カスケードプロセスを利用してシリコンを精製する方法
本発明は、金属溶媒を使用して物質を精製する方法に関する。本発明は、カスケードプロセスを利用してシリコンを精製する方法を含む。カスケードプロセスでは、シリコンが精製プロセスを進行するにつれて、反対方向にプロセスを進行して徐々に純粋になる溶媒金属と接触する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2009年8月21日に出願された米国特許仮出願第61/235,861号および2010年3月23日に出願された米国特許出願第12/729,561号の恩典を主張するものであり、いずれの出願も、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
背景
太陽電池は、現在、太陽光を電気エネルギーに変換する能力を用いることによりエネルギー源として利用されている。シリコンは、このような光電池において半導体材料としてほぼ例外なく使用されている。太陽電池を使用する上での現在の大きな制約は、シリコンを太陽電池グレード(SG)に精製するコストと関係している。現在のエネルギーの需要および供給の制限の観点から、冶金グレード(MG)シリコン(または、太陽電池グレードよりも不純物の多い任意の他のシリコン)を太陽電池グレードシリコンに精製する、よりコスト効率の高い方法が強く求められている。
【0003】
金属溶媒を使用して物質を精製するプロセスにおいては、有用な物質が不純物と共に金属溶媒中に残留する。例えば、溶媒金属を使用するシリコン精製プロセスにおいて、有用なシリコンが副生成物中に残留する。シリコンの部分的な結晶化を繰り返し試行すると、副生成物中のシリコンの損失が比例的に増加する。企業や研究グループが、様々な湿式冶金プロセスおよび高温冶金プロセスを伴う冶金プロセスを用いて、グレードアップされた冶金グレード(UMG)シリコンの製造に取り組んでいる。ホウ素の量に対してリンの量を減少させることが困難であるという点において、これらのプロセスの多くが制限されている。最終的に、これは、過剰のリンを含む最終物質をもたらす。精製後のUMGシリコン中のリンの量(ppmw)はホウ素の量よりも高く、リンの量は、通常、ホウ素よりもppmwで2〜3倍高い。
【0004】
従来、太陽電池の多くは、リンレベルよりもホウ素レベルが高いP型半導体を用いて製造されている。UMGシリコンは、ブールまたは多結晶インゴットに一方向に凝固する。このUMGシリコンの一方向凝固は、ホウ素とリンの析出係数の差に起因して、インゴット最上部のリンレベルを増加させる。この濃度推移は、高いリン濃度域と低いリン濃度域間にP/N遷移の形成を引き起こすことにより、収量が低下し、また、インゴットの高さ変化に伴う抵抗を引き起こす可能性がある。UMGシリコンから製造していないほとんどの太陽電池は、シーメンス法により精製したシリコンにP型ホウ素含有ドーパントを添加することにより製造される。
【発明の概要】
【0005】
概要
本発明は、金属溶媒を用いて物質を精製する方法を提供する。本発明の態様は、精製した物質において、より少ない不純物量、ならびにより均一な不純物濃度などの利益および利点を含む。本方法は、精製した物質をより完全に利用できるように、より一貫した品質の精製した物質を提供することができる。他の利益は、より高品質の製品を生産するために使用することができる精製した物質の製造を含む。母液をリサイクルする態様においては、本方法により、精製される物質の浪費を少なくすることができ、そして、金属溶媒をより効率的に使用することができる。
【0006】
本発明はまた、シリコンを精製するための方法を提供する。本方法は、第一のシリコンを第二の母液と接触させることを含む。第一のシリコンを第二の母液と接触させることにより第一の混合物が得られる。本方法はまた、第一の混合物を溶融することを含む。第一の混合物の溶融は、第一のシリコンと第二の母液との第一の溶融混合物を得るために十分に実施される。本方法はまた、第一の溶融混合物を冷却することを含む。第一の溶融混合物を冷却することにより、第一のシリコン結晶および第三の母液が生成する。本方法はまた、第一のシリコン結晶と第三の母液とを分離することを含む。本方法はまた、第一のシリコン結晶を第一の母液と接触させることを含む。第一のシリコンを第一の母液と接触させることにより、第二の混合物が得られる。本方法はまた、第二の混合物を溶融することを含む。第二の混合物の溶融は、第一のシリコン結晶と第一の母液との第二の溶融混合物を得るために十分に実施される。本方法はまた、第二の溶融混合物を冷却することを含む。第二の溶融混合物を冷却することにより、第二のシリコン結晶および第二の母液が得られる。本方法はまた、第二のシリコン結晶と第二の母液とを分離することを含む。本方法はまた、第二のシリコン結晶を第一の溶媒金属と接触させることを含む。第二のシリコン結晶を第一の溶媒金属と接触させることにより、第三の混合物が得られる。本方法はまた、第三の混合物を溶融することを含む。第三の混合物の溶融は、第二のシリコン結晶と第一の溶媒金属との第三の溶融混合物を得るために十分に実施される。本方法はまた、第三の溶融混合物を冷却することを含む。第三の溶融混合物を冷却することにより、第三のシリコン結晶および第一の母液が生成する。本方法はまた、第三のシリコン結晶と第一の母液とを分離することを含む。本方法はまた、溶媒金属を含む母液および第一の溶媒金属を含む。特定の態様においては、溶媒金属は、アルミニウムであり得る。本方法はまた、任意で、任意の結晶化パスを複数回繰り返すことを含む。
【0007】
特定の態様においては、本方法はまた、上記工程に先立って、シリコンAを精製物質と接触させることができる。この接触は、混合物Aを得るために十分に実施される。本方法はまた、混合物Aを溶融する。混合物Aの溶融は、溶融混合物Aを得るために十分に実施される。本方法はまた、溶融混合物Aを冷却する。この冷却は、第一のシリコンおよび第四の母液を得るために十分に実施される。本方法はまた、第一のシリコンと第四の母液とを分離する。これらの任意の工程が上記工程の前に用いられる場合、4重パスカスケードが提供される。
【0008】
特定の態様においては、第一のシリコン結晶を第一の母液と接触させる工程から第二のシリコン結晶と第二の母液とを分離する工程までは、それぞれ任意である。本方法は、任意で、第一のシリコン結晶を第一の母液と接触させることを含む。任意で、第一のシリコンを第一の母液と接触させることにより、第二の混合物が得られる。本方法はまた、任意で、第二の混合物を溶融することを含む。任意の第二の混合物の溶融は、第一のシリコン結晶と第一の母液との第二の溶融混合物を得るために十分に実施される。本方法はまた、任意で、第二の溶融混合物を冷却することを含む。任意で、第二の溶融混合物を冷却することにより、第二のシリコン結晶および第二の母液が得られる。本方法はまた、任意で、第二のシリコン結晶と第二の母液とを分離することを含む。第一のシリコン結晶を第一の母液と接触させる工程から第二のシリコン結晶と第二の母液とを分離する工程までの任意の工程を、省略することができる。任意の工程のいずれも実施しない場合、第一のシリコン結晶と第三の母液とを分離する工程の後に、第一のシリコン結晶を第一の溶媒金属と接触させる。
【0009】
特定の態様においては、本発明の方法は、第三のシリコン結晶を溶融することをさらに含む。第三のシリコン結晶の溶融は、溶融した第三の結晶を得るために十分に実施される。本方法はまた、溶融した第三の結晶を一方向に凝固する。一方向凝固は、凝固したシリコンを得るために十分に実施される。本方法はまた、凝固したシリコンの少なくとも一部を除去する。本方法はまた、任意で、一方向凝固を複数回繰り返すことができる。
【0010】
本発明はまた、シリコン、リンおよびホウ素を含有する精製されたシリコンを含む。リンの量は、ppmw測定でホウ素の量より少なくなり得る。ホウ素の量は、0.7ppmw未満であり得る。さらに、他の金属不純物の量は、それぞれ、1ppmw未満であり得る。
【0011】
本方法は、第一の物質を精製物質と接触させることを含む。この接触は、第一の混合物を得るために十分である。本方法はまた、第一の混合物を溶融することを含む。第一の物質と精製物質との混合物を溶融することにより、第一の溶融混合物が生成する。本方法はまた、第一の溶融混合物を冷却することを含む。冷却は、第一の物質の第一の結晶および第三の母液を形成するのに十分である。本方法はまた、第二の物質を含む精製物質を使用することを含む。本方法はまた、第二の物質より高い融点を有する第一の物質を使用することを含む。本方法はまた、金属である第二の物質を使用することを含む。本方法は、任意で、第三の母液より不純物が少ない精製物質を使用することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0012】
必ずしも一定の縮尺で描かれているとは限らない図面において、同様の数字は、複数かの図を通して実質的に類似の構成要素を示す。異なる文字接尾語を有する同様の数字は、実質的に類似の構成要素の異なる例を表す。一般に、図面は、限定としてではなく、例示的に、本明細書において考察される様々な態様を説明する。
【0013】
【図1】いくつかの態様に係る、3重パスカスケードプロセスを利用してシリコンを精製する方法のブロックフロー図を示す。
【図2】いくつかの態様に係る、3重パスカスケードプロセスを利用して物質を精製する方法の図を示す。
【図3】いくつかの態様に係る、3重パスカスケードプロセスを利用して物質を精製する方法のブロックフロー図を示す。
【図4】いくつかの態様に係る、3重パスカスケードプロセスを利用してシリコンを精製する方法の図を示す。
【図5】いくつかの態様に係る、シリコン精製のためのカスケードプロセスの第一のパスの詳細を示す。
【図6】いくつかの態様に係る、3重パスカスケードプロセスを利用してシリコンを精製する方法のブロックフロー図を示す。
【図7】いくつかの態様に係る、4重パスカスケードプロセスを利用してシリコンを精製する方法の図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
詳細な説明
ここで、開示される本発明の特定の請求項を詳細に参照するが、その実施例は、添付の図面において説明される。開示される本発明が、列挙される請求項と併せて記載されるが、これらは、開示される本発明がそれら請求項に限定されることを意図するものではないことが理解されるであろう。むしろ、開示される本発明は、特許請求の範囲により定義されるようなここで開示される本発明の範囲内に包含され得る全ての代替物、変形例および等価物を包含することが意図される。
【0015】
本明細書において、「一態様」、「ある態様」、「ある実施態様」などへの言及は、記載される態様が特有の特徴、構造または特性を包含することができるが、全ての態様が必ずしも特有の特徴、構造または特性を包含する必要がないことを意味する。また、このような語句は、必ずしも同じ態様を指す必要はない。さらに、特有の特徴、構造または特性がある態様と関連して記載される場合、例示的に記載されているか否かに関わらず、他の態様と関連するこのような特徴、構造または特性に影響が及ぶことは、当業者の知識の範囲内であると考えられる。
【0016】
本明細書において、特に指定のない限り、「1つの(a)」または「1つの(an)」という用語は、1つまたは1つ以上を含むように使用され、「または(or)」という用語は、非排他的な「または」を指すように使用される。さらに、本明細書において用いられる表現または専門用語は、特に規定しない限り、単に説明するためのものであり限定するものではないことを理解されたい。
【0017】
本明細書に記載の製造方法において、工程は、時間または操作上の順序が明確に記載される場合を除き、本発明の原理から逸脱することなく、任意の順番で実施することができる。最初に、1つの工程が実施され、次に、いくつかの他の工程が続いて実施される旨の請求項における記述は、任意の他の工程の前に第一の工程が実施されるが、順序が他の工程内でさらに記述されない限り、他の工程を任意の適切な手順で実施することができるという意味を有するものとする。例えば、「工程A、工程B、工程C、工程Dおよび工程E」と記述する特許請求の要素は、工程Aが最初に実施され、工程Eが最後に実施され、そして、工程B、CおよびDが、工程A〜E間で任意の順序で実施することができ、その順序も、特許請求されるプロセスの文言上の範囲内にあるという意味で解釈されるものとする。所与の工程または工程のサブセットもまた、繰り返すことができる。
【0018】
さらに、別々に実施されると特許請求の文言で明確に記述していなければ、特定の工程を同時に実施することができる。例えば、特許請求されるXを行う工程および特許請求されるYを行う工程は、単一の操作内で同時に実施することができ、その結果のプロセスは、特許請求されるプロセスの文言上の範囲内に入る。
【0019】
本発明は、カスケーディングまたはカスケードプロセスを用いてシリコンを精製する方法を提供する。カスケーディングとは物質の向流を指す。カスケーディング向流により、シリコン供給原料がプロセスの一方の端(即ち、開始)に導入され、精製されたシリコンがプロセスのもう一方の端(即ち、終了)において取り出される。アルミニウムなどの溶媒金属は、プロセスの終了の方向へ進み、且つ、プロセスの開始方向に向かって再利用されて、開始時点でプロセスから出ていくことにより、そして、それがプロセスに入る時よりも出ていく時により多くの不純物を含有することにより、プロセスを通して、金属供給原料が移動する方向とは反対方向に移動する。次に、シリコンがプロセスを進行するにつれて、一層純粋な溶媒金属と接触して、その不純物レベルを低下させる。任意の適切なカスケーディング工程数が、本明細書に記載の方法の態様の範囲内に包含されるように想定される。母液は、同工程または他の工程において再利用することができ、また、溶媒金属を追加することもできる。
【0020】
本発明の態様は、他の方法に勝る利益および利点を有することができる。例えば、本発明の利点は、最終精製シリコンにおける、より低く、且つ、より均一な不純物レベルの達成を含むことができる。本方法により、いくつかの他の精製方法により生成されるものよりも、より高く、より一貫した品質であり、且つ、有用な物質を高い割合で有する精製シリコン生成物を生成することができる。従って、本方法により生産された精製シリコンの使用において、物質の廃棄をより少なくすることができ、そして、精製シリコンからより能率的な製品を製造することが可能である。母液をリサイクルする態様においては、母液を単に廃棄する場合よりも、母液中に残留するシリコンが保存され、無駄が少なくなる。本方法によって製造される精製シリコンにおいて、ホウ素およびリンレベルがより低いことにより、他の溶媒金属プロセスにより生成されるものより高い平均セル効率を生成することができる精製シリコンから、ウェーハおよびセルを作製することが可能となり、従って、該精製シリコンは、他の方法を介して生成した物質よりも有用であり得る。ホウ素レベルに対してリンレベルが低いと、得られた多結晶インゴットまたはブールにおいて、P/N接合がもしあったとしても上面近くで形成されるなど、いくつかの態様で有利な品質をもたらす。P/N接合が存在しないか、またはそのようなシリコンの上面に近い接合が存在することは、使用の前に精製シリコンから取り除かれる物質が少なくなる可能性があり、従って、廃棄またはリサイクルされる必要のある物質が少なくなる。リン補填が少ないUMGシリコンから、精製シリコン由来のより高品質な製品、例えば、より高効率な太陽電池を得ることができる。特定の態様の他の利点は、効率を向上させるための得られた精製シリコンの補填、精製シリコンと他の物質との混合、および精製シリコンへの他のドーパントの添加を低下または削減させることを含むことができる。本発明は、結晶化を用いた他のシリコンの精製方法よりも効率的な手法で、シリコンの結晶化に使用される溶媒を利用することができる方法を提供する。本発明は、他のシリコンの精製方法よりも迅速、低コスト、効率的かつ/または無駄の少ない方法を提供する。
【0021】
定義
本明細書において使用される「混合物」とは、相互に物理的に接触している2つ以上の物質の組み合わせを指す。例えば、混合物の成分は、化学的な反応によるのではなく物理的に組み合わされ得る。
【0022】
本明細書において使用される「溶融する」とは、物質が十分に加熱された場合に、固体から液体に変化することを指す。
【0023】
本明細書において使用される「精製する」とは、異物または混入物質から対象の化学物質を物理的または化学的に分離することを指す。
【0024】
本明細書において使用される「接触する」とは、物質を、触れさせる、接触させるまたは密接させる作用を指す。
【0025】
本明細書において使用される「結晶化する」とは、溶液から物質の結晶(結晶性物質)を形成するプロセスを含む。該プロセスは、結晶が形成されるように、供給流を冷却するか、または、所望の生成物の溶解性を低下させる沈殿剤を添加することにより、大概は非常に純度の高い形態で、液体供給流から生成物を分離する。次に、純粋な固体結晶を、デカンテーション、濾過、遠心分離またはその他の手段により残留液から分離する。
【0026】
本明細書において使用される「結晶性」とは、固体中における原子の規則的、幾何学的な配置を含む。
【0027】
本明細書において使用される「分離する」とは、物質を別のものから取り出すプロセスを指す(例えば、混合物から固体または液体を取り出す)。該プロセスは、当業者に公知の任意の適切な技術、例えば、混合物をデカントすること、混合物から1つまたは複数の液体をすくい取ること、混合物を遠心分離すること、混合物から固体を濾過すること、またはこれらの組み合わせを用いることができる。
【0028】
本明細書において使用される「母液(mother liquor)」または「母液(mother liquid)」とは、液体に固体(例えば、結晶)が溶けている溶液の混合物から、固体が取り除かれた後に得られる固体または液体を指す。除去の徹底性に応じて、母液には、これらの固体が微量含まれ得る。
【0029】
本明細書において使用される「シリコン」とは、記号Siおよび原子番号14を有する化学元素を指す。本明細書において使用される「冶金グレードシリコン」または「MGシリコン」または「MG Si」とは、比較的純粋な(例えば、少なくとも約96.0重量%)シリコンを指す。
【0030】
本明細書において使用される「溶融物」とは、溶融された物質を指し、ここで、溶融するとは、固体物質が液体に変わる点(融点と呼ばれる)まで固体物質を加熱するプロセスのことである。
【0031】
本明細書において使用される「溶媒金属」とは、加熱することにより、効率的にシリコンを溶解させ、溶融液体を生じることができる、1つもしくは複数の金属またはその合金を指す。適切な溶媒金属の例には、例えば、銅、スズ、亜鉛、アンチモン、銀、ビスマス、アルミニウム、カドミウム、ガリウム、インジウム、マグネシウム、鉛、その合金およびその組み合わせが挙げられる。
【0032】
本明細書において使用される「合金」とは、少なくとも1つは金属であり、且つ、得られる物質が金属特性を有する、2つまたはそれ以上の元素の均一混合物を指す。得られた金属物質は、通常、その成分とは異なる(場合により大きく異なる)特性を有する。
【0033】
本明細書において使用される「液相線」とは、それ以上では所与の物質が液相において安定である相図上の線を指す。通常、この線は遷移温度を表す。液相線は、物質に応じて直線であってもよく、または、曲線であってもよい。液相線は、ほとんどの場合、金属合金を含む、固溶体などの二成分系に適用される。液相線は固相線と対比され得る。液相線および固相線は、必ずしも1列に並んだり、または重なる必要はなく;液相線と固相線との間にギャップが存在する場合、そのギャップ内では物質は液体または固体のいずれにおいても安定ではない。
【0034】
本明細書において使用される「固相線」とは、それ以下では所与の物質が固相において安定である相図上の線を指す。通常、この線は遷移温度を表す。固相線は、物質に応じて直線であってもよく、または、曲線であってもよい。固相線は、ほとんどの場合、金属合金を含む、固溶体などの二成分系に適用される。固相線は液相線と対比され得る。固相線および液相線は、必ずしも1列に並んだり、または重なる必要はない。固相線および液相線の間にギャップが存在する場合、そのギャップ内では物質は固体または液体のいずれにおいても単独で安定ではなく;その場合は、例えば、オリビン(苦土かんらん石−鉄かんらん石)系である。
【0035】
本明細書において使用される「ドロス」は、溶融金属浴に浮遊している固体不純物の塊を指す。ドロスは、通常、スズ、鉛、亜鉛またはアルミニウムなどの低融点金属または合金の溶融において、あるいは該金属を酸化することにより生じる。ドロスは、例えば、表面からすくい取ることにより除去することができる。スズおよび鉛では、ドロスは、酸化物を溶解させ、スラグを形成する水酸化ナトリウムペレットを添加することにより除去することもできる。他の金属では、塩フラックスを添加してドロスを分離することができる。ドロスは、固体であるという点で、合金上に浮遊する(粘性の)液体であるスラグとは区別される。
【0036】
本明細書において使用される「スラグ」とは、金属を精製するための製錬用の鉱石の副生成物を指す。これらは、金属酸化物の混合物であると考えることができるが、金属硫化物および金属原子を元素形態で含有し得る。スラグは、一般に、金属製錬において廃棄物の除去機構として用いられる。自然においては、鉄、銅、鉛、アルミニウムおよび他の金属などの金属鉱石は、しばしば酸化物および他の金属のケイ酸塩との混合物として純粋でない状態で見出される。製錬過程で鉱石が高温に曝されると、これらの不純物が溶融金属から分離されて、除去することができる。除去された化合物の集積物がスラグである。スラグはまた、例えば、金属の精製を向上させる目的で作製された様々な酸化物および他の物質の混合物であってもよい。
【0037】
本明細書において使用される「不活性ガス」とは、通常の状況下において反応性のない任意のガスまたはガスの組み合わせを指す。不活性ガスは、必ずしも元素である必要はなく、分子ガスであることが多い。希ガスと同様に、反応性がない性質は価電子に起因するものであり、全ての不活性ガスにおいてその最外電子殻は満たされている。不活性ガスは希ガスであってもよいが、必ずしもその必要はない。不活性ガスの例には、例えば、ヘリウム(He)、ネオン(Ne)、アルゴン(Ar)および窒素(N2)が挙げられる。
【0038】
本明細書において使用される「一方向に凝固する」とは、凝固が進行している部分で供給金属が連続的に使用可能であるような、溶融金属の凝固を指す。
【0039】
本明細書において使用される「多結晶シリコン(polycrystalline silicon)」または「ポリ-Si」または「多結晶シリコン(multicrystalline silicon)」とは、複数のシリコン結晶からなる物質を指す。
【0040】
本明細書において使用される「単結晶シリコン」とは、欠陥または不純物をほとんど含まない単一および連続した結晶格子構造を有するシリコンを指す。
【0041】
本明細書において使用される「インゴット」とは、取扱いおよび運搬が比較的容易な形状に鋳造された物質の塊を指す。例えば、融点を超えて加熱され、棒状またはブロック状に成形された金属をインゴットと呼ぶ。
【0042】
本明細書において使用される「ブール」とは、合成により製造された単結晶インゴットを指す。例えば、チョクラルスキー法または「CZ」法においては、種結晶を使用して、大きな結晶またはインゴットを生成する。この種結晶は、純粋な溶融シリコンに浸漬し、ゆっくり抽出される。溶融シリコンは、結晶様式で、種結晶上で成長する。種が抽出されるにつれて、シリコンは固化し、最終的に大きな、円形ブールが生成する。
【0043】
本明細書において使用される「任意の」とは、ある物事があるか、またはないかのいずれかを指す。例えば、任意の工程は、実施されるか、または実施されないかのいずれかの工程である。
【0044】
結晶化溶媒としてアルミニウムを使用してシリコンを精製する本発明の態様が、金属溶媒を使用した物質の精製を包含する広範なプロセスの特定の態様であり、ここで、精製される物質が金属溶媒よりも高い融点を有することを理解されたい。当業者であれば、溶媒としてアルミニウムを使用するシリコンの精製の特定の態様への全ての言及が、多種多様な物質および溶媒に広範に適用可能であることを理解するであろう。
【0045】
シリコンの精製
図1、5および6を参照すると、いくつかの態様に係る、カスケードプロセスを利用してシリコンを精製する方法のブロックフロー図100が示される。第一のシリコン102を、第二の母液104と接触(106)させて、第一の混合物108を形成することができる。第一の混合物108を溶融(110)して、第一の溶融混合物112を生成することができる。次に、第一の溶融混合物112を冷却および分離(114)して、第一のシリコン結晶120および第三の母液116にすることができる。次に、第三の母液116を、プロセスから取り出し、他の製造業において使用するために売却(118)するか、またはその全てもしくは一部をリサイクル(144)して第二の母液104に戻すことができる。第三の母液116が有用である製造業の1つの例として、アルミニウム鋳造工業が挙げられ、鋳造用にアルミニウムシリコン合金に使用される。
【0046】
シリコンまたはシリコン結晶を母液または溶媒金属に接触させることは、当業者に公知の任意の適切な手法で行うことができる。接触させる手法は、シリコンまたはシリコン結晶を母液に添加することを含むことができ、また、母液をシリコンまたはシリコン結晶に添加することも含むことができる。物質が飛び散るのを避けるまたは物質の損失を避ける添加方法は、想定される接触手法に包含される。接触は、かき混ぜもしくは撹拌を伴って、または伴わずに実施することができる。接触により撹拌が生じ得る。接触は、撹拌を生じるように設計することができる。接触は熱を伴って、または伴わずに行われ得る。接触は、熱を発してもよく、吸熱性であってもよく、または熱の発生がない可能性も、もしくは熱が失われる可能性もある。
【0047】
任意のかき混ぜまたは撹拌は、当業者に公知の任意の適切な手法で実施することができる。かき混ぜは、へらまたは他の撹拌器具による機械的なかき混ぜを含むことができる。撹拌は、ガスの注入およびバブリングによる撹拌を含むことができ、また、回転または振とうなどの、容器の物理的撹拌も含むことができる。ある物質の別の物質への添加が撹拌を引き起こす可能性があり、撹拌が生じるように添加方法を設計することができる。ある液体の別の液体への注入もまた、撹拌を引き起こす可能性がある。
【0048】
母液または溶媒金属中のシリコンまたはシリコン結晶混合物の溶融は、当業者に公知の任意の適切な手法で行うことができる。溶融方法は、任意の適切な方法により混合物を加熱して、シリコンまたはシリコン結晶の所望の溶融を生じることを含むことができる。加熱は、溶融混合物が得られた後も続けてよい。溶融方法は、撹拌を伴って、または伴わずに実施することができる。溶融方法はまた、十分に高い温度、例えば、シリコンまたはシリコン結晶の融点温度またはそれを超える温度で、母液または溶媒金属に曝したことによる、シリコンまたはシリコン結晶の溶融も含むことができ;従って、シリコンまたはシリコン結晶を母液または溶媒金属に接触させて混合物を生成する工程を、シリコンまたはシリコン結晶の混合物を溶融する工程と組み合わせて、溶融混合物を得ることができる。混合物の溶融温度は、一貫していない、もしくは可変であってもよく、溶融物質の組成が変化するにつれて変化する。
【0049】
混合物を加熱する方法は、当業者に公知の任意の適切な方法を含む。これらの方法は、例えば、加熱炉での加熱もしくは熱したガスを混合物に注入することによる加熱、または燃焼ガスから生じた炎による加熱を含む。誘導加温を用いてもよい。加熱方法は、放射熱であってもよい。加熱方法は、加熱する物質に電気を通してもよい。また、プラズマを使用して加熱すること、発熱化学反応を使用して加熱すること、または地熱エネルギーを使用して加熱することも含まれる。シリコンまたはシリコン結晶と母液または溶媒金属との混合は、シリコンの不純物および母液内容物に応じて、熱を発しても、熱を吸収してもよく、その結果、いくつかの態様においては、熱源をそれに対応して調整することが有益となる。
【0050】
任意で、冷却する前に、塩素ガス、他のハロゲンガスもしくはハロゲン化物含有ガス、または任意の適切なガスなどのガスを溶融混合物に注入することができる。溶融混合物の冷却は、当業者に公知の任意の適切な手法で実施することができる。室温または溶融混合物の温度より低い温度に曝すことによる冷却など、熱源を除去することによる冷却が含まれる。非加熱炉容器に注ぎ込むことによる冷却および加熱炉温度未満で放冷する冷却が含まれる。いくつかの態様においては、冷却は急速であってもよいが、他の態様においては、冷却は緩徐に行うことができ、従って、冷却する溶融混合物を、現在の溶融混合物の温度よりもわずかに低い冷却源に曝すことが有利となり得る。冷却源の温度は、溶融混合物が冷却されるにつれ、徐々に低下させてもよいが、これは、場合により、冷却に伴って溶融混合物の温度を高感度モニタリングまたは通常モニタリングすることにより達成することができるであろう。得られた結晶化シリコンの純度は、混合物をできるだけゆっくりと冷却することにより向上させることができ、従って、緩徐冷却の全ての適切な手法が、本発明に包含されると想定される。また、冷凍装置などを用いたより急速な冷却方法も含まれる。溶融物質を収容する容器を、冷却物質、例えば、水などの溶融混合物よりも冷たい液体、または別の溶融金属、または外気もしくは冷却された空気などの気体に曝すことが含まれる。溶融混合物への冷却物質の添加、例えば、別のより冷たい母液の添加、またはより冷たい溶媒金属の添加、または後で混合物から除去することができるか、もしくは混合物中に残留させることができる別のより冷たい物質の添加が含まれる。
【0051】
溶融混合物の冷却、およびその後のシリコン結晶と母液との分離から得られる母液は、任意で、プロセスにおける任意の前の工程にリサイクルされることが想定される。一般に、母液からシリコンの結晶化が一旦起こると、少なくともある程度の量のシリコンが、母液中に溶解して留まっていることが望まれる不純物と共に母液中に溶解して残留する。シリコンの全てまたは多くが結晶となる点まで溶融混合物を冷却することは、いくつかの場合では不可能であるか、または得られるシリコン結晶の純度に負の影響をもたらすか、または効果的ではない可能性がある。いくつかの態様においては、シリコンの全量よりも少ない量または過半数量よりも少ない量を溶融混合物から結晶化することのみにより生成したシリコン結晶の純度は、著しくまたは少なくとも部分的に改善することができる。溶媒金属を加熱および溶融するのに必要とされるエネルギーは、先の工程で母液に高温の母液を合わせることと比較して、または高温の母液を再利用することと比較して経済的に非効率となり得る。ある程度のシリコン結晶収量を達成するために、溶融混合物をある温度まで冷却するのに必要とされるエネルギーは、母液をそのような低い温度まで冷却せず、シリコン結晶が低収量であることを許容するが、その後母液をリサイクルすることと比較して非効率となり得る。
【0052】
所望の物質および非所望の物質を母液中に残す利点は、本発明のいくつかの態様に包含されることが想定されるため、いくつかの態様においては、同一の結晶化工程または先の結晶化工程において再度使用される母液のリサイクルは、時に有用な局面となる。母液をリサイクルすることにより、母液を単に廃棄するか、または副生成物として売却する場合よりも、母液の混合物中に残留するシリコンが保存され、無駄が少なくなる。いくつかの態様においては、リサイクルされた母液が母液に含まれない場合より、またはさらに、結晶化が生じた溶媒が純粋な溶媒金属であった場合よりも、リサイクルされた母液を使用することで、またはいくらかのリサイクルされた母液を含む母液を使用することで、同じまたはほぼ同じ純度のシリコン結晶を得ることができる。従って、母液のリサイクルの程度および変形型の全てが、本発明の範囲内に包含される。
【0053】
シリコン固体からの母液の分離は、当業者に公知の任意の適切な方法により実施することができる。液体溶媒を所望の固体から排出させるか、または吸い出す任意の変形型は、本明細書に記載の方法の態様の範囲内に包含される。これらの方法には、デカンテーション、即ち、所望の固体から母液を流し出すことが含まれる。デカンテーションでは、重力により、所望の固体自体もしくは容器の側部に接着させることにより、選択的に固体を保持する格子もしくはメッシュ様仕切りの使用により、または固体に物理的圧力をかけてこれらを所定の位置に保持することにより、所望の固体を適切な位置で保持することができる。分離方法には遠心分離が含まれる。また、任意の濾過媒体を使用して、真空を用いてまたは用いずに、そして圧力を用いてまたは用いずに実施する濾過も含まれる。また、化学的手段、例えば、酸または塩基を使用するなどの、溶解または溶媒の化学変換も含まれる。
【0054】
図1および6を参照すると、次に、第一のシリコン結晶120を、任意で、第一の母液122と接触(106)させて、第二の混合物138を形成することができる。第二の混合物138を、任意で溶融して、第二の溶融混合物140を形成することができる。第二の溶融混合物を、任意で、冷却および分離(114)して、第二のシリコン結晶124および第二の母液104にすることができる。次に、第二の母液104をプロセスに戻して(136)、第一のシリコン102と接触させるか、または第二の母液104の全てもしくは一部をリサイクル(142)して、第一の母液122に戻すことができる。第一のシリコン結晶を接触させる工程から第二のシリコン結晶を得る工程までは任意であり、これらは省略することもでき、またこれらの工程を何回も(例えば、1、2、3、4回など)実施してよい。これらの工程が実施されない(121)場合は、次に、第一のシリコン結晶120を、第一の溶媒金属126と続けて接触させる。
【0055】
別の態様においては、第一のシリコン結晶を接触させる工程から第二のシリコン結晶を得る工程までが実施される。これらの態様においては、工程121は実施しない。従って、第一の溶融混合物112を冷却および分離(114)して、第一のシリコン結晶120および第三の母液116にした後に、第一のシリコン結晶120を第一の母液122と接触(106)させて、第二の混合物138を形成することができる。第二の混合物138を溶融して、第二の溶融混合物140を形成することができる。第二の溶融混合物を冷却および分離(114)して、第二のシリコン結晶124および第二の母液104にすることができる。次に、第二の母液104をプロセスに戻して(136)、第一のシリコン102と接触させるか、または第二の母液104の全てもしくは一部をリサイクル(142)して、第一の母液122に戻すことができる。
【0056】
別の態様においては、第一のシリコン結晶を接触させる工程から第二のシリコン結晶を得る工程までは独立に、実施するかまたは実施しない。従って、第一の溶融混合物112を冷却および分離(114)して、第一のシリコン結晶120および第三の母液116にした後に、第一のシリコン結晶120を、任意で、第一の母液122と接触(106)させて、第二の混合物138を形成してもよく、あるいは、次に、第一のシリコン結晶120を、第一の母液122と接触(106)させて、第二の混合物138を形成してもよい。第二の混合物138を、任意で溶融して、第二の溶融混合物140を形成してもよく、あるいは、第二の混合物138を溶融して、第二の溶融混合物140を形成してもよい。第二の溶融混合物を、任意で、冷却および分離(114)して、第二のシリコン結晶124および第二の母液104にしてもよく、あるいは、第二の溶融混合物を冷却および分離(114)して、第二のシリコン結晶124および第二の母液104にしてもよい。次に、第二の母液104をプロセスに戻して(136)、第一のシリコン102と接触させるか、または第二の母液104の全てもしくは一部をリサイクル(142)して、第一の母液122に戻すことができる。
【0057】
第二のシリコン結晶124を、第一の溶媒金属126と接触(106)させて、第三の混合物128を形成することができる。第三の混合物128を溶融(110)して、第三の溶融混合物130を形成することができる。次に、第三の溶融混合物130を冷却および分離(114)して、第三のシリコン結晶132および第一の母液122にすることができる。次に、第一の母液122の全てもしくは一部をプロセスに戻して(134)、第一のシリコン結晶120と接触させることができる。第一の母液122の全てもしくは一部をリサイクル(123)して、第一の溶媒金属126に戻すことができる。本発明のいくつかの態様においては、第一の溶媒金属126に戻る、母液122の全てもしくは一部のバッチまたは連続リサイクル123は、母液で希釈されるため完全に純粋ではない溶媒金属を含有する成分126を生じ得、母液をリサイクルする工程の全ての変形型が、本発明の範囲内に含まれる。第一の母液の全てもしくは一部を、代替的または追加的にリサイクル(135)して、第二の母液に戻すことができる。
【0058】
いくつかの態様においては、第一のシリコン結晶を接触させる工程から第二のシリコン結晶を得る工程までは実施しない。従って、第一の溶融混合物112を冷却および分離(114)して、第一のシリコン結晶120および第三の母液116にした後に、第一のシリコン結晶120を、第一の溶媒金属126と接触(106)させて(121)、第三の混合物128を形成することができる。第三の混合物128を溶融(110)して、第三の溶融混合物130を形成することができる。次に、第三の溶融混合物130を冷却および分離(114)して、第三のシリコン結晶132および第一の母液122にすることができる。次に、第一の母液122をプロセスに戻して(134)、第一のシリコン結晶120と接触させることができる。第一の母液122の全てもしくは一部をリサイクル(123)して、第一の母液に戻すことができる。
【0059】
第一のシリコン結晶120を作製することを、第一のパスと呼ぶことができる。第二のシリコン結晶124を形成することを、第二のパスと呼ぶことができる。同様に、第三のシリコン結晶132を形成する方法の一部を、第三のパスと呼ぶことができる。本発明の方法の範囲内で想定されるパスの回数は限定されない。
【0060】
母液をより効率的に使用するために、母液から達成される結晶化の回数を増加させることにより、母液から回収されるシリコンの量を増加させることにより、またはプロセスの次のパスに入る前にシリコン結晶の収量を増加させることにより、繰り返しパスを実施することができるが、本発明の方法の範囲内で想定されるパスの繰り返し回数は限定されない。繰り返しパスが実施される場合、それぞれの母液を、そのパスの繰り返しの全てまたは一部において再利用することができる。繰り返しパスは、連続的にまたは並行して実施してもよい。繰り返しパスが連続的に実施される場合、一つの単一容器内で実施してもよく、またはいくつかの容器で順に実施してもよい。繰り返しパスが並行して実施される場合、いくつかの結晶化を並行して行うことが可能ないくつかの容器を使用してもよい。「連続」および「並行」という用語は、工程が実施される順番を厳密に制限することを意図するものではなく、むしろ、工程を一度にまたはほぼ同時に行うことを大まかに記載するものである。
【0061】
繰り返しパス、例えば、第一、第二、第三または任意のパスの繰り返しは、パスにおいて母液の全てもしくは一部を再利用することなどにより、いくつかの純度の低い母液をより効率的に活用することができる。存在する母液をより純粋にするために、一つの方法として、追加の溶媒金属(母液よりも純粋である)を母液に添加してもよい。例えば、プロセスにおける後続の結晶化工程から得られるなどの、別のより純粋な母液を母液に添加することが、その純度を向上させる別の方法であり得る。また、特定のパスにおいて使用されていた母液の一部または全てを廃棄するか、または前のパスで使用するか、または同じパスの前の繰り返しで使用してもよい。
【0062】
パスの繰り返しおよび対応する母液の再利用を行うための考えられる理由の1つは、カスケーディング工程における物質収支を、全プロセスの一部または全てにおいて一定にすることであり得る。適切な純度のシリコンを、カスケードの任意の段階で添加することができ、またこれらを、先のパスからのシリコンと共にまたはこれを伴わずに添加することができるが、工程の繰り返しと同様に、これを行うための考えられる理由の1つは、カスケーディング工程の物質収支を一部または全体で均衡させることであり得る。
【0063】
繰り返しパスにおいて、母液の純度を向上させることなく、母液を完全に再利用することができる。あるいは、繰り返しパスにおいて、より純粋な溶媒金属または後続の工程からの母液を使用して、純度を向上させた母液を部分的に再利用して、母液の純度を向上させることができる。例えば、第一のパスを、2つの異なる容器を使用して並行して繰り返してもよく、ここでは、母液がパスの第一段階からパスの第一の繰り返しへ向かうプロセスの開始に向かって流れ、シリコンがパスの第一段階とパスの繰り返し段階の両方に添加され、そして、シリコンが後続のパスに続くパスの第一段階とパスの繰り返しの両方から取り出される。別の例では、第一のパスを、2つの異なる容器を使用して並行して繰り返してもよく、ここでは、母液の一部がパスの第一段階からパスの第一の繰り返しへ向かうプロセスの開始に向かって流れ、そして、母液の別の一部がパスの繰り返しにおいて再利用されることなく、先の工程へ向かうプロセスの開始に向かって流れ、シリコンがパスの第一段階とパスの繰り返し段階の両方に添加され、そして、シリコンが後続のパスに続くパスの第一段階とパスの繰り返しの両方から取り出される。
【0064】
また、第一のパスを、1つの容器を使用して連続して繰り返すこともでき、ここでは、第一の結晶化および分離の後に、そのパスからの使用された母液の一部が再利用のために保持され、後続のパスからのいくつかの母液が添加され、そして、繰り返しパスにおいて、追加のシリコンと共に別の結晶化が実施される。繰り返しの後、母液を別の先の工程に完全に移してもよい。あるいは、繰り返し後、母液の一部のみを、パスにおける再利用のために保持される母液の残りと共に、別の先の工程に移してもよい。母液の少なくとも一部は、最終的に先の工程に移すべきであるが、そうでなければ、その母液の不純物が容認できないレベルに至る可能性があり、また、カスケードの物質収支を維持することが困難になり得る。別の例では、第一のパスを、1つの容器を使用して連続的に繰り返すこともでき、ここでは、第一の結晶化および分離の後に、繰り返しパスにおいて、そのパスからの使用された母液の全てが再利用のために保持され、そして、繰り返しパスにおいて、追加のシリコンと共に別の結晶化が実施される。
【0065】
後続のパスを、同一もしくは異なる容器で、または先のパスと同様に実施することができる。例えば、第一のパスを、第二のパスと同一の容器で行ってもよい。または、第一のパスを、第二のパスと異なる容器で行ってもよい。パスを同一の容器で繰り返してもよい。例えば、第一のパスの第一段階を特定の容器で行ってもよく、次に、第一のパスの第一の繰り返しを同一の容器で行うこともできる。大規模処理の経済性により、複数の後続または同時パスのために同一の容器を再利用することは、いくつかの態様において、有利となり得る。いくつかの態様においては、固体を移動させるよりも、液体を容器から容器に移動させることのほうが経済的に有益であり得るため、本発明の態様は、容器の再利用の全ての変形型、また、様々な容器の使用の全ての変形型を包含する。従って、後続のパスを、先のパスと異なる容器で実施してもよい。繰り返しパスを、そのパスの前の実施と同一の容器で実施してもよい。
【0066】
母液の不純物は、プロセスの開始に向かって移動するにつれて、ホウ素および他の不純物の濃度がより高い濃度へと増加する。母液を、結晶化(結晶形成)の各工程において必要に応じて再利用して、プロセス全体の質量を一定にすることができる。再利用の回数は、利用するシリコン比、所望の化学および系の所望のスループットに対する溶媒金属(例えば、アルミニウム)の関数であり得る。
【0067】
上述した工程のいずれかにおいて結晶を形成した後、溶媒金属を、酸、塩基または他の化学物質を用いて溶解させるか、そうでなければ結晶から除去することができる。任意の粉末、残留溶媒金属または異物混入物を、同様に機械的手段により除去することができる。塩酸(HCl)を用いて、カスケードフレークまたは結晶から溶媒金属を溶解し除去することができる。使用済みHClを、特に、廃水または飲用水を処理するために、ポリ塩化アルミニウム(PAC)または塩化アルミニウムとして売却することができる。フレークからアルミニウムを溶解し除去するために、フレークを清浄なものから不純に、且つ、酸を清浄なものから使用済みにそれぞれ反対の方向に移動させる対向流系を、複数のタンクを用いて使用することができる。バグハウスを使用して、フレークから遊離した粉末を引き離すことができ、そして、酸浸出の後に、フレークから粉末の球、異物混入物または溶解しないアルミニウムを、V溝付きスロットおよび振とうを用いて分離することができる。
【0068】
結晶またはフレークを、さらに溶融することができる。ガスまたはスラグを、溶融シリコンと接触させることができる。約0.5〜50重量%のスラグを、シリコンに添加することができる。例えば、ある程度の量のSiO2を含有するスラグを利用することができる。フレークを、スラグ添加を伴うことができる加熱炉で溶融させることができ、そして、スラグ添加は、フレーク溶融の前、その間またはその後に行うことができる。スラグ添加を用いて、フレークを溶融することができる。フレークは、真空下、不活性雰囲気下または標準大気圧下で溶融することができる。加熱炉にアルゴンをポンプ注入して、アルゴンブランケットを生成してもよく、または真空炉を使用してもよい。フレークは、約1410℃超で溶融することができる。溶融シリコンは、約1450℃〜約1700℃で保持することができる。スラグまたはドロスを、加熱炉内のシリコン溶融を保持しながらスラッギング中に、またはガス注入中に浴表面から取り除くことができる。次に、溶融シリコンを鋳型に注ぎ、一方向凝固することができる。溶融シリコンは、最初にセラミックフィルターで濾過することができる。
【0069】
次に、例えば、シリコンを一方向に凝固することができる。冷却後、「最終凝固」シリコンの一部を除去してもよい。「最終凝固」シリコンとは、試料インゴットまたはブール中において最後に凝固し、最も多くの不純物を含有するシリコンを指し、従って、シリコンのこの部分を除去することは、全体的により純粋なシリコンを生成するために役立ち得る。最終凝固シリコンの約5〜約30%を除去してもよい。凝固するにつれて、シリコンに温度勾配を適用することで、インゴットを一方向に凝固することができる。シリコンを一方向に凝固して、大きな1〜3トンのインゴットにすることができる。シリコンは、インゴットの底部から最上部に向けて一方向に凝固することができる。例えば、温度勾配の形成または形成を助けるために、インゴットの最上部を加熱してもよく、あるいは、温度勾配の形成または形成を助けるために、インゴットの底部を冷却してもよい。底部から最上部に一方向に凝固して、そして、シリコンインゴットの最上部の約1%〜約30%または約5%〜約30%を除去することにより、凝固プロセスを1回または複数回繰り返すことができる。インゴットの最上部は、凝固前に捨ててもよい。最終凝固部位を切り取るか、または塊にして粉砕してもよい。最終凝固シリコンを、リサイクルしてプロセスの任意のパスに戻すことができる。一方向に凝固したインゴットの側部および底部を切り取り、リサイクルしてプロセスに戻すことができる。シリコンの表面を、任意の工程間で、研磨媒体により粉砕および/またはエッチングすることができる。各追加の一方向凝固工程は、例えば、各元素または化合物の析出係数の違いにより、シリコンをさらに精製する。上記工程のいずれかを、1回または複数回繰り返してもよい。
【0070】
供給原料または冶金グレードシリコンは、例えば、ホウ素を約15ppmw未満、ホウ素を約10ppmw未満、またはホウ素を約6ppmw未満含むことができる。溶媒金属は、アルミニウムであってもよい。アルミニウムは、P1020アルミニウムであってもよく、約1.0ppmw未満、約0.6ppmw未満、または約0.4ppmw未満のホウ素レベルを含む。
【0071】
プロセスの任意の段階で、母液をセラミック発泡体フィルターで濾過してもよく、またはガス注入してもよい。ホウ素またはリンなどの混入物が少ないセラミック材料は、溶融シリコンを保持および溶融するために使用することができる材料の例である。ガスは、例えば、酸素、アルゴン、水、水蒸気、水素、窒素、塩素であってもよく、あるいはこれらの化合物を含有する他のガスまたはその組み合わせを使用してもよい。ランス、回転脱気装置または多孔質プラグにより、溶融シリコンにガスを注入することができる。溶融シリコンに100%酸素ガスを注入することができる。1種類のガスは、約30分間〜約12時間注入することができる。ガスは、スラッギングの前、その後、その間に注入することができる。ガスは、溶融シリコンに、30〜40L/分で4時間、ランスにより注入される100%酸素であってもよい。
【0072】
図2および4を参照すると、いくつかの態様に係る、3重パスカスケードを利用して第一の物質を精製する方法の図200が示される。特定の態様においては、第一の物質はシリコンであり、溶媒金属はアルミニウムである。シリコン216を、第一のパス204精製プロセスの開始に供給することができる。シリコン216を続いてまたは同時に第一のパス202プロセスの第一の繰り返しに供給することができる。第一のパス202および204を同一の加熱炉で続いて実施することができ、ここでは、ある程度の割合の母液224が同一の加熱炉に戻されるか、または残留し、そしてある程度の割合の母液214が取り出される。あるいは、第一のパス202および204を、異なる加熱炉で実施することができる。単回パスから得られたフレークを、202および204の各々から取り出して218に合わせてもよく、またはプロセス202から得られたフレークをプロセス204に供給してもよく、そして、プロセス204から得られたフレークはフレーク218になる。得られた単回パスフレーク218を、第二のパス208および206プロセスに供給して、第二のパスフレーク220を得ることができる。第二のパス206および208を同一の加熱炉で実施することができる。連続して、ある程度の割合の母液224を加熱炉で再溶融することができ、そしてある程度の割合の母液224を単回パス204に送ることができる。第二のパス206および208を、異なる加熱炉で実施することができる。図2および4は、第二のパス208の第一段階および第二のパス206の第一の繰り返しに同時に入るフレーク218、ならびに、プロセス工程202および204の両方を残して第三のパス210に入る第二のパスフレーク220を図示するが、この工程は順番に行ってもよい。次に、第二のパスフレーク220を、第三のパス210精製プロセスに供給し、第三のパスフレーク222を生成することができる。新たな溶媒金属212が第三のパス210のプロセスで開始し、シリコンとは反対方向にプロセスを通って母液224に供給された結果、有用な副生成物として売却することができる過共晶もしくは共晶または母液214が得られる。このような方法で、母液224中の溶媒金属は純度が低下し、シリコン218、220、222とは反対の方向の系を進行し、シリコン218、220、222の純度が向上する。
【0073】
上述の方法により精製されたシリコンは、光起電力デバイスでの使用に適しており、リンよりも少ないホウ素を含有し得る(ppmw)。他の態様においては、上述の方法により精製されたシリコンは、光起電力デバイスでの使用に適しており、リンよりも多いホウ素を含有し得る(ppmw)。いくつかの態様においては、UMGとシーメンス法からのポリシリコンとの混合ならびに高い収量およびセル効率の達成を可能にするため、ホウ素レベルが十分に低い場合、UMGにおいて、リンレベルよりも高いホウ素レベルが有利である。シーメンス法からのポリシリコンは、一般に、ホウ素およびリンレベルが約0.1ppmw未満である。UMGとUMGよりも低いホウ素およびリンレベルを有するポリシリコンとを混合すると、混合UMG/ポリシリコンにおける平均のリンおよびホウ素レベルが低下する。従って、リンレベルよりも高いホウ素レベルを有するUMGシリコンから得られる多結晶インゴットは、リンレベルよりも低いホウ素レベルを有するUMGシリコンから得られる多結晶インゴットよりも、多結晶インゴットの表面により近いP/N接合を有することができる。ホウ素レベルが十分に低く、リンレベルがホウ素レベルよりも低い場合は、全くP/N接合を有さないということがあり得る。ホウ素レベルよりも高いリンレベルを有するUMGシリコンは、多結晶インゴットの上面からより深く、且つ、より離れたP/N接合を有する傾向があり、これによりインゴットからの有用な物質の生成が制限される。いくつかの態様においては、より高い極小抵抗率が次に、UMGまたは混合UMGから成長した多結晶インゴットの底面およびその近くにおいて得ることができるため、ホウ素含有量が約0.7ppmw未満である場合が有利であり得る。0.7ppmwよりも高いホウ素および/またはリンレベルを有するUMGシリコンは、通常、ウェーハの抵抗率を増加させるために補填されて、セル効率が向上する。0.3ppmwよりも高いホウ素および/またはリンレベルを有するUMGシリコンは、ウェーハの抵抗率を増加させるために補填されて、セル効率を向上させることができる。補填は平均セル効率を向上させるが、キャリア移動度の低下およびオージェ再結合などの機構を介する再結合の増加のために、UMGがシーメンス法からのポリシリコンと同程度のセル効率を有することを妨げる傾向がある。ホウ素レベルよりも低いリンレベルを有する精製シリコンはまた、ポリシリコンと混合することなく、太陽電池に加工処理することができる。いくつかの態様においては、任意のドーパント、即ち、ホウ素またはリンのいずれかを、このプロセスから得られた太陽電池シリコンと共に添加しないことも可能である。リンよりも少ないホウ素(ppmw)、0.7ppmw未満のホウ素、および1ppmw未満の他の金属不純物を有する冶金プロセスから得られた精製UMGシリコンを、太陽電池を製造するために使用することができる。
【0074】
リンレベルが約0.2ppmwおよびホウ素レベルが約0.5ppmw、そして他の不純物が1ppmw未満である、冶金プロセスから得られた精製UMGシリコンは、15.0〜15.5%の平均セル効率を生成することができる。現在の標準電池プロセスでは、リンレベルが約0.40ppmwおよびホウ素レベルが約0.45ppmw、そして他の不純物が0.2ppmw未満である、冶金プロセスから得られた精製UMGシリコンは、最適化された電池構造で、15.5〜16.3%の平均セル効率を生成することができる。リンレベルが2.5ppmwおよびホウ素レベルが1.0ppmw、そして他の金属がグロー放電質量分析器(GDMS)で検出限界以下であるUMGシリコン、即ち、UMGに特別な処理を行わない標準電池系からは、14.3〜15.0%の効率の電池を製造することができる。したがって、良好な平均セル効率を得るための許容可能な抵抗率および十分に高いキャリア移動度が得られることから、リンレベルがホウ素レベルよりも低いことは有益であり得る。
【0075】
他の金属
本発明は、金属精製物質からの結晶化を用いて、第一の物質を精製するための方法を含む。当業者であれば、精製される物質であるシリコンおよび精製物質であるアルミニウムまたは他の金属溶媒に関して言及した前述の考察を、金属精製物質からの結晶化を用いることによる、第一の物質の精製に適用することができることは明白であろう。図3を参照すると、いくつかの態様に係る、カスケードプロセスを利用して物質を精製する方法のブロックフロー図300が示される。第一の物質302を、精製物質304と接触(306)させて、第一の混合物308を形成することができる。いくつかの態様においては、精製物質304は第二の母液であってもよい。第一の混合物308を、溶融(310)して、第一の溶融混合物312を形成することができる。次に、第一の溶融混合物312を冷却および分離(314)して、第一の物質の第一の結晶320および第三の母液316にすることができる。次に、第三の母液316をプロセスから取り出して、他の製造業で使用するために売却(318)してもよく、またはその全てもしくは一部をリサイクル(344)して、第二の母液であってもよい精製物質304に戻してもよい。第三の母液316が有用である製造業の1つの例として、金属鋳造工業が挙げられ、鋳造用に金属合金に使用される。
【0076】
当業者であれば、シリコンの精製の特定の態様に関する、図1の説明において上述された様々な手法および技術の全てが、図3に示されるような金属溶媒を使用する第一の物質の精製の一般概念に等価に適用されることを認識するであろう。そのため、図3の説明の一部として適用可能なように、そのような考察が本明細書に組み込まれる。従って、第一の物質または第一の物質の結晶の接触は、当業者に公知の任意の適切な手法で行うことができる。同様に、任意のかき混ぜまたは撹拌工程を、当技術分野で公知の適切な手法で実施することができる。第一の物質または第一の物質の結晶の混合物の溶融は、当技術分野で公知の適切な手法で行うことができる。混合物の加熱方法は、当業者に公知の任意の適切な方法を含む。溶融混合物の冷却は、当業者に公知の任意の適切な手法で実施することができる。溶融混合物の冷却、その後の第一の物質の結晶と母液との分離から得られる母液は、任意で、プロセスの任意の先の工程にリサイクルされることが想定される。母液のリサイクルのあらゆる程度および変形型が、本発明の範囲内に包含される。第一の物質固体からの母液の分離は、当業者に公知の任意の適切な方法により行うことができる。
【0077】
一態様においては、次に、第一の物質の第一の結晶320を、任意で、第一の母液322と接触(306)させて、第二の混合物338を形成することができる。第二の混合物338を、任意で溶融して、第二の溶融混合物340を形成することができる。第二の溶融混合物を、任意で、冷却および分離(314)して、第一の物質の第二の結晶324および第二の母液304にすることができる。次に、第二の母液304をプロセスに戻して(336)、第一の物質302と接触させてもよく、または第二の母液304の全てもしくは一部をリサイクル(342)して、第一の母液322に戻してもよい。第一の物質の第一の結晶を接触させる工程から第一の物質の第二の結晶を得る工程までは任意であり、これらは実施しなくても、またはこれらの工程を数回(例えば、1、2、3、4回など)実施してもよい。これらの工程が実施されない(321)場合、次に、第一の物質の第一の結晶320をその後第一の溶媒金属326に接触させる。
【0078】
別の態様においては、第一の物質の第一の結晶を接触させる工程から第一の物質の第二の結晶を得る工程までが実施される。これらの態様においては、工程321は実施しない。従って、第一の溶融混合物312を冷却および分離(314)して、第一の物質の第一の結晶320および第三の母液316にした後に、第一の物質の第一の結晶320を、第一の母液322と接触(306)させて、第二の混合物338を形成することができる。第二の混合物338を溶融して、第二の溶融混合物140を形成することができる。第二の溶融混合物を冷却および分離(314)して、第一の物質の第二の結晶324および第二の母液304にすることができる。次に、第二の母液304をプロセスに戻して(336)、第一の物質302と接触させてもよく、または第二の母液304の全てもしくは一部をリサイクル(342)して、第一の母液322に戻してもよい。
【0079】
別の態様においては、第一の物質の第一の結晶を接触させる工程から第一の物質の第二の結晶を得る工程までは独立に、実施するかまたは実施しない。従って、第一の溶融混合物312を冷却および分離(314)して、第一の物質の第一の結晶320および第三の母液316にした後に、第一の物質の第一の結晶320を、任意で、第一の母液322と接触(306)させて、第二の混合物338を形成してもよく、あるいは、第一の物質の第一の結晶320を、第一の母液322と接触(306)させて、第二の混合物338を形成してもよい。第二の混合物338を、任意で溶融して、第二の溶融混合物340を形成してもよく、あるいは、第二の混合物338を溶融して、第二の溶融混合物340を形成してもよい。第二の溶融混合物を、任意で、冷却および分離(314)して、第一の物質の第二の結晶324および第二の母液304にしてもよく、あるいは、第二の溶融混合物を冷却および分離(314)して、第一の物質の第二の結晶324および第二の母液304にしてもよい。次に、第二の母液304をプロセスに戻して(336)、第一の物質302と接触させてもよく、または第二の母液304の全てもしくは一部をリサイクル(342)して、第一の母液322に戻してもよい。
【0080】
第一の物質の第二の結晶324を、第二の物質326と接触(306)させて、第三の混合物328を形成することができる。第三の混合物328を溶融(310)して、第三の溶融混合物330を形成することができる。次に、第三の溶融混合物330を冷却および分離(314)して、第一の物質の第三の結晶332および第一の母液322にすることができる。次に、第一の母液322の全てもしくは一部をプロセスに戻して(334)、第一の物質の第一の結晶320と接触させることができる。第一の母液322の全てもしくは一部をリサイクル(323)して、第二の物質326に戻すことができる。本発明のいくつかの態様においては、第二の物質326に戻す母液322の全てもしくは一部のバッチまたは連続リサイクル(323)は、母液で希釈されるため完全に純粋ではない第二の物質を含有する成分326を生じ得る。母液をリサイクルする工程の全ての変形型が、本発明の範囲内に含まれる。第一の母液の全てもしくは一部を、代替的または追加的にリサイクル(335)して、第二の母液であってもよい精製物質304に戻すことができる。
【0081】
いくつかの態様においては、第一の物質の第一の結晶を接触させる工程から第一の物質の第二の結晶を得る工程までは、実施しない。従って、第一の溶融混合物312を冷却および分離(314)して、第一の物質の第一の結晶320および第三の母液316にした後に、第一の物質の第一の結晶320を、第二の物質326と接触(306)させて(321)、第三の混合物328を形成することができる。第三の混合物328を溶融(310)して、第三の溶融混合物330を形成することができる。次に、第三の溶融混合物330を冷却および分離(314)して、第一の物質の第三の結晶332および第一の母液322にすることができる。次に、第一の母液322をプロセスに戻して(334)、第一の物質の第一の結晶320と接触させることができる。第一の母液322の全てもしくは一部をリサイクル(323)して、第一の母液に戻すことができる。
【0082】
第一の物質の第一の結晶320を作製することを、第一のパスと呼ぶことができる。プロセスの次のパスに送る前に、第一の物質の第一の結晶の収量を向上させるために、または母液をより効率的に使用するために(例えば、母液から達成される結晶化の回数を増加させるために)、繰り返し単回パスを実施することができるが、本発明の方法の範囲内においてパスの繰り返し回数は限定されない。繰り返しパスが実施される場合、それぞれの母液を、そのパスの繰り返しの全てまたは一部において再利用することができる。第一の物質の第二の結晶324を形成することを、第二のパスと呼ぶことができる。同様に、第一の物質の第三の結晶332を形成する方法の部分を、第三のパスと呼ぶことができる。本発明の方法の範囲内で想定されるパスの回数は限定されない。
【0083】
当業者であれば、シリコンの精製に関する、連続もしくは並行の繰り返しまたは多重パスに関連した上記説明が、一般に、金属溶媒を用いる第一の物質の精製に適用されることを認識するであろう。そのため、その説明は、適用可能なように本明細書に組み込まれる。従って、本発明の方法は、連続もしくは並行の繰り返し単回パス、あるいは、第二もしくは第三または任意のパスの繰り返しパスが、任意で、より純粋な母液から第一の物質を結晶化させることにより、第一の物質のさらに精製された結晶を生成することができるか、または純度の低い母液をより効率的に活用することができる。分離工程314を省略してもよく、または特定のパスの全ての繰り返しが終了するまで一部の分離のみを行ってもよい。従って、第一の物質の第一の結晶320を、分離工程314を行うことなく生成することができる。分離工程314を、特定のパスの各繰り返しに用いて、第一の物質の結晶の複数の並行または連続バッチを与えることができる。第一の物質を、同時または連続繰り返しパスの任意の部分から取り出すことができる。繰り返しパスにおいて母液の純度を高めてまたは高めることなく、母液を完全にまたは部分的に再利用することができる。本発明の態様は、第一の物質を、パスの各繰り返しを経由して運ぶことを包含する。同一または異なる容器を、パスの繰り返しに使用することができる。同一または異なる容器を、異なるパスに使用することができる。母液は、各工程で数回再利用することができる。適切な純度の第一の物質を任意の工程に添加することができ、プロセスを通して質量を一定にするなど、母液を、第一の物質の結晶化の各工程において必要に応じて再利用することができる。再利用の回数は、利用される第一の物質比、所望の化学および系の所望のスループットに対する第二の物質の関数であり得る。
【0084】
第一の物質の結晶を形成した後、第二の物質を、酸、塩基または他の化学物質を用いて溶解させるか、そうでなければ結晶から除去することができる。任意の粉末、残留溶媒金属または異物混入物を、同様に機械的手段により除去することができる。副生成物を様々な製造業に売却することができる。第一の物質の結晶から第二の物質を溶解して除去するために、結晶を清浄なものから不純に、且つ、第二の物質を除去するための酸または他の適切な化学物質を清浄なものから使用済にそれぞれ反対の方向に移動する対向流系を、複数のタンクを用いて使用することができる。
【0085】
第一の物質の結晶を、さらに溶融することができる。次に、第一の物質を一方向に凝固することができる。冷却後、最後に結晶化した第一の物質の一部を除去することができる。プロセスの任意の段階で、母液をセラミック発泡体フィルターで濾過してもよく、または注入してもよい。任意の適切なセラミック材料を、溶融した母液もしくは混合物または溶融した第一の物質を保持するために使用することができる。母液もしくは溶融した第一の物質または第二の成分にガスを注入することができる。
【0086】
図2を参照すると、いくつかの態様に係る、3重パスカスケードを利用して第一の物質を精製する方法の図200が示される。第一の物質216を、第一のパス204の精製プロセスの開始に供給することができる。第一の物質216を、続いてまたは同時に第一のパス202のプロセスの第一の繰り返しに供給することができる。第一のパス202および204を、同一の加熱炉で連続して実施することができ、ここで、ある程度の割合の母液224が同一の加熱炉に戻されるか、または残留し、そしてある程度の割合の母液214が取り出される。あるいは、第一のパス202および204を、異なる加熱炉で実施することができる。単回パスから得られた結晶を、202および204の各々から取り出して218に合わせてもよい。第一の物質の得られた単回パス固体218を、第二のパス208および206のプロセスに供給して、第一の物質の第二のパス固体220を得ることができる。第二のパス206および208を、同一の加熱炉で実施することができる。連続して、ある程度の割合の母液224を加熱炉で再溶融することができ、そしてある程度の割合の母液224を単回パス204に送ることができる。第二のパス206および208を、異なる加熱炉で実施することができる。図2は、並行して第二のパス208の第一段階および第二のパス206の第一の繰り返しに入る固体218、ならびにプロセス工程202および204の両方を残して第三のパス210に入る第二のパス固体220を示す。しかしながら、この工程は順番に行ってもよい。次に、第二のパス固体220を、第三のパス210の精製プロセスに供給して、第三のパス固体222を生成することができる。新たな第二の物質212が第三のパス210からプロセスを開始し、第一の物質とは反対方向にプロセスを通って母液224に供給され、有用な副生成物として売却することができる共晶または母液214が得られる。このような方法で、母液224中の第二の物質は純度が低下し、第一の物質218、220、222とは反対の方向の系を進行し、第一の物質218、220、222の純度が向上する。
【0087】
当業者であれば、本発明の態様の複雑さに起因して、そして、本発明の特性に起因して、本発明における後続の工程からの母液がシリコンを精製するために前の工程に使用されることを認識するであろう。半連続性の多くのプロセスと同様に、定常状態への到達は、プロセスの開始直後には起こらない。従って、ゼロからカスケードプロセスが開始した時点で、その後の工程からの母液を生成して、カスケードの第一の工程において使用するために、最初の結晶化工程を数回実施することができる。
【0088】
前述の明細書において、開示の本発明が、その特定の好ましい態様に関連して記載され、そして多くの詳細が説明の目的で述べられており、当業者にとって、開示の本発明にはさらなる態様が可能であること、そして、本明細書に記載される特定の詳細が、開示の本発明の基本原理から逸脱することなく大幅に変更可能であることは明白であろう。
【0089】
態様
本発明は、下記の典型的な態様を提供する。
【0090】
態様1は、
(a)第一の混合物を得るために十分に、第一の物質を精製物質と接触させる工程;
(b)第一の溶融混合物を得るために十分に、第一の混合物を溶融する工程;ならびに
(c)第一の物質の第一の結晶および第三の母液を形成するために十分に、第一の溶融混合物を冷却する工程
を含む、第一の物質を精製するための方法であって、
精製物質が、第二の物質を含み;
第一の物質が、第二の物質よりも高い融点を有し;
第二の物質が、金属である、方法を提供する。
【0091】
態様2は、精製物質が、第三の母液よりも少ない不純物を有する、態様1の方法を提供する。
【0092】
態様3は、精製物質が、第一の物質の第一の結晶よりも高い純度まで第一の物質を結晶化することから生成した母液を含む、態様1〜2のいずれか1つの方法を提供する。
【0093】
態様4は、精製物質が、第一の物質を結晶化することから生成した母液を含み、該母液には、該精製物質が、第三の母液よりも少ない不純物を有するように、追加の第二の物質が添加されている、態様1〜3のいずれか1つの方法を提供する。
【0094】
態様5は、精製物質が、第一の物質を結晶化することから生成した母液を含み、該母液には、該精製物質が、第三の母液よりも少ない不純物を有するように、第一の物質の第一の結晶よりも高い純度まで第一の物質を結晶化することから生成した追加の母液が添加されている、態様1〜4のいずれか1つの方法を提供する。
【0095】
態様6は、精製物質が第二の母液を含む、態様1〜5のいずれか1つの方法を提供する。
【0096】
態様7は、第一の物質の第一の結晶と第三の母液とを任意で分離する工程をさらに含む、態様1〜6のいずれか1つの方法を提供する。
【0097】
態様8は、第一の物質の第一の結晶と第三の母液とを任意で分離する工程を実施する、態様7の方法を提供する。
【0098】
態様9は、第一の物質の第一の結晶と第三の母液とを任意で分離する工程をさらに含む方法であって、
工程(a)〜(c)、および任意で、第一の物質の第一の結晶と第三の母液とを分離する工程を少なくとも1回繰り返す、態様1〜8のいずれか1つの方法を提供する。
【0099】
態様10は、最後の前記繰り返しの後、第一の物質の第一の結晶と第三の母液とを分離する工程を実施する、態様9の方法を提供する。
【0100】
態様11は、繰り返しが連続的である、態様9〜10のいずれか1つの方法を提供する。
【0101】
態様12は、繰り返しがほぼ同時である、態様9〜10のいずれか1つの方法を提供する。
【0102】
態様13は、
(a)第二の混合物を得るために十分に、第一の物質の第一の結晶を第一の母液と接触させる工程;
(b)第二の溶融混合物を得るために十分に、第二の混合物を溶融する工程;
(c)第二の溶融混合物を冷却して、第一の物質の第二の結晶および第二の母液を形成する工程;ならびに
(d)第一の物質の第二の結晶と第二の母液とを任意で分離する工程
をさらに含む、態様1〜12のいずれか1つの方法を提供する。
【0103】
態様14は、第一の物質の第二の結晶と第二の母液とを分離する任意の工程を実施する、態様13の方法を提供する。
【0104】
態様15は、
第一の物質の第一の結晶と第三の母液とを任意で分離する工程をさらに含む方法であって、
工程(a)〜(c)、および任意で、第一の物質の第一の結晶と第三の母液とを分離する工程を少なくとも1回繰り返す、態様13〜14のいずれか1つの方法を提供する。
【0105】
態様16は、最後の前記繰り返しの後、第一の物質の第一の結晶と第三の母液とを分離する工程を実施する、態様15の方法を提供する。
【0106】
態様17は、繰り返しが連続的である、態様15〜16のいずれか1つの方法を提供する。
【0107】
態様18は、繰り返しがほぼ同時である、態様15〜16のいずれか1つの方法を提供する。
【0108】
態様19は、
(a)第三の混合物を得るために十分に、第二の結晶を第二の物質と接触させる工程;
(b)第三の溶融混合物を得るために十分に、第三の混合物を溶融する工程;
(c)第三の溶融混合物を冷却して、第一の物質の第三の結晶および第一の母液を形成する工程;ならびに
(d)第一の物質の第三の結晶と第一の母液とを分離する工程
をさらに含む、態様13〜18のいずれか1つの方法を提供する。
【0109】
態様20は、
(a)第三の混合物を得るために十分に、第一の物質の第一の結晶を第二の物質と接触させる工程;
(b)第三の溶融混合物を得るために十分に、第三の混合物を溶融する工程;
(c)第三の溶融混合物を冷却して、第一の物質の第三の結晶および第一の母液を形成する工程;ならびに
(d)第一の物質の第三の結晶と第一の母液とを分離する工程
をさらに含む、態様1〜19のいずれか1つの方法を提供する。
【0110】
態様21は、第一の物質がシリコンである、態様1〜20のいずれか1つの方法を提供する。
【0111】
態様22は、第二の物質がアルミニウムである、態様1〜21のいずれか1つの方法を提供する。
【0112】
態様23は、第二の物質の固体状態が合金である、態様1〜22のいずれか1つの方法を提供する。
【0113】
態様24は、第二の物質の固体状態がアルミニウムの合金である、態様1〜23のいずれか1つの方法を提供する。
【0114】
態様25は、第二の母液が第三の母液の少なくとも一部を含む、態様6〜24のいずれか1つの方法を提供する。
【0115】
態様26は、第一の母液が第二の母液の少なくとも一部を含む、態様13〜25のいずれか1つの方法を提供する。
【0116】
態様27は、第一の母液の少なくともある程度が、第二の物質と共に使用するためにリサイクルして戻される、態様19〜26のいずれか1つの方法を提供する。
【0117】
態様28は、第一の母液の少なくともある程度が、第二の母液と共に使用するためにリサイクルして戻される、態様19〜27のいずれか1つの方法を提供する。
【0118】
態様29は、第一の物質の第三の結晶から、第二の物質の少なくとも一部を除去することをさらに含む、態様19〜28のいずれか1つの方法を提供する。
【0119】
態様30は、第一の物質の結晶から、粉末、第二の物質、混入物、またはそのいくつかの組み合わせを機械的に除去する工程をさらに含む、態様1〜29のいずれか1つの方法を提供する。
【0120】
態様31は、第一の物質の第三の結晶を溶融する工程をさらに含む、態様19〜30のいずれか1つの方法を提供する。
【0121】
態様32は、ガス、第一の物質のスラグ溶融物またはそのいくつかの組み合わせを、溶融した第一の物質の第三の結晶と接触させる工程をさらに含む、態様31の方法を提供する。
【0122】
態様33は、インゴットを形成させるために十分に、溶融した第一の物質の第三の結晶から、第一の物質を一方向に凝固する工程をさらに含む、態様31〜32のいずれか1つの方法を提供する。
【0123】
態様34は、インゴットの一部を除去する工程をさらに含む、態様33の方法を提供する。
【0124】
態様35は、一方向に凝固する工程またはインゴットの少なくとも一部を除去する工程を一回または複数回繰り返す、態様34の方法を提供する。
【0125】
態様36は、工程(a)〜(c)および第一の物質の第一の結晶と第三の母液とを分離する工程を一回または複数回繰り返す、態様1〜35のいずれか1つの方法を提供する。
【0126】
態様37は、工程(a)〜(c)および第一の物質の第二の結晶と第二の母液とを分離する工程を一回または複数回繰り返す、態様13〜36のいずれか1つの方法を提供する。
【0127】
態様38は、1つまたは複数の母液を、セラミック発泡体フィルターおよび/または塩素含有ガスの注入を用いて清浄化する、態様1〜37のいずれか1つの方法を提供する。
【0128】
態様39は、溶融した第一の物質を、セラミック発泡体フィルターまたは塩素含有ガスの注入により清浄化することをさらに含む、態様31〜38のいずれか1つの方法を提供する。
【0129】
態様40は、除去することが、酸、塩基もしくは他の化学物質で溶解することもしくは反応させることまたはその組み合わせを含む、態様29〜39のいずれか1つの方法を提供する。
【0130】
態様41は、ガスが酸素を含む、態様32〜40のいずれか1つの方法を提供する。
【0131】
態様42は、
(a)第一の混合物を得るために十分に、第一のシリコンを第二の母液と接触させる工程;
(b)第一の溶融混合物を得るために十分に、第一の混合物を溶融する工程;
(c)第一の溶融液を冷却して、第一のシリコン結晶および第三の母液を形成する工程;
(d)第一のシリコン結晶と第三の母液とを分離する工程;
(e)第二の混合物を得るために十分に、第一のシリコン結晶を第一の母液と接触させる工程;
(f)第二の溶融混合物を得るために十分に、第二の混合物を溶融する工程;
(g)第二の溶融液を冷却して、第二のシリコン結晶および第二の母液を形成する工程;
(h)第二のシリコン結晶と第二の母液とを分離する工程;
(i)第三の混合物を得るために十分に、第二のシリコン結晶を第一の溶媒金属と接触させる工程;
(j)第三の溶融混合物を得るために十分に、第三の混合物を溶融する工程;
(k)第三の溶融液を冷却して、第三のシリコン結晶および第一の母液を形成する工程;
(l)第三のシリコン結晶と第一の母液とを分離する工程;
(m)溶融した第三の結晶を得るために十分に、第三のシリコン結晶を溶融する工程;
(n)凝固したシリコンを得るために十分に、溶融した第三の結晶を一方向に凝固する工程;
(o)凝固したシリコンの少なくとも一部を除去する工程
を含む、シリコンを精製するための方法であって、
母液および第一の溶媒金属が、溶媒金属を含み、
溶媒金属がアルミニウムを含む、方法を提供する。
【0132】
態様43は、工程(n)の前に、溶融した第三の結晶を、ガスまたはシリコンのスラグ溶融物の少なくとも1つと接触させる工程をさらに含む、態様42の方法を提供する。
【0133】
態様44は、工程(m)〜(o)を、1回または複数回繰り返すことをさらに含む、態様42−43のいずれか1つの方法を提供する。
【0134】
態様45は、
(a)混合物Aを得るために十分に、シリコンAを第三の母液と接触させる工程;
(b)溶融混合物Aを得るために十分に、混合物Aを溶融する工程;
(c)溶融液Aを冷却して、第一のシリコンおよび第四の母液を形成する工程;
(d)第一のシリコンと第四の母液とを分離する工程;
(e)第一の混合物を得るために十分に、第一のシリコンを第二の母液と接触させる工程;
(f)第一の溶融混合物を得るために十分に、第一の混合物を溶融する工程;
(g)第一の溶融液を冷却して、第一のシリコン結晶および第三の母液を形成する工程;
(h)第一のシリコン結晶と第三の母液とを分離する工程;
(i)第二の混合物を得るために十分に、第一のシリコン結晶を第一の母液と接触させる工程;
(j)第二の溶融混合物を得るために十分に、第二の混合物を溶融する工程;
(k)第二の溶融液を冷却して、第二のシリコン結晶および第二の母液を形成する工程;
(l)第二のシリコン結晶と第二の母液とを分離する工程;
(m)第三の混合物を得るために十分に、第二のシリコン結晶を第一の溶媒金属と接触させる工程;
(n)第三の溶融混合物を得るために十分に、第三の混合物を溶融する工程;
(o)第三の溶融液を冷却して、第三のシリコン結晶および第一の母液を形成する工程;
(p)第三のシリコン結晶と第一の母液とを分離する工程;
(q)溶融した第三の結晶を得るために十分に、第三のシリコン結晶を溶融する工程;
(r)凝固したシリコンを得るために十分に、溶融した第三の結晶を一方向に凝固する工程;
(s)凝固したシリコンの少なくとも一部を除去する工程
を含む、シリコンを精製するための方法であって、
母液および第一の溶媒金属が、溶媒金属を含み、
溶媒金属がアルミニウムを含み、
工程(a)〜(d)を、0回、1回または2回繰り返し、
工程(e)〜(h)を、0回、1回または2回繰り返し、
工程(i)〜(l)を、0回、1回または2回繰り返し、
工程(m)〜(p)を、0回、1回または2回繰り返し、
工程(q)〜(s)を、0回、1回または2回繰り返す、方法を提供する。
【0135】
態様46は、
シリコン;
リン;および
ホウ素を含み、
リンの量が、ppmw測定で、ホウ素の量より少なく、
ホウ素の量が、0.7ppmw未満であり、そして
他の金属不純物の量が、それぞれ1ppmw未満である、精製シリコンを提供する。
【0136】
態様47は、他の金属不純物が、1つまたは複数のマグネシウム、チタン、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、モリブデン、カドミウム、スズ、タングステン、鉛およびウランを含む、態様46の精製シリコンを提供する。
【0137】
態様48は、光起電力デバイスに使用するための、態様46〜47のいずれか1つの精製シリコンを提供する。
【実施例】
【0138】
実施例1
単回パスの母液Aを、MG-Siまたは他のシリコン供給原料と混合した。溶融混合物SP(単回パス)Bを冷却して、シリコン結晶「SPフレークB」を成長させ、SP母液Bを得た。SP母液BとSPフレークBとを分離した。SP母液Bを、副生成物としてアルミニウム鋳造、ダイキャストおよび二次製錬工業に売却した。混合物は、約40%シリコンおよび60%アルミニウムであった。混合物をほぼ液相温度に溶融した。混合物を約950℃以上に加熱した。混合物を約720℃に冷却した。混合物から約32重量%のフレークが得られた。冷却を約15時間にわたって行った。約2,200kg以上をバッチサイズとして使用した。
【0139】
2重パス(DP)の母液Bを、MG-Siまたは他のシリコン源と混合した。溶融混合物SP Aを冷却して、シリコン結晶SPフレークAを成長させ、SP母液Aを得た。SP母液AとSPフレークAとを分離した。
【0140】
SP Aフレークおよび/またはSP BフレークならびにDP母液Aを混合した。溶融混合物3「DP B」を冷却して、シリコン結晶DPフレークBを成長させ、DP母液Bを得た。DP母液BとDPフレークBとを分離した。
【0141】
SP Aフレークおよび/またはSP Bフレークならびに母液TPを混合した。溶融混合物4「DP A」を冷却して、シリコン結晶DPフレークAを成長させ、DP母液Aを得た。DP母液AおよびDPフレークAを混合した。
【0142】
DP Aフレークおよび/またはDP Bフレークならびにアルミニウムを混合した。溶融混合物5「TP」の温度をゆっくりと下げて、シリコン結晶TPフレークAを成長させ、TP母液を得た。TP母液とTPフレークとを分離した。
【0143】
HClを使用して、TPフレークからアルミニウムを溶解して除去し、フレークを水およびHClと共にプラスチックバスケットに入れて、そして、強HClと徐々に反応させて、アルミニウムを溶解させ、ポリ塩化アルミニウムにした。ポリ塩化アルミニウムを、副生成物として廃棄物処理または飲用水処理用に売却した。反応は、HClとアルミニウムとの発熱反応からの熱を用いて50〜90℃の間で行った。HCl反応の後に、フレークを水ですすいだ。フレークを乾燥させて、微量のすすぎ水を除去した。
【0144】
任意の粉末または任意の残留アルミニウムおよび/または異物混入物を機械的に除去した。フレークを篩または格子上で振動させ、バグハウスを使用してシリコン粉末をフレークから押し出した。一連の格子を使用して、フレークを粉末の球、難溶性混入物または他の異物から分離した。粉末シリコンを副生成物として売却した。
【0145】
フレークをスラグと共に溶融して溶融シリコンにした。スラグは、7重量%のシリコンのNaCO3+CaO+SiO2混合物であった。鋳込みの前にスラグを浴の表面からすくい取ってもよい。シリコンを、セラミック発泡体フィルターを通して注ぐことができる。
【0146】
1.5トンのインゴットを、底部から最上部に向けて一方向に凝固した。鋳型上に用いられる側部絶縁体より熱伝導性の高い底部を有するトップヒーターを使用した。ファンを使用して鋳型の底部を冷却した。最上部を、刃がダイヤモンドコーティングされた帯鋸または丸鋸で切り取ることができる。最上部は、液体のままで除去することができる。最上部または最終凝固シリコンを、機械的衝撃により塊にして、または熱クエンチングにより粉砕することができる。インゴットにAl2O3媒体を吹き付け、表面を清浄化することができる。最終凝固シリコンの最上部を切り取った。一方向凝固および最終凝固の除去プロセスを2回繰り返した。
【0147】
一態様においては、本プロセスは、ホウ素レベルが0.75未満、アルミニウムレベルが1.0未満、リンレベルが0.8未満、そして他の金属元素レベルが合計1ppmw未満である精製シリコンを生成することができる。別の態様においては、本プロセスは、ホウ素レベルが0.5未満、アルミニウムレベルが0.5未満、リンレベルが0.5未満、金属レベルが0.25ppmw未満、そして、他の元素レベルが合計1ppmw未満である精製シリコンを生成することができる。リンまたは他のN型ドーパントを添加して、シリコンの抵抗率を0.30ohm・cm以上に増加させることができる。本プロセスを用いて、20トン/月超を生成することができる。他の金属不純物には、1つまたは複数のマグネシウム、チタン、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、モリブデン、カドミウム、スズ、タングステン、鉛およびウランが含まれ得る。
【0148】
本プロセスから得られる、最終凝固シリコン、薄片または小片などのシリコンを、本プロセスにおいて、同工程または前の工程で本プロセスに戻すことによりリサイクルすることができる。
【0149】
本プロセスから生成したシリコンを、SIMS(二次イオン質量分析)で試験した結果、Ca<0.0001、Al<0.01、Pが0.172、Bが0.623、Cが5.205およびOが3.771pppmwであった。シリコンをGDMSで試験した結果、Bが0.77、Alが0.22、Pが0.26ppmwであり、その他の試験元素は全て検出限界以下であった。精製シリコンにおけるリンレベル(ppmw)は、ホウ素レベルよりも低い。
【0150】
実施例2
SP母液Aを、MG-Siまたは他のシリコン源と混合した。溶融混合物「SP B」の温度を下げて、シリコン結晶「SPフレークB」を成長させ、SP母液Bを得た。SP母液BとSPフレークBとを分離した。
【0151】
DP母液を、MG-Siまたは他のシリコン源と混合した。溶融混合物「SP A」を冷却して、シリコン結晶「SPフレークA」を成長させ、SP母液Aを得た。SP母液AとSPフレークAとを分離した。
【0152】
SP Aフレークおよび/またはSP Bフレークを、アルミニウムと混合した。溶融混合物「DP」の温度をゆっくりと下げて、シリコン結晶「DPフレークA」を成長させ、DP母液を得た。DP母液とDPフレークとを分離した。
【0153】
HClを使用して、DPフレークからアルミニウムを溶解し除去した。粉末および任意の残留アルミニウムおよび/または異物混入物を機械的に除去した。フレークをスラグと共に溶融し、酸素を含むガスを溶融シリコンに注入した。
【0154】
シリコンを一方向に凝固した。最終凝固シリコンの最上部を切り取った。一方向凝固および最終凝固シリコンの除去を2回繰り返した。一態様においては、本プロセスは、Pが0.29、Bが1.2およびAlが0.01ppmw未満である精製シリコンを生成した(SIMS測定による)。別の態様においては、本プロセスは、Pが0.40、Bが0.88およびAlが0.01ppmw未満の精製シリコンを生成した(SIMS測定による)。
【0155】
2回の一方向凝固を用いた本プロセスは、Pが0.40、Bが0.40およびAlが0.86ppmwの精製シリコンを生成した(SIMS測定による)。本プロセスは、わずか2回の一方向凝固で、アルミニウムレベルをGDMSの検出限界以下に減少させることができる。
【0156】
実施例3
図7は、4重パスカスケードとしての本発明のある態様を示しており、これは4つの加熱炉で実施して、ホウ素が0.52ppmw未満の4重パスシリコンフレーク722を生成する。単回パスの加熱炉は、10,000kgの収容能力を有する。第一のパス704では、2,200kgの60%アルミニウムおよび40%シリコン溶融物(第二のパスから850kgの母液724、第一のパスの第一の繰り返し702から850kgの再利用母液703、および500kgのシリコン716)を、約16時間冷却可能な、溶融混合物を収容することができる容器に注ぎ、これにより約704kgのシリコンの第一のパスフレーク718が生成される。任意の塩素含有ガスを、冷却前に溶融混合物に添加することができる。液体の母液741の約50%は除去して大型の鋳型に入れ、副生成物としてアルミニウム鋳造合金製造用に売却される。母液724の他の50%(第一のパス704から)、即ち、850kgは、第一のパスの第一の繰り返し702用に同一の単回パス加熱炉に液体の形態で注ぎ戻すか、または固体状の大型鋳鉄として添加し戻した。また、液体または固体の850kgの第二のパス母液742を、500kgのシリコン716と共に、第一のパスの第一の繰り返し702用に単回パス加熱炉に注ぐ。これにより、溶融浴が冷却されて、フレークが成長した場合、約704kgの単回パスシリコンフレーク718が生成する。2,200kgのバッチ各々につき、500kgの冶金グレードシリコンまたはスクラップシリコン716を加熱炉に添加する。スクラップシリコン、別のプロセスから精製したシリコンまたは冶金シリコンは、約5ppmw未満のホウ素レベルを有する必要がある。この工程は、プロセスにおいて母液とフレークの量が一定となるように、全サイクル各々において2回行う(例えば、第一のパス704および第一のパスの第一の繰り返し702)。
【0157】
次に、10,000kgの収容能力を有する2重パス加熱炉において、第二のパス708では、704kgの単回パスフレーク718を、1,496kgの母液、即ち、50%が2重パス加熱からの母液(約748kg、724、第二のパス708から)および50%が3重パス加熱炉で2回使用された3重パス加熱からの母液(約748kg、743)と共に溶融する。これにより、704kgの2重パスフレーク720が生成する。母液を、液体または固体の形態で加熱炉に添加することができる。1496kgの母液の半分を、第二のパスの第一の繰り返し706用に使用し724(第二のパス708から)、母液742の残りの半分を、第一のパスの第一の繰り返し702において、母液の純度を高めるために使用する。第二のパスの繰り返し706の後、母液の半分707を第二のパス708において再利用し、残りの半分724(第二のパスの繰り返し706から)を第一のパス704において使用する。スクラップシリコンを、単回パスフレーク718の代わりに加熱炉に添加することができ、これは、2.1ppmw未満のホウ素レベルを有する必要がある。第一のパスと同様に、この工程は、全サイクルの各々において2回行うが(例えば、第二のパス708および第二のパスの第一の繰り返し706)、1または複数回行って、物質収支および母液が使用される回数を調整することができる。
【0158】
次に、2,200kgの収容能力を有する3重パス加熱炉を使用する。第三のパス712では、704kgの2重パスフレーク720を、1,496kgの4重パス母液724と共に溶融する。これにより、704kgの3重パスフレーク730および1回使用された1,496kgの3重パス母液724が生成する。3重パス母液724(第三のパス712から)は、704kgの2重パスフレーク720と共に、第三のパスの第一の繰り返し710用に、同一の加熱炉で完全に再利用される。これにより、704kgの3重パスフレーク730および2回使用された1,496kgの3重パス母液(724(第三のパスの第一の繰り返し710から)および743)が生成する。2重パスフレーク720を使用する代わりに、ホウ素レベルが1.3ppmw未満のスクラップシリコンを使用することができる。
【0159】
次に、2,200kgの収容能力を有する4重パス加熱炉を使用する。1,210kgの3重パスフレーク730を、0.80ppmw未満のホウ素を含有する990kgのアルミニウム712と共に溶融する。これにより、4重パス母液724および4重パスフレーク722が生成する。この工程では、3重パスフレークの代わりに、ホウ素が0.80ppmw未満のスクラップシリコンを使用することができる。
【0160】
各々の工程は、母液またはある程度の割合の母液を1回または複数回再利用することにより行うことができる。当業者であれば、工程の繰り返しの回数を調整すること、母液のリサイクル量を調整すること、ならびに各々の工程に添加されるシリコン量およびシリコン源を調整することにより、カスケード700の物質収支を一定に保つことができることは明白であろう。母液を1つの工程において1度も使用せずに、省略して後続の工程に移すことができる。スクラップシリコン、冶金シリコンまたは他の方法により精製したシリコンを、シリコンユニット用フレークの代わりに本プロセスの任意の工程に添加することができる。フレーク生成工程は2回以上行ってもよく、この実施例では、サイクルにおいて4回のパスと7回の結晶化を示している。本プロセスは、異なるサイズの加熱炉で、異なるバッチサイズで行うことができる。シリコンのアルミニウムに対する比率は、工程ごとに20〜70%に調整することができる。
【0161】
4重パスフレーク722をHClおよび水で処理すると、アルミニウムレベルはおよそ1000〜3500ppmwに低下する。生成したポリ塩化アルミニウムは、水を精製するための副生成物として売却してもよい。次に、4重パスフレークを加熱炉中で溶融し、そこでスラグと反応させる。任意で、溶融シリコンを濾過してもよく、または一方向凝固の前にガス注入してもよい。任意で、溶融アルミニウム−シリコン混合物または母液を濾過することができる。
【0162】
次に、溶融シリコンを一方向に凝固し、最後に凝固する部位を除去する。次に、シリコンを再度一方向に凝固し、最終凝固シリコンの一部を除去する。塩素含有のガスまたは化合物を、結晶を成長させる前に任意のパスに添加することができる。このプロセスからは、結果として、Bが0.45ppmw未満、Pが0.60ppmw未満およびAlが0.50ppmw未満の精製シリコンが生成される。このシリコンは、15.5%超の高効率の光電池製造用のインゴットおよびウェーハを作製するために使用することができる。このシリコンを、他のスクラップシリコンまたは他の方法を用いて精製したシリコンと混合して、光電池用インゴット、ウェーハおよびセルを作製する供給原料を生成することができる。本実施例の方法で精製したシリコンの純度の例を、以下の表に示す。
【0163】
(表1)Si中のBのバルク分析
検出限界 < 0.001 ppmw
【0164】
(表2)Si中のPのバルク分析
検出限界 < 0.003 ppmw
【0165】
(表3)Si中のAlのバルク分析
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2009年8月21日に出願された米国特許仮出願第61/235,861号および2010年3月23日に出願された米国特許出願第12/729,561号の恩典を主張するものであり、いずれの出願も、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
背景
太陽電池は、現在、太陽光を電気エネルギーに変換する能力を用いることによりエネルギー源として利用されている。シリコンは、このような光電池において半導体材料としてほぼ例外なく使用されている。太陽電池を使用する上での現在の大きな制約は、シリコンを太陽電池グレード(SG)に精製するコストと関係している。現在のエネルギーの需要および供給の制限の観点から、冶金グレード(MG)シリコン(または、太陽電池グレードよりも不純物の多い任意の他のシリコン)を太陽電池グレードシリコンに精製する、よりコスト効率の高い方法が強く求められている。
【0003】
金属溶媒を使用して物質を精製するプロセスにおいては、有用な物質が不純物と共に金属溶媒中に残留する。例えば、溶媒金属を使用するシリコン精製プロセスにおいて、有用なシリコンが副生成物中に残留する。シリコンの部分的な結晶化を繰り返し試行すると、副生成物中のシリコンの損失が比例的に増加する。企業や研究グループが、様々な湿式冶金プロセスおよび高温冶金プロセスを伴う冶金プロセスを用いて、グレードアップされた冶金グレード(UMG)シリコンの製造に取り組んでいる。ホウ素の量に対してリンの量を減少させることが困難であるという点において、これらのプロセスの多くが制限されている。最終的に、これは、過剰のリンを含む最終物質をもたらす。精製後のUMGシリコン中のリンの量(ppmw)はホウ素の量よりも高く、リンの量は、通常、ホウ素よりもppmwで2〜3倍高い。
【0004】
従来、太陽電池の多くは、リンレベルよりもホウ素レベルが高いP型半導体を用いて製造されている。UMGシリコンは、ブールまたは多結晶インゴットに一方向に凝固する。このUMGシリコンの一方向凝固は、ホウ素とリンの析出係数の差に起因して、インゴット最上部のリンレベルを増加させる。この濃度推移は、高いリン濃度域と低いリン濃度域間にP/N遷移の形成を引き起こすことにより、収量が低下し、また、インゴットの高さ変化に伴う抵抗を引き起こす可能性がある。UMGシリコンから製造していないほとんどの太陽電池は、シーメンス法により精製したシリコンにP型ホウ素含有ドーパントを添加することにより製造される。
【発明の概要】
【0005】
概要
本発明は、金属溶媒を用いて物質を精製する方法を提供する。本発明の態様は、精製した物質において、より少ない不純物量、ならびにより均一な不純物濃度などの利益および利点を含む。本方法は、精製した物質をより完全に利用できるように、より一貫した品質の精製した物質を提供することができる。他の利益は、より高品質の製品を生産するために使用することができる精製した物質の製造を含む。母液をリサイクルする態様においては、本方法により、精製される物質の浪費を少なくすることができ、そして、金属溶媒をより効率的に使用することができる。
【0006】
本発明はまた、シリコンを精製するための方法を提供する。本方法は、第一のシリコンを第二の母液と接触させることを含む。第一のシリコンを第二の母液と接触させることにより第一の混合物が得られる。本方法はまた、第一の混合物を溶融することを含む。第一の混合物の溶融は、第一のシリコンと第二の母液との第一の溶融混合物を得るために十分に実施される。本方法はまた、第一の溶融混合物を冷却することを含む。第一の溶融混合物を冷却することにより、第一のシリコン結晶および第三の母液が生成する。本方法はまた、第一のシリコン結晶と第三の母液とを分離することを含む。本方法はまた、第一のシリコン結晶を第一の母液と接触させることを含む。第一のシリコンを第一の母液と接触させることにより、第二の混合物が得られる。本方法はまた、第二の混合物を溶融することを含む。第二の混合物の溶融は、第一のシリコン結晶と第一の母液との第二の溶融混合物を得るために十分に実施される。本方法はまた、第二の溶融混合物を冷却することを含む。第二の溶融混合物を冷却することにより、第二のシリコン結晶および第二の母液が得られる。本方法はまた、第二のシリコン結晶と第二の母液とを分離することを含む。本方法はまた、第二のシリコン結晶を第一の溶媒金属と接触させることを含む。第二のシリコン結晶を第一の溶媒金属と接触させることにより、第三の混合物が得られる。本方法はまた、第三の混合物を溶融することを含む。第三の混合物の溶融は、第二のシリコン結晶と第一の溶媒金属との第三の溶融混合物を得るために十分に実施される。本方法はまた、第三の溶融混合物を冷却することを含む。第三の溶融混合物を冷却することにより、第三のシリコン結晶および第一の母液が生成する。本方法はまた、第三のシリコン結晶と第一の母液とを分離することを含む。本方法はまた、溶媒金属を含む母液および第一の溶媒金属を含む。特定の態様においては、溶媒金属は、アルミニウムであり得る。本方法はまた、任意で、任意の結晶化パスを複数回繰り返すことを含む。
【0007】
特定の態様においては、本方法はまた、上記工程に先立って、シリコンAを精製物質と接触させることができる。この接触は、混合物Aを得るために十分に実施される。本方法はまた、混合物Aを溶融する。混合物Aの溶融は、溶融混合物Aを得るために十分に実施される。本方法はまた、溶融混合物Aを冷却する。この冷却は、第一のシリコンおよび第四の母液を得るために十分に実施される。本方法はまた、第一のシリコンと第四の母液とを分離する。これらの任意の工程が上記工程の前に用いられる場合、4重パスカスケードが提供される。
【0008】
特定の態様においては、第一のシリコン結晶を第一の母液と接触させる工程から第二のシリコン結晶と第二の母液とを分離する工程までは、それぞれ任意である。本方法は、任意で、第一のシリコン結晶を第一の母液と接触させることを含む。任意で、第一のシリコンを第一の母液と接触させることにより、第二の混合物が得られる。本方法はまた、任意で、第二の混合物を溶融することを含む。任意の第二の混合物の溶融は、第一のシリコン結晶と第一の母液との第二の溶融混合物を得るために十分に実施される。本方法はまた、任意で、第二の溶融混合物を冷却することを含む。任意で、第二の溶融混合物を冷却することにより、第二のシリコン結晶および第二の母液が得られる。本方法はまた、任意で、第二のシリコン結晶と第二の母液とを分離することを含む。第一のシリコン結晶を第一の母液と接触させる工程から第二のシリコン結晶と第二の母液とを分離する工程までの任意の工程を、省略することができる。任意の工程のいずれも実施しない場合、第一のシリコン結晶と第三の母液とを分離する工程の後に、第一のシリコン結晶を第一の溶媒金属と接触させる。
【0009】
特定の態様においては、本発明の方法は、第三のシリコン結晶を溶融することをさらに含む。第三のシリコン結晶の溶融は、溶融した第三の結晶を得るために十分に実施される。本方法はまた、溶融した第三の結晶を一方向に凝固する。一方向凝固は、凝固したシリコンを得るために十分に実施される。本方法はまた、凝固したシリコンの少なくとも一部を除去する。本方法はまた、任意で、一方向凝固を複数回繰り返すことができる。
【0010】
本発明はまた、シリコン、リンおよびホウ素を含有する精製されたシリコンを含む。リンの量は、ppmw測定でホウ素の量より少なくなり得る。ホウ素の量は、0.7ppmw未満であり得る。さらに、他の金属不純物の量は、それぞれ、1ppmw未満であり得る。
【0011】
本方法は、第一の物質を精製物質と接触させることを含む。この接触は、第一の混合物を得るために十分である。本方法はまた、第一の混合物を溶融することを含む。第一の物質と精製物質との混合物を溶融することにより、第一の溶融混合物が生成する。本方法はまた、第一の溶融混合物を冷却することを含む。冷却は、第一の物質の第一の結晶および第三の母液を形成するのに十分である。本方法はまた、第二の物質を含む精製物質を使用することを含む。本方法はまた、第二の物質より高い融点を有する第一の物質を使用することを含む。本方法はまた、金属である第二の物質を使用することを含む。本方法は、任意で、第三の母液より不純物が少ない精製物質を使用することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0012】
必ずしも一定の縮尺で描かれているとは限らない図面において、同様の数字は、複数かの図を通して実質的に類似の構成要素を示す。異なる文字接尾語を有する同様の数字は、実質的に類似の構成要素の異なる例を表す。一般に、図面は、限定としてではなく、例示的に、本明細書において考察される様々な態様を説明する。
【0013】
【図1】いくつかの態様に係る、3重パスカスケードプロセスを利用してシリコンを精製する方法のブロックフロー図を示す。
【図2】いくつかの態様に係る、3重パスカスケードプロセスを利用して物質を精製する方法の図を示す。
【図3】いくつかの態様に係る、3重パスカスケードプロセスを利用して物質を精製する方法のブロックフロー図を示す。
【図4】いくつかの態様に係る、3重パスカスケードプロセスを利用してシリコンを精製する方法の図を示す。
【図5】いくつかの態様に係る、シリコン精製のためのカスケードプロセスの第一のパスの詳細を示す。
【図6】いくつかの態様に係る、3重パスカスケードプロセスを利用してシリコンを精製する方法のブロックフロー図を示す。
【図7】いくつかの態様に係る、4重パスカスケードプロセスを利用してシリコンを精製する方法の図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
詳細な説明
ここで、開示される本発明の特定の請求項を詳細に参照するが、その実施例は、添付の図面において説明される。開示される本発明が、列挙される請求項と併せて記載されるが、これらは、開示される本発明がそれら請求項に限定されることを意図するものではないことが理解されるであろう。むしろ、開示される本発明は、特許請求の範囲により定義されるようなここで開示される本発明の範囲内に包含され得る全ての代替物、変形例および等価物を包含することが意図される。
【0015】
本明細書において、「一態様」、「ある態様」、「ある実施態様」などへの言及は、記載される態様が特有の特徴、構造または特性を包含することができるが、全ての態様が必ずしも特有の特徴、構造または特性を包含する必要がないことを意味する。また、このような語句は、必ずしも同じ態様を指す必要はない。さらに、特有の特徴、構造または特性がある態様と関連して記載される場合、例示的に記載されているか否かに関わらず、他の態様と関連するこのような特徴、構造または特性に影響が及ぶことは、当業者の知識の範囲内であると考えられる。
【0016】
本明細書において、特に指定のない限り、「1つの(a)」または「1つの(an)」という用語は、1つまたは1つ以上を含むように使用され、「または(or)」という用語は、非排他的な「または」を指すように使用される。さらに、本明細書において用いられる表現または専門用語は、特に規定しない限り、単に説明するためのものであり限定するものではないことを理解されたい。
【0017】
本明細書に記載の製造方法において、工程は、時間または操作上の順序が明確に記載される場合を除き、本発明の原理から逸脱することなく、任意の順番で実施することができる。最初に、1つの工程が実施され、次に、いくつかの他の工程が続いて実施される旨の請求項における記述は、任意の他の工程の前に第一の工程が実施されるが、順序が他の工程内でさらに記述されない限り、他の工程を任意の適切な手順で実施することができるという意味を有するものとする。例えば、「工程A、工程B、工程C、工程Dおよび工程E」と記述する特許請求の要素は、工程Aが最初に実施され、工程Eが最後に実施され、そして、工程B、CおよびDが、工程A〜E間で任意の順序で実施することができ、その順序も、特許請求されるプロセスの文言上の範囲内にあるという意味で解釈されるものとする。所与の工程または工程のサブセットもまた、繰り返すことができる。
【0018】
さらに、別々に実施されると特許請求の文言で明確に記述していなければ、特定の工程を同時に実施することができる。例えば、特許請求されるXを行う工程および特許請求されるYを行う工程は、単一の操作内で同時に実施することができ、その結果のプロセスは、特許請求されるプロセスの文言上の範囲内に入る。
【0019】
本発明は、カスケーディングまたはカスケードプロセスを用いてシリコンを精製する方法を提供する。カスケーディングとは物質の向流を指す。カスケーディング向流により、シリコン供給原料がプロセスの一方の端(即ち、開始)に導入され、精製されたシリコンがプロセスのもう一方の端(即ち、終了)において取り出される。アルミニウムなどの溶媒金属は、プロセスの終了の方向へ進み、且つ、プロセスの開始方向に向かって再利用されて、開始時点でプロセスから出ていくことにより、そして、それがプロセスに入る時よりも出ていく時により多くの不純物を含有することにより、プロセスを通して、金属供給原料が移動する方向とは反対方向に移動する。次に、シリコンがプロセスを進行するにつれて、一層純粋な溶媒金属と接触して、その不純物レベルを低下させる。任意の適切なカスケーディング工程数が、本明細書に記載の方法の態様の範囲内に包含されるように想定される。母液は、同工程または他の工程において再利用することができ、また、溶媒金属を追加することもできる。
【0020】
本発明の態様は、他の方法に勝る利益および利点を有することができる。例えば、本発明の利点は、最終精製シリコンにおける、より低く、且つ、より均一な不純物レベルの達成を含むことができる。本方法により、いくつかの他の精製方法により生成されるものよりも、より高く、より一貫した品質であり、且つ、有用な物質を高い割合で有する精製シリコン生成物を生成することができる。従って、本方法により生産された精製シリコンの使用において、物質の廃棄をより少なくすることができ、そして、精製シリコンからより能率的な製品を製造することが可能である。母液をリサイクルする態様においては、母液を単に廃棄する場合よりも、母液中に残留するシリコンが保存され、無駄が少なくなる。本方法によって製造される精製シリコンにおいて、ホウ素およびリンレベルがより低いことにより、他の溶媒金属プロセスにより生成されるものより高い平均セル効率を生成することができる精製シリコンから、ウェーハおよびセルを作製することが可能となり、従って、該精製シリコンは、他の方法を介して生成した物質よりも有用であり得る。ホウ素レベルに対してリンレベルが低いと、得られた多結晶インゴットまたはブールにおいて、P/N接合がもしあったとしても上面近くで形成されるなど、いくつかの態様で有利な品質をもたらす。P/N接合が存在しないか、またはそのようなシリコンの上面に近い接合が存在することは、使用の前に精製シリコンから取り除かれる物質が少なくなる可能性があり、従って、廃棄またはリサイクルされる必要のある物質が少なくなる。リン補填が少ないUMGシリコンから、精製シリコン由来のより高品質な製品、例えば、より高効率な太陽電池を得ることができる。特定の態様の他の利点は、効率を向上させるための得られた精製シリコンの補填、精製シリコンと他の物質との混合、および精製シリコンへの他のドーパントの添加を低下または削減させることを含むことができる。本発明は、結晶化を用いた他のシリコンの精製方法よりも効率的な手法で、シリコンの結晶化に使用される溶媒を利用することができる方法を提供する。本発明は、他のシリコンの精製方法よりも迅速、低コスト、効率的かつ/または無駄の少ない方法を提供する。
【0021】
定義
本明細書において使用される「混合物」とは、相互に物理的に接触している2つ以上の物質の組み合わせを指す。例えば、混合物の成分は、化学的な反応によるのではなく物理的に組み合わされ得る。
【0022】
本明細書において使用される「溶融する」とは、物質が十分に加熱された場合に、固体から液体に変化することを指す。
【0023】
本明細書において使用される「精製する」とは、異物または混入物質から対象の化学物質を物理的または化学的に分離することを指す。
【0024】
本明細書において使用される「接触する」とは、物質を、触れさせる、接触させるまたは密接させる作用を指す。
【0025】
本明細書において使用される「結晶化する」とは、溶液から物質の結晶(結晶性物質)を形成するプロセスを含む。該プロセスは、結晶が形成されるように、供給流を冷却するか、または、所望の生成物の溶解性を低下させる沈殿剤を添加することにより、大概は非常に純度の高い形態で、液体供給流から生成物を分離する。次に、純粋な固体結晶を、デカンテーション、濾過、遠心分離またはその他の手段により残留液から分離する。
【0026】
本明細書において使用される「結晶性」とは、固体中における原子の規則的、幾何学的な配置を含む。
【0027】
本明細書において使用される「分離する」とは、物質を別のものから取り出すプロセスを指す(例えば、混合物から固体または液体を取り出す)。該プロセスは、当業者に公知の任意の適切な技術、例えば、混合物をデカントすること、混合物から1つまたは複数の液体をすくい取ること、混合物を遠心分離すること、混合物から固体を濾過すること、またはこれらの組み合わせを用いることができる。
【0028】
本明細書において使用される「母液(mother liquor)」または「母液(mother liquid)」とは、液体に固体(例えば、結晶)が溶けている溶液の混合物から、固体が取り除かれた後に得られる固体または液体を指す。除去の徹底性に応じて、母液には、これらの固体が微量含まれ得る。
【0029】
本明細書において使用される「シリコン」とは、記号Siおよび原子番号14を有する化学元素を指す。本明細書において使用される「冶金グレードシリコン」または「MGシリコン」または「MG Si」とは、比較的純粋な(例えば、少なくとも約96.0重量%)シリコンを指す。
【0030】
本明細書において使用される「溶融物」とは、溶融された物質を指し、ここで、溶融するとは、固体物質が液体に変わる点(融点と呼ばれる)まで固体物質を加熱するプロセスのことである。
【0031】
本明細書において使用される「溶媒金属」とは、加熱することにより、効率的にシリコンを溶解させ、溶融液体を生じることができる、1つもしくは複数の金属またはその合金を指す。適切な溶媒金属の例には、例えば、銅、スズ、亜鉛、アンチモン、銀、ビスマス、アルミニウム、カドミウム、ガリウム、インジウム、マグネシウム、鉛、その合金およびその組み合わせが挙げられる。
【0032】
本明細書において使用される「合金」とは、少なくとも1つは金属であり、且つ、得られる物質が金属特性を有する、2つまたはそれ以上の元素の均一混合物を指す。得られた金属物質は、通常、その成分とは異なる(場合により大きく異なる)特性を有する。
【0033】
本明細書において使用される「液相線」とは、それ以上では所与の物質が液相において安定である相図上の線を指す。通常、この線は遷移温度を表す。液相線は、物質に応じて直線であってもよく、または、曲線であってもよい。液相線は、ほとんどの場合、金属合金を含む、固溶体などの二成分系に適用される。液相線は固相線と対比され得る。液相線および固相線は、必ずしも1列に並んだり、または重なる必要はなく;液相線と固相線との間にギャップが存在する場合、そのギャップ内では物質は液体または固体のいずれにおいても安定ではない。
【0034】
本明細書において使用される「固相線」とは、それ以下では所与の物質が固相において安定である相図上の線を指す。通常、この線は遷移温度を表す。固相線は、物質に応じて直線であってもよく、または、曲線であってもよい。固相線は、ほとんどの場合、金属合金を含む、固溶体などの二成分系に適用される。固相線は液相線と対比され得る。固相線および液相線は、必ずしも1列に並んだり、または重なる必要はない。固相線および液相線の間にギャップが存在する場合、そのギャップ内では物質は固体または液体のいずれにおいても単独で安定ではなく;その場合は、例えば、オリビン(苦土かんらん石−鉄かんらん石)系である。
【0035】
本明細書において使用される「ドロス」は、溶融金属浴に浮遊している固体不純物の塊を指す。ドロスは、通常、スズ、鉛、亜鉛またはアルミニウムなどの低融点金属または合金の溶融において、あるいは該金属を酸化することにより生じる。ドロスは、例えば、表面からすくい取ることにより除去することができる。スズおよび鉛では、ドロスは、酸化物を溶解させ、スラグを形成する水酸化ナトリウムペレットを添加することにより除去することもできる。他の金属では、塩フラックスを添加してドロスを分離することができる。ドロスは、固体であるという点で、合金上に浮遊する(粘性の)液体であるスラグとは区別される。
【0036】
本明細書において使用される「スラグ」とは、金属を精製するための製錬用の鉱石の副生成物を指す。これらは、金属酸化物の混合物であると考えることができるが、金属硫化物および金属原子を元素形態で含有し得る。スラグは、一般に、金属製錬において廃棄物の除去機構として用いられる。自然においては、鉄、銅、鉛、アルミニウムおよび他の金属などの金属鉱石は、しばしば酸化物および他の金属のケイ酸塩との混合物として純粋でない状態で見出される。製錬過程で鉱石が高温に曝されると、これらの不純物が溶融金属から分離されて、除去することができる。除去された化合物の集積物がスラグである。スラグはまた、例えば、金属の精製を向上させる目的で作製された様々な酸化物および他の物質の混合物であってもよい。
【0037】
本明細書において使用される「不活性ガス」とは、通常の状況下において反応性のない任意のガスまたはガスの組み合わせを指す。不活性ガスは、必ずしも元素である必要はなく、分子ガスであることが多い。希ガスと同様に、反応性がない性質は価電子に起因するものであり、全ての不活性ガスにおいてその最外電子殻は満たされている。不活性ガスは希ガスであってもよいが、必ずしもその必要はない。不活性ガスの例には、例えば、ヘリウム(He)、ネオン(Ne)、アルゴン(Ar)および窒素(N2)が挙げられる。
【0038】
本明細書において使用される「一方向に凝固する」とは、凝固が進行している部分で供給金属が連続的に使用可能であるような、溶融金属の凝固を指す。
【0039】
本明細書において使用される「多結晶シリコン(polycrystalline silicon)」または「ポリ-Si」または「多結晶シリコン(multicrystalline silicon)」とは、複数のシリコン結晶からなる物質を指す。
【0040】
本明細書において使用される「単結晶シリコン」とは、欠陥または不純物をほとんど含まない単一および連続した結晶格子構造を有するシリコンを指す。
【0041】
本明細書において使用される「インゴット」とは、取扱いおよび運搬が比較的容易な形状に鋳造された物質の塊を指す。例えば、融点を超えて加熱され、棒状またはブロック状に成形された金属をインゴットと呼ぶ。
【0042】
本明細書において使用される「ブール」とは、合成により製造された単結晶インゴットを指す。例えば、チョクラルスキー法または「CZ」法においては、種結晶を使用して、大きな結晶またはインゴットを生成する。この種結晶は、純粋な溶融シリコンに浸漬し、ゆっくり抽出される。溶融シリコンは、結晶様式で、種結晶上で成長する。種が抽出されるにつれて、シリコンは固化し、最終的に大きな、円形ブールが生成する。
【0043】
本明細書において使用される「任意の」とは、ある物事があるか、またはないかのいずれかを指す。例えば、任意の工程は、実施されるか、または実施されないかのいずれかの工程である。
【0044】
結晶化溶媒としてアルミニウムを使用してシリコンを精製する本発明の態様が、金属溶媒を使用した物質の精製を包含する広範なプロセスの特定の態様であり、ここで、精製される物質が金属溶媒よりも高い融点を有することを理解されたい。当業者であれば、溶媒としてアルミニウムを使用するシリコンの精製の特定の態様への全ての言及が、多種多様な物質および溶媒に広範に適用可能であることを理解するであろう。
【0045】
シリコンの精製
図1、5および6を参照すると、いくつかの態様に係る、カスケードプロセスを利用してシリコンを精製する方法のブロックフロー図100が示される。第一のシリコン102を、第二の母液104と接触(106)させて、第一の混合物108を形成することができる。第一の混合物108を溶融(110)して、第一の溶融混合物112を生成することができる。次に、第一の溶融混合物112を冷却および分離(114)して、第一のシリコン結晶120および第三の母液116にすることができる。次に、第三の母液116を、プロセスから取り出し、他の製造業において使用するために売却(118)するか、またはその全てもしくは一部をリサイクル(144)して第二の母液104に戻すことができる。第三の母液116が有用である製造業の1つの例として、アルミニウム鋳造工業が挙げられ、鋳造用にアルミニウムシリコン合金に使用される。
【0046】
シリコンまたはシリコン結晶を母液または溶媒金属に接触させることは、当業者に公知の任意の適切な手法で行うことができる。接触させる手法は、シリコンまたはシリコン結晶を母液に添加することを含むことができ、また、母液をシリコンまたはシリコン結晶に添加することも含むことができる。物質が飛び散るのを避けるまたは物質の損失を避ける添加方法は、想定される接触手法に包含される。接触は、かき混ぜもしくは撹拌を伴って、または伴わずに実施することができる。接触により撹拌が生じ得る。接触は、撹拌を生じるように設計することができる。接触は熱を伴って、または伴わずに行われ得る。接触は、熱を発してもよく、吸熱性であってもよく、または熱の発生がない可能性も、もしくは熱が失われる可能性もある。
【0047】
任意のかき混ぜまたは撹拌は、当業者に公知の任意の適切な手法で実施することができる。かき混ぜは、へらまたは他の撹拌器具による機械的なかき混ぜを含むことができる。撹拌は、ガスの注入およびバブリングによる撹拌を含むことができ、また、回転または振とうなどの、容器の物理的撹拌も含むことができる。ある物質の別の物質への添加が撹拌を引き起こす可能性があり、撹拌が生じるように添加方法を設計することができる。ある液体の別の液体への注入もまた、撹拌を引き起こす可能性がある。
【0048】
母液または溶媒金属中のシリコンまたはシリコン結晶混合物の溶融は、当業者に公知の任意の適切な手法で行うことができる。溶融方法は、任意の適切な方法により混合物を加熱して、シリコンまたはシリコン結晶の所望の溶融を生じることを含むことができる。加熱は、溶融混合物が得られた後も続けてよい。溶融方法は、撹拌を伴って、または伴わずに実施することができる。溶融方法はまた、十分に高い温度、例えば、シリコンまたはシリコン結晶の融点温度またはそれを超える温度で、母液または溶媒金属に曝したことによる、シリコンまたはシリコン結晶の溶融も含むことができ;従って、シリコンまたはシリコン結晶を母液または溶媒金属に接触させて混合物を生成する工程を、シリコンまたはシリコン結晶の混合物を溶融する工程と組み合わせて、溶融混合物を得ることができる。混合物の溶融温度は、一貫していない、もしくは可変であってもよく、溶融物質の組成が変化するにつれて変化する。
【0049】
混合物を加熱する方法は、当業者に公知の任意の適切な方法を含む。これらの方法は、例えば、加熱炉での加熱もしくは熱したガスを混合物に注入することによる加熱、または燃焼ガスから生じた炎による加熱を含む。誘導加温を用いてもよい。加熱方法は、放射熱であってもよい。加熱方法は、加熱する物質に電気を通してもよい。また、プラズマを使用して加熱すること、発熱化学反応を使用して加熱すること、または地熱エネルギーを使用して加熱することも含まれる。シリコンまたはシリコン結晶と母液または溶媒金属との混合は、シリコンの不純物および母液内容物に応じて、熱を発しても、熱を吸収してもよく、その結果、いくつかの態様においては、熱源をそれに対応して調整することが有益となる。
【0050】
任意で、冷却する前に、塩素ガス、他のハロゲンガスもしくはハロゲン化物含有ガス、または任意の適切なガスなどのガスを溶融混合物に注入することができる。溶融混合物の冷却は、当業者に公知の任意の適切な手法で実施することができる。室温または溶融混合物の温度より低い温度に曝すことによる冷却など、熱源を除去することによる冷却が含まれる。非加熱炉容器に注ぎ込むことによる冷却および加熱炉温度未満で放冷する冷却が含まれる。いくつかの態様においては、冷却は急速であってもよいが、他の態様においては、冷却は緩徐に行うことができ、従って、冷却する溶融混合物を、現在の溶融混合物の温度よりもわずかに低い冷却源に曝すことが有利となり得る。冷却源の温度は、溶融混合物が冷却されるにつれ、徐々に低下させてもよいが、これは、場合により、冷却に伴って溶融混合物の温度を高感度モニタリングまたは通常モニタリングすることにより達成することができるであろう。得られた結晶化シリコンの純度は、混合物をできるだけゆっくりと冷却することにより向上させることができ、従って、緩徐冷却の全ての適切な手法が、本発明に包含されると想定される。また、冷凍装置などを用いたより急速な冷却方法も含まれる。溶融物質を収容する容器を、冷却物質、例えば、水などの溶融混合物よりも冷たい液体、または別の溶融金属、または外気もしくは冷却された空気などの気体に曝すことが含まれる。溶融混合物への冷却物質の添加、例えば、別のより冷たい母液の添加、またはより冷たい溶媒金属の添加、または後で混合物から除去することができるか、もしくは混合物中に残留させることができる別のより冷たい物質の添加が含まれる。
【0051】
溶融混合物の冷却、およびその後のシリコン結晶と母液との分離から得られる母液は、任意で、プロセスにおける任意の前の工程にリサイクルされることが想定される。一般に、母液からシリコンの結晶化が一旦起こると、少なくともある程度の量のシリコンが、母液中に溶解して留まっていることが望まれる不純物と共に母液中に溶解して残留する。シリコンの全てまたは多くが結晶となる点まで溶融混合物を冷却することは、いくつかの場合では不可能であるか、または得られるシリコン結晶の純度に負の影響をもたらすか、または効果的ではない可能性がある。いくつかの態様においては、シリコンの全量よりも少ない量または過半数量よりも少ない量を溶融混合物から結晶化することのみにより生成したシリコン結晶の純度は、著しくまたは少なくとも部分的に改善することができる。溶媒金属を加熱および溶融するのに必要とされるエネルギーは、先の工程で母液に高温の母液を合わせることと比較して、または高温の母液を再利用することと比較して経済的に非効率となり得る。ある程度のシリコン結晶収量を達成するために、溶融混合物をある温度まで冷却するのに必要とされるエネルギーは、母液をそのような低い温度まで冷却せず、シリコン結晶が低収量であることを許容するが、その後母液をリサイクルすることと比較して非効率となり得る。
【0052】
所望の物質および非所望の物質を母液中に残す利点は、本発明のいくつかの態様に包含されることが想定されるため、いくつかの態様においては、同一の結晶化工程または先の結晶化工程において再度使用される母液のリサイクルは、時に有用な局面となる。母液をリサイクルすることにより、母液を単に廃棄するか、または副生成物として売却する場合よりも、母液の混合物中に残留するシリコンが保存され、無駄が少なくなる。いくつかの態様においては、リサイクルされた母液が母液に含まれない場合より、またはさらに、結晶化が生じた溶媒が純粋な溶媒金属であった場合よりも、リサイクルされた母液を使用することで、またはいくらかのリサイクルされた母液を含む母液を使用することで、同じまたはほぼ同じ純度のシリコン結晶を得ることができる。従って、母液のリサイクルの程度および変形型の全てが、本発明の範囲内に包含される。
【0053】
シリコン固体からの母液の分離は、当業者に公知の任意の適切な方法により実施することができる。液体溶媒を所望の固体から排出させるか、または吸い出す任意の変形型は、本明細書に記載の方法の態様の範囲内に包含される。これらの方法には、デカンテーション、即ち、所望の固体から母液を流し出すことが含まれる。デカンテーションでは、重力により、所望の固体自体もしくは容器の側部に接着させることにより、選択的に固体を保持する格子もしくはメッシュ様仕切りの使用により、または固体に物理的圧力をかけてこれらを所定の位置に保持することにより、所望の固体を適切な位置で保持することができる。分離方法には遠心分離が含まれる。また、任意の濾過媒体を使用して、真空を用いてまたは用いずに、そして圧力を用いてまたは用いずに実施する濾過も含まれる。また、化学的手段、例えば、酸または塩基を使用するなどの、溶解または溶媒の化学変換も含まれる。
【0054】
図1および6を参照すると、次に、第一のシリコン結晶120を、任意で、第一の母液122と接触(106)させて、第二の混合物138を形成することができる。第二の混合物138を、任意で溶融して、第二の溶融混合物140を形成することができる。第二の溶融混合物を、任意で、冷却および分離(114)して、第二のシリコン結晶124および第二の母液104にすることができる。次に、第二の母液104をプロセスに戻して(136)、第一のシリコン102と接触させるか、または第二の母液104の全てもしくは一部をリサイクル(142)して、第一の母液122に戻すことができる。第一のシリコン結晶を接触させる工程から第二のシリコン結晶を得る工程までは任意であり、これらは省略することもでき、またこれらの工程を何回も(例えば、1、2、3、4回など)実施してよい。これらの工程が実施されない(121)場合は、次に、第一のシリコン結晶120を、第一の溶媒金属126と続けて接触させる。
【0055】
別の態様においては、第一のシリコン結晶を接触させる工程から第二のシリコン結晶を得る工程までが実施される。これらの態様においては、工程121は実施しない。従って、第一の溶融混合物112を冷却および分離(114)して、第一のシリコン結晶120および第三の母液116にした後に、第一のシリコン結晶120を第一の母液122と接触(106)させて、第二の混合物138を形成することができる。第二の混合物138を溶融して、第二の溶融混合物140を形成することができる。第二の溶融混合物を冷却および分離(114)して、第二のシリコン結晶124および第二の母液104にすることができる。次に、第二の母液104をプロセスに戻して(136)、第一のシリコン102と接触させるか、または第二の母液104の全てもしくは一部をリサイクル(142)して、第一の母液122に戻すことができる。
【0056】
別の態様においては、第一のシリコン結晶を接触させる工程から第二のシリコン結晶を得る工程までは独立に、実施するかまたは実施しない。従って、第一の溶融混合物112を冷却および分離(114)して、第一のシリコン結晶120および第三の母液116にした後に、第一のシリコン結晶120を、任意で、第一の母液122と接触(106)させて、第二の混合物138を形成してもよく、あるいは、次に、第一のシリコン結晶120を、第一の母液122と接触(106)させて、第二の混合物138を形成してもよい。第二の混合物138を、任意で溶融して、第二の溶融混合物140を形成してもよく、あるいは、第二の混合物138を溶融して、第二の溶融混合物140を形成してもよい。第二の溶融混合物を、任意で、冷却および分離(114)して、第二のシリコン結晶124および第二の母液104にしてもよく、あるいは、第二の溶融混合物を冷却および分離(114)して、第二のシリコン結晶124および第二の母液104にしてもよい。次に、第二の母液104をプロセスに戻して(136)、第一のシリコン102と接触させるか、または第二の母液104の全てもしくは一部をリサイクル(142)して、第一の母液122に戻すことができる。
【0057】
第二のシリコン結晶124を、第一の溶媒金属126と接触(106)させて、第三の混合物128を形成することができる。第三の混合物128を溶融(110)して、第三の溶融混合物130を形成することができる。次に、第三の溶融混合物130を冷却および分離(114)して、第三のシリコン結晶132および第一の母液122にすることができる。次に、第一の母液122の全てもしくは一部をプロセスに戻して(134)、第一のシリコン結晶120と接触させることができる。第一の母液122の全てもしくは一部をリサイクル(123)して、第一の溶媒金属126に戻すことができる。本発明のいくつかの態様においては、第一の溶媒金属126に戻る、母液122の全てもしくは一部のバッチまたは連続リサイクル123は、母液で希釈されるため完全に純粋ではない溶媒金属を含有する成分126を生じ得、母液をリサイクルする工程の全ての変形型が、本発明の範囲内に含まれる。第一の母液の全てもしくは一部を、代替的または追加的にリサイクル(135)して、第二の母液に戻すことができる。
【0058】
いくつかの態様においては、第一のシリコン結晶を接触させる工程から第二のシリコン結晶を得る工程までは実施しない。従って、第一の溶融混合物112を冷却および分離(114)して、第一のシリコン結晶120および第三の母液116にした後に、第一のシリコン結晶120を、第一の溶媒金属126と接触(106)させて(121)、第三の混合物128を形成することができる。第三の混合物128を溶融(110)して、第三の溶融混合物130を形成することができる。次に、第三の溶融混合物130を冷却および分離(114)して、第三のシリコン結晶132および第一の母液122にすることができる。次に、第一の母液122をプロセスに戻して(134)、第一のシリコン結晶120と接触させることができる。第一の母液122の全てもしくは一部をリサイクル(123)して、第一の母液に戻すことができる。
【0059】
第一のシリコン結晶120を作製することを、第一のパスと呼ぶことができる。第二のシリコン結晶124を形成することを、第二のパスと呼ぶことができる。同様に、第三のシリコン結晶132を形成する方法の一部を、第三のパスと呼ぶことができる。本発明の方法の範囲内で想定されるパスの回数は限定されない。
【0060】
母液をより効率的に使用するために、母液から達成される結晶化の回数を増加させることにより、母液から回収されるシリコンの量を増加させることにより、またはプロセスの次のパスに入る前にシリコン結晶の収量を増加させることにより、繰り返しパスを実施することができるが、本発明の方法の範囲内で想定されるパスの繰り返し回数は限定されない。繰り返しパスが実施される場合、それぞれの母液を、そのパスの繰り返しの全てまたは一部において再利用することができる。繰り返しパスは、連続的にまたは並行して実施してもよい。繰り返しパスが連続的に実施される場合、一つの単一容器内で実施してもよく、またはいくつかの容器で順に実施してもよい。繰り返しパスが並行して実施される場合、いくつかの結晶化を並行して行うことが可能ないくつかの容器を使用してもよい。「連続」および「並行」という用語は、工程が実施される順番を厳密に制限することを意図するものではなく、むしろ、工程を一度にまたはほぼ同時に行うことを大まかに記載するものである。
【0061】
繰り返しパス、例えば、第一、第二、第三または任意のパスの繰り返しは、パスにおいて母液の全てもしくは一部を再利用することなどにより、いくつかの純度の低い母液をより効率的に活用することができる。存在する母液をより純粋にするために、一つの方法として、追加の溶媒金属(母液よりも純粋である)を母液に添加してもよい。例えば、プロセスにおける後続の結晶化工程から得られるなどの、別のより純粋な母液を母液に添加することが、その純度を向上させる別の方法であり得る。また、特定のパスにおいて使用されていた母液の一部または全てを廃棄するか、または前のパスで使用するか、または同じパスの前の繰り返しで使用してもよい。
【0062】
パスの繰り返しおよび対応する母液の再利用を行うための考えられる理由の1つは、カスケーディング工程における物質収支を、全プロセスの一部または全てにおいて一定にすることであり得る。適切な純度のシリコンを、カスケードの任意の段階で添加することができ、またこれらを、先のパスからのシリコンと共にまたはこれを伴わずに添加することができるが、工程の繰り返しと同様に、これを行うための考えられる理由の1つは、カスケーディング工程の物質収支を一部または全体で均衡させることであり得る。
【0063】
繰り返しパスにおいて、母液の純度を向上させることなく、母液を完全に再利用することができる。あるいは、繰り返しパスにおいて、より純粋な溶媒金属または後続の工程からの母液を使用して、純度を向上させた母液を部分的に再利用して、母液の純度を向上させることができる。例えば、第一のパスを、2つの異なる容器を使用して並行して繰り返してもよく、ここでは、母液がパスの第一段階からパスの第一の繰り返しへ向かうプロセスの開始に向かって流れ、シリコンがパスの第一段階とパスの繰り返し段階の両方に添加され、そして、シリコンが後続のパスに続くパスの第一段階とパスの繰り返しの両方から取り出される。別の例では、第一のパスを、2つの異なる容器を使用して並行して繰り返してもよく、ここでは、母液の一部がパスの第一段階からパスの第一の繰り返しへ向かうプロセスの開始に向かって流れ、そして、母液の別の一部がパスの繰り返しにおいて再利用されることなく、先の工程へ向かうプロセスの開始に向かって流れ、シリコンがパスの第一段階とパスの繰り返し段階の両方に添加され、そして、シリコンが後続のパスに続くパスの第一段階とパスの繰り返しの両方から取り出される。
【0064】
また、第一のパスを、1つの容器を使用して連続して繰り返すこともでき、ここでは、第一の結晶化および分離の後に、そのパスからの使用された母液の一部が再利用のために保持され、後続のパスからのいくつかの母液が添加され、そして、繰り返しパスにおいて、追加のシリコンと共に別の結晶化が実施される。繰り返しの後、母液を別の先の工程に完全に移してもよい。あるいは、繰り返し後、母液の一部のみを、パスにおける再利用のために保持される母液の残りと共に、別の先の工程に移してもよい。母液の少なくとも一部は、最終的に先の工程に移すべきであるが、そうでなければ、その母液の不純物が容認できないレベルに至る可能性があり、また、カスケードの物質収支を維持することが困難になり得る。別の例では、第一のパスを、1つの容器を使用して連続的に繰り返すこともでき、ここでは、第一の結晶化および分離の後に、繰り返しパスにおいて、そのパスからの使用された母液の全てが再利用のために保持され、そして、繰り返しパスにおいて、追加のシリコンと共に別の結晶化が実施される。
【0065】
後続のパスを、同一もしくは異なる容器で、または先のパスと同様に実施することができる。例えば、第一のパスを、第二のパスと同一の容器で行ってもよい。または、第一のパスを、第二のパスと異なる容器で行ってもよい。パスを同一の容器で繰り返してもよい。例えば、第一のパスの第一段階を特定の容器で行ってもよく、次に、第一のパスの第一の繰り返しを同一の容器で行うこともできる。大規模処理の経済性により、複数の後続または同時パスのために同一の容器を再利用することは、いくつかの態様において、有利となり得る。いくつかの態様においては、固体を移動させるよりも、液体を容器から容器に移動させることのほうが経済的に有益であり得るため、本発明の態様は、容器の再利用の全ての変形型、また、様々な容器の使用の全ての変形型を包含する。従って、後続のパスを、先のパスと異なる容器で実施してもよい。繰り返しパスを、そのパスの前の実施と同一の容器で実施してもよい。
【0066】
母液の不純物は、プロセスの開始に向かって移動するにつれて、ホウ素および他の不純物の濃度がより高い濃度へと増加する。母液を、結晶化(結晶形成)の各工程において必要に応じて再利用して、プロセス全体の質量を一定にすることができる。再利用の回数は、利用するシリコン比、所望の化学および系の所望のスループットに対する溶媒金属(例えば、アルミニウム)の関数であり得る。
【0067】
上述した工程のいずれかにおいて結晶を形成した後、溶媒金属を、酸、塩基または他の化学物質を用いて溶解させるか、そうでなければ結晶から除去することができる。任意の粉末、残留溶媒金属または異物混入物を、同様に機械的手段により除去することができる。塩酸(HCl)を用いて、カスケードフレークまたは結晶から溶媒金属を溶解し除去することができる。使用済みHClを、特に、廃水または飲用水を処理するために、ポリ塩化アルミニウム(PAC)または塩化アルミニウムとして売却することができる。フレークからアルミニウムを溶解し除去するために、フレークを清浄なものから不純に、且つ、酸を清浄なものから使用済みにそれぞれ反対の方向に移動させる対向流系を、複数のタンクを用いて使用することができる。バグハウスを使用して、フレークから遊離した粉末を引き離すことができ、そして、酸浸出の後に、フレークから粉末の球、異物混入物または溶解しないアルミニウムを、V溝付きスロットおよび振とうを用いて分離することができる。
【0068】
結晶またはフレークを、さらに溶融することができる。ガスまたはスラグを、溶融シリコンと接触させることができる。約0.5〜50重量%のスラグを、シリコンに添加することができる。例えば、ある程度の量のSiO2を含有するスラグを利用することができる。フレークを、スラグ添加を伴うことができる加熱炉で溶融させることができ、そして、スラグ添加は、フレーク溶融の前、その間またはその後に行うことができる。スラグ添加を用いて、フレークを溶融することができる。フレークは、真空下、不活性雰囲気下または標準大気圧下で溶融することができる。加熱炉にアルゴンをポンプ注入して、アルゴンブランケットを生成してもよく、または真空炉を使用してもよい。フレークは、約1410℃超で溶融することができる。溶融シリコンは、約1450℃〜約1700℃で保持することができる。スラグまたはドロスを、加熱炉内のシリコン溶融を保持しながらスラッギング中に、またはガス注入中に浴表面から取り除くことができる。次に、溶融シリコンを鋳型に注ぎ、一方向凝固することができる。溶融シリコンは、最初にセラミックフィルターで濾過することができる。
【0069】
次に、例えば、シリコンを一方向に凝固することができる。冷却後、「最終凝固」シリコンの一部を除去してもよい。「最終凝固」シリコンとは、試料インゴットまたはブール中において最後に凝固し、最も多くの不純物を含有するシリコンを指し、従って、シリコンのこの部分を除去することは、全体的により純粋なシリコンを生成するために役立ち得る。最終凝固シリコンの約5〜約30%を除去してもよい。凝固するにつれて、シリコンに温度勾配を適用することで、インゴットを一方向に凝固することができる。シリコンを一方向に凝固して、大きな1〜3トンのインゴットにすることができる。シリコンは、インゴットの底部から最上部に向けて一方向に凝固することができる。例えば、温度勾配の形成または形成を助けるために、インゴットの最上部を加熱してもよく、あるいは、温度勾配の形成または形成を助けるために、インゴットの底部を冷却してもよい。底部から最上部に一方向に凝固して、そして、シリコンインゴットの最上部の約1%〜約30%または約5%〜約30%を除去することにより、凝固プロセスを1回または複数回繰り返すことができる。インゴットの最上部は、凝固前に捨ててもよい。最終凝固部位を切り取るか、または塊にして粉砕してもよい。最終凝固シリコンを、リサイクルしてプロセスの任意のパスに戻すことができる。一方向に凝固したインゴットの側部および底部を切り取り、リサイクルしてプロセスに戻すことができる。シリコンの表面を、任意の工程間で、研磨媒体により粉砕および/またはエッチングすることができる。各追加の一方向凝固工程は、例えば、各元素または化合物の析出係数の違いにより、シリコンをさらに精製する。上記工程のいずれかを、1回または複数回繰り返してもよい。
【0070】
供給原料または冶金グレードシリコンは、例えば、ホウ素を約15ppmw未満、ホウ素を約10ppmw未満、またはホウ素を約6ppmw未満含むことができる。溶媒金属は、アルミニウムであってもよい。アルミニウムは、P1020アルミニウムであってもよく、約1.0ppmw未満、約0.6ppmw未満、または約0.4ppmw未満のホウ素レベルを含む。
【0071】
プロセスの任意の段階で、母液をセラミック発泡体フィルターで濾過してもよく、またはガス注入してもよい。ホウ素またはリンなどの混入物が少ないセラミック材料は、溶融シリコンを保持および溶融するために使用することができる材料の例である。ガスは、例えば、酸素、アルゴン、水、水蒸気、水素、窒素、塩素であってもよく、あるいはこれらの化合物を含有する他のガスまたはその組み合わせを使用してもよい。ランス、回転脱気装置または多孔質プラグにより、溶融シリコンにガスを注入することができる。溶融シリコンに100%酸素ガスを注入することができる。1種類のガスは、約30分間〜約12時間注入することができる。ガスは、スラッギングの前、その後、その間に注入することができる。ガスは、溶融シリコンに、30〜40L/分で4時間、ランスにより注入される100%酸素であってもよい。
【0072】
図2および4を参照すると、いくつかの態様に係る、3重パスカスケードを利用して第一の物質を精製する方法の図200が示される。特定の態様においては、第一の物質はシリコンであり、溶媒金属はアルミニウムである。シリコン216を、第一のパス204精製プロセスの開始に供給することができる。シリコン216を続いてまたは同時に第一のパス202プロセスの第一の繰り返しに供給することができる。第一のパス202および204を同一の加熱炉で続いて実施することができ、ここでは、ある程度の割合の母液224が同一の加熱炉に戻されるか、または残留し、そしてある程度の割合の母液214が取り出される。あるいは、第一のパス202および204を、異なる加熱炉で実施することができる。単回パスから得られたフレークを、202および204の各々から取り出して218に合わせてもよく、またはプロセス202から得られたフレークをプロセス204に供給してもよく、そして、プロセス204から得られたフレークはフレーク218になる。得られた単回パスフレーク218を、第二のパス208および206プロセスに供給して、第二のパスフレーク220を得ることができる。第二のパス206および208を同一の加熱炉で実施することができる。連続して、ある程度の割合の母液224を加熱炉で再溶融することができ、そしてある程度の割合の母液224を単回パス204に送ることができる。第二のパス206および208を、異なる加熱炉で実施することができる。図2および4は、第二のパス208の第一段階および第二のパス206の第一の繰り返しに同時に入るフレーク218、ならびに、プロセス工程202および204の両方を残して第三のパス210に入る第二のパスフレーク220を図示するが、この工程は順番に行ってもよい。次に、第二のパスフレーク220を、第三のパス210精製プロセスに供給し、第三のパスフレーク222を生成することができる。新たな溶媒金属212が第三のパス210のプロセスで開始し、シリコンとは反対方向にプロセスを通って母液224に供給された結果、有用な副生成物として売却することができる過共晶もしくは共晶または母液214が得られる。このような方法で、母液224中の溶媒金属は純度が低下し、シリコン218、220、222とは反対の方向の系を進行し、シリコン218、220、222の純度が向上する。
【0073】
上述の方法により精製されたシリコンは、光起電力デバイスでの使用に適しており、リンよりも少ないホウ素を含有し得る(ppmw)。他の態様においては、上述の方法により精製されたシリコンは、光起電力デバイスでの使用に適しており、リンよりも多いホウ素を含有し得る(ppmw)。いくつかの態様においては、UMGとシーメンス法からのポリシリコンとの混合ならびに高い収量およびセル効率の達成を可能にするため、ホウ素レベルが十分に低い場合、UMGにおいて、リンレベルよりも高いホウ素レベルが有利である。シーメンス法からのポリシリコンは、一般に、ホウ素およびリンレベルが約0.1ppmw未満である。UMGとUMGよりも低いホウ素およびリンレベルを有するポリシリコンとを混合すると、混合UMG/ポリシリコンにおける平均のリンおよびホウ素レベルが低下する。従って、リンレベルよりも高いホウ素レベルを有するUMGシリコンから得られる多結晶インゴットは、リンレベルよりも低いホウ素レベルを有するUMGシリコンから得られる多結晶インゴットよりも、多結晶インゴットの表面により近いP/N接合を有することができる。ホウ素レベルが十分に低く、リンレベルがホウ素レベルよりも低い場合は、全くP/N接合を有さないということがあり得る。ホウ素レベルよりも高いリンレベルを有するUMGシリコンは、多結晶インゴットの上面からより深く、且つ、より離れたP/N接合を有する傾向があり、これによりインゴットからの有用な物質の生成が制限される。いくつかの態様においては、より高い極小抵抗率が次に、UMGまたは混合UMGから成長した多結晶インゴットの底面およびその近くにおいて得ることができるため、ホウ素含有量が約0.7ppmw未満である場合が有利であり得る。0.7ppmwよりも高いホウ素および/またはリンレベルを有するUMGシリコンは、通常、ウェーハの抵抗率を増加させるために補填されて、セル効率が向上する。0.3ppmwよりも高いホウ素および/またはリンレベルを有するUMGシリコンは、ウェーハの抵抗率を増加させるために補填されて、セル効率を向上させることができる。補填は平均セル効率を向上させるが、キャリア移動度の低下およびオージェ再結合などの機構を介する再結合の増加のために、UMGがシーメンス法からのポリシリコンと同程度のセル効率を有することを妨げる傾向がある。ホウ素レベルよりも低いリンレベルを有する精製シリコンはまた、ポリシリコンと混合することなく、太陽電池に加工処理することができる。いくつかの態様においては、任意のドーパント、即ち、ホウ素またはリンのいずれかを、このプロセスから得られた太陽電池シリコンと共に添加しないことも可能である。リンよりも少ないホウ素(ppmw)、0.7ppmw未満のホウ素、および1ppmw未満の他の金属不純物を有する冶金プロセスから得られた精製UMGシリコンを、太陽電池を製造するために使用することができる。
【0074】
リンレベルが約0.2ppmwおよびホウ素レベルが約0.5ppmw、そして他の不純物が1ppmw未満である、冶金プロセスから得られた精製UMGシリコンは、15.0〜15.5%の平均セル効率を生成することができる。現在の標準電池プロセスでは、リンレベルが約0.40ppmwおよびホウ素レベルが約0.45ppmw、そして他の不純物が0.2ppmw未満である、冶金プロセスから得られた精製UMGシリコンは、最適化された電池構造で、15.5〜16.3%の平均セル効率を生成することができる。リンレベルが2.5ppmwおよびホウ素レベルが1.0ppmw、そして他の金属がグロー放電質量分析器(GDMS)で検出限界以下であるUMGシリコン、即ち、UMGに特別な処理を行わない標準電池系からは、14.3〜15.0%の効率の電池を製造することができる。したがって、良好な平均セル効率を得るための許容可能な抵抗率および十分に高いキャリア移動度が得られることから、リンレベルがホウ素レベルよりも低いことは有益であり得る。
【0075】
他の金属
本発明は、金属精製物質からの結晶化を用いて、第一の物質を精製するための方法を含む。当業者であれば、精製される物質であるシリコンおよび精製物質であるアルミニウムまたは他の金属溶媒に関して言及した前述の考察を、金属精製物質からの結晶化を用いることによる、第一の物質の精製に適用することができることは明白であろう。図3を参照すると、いくつかの態様に係る、カスケードプロセスを利用して物質を精製する方法のブロックフロー図300が示される。第一の物質302を、精製物質304と接触(306)させて、第一の混合物308を形成することができる。いくつかの態様においては、精製物質304は第二の母液であってもよい。第一の混合物308を、溶融(310)して、第一の溶融混合物312を形成することができる。次に、第一の溶融混合物312を冷却および分離(314)して、第一の物質の第一の結晶320および第三の母液316にすることができる。次に、第三の母液316をプロセスから取り出して、他の製造業で使用するために売却(318)してもよく、またはその全てもしくは一部をリサイクル(344)して、第二の母液であってもよい精製物質304に戻してもよい。第三の母液316が有用である製造業の1つの例として、金属鋳造工業が挙げられ、鋳造用に金属合金に使用される。
【0076】
当業者であれば、シリコンの精製の特定の態様に関する、図1の説明において上述された様々な手法および技術の全てが、図3に示されるような金属溶媒を使用する第一の物質の精製の一般概念に等価に適用されることを認識するであろう。そのため、図3の説明の一部として適用可能なように、そのような考察が本明細書に組み込まれる。従って、第一の物質または第一の物質の結晶の接触は、当業者に公知の任意の適切な手法で行うことができる。同様に、任意のかき混ぜまたは撹拌工程を、当技術分野で公知の適切な手法で実施することができる。第一の物質または第一の物質の結晶の混合物の溶融は、当技術分野で公知の適切な手法で行うことができる。混合物の加熱方法は、当業者に公知の任意の適切な方法を含む。溶融混合物の冷却は、当業者に公知の任意の適切な手法で実施することができる。溶融混合物の冷却、その後の第一の物質の結晶と母液との分離から得られる母液は、任意で、プロセスの任意の先の工程にリサイクルされることが想定される。母液のリサイクルのあらゆる程度および変形型が、本発明の範囲内に包含される。第一の物質固体からの母液の分離は、当業者に公知の任意の適切な方法により行うことができる。
【0077】
一態様においては、次に、第一の物質の第一の結晶320を、任意で、第一の母液322と接触(306)させて、第二の混合物338を形成することができる。第二の混合物338を、任意で溶融して、第二の溶融混合物340を形成することができる。第二の溶融混合物を、任意で、冷却および分離(314)して、第一の物質の第二の結晶324および第二の母液304にすることができる。次に、第二の母液304をプロセスに戻して(336)、第一の物質302と接触させてもよく、または第二の母液304の全てもしくは一部をリサイクル(342)して、第一の母液322に戻してもよい。第一の物質の第一の結晶を接触させる工程から第一の物質の第二の結晶を得る工程までは任意であり、これらは実施しなくても、またはこれらの工程を数回(例えば、1、2、3、4回など)実施してもよい。これらの工程が実施されない(321)場合、次に、第一の物質の第一の結晶320をその後第一の溶媒金属326に接触させる。
【0078】
別の態様においては、第一の物質の第一の結晶を接触させる工程から第一の物質の第二の結晶を得る工程までが実施される。これらの態様においては、工程321は実施しない。従って、第一の溶融混合物312を冷却および分離(314)して、第一の物質の第一の結晶320および第三の母液316にした後に、第一の物質の第一の結晶320を、第一の母液322と接触(306)させて、第二の混合物338を形成することができる。第二の混合物338を溶融して、第二の溶融混合物140を形成することができる。第二の溶融混合物を冷却および分離(314)して、第一の物質の第二の結晶324および第二の母液304にすることができる。次に、第二の母液304をプロセスに戻して(336)、第一の物質302と接触させてもよく、または第二の母液304の全てもしくは一部をリサイクル(342)して、第一の母液322に戻してもよい。
【0079】
別の態様においては、第一の物質の第一の結晶を接触させる工程から第一の物質の第二の結晶を得る工程までは独立に、実施するかまたは実施しない。従って、第一の溶融混合物312を冷却および分離(314)して、第一の物質の第一の結晶320および第三の母液316にした後に、第一の物質の第一の結晶320を、任意で、第一の母液322と接触(306)させて、第二の混合物338を形成してもよく、あるいは、第一の物質の第一の結晶320を、第一の母液322と接触(306)させて、第二の混合物338を形成してもよい。第二の混合物338を、任意で溶融して、第二の溶融混合物340を形成してもよく、あるいは、第二の混合物338を溶融して、第二の溶融混合物340を形成してもよい。第二の溶融混合物を、任意で、冷却および分離(314)して、第一の物質の第二の結晶324および第二の母液304にしてもよく、あるいは、第二の溶融混合物を冷却および分離(314)して、第一の物質の第二の結晶324および第二の母液304にしてもよい。次に、第二の母液304をプロセスに戻して(336)、第一の物質302と接触させてもよく、または第二の母液304の全てもしくは一部をリサイクル(342)して、第一の母液322に戻してもよい。
【0080】
第一の物質の第二の結晶324を、第二の物質326と接触(306)させて、第三の混合物328を形成することができる。第三の混合物328を溶融(310)して、第三の溶融混合物330を形成することができる。次に、第三の溶融混合物330を冷却および分離(314)して、第一の物質の第三の結晶332および第一の母液322にすることができる。次に、第一の母液322の全てもしくは一部をプロセスに戻して(334)、第一の物質の第一の結晶320と接触させることができる。第一の母液322の全てもしくは一部をリサイクル(323)して、第二の物質326に戻すことができる。本発明のいくつかの態様においては、第二の物質326に戻す母液322の全てもしくは一部のバッチまたは連続リサイクル(323)は、母液で希釈されるため完全に純粋ではない第二の物質を含有する成分326を生じ得る。母液をリサイクルする工程の全ての変形型が、本発明の範囲内に含まれる。第一の母液の全てもしくは一部を、代替的または追加的にリサイクル(335)して、第二の母液であってもよい精製物質304に戻すことができる。
【0081】
いくつかの態様においては、第一の物質の第一の結晶を接触させる工程から第一の物質の第二の結晶を得る工程までは、実施しない。従って、第一の溶融混合物312を冷却および分離(314)して、第一の物質の第一の結晶320および第三の母液316にした後に、第一の物質の第一の結晶320を、第二の物質326と接触(306)させて(321)、第三の混合物328を形成することができる。第三の混合物328を溶融(310)して、第三の溶融混合物330を形成することができる。次に、第三の溶融混合物330を冷却および分離(314)して、第一の物質の第三の結晶332および第一の母液322にすることができる。次に、第一の母液322をプロセスに戻して(334)、第一の物質の第一の結晶320と接触させることができる。第一の母液322の全てもしくは一部をリサイクル(323)して、第一の母液に戻すことができる。
【0082】
第一の物質の第一の結晶320を作製することを、第一のパスと呼ぶことができる。プロセスの次のパスに送る前に、第一の物質の第一の結晶の収量を向上させるために、または母液をより効率的に使用するために(例えば、母液から達成される結晶化の回数を増加させるために)、繰り返し単回パスを実施することができるが、本発明の方法の範囲内においてパスの繰り返し回数は限定されない。繰り返しパスが実施される場合、それぞれの母液を、そのパスの繰り返しの全てまたは一部において再利用することができる。第一の物質の第二の結晶324を形成することを、第二のパスと呼ぶことができる。同様に、第一の物質の第三の結晶332を形成する方法の部分を、第三のパスと呼ぶことができる。本発明の方法の範囲内で想定されるパスの回数は限定されない。
【0083】
当業者であれば、シリコンの精製に関する、連続もしくは並行の繰り返しまたは多重パスに関連した上記説明が、一般に、金属溶媒を用いる第一の物質の精製に適用されることを認識するであろう。そのため、その説明は、適用可能なように本明細書に組み込まれる。従って、本発明の方法は、連続もしくは並行の繰り返し単回パス、あるいは、第二もしくは第三または任意のパスの繰り返しパスが、任意で、より純粋な母液から第一の物質を結晶化させることにより、第一の物質のさらに精製された結晶を生成することができるか、または純度の低い母液をより効率的に活用することができる。分離工程314を省略してもよく、または特定のパスの全ての繰り返しが終了するまで一部の分離のみを行ってもよい。従って、第一の物質の第一の結晶320を、分離工程314を行うことなく生成することができる。分離工程314を、特定のパスの各繰り返しに用いて、第一の物質の結晶の複数の並行または連続バッチを与えることができる。第一の物質を、同時または連続繰り返しパスの任意の部分から取り出すことができる。繰り返しパスにおいて母液の純度を高めてまたは高めることなく、母液を完全にまたは部分的に再利用することができる。本発明の態様は、第一の物質を、パスの各繰り返しを経由して運ぶことを包含する。同一または異なる容器を、パスの繰り返しに使用することができる。同一または異なる容器を、異なるパスに使用することができる。母液は、各工程で数回再利用することができる。適切な純度の第一の物質を任意の工程に添加することができ、プロセスを通して質量を一定にするなど、母液を、第一の物質の結晶化の各工程において必要に応じて再利用することができる。再利用の回数は、利用される第一の物質比、所望の化学および系の所望のスループットに対する第二の物質の関数であり得る。
【0084】
第一の物質の結晶を形成した後、第二の物質を、酸、塩基または他の化学物質を用いて溶解させるか、そうでなければ結晶から除去することができる。任意の粉末、残留溶媒金属または異物混入物を、同様に機械的手段により除去することができる。副生成物を様々な製造業に売却することができる。第一の物質の結晶から第二の物質を溶解して除去するために、結晶を清浄なものから不純に、且つ、第二の物質を除去するための酸または他の適切な化学物質を清浄なものから使用済にそれぞれ反対の方向に移動する対向流系を、複数のタンクを用いて使用することができる。
【0085】
第一の物質の結晶を、さらに溶融することができる。次に、第一の物質を一方向に凝固することができる。冷却後、最後に結晶化した第一の物質の一部を除去することができる。プロセスの任意の段階で、母液をセラミック発泡体フィルターで濾過してもよく、または注入してもよい。任意の適切なセラミック材料を、溶融した母液もしくは混合物または溶融した第一の物質を保持するために使用することができる。母液もしくは溶融した第一の物質または第二の成分にガスを注入することができる。
【0086】
図2を参照すると、いくつかの態様に係る、3重パスカスケードを利用して第一の物質を精製する方法の図200が示される。第一の物質216を、第一のパス204の精製プロセスの開始に供給することができる。第一の物質216を、続いてまたは同時に第一のパス202のプロセスの第一の繰り返しに供給することができる。第一のパス202および204を、同一の加熱炉で連続して実施することができ、ここで、ある程度の割合の母液224が同一の加熱炉に戻されるか、または残留し、そしてある程度の割合の母液214が取り出される。あるいは、第一のパス202および204を、異なる加熱炉で実施することができる。単回パスから得られた結晶を、202および204の各々から取り出して218に合わせてもよい。第一の物質の得られた単回パス固体218を、第二のパス208および206のプロセスに供給して、第一の物質の第二のパス固体220を得ることができる。第二のパス206および208を、同一の加熱炉で実施することができる。連続して、ある程度の割合の母液224を加熱炉で再溶融することができ、そしてある程度の割合の母液224を単回パス204に送ることができる。第二のパス206および208を、異なる加熱炉で実施することができる。図2は、並行して第二のパス208の第一段階および第二のパス206の第一の繰り返しに入る固体218、ならびにプロセス工程202および204の両方を残して第三のパス210に入る第二のパス固体220を示す。しかしながら、この工程は順番に行ってもよい。次に、第二のパス固体220を、第三のパス210の精製プロセスに供給して、第三のパス固体222を生成することができる。新たな第二の物質212が第三のパス210からプロセスを開始し、第一の物質とは反対方向にプロセスを通って母液224に供給され、有用な副生成物として売却することができる共晶または母液214が得られる。このような方法で、母液224中の第二の物質は純度が低下し、第一の物質218、220、222とは反対の方向の系を進行し、第一の物質218、220、222の純度が向上する。
【0087】
当業者であれば、本発明の態様の複雑さに起因して、そして、本発明の特性に起因して、本発明における後続の工程からの母液がシリコンを精製するために前の工程に使用されることを認識するであろう。半連続性の多くのプロセスと同様に、定常状態への到達は、プロセスの開始直後には起こらない。従って、ゼロからカスケードプロセスが開始した時点で、その後の工程からの母液を生成して、カスケードの第一の工程において使用するために、最初の結晶化工程を数回実施することができる。
【0088】
前述の明細書において、開示の本発明が、その特定の好ましい態様に関連して記載され、そして多くの詳細が説明の目的で述べられており、当業者にとって、開示の本発明にはさらなる態様が可能であること、そして、本明細書に記載される特定の詳細が、開示の本発明の基本原理から逸脱することなく大幅に変更可能であることは明白であろう。
【0089】
態様
本発明は、下記の典型的な態様を提供する。
【0090】
態様1は、
(a)第一の混合物を得るために十分に、第一の物質を精製物質と接触させる工程;
(b)第一の溶融混合物を得るために十分に、第一の混合物を溶融する工程;ならびに
(c)第一の物質の第一の結晶および第三の母液を形成するために十分に、第一の溶融混合物を冷却する工程
を含む、第一の物質を精製するための方法であって、
精製物質が、第二の物質を含み;
第一の物質が、第二の物質よりも高い融点を有し;
第二の物質が、金属である、方法を提供する。
【0091】
態様2は、精製物質が、第三の母液よりも少ない不純物を有する、態様1の方法を提供する。
【0092】
態様3は、精製物質が、第一の物質の第一の結晶よりも高い純度まで第一の物質を結晶化することから生成した母液を含む、態様1〜2のいずれか1つの方法を提供する。
【0093】
態様4は、精製物質が、第一の物質を結晶化することから生成した母液を含み、該母液には、該精製物質が、第三の母液よりも少ない不純物を有するように、追加の第二の物質が添加されている、態様1〜3のいずれか1つの方法を提供する。
【0094】
態様5は、精製物質が、第一の物質を結晶化することから生成した母液を含み、該母液には、該精製物質が、第三の母液よりも少ない不純物を有するように、第一の物質の第一の結晶よりも高い純度まで第一の物質を結晶化することから生成した追加の母液が添加されている、態様1〜4のいずれか1つの方法を提供する。
【0095】
態様6は、精製物質が第二の母液を含む、態様1〜5のいずれか1つの方法を提供する。
【0096】
態様7は、第一の物質の第一の結晶と第三の母液とを任意で分離する工程をさらに含む、態様1〜6のいずれか1つの方法を提供する。
【0097】
態様8は、第一の物質の第一の結晶と第三の母液とを任意で分離する工程を実施する、態様7の方法を提供する。
【0098】
態様9は、第一の物質の第一の結晶と第三の母液とを任意で分離する工程をさらに含む方法であって、
工程(a)〜(c)、および任意で、第一の物質の第一の結晶と第三の母液とを分離する工程を少なくとも1回繰り返す、態様1〜8のいずれか1つの方法を提供する。
【0099】
態様10は、最後の前記繰り返しの後、第一の物質の第一の結晶と第三の母液とを分離する工程を実施する、態様9の方法を提供する。
【0100】
態様11は、繰り返しが連続的である、態様9〜10のいずれか1つの方法を提供する。
【0101】
態様12は、繰り返しがほぼ同時である、態様9〜10のいずれか1つの方法を提供する。
【0102】
態様13は、
(a)第二の混合物を得るために十分に、第一の物質の第一の結晶を第一の母液と接触させる工程;
(b)第二の溶融混合物を得るために十分に、第二の混合物を溶融する工程;
(c)第二の溶融混合物を冷却して、第一の物質の第二の結晶および第二の母液を形成する工程;ならびに
(d)第一の物質の第二の結晶と第二の母液とを任意で分離する工程
をさらに含む、態様1〜12のいずれか1つの方法を提供する。
【0103】
態様14は、第一の物質の第二の結晶と第二の母液とを分離する任意の工程を実施する、態様13の方法を提供する。
【0104】
態様15は、
第一の物質の第一の結晶と第三の母液とを任意で分離する工程をさらに含む方法であって、
工程(a)〜(c)、および任意で、第一の物質の第一の結晶と第三の母液とを分離する工程を少なくとも1回繰り返す、態様13〜14のいずれか1つの方法を提供する。
【0105】
態様16は、最後の前記繰り返しの後、第一の物質の第一の結晶と第三の母液とを分離する工程を実施する、態様15の方法を提供する。
【0106】
態様17は、繰り返しが連続的である、態様15〜16のいずれか1つの方法を提供する。
【0107】
態様18は、繰り返しがほぼ同時である、態様15〜16のいずれか1つの方法を提供する。
【0108】
態様19は、
(a)第三の混合物を得るために十分に、第二の結晶を第二の物質と接触させる工程;
(b)第三の溶融混合物を得るために十分に、第三の混合物を溶融する工程;
(c)第三の溶融混合物を冷却して、第一の物質の第三の結晶および第一の母液を形成する工程;ならびに
(d)第一の物質の第三の結晶と第一の母液とを分離する工程
をさらに含む、態様13〜18のいずれか1つの方法を提供する。
【0109】
態様20は、
(a)第三の混合物を得るために十分に、第一の物質の第一の結晶を第二の物質と接触させる工程;
(b)第三の溶融混合物を得るために十分に、第三の混合物を溶融する工程;
(c)第三の溶融混合物を冷却して、第一の物質の第三の結晶および第一の母液を形成する工程;ならびに
(d)第一の物質の第三の結晶と第一の母液とを分離する工程
をさらに含む、態様1〜19のいずれか1つの方法を提供する。
【0110】
態様21は、第一の物質がシリコンである、態様1〜20のいずれか1つの方法を提供する。
【0111】
態様22は、第二の物質がアルミニウムである、態様1〜21のいずれか1つの方法を提供する。
【0112】
態様23は、第二の物質の固体状態が合金である、態様1〜22のいずれか1つの方法を提供する。
【0113】
態様24は、第二の物質の固体状態がアルミニウムの合金である、態様1〜23のいずれか1つの方法を提供する。
【0114】
態様25は、第二の母液が第三の母液の少なくとも一部を含む、態様6〜24のいずれか1つの方法を提供する。
【0115】
態様26は、第一の母液が第二の母液の少なくとも一部を含む、態様13〜25のいずれか1つの方法を提供する。
【0116】
態様27は、第一の母液の少なくともある程度が、第二の物質と共に使用するためにリサイクルして戻される、態様19〜26のいずれか1つの方法を提供する。
【0117】
態様28は、第一の母液の少なくともある程度が、第二の母液と共に使用するためにリサイクルして戻される、態様19〜27のいずれか1つの方法を提供する。
【0118】
態様29は、第一の物質の第三の結晶から、第二の物質の少なくとも一部を除去することをさらに含む、態様19〜28のいずれか1つの方法を提供する。
【0119】
態様30は、第一の物質の結晶から、粉末、第二の物質、混入物、またはそのいくつかの組み合わせを機械的に除去する工程をさらに含む、態様1〜29のいずれか1つの方法を提供する。
【0120】
態様31は、第一の物質の第三の結晶を溶融する工程をさらに含む、態様19〜30のいずれか1つの方法を提供する。
【0121】
態様32は、ガス、第一の物質のスラグ溶融物またはそのいくつかの組み合わせを、溶融した第一の物質の第三の結晶と接触させる工程をさらに含む、態様31の方法を提供する。
【0122】
態様33は、インゴットを形成させるために十分に、溶融した第一の物質の第三の結晶から、第一の物質を一方向に凝固する工程をさらに含む、態様31〜32のいずれか1つの方法を提供する。
【0123】
態様34は、インゴットの一部を除去する工程をさらに含む、態様33の方法を提供する。
【0124】
態様35は、一方向に凝固する工程またはインゴットの少なくとも一部を除去する工程を一回または複数回繰り返す、態様34の方法を提供する。
【0125】
態様36は、工程(a)〜(c)および第一の物質の第一の結晶と第三の母液とを分離する工程を一回または複数回繰り返す、態様1〜35のいずれか1つの方法を提供する。
【0126】
態様37は、工程(a)〜(c)および第一の物質の第二の結晶と第二の母液とを分離する工程を一回または複数回繰り返す、態様13〜36のいずれか1つの方法を提供する。
【0127】
態様38は、1つまたは複数の母液を、セラミック発泡体フィルターおよび/または塩素含有ガスの注入を用いて清浄化する、態様1〜37のいずれか1つの方法を提供する。
【0128】
態様39は、溶融した第一の物質を、セラミック発泡体フィルターまたは塩素含有ガスの注入により清浄化することをさらに含む、態様31〜38のいずれか1つの方法を提供する。
【0129】
態様40は、除去することが、酸、塩基もしくは他の化学物質で溶解することもしくは反応させることまたはその組み合わせを含む、態様29〜39のいずれか1つの方法を提供する。
【0130】
態様41は、ガスが酸素を含む、態様32〜40のいずれか1つの方法を提供する。
【0131】
態様42は、
(a)第一の混合物を得るために十分に、第一のシリコンを第二の母液と接触させる工程;
(b)第一の溶融混合物を得るために十分に、第一の混合物を溶融する工程;
(c)第一の溶融液を冷却して、第一のシリコン結晶および第三の母液を形成する工程;
(d)第一のシリコン結晶と第三の母液とを分離する工程;
(e)第二の混合物を得るために十分に、第一のシリコン結晶を第一の母液と接触させる工程;
(f)第二の溶融混合物を得るために十分に、第二の混合物を溶融する工程;
(g)第二の溶融液を冷却して、第二のシリコン結晶および第二の母液を形成する工程;
(h)第二のシリコン結晶と第二の母液とを分離する工程;
(i)第三の混合物を得るために十分に、第二のシリコン結晶を第一の溶媒金属と接触させる工程;
(j)第三の溶融混合物を得るために十分に、第三の混合物を溶融する工程;
(k)第三の溶融液を冷却して、第三のシリコン結晶および第一の母液を形成する工程;
(l)第三のシリコン結晶と第一の母液とを分離する工程;
(m)溶融した第三の結晶を得るために十分に、第三のシリコン結晶を溶融する工程;
(n)凝固したシリコンを得るために十分に、溶融した第三の結晶を一方向に凝固する工程;
(o)凝固したシリコンの少なくとも一部を除去する工程
を含む、シリコンを精製するための方法であって、
母液および第一の溶媒金属が、溶媒金属を含み、
溶媒金属がアルミニウムを含む、方法を提供する。
【0132】
態様43は、工程(n)の前に、溶融した第三の結晶を、ガスまたはシリコンのスラグ溶融物の少なくとも1つと接触させる工程をさらに含む、態様42の方法を提供する。
【0133】
態様44は、工程(m)〜(o)を、1回または複数回繰り返すことをさらに含む、態様42−43のいずれか1つの方法を提供する。
【0134】
態様45は、
(a)混合物Aを得るために十分に、シリコンAを第三の母液と接触させる工程;
(b)溶融混合物Aを得るために十分に、混合物Aを溶融する工程;
(c)溶融液Aを冷却して、第一のシリコンおよび第四の母液を形成する工程;
(d)第一のシリコンと第四の母液とを分離する工程;
(e)第一の混合物を得るために十分に、第一のシリコンを第二の母液と接触させる工程;
(f)第一の溶融混合物を得るために十分に、第一の混合物を溶融する工程;
(g)第一の溶融液を冷却して、第一のシリコン結晶および第三の母液を形成する工程;
(h)第一のシリコン結晶と第三の母液とを分離する工程;
(i)第二の混合物を得るために十分に、第一のシリコン結晶を第一の母液と接触させる工程;
(j)第二の溶融混合物を得るために十分に、第二の混合物を溶融する工程;
(k)第二の溶融液を冷却して、第二のシリコン結晶および第二の母液を形成する工程;
(l)第二のシリコン結晶と第二の母液とを分離する工程;
(m)第三の混合物を得るために十分に、第二のシリコン結晶を第一の溶媒金属と接触させる工程;
(n)第三の溶融混合物を得るために十分に、第三の混合物を溶融する工程;
(o)第三の溶融液を冷却して、第三のシリコン結晶および第一の母液を形成する工程;
(p)第三のシリコン結晶と第一の母液とを分離する工程;
(q)溶融した第三の結晶を得るために十分に、第三のシリコン結晶を溶融する工程;
(r)凝固したシリコンを得るために十分に、溶融した第三の結晶を一方向に凝固する工程;
(s)凝固したシリコンの少なくとも一部を除去する工程
を含む、シリコンを精製するための方法であって、
母液および第一の溶媒金属が、溶媒金属を含み、
溶媒金属がアルミニウムを含み、
工程(a)〜(d)を、0回、1回または2回繰り返し、
工程(e)〜(h)を、0回、1回または2回繰り返し、
工程(i)〜(l)を、0回、1回または2回繰り返し、
工程(m)〜(p)を、0回、1回または2回繰り返し、
工程(q)〜(s)を、0回、1回または2回繰り返す、方法を提供する。
【0135】
態様46は、
シリコン;
リン;および
ホウ素を含み、
リンの量が、ppmw測定で、ホウ素の量より少なく、
ホウ素の量が、0.7ppmw未満であり、そして
他の金属不純物の量が、それぞれ1ppmw未満である、精製シリコンを提供する。
【0136】
態様47は、他の金属不純物が、1つまたは複数のマグネシウム、チタン、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、モリブデン、カドミウム、スズ、タングステン、鉛およびウランを含む、態様46の精製シリコンを提供する。
【0137】
態様48は、光起電力デバイスに使用するための、態様46〜47のいずれか1つの精製シリコンを提供する。
【実施例】
【0138】
実施例1
単回パスの母液Aを、MG-Siまたは他のシリコン供給原料と混合した。溶融混合物SP(単回パス)Bを冷却して、シリコン結晶「SPフレークB」を成長させ、SP母液Bを得た。SP母液BとSPフレークBとを分離した。SP母液Bを、副生成物としてアルミニウム鋳造、ダイキャストおよび二次製錬工業に売却した。混合物は、約40%シリコンおよび60%アルミニウムであった。混合物をほぼ液相温度に溶融した。混合物を約950℃以上に加熱した。混合物を約720℃に冷却した。混合物から約32重量%のフレークが得られた。冷却を約15時間にわたって行った。約2,200kg以上をバッチサイズとして使用した。
【0139】
2重パス(DP)の母液Bを、MG-Siまたは他のシリコン源と混合した。溶融混合物SP Aを冷却して、シリコン結晶SPフレークAを成長させ、SP母液Aを得た。SP母液AとSPフレークAとを分離した。
【0140】
SP Aフレークおよび/またはSP BフレークならびにDP母液Aを混合した。溶融混合物3「DP B」を冷却して、シリコン結晶DPフレークBを成長させ、DP母液Bを得た。DP母液BとDPフレークBとを分離した。
【0141】
SP Aフレークおよび/またはSP Bフレークならびに母液TPを混合した。溶融混合物4「DP A」を冷却して、シリコン結晶DPフレークAを成長させ、DP母液Aを得た。DP母液AおよびDPフレークAを混合した。
【0142】
DP Aフレークおよび/またはDP Bフレークならびにアルミニウムを混合した。溶融混合物5「TP」の温度をゆっくりと下げて、シリコン結晶TPフレークAを成長させ、TP母液を得た。TP母液とTPフレークとを分離した。
【0143】
HClを使用して、TPフレークからアルミニウムを溶解して除去し、フレークを水およびHClと共にプラスチックバスケットに入れて、そして、強HClと徐々に反応させて、アルミニウムを溶解させ、ポリ塩化アルミニウムにした。ポリ塩化アルミニウムを、副生成物として廃棄物処理または飲用水処理用に売却した。反応は、HClとアルミニウムとの発熱反応からの熱を用いて50〜90℃の間で行った。HCl反応の後に、フレークを水ですすいだ。フレークを乾燥させて、微量のすすぎ水を除去した。
【0144】
任意の粉末または任意の残留アルミニウムおよび/または異物混入物を機械的に除去した。フレークを篩または格子上で振動させ、バグハウスを使用してシリコン粉末をフレークから押し出した。一連の格子を使用して、フレークを粉末の球、難溶性混入物または他の異物から分離した。粉末シリコンを副生成物として売却した。
【0145】
フレークをスラグと共に溶融して溶融シリコンにした。スラグは、7重量%のシリコンのNaCO3+CaO+SiO2混合物であった。鋳込みの前にスラグを浴の表面からすくい取ってもよい。シリコンを、セラミック発泡体フィルターを通して注ぐことができる。
【0146】
1.5トンのインゴットを、底部から最上部に向けて一方向に凝固した。鋳型上に用いられる側部絶縁体より熱伝導性の高い底部を有するトップヒーターを使用した。ファンを使用して鋳型の底部を冷却した。最上部を、刃がダイヤモンドコーティングされた帯鋸または丸鋸で切り取ることができる。最上部は、液体のままで除去することができる。最上部または最終凝固シリコンを、機械的衝撃により塊にして、または熱クエンチングにより粉砕することができる。インゴットにAl2O3媒体を吹き付け、表面を清浄化することができる。最終凝固シリコンの最上部を切り取った。一方向凝固および最終凝固の除去プロセスを2回繰り返した。
【0147】
一態様においては、本プロセスは、ホウ素レベルが0.75未満、アルミニウムレベルが1.0未満、リンレベルが0.8未満、そして他の金属元素レベルが合計1ppmw未満である精製シリコンを生成することができる。別の態様においては、本プロセスは、ホウ素レベルが0.5未満、アルミニウムレベルが0.5未満、リンレベルが0.5未満、金属レベルが0.25ppmw未満、そして、他の元素レベルが合計1ppmw未満である精製シリコンを生成することができる。リンまたは他のN型ドーパントを添加して、シリコンの抵抗率を0.30ohm・cm以上に増加させることができる。本プロセスを用いて、20トン/月超を生成することができる。他の金属不純物には、1つまたは複数のマグネシウム、チタン、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、モリブデン、カドミウム、スズ、タングステン、鉛およびウランが含まれ得る。
【0148】
本プロセスから得られる、最終凝固シリコン、薄片または小片などのシリコンを、本プロセスにおいて、同工程または前の工程で本プロセスに戻すことによりリサイクルすることができる。
【0149】
本プロセスから生成したシリコンを、SIMS(二次イオン質量分析)で試験した結果、Ca<0.0001、Al<0.01、Pが0.172、Bが0.623、Cが5.205およびOが3.771pppmwであった。シリコンをGDMSで試験した結果、Bが0.77、Alが0.22、Pが0.26ppmwであり、その他の試験元素は全て検出限界以下であった。精製シリコンにおけるリンレベル(ppmw)は、ホウ素レベルよりも低い。
【0150】
実施例2
SP母液Aを、MG-Siまたは他のシリコン源と混合した。溶融混合物「SP B」の温度を下げて、シリコン結晶「SPフレークB」を成長させ、SP母液Bを得た。SP母液BとSPフレークBとを分離した。
【0151】
DP母液を、MG-Siまたは他のシリコン源と混合した。溶融混合物「SP A」を冷却して、シリコン結晶「SPフレークA」を成長させ、SP母液Aを得た。SP母液AとSPフレークAとを分離した。
【0152】
SP Aフレークおよび/またはSP Bフレークを、アルミニウムと混合した。溶融混合物「DP」の温度をゆっくりと下げて、シリコン結晶「DPフレークA」を成長させ、DP母液を得た。DP母液とDPフレークとを分離した。
【0153】
HClを使用して、DPフレークからアルミニウムを溶解し除去した。粉末および任意の残留アルミニウムおよび/または異物混入物を機械的に除去した。フレークをスラグと共に溶融し、酸素を含むガスを溶融シリコンに注入した。
【0154】
シリコンを一方向に凝固した。最終凝固シリコンの最上部を切り取った。一方向凝固および最終凝固シリコンの除去を2回繰り返した。一態様においては、本プロセスは、Pが0.29、Bが1.2およびAlが0.01ppmw未満である精製シリコンを生成した(SIMS測定による)。別の態様においては、本プロセスは、Pが0.40、Bが0.88およびAlが0.01ppmw未満の精製シリコンを生成した(SIMS測定による)。
【0155】
2回の一方向凝固を用いた本プロセスは、Pが0.40、Bが0.40およびAlが0.86ppmwの精製シリコンを生成した(SIMS測定による)。本プロセスは、わずか2回の一方向凝固で、アルミニウムレベルをGDMSの検出限界以下に減少させることができる。
【0156】
実施例3
図7は、4重パスカスケードとしての本発明のある態様を示しており、これは4つの加熱炉で実施して、ホウ素が0.52ppmw未満の4重パスシリコンフレーク722を生成する。単回パスの加熱炉は、10,000kgの収容能力を有する。第一のパス704では、2,200kgの60%アルミニウムおよび40%シリコン溶融物(第二のパスから850kgの母液724、第一のパスの第一の繰り返し702から850kgの再利用母液703、および500kgのシリコン716)を、約16時間冷却可能な、溶融混合物を収容することができる容器に注ぎ、これにより約704kgのシリコンの第一のパスフレーク718が生成される。任意の塩素含有ガスを、冷却前に溶融混合物に添加することができる。液体の母液741の約50%は除去して大型の鋳型に入れ、副生成物としてアルミニウム鋳造合金製造用に売却される。母液724の他の50%(第一のパス704から)、即ち、850kgは、第一のパスの第一の繰り返し702用に同一の単回パス加熱炉に液体の形態で注ぎ戻すか、または固体状の大型鋳鉄として添加し戻した。また、液体または固体の850kgの第二のパス母液742を、500kgのシリコン716と共に、第一のパスの第一の繰り返し702用に単回パス加熱炉に注ぐ。これにより、溶融浴が冷却されて、フレークが成長した場合、約704kgの単回パスシリコンフレーク718が生成する。2,200kgのバッチ各々につき、500kgの冶金グレードシリコンまたはスクラップシリコン716を加熱炉に添加する。スクラップシリコン、別のプロセスから精製したシリコンまたは冶金シリコンは、約5ppmw未満のホウ素レベルを有する必要がある。この工程は、プロセスにおいて母液とフレークの量が一定となるように、全サイクル各々において2回行う(例えば、第一のパス704および第一のパスの第一の繰り返し702)。
【0157】
次に、10,000kgの収容能力を有する2重パス加熱炉において、第二のパス708では、704kgの単回パスフレーク718を、1,496kgの母液、即ち、50%が2重パス加熱からの母液(約748kg、724、第二のパス708から)および50%が3重パス加熱炉で2回使用された3重パス加熱からの母液(約748kg、743)と共に溶融する。これにより、704kgの2重パスフレーク720が生成する。母液を、液体または固体の形態で加熱炉に添加することができる。1496kgの母液の半分を、第二のパスの第一の繰り返し706用に使用し724(第二のパス708から)、母液742の残りの半分を、第一のパスの第一の繰り返し702において、母液の純度を高めるために使用する。第二のパスの繰り返し706の後、母液の半分707を第二のパス708において再利用し、残りの半分724(第二のパスの繰り返し706から)を第一のパス704において使用する。スクラップシリコンを、単回パスフレーク718の代わりに加熱炉に添加することができ、これは、2.1ppmw未満のホウ素レベルを有する必要がある。第一のパスと同様に、この工程は、全サイクルの各々において2回行うが(例えば、第二のパス708および第二のパスの第一の繰り返し706)、1または複数回行って、物質収支および母液が使用される回数を調整することができる。
【0158】
次に、2,200kgの収容能力を有する3重パス加熱炉を使用する。第三のパス712では、704kgの2重パスフレーク720を、1,496kgの4重パス母液724と共に溶融する。これにより、704kgの3重パスフレーク730および1回使用された1,496kgの3重パス母液724が生成する。3重パス母液724(第三のパス712から)は、704kgの2重パスフレーク720と共に、第三のパスの第一の繰り返し710用に、同一の加熱炉で完全に再利用される。これにより、704kgの3重パスフレーク730および2回使用された1,496kgの3重パス母液(724(第三のパスの第一の繰り返し710から)および743)が生成する。2重パスフレーク720を使用する代わりに、ホウ素レベルが1.3ppmw未満のスクラップシリコンを使用することができる。
【0159】
次に、2,200kgの収容能力を有する4重パス加熱炉を使用する。1,210kgの3重パスフレーク730を、0.80ppmw未満のホウ素を含有する990kgのアルミニウム712と共に溶融する。これにより、4重パス母液724および4重パスフレーク722が生成する。この工程では、3重パスフレークの代わりに、ホウ素が0.80ppmw未満のスクラップシリコンを使用することができる。
【0160】
各々の工程は、母液またはある程度の割合の母液を1回または複数回再利用することにより行うことができる。当業者であれば、工程の繰り返しの回数を調整すること、母液のリサイクル量を調整すること、ならびに各々の工程に添加されるシリコン量およびシリコン源を調整することにより、カスケード700の物質収支を一定に保つことができることは明白であろう。母液を1つの工程において1度も使用せずに、省略して後続の工程に移すことができる。スクラップシリコン、冶金シリコンまたは他の方法により精製したシリコンを、シリコンユニット用フレークの代わりに本プロセスの任意の工程に添加することができる。フレーク生成工程は2回以上行ってもよく、この実施例では、サイクルにおいて4回のパスと7回の結晶化を示している。本プロセスは、異なるサイズの加熱炉で、異なるバッチサイズで行うことができる。シリコンのアルミニウムに対する比率は、工程ごとに20〜70%に調整することができる。
【0161】
4重パスフレーク722をHClおよび水で処理すると、アルミニウムレベルはおよそ1000〜3500ppmwに低下する。生成したポリ塩化アルミニウムは、水を精製するための副生成物として売却してもよい。次に、4重パスフレークを加熱炉中で溶融し、そこでスラグと反応させる。任意で、溶融シリコンを濾過してもよく、または一方向凝固の前にガス注入してもよい。任意で、溶融アルミニウム−シリコン混合物または母液を濾過することができる。
【0162】
次に、溶融シリコンを一方向に凝固し、最後に凝固する部位を除去する。次に、シリコンを再度一方向に凝固し、最終凝固シリコンの一部を除去する。塩素含有のガスまたは化合物を、結晶を成長させる前に任意のパスに添加することができる。このプロセスからは、結果として、Bが0.45ppmw未満、Pが0.60ppmw未満およびAlが0.50ppmw未満の精製シリコンが生成される。このシリコンは、15.5%超の高効率の光電池製造用のインゴットおよびウェーハを作製するために使用することができる。このシリコンを、他のスクラップシリコンまたは他の方法を用いて精製したシリコンと混合して、光電池用インゴット、ウェーハおよびセルを作製する供給原料を生成することができる。本実施例の方法で精製したシリコンの純度の例を、以下の表に示す。
【0163】
(表1)Si中のBのバルク分析
検出限界 < 0.001 ppmw
【0164】
(表2)Si中のPのバルク分析
検出限界 < 0.003 ppmw
【0165】
(表3)Si中のAlのバルク分析
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)第一の混合物を得るために十分に、第一の物質を精製物質と接触させる工程;
(b)第一の溶融混合物を得るために十分に、第一の混合物を溶融する工程;ならびに
(c)第一の物質の第一の結晶および第三の母液を形成するために十分に、第一の溶融混合物を冷却する工程
を含む、第一の物質を精製するための方法であって、
前記精製物質が、第二の物質を含み;
第一の物質が、第二の物質よりも高い融点を有し;
第二の物質が、金属である、方法。
【請求項2】
精製物質が、第三の母液よりも少ない不純物を有する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
精製物質が、第一の物質の第一の結晶よりも高い純度まで第一の物質を結晶化することから生成した母液を含む、請求項1記載の方法。
【請求項4】
精製物質が、第一の物質を結晶化することから生成した母液を含み、該母液には、該精製物質が第三の母液よりも少ない不純物を有するように、追加の第二の物質が添加されている、請求項1記載の方法。
【請求項5】
精製物質が、第一の物質を結晶化することから生成した母液を含み、該母液には、該精製物質が第三の母液よりも少ない不純物を有するように、第一の物質の第一の結晶よりも高い純度まで第一の物質を結晶化することから生成した追加の母液が添加されている、請求項1記載の方法。
【請求項6】
精製物質が、第二の母液を含む、請求項1記載の方法。
【請求項7】
第一の物質の第一の結晶と第三の母液とを任意で分離する工程をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項8】
第一の物質の第一の結晶と第三の母液とを任意で分離する工程を実施する、請求項7記載の方法。
【請求項9】
第一の物質の第一の結晶と第三の母液とを任意で分離する工程をさらに含む方法であって、
工程(a)〜(c)、および任意で、第一の物質の第一の結晶と第三の母液とを分離する工程を少なくとも1回繰り返す、請求項1記載の方法。
【請求項10】
最後の前記繰り返しの後、第一の物質の第一の結晶と第三の母液とを分離する工程を実施する、請求項9記載の方法。
【請求項11】
繰り返しが連続的である、請求項9記載の方法。
【請求項12】
繰り返しがほぼ同時である、請求項9記載の方法。
【請求項13】
(a)第二の混合物を得るために十分に、第一の物質の第一の結晶を第一の母液と接触させる工程;
(b)第二の溶融混合物を得るために十分に、第二の混合物を溶融する工程;
(c)第二の溶融混合物を冷却して、第一の物質の第二の結晶および第二の母液を形成する工程;ならびに
(d)第一の物質の第二の結晶と第二の母液とを任意で分離する工程
をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項14】
第一の物質の第二の結晶と第二の母液とを分離する任意の工程を実施する、請求項13記載の方法。
【請求項15】
第一の物質の第一の結晶と第三の母液とを任意で分離する工程をさらに含む方法であって、
工程(a)〜(c)、および任意で、第一の物質の第一の結晶と第三の母液とを分離する工程を少なくとも1回繰り返す、請求項13記載の方法。
【請求項16】
最後の前記繰り返しの後、第一の物質の第一の結晶と第三の母液とを分離する工程を実施する、請求項15記載の方法。
【請求項17】
繰り返しが連続的である、請求項15記載の方法。
【請求項18】
繰り返しがほぼ同時である、請求項15記載の方法。
【請求項19】
(a)第三の混合物を得るために十分に、第二の結晶を第二の物質と接触させる工程;
(b)第三の溶融混合物を得るために十分に、第三の混合物を溶融する工程;
(c)第三の溶融混合物を冷却して、第一の物質の第三の結晶および第一の母液を形成する工程;ならびに
(d)第一の物質の第三の結晶と第一の母液とを分離する工程
をさらに含む、請求項13記載の方法。
【請求項20】
(a)第三の混合物を得るために十分に、第一の物質の第一の結晶を第二の物質と接触させる工程;
(b)第三の溶融混合物を得るために十分に、第三の混合物を溶融する工程;
(c)第三の溶融混合物を冷却して、第一の物質の第三の結晶および第一の母液を形成する工程;ならびに
(d)第一の物質の第三の結晶と第一の母液とを分離する工程
をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項21】
第一の物質がシリコンである、請求項1記載の方法。
【請求項22】
第二の物質がアルミニウムである、請求項1記載の方法。
【請求項23】
第二の物質の固体状態が合金である、請求項1記載の方法。
【請求項24】
第二の物質の固体状態がアルミニウムの合金である、請求項1記載の方法。
【請求項25】
第二の母液が第三の母液の少なくとも一部を含む、請求項6記載の方法。
【請求項26】
第一の母液が第二の母液の少なくとも一部を含む、請求項13記載の方法。
【請求項27】
第一の母液の少なくともある程度が、第二の物質と共に使用するためにリサイクルして戻される、請求項19記載の方法。
【請求項28】
第一の母液の少なくともある程度が、第二の母液と共に使用するためにリサイクルして戻される、請求項19記載の方法。
【請求項29】
第一の物質の第三の結晶から、第二の物質の少なくとも一部を除去することをさらに含む、請求項19記載の方法。
【請求項30】
第一の物質の結晶から、粉末、第二の物質、混入物、またはそのいくつかの組み合わせを機械的に除去する工程をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項31】
第一の物質の第三の結晶を溶融する工程をさらに含む、請求項19記載の方法。
【請求項32】
ガス、第一の物質のスラグ溶融物またはそのいくつかの組み合わせを、溶融した第一の物質の第三の結晶と接触させる工程をさらに含む、請求項31記載の方法。
【請求項33】
インゴットを形成させるために十分に、溶融した第一の物質の第三の結晶から、第一の物質を一方向に凝固する工程をさらに含む、請求項31記載の方法。
【請求項34】
インゴットの一部を除去する工程をさらに含む、請求項33記載の方法。
【請求項35】
一方向に凝固する工程およびインゴットの少なくとも一部を除去する工程を一回または複数回繰り返す、請求項34記載の方法。
【請求項36】
工程(a)〜(c)および第一の物質の第一の結晶と第三の母液とを分離する工程を一回または複数回繰り返す、請求項1記載の方法。
【請求項37】
工程(a)〜(c)および第一の物質の第二の結晶と第二の母液とを分離する工程を一回または複数回繰り返す、請求項13記載の方法。
【請求項38】
1つまたは複数の母液を、セラミック発泡体フィルターまたは塩素含有ガスの注入を用いて清浄化する、請求項1記載の方法。
【請求項39】
溶融した第一の物質を、セラミック発泡体フィルターまたは塩素含有ガスの注入により清浄化することをさらに含む、請求項31記載の方法。
【請求項40】
除去することが、酸、塩基もしくは他の化学物質で溶解することもしくは反応させることまたはその組み合わせを含む、請求項29記載の方法。
【請求項41】
ガスが酸素を含む、請求項32記載の方法。
【請求項42】
(a)第一の混合物を得るために十分に、第一のシリコンを第二の母液と接触させる工程;
(b)第一の溶融混合物を得るために十分に、第一の混合物を溶融する工程;
(c)第一の溶融液を冷却して、第一のシリコン結晶および第三の母液を形成する工程;
(d)第一のシリコン結晶と第三の母液とを分離する工程;
(e)第二の混合物を得るために十分に、第一のシリコン結晶を第一の母液と接触させる工程;
(f)第二の溶融混合物を得るために十分に、第二の混合物を溶融する工程;
(g)第二の溶融液を冷却して、第二のシリコン結晶および第二の母液を形成する工程;
(h)第二のシリコン結晶と第二の母液とを分離する工程;
(i)第三の混合物を得るために十分に、第二のシリコン結晶を第一の溶媒金属と接触させる工程;
(j)第三の溶融混合物を得るために十分に、第三の混合物を溶融する工程;
(k)第三の溶融液を冷却して、第三のシリコン結晶および第一の母液を形成する工程;
(l)第三のシリコン結晶と第一の母液とを分離する工程;
(m)溶融した第三の結晶を得るために十分に、第三のシリコン結晶を溶融する工程;
(n)凝固したシリコンを得るために十分に、溶融した第三の結晶を一方向に凝固する工程;
(o)凝固したシリコンの少なくとも一部を除去する工程
を含む、シリコンを精製するための方法であって、
母液および第一の溶媒金属が、溶媒金属を含み、
溶媒金属が、アルミニウムを含む、方法。
【請求項43】
工程(n)の前に、溶融した第三の結晶を、ガスまたはシリコンのスラグ溶融物の少なくとも1つと接触させる工程をさらに含む、請求項42記載の方法。
【請求項44】
工程(m)〜(o)を、1回または複数回繰り返すことをさらに含む、請求項42記載の方法。
【請求項45】
(a)混合物Aを得るために十分に、シリコンAを第三の母液と接触させる工程;
(b)溶融混合物Aを得るために十分に、混合物Aを溶融する工程;
(c)溶融液Aを冷却して、第一のシリコンおよび第四の母液を形成する工程;
(d)第一のシリコンと第四の母液とを分離する工程;
(e)第一の混合物を得るために十分に、第一のシリコンを第二の母液と接触させる工程;
(f)第一の溶融混合物を得るために十分に、第一の混合物を溶融する工程;
(g)第一の溶融液を冷却して、第一のシリコン結晶および第三の母液を形成する工程;
(h)第一のシリコン結晶と第三の母液とを分離する工程;
(i)第二の混合物を得るために十分に、第一のシリコン結晶を第一の母液と接触させる工程;
(j)第二の溶融混合物を得るために十分に、第二の混合物を溶融する工程;
(k)第二の溶融液を冷却して、第二のシリコン結晶および第二の母液を形成する工程;
(l)第二のシリコン結晶と第二の母液とを分離する工程;
(m)第三の混合物を得るために十分に、第二のシリコン結晶を第一の溶媒金属と接触させる工程;
(n)第三の溶融混合物を得るために十分に、第三の混合物を溶融する工程;
(o)第三の溶融液を冷却して、第三のシリコン結晶および第一の母液を形成する工程;
(p)第三のシリコン結晶と第一の母液とを分離する工程;
(q)溶融した第三の結晶を得るために十分に、第三のシリコン結晶を溶融する工程;
(r)凝固したシリコンを得るために十分に、溶融した第三の結晶を一方向に凝固する工程;
(s)凝固したシリコンの少なくとも一部を除去する工程
を含む、シリコンを精製するための方法であって、
母液および第一の溶媒金属が、溶媒金属を含み、
溶媒金属が、アルミニウムを含み、
工程(a)〜(d)を、0回、1回または2回繰り返し、
工程(e)〜(h)を、0回、1回または2回繰り返し、
工程(i)〜(l)を、0回、1回または2回繰り返し、
工程(m)〜(p)を、0回、1回または2回繰り返し、
工程(q)〜(s)を、0回、1回または2回繰り返す、方法。
【請求項1】
(a)第一の混合物を得るために十分に、第一の物質を精製物質と接触させる工程;
(b)第一の溶融混合物を得るために十分に、第一の混合物を溶融する工程;ならびに
(c)第一の物質の第一の結晶および第三の母液を形成するために十分に、第一の溶融混合物を冷却する工程
を含む、第一の物質を精製するための方法であって、
前記精製物質が、第二の物質を含み;
第一の物質が、第二の物質よりも高い融点を有し;
第二の物質が、金属である、方法。
【請求項2】
精製物質が、第三の母液よりも少ない不純物を有する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
精製物質が、第一の物質の第一の結晶よりも高い純度まで第一の物質を結晶化することから生成した母液を含む、請求項1記載の方法。
【請求項4】
精製物質が、第一の物質を結晶化することから生成した母液を含み、該母液には、該精製物質が第三の母液よりも少ない不純物を有するように、追加の第二の物質が添加されている、請求項1記載の方法。
【請求項5】
精製物質が、第一の物質を結晶化することから生成した母液を含み、該母液には、該精製物質が第三の母液よりも少ない不純物を有するように、第一の物質の第一の結晶よりも高い純度まで第一の物質を結晶化することから生成した追加の母液が添加されている、請求項1記載の方法。
【請求項6】
精製物質が、第二の母液を含む、請求項1記載の方法。
【請求項7】
第一の物質の第一の結晶と第三の母液とを任意で分離する工程をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項8】
第一の物質の第一の結晶と第三の母液とを任意で分離する工程を実施する、請求項7記載の方法。
【請求項9】
第一の物質の第一の結晶と第三の母液とを任意で分離する工程をさらに含む方法であって、
工程(a)〜(c)、および任意で、第一の物質の第一の結晶と第三の母液とを分離する工程を少なくとも1回繰り返す、請求項1記載の方法。
【請求項10】
最後の前記繰り返しの後、第一の物質の第一の結晶と第三の母液とを分離する工程を実施する、請求項9記載の方法。
【請求項11】
繰り返しが連続的である、請求項9記載の方法。
【請求項12】
繰り返しがほぼ同時である、請求項9記載の方法。
【請求項13】
(a)第二の混合物を得るために十分に、第一の物質の第一の結晶を第一の母液と接触させる工程;
(b)第二の溶融混合物を得るために十分に、第二の混合物を溶融する工程;
(c)第二の溶融混合物を冷却して、第一の物質の第二の結晶および第二の母液を形成する工程;ならびに
(d)第一の物質の第二の結晶と第二の母液とを任意で分離する工程
をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項14】
第一の物質の第二の結晶と第二の母液とを分離する任意の工程を実施する、請求項13記載の方法。
【請求項15】
第一の物質の第一の結晶と第三の母液とを任意で分離する工程をさらに含む方法であって、
工程(a)〜(c)、および任意で、第一の物質の第一の結晶と第三の母液とを分離する工程を少なくとも1回繰り返す、請求項13記載の方法。
【請求項16】
最後の前記繰り返しの後、第一の物質の第一の結晶と第三の母液とを分離する工程を実施する、請求項15記載の方法。
【請求項17】
繰り返しが連続的である、請求項15記載の方法。
【請求項18】
繰り返しがほぼ同時である、請求項15記載の方法。
【請求項19】
(a)第三の混合物を得るために十分に、第二の結晶を第二の物質と接触させる工程;
(b)第三の溶融混合物を得るために十分に、第三の混合物を溶融する工程;
(c)第三の溶融混合物を冷却して、第一の物質の第三の結晶および第一の母液を形成する工程;ならびに
(d)第一の物質の第三の結晶と第一の母液とを分離する工程
をさらに含む、請求項13記載の方法。
【請求項20】
(a)第三の混合物を得るために十分に、第一の物質の第一の結晶を第二の物質と接触させる工程;
(b)第三の溶融混合物を得るために十分に、第三の混合物を溶融する工程;
(c)第三の溶融混合物を冷却して、第一の物質の第三の結晶および第一の母液を形成する工程;ならびに
(d)第一の物質の第三の結晶と第一の母液とを分離する工程
をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項21】
第一の物質がシリコンである、請求項1記載の方法。
【請求項22】
第二の物質がアルミニウムである、請求項1記載の方法。
【請求項23】
第二の物質の固体状態が合金である、請求項1記載の方法。
【請求項24】
第二の物質の固体状態がアルミニウムの合金である、請求項1記載の方法。
【請求項25】
第二の母液が第三の母液の少なくとも一部を含む、請求項6記載の方法。
【請求項26】
第一の母液が第二の母液の少なくとも一部を含む、請求項13記載の方法。
【請求項27】
第一の母液の少なくともある程度が、第二の物質と共に使用するためにリサイクルして戻される、請求項19記載の方法。
【請求項28】
第一の母液の少なくともある程度が、第二の母液と共に使用するためにリサイクルして戻される、請求項19記載の方法。
【請求項29】
第一の物質の第三の結晶から、第二の物質の少なくとも一部を除去することをさらに含む、請求項19記載の方法。
【請求項30】
第一の物質の結晶から、粉末、第二の物質、混入物、またはそのいくつかの組み合わせを機械的に除去する工程をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項31】
第一の物質の第三の結晶を溶融する工程をさらに含む、請求項19記載の方法。
【請求項32】
ガス、第一の物質のスラグ溶融物またはそのいくつかの組み合わせを、溶融した第一の物質の第三の結晶と接触させる工程をさらに含む、請求項31記載の方法。
【請求項33】
インゴットを形成させるために十分に、溶融した第一の物質の第三の結晶から、第一の物質を一方向に凝固する工程をさらに含む、請求項31記載の方法。
【請求項34】
インゴットの一部を除去する工程をさらに含む、請求項33記載の方法。
【請求項35】
一方向に凝固する工程およびインゴットの少なくとも一部を除去する工程を一回または複数回繰り返す、請求項34記載の方法。
【請求項36】
工程(a)〜(c)および第一の物質の第一の結晶と第三の母液とを分離する工程を一回または複数回繰り返す、請求項1記載の方法。
【請求項37】
工程(a)〜(c)および第一の物質の第二の結晶と第二の母液とを分離する工程を一回または複数回繰り返す、請求項13記載の方法。
【請求項38】
1つまたは複数の母液を、セラミック発泡体フィルターまたは塩素含有ガスの注入を用いて清浄化する、請求項1記載の方法。
【請求項39】
溶融した第一の物質を、セラミック発泡体フィルターまたは塩素含有ガスの注入により清浄化することをさらに含む、請求項31記載の方法。
【請求項40】
除去することが、酸、塩基もしくは他の化学物質で溶解することもしくは反応させることまたはその組み合わせを含む、請求項29記載の方法。
【請求項41】
ガスが酸素を含む、請求項32記載の方法。
【請求項42】
(a)第一の混合物を得るために十分に、第一のシリコンを第二の母液と接触させる工程;
(b)第一の溶融混合物を得るために十分に、第一の混合物を溶融する工程;
(c)第一の溶融液を冷却して、第一のシリコン結晶および第三の母液を形成する工程;
(d)第一のシリコン結晶と第三の母液とを分離する工程;
(e)第二の混合物を得るために十分に、第一のシリコン結晶を第一の母液と接触させる工程;
(f)第二の溶融混合物を得るために十分に、第二の混合物を溶融する工程;
(g)第二の溶融液を冷却して、第二のシリコン結晶および第二の母液を形成する工程;
(h)第二のシリコン結晶と第二の母液とを分離する工程;
(i)第三の混合物を得るために十分に、第二のシリコン結晶を第一の溶媒金属と接触させる工程;
(j)第三の溶融混合物を得るために十分に、第三の混合物を溶融する工程;
(k)第三の溶融液を冷却して、第三のシリコン結晶および第一の母液を形成する工程;
(l)第三のシリコン結晶と第一の母液とを分離する工程;
(m)溶融した第三の結晶を得るために十分に、第三のシリコン結晶を溶融する工程;
(n)凝固したシリコンを得るために十分に、溶融した第三の結晶を一方向に凝固する工程;
(o)凝固したシリコンの少なくとも一部を除去する工程
を含む、シリコンを精製するための方法であって、
母液および第一の溶媒金属が、溶媒金属を含み、
溶媒金属が、アルミニウムを含む、方法。
【請求項43】
工程(n)の前に、溶融した第三の結晶を、ガスまたはシリコンのスラグ溶融物の少なくとも1つと接触させる工程をさらに含む、請求項42記載の方法。
【請求項44】
工程(m)〜(o)を、1回または複数回繰り返すことをさらに含む、請求項42記載の方法。
【請求項45】
(a)混合物Aを得るために十分に、シリコンAを第三の母液と接触させる工程;
(b)溶融混合物Aを得るために十分に、混合物Aを溶融する工程;
(c)溶融液Aを冷却して、第一のシリコンおよび第四の母液を形成する工程;
(d)第一のシリコンと第四の母液とを分離する工程;
(e)第一の混合物を得るために十分に、第一のシリコンを第二の母液と接触させる工程;
(f)第一の溶融混合物を得るために十分に、第一の混合物を溶融する工程;
(g)第一の溶融液を冷却して、第一のシリコン結晶および第三の母液を形成する工程;
(h)第一のシリコン結晶と第三の母液とを分離する工程;
(i)第二の混合物を得るために十分に、第一のシリコン結晶を第一の母液と接触させる工程;
(j)第二の溶融混合物を得るために十分に、第二の混合物を溶融する工程;
(k)第二の溶融液を冷却して、第二のシリコン結晶および第二の母液を形成する工程;
(l)第二のシリコン結晶と第二の母液とを分離する工程;
(m)第三の混合物を得るために十分に、第二のシリコン結晶を第一の溶媒金属と接触させる工程;
(n)第三の溶融混合物を得るために十分に、第三の混合物を溶融する工程;
(o)第三の溶融液を冷却して、第三のシリコン結晶および第一の母液を形成する工程;
(p)第三のシリコン結晶と第一の母液とを分離する工程;
(q)溶融した第三の結晶を得るために十分に、第三のシリコン結晶を溶融する工程;
(r)凝固したシリコンを得るために十分に、溶融した第三の結晶を一方向に凝固する工程;
(s)凝固したシリコンの少なくとも一部を除去する工程
を含む、シリコンを精製するための方法であって、
母液および第一の溶媒金属が、溶媒金属を含み、
溶媒金属が、アルミニウムを含み、
工程(a)〜(d)を、0回、1回または2回繰り返し、
工程(e)〜(h)を、0回、1回または2回繰り返し、
工程(i)〜(l)を、0回、1回または2回繰り返し、
工程(m)〜(p)を、0回、1回または2回繰り返し、
工程(q)〜(s)を、0回、1回または2回繰り返す、方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【公表番号】特表2013−502359(P2013−502359A)
【公表日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−525007(P2012−525007)
【出願日】平成22年8月20日(2010.8.20)
【国際出願番号】PCT/CA2010/001288
【国際公開番号】WO2011/020197
【国際公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【出願人】(510021834)カリソラー カナダ インコーポレイテッド (3)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月20日(2010.8.20)
【国際出願番号】PCT/CA2010/001288
【国際公開番号】WO2011/020197
【国際公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【出願人】(510021834)カリソラー カナダ インコーポレイテッド (3)
【Fターム(参考)】
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