カウンセリングシステム
【課題】 健康状態、精神状態あるいは肌状態のトラブルの本質を体系的にとらえられるとともに、それを視覚的に表現できるシステムを提供する。
【解決手段】 各種データを記憶する記憶部1、画像を表示する画像表示部3、処理部2を備える。記憶部1には、複数の自覚的要素xと、複数の非自覚的要素yと、自覚的要素xあるいは非自覚的要素yのうち、結果となる特定の要素に対して原因となる要素の因果律とを記憶させる。処理部2は、記憶部1に記憶されている自覚的要素x、非自覚的要素yおよびそれらの因果律を基にして、因果律を有する要素同士を、因果関係表示手段で関連付けた相関図を画像表示部3に表示させる機能と、記憶部1に記憶されているデータを用いて、カウンセリングテーマに応じた因果関係連鎖を特定表示する機能とを備えてなる。
【解決手段】 各種データを記憶する記憶部1、画像を表示する画像表示部3、処理部2を備える。記憶部1には、複数の自覚的要素xと、複数の非自覚的要素yと、自覚的要素xあるいは非自覚的要素yのうち、結果となる特定の要素に対して原因となる要素の因果律とを記憶させる。処理部2は、記憶部1に記憶されている自覚的要素x、非自覚的要素yおよびそれらの因果律を基にして、因果律を有する要素同士を、因果関係表示手段で関連付けた相関図を画像表示部3に表示させる機能と、記憶部1に記憶されているデータを用いて、カウンセリングテーマに応じた因果関係連鎖を特定表示する機能とを備えてなる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、健康状態、精神状態あるいは肌状態等の種々のカウンセリングに用いることができるカウンセリングシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のカウンセリングシステムとして、例えば、特許文献1に示すものが従来知られている。このカウンセリングシステムがテーマにしているのは、にきびや小皺などの肌トラブルと、これら各肌トラブルへの対処方法に関するカウンセリングである。このシステムにおいては、にきびや小皺などの肌トラブルと、これら各肌トラブルへの対処方法とを記憶している。そして、カウンセリングを受ける本人がトラブルに関連する種々のアンケートに回答すると、その回答に応じて、上記本人がカウンセリングして欲しい肌トラブルへの対処方法等が表示される。
【特許文献1】特開2003−093351号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
カウンセリングテーマとなる肌トラブルを解消するためには、単に肌をケアするだけでは足りず、身体や心をケアしなければならないことが多い。つまり、肌トラブルは、肌、身体、心に関連する多くの要因が複雑に絡み合うことによって生じるのである。
しかし、従来のカウンセリングシステムにおいては、肌トラブルへの種々の対処方法が示されるだけで、こうした対処方法が必要となる理由を、わかりやすく体系的に説明できるものではない。そのため、カウンセリングを受ける本人は、肌トラブルが生じる因果関係について何ら理解できないまま、示された対処方法を実践するしかなかった。
しかし、化粧品や薬を塗ったり、あるいは肌にマッサージをしたりするような直接的な対処方法は継続して行えるが、肌トラブルが生じる因果関係を理解していないと、例えば身体や心をケアするといった間接的な対処方法については、時間の経過とともに認識が薄れてしまい、継続できなくなってしまう。
【0004】
上記のことは、健康状態や精神状態のカウンセリングについても同様で、あるトラブルに対して、単に現象だけをとらえるのではなく、その根本的な要因を追求し、それらを体系的に表現できなければ、本当の意味でのカウンセリングをしたことにはならない。
つまり、従来のカウンセリングシステムにおいては、トラブルの因果関係を、カウンセリングを受ける本人が体系的に理解できないため、カウンセリングの効果が半減されたり、あるいは対処方法を継続できなかったりするという問題があった。
【0005】
また、人によっては、自分がカウンセリングを受ける目的をはっきり認識できないことがある。このような場合には、カウンセリングを受ける本人は、自己診断結果をカウンセラーに申告するとともに、カウンセラーも本人の申告をもとにカウンセリングせざるを得ないことが多くなる。
しかしながら、カウンセラーにとっては、カウンセリングを受ける本人の自己申告はあくまでも参考要素にすぎず、本人が抱えている本質的な問題をいち早く体系的にとらえるのが、最大のテーマになる。そして、本質的な問題の中には、本人がまったく自覚していないような事柄もある。
このような場合に、従来のカウンセリングシステムでは、本人が自覚していない本質的な問題を体系化して、それを浮き彫りにすることができなかった。
【0006】
この発明の目的は、健康状態、精神状態あるいは肌状態のトラブルの本質を体系的にとらえられるとともに、それを視覚的に表現できるシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、各種データを記憶する記憶部と、画像を表示する画像表示部と、処理部とを備え、記憶部には、複数の自覚的要素と、複数の非自覚的要素と、上記自覚的要素あるいは非自覚的要素のうち、結果となる特定の要素に対して原因となる要素の因果律とを記憶させるとともに、処理部は、記憶部に記憶されている上記自覚的要素、非自覚的要素およびそれらの因果律を基にして、因果律を有する要素同士を、因果関係表示手段で関連付けた相関図を画像表示部に表示させる機能と、上記記憶部に記憶されているデータを用いて、カウンセリングテーマに応じた因果関係連鎖を特定表示する機能とを備えた点に特徴を有する。
なお、上記因果関係表示手段の中で典型的な例は矢印であるが、この発明においては、必ずしも矢印に限定されるものではない。単なる線でもかまわないし、その線を鎖状に表現したものでもよい。要するに因果関係表示手段は、自覚的要素および非自覚的要素からなる各要素の因果律を特定できる手段であれば、どのようなものを用いてもよい。
【0008】
第2の発明は、第1の発明を前提として、処理部が、カウンセリングに必要な質問項目に対する回答が入力されたとき、その回答に応じて上記自覚的要素や非自覚的要素の得点を演算し、それら得点を各要素に対応付けて記憶部に記憶させる機能を備えた点に特徴を有する。
【0009】
第3の発明は、第2の発明を前提として、記憶部にはカウンセリングに必要な質問項目を記憶させるとともに、処理部は、その質問項目を画像表示部に表示する機能と、画像表示部に表示された質問項目に対する回答が入力されたとき、自覚的要素や非自覚的要素の得点を演算する機能を備えた点に特徴を有する。
第4の発明は、第3の発明を前提として、記憶部にはカウンセリングを受ける本人の属性やカウンセリングテーマに応じて複数の質問パターンをあらかじめ記憶させ、処理部は、入力されたカウンセリングを受ける本人の属性やカウンセリングテーマに応じて、記憶部に記憶されている複数の質問パターンの中から特定の質問パターンを選択する機能を備えた点に特徴を有する。
【0010】
第5の発明は、第3の発明を前提として、記憶部には複数の質問項目を記憶させるとともに、処理部は、前問の回答に応じて、記憶部に記憶されている質問項目の中から後問を選択する機能を備えた点に特徴を有する。
第6の発明は、第2〜5の発明を前提として、処理部が、特定の要素が、前記質問項目に応じて複数回得点したときには、それら得点の全てを合計して、特定の要素の得点として記憶部に記憶させる機能を備えた点に特徴を有する。
【0011】
第7の発明は、第2〜6の発明を前提として、記憶部には、互いに因果律があるものとしてあらかじめ特定されている上記自覚的要素および非自覚的要素からなる各要素間の相関係数を記憶し、処理部は、質問項目に対する回答が入力されたとき、その回答に応じて所定の自覚的要素に得点を与えるとともに、この得点を与えられた自覚的要素と直接または間接的に因果律がある1または複数の他の要素を特定し、これら特定した他の要素には、上記所定の自覚的要素に与えられた得点に、上記所定の自覚的要素から特定した他の要素までの間に存在する相関係数を乗算した乗算結果を得点として与え、当該得点を記憶部に記憶させる機能を備えた点に特徴を有する。
【0012】
第8の発明は、第7の発明を前提として、処理部が、最初に得点が与えられた上記所定の自覚的要素と直接または間接的に因果律がある1または複数の他の要素を特定する場合であって、上記所定の自覚的要素に対して結果となる要素があるとき、当該所定の自覚的要素から因果関係連鎖の正方向に結果となる要素を特定していく点に特徴を有する。
第9の発明は、第7または8の発明を前提として、処理部が、最初に得点が与えられた上記所定の自覚的要素と直接または間接的に因果律がある1または複数の他の要素を特定するとき、上記所定の自覚的要素に対して直接または間接的に原因となる要素であって、しかも複数の結果となる要素を有する要素の中から上記所定の自覚的要素に最も近い要素を特定し、この特定した要素から因果関係連鎖の正方向に結果となる要素を特定していく点に特徴を有する。
【0013】
第10の発明は、第7の発明を前提として、処理部が、最初に得点が与えられた上記所定の自覚的要素と直接または間接的に因果律がある1または複数の他の要素を特定するとき、上記所定の自覚的要素から因果関係連鎖を遡りながら原因となる要素を特定していく点に特徴を有する。
第11の発明は、第7〜10の発明を前提として、記憶部が、カウンセリングを受ける本人の属性やカウンセリングテーマに応じた相関係数を記憶した点に特徴を有する。
第12の発明は、第7〜10の発明を前提として、処理部が、カウンセリングを受ける本人の属性やカウンセリングテーマに応じて相関係数を可変にする機能を備えた点に特徴を有する。
【0014】
第13の発明は、第2〜12の発明を前提として、処理部が、上記演算結果である得点を、上記相関図における自覚的要素あるいは非自覚的要素に対応付けて、画像表示部に表示させる機能を備えた点に特徴を有する。
第14の発明は、第2〜13の発明を前提として、処理部が、自覚的要素または非自覚的要素のうち、結果となる特定の要素に対して複数の原因となる要素があるとき、これら複数の原因となる要素のうち最も得点の高い要素を選択して上記因果関係連鎖を特定する機能を備えた点に特徴を有する。
第15の発明は、第2〜14の発明を前提として、処理部は、画像表示部に相関図を表示させるとき、上記相関図における自覚的要素あるいは非自覚的要素のうち、上位1〜5番目までの得点を与えられた要素を強調表示する機能を備えた点に特徴を有する。
第16の発明は、第1〜15の発明を前提として、処理部が、上記相関図の中で、カウンセリングテーマに応じて特定された因果関係連鎖のみを画像表示部に表示させる機能を備えた点に特徴を有する。
【0015】
第17の発明は、第1〜15の発明を前提として、処理部が、上記相関図の中で、カウンセリングテーマに応じて特定された因果関係連鎖を強調表示する機能を備えた点に特徴を有する。
第18の発明は、第1〜17の発明を前提として、上記相関図が、カウンセリング分野に対応した複数の相関エリアを備えるとともに、これら各相関エリア内または各相関エリアの近傍に、関連性があるかあるいは関連性が高い上記自覚的要素および非自覚的要素を配置した点に特徴を有する。
【発明の効果】
【0016】
第1の発明によれば、健康状態、精神状態あるいは肌状態等のカウンセリングテーマに対して、それらの自覚的要素と非自覚的要素との因果関係連鎖を、因果関係表示手段を介して画像表示部に表示できるので、カウンセラーもカウンセリングを受ける本人も、カウンセリングテーマの本質的な問題を体系的に理解できる。このようにカウンセリングテーマの本質的な問題を体系的に理解できれば、カウンセラーもより適切なカウンセリングをすることができるとともに、本人もカウンセラーのアドバイスを正確にかつ適切に理解することができ、カウンセリング効果のいっそうの向上が期待できる。
【0017】
第2の発明によれば、カウンセリングに必要な質問項目の回答に応じて、上記自覚的要素や非自覚的要素の得点を演算でき、しかも、その演算結果を記憶部に記憶しておけるので、カウンセラーはその演算結果を、画面表示させたり、あるいはプリントアウトさせたりすることによって、上記自覚的要素や非自覚的要素を定量的に把握できる。したがって、カウンセラーは数値を基にして、適切なカウンセリングをすることができる。
第3の発明によれば、質問項目に対応させて自覚的要素や非自覚的要素の得点を演算するので、質問項目と得点との対応関係を誤ることがなくなる。
【0018】
第4の発明によれば、カウンセリングを受ける本人の属性やカウンセリングテーマに応じて、質問項目を変えられるので、状況に応じて個性的な回答が得られるようになり、その分、より有効なカウンセリングが可能になる。また、不要な質問項目を排除することができるので、カウンセリングを受ける時間を短縮することができる。
第5の発明によれば、当該システムが自動的に質問事項を選択するので、質問事項の選択に関し、カウンセラーの恣意的な判断が排除され、その分、客観的なカウンセリングが可能になる。また、不要な質問項目を排除することができるので、カウンセリングを受ける時間を短縮することができる。
第6の発明によれば、特定の要素に対して得点が複数与えられたとき、これらの得点を全て合計して得点を演算するので、カウンセリングを受ける人にとって重要となる要素をより明確にすることができる。
【0019】
第7の発明によれば、自覚的要素および非自覚的要素からなる各要素間の相関係数に基づいて、上記自覚的要素や非自覚的要素の得点を演算でき、その演算結果を記憶部に記憶しておけるので、第2の発明と同様に、カウンセラーはその演算結果を、画面表示させたり、あるいはプリントアウトさせたりして、因果律の強弱を定量的に把握できる。したがって、第7の発明によれば、カウンセラーは数値を基にして、適切なカウンセリングをすることができる。
第8、第9の発明によれば、カウンセリングテーマの原因を体系化するのみならず、当該カウンセリングを受ける人に併発的に起こっている、あるいは今後起こりうるトラブルをも体系的に表示することができる。したがって、カウンセリングを受ける人が認識していない事柄についても、カウンセリングを行うことができる。
【0020】
第10の発明によれば、質問の回答に応じて特定された自覚的要素の原因を遡って得点が与えられるので、特に、カウンセリングテーマが明確な場合には、当該カウンセリングテーマとなるトラブルの原因を明確に体系化することができる。
第11、第12の発明によれば、カウンセリングを受ける本人の属性やカウンセリングテーマに応じて、上記相関係数を変えられるので、状況に応じてより個性的なカウンセリングが可能になる。
第13の発明によれば、画像表示部に表示された自覚的要素あるいは非自覚的要素には、演算結果を表示させられるので、カウンセラーもカウンセリングを受ける本人も、画像表示部に表示された画像を基にして、因果関係等を定量的に把握できる。
【0021】
第14の発明によれば、上記得点に基づいて、因果関係連鎖を特定できるので、その因果関係連鎖は、定量的な評価が織り込まれたものとなり、それだけ信頼性が向上することになる。
第15の発明によれば、相関図中の得点の高い要素が強調表示されるので、当該カウンセリングを受ける人に併発的に起こっている、あるいは今後起こりうるトラブルについて本人が意識していないような場合でも、それを明確に意識させることができる。
第16、第17の発明によれば、必要な因果関係連鎖が浮き彫りにされるので、カウンセリングテーマに応じた明快な相関図を作成することができる。
第18の発明によれば、カウンセリング分野に対応した複数の相関エリアを設け、このエリアに関連性があるかあるいは関連性が高い上記自覚的要素および非自覚的要素を配置したので、自覚的要素および非自覚的要素の相関性とともに、カウンセリングにおける各要素の位置づけが明確になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
図1〜図11を用いて、肌状態のカウンセリングに最適な実施形態について説明する。
図1に示すように、このカウンセリングシステムは、各種データを記憶する記憶部1と、画像等を制御する処理部2と、処理部2で制御された画像を表示する画像表示部3と、カウンセリングに必要な質問項目に対する回答を入力する入力部4とを備えている。
上記記憶部1には、図2に示すような、年齢や性別等のカウンセリングを受ける本人の属性に関する質問項目と、図3に示すような、にきび、小皺、くま、肌荒れ等の肌トラブルに関連する質問項目、すなわちカウンセリングに必要となる質問項目とが記憶されている。
また、上記記憶部1には、上記各質問項目とともに、処理部2が制御する基となる相関図(図4)が記憶されている。
【0023】
この図4に示す相関図においては、相関エリアとして肌エリア11、身体エリア12、および心エリア13の3エリアを備えており、これら各エリア11〜13内または各エリア11〜13の近傍に、それらと関連性があるかあるいは関連性が高い複数の自覚的要素xおよび非自覚的要素yを配置している。
なお、相関エリアというのは、健康状態、精神状態あるいは肌状態等のカウンセリング分野に関わりがある事象を示している。したがって、相関エリアはカウンセリング分野に応じて異なることになるが、この実施形態では、カウンセリング分野を肌状態としているので、肌状態に関わりがある、肌、身体、心を相関図に示している。
【0024】
ここで、上記自覚的要素xとは、五感や症状などから人が自ら認識することができるものであり、図4においては、「にきび」、「にきび跡」、「脂っぽい」、「キメが粗い」等、楕円の枠で囲まれたものが該当する。
一方、非自覚的要素yとは、上記自覚的要素xに対して直接または間接的な原因となるもののことで、図4においては、「皮脂分泌」、「毛穴の詰まり」、「バリア機能低下」等、四角の枠で囲まれたものが該当する。
ただし、図4における自覚的要素xあるいは非自覚的要素yの分類はあくまで一例であり、各要素を自覚的要素xあるいは非自覚的要素yのいずれに分類するかは、適宜決定すればよい。
そして、各自覚的要素xおよび非自覚的要素yは、肌、身体、心の中で、最も関わりが高いと考えられるエリアの中、あるいはその近傍に配置されている。
【0025】
また、上記相関図に示される自覚的要素xおよび非自覚的要素yは、他の自覚的要素xあるいは非自覚的要素yに対して原因と結果の関係にあり、図4に示すように、原因に対して結果となる各要素間すなわち因果律を有する要素間のすべては、因果関係表示手段である矢印で結ばれている。この矢印は、原因となる要素から結果となる要素に向かって指し示されているので、最終結果が特定されれば、上記矢印が指し示す方向とは逆方向にたどっていくことにより、その因果関係の連鎖が浮かび上がってくることになる。そして、記憶部1は、これらの矢印に従った因果関係の連鎖を記憶している。
【0026】
なお、図4においては、実線で示す矢印と、点線で示す矢印とがあるが、実線で記した矢印は、各要素間の因果関係が医学的見地あるいは学術的見地から立証されている場合であり、点線で記した矢印は、医学的あるいは科学的な根拠は必ずしもはっきりしていないが、経験的にかなりの正確性をもって関連付けられる場合である。そして、実線の矢印と点線の矢印とは、あらかじめ記憶部1に記憶されているものである。
また、「キメが粗い」と「肌乾燥」のように、自覚的要素x同士が原因と結果の関係になることもあれば、「栄養の偏り」と「ビタミンB群不足」のように、自覚的要素xが原因となり、非自覚的要素yが結果となることもある。
【0027】
いずれにしても、図4に示す相関図を表すのに必要なすべてのデータは、あらかじめ記憶部1に記憶されていて、処理部2がこれらのデータを利用して、画像表示部3に当該相関図を画像として表示するようにしている。
そして、上記のように矢印で結ばれた各要素間には、相関係数があらかじめ設定されているとともに、その設定された相関係数は記憶部1に記憶されている。なお、相関係数というのは、矢印で結ばれた両要素間の関係の強さを表すものであるが、その詳細については後で説明する。
【0028】
また、この実施形態では、カウンセリングをするにあたって、あらかじめ所定の質問を用意し、カウンセリングを受ける本人に、その質問に答えてもらうようにしている。そして、この質問事項は、記憶部1にあらかじめ記憶させておくとともに、記憶された質問事項は、処理部2が画像表示部3に表示させるようにしている。
したがって、カウンセリングを受ける本人は、画像表示部3に表示された質問事項に一つひとつ応えていくことになるが、その回答形式は、「はい」あるいは「いいえ」の択一的なものにしている。そして、特定の質問に「はい」と答えたときには、その答えに対応する自覚的要素を特定できるように質問項目と自覚的要素との対応関係をあらかじめ定めておき、特定の質問に応じて、自覚的要素が特定されたときには、処理部2がその特定された自覚的要素に得点として一律に1点を付与するようにしている。
【0029】
次に、この実施形態の作用を説明する。
まず、上記したようにカウンセリングを受ける本人に複数の質問をするが、初期の段階では、画像表示部3には相関図を表示せず、それを潜在化させた状態にしておく。この状態で、上記本人が質問に対して「はい」と答えるたびに、処理部2がそれに対応した自覚的要素に得点として1点を付与する。
また、処理部2は、上記のように得点を付与した自覚的要素を画面上に顕在化させるとともに、この顕在化された自覚的要素と因果律を有するあらかじめ設定された要素も特定し、その要素もさらに顕在化して、因果関係の連鎖を形成していく。例えば、図3の質問中「13.冷え性である」という質問に対して「はい」と回答すると、処理部2は、図5に示すように、「冷え」、「血液循環不良」、「皮膚血流、うっ血」、「くま」、「肩こり」の各要素を特定する。
【0030】
上記のように各要素を特定する場合に、処理部2は、図6に示すステップにしたがって処理をする。
すなわち、処理部2は、質問に対して「はい」と回答したときに、それに対応する自覚的要素xをまず特定する(ステップ101)。つまり、図3の質問中「13.冷え性である」という質問に対して「はい」と回答すると、処理部2は、図5に示すように「冷え」をまず特定する。
ステップ101において最初に自覚的要素xを特定したら、処理部2は、ステップ102において、最初に特定した自覚的要素xに対して原因となる要素があるか否かを判断する。
【0031】
そして、当該原因となる要素がある場合には、上記最初に特定した自覚的要素xから矢印を逆方向に一つ遡って要素を特定する(ステップ103)。つまり、図5においては、「冷え」という自覚的要素xと、この「冷え」に対して矢印を遡った要素である「血液循環不良」という非自覚的要素yとを特定することとなる。なお、ステップ102において、原因となる要素がないと判断した場合には、ステップ201へ向かう処理を実行する。
【0032】
さらに、処理部2は、ステップ103において一つ遡って特定した要素(ここでは「血液循環不良」)に対して、結果となる要素が複数あるか否かを判断する(ステップ104)。言い換えれば、矢印を一つ遡って特定した要素(「血液循環不良」)に対して、処理部2は矢印の順方向にある結果となる要素が、最初に特定された自覚的要素x以外にもあるか否かを判断する。ここでは、「血液循環不良」に対して、矢印の順方向にある結果となる要素は、「冷え」以外に「肩こり」、「皮膚血流、うっ血」とあるので、処理部2は、既に特定した「冷え」以外の「肩こり」、「皮膚血流、うっ血」を特定する(ステップ105)。
【0033】
そして、処理部2は、ステップ105において特定した要素に対して、さらに結果となる要素があるか否かを判断する(ステップ107)。ステップ107において結果となる要素があると判断した場合には、さらに、それ以上結果となる要素がなくなるまで、連鎖的に結果となる要素の特定を続ける(ステップ108)。一方、ステップ107において、結果となる要素がないと判断した場合には、ステップ201に向かう処理を実行する。
ここでは、「肩こり」に対して結果となる要素がない、言い換えると、「肩こり」を起点にした順方向の矢印が一つもないので、当該ルートの因果関係の連鎖は「肩こり」が最後の特定要素となる。
【0034】
一方、「皮膚血流、うっ血」には、それから「くま」に向かって順方向の矢印が出ている。つまり、「皮膚血流、うっ血」を原因とする要素「くま」があるため、処理部2は続けて「くま」も特定する。ただし、「くま」を起点とした順方向の矢印は一つもないので、当該ルートの因果関係の連鎖では「くま」が最後の特定要素となる。そして、全てのルートにおいて、結果となる要素がそれ以上なくなるまで特定を続けたら、処理部2は、ステップ108に続いてステップ201の処理をさらに実行する。
【0035】
なお、ステップ104において、結果となる要素が複数ないと処理部2が
判断した場合には、処理部2は当該特定した要素に対してさらに原因となる要素があるか否かを判断する(ステップ106)。このステップ106を経る場合について、具体例を用いて説明する。
例えば、質問の回答によって、処理部2が、図4における「キメが粗い」という自覚的要素xを最初に特定したとする(ステップ101)。「キメが粗い」に対しては、「肌乾燥」が原因となる要素としてあるため、処理部2はステップ102から103に向かう処理を行い「肌乾燥」を特定する。
そして、処理部2は、ステップ104において、「肌乾燥」に対して結果となる要素が複数あるか否か、つまり「肌乾燥」を起点として、矢印の順方向にある結果となる要素が、最初に特定された「キメが粗い」以外にもあるか否かを判断する。図4に示すとおり、「肌乾燥」に対して結果となる要素は、「キメが粗い」しかないため、処理部2は、ステップ104からステップ106に向かう処理を行い、「肌乾燥」に対してさらに原因となる要素があるか否かを判断する。
【0036】
そして、ステップ106において、さらに原因となる要素があると処理部2が判断した場合には、処理部2はステップ103の処理を実行し、当該原因となる要素を特定し、以後、上記と同様のステップの処理を繰り返す。
上記の例では、「肌乾燥」に対しては、「バリア機能低下」が原因となる要素として存在しているため、処理部2は、ステップ106からステップ103の処理を実行し、「バリア機能低下」を特定する。そして、処理部2は、再びステップ104の処理を実行し、「バリア機能低下」に対して結果となる「毛穴の詰まり」、「にきび」、「にきび跡」を特定することとなる(ステップ105,107,108)。
【0037】
つまり、処理部2は、下記の条件を満足するまで、最初に特定した自覚的要素xから矢印を遡る方向に要素を特定していくことになる。その条件とは、次のとおりである。
(1)最初に得点が与えられた自覚的要素xに対して、直接または間接的に原因となる要素があって、
(2)最初に特定した自覚的要素x以外にも結果となる要素を有している。
このように2つの条件を満足させたら、今度は、当該要素を起点にして矢印の順方向に向かって各要素を連鎖的に特定するようにしている。
したがって、上記の例では、「キメが粗い」→「肌乾燥」→「バリア機能低下」という順で、結果から原因へと遡って各要素が特定される。そして、「バリア機能低下」は、上記2要件を満たすため、この「バリア機能低下」からは、「毛穴の詰まり」→「にきび」→「にきび跡」という順で、原因から結果へと各要素が連鎖的に特定されるのである。
なお、ステップ106において、原因となる要素がないと判断した場合には、ステップ201に向かう処理を実行する。
【0038】
上記のように、最初に特定した自覚的要素xから遡って要素を特定するとともに、この遡って特定した要素から、今度は結果となる要素を連続的に特定するようにしたのは、次の理由からである。すなわち、図5の例では、「冷え」は「血液循環不良」を原因として引き起こされる可能性が極めて高いため、「冷え」を自覚している人は、「血液循環不良」である可能性が高い。「血液循環不良」は「冷え」のみならず、「肩こり」の原因ともなるため、「血液循環不良」である人は、「肩こり」を引き起こすかあるいは既に「肩こり」である可能性がある。
したがって、質問に対する回答によって特定された自覚的要素xを遡った後、その後は次々と結果に向かって要素を特定していけば、最初に特定された自覚的要素x以外に併発していること、あるいは併発するおそれがあることを明確にすることができる。そこで、上記のようにして因果関係の連鎖を形成するようにしたのである。
【0039】
さらに、処理部2は、ステップ201において、最初に特定した自覚的要素xに対して結果となる要素があるか否かを判断する。言い換えれば、最初に特定した自覚的要素xを起点として、矢印が順方向に指し示す要素が存在するか否かを判断する。そして、最初に特定した自覚的要素xに対して結果となる要素があると判断した場合には、当該結果となる要素を特定する(ステップ202)。一方、ステップ201において、最初に特定した自覚的要素xに対して結果となる要素がないと判断した場合には、処理部2が、ここで要素の特定を終了する。
【0040】
また、処理部2は、ステップ202において、前記結果となる要素を特定したら、さらに結果となる要素があるか否かを判断する(ステップ203)。処理部2は、ステップ203において、さらに結果となる要素があると判断した場合には、それ以後、結果となる要素がなくなるまで、矢印の順方向に沿って、次々と要素を特定していく(ステップ204)。一方、ステップ203において、結果となる要素がないと判断した場合には、処理部2が、ここで要素の特定を終了する。
なお、図5からも明らかなように、最初に「冷え」を特定した場合には、「冷え」に対して結果となる要素がないため、処理部2は、ステップ201で要素の特定を終了することとなる。
【0041】
そして、処理部2は、上記のようにして各要素を特定したら、これら特定した各要素に対して得点を演算していく。
ここで、記憶部1は、因果律を有する2つの要素間の相関係数を予め記憶している。この相関係数は、上記したように、数値が高くなるほど両要素間の因果関係が強いことを意味するが、この相関係数に基づいて、処理部2が各要素に得点を与えている。
具体的には、図3の質問中「13.冷え性である」という質問に対して「はい」と回答すると、処理部2は、図5に示すように、「冷え」という自覚的要素xに対して1点を与える。
記憶部1は「冷え」と「血液循環不良」の相関係数を0.9と記憶しており、処理部2は、「冷え」に与えられた得点(1点)と、上記相関係数0.9とを乗算して、1×0.9=0.9点を演算するとともに、この演算した点数(0.9点)を「血液循環不良」と対応付けて記憶部1に記憶させる。
【0042】
「血液循環不良」に得点が与えられると、さらに、「血液循環不良」と因果律のある「皮膚血流、うっ血」にも得点が与えられる。ここでは、「血液循環不良」と「皮膚血流、うっ血」との間の相関係数は0.9なので、処理部2は、0.9×0.9=0.81点を演算し、この得点を「皮膚血流、うっ血」に対応付けて記憶部1に記憶させる。以下、同様に「くま」に0.32点、「肩こり」に0.45点を対応付けて記憶させる。
つまり、処理部2は、最初に特定した自覚的要素xには1点を与え、その他の要素には、最初に特定した自覚的要素xから当該他の要素までの間に存在する相関係数を全て乗算した乗算結果を得点として与えることとなる。
【0043】
さらに、カウンセリングを受ける本人が図3の質問項目中、「17.普段の生活にストレスを感じている」という質問に対して「はい」と回答したとする。すると、処理部2は、図7に示すように、「ストレス」という自覚的要素xに対して得点(1点)を与えるとともに、「ストレス」と1点を対応付けて記憶部1に記憶させる。
ここで、この相関図においては、「ストレス」という自覚的要素xに対して結果となる要素は複数存在するものの、「ストレス」という自覚的要素xに対して原因となる要素は一つも存在しない。つまり、最初に特定される自覚的要素xから遡る要素が一つも存在しない。したがって、この場合には、図6に示すように、処理部2が、ステップ101で「ストレス」を特定した後、ステップ102からステップ201に向かう処理を行うことになる。
【0044】
つまり、処理部2は、ステップ202において、「ストレス」に対して結果となる「バリア機能低下」を特定する。処理部2が、「バリア機能低下」を特定すると、この「バリア機能低下」に対してさらに結果となる要素があるか否かを判断する(ステップ203)。ここでは、「バリア機能低下」に対して「毛穴の詰まり」が結果となる要素として存在しており、さらに「毛穴の詰まり」に対して「にきび」が、「にきび」に対して「にきび跡」が結果となる要素として存在している。したがって、処理部2は、ステップ204において、「毛穴の詰まり」、「にきび」、「にきび跡」を連鎖的に特定する。そして、これら特定した各要素にも、上記と同様の方法で得点を演算する。
また、図8に示すように、「ストレス」は「バリア機能の低下」をもたらすのみならず、「性ホルモンバランスの変化」をもたらす原因にもなる。そこで、処理部2は、「性ホルモンバランスの変化」=0.5点、「皮脂分泌」=0.2点、「脂っぽい」=0.1点を与える。
【0045】
そして、「皮脂分泌」と「にきび」との相関係数は0.4であるため、処理部2は、0.2×0.4=0.08点を演算するとともに、0.08点を「にきび」に与える。このとき、「にきび」には、図7に示すように0.096点が既に与えられているので、処理部2は、0.096点に0.08点を加算して、「にきび」の得点を0.176点とすることとなる。したがって、「にきび跡」も同様に0.053点に変化する。なお、実際には、各質問に対する回答と、各要素に与えられる得点とが予め記憶されており、回答が入力されることによって、各要素と得点とを瞬時に対応付けて記憶するようにしている。
【0046】
また、「ストレス」は「便秘」、「PMS」、「自律神経」に対しても因果律を有しているため、「便秘」、「PMS」、「自律神経」にも上記と同様の方法で得点が与えられる。そして、「自律神経」に得点が与えられると、「自律神経」と「血液循環不良」との相関係数に基づいて、「血液循環不良」に0.12点、「冷え」に0.108点、「皮膚血流、うっ血」に0.108点、「くま」に0.043点が与えられる。
このように、「血液循環不良」等に与えられた得点は、図5に示すように、他の質問項目に対する回答によって既に与えられている得点に加算される。
【0047】
さらに、カウンセリングを受ける人が、図3の質問項目中、「20.肌が乾燥しやすい」という質問に対して「はい」と回答すると、処理部2は、図9に示すように、「肌乾燥」、「キメが粗い」、「バリア機能低下」、「毛穴の詰まり」、「にきび」、「にきび跡」の各要素を特定する。
具体的に説明すると、図6に示すように、ステップ101において「肌乾燥」が最初に特定されると、処理部2は、ステップ102,103の処理を実行して、「バリア機能低下」を特定する。ステップ103において「バリア機能低下」を特定すると、ステップ104において、「バリア機能低下」に対して結果となる要素が複数あるか否かを判断する。「バリア機能低下」に対しては、「肌乾燥」以外に「毛穴の詰まり」が結果となる要素として存在している。つまり、「バリア機能定」には複数の結果となる要素があるので、処理部2は、ステップ105〜108において、「毛穴の詰まり」、「にきび」、「にきび跡」を連鎖的に特定することとなる。
【0048】
さらに、処理部2は、ステップ201において、「肌乾燥」に対して結果となる要素があるか否かを判断する。「肌乾燥」に対しては「キメが粗い」が結果となるので、処理部2は、ステップ202において「キメが粗い」を特定する。ただし、「キメが粗い」に対して結果となる要素はないため、ステップ203でNoと判断し、要素の特定は終了する。
このように、図6に示すフローにしたがえば、図9において顕在化している要素が特定されることとなるが、このとき処理部2が演算する各要素の得点は、図9に示すとおりであり、その演算方法は上記と同様である。
【0049】
なお、この実施形態においては、質問13に「はい」と回答すると「冷え」に1点が与えられ、質問17に「はい」と回答すると「ストレス」に1点が与えられ、質問20に「はい」と回答すると「肌乾燥」に1点が与えられる。つまり、質問項目に「はい」と回答した際に、最初の要素に与えられる点数を全て等しくしている。
ただし、最初の要素に与えられる得点は、質問項目に応じて変える方が望ましい。
【0050】
例えば、図3中「19.肩こりに悩んでいる」という質問は、カウンセリングを受ける本人が正確に回答しやすい。しかし、「17.普段の生活にストレスを感じている」という質問に対しては、実際にはストレスを感じているが、本人がストレスを感じているという自覚をもたない場合も多く、必ずしも正確に回答されるとは限らない。
そこで、カウンセリングを受ける本人が正確に回答できる質問については、その回答に応じて与えられる得点を高くし、逆にカウンセリングを受ける本人が誤回答する可能性が高い質問については、その回答に応じて与えられる得点を低くするとよい。このようにすれば、より正確な演算結果を得ることができるからである。
【0051】
そして、この実施形態においては、記憶部1が記憶した各要素x,yおよび各要素の得点に基づいて、処理部2が、図10に示す相関図を画像表示部3に表示する。この相関図は、図からも明らかなように、得点が入らなかった自覚的要素x、非自覚的要素y、およびそれら要素x,yに関連付けられた因果関係表示手段(矢印)を薄くしている。言い換えれば、得点が入った要素x,yと、それら両要素x,yを結ぶ矢印のみを、その得点とともに表示するようにしている。
しかも、得点の入った両要素x,yにおいても、その得点が低い「にきび跡」、「脂っぽい」といった要素については、多少薄く表示するようにしている。このように、得点に応じて強弱をつけた表示をすることで、回答者にとって重要な要素をより強く意識させるようにしているのである。
【0052】
そして、上記のようにして、画像表示部3に相関図が表示されたら、カウンセリングを受ける本人はカウンセリングテーマを特定するとともに、当該カウンセリングテーマを入力部4から入力する。カウンセリングテーマというのは、カウンセリングを受ける本人がカウンセリングして欲しい事柄、例えば、肌状態のカウンセリングにおいては主に肌トラブルのことをいい、主に、記憶部1に記憶されている自覚的要素xがカウンセリングテーマとなり得る。
例えば、カウンセリングを受ける本人がカウンセリングテーマとして「にきび」を選択し、入力部4に入力したとする。すると、処理部2は、当該カウンセリングを受ける本人の「にきび」に応じた因果関係連鎖を特定する。この処理部2が特定する因果関係連鎖は、カウンセリングテーマが生じる最大の原因ルートを連鎖的に示すものである。
【0053】
つまり、処理部2は、カウンセリングテーマとなる自覚的要素xから矢印を次々と遡ることによって、原因ルートを特定する。このとき、矢印を遡る際に複数の原因となる要素が存在する場合がある。この実施形態においては、「にきび」の原因ルートは2通り考えられ、第1のルートは、「ストレス」→「バリア機能低下」→「毛穴の詰まり」というルートであり、第2のルートは、「ストレス」→「性ホルモンバランスの変化」→「皮脂分泌」というルートである。つまり、「にきび」は、上記ルートのいずれか、もしくはこれら両方によって引き起こされていると考えられる。
【0054】
このように、結果となる要素から原因となる要素へと遡って原因ルートを特定する際に、複数の原因となる要素がある場合には、処理部2が、複数の原因となる要素の中で得点が最も高いものを選択して特定する。したがって、「にきび」という自覚的要素xには、「毛穴の詰まり」および「皮脂分泌」の2つの原因となる要素があるが、ここでは、毛穴の詰まり(0.6点)>皮脂分泌(0.2点)であるため、処理部2は、「毛穴の詰まり」を選択して特定することとなる。なお、原因となる要素が複数ある場合で、これら両要素の得点の差が小さい場合には、処理部2が両方の要素を特定しても構わない。
【0055】
上記のようにして、「にきび」の発症ルートとして「毛穴の詰まり」が特定された場合、「にきび」は「皮脂分泌」を原因として生じるよりも、「毛穴の詰まり」を原因として生じる可能性が高いということを示している。
そして、「毛穴の詰まり」が特定されると、今度は、「毛穴の詰まり」に対して原因となる要素を特定する。ここでは、「毛穴の詰まり」に対して原因となる要素は、「バリア機能低下」しかないため、処理部2は、「バリア機能低下」を特定する。処理部2は、同様の手順で、原因となる要素がなくなるまで、次々と要素を特定していく。
【0056】
そして、処理部2は、「にきび」→「毛穴の詰まり」→「バリア機能低下」→「ストレス」という因果関係連鎖を特定するとともに、図11に示すように、当該因果関係連鎖を、他の要素や矢印(因果関係特定手段)よりも目立つように強調表示する。
なお、処理部2は、入力部4からカウンセリングテーマが入力されたとき、カウンセリングテーマに応じて特定された因果関係連鎖のみを画像表示部3に表示させ、上記特定された因果関係連鎖内にない他の要素や矢印を表示しないようにしても構わない。つまり、「にきび」、「毛穴の詰まり」、「バリア機能低下」、「ストレス」の各要素と、これら各要素を結ぶ因果関係連鎖(矢印)のみを表示してもよい。
【0057】
いずれにしても、処理部2は、記憶部1が記憶したデータと入力部4から入力される回答に基づいて演算をするとともに、カウンセリングテーマに応じた因果関係連鎖を特定表示すれば、その表示方法等は特に限定されない。
また、例えば、図12に示すように、「冷え」、「肌乾燥」等、因果関係連鎖内にはないが、評価点の高い要素を、因果関係連鎖とともに強調表示しても構わない。このようにすれば、カウンセリングを受ける本人が自覚していない症状や、あるいは質問項目に対する回答の結果からみて今後症状として表れる可能性のある肌トラブルについても、注意を喚起することができる。
そして、本人が自覚していない症状等について意識をもたせるためには、得点の高い上位1〜5番目程度までの要素を強調表示することが望ましい。
【0058】
なお、上記実施形態においては、各要素間の相関係数を予め固定値として記憶部1に記憶させておき、この相関係数に基づいて自覚的要素xや非自覚的要素yの得点を演算するようにしたが、相関係数は、カウンセリングを受ける本人の属性やカウンセリングテーマに応じて可変にしてもよい。
カウンセリングを受ける本人の属性に応じて相関係数を変える場合としては、例えば、「男性」と回答した場合に、「性周期」と「性ホルモンバランスの変化」との相関係数を0にすることが考えられる。また、年齢を「10代」と入力した場合に、「くま」→「メラニン産生過剰」→「老化」の相関係数を低くし、逆に「くま」→「皮膚血流うっ血」の相関係数を高くするとよい。
このように、カウンセリングを受ける本人の属性に応じて相関係数を可変にすれば、より正確な相関図を完成させることが可能となる。
上記のように相関係数を可変にするためには、カウンセリングを受ける人の属性に応じた相関係数を記憶部1にあらかじめ記憶させておいて、入力部4から入力された人の属性情報に応じて、処理部2が記憶部1から対応する相関係数を引き出すようにする。
【0059】
一方、カウンセリングテーマに応じて相関係数を変える場合としては、カウンセリングを受ける本人が特定したカウンセリングテーマに直接または間接的に関連する要素間の相関係数を高くし、全く関連のない要素間の相関係数を低くすることが考えられる。
例えば、肌トラブルに関する質問をする前に、予めカウンセリングテーマを入力できるようにしておく。そして、カウンセリングテーマとして「にきび」が入力されたとすると、「にきび」、「毛穴の詰まり」、「皮脂分泌」、「バリア機能低下」、「性ホルモンバランスの変化」、「性周期」、「PMS」、「ストレス」、といった「にきび」に直接または間接的に関連する要素間の相関係数を高くする。一方、「くま」、「皮膚血流、うっ血」、「血液循環不良」、「冷え」といった「にきび」と関連しないと考えられる要素間の相関係数を低くする。
このようにすれば、予めカウンセリングテーマが決まっている場合に、当該カウンセリングテーマに関連する要素の得点を高くすることができるので、カウンセリングを受ける本人の望んだ相関図を完成させることができる。
【0060】
なお、相関係数を可変にする場合として、属性やカウンセリングテーマによって異なる相関係数を予めパターン化して記憶部1に記憶させておく方法がある。例えば、男性用と女性用で異なる相関係数を定めるとともに、入力される性別に応じて、いずれかの相関係数のパターンを引き出して、処理部2が演算する方法である。
また、記憶部1には所定の相関係数を1パターンのみ記憶させておき、処理部2が得点を演算する際に、属性やカウンセリングテーマによって相関係数を変えながら得点を演算する方法もある。
いずれにしても、属性やカウンセリングテーマ等に応じて、相関係数を変えて処理部2が演算を行えば、相関係数を固定化する場合よりも、カウンセリングを受ける本人の実態を反映した相関図を完成させることができる。
【0061】
さらに、上記実施形態においては、記憶部1に、多数の質問項目を記憶しておき、これら質問項目の全てを、カウンセリングを受ける本人が回答するようにしているが、質問項目は場面に応じて適宜変更する方が望ましい。
質問項目を変える第1の方法としては、例えば、カウンセリングを受ける本人の属性やカウンセリングテーマに応じた複数の質問パターンを記憶部1に記憶させておき、入力されたカウンセリングを受ける本人の属性やカウンセリングテーマに応じて、特定の質問パターンを選択して表示することが考えられる。
【0062】
また、第2の方法としては、記憶部1に複数の質問項目を対応付けて記憶させておき、前問の回答に応じて、処理部2が記憶部1に記憶されている質問項目の中から後問を選択するようにしてもよい。この場合に前問の回答に対して次の質問をどのように特定するかのロジックはあらかじめ記憶部1に記憶させておき、処理部2はそのロジックにしたがって処理するようにすればよい。
さらには、第3の方法として、上記第1,2の方法を組み合わせることも考えられる。このように、カウンセリングを受ける本人の属性やカウンセリングテーマ、さらには他の質問項目の回答に応じて、質問項目を選択すれば、不必要な質問項目を排除することができ、カウンセリングを受ける本人が回答に要する時間を短縮することができるという効果がある。
【0063】
また、上記実施形態においては、記憶部1が、自覚的要素x、非自覚的要素y、および各要素間の因果律(相関係数)を、相関図と対応付けて記憶しており、この記憶部1に記憶された相関図に処理部2が処理を施している。つまり、記憶部1が予め記憶している相関図に対して、処理部2が得点を入力したり、あるいは特定された各要素を顕在化させたりしている。
ただし、記憶部1は、必ずしも相関図を記憶する必要はなく、自覚的要素x、非自覚的要素y、および各要素間の因果律(相関係数)のみを対応付けて記憶させておき、最終的な演算結果が出たときに、当該演算結果に基づいて初めて相関図を作成するようにしても構わない。いずれにしても、記憶部1に記憶されている各要素およびそれらの因果律を基にして作成した相関図が画像表示部3に表示されればよい。
【0064】
さらに、上記実施形態においては、図6に示すフローにしたがって要素を特定するようにしているが、その特定方法は大別して2とおりである。そのひとつは最初に特定した自覚的要素xから矢印を一つあるいは複数遡ったところにある要素を特定するとともに、当該特定された要素から結果となる要素に向かって次々と要素を特定するという、ステップ102〜108に示す特定方法である。また、他のひとつは、最初に特定した自覚的要素xから矢印を順方向に辿ったところにある要素を特定するとともに、当該特定された要素に対して結果となる要素を次々と特定するという、ステップ201〜204に示す特定方法である。そして、上記実施形態においては、ステップ102〜108で要素の特定を実行した後、連続的にステップ201〜204で要素の特定を実行している。
しかし、上記実施形態における要素の特定方法は一例に過ぎず、例えば、図6のステップ102〜108の方法のみで要素を特定したり、あるいはステップ201〜204の方法のみで要素を特定したりしてもよいし、また上記とは異なる方法で要素を特定しても構わない。
【0065】
例えば、図13に示すように、処理部2が、最初に得点が与えられた自覚的要素xに対して、直接または間接的に原因となる要素のみを連鎖的に特定しても構わない。つまり、最初に所定の自覚的要素xを特定するとともに、この自覚的要素xから、原因となる要素がなくなるまで次々と矢印を遡りながら要素を特定する。
このようにすれば、最初に特定された自覚的要素xの原因を遡って得点が与えられるので、上記自覚的要素xの原因のみを浮き彫りにすることができる。したがって、特に、カウンセリングテーマが明確な場合には、当該カウンセリングテーマとなるトラブルの原因を明確に体系化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】この実施形態に係るカウンセリングシステムの構成要素を概念的に示す図である。
【図2】記憶部が記憶する属性的質問の一例である。
【図3】記憶部が記憶する肌トラブルに関する質問の一例である。
【図4】この実施形態に係る基本となる相関図である。
【図5】各要素間の相関係数と演算過程を示す図である。
【図6】要素を特定するフローを示す図である。
【図7】各要素間の相関係数と演算過程を示す図である。
【図8】各要素間の相関係数と演算過程を示す図である。
【図9】各要素間の相関係数と演算過程を示す図である。
【図10】この実施形態において特定された相関図である。
【図11】相関図の一表示方法を示す図である。
【図12】相関図の他の表示方法を示す図である。
【図13】要素を特定する際の他の方法を示す図である。
【符号の説明】
【0067】
1 記憶部
2 処理部
3 画像表示部
x 自覚的要素
y 非自覚的要素
【技術分野】
【0001】
この発明は、健康状態、精神状態あるいは肌状態等の種々のカウンセリングに用いることができるカウンセリングシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のカウンセリングシステムとして、例えば、特許文献1に示すものが従来知られている。このカウンセリングシステムがテーマにしているのは、にきびや小皺などの肌トラブルと、これら各肌トラブルへの対処方法に関するカウンセリングである。このシステムにおいては、にきびや小皺などの肌トラブルと、これら各肌トラブルへの対処方法とを記憶している。そして、カウンセリングを受ける本人がトラブルに関連する種々のアンケートに回答すると、その回答に応じて、上記本人がカウンセリングして欲しい肌トラブルへの対処方法等が表示される。
【特許文献1】特開2003−093351号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
カウンセリングテーマとなる肌トラブルを解消するためには、単に肌をケアするだけでは足りず、身体や心をケアしなければならないことが多い。つまり、肌トラブルは、肌、身体、心に関連する多くの要因が複雑に絡み合うことによって生じるのである。
しかし、従来のカウンセリングシステムにおいては、肌トラブルへの種々の対処方法が示されるだけで、こうした対処方法が必要となる理由を、わかりやすく体系的に説明できるものではない。そのため、カウンセリングを受ける本人は、肌トラブルが生じる因果関係について何ら理解できないまま、示された対処方法を実践するしかなかった。
しかし、化粧品や薬を塗ったり、あるいは肌にマッサージをしたりするような直接的な対処方法は継続して行えるが、肌トラブルが生じる因果関係を理解していないと、例えば身体や心をケアするといった間接的な対処方法については、時間の経過とともに認識が薄れてしまい、継続できなくなってしまう。
【0004】
上記のことは、健康状態や精神状態のカウンセリングについても同様で、あるトラブルに対して、単に現象だけをとらえるのではなく、その根本的な要因を追求し、それらを体系的に表現できなければ、本当の意味でのカウンセリングをしたことにはならない。
つまり、従来のカウンセリングシステムにおいては、トラブルの因果関係を、カウンセリングを受ける本人が体系的に理解できないため、カウンセリングの効果が半減されたり、あるいは対処方法を継続できなかったりするという問題があった。
【0005】
また、人によっては、自分がカウンセリングを受ける目的をはっきり認識できないことがある。このような場合には、カウンセリングを受ける本人は、自己診断結果をカウンセラーに申告するとともに、カウンセラーも本人の申告をもとにカウンセリングせざるを得ないことが多くなる。
しかしながら、カウンセラーにとっては、カウンセリングを受ける本人の自己申告はあくまでも参考要素にすぎず、本人が抱えている本質的な問題をいち早く体系的にとらえるのが、最大のテーマになる。そして、本質的な問題の中には、本人がまったく自覚していないような事柄もある。
このような場合に、従来のカウンセリングシステムでは、本人が自覚していない本質的な問題を体系化して、それを浮き彫りにすることができなかった。
【0006】
この発明の目的は、健康状態、精神状態あるいは肌状態のトラブルの本質を体系的にとらえられるとともに、それを視覚的に表現できるシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、各種データを記憶する記憶部と、画像を表示する画像表示部と、処理部とを備え、記憶部には、複数の自覚的要素と、複数の非自覚的要素と、上記自覚的要素あるいは非自覚的要素のうち、結果となる特定の要素に対して原因となる要素の因果律とを記憶させるとともに、処理部は、記憶部に記憶されている上記自覚的要素、非自覚的要素およびそれらの因果律を基にして、因果律を有する要素同士を、因果関係表示手段で関連付けた相関図を画像表示部に表示させる機能と、上記記憶部に記憶されているデータを用いて、カウンセリングテーマに応じた因果関係連鎖を特定表示する機能とを備えた点に特徴を有する。
なお、上記因果関係表示手段の中で典型的な例は矢印であるが、この発明においては、必ずしも矢印に限定されるものではない。単なる線でもかまわないし、その線を鎖状に表現したものでもよい。要するに因果関係表示手段は、自覚的要素および非自覚的要素からなる各要素の因果律を特定できる手段であれば、どのようなものを用いてもよい。
【0008】
第2の発明は、第1の発明を前提として、処理部が、カウンセリングに必要な質問項目に対する回答が入力されたとき、その回答に応じて上記自覚的要素や非自覚的要素の得点を演算し、それら得点を各要素に対応付けて記憶部に記憶させる機能を備えた点に特徴を有する。
【0009】
第3の発明は、第2の発明を前提として、記憶部にはカウンセリングに必要な質問項目を記憶させるとともに、処理部は、その質問項目を画像表示部に表示する機能と、画像表示部に表示された質問項目に対する回答が入力されたとき、自覚的要素や非自覚的要素の得点を演算する機能を備えた点に特徴を有する。
第4の発明は、第3の発明を前提として、記憶部にはカウンセリングを受ける本人の属性やカウンセリングテーマに応じて複数の質問パターンをあらかじめ記憶させ、処理部は、入力されたカウンセリングを受ける本人の属性やカウンセリングテーマに応じて、記憶部に記憶されている複数の質問パターンの中から特定の質問パターンを選択する機能を備えた点に特徴を有する。
【0010】
第5の発明は、第3の発明を前提として、記憶部には複数の質問項目を記憶させるとともに、処理部は、前問の回答に応じて、記憶部に記憶されている質問項目の中から後問を選択する機能を備えた点に特徴を有する。
第6の発明は、第2〜5の発明を前提として、処理部が、特定の要素が、前記質問項目に応じて複数回得点したときには、それら得点の全てを合計して、特定の要素の得点として記憶部に記憶させる機能を備えた点に特徴を有する。
【0011】
第7の発明は、第2〜6の発明を前提として、記憶部には、互いに因果律があるものとしてあらかじめ特定されている上記自覚的要素および非自覚的要素からなる各要素間の相関係数を記憶し、処理部は、質問項目に対する回答が入力されたとき、その回答に応じて所定の自覚的要素に得点を与えるとともに、この得点を与えられた自覚的要素と直接または間接的に因果律がある1または複数の他の要素を特定し、これら特定した他の要素には、上記所定の自覚的要素に与えられた得点に、上記所定の自覚的要素から特定した他の要素までの間に存在する相関係数を乗算した乗算結果を得点として与え、当該得点を記憶部に記憶させる機能を備えた点に特徴を有する。
【0012】
第8の発明は、第7の発明を前提として、処理部が、最初に得点が与えられた上記所定の自覚的要素と直接または間接的に因果律がある1または複数の他の要素を特定する場合であって、上記所定の自覚的要素に対して結果となる要素があるとき、当該所定の自覚的要素から因果関係連鎖の正方向に結果となる要素を特定していく点に特徴を有する。
第9の発明は、第7または8の発明を前提として、処理部が、最初に得点が与えられた上記所定の自覚的要素と直接または間接的に因果律がある1または複数の他の要素を特定するとき、上記所定の自覚的要素に対して直接または間接的に原因となる要素であって、しかも複数の結果となる要素を有する要素の中から上記所定の自覚的要素に最も近い要素を特定し、この特定した要素から因果関係連鎖の正方向に結果となる要素を特定していく点に特徴を有する。
【0013】
第10の発明は、第7の発明を前提として、処理部が、最初に得点が与えられた上記所定の自覚的要素と直接または間接的に因果律がある1または複数の他の要素を特定するとき、上記所定の自覚的要素から因果関係連鎖を遡りながら原因となる要素を特定していく点に特徴を有する。
第11の発明は、第7〜10の発明を前提として、記憶部が、カウンセリングを受ける本人の属性やカウンセリングテーマに応じた相関係数を記憶した点に特徴を有する。
第12の発明は、第7〜10の発明を前提として、処理部が、カウンセリングを受ける本人の属性やカウンセリングテーマに応じて相関係数を可変にする機能を備えた点に特徴を有する。
【0014】
第13の発明は、第2〜12の発明を前提として、処理部が、上記演算結果である得点を、上記相関図における自覚的要素あるいは非自覚的要素に対応付けて、画像表示部に表示させる機能を備えた点に特徴を有する。
第14の発明は、第2〜13の発明を前提として、処理部が、自覚的要素または非自覚的要素のうち、結果となる特定の要素に対して複数の原因となる要素があるとき、これら複数の原因となる要素のうち最も得点の高い要素を選択して上記因果関係連鎖を特定する機能を備えた点に特徴を有する。
第15の発明は、第2〜14の発明を前提として、処理部は、画像表示部に相関図を表示させるとき、上記相関図における自覚的要素あるいは非自覚的要素のうち、上位1〜5番目までの得点を与えられた要素を強調表示する機能を備えた点に特徴を有する。
第16の発明は、第1〜15の発明を前提として、処理部が、上記相関図の中で、カウンセリングテーマに応じて特定された因果関係連鎖のみを画像表示部に表示させる機能を備えた点に特徴を有する。
【0015】
第17の発明は、第1〜15の発明を前提として、処理部が、上記相関図の中で、カウンセリングテーマに応じて特定された因果関係連鎖を強調表示する機能を備えた点に特徴を有する。
第18の発明は、第1〜17の発明を前提として、上記相関図が、カウンセリング分野に対応した複数の相関エリアを備えるとともに、これら各相関エリア内または各相関エリアの近傍に、関連性があるかあるいは関連性が高い上記自覚的要素および非自覚的要素を配置した点に特徴を有する。
【発明の効果】
【0016】
第1の発明によれば、健康状態、精神状態あるいは肌状態等のカウンセリングテーマに対して、それらの自覚的要素と非自覚的要素との因果関係連鎖を、因果関係表示手段を介して画像表示部に表示できるので、カウンセラーもカウンセリングを受ける本人も、カウンセリングテーマの本質的な問題を体系的に理解できる。このようにカウンセリングテーマの本質的な問題を体系的に理解できれば、カウンセラーもより適切なカウンセリングをすることができるとともに、本人もカウンセラーのアドバイスを正確にかつ適切に理解することができ、カウンセリング効果のいっそうの向上が期待できる。
【0017】
第2の発明によれば、カウンセリングに必要な質問項目の回答に応じて、上記自覚的要素や非自覚的要素の得点を演算でき、しかも、その演算結果を記憶部に記憶しておけるので、カウンセラーはその演算結果を、画面表示させたり、あるいはプリントアウトさせたりすることによって、上記自覚的要素や非自覚的要素を定量的に把握できる。したがって、カウンセラーは数値を基にして、適切なカウンセリングをすることができる。
第3の発明によれば、質問項目に対応させて自覚的要素や非自覚的要素の得点を演算するので、質問項目と得点との対応関係を誤ることがなくなる。
【0018】
第4の発明によれば、カウンセリングを受ける本人の属性やカウンセリングテーマに応じて、質問項目を変えられるので、状況に応じて個性的な回答が得られるようになり、その分、より有効なカウンセリングが可能になる。また、不要な質問項目を排除することができるので、カウンセリングを受ける時間を短縮することができる。
第5の発明によれば、当該システムが自動的に質問事項を選択するので、質問事項の選択に関し、カウンセラーの恣意的な判断が排除され、その分、客観的なカウンセリングが可能になる。また、不要な質問項目を排除することができるので、カウンセリングを受ける時間を短縮することができる。
第6の発明によれば、特定の要素に対して得点が複数与えられたとき、これらの得点を全て合計して得点を演算するので、カウンセリングを受ける人にとって重要となる要素をより明確にすることができる。
【0019】
第7の発明によれば、自覚的要素および非自覚的要素からなる各要素間の相関係数に基づいて、上記自覚的要素や非自覚的要素の得点を演算でき、その演算結果を記憶部に記憶しておけるので、第2の発明と同様に、カウンセラーはその演算結果を、画面表示させたり、あるいはプリントアウトさせたりして、因果律の強弱を定量的に把握できる。したがって、第7の発明によれば、カウンセラーは数値を基にして、適切なカウンセリングをすることができる。
第8、第9の発明によれば、カウンセリングテーマの原因を体系化するのみならず、当該カウンセリングを受ける人に併発的に起こっている、あるいは今後起こりうるトラブルをも体系的に表示することができる。したがって、カウンセリングを受ける人が認識していない事柄についても、カウンセリングを行うことができる。
【0020】
第10の発明によれば、質問の回答に応じて特定された自覚的要素の原因を遡って得点が与えられるので、特に、カウンセリングテーマが明確な場合には、当該カウンセリングテーマとなるトラブルの原因を明確に体系化することができる。
第11、第12の発明によれば、カウンセリングを受ける本人の属性やカウンセリングテーマに応じて、上記相関係数を変えられるので、状況に応じてより個性的なカウンセリングが可能になる。
第13の発明によれば、画像表示部に表示された自覚的要素あるいは非自覚的要素には、演算結果を表示させられるので、カウンセラーもカウンセリングを受ける本人も、画像表示部に表示された画像を基にして、因果関係等を定量的に把握できる。
【0021】
第14の発明によれば、上記得点に基づいて、因果関係連鎖を特定できるので、その因果関係連鎖は、定量的な評価が織り込まれたものとなり、それだけ信頼性が向上することになる。
第15の発明によれば、相関図中の得点の高い要素が強調表示されるので、当該カウンセリングを受ける人に併発的に起こっている、あるいは今後起こりうるトラブルについて本人が意識していないような場合でも、それを明確に意識させることができる。
第16、第17の発明によれば、必要な因果関係連鎖が浮き彫りにされるので、カウンセリングテーマに応じた明快な相関図を作成することができる。
第18の発明によれば、カウンセリング分野に対応した複数の相関エリアを設け、このエリアに関連性があるかあるいは関連性が高い上記自覚的要素および非自覚的要素を配置したので、自覚的要素および非自覚的要素の相関性とともに、カウンセリングにおける各要素の位置づけが明確になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
図1〜図11を用いて、肌状態のカウンセリングに最適な実施形態について説明する。
図1に示すように、このカウンセリングシステムは、各種データを記憶する記憶部1と、画像等を制御する処理部2と、処理部2で制御された画像を表示する画像表示部3と、カウンセリングに必要な質問項目に対する回答を入力する入力部4とを備えている。
上記記憶部1には、図2に示すような、年齢や性別等のカウンセリングを受ける本人の属性に関する質問項目と、図3に示すような、にきび、小皺、くま、肌荒れ等の肌トラブルに関連する質問項目、すなわちカウンセリングに必要となる質問項目とが記憶されている。
また、上記記憶部1には、上記各質問項目とともに、処理部2が制御する基となる相関図(図4)が記憶されている。
【0023】
この図4に示す相関図においては、相関エリアとして肌エリア11、身体エリア12、および心エリア13の3エリアを備えており、これら各エリア11〜13内または各エリア11〜13の近傍に、それらと関連性があるかあるいは関連性が高い複数の自覚的要素xおよび非自覚的要素yを配置している。
なお、相関エリアというのは、健康状態、精神状態あるいは肌状態等のカウンセリング分野に関わりがある事象を示している。したがって、相関エリアはカウンセリング分野に応じて異なることになるが、この実施形態では、カウンセリング分野を肌状態としているので、肌状態に関わりがある、肌、身体、心を相関図に示している。
【0024】
ここで、上記自覚的要素xとは、五感や症状などから人が自ら認識することができるものであり、図4においては、「にきび」、「にきび跡」、「脂っぽい」、「キメが粗い」等、楕円の枠で囲まれたものが該当する。
一方、非自覚的要素yとは、上記自覚的要素xに対して直接または間接的な原因となるもののことで、図4においては、「皮脂分泌」、「毛穴の詰まり」、「バリア機能低下」等、四角の枠で囲まれたものが該当する。
ただし、図4における自覚的要素xあるいは非自覚的要素yの分類はあくまで一例であり、各要素を自覚的要素xあるいは非自覚的要素yのいずれに分類するかは、適宜決定すればよい。
そして、各自覚的要素xおよび非自覚的要素yは、肌、身体、心の中で、最も関わりが高いと考えられるエリアの中、あるいはその近傍に配置されている。
【0025】
また、上記相関図に示される自覚的要素xおよび非自覚的要素yは、他の自覚的要素xあるいは非自覚的要素yに対して原因と結果の関係にあり、図4に示すように、原因に対して結果となる各要素間すなわち因果律を有する要素間のすべては、因果関係表示手段である矢印で結ばれている。この矢印は、原因となる要素から結果となる要素に向かって指し示されているので、最終結果が特定されれば、上記矢印が指し示す方向とは逆方向にたどっていくことにより、その因果関係の連鎖が浮かび上がってくることになる。そして、記憶部1は、これらの矢印に従った因果関係の連鎖を記憶している。
【0026】
なお、図4においては、実線で示す矢印と、点線で示す矢印とがあるが、実線で記した矢印は、各要素間の因果関係が医学的見地あるいは学術的見地から立証されている場合であり、点線で記した矢印は、医学的あるいは科学的な根拠は必ずしもはっきりしていないが、経験的にかなりの正確性をもって関連付けられる場合である。そして、実線の矢印と点線の矢印とは、あらかじめ記憶部1に記憶されているものである。
また、「キメが粗い」と「肌乾燥」のように、自覚的要素x同士が原因と結果の関係になることもあれば、「栄養の偏り」と「ビタミンB群不足」のように、自覚的要素xが原因となり、非自覚的要素yが結果となることもある。
【0027】
いずれにしても、図4に示す相関図を表すのに必要なすべてのデータは、あらかじめ記憶部1に記憶されていて、処理部2がこれらのデータを利用して、画像表示部3に当該相関図を画像として表示するようにしている。
そして、上記のように矢印で結ばれた各要素間には、相関係数があらかじめ設定されているとともに、その設定された相関係数は記憶部1に記憶されている。なお、相関係数というのは、矢印で結ばれた両要素間の関係の強さを表すものであるが、その詳細については後で説明する。
【0028】
また、この実施形態では、カウンセリングをするにあたって、あらかじめ所定の質問を用意し、カウンセリングを受ける本人に、その質問に答えてもらうようにしている。そして、この質問事項は、記憶部1にあらかじめ記憶させておくとともに、記憶された質問事項は、処理部2が画像表示部3に表示させるようにしている。
したがって、カウンセリングを受ける本人は、画像表示部3に表示された質問事項に一つひとつ応えていくことになるが、その回答形式は、「はい」あるいは「いいえ」の択一的なものにしている。そして、特定の質問に「はい」と答えたときには、その答えに対応する自覚的要素を特定できるように質問項目と自覚的要素との対応関係をあらかじめ定めておき、特定の質問に応じて、自覚的要素が特定されたときには、処理部2がその特定された自覚的要素に得点として一律に1点を付与するようにしている。
【0029】
次に、この実施形態の作用を説明する。
まず、上記したようにカウンセリングを受ける本人に複数の質問をするが、初期の段階では、画像表示部3には相関図を表示せず、それを潜在化させた状態にしておく。この状態で、上記本人が質問に対して「はい」と答えるたびに、処理部2がそれに対応した自覚的要素に得点として1点を付与する。
また、処理部2は、上記のように得点を付与した自覚的要素を画面上に顕在化させるとともに、この顕在化された自覚的要素と因果律を有するあらかじめ設定された要素も特定し、その要素もさらに顕在化して、因果関係の連鎖を形成していく。例えば、図3の質問中「13.冷え性である」という質問に対して「はい」と回答すると、処理部2は、図5に示すように、「冷え」、「血液循環不良」、「皮膚血流、うっ血」、「くま」、「肩こり」の各要素を特定する。
【0030】
上記のように各要素を特定する場合に、処理部2は、図6に示すステップにしたがって処理をする。
すなわち、処理部2は、質問に対して「はい」と回答したときに、それに対応する自覚的要素xをまず特定する(ステップ101)。つまり、図3の質問中「13.冷え性である」という質問に対して「はい」と回答すると、処理部2は、図5に示すように「冷え」をまず特定する。
ステップ101において最初に自覚的要素xを特定したら、処理部2は、ステップ102において、最初に特定した自覚的要素xに対して原因となる要素があるか否かを判断する。
【0031】
そして、当該原因となる要素がある場合には、上記最初に特定した自覚的要素xから矢印を逆方向に一つ遡って要素を特定する(ステップ103)。つまり、図5においては、「冷え」という自覚的要素xと、この「冷え」に対して矢印を遡った要素である「血液循環不良」という非自覚的要素yとを特定することとなる。なお、ステップ102において、原因となる要素がないと判断した場合には、ステップ201へ向かう処理を実行する。
【0032】
さらに、処理部2は、ステップ103において一つ遡って特定した要素(ここでは「血液循環不良」)に対して、結果となる要素が複数あるか否かを判断する(ステップ104)。言い換えれば、矢印を一つ遡って特定した要素(「血液循環不良」)に対して、処理部2は矢印の順方向にある結果となる要素が、最初に特定された自覚的要素x以外にもあるか否かを判断する。ここでは、「血液循環不良」に対して、矢印の順方向にある結果となる要素は、「冷え」以外に「肩こり」、「皮膚血流、うっ血」とあるので、処理部2は、既に特定した「冷え」以外の「肩こり」、「皮膚血流、うっ血」を特定する(ステップ105)。
【0033】
そして、処理部2は、ステップ105において特定した要素に対して、さらに結果となる要素があるか否かを判断する(ステップ107)。ステップ107において結果となる要素があると判断した場合には、さらに、それ以上結果となる要素がなくなるまで、連鎖的に結果となる要素の特定を続ける(ステップ108)。一方、ステップ107において、結果となる要素がないと判断した場合には、ステップ201に向かう処理を実行する。
ここでは、「肩こり」に対して結果となる要素がない、言い換えると、「肩こり」を起点にした順方向の矢印が一つもないので、当該ルートの因果関係の連鎖は「肩こり」が最後の特定要素となる。
【0034】
一方、「皮膚血流、うっ血」には、それから「くま」に向かって順方向の矢印が出ている。つまり、「皮膚血流、うっ血」を原因とする要素「くま」があるため、処理部2は続けて「くま」も特定する。ただし、「くま」を起点とした順方向の矢印は一つもないので、当該ルートの因果関係の連鎖では「くま」が最後の特定要素となる。そして、全てのルートにおいて、結果となる要素がそれ以上なくなるまで特定を続けたら、処理部2は、ステップ108に続いてステップ201の処理をさらに実行する。
【0035】
なお、ステップ104において、結果となる要素が複数ないと処理部2が
判断した場合には、処理部2は当該特定した要素に対してさらに原因となる要素があるか否かを判断する(ステップ106)。このステップ106を経る場合について、具体例を用いて説明する。
例えば、質問の回答によって、処理部2が、図4における「キメが粗い」という自覚的要素xを最初に特定したとする(ステップ101)。「キメが粗い」に対しては、「肌乾燥」が原因となる要素としてあるため、処理部2はステップ102から103に向かう処理を行い「肌乾燥」を特定する。
そして、処理部2は、ステップ104において、「肌乾燥」に対して結果となる要素が複数あるか否か、つまり「肌乾燥」を起点として、矢印の順方向にある結果となる要素が、最初に特定された「キメが粗い」以外にもあるか否かを判断する。図4に示すとおり、「肌乾燥」に対して結果となる要素は、「キメが粗い」しかないため、処理部2は、ステップ104からステップ106に向かう処理を行い、「肌乾燥」に対してさらに原因となる要素があるか否かを判断する。
【0036】
そして、ステップ106において、さらに原因となる要素があると処理部2が判断した場合には、処理部2はステップ103の処理を実行し、当該原因となる要素を特定し、以後、上記と同様のステップの処理を繰り返す。
上記の例では、「肌乾燥」に対しては、「バリア機能低下」が原因となる要素として存在しているため、処理部2は、ステップ106からステップ103の処理を実行し、「バリア機能低下」を特定する。そして、処理部2は、再びステップ104の処理を実行し、「バリア機能低下」に対して結果となる「毛穴の詰まり」、「にきび」、「にきび跡」を特定することとなる(ステップ105,107,108)。
【0037】
つまり、処理部2は、下記の条件を満足するまで、最初に特定した自覚的要素xから矢印を遡る方向に要素を特定していくことになる。その条件とは、次のとおりである。
(1)最初に得点が与えられた自覚的要素xに対して、直接または間接的に原因となる要素があって、
(2)最初に特定した自覚的要素x以外にも結果となる要素を有している。
このように2つの条件を満足させたら、今度は、当該要素を起点にして矢印の順方向に向かって各要素を連鎖的に特定するようにしている。
したがって、上記の例では、「キメが粗い」→「肌乾燥」→「バリア機能低下」という順で、結果から原因へと遡って各要素が特定される。そして、「バリア機能低下」は、上記2要件を満たすため、この「バリア機能低下」からは、「毛穴の詰まり」→「にきび」→「にきび跡」という順で、原因から結果へと各要素が連鎖的に特定されるのである。
なお、ステップ106において、原因となる要素がないと判断した場合には、ステップ201に向かう処理を実行する。
【0038】
上記のように、最初に特定した自覚的要素xから遡って要素を特定するとともに、この遡って特定した要素から、今度は結果となる要素を連続的に特定するようにしたのは、次の理由からである。すなわち、図5の例では、「冷え」は「血液循環不良」を原因として引き起こされる可能性が極めて高いため、「冷え」を自覚している人は、「血液循環不良」である可能性が高い。「血液循環不良」は「冷え」のみならず、「肩こり」の原因ともなるため、「血液循環不良」である人は、「肩こり」を引き起こすかあるいは既に「肩こり」である可能性がある。
したがって、質問に対する回答によって特定された自覚的要素xを遡った後、その後は次々と結果に向かって要素を特定していけば、最初に特定された自覚的要素x以外に併発していること、あるいは併発するおそれがあることを明確にすることができる。そこで、上記のようにして因果関係の連鎖を形成するようにしたのである。
【0039】
さらに、処理部2は、ステップ201において、最初に特定した自覚的要素xに対して結果となる要素があるか否かを判断する。言い換えれば、最初に特定した自覚的要素xを起点として、矢印が順方向に指し示す要素が存在するか否かを判断する。そして、最初に特定した自覚的要素xに対して結果となる要素があると判断した場合には、当該結果となる要素を特定する(ステップ202)。一方、ステップ201において、最初に特定した自覚的要素xに対して結果となる要素がないと判断した場合には、処理部2が、ここで要素の特定を終了する。
【0040】
また、処理部2は、ステップ202において、前記結果となる要素を特定したら、さらに結果となる要素があるか否かを判断する(ステップ203)。処理部2は、ステップ203において、さらに結果となる要素があると判断した場合には、それ以後、結果となる要素がなくなるまで、矢印の順方向に沿って、次々と要素を特定していく(ステップ204)。一方、ステップ203において、結果となる要素がないと判断した場合には、処理部2が、ここで要素の特定を終了する。
なお、図5からも明らかなように、最初に「冷え」を特定した場合には、「冷え」に対して結果となる要素がないため、処理部2は、ステップ201で要素の特定を終了することとなる。
【0041】
そして、処理部2は、上記のようにして各要素を特定したら、これら特定した各要素に対して得点を演算していく。
ここで、記憶部1は、因果律を有する2つの要素間の相関係数を予め記憶している。この相関係数は、上記したように、数値が高くなるほど両要素間の因果関係が強いことを意味するが、この相関係数に基づいて、処理部2が各要素に得点を与えている。
具体的には、図3の質問中「13.冷え性である」という質問に対して「はい」と回答すると、処理部2は、図5に示すように、「冷え」という自覚的要素xに対して1点を与える。
記憶部1は「冷え」と「血液循環不良」の相関係数を0.9と記憶しており、処理部2は、「冷え」に与えられた得点(1点)と、上記相関係数0.9とを乗算して、1×0.9=0.9点を演算するとともに、この演算した点数(0.9点)を「血液循環不良」と対応付けて記憶部1に記憶させる。
【0042】
「血液循環不良」に得点が与えられると、さらに、「血液循環不良」と因果律のある「皮膚血流、うっ血」にも得点が与えられる。ここでは、「血液循環不良」と「皮膚血流、うっ血」との間の相関係数は0.9なので、処理部2は、0.9×0.9=0.81点を演算し、この得点を「皮膚血流、うっ血」に対応付けて記憶部1に記憶させる。以下、同様に「くま」に0.32点、「肩こり」に0.45点を対応付けて記憶させる。
つまり、処理部2は、最初に特定した自覚的要素xには1点を与え、その他の要素には、最初に特定した自覚的要素xから当該他の要素までの間に存在する相関係数を全て乗算した乗算結果を得点として与えることとなる。
【0043】
さらに、カウンセリングを受ける本人が図3の質問項目中、「17.普段の生活にストレスを感じている」という質問に対して「はい」と回答したとする。すると、処理部2は、図7に示すように、「ストレス」という自覚的要素xに対して得点(1点)を与えるとともに、「ストレス」と1点を対応付けて記憶部1に記憶させる。
ここで、この相関図においては、「ストレス」という自覚的要素xに対して結果となる要素は複数存在するものの、「ストレス」という自覚的要素xに対して原因となる要素は一つも存在しない。つまり、最初に特定される自覚的要素xから遡る要素が一つも存在しない。したがって、この場合には、図6に示すように、処理部2が、ステップ101で「ストレス」を特定した後、ステップ102からステップ201に向かう処理を行うことになる。
【0044】
つまり、処理部2は、ステップ202において、「ストレス」に対して結果となる「バリア機能低下」を特定する。処理部2が、「バリア機能低下」を特定すると、この「バリア機能低下」に対してさらに結果となる要素があるか否かを判断する(ステップ203)。ここでは、「バリア機能低下」に対して「毛穴の詰まり」が結果となる要素として存在しており、さらに「毛穴の詰まり」に対して「にきび」が、「にきび」に対して「にきび跡」が結果となる要素として存在している。したがって、処理部2は、ステップ204において、「毛穴の詰まり」、「にきび」、「にきび跡」を連鎖的に特定する。そして、これら特定した各要素にも、上記と同様の方法で得点を演算する。
また、図8に示すように、「ストレス」は「バリア機能の低下」をもたらすのみならず、「性ホルモンバランスの変化」をもたらす原因にもなる。そこで、処理部2は、「性ホルモンバランスの変化」=0.5点、「皮脂分泌」=0.2点、「脂っぽい」=0.1点を与える。
【0045】
そして、「皮脂分泌」と「にきび」との相関係数は0.4であるため、処理部2は、0.2×0.4=0.08点を演算するとともに、0.08点を「にきび」に与える。このとき、「にきび」には、図7に示すように0.096点が既に与えられているので、処理部2は、0.096点に0.08点を加算して、「にきび」の得点を0.176点とすることとなる。したがって、「にきび跡」も同様に0.053点に変化する。なお、実際には、各質問に対する回答と、各要素に与えられる得点とが予め記憶されており、回答が入力されることによって、各要素と得点とを瞬時に対応付けて記憶するようにしている。
【0046】
また、「ストレス」は「便秘」、「PMS」、「自律神経」に対しても因果律を有しているため、「便秘」、「PMS」、「自律神経」にも上記と同様の方法で得点が与えられる。そして、「自律神経」に得点が与えられると、「自律神経」と「血液循環不良」との相関係数に基づいて、「血液循環不良」に0.12点、「冷え」に0.108点、「皮膚血流、うっ血」に0.108点、「くま」に0.043点が与えられる。
このように、「血液循環不良」等に与えられた得点は、図5に示すように、他の質問項目に対する回答によって既に与えられている得点に加算される。
【0047】
さらに、カウンセリングを受ける人が、図3の質問項目中、「20.肌が乾燥しやすい」という質問に対して「はい」と回答すると、処理部2は、図9に示すように、「肌乾燥」、「キメが粗い」、「バリア機能低下」、「毛穴の詰まり」、「にきび」、「にきび跡」の各要素を特定する。
具体的に説明すると、図6に示すように、ステップ101において「肌乾燥」が最初に特定されると、処理部2は、ステップ102,103の処理を実行して、「バリア機能低下」を特定する。ステップ103において「バリア機能低下」を特定すると、ステップ104において、「バリア機能低下」に対して結果となる要素が複数あるか否かを判断する。「バリア機能低下」に対しては、「肌乾燥」以外に「毛穴の詰まり」が結果となる要素として存在している。つまり、「バリア機能定」には複数の結果となる要素があるので、処理部2は、ステップ105〜108において、「毛穴の詰まり」、「にきび」、「にきび跡」を連鎖的に特定することとなる。
【0048】
さらに、処理部2は、ステップ201において、「肌乾燥」に対して結果となる要素があるか否かを判断する。「肌乾燥」に対しては「キメが粗い」が結果となるので、処理部2は、ステップ202において「キメが粗い」を特定する。ただし、「キメが粗い」に対して結果となる要素はないため、ステップ203でNoと判断し、要素の特定は終了する。
このように、図6に示すフローにしたがえば、図9において顕在化している要素が特定されることとなるが、このとき処理部2が演算する各要素の得点は、図9に示すとおりであり、その演算方法は上記と同様である。
【0049】
なお、この実施形態においては、質問13に「はい」と回答すると「冷え」に1点が与えられ、質問17に「はい」と回答すると「ストレス」に1点が与えられ、質問20に「はい」と回答すると「肌乾燥」に1点が与えられる。つまり、質問項目に「はい」と回答した際に、最初の要素に与えられる点数を全て等しくしている。
ただし、最初の要素に与えられる得点は、質問項目に応じて変える方が望ましい。
【0050】
例えば、図3中「19.肩こりに悩んでいる」という質問は、カウンセリングを受ける本人が正確に回答しやすい。しかし、「17.普段の生活にストレスを感じている」という質問に対しては、実際にはストレスを感じているが、本人がストレスを感じているという自覚をもたない場合も多く、必ずしも正確に回答されるとは限らない。
そこで、カウンセリングを受ける本人が正確に回答できる質問については、その回答に応じて与えられる得点を高くし、逆にカウンセリングを受ける本人が誤回答する可能性が高い質問については、その回答に応じて与えられる得点を低くするとよい。このようにすれば、より正確な演算結果を得ることができるからである。
【0051】
そして、この実施形態においては、記憶部1が記憶した各要素x,yおよび各要素の得点に基づいて、処理部2が、図10に示す相関図を画像表示部3に表示する。この相関図は、図からも明らかなように、得点が入らなかった自覚的要素x、非自覚的要素y、およびそれら要素x,yに関連付けられた因果関係表示手段(矢印)を薄くしている。言い換えれば、得点が入った要素x,yと、それら両要素x,yを結ぶ矢印のみを、その得点とともに表示するようにしている。
しかも、得点の入った両要素x,yにおいても、その得点が低い「にきび跡」、「脂っぽい」といった要素については、多少薄く表示するようにしている。このように、得点に応じて強弱をつけた表示をすることで、回答者にとって重要な要素をより強く意識させるようにしているのである。
【0052】
そして、上記のようにして、画像表示部3に相関図が表示されたら、カウンセリングを受ける本人はカウンセリングテーマを特定するとともに、当該カウンセリングテーマを入力部4から入力する。カウンセリングテーマというのは、カウンセリングを受ける本人がカウンセリングして欲しい事柄、例えば、肌状態のカウンセリングにおいては主に肌トラブルのことをいい、主に、記憶部1に記憶されている自覚的要素xがカウンセリングテーマとなり得る。
例えば、カウンセリングを受ける本人がカウンセリングテーマとして「にきび」を選択し、入力部4に入力したとする。すると、処理部2は、当該カウンセリングを受ける本人の「にきび」に応じた因果関係連鎖を特定する。この処理部2が特定する因果関係連鎖は、カウンセリングテーマが生じる最大の原因ルートを連鎖的に示すものである。
【0053】
つまり、処理部2は、カウンセリングテーマとなる自覚的要素xから矢印を次々と遡ることによって、原因ルートを特定する。このとき、矢印を遡る際に複数の原因となる要素が存在する場合がある。この実施形態においては、「にきび」の原因ルートは2通り考えられ、第1のルートは、「ストレス」→「バリア機能低下」→「毛穴の詰まり」というルートであり、第2のルートは、「ストレス」→「性ホルモンバランスの変化」→「皮脂分泌」というルートである。つまり、「にきび」は、上記ルートのいずれか、もしくはこれら両方によって引き起こされていると考えられる。
【0054】
このように、結果となる要素から原因となる要素へと遡って原因ルートを特定する際に、複数の原因となる要素がある場合には、処理部2が、複数の原因となる要素の中で得点が最も高いものを選択して特定する。したがって、「にきび」という自覚的要素xには、「毛穴の詰まり」および「皮脂分泌」の2つの原因となる要素があるが、ここでは、毛穴の詰まり(0.6点)>皮脂分泌(0.2点)であるため、処理部2は、「毛穴の詰まり」を選択して特定することとなる。なお、原因となる要素が複数ある場合で、これら両要素の得点の差が小さい場合には、処理部2が両方の要素を特定しても構わない。
【0055】
上記のようにして、「にきび」の発症ルートとして「毛穴の詰まり」が特定された場合、「にきび」は「皮脂分泌」を原因として生じるよりも、「毛穴の詰まり」を原因として生じる可能性が高いということを示している。
そして、「毛穴の詰まり」が特定されると、今度は、「毛穴の詰まり」に対して原因となる要素を特定する。ここでは、「毛穴の詰まり」に対して原因となる要素は、「バリア機能低下」しかないため、処理部2は、「バリア機能低下」を特定する。処理部2は、同様の手順で、原因となる要素がなくなるまで、次々と要素を特定していく。
【0056】
そして、処理部2は、「にきび」→「毛穴の詰まり」→「バリア機能低下」→「ストレス」という因果関係連鎖を特定するとともに、図11に示すように、当該因果関係連鎖を、他の要素や矢印(因果関係特定手段)よりも目立つように強調表示する。
なお、処理部2は、入力部4からカウンセリングテーマが入力されたとき、カウンセリングテーマに応じて特定された因果関係連鎖のみを画像表示部3に表示させ、上記特定された因果関係連鎖内にない他の要素や矢印を表示しないようにしても構わない。つまり、「にきび」、「毛穴の詰まり」、「バリア機能低下」、「ストレス」の各要素と、これら各要素を結ぶ因果関係連鎖(矢印)のみを表示してもよい。
【0057】
いずれにしても、処理部2は、記憶部1が記憶したデータと入力部4から入力される回答に基づいて演算をするとともに、カウンセリングテーマに応じた因果関係連鎖を特定表示すれば、その表示方法等は特に限定されない。
また、例えば、図12に示すように、「冷え」、「肌乾燥」等、因果関係連鎖内にはないが、評価点の高い要素を、因果関係連鎖とともに強調表示しても構わない。このようにすれば、カウンセリングを受ける本人が自覚していない症状や、あるいは質問項目に対する回答の結果からみて今後症状として表れる可能性のある肌トラブルについても、注意を喚起することができる。
そして、本人が自覚していない症状等について意識をもたせるためには、得点の高い上位1〜5番目程度までの要素を強調表示することが望ましい。
【0058】
なお、上記実施形態においては、各要素間の相関係数を予め固定値として記憶部1に記憶させておき、この相関係数に基づいて自覚的要素xや非自覚的要素yの得点を演算するようにしたが、相関係数は、カウンセリングを受ける本人の属性やカウンセリングテーマに応じて可変にしてもよい。
カウンセリングを受ける本人の属性に応じて相関係数を変える場合としては、例えば、「男性」と回答した場合に、「性周期」と「性ホルモンバランスの変化」との相関係数を0にすることが考えられる。また、年齢を「10代」と入力した場合に、「くま」→「メラニン産生過剰」→「老化」の相関係数を低くし、逆に「くま」→「皮膚血流うっ血」の相関係数を高くするとよい。
このように、カウンセリングを受ける本人の属性に応じて相関係数を可変にすれば、より正確な相関図を完成させることが可能となる。
上記のように相関係数を可変にするためには、カウンセリングを受ける人の属性に応じた相関係数を記憶部1にあらかじめ記憶させておいて、入力部4から入力された人の属性情報に応じて、処理部2が記憶部1から対応する相関係数を引き出すようにする。
【0059】
一方、カウンセリングテーマに応じて相関係数を変える場合としては、カウンセリングを受ける本人が特定したカウンセリングテーマに直接または間接的に関連する要素間の相関係数を高くし、全く関連のない要素間の相関係数を低くすることが考えられる。
例えば、肌トラブルに関する質問をする前に、予めカウンセリングテーマを入力できるようにしておく。そして、カウンセリングテーマとして「にきび」が入力されたとすると、「にきび」、「毛穴の詰まり」、「皮脂分泌」、「バリア機能低下」、「性ホルモンバランスの変化」、「性周期」、「PMS」、「ストレス」、といった「にきび」に直接または間接的に関連する要素間の相関係数を高くする。一方、「くま」、「皮膚血流、うっ血」、「血液循環不良」、「冷え」といった「にきび」と関連しないと考えられる要素間の相関係数を低くする。
このようにすれば、予めカウンセリングテーマが決まっている場合に、当該カウンセリングテーマに関連する要素の得点を高くすることができるので、カウンセリングを受ける本人の望んだ相関図を完成させることができる。
【0060】
なお、相関係数を可変にする場合として、属性やカウンセリングテーマによって異なる相関係数を予めパターン化して記憶部1に記憶させておく方法がある。例えば、男性用と女性用で異なる相関係数を定めるとともに、入力される性別に応じて、いずれかの相関係数のパターンを引き出して、処理部2が演算する方法である。
また、記憶部1には所定の相関係数を1パターンのみ記憶させておき、処理部2が得点を演算する際に、属性やカウンセリングテーマによって相関係数を変えながら得点を演算する方法もある。
いずれにしても、属性やカウンセリングテーマ等に応じて、相関係数を変えて処理部2が演算を行えば、相関係数を固定化する場合よりも、カウンセリングを受ける本人の実態を反映した相関図を完成させることができる。
【0061】
さらに、上記実施形態においては、記憶部1に、多数の質問項目を記憶しておき、これら質問項目の全てを、カウンセリングを受ける本人が回答するようにしているが、質問項目は場面に応じて適宜変更する方が望ましい。
質問項目を変える第1の方法としては、例えば、カウンセリングを受ける本人の属性やカウンセリングテーマに応じた複数の質問パターンを記憶部1に記憶させておき、入力されたカウンセリングを受ける本人の属性やカウンセリングテーマに応じて、特定の質問パターンを選択して表示することが考えられる。
【0062】
また、第2の方法としては、記憶部1に複数の質問項目を対応付けて記憶させておき、前問の回答に応じて、処理部2が記憶部1に記憶されている質問項目の中から後問を選択するようにしてもよい。この場合に前問の回答に対して次の質問をどのように特定するかのロジックはあらかじめ記憶部1に記憶させておき、処理部2はそのロジックにしたがって処理するようにすればよい。
さらには、第3の方法として、上記第1,2の方法を組み合わせることも考えられる。このように、カウンセリングを受ける本人の属性やカウンセリングテーマ、さらには他の質問項目の回答に応じて、質問項目を選択すれば、不必要な質問項目を排除することができ、カウンセリングを受ける本人が回答に要する時間を短縮することができるという効果がある。
【0063】
また、上記実施形態においては、記憶部1が、自覚的要素x、非自覚的要素y、および各要素間の因果律(相関係数)を、相関図と対応付けて記憶しており、この記憶部1に記憶された相関図に処理部2が処理を施している。つまり、記憶部1が予め記憶している相関図に対して、処理部2が得点を入力したり、あるいは特定された各要素を顕在化させたりしている。
ただし、記憶部1は、必ずしも相関図を記憶する必要はなく、自覚的要素x、非自覚的要素y、および各要素間の因果律(相関係数)のみを対応付けて記憶させておき、最終的な演算結果が出たときに、当該演算結果に基づいて初めて相関図を作成するようにしても構わない。いずれにしても、記憶部1に記憶されている各要素およびそれらの因果律を基にして作成した相関図が画像表示部3に表示されればよい。
【0064】
さらに、上記実施形態においては、図6に示すフローにしたがって要素を特定するようにしているが、その特定方法は大別して2とおりである。そのひとつは最初に特定した自覚的要素xから矢印を一つあるいは複数遡ったところにある要素を特定するとともに、当該特定された要素から結果となる要素に向かって次々と要素を特定するという、ステップ102〜108に示す特定方法である。また、他のひとつは、最初に特定した自覚的要素xから矢印を順方向に辿ったところにある要素を特定するとともに、当該特定された要素に対して結果となる要素を次々と特定するという、ステップ201〜204に示す特定方法である。そして、上記実施形態においては、ステップ102〜108で要素の特定を実行した後、連続的にステップ201〜204で要素の特定を実行している。
しかし、上記実施形態における要素の特定方法は一例に過ぎず、例えば、図6のステップ102〜108の方法のみで要素を特定したり、あるいはステップ201〜204の方法のみで要素を特定したりしてもよいし、また上記とは異なる方法で要素を特定しても構わない。
【0065】
例えば、図13に示すように、処理部2が、最初に得点が与えられた自覚的要素xに対して、直接または間接的に原因となる要素のみを連鎖的に特定しても構わない。つまり、最初に所定の自覚的要素xを特定するとともに、この自覚的要素xから、原因となる要素がなくなるまで次々と矢印を遡りながら要素を特定する。
このようにすれば、最初に特定された自覚的要素xの原因を遡って得点が与えられるので、上記自覚的要素xの原因のみを浮き彫りにすることができる。したがって、特に、カウンセリングテーマが明確な場合には、当該カウンセリングテーマとなるトラブルの原因を明確に体系化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】この実施形態に係るカウンセリングシステムの構成要素を概念的に示す図である。
【図2】記憶部が記憶する属性的質問の一例である。
【図3】記憶部が記憶する肌トラブルに関する質問の一例である。
【図4】この実施形態に係る基本となる相関図である。
【図5】各要素間の相関係数と演算過程を示す図である。
【図6】要素を特定するフローを示す図である。
【図7】各要素間の相関係数と演算過程を示す図である。
【図8】各要素間の相関係数と演算過程を示す図である。
【図9】各要素間の相関係数と演算過程を示す図である。
【図10】この実施形態において特定された相関図である。
【図11】相関図の一表示方法を示す図である。
【図12】相関図の他の表示方法を示す図である。
【図13】要素を特定する際の他の方法を示す図である。
【符号の説明】
【0067】
1 記憶部
2 処理部
3 画像表示部
x 自覚的要素
y 非自覚的要素
【特許請求の範囲】
【請求項1】
各種データを記憶する記憶部と、画像を表示する画像表示部と、処理部とを備え、記憶部には、複数の自覚的要素と、複数の非自覚的要素と、上記自覚的要素あるいは非自覚的要素のうち、結果となる特定の要素に対して原因となる要素の因果律とを記憶させるとともに、処理部は、記憶部に記憶されている上記自覚的要素、非自覚的要素およびそれらの因果律を基にして、因果律を有する要素同士を、因果関係表示手段で関連付けた相関図を画像表示部に表示させる機能と、上記記憶部に記憶されているデータを用いて、カウンセリングテーマに応じた因果関係連鎖を特定表示する機能とを備えたカウンセリングシステム。
【請求項2】
処理部は、カウンセリングに必要な質問項目に対する回答が入力されたとき、その回答に応じて上記自覚的要素や非自覚的要素の得点を演算し、それら得点を各要素に対応付けて記憶部に記憶させる機能を備えた請求項1記載のカウンセリングシステム。
【請求項3】
記憶部にはカウンセリングに必要な質問項目を記憶させるとともに、処理部は、その質問項目を画像表示部に表示する機能と、画像表示部に表示された質問項目に対する回答が入力されたとき、自覚的要素や非自覚的要素の得点を演算する機能とを備えた請求項2記載のカウンセリングシステム。
【請求項4】
記憶部にはカウンセリングを受ける本人の属性やカウンセリングテーマに応じて複数の質問パターンをあらかじめ記憶させ、処理部は、入力されたカウンセリングを受ける本人の属性やカウンセリングテーマに応じて、記憶部に記憶されている複数の質問パターンの中から特定の質問パターンを選択する機能を備えた請求項3に記載のカウンセリングシステム。
【請求項5】
記憶部には複数の質問項目を記憶させるとともに、処理部は、前問の回答に応じて、記憶部に記憶されている質問項目の中から後問を選択する機能を備えた請求項3に記載のカウンセリングシステム。
【請求項6】
処理部は、特定の要素が、前記質問項目に応じて複数回得点したときには、それら得点の全てを合計して、特定の要素の得点として記憶部に記憶させる機能を備えた請求項2〜5のいずれかに記載のカウンセリングシステム。
【請求項7】
記憶部には、互いに因果律があるものとしてあらかじめ特定されている上記自覚的要素および非自覚的要素からなる各要素間の相関係数を記憶し、処理部は、質問項目に対する回答が入力されたとき、その回答に応じて所定の自覚的要素に得点を与えるとともに、この得点を与えられた自覚的要素と直接または間接的に因果律がある1または複数の他の要素を特定し、これら特定した他の要素には、上記所定の自覚的要素に与えられた得点に、上記所定の自覚的要素から特定した他の要素までの間に存在する相関係数を乗算した乗算結果を得点として与え、当該得点を記憶部に記憶させる機能を備えた請求項2〜6のいずれかに記載のカウンセリングシステム。
【請求項8】
処理部は、最初に得点が与えられた上記所定の自覚的要素と直接または間接的に因果律がある1または複数の他の要素を特定する場合であって、上記所定の自覚的要素に対して結果となる要素があるとき、当該所定の自覚的要素から因果関係連鎖の正方向に結果となる要素を特定していく機能を備えた請求項7記載のカウンセリングシステム。
【請求項9】
処理部は、最初に得点が与えられた上記所定の自覚的要素と直接または間接的に因果律がある1または複数の他の要素を特定するとき、上記所定の自覚的要素に対して直接または間接的に原因となる要素であって、しかも複数の結果となる要素を有する要素の中から上記所定の自覚的要素に最も近い要素を特定し、この特定した要素から因果関係連鎖の正方向に結果となる要素を特定していく機能を備えた請求項7または8に記載のカウンセリングシステム。
【請求項10】
処理部は、最初に得点が与えられた上記所定の自覚的要素と直接または間接的に因果律がある1または複数の他の要素を特定するとき、上記所定の自覚的要素から因果関係連鎖を遡りながら原因となる要素を特定していく機能を備えた請求項7記載のカウンセリングシステム。
【請求項11】
記憶部は、カウンセリングを受ける本人の属性やカウンセリングテーマに応じた相関係数を記憶してなる請求項7〜10のいずれかに記載のカウンセリングシステム。
【請求項12】
処理部は、カウンセリングを受ける本人の属性やカウンセリングテーマに応じて相関係数を可変にする機能を備えた請求項7〜10のいずれかに記載のカウンセリングシステム。
【請求項13】
処理部は、上記演算結果である得点を、上記相関図における自覚的要素あるいは非自覚的要素に対応付けて、画像表示部に表示させる機能を備えた請求項2〜12のいずれかに記載のカウンセリングシステム。
【請求項14】
処理部は、自覚的要素または非自覚的要素のうち、結果となる特定の要素に対して複数の原因となる要素があるとき、これら複数の原因となる要素のうち最も得点の高い要素を選択して上記因果関係連鎖を特定する機能を備えた請求項2〜13のいずれかに記載のカウンセリングシステム。
【請求項15】
処理部は、画像表示部に相関図を表示させるとき、上記相関図における自覚的要素あるいは非自覚的要素のうち、上位1〜5番目までの得点を与えられた要素を強調表示する機能を備えた請求項2〜14のいずれかに記載のカウンセリングシステム。
【請求項16】
処理部は、上記相関図の中で、カウンセリングテーマに応じて特定された因果関係連鎖のみを画像表示部に表示させる機能を備えた請求項1〜15のいずれかに記載のカウンセリングシステム。
【請求項17】
処理部は、上記相関図の中で、カウンセリングテーマに応じて特定された因果関係連鎖を強調表示する機能を備えた請求項1〜15のいずれかに記載のカウンセリングシステム。
【請求項18】
上記相関図は、カウンセリング分野に対応した複数の相関エリアを備えるとともに、これら各相関エリア内または各相関エリアの近傍に、関連性があるかあるいは関連性が高い上記自覚的要素および非自覚的要素を配置した請求項1〜17のいずれかに記載のカウンセリングシステム。
【請求項1】
各種データを記憶する記憶部と、画像を表示する画像表示部と、処理部とを備え、記憶部には、複数の自覚的要素と、複数の非自覚的要素と、上記自覚的要素あるいは非自覚的要素のうち、結果となる特定の要素に対して原因となる要素の因果律とを記憶させるとともに、処理部は、記憶部に記憶されている上記自覚的要素、非自覚的要素およびそれらの因果律を基にして、因果律を有する要素同士を、因果関係表示手段で関連付けた相関図を画像表示部に表示させる機能と、上記記憶部に記憶されているデータを用いて、カウンセリングテーマに応じた因果関係連鎖を特定表示する機能とを備えたカウンセリングシステム。
【請求項2】
処理部は、カウンセリングに必要な質問項目に対する回答が入力されたとき、その回答に応じて上記自覚的要素や非自覚的要素の得点を演算し、それら得点を各要素に対応付けて記憶部に記憶させる機能を備えた請求項1記載のカウンセリングシステム。
【請求項3】
記憶部にはカウンセリングに必要な質問項目を記憶させるとともに、処理部は、その質問項目を画像表示部に表示する機能と、画像表示部に表示された質問項目に対する回答が入力されたとき、自覚的要素や非自覚的要素の得点を演算する機能とを備えた請求項2記載のカウンセリングシステム。
【請求項4】
記憶部にはカウンセリングを受ける本人の属性やカウンセリングテーマに応じて複数の質問パターンをあらかじめ記憶させ、処理部は、入力されたカウンセリングを受ける本人の属性やカウンセリングテーマに応じて、記憶部に記憶されている複数の質問パターンの中から特定の質問パターンを選択する機能を備えた請求項3に記載のカウンセリングシステム。
【請求項5】
記憶部には複数の質問項目を記憶させるとともに、処理部は、前問の回答に応じて、記憶部に記憶されている質問項目の中から後問を選択する機能を備えた請求項3に記載のカウンセリングシステム。
【請求項6】
処理部は、特定の要素が、前記質問項目に応じて複数回得点したときには、それら得点の全てを合計して、特定の要素の得点として記憶部に記憶させる機能を備えた請求項2〜5のいずれかに記載のカウンセリングシステム。
【請求項7】
記憶部には、互いに因果律があるものとしてあらかじめ特定されている上記自覚的要素および非自覚的要素からなる各要素間の相関係数を記憶し、処理部は、質問項目に対する回答が入力されたとき、その回答に応じて所定の自覚的要素に得点を与えるとともに、この得点を与えられた自覚的要素と直接または間接的に因果律がある1または複数の他の要素を特定し、これら特定した他の要素には、上記所定の自覚的要素に与えられた得点に、上記所定の自覚的要素から特定した他の要素までの間に存在する相関係数を乗算した乗算結果を得点として与え、当該得点を記憶部に記憶させる機能を備えた請求項2〜6のいずれかに記載のカウンセリングシステム。
【請求項8】
処理部は、最初に得点が与えられた上記所定の自覚的要素と直接または間接的に因果律がある1または複数の他の要素を特定する場合であって、上記所定の自覚的要素に対して結果となる要素があるとき、当該所定の自覚的要素から因果関係連鎖の正方向に結果となる要素を特定していく機能を備えた請求項7記載のカウンセリングシステム。
【請求項9】
処理部は、最初に得点が与えられた上記所定の自覚的要素と直接または間接的に因果律がある1または複数の他の要素を特定するとき、上記所定の自覚的要素に対して直接または間接的に原因となる要素であって、しかも複数の結果となる要素を有する要素の中から上記所定の自覚的要素に最も近い要素を特定し、この特定した要素から因果関係連鎖の正方向に結果となる要素を特定していく機能を備えた請求項7または8に記載のカウンセリングシステム。
【請求項10】
処理部は、最初に得点が与えられた上記所定の自覚的要素と直接または間接的に因果律がある1または複数の他の要素を特定するとき、上記所定の自覚的要素から因果関係連鎖を遡りながら原因となる要素を特定していく機能を備えた請求項7記載のカウンセリングシステム。
【請求項11】
記憶部は、カウンセリングを受ける本人の属性やカウンセリングテーマに応じた相関係数を記憶してなる請求項7〜10のいずれかに記載のカウンセリングシステム。
【請求項12】
処理部は、カウンセリングを受ける本人の属性やカウンセリングテーマに応じて相関係数を可変にする機能を備えた請求項7〜10のいずれかに記載のカウンセリングシステム。
【請求項13】
処理部は、上記演算結果である得点を、上記相関図における自覚的要素あるいは非自覚的要素に対応付けて、画像表示部に表示させる機能を備えた請求項2〜12のいずれかに記載のカウンセリングシステム。
【請求項14】
処理部は、自覚的要素または非自覚的要素のうち、結果となる特定の要素に対して複数の原因となる要素があるとき、これら複数の原因となる要素のうち最も得点の高い要素を選択して上記因果関係連鎖を特定する機能を備えた請求項2〜13のいずれかに記載のカウンセリングシステム。
【請求項15】
処理部は、画像表示部に相関図を表示させるとき、上記相関図における自覚的要素あるいは非自覚的要素のうち、上位1〜5番目までの得点を与えられた要素を強調表示する機能を備えた請求項2〜14のいずれかに記載のカウンセリングシステム。
【請求項16】
処理部は、上記相関図の中で、カウンセリングテーマに応じて特定された因果関係連鎖のみを画像表示部に表示させる機能を備えた請求項1〜15のいずれかに記載のカウンセリングシステム。
【請求項17】
処理部は、上記相関図の中で、カウンセリングテーマに応じて特定された因果関係連鎖を強調表示する機能を備えた請求項1〜15のいずれかに記載のカウンセリングシステム。
【請求項18】
上記相関図は、カウンセリング分野に対応した複数の相関エリアを備えるとともに、これら各相関エリア内または各相関エリアの近傍に、関連性があるかあるいは関連性が高い上記自覚的要素および非自覚的要素を配置した請求項1〜17のいずれかに記載のカウンセリングシステム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2009−59126(P2009−59126A)
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−225124(P2007−225124)
【出願日】平成19年8月31日(2007.8.31)
【出願人】(000001959)株式会社資生堂 (1,748)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年8月31日(2007.8.31)
【出願人】(000001959)株式会社資生堂 (1,748)
【Fターム(参考)】
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