説明

カウンター天板固定構造

【課題】カウンター天板の意匠性を損なわず、且つ前垂れ部が浮き上がることを防止可能なカウンター天板固定構造を提供することである。
【解決手段】棚受部材44を腰壁パネル41の背面43に固定し、前垂れ部3を有するカウンター天板1を棚受部材44の上に載置し、ビス54,55でカウンター天板1と棚受部材44とを固定してなるカウンター天板固定構造において、カウンター天板1は正面視で略弓状であって、カウンター天板1の端部31,32は中央部30よりも上側に位置しており、棚受部材44に固定された状態においては、カウンター天板1は正面視で略直線状を成している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カウンター天板固定構造に関し、さらに詳細には、ビス等の固定具でカウンター天板とL型棚受部材とを固定してなるカウンター天板固定構造に関する。本発明のカウンター天板固定構造は、カウンター天板の意匠性を損なわず、且つカウンター天板が浮き上がることを防止可能なものである。
【背景技術】
【0002】
システムバスルームと呼ばれる合成樹脂製のユニットバスにおいて、限られた設置スペースを有効に活用するため、様々な工夫が施されている。例えば、図4(a)に示すように、ユニットバス80では、床パン81の端に立設された腰壁パネル82の背面83に、L型状の棚受部材84が浴室外側に向かって固定されている。棚受部材84の上には、「持ち出しカウンター」と呼ばれる合成樹脂製のカウンター天板85が載置されている。カウンター天板85は、出窓のように浴室外側に突出した棚のことである。カウンター天板85を設置することにより、床パン81を敷設できないデッドスペース等が利用可能となる。
【0003】
カウンター天板85は、前垂れ部86を有している。前垂れ部86は、カウンター天板86の端部を下向きに延設したものであり、カウンター天板85と腰壁パネル82との継ぎ目を覆い隠すためのものである。特許文献1にも、前垂れ部を有するカウンター天板が開示されている。前垂れ部で継ぎ目を隠すことにより、ユニットバス内を美しく仕上げることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−250141号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
カウンター天板には意匠性の確保が重要であり、前垂れ部をビス等で固定することはできる限り避けたい。換言すれば、カウンター天板と棚受部材とは、使用者から見えにくい箇所で固定することが好ましい。例えば、図4(b)に示すカウンター天板85では、天面87において、左側縁89、後側縁90、右側縁91の三方の縁92をビス93で固定している。つまり、前垂れ部86と、前垂れ部86の近傍にある前側縁88とが固定されておらず、カウンター天板85の意匠性は確保されている。
【0006】
ところが、天面87の上に入浴用品等が置かれて後側縁90が押圧されると、合成樹脂で構成されたカウンター天板85は弾性を備えているために歪みを生じ、前垂れ部86が浮き上がることがある。これは、前垂れ部86および前側縁88が固定されていないからである。前垂れ部86が浮き上がると、カウンター天板85と腰壁パネル82との継ぎ目が露出してしまい、ユニットバス80の美観が損なわれてしまう。
【0007】
そこで、本発明は、カウンター天板の意匠性を損なわず、且つ前垂れ部が浮き上がることを防止可能なカウンター天板固定構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための請求項1に記載の発明は、棚受部材を腰壁パネルの背面に固定し、前垂れ部を有するカウンター天板を棚受部材の上に載置し、ビス等の固定具でカウンター天板と棚受部材とを固定してなるカウンター天板固定構造において、カウンター天板は正面視で略弓状であって、カウンター天板の両端部は中央部よりも上側に位置しており、棚受部材に固定された状態においては、カウンター天板は正面視で略直線状を成していることを特徴とするカウンター天板固定構造である。
「カウンター天板の両端部が中央部よりも上側に位置している」とは、両端部が浮き上がった状態を示している。すなわち、「正面視で略弓状のカウンター天板」とは、長手方向において上向きに反ったものを指す。このようなカウンター天板を略直線状に伸ばすと、カウンター天板は元の反った状態に戻ろうとする。つまり、棚受部材に固定されたカウンター天板は、上向きの付勢力を保有したまま、略直線状を成している。
【0009】
例えば、前垂れ部とは反対側の天面の端部が、入浴用品等から押圧され下向きの力を受けると、カウンター天板は前垂れ部が浮き上がるような力を受ける。ところが、カウンター天板は上向きの付勢力を保有しているため、下向きの力は付勢力で相殺される。つまり、天面が入浴用品等から押圧されても、前垂れ部が浮き上がることはない。よって、前垂れ部および前垂れ部の近傍をビス等で固定する必要がなく、カウンター天板の美観を損なう恐れはない。
【発明の効果】
【0010】
本発明のカウンター天板固定構造によれば、カウンター天板の意匠性を損なわず、且つ前垂れ部が浮き上がることを防止可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態に係るカウンター天板固定構造で用いるカウンター天板を示す斜視図である。
【図2】棚受部材に固定される前のカウンター天板を示す図であり、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は底面図である。
【図3】本発明の実施形態に係るカウンター天板固定構造を示す図であり、(a)は分解斜視図、(b)は斜視図である。
【図4】従来のユニットバスにおける腰壁パネルとカウンター天板との関係を示す図であり、(a)は側面図、(b)は斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下では、本発明のカウンター天板固定構造の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明は、実施形態の理解を容易にするためのものであり、これによって、本発明が制限して理解されるべきではない。
【0013】
図1に示すカウンター天板1は、本発明の実施形態に係るカウンター天板固定構造で用いられる。カウンター天板1は、長尺状の合成樹脂製の部材である。カウンター天板1は、板状の本体部2を有している。本体部2は、後述する棚受部材44に固定される前の状態においては、略弓状を成しており、反っている。図2(a)に示すように、本体部2は、両端部31,32が中央部30よりも上側に位置している。すなわち、両端部31,32は、中央部30よりも高さXだけ浮き上がっている。
【0014】
本体部2は、図1に示すように、前垂れ部3と、リブ4,5と、ビス孔6とを有している。
【0015】
ビス孔6は、本体部2の天面10に位置している。詳細には、ビス孔6は、4方の縁15の内、前側縁11を除く左側縁12、後側縁13、右側縁14に位置している。
【0016】
前垂れ部3は、本体部2を下側に延設した部位である。前垂れ部3は、後述する腰壁パネル41とカウンター天板1との継ぎ目を隠すためのものである。前垂れ部3は、本体部2の天面10の前側縁11の下側に位置している。
【0017】
リブ4,5は、本体部2の底面20に位置している。リブ4,5は、本体部2の反りが高さXを超えることを防止するためのものである。図2(b),(c)に示すように、リブ4,5は、本体部2の長手方向に沿っており、前垂れ部3に平行となるように位置している。リブ4,5は、ボス7を有している。ボス7はビス孔6を有している。ボス7は、天面10に位置するビス孔6と、平面視で重なる位置にある。
【0018】
図3(a),(b)は、本発明の実施形態に係るカウンター天板固定構造を示す図である。図3(a)に示すように、ユニットバス60は、床パン40と、腰壁パネル41と、浴槽42と、棚受部材44と、L字アングル50と、コの字アングル51と、カウンター天板1と、ビス54,55(固定具)とを有している。
【0019】
床パン40の上に、腰壁パネル41と、浴槽42が位置している。腰壁パネル41の背面43には、L型状の棚受部材44が固定されている。
【0020】
棚受部材44は、カウンター天板1と、L字アングル50と、コの字アングル51とを支持するための部材である。棚受部材44は、腰壁パネル41の長手方向に沿って、複数設けられている。腰壁パネル41の端部46,47および中央部48に位置している棚受部材44には、ビス孔45が設けられている。
【0021】
L字アングル50は、カウンター天板1のボス4を安定して支持するための部材である。L字アングル50は、側面視でL字状を成している。L字アングル50は、ビス孔52を有している。
【0022】
コの字アングル51は、カウンター天板1のボス5を安定して支持するための部材である。L字アングル51は、側面視でコの字状を成している。L字アングル51は、ビス孔53を有している。
【0023】
図3(b)は、棚受部材44と、L字アングル50と、コの字アングル51と、カウンター天板1とがビス54,55で一体化された状態を示す。詳細には、カウンター天板1のビス孔6と、L字アングル50のビス孔52にビス54が挿通され、棚受部材44のビス孔45に固定されている。また、カウンター天板1のビス孔6と、コの字アングル51のビス孔53にビス55が挿通され、棚受部材44のビス孔45に固定されている。
【0024】
図3(b)に示すように、カウンター天板1は、棚受部材44に固定された状態においては、略直線状を成している。棚受部材44に固定される前のカウンター天板1は、略弓状であり、長手方向において上向きに反っている。すなわち、棚受部材44に固定されたカウンター天板1は、元の反った状態に戻ろうとする力を有している。つまり、カウンター天板1は、上向きの付勢力を保有している。
【0025】
例えば、前垂れ部3とは反対側の天面10の端部(後側縁13)が、入浴用品等から押圧され下向きの力を受けると、カウンター天板1は前垂れ部3が浮き上がるような力を受ける。ところが、カウンター天板1は上向きの付勢力を保有しているため、下向きの力は付勢力で相殺される。つまり、天面10が入浴用品等から押圧されても、前垂れ部3が浮き上がることはない。よって、前垂れ部3および前側縁11をビス54,55等で固定する必要がなく、カウンター天板1の美観を損なう恐れはない。
【0026】
前述のように、本発明のカウンター天板固定構造によれば、カウンター天板1の意匠性を損なわず、且つ前垂れ部3が浮き上がることを防止できる。
【0027】
なお、本発明の実施形態に係るカウンター天板固定構造で用いられるカウンター天板1は、FRP(繊維強化プラスチック)で成形されることが好ましい。なお、FRPは、不飽和ポリエステル樹脂等をガラス繊維に含浸させ薄板状としたSMC(Sheet Moulding Compound)で構成されることが好ましい。
【符号の説明】
【0028】
1 カウンター天板
3 前垂れ部
30 中央部
31 端部
32 端部
41 腰壁パネル
43 背面
44 棚受部材
54,55 ビス(固定具)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
棚受部材を腰壁パネルの背面に固定し、前垂れ部を有するカウンター天板を棚受部材の上に載置し、ビス等の固定具でカウンター天板と棚受部材とを固定してなるカウンター天板固定構造において、
カウンター天板は正面視で略弓状であって、カウンター天板の両端部は中央部よりも上側に位置しており、
棚受部材に固定された状態においては、カウンター天板は正面視で略直線状を成していることを特徴とするカウンター天板固定構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−40193(P2012−40193A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−184200(P2010−184200)
【出願日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】