説明

カウンタ

【課題】使用者が着座しながら保持部にシャワーヘッドを容易に保持させることができるカウンタを提供すること。
【解決手段】浴室ユニット10は、シャワーヘッド18を有する水栓装置12と、水栓装置12の下方に設けられたカウンタ15とを備えている。カウンタ15は、上面を載置面24として形成する本体26と、この本体26に形成されるとともに、シャワーヘッド18を引っ掛け可能な保持部28を備えて構成されている。保持部28は、載置面24の前方領域を凹ませることにより形成され、シャワーヘッド18を受容した状態で当該シャワーヘッド18を引っ掛け保持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カウンタに係り、更に詳しくは、浴室等に用いられ、シャワーヘッドを保持することができるカウンタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より知られている浴室ユニットとして、使用者が手に持ちながら吐水を行えるシャワーヘッドや、洗面器等を載せて利用可能なカウンタを備えたものが存在する。かかる浴室ユニットにおいて、シャワーヘッドは、未使用時或いは使用中断時に、シャワーフックを介して保持され、このシャワーフックは、通常、カウンタ後方における壁面やミラーパネルの所定高さ位置に設けられる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前記カウンタにあっては、平面積を確保すべくある程度の前後幅を有するので、カウンタ前に着座した使用者からシャワーフックまでの距離が長くなる傾向がある。このため、例えば、洗髪前や洗髪中に一時的にシャワーヘッドの使用を中断するときに、使用者が立ち上がらなければシャワーフックにシャワーヘッドを保持させることができなくなる。特に洗髪中には、シャンプー等で目を開け難くなったりして、シャワーフックに保持させることが面倒となり、立ち上がることなく着座しながら膝の上や床面上にシャワーヘッドを一時的に置く場合が多くなる。これにより、洗髪時に膝の上のシャワーヘッドが邪魔になったり、床面上に置いたシャワーヘッドが不用意に移動し、洗髪中の目を閉じた状態でシャワーヘッドを探り当て難くなる等といった不都合を招来する。
【0004】
[発明の目的]
本発明は、このような不都合に着目して案出されたものであり、その目的は、使用者が保持部にシャワーヘッドを保持させる作業を容易に行うことができ、シャワーヘッドの使い勝手を向上させることができるカウンタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するため、本発明は、上面を載置面として形成する本体と、この本体に形成されるとともに、シャワーヘッドを引っ掛け可能な保持部とを備える、という構成を採っている。
【0006】
本発明において、前記保持部は、前記載置面の前方領域を凹ませることにより形成される、という構成を採ることが好ましい。
【0007】
また、前記保持部には、保持したシャワーヘッドの浮き上がりを規制する浮き上がり防止部が設けられる、という構成を採用することができる。
【0008】
更に、前記本体は、前方に突出する膨出部を含み、この膨出部の左右両側に前記保持部がそれぞれ形成される、という構成も好ましくは採用される。
【0009】
また、前記保持部に、その内外を通じる流路を設けることが好ましい。
【0010】
更に、前記シャワーヘッドは、吐水部と、所定操作することで吐水部からの吐水を停止させる止水手段とを備えている一方、
前記保持部には操作部が設けられ、この操作部は、保持部にシャワーヘッドを引っ掛けたときに、止水手段を操作して前記吐水を停止させる、という構成を採用してもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、壁面等のシャワーフックを利用することなく、着座した使用者の近くに位置するカウンタの保持部にシャワーヘッドを引っ掛けることができる。これにより、例えば、洗髪時に着座しながら保持部にシャワーヘッドを簡単且つ楽に保持させることができ、洗髪中にシャワーヘッドが邪魔になることがなくなる。また、使用者が目を閉じた状態でも、保持部に保持されたシャワーヘッドが把持し易くなり、使い勝手を向上させることが可能となる。
【0012】
また、載置面の前方領域を凹ませることにより保持部を形成したので、カウンタを成形品とした場合、当該カウンタに保持部を簡単に形成できる他、カウンタ前で着座した使用者にできるだけ近く見易い位置に保持部を配置することが可能となる。これにより、保持部にシャワーヘッドを容易且つ迅速に保持させることができ、シャワーヘッドの使用を一瞬だけ中断したい場合や、使用中断を繰り返し行う場合に有利となる。
【0013】
更に、保持部に浮き上がり規制部を設けたから、シャワーヘッドが保持部から意図することなく脱落することを抑制することができる。
【0014】
また、膨出部の左右両側に保持部をそれぞれ設けた場合、左右の何れの手でシャワーヘッドを持っていたとしても、左右の手でシャワーヘッドを持ち替えることをなくスムースに保持部に保持させることが可能となる。
【0015】
更に、保持部に流路を設けたから、保持部内に水が残ることを抑制でき、汚れ等を付着し難くすることができる。
【0016】
また、保持部に設けた操作部により、当該保持部にシャワーヘッドを引っ掛けることにより、シャワーヘッドの吐水を停止させることができ、止水手段を操作する手間を省略できて取扱性をより一層高めることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の好ましい実施の形態について図面を参照しながら説明する。
なお、本明細書及び特許請求の範囲において、「水」とは、「湯水」をも含む概念として用いる。
【0018】
図1には、実施形態に係るカウンタが適用された浴室ユニットの部分概略斜視図が示されている。この図において、浴室ユニット10は、浴槽11と、浴室ユニット10を形成する壁面10Aに設けられた水栓12と、浴槽11に隣接する洗い場領域13における水栓12の下方位置に設けられたカウンタ15とを備えて構成されている。
【0019】
水栓12には、一端側にシャワーヘッド18が設けられたシャワーホース17が連結されている。図2及び図3にも示されるように、シャワーヘッド18は、シャワーホース17に接続された平面視しゃもじ状をなすヘッド本体20と、このヘッド本体20の下面側に形成された図示しない多数の穴を有する吐水部21と、ヘッド本体20の下面側から突出するとともに、吐水部21の図2中下方に隣接する位置に設けられた止水手段としての止水ボタン22とを備えて構成されている。ヘッド本体20は、平面視で、シャワーホース17との接続部分から先端(図2中上端)に向かって拡がる左右一対の傾斜端部20A,20Aを備えている。止水ボタン22は、押圧操作可能に設けられており、ヘッド本体20の外周面からはみ出ない位置まで押圧することで吐水部21からの吐水を停止でき、当該押圧を解除することで前記吐水を許容するようになっている。
【0020】
前記カウンタ15は、特に限定されるものでないが、本実施形態では、樹脂材料を用いた一体成形品とされ、入浴に利用される小物や洗面器等を載せる載置面24(図1参照)を上面に形成している。カウンタ15は、平面視左右に長い略長方形状に形成された板状の本体26と、この本体26の左右方向中央部から手前側に円弧状に突出する膨出部27と、この膨出部27の左右両側における本体26の前端側にそれぞれ設けられた一対の保持部28,28とを備えて構成されている。カウンタ15の高さ位置は、本実施形態では、浴槽11の上端面と載置面24が略同じ高さとなるように設定されている。
【0021】
前記各保持部28,28は、前記載置面24の前部領域を下方に凹ませることにより形成されるとともに、シャワーヘッド18の外形に対応した内面形状を備え、シャワーヘッド18を受容した状態で引っ掛け可能に設けられている。具体的には、保持部28は、図2及び図3に示されるように、シャワーヘッド18の先端形状に対応した平面視円弧状に形成された後部面30と、この後部面30の左右両側から手前側に延びる一対の側面31,31と、後部面30の下側に連なる第1の支持面32と、この第1の支持面32の手前側に略水平面34を介して連なる操作部としての第2の支持面35と、後部面30の上部で手前側に突出する浮き上がり防止部としての突条部36とを備え、上方及び手前側を開放する形状に設けられている。
【0022】
前記各側面31,31の離間幅は、手前方向に向かうに従って狭くなっており、保持部28内にシャワーヘッド18を受容したときに、前記ヘッド本体20の傾斜端部20A,20Aに当接して引っ掛かり、シャワーヘッド18の手前方向への移動を規制することができる。第1及び第2の支持面32,35は、手前方向に向かうに従って下降する傾斜面とされている。図4に示されるように、第1の支持面32には、シャワーヘッド18の吐水部21が載置される。第2の支持面35には、ヘッド本体20の下面側が載置され、この状態で止水ボタン22をヘッド本体20の下面からはみ出さないように押圧するようになっている。突条部36は、シャワーヘッド18の先端側における上側に被さるように位置しており、保持部28に保持されたシャワーヘッド18の上昇移動を規制することができる。
【0023】
以上の構成において、シャワーヘッド18を保持部28に保持させる場合、吐出部21を下向きとし、突条部36の下側にヘッド本体20の先端側を潜り込ませるようにシャワーヘッド18を移動させつつ、シャワーヘッド18を保持部28の上方から被せるように受容させればよい。これにより、突条部36がヘッド本体20の先端側に引っ掛かるとともに、ヘッド本体20の傾斜端部20A,20Aが各側面31,31に当接して引っ掛かり、シャワーヘッド18が保持部28に保持される。このとき、第1の支持面32上に吐水部21が載置されるとともに、第2の支持面35によって止水ボタン22が押圧操作され、ヘッド本体21の下面側が第2の支持面35上に載る。従って、吐水部21から吐水した状態でシャワーヘッド18を保持部28に保持させることにより、前記吐水が停止することとなり、この状態で保持部28からシャワーヘッド18を取り出すと、止水ボタン22が初期位置に復帰し、再度同じ水温(湯温)・吐水量で吐水が開始される。
【0024】
なお、シャワーヘッド18を保持させる際、左右の何れの保持部28に保持させてもよい。例えば、シャワーヘッド18を右手で持っている場合、左手に持ち替えることなく右側の保持部28に容易に保持させることができ、左手で持った場合も同様に持ち替えを不要として左側の保持部28に保持させることが可能となる。
【0025】
従って、このような実施形態によれば、カウンタ15の手前に着座した者が立ち上がることなく保持部28にシャワーヘッド18を保持させたり、保持されたシャワーヘッド18を把持することができる。また、保持部28は上方と手前側とを開放する形状としたので、カウンタ15の載置面24にシャワーヘッド18を置くようにして簡単に保持させることが可能となる。
【0026】
本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。
すなわち、本発明は、特定の実施の形態に関して特に図示し、且つ、説明されているが、本発明の技術的思想及び目的の範囲から逸脱することなく、以上に述べた実施形態に対し、位置若しくは方向、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
従って、上記に開示した形状などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状などの限定の一部若しくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【0027】
前記シャワーヘッド18や保持部28の形状は、当該保持部28にシャワーヘッド18に引っ掛け保持可能な構造である限りにおいて、種々の変更が可能である。例えば、図5に示されるように、浮き上がり防止部36を省略した構成としてもよく、これによれば、よりスムースな動作によってシャワーヘッド18を保持させることができる。また、図6に示されるように、吐水部21の一部が載置面24の上方に位置するように保持部28の深さを設定してもよい。
更に、図7に示されるように、保持部28の第1の支持面32に上下方向(同図中紙面直交方向)に貫通する流路38を設けてもよい。この流路38は、保持部28の内外を通じるようになり、シャワーヘッド18を吐水しながら保持させたときに、流路38を通じて保持部28内の水を排水でき、吐水の圧力によりシャワーヘッド18が意図することなく移動することを抑制できる。また、第1の支持面32から第2の支持面35側に亘って溝状に延びる流路を設けてもよく、これによっても、保持部28内の水をスムースに排水することができる。
また、止水ボタン22の位置はヘッド本体20の傾斜端部20A側に設けたりしてもよく、また、止水ボタン22に変えてレバー部材等により止水手段を構成してもよい。この場合、シャワーヘッド18の保持時に、保持部28の内側において止水ボタン22や止水手段に当接して吐水を停止させる操作を行う領域を設けることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】実施形態に係るカウンタが適用された浴室ユニットの部分概略斜視図。
【図2】カウンタ及びシャワーヘッドの拡大平面図。
【図3】カウンタの要部の部分縦断面図。
【図4】保持部にシャワーヘッドを保持させた状態の図3と同様の断面図。
【図5】変形例に係る実施形態の図4と同様の断面図。
【図6】他の変形例に係る実施形態の図4と同様の断面図。
【図7】更に他の変形例に係る実施形態の拡大平面図。
【符号の説明】
【0029】
15・・・カウンタ、18・・・シャワーヘッド、21・・・吐水部、22・・・止水ボタン、24・・・載置面、26・・・本体、27・・・膨出部、28・・・保持部、35・・・第2の支持面(操作部)、36・・・突条部(浮き上がり防止部)、38・・・流路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面を載置面として形成する本体と、この本体に形成されるとともに、シャワーヘッドを引っ掛け可能な保持部とを備えていることを特徴とするカウンタ。
【請求項2】
前記保持部は、前記載置面の前方領域を凹ませることにより形成されていることを特徴とする請求項1記載のカウンタ。
【請求項3】
前記保持部には、保持したシャワーヘッドの浮き上がりを規制する浮き上がり防止部が設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載のカウンタ。
【請求項4】
前記本体は、前方に突出する膨出部を含み、この膨出部の左右両側に前記保持部がそれぞれ形成されていることを特徴とする請求項1,2又は3記載のカウンタ。
【請求項5】
前記保持部には、当該保持部の内外を通じる流路が設けられていることを特徴とする請求項1ないし4の何れかに記載のカウンタ。
【請求項6】
前記シャワーヘッドは、吐水部と、所定操作することで吐水部からの吐水を停止させる止水手段とを備えている一方、
前記保持部には操作部が設けられ、この操作部は、保持部にシャワーヘッドを引っ掛けたときに、止水手段を操作して前記吐水を停止させることを特徴とする請求項1ないし5の何れかに記載のカウンタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−135665(P2007−135665A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−329779(P2005−329779)
【出願日】平成17年11月15日(2005.11.15)
【出願人】(392008529)ヤマハリビングテック株式会社 (349)
【Fターム(参考)】