説明

カウンタの軸支持構造

【課題】カウンタの組立作業を容易に行うことができ、運搬時の落下等でカウンタに外力が作用しても、軸の脱落等の不具合を生じることがないカウンタの軸支持構造を提供する。
【解決手段】フレーム2の軸穴13,14には第1軸12の軸端部が圧入され、フレーム2の軸穴16,17には第2軸15の軸端部が圧入される。また、フレーム2には、第1軸12及び第2軸15の両軸端部よりも軸方向外方へ突出し、且つ、第1軸12及び第2軸15の両軸端部を挟んで対向するように位置する一対の軸保護突起18,20,21,22が一体に形成されている。そして、第1軸12及び第2軸15の軸心が直交する仮想平面内において、軸保護突起18,20,21,22の外縁を囲む平面領域内に第1軸12及び第2軸15の両軸端部が収容され、第1軸12及び第2軸15の軸端部が軸保護突起18,20,21,22によって保護される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ガスメータのガス使用量、水道メータの水道使用量、自動車の走行距離計等に使用されるカウンタの軸支持構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、図6に示すようなカウンタ100の軸支持構造が知られている。
【0003】
この図6に示すカウンタ100の軸支持構造は、支軸101の両端部側の環状溝102,103を本体104の一側壁105及び他側壁106に形成した案内溝107,108内に挿入し、案内溝107,108の一側に位置する弾性変形可能な案内溝上側壁110,111を支軸101の環状溝102,103が形成された部分で弾性変形させ、その支軸101の環状溝102,103が形成された部分で案内溝107,108を押し拡げながら、支軸101の環状溝102,103が形成された部分を案内溝107,108の奥に挿入した後、支軸101の環状溝102,103が形成された部分を案内溝107,108の底部に形成された袋状凹所112,113に嵌入すると、案内溝上側壁110,111が弾性復元して案内溝107,108の溝幅を狭めるため、支軸101が袋状凹所112,113内に保持されるようになっている(特許文献1参照)。
【0004】
しかしながら、このようなカウンタ100の軸支持構造は、支軸101の端部が一側壁105と他側壁106の外方へ突出しているため、カウンタ100の運搬時の落下等によって支軸101の端部に衝撃力(外力)が作用すると、支軸101によって押された案内溝上側壁110(又は111)が弾性変形して案内溝107(又は108)の溝幅が拡がり、支軸101が袋状凹所112(又は113)から案内溝107(又は108)側へずれて移動するか、又は支軸101が袋状凹所112(又は113)及び案内溝107(又は108)から抜け出てしまう虞があった。
【0005】
このような問題を解決するものとして、図7示すようなカウンタ200の軸支持構造を適用することが考えられる。
【0006】
この図7に示すカウンタ200の軸支持構造は、軸201の両端部側であって且つフレーム202,202の軸受部203,203に対応する部分(ローレット加工部204,204)にはローレット加工が施してあり、軸201の先端側に位置するローレット加工部204を左側のフレーム202の軸受部203の穴に圧入し、さらに軸201を複数個並んだ文字車205の孔206に次々に貫通させ、続けて軸201の先端側に位置するローレット加工部204を右側のフレーム202の軸受部203の穴に圧入するようになっている(特許文献2参照)。
【0007】
このようなカウンタ200の軸支持構造によれば、軸201のローレット加工部204が軸受部203の内面に食い込むようになっているため、フレーム202の外方に突出した軸201の端部に衝撃力(外力)が作用しても、軸201が軸受部203から容易に脱落するようなことがない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】実開昭55−124061号公報(特に、第1図乃至第3図参照)
【特許文献2】実開平2−77773号公報(特に、第2頁乃至第3頁、第5図参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、このようなカウンタ200の軸支持構造によれば、軸201の先端のローレット加工部204を左側のフレーム202の軸受部203に圧入した後、さらに右側のフレーム202の軸受部203にも圧入しなければならないが、この軸201の先端のローレット加工部204を右側のフレーム202の軸受部203に圧入する際に、軸201の後端のローレット加工部204も左側のフレーム202の軸受部203に同時に圧入することになるため、軸201の後端部に大きな組付け用の荷重を作用させなければならず、カウンタ200の組立作業が容易ではない。
【0010】
そこで、本発明は、カウンタの組立作業を容易に行うことができ、運搬時の落下等でカウンタに外力が作用しても、軸の脱落等の不具合を生じることがないカウンタの軸支持構造を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1の発明は、(a)積算するための複数の桁に対応する複数の文字車3と、(b)前記複数の文字車3を隣り合うように並べて回転可能に支持する第1軸12と、(c)前記複数の文字車3のうちの最小桁の文字車3を回転駆動する入力側駆動手段4と、(d)前記隣り合う文字車3,3間に配置され、下位桁の文字車3の1回転に対して隣り合う上位桁の文字車3を1/10回転させる桁上げ歯車5と、(e)前記第1軸12と平行に配置され、前記桁上げ歯車5を回転可能に支持する第2軸15と、(f)前記第1軸12の両軸端部を軸方向外方へ突出させるようにして嵌合固定する軸穴13,14が形成されると共に、前記第2軸15の両軸端部を軸方向外方へ突出させるようにして嵌合固定する軸穴16,17が形成されたフレーム2と、を備えたカウンタ1の軸支持構造に関するものである。
【0012】
この請求項1の発明において、前記フレーム2には、前記第1軸12及び前記第2軸15の前記両軸端部よりも前記軸方向外方へ突出し、且つ、少なくとも前記第1軸12及び第2軸15の前記両軸端部の径方向両側に対向するように突出する軸保護突起18,20,21,22,50〜53が一体に形成されている。そして、前記第1軸12及び前記第2軸15の軸心が直交する仮想平面内において、前記軸保護突起18,20,21,22,50〜53の外縁を囲む平面領域内に前記第1軸12及び第2軸15の前記両軸端部が収容されるようになっている。
【0013】
請求項2の発明は、請求項1の発明に係るカウンタ1の軸支持構造を前提として構成されている。すなわち、前記軸保護突起18,20,21,22,52,53は、少なくとも前記フレーム2の開口部側に開口しており、前記第1軸12及び前記第2軸15の両軸端部が前記フレーム2から突出したことを、前記軸保護突起18,20,21,22,52,53の開口から視認し得るようになっている。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、カウンタの運搬時等にカウンタが落下して床等に衝突しても、第1軸及び第2軸の軸端部が軸保護突起によって保護される(軸保護突起が床等に衝突して外力を受けることができる)ため、第1軸及び第2軸の軸端部に直接外力が作用するようなことがなく、第1軸及び第2軸がフレームから脱落するのを防止でき、第1軸及び第2軸がフレームから脱落することに起因する不具合(カウンタの作動不良等)の発生を効果的に防止できる。その結果、本発明によれば、従来例のような軸端部のローレット加工部をフレームの軸穴に圧入する必要がなく、第1軸及び第2軸の両軸端部をフレームの軸穴に圧入するだけでよいため、カウンタの組立作業が容易化し、カウンタの組立作業の効率化を図ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態に係るカウンタの平面図である。
【図2】図1のカウンタの左側部分における軸支持構造を示す図であり、(a)がカウンタの左側面図(図2(b)の矢印Aの方向から見た図)を示し、(b)が図1のカウンタの左側部分の平面図を示すものである。
【図3】図1のカウンタの右側部分における軸支持構造を示す図であり、(a)が図1のカウンタの右側部分の平面図を示すものであり、(b)がカウンタの右側面図(図3(a)の矢印Bの方向から見た図)を示すものである。
【図4】本発明の第1の変形例を示す図であり、(a)が図2(a)に対応し、(b)が図2(b)に対応する。
【図5】本発明の第2の変形例を示す図であり、(a)が図2(a)に対応し、(b)が図2(b)に対応する。
【図6】第1の従来例に係るカウンタの軸支持構造を示す図であり、(a)がカウンタの分解斜視図を示し、(b)が支軸を案内溝に係合する前の状態を示し、(c)が支軸の環状溝を袋状凹所内に収容した後の状態を示している。
【図7】第2の従来例に係るカウンタの軸支持構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき詳述する。
【0017】
図1乃至図3は、本発明の実施形態に係るカウンタ1の軸支持構造を示すものである。このうち、図1は、カウンタ1の平面図である。また、図2は、図1のカウンタ1の左側部分における軸支持構造を示す図であり、(a)がカウンタ1の左側面図(図2(b)の矢印Aの方向から見た図)を示し、(b)が図1のカウンタ1の左側部分の平面図を示すものである。また、図3は、図1のカウンタ1の右側部分における軸支持構造を示す図であり、(a)が図1のカウンタ1の右側部分の平面図を示すものであり、(b)がカウンタ1の右側面図(図3(a)の矢印Bの方向から見た図)を示すものである。
【0018】
これらの図に示すように、カウンタ1は、フレーム2の内部に収容した複数の桁を示すための複数の文字車3と、この複数の文字車3のうちの最下桁(図1中右端)の文字車3と外部駆動源(図示せず)とを接続する入力側駆動手段4と、隣り合う文字車3,3間に配置される複数の桁上げ歯車5と、を有している。
【0019】
フレーム2は、対向するように離れて位置する一対の側板6,7と、これら側板6,7を一体に接続する背板8と、一対の側板6,7及び背板8が一体に立設される底板(下板)10と、が一体に形成されたものである。また、フレーム2は、直方体形状の箱の前板及び天板(上板)を取り除いたような構造であり、一方(図1の右側)の側板7の内面7aから背板8と平行に突出する軸支持アーム11が一体に形成されている。また、フレーム2の一対の側板6,7には、文字車3用の第1軸12を嵌合固定する軸穴13,14と、桁上げ歯車5用の第2軸15を嵌合固定する軸穴16,17とが形成されている。ここで、第1軸12を嵌合固定する軸穴13,14は、第1軸12の外径寸法に対応させた大きさに形成されており、左側の側板6の軸穴13の方が右側の側板7の軸穴14よりも大きく形成されている。また、第2軸15を嵌合固定する軸穴16,17は、第2軸15の外径寸法に対応させた大きさに形成されており、左側の側板6の軸穴16の方が右側の側板7の軸穴17よりも大きく形成されている。
【0020】
また、フレーム2の一対の側板6,7の外面6b,7bには、軸穴13,14,16,17を挟むようにして対向する一対の軸保護突起18,20,21,22が軸穴13,14,16,17毎に形成されている。この軸保護突起18,20,21,22は、フレーム2の上下方向に延びる板状突起であり、第1軸12及び第2軸15の軸端部が側板6,7から軸方向外方へ突出する寸法よりも大きな寸法となるように側板6,7の外面6b,7b側に突出している。また、一対の軸保護突起18,20,21,22は、軸穴13,14,16,17を挟んで平行に(第1軸12及び第2軸15の径方向の両側に対向するように)位置し、その上下方向の寸法が軸穴13,14,16,17の外径寸法よりも長く形成されており、その上端縁が軸穴13,14,16,17よりも上方に位置し、その下端縁が軸穴13,14,16,17よりも下方に位置する。その結果、各軸穴13,14、16,17及び第1軸12及び第2軸15の軸端部は、一対の軸保護突起18,20,21,22の外側面、一対の軸保護突起18,20,21,22の上端縁、及び一対の軸保護突起18,20,21,22の下端縁に沿って、一対の軸保護突起18,20,21,22の外縁を囲む平面領域(図2(a),図3(b)における矩形状の破線で仕切られる平面領域であって、第1軸12及び第2軸15の軸心の延びる方向に対して直交する仮想平面内における平面領域)23〜26内に位置するようになっている。これにより、側板6,7から軸方向外方へ突出する第1軸12及び第2軸15の軸端部は、一対の軸保護突起18,20,21,22の外縁を囲む各空間領域27〜30内に収容できるため、カウンタ1が運搬時等に落下しても、床等に衝突するようなことがなく、床等への衝突に起因する外力が直接作用するようなことがない。なお、各軸保護突起18,20,21,22は、フレーム2と一体に射出成形されるものであり、フレーム2と同一樹脂材料(例えば、ABS)で形成されている。
【0021】
フレーム2の背板8には、ウォーム軸32の一端側を回動可能に支持する軸支持穴(図示せず)が形成されている。また、フレーム2の一方の側板7に一体形成された軸支持アーム11には、ウォーム軸32の他端側を回動可能に支持する軸支持穴(図示せず)が形成されている。また、フレーム2の背板8の外面にはギヤ支持軸33が突出形成されており、このギヤ支持軸33には最小桁の文字車3を回転駆動するための入力側駆動手段4の一部を構成する2段ギヤ34が回動可能に支持されている。ウォーム軸32の背板8から外方へ突出した部分には、2段ギヤ34のうちの小径ギヤ部34aと噛み合う入力ギヤ35が一体に形成されている。ここで、図示しない外部検知手段等に連繋されたピニオンが2段ギヤ34の大径ギヤ部34bに噛み合って、2段ギヤ34が回動させられると、2段ギヤ34の小径ギヤ部34aに噛み合っている入力ギヤ35が回転させられる。この際、入力ギヤ35は、ウォーム軸32と一体に回動し、ウォーム軸32の他端側に形成したウォーム36と噛み合うウォームホイール37を回動させる。ウォームホイール37は、第1軸12に対して回転自在に支持されており、最下桁の文字車(図1の最も右側に位置する文字車)3の側面に一体として回動できるように取り付けられている。なお、2段ギヤ34、入力ギヤ35、ウォーム軸32、ウォーム36及びウォームホイール37が入力側駆動手段4を構成している。
【0022】
文字車3は、第1桁(最小桁)から第7桁までを表示するために、フレーム2の内部空間内に右側から左側へ向かって7個隣り合うように並べて配置され、第1軸12に回転自在に支持されている。各桁を表示する合計7個の文字車3は、最下桁の文字車3の側面にウォームホイール37が取り付けられる点を除き、共通の形状のものであり、略円板形状に形成され、その外周面に0〜9までの数字(図示せず)が等間隔で表示されている。また、文字車3は、一回転する毎に桁上げ歯車5の歯と噛み合って桁上げ歯車5を所定角度回転させる桁上げ突起38が図1中左側側面の外周端側に一体形成され、桁上げ歯車5が所定角度回転すると1/10回転させられるように桁上げ歯車5の歯に噛み合う複数の側面歯40が図1中右側側面の外周端側に一体形成されている。また、文字車5の回転中心部には、図1中左側側面から軸心C1の延びる方向へ沿って出っ張るボス41が形成されると共に、第1軸12に隙間をもって嵌合する軸受け穴(図示せず)が形成されている。
【0023】
桁上げ歯車5は、文字車3,3間に配置され、下位桁の文字車3の桁上げ突起38に噛み合う(衝突する)小歯幅の歯5aと、この小歯幅の歯5aが桁上げ突起38に衝突すると一対の桁上げ突起38,38間の溝内に嵌り合う大歯幅の歯5bと、が外周側に交互に形成されている。なお、桁上げ歯車5は、小歯幅の歯5a及び大歯幅の歯5bが文字車3の側面歯40に噛み合うことができるようになっている。また、桁上げ歯車5の回転中心部には、第2軸15に隙間をもって係合する軸受け穴(図示せず)が形成されている。そして、各桁上げ歯車5は、文字車3と平行に位置するように第2軸15によって回転自在に支持されている。
【0024】
なお、2段ギヤ34、入力ギヤ35、ウォーム軸32、ウォーム36、ウォームホイール37、文字車3及び桁上げ歯車5は、ポリアセタール等の樹脂材料を使用して射出成形されたものが使用される。
【0025】
第1軸12は、一端側(図1中右端側)から他端側(図1中左端側)まで同一径寸法に形成された金属棒(例えば、SUS303の丸棒)42と、この金属棒42の他端側に嵌合固定される樹脂(例えば、ポリアセタール)製のブッシュ43とで構成される。また、図1において、金属棒42の左端側は、丸棒状のブッシュ43の右側面側に開口し且つブッシュ43の左側面側に開口しない金属棒固定穴(図示せず)内に圧入され、ブッシュ43と一体化されている。また、この第1軸12は、フレーム2の両側板6,7の外面6b,7b間の寸法L0よりも大きな全長寸法L1(L1>L0)となるように形成され、フレームの製造誤差のばらつきに拘わらず、フレーム2の一対の側板6,7の軸穴13,14に確実に圧入固定できるように工夫されている。
【0026】
このような第1軸12は、図1に示すように、その金属棒42の先端(図1の右端)を左側の側板6の軸穴13からフレーム2内に挿入し、フレーム2内に予め治具(図示せず)でセットしてある7個の文字車3の各軸受け穴(図示せず)とウォームホイール37の軸受け穴(図示せず)を図中左側から右側へ向かって貫通し、さらに金属棒42の先端を右側の側板7の軸穴14に圧入すると共に、ブッシュ43を左側の側板6の軸穴13に圧入することにより、フレーム2の軸穴13,14に嵌合固定されることになる。ここで、ウォームホイール37の右側には、図示しないC形リングが隣接するように配置され、各文字車3及びウォームホイール37が第1軸12に対して図中右側方向へずれ動くのを阻止するようになっている。そして、第1軸12に対するブッシュ43の押し込み量を調整することにより、各文字車3及びウォームホイール37が第1軸12に対して図中左側方向へずれ動くのを阻止することができると共に、ブッシュ43と図示しないC形リングとの間隔を調整することができ、各文字車3,3間の隙間量を適正にすることが可能となる。
【0027】
この第1軸12に関する一連の組立作業は、作業者の手によって行われるが、第1軸12の先端(図1の右端)を金属棒42よりも外径寸法が大きなブッシュ43の軸穴13側からフレーム2内に挿入するようになっているため、第1軸12を各文字車3及びウォームホイール37の軸受け穴に挿入する際に、第1軸12が左側の側板6の軸穴13から抵抗を受けることがなく、円滑に組立作業を行うことが可能になる。
【0028】
また、本実施形態によれば、フレーム2が上方に開口し、且つ、一対の軸保護突起18,20が軸穴13,14を挟んで上下方向へ延びるように形成されているため(一対の軸保護突起18,20間に上下方向に沿って延びる空間が形成され、その空間が上方へ向かって開口しているため)、第1軸12の先端を左側の側板6の軸穴13からフレーム2の内部に挿入した後、第1軸12の先端を各文字車3の軸受け穴及びウォームホイール37の軸受け穴に挿入し、次いで右側の側板7の軸穴14に圧入すると共に、ブッシュ43を左側の側板6の軸穴13に圧入する一連の組立作業を、作業者が上方から視認できることになり、カウンタ1の組立作業が容易化する。
【0029】
第2軸15は、一端側(図1中右端側)から他端側(図1中左端側)近傍まで同一外径寸法に形成された金属棒(例えば、SUS303の丸棒)であり、他端側の所定範囲(大径部)15bが他部15aよりも僅かに外径寸法が大きく形成されている。また、この第2軸15は、フレーム2の両側板6,7の外面間の寸法L0よりも大きな全長寸法L2(L2>L0)となるように形成され、フレーム2の製造誤差のばらつきに拘わらず、フレーム2の一対の側板6,7の軸穴16,17に確実に圧入固定できるように工夫されている。なお、第2軸15の他端側の大径部15bとこれよりも小径の他部15aとの接続部は、テーパ状にして滑らかに接続することが好ましい。このような構成にすれば、第2軸15の大径部15bを左側の側板6の軸穴16に円滑に圧入することができる。
【0030】
このような第2軸15は、図1に示すように、その金属棒の先端(図1の右端)を左側の側板6の軸穴16からフレーム2内に挿入し、フレーム2内に予め治具(図示せず)でセットしてある6個の桁上げ歯車5の軸受け穴(図示せず)を図中左側から右側へ向かって貫通し、さらに先端を右側の側板7の軸穴17に圧入すると共に、第2軸15の他端側の大径部15bを左側の側板6の軸穴16に圧入することにより、フレーム2の軸穴16,17に嵌合固定されることになる。
【0031】
この第2軸15に関する一連の組立作業は、作業者の手によって行われるが、第2軸15の先端(図1の右端)を左側の側板6の軸穴(第2軸15の先端(他部15a)と十分な隙間をもって嵌合し得る程度の穴径に形成された軸穴)16からフレーム2内に挿入するようになっているため、第2軸15を各桁上げ歯車5の軸受け穴に挿入する際に、第2軸15が左側の側板6の軸穴16から抵抗を受けることがなく、円滑に組立作業を行うことが可能になる。
【0032】
また、本実施形態によれば、フレーム2が上方に開口し、且つ、一対の軸保護突起21,22が軸穴16,17を挟んで上下方向へ延びるように形成されているため(一対の軸保護突起21,22間に上下方向に沿って延びる空間が形成され、その空間が上方へ向かって開口しているため)、第2軸15の先端を左側の側板6の軸穴16からフレーム2の内部に挿入した後、第2軸15の先端を各桁上げ歯車5の軸受け穴に挿入し、次いで右側の側板7の軸穴17に圧入すると共に、第2軸15の大径部15bを左側の側板6の軸穴16に圧入する一連の組立作業を、作業者が上方から視認できることになり、カウンタ1の組立作業が容易化する。
【0033】
以上のような軸支持構造を備えたカウンタ1は、入力側駆動手段4(2段ギヤ34、入力ギヤ35、ウォーム軸32、ウォーム36、及びウォームホイール37)によって最小桁(第1桁)の文字車3が1回転すると、桁上げ歯車5によって隣り合う上位桁(第2桁)の文字車3が1/10回転する。そして、第2桁の文字車3が1回転すると、桁上げ歯車5によって第3桁の文字車3が1/10回転する。このような動作が繰り返えされて、第7桁の文字車3まで作動させられる。その結果、カウンタ1は、各文字車3の外周に記載された数字によって、ガスの使用量や水道の使用量等を積算表示することができる。
【0034】
以上説明したように、本実施形態は、フレーム2が上方に開口し、且つ、一対の軸保護突起18,20,21,22の間の空間が上方に向かって開口しているため、作業者がカウンタ1の組立作業を上方から容易に視認できる。その結果、本実施形態によれば、カウンタ1の組立作業が容易化し、カウンタ1の組立作業の効率化を図ることが可能になる。
【0035】
また、本実施形態は、図1の左側の側板(一方の側板)6の軸穴13は、第1軸12の先端が右側の側板(他方の側板)7の軸穴14よりも先に挿入されることになるが、他方の側板7の軸穴14よりも大きく形成されているため、第1軸12を文字車3の軸受け穴及びウォームホイール37の軸受け穴に係合する作業が容易化するすると共に、第1軸12の両端部側を一対の側板6,7の軸穴13,14に圧入して固定する作業が容易化。また、一方の側板6の軸穴16は、第2軸15の先端が他方の側板7の軸穴17よりも先に挿入されることになるが、他方の側板7の軸穴17よりも大きく形成されているため、第2軸15を桁上げ歯車5の軸受け穴に係合する作業が容易化し、第2軸15の両端部側を一対の側板6,7の軸穴16,17に圧入して固定する作業が容易化する。
【0036】
また、本実施形態において、側板6,7から軸方向外方へ突出する第1軸12及び第2軸15の軸端部は、一対の軸保護突起18,20,21,22の外縁を囲む空間領域27〜30内に収容できるため、カウンタ1が運搬時等に落下しても、床等に衝突するようなことがなく、床等への衝突に起因する外力が作用することがない。その結果、本実施形態に係るカウンタ1の軸支持構造によれば、カウンタ1の運搬時における落下等が生じても、第1軸12の両軸端部がフレーム2の側板6,7の軸穴13,14から脱落するようなことがなく、第2軸15の両軸端部がフレーム2の側板6,7の軸穴16,17から脱落するようなことがない。したがって、本実施形態によれば、軸201の両端側に形成したローレット加工部204,204をフレーム202の軸受部203,203に挿入する従来例(図7参照)に比較し、カウンタ1の組立作業を容易化でき、カウンタ1の組立作業を効率化することができる。
【0037】
また、本実施形態によれば、一対の軸保護突起18,20,21,22間に上方に向かって開口する空間を有するため、第1軸12及び第2軸15の側板6,7からの突出量を容易に視認でき、第1軸12及び第2軸15を側板6,7に確実に圧入固定することができる。
【0038】
なお、図1乃至図2に示した一対の板状の軸保護突起18,21に代え、図4に示すような円筒状の軸保護突起50,51を側板6の外面6bに一体形成するようにしてもよい。また、同様に、図1及び図3に示した側板7の軸保護突起20,22を、円筒状の軸保護突起に代えてもよい。
【0039】
この図4に示す変形例(第1の変形例)は、軸保護突起50,51が上方に開口する空間を有しないため、第1軸12と側板6の軸穴13との係合状態、及び第2軸15と側板6の軸穴16との係合状態を作業者が上方から視認し難い。しかし、この図4に示す変形例は、上記実施形態と同様に、カウンタ1の落下時等において、軸保護突起50,51が外力(衝撃)を受けることができ、第1軸12及び第2軸15の軸端に直接外力が作用するのを防止でき、第1軸12及び第2軸15が側板6から脱落するのを防止することが可能になる。
【0040】
また、図5は、図4の変形例(第2の変形例)を示すものである。この図5に示す変形例は、図4において示した円筒状の軸保護突起50,51のうちの、上方側に対応する部分及び下方側に対応する部分を切断し、図1乃至図3に示したような、上方に向かって開口する空間を左右一対の軸保護突起52,53間に形成するようにしてもよい。
【0041】
このような構成の本変形例に係るカウンタ1の軸支持構造によれば、図1乃至図3に示した実施形態に係るカウンタ1の軸支持構造と同様の効果を得ることができる。
【0042】
また、図示しないが、一対の側板6,7の各軸穴13,14,16,17の周囲に、半球状や角錐状等の複数の突起を一体に形成し、カウンタ1の落下時等における衝撃をその複数の突起で吸収し、カウンタ1の落下時等における衝撃が第1軸12及び第2軸15に直接作用するのを防止するようにしてもよい(図1乃至図3参照)。
【0043】
また、図1乃至図3の実施形態において、第2軸15を構成する金属棒を一端から他端まで同一直径の丸棒とし、側板6の軸穴16に嵌合固定される軸端部の外表面に樹脂のコーティング層を形成して大径部15bとし、この大径部15bを側板6の軸穴16に圧入してもよい。
【符号の説明】
【0044】
1……カウンタ、2……フレーム、3……文字車、4……入力側駆動手段、5……桁上げ歯車、12……第1軸、13,14,16,17……軸穴、15……第2軸、18,20〜22,50〜53……軸保護突起

【特許請求の範囲】
【請求項1】
積算するための複数の桁に対応する複数の文字車と、
前記複数の文字車を隣り合うように並べて回転可能に支持する第1軸と、
前記複数の文字車のうちの最小桁の文字車を回転駆動する入力側駆動手段と、
前記隣り合う文字車間に配置され、下位桁の文字車の1回転に対して隣り合う上位桁の文字車を1/10回転させる桁上げ歯車と、
前記第1軸と平行に配置され、前記桁上げ歯車を回転可能に支持する第2軸と、
前記第1軸の両軸端部を軸方向外方へ突出させるようにして嵌合固定する軸穴が形成されると共に、前記第2軸の両軸端部を軸方向外方へ突出させるようにして嵌合固定する軸穴が形成されたフレームと、
を備えたカウンタの軸支持構造であって、
前記フレームには、前記第1軸及び前記第2軸の前記両軸端部よりも前記軸方向外方へ突出し、且つ、少なくとも前記第1軸及び第2軸の前記両軸端部の径方向両側に対向するように突出する軸保護突起が一体に形成され、
前記第1軸及び前記第2軸の軸心が直交する仮想平面内において、前記軸保護突起の外縁を囲む平面領域内に前記第1軸及び第2軸の前記両軸端部が収容されるようになっている、
ことを特徴とするカウンタの軸支持構造。
【請求項2】
前記軸保護突起は、少なくとも前記フレームの開口部側に開口し、
前記第1軸及び前記第2軸の両軸端部が前記フレームから突出したことを、前記軸保護突起の開口から視認し得るようになっている、
ことを特徴とする請求項1に記載のカウンタの軸支持構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−8563(P2011−8563A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−151779(P2009−151779)
【出願日】平成21年6月26日(2009.6.26)
【出願人】(000208765)株式会社エンプラス (403)
【Fターム(参考)】