説明

カセットおよびカセットと協働して遠心分離機に挿入可能なシステム構成部品

【課題】不完全な装着を回避し、時間を節約できる遠心分離機のためのカセット及び構成部品を提供する。
【解決手段】生成物搬送経路と、血液成分を分離するためのロータを有する遠心分離機上または遠心分離機に配置されたシステム構成部品4上にある相手部品と係合可能な位置決め手段3a、3bと、を備える、カセット2に関する。この位置決めは、生成物搬送経路の一区画が遠心分離機または遠心分離機に配置されたシステム構成部品の一区画1a、1bと位置合わせされるように行われる。さらに、生成物搬送経路には、バッグと連結されたチューブが収容される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液成分を分離するための遠心分離機のカートリッジ用血液バッグを収容するためにカバーとして使用されるカセットと、上記カセットと協働して上記遠心分離機に挿入可能なシステム構成部品と、に関する。
【背景技術】
【0002】
輸血医学において、いわゆる血液成分療法自体は、90年代の初頭以来確立されている。すなわち、全血の保存血液の代わりに、患者には、それぞれが必要とする血液成分のみが投与される。個々の血液成分を別々に投与することによって、一つの保存血液を、平均1.8人の患者に最適に役立てることが可能になる。
【0003】
基本的な血液成分とは、以下の通りである。
いわゆる赤血球濃厚液における赤血球。この成分は、極度に失血した後に酸素供給を維持するために輸血される。
血小板濃厚液における血小板。この成分は、血液凝固障害(血友病)の場合に投与される。
血漿。この成分は、血液の凝固障害および欠乏の場合に投与される。それとは別に、血漿は、数多くの薬剤製造の基本的な成分である。
【0004】
細胞分離/隔離として定義される、血液の個別成分への分離は、遠心分離器内で血液を処理することによって行われることが知られている。遠心分離によって、血液の個別成分が分離され、さらなる用途のためにそれぞれ別々に容器に充填することができる。
【0005】
血液成分を分離するための遠心分離機で使用するためのカートリッジとその遠心分離機ならびにその方法は、特許文献1、特許文献2および特許文献3ですでに明らかになっている。これらの文献によると、カートリッジは中間の壁およびカバーを備えている。この中間の壁は、径方向内側に配設された血液バッグ領域と径方向外側に配設された生成物領域とを分離する。カートリッジの設置位置で、血液バッグ領域の上にカバーが配置される。カバーは、中間の壁に、第1の箇所で旋回式に連結され、第2の箇所で着脱式に連結される。これにより、カバーを側方に旋回することによって、血液バッグ領域へと自在にアクセス可能になっている。カートリッジに血液バッグを装着するには、カバーを開き、血液バッグおよび生成物バッグをそれぞれのチャンバに挿入し、生成物搬送経路に沿って接続チューブを挿入する。また、生成物搬送経路に沿って感光センサが配置され、生成物を得ながら生成物の組成の確定を行うために使用される。特定の組成に達すると、生成物の取得を終了させるための処置が施される。しかしながら、カートリッジの装着は手動でしか行うことができず、時間およびコストがかかる。さらに、接続チューブの挿入が不完全であるとセンサが適時に反応しないことから、生成物が損なわれる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】独国特許出願公開第102007000308号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第102007000309号明細書
【特許文献3】独国特許出願公開第102007000310号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、周知の手段は、不完全な装着を回避する一方、時間を節約できるように改善される必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によると、通路の形をした生成物搬送経路と、遠心分離機上または遠心分離機に配置されたシステム構成部品上にある相手部品と係合可能な位置決め手段とを備え、この位置決めが、上記生成物搬送経路の一区画が上記遠心分離機または上記遠心分離機に配置された上記システム構成部品の一区画と位置合わせされるように行われるカセットが提供される。バッグと連結されたチューブが上記生成物搬送経路に収容される。
【0009】
したがって、本発明によると、すでに挿入済みのチューブとそのチューブに取り付けられた2つ以上のバッグ(血液バッグが1つと生成物バッグが少なくとも1つ)とを有するカセットを、キットの形で使用者に供給することができる。したがって、血液収集プロセス後、チューブおよびバッグを備えるカセットを遠心分離機のシステム構成部品に、または遠心分離機に直接挿入して、遠心分離プロセスを実行することができる。このプロセスで1つ目のバッグ内の血液が分離され、分離された少なくとも1つの血液成分が2つ目のバッグ内に移送される。
【0010】
遠心分離プロセスの完了後は、遠心分離機にあるカセットを新しいものと置き換え、前のカセットにさらに先の処理を施すだけでよい。この点から、一般に、遠心分離プロセスを任意の数のカセットに施すことができることに留意されたい。6個のカセットのうちのいくつかが遠心分離機で同時に処理されると好ましい。
【0011】
チューブおよびバッグがその関連カセットと一緒に置き換えられるので、むだ時間が著しく削減される。
【0012】
上記連結手段と上記相手部品との正確な位置合わせにより、生成物搬送経路と遠心分離機またはシステム構成部品のその区画との正確な位置合わせを実現することが可能になる。これにより確実に、システム構成部品のその区画に配置された感光センサによって、生成物搬送経路を通る生成物流をいつでも検出することができる。したがって、生成プロセスの終了などに適切な反応が遅滞なく即可能になる。特に、生成物搬送経路の上記区画および/または上記位置決め手段に直接隣接して配置されたチューブは、上記センサが設けられる相手部品に直接隣接して正確に配置することができる。さらに、位置決め手段のおかげで、上記センサの軸が生成物搬送経路の中心軸と確実にほぼ直角に交差する。
【0013】
カセットが、スナップ要素またはその他の手段によって互いに連結される下側部品および上側部品からなることができると有利である。位置決め手段を下側部品のみ、上側部品のみ、またはその両方に形成することも可能である。その他の手段は、本発明については例えばねじ接合および/またはリベット接合、または接着接合などにすることもできる。
【0014】
位置決め手段が、生成物搬送経路の1つまたは複数の区画の方向に配置された1つまたは複数のバーの形で設けられると好ましい。バーは窓に配置することができる。かかる配置は容易に製造することができ、かかる配置により、適切に形成された相手部品にぴったり嵌る連結を容易に確立することができる。
【0015】
生成物流を遮断するための少なくとも1つの遮断装置をさらに、生成物搬送経路の1つまたは複数の区画に設けることができると有利である。この遮断装置により、生成プロセスの急停止が可能になる。生成物に望まれていない血液成分が混入する前に、血小板などの所望の生成物の最大限可能な部分を得ることができる。
【0016】
少なくとも1つの遮断装置を、カセットの下側部品または上側部品に組み込むことができ、カセットの外側から直接操作することができると有利である。これにより、ふつうなら遮断装置の不完全な挿入によって生じる可能性がある故障の危険性を伴わずに、遮断装置のすばやい安全な操作が可能になる。遮断装置の操作は、手動あるいは、空気圧、油圧または電子的に操作される作動部材などによって機械的に行うことができる。
【0017】
少なくとも1つの遮断装置を、1つの、または互いに切り離して操作することができる2つのチューブクランプの形で設けることができると有利である。さらに、カセットは、遠心分離機または遠心分離機に配置されたシステム構成部品に収容できるカートリッジに連結される連結手段を備えることができる。したがって、カセットは、カートリッジのカバーとしての機能を果たす。
【0018】
本発明によるカセットが、ハブの周りに回転可能なロータを備える血液成分を分離するための遠心分離機に配置するためのシステム構成部品に収容されると有利である。システム構成部品は、カセットの位置決め手段と係合できる相手部品を備える。このようにして、生成物搬送経路の一区画が確実に、システム構成部品の一区画へ正確に配置される。
【0019】
上記相手部品は、1つまたは複数の溝を有する隆起の形で設けることができ、その溝の壁区画に1つまたは複数のセンサが配置される。そのセンサは感光センサ/光センサであると好ましい。
【0020】
さらに、システム構成部品は、カセットに配設されたロックオフ装置を操作する操作手段を備えることができる。上記操作手段は、2つの端部を有する中心に配置された長いレバーとその長いレバーの端部のところに配置された2つの短いL字形のレバーの形で設けることができると好ましい。長いレバーの各端部は、第1のピストンによって直接的に、または第2のピストンおよび短いL字形のレバーの脚によって間接的に操作可能である。
【0021】
上記カセットおよびシステム構成部品を、ハブの周りに回転可能な遠心分離機のロータを有する、血液成分を分離するための遠心分離機で使用することができると好ましい。上記システム構成部品は、ロータに収容、またはそれに組み込まれる。さらに、カートリッジを上記システム構成部品に組み込むことができ、このカートリッジは血液バッグおよび生成物バッグが装着されたカセットを備えることができる。上記カセットは、カートリッジの血液バッグ領域のためのカバーとして使用される。
【0022】
本発明によるカセットおよび本発明によるシステム構成部品を使用することにより、血漿、赤血球、血小板などの血液生成物(blood product)の1つ、または複数でも得ることが可能になる。この生成物は特に、生成物抽出プロセスの制御/監視に使用するマイクロプロセッサをシステム構成部品に設けることができることから得ることができる。
【0023】
その場合、上記マイクロプロセッサによって特にセンサの検出結果を処理することができ、したがって遮断装置の操作を実行することができる。システム構成部品におけるマイクロプロセッサはさらに、遠心分離機のロータに収容された別のマイクロプロセッサに接続することができ、この別のマイクロプロセッサが生成物抽出プロセス全体の制御/監視を実行するように適合されると有利である。
【0024】
本発明の他の利点は、現時点で好ましい実施形態の説明および添付の図から分かる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明によるカセットの下側部品の上面図である。
【図2】図1の線II−IIに沿った断面図である。
【図3】(A)および(B)はそれぞれ、図1からの上面図、詳細図IIIである。
【図4】図1の線IV−IVに沿った断面図である。
【図5】本発明によるカセットの上側部品の上面図である。
【図6】図5の線VI−VIに沿った断面図である。
【図7】図5の線VII−VIIに沿った断面図である。
【図8】本発明によるカセットの図であり、カセットは本発明によるシステム構成部品に設けられる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の、現時点で好ましい実施形態について図1〜8を用いて説明する。
【0027】
この実施形態によるカセット2は、それぞれスナップ要素9および13、11および15によって互いに連結されている下側部品5および上側部品7を有する。上側部品は透明な材料でできている。さらに、各図から分かるように、カセット2は、2つのアーム35a、35bを有する略矩形の形で設けられる。
【0028】
カセット2の上側部品7と下側部品5は、矩形の中心領域に窓17を備える。さらに、上側部品7では、2つのバー3a、3bが、本発明による位置決め手段として使用されるように形成される。バー3a、3bは、生成物搬送経路1の部分的区画に沿って延びる。
【0029】
下側部品5には、生成物搬送経路1として溝型(channel-type)の通路1が形成される。通路1は、2つの区画1aと1bに分割される。下側部品5におけるアーム35a、35bと反対側の1つの縁部では、2つのチューブクランプ19a、19bが下側部品5に組み込まれている。
【0030】
生成物搬送経路1には、血液バッグ、フィルタおよび生成物バッグを備えるチューブ(図示せず)が配置されており、アーム35aと35bの間に配設された血液バッグから、バー3aに沿って第1の区画1aへ、第1の区画1aに配置されたチューブクランプ19aを介してさらにアーム35aへと案内されるようになっている。次いで、チューブはアーム35aから出て、フィルタに通じ、第2のアーム35bを通って通路1の第2の区画1bに入る。次いで、チューブはバー3bに沿って、チューブクランプ19bを通って再びアーム35bへ、そのアーム35bから生成物バッグの方へ出てくるように案内される。
【0031】
カセット2は、アーム35a、35bのそれぞれにおいて、内部に配設された突出21a、21bを備える。突出21a、21bは、特許文献1、特許文献2および特許文献3のものと同様の不図示のカートリッジに着脱式にこのカセットを固定するために使用される。次いで血液バッグ、フィルタおよび生成物バッグが、カートリッジの適切なチャンバに収容される。カセット2は、上記文献におけるカバーに取って代わっている。
【0032】
装着済みカートリッジは、カセット2と共に、遠心分離機内に配置されたシステム構成部品4に挿入される。システム構成部品4の一区画には、2つの溝(groove)が形成された隆起25が設けられる。各溝の内壁には、感光センサ23a、23bが挿入される。
【0033】
カセット2がシステム構成部品4内に配設されると、隆起25がぴったりと連結して窓17と係合し、バー3aおよび3bが隆起25に形成された溝と係合する。チューブの、バー3a、3bに沿って延びる区画は、バー3a、3bの真下に配設され、それによってチューブの内容物を感光センサ23a、23bによって正確に記録することができる。第1の感光センサ23aは生成物搬送経路1の第1の区画1aに割り当てられ、第2の感光センサ23bは生成物搬送経路1の第2の区画1bに割り当てられる。感光センサ23aおよび23bの光軸は、生成物搬送経路(チューブ)の中心軸とほぼ直角に交差する。
【0034】
カセット2にこれ以上チューブを挿入することはなく、血液バッグ、フィルタおよび生成物バッグを含んでおり簡単に配置されたチューブと共にカセットがすでに納入されているので、センサによる記録に欠陥が生じる可能性のあるチューブの不完全な挿入またはチューブのずれを確実に排除することができる。
【0035】
したがって、本発明によるカセットとシステム構成部品との相互作用により、特許文献2に開示された方法で血液生成物を得ることが可能である。
【0036】
本実施形態によると、遠心分離機のロータは、それぞれ1つのカートリッジを有する6個のシステム構成部品4のために設計される。カセット2を装着済みのカートリッジの挿入が完了した後、遠心分離機が始動する。遠心力によって、血液成分の所望の分離が行われる。添加液で希釈した「バフィーコート」が血液バッグ内にあるので、そのより軽い成分は径方向内部に留まり、より重い成分すなわち赤血球は外側に集まる。
【0037】
血液バッグから高品質すなわちその他の血液細胞の混合物を含まない所望の血液成分(本実施形態では血小板)を輸送するために、上記成分の分離の後、圧力パッドによって僅かな圧力が血液バッグにかけられる。その結果、事前に閉じられていたチューブクランプ19a、19bが開いた後、血小板濃度の高い溶液が通路1に配設されたチューブへと上がりはじめる。血小板濃度の高い溶液はチューブを通って、白血球フィルタとして設計されたフィルタ内に導かれ、そこを通ってさらに案内される。
【0038】
白血球フィルタでは、望まれていない白血球すなわち白色の血液細胞が取り除かれる。
フィルタ付きのチューブの配置により、遠心力に対抗して濾過が行われる。したがって、意図せず輸送された赤血球などのより重い血液成分は、径方向外側に配置されたフィルタ入口チャンバに補足される。
【0039】
白血球フィルタを通過した後、血小板濃度の高い溶液は引き続き、通路1の第2の区画1bに配置されたチューブを通過して生成物バッグへ流れる。この溶液は生成物バッグ内に収集される。生成物バッグは、前もって上記生成物のための最終的な貯蔵バッグとして形成されていると好ましい。
【0040】
フィルタ内に存在する可能性のある空気を取り除くために、生成物移送の開始時は、一定の体積量の間、流速が低く保たれる。これにより、確実かつ完全に血液生成物でフィルタを充填することが可能になる。この特定の体積量の移送後、特定の第2の体積量に対する搬送速度は、圧力パッドの適切な制御によって上昇する。この第2の体積が輸送される間、血液生成物(ここでは血小板濃厚液)に赤血球が混入する危険はほとんど存在しない。それにもかかわらず混入が起こった場合には、チューブが径方向外側かつ下からフィルタへ案内されていることから、かつ遠心力の作用により、少数の赤血球がフィルタの下側の外側領域に収集される。
【0041】
第2の量が移送された後、第1の光センサ23aがアクティブにされ、チューブ内の血液生成物の流速が低減される。
【0042】
第1の光センサ23aは、血小板濃度の高い溶液内における赤血球が所定の割合あることを検出すると、信号を出力し、これにより流速がさらに低減される。加えて、フィルタの後ろに配設された第2の光センサ23bがアクティブにされる。
【0043】
この段階中、やはりかなり多くの赤血球がフィルタに入り、第2の光センサ23bが血液生成物内で赤血球が所定の割合存在することを検出して細胞分離プロセスを終了させるための信号を出力するまでは、赤血球がフィルタを通過することさえあり得る。この信号によって、チューブクランプ19a、19bが、ピストン31a、31bによる長いレバー29の端部29a、29bの操作によって閉じられる結果、フィルタ内の赤血球が生成物バッグ内の血小板濃厚液から確実に分離される。
【0044】
第2の光センサ23bによる終了の代わりに、第2の光センサ23bのアクティブ化後一定の時間が経過した後に、細胞分離プロセスを終了させることもできる。
【0045】
この実施形態では、全部で6個のカートリッジが遠心分離機に設けられる。上述の圧力パッドによるカートリッジ1における細胞分離プロセスの制御と、チューブクランプ19a、19bの開閉と、2つの光センサ23a、23bによるプロセス制御とにより、これらのプロセス制御が、カートリッジとシステム構成部品の組合せごとに個別に行われる。これにより、別のシステム構成部品のカートリッジにおける連続した細胞分離が可能になる。
【0046】
上記プロセスの制御は、システム構成部品に設けられたマイクロプロセッサによって行われる。マイクロプロセッサはセンサ23a、23bの検出/記録結果を処理し、ひいてはレバー31a、31bおよび33a、33bをそれぞれ操作することによりチューブクランプ19a、19bの開閉を制御する。さらに、このマイクロプロセッサは、遠心分離機を制御するため、かつ個々のシステム構成部品にあるマイクロプロセッサを監視するための、ロータのハブに配置されたマイクロプロセッサに接続される。
【0047】
上述のプロセスが行われるときは、最適な収量を確保すると同時に生成物の汚染を回避するため、チューブクランプ19a、19bの的確な操作が必要である。カセット2の下側部品5に組み込まれたチューブクランプ19aおよび19bを操作するため、本発明は、中心に配置された長いレバー29とその長いレバー29の2つの端部29aおよび29bのところに配置されたL字形の短いレバー27a、27bを有する配置をシステム構成部品において設ける。長いレバーの端部29a、29bはそれぞれ、短いレバー27a、27bの脚とチューブクランプ19aおよび19bの閉アーム191との間に配設される。
【0048】
長いレバー29は、その中心区画でシステム構成部品4に固定される。短いレバー27a、27bは「L字」の2つの脚の交点の周りに旋回するよう支持される。このレバー配置全体はカセット2の縁部に沿って配設される。カセット2の縁部には、カセットがシステム構成部品に挿入されたときに、チューブクランプ19a、19bが配置されている。
【0049】
システム構成部品4にはピストン31a、31b、33a、33bが適切に配置され、レバー27a、27bおよび29の操作に使用される。ピストン31a、31bは、長いレバーのそれぞれの端部29a、29bに直接的に作用する。ピストン33a、33bはそれぞれ、短いレバー27aおよび27bの脚に直接的に作用する。この脚は、ピストン33aおよび33bと長いレバー29のそれぞれの端部29a、29bの間に配設される。
【0050】
長いレバー29の端部29a、29bは、カセットが挿入されたときにチューブクランプ19aおよび19bの閉アーム191の真向かいに配設されるので、ピストン31aまたは31bを操作すると、それぞれのチューブクランプ19aまたは19bが閉じる。そしてまた、ピストン33a、33bの操作はそれぞれ回転可能に支持された短いレバー27aおよび27bの一方の脚に作用する。この操作によって、レバー27aおよび27bが回転する。ピストン33aと33bの間に配設されたその脚は長いレバー29の端部29aまたは29bに作用し、一方、短いレバー27aまたは27bのもう一方の脚はチューブクランプ19aまたは19bの開アーム192に作用する。これによってそのチューブクランプが開く。長いレバーの端部29a、29bを間接的に操作することにより、チューブクランプがあまりにも勢いよく開いたり、開きすぎたりすることがなくなり、その結果、チューブクランプが動かなくなること等による問題を回避することができる。
【0051】
本発明について現時点で好ましい実施形態を用いて説明したが、本発明はこれに限定されることなく、添付の特許請求の範囲のみで定義される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
血液成分を分離するためハブの周りを回転可能なロータを有する遠心分離機に配置されるためのシステム構成部品(4)であって、
前記システム構成部品(4)が、カセット(2)の遮断装置(19a、19b)を操作するために、レバー(27a、27b、29)を配置することにより形成された操作手段(27a、27b、29、31a、31b、33a、33b)を備え、
前記操作手段が、中心に配置された長いレバー(29)を備え、前記長いレバー(29)の2つの端部(29a、29b)は、直接的にまたは間接的に独立して操作可能であり、直接的に操作されたとき、各端部(29a、29b)は、間接的に操作されたときよりも長いストロークを有するシステム構成部品(4)。
【請求項2】
前記操作手段が短いレバー(27a、27b)を有し、
前記短いレバーは、操作されたとき、前記カセット(2)の前記遮断装置(19a、19b)の開手段(192a、192b)および閉手段(191a、191b)に作用するように構成されている、請求項1に記載のシステム構成部品(4)。
【請求項3】
前記短いレバー(27a、27b)が、L字形のレバー(27a、27b)の形態で設けられており、
前記短いレバー(27a、27b)が回転可能に支持されており、操作されたとき、一方の脚は、前記長いレバー(29)の長い端部(29a、29b)を介して前記遮断装置(19a、19b)の前記閉手段(191a、191b)に作用し、前記短いレバー(27a、27b)の第2の脚は、前記開手段(192a、192b)に作用する、請求項2に記載のシステム構成部品(4)。
【請求項4】
前記操作手段(27a、27b、29、31a、31b、33a、33b)が、手動および/またはおよび/または流体学的におよび/または電気的に操作可能な第1のピストンを備え、
前記遮断装置(19a、19b)を閉じるために、前記ピストンは、前記長いレバー(29)の前記端部(29a、29b)の一方に直接的に作用する、請求項1〜3のいずれか1項に記載のシステム構成部品(4)。
【請求項5】
前記操作手段(27a、27b、29、31a、31b、33a、33b)が、手動および/またはおよび/または流体学的におよび/または電気的に操作可能な第2のピストン(33a、33b)を備え、
前記遮断装置(19a、19b)を開くために、前記ピストンは、前記短いレバー(27a、27b)の脚に直接的に作用し、および前記脚を介して前記長いレバー(29)の前記端部(29a、29b)の一方に間接的に作用する、請求項4に記載のシステム構成部品(4)。
【請求項6】
遠心分離機であって、
ハブの周りを回転可能であり血液成分を分離するためのロータと、
前記ロータに収容されるか、または前記ロータに組み込まれた、請求項1〜5のいずれか1項に記載の少なくとも1つのシステム構成部品と、
前記システム構成部品(4)に収容されるカートリッジと、血液バッグおよび生成物バッグが装着されたカセット(2)と、を備え、
前記カセット(2)が前記カートリッジの血液バッグ領域のカバーとして使用される、遠心分離機。
【請求項7】
1つ以上の血液製品を得るために、請求項6記載の遠心分離機において請求項1〜5のいずれか1項に記載のシステム構成部品(4)を有するカセット(2)の使用であって、
前記カセット(2)が、前記システム構成部品(4)に収容されたカートリッジの血液バッグ領域をカバーし、
前記カセット(2)が、生成物流を遮断するために前記カセットに組み込まれた遮断装置(19a、19b)および生成物搬送経路(1、1a、1b)を備え、
前記遮断装置が前記カセットの縁部に設けられることにより、前記遮断装置(19a、19b)が手動でおよび/または機械的に操作可能であり、
前記生成物搬送経路(1、1a、1b)は、前記遮断装置(19a、19b)を貫通しており
前記カセットが、連結手段(9、11、13、15)によって互いに連結可能な下側部品(5)および上側部品(7)を有する、カセット(2)の使用。
【請求項8】
前記遮断装置(19a、19b)が、互いから切り離して操作できる2つのチューブクランプ(19a、19b)の形態で設けられる、請求項7に記載のカセット(2)の使用。
【請求項9】
前記遮断装置(19a、19b)が、前記下側部品(5)または前記上側部品(7)に組み込まれる、請求項7または8に記載のカセット(2)の使用。
【請求項10】
前記生成物搬送経路(1、1a、1b)が、前記下側部品(5)と前記上側部品(7)を連結することによってこれらの間に通路の形態で設けられる、請求項7〜9のいずれか1項に記載のカセット(2)の使用。
【請求項11】
前記生成物搬送経路(1、1a、1b)に、チューブが配置される、請求項7〜10のいずれか1項に記載のカセット(2)の使用。
【請求項12】
前記カセットが、前記カセットを収容するカートリッジとの連結を確立するための連結手段(21a、21b)を備え、
前記カートリッジが、前記遠心分離機にまたは前記遠心分離機に配置された前記システム構成部品に収容されるように構成される、請求項7〜11のいずれか1項に記載のカセット(2)の使用。
【請求項13】
前記カセットが、遠心分離機上にまたは遠心分離機に配置されたシステム構成部品(4)上にある相手部品と係合可能な位置決め手段(3a、3b)を備え、
前記生成物搬送経路(1、1a、1b)の一区画が、前記遠心分離機または前記遠心分離機に配置された前記システム構成部品の一区画と位置合わせされている、請求項7〜12のいずれか1項に記載のカセット(2)の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−99515(P2013−99515A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−212400(P2012−212400)
【出願日】平成24年9月26日(2012.9.26)
【分割の表示】特願2012−547505(P2012−547505)の分割
【原出願日】平成23年1月5日(2011.1.5)
【出願人】(508291836)アンドレアス ヘティック ゲーエムベーハー アンド カンパニー カーゲー (9)
【出願人】(509334480)テルモ ヨーロッパ エヌ ヴイ (5)
【Fターム(参考)】