説明

カウルルーバ構造

【課題】ブレーキオイル注入時にブレーキオイル容器を車両前方側に傾けて支持させる必要がある場合にも、ブレーキオイル容器を安定的に支持することができるカウルルーバ構造を得る。
【解決手段】着脱可能なカバー30は、係止機構38によって第二位置30Yにおける姿勢でカウルルーバ本体20に係止させられ、ブレーキオイル缶44を支持可能な姿勢で保持される。これにより、ブレーキオイル缶44はカバー30によって支持されると共に開口部22の開放側からの離脱が阻止される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カウルルーバ本体にブレーキオイル容器を挿入可能な開口部が形成されたカウルルーバ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
カウルルーバ構造においては、ブレーキオイル注入口(ブレーキオイル注入部)に対応してカウルルーバ本体に開口が形成されたものがある(例えば、特許文献1参照)。このような構造では、ブレーキオイル容器の交換を容易にするために、開口の車両前方側が開放されると共に、ブレーキオイル容器を支持可能にするために、開口の開放側の内周面からリブを突出形成させている。
【特許文献1】特開2007−38763公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、リブの突出量は制限されるため、ブレーキオイル注入口に対してカウルルーバが車両前方側に位置する構造等においてブレーキオイル注入時にブレーキオイル容器を車両前方側へ傾ける必要がある場合に、ブレーキオイル容器を安定的に支持できない可能性がある。
【0004】
本発明は、上記事実を考慮して、ブレーキオイル注入時にブレーキオイル容器を車両前方側に傾けて支持させる必要がある場合にも、ブレーキオイル容器を安定的に支持することができるカウルルーバ構造を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載する本発明のカウルルーバ構造は、ブレーキオイル注入部を備えたリザーブタンクの略車両上方側に配置され、ブレーキオイル容器から前記ブレーキオイル注入部を介してブレーキオイルを注入する際に前記ブレーキオイル容器が挿入される開口部が形成され、前記開口部が車両前方側に開放されたカウルルーバ本体と、前記カウルルーバ本体の前記開口部を覆う第一位置と、前記ブレーキオイルの注入時に前記ブレーキオイル容器を支持可能でかつ当該ブレーキオイル容器が前記開口部の開放側から離脱するのを阻止する第二位置と、に配置可能とされると共に、前記開口部の開放側から退避可能なカバーと、を有する。
【0006】
請求項1に記載する本発明のカウルルーバ構造によれば、カウルルーバ本体には車両前方側に開放された開口部が形成され、カウルルーバ本体の開口部は、第一位置に配置されたカバーによって覆われる。カバーは、開口部の開放側から退避可能となっており、開口部の開放側からカバーが退避されることによって、開口部の車両前方側が開放される。このように開口部の車両前方側を開放させることによって、ブレーキオイル容器は、開口部の開放側でカバーと干渉せずにカウルルーバ本体の開口部に挿入される。その結果、ブレーキオイル容器は、ブレーキオイル注入部を介してブレーキオイルを注入する位置に配置される。
【0007】
また、ブレーキオイルの注入時には、カバーが第二位置に配置されると、ブレーキオイル容器はカバーによって支持されると共に開口部の開放側からの離脱が阻止される。このため、ブレーキオイル容器の姿勢が安定的に維持される。
【0008】
請求項2に記載する本発明のカウルルーバ構造は、請求項1記載の構成において、前記カバーを前記カウルルーバ本体に対して着脱可能とする着脱手段が設けられている。
【0009】
請求項2に記載する本発明のカウルルーバ構造によれば、着脱手段によってカバーがカウルルーバ本体に対して着脱可能となっているので、カバーが外されることによって、カウルルーバ本体の開口部付近のスペースが確保される。このため、確保されたスペースによって、ブレーキオイル容器を開口部に挿入させる際の作業性が良好となる。
【0010】
請求項3に記載する本発明のカウルルーバ構造は、請求項2記載の構成において、前記着脱手段は、前記カバーを前記第二位置における姿勢で前記カウルルーバ本体に係止させる係止機構を備えている。
【0011】
請求項3に記載する本発明のカウルルーバ構造によれば、カバーは、着脱手段が備える係止機構によって、第二位置における姿勢でカウルルーバ本体に係止させられる。このため、カバーは、係止機構によってカウルルーバ本体に係止されれば、ブレーキオイル容器を支持可能な姿勢で保持される。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように、本発明に係る請求項1に記載のカウルルーバ構造によれば、ブレーキオイル注入時にブレーキオイル容器を車両前方側に傾けて支持させる必要がある場合にも、ブレーキオイル容器を安定的に支持することができるという優れた効果を有する。
【0013】
請求項2に記載のカウルルーバ構造によれば、簡易な構成でブレーキオイル容器を開口部に挿入させる際の作業性を良好にすることができるという優れた効果を有する。
【0014】
請求項3に記載のカウルルーバ構造によれば、係止機構によってカバーをカウルルーバ本体に係止させれば、ブレーキオイル容器の支持が可能な姿勢にカバーを保持することができるという優れた効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
(実施形態の構成)
本発明の一実施形態に係るカウルルーバ構造について図1〜図6を用いて説明する。なお、これらの図において適宜示される矢印FRは車両前方側を示しており、矢印UPは車両上方側を示しており、矢印INは車両幅方向内側を示している。
【0016】
図1には、カウルルーバ10が斜視図にて示され、図2には、本実施形態に係るカウルルーバ10の要部がカバー30を外した状態の分解斜視図にて示され、図3には、カウルルーバ10及びその周辺構造が縦断面図(図1の3−3線に沿った拡大断面図)にて示されている。図3に示されるように、カウルルーバ10は、概ねウインドシールドガラス12の下端部からエンジンルーム14を覆うフード16の後端部16Aにかけて配置されている。
【0017】
カウルルーバ10の略車両下方側には、カウル18が配設されている。カウル18は、カウルルーバ10の空気取入れ口20C(図1参照)を介してキャビン内へ向けて流入しようとする空気と水とを分離する機能を有している。なお、本実施形態では、カウルルーバ10及びカウル18は、意匠的な見地から一般的な従来構造よりもやや車両前方側に配設されている。
【0018】
カウルルーバ10は、カウルルーバ本体20を備えており、このカウルルーバ本体20は、エンジンルーム14内に搭載されたブレーキリザーブタンク42(「ブレーキリザーバタンク」ともいう。)の略車両上方側に配置されている。図1に示されるカウルルーバ本体20は、樹脂材料を用いてインジェクション成形することにより長尺状に形成されており、ウインドシールドガラス12の略車両下方側において車両幅方向に沿って配置されている。カウルルーバ本体20には、車両後方側に配置される上壁部20Aが形成されている。
【0019】
上壁部20Aは、略水平(より厳密には、車両後方側が若干高くなるように)に配置され、側断面視で車両上方側を径方向内側とする大径の(なだらかな)略円弧状に形成されている。また、本実施形態では、上壁部20Aの車両前方側の先端は、意匠的な見地から比較的車両前方側に位置しており、図2に示されるブレーキリザーブタンク42におけるブレーキオイル注入部42Aに対する車両前後方向の位置が一般的な従来構造よりも車両前方側に設定されている。また、上壁部20Aには、複数の空気導入用の貫通孔で構成された空気取入れ口20Cが形成されている。
【0020】
なお、カウルルーバ本体20の上壁部20Aの車両後方側の先端には、図3に示されるように、ゴム製のシール材46が嵌着されており、組付状態ではこのシール材46のリップ部がウインドシールドガラス12のガラス面に圧接されるようになっている。
【0021】
また、図1に示されるように、カウルルーバ本体20は、車両前方側へ向けて車両下方側に一段下がった段差状に形成されており、上壁部20Aの車両前方側には、上壁部20Aから一段下がった前板部20Bを備えている。前板部20Bの前端部には、車両幅方向に沿って溝部120Bが形成され、この溝部120Bには、ゴム製のシール材とされるフードシールゴム48(図3参照)が嵌着されて車両幅方向に延在している。図3に示されるように、組付状態ではフードシールゴム48がフード16の後端部16Aに圧接されるようになっている。
【0022】
図2に示されるように、カウルルーバ本体20における前板部20Bの長手方向の一端側(図2では図中左側)には、車両前方側に開放した開口部22(「切欠き凹部」としても把握される要素である。)が形成されている。この開口部22は、ブレーキリザーブタンク42におけるブレーキオイル注入部42Aの略車両上方側に対応する位置に設けられている。また、開口部22は、ブレーキオイル注入部42A上に配置されるブレーキオイル容器としてのブレーキオイル缶44(「ブレーキリザーブオイル缶」ともいう、図5参照)を挿入することが可能な大きさに設定されており、開口部22の開放側端部24同士の間隔は、ブレーキオイル缶44の外径よりも若干大きくなっている。図5に示されるように、ブレーキオイル缶44からブレーキオイル注入部42Aを介してブレーキオイルを注入する際(換言すれば、ブレーキオイル缶44がブレーキオイル注入部42A上に配置される際)には、ブレーキオイル缶44が開口部22に挿入されるようになっている。
【0023】
図2に示されるように、開口部22の外周部23は、カウルルーバ10を構成する構成品であるカバー30(詳細後述)が載置可能な載置部を含んで構成されている。開口部22の外周部23には、開口部22よりも車両後方側となる部位にカバー30の取付用の差込孔26が略車両幅方向に並んで計三箇所に貫通形成されている。本実施形態では、三個の差込孔26のうち中間に設けられた差込孔26(26B)は、車幅方向内側に配置される差込孔26(26A)よりも車両幅方向外側に配置される差込孔26(26C)に近い位置に形成されている。また、開口部22の外周部23には、車両前方側の左右両サイド部位にカバー30の取付用とされる取付孔28(クランプ孔)が貫通形成されている。
【0024】
図1に示されるように、カバー30(一般には「サービスカバー」と呼ばれる)は、カウルルーバ本体20の開口部22を覆う第一位置30Xに配置可能とされている。このカバー30は、樹脂材料を用いてインジェクション成形することにより形成されており、第一位置30Xに配置された状態では、車両上方側から見た外観視で、カウルルーバ本体20と連続的な形状を形成するようになっている。
【0025】
カバー30は車両後方側に配置される一端側に湾曲板部30Aを備えている。湾曲板部30Aは、側断面視で湾曲しており(図3参照)、第一位置30Xに配置された状態でカウルルーバ本体20の上壁部20Aと連続するようになっている。図2に示されるように、この湾曲板部30Aからは、カウルルーバ本体20の差込孔26に差込可能な第一爪部32が計三個突出して形成されている。三個の第一爪部32のうち中間に設けられた第一爪部32(32B)は、車幅方向内側に配置される第一爪部32(32A)よりも車両幅方向外側に配置される第一爪部32(32C)に近い位置に形成されている。
【0026】
また、カバー30は車両前方側に配置される他端側に平板部30Bを備えている。平板部30Bは、湾曲板部30Aに対して段違いになっており、側断面視で概ね略平板状とされ(図3参照)、第一位置30X(図1参照)に配置された状態でカウルルーバ本体20の前板部20Bと連続するようになっている。平板部30Bにおける湾曲板部30A側とは反対側の端末部からは、カウルルーバ本体20の取付孔28に嵌合可能な第二爪部34が左右一対形成されている。これらの第二爪部34は、側断面視で略U字形状とされている。
【0027】
ここで、図3に示されるように、差込孔26に第一爪部32が差し込まれ(係止され)、取付孔28に第二爪部34が嵌合(係止)することによって、カバー30はカウルルーバ本体20に第一位置30Xで取り付けられるようになっている。すなわち、カウルルーバ本体20の差込孔26及び取付孔28と、カバー30の第一爪部32及び第二爪部34とは、カバー30をカウルルーバ本体20に対して着脱可能とする着脱手段を構成している。また、第一爪部32が差込孔26から抜かれ、第二爪部34が取付孔28から抜かれた状態では、図2に示されるように、カバー30を任意の位置に移動させることが可能で開口部22の開放側から退避させることが可能となっている。
【0028】
なお、このような着脱式(脱着式)のカバー30は、ブレーキオイルの交換時における作業性を考慮し、カウルルーバ本体20を外さずにブレーキオイルの交換を可能にするために設定されたものである。
【0029】
図6には、カバー30が裏面側から見た状態の斜視図にて示されている。図6に示されるように、カバー30における平板部30Bの裏面側のカバー幅方向(矢印30W方向)で左右両側寄りの部位には、着脱手段としての固定用の第三爪部36(リブ)が突出形成されている。これらの一対の第三爪部36は、図4に示されるように、カウルルーバ本体20の取付孔28に対し嵌合(係止)可能とされており、第三爪部36及び取付孔28によってカバー30がカウルルーバ本体20に対して着脱可能となっている。
【0030】
ここで、図4及び図5に示されるように、第三爪部36が取付孔28に嵌合(係止)されてカバー30がカウルルーバ本体20に固定された状態では、カバー30は、起立姿勢が保持された第二位置30Yに配置される。すなわち、第三爪部36が取付孔28に嵌合(係止)される係止機構38は、カバー30を第二位置30Yにおける姿勢でカウルルーバ本体20に係止させるようになっている。カバー30は、この第二位置30Yでは、開口部22の開放側端部24(図2参照)同士を連結することによって開口部22の開放側(開放側端部24間)を塞いでおり、ブレーキオイルの注入時に(開口部22に挿入されてブレーキオイル注入部42A上に配置される)ブレーキオイル缶44を支持可能でかつブレーキオイル缶44が開口部22の開放側から離脱(抜け出す)するのを阻止するようになっている(ブレーキオイル缶の自立保持機構)。ちなみに、カバー30が第二位置30Yに配置された状態でのフードシールゴム48(図4参照)の伸びは比較的小さい。
【0031】
なお、ブレーキオイル缶44は、ブレーキオイル注入部42Aに対するカウルルーバ本体20の開口部22の外周部23(図5参照)の相対位置関係により、車両前方側にやや傾けて起立させる必要があり、第二位置30Yに配置されたカバー30は、車両前方側に傾倒したブレーキオイル缶44を支持可能な設定となっている。
【0032】
また、図5に示されるように、この第二位置30Yでカバー30の三個の第一爪部32のうち中間に設けられた第一爪部32(32B)と車幅方向内側に配置される第一爪部32(32A)とは、ブレーキオイル注入部42A上に配置されたブレーキオイル缶44の外周側を挟むように設定されており、ブレーキオイル缶44の位置決めをなす位置決め手段としても機能している。
【0033】
また、図6に示されるように、カバー30の平板部30Bの裏面側においてカバー幅方向(矢印30W方向)の中央部側でかつ湾曲板部30A側へ屈曲される端部からは平板部30Bから離間する方向へアーム部40が延設されている。アーム部40は平板状とされ、その先端部には、円弧状に切り欠かれた切欠部40Aが形成されている。図5に示されるように、切欠部40Aは、ブレーキオイル缶44の外周面に対応するように、ブレーキオイル缶44の外径と略同一の径(厳密には極僅かに大径)の円弧形状に形成されている。
【0034】
アーム部40は、カバー30が第二位置30Yに配置されてブレーキオイル缶44がブレーキオイル注入部42A上に配置された状態(すなわち、ブレーキオイルの注入時の状態)では、切欠部40Aがブレーキオイル缶44の外周面に接するように延出長さが設定されており、ブレーキオイル缶44を位置決め及び支持(サポート)することが可能になっている。つまり、カバー30が第二位置30Yに配置された状態では、切欠部40Aが形成されたアーム部40は、ブレーキオイル缶44の位置決めをなす位置決め手段、及びブレーキオイル缶44を支持する支持手段として機能し得るようになっている。
【0035】
(実施形態の作用・効果)
次に、上記実施形態の作用及び効果について説明する。
【0036】
図2に示されるように、カウルルーバ本体20には車両前方側に開放された開口部22が形成されているが、通常時においては、図1に示されるように、カウルルーバ本体20の開口部22は、第一位置30Xに配置されたカバー30によって覆われる。
【0037】
ここで、図2に示されるカバー30は、カウルルーバ本体20の差込孔26及び取付孔28と、カバー30の第一爪部32及び第二爪部34とによって、カウルルーバ本体20に対して第一位置30X(図1参照)に着脱可能となっている。このため、車両点検時(ブレーキオイルの注入時等)において、カバー30が外されることによって、開口部22の開放側からカバー30が退避され、カウルルーバ本体20の開口部22付近にスペースが確保される。
【0038】
開口部22の車両前方側が開放されると、ブレーキオイル缶44(図5参照)をカウルルーバ本体20の開口部22に挿入してブレーキオイル注入部42A上に配置する際の作業性は良好となる。すなわち、ブレーキオイル缶44(図5参照)は、その蓋が外されて作業者の親指等で注ぎ口44A(図5参照)が押さえられた状態で注ぎ口44Aが下に向けられた後にブレーキオイル注入部42Aの位置方向へ移動させられるが、このときに、ブレーキオイル缶44(図5参照)は、開口部22の開放側でカバー30と干渉せずにカウルルーバ本体20の開口部22に挿入される。その結果、図4に示されるように、ブレーキオイル缶44は、容易にその注ぎ口44Aがブレーキオイル注入部42Aに挿入され、ブレーキオイル注入部42Aを介してブレーキオイルを注入する位置に配置される。
【0039】
また、図2に示される開口部22の車両前方側が十分に開放されることによる他の利点について、対比構造と比較しながら補足説明すると、例えば、ブレーキオイル缶(ブレーキオイル容器)を保持するためにブレーキリザーブタンク周辺でカウルルーバ本体からアームを延設した対比構造では、カウルルーバが配設された状態で(ブレーキオイル缶ではなく)オイル充填機を用いてブレーキオイルの充填作業を行う場合、アームによって作業スペース(開口部の車両前方側の間口)が十分に確保できない。これに対して本実施形態では、アームが延設されておらずカバー30も外されるので、工場等でオイル充填機を用いてブレーキオイルの充填作業を行う場合にも、作業スペースが十分に確保される。
【0040】
また、ブレーキオイル缶44(図5参照)が開口部22に挿入されてブレーキオイル注入部42A上(ブレーキオイルを注入する位置)に配置された後には、図5に示されるように、作業者によって第一位置30X(図1参照)から外されたカバー30がカウルルーバ本体20に取り付けられる。カバー30は、係止機構38によって第二位置30Yにおける姿勢でカウルルーバ本体20に係止させられ、ブレーキオイル缶44を支持可能な姿勢で保持される。これにより、ブレーキオイル缶44は、第二位置30Yに配置されるカバー30によって、支持されると共に、開口部22の開放側からの離脱が阻止される。
【0041】
このとき、ブレーキオイル缶44は、カバー30における湾曲板部30Aの先端部、第一爪部32(32A、32B)及びアーム部40の切欠部40Aに接して、所定位置に位置決めされた状態で支持されている。また、カバー30は、開口部22の開放側端部24(図2参照)同士を連結することによって開口部22の開放側を塞いでブレーキオイル缶44が開口部22の開放側から離脱するのを阻止している。これらによって、ブレーキオイル缶44のやや車両前方側に傾倒した起立姿勢が安定的に維持される。
【0042】
以上説明したように、本実施形態に係るカウルルーバ構造によれば、ブレーキオイル注入時にブレーキオイル缶44を車両前方側に傾けて支持させる必要がある場合にも、ブレーキオイル缶44を安定的に支持することができる。
【0043】
その結果として、作業者がブレーキオイル缶44から手を離してもブレーキオイル缶44は所定の起立姿勢で保持されるので、作業者は、ブレーキオイル缶44をセットした後に運転席に移動してブレーキペダルのポンピング作業を行うこと(つまり一人で作業を行うこと)ができる。また、作業者がわざわざカウルルーバ本体20等を外してブレーキオイル缶44を起立させるような作業も不要となる。
【0044】
(実施形態の補足説明)
なお、上記実施形態に係るカウルルーバ構造では、カバー30が着脱可能とされているが、カウルルーバ構造は、例えば、カバーをカウルルーバ本体に対して相対移動(例えば、スライド移動や回転移動)させる機構を有する構造であってもよい。すなわち、カバーは、カウルルーバ本体に対して相対移動(スライド移動や回転移動)することによって、カウルルーバ本体の開口部を覆う第一位置と、ブレーキオイルの注入時にブレーキオイル容器を支持可能でかつ当該ブレーキオイル容器が開口部の開放側から離脱するのを阻止する第二位置と、に配置可能とされると共に、カウルルーバ本体に対して相対移動(例えば、カウルルーバ幅方向(車両幅方向)へのスライド移動やカウルルーバ幅方向の一端側を軸とした車両前後方向の軸回りの回転移動等)することによって、開口部の開放側から退避可能とされたような他のカバーであってもよい。
【0045】
また、カバーは、例えば、車両後方側に配置される部位が車両前方側に配置される部位に対して起立するように相対移動をすることによって、第二位置(すなわち、ブレーキオイルの注入時にブレーキオイル容器を支持可能でかつ当該ブレーキオイル容器が開口部の開放側から離脱するのを阻止する位置)に配置されるような他のカバーであってもよい。
【0046】
さらに、上記実施形態では、第二位置30Yに配置されたカバー30は、開口部22の開放側端部24同士を連結することによって開口部22の開放側を塞いでおり、このような構成がブレーキオイル缶44の開口部22からの離脱を阻止する構成として好ましいが、第二位置に配置されたカバーは、例えば、開口部の開放側に起立姿勢で配置されると共に、開口部の開放側端部間の寸法をブレーキオイル容器が離脱不能な寸法にすることによって、ブレーキオイルの注入時にブレーキオイル容器を支持可能でかつ当該ブレーキオイル容器が開口部の開放側から離脱するのを阻止するようなカバーであってもよい。
【0047】
さらにまた、上記実施形態では、着脱手段を兼ねる係止機構38が、カバー30を第二位置30Yにおける姿勢でカウルルーバ本体20に係止させる構造になっているが、カウルルーバ構造は、着脱手段とは別に、カバーを第二位置における姿勢でカウルルーバ本体に保持する姿勢保持手段を有していてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の一実施形態に係るカウルルーバ構造を示す斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るカウルルーバ構造の要部をカバーが外された状態で示す分解斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るカウルルーバ構造及びその周辺構造を示す縦断面図(図1の3−3線に沿った拡大断面図)である。
【図4】本発明の一実施形態に係るカウルルーバ構造において、第二位置に配置されたカバーがブレーキオイル缶を支持している状態を示す縦断面図である。
【図5】本発明の一実施形態に係るカウルルーバ構造において、第二位置に配置されたカバーがブレーキオイル缶を支持している状態を示す斜視図である。
【図6】本発明の一実施形態に係るカウルルーバ構造のカバーを裏面側から見た状態で示す斜視図である。
【符号の説明】
【0049】
10 カウルルーバ
20 カウルルーバ本体
22 開口部
26 差込孔(着脱手段)
28 取付孔(着脱手段)
30 カバー
30X 第一位置
30Y 第二位置
32 第一爪部(着脱手段)
34 第二爪部(着脱手段)
36 第三爪部(着脱手段)
38 係止機構(着脱手段)
42 ブレーキリザーブタンク
42A ブレーキオイル注入部
44 ブレーキオイル缶(ブレーキオイル容器)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブレーキオイル注入部を備えたリザーブタンクの略車両上方側に配置され、ブレーキオイル容器から前記ブレーキオイル注入部を介してブレーキオイルを注入する際に前記ブレーキオイル容器が挿入される開口部が形成され、前記開口部が車両前方側に開放されたカウルルーバ本体と、
前記カウルルーバ本体の前記開口部を覆う第一位置と、前記ブレーキオイルの注入時に前記ブレーキオイル容器を支持可能でかつ当該ブレーキオイル容器が前記開口部の開放側から離脱するのを阻止する第二位置と、に配置可能とされると共に、前記開口部の開放側から退避可能なカバーと、
を有するカウルルーバ構造。
【請求項2】
前記カバーを前記カウルルーバ本体に対して着脱可能とする着脱手段が設けられている請求項1記載のカウルルーバ構造。
【請求項3】
前記着脱手段は、前記カバーを前記第二位置における姿勢で前記カウルルーバ本体に係止させる係止機構を備えている請求項2記載のカウルルーバ構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−64702(P2010−64702A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−235135(P2008−235135)
【出願日】平成20年9月12日(2008.9.12)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(000002967)ダイハツ工業株式会社 (2,560)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【出願人】(000100780)アイシン化工株式会社 (171)
【Fターム(参考)】