリップ取付部材25に係合させた状態を示している。
【0076】
また、図3に示すように、挿入部材21の挿入方向に沿った案内溝29を切欠溝27の下部材片27bに形成しておき、案内溝29に係合する凸部21aを挿入部材21の下面に形成しておくことができる。案内溝29に凸部21aを係合させることにより、挿入部材21の車幅方向へのズレを防止できる。
【0077】
クリップ部材20は、爪部体24を介して第2壁部14に連接した構成になっている。図2に示すように、ガター部材11をカウルトップカバー本体部材5に装着し、カウルトップカバー1を車両に搭載したとき、爪部体24の頭部はフロントウィンドシールド2の下端部2aの下面に当接する。そして、爪部体24とカウルトップカバー本体部材5の上側部5aとの間に、フロントウィンドシールド2の下端部2aを挟持しておくことができる。そして、フロントウィンドシールド2の下端部2aを支持するフロントウィンドシールド保持部6を、爪部体24とカウルトップカバー本体部材5の上側部5aとによって構成しておくことができる。
【0078】
このようにフロントウィンドシールド保持部6を構成することができるので、ガター部材11を配設することになるフロントウィンドシールド2の下端部2aの下方におけるスペース領域、即ち、エアボックス3内を有効利用することができる。
【0079】
次に、図13(a)、(b)を用いて、本願発明に係わる水路部16による排水量が、従来例2のような略L字断面形状の水路での排水量に比べて大きくなることを説明する。図13(a)では、従来例2を示す図15において用いた部材符号をそのまま用いている。また、図13(b)では、本願発明に係わる図2において用いた部材符号をそのまま用いており、図示としては、カウルトップカバー本体部材5の下側部5bの図示を省略している。また、ガター部材11としては、薄板部材30以外の部材の図示を省略している。
【0080】
図13(a)に示すように、従来例2では断面形状が略L字形であるので、薄板底壁65bの先端部67を通る水平面と薄板前壁65aと薄板底壁65bとによって囲まれる三角形の面積が、略L字断面形状の水路における断面積となる。また、車両からの振動や車両の操舵状況等によって、薄板底壁65bの先端部67から水路内を流れている排水が落水し易くなっている。そのため、そして、パネル部62とフロントウィンドシールド61の隙間から浸入した水は、矢印で示すように水路からこぼれてしまう危険性が生じる。このように、略L字断面
形状の水路を用いた場合には、安定した排水を行うのが難しくなっている。
【0081】
図13(b)に示しているように、本願発明に係わる水路部16は、第2壁部14を堰として機能させることができる。そして、水路部16の断面積としては、図13(b)の二点鎖線で示すように、フロントウィンドシールド2の下端部2aの一部が水没した状態にまで拡大させることができる。そして、カウルトップカバー本体部材5の上側部5aとフロントウィンドシールド2の隙間から浸入した水は、矢印で示すように水路部16内からこぼれることなく排水することができる。
【0082】
そして、第2壁部14の高さ位置を調節することによって、水路部16の断面積が所望の断面積となるように調整することができる。これによって、水路部16を流れる流水を、水路部16の途中で落水させることなく、確実に排出部17から排水させることができる。
【実施例2】
【0083】
実施例2に係わる発明では、第1壁部13の内面と底壁部12の内面と第2壁部14の内面とに連接して、各内面間を覆う薄板部材30の変形例を図9を用いて示している。図9に示すように、薄板部材30の上端を、リップ部32a、32bとして形成しておくことができる。そして、各リップ部32a、32bをそれぞれカウルトップカバー本体部材5の上側部5aの下面とフロントウィンドシールド2の下端部2a側の下面とに弾性的に接触させておくことができる。
【0084】
実施例2における他の構成は、実施例1における構成と同様に構成されている。そのため、実施例2に関する説明では、実施例1と同様の構成に関して実施例1の説明で用いた部材名及び部材符号を用いることで、その部材の説明を省略する。
【0085】
リップ部32a、32bは、車幅方向に沿って設けられており、図9では、排出部17の近傍に配されたクリップ部材20とクリップ取付部材25との係合状態を断面図で示している。接触時に弾性変形を行うリップ部32a、32bを介して、カウルトップカバー本体部材5の上側部5aの下面及びフロントウィンドシールド2の下端部2a側の下面との間を液密状態に保持しておくことができる。
【0086】
図示例では、第1壁部13の内面側及び第2壁部14の内面側における薄板部材30の上端縁に、それぞれリップ部32a、32bを構成した構成例を示しているが、リップ部としては、少なくとも第2壁部14の内面側における薄板部材30の上端縁に設けておくことができる。そして、水路部16内を流れる排水が、少なくとも第2壁部14を乗り越えて落水するのを防止しておくことができる。
【0087】
薄板部材30の構成としては、図10、図11に示すように、クリップ部材20の爪部体24の強度を補強するように構成しておくこともできる。即ち、爪部体24の板厚方向に貫通させて、カウルトップカバー本体部材5の上側部5aとの間でフロントウィンドシールド2の下端部2a側の下面を狭持している爪部体24の頭部を補強しておくことができる。
【0088】
このように、薄板部材30で爪部体24を補強することにより、フロントウィンドシールド2の下端部2aの支持を確実に、しかも長期に亘って緩むことなく行うことができる。
【実施例3】
【0089】
実施例1では、図1に示すように、ガター部材11が車幅方向に沿った一つの細長の部材として構成した構成例を説明した。実施例3では、図12に示すように、ガター部材11を車幅方向に沿って複数のガター部材11’に分割した構成にしている。各ガター部材11’の両端部を、各ガター部材11’内を流れる排水の排出部17として構成している。
【0090】
実施例3における他の構成は、実施例1における構成と同様に構成されている。そのため、実施例3に関する説明では、実施例1と同様の構成に関して実施例1の説明で用いた部材名及び部材符号を用いることで、その部材の説明を省略する。
【0091】
実施例3のように複数のガター部材11’に分割した構成にしておくことにより、各ガター部材11’の長さ寸法を短く構成しておくことができる。そして、ガター部材11’の製造や製造したガター部材11’の保管、搬送、更には、カウルトップカバー本体部材5への各ガター部材11’の取付け作業を容易に行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0092】
カウルトップカバー本体部材5とフロントウィンドシールド2との隙間から浸入した水の排水構造として、本願発明の技術思想は好適に適用することができる。
【符号の説明】
【0093】
1・・・カウルトップカバー、2・・・フロントウィンドシールド、5・・・カウルトップカバー本体部材、5a・・・上側部、5b・・・下側部、5c・・・縦壁、11、11’・・・ガター部材、12・・・底壁部、13・・・第1壁部、14・・・第2壁部、17・・・排出部、20・・・クリップ部材、24・・・爪部体、25・・・クリップ取付部材、30・・・薄板部材、33a、33b、33c・・・薄板部材の底面、50・・・フロントウィンドシールド、51・・・カウルルーバ、52・・・ウィンドシールド側樋部、60・・・カウルトップカバー、61・・・フロントウィンドシールド、65・・・薄板部材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フロントウィンドシールドの下端部に接続するフロントウィンドシールド保持部を一端部に配し、ボンネットフードの下方に配設され、前記ボンネットフードに当接するフード当接部を他端部に配し、前記フロントウィンドシールドと前記ボンネットフードとの間を車幅方向に亘って覆うカウルトップカバーであって、
前記カウルトップカバーは、カウルトップカバー本体部材と、前記カウルトップカバー本体部材に対して着脱自在に構成されたガター部材と、を有し、
前記カウルトップカバー本体部材は、前記フロントウィンドシールドの下端部の上面を覆い車幅方向に沿って延設される上側部と、前記フロントウィンドシールドの下端部の下方に配設される下側部と、前記フード当接部と、を有し、
前記カウルトップカバー本体部材の上側部は、前記フロントウィンドシールド保持部の一部を構成し、
前記ガター部材は、車両の前後方向における幅を有し、車幅方向に延設される底壁部と、車両の前後方向における前記底壁部の前方側側縁及び後方側側縁からそれぞれ立設し、車幅方向に沿って延設される第1壁部及び第2壁部と、を有し、
前記カウルトップカバー本体部材の下側部に装着され、車幅方向に沿って前記フロントウィンドシールドの下端部の下方に配置された前記ガター部材は、前記第1壁部の上端縁が、前記カウルトップカバー本体部材の上側部の下面に当接若しくは近接して配され、前記第1壁部と前記底壁部と前記第2壁部とによって、前記フロントウィンドシールドの下端部の下方側の周囲を包囲し、車幅方向に延びた水路部を形成してなることを特徴とするカウルトップカバー。
【請求項2】
前記ガター部材に車幅方向に沿った複数のクリップ部材を設け、前記カウルトップカバー本体部材の下側部に前記クリップ部材を係合させるクリップ取付部材を設け、前記下側部を車幅方向に沿った複数個所に設け、
前記各クリップ部材は、少なくとも前記底壁部又は前記第2壁部に連接され、
前記各下側部は、前記カウルトップカバー本体部に連接された縦壁と、前記縦壁の下端部から車両の後方側に屈折して延設された前記クリップ取付部材と、を有し、
前記各クリップ取付部材は、前記カウルトップカバー本体部の上側部の下面から離間した部位に配設され、
前記各クリップ部材又は前記各クリップ取付部材は、前記クリップ部材と前記クリップ取付部材との対向面側において、前記対向面側に開口した挿入穴が形成され、前記各クリップ取付部材又は前記各クリップ部材は、前記挿入穴内に挿入する挿入部材を有し、
前記挿入穴と前記挿入部材との対向面間には、前記挿入穴内に挿入した前記挿入部材の抜け止めを行う係止部が設けられてなることを特徴とする請求項1に記載のカウルトップカバー。
【請求項3】
前記挿入穴は、車幅方向の左右両側部が切欠かれた切欠溝として形成されてなり、
前記切欠溝の左右両側部からはみ出す前記挿入部材の左右両端部が、前記底壁部に連接されてなることを特徴とする請求項2に記載のカウルトップカバー。
【請求項4】
前記クリップ部材が、爪部体を介して前記第2壁部に連接し、前記爪部体の上端縁が、前記フロントウィンドシールドの下端部側の下面に当接し、
前記カウルトップカバー本体部材の上側部と前記爪部体とによって、前記フロントウィンドシールド保持部を構成してなることを特徴とする請求項2又は3に記載のカウルトップカバー。
【請求項5】
前記第1壁部の内面と前記底壁部の内面と前記第2壁部の内面との各内面を覆い、前記各内面間を連接する薄板部材が、車幅方向に沿って形成されてなることを特徴とする請求
項1〜4のいずれかに記載のカウルトップカバー。
【請求項6】
前記薄板部材の上端縁が、前記カウルトップカバー本体部材の上側部の下面又は前記フロントウィンドシールドの下端部側の下面に弾性的に接触するリップ部として構成されてなることを特徴とする請求項5に記載のカウルトップカバー。
【請求項7】
前記第1壁部と前記底壁部と前記第2壁部とによって構成される前記水路部の途中に排出部が形成され、前記排出部は、カウルトップカバーによって覆われた領域内に配した電装部品に排水が被ることがない領域に形成されてなることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のカウルトップカバー。
【請求項8】
前記ガター部材が、車幅方向に沿って複数に分割され、分割された前記各ガター部材が、車幅方向に離間して配設され、前記各ガター部材の両端部が前記排出部として構成されてなることを特徴とする請求項7に記載のカウルトップカバー。
【請求項9】
前記底壁部が、車幅方向における隣接する前記排出部間の中央部の部位から前記各排出部に向かって下り傾斜の傾斜面として形成されてなることを特徴とする請求項7又は8に記載のカウルトップカバー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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