説明

カウンセリングシート

【課題】 販売員のカウンセリングの質的向上を図るとともに、長期間に亘って顧客満足度を維持することができるカウンセリングシートを提供する
【解決手段】 カウンセリングの対象となるにきびや皺などの肌事象1を引き起こす原因となる原因要素5と、上記肌事象1を有する人の自覚的要素6とを、肌エリア2、身体エリア3、心エリア4、あるいはこれら3つのエリア2〜4の近傍に分類配置するとともに、上記肌事象1、原因要素5および自覚的要素6の関連性を、因果関係に基づいて記した因果関係図Xを含む構成にした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、主に化粧品等の販売店等で使用するカウンセリングシートに関する。
【背景技術】
【0002】
化粧品等の販売店においては、顧客個々に最適な化粧品等を提供するために、様々なカウンセリングが行われている。一般的には、顧客の肌に表れるにきびや皺等のさまざまな症状を分析したり、こうした各症状に対する顧客の要望を聞きだしたりして、顧客の要望に最も応えうる化粧品を提供する。
上記のようなカウンセリングは、各販売店に備えられたカウンセリングシートを用いて行われることが多い。このとき用いられるカウンセリングシートは、例えば、シミ・そばかす、くすみ、毛穴の汚れ、にきび等の各症状がどのような症状であり、また、こうした各症状が、どのような問題により生じるのか、どのように対処するとよいのか等を、図を交えて説明している。
【0003】
こうしたカウンセリングシートを用いることによって、カウンセリングを受ける顧客は、症状やその対処法等を理解しやすくなり、また、カウンセリングを行う販売員にとっても、正確な情報を伝達することが可能となる。そして、顧客が自己の症状を理解したうえで、その症状に対して最適な化粧品を提供すれば、顧客の満足度を向上することができる。
このように、カウンセリングシートは、化粧品等の販売店におけるカウンセリングの質的向上と、カウンセリングを受ける者の満足度向上には欠かせない必須のものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように、化粧品販売店等で現在用いられているカウンセリングシートには、にきびや皺等の肌に表れる症状の説明や、各症状に対する簡単な対処法等は示されているものの、各症状と当該症状が表れる原因、特には、各症状と身体や心との因果関係については、全く記載されていないか、記載されていても補足的な記載にすぎない。
そのため、カウンセリングシートを用いてカウンセリングを行ったとしても、カウンセリングを受ける顧客は、各症状と当該症状が表れる原因との因果関係をしっかりと理解できないまま、勧められた化粧品を購入したり、あるいは当該症状の対処法を実践したりしている。
【0005】
このように、各症状と当該症状が表れる原因との因果関係をしっかりと理解していないと、カウンセリング後、時間の経過に伴って、購入した化粧品に対する顧客の信頼感や満足度が低下したり、あるいは勧められた対処法を長期間に亘って継続できなくなったりしてしまう。
つまり、現在のカウンセリングシートを用いてカウンセリングを行ったとしても、長期間に亘って顧客満足度を維持することは難しく、顧客の信頼感や満足度を維持できるか否かは、結局、販売員個々の知識やカウンセリング能力に頼らざるを得ないという問題があった。
【0006】
この発明の目的は、販売員のカウンセリングの質的向上を図るとともに、長期間に亘って顧客満足度を維持することができるカウンセリングシートを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、カウンセリングの対象となるにきびや皺などの肌事象を引き起こす原因となる原因要素と、上記肌事象を有する人の自覚的要素とを、肌エリア、身体エリア、心エリアあるいはこれら3エリアの近傍に分類配置するとともに、上記肌事象、原因要素および自覚的要素の関連性を因果関係に基づいて記した因果関係図を含む点に特徴を有する。
【0008】
第2の発明は、上記肌事象、原因要素および自覚的要素を矢印等の符号で関連付けした点に特徴を有する。
第3の発明は、上記自覚的要素同士または自覚的要素と原因要素とを因果関係に基づいて矢印等の符号で関連付けするとともに、原因要素同士または原因要素と肌事象とを因果関係に基づいて矢印等の符号で関連付けした点に特徴を有する。
第4の発明は、上記肌エリア、身体エリア、心エリアあるいはこれら3エリアの近傍には、複数の原因要素および自覚的要素を分類配置してなり、これら複数の原因要素および自覚的要素の中から特定した原因要素、自覚的要素、およびこれら特定の両要素を関連付けた矢印等の符号と、その他の原因要素、自覚的要素および符号とを識別可能にした点に特徴を有する。
【0009】
第5の発明は、上記因果関係図とともに、この因果関係図に記された原因要素または自覚的要素への対策を記した点に特徴を有する。
第6の発明は、原因要素または自覚的要素への上記対策は、身体の外部から現状を維持する外部維持対策と、身体の外部から現状を改善する外部治療対策と、身体の内部から現状を維持する内部維持対策と、身体の内部から現状を改善する内部治療対策との4象限に分類した点に特徴を有する。
【発明の効果】
【0010】
第1〜第6の発明によれば、にきびや皺などの肌事象と、この肌事象を引き起こす原因となる原因要素と、上記肌事象を有する人の自覚的要素との関連性を因果関係に基づいて記したので、肌事象と、当該肌事象を引き起こす原因または自覚症状との因果関係を、容易に、かつ、しっかりと理解することができる。また、肌エリア、身体エリア、心エリアを設けるとともに、これら各エリアに原因要素や自覚的要素を分類配置したので、原因要素や自覚的要素と、肌、身体、心との関連性や相対関係が認識しやすい。
したがって、当該カウンセリングシートを用いてカウンセリングを行えば、カウンセリング後時間が経過しても、自己の肌事象や当該肌事象を引き起こす原因について認識が薄れにくく、購入した化粧品に対する顧客の信頼感や満足度を長期間に亘って維持したり、あるいは勧められた対処法を長期間に亘って継続したりすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1〜図4を用いて、この発明の第1実施形態について説明する。
図1に、この発明の最大の特徴である因果関係図の概要を示す。この因果関係図Xは、化粧品販売店等で用いられるカウンセリングシート中に記される図であり、カウンセリングの対象となる肌事象ごとに作成される。ここでいう肌事象とは、肌に表れる症状を言うもので、具体的には、にきび、皺、毛穴の目立ち、くま、肌荒れやかさつき、くすみ、シミ、肌のたるみ等のことである。つまり、因果関係図Xは、上記したにきびや皺ごとに個別に作成される。
【0012】
図1に示すように、カウンセリングの対象となる上記肌事象1は、因果関係図X中、左上方に配置される。肌事象1は、カウンセリングの対象であり、言うならば当該カウンセリングのテーマである。したがって、肌事象1は、白抜きにして因果関係図X中で最も目立つようにしている。
そして、図の中心部には、肌エリア2、身体エリア3、および心エリア4が、相互に部分的に重なるように設けられている。そして、肌エリア2は上方に、身体エリア3および心エリア4は上記肌エリア2の下方に配置している。
上記のように、エリアを肌、身体、心の3つに分類したのは、肌、身体、心の3要素が相互に密接に関連しあっているからである。つまり、この因果関係図Xにおいては、上記肌事象1が表れる因果関係を、肌、身体、心の3要素に分類して認識できるようにしたのである。なお、上記3つのエリアは、肌、身体、心の3要素が個々に認識できればよいので、相互に重なり合わないように配置しても構わない。
【0013】
そして、上記3つのエリア2〜4には、上記肌事象1を引き起こす原因となる原因要素5と、上記肌事象1に対する人の自覚的要素6とが分類配置される。
ここでいう原因要素5とは、体内または体外に表れる様々な症状のことであり、上記肌事象1を直接的または間接的に引き起こす原因を言う。具体的には、ビタミン不足、ホルモンバランス変化、血液循環不良等、主に医学的見地から肌事象1と関係すると考えられるものである。
一方、上記自覚的要素6とは、カウンセリングを受ける顧客が自覚可能な症状や生活習慣等を言い、例えば、腰痛、胃炎、貧血、食べ過ぎ、ストレス、偏った食事等のことである。ただし、この因果関係図X中に記される自覚可能な症状は、肌事象1と因果関係があるものに限られる。肌事象1と因果関係があるというのは、医学的見地から当該肌事象1や上記原因要素5と何らかの関係があるか、あるいは、アンケートや問診の結果、当該肌事象1が表れる人に同時に多く見受けられる関係があることをいう。
【0014】
なお、自覚的要素6が症状や生活習慣等、自覚可能であるのに対して、原因要素5は、自覚できないものが主である。ただし、上記した各症状は、肌事象1、原因要素5、および自覚的要素6に明確に分類できるものではなく、同じ症状であっても、場合によって肌事象1になったり、または原因要素5に分類されたり、あるいは自覚的要素6に分類されたりする。
また、原因要素5および自覚的要素6は、それら各要素が肌、身体、心のいずれに最も関連するのかを考慮した上で、肌エリア2、身体エリア3、心エリア4にそれぞれ分類される。ただし、原因要素5および自覚的要素6の中には、肌、身体、心の全部またはいずれか二つと関連する場合もある。このような場合には、原因要素5および自覚的要素6は、各エリア2〜4の重複部分に配置される。
また、原因要素5および自覚的要素6には、肌、身体、心のいずれにも属さないものもある。例えば、肌事象1に影響を及ぼす原因要素5として「日焼け(紫外線)」が考えられるが、この「日焼け(紫外線)」という原因要素は、肌、身体、心のいずれにも属さない。このようなものは、各エリア2〜4外であって、それら各エリアの近傍に配置される。
【0015】
図2に、上記の通りの因果関係図Xを記したカウンセリングシートの具体的な一例を示す。
このカウンセリングシートAは、カウンセリングのテーマを「肌荒れ・かさつき」としたものであり、顧客が「肌荒れ・かさつき」について相談した場合に用いられる。したがって、このカウンセリングシートAにおける肌事象1は「肌荒れ・かさつき」となり、当該カウンセリングシートAの左上方に目立つように「肌荒れ・かさつき」と記されている。
そして、「肌荒れ・かさつき」という肌事象1に対して、直接的または間接的に因果関係を有するとともに、上記肌事象1の原因となる体内または体外に生じる原因要素5a〜5iが配置される。これら各原因要素5a〜5iは四角に囲まれて表示されるとともに、それぞれ肌、身体、心のうち最も密接な関係を有するエリアに分類される。具体的には、「角層(乾燥)」5a、「バリア機能の低下」5b、「皮脂腺(分泌低下)」5cは肌エリア2内に配置される。同様に、「血液循環不良」5d、「性ホルモンバランスの変化」5e、「性周期」5fは身体エリア3内に、「自律神経」5gは心エリア4内に配置される。
なお、原因要素である「老化」5hおよび「日焼け(紫外線)」5iは、各エリア2〜4のいずれにも分類できないため、各エリア2〜4外であって、それらエリア2〜4の近傍に配置している。
【0016】
一方、肌事象1である「肌荒れ・かさつき」と因果関係があり、自覚可能な症状や生活習慣等を表す自覚的要素6a〜6eは、楕円に囲まれて表示されるとともに、上記原因要素5と同様に肌、身体、心のうち最も密接な関係を有するエリアに分類される。具体的には、「冷え」6aおよび「胃腸の不調」6bは身体エリア3内に、「ストレス」6cは心エリア4内に配置される。
なお、自覚的要素である「気温・湿度の低下」6dは、各エリア2〜4のいずれにも分類できないため、各エリア2〜4外であって、それらエリア2〜4の近傍に配置している。また、肌事象1の近傍には、自覚的要素として「身体肌荒れ・乾燥」6eが配置されているが、この「身体肌荒れ・乾燥」6eについては、後で詳細に説明することとする。
【0017】
そして、上記のように因果関係図X内に記された肌事象1、原因要素5、自覚的要素6は、それら相互の因果関係に基づいて矢印からなる符号で関連付けされている。
例えば、「ストレス」6cからは、「自律神経」5gと「バリア機能の低下」5bに向かう矢印が記されている。これは、ストレスが自律神経に影響を与えるとともに、バリア機能の低下をもたらすという因果関係を簡易的に表している。同様に、「自律神経」5gからは、「胃腸の不調」6bと「血液循環不良」5dに向かう矢印が記され、「血液循環不良」5dからは、「冷え」6aと「バリア機能の低下」5bに向かう矢印が記されている。
このように、各原因要素5および自覚的要素6を結ぶ矢印を辿ることによって、肌事象1がどのような原因で生じているのかを認識することができる。例えば、ストレスは自律神経に影響を及ぼし、自律神経に影響が生じると血液循環不良がおこる。血液循環不良はバリア機能の低下を招き、バリア機能の低下は角層の乾燥をもたらし、この角層の乾燥により肌荒れ・かさつきが生じるということを意味する。
【0018】
なお、この第1実施形態においては、肌事象1、原因要素5、自覚的要素6の関連性を示す符合として矢印を用いているが、相互の関連性を示す符合は矢印に限らない。つまり、肌事象1、原因要素5、自覚的要素6の相互の関連性を視覚的に認識できるものであればよい。そして、第1実施形態においては、実線で記した矢印と、点線で記した矢印とを使い分けている。実線で記した矢印は、相互の因果関係が医学的見地あるいは学術的見地から立証されている場合に使用し、点線で記した矢印は、医学的あるいは科学的な明確な根拠はないものの、経験的にある程度間違いないであろうと考えられる場合に使用するようにしている。ただし、上記因果関係の違いに関わらず、肌事象1、原因要素5および自覚的要素6は、同一の符号をもってその関連性を示してもよい。
【0019】
また、肌事象1と「身体肌荒れ・乾燥」の自覚的要素6との因果関係を示す符号には、円弧状の矢印を用いているが、この円弧状の矢印は、因果関係は不明であるが、肌事象1あるいは自覚的要素6に併発する症状を示す関係である。つまり、「肌荒れ・かさつき」を有する人には、「身体の肌荒れや乾燥」を併発しているおそれが高いことを意味する。ただし、このような場合にも、他の因果関係を示す際に使用する符号と同様の符号を用いても構わないこと当然である。
つまり、肌事象1、原因要素5、自覚的要素6相互の因果関係を示す符号は、各要素間に何らかの因果関係があることを視覚的に認識することができれば、どのように使い分けても構わない。
【0020】
また、上記カウンセリングシートAは、肌事象1として「肌荒れ・かさつき」としたもので、言わば「肌荒れ・かさつき」専用のカウンセリングシートであるが、肌事象1を「にきび」としたカウンセリングシートBを図3に、肌事象1を「くま」としたカウンセリングシートCを図4に示す。
この図3、図4に示すカウンセリングシートB,Cも、上記カウンセリングシートAと全く同じ決まりにしたがって記されている。
【0021】
次に、上記カウンセリングシートの利用方法の一例を説明する。
化粧品販売店の販売員は、来店した顧客との会話の中から、顧客自身がどのような肌の悩みを抱えているのか、あるいは肌にどのような症状が表れているのかを聞き出す。
例えば、「にきび」について悩みを抱えている場合には、「にきび」に関連する種々の質問を、図示しないアンケート用紙を用いて行う。具体的には、肌、身体、心に関する種々の質問、および睡眠や運動あるいは食生活等、生活に関するさまざまな質問である。
販売員は、当該顧客の肌に表れる「にきび」が、どのような原因で、あるいはどのような発症ルートを辿っているのかを、質問の答えやさまざまな肌診断から特定(推測)する。
【0022】
図3に示すように、肌事象1である「にきび」が表れる直接的な原因要素5として、「毛穴の詰まり」5j、「皮脂分泌過剰」5k、「細菌性因子」5lが考えられるが、販売員はこれら3つの原因要素5の中から、当該顧客の「にきび」発症の主な原因を特定する。
いま、質問の回答から、当該顧客の「にきび」の主な原因が「皮脂分泌過剰」であると特定したとすると、販売員は図3に示すカウンセリングシートBを用いて次のような説明を行う。
すなわち、「にきびとは皮脂が分泌過剰(5k)になったり、毛穴が詰まったり(5j)、あるいは肌の細菌が過剰に増殖(5l)して炎症を起こすことによって発症しますが、あなたのにきびは、その中でも、皮脂分泌の過剰(5k)の要素が大きいようです。皮脂分泌が過剰になる原因は、成長期(5q)もしくは月経周期(5r)によって性ホルモンがアンバランスになってしまう(5p)ことや、栄養の偏り(6n)によって、皮脂の代謝を促進するビタミンB群が不足(5o)することが原因です。質問の回答からも、あなたのにきびは、その要素が大きいように推測されます。なお、皮脂分泌の過剰(5k)は、毛穴の目立ち(6i)にも繋がるので注意が必要です。」
【0023】
上記のように肌事象1の「にきび」の発症ルートを、第1に、「性周期」5r・「成長期」5q→「性ホルモンアンバランス」5p→「皮脂分泌」5k→「にきび」1と特定するとともに、第2に、「栄養の偏り」6n→「ビタミンB群不足」5o→「皮脂分泌」5k→「にきび」1と特定できれば、例えば、「栄養の偏り」6nにより「冷え」6mが生じることについて注意を促すことも容易にできる。
【0024】
また、この実施形態におけるカウンセリングシートの他の利用方法としては次の利用方法が考えられる。
すなわち、来店した顧客に対してさまざまな質問を行い、その回答結果から当該顧客の体質を特定(推測)する。例えば、質問の回答から、当該顧客は血液循環不良を起こしているか、あるいは血液循環不良を起こしやすい体質であると特定(推測)したとする。
販売員は、血液循環不良と因果関係を有する肌事象1の中から、言い換えれば、カウンセリングシート中に原因要素5として血液循環不良が含まれる肌事象1の中から、現在肌に表れている症状を聞き出す。例えば、「血液循環不良」が原因要素5として含まれる肌事象1としては、「肌荒れ・かさつき」「くま」「くすみ」「しわ」「たるみ」等が挙げられる。
【0025】
いま、血液循環不良体質と特定(推測)した上記顧客が、「くま」の症状を肌に生じているとすれば、販売員は図4に示すカウンセリングシートCを用いて、次のように説明する。
すなわち、「くまができる直接の要因は「皮膚血流」5v、「メラニン産生過剰」5u、「目の下のたるみ・窪み・しわの影」5tが挙げられますが、その中でもあなたは「皮膚血流」5vの要因が大きいようです。「皮膚血流」5vのうっ血は、全身の「血液循環不良」5xにより促され、全身の「血液循環不良」5xは、「老化」5wや「ストレス」6z、「睡眠不足」6y、「運動不足」6vによって引き起こされます。」
このように、予め顧客の体質や問題となる原因要素5を特定しておけば、肌事象1の発症ルートを容易に特定することができ、また、その対策も簡単にアドバイスすることができる。
【0026】
このように、肌事象1の発症ルートや、当該顧客に関する原因要素5および自覚的要素6を特定した後に、当該原因要素5および自覚的要素6に応じた提言等を行えば、自己の症状や原因等を容易に理解することができる。また、肌、身体、心の相対関係から自己の症状を認識することができるので、カウンセリング後時間が経過しても、自己の肌事象や当該肌事象を引き起こす原因について認識が薄れにくく、購入した化粧品に対する顧客の信頼感や満足度を長期間に亘って維持したり、あるいは勧められた対処法を長期間に亘って継続したりすることができる。
【0027】
なお、上記実施形態におけるカウンセリングシートは一例にすぎず、カウンセリングシート中に記される各要素の色や配置、あるいは大きさ等は特に限定されるものではない。また、上記実施形態におけるカウンセリングシートでは、原因要素と自覚的要素とを識別可能にしたが、特にこれらを識別可能にしなくてもよい。いずれにしても肌事象に関連性を有する要素を肌、身体、心の3つのエリアに識別可能に分類配置するとともに、各要素を矢印等の符号で関連付けされていればよい。
また、上記各カウンセリングシートは、因果関係図Xのみをシートの全体に記しているが、因果関係図Xに加えて種々の説明等を記してもよいこと当然である。
【0028】
図5を用いて、この発明の第2実施形態について説明する。なお、この第2実施形態のカウンセリングシートは、上記第1実施形態のカウンセリングシートと同じ決まりにしたがって記されている。そして、上記第1実施形態のカウンセリングシート中に記した各要素に濃淡をつけた点のみ異なり、その他は全て上記第1実施形態と同じである。
したがって、上記第1実施形態と同じ構成要素については同じ符号を付するとともに、その詳細な説明は省略する。
【0029】
図5に示すカウンセリングシートDは、カウンセリングテーマを「にきび」とするものであり、肌事象1、原因要素5、自覚的要素6およびこれら各構成要素を結びつける符号(矢印)は、上記した図3に示すカウンセリングシートBと全て同じである。ただし、このカウンセリングシートDにおいては、多数の構成要素の中から特定の原因要素5、自覚的要素6およびこれら特定の両要素5,6を関連付けた矢印のみを、図3と同様に明確に記し、それ以外の原因要素5、自覚的要素6および矢印を薄く記している。
言い換えれば、種々の「にきび」発症ルートの中から、特定の発症ルートのみを明確にして、その他の構成要素と視覚的に識別可能にしているのである。
このように、特定の構成要素と、これら特定した構成要素以外の構成要素とを識別可能にしたカウンセリングシートDは、同じ「にきび」という肌事象1に対して、発症ルートごとに複数用意されている。例えば、カウンセリングシートDは、「皮脂分泌」5kおよび「細菌性因子」5lの発症ルートを辿るものであるが、この他に、例えば、「ストレス」6k→「バリア機能低下」5m→「毛穴の詰まり」5jという発症ルートのみを明確にしたカウンセリングシート等、一の肌事象に対して複数のシートが用意される。
【0030】
このように、同じ「にきび」という肌事象1に対して、発症ルートごとに用意した複数のカウンセリングシートは、次のようにして利用する。
すなわち、販売員は、上記第1実施形態と同様に、来店した顧客との会話の中から、顧客自身がどのような肌の悩みを抱えているのか、あるいは肌にどのような症状が表れているのかを聞き出す。
そして、顧客が「にきび」について悩みを抱えている場合には、「にきび」に関連する種々の質問を、図示しないアンケート用紙を用いて行うとともに、当該顧客の肌に表れる「にきび」が、どのような原因で、あるいはどのような発症ルートを辿っているのかを特定(推測)する。
【0031】
今、アンケートの回答等から、当該顧客の「にきび」発症ルートを特定したら、当該発症ルートが明確に示されたカウンセリングシートを用いて説明を行う。
例えば、顧客の「にきび」発症ルートを、「性周期」5r・「成長期」5q→「性ホルモンアンバランス」5p→「皮脂分泌」5k→「にきび」1と特定するとともに、「栄養の偏り」6n→「ビタミンB群不足」5o→「皮脂分泌」5k→「にきび」1と特定したとする。このとき、販売員は、カウンセリングシートDを用いて、当該発症ルートについて、上記第1実施形態と同様の説明を行う。
このように、当該顧客にのみ関連する原因要素5や自覚的要素6、および発症ルートのみを明確にすれば、言い換えれば、当該顧客に無関係な原因要素5や自覚的要素6を省いてしまえば、顧客は自分に関連する原因要素5や自覚的要素6のみを認識しやすくなり、一層自己の症状に対する認識が薄れにくくなる。
なお、上記第2実施形態においては、特定の発症ルート上にない構成要素を薄く記したが、これら発症ルート上にない構成要素を完全に消してしまっても構わない。
【0032】
図6,7を用いて、この発明の第3実施形態について説明する。なお、この第3実施形態のカウンセリングシートは、その中心に上記第2実施形態と同じ因果関係図Xが記されている。したがって、上記因果関係図については同じ符号を付するとともに、その詳細な説明は省略し、上記第2実施形態と異なる点を中心に説明することとする。
【0033】
図6に示すカウンセリングシートEは、その中心に因果関係図Xを配置するとともに、当該因果関係図Xの周囲に、当該因果関係図X中に記された原因要素5または自覚的要素6への対策を記している。
このようにしたカウンセリングシートEは、各肌事象1を引き起こす直接的な原因となる原因要素5ごとに用意されており、図6に示すカウンセリングシートEはその一例に過ぎない。つまり、「にきび」という肌事象1を引き起こす直接的な原因要素5としては、上述の通り、「毛穴の詰まり」5j、「皮脂分泌過剰」5k、「細菌性因子」5lが考えられる。図6に示すカウンセリングシートEは、上記3つの原因要素5のうち、皮脂分泌過剰が主な原因と特定された場合に用いられるもので、因果関係図Xの周囲には、当該因果関係図X中において、明確に(色濃く)記された原因要素5および自覚的要素6への種々の対策のみが記されており、その他の原因要素5および自覚的要素6への対策は記されていない。つまり、因果関係図Xの周囲には、当該因果関係図X中に明確に記された原因要素5または自覚的要素6への対策のみが記されている。
【0034】
なお、カウンセリングシートEには、原因要素5または自覚的要素6への対策が次のように配置されている。
すなわち、図7に示すように、横軸と縦軸とによってシートを4象限に区画する。横軸のうち中心より左側は「維持」を意味し、中心より右側は「治療」を意味する。一方、縦軸のうち中心より上側は「外用」を意味し、中心より下側は「内服」を意味する。
このような決まりにしたがってシートを4象限に区画した場合、左上の象限は「外用による維持」を意味し、身体の外部から現状を維持する外部維持対策が記される。このように、外部から所定の症状を維持する手段としては、化粧品による種々の対策が挙げられる。
【0035】
また、右上の象限は「外用による治療」を意味し、身体の外部から現状を改善する外部治療対策が記される。このように、外部から所定の症状を治療する手段としては、マッサージ等の種々の対策が挙げられる。
一方、左下の象限は「内服による維持」を意味し、身体の内部から現状を維持する内部維持対策が記される。このように、体内から所定の症状を維持する手段としては、ビタミンや各種栄養素の摂取等の対策が挙げられる。
さらに、右下の象限は「内服による治療」を意味し、身体の内部から現状を改善する内部治療対策が記される。このように体内から所定の症状を治療する手段としては、医薬品の内服や医師による診察等が挙げられる。
【0036】
図6に示すカウンセリングシートEは、その中心に配置された因果関係図Xの周囲を、図7に示すとおりに4象限に分割するとともに、各象限に上記の通りの各種対策を記している。
具体的には、シートの左上には「外部維持対策」欄7を設けるとともに、この「外部維持対策」欄7には、因果関係図X中に明確に記された原因要素5または自覚的要素6に最適な化粧品の種類や、その使用方法等の説明が記されている。
例えば、「皮脂分泌過剰が主な原因である場合においては、皮脂の取りすぎが刺激となって、皮脂分泌を増加させることもあるので、過度の洗顔を控えること」という注意や、「皮脂を取りすぎない洗顔料」が記される。
また、シートの右上には「外部治療対策」欄8を設けるとともに、この「外部治療対策」欄8には、因果関係図X中に明確に記された原因要素5または自覚的要素6に効果的な経絡やツボ、あるいはそれらに対するマッサージ方法等の説明が記されている。
【0037】
一方、シートの左下には「内部維持対策」欄9を設けるとともに、この「内部維持対策」欄9には、因果関係図X中に明確に記された原因要素5または自覚的要素6に有効な栄養素やビタミンの種類、あるいは、その摂取量や摂取方法等の説明が記されている。
例えば、「ビタミンB群不足」5oに対する対策として、ビタミンB2が多く含まれている飲食料品の紹介や、当該飲食料品の調理方法や摂取方法等が記される。
さらに、シートの右下には「内部治療対策」欄10を設けるとともに、この「内部治療対策」欄10には、因果関係図X中に明確に記された原因要素5または自覚的要素6を治療するために内服する医薬品の種類や、処方についての説明が記されている。
例えば、「性ホルモンのアンバランス」5pを治療するための一般用医薬品を紹介したり、あるいは、医師の診察を受けることを勧めたりする。
【0038】
このように、因果関係図X中における原因要素5または自覚的要素6への対策を、当該因果関係図Xとともに記したので、カウンセリングシートE一枚で、顧客の症状、当該症状の原因、当該症状への対策すべてを関連付けて認識することができる。
しかも、上記のように、原因要素5または自覚的要素6への対策を、「外部維持対策」「内部維持対策」「外部治療対策」「内部治療対策」という具合に分類して記したので、顧客は自己の症状を維持するためにどのような対策を講じるのか、あるいは、自己の症状を治療するためにどのような対策を講じるのか、さらには、なぜそのような対策が必要なのかをしっかりと理解することができる。
【0039】
なお、上記第3実施形態においては、因果関係図X中の特定の原因要素5または自覚的要素6を明確にするとともに、当該特定の要素への対策のみをカウンセリングシートEに記したが、肌事象1に因果関係を有する全ての原因要素5および自覚的要素6を因果関係図X中に記しても構わない。
ただし、上記第3実施形態のカウンセリングシートEのように、特定の発症ルートのみを明確にするとともに、当該発症ルート上にある原因要素5または自覚的要素6への対策のみを記せば、当該顧客に不必要な情報を排除することができるので、シート全体を簡潔にすることができる。
【0040】
また、上記第3実施形態においては、因果関係図Xを中心に配置し、その周囲を4象限に分割して対策を記したが、因果関係図とその対策の配置は特に限定されることはなく、また、対策についても上記の規定で4つに分類しなければならないわけではない。いずれにしても、肌事象1に関連性を有する原因要素5または自覚的要素6を肌、身体、心の3エリアに分類配置した因果関係図と、この因果関係図中の原因要素5または自覚的要素6への対策が記されていれば、他の説明等をさらに追記しても構わない。
なお、上記各実施形態においては、化粧品等を取り扱う販売店でカウンセリングシートを用いる場合について説明したが、上記カウンセリングシートはどのような場面で用いても構わないこと当然である。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】因果関係図の概要を示す図である。
【図2】第1実施形態のカウンセリングシートである。
【図3】第1実施形態の他のカウンセリングシートである。
【図4】第1実施形態のさらに他のカウンセリングシートである。
【図5】第2実施形態のカウンセリングシートである。
【図6】第3実施形態のカウンセリングシートである。
【図7】第3実施形態のカウンセリングシートにおける対策欄の説明図である。
【符号の説明】
【0042】
1 肌事象
2 肌エリア
3 身体エリア
4 心エリア
5 原因要素
6 自覚的要素
7 外部維持対策欄
8 外部治療対策欄
9 内部維持対策欄
10 内部治療対策欄
A〜E カウンセリングシート
X 因果関係図

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カウンセリングの対象となるにきびや皺などの肌事象を引き起こす原因となる原因要素と、上記肌事象を有する人の自覚的要素とを、肌エリア、身体エリア、心エリアあるいはこれら3エリアの近傍に分類配置するとともに、上記肌事象、原因要素および自覚的要素の関連性を因果関係に基づいて記した因果関係図を含むカウンセリングシート。
【請求項2】
上記肌事象、原因要素および自覚的要素を矢印等の符号で関連付けしてなる請求項1記載のカウンセリングシート。
【請求項3】
上記自覚的要素同士または自覚的要素と原因要素とを因果関係に基づいて矢印等の符号で関連付けするとともに、原因要素同士または原因要素と肌事象とを因果関係に基づいて矢印等の符号で関連付けしてなる請求項2記載のカウンセリングシート。
【請求項4】
上記肌エリア、身体エリア、心エリアあるいはこれら3エリアの近傍には、複数の原因要素および自覚的要素を分類配置してなり、これら複数の原因要素および自覚的要素の中から特定した原因要素、自覚的要素、およびこれら特定の両要素を関連付けた矢印等の符号と、その他の原因要素、自覚的要素および符号とを識別可能にした上記請求項2または3に記載のカウンセリングシート。
【請求項5】
上記因果関係図とともに、この因果関係図に記された原因要素または自覚的要素への対策を記した上記請求項1〜4のいずれか1に記載のカウンセリングシート。
【請求項6】
原因要素または自覚的要素への上記対策は、身体の外部から現状を維持する外部維持対策と、身体の外部から現状を改善する外部治療対策と、身体の内部から現状を維持する内部維持対策と、身体の内部から現状を改善する内部治療対策との4象限に分類した上記請求項1〜5のいずれか1に記載のカウンセリングシート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−230215(P2008−230215A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−154163(P2007−154163)
【出願日】平成19年6月11日(2007.6.11)
【出願変更の表示】意願2007−1818(D2007−1818)の変更
【原出願日】平成19年3月19日(2007.3.19)
【出願人】(000001959)株式会社資生堂 (1,748)