説明

カスパーゼインヒビターおよびその使用

【課題】本発明は、カスパーゼインヒビターとして有用である、新規な化合物、およびその薬学的に受容可能な誘導体を提供する。
【解決手段】これらの化合物は、一般式(I):
【化1】


を有し、ここでR、RおよびRは、本明細書中に記載される通りであり、A環は、0〜2の二重結合を含み、各Xは、独立して窒素または炭素から選択され、A環中の少なくとも1つのXは、窒素であり、環Aは、必要に応じて記載されるように置換され、そして飽和または不飽和の、0〜3個のヘテロ原子を含む5〜7員環に縮合され、但し、Xが炭素である場合、X上の置換基は、窒素以外の原子である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、医薬品化学の分野であり、そして新規な化合物、およびその薬学的組成物に関し、これらは、細胞のアポトーシスおよび炎症を媒介するカスパーゼを阻害する。本発明はまた、本発明の化合物および薬学的組成物を使用して、カスパーゼ活性が関与する疾患を処置する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
アポトーシスまたはプログラムされた細胞死は、所望されない細胞を排除する生物による主な機構である。アポトーシスの自由化(deregulation)、すなわち、過剰なアポトーシスまたはそれを引き起こすのに失敗すること、は、癌、急性炎症および自己免疫障害、虚血疾患および特定の神経変性障害のような多数の疾患に関係する[一般に、Science、281、1283−1312頁(1998);Ellisら、Ann.Rev.Cell.Biol.,7、663頁(1991)]。
【0003】
カスパーゼは、アポトーシスおよび細胞分解のためのシグナル経路における重要なメディエーターであるシステインプロテアーゼ酵素のファミリーである[N.A.Thornberry、Chem.Biol.,5,R97−R103(1998)]。これらのシグナル経路は、細胞型および刺激に非常に依存するが、全てのアポトーシス経路は、キータンパク質のタンパク質分解を導く共通のエフェクター経路に集中すると考えられる。カスパーゼは、シグナル経路のエフェクター相およびその初期におけるさらなる上流の両方に含まれる。初期事象に含まれるこの上流カスパーゼは、活性化され、次いで、アポトーシスの後発相に含まれる他のカスパーゼを活性化する。
【0004】
カスパーゼ−1(最初に同定されたカスパーゼ)はまた、インターロイキン変換酵素すなわち「ICE」として知られる。カスパーゼ−1は、前駆体インターロイキン−1β(「pIL−1β」)を、pIL−1βのAsp−116とAla−117との間の特異的切断により炎症前(pro−inflammatory)活性形態に変換する。カスパーゼ−1に加えて、11種の他の公知のヒトカスパーゼも存在し、これらの全てが、アスパルチル残基において特異的に切断する。これらはまた、切断部位のN末端側上の少なくとも4つのアミノ酸残基に関する厳重な必要条件を有することもまた観察される。
【0005】
これらのカスパーゼは、優性にかまたは主に認識されるアミノ酸配列に依存して、3つのグループに分類された。カスパーゼ1、カスパーゼ4、カスパーゼ5、およびカスパーゼ13を含むカスパーゼのグループは、切断部位のN末端側上の4位において疎水性芳香族アミノ酸が優性であることが示された。カスパーゼ2、カスパーゼ3およびカスパーゼ7を含む別のグループは、切断部位のN末端側上の1位および4位の両方においてアスパルチル残基を認識し、そして好ましくは配列Asp−Glu−X−Aspである。カスパーゼ6、カスパーゼ8、カスパーゼ9およびカスパーゼ10を含む第3のグループは、主な認識配列における多くのアミノ酸に慣用であるが、4位においてバリンおよびロイシンのような分岐した脂肪族側鎖を有する残基を好むようである。
【0006】
カスパーゼはまた、その認められている機能に従って分類されてきた。第1のサブファミリーは、カスパーゼ−1(ICE)、4、5および13からなる。これらのカスパーゼは、前炎症性サイトカインプロセシングに関与し、従って炎症において重要な役割を果たすことが示された。カスパーゼ−1(このクラスで最も研究されている酵素)は、タンパク分解性切断によりIL−1βを活性化する。従って、この酵素は、炎症性応答において鍵となる役割を果たす。カスパーゼ−1はまた、インターフェロンγ誘導因子(IGIF)のプロセシングに関与し、このIGIFは、抗原提示、T細胞活性化および細胞接着を調節する免疫調節因子である。
【0007】
残りのカスパーゼは、第2および第3のサブファミリーを構成する。これらの酵素は、アポトーシスにいたる細胞内シグナル伝達経路において中心的重要性を有する。1つのサブファミリーは、アポトーシス経路における事象の開始に関与し、形質膜からのシグナルの伝達を誘導する。このサブファミリーのメンバーは、カスパーゼ−2、8、9、および10を含む。他のサブファミリー(エフェクターカスパーゼ3、6および7からなる)は、最終的な下流切断事象に関与し、これは、全身的衰弱およびアポトーシスによる細胞死を生じる。上流シグナル伝達に関与するカスパーゼは、下流カスパーゼを活性化し、次いでこれがDNA修復メカニズムを不能にし、DNAを断片化し、細胞骨格を分開し、そして最終的に細胞を断片化する。
【0008】
主にカスパーゼにより認識される4つのアミノ酸配列の知識は、カスパーゼインヒビターを設計するために使用されてきた。可逆的テトラペプチドインヒビター可逆的テトラペプチドインヒビターが調製され、これは、構造CH3CO−[P4]−[P3]−[P2]−CH(R)CHCOHを有し、ここでP2〜P4は、最適アミノ酸認識配列を表わし、そしてRは、カスパーゼシステインスルフヒドリルに結合し得るアルデヒド、ニトリルまたはケトンである。Rano and Thornberry,Chem.Biol.4,149−155 (1997);Mjalliら,Bioorg.Med.Chem.Lett.3,2689−2692 (1993);Nicholsonら,Nature 376,37−43(1995)。類似のテトラペプチド認識配列に基づく不可逆的インヒビターが調製され、ここでRは、アシルオキシメチルケトン−COCHOCOR’である。R’は、2,6−ジクロロベンゾイルオキシのような必要に応じて置換されたフェニルで例示され、そしてRがCOCHXである場合、Xは、FまたはClのような脱離基である。Thornberryら,Biochemistry 33,3934(1994);Dolleら,J Med.Chem.37,563−564(1994)。
【0009】
細胞アポトーシスの増加に関連する種々の哺乳動物疾患状態を処置するためのカスパーゼインヒビターの有用性は、ペプチドカスパーゼインヒビターを使用して証明されている。例えば、齧歯動物モデルにおいて、カスパーゼインヒビターは、梗塞サイズを減少し、心筋梗塞後の心筋細胞アポトーシスを阻害し、これによって、発作から生じる損傷容量および神経学的欠損を低減し、外傷脳傷害における外傷後アポトーシスおよび神経学的欠損を低減し、劇症性肝臓破壊の処置に有効であり、そして内毒素ショック後の生存を改善する[H.Yaoitaら、Circulation、97、276−281頁(1998);M.Endresら、J.Cerebral Blood Flow and Metabolism、18、238−247頁(1998);Y.Chengら、J.Clin.Invest.,101、1992−1999頁(1998);A.G.Yakovlevら、J.Neurosci.,17、7415−7424頁(1997);I.Rodriquezら、J.Exp.Med.184、2067−2072頁(1996);Grobmyerら、Mol.Med.,5、585頁(1999)]。
【0010】
一般的に、上記のペプチド性インヒビターは、いくつかのカスパーゼ酵素に対して非常に有効である。しかし、この有効性は、アポトーシスの細胞モデルに常に反映されてきたわけではない。さらに、ペプチドインヒビターは、代表的には望ましくない薬理学的特性(例えば、乏しい経口吸収、乏しい安定性および急速な代謝)により特徴付けられる。PlattnerおよびNorbeck,Drug Discovery Technologies,ClarkおよびMoos編(Ellis Horwood,Chichester,England,1990)。
【0011】
ペプチド性カスパーゼインヒビターの薬理学的特性を改善する必要性を認識して、ペプチドミメティックインヒビターが報告された。これらの中でも、P3アミノ酸が、3−アミノピリジン−2−オンおよび5−アミノピリミジン−4−オンの誘導体で置換されたインヒビターは、多くの注目を集めており((米国特許第5,756,466 (Bemisら);Dolleら J.Med.Chem.39,2438,(1996);Golecら Bioorg.Med.Chem.Lett.7,2181,(1997);Sempleら,Biorg.Med.Chem.Lett.7,1337,(1997))、一般構造:
【0012】
【化14】


の化合物に至り、ここでRは、水素または種々の基であり、Rは、水素、メチルまたはエチルであり、Rは、アルキル、フェニル、またはフェナルキル(phenalkyl)であり、そしてRは、種々の基である。
【0013】
ペプチド性インヒビターの固有の問題に起因して、強力で、安定で、かつ膜に浸透してインビボで有効なアポトーシス阻害を生じる低分子、非ペプチドカスパーゼインヒビターについての必要性が存在し続ける。このような化合物は、カスパーゼ酵素が役割を果たす上述の疾患を処置する際に非常に有用である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0014】
(発明の要旨)
本発明の化合物およびその薬学的組成物が、カスパーゼおよび細胞アポトーシスのインヒビターとして有効であることが今では見出されている。これらの化合物は、一般式I:
【0015】
【化15】


を有し、ここでRは水素、CN、CHN、R、または−CHYであり;
Rは、脂肪族基、置換脂肪族基、アリール基、置換アリール基、アラルキル基、置換アラルキル基、非芳香族複素環式基または置換非芳香族複素環式基であり;
Yは、電気陰性脱離基、または−OR、−SR、−OC=O(R)、もしくは−OPO(R)(R)であり;
およびRは、独立してRまたはORから選択され;
は、COH、CHCOH、またはエステル、アミド、もしくはその等配電子体であり;
は、水素またはC1〜6直鎖アルキルもしくはC1〜6分岐鎖アルキルであり;
A環は、0〜2の二重結合を含み、そして0〜3個のヘテロ原子を含む飽和または不飽和の5〜7員環に必要に応じて縮合しており;
A環中のXおよびXは、独立して窒素または炭素から選択され、そしてXは、原子価結合、酸素、イオウ、窒素または炭素から選択され、ここで適切な原子価を有する任意のXが置換基を有し得;
A環(存在する場合、縮合環を含む)中の適切な原子価を有する各炭素は、独立して、水素、ハロ、R、OR、SR、OH、NO、CN、NH、NHR、N(R)、NHCOR、NHCONHR、NHCON(R)、NRCOR、NHCOR、COR、COH、COR、CONHR、CON(R)、S(O)R、SONH、S(O)R、SONHR、NHS(O)R、=O、=S、=NNHR、=NNR、=N−OR、=NNHCOR、=NNHCOR、=NNHSOR、または=NRで置換され;
A環中の各置換可能な窒素は、水素、R、COR、S(O)R、またはCORで置換され;
但し、Xが炭素の場合、X上の置換基は、窒素以外の原子に結合され;
そしてさらに但し、A環中の少なくとも1つのXは、窒素である。
【0016】
本発明の化合物は、アポトーシスの細胞モデルにおいて良好な有効性を有する、ある範囲のカスパーゼ標的にわたって、強力な阻害特性を有する。さらに、これらの化合物は、改善された細胞浸透性および薬物動態特性、ならびに、その有効性の結果として、カスパーゼが関与する疾患に対する改善された有効性を有する。
例えば、本願発明は以下の項目を提供する。
(項目1) 式(I):
【化1】


の化合物であって、
ここでRは水素、CN、CHN、R、または−CHYであり;
Rは、脂肪族基、置換脂肪族基、アリール基、置換アリール基、アラルキル基、置換アラルキル基、非芳香族複素環式基または置換非芳香族複素環式基であり

Yは、電気陰性脱離基、または−OR、−SR、−OC=O(R)、もしくは−OPO(R)(R)であり;
およびRは、独立してRまたはORから選択され;
は、COH、CHCOH、またはエステル、アミド、もしくはその等配電子体であり;
は、水素またはC1〜6直鎖アルキルもしくはC1〜6分岐鎖アルキルであり;
A環は、0〜2の二重結合を含み、そして必要に応じて、0〜3個のヘテロ原子を含む飽和または不飽和の5〜7員環に縮合され;
A環中のXおよびXは、独立して窒素または炭素から選択され、そしてXは、原子価結合、酸素、イオウ、窒素または炭素から選択され、ここで適切な原子価を有する任意のXが置換基を有し得;
A環(存在する場合、縮合環を含む)中の適切な原子価を有する各炭素は、独立して、水素、ハロ、R、OR、SR、OH、NO、CN、NH、NHR、N(R)、NHCOR、NHCONHR、NHCON(R)、NRCOR、NHCOR、COR、COH、COR、CONHR、CON(R)、S(O)R、SONH、S(O)R、SONHR、NHS(O)R、=O、=S、=NNHR、=NNR、=N−OR、=NNHCOR、=NNHCOR、=NNHSOR、または=NRで置換され;
A環中の各置換可能な窒素は、水素、R、COR、S(O)R、またはCORで置換され;
但し、Xが炭素の場合、X上の置換基は、窒素以外の原子に結合され;
但し、A環中の少なくとも1つのXは、窒素である、化合物。
(項目2) Rが、COHまたはエステル、アミド、もしくはカルボン酸等配電子体である、項目1に記載の化合物。
(項目3) RがCHYであり、そしてYがF、OR、SR、または−OC=O(R)である、項目2に記載の化合物。
(項目4) Rが水素またはC1〜3アルキルである、項目3に記載の化合物。
(項目5) 以下の式IA:
【化2】


の化合物であって、
ここで、Rは、水素、CN、CHN、R、−CHYであり;
Rは、脂肪族基、置換脂肪族基、アリール基、置換アリール基、アラルキル基、置換アラルキル基、非芳香族複素環式基または置換非芳香族複素環式基であり;
Yは、電気陰性脱離基、または−OR、−SR、−OC=O(R)、もしくは−OPO(R)(R)であり;
およびRは、それぞれ独立してRまたはORから選択され;
は、COH、CHCOH、またはエステル、アミド、もしくはその等配電子体であり;
は、水素またはC1〜6直鎖アルキルもしくはC1〜6分岐鎖アルキルであり;
〜Rのそれぞれは、独立して水素、ハロ、R、OR、SR、アリール、置換アリール、OH、NO、CN、NH、NHR、N(R)、NHCOR、NHCONHR、NHCON(R)、NRCOR、NHCOR、COR、COH、COR、CONHR、CON(R)、S(O)R、SONH、S(O)R、SONHR、またはNHS(O)Rから選択され;そして Rは、水素、ハロ、R、OR、SR、アリール、置換アリール、OH、CN、COR、COH、COR、CONHR、CON(R)、S(O)R、
SONH、S(O)R、またはSONHRから選択される、化合物。
(項目6) 項目5に記載の化合物であって、ここでRはCHYであり、そしてYはF、−OR、−SR、または−OC=O(R)であり;Rは、COHまたはエステル、アミドもしくはその等配電子体であり;Rは、水素またはC1〜3アルキルであり;R〜Rのそれぞれは、独立して水素、R、フェニルまたは置換フェニルから選択され;そしてRは、水素、R,フェニルまたは置換フェニルである、化合物。
(項目7) 以下の式IB:
【化3】


の化合物であって、
ここで、Rは、水素、CN、CHN、R、−CHYであり;
Rは、脂肪族基、置換脂肪族基、アリール基、置換アリール基、アラルキル基、置換アラルキル基、非芳香族複素環式基または置換非芳香族複素環式基であり;
Yは、電気陰性脱離基、または=OR、−SR、−OC=O(R)、もしくは−OPO(R)(R)であり;
およびRは、それぞれ独立してRまたはORから選択され;
は、COH、CHCOH、またはエステル、アミド、もしくはその等配電子体であり;
は、水素またはC1〜6直鎖アルキルもしくはC1〜6分岐鎖アルキルであり;
は、水素、ハロ、R、OR、SR、アリール、置換アリール、OH、NO、CN、NH、NHR、N(R)、NHCOR、NHCONHR、NHCON(R)、NRCOR、NHCOR、COR、COH、COR、CONHR、CON(R)、S(O)R、SONH、S(O)R、SONHR、またはNHS(O)Rから選択され;そして
は、水素、ハロ、R、OR、SR、アリール、置換アリール、OH、CN、COR、COH、COR、CONHR、CON(R)、S(O)R、SONH、S(O)R、またはSONHRから選択される、化合物。
(項目8) 項目7に記載の化合物であって、ここでRは、CHYであり、そしてYはF、−OR、−SR、または−OC=O(R)であり;Rは、COHまたはエステル、アミドもしくはその等配電子体であり;Rは、水素またはC1〜3アルキルであり、RおよびRはそれぞれ水素である、化合物。
(項目9) 以下の式IC:
【化4】


の化合物であって、
ここで、Rは、水素、CN、CHN、R、−CHYであり;
Rは、脂肪族基、置換脂肪族基、アリール基、置換アリール基、アラルキル基、置換アラルキル基、非芳香族複素環式基または置換非芳香族複素環式基であり;
Yは、電気陰性脱離基、または−OR、−SR、−OC=O(R)、もしくは−OPO(R)(R)であり;
およびRは、独立してRまたはORから選択され;
は、COH、CHCOH、またはエステル、アミド、もしくはその等配電子体であり;
は、水素またはC1〜6直鎖アルキルもしくはC1〜6分岐鎖アルキルであり;
およびRは、それぞれ独立して、水素、ハロ、R、OR、SR、アリール、置換アリール、OH、NO、CN、NH、NHR、N(R)、NHCOR、NHCONHR、NHCON(R)、NRCOR、NHCOR、COR、COH、COR、CONHR、CON(R)、S(O)R、SONH、S(O)R、SONHR、NHS(O)R、=O、=S、=NNHR、=NNR、=N−OR、=NNHCOR、=NNHCOR、=NNHSOR、または=NRから選択され;
但し:
(i)RがCOOHであり、XがCHであり、かつRがCHYである場合、Yは−OC(=O)Rではなく;
(ii)RがCOOHであり、XがCHであり、RがHであり、かつRがRである場合、Rは−CHNHSO−(アルキル)または−CHNHSO−(シクロアルキル)ではない、
化合物。
(項目10) 項目9に記載の化合物であって、ここでRは、CHYであり、そしてYはF、−OR、−SR、または−OC=O(R)であり;Rは、COHまたはエステル、アミドもしくはその等配電子体であり;Rは、水素またはC1〜3アルキルであり;Rは水素であり;そしてXが窒素または炭素である場合、Rは水素である、化合物。
(項目11) 以下の式ID:
【化5】


ここでRは水素、CN、CHN、R、または−CHYであり;
Rは、脂肪族基、置換脂肪族基、アリール基、置換アリール基、アラルキル基、置換アラルキル基、非芳香族複素環式基または置換非芳香族複素環式基であり;
Yは、電気陰性脱離基、または−OR、−SR、−OC=O(R)、もしくは−OPO(R)(R)であり;
およびRは、独立してRまたはORから選択され;
は、COH、CHCOH、またはエステル、アミド、もしくはその等配電子体であり;
は、水素またはC1〜6直鎖アルキルもしくはC1〜6分岐鎖アルキルであり;
は、独立して、水素、ハロ、R、OR、SR、アリール、置換アリール、OH、NO、CN、NH、NHR、N(R)、NHCOR、NHCONHR、NHCON(R)、NRCOR、NHCOR、COR、COH、COR、CONHR、CON(R)、S(O)R、SONH、S(O)R、SONHR、またはNHS(O)Rから選択され;
は、水素、ハロ、R、OR、SR、アリール、置換アリール、OH、CN、COR、COH、COR、CONHR、CON(R)、S(O)R、SONH、S(O)R、またはSONHRから選択される、
化合物。
(項目12) 項目11に記載の化合物であって、ここで、RはCHYであり、そてYは、F、−OR、−SR、または−OC=O(R)であり;Rは、COHまたはエテル、アミドもしくはその等配電子体であり;Rは水素またはC1〜3アルキルであり;Rは水素でありそしてRはアラルキルである、化合物。
(項目13) 以下の式IE:
【化6】


ここでRは水素、CN、CHN、R、または−CHYであり;
Rは、脂肪族基、置換脂肪族基、アリール基、置換アリール基、アラルキル基、置換アラルキル基、非芳香族複素環式基または置換非芳香族複素環式基であり;
Yは、電気陰性脱離基、または−OR、−SR、−OC=O(R)、もしくは−OPO(R)(R)であり;
およびRは、独立してRまたはORから選択され;
は、COH、CHCOH、またはエステル、もしくはその等配電子体であり;
は、水素またはC1〜6直鎖アルキルもしくはC1〜6分岐鎖アルキルであり;
は、原子価結合、酸素、イオウ、窒素または炭素から選択され;
およびRは、それぞれ独立して、水素、ハロ、R、OR、SR、アリール、置換アリール、OH、NO、CN、NH、NHR、N(R)、NHCOR、NHCONHR、NHCON(R)、NRCOR、NHCOR、COR、COH、COR、CONHR、CON(R)、S(O)R、SONH、S(O)R、SONHR、またはNHS(O)Rから選択され;
縮合環は、芳香族複素環式環または非芳香族複素環式環である、
化合物。
(項目14) 項目13に記載の化合物であって、ここでRは、CHYでありそしてYは、F、−OR、−SR、−OC=O(R)であり、Rは、COHまたはエステル、アミドもしくはその等配電子体であり、Rは、HまたはC1〜3アルキルであり、そして前記縮合環は、1つの環へテロ原子を有する5員環または6員環の複素環である、化合物。
(項目15) 以下の式IF:
【化7】


の化合物であって、
ここでRは水素、CN、CHN、R、または−CHYであり;
Rは、脂肪族基、置換脂肪族基、アリール基、置換アリール基、アラルキル基、置換アラルキル基、非芳香族複素環式基または置換非芳香族複素環式基であり;
Yは、電気陰性脱離基、または−OR、−SR、−OC=O(R)、もしくは−OPO(R)(R)であり;
およびRは、独立してRまたはORから選択され;
は、COH、CHCOH、またはエステル、アミドもしくはその等配電子体であり;
は、水素またはC1〜6直鎖アルキルもしくはC1〜6分岐鎖アルキルであり;
は、独立して、水素、ハロ、R、OR、SR、アリール、置換アリール、OH、NO、CN、NH、NHR、N(R)、NHCOR、NHCONHR、NHCON(R)、NRCOR、NHCOR、COR、COH、COR、CONHR、CON(R)、S(O)R、SONH、S(O)R、SONHR、またはNHS(O)Rから選択される、化合物。
(項目16) Rは、CHYでありかつYは、F、−OR、−SR、または−OC=O(R)であり;Rは、COHまたはエステル、アミドもしくその等配電子体であり;Rは、水素またはC1〜3アルキルであり;そして
は、Hまたは=Oである、項目15に記載の化合物。
(項目17) 以下の式IG:
【化8】


の化合物であって、
ここでRは水素、CN、CHN、R、または−CHYであり;
Rは、脂肪族基、置換脂肪族基、アリール基、置換アリール基、アラルキル基、置換アラルキル基、非芳香族複素環式基または置換非芳香族複素環式基であり;
Yは、電気陰性脱離基、または−OR、−SR、−OC=O(R)、もしくは−OPO(R)(R)であり;
およびRは、独立してRまたはORから選択され;
は、COH、CHCOH、またはエステル、アミドもしくはその等配電子体であり;
は、水素またはC1〜6直鎖アルキルもしくはC1〜6分岐鎖アルキルであり;
およびRは、それぞれ独立して、水素、ハロ、R、OR、SR、アリール、置換アリール、OH、NO、CN、NH、NHR、N(R)、NHCOR、NHCONHR、NHCON(R)、NRCOR、NHCONHR、COR、COH、COR、CONHR、CON(R)、S(O)R、SONH、S(O)R、SONHR、またはNHS(O)Rから選択され;そして
は、水素、ハロ、R、OR、SR、アリール、置換アリール、OH、CN
、COR、COH、COR、CONHR、CON(R)、S(O)R、SONH、S(O)R、またはSONHRから選択される、
化合物。
(項目18) Rは、CHYでありかつYは、F、−OR、−SR、または−OC=O(R)であり;Rは、COHまたはエステル、アミドもしくはその等配電子体であり;Rは、水素またはC1〜3アルキルであり;
そしてR、RおよびRは、それぞれ水素である、項目17に記載の化合物。
(項目19) 以下の表1〜6:
のいずれかに列挙される化合物から選択される、化合物。
(項目20) a)項目1〜19のいずれか1項に記載の化合物;およびb)薬学的に受容可能なキャリア、アジュバントまたはビヒクル、を含む薬学的組成物。
(項目21) 患者において、以下:
IL−1媒介疾患、アポトーシス媒介疾患、炎症性疾患、自己免疫疾患、骨破壊的障害、増殖性障害、感染性疾患、変性疾患、細胞死に関連する疾患、過剰食事性アルコール摂取疾患、ウイルス媒介疾患、網膜障害、ブドウ膜炎、炎症性腹膜炎、変形性関節症、膵臓炎、ぜん息、成人呼吸促進症候群、糸球体腎炎、慢性関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、強皮症、慢性甲状腺炎、グレーヴズ病、自己免疫性胃炎、糖尿病、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性好中球減少、血小板減少、活動性慢性肝炎、重症筋無力症、炎症性腸疾患、クローン病、乾癬、アトピー性皮膚炎、瘢痕、対宿主性移植片病、器官移植拒絶、熱傷後器官アポトーシス、骨粗しょう症、白血病および関連障害、脊髄形成異常症候群、多発性骨髄腫関連骨障害、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、転移性黒色腫、カポージ肉腫、多発性骨髄腫、出血性ショック、セプシス、敗血症性ショック、熱傷、細菌性赤痢、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンティングトン病、ケネディ病、プリオン病、大脳虚血、てんかん、心筋虚血、急性心臓病および慢性心臓病、心筋梗塞、うっ血性心不全、アテローム性動脈硬化症、冠状動脈バイパス移植片、棘筋萎縮症、筋萎縮性側索硬化症、多発性硬化症、HIV関連脳炎、加齢、脱毛症、発作に起因する神経学的損傷、潰瘍性大腸炎、外傷性脳損傷、脊髄損傷、B型肝炎、C型肝炎、G型肝炎、黄熱病、デング熱、または日本脳炎、肝臓疾患の種々の形態、腎疾患、多発性嚢胞腎病、H.ピロリ関連胃および十二指腸潰瘍、HIV感染、結核、髄膜炎、から選択される疾患を処置または予防するための方法であって、該方法は、該患者に項目1〜19のいずれか1項に記載の化合物または項目20に記載の薬学的組成物を投与する工程を包含する、方法。
(項目22) 項目21に記載の方法であって、ここで前記疾患が、アポトーシス媒介疾患、炎症性疾患、自己免疫疾患、骨破壊的障害、増殖性障害、感染性疾患、変性疾患、細胞死に関連する疾患、過剰食事性アルコール摂取疾患、ウイルス媒介疾患、炎症性腹膜炎、糸球体腎炎、糖尿病、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性好中球減少、血小板減少、活動性慢性肝炎、瘢痕、対宿主性移植片病、器官移植拒絶、熱傷後器官アポトーシス、骨粗しょう症、白血病および関連障害、脊髄形成異常症候群、転移性黒色腫、出血性ショック、セプシス、敗血症性ショック、熱傷、細菌性赤痢、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンティングトン病、ケネディ病、プリオン病、大脳虚血、てんかん、心筋虚血、急性心臓病および慢性心臓病、心筋梗塞、うっ血性心不全、アテローム性動脈硬化症、冠状動脈バイパス移植片、棘筋萎縮症、筋萎縮性側索硬化症、多発性硬化症、HIV関連脳炎、加齢、脱毛症、発作に起因する神経学的損傷、外傷性脳損傷、脊髄損傷、B型肝炎、C型肝炎、G型肝炎、肝臓疾患の種々の形態、腎疾患、多発性嚢胞腎病、H.ピロリ関連胃潰瘍および十二指腸潰瘍、HIV感染、結核、または髄膜炎である、方法。
(項目23) 患者におけるカスパーゼ媒介機能を阻害するための方法であって、該患者に、項目1〜19のいずれか1項に記載の化合物または項目20に記載の薬学的組成物を投与する工程を包含する、方法。
(項目24) 患者においてIGIFまたはIFN−γ産生を低減させるための方法であって、項目1〜19のいずれか1項に記載の化合物または請求項20に記載の薬学的組成物を該患者に投与する工程を包含する、方法。
(項目25) 項目1〜19のいずれか1項に記載の化合物の使用方法であって、該化合物が、冠状動脈バイパス移植片に伴う合併症を処置するために使用される、方法。
(項目26) 項目1〜19のいずれか1項に記載の化合物の使用方法であって、該化合物は、細胞の保存のために使用され、該方法が、該化合物またはその薬学的に受容可能な誘導体の溶液中に、該細胞を1回分にまとめる工程を包含する、方法。
(項目27) 項目1〜19のいずれか1項に記載の化合物の使用方法であって、該化合物またはその薬学的に受容可能な誘導体が、器官移植のため、または血液製品を保存するために使用される、方法。
(項目28) 項目1〜19のいずれか1項に記載の化合物の使用方法であって、該化合物が、癌の処置のための免疫治療剤の成分として使用される、方法。
(項目29) 項目1〜19のいずれか1項に記載の化合物の使用方法であって、該化合物が別の治療剤と共に投与される、方法。
(項目30) 式I:
【化9】


の化合物を調製する方法であって、該方法は、以下の工程:
(a)式II:
【化10】


の酸または酸誘導体を提供する工程;
(b)該式IIの酸または酸誘導体を、式4:
【化11】


のアミノアルコールまたはアミノケトンとカップリングして、式III:
【化12】


の中間体を提供する工程;ならびに
(c)該式IIIの中間体を、該式Iの化合物に変換する工程、を包含し、
ここでYは、水素または有機基であり;
Zは、=OまたはOHであり;
は、水素、CN、CHN、R、または−CHYであり;
Rは、脂肪族基、置換脂肪族基、アリール基、置換アリール基、アラルキル基、置換アラルキル基、非芳香族複素環式基または置換非芳香族複素環式基であり;
Yは、電気陰性脱離基または−OR、−SR、−OC=O(R)、もしくは−OPO(R)(R)であり;
およびRは、独立してRまたはORから選択され;
は、COH、CHCOH、またはエステル、アミドまたはその等配電子体であり;
は、水素またはC1〜6直鎖アルキルもしくはC1〜6分岐鎖アルキルであり;
A環は、0〜2の二重結合を含み、そして必要に応じて、0〜3個のヘテロ原子を含む飽和または不飽和の5〜7員環であり;
A環中のXおよびXは、独立して窒素または炭素から選択され、そしてXは、原子価結合、酸素、イオウ、窒素または炭素から選択され、ここで適切な原子価を有する任意のXが置換基を有し得;
A環(存在する場合、縮合環を含む)中の適切な原子価を有する各炭素は、独立して、水素、ハロ、R、OR、SR、OH、NO、CN、NH、NHR、N(R)、NHCOR、NHCONHR、NHCON(R)、NRCOR、NHCOR、COR、COH、COR、CONHR、CON(R)、S(O)R、SONH、S(O)R、SONHR、NHS(O)R、=O、=S、=NNHR、=NNR、=N−OR、=NNHCOR、=NNHCOR、=NNHSOR、または=NRで置換され;
A環中の各置換可能な窒素は、水素、R、COR、S(O)R、またはCORで置換され;
但し、Xが炭素の場合、X上の置換基は、窒素以外の原子に結合され;
但し、A環中の少なくとも1つのXは、窒素である、
方法。
(項目31) 以下の式IIAまたは式IIB:
【化13】


の化合物であって、
ここでYは水素又は有機基であり;
は、C1〜6アルキル基であり;
IIAのピリミジン環またはIIBのキナゾリン環上の置換可能な炭素のそれぞれは、独立して、水素、ハロ、R、OR、SR、OH、NO、CN、NH、NHR、N(R)、NHCOR、NHCONHR、NHCON(R)、NRCOR、NHCOR、COR、COH、COR、CONHR、CON(R)、S(O)R、SONH、S(O)R、SONHR、またはNHS(O)Rで置換され;そして
Rは、必要に応じて置換されるC1〜6アルキル基である、化合物。
(項目32) 項目30に記載の化合物であって、ここでYが、水素又はC1〜6アルキル基である、化合物。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(発明の詳細な説明)
本発明は、カスパーゼインヒビターとして有用である、新規な化合物、およびその薬学的に受容可能な誘導体を提供する。これらの化合物は、一般式I:
【0018】
【化16】


を有し、ここでRは水素、CN、CHN、R、または−CHYであり;
Rは、脂肪族基、置換脂肪族基、アリール基、置換アリール基、アラルキル基、置換アラルキル基、非芳香族複素環式基または置換非芳香族複素環式基であり;
Yは、電気陰性脱離基、または−OR、−SR、−OC=O(R)、もしくは−OPO(R)(R)であり;
およびRは、独立してRまたはORから選択され;
は、COH、CHCOH、またはエステル、アミド、もしくはその等配電子体であり;
は、水素またはC1〜6直鎖アルキルもしくはC1〜6分岐鎖アルキルであり;
A環は、0〜2の二重結合を含み、そして0〜3個のヘテロ原子を含む飽和または不飽和の5〜7員環に必要に応じて縮合しており;
A環中のXおよびXは、独立して窒素または炭素から選択され、そしてXは、原子価結合、酸素、イオウ、窒素または炭素から選択され、ここで適切な原子価を有する任意のXが置換基を有し得;
A環(存在する場合、縮合環を含む)中の適切な原子価を有する各炭素は、独立して、水素、ハロ、R、OR、SR、OH、NO、CN、NH、NHR、N(R)、NHCOR、NHCONHR、NHCON(R)、NRCOR、NHCOR、COR、COH、COR、CONHR、CON(R)、S(O)R、SONH、S(O)R、SONHR、NHS(O)R、=O、=S、=NNHR、=NNR、=N−OR、=NNHCOR、=NNHCOR、=NNHSOR、または=NRで置換され;
A環中の各置換可能な窒素は、水素、R、COR、S(O)R、またはCORで置換され;
但し、Xが炭素の場合、X上の置換基は、窒素以外の原子に結合され;
そしてさらに但し、A環中の少なくとも1つのXは、窒素である。
【0019】
本明細書中で使用される場合、以下の定義が、他に示されない限り適用されるべきである。本明細書中で使用される場合の用語「脂肪族」は、直鎖か、分岐か、または環式のC1〜C12炭化水素を意味し、これらは、完全に飽和であるか、または1つ以上の不飽和単位を含む。例えば、適切な脂肪族基としては、置換または非置換の、直鎖、分岐、または環式の、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基およびそのハイブリッド(例えば、(シクロアルキル)アルキル、(シクロアルケニル)アルキルまたは(シクロアルキル)アルケニル)が挙げられる。単独で使用されるかまたは大きな部分の一部として使用される用語「アルキル」および「アルコキシ」とは、1〜12個の炭素原子を含む、直鎖および分岐鎖の両方をいう。単独で使用されるかまたは大きな部分の一部として使用される用語「アルケニル」および「アルキニル」は、2〜12個の炭素原子を含有する、直鎖および分岐鎖の両方をいう。用語「ハロアルキル」「ハロアルケニル」および「ハロアルコキシ」は、1つ以上のハロゲン原子で置換された、アルキル、アルケニルまたはアルコキシ(場合による)を意味する。用語「ハロゲン」は、F、Cl、Br、またはIを意味する。用語「ヘテロ原子」とは、N、OまたはSを意味し、そして窒素およびイオウの任意の酸化された形態、ならびに任意の塩基性窒素の4級化された形態を含む。
【0020】
単独で使用されるか「アラルキル」でのように大きな部分の一部として使用される用語「アリール」とは、5〜14員環の芳香環基(例えば、フェニル、ベンジル、1−ナフチル、2−ナフチル、1−アントラシル(anthracyl)および2−アントラシル)、ならびに複素環式芳香族基またはヘテロアリール基(例えば、2−フラニル、3−フラニル、N−イミダゾリル、2−イミダゾリル、4−イミダゾリル、5−イミダゾリル、3−イソオキサゾリル、4−イソオキサゾリル、5−イソオキサゾリル、2−オキサジアゾリル、5−オキサジアゾリル、2−オキサゾリル、4−オキサゾリル、5−オキサゾリル、2−ピロリル、3−ピロリル、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル、2−ピリミジル、4−ピリミジル、5−ピリミジル、3−ピリダジニル、3−ピリダジニル、2−チアゾリル、4−チアゾリル、5−チアゾリル、5−テトラゾリル、2−トリアゾリル、5−トリアゾリル、2−チエニル、または3−チエニル)をいう。
【0021】
アリール基はまた、炭素環式芳香環またはヘテロアリール環が、1つ以上の他の環に縮合した、縮合多環式芳香環系を含む。例としては、テトラヒドロナフチル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチエニル、ベンゾフラニル、インドリル、キノリニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンズイミダゾリル、イソキノリニル、イソインドリル、アクリジニル、ベンズイソオキサゾリルなどが挙げられる。1つ以上の炭素環式芳香環および/またはヘテロアリール環が、シクロアルキルまたは非芳香族複素環式環に縮合した基(例えば、インダニルまたはテトラヒドロベンゾピラニル)もまた、本明細書中で使用される場合、用語「アリール」の範囲内に含まれる。.
非芳香族複素環式環は、環の中に1以上のヘテロ原子(例えば、窒素、酸素または硫黄)を含む非芳香族炭素環式環である。この環は、5員環、6員環、7員環もしくは8員環であってよく、そして/または別の環(例えば、シクロアルキルまたは芳香族環)と縮合していてもよい。例としては、以下が挙げられる:3−1H−ベンゾイミダゾール−2−オン、3−1−アルキル−ベンゾイミダゾール−2−オン、2−テトラヒドロフラニル、3−テトラヒドロフラニル、2−テトラヒドロチオフェニル、3−テトラヒドロチオフェニル、2−モルホリノ、3−モルホリノ、4−モルホリノ、2−チオモルホリノ、3−チオモルホリノ、4−チオモルホリノ、1−ピロリジニル、2−ピロリジニル、3−ピロリジニル、1−ピペラジニル、2−ピペラジニル、1−ピペリジニル、2−ピペリジニル、3−ピペリジニル、4−ピペリジニル、4−チアゾリジニル、ジアゾロニル、N−置換ジアゾロニル、1−フタルイミジニル、ベンゾオキサン、ベンゾトリアゾール−1−イル、ベンゾピロリジン、ベンゾピペリジン、ベンゾオキソラン、ベンゾチオラン、およびベンゾチアン。
【0022】
アリール基(炭素環式および複素環式)またはアラルキル基(例えば、ベンジルまたはフェネチル)は、1以上の置換基を含み得る。アリール基の不飽和炭素原子上での適切な置換基の例としては、以下が挙げられる:ハロゲン、−R、−OR、−OH、−SH、−SR、保護OH(例えば、アシルオキシ)、フェニル(Ph)、置換Ph、−OPh、置換−OPh、−NO、−CN、−NH、−NHR、−N(R)、−NHCOR、−NHCONHR、−NHCON(R)、−NRCOR、−NHCOR、−COR、−COH、−COR、−CONHR、−CON(R)、−S(O)R、−SONH、−S(O)R、−SONHR、または−NHS(O)R。ここで、Rは、脂肪族基または置換脂肪族基である。
【0023】
脂肪族基または非芳香族複素環式環は、1以上の置換基を含み得る。脂肪族基または非芳香族複素環式環の飽和炭素上での適切な置換基の例としては、不飽和炭素について上記に列挙した置換基ならびに以下が挙げられる:=O、=S、=NNHR、=NNR、=N−OR、=NNHCOR、=NNHCOR、=NNHSORまたは=NR。
【0024】
芳香族複素環式環または非芳香族複素環式環上の置換可能な窒素は必要に応じて置換され得る。窒素上の適切な置換基としては、R、COR、S(O)R、およびCORが挙げられ、ここでRは脂肪族基または置換脂肪族基である。
【0025】
用語「電気的陰性脱離基」は、当業者に公知の定義を有する(March,Advanced Organic Chemistry,第4版,John Wiley & Sons,1992を参照のこと)。電気的陰性脱離基の例としては、ハロゲン(例えば、F、Cl、Br、I)、−アリールおよびアルキルスルホニルオキシ基、トリフルオロメタンスルホニルオキシが挙げられる。
【0026】
カルボン酸、エステルおよびアミドの等配電子体または生物同配体(bioisostere)は、親のカルボン酸、エステルまたはアミドと類似の生物学的特性を有する新たな化合物を作製する、原子または原子群の交換から生じる。生物同配体置換は、物理化学的にまたは幾何学的に基づき得る。カルボン酸についての等配電子体置換の例は、CONHSOMeのようなCONHSO(アルキル)である。
【0027】
がCOOHまたはCHCOOHである本発明の化合物は、溶液中に開環形態1または環化ヘミケタール形態2のいずれかとして存在し得る、γ−ケト酸(y=1)またはδ−ケト酸(y=2)である。いずれかの異性体形態の本明細書中での表示は、他方を含むことを意味する。
【0028】
【化17】


同様に、本発明の特定の化合物が、互変異性形態または水和形態で存在し得、このような全ての形態の化合物が本発明の範囲内にあることが当業者に明らかである。他に言及しない限り、本明細書中に示される構造もまた、全ての立体化学形態の構造(すなわち、各不斉中心についてのR型およびS型)を含むことを意味する。それゆえ、本発明の単一の立体化学異性体ならびに鏡像異性体およびジアステレオマーの混合物は、本発明の範囲内にある。他に言及しない限り、本明細書中に示される構造はまた、1以上の同位体的に富化された原子の存在によってのみ異なる化合物を包含することを意味する。例えば、重水素もしくはトリチウムによる水素の置換、または13Cもしくは14Cが富化された炭素による炭素の置換を除いて本発明の構造を有する化合物は、本発明の範囲内である。
【0029】
本発明の好ましい化合物は、RがCOHまたはそのエステル、アミドもしくは等配電子体である、式Iの化合物である。より好ましくは、RがCOHまたはそのエステル、アミドもしくは等配電子体であり、そしてXが窒素である、式Iの化合物である。
【0030】
本発明の1つの実施形態は、式Iの化合物に関し、ここで、Xが窒素であり、XおよびXが炭素であり、そして環Aが二重結合を有する。これらの化合物は、式IAによって表される:
【0031】
【化18】


ここで、Rは、水素、CN、CHN、R、または−CHYであり;
Rは、脂肪族基、置換脂肪族基、アリール基、置換アリール基、アラルキル基、置換アラルキル基、非芳香族複素環式基または置換非芳香族複素環式基であり;
Yは、電気的陰性脱離基または−OR、−SR、−OC=O(R)もしくは−OPO(R)(R)であり;
およびRは、RまたはORから独立して選択され;
は、COH、CHCOHまたはそれらのエステル、アミドもしくは等配電子体であり;
は、水素またはC1−6直鎖または分岐鎖アルキルであり;
sの各々は、水素、ハロ、R、OR、SR、アリール、置換アリール、OH、NO、CN、NH、NHR、N(R)、NHCOR、NHCONHR、NHCON(R)、NRCOR、NHCOR、COR、COH、COR、CONHR、CON(R)、S(O)R、SONH、S(O)R、SONHRまたはNHS(O)Rから独立して選択され;
は、水素、ハロ、R、OR、SR、アリール、置換アリール、OH、CN、COR、COH、COR、CONHR、CON(R)、S(O)R、SONH、S(O)RまたはSONHRから選択される。
【0032】
式IAの好ましい化合物は、RがCHFであり、RがCOHであり、RがHまたはメチルであり、R〜Rが水素、R、フェニルまたは置換フェニルから独立して選択され、そしてRが水素、R、フェニルまたは置換フェニルである、化合物である。IAの化合物の例を表1に示す。
【0033】
【表7】


本発明の別の実施形態は、式Iの化合物に関し、ここで、Xが窒素であり、XおよびXは炭素であり、環Aは2つの二重結合を有し、そしてRとRとが一緒になって縮合した芳香族炭素環式環または非芳香族炭素環式環を形成する。好ましくは、炭素環式環は、縮合ベンゼン環である。このような好ましい化合物は、一般式IBを有し、ここで、R、R、R、RおよびRは上記のとおりであり、そして縮合ベンゼン環は置換されていても置換されていなくてもよい。1Bの化合物の例を表2に示す。
【0034】
【表8】


本発明の別の実施形態は、式Iの化合物に関し、ここで、Xは窒素であり、Xは窒素または炭素であり、Xは炭素であり、Xと隣接するCRとの間の結合は二重結合または単結合のいずれかであり、そしてRとRとは一緒になって縮合した芳香族炭素環式環または非芳香族炭素環式環を形成する。好ましくは、炭素環式環は、縮合ベンゼン環である。このような好ましい化合物は、一般式ICを有し、ここで、R〜Rは上記のとおりであり、そして縮合ベンゼン環は置換されていても置換されていなくてもよい。ICの化合物の例を表3に示す。
【0035】
【表9】


本発明の別の実施形態は、式Iの化合物に関し、ここで、XおよびXは窒素であり、Xは炭素であり、環Aは1つの二重結合を有し、そしてRとRとは一緒になって環を形成し、優先的には芳香族炭素環式環を形成する。これらの化合物は、以下に示す一般式IDを有し、ここで、R〜RおよびRは上記のとおりである。IDの化合物の例を表4に示す。
【0036】
【表10】

本発明の別の実施形態は、式Iの化合物に関し、ここで、Xは窒素であり、Xは窒素または炭素であり、Xは炭素であり、Xと隣接するCRとの間の結合は二重結合または単結合のいずれかであり、そしてRとRとは一緒になって縮合した芳香族複素環式環または非芳香族複素環式環を形成する。これらの化合物は、一般式IEを有し、ここで、R〜Rは上記のとおりであり、そして縮合複素環式環は置換されていても置換されていなくてもよい。好ましくは、この複素環式環は、1つの環ヘテロ原子を有する、5員環または6員環である。これらの化合物は、以下に示す一般式IEを有する。IEの化合物の例を表5に示す。
【0037】
【表11】

本発明の別の実施形態は、式Iの化合物に関し、ここで、Xは窒素であり、Xは結合であり、Xは炭素であり、そしてRとRとは一緒になって縮合複素環式環、芳香族複素環式環または非芳香族複素環式環を形成する。これらの化合物は、一般式IFを有し、ここで、R〜Rは上記のとおりであり、そして縮合環は置換されていても置換されていなくてもよい。好ましくは、縮合環は、6員環である。これらの化合物は、以下に示す一般式IFを有する。IFの化合物の例を表6に示す。
【0038】
【表12】


本発明の別の実施形態は、式Iの化合物に関し、ここで、Xは窒素であり、Xは窒素であり、Xは炭素であり、そして環Aは2つの二重結合を有する。これらの化合物は、一般式IGを有し、ここで、R〜Rは上記のとおりである。これらの化合物は、以下に示す一般式IGを有する。IGの化合物の例を表7に示す。
【0039】
【表13】


本発明の化合物は、以下の一般的なスキームによって、および以下の調製実施例によって例示されるように、類似の化合物について当業者に公知の方法によって一般に調製され得る。
【0040】
【化19】


上記のスキームIでは、以下の略号が用いられる:EDCは、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミドであり;HOBTは、1−ヒドロキシベンゾトリアゾールであり;TFAは、トリフルオロ酢酸であり;DCMは、ジクロロメタンであり;そしてDMAPは、4−ジメチルアミノピリジンである。出発複素環1は、他に言及されない限り、市販されるかまたはFussおよびKoch,Synthesis(1990),681−685によって記載される方法と類似の方法によって調製されるかのいずれかである。出発複素環1は、最初に水素化ナトリウムで処理され、次いでエステル2(LGは、臭素またはO−トリフレート(O−triflate)のような脱離基である)で処理される。得られるエステル3(例えば、Y=アルキル)は、塩基を用いて、またはYがt−ブチル基である場合、トリフルオロ酢酸を用いて、最初に加水分解される。次いで、酸3(Y=H)は、アミノアルコール4とカップリングされる。RおよびRの性質に依存して、アミノアルコールの代わりにアミノケトンが用いられ得、このことは、その後の酸化工程を回避する。RがCHFであるフルオロメチルケトンの場合、アミノアルコール4は、Reveszら,Tetrahedron Lett.,1994,35,9693の方法に従って入手され得る。最終的に、化合物5中のヒドロキシルは酸化され、そして化合物はRの性質に従って適切に処理される。例えば、生成物IがRがカルボン酸であることを必要とするならば、4中のRは好ましくはエステルであり、そしてこのスキーム中の最終工程は加水分解である。
【0041】
従って、本発明の1つの局面は、式Iの化合物を調製する一般法に関し、この方法は以下の工程を包含する:
(a)式IIの酸または酸誘導体を提供する工程:
【0042】
【化20】


(b)IIを、式4のアミノアルコールまたはアミノケトンとカップリングして、式IIIの中間体を提供する工程:
【0043】
【化21】


(c)中間体IIIを化合物Iに変換する工程(ここで、Yは水素または有機ラジカルであり;Z=OまたはOHであり;そして環A、R、R、R、X、XおよびXは上記のとおりである)。
【0044】
この方法は、本発明のキラル化合物を調製するために特に有用であり、ここで、R置換基を保有する炭素は、立体化学的に富化される。以下(実施例21〜27を参照のこと)に例示されるように、式IIの中間体の酸または酸誘導体は、キラル形態で入手され得る。これは、キナゾリン−4−オン(実施例21〜24、26)、ピリミジン−4−オン(実施例25)およびジヒドロキナゾリン−3−オン(実施例27)を保有する環Aについて本明細書中に例示される。IIと4とをカップリングしてIIIを提供する工程(b)は、任意の適切な方法に従って実施され得る。4がケトンである場合(Z=O)、例えば、アミノ基のインサイチュ脱保護によってIIの存在下で生成されることが必要であり得ることが理解される。工程(c)では、Iを提供するIIIの変換は、ZおよびRの性質に依存する。これらの基の合成操作は、必要な場合、本明細書中に記載される通りにまたは当業者に馴染み深い他の方法に従って行われ得る。
【0045】
特定のキラル中間体IIは、本発明の化合物を作製するために有用であり、新規である。これらの中間体は、ピリミジノンIIAおよびキナゾリノンIIBによって表される:
【0046】
【化22】


ここで、Yは、水素または有機ラジカルであり、ピリミジノン環およびキナゾリノン環は、環Aについて上記に記載したとおりに必要に応じて置換され、そしてRは、C1−6アルキル基である。
【0047】
【化23】


(試薬)
(a)ギ酸エチル/ジイソプロピルアミン;(b)ArCOCl/THF;(c)PPh/キシレン;(d)TFA/DCM;(e)EDC/DMAP/HOBt;(f)Dess−Martinペルヨージナン;(g)TFA/DCM
上記のスキームIIにおいて、出発アミノ酸エステル6(これは市販されているか、または標準的な条件下で合成し得る)は、最初にホルミル化され、次いで2−アジド芳香族酸で処理し、例えば酸塩化物として活性化する。生じるアミド7を、トリフェニルホスフィンなどの還元剤で処理し、次いで生じるエステル(例えば、Y=アルキル)は、塩基または、Yがt−ブチル基の場合はトリフルオロ酢酸を使用して、加水分解する。次いで、合成は、スキームIに概略されるようにして、完成される。
【0048】
【化24】


(試薬)
(a)EDC/DMAP/HOBt;(b)HCl/EtOAc;(c)(EtO)CH/キシレン;(d)EDC/DMAP/HOBt;(e)Dess−Martinペルヨージナン;(f)TFA/DCM
上記のスキームIIIにおいて、出発アミノ酸エステル6(これは市販されているか、または公知の方法で合成し得る)は、標準的な条件下で、不飽和アミノ酸とカップリングされてアミド10を提供する。アミド10は、酸条件を使用して、脱保護され(例えば、P=Boc)、生じるアミンをホルミル化剤(例えば、トリエチルオルトホルメート)と共に加熱する。その中間体は次いで、熱レトロディールスアルダー反応を受け、11を提供する。次いで、合成はスキームIに概略されるように完成される。
【0049】
【化25】


(試薬)
(a)EtN/EtOH/18;(b)RaNi/H/EtOH;(c)CDI/THF;(d)NaH/DMSO/15;(e)TFA/DCM;(f)4/EDC/DMAP/HOBt;(g)Dess−Martinペルヨージナン;(h)TFA/DCM
上記のスキームIVにおいて、出発アミノ酸エステル6は、ベンジル基(ここでLGはハロゲン、トシレート、メシレート、トリフレートなど)を使用してアルキル化され、13を提供する。13のニトロ基は還元され(例えば、ラネーニッケルを用いて)、次いでジアミンは、カルボニル供給源の上に環状化され(例えば、カルボニルジイミダゾール、「CDI」)、キナゾロン14を提供し得る。生じる遊離NHは、アルキル化され、化合物16を提供する。次いで、合成は、スキームIに概略されるように完成される。
【0050】
(実施例1)
(5−フルオロ−4−オキソ−3−[(S)−2−(2−オキソ−2H−ピリジン−1−イル)−プロピルアミノ]−ペンタン酸(1A−2))
【0051】
【化26】

(工程A:(S)−2−(2−オキソ−2H−ピリジン−1−イル)−プロピオン酸エチルエステル)
室温で、無水THF(50ml)中の1H−ピリジン−2−オン(500mg、5.26mmol)の攪拌した溶液を、60%NaH(231mg、5.78mmol)で少しずつ処理した。この反応混合物を10分間保持し、次いで、室温で無水THF(2.5ml)中の(R)−2−トリフルオロメタンスルホニルオキシ)−プロピオン酸エチルエステル(1315mg、5.26mmol)溶液に5分間かけて添加した。生じる混合物を2時間攪拌し、次いで濃縮した。残渣を酢酸エチルに溶解し、そして生じる溶液を、氷冷した希HClで洗浄した。その有機層を除去し、そして水層を、酢酸エチルで再抽出した。合わせた有機抽出物を乾燥し(MgSO)、フィルターで濾過し、濃縮した。その残渣は、フラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン中の20%〜80%酢酸エチル)によって精製され、表題の化合物を黄色の油として得た(480mg、46%)。:
【0052】
【化27】


(工程B:(S)−2−(2−オキソ−2H−ピリジン−1−イル)プロピオン酸)
(S)−2−(2−オキソ−2H−ピリジン−1−イル)−プロピオン酸エチルエステル(364mg、1.87mmol)、THF(2ml)、水(1ml)および水酸化ナトリウム(90mg、2.24mmol)の、攪拌した混合物を、室温で1時間保持し、次いで減圧下で濃縮した。残渣をエーテルに溶解し、生じる溶液を水で洗浄した。その有機層を捨て、次いで水層を濃HClで酸性にし、次いで酢酸エチルで数回抽出した。合わせた有機抽出物を乾燥し(MgSO)、フィルターで濾過し、濃縮した。残渣をエーテルで粉砕し、表題の化合物を無色の固体として得た(84mg、27%)。:
【0053】
【化28】


(工程C:5−フルオロ−4−ヒドロキシ−3−[(S)−2−(2−オキソ−2H−ピリジン−1−イル)−プロピオニルアミノ]−ペンタン酸 t−ブチルエステル)
(S)−2−(2−オキソ−2H−ピリジン−1−イル)−プロピオン酸(70mg、0.42mmol)、3−アミノ−5−フルオロ−4−ヒドロキシ−ペンタン酸 t−ブチルエステル(91mg、0.44mmol)、HOAt(63mg、0.46mmol)およびDMAP(59mg、0.48mmol)および無水THF(5ml)の攪拌混合物を、0℃で冷却し、次いでEDC(88mg、0.46mmol)を添加した。混合物を16時間室温で暖め、次いで減圧下で濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(酢酸エチル中の3%メタノール)で精製し、表題の化合物を白い発泡体として得た(137mg、92%)。:
【0054】
【化29】


(工程D:5−フルオロ−4−オキソ−3−[(S)−2−(2−オキソ−2H−ピリジン−1−イル)−プロピオニルアミノ]−ペンタン酸 t−ブチルエステル)
無水DCM(5ml)中の5−フルオロ−4−ヒドロキシ−3−[(S)−2−(2−オキソ−2H−ピリジン−1−イル)−プロピオニルアミノ]−ペンタン酸 t−ブチルエステル(135mg、0.38mmol)の攪拌溶液を、1,1,1−トリアセトキシ−1,1−ジヒドロ−1,2−ベンズヨードオキソール−3(1H)−オン(193mg、0.46mmol)で、0℃で処理した。生じる混合物を1.5時間0℃で保持し、酢酸エチルで希釈し、次いで、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液と飽和チオ硫酸ナトリウムの1:1混合物に注いだ。有機層を除去し、そして水層を酢酸エチルで再抽出した。合わせた有機抽出物を乾燥し(NaSO)、そして濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(酢酸エチル中の1%メタノール)で精製し、表題の化合物を無色のゴム(gum)として得た(125mg、93%)。:
【0055】
【化30】


(工程E:5−フルオロ−4−オキソ−3−[(S)−2−(2−オキソ−2H−ピリジン−1−イル)−プロピオニルアミノ]−ペンタン酸)
トリフルオロ酢酸(2ml)を、無水ジクロロメタン(2ml)中の5−フルオロ−4−オキソ−3−[(S)−2−(2−オキソ−2H−ピリジン−1−イル)−プロピオニルアミノ]−ペンタン酸 t−ブチルエステル(115mg、0.32mmol)の攪拌した、氷冷した溶液に添加した。その混合物を0℃で0.5時間攪拌し、次いで室温で0.5時間攪拌した。その混合物を、減圧下で濃縮し、次いで残渣を、乾燥ジクロロメタン中に再溶解した。過剰のトリフルオロ酢酸を除去する目的で、このプロセスを数回繰り返した。このゴムを、HPLC等級の水から2回凍結乾燥し、表題の化合物をオフホワイトの固体として得た。:
【0056】
【化31】


(実施例2)
【0057】
【化32】


「5−フルオロ−3−[2−(2−オキソ−2H−ピリジン−1−イル)−アセチルアミノ]−4−オキソ−ペンタン酸(1A−1)」を、実施例1(工程Aにおいて(R)−2−トリフルオロメタンスルホニルオキシ)−プロピオン酸エチルエステルの代わりにブロモ酢酸エチルエステルを用いることを除く)に記載される方法と同様の方法で調製した。その産物を黄色の固体として単離した:
【0058】
【化33】


(実施例3)
【0059】
【化34】


「5−フルオロ−3−[2−(6−メチル−2−オキソ−2H−ピリジン−1−イル)−アセチルアミノ]−4−オキソ−ペンタン酸(1A−3)」を、実施例2に記載される方法で調製し、無色の結晶を得た:
【0060】
【化35】


(実施例4)
【0061】
【化36】


「5−フルオロ−3−[2−(4−フェニル−2−オキソ−2H−ピリジン−1−イル)−アセチルアミノ]−4−オキソ−ペンタン酸(1A−4)」を、4−フェニルピリジン(phenylpyrimin)−2−オン(Iwasakiら、J.Med.Chem.1996、39、2696)から実施例2に記載される方法と同様の方法で調製し、無色の固体を得た。:
【0062】
【化37】


(実施例5)
【0063】
【化38】


「5−フルオロ−3−[2−(3−フェニル−2−オキソ−2H−ピリジン−1−イル)−アセチルアミノ]−4−オキソ−ペンタン酸(1A−5)」を、3−フェニルピリジン−2−オンから調製する。3−フェニルピリミジン−2−オンを、ピリミジン−2−オンの臭素化(OswaldおよびMartinu J.Am.Chem.Soc.,1982、104、4142)、それに続くベンゼンボロン酸とのパラジウム介在カップリング(Damewoodら(J.Med.Chem.,1994、37、3303)によって記載された方法に従う)によって調製した。残りの合成を、実施例2に記載される方法と同様の方法で完成させ、無色の固体を得た。:
【0064】
【化39】


(実施例6)
【0065】
【化40】


「5−フルオロ−4−オキソ−3−[(S)−2−(2−オキソ−2H−キノリン−1−イル)−プロピオニルアミノ]−ペンタン酸(1B−1)」を、実施例1に記載される方法と同様の方法で調製し、白色の粉末を得た:
【0066】
【化41】


(実施例7)
【0067】
【化42】


「5−フルオロ−4−オキソ−3−[(S)−(R)−2−(2−オキソ−2H−キノリン−1−イル)−アセチルアミノ]ペンタン酸(1B−2)」を、実施例2に記載される方法と同様の方法で調製し、白色の粉末を得た。:
【0068】
【化43】


(実施例8)
【0069】
【化44】

「5−フルオロ−4−オキソ−3−[2−(1−オキソ−1H−イソキノリン−2−イル)−アセチルアミノ]ペンタン酸(1C−1)」を、実施例2に記載される方法と同様の方法で調製し、白色の粉末を得た。:
【0070】
【化45】

(実施例9)
【0071】
【化46】


「5−フルオロ−4−オキソ−3−[(S)−2−(1−オキソ−1H−イソキノリン−2−イル)−プロピオニルアミノ]ペンタン酸(1C−2)」を、実施例1に記載される方法と同様の方法で調製し、白色の粉末を得た。:
【0072】
【化47】


(実施例10)
【0073】
【化48】


「5−フルオロ−4−オキソ−3−[2−(1−オキソ−1H−イソキノリン−2−イル)−アセチルアミノ]−ペンタン酸(1C−3)」を、実施例2に記載される方法と同様の方法で調製し、白色の粉末を得た。:
【0074】
【化49】


(実施例11)
【0075】
【化50】


「5−フルオロ−4−オキソ−3−[2−(1−オキソ−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル)−アセチルアミノ]ペンタン酸(1C−4)」を、3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−オン(Normanら、J.Med.Chem.,1994、37、2552)から、実施例1に記載される方法と同様の方法で調製し、白色の粉末を得た。:
【0076】
【化51】


(実施例12)
【0077】
【化52】


「5−フルオロ−4−オキソ−3−[2−(4−オキソ−4H−チエノ[2,3−d]ピリミジン−3−イル−アセチルアミノ]−ペンタン酸」を、実施例2に記載される方法と同様の方法で調製し、白色の粉末を得た。:
【0078】
【化53】


(実施例13)
【0079】
【化54】


「5−フルオロ−4−オキソ−3−[2−(1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−アセチルアミノ]−ペンタン酸(1F−1)」を、2−(1−オキソ1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−酢酸から、工程C〜Eに記載される方法と同様の方法を用いて調製した。表題の化合物を、白色の固体として得た。
【0080】
【化55】


(実施例14)
5−フルオロ−4−オキソ−3−[(2S)−2−(1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−プロピオニルアミノ]−ペンタン酸(1F−2)
【0081】
【化56】


F工程:(2S)−2−(1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−プロピオン酸t−ブチルエステル
(2S)−アラニン−t−ブチルエステル塩酸塩(2.05g、11.2mmol)、ジイソプロピルエチルアミン(1.83mL、10.6mmol)および無水フタル酸(1.48g、10mmol)のトルエン中(10mL)の懸濁液を、Dean−Stark条件下で3時間還流した。この反応系を室温まで冷却し、EtOで希釈し、1NのHCl、次いでNaHCO飽和水溶液で洗浄した。有機層を乾燥し(MgSO)、濾過し、そしてエバポレートして、副題化合物を白色粉末(2.465g、90%)として得た:H NMR(400MHz CDCl)δ 1.45(9H、s)、1.68(3H、d)、4.90(1H、q)、7.75(2H、d)、7.88(2H、d)。
【0082】
G工程:(2S)−2−(1−ヒドロキシ−3−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−プロピオン酸t−ブチルエステル
THF(10mL)およびMeOH(2mL)の混合物中の(2S)−2−(1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−プロピオン酸t−ブチルエステル(426mg、1.55mmol)の溶液に、水素化ホウ素ナトリウム(181mg、4.8mmol)を一度に加えた。この反応系混合物を室温で30分間攪拌し、この溶媒をエバポレートし、そしてその残渣をシリカ(Petrol/AcOEt、8/2)でカラムにかけて、副題化合物を無色の油(284mg、66%)として得た:H NMR(400MHz CDCl)δ 1.38−1.40(9H,2s),1.57−1.60(3H,2d),4.38−4.45(1H,m),4.65−4.76(1H,m),5.81−6.01(1H,2d),7.33−7.64(4H,d)。
【0083】
H工程:(2S)−2−(1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−プロピオン酸
TFA中(5mL)の(2S)−2−(1−ヒドロキシ−3−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−プロピオン酸t−ブチルエステル(271mg、0.98mmol)の溶液に、トリエチルシラン(170mg、1.47mmol)を一度に加えた。この反応系混合物を室温で1時間攪拌し、この溶媒をエバポレートした。この残渣をEtOで完全に粉砕し、そして濾過して副題化合物を白色固体(165mg、82%)として得た:H NMR(400MHz DMSO−d)δ 1.51(3H,d),4.49−4.55(2H,m),4.85(1H,q),7.51−7.71(4H,m),12.90(1H,br s)。
【0084】
上記C〜Eの工程における方法と同様な方法を用いて、(2S)−2−(1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−プロピオン酸から5−フルオロ−4−オキソ−3[(2S)−2−(1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−プロピオニルアミノ]−ペンタン酸を調製した。この表題化合物を白色固体(165mg、82%)として得た:IR(固体)1736,1660,1527,1450,1360,1226,1222cm−1H NMR(400MHz,DMSO−d)δ 1.42−1.46(3H,m),2.68(1H,m),2.74(1H,m),4.52−4.63(3H,m),4.85(1H,m),5.14−5.76(2H,br m,),7.48−7.53(1H,m),7.62−7.63 (2H,m),7.70−7.72(1H,m),8.66(1H,br s),12.50(1H,br s);19F NMR(376MHz,DMSO−d)δ −232.6;13C NMR (100MHz,DMSO−d)δ 16.0,34.4,47.4,49.9,52.2,123.1/123.2,123.8,128.2,131.8,132.4,142.8,167.9,172.5。
【0085】
(実施例15)
【0086】
【化57】


5−フルオロ−4−オキソ−3−[(2S)−2−(1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−プロピオニルアミノ]−ペンタン酸(1F−3)を、上記F工程、次いでC〜Eの工程における方法と同様な方法を用いて、(2S)−2−(1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−プロピオン酸t−ブチルエステルから調製した。この題化合物を無色粘性油として得た:IR(フィルム)1777,1706,1644,1532,1383,1363,1204,1158,1045cm−1H NMR(400MHz,DMSO−d)δ 1.49−1.56(3H,m),2.42−2.49(1H,m),2.74−2.82(1H,m),4.31−4.90(2H,m),4.91−5.39(2H,m),7.86−7.92(4H,m),8.59/8.72(1H,2d);19F NMR(376MHz,DMSO−d)δ −226.7,−226.8,−231.0,−232.2,−233.0,−233.1;13C NMR(100MHz,DMSO−d)δ 15.1/15.2,34.3/34.4,48.0/48.1,52.2/52.5,84.1/84.2,123.4/123.5,123.5/123.7,132.2,134.7/134.8,134.8/135.1,167.7,169.7/169.8,172.0/172.1,202.3。
【0087】
(実施例16)
【0088】
【化58】


2,6−ジクロロ安息香酸4−カルボキシ−2−オキソ−3−[2−(1−オキソ−1H−イソキノリン−2−イル)−プロピオニルアミノ]−ブチルエステル(1C−5)工程I:2,6−ジクロロ−安息香酸4−t−ブトキシカルボニル−2−ヒドロキシ−3−[2−(1−オキソ−1H−イソキノリン−2−イル)−プロピオニルアミノ]−ブチルエステル
無水DMF(1.5ml)およびCHCl(4.5ml)の混合物中の、2−(1−オキソ−1H−イソキノリン−2−イル)−プロピオン酸(150mg,0.7mmol)および2,6−ジクロロ−安息香酸3−アリルオキシカルボニルアミノ−4−t−ブトキシカルボニル−2−ヒドロキシ−ブチルエステル(319mg,0.7mmol)の攪拌溶液を、室温でビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロリドの触媒量で処理し、次いで水素化トリブチルスズ(279?m、1.0mmol)を滴下した。5分後、HOBt(186mg,1.4mmol)を加え、この反応系混合物を0℃まで冷却し、EDC(132mg,0.7mmol)を加え、そして反応系混合物を室温でゆっくりと温めながら、16時間攪拌したまま放置した。この反応系混合物を、氷冷の1MのHClに注ぎ、そしてEtOAcで抽出し、次いで有機層を重炭酸ナトリウム飽和水溶液、その後塩化ナトリウム飽和溶液で洗浄し、乾燥し(NaSO)、濾過し、そして濃縮した。この残渣をガソリンで完全に粉砕し、次いで溶離剤として1:1のガソリン/EtOAcを用いてフラッシュで精製し副題化合物を無色発泡体(190mg,48%)として得た:H NMR(400MHz CDCl)δ 1.3−1.5(10H,m),1.65−1.75(3H,2×d),2.5−2.7(2H,m),4.1−4.5(3H,m),5.6(1H,2×q),6.6(1H,2×d),7.1−7.6(8H,m),7.7(1H,m),8.4(1H,d)。
【0089】
J工程:2,6−ジクロロ−安息香酸4−t−ブトキシカルボニル−2−オキソ−3−[2−(1−オキソ−1H−イソキノリン−2−イル)−プロピオニルアミノ]−ブチルエステル
無水DCM中(3ml)の2,6−ジクロロ−安息香酸4−t−ブトキシカルボニル−2−ヒドロキシ−3−[2−(1−オキソ−1H−イソキノリン−2−イル)−プロピオニルアミノ]−ブチルエステル(183mg,0.32mmol)の攪拌溶液を、0℃の1,1,1−トリアセトキシ−1,1−ジヒドロ−1,2−ベンズヨードオキソール−3(1H)−オン(147mg,0.34mmol)で処理した。この反応系混合物を0℃で5時間保ち、DCMで希釈し、次いで1:1に混合した炭酸水素ナトリウム飽和水溶液およびチオ硫酸ナトリウム飽和水溶液に注いだ。有機層を除去し、水層をDCMで再抽出した。合わせた有機抽出物を乾燥し(NaSO)、濾過し、そして濃縮した。この残渣を、溶離剤として60:40のガソリン/EtOAcを用いてフラッシュクロマトグラフィーで精製し副題化合物を無色発泡体(116mg,64%)として得た:H NMR(400MHz,CDCl)δ 1.2−1.4(9H,2×s),1.7(3H,d),2.7−3.0(2H,m),4.9−5.1(4H,m),5.8(1H,m),6.6(1H,2×d),7.2−7.6(7H,m),8.4(1H,m);MS(FAB+ve)576。
【0090】
K工程:2,6−ジクロロ−安息香酸4−カルボキシ−2−オキソ−3−[2−(1−オキソ−1H−イソキノリン−2−イル)−プロピオニルアミノ]−ブチルエステル
トリフルオロ酢酸(2ml)を、無水ジクロロメタン中(2ml)の2,6−ジクロロ−安息香酸4−t−ブトキシカルボニル−2−オキソ−3−[2−(1−オキソ−1H−イソキノリン−2−イル)−プロピオニルアミノ]−ブチルエステル(110mg,0.19mmol)の攪拌氷冷溶液に加えた。この混合物を0℃で1時間、室温で0.5時間攪拌した。この反応系混合物を減圧下で濃縮し、次いで残渣を乾燥ジクロロメタン中で再溶解した。この工程を数回繰り返し、過剰なトリフルオロ酢酸を除去した。次いでこの残渣をHPLC等級の水から2回凍結乾燥し、次いで10:90〜100:0のCHCN:水の勾配溶離剤を用いて逆相HPLCで精製し、題化合物を白色固体(17mg,16%)として得た:IR(固体)3295,1736,1648,1618,1590cm−1H NMR(400MHz,DMSO)1.57(3H,2×d),2.64−2.80(2H,m),4.73(1H,m),5.14−5.33(2H,m),5.44−5.53(1H,m),6.67(1H,m),7.44−7.74(7H,m),8.20(1H,d),.8.77−8.83(1H,bd);13C NMR(100MHz,DMSO)16.72,16.90,53.77,105.36,105.49,125.48,126.37,126.90,127.49,128.85,130.52,130.67,131.15,132.47,132.82,132.93,137.09,137.12,161.38,163.56,163.64,171.15,171.25;MS(FAB+ve,HR)C2420Cl(MH+)についての計算値、519.0726,分析値、519.0701。
【0091】
(実施例17)
【0092】
【化59】


5−フルオロ−3−[2−(6−エチル−2−オキソ−2H−ピリジン−1−イル)−アセチルアミノ]−4−オキソ−ペンタン酸(1A−6)を実施例2に記載された様式と同様な様式において調製し、無色の結晶を提供した:IR(固体)1792.9,1664.9,1644.4,1547.1,1209.1,1045.2,1019.6,922.3cm−1H NMR(400MHz,DMSO)δ 1.15(3H,t),2.52−2.71(3H,m),2.74−2.93(1H,m),4.28−4.81(4H,m),5.25(1H,m),6.10(1H,m),6.29(1H,m),7.37(1H,m),7.85−8.85(1H,m),12.50(1H,brs);13C NMR(100MHz,DMSO)δ 12.4,12.45,25.5,25.6,25.7,33.2,34.8,45.6,46.1,47.7,52.2,52.8,81.2,83.0,83.4,83.6,85.,103.7,103.8,103.9,104.0,116.4,116.5,139.9,140.0,152.6,162.7,162.9,167.8,167.9,168.3,172.1,173.1,202.7,202.9;19F(376MHz,DMSO)−226.9(t),−231.6(t),−233.1(t);MS(FAB+ve,HR)C1417FN(M+)についての計算値、312.1122、分析値、312.1115。
【0093】
(実施例18)
5−フルオロ−4−オキソ−3−[(2S)−2−(4−オキソ−4H−キナゾリン−3−イル)−プロピオニルアミノ]−ペンタン酸
【0094】
【化60】


L工程:(2S)−2−ホルミルアミノ−プロピオン酸−t−ブチルエステル
ギ酸エチル(10mL)およびDCM(5mL)の混合物中の(2S)アラニン−t−ブチルエステルヒドロクロリド(3.63g,20mmol)の懸濁液に、ジイソプロピルエチルアミン(3.83mL,22mmol)を加え、そしてこの反応系混合物を一晩還流した。この溶媒をエバポレートし、次いでその残渣をEtO中で完全に粉砕し、そして濾過した。この濾液をエバポレートし、そして溶離剤として酢酸エチルを用いてシリカのショートパッドを介してこの残渣を濾過した。この溶媒のエバポレーションは無色の油(2.806g,81%)として副題化合物を生じ、これは、静置すると結晶化した:H NMR(400MHz CDCl)δ 1.43(3H,d),1.50(9H,s),4.55(1H,m),6.31(1H,br s),8.16(1H,s)。
【0095】
M工程:(2S)−2−(N−(2−アジド−ベンゾイル)−N−ホルミルアミノ)−プロピオン酸−t−ブチルエステル
無水THF中(50mL)の(2S)−2−ホリミルアミノ−プロピオン酸−t−ブチルエステル(3.524g,20.3mmol)の攪拌溶液を−78℃でLDA(20.3mmol)で処理し、そしてその反応系を15分間攪拌した。次いで、無水THF中(20mL)の2−アジドベンゾイルクロリド溶液(T.Okawa,T.Sugimori,S.Eguchi and A.Kakehi,Heterocycles,1998,47,1,375−382)(20.6mmol)を滴状に加え、そしてこの反応系混合物を−78℃で1時間攪拌し、NHCl飽和水溶液でクエンチした。この反応系を放置し室温まで温め、そして有機層をNHCl飽和水溶液で洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過し、そしてエバポレートし、そしてこの残渣をフラッシュクロマトグラフィーで精製し(ヘキサン中の20%酢酸エチル)、副題化合物を淡黄色油(3.437g,53%)として得た:H NMR(400MHz CDCl)δ 1.49(9H,s),1.60(3H,d),5.18(1H,m),7.27(2H,m),7.40(1H,d),7.59(1H,t),8.60(1H,s)。
【0096】
N工程:(2S)−2−(4−オキソ−4H−キナゾリン−3−イル)−プロピオン酸−t−ブチルエステル
トリフェニルホスフィン(3.41g,13.0mmol)を、キシレン中(70mL)の(2S)−2−(N−(2−アジド−ベンゾイル)−N−ホルミルアミノ)−プロピオン酸−t−ブチルエステル(3.437g,10.80mmol)溶液に室温で少しずつ加えた。この反応系混合物を室温で、窒素の発生が終わるまで(約1時間)攪拌し、次いで20時間還流した。その揮発性物質をエバポレートし、そしてこの残渣をフラッシュクロマトグラフィーで精製し(ヘキサン中の30%酢酸エチル)、副題化合物を無色油(2.221g,75%)として得た:H NMR(400MHz C)δ 1.30(3H,d),1.34(9H,s),4.97(1H,q),7.08(1H,m),7.31(1H,m),7.81(1H,s),7.86(1H,d),8.55(1H,m)。
【0097】
O工程:(2S)−2−(4−オキソ−4H−キナゾリン−3−イル)−プロピオン酸
TFA中(25mL)の(2S)−2−(4−オキソ−4H−キナゾリン−3−イル)−プロピオン酸−t−ブチルエステル(1.434g,5.23mmol)溶液を室温で5時間攪拌した。この混合物を減圧下で濃縮し、そしてその残渣を乾燥DCMに溶解した。この工程を数回繰り返し、過剰なTFAを除去した。ガムをジエチルエーテルで完全に粉砕し、濾過し、そしてジエチルエーテルで数回洗浄し、副題化合物を白色粉末(1.626g,94%)として得た:H NMR(400MHz DMSO−d)δ 1.67(3H,d),5.26(1H,q),7.58(1H,m),7.71(1H,d),7.87(1H,m),8.15(1H,m),8.44(1H,s)。
5−フルオロ−4−オキソ−3−[(2S)−2−(4−オキソ−4H−キナゾリン−3−イル)−プロピオニルアミノ]−ペンタン酸を、上記工程C〜Eの方法と同様な方法を用いて、(2S)−2−(4−オキソ−4H−キナゾリン−3−イル)−プロピオン酸から調製した。この題化合物を白色固体として得た。IR(固体)1717,1663cm−1H NMR(400MHz,DMSO−d)δ 1.63−1.67(3H,2t),2.51−2.91(2H,m),4.30−4.71(1.5H,m,),5.09−5.51(2.5H,m),7.55−7.58(1H,m),7.71(1H,d),7.84−7.88(1H,m),8.14−8.16(1H,m),8.39−8.41(1H,m),8.59,8.62,8.79,8.84,8.90(1H,m);19F NMR(376MHz,DMSO−d)δ −75.41(s),−226.74(t),−226.82(t),−230.63(t),−231.40(t),−232.85(t),−232.95(t);13C NMR(100MHz,DMSO−d)δ 16.65,16.72,16.86,17.28,34.56,34.62,47.74,52.27,52.34,52.49,53.14,53.52,83.41,85.18,121.59,121.65,126.52,126.65,127.30,127.34,127.49,134.93,146.73,146.79,147.70,147.73,158.45,158.83,160.40,170.34,170.52,170.63,172.01,172.07,172.12,202.47,202.51,202.61。
【0098】
(実施例19)
【0099】
【化61】

2,6−ジクロロ−安息香酸4−カルボキシ−2−オキソ−3−[2−(4−オキソ−4H−キナゾリン−3−イル)−プロピオニルアミノ]−ブチルエステル(1C−7)を、工程I〜Kで上記した手順を用いて(2S)−2−(4−オキソ−4H−キナゾリン−3−イル)−プロピオン酸を調製し、その表題化合物を白色固体(17mg,57%)として得た。
【0100】
【数1】


(実施例20)
【0101】
【化62】


5−フルオロ−4−オキソ−3−[2−(1−オキソ−1H−[2,6]ナフチリジン−2−イル)−アセチルアミノ]−ペンタン酸(1E−2)
P工程:(1−オキソ−1H−[2,6]ナフチリジン−2−イル)−酢酸−t−ブチルエステル
乾燥THF中(0.5mL)の2,6−ナフチリジン−1−(2H)−オン(80.7mg,0.55mmol)の攪拌溶液にNaH(27mg,0.66mmol,油中60%)を一度に加えた。その得られた懸濁液を室温で15分間攪拌し、そして乾燥THF(0.5mL)のさらなるアリコートを加えた。さらに5分後、t−ブチルブロモアセテート(129mg,0.66mmol)を一度に加えた。4時間後、この溶媒を減圧下で除去し、そして結果として生じたガムを水とEtOAcとの間で分配した。この層を分離し、そして水層をEtOAc(3×15mL)でさらに抽出した。有機層を合わせ、乾燥し(NaSO)、濾過し、そして減圧下で濃縮した。カラムクロマトグラフィー(EtOAc中の2% MeOH)から、副表題化合物を深橙色固体(120mg,84%)として得た。H NMR(CDCl):1.5(9H,s,Bu),4.65(2H,s,−CH−),6.6(1H,d,Ar),7.1(1H,d,Ar),8.2(1H,d,Ar),8.7 (1H,d,Ar),9.0(1H,s,Ar)
Q工程:(1−オキソ−1H−[2,6]ナフチリジン−2−イル)−酢酸
氷浴で冷却された乾燥DCM(2.5mL)中の(1−オキソ−1H−[2,6]ナフチリジン−2−イル)−酢酸−t−ブチルエステルの攪拌溶液に、TFA(2.5mL)を一度に加えた。この結果得られた淡黄色溶液を0℃で30分間攪拌し、そして室温で30分間攪拌した。減圧下で溶媒およびTFAを除去し、乾燥DCM(10mL×5)のアリコートと一緒に物質の共沸を反復することで、さらに精製することなしに使用される橙褐色ガム(143mg,定量的)を得た。
【0102】
5−フルオロ−4−オキソ−3−[2−(1−オキソ−1H−[2,6]ナフチリジン−2−イル)−アセチルアミノ]−ペンタン酸を、工程C〜Eに記載された方法と同様な方法を用いて、(1−オキソ−1H−[2,6ナフチリジン−2−イル)−酢酸から調製した。この表題化合物を山吹色固体(46mg,74%)として得た:
【0103】
【数2】


(実施例21)
【0104】
【化63】


5−フルオロ−4−オキソ−3−[(2S)−2−(4−オキソ−4H−キナゾリン−3−イル)−ブチルアミノ]−ペンタン酸(1C−8)を、工程L〜O、次いで工程C〜Eで上述した方法と同様な方法を用いて2−アジドベンゾイルクロリド(T.Okawa,T.Sugimori,S.Eguchi and A.Kakehi,Heterocycles,1998,47,1,375−382)および2−アミノ酪酸−t−ブチルエステルヒドロクロリドから精製した。この表題化合物を白色粉末として得た。
【0105】
【数3】


(実施例22)
【0106】
【化64】


5−フルオロ−4−オキソ−3−[(2S)−2−(6−メトキシ−4−オキソ−4H−キナゾリン−3−イル)−ブチルアミノ]−ペンタン酸(1C−9)を、2−アジド−5−メトキシベンゾイルクロリド(T.Okawa,T.Sugimori,S.EguchiおよびA.Kakehi,Heterocycles,1998,47,1,375−382)および2−アミノ酪酸tert−ブチルエステル塩酸塩から、工程L−O次いで工程C−Eに記載される方法と類似の方法を使用して調製した。この表題化合物を白色粉末として得た。
【0107】
【数4】


(実施例23)
【0108】
【化65】


5−フルオロ−4−オキソ−3−[(2S)−3−メチル−2−(4−オキソ−4H−キナゾリン−3−イル)−ブチルアミノ]−ペンタン酸(1C−10)を工程L〜O、次いで工程C〜Eで上述した方法と同様な方法を用いて2−アジドベンゾイルクロリドおよびバリンt−ブチルエステルヒドロクロリドから調製した。工程Dの後、2つのジアステレオ異性体をEtO/Petrol(1/1)における3回の連続的な結晶化によって分離した。これら2つのジアステレオ異性体を工程Eで独立的に使用し、そして各々を白色粉末として得た。
【0109】
ジアステレオ異性体1
【0110】
【数5】


ジアステレオ異性体2
【0111】
【数6】


(実施例24)
【0112】
【化66】


5−フルオロ−4−オキソ−3−[(2S)−2−(4−オキソ−4H−キナゾリン−3−イル)−ペンタノイルアミノ]−ペンタン酸(1C−11)を工程L〜O、次いで工程C〜Eで上述した方法と同様な方法を用いて2−アジドベンゾイルクロリドおよび(2S)−アミノ−ペンタン酸−t−ブチルエステルヒドロクロリドから調製した。この表題化合物を白色固体として得た。
【0113】
【数7】


(実施例25)
5−フルオロ−4−オキソ−3−[(2S)−2−(6−オキソ−6H−ピリミジン−1−イル)−ブチルアミノ]−ペンタン酸(1G−1)
【0114】
【化67】


工程R:3−エキソ−t−ブトキシカルボニルアミノビシクロ[2.2.1]−ヘプタ−5−エン−2−エキソ−カルボン酸
MeCN(10mL)中の3−エキソ−アミノビシクロ[2.2.1]−ヘプタ−5−エン−2−エキソ−カルボン酸(1.048g,6.84mmol)溶液にジイソプロピルエチルアミン(1.311mL,7.53mmol)、次いでジ−t−ブチルカーボネート(1.941g,8.89mmol)を0℃で加えた。この反応系を放置し室温で温め、そして4時間攪拌した。この反応系混合物を酢酸エチルと水との間で分配し、そして水層を2NのHClで酸性化し、酢酸エチルで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過し、そしてエバポレートし副表題化合物を白色粉末として得た(1.635g,94%):H NMR(400MHz CDCl)δ 1.45(9H,s),1.67(1H,m),2.18(1H,m),2.60(1H,m),2.74(1H,s),2.99(1H,s),3.96(1H,m),6.19(2H,m),6.98(1H,m),12.37(1H,br s)。
【0115】
S工程:(2S)−2[(3−エキソ−t−ブトキシカルボニルアミノ−ビシクロ[2.2.1]−ヘプタ−5−エン−2−エキソ−カルボニル)−アミノ]酪酸−t−ブチルエステル
3−エキソ−t−ブトキシカルボニルアミノビシクロ[2.2.1]−ヘプタ−5−エン−2−エキソ−カルボン酸(728mg,2.87mmol)、(2S)−2−アミノ酪酸−t−ブチルエステルヒドロクロリド(619mg,3.16mmol)、ジイソプロピルエチルアミン(409mg,3.16mmol)、HOBt(415mg,3.16mmol)およびDMAP(386mg,3.16mmol)ならびに無水THF(20ml)の攪拌混合物を0℃まで冷却し、次いでEDC(606mg,3.16mmol)を加えた。この混合物を室温まで温め16時間放置し、次いで減圧下で濃縮した。この残渣をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン中の20% 酢酸エチル)で精製し、副表題化合物を白色固体(1.116g,98%)として得た:H NMR(400MHz CDCl)δ 0.89−0.94(3H,m),1.42−1.54(10H,m),1.64−1.96(2H,m),2.13−2.15(1H,m),2.35−2.39(1H,m),2.70−2.74(1H,m),2.88−2.93(1H,m),3.84−3.95(1H,m),4.37−4.47(1H,m),5.44−5.84(1H,2d),6.14−6.23(3H,m)。
【0116】
T工程:(2S)−2[(3−エキソ−アミノ−ビシクロ[2.2.1]−ヘプタ−5−エン−2−エキソ−カルボニル)−アミノ]酪酸−t−ブチルエステル
(2S)−2[(3−エキソ−tert−ブトキシカルボニルアミノ−ビシクロ[2.2.1]−ヘプタ−5−エン−2−エキソ−カルボニル)−アミノ]酪酸ter−ブチルエステル(1.046g,2.65mmol)の酢酸エチル(2.5mL)溶液に、酢酸エチル(10mL)中の2M HClを添加した。反応系を室温で4時間攪拌し、次いで水、飽和NaHCO水溶液およびブラインで洗浄した。あわせた水層を、DCMで抽出した。合わせた有機相を、乾燥し(MgSO)、濾過し、そしてエバポレートして副題の化合物を無色油(677mg、87%)として得た:H NMR(400MHz CDCl)δ 0.94(3H,t,J 7.5),1.48−1.49(9H,m),1.55(1H,m),1.64−1.94(4H,m),2.14−2.20(1H,m),2.28−2.30(1H,m),2.59−2.61(1H,m),2.94−2.98(1H,m),3.17−3.21(1H,m),4.46−4.52(1H,m),6.19(2H,m),6.43−6.54(1H,2d)。
【0117】
工程U:(2S)−2(6−オキソ−6H−ピリミジン−1−イル)−酪酸tert−ブチルエステル
(2S)−2[(3−エキソ−アミノ−ビシクロ[2.2.1]−ヘプタ−5−エン−2−エキソ−カルボニル)−アミノ]酪酸tert−ブチルエステル(655mg,2.22mmol)のキシレン(10mL)溶液に、トリエチルオルトホルメート(989mg、6.67mmol)を添加し、そしてこの反応混合物を一晩還流した。溶媒をエバポレートし、そして残渣をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル 50/50)で精製して副題の化合物を無色粘性油(380mg、72%)として得た。H NMR(400MHz CDCl)δ 0.98(3H,t),1.47(9H,m),1.98(1H,m),2.28(1H,m),5.25(1H,dd),6.47(1H,d),7.90(1H,d),8.14(1H,s)。
【0118】
5−フルオロ−4−オキソ−3−[(2S)−2−(6−オキソ−6H−ピリミジン−1−イル)−ブチリルアミノ]−ペンタン酸を、上記の化合物から、工程Oおよび次いで工程C〜Eで上記される手順と同様の手順を使用して調製した。
IR(固体)1717,1665,1527,1365,1241,1155,841.1775,1727,1665,1551,1417,1188,1136,1055cm−1H NMR(400MHz,DMSO−d)δ 0.77−0.81(3H,m),1.96−2.14(2H,m),2.57−2.86(2H,m),4.28−4.66(1.5H,m),5.06−5.40(2.5H,m),6.41−6.45(1H,m),7.93−7.95(1H,m),8.47−8.50(1H,m),8.71−9.02(1H,m);19F NMR(376MHz,DMSO−d)δ
−75.4(s,TFA塩),−226.7(t),−226.8(t),−230.4(t),−231.2(t),−232.7(t),−232.8(t);13C NMR(100MHz,DMSO−d)δ 10.5/10.6,23.7/23.9,34.6/34.7,52.3/52.5,57.6/58.1,84.3//84.4,114.7/114.8,151.9/153.2,153.3/153.4,160.5/160.5,169.6/169.7,171.9/172.0,202.5/202.6。
【0119】
(実施例26)
【0120】
【化68】


(3S)−4−オキソ−3−[(2S)−2−(4−オキソ−4H−キナゾリン−3−イル)−ブチリルアミノ]−ブタン酸(1C−12)を、(2S)−2−(4−オキソ−4H−キナゾリン−3−イル)−ブタン酸(111.1mg、0.49mmol)[2−アジドベンゾイルクロリドおよび塩酸2−アミノ酪酸tert−ブチルエステルから、工程L〜Oに記載した方法と類似した方法を用いて調製した]および(2RS,3S)−アリルオキシカルボニルアミノ−2−ベンジルオキシ−5−オキソテトラヒドロフラン(153.3mg、0.53mmol)から、Vertexの特許WO97/22619に記載される方法に従って調製した。表題化合物を、オフホワイトの固体(45.5mg、最終的な2工程に関して29%)として得た:H NMR(400MHz,CDOD)δ0.95−1.15(3H,m)、2.00−2.38(2H,m)、2.45−2.90(2H,m)、4.25−4.45(1H,m)、4.50−4.80(1H,m)、5.40−5.75(1H,m)、7.75−7.90(1H,m)、8.00−8.12(1H,m)、8.32−8.44(1H,m)、9.30−9.65(1H,m);13C NMR(100MHz,CDOD)δ11.05/11.48、25.38/26.79/26.85/27.、34.98/35.21/35.46、50.21/50.61/52.95/53.04/53.22/53.30、60.06/60.40/60.46、98.51/98.73/98.80、106.19/106.46、121.54、121.84/121.92/121.99、129.29/129.59、131.04/131.31、138.33、139.50/139.58、159.92/160.01、170.28/170.40、173.66。
【0121】
(実施例27)
(5−フルオロ−4−オキソ−3−[(2S)−2−[1−(3−クロロベンジル)−2−オキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル]−3−メチル−ブチリルアミノ]−ペンタン酸(1D−1))
【0122】
【化69】


(工程V:(2S)−3−メチル−2−(2−ニトロ−ベンジルアミノ)−酪酸tert−ブチルエステル)
EtOH(10mL)中の塩酸バリンtert−ブチルエステル(1.5g、7.15mmol)の溶液に、トリエチルアミン(2.09mL、15mmol)を添加し、続いて10分後に塩化2−ニトロベンジル(1.227g、7.15mmol)を添加した。次いで、この混合物を還流下で20時間攪拌し、その後これをエバポレートした。残渣を、フラッシュクロマトグラフィー(ガソリン/酢酸エチル、85/15)によって精製して、副題の化合物を無色のオイル(1.753g、80%)として得た。H NMR(400MHz CDCl)δ 0.93(6H,m)、1.48(9H,s)、1.83−1.96(2H,m)、2.82(1H,d)、3.92(1H,d)、4.11(1H,d)、7.39(1H,t)、7.57(1H,t)、7.65(1H,d)、7.89(1H,d)。
【0123】
(工程W:(2S)−2−(2−アミノ−ベンジルアミノ)−3−メチル−酪酸tert−ブチルエステル)
EtOH(30mL)中の(2S)−3−メチル−2−(2−ニトロ−ベンジルアミノ)−酪酸tert−ブチルエステル(1.753g、5.68mmol)の溶液にラネーニッケル(1.3mL)を添加し、そして反応混合物に、バルーン圧力下で2時間水素添加した。触媒を濾過し、そして濾液をエバポレーションして副題化合物を黄色オイルとして得た(1.573g、100%)。H NMR(400MHz CDCl)δ 0.81−0.90(6H,m)、1.55(9H,s)、1.90(1H,m)、2.89(1H,d)、3.62(1H,d)、3.86(1H,d)、4.68(2H,vbr s)、6.68(2H,m)、7.02(1H,d)、7.13(1H,t)。
【0124】
(工程X:(2S)−3−メチル−2−(2−オキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−酪酸tert−ブチルエステル)
THF(20mL)中の(2S)−2−(2−アミノ−ベンジルアミノ)−3−メチル−酪酸tert−ブチルエステル(1.573g,5.65mmol)の溶液に、カルボニルジイミダゾール(1.008g,6.21mmol)を添加し、そして反応物を還流下で一晩攪拌した。溶媒をエバポレートし、そして残渣をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル、50/50)によって精製して、副題化合物を黄色固体(662mg、38%)として得た。H NMR(400MHz CDCl)δ 0.95(3H,d)、1.08(3H,d)、1.49(9H,s)、2.32(1H,m)、4.39(1H,d)、4.60(1H,d)、4.72(1H,d)、6.81(1H,d)、6.94(1H,t)、7.07(1H,d)、7.18(1H,t)、8.68(1H,s)。
【0125】
(工程Y:(2S)−2−[1−(3−クロロ−ベンジル)−2−オキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル]−3−メチル−酪酸tert−ブチルエステル)
DMSO(10mL)中の(2S)−3−メチル−2−(2−オキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−酪酸tert−ブチルエステル(633mg、2.08mmol)および臭化3−クロロベンジル(470mg、2.29mmol)の混合物に水素化ナトリウム(75mg、1.87mmol)を添加し、そして反応混合物を室温で40時間攪拌した。次いで、この反応物に飽和NHCl水溶液を添加し、そして混合物を酢酸エチルで抽出した。有機層を乾燥(MgSO)し、濾過し、そしてエバポレートした。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル、70/30)によって精製して、表題化合物を無色のオイル(477mg、59%)として得た。H NMR(400MHz CDCl)δ 0.99(3H,d)、1.08(3H,d)、1.48(9H,s)、2.32(1H,m)、4.42(1H,d)、4.59−4.67(2H,m)、5.05−5.19(2H,m)、6.68(1H,d)、6.97(1H,t)、7.06−7.27(6H,m)。
【0126】
5−フルオロ−4−オキソ−3−[(2S)−2−[1−(3−クロロベンジル)−2−オキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル]−3−メチル−ブチリルアミノ]−ペンタン酸を、工程Oに記載される手順と同様の手順、次いで工程C〜Eに記載される手順と同様の手順を用いて上記化合物から調製した。IR(固体)1736、1365、1227、1217、1203cm−1H NMR(400MHz、DMSO−d)δ 0.84−0.97(6H,m)、2.30−2.33(1H,m)、2.54−2.87(2H,m)、4.39−5.24(8H,m)、6.73−6.78(1H,m)、6.93−6.97(1H,m)、7.11−7.35(6H,m)、8.21−8.76(1H,m);19F NMR(376MHz,DMSO−d)δ−232.2(t)、−232.8(t);13C NMR(100MHz,DMSO−d)δ 19.4/19.5、26.1/26.4、34.6/34.8、43.8、45.6/45.7、51.8/52.0、62.7/63.1、84.1/84.3、113.6、121.3/121.4、122.4/122.5、125.3、126.1、126.6、127.1、128.2、130.7、133.5、137.9/138.0、141.0/141.0、155.5/155.7、170.8、172.0/172.0、202.6/202.9。
【0127】
本発明の化合物は、カスパーゼを阻害するように設計される。それゆえ、本発明の化合物は、アポトーシスをそれらが阻害する能力、IL−1βの放出、またはカスパーゼ活性について直接アッセイされ得る。各々の活性についてのアッセイは当該分野で公知であり、そして以下で、試験の節に詳細に記載される。
【0128】
別の実施形態に従って、本発明は、上記のとおりの、本発明の化合物または薬学的に受容可能なその塩、および薬学的に受容可能なキャリアを含む組成物を提供する。
【0129】
本発明の化合物の薬学的に受容可能な塩がこれらの組成物において利用される場合、これらの塩は好ましくは、無機または有機の酸および塩基から誘導される。このような酸の塩に含まれるのは、以下のものである:酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、硫酸水素塩、酪酸塩、クエン酸塩、ショウノウ酸塩、ショウノウスルホン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸、ジグルコン酸塩(digluconate)、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、グルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、シュウ酸塩、パモエート、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸、ピクリン酸塩、ピバレート、プロピオン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トシレートおよびウンデカン酸塩。塩基の塩としては、以下が含まれる:アンモニウム塩、アルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩およびカリウム塩)、アルカリ土類金属塩(例えば、カルシウム塩およびマグネシウム塩)、有機塩基との塩(例えば、ジシクロヘキシルアミン塩、N−メチル−D−グルカミン)、およびアミノ酸(例えば、アルギニン、リジン)との塩など。
【0130】
また、塩基性窒素含有基は、以下のような薬剤で四級化され得る:低級アルキルハライド(例えば、塩化メチル、塩化エチル、塩化プロピルおよび塩化ブチル、臭化メチル、臭化エチル、臭化プロピルおよび臭化ブチル、ならびにヨウ化メチル、ヨウ化エチル、ヨウ化プロピルおよびヨウ化ブチル);硫酸ジアルキル(例えば、硫酸ジメチル、硫酸ジエチル、硫酸ジブチルおよび硫酸ジアミル)、長鎖ハライド(例えば、塩化デシル、塩化ラウリル、塩化ミリスチルおよび塩化ステアリル、臭化デシル、臭化ラウリル、臭化ミリスチルおよび臭化ステアリル、ならびにヨウ化デシル、ヨウ化ラウリル、ヨウ化ミリスチルおよびヨウ化ステアリル)、アラルキルハライド(例えば、臭化ベンジルおよび臭化フェネチル)など。水または油に可溶性または分散性の産物がこのようにして得られる。
【0131】
本発明の組成物および方法において利用される化合物はまた、適切な官能基を付加して選択的生物学的特性を増強することによって改変され得る。このような改変は当該分野で公知であり、そして所定の生物学的系(例えば、血液、リンパ系、中枢神経系)への生物学的浸透を増大させ、経口アベイラビリティーを増大させ、注射による投与を可能にするように溶解度を増大させ、代謝を変更し、そして排出速度を変更する改変を包含する。
【0132】
これらの組成物において用いられ得る薬学的に受容可能なキャリアとしては、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、血清タンパク質(例えば、ヒト血清アルブミン)、緩衝物質(例えば、ホスフェート、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム)、飽和植物脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、塩または電解質(例えば、硫酸プロタミン、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩)、コロイド状シリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロースベースの物質、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリレート、ワックス、ポリエチレン−ポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリエチレングリコールおよび羊毛脂が挙げられるがこれらに限定されない。
【0133】
好ましい実施形態に従って、本発明の組成物は、哺乳動物(好ましくはヒト)への薬学的投与のために処方される。
【0134】
本発明のこのような薬学的組成物は、経口的に、非経口的に、吸入スプレーによって、表面に、直腸に、鼻腔内に、口内に、膣内に、または移植されたレザバを介して投与され得る。用語「非経口的に」は、本明細書中で使用される場合、皮下、静脈内、筋内、関節内、滑膜内、胸骨下、髄腔内、肝臓内、病変内および頭蓋内の注射または注入の技術を包含する。好ましくは、組成物は、経口的にまたは静脈内に投与される。
【0135】
本発明の無菌注射可能形態の組成物は、水性または油性の懸濁物であり得る。これらの懸濁物は、当該分野で公知の技術に従って、適切な分散剤または湿潤剤ならびに懸濁剤を用いて処方され得る。無菌の注射可能な調製物はまた、無毒性の非経口的に受容可能な希釈剤または溶媒中の無菌の注射可能な溶液または懸濁物(例えば、1,3−ブタンジオール中の溶液)であり得る。用いられ得る受容可能なビヒクルおよび溶媒の中でも、水、リンゲル溶液および等張性の塩化ナトリウム溶液である。さらに、無菌の固定油は、溶媒または懸濁媒体として従来用いられている。この目的のために、任意の低刺激性固定油(合成モノグリセリドまたはジグリセリドを含む)が用いられ得る。脂肪酸(例えば、オレイン酸およびそのグリセリド誘導体)は、天然の薬学的に受容可能な油(例えば、オリーブ油またはヒマシ油)と同様に、注射可能物質の調製において、特にそれらのポリオキシエチル化バージョンにおいて有用である。これらの油の溶液または懸濁物はまた、長鎖アルコール希釈剤または分散剤(例えば、カルボキシメチルセルロースまたは薬学的に受容可能な投薬形態の処方物(エマルジョンおよび懸濁物を含む)において通常用いられる同様
の分散剤)を含み得る。他の通常用いられる界面活性剤(例えば、Tween、Spanおよび他の乳化剤)または薬学的に受容可能な固体、液体もしくは他の投薬形態の製造において通常用いられるバイオアベイラビリティー増強剤もまた、処方の目的のために用いられ得る。
【0136】
本発明の薬学的組成物は、経口的に受容可能な任意の投薬形態(カプセル剤、錠剤、水性懸濁剤または液剤を含むがこれらに限定されない)で経口投与され得る。経口用途のための錠剤の場合、通常用いられるキャリアとしては、ラクトースおよびコーンスターチが挙げられる。滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム)もまた代表的に添加される。カプセル形態における経口投与について、有用な希釈剤としては、ラクトースおよび乾燥コーンスターチが挙げられる。水性懸濁物が経口用途のために必要とされる場合、活性成分は、乳化剤および懸濁剤と組み合わされる。所望の場合、特定の甘味料、矯味矯臭剤または着色剤もまた添加され得る。
【0137】
あるいは、本発明の薬学的組成物は、直腸投与のための坐剤の形態で投与され得る。これらは、薬剤を、室温では固体であるが直腸温では液体である、それゆえ、直腸で融解して薬物を放出する、適切な非刺激性賦形剤と混合することにより調製され得る。このような材料としては、ココアバター、蜜蝋およびポリエチレングリコールが挙げられる。
【0138】
本発明の薬学的組成物はまた、表面投与され得る(特に、処置の標的が、表面適用によって容易にアクセス可能な領域または器官(眼、皮膚または下部胃腸管の疾患を含む)を含む場合)。適切な表面処方物は、これらの領域または器官の各々について容易に調製される。
【0139】
下部胃腸管についての表面適用は、直腸坐剤処方物(上記を参照のこと)において、または適切な浣腸処方物においてもたらされ得る。表面経皮パッチもまた用いられ得る。
【0140】
表面適用について、薬学的組成物は、1以上のキャリア中に懸濁または溶解された活性成分を含む適切な軟膏中に処方され得る。本発明の化合物の表面投与のためのキャリアとしては、鉱油、流動ワセリン、白色ワセリン、プロピレングリコール、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン化合物、乳化ロウおよび水が挙げられるがこれらに限定されない。あるいは、薬学的組成物は、1以上の薬学的に受容可能なキャリア中に懸濁または溶解された活性成分を含む、適切なローションまたはクリーム中に処方され得る。適切なキャリアとしては、鉱油、モノステアリン酸ソルビタン、ポリソルベート60、セチルエステル、ワックス、セテアリールアルコール(cetearyl alcohol)、2−オクチルドデカノール、ベンジルアルコールおよび水が挙げられるがこれらに限定されない。
【0141】
眼での使用のためには、薬学的組成物は、塩化ベンザルコニウムのような保存剤を含んでも含まなくてもよい、pHが調整された等張無菌生理食塩水中に微粉化された懸濁物として、または好ましくはpHが調整された等張生理食塩水中の溶液として、処方され得る。あるいは、眼での使用のためには、薬学的組成物は、軟膏(例えば、ワセリン)中に処方され得る。
【0142】
本発明の薬学的組成物はまた、鼻腔内エアゾールまたは吸入によって投与され得る。このような組成物は、薬学的処方物の分野で周知の技術に従って調製され、そしてベンジルアルコールもしくは他の適切な保存剤、バイオアベイラビリティーを増強するための吸収促進剤、フッ化炭化水素および/または他の従来の可溶化剤もしくは分散剤を用いて、生理食塩水中の溶液として調製され得る。
【0143】
上記の組成物は、以下に関連した治療的適用において特に有用である:IL−1媒介性疾患、アポトーシス媒介性疾患、炎症性疾患、自己免疫疾患、破壊性骨障害、増殖性障害、感染性疾患、変性疾患、細胞死に関連した疾患、過剰な飲用アルコール摂取疾患、ウイルス媒介性疾患、網膜障害、ブドウ膜炎、炎症性腹膜炎、変形性関節症、膵炎、ぜん息、成人呼吸促進症候群、糸球体腎炎、慢性関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、強皮症、慢性甲状腺炎、グレーヴズ病、自己免疫胃炎、糖尿病、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性好中球減少症、血小板減少症、慢性活動性肝炎、重症筋無力症、炎症性腸疾患、クローン病、乾癬、アトピー性皮膚炎、瘢痕、対宿主性移植片病、器官移植拒絶、熱傷損傷後の器官アポトーシス、骨粗しょう症、白血病および関連障害、脊髄形成異常症候群、多発性骨髄腫関連骨障害、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、転移性黒色腫、カポージ肉腫、多発性骨髄腫、出血性ショック(haemorrhagic shock)、敗血症、敗血症性ショック、熱傷、細菌性赤痢、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンティングトン病、ケネディ病、プリオン疾患(prion disease)、大脳虚血、てんかん、心筋虚血、急性および慢性の心臓病、心筋梗塞、うっ血性心不全、アテローム性動脈硬化症、冠状動脈バイパス移植、棘筋萎縮症、筋萎縮性側索硬化症、多発性硬化症、HIV関連脳炎、加齢、脱毛症、発作に起因する神経学的傷害、潰瘍性大腸炎、外傷性脳損傷、脊髄損傷、B型肝炎、C型肝炎、G型肝炎、黄熱病、デング熱、または日本脳炎、種々の形態の肝臓病、腎臓病、多発性嚢胞腎疾患、H.pyloriに関連した胃潰瘍および十二指腸潰瘍疾患、HIV感染、結核、および髄膜炎。この化合物および組成物はまた、冠状動脈バイパス移植に関連した合併症を処置するにおいて有用である。上記組成物中に存在する化合物の量は、実施例に記載のいずれかのアッセイによって測定された場合に、疾患の重篤度またはカスパーゼ活性および/もしくは細胞アポトーシスにおいて検出可能な減少を引き起こすに十分な量であるべきである。
【0144】
別の実施形態に従って、本発明の組成物はさらに、別の治療剤を含み得る。このような薬剤としては、血栓崩壊剤(例えば、組織プラスミノゲン活性化因子およびストレプトキナーゼ)が挙げられるが、これに限定されない。第2の薬剤を使用する場合、第2の薬剤は、別個の投薬形態としてか、または本発明の化合物または組成物を伴う単一投薬形態としてのいずれかとして投与され得る。
【0145】
任意の特定の患者についての特定の投薬量および処置レジメンが、種々の因子(使用される特定の化合物の活性、年齢、体重、全身的健康状態、性別、食餌、投与時間、排泄率、薬物の組み合わせ、および処置医の判断、ならびに処置されている特定の疾患の重篤度を含む)に依存することもまた、理解されるべきである。活性成分の量はまた、組成物中の特定の化合物および他の治療剤(存在する場合)に依存する。
【0146】
好ましい実施形態では、本発明は、上述の疾患の1つを有する哺乳動物を処置する方法を提供する。この方法は、この哺乳動物に、上記の薬学的に受容可能な組成物を投与する工程を包含する。この実施形態では、患者が別の治療剤またはカスパーゼインヒビターを投与される場合には、これらは、単位投薬形態または別個の投薬形態において、本発明の化合物と共に送達され得る。別個の投薬形態として投与される場合、他のカスパーゼインヒビターまたは薬剤は、本発明の化合物を含む薬学的に受容可能な組成物の投与前か、その投与と同時か、またはその投与後に投与され得る。
【0147】
本発明がより完全に理解されるように、以下の調製および試験の実施例を示す。これらの実施例は、例示のみを目的とし、いかようにも、本発明の範囲を制限するように解釈されるべきではない。
【0148】
(実施例28)
(酵素アッセイ)
カスパーゼ阻害についてのアッセイは、組換え精製ヒトカスパーゼ−1,−3,−7または−8による蛍光原基質の切断に基づく。このアッセイは、本質的に、Garcia−Calvoら(J.Biol.Chem.273(1998)、32608−32613)によって報告された方法と同じ方法において、各酵素に特異的な基質を使用して行われる。カスパーゼ−1についての基質は、アセチル−Tyr−Val−Ala−Asp−アミノ−4−メチルクマリンである。カスパーゼ−3,−7および−8についての基質は、アセチル−Asp−Glu−Val−Asp−アミノ−4−メチルクマリンである。
【0149】
観察された特定のインヒビター濃度での酵素不活性化速度(kobs)は、非線形最小2乗法分析コンピュータープログラム(PRISM 2.0;GraphPad software)を使用して、Thornberryら(Biochemistry 33(1994)、3943−3939)によって導き出された方程式に、このデータを直接当てはめることによって計算する。二次的な速度定数であるkinactを得るために、kobs値を、それらの個々のインヒビター濃度に対してプロットし、その後、kinact値を、コンピューター化された線形回帰によって計算する。
【0150】
表8は、上記の方法によって決定された場合の、選択された本発明の化合物についてのカスパーゼ−1活性の阻害を示す。
【0151】
【表14】


表9は、上記の方法によって決定された場合の、選択された本発明の化合物についてのカスパーゼ−3活性の阻害を示す。
【0152】
【表15】





表10は、上記の方法によって決定された場合の、選択された本発明の化合物についてのカスパーゼ−7および−8の活性の阻害を示す。

【0153】

【表16】





(実施例29)

(末梢血単核細胞(PBMC)の混合集団からのIL−1β分泌の阻害)

カスパーゼ−1によるプレ−IL−1βのプロセシングは、種々の細胞供給源を使用する細胞培養において測定され得る。健常ドナーから得られるヒトPBMCは、多くのクラスの生理的刺激因子に応答して一定範囲のインターロイキンおよびサイトカインを産生する、リンパ球と単核細胞との混合集団を提供する。

【0154】

(実験手順)

試験化合物を、ジメチルスルホキシド(DMSO、Sigma #D−2650)中の溶解して、100mMのストック溶液を与える。これを、10%熱非働化FCS(Gibco BRL #10099−141)、2mM L−グルタミン(Sigma、#G−7513)、100Uのペニシリン、および100μg/mlのストレプトマイシン(Sigma、#P−7539)を含有するRPMIからなる完全培地に希釈する。試験化合物の最終濃度の範囲は、8回の希釈工程に対して、100μM〜6nMである。試験化合物の最高濃度は、このアッセイにおける0.1%DMSOと等しい。

【0155】

ヒトPBMCを、Ficoll−Paque白血球分離媒体(Amersham、#17−1440−02)における遠心分離を使用して、血液銀行から得たバフィコートから単離する。この細胞性アッセイを、滅菌96ウェル平底プレート(Nunc)において実施する。各ウェルは、最終濃度50ng/mlにおいて、100μlの細胞懸濁物、1×10細胞、50μlの化合物希釈物、および50μlのLPS(Sigma、#L−3012)を含む。コントロールは、細胞+/−LPS刺激および化合物と同様に希釈されたDMSOの段階希釈物からなる。このプレートを、5%COおよび95%加湿雰囲気中で、37℃にて16〜18時間インキュベートする。

【0156】

16〜18時間後、このプレートを18℃にて15分間100×gで遠心分離した後に、上清を収集し、そしてそのIL−1β含量についてアッセイする。上清中の成熟IL−1βの測定を、製造業者の指示書に従ってQuantikineキット(R&D Systems)を使用して実施する。約600〜1500pg/mlの成熟IL−1βレベルが、ポジティブコントロールウェル中のPBMCについて観察される。

【0157】

この化合物の阻害性強度は、IC50値によって表され得る。IC50値は、ポジティブコントロールと比較した場合に、50%の成熟IL−1βが上清中に検出されるインヒビター濃度である。表11は、上記の方法によって決定された場合の、選択された本発明の化合物についての末梢血単核細胞からのIL−1β分泌の阻害を示す。

【0158】

【表17】





(実施例30)

(抗Fas誘導性アポトーシスアッセイ)

細胞性アポトーシスは、Fasリガンド(FasL)のそのレセプター(CD95(Fas))への結合によって誘導され得る。CD95は、カスパーゼ酵素カスケードの活性化を介して細胞においてアポトーシスを誘発し得る関連レセプター(死レセプター(death receptor)として公知)のファミリーの1つである。このプロセスは、CD95レセプター−リガンド複合体の細胞質ドメインへのアダプター分子FADD/MORT−1の結合によって開始される。次いで、カスパーゼ−8はFADDを結合し、そして活性となり、下流のカスパーゼの活性化および以後の細胞性アポトーシスに関するカスパーゼ事象のカスケードを開始させる。アポトーシスはまた、細胞表面CD95を架橋するために、FasLではなく抗体を使用して、CD95を発現する細胞(例えば、Jurkat E6.1 T細胞リンパ腫細胞株)において誘導され得る。抗Fas誘導性アポトーシスはまた、カスパーゼ−8の活性化を通して誘発される。これは、カスパーゼ−8媒介性アポトーシス経路を阻害する化合物をスクリーニングするための細胞ベースのアッセイの基礎を提供する。

【0159】

(実験手順)

Jurkat E6.1細胞を、RPMI−1640(Sigma No)+10%ウシ胎仔(foetal)血清(Gibco BRL No.10099−141)+2mM L−グルタミン(Sigma No.G−7513)から構成される完全培地において培養する。この細胞を、対数増殖期に収集する。100mlの細胞(5〜8×10細胞/ml)を、滅菌した50ml Falcon遠心管に移し、そして室温にて100×gで5分間遠心分離する。上清を取り除き、そして合わせたペレットを25mlの完全培地中に再懸濁する。細胞を計数し、そして密度を、完全培地で2×10細胞/mlに調整する。

【0160】

試験化合物を、ジメチルスルホキシド(DMSO)(Sigma No.D−2650)中に溶解して、100mMのストック溶液を与える。これを、完全培地中で400μMに希釈し、次いで、96ウェルプレート中で段階希釈し、次いで、細胞アッセイプレートに添加する。

【0161】

100μlの細胞懸濁物(2×10細胞)を、滅菌した96ウェル丸底クラスタープレート(Costar No.3790)の各ウェルに添加する。適切に希釈した50μlの化合物溶液および最終濃度10ng/mlの50μlの抗Fas抗体(クローンCH−11(Kamiya No.MC−060))を、このウェルに添加する。コントロールウェルは、抗体を含まず、化合物を含まないが、ビヒクルコントロールとしてのDMSOの段階希釈物は含むように設定する。このプレートを、5%COおよび95%湿度で、37℃にて16〜18時間インキュベートする。

【0162】

細胞のアポトーシスを、Boehringer−Mannheim No.1544 675からの「Cell Death Detection Assay」を使用して、DNA断片化の定量によって測定する。16〜18時間のインキュベーション後、このアッセイプレートを、室温にて5分間100×gで遠心分離する。150μlの上清を除去し、そして150μlの新鮮完全培地で置換する。次いで、細胞を収集し、このアッセイキットにおいて供給された200μlの溶解緩衝液を、各ウェルに添加する。この細胞を粉砕して、完全な溶解を保証し、そして4℃にて30分間インキュベートする。次いで、このプレートを、1900×gにて10分間遠心分離し、そして上清を、提供されたインキュベーション緩衝液中で1:20に希釈する。次いで、100μlのこの溶液を、このキットで供給された製造業者の指示書に正確に従って、アッセイする。OD405nmを、SPECTRAmax Plus plate reader(Molecular Devices)における最終基質の添加から20分後に測定する。OD405nmを、化合物濃度に対してプロットし、そして化合物についてのIC50値を、4つのパラメーターフィットオプション(parameter fit option)を用いて、カーブフィッティングプログラムSOFTmax Pro(Molecular Devices)を使用して算出する。

【0163】

表12は、FAS誘導性アポトーシスアッセイにおける、選択された本発明の化合物の活性の結果を示す。

【0164】

【表18】





本発明者らは、本発明の多数の実施形態を記載したが、本発明者らの基本型の実施例が改変されて、本発明の化合物および方法を利用する他の実施形態を提供し得ることは明らかである。従って、本発明の範囲が、例として表された特定の実施形態によってではなく、添付の特許請求の範囲によって限定されることが理解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本願明細書に記載された発明。

【公開番号】特開2012−21032(P2012−21032A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−234386(P2011−234386)
【出願日】平成23年10月25日(2011.10.25)
【分割の表示】特願2001−543517(P2001−543517)の分割
【原出願日】平成12年12月8日(2000.12.8)
【出願人】(598032106)バーテックス ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (414)
【氏名又は名称原語表記】VERTEX PHARMACEUTICALS INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】130 Waverly Street, Camridge, Massachusetts 02139−4242, U.S.A.
【Fターム(参考)】