説明

カゼインキナーゼ阻害剤としてのイミダゾール誘導体

明細書で規定する式(I)の構造を有する化合物およびその化合物の薬学的に許容できる塩が開示される。対応する医薬組成物、治療方法、合成方法、および中間体も開示される。
【化1】


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、中枢神経系に関連する疾患および障害の治療および/または予防において有用な薬剤に関する。より詳細には、本発明は、一連の置換イミダゾール化合物を投与してカゼインキナーゼIδ(CK1δ)またはCK1ε(CK1ε)活性を阻害することにより寛解する疾患または障害に罹患している患者を治療する化合物を含む。より具体的には、本発明は、ヒトCKIδまたはCK1εリン酸化の阻害剤である4−アリール−5−ヘテロアリール−1−ヘテロシクロアルキル−イミダゾールおよび関連類似体に関する。
【背景技術】
【0002】
概日時計は、睡眠と活動からなる毎日のサイクルを外部環境と関連付ける。概日時計の調節が解除されることは、うつ病、季節性感情障害、および代謝障害を含むいくつかのヒト障害に関連している。概日リズムは、哺乳動物では、視床下部の視交叉上核に位置する親時計によって制御される(AntleおよびSilver、Trends Neurosci 28:145〜151)。細胞レベルでは、時計周期の背後にある分子事象は、フィードバックループを規定し、およそ24時間のサイクルをもたらす、mRNAおよびタンパク質の規則的な増加および減少によって説明される。視交叉上核は、主として、網膜視床下部路を介して光によって直接調節または同調される。視交叉上核の周期的な出力信号は、完全には特定されていないが、睡眠と覚醒、体温、およびホルモン分泌のリズムなどの、複数の下流のリズムを調節する(KoおよびTakahashi、Hum Mol Gen 15:R271〜R277)。さらに、うつ病、季節性感情障害、および代謝障害などの疾患は、概日性の原因を有し得る(BarnardおよびNolan、PLoS Genet.2008年5月;4(5):e1000040)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
概日時計タンパク質のリン酸化は、概日時計の周期的リズムの制御において必須の要素である。CK1εおよびCK1δは、それぞれにおいて哺乳動物の突然変異によって概日期間が劇的に変更されることにより実証されたように、重要な時計調節因子として働く密接に関連したSer−Thrタンパク質キナーゼである(Lowreyら、Science 288:483〜492)。したがって、CK1δ/εの阻害剤は、概日障害の治療において有用である。したがって、本発明の目的は、CK1δまたはCK1εの阻害剤である一連の4−アリール−5−ヘテロアリール−1−ヘテロシクロアルキル−イミダゾールおよび関連類似体を提供することである。本発明のこの目的および他の目的は、以下の本発明についての詳細な論述により明らかになる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、薬学的に許容できるその塩を含めて、式Iの構造を有する化合物
【0005】
【化1】

[式中、Aは、窒素を含有する4〜7員ヘテロシクロアルキルであり、または代替として、Aは、Aが結合している環に、Rを介して直接縮合することができ、
Lは、C1〜3アルキルであり、
は、水素、C1〜3アルキル、またはC3〜4シクロアルキルであり、
各Rは、独立に、C1〜3アルキル、フッ素、ヒドロキシル、C1〜3アルコキシ、またはシアノであり、
は、水素、C1〜3アルキル、またはC3〜4シクロアルキルであり、
は、1〜3個のR置換基で置換されていてもよい、1〜3個のヘテロ原子を有する5〜10員ヘテロアリールであり、
は、水素または−N(Rであり、
は、水素、ハロゲン、またはC1〜3アルキルであり、
各Rは、独立に、ハロゲン、−(CH−F、C1〜3アルキル、−CF、−(CH−C3〜4シクロアルキル、−(CH−O−C1〜3アルキル、−(CH−シアノ、または−(CH−ヒドロキシであり、
Zは、NまたはCRであり、
各Rは、独立に、水素またはC1〜3アルキルであり、
は、水素、C1〜3アルキル、またはハロゲンであり、
mは、0、1または2であり、
nは、0、1または2であり、
qは、1、2または3であり、
tは、0、1または2である]または薬学的に許容できるその塩に関する。
【0006】
本発明の一実施形態では、Aは、窒素を含有する4〜7員ヘテロシクロアルキルであり、
【0007】
【化2】

は、環上Nに結合しており、
Lは、Cアルキルであり、
各Rは、独立に、C1〜3アルキルまたはフッ素であり、
各Rは、独立に、ハロゲン、−(CH−F、−CF、C1〜3アルキル、−(CH−C3〜4シクロアルキル、または−(CH−O−C1〜3アルキルである。
【0008】
本発明の別の実施形態では、化合物は、式Iaの構造
【0009】
【化3】

[式中、Lは、C1〜3アルキルであり、
は、C1〜3アルキルまたはC3〜4シクロアルキルであり、
各Rは、独立に、C1〜3アルキル、フッ素、ヒドロキシル、C1〜3アルコキシ、またはシアノであり、
は、水素、C1〜3アルキル、またはC3〜4シクロアルキルであり、
は、1〜3個のR置換基で置換されていてもよい、1〜3個のヘテロ原子を有する5〜10員ヘテロアリールであり、
は、水素またはN(Rであり、
は、水素、ハロゲン、またはC1〜3アルキルであり、
各Rは、独立に、ハロゲン、−(CH−F、C1〜3アルキル、−CF、−(CH−C3〜4シクロアルキル、−(CH−O−C1〜3アルキル、−(CH−シアノ、または−(CH−ヒドロキシであり、
Zは、NまたはCRであり、
各Rは、独立に、水素またはC1〜3アルキルであり、
は、水素、C1〜3アルキル、またはハロゲンであり、
mは、0、1または2であり、
nは、0、1または2であり、
qは、1、2または3であり、
tは、0、1または2である]または薬学的に許容できるその塩を有する。
【0010】
本発明の別の実施形態では、Aは、窒素を含有する4〜6員ヘテロシクロアルキルであり、m=0である。
【0011】
本発明の別の実施形態では、Aは、窒素を含有する5員ヘテロシクロアルキルであり、前記ヘテロシクロアルキルは、アゼチジンであり、
【0012】
【化4】

は、アゼチジンの環上Nに結合しており、mは0である。
【0013】
本発明の別の実施形態では、Aは、窒素を含有する5員ヘテロシクロアルキルであり、前記ヘテロシクロアルキルは、ピロリジンであり、
【0014】
【化5】

は、ピロリジンの環上Nに結合しており、mは0である。
【0015】
本発明の別の実施形態では、Aは、窒素を含有する6員ヘテロシクロアルキルであり、前記ヘテロシクロアルキルおよび
【0016】
【化6】

は、ピペリジンの環上Nに結合しており、m=0である。
【0017】
上述の実施形態のいずれかにおいて、nは1であり、Rは、ハロゲンまたはC1〜3アルキルである。上述の実施形態のいずれかにおいて、nは1であり、RはC1〜3アルキルである。記載した実施形態のいずれかにおいて、nは1であり、Rはハロゲンである。この実施形態の一例では、Rはフッ素である。
【0018】
上述の実施形態のいずれかにおいて、Zは−CRであり、Rは水素であり、Rは、水素または−N(Rである。上述の実施形態のいずれかにおいて、Zは−CRであり、Rは水素であり、Rは水素である。上述の実施形態のいずれかにおいて、Zは−CRであり、Rは水素であり、Rは−N(Rである。上述の実施形態のいずれかにおいて、ZはCRであり、Rは水素であり、Rは−N(Rであり、各Rは水素である。上述の実施形態のいずれかにおいて、Zは−CRであり、Rは水素であり、Rは−N(Rであり、各RはC1〜3アルキルである。上述の実施形態のいずれかにおいて、Zは−CRであり、Rは水素であり、Rは−N(Rであり、一方のRはC1〜3アルキルであり、他方のRは水素である。
【0019】
上述の実施形態のいずれかにおいて、Zは−CRであり、RはC1〜3アルキルであり、Rは、水素または−N(Rである。上述の実施形態のいずれかにおいて、Zは−CRであり、RはC1〜3アルキルであり、Rは水素である。上述の実施形態のいずれかにおいて、Zは−CRであり、RはC1〜3アルキルであり、Rは−N(Rである。上述の実施形態のいずれかにおいて、Zは−CRであり、RはC1〜3アルキルであり、Rは−N(Rであり、各Rは水素である。上述の実施形態のいずれかにおいて、Zは−CRであり、RはC1〜3アルキルであり、Rは−N(Rであり、各RはC1〜3アルキルである。上述の実施形態のいずれかにおいて、Zは−CRであり、RはC1〜3アルキルであり、Rは−N(Rであり、一方のRはC1〜3アルキルであり、他方のRは水素である。
【0020】
上述の実施形態のいずれかにおいて、Zは−CRであり、Rはハロゲンであり、Rは、水素または−N(Rである。上述の実施形態のいずれかにおいて、Zは−CRであり、Rはハロゲンであり、Rは水素である。上述の実施形態のいずれかにおいて、Zは−CRであり、Rはハロゲンであり、Rは−N(Rである。上述の実施形態のいずれかにおいて、Zは−CRであり、Rはハロゲンであり、Rは−N(Rであり、各Rは水素である。別の実施形態では、Zは−CRであり、Rはハロゲンであり、Rは−N(Rであり、各RはC1〜3アルキルである。上述の実施形態のいずれかにおいて、Zは−CRであり、Rはハロゲンであり、Rは−N(Rであり、一方のRはC1〜3アルキルであり、他方のRは水素である。
【0021】
上述の実施形態のいずれかにおいて、ZはNであり、Rは、水素または−N(Rである。別の実施形態では、ZはNであり、Rは水素である。上述の実施形態のいずれかにおいて、ZはNであり、Rは−N(Rであり、各Rは水素である。上述の実施形態のいずれかにおいて、ZはNであり、Rは−N(Rであり、各Rは、C1〜3アルキルである。上述の実施形態のいずれかにおいて、ZはNであり、Rは−N(Rであり、一方のRはC1〜3アルキルであり、他方のRは水素である。
【0022】
上述の実施形態のいずれかにおいて、Rは、水素またはC1〜3アルキルである。上述の実施形態のいずれかにおいて、Rは水素である。上述の実施形態のいずれかにおいて、RはC1〜3アルキルである。
【0023】
上述の実施形態のいずれかにおいて、Rは、1個のヘテロ原子を有する5〜10員ヘテロアリールであり、1〜3個のR置換基で置換されていてもよく、各Rは、独立に、ハロゲン、C1〜3アルキル、−(CH−F、−CF、−(CH−C3〜4シクロアルキル、または−(CH−O−C1〜3アルキルである。上述の実施形態のいずれかにおいて、Rは、2個のヘテロ原子を有する5〜10員ヘテロアリールであり、1〜3個のR置換基で置換されていてもよく、各Rは、独立に、ハロゲン、C1〜3アルキル、−(CH−F、−CF、−(CH−C3〜4シクロアルキル、または−(CH−O−C1〜3アルキルである。上述の実施形態のいずれかにおいて、Rは、3個のヘテロ原子を有する5〜10員ヘテロアリールであり、1〜3個のR置換基で置換されていてもよく、各Rは、独立に、ハロゲン、C1〜3アルキル、−(CH−F、−CF、−(CH−C3〜4シクロアルキル、または−(CH−O−C1〜3アルキルである。上述の実施形態のいずれかにおいて、Rは、1〜2個のR置換基で置換されていてもよいイソオキサゾールであり、tは0である。上述の実施形態のいずれかにおいて、Rは、1〜2個のR置換基で置換されていてもよいチアゾールであり、tは0である。上述の実施形態のいずれかにおいて、Rは、1〜3個のR置換基で置換されていてもよいピリミジンであり、tは0である。上述の実施形態のいずれかにおいて、Rは、1〜2個のR置換基で置換されていてもよいイソチアゾールであり、tは0である。上述の実施形態のいずれかにおいて、Rは、1〜3個のR置換基で置換されていてもよいピリジンであり、tは0である。上述の実施形態のいずれかにおいて、Rは、1〜3個のR置換基で置換されていてもよいピラゾールであり、tは0である。
【0024】
上述の実施形態のいずれかにおいて、Rは、水素またはC1〜3アルキルである。上述の実施形態のいずれかにおいて、Rは水素である。上述の実施形態のいずれかにおいて、RはC1〜3アルキルである。上述の実施形態のいずれかにおいて、Rはメチルである。
【0025】
などの任意の1個の置換基についての記述を、Rなどの他の任意の置換基についての記述と組み合わせてもよく、その結果、第1の置換基と第2の置換基のそれぞれおよびすべての組合せが、各組合せが明確かつ個別に列挙されているのと同様に本明細書に示されることが理解される。たとえば、一変形形態では、RがRとまとめて扱われて、Rがメチルであり、Rがフッ素である一実施形態を示す。
【0026】
式IおよびIaの化合物ならびに薬学的に許容できるその塩には、以下で論述するように、前記の式IおよびIaの化合物ならびに薬学的に許容できるその塩の水和物、溶媒和物、および多形体も含まれることは理解されよう。
【0027】
一実施形態では、本発明はまた、(遊離塩基または薬学的に許容できるその塩を含めて)本出願の実施例の部において実施例1〜44として記載する個々の化合物それぞれに関する。
【0028】
別の実施形態では、本発明は、以下のもの、すなわち
4−{1−[1−(1,3−ベンゾチアゾール−2−イルメチル)ピペリジン−4−イル]−4−(4−フルオロフェニル)−1H−イミダゾール−5−イル}ピリミジン−2−アミン
4−[4−(4−フルオロフェニル)−1−{1−[(5−メチルイソオキサゾール−3−イル)メチル]ピペリジン−4−イル}−1H−イミダゾール−5−イル]ピリミジン−2−アミン
4−{4−(4−フルオロフェニル)−1−[1−(1,3−チアゾール−2−イルメチル)ピペリジン−4−イル]−1H−イミダゾール−5−イル}ピリミジン−2−アミン
4−[4−(4−フルオロフェニル)−1−{1−[(4−イソプロピル−1,3−チアゾール−2−イル)メチル]ピペリジン−4−イル}−1H−イミダゾール−5−イル]ピリミジン−2−アミン
4−[1−{1−[(5−エチルイソオキサゾール−3−イル)メチル]ピロリジン−3−イル}−4−(4−フルオロフェニル)−1H−イミダゾール−5−イル]ピリミジン−2−アミン
4−{4−(4−フルオロフェニル)−1−[1−(ピリジン−3−イルメチル)ピロリジン−3−イル]−1H−イミダゾール−5−イル}ピリミジン−2−アミン
4−{4−(4−フルオロフェニル)−1−[1−(ピリジン−2−イルメチル)ピロリジン−3−イル]−1H−イミダゾール−5−イル}ピリミジン−2−アミン
4−[4−(4−フルオロフェニル)−1−{1−[(2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル)メチル]ピロリジン−3−イル}−1H−イミダゾール−5−イル]ピリミジン−2−アミン
4−[1−{1−[(2−シクロプロピルピリミジン−4−イル)メチル]ピロリジン−3−イル}−4−(4−フルオロフェニル)−1H−イミダゾール−5−イル]ピリミジン−2−アミン
4−{4−(4−フルオロフェニル)−1−[1−(イソキノリン−5−イルメチル)ピロリジン−3−イル]−1H−イミダゾール−5−イル}ピリミジン−2−アミン
4−{4−(4−フルオロフェニル)−1−[1−(1,3−チアゾール−5−イルメチル)ピロリジン−3−イル]−1H−イミダゾール−5−イル}ピリミジン−2−アミン
4−[4−(4−フルオロフェニル)−1−{1−[(5−メチルピリジン−2−イル)メチル]ピロリジン−3−イル}−1H−イミダゾール−5−イル]ピリミジン−2−アミン
4−{4−(4−フルオロフェニル)−1−[1−(キノキサリン−5−イルメチル)ピロリジン−3−イル]−1H−イミダゾール−5−イル}ピリミジン−2−アミン
4−{4−(4−フルオロフェニル)−1−[1−(キノキサリン−2−イルメチル)ピロリジン−3−イル]−1H−イミダゾール−5−イル}ピリミジン−2−アミン
4−[4−(4−フルオロフェニル)−1−{1−[(6−メチルピリジン−3−イル)メチル]ピロリジン−3−イル}−1H−イミダゾール−5−イル]ピリミジン−2−アミン
4−[4−(4−フルオロフェニル)−1−(1−{[6−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル]メチル}ピロリジン−3−イル)−1H−イミダゾール−5−イル]ピリミジン−2−アミン
4−{4−(4−フルオロフェニル)−1−[1−(1,3−チアゾール−2−イルメチル)ピロリジン−3−イル]−1H−イミダゾール−5−イル}ピリミジン−2−アミン
4−[1−{1−[(1,5−ジメチル−1H−ピラゾール−4−イル)メチル]ピロリジン−3−イル}−4−(4−フルオロフェニル)−1H−イミダゾール−5−イル]ピリミジン
4−[4−(4−フルオロフェニル)−1−{1−[(6−メチルピリジン−2−イル)メチル]ピロリジン−3−イル}−1H−イミダゾール−5−イル]ピリミジン
4−[4−(4−フルオロフェニル)−1−{1−[(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)メチル]ピロリジン−3−イル}−1H−イミダゾール−5−イル]ピリミジン
6−({3−[4−(4−フルオロフェニル)−5−ピリミジン−4−イル−1H−イミダゾール−1−イル]ピロリジン−1−イル}メチル)キノキサリン
4−[4−(4−フルオロフェニル)−1−{1−[(5−メチルピラジン−2−イル)メチル]ピロリジン−3−イル}−1H−イミダゾール−5−イル]ピリミジン
4−{4−(4−フルオロフェニル)−1−[1−(ピリジン−4−イルメチル)ピロリジン−3−イル]−1H−イミダゾール−5−イル}ピリミジン
4−[4−(4−フルオロフェニル)−1−{1−[(5−メチルイソオキサゾール−3−イル)メチル]ピロリジン−3−イル}−1H−イミダゾール−5−イル]ピリミジン
4−{4−(4−フルオロフェニル)−1−[1−(ピリジン−3−イルメチル)ピロリジン−3−イル]−1H−イミダゾール−5−イル}ピリミジン
4−[1−{1−[(6−エトキシピリジン−3−イル)メチル]ピロリジン−3−イル}−4−(4−フルオロフェニル)−1H−イミダゾール−5−イル]ピリミジン
4−[1−{1−[(5−エチルイソオキサゾール−3−イル)メチル]ピロリジン−3−イル}−4−(4−フルオロフェニル)−1H−イミダゾール−5−イル]ピリミジン
4−{4−(4−フルオロフェニル)−1−[1−(1H−ピラゾール−3−イルメチル)ピロリジン−3−イル]−1H−イミダゾール−5−イル}ピリミジン
4−{4−(4−フルオロフェニル)−1−[1−(ピリジン−2−イルメチル)ピロリジン−3−イル]−1H−イミダゾール−5−イル}ピリミジン
4−[4−(4−フルオロフェニル)−1−{1−[(1−プロピル−1H−ピラゾール−4−イル)メチル]ピロリジン−3−イル}−1H−イミダゾール−5−イル]ピリミジン
2−シクロプロピル−4−({3−[4−(4−フルオロフェニル)−5−ピリミジン−4−イル−1H−イミダゾール−1−イル]ピロリジン−1−イル}メチル)ピリミジン
4−({3−[4−(4−フルオロフェニル)−5−ピリミジン−4−イル−1H−イミダゾール−1−イル]ピロリジン−1−イル}メチル)ピリジン−2−カルボニトリル
4−[4−(4−フルオロフェニル)−1−{1−[(1−メチル−1H−ピラゾール−3−イル)メチル]ピロリジン−3−イル}−1H−イミダゾール−5−イル]ピリミジン
4−[4−(4−フルオロフェニル)−1−{1−[(6−メトキシピリジン−3−イル)メチル]ピロリジン−3−イル}−1H−イミダゾール−5−イル]ピリミジン
4−({3−[4−(4−フルオロフェニル)−5−ピリミジン−4−イル−1H−イミダゾール−1−イル]ピロリジン−1−イル}メチル)−2−メチルピリミジン
4−[4−(4−フルオロフェニル)−1−{1−[(5−メチルピリジン−2−イル)メチル]ピロリジン−3−イル}−1H−イミダゾール−5−イル]ピリミジン
5−({3−[4−(4−フルオロフェニル)−5−ピリミジン−4−イル−1H−イミダゾール−1−イル]ピロリジン−1−イル}メチル)キノキサリン
4−({3−[4−(4−フルオロフェニル)−5−ピリミジン−4−イル−1H−イミダゾール−1−イル]ピロリジン−1−イル}メチル)ピリミジン
4−{4−(4−フルオロフェニル)−1−[1−(1,3−チアゾール−5−イルメチル)ピロリジン−3−イル]−1H−イミダゾール−5−イル}ピリミジン
4−[4−(4−フルオロフェニル)−1−{1−[(2−メトキシピリジン−4−イル)メチル]ピロリジン−3−イル}−1H−イミダゾール−5−イル]ピリミジン
2−({3−[4−(4−フルオロフェニル)−5−ピリミジン−4−イル−1H−イミダゾール−1−イル]ピロリジン−1−イル}メチル)キノキサリン
4−[4−(4−フルオロフェニル)−1−{1−[(1−メチル−1H−ピラゾール−5−イル)メチル]ピロリジン−3−イル}−1H−イミダゾール−5−イル]ピリミジン
5−({3−[4−(4−フルオロフェニル)−5−ピリミジン−4−イル−1H−イミダゾール−1−イル]ピロリジン−1−イル}メチル)−2−メチルピリミジン
4−[4−(4−フルオロフェニル)−1−{1−[(2−メトキシピリジン−3−イル)メチル]ピロリジン−3−イル}−1H−イミダゾール−5−イル]ピリミジン
4−[4−(4−フルオロフェニル)−1−{1−[(5−メトキシ−1,3−ジメチル−1H−ピラゾール−4−イル)メチル]ピロリジン−3−イル}−1H−イミダゾール−5−イル]ピリミジン
4−[4−(4−フルオロフェニル)−1−{1−[(1−イソプロピル−1H−ピラゾール−4−イル)メチル]ピロリジン−3−イル}−1H−イミダゾール−5−イル]ピリミジン
4−[4−(4−フルオロフェニル)−1−{1−[(2−メチルピリジン−4−イル)メチル]ピロリジン−3−イル}−1H−イミダゾール−5−イル]ピリミジン
4−[4−(4−フルオロフェニル)−1−{1−[(2−メチル−1,3−チアゾール−5−イル)メチル]ピロリジン−3−イル}−1H−イミダゾール−5−イル]ピリミジン
4−[1−{1−[(1,3−ジメチル−1H−ピラゾール−4−イル)メチル]ピロリジン−3−イル}−4−(4−フルオロフェニル)−1H−イミダゾール−5−イル]ピリミジン
4−[4−(4−フルオロフェニル)−1−{1−[(6−メチルピリジン−3−イル)メチル]ピロリジン−3−イル}−1H−イミダゾール−5−イル]ピリミジン
4−[1−{1−[(1−エチル−5−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)メチル]ピロリジン−3−イル}−4−(4−フルオロフェニル)−1H−イミダゾール−5−イル]ピリミジン
4−[1−{1−[(1−エチル−1H−ピラゾール−4−イル)メチル]ピロリジン−3−イル}−4−(4−フルオロフェニル)−1H−イミダゾール−5−イル]ピリミジン
5−({3−[4−(4−フルオロフェニル)−5−ピリミジン−4−イル−1H−イミダゾール−1−イル]ピロリジン−1−イル}メチル)−2−プロピルピリミジン
4−{4−(4−フルオロフェニル)−1−[1−(キノキサリン−6−イルメチル)アゼチジン−3−イル]−1H−イミダゾール−5−イル}ピリミジン−2−アミン
4−[4−(4−フルオロフェニル)−1−{1−[(2−メトキシピリジン−3−イル)メチル]アゼチジン−3−イル}−1H−イミダゾール−5−イル]ピリミジン−2−アミン
4−[4−(4−フルオロフェニル)−1−{1−[(5−メチルピリジン−2−イル)メチル]アゼチジン−3−イル}−1H−イミダゾール−5−イル]ピリミジン−2−アミン
4−[4−(4−フルオロフェニル)−1−{1−[(2−メトキシピリジン−4−イル)メチル]アゼチジン−3−イル}−1H−イミダゾール−5−イル]ピリミジン−2−アミン
4−[4−(4−フルオロフェニル)−1−{1−[(6−メトキシピリジン−3−イル)メチル]アゼチジン−3−イル}−1H−イミダゾール−5−イル]ピリミジン−2−アミン
4−{4−(4−フルオロフェニル)−1−[1−(キノキサリン−5−イルメチル)アゼチジン−3−イル]−1H−イミダゾール−5−イル}ピリミジン−2−アミン
4−[4−(4−フルオロフェニル)−1−{1−[(5−メチル−2−フリル)メチル]アゼチジン−3−イル}−1H−イミダゾール−5−イル]ピリミジン−2−アミン
4−({4−[4−(4−フルオロフェニル)−5−ピリミジン−4−イル−1H−イミダゾール−1−イル]ピペリジン−1−イル}メチル)ピリミジン
4−{4−(4−フルオロフェニル)−1−[1−(1,3−オキサゾール−4−イルメチル)ピペリジン−4−イル]−1H−イミダゾール−5−イル}ピリミジン
4−{4−(4−フルオロフェニル)−1−[1−(ピリミジン−5−イルメチル)ピペリジン−4−イル]−1H−イミダゾール−5−イル}ピリミジン
2−シクロプロピル−4−({4−[4−(4−フルオロフェニル)−5−ピリミジン−4−イル−1H−イミダゾール−1−イル]ピペリジン−1−イル}メチル)ピリミジン
4−({4−[4−(4−フルオロフェニル)−5−ピリミジン−4−イル−1H−イミダゾール−1−イル]ピペリジン−1−イル}メチル)−2−メチルピリミジン
4−{4−(4−フルオロフェニル)−1−[1−(イソオキサゾール−3−イルメチル)−2−メチルピペリジン−4−イル]−1H−イミダゾール−5−イル}ピリミジン−2−アミン
4−{4−(4−フルオロフェニル)−1−[1−(イソオキサゾール−3−イルメチル)−3−メチルピペリジン−4−イル]−1H−イミダゾール−5−イル}ピリミジン−2−アミン
4−{4−(4−フルオロフェニル)−1−[1−(イソオキサゾール−3−イルメチル)−4−メチルピペリジン−4−イル]−1H−イミダゾール−5−イル}ピリミジン−2−アミン
4−{4−(4−フルオロフェニル)−1−[1−(イソオキサゾール−3−イルメチル)−2−メチルピペリジン−4−イル]−1H−イミダゾール−5−イル}ピリミジン
4−{4−(4−フルオロフェニル)−1−[1−(イソオキサゾール−3−イルメチル)−3−メチルピペリジン−4−イル]−1H−イミダゾール−5−イル}ピリミジン
4−{4−(4−フルオロフェニル)−1−[1−(イソオキサゾール−3−イルメチル)−4−メチルピペリジン−4−イル]−1H−イミダゾール−5−イル}ピリミジン
4−{4−(4−フルオロフェニル)−1−[1−(イソオキサゾール−3−イルメチル)−2−メチルピロリジン−3−イル]−1H−イミダゾール−5−イル}ピリミジン−2−アミン
4−{4−(4−フルオロフェニル)−1−[1−(イソオキサゾール−3−イルメチル)−4−メチルピロリジン−3−イル]−1H−イミダゾール−5−イル}ピリミジン−2−アミン
4−{4−(4−フルオロフェニル)−1−[1−(イソオキサゾール−3−イルメチル)−3−メチルピロリジン−3−イル]−1H−イミダゾール−5−イル}ピリミジン−2−アミン
4−{4−(4−フルオロフェニル)−1−[1−(イソオキサゾール−3−イルメチル)−2−メチルピロリジン−3−イル]−1H−イミダゾール−5−イル}ピリミジン
4−{4−(4−フルオロフェニル)−1−[1−(イソオキサゾール−3−イルメチル)−4−メチルピロリジン−3−イル]−1H−イミダゾール−5−イル}ピリミジン
4−{4−(4−フルオロフェニル)−1−[1−(イソオキサゾール−3−イルメチル)−3−メチルピロリジン−3−イル]−1H−イミダゾール−5−イル}ピリミジン
4−{4−(4−フルオロフェニル)−1−[1−(イソオキサゾール−3−イルメチル)ピペリジン−4−イル]−1H−イミダゾール−5−イル}ピリジン−2−アミンおよび前述のものそれぞれの薬学的に許容できる塩からなる群から選択される化合物に関する。
【0029】
別の実施形態では、本発明は、治療有効量のカゼインキナーゼ1CK1δまたはCK1εの阻害剤を投与するステップを含む、患者においてカゼインキナーゼ1CK1δまたはCK1ε活性を阻害する方法に関する。
【0030】
別の実施形態では、本発明は、その結果として概日リズム期間が延長される、カゼインキナーゼCK1δまたはCK1ε活性を阻害する方法に関する。
【0031】
別の実施形態では、本発明は、治療有効量のカゼインキナーゼ1CK1δまたはCK1εの阻害剤を投与するステップを含む、気分障害または睡眠障害の治療方法に関する。一実施形態では、本発明は、睡眠障害の治療方法に関する。さらなる実施形態では、睡眠障害は、概日リズム睡眠障害である。さらに別の実施形態では、概日リズム睡眠障害は、交代勤務睡眠障害、時差ぼけ症候群、睡眠相前進症候群、および睡眠相後退症候群からなる群から選択される。
【0032】
さらなる実施形態では、本発明は、抑うつ障害および双極性障害からなる群から選択される気分障害の治療方法に関する。本発明の別の実施形態では、抑うつ障害は、大うつ病性障害である。本発明のさらなる実施形態では、気分障害は、双極性障害である。別の実施形態では、双極性障害は、双極I型障害および双極II型障害からなる群から選択される。
【0033】
別の実施形態では、本発明は、神経障害および精神障害の治療方法であって、そのような障害の治療において有効な量の式Iの化合物または薬学的に許容できるその塩を哺乳動物に投与するステップを含む方法を提供する。神経障害および精神障害としては、その限りでないが、哺乳動物における、急性の神経障害および精神障害、たとえば、心臓バイパス手術および心臓移植に続いて起こる脳障害(cerebral deficit)、卒中、脳虚血、脊髄外傷、頭部外傷、周産期低酸素症、心停止、低血糖性神経損傷、認知症、AIDSによる認知症、血管性認知症、混合型認知症、年齢関連記憶障害、アルツハイマー病、ハンチントン舞踏病、筋萎縮性側索硬化症、眼損傷、網膜症、統合失調症および双極性障害に随伴する認知障害を含めた認知障害、特発性および薬物性のパーキンソン病、筋痙縮、および振戦を含めた筋肉の痙性に関連する障害、てんかん、けいれん、偏頭痛、偏頭痛性頭痛(migraine headache)、尿失禁、薬物耐性(substance tolerance)、薬物離脱、アヘン剤、ニコチン、タバコ製品、アルコール、ベンゾジアゼピン、コカイン、鎮静剤、および催眠剤からの離脱、精神病、軽度認知障害、健忘性認知障害、多領域(multi−domain)認知障害、肥満、統合失調症、不安、全般性不安障害、社会不安障害、パニック障害、外傷後ストレス障害、強迫性障害、気分障害、うつ病、躁病、双極性障害、三叉神経痛、失聴、耳鳴、眼の黄斑変性、嘔吐、脳浮腫、疼痛、急性痛および慢性痛状態、激痛、難治性疼痛、神経因性疼痛、外傷後痛、遅発性ジスキネジア、睡眠障害、ナルコレプシー、注意欠陥/多動性障害、自閉症、アスペルガー病、行為障害が挙げられる。したがって、一実施形態では、本発明は、上記の状態から選択される、ヒトなどの哺乳動物における状態の治療方法であって、哺乳動物に式Iの化合物を投与するステップを含む方法を提供する。哺乳動物は、そのような治療を必要とする哺乳動物であることが好ましい。
【0034】
例として、本発明は、注意欠陥/多動性障害、統合失調症、およびアルツハイマー病の治療方法を提供する。
【0035】
別の実施形態では、本発明は、神経障害および精神障害の治療方法であって、その必要のある患者に、そのような障害の治療において有効な量の式Iの化合物を投与するステップを含む方法を提供する。式Iの化合物は、場合により別の活性薬剤と組み合わせて使用する。そのような活性薬剤は、たとえば、非定型抗精神病薬、コリンエステラーゼ阻害剤、Dimebon、またはNMDA受容体拮抗薬であってよい。そうした非定型抗精神病薬としては、その限りでないが、ジプラシドン、クロザピン、オランザピン、リスペリドン、クエチアピン、アリピプラゾール、パリペリドンが挙げられ、そうしたNMDA受容体拮抗薬としては、その限りでないがメマンチンが挙げられ、そうしたコリンエステラーゼ阻害剤としては、その限りでないが、ドネペジルおよびガランタミンが挙げられる。
【0036】
本発明はまた、式Iの化合物と薬学的に許容できる担体とを含む医薬組成物に関する。組成物は、たとえば、その限りでないが、哺乳動物における、急性の神経障害および精神障害、たとえば、心臓バイパス手術および心臓移植に続いて起こる脳障害(cerebral deficit)、卒中、脳虚血、脊髄外傷、頭部外傷、周産期低酸素症、心停止、低血糖性神経損傷、認知症、AIDSによる認知症、血管性認知症、混合型認知症、年齢関連記憶障害、アルツハイマー病、ハンチントン舞踏病、筋萎縮性側索硬化症、眼損傷、網膜症、統合失調症および双極性障害に随伴する認知障害を含めた認知障害、特発性および薬物性のパーキンソン病、筋痙縮、および振戦を含めた筋肉の痙性に関連する障害、てんかん、けいれん、偏頭痛、偏頭痛性頭痛(migraine headache)、尿失禁、薬物耐性(substance tolerance)、薬物離脱、アヘン剤、ニコチン、タバコ製品、アルコール、ベンゾジアゼピン、コカイン、鎮静剤、および催眠剤からの離脱、精神病、軽度認知障害、健忘性認知障害、多領域(multi−domain)認知障害、肥満、統合失調症、不安、全般性不安障害、社会不安障害、パニック障害、外傷後ストレス障害、強迫性障害、気分障害、うつ病、躁病、双極性障害、三叉神経痛、失聴、耳鳴、眼の黄斑変性、嘔吐、脳浮腫、疼痛、急性痛および慢性痛状態、激痛、難治性疼痛、神経因性疼痛、外傷後痛、遅発性ジスキネジア、睡眠障害、ナルコレプシー、注意欠陥/多動性障害、自閉症、アスペルガー病、ならびに行為障害を含めた、神経障害および精神障害からなる群から選択される状態を治療する組成物でよく、有効量の式1の化合物または薬学的に許容できるその塩と薬学的に許容できる担体とを投与するステップを含む。組成物は、場合により、非定型抗精神病薬、コリンエステラーゼ阻害剤、Dimebon、またはNMDA受容体拮抗薬をさらに含む。そうした非定型抗精神病薬としては、その限りでないが、ジプラシドン、クロザピン、オランザピン、リスペリドン、クエチアピン、アリピプラゾール、パリペリドンが挙げられ、そうしたNMDA受容体拮抗薬としては、その限りでないがメマンチンが挙げられ、そうしたコリンエステラーゼ阻害剤としては、その限りでないが、ドネペジルおよびガランタミンが挙げられる。
【0037】
本発明の化合物は、哺乳動物、特にヒトにおいて、増殖抑制薬(たとえば、癌)、抗腫瘍(たとえば、固形腫瘍に対する効果)としての治療用途にも適合する。詳細には、本発明の化合物は、悪性および良性両方の異常な細胞増殖を含めた、様々なヒト過剰増殖性障害の予防および治療において有用である。
【0038】
本明細書で提供する化合物、組成物、および方法は、以下のものを含めるがその限りでない癌の治療に有用である。
循環器系、たとえば、心臓(肉腫[血管肉腫、線維肉腫、横紋筋肉腫、脂肪肉腫]、粘液腫、横紋筋腫、線維腫、脂肪腫、および奇形腫)、縦隔および胸膜、および他の胸腔内組織、血管の腫瘍、および腫瘍を伴う血管組織、
呼吸路、たとえば、鼻腔および中耳、副鼻腔、喉頭、気管、気管支および肺、たとえば、小細胞肺癌(SCLC)、非小細胞肺癌(NSCLC)、気管支原性癌(扁平細胞、未分化小細胞、未分化大細胞、腺癌)、肺胞(細気管支)癌、気管支の腺腫、肉腫、リンパ腫、軟骨腫様過誤腫、中皮腫、
胃腸管、たとえば、食道(扁平上皮癌、腺癌、平滑筋肉腫、リンパ腫)、胃(癌、リンパ腫、平滑筋肉腫)、胃部、膵臓(腺管癌(ductal adenocarcinoma)、インスリノーマ、グルカゴノーマ、ガストリノーマ、カルチノイド腫瘍、ビポーマ)、小腸(腺癌、リンパ腫、カルチノイド腫瘍、カポジ肉腫、平滑筋腫、血管腫、脂肪腫、神経線維腫、線維腫)、大腸(腺癌、腺管腺腫、絨毛腺腫、過誤腫、平滑筋腫)、
泌尿生殖路、たとえば、腎臓(腺癌、ウィルムス腫瘍[腎芽細胞腫]、リンパ腫、白血病)、膀胱および/または尿道(扁平上皮癌、移行上皮癌、腺癌)、前立腺(腺癌、肉腫)、精巣(精上皮腫、奇形腫、胎児性癌、奇形癌、絨毛癌、肉腫、間質細胞癌、線維腫、線維腺腫、腺腫様腫瘍、脂肪腫)、
肝臓、たとえば、ヘパトーム(肝細胞癌)、胆管癌、肝芽腫、血管肉腫、肝細胞腺腫、血管腫、膵内分泌腫瘍(クロム親和性細胞腫、インスリノーマ、血管作用性小腸ペプチド腫瘍、島細胞腫瘍、グルカゴノーマなど)、
骨、たとえば、骨原性肉腫(骨肉腫)、線維肉腫、悪性線維性組織球腫、軟骨肉腫、ユーイング肉腫、悪性リンパ腫(細網肉腫)、多発性骨髄腫、悪性巨細胞腫 脊索腫、オステオクロンフロマ(osteochronfroma)(骨軟骨性外骨症)、良性軟骨腫、軟骨芽細胞腫、軟骨粘液線維腫、類骨腫、および巨細胞腫瘍、
神経系、たとえば、中枢神経系(CNS)の新生物、原発性CNSリンパ腫、頭骨癌(骨腫、血管腫、肉芽腫、黄色腫、変形性骨炎)、髄膜(髄膜腫、髄膜肉腫、神経膠腫症)、脳腫瘍(星状細胞腫、髄芽細胞腫、神経膠腫、上衣腫、胚細胞腫[松果体腫]、多形性神経膠芽腫、乏突起神経膠腫、シュワン腫、網膜芽細胞腫、先天性腫瘍)、脊髄神経線維腫、髄膜腫、神経膠腫、肉腫)、
生殖系、たとえば、婦人科系、子宮(子宮内膜癌)、子宮頚(子宮頚癌、前腫瘍子宮頚部異形成)、卵巣(卵巣癌[漿液性嚢胞腺癌、粘液性嚢胞腺癌、未分類の癌]、顆粒膜卵胞膜細胞腫、セルトリ−ライディッヒ細胞腫、未分化胚細胞腫、悪性奇形腫)、外陰(扁平上皮癌、上皮内癌、腺癌、線維肉腫、黒色腫)、膣(明細胞癌、扁平上皮癌、ブドウ状肉腫(胎児性横紋筋肉腫)、卵管(癌腫)、および女性生殖器に関連する他の部位、胎盤、陰茎、前立腺、精巣、および男性生殖器に関連する他の部位、
血液系、たとえば、血液(骨髄性白血病[急性および慢性]、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ球性白血病、骨髄増殖性疾患、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群)、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫[悪性リンパ腫]、
口腔、たとえば、口唇、舌、歯肉、口腔底、口蓋、および他の口部分、耳下腺および他の唾液腺部分、扁桃、中咽頭、鼻咽頭、梨状陥凹、下咽頭、ならびに口唇、口腔、および咽頭中の他の部位、
皮膚、たとえば、悪性黒色腫、皮膚黒色腫、基底細胞癌、扁平上皮癌、カポジ肉腫、異形成母斑、脂肪腫、アンジオーマ、皮膚線維腫、およびケロイド、
副腎:神経芽細胞腫、ならびに
結合組織および軟部組織を含めた他の組織、後腹膜および腹膜、眼、眼内黒色腫、および付属器、乳房、頭部または/および頚部、肛門部、甲状腺、副甲状腺、副腎、および他の内分泌腺および関連構造が関与する癌、リンパ節の続発性および不特定悪性新生物、呼吸器系および消化器系の続発性悪性新生物、ならびに他の部位の続発性悪性新生物。
【0039】
より詳細には、本発明と関連して本明細書で使用する際、「癌」の例として、肺癌(NSCLCおよびSCLC)、頭頚部癌、卵巣癌、結腸癌、直腸癌、肛門部の癌、胃癌、乳癌、腎臓もしくは尿管の癌、腎細胞癌、腎盂癌、中枢神経系(CNS)の新生物、原発性CNSリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、骨髄軸腫瘍(spinal axis tumor)、または前述の癌の1つもしくは複数の組合せから選択される癌が挙げられる。
【0040】
さらにより詳細には、本発明と関連して本明細書で使用する際、「癌」の例として、肺癌(NSCLCおよびSCLC)、乳癌、卵巣癌、結腸癌、直腸癌、肛門部の癌、または前述の癌の1つもしくは複数の組合せから選択される癌が挙げられる。
【0041】
本発明の一実施形態では、非癌状態は、皮膚の良性過形成(たとえば乾癬)および前立腺の良性過形成(たとえばBPH)のような過形成状態を包含する。
【0042】
上で言及したように、本発明の化合物は、以下で述べる追加の1種または複数の抗癌剤と組み合わせて使用することができる。併用療法を使用するとき、追加の1種または複数の抗癌剤は、本発明の化合物と、逐次または同時に投与することができる。一実施形態では、追加の抗癌剤は、本発明の化合物を投与する前に哺乳動物(たとえばヒト)に投与する。別の実施形態では、追加の抗癌剤は、本発明の化合物を投与した後に哺乳動物に投与する。別の実施形態では、追加の抗癌剤は、本発明の化合物を投与するのと同時に哺乳動物(たとえばヒト)に投与する。
【0043】
本発明はまた、一定量の上で規定した式Iの化合物(前記化合物または薬学的に許容できるその塩の水和物、溶媒和物、および多形体を含める)を、抗血管新生薬およびシグナル伝達阻害剤からなる群から選択される1種または複数(好ましくは1種〜3種)の抗癌剤および薬学的に許容できる担体との組合せとして含み、前記活性薬剤および組合せ抗癌剤の量が、全体として考えたとき、前記異常細胞増殖の治療について治療上有効である、ヒトを含めた哺乳動物において異常細胞増殖を治療する医薬組成物に関する。
【0044】
定義
用語「アルキル」とは、1個〜20個の炭素原子、一実施形態では1個〜12個の炭素原子、別の実施形態では1個〜10個の炭素、別の実施形態では、1個〜6個の炭素原子、別の実施形態では、1個〜4個の炭素原子を含有する、直鎖または分枝鎖の飽和ヒドロカルビル置換基(すなわち、炭化水素から水素を除去して得られる置換基)を指す。そのような置換基の例として、メチル、エチル、プロピル(n−プロピルおよびイソプロピルを含める)、ブチル(n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、およびtert−ブチルを含める)、ペンチル、イソアミル、ヘキシルなどが挙げられる。一部の例では、ヒドロカルビル置換基(すなわち、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリールなど)中の炭素原子の数は、接頭辞「Cx〜y」によって示し、xは、置換基中の炭素原子の最小数、yは最大数である。したがって、たとえば、「C1〜6アルキル」は、1〜6個の炭素原子を含有するアルキル置換基を指す。
【0045】
「アルケニル」とは、少なくとも1個の炭素間二重結合を有する直鎖、分枝鎖、または環式の基を含めて、少なくとも1個の炭素間二重結合を有する脂肪族炭化水素を指す。2〜6個の炭素原子を有する中等度の大きさのアルケニルであることが好ましい。たとえば、本明細書では、用語「C2〜6アルケニル」とは、その限りでないが、エテニル、1−プロペニル、2−プロペニル(アリル)、イソプロペニル、2−メチル−1−プロペニル、1−ブテニル、2−ブテニルなどを含めて、フルオロ、クロロ、トリフルオロメチル、(C〜C)アルコキシ、(C〜C10)アリールオキシ、トリフルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、C〜Cアルキルなどの上で規定したような1〜5個の適切な置換基で置換されていてもよい、2〜6個の炭素原子の直鎖または分枝鎖の不飽和ラジカルを意味する。本発明の化合物がC2〜6アルケニル基を含んでいるとき、化合物は、純粋なE(entgegen)型、純粋なZ(zusammen)型、またはこれらの任意の混合物として存在し得る。
【0046】
「アルキニル」とは、少なくとも1個の炭素間三重結合を有する直鎖、分枝鎖、または環式の基を含めて、少なくとも1個の炭素間三重結合を有する脂肪族炭化水素を指す。好ましくは2〜6個の炭素原子を有する低級アルキニルであることが好ましい。たとえば、本明細書では、用語「C2〜6アルキニル」は、2〜6個の炭素原子および1個の三重結合を有する、上で規定したような直鎖または分枝鎖炭化水素アルキニル基を意味するのに使用する。
【0047】
用語「シクロアルキル」とは、飽和した炭素環式分子から水素を除去して得られ、3個〜14個の炭素原子を有する、炭素環式の置換基を指す。一実施形態では、シクロアルキル置換基は、3個〜10個の炭素原子を有する。シクロアルキルの例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、およびシクロヘキシルが挙げられる。
【0048】
用語「シクロアルキル」は、C〜C10芳香族環または5〜10員ヘテロ芳香族環に縮合している置換基も包含し、このような縮合シクロアルキル基を置換基として有する基は、シクロアルキル基の炭素原子に結合している。このような縮合シクロアルキル基が1個または複数の置換基で置換されているとき、1個または複数の置換基は、別段指定しない限り、シクロアルキル基の炭素原子にそれぞれ結合している。縮合C〜C10芳香族環または5〜10員ヘテロ芳香族環は、ハロゲン、C1〜6アルキル、C3〜10シクロアルキル、または=Oで置換されていてもよい。
【0049】
シクロアルキルは、3〜6個の環原子を通常含有する単環であってよい。例として、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、およびシクロヘキシルが挙げられる。代替として、ビシクロデカニルやデカリニルのように、2または3個の環が縮合していてもよい。
【0050】
用語「アリール」とは、1個の環または縮合した2個もしくは3個の環を含有する芳香族の置換基を指す。アリール置換基は、6個〜18個の炭素原子を有するものであってよい。一例として、アリール置換基は、6個〜14個の炭素原子を有するものであってよい。用語「アリール」は、フェニル、ナフチル、アントラセニルなどの置換基を指すことがある。用語「アリール」は、CやC炭素環などのC4〜10炭素環または4〜10員ヘテロ環に縮合したフェニル、ナフチル、アントラセニルなどの置換基も包含し、このような縮合アリール基を置換基として有する基は、アリール基の芳香族炭素に結合している。このような縮合アリール基が1個または複数の置換基で置換されているとき、1個または複数の置換基は、別段指定しない限り、縮合アリール基の芳香族炭素にそれぞれ結合している。縮合C4〜10炭素環または4〜10員ヘテロ環は、ハロゲン、C1〜6アルキル、C3〜10シクロアルキル、または=Oで置換されていてもよい。アリール基の例としては、それに応じて、フェニル、ナフタレニル、テトラヒドロナフタレニル(「テトラリニル」としても知られている)、インデニル、イソインデニル、インダニル、アントラセニル、フェナントレニル、ベンゾナフテニル(「フェナレニル」としても知られている)、およびフルオレニルが挙げられる。
【0051】
一部の例では、1個または複数のヘテロ原子を含有する環式置換基(すなわち、ヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキル)中の原子の数は、接頭辞「X〜Y員」によって示し、xは、置換基の環式部分を形成する原子の最小数であり、yは最大数である。したがって、たとえば、5〜8員ヘテロシクロアルキルとは、ヘテロシクロアルキルの環式部分中に、1個または複数のヘテロ原子を含む5〜8個の原子を含有するヘテロシクロアルキルを指す。
【0052】
用語「水素」とは、水素置換基を指し、−Hと表記する場合もある。
【0053】
用語「ヒドロキシ」または「ヒドロキシル」とは、−OHを指す。別の(1つまたは複数の)用語と組み合わせて使用するとき、接頭辞「ヒドロキシ」は、接頭辞が付いている置換基が、1個または複数のヒドロキシ置換基で置換されていることを示す。1個または複数のヒドロキシ置換基が結合している炭素を有する化合物として、たとえば、アルコール、エノール、およびフェノールが挙げられる。
【0054】
用語「シアノ」(「ニトリル」とも呼ばれる)とは、−CNを意味し、
【0055】
【化7】

と表記する場合もある。
【0056】
用語「ハロゲン」とは、フッ素(−Fと表記する場合もある)、塩素(−Clと表記する場合もある)、臭素(−Brと表記する場合もある)、またはヨウ素(−Iと表記する場合もある)を指す。一実施形態では、ハロゲンは塩素である。別の実施形態では、ハロゲンはフッ素である。別の実施形態では、ハロゲンは臭素である。
【0057】
用語「ヘテロシクロアルキル」とは、合計4〜14個の環原子を含有し、環原子の少なくとも1個が、酸素、窒素、または硫黄から選択されるヘテロ原子である、飽和または部分的に飽和した環構造から水素を除去して得られる置換基を指す。たとえば、本明細書では、用語「4〜10員ヘテロシクロアルキル」とは、置換基が全部で4〜10員の単環であることを意味する。一方、ヘテロシクロアルキルは、縮合した2個または3個の環を含み、少なくとも1個のそのような環が、ヘテロ原子(すなわち、窒素、酸素、または硫黄)を環原子として含有するものでもよい。ヘテロシクロアルキル置換基を有する基において、その基に結合しているヘテロシクロアルキル置換基の環原子は、その少なくとも1個のヘテロ原子でもよく、または環炭素原子でもよく、環炭素原子は、少なくとも1個のヘテロ原子と同じ環にあるものでもよく、もしくは環炭素原子は、少なくとも1個のヘテロ原子と異なる環にあるものでもよい。同様に、ヘテロシクロアルキル置換基の方が基または置換基で置換されている場合、その基または置換基は、少なくとも1個のヘテロ原子に結合していてもよく、または環炭素原子に結合していてもよく、環炭素原子は、少なくとも1個のヘテロ原子と同じ環にあるものでもよく、もしくは環炭素原子は、少なくとも1個のヘテロ原子と異なる環にあるものでもよい。
【0058】
用語「ヘテロシクロアルキル」は、C6〜10芳香族環または5〜10員ヘテロ芳香族環に縮合した置換基も包含し、このような縮合ヘテロシクロアルキル基を置換基として有する基は、ヘテロシクロアルキル基のヘテロ原子またはヘテロシクロアルキル基の炭素原子に結合している。このような縮合ヘテロシクロアルキル基が1個または複数の置換基で置換されているとき、その1個または複数の置換基は、別段指定しない限り、ヘテロシクロアルキル基のヘテロ原子またはヘテロシクロアルキル基の炭素原子にそれぞれ結合している。縮合C〜C10芳香族環または5〜10員ヘテロ芳香族環は、ハロゲン、C1〜6アルキル、C3〜10シクロアルキル、C1〜6アルコキシ、または=Oで置換されていてもよい。
【0059】
用語「ヘテロアリール」とは、5〜14個の環原子を含有し、環原子の少なくとも1個がヘテロ原子(すなわち、酸素、窒素、または硫黄)であり、残りの環原子が、炭素、酸素、窒素、および硫黄からなる群から独立に選択されたものである芳香族環構造を指す。ヘテロアリールは、単環でも、または縮合した2個もしくは3個の環であってもよい。ヘテロアリール置換基の例としては、その限りでないが、ピリジル、ピラジル、ピリミジニル、ピリダジニルなどの6員環置換基、トリアゾリル、イミダゾリル、フラニル、チオフェニル、ピラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、1,2,3−、1,2,4−、1,2,5−、または1,3,4−オキサジアゾリル、イソチアゾリルなどの5員環置換基、ベンゾチオフラニル、イソベンゾチオフラニル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾオキサゾリル、プリニル、アントラニリルなどの6/5員縮合環置換基、およびキノリニル、イソキノリニル、シンノリニル、キナゾリニル、1,4−ベンゾオキサジニルなどの6/6員縮合環置換基が挙げられる。ヘテロアリール置換基を有する基において、その基に結合しているヘテロアリール置換基の環原子は、その少なくとも1個のヘテロ原子でもよく、または環炭素原子でもよく、環炭素原子は、少なくとも1個のヘテロ原子と同じ環にあるものでもよく、または環炭素原子は、少なくとも1個のヘテロ原子と異なる環にあるものでもよい。同様に、ヘテロアリール置換基の方が基または置換基で置換されている場合、基または置換基は、少なくとも1個のヘテロ原子に結合していてもよく、または環炭素原子に結合していてもよく、環炭素原子は、少なくとも1個のヘテロ原子と同じ環にあるものでもよく、または環炭素原子は、少なくとも1個のヘテロ原子と異なる環にあるものでもよい。用語「ヘテロアリール」は、ピリジルN−オキシド、およびピリジンN−オキシド環を含んでいる基も包含する。
【0060】
単環ヘテロアリールおよびヘテロシクロアルキルの例としては、その限りでないが、フラニル、ジヒドロフラニル、テトラヒドロフラニル、チオフェニル(「チオフラニル」としても知られる)、ジヒドロチオフェニル、テトラヒドロチオフェニル、ピロリル、イソピロリル、ピロリニル、ピロリジニル、イミダゾリル、イソイミダゾリル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、ピラゾリル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、トリアゾリル、テトラゾリル、ジチオリル、オキサチオリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、イソオキサゾリニル、チアゾリル、イソチアゾリル、チアゾリニル、イソチアゾリニル、チアゾリジニル、イソチアゾリジニル、チアジアゾリル、オキサチアゾリル、オキサジアゾリル(オキサジアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル(「アゾキシミル」としても知られる)、1,2,5−オキサジアゾリル(「フラザニル」としても知られる)、または1,3,4−オキサジアゾリルを含める)、ピラニル(1,2−ピラニルまたは1,4−ピラニルを含める)、ジヒドロピラニル、ピリジニル(「アジニル」としても知られる)、ピペリジニル、ジアジニル(ピリダジニル(「1,2−ジアジニル」としても知られる)、ピリミジニル(「1,3−ジアジニル」または「ピリミジル」としても知られる)、またはピラジニル(「1,4−ジアジニル」としても知られる)を含める)、ピペラジニル、トリアジニル(s−トリアジニル(「1,3,5−トリアジニル」としても知られる)、as−トリアジニル(1,2,4−トリアジニルとしても知られる)、およびv−トリアジニル(「1,2,3−トリアジニル」としても知られる)を含める)、モルホリニル、アゼピニル、オキセピニル、チエピニル、およびジアゼピニルが挙げられる。
【0061】
縮合二環ヘテロアリールの例としては、その限りでないが、インドリジニル、ピラノピロリル、4H−キノリジニル、プリニル、ナフチリジニル、ピリドピリジニル(ピリド[3,4−b]−ピリジニル、ピリド[3,2−b]−ピリジニル、またはピリド[4,3−b]−ピリジニルを含める)、プテリジニル、インドリル、イソインドリル、イソインダゾリル、ベンゾアジニル、フタラジニル、キノキサリニル、キナゾリニル、ベンゾジアジニル、ベンゾピラニル、ベンゾチオピラニル、ベンゾオキサゾリル、インドキサジニル、アントラニリル、ベンゾジオキソリル、ベンゾジオキサニル、ベンゾオキサジアゾリル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ベンゾチエニル、イソベンゾチエニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾオキサジニル、ベンゾイソキサジニル、およびテトラヒドロイソキノリニルが挙げられる。
【0062】
縮合三環ヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキルの例としては、その限りでないが、5,6−ジヒドロ−4H−イミダゾ[4,5,1−ij]キノリン、4,5−ジヒドロイミダゾ[4,5,1−hi]インドール、4,5,6,7−テトラヒドロイミダゾ[4,5,1−jk][1]ベンゾアゼピン、およびジベンゾフラニルが挙げられる。
【0063】
縮合環ヘテロアリールの他の例としては、その限りでないが、ベンゾ縮合ヘテロアリール、たとえば、インドリル、イソインドリル(「イソベンゾアゾリル」または「プソイドイソインドリル」としても知られる)、インドレニニル(「プソイドインドリル」としても知られる)、イソインダゾリル(「ベンズピラゾリル」としても知られる)、ベンゾアジニル(キノリニル(「1−ベンゾアジニル」としても知られる)またはイソキノリニル(「2−ベンゾアジニル」としても知られる)を含める)、フタラジニル、キノキサリニル、キナゾリニル、ベンゾジアジニル(シンノリニル(「1,2−ベンゾジアジニル」としても知られる)またはキナゾリニル(「1,3−ベンゾジアジニル」としても知られる)を含める)、ベンゾピラニル(「クロマニル」または「イソクロマニル」を含める)、ベンゾチオピラニル(「チオクロマニル」としても知られる)、ベンゾオキサゾリル、インドキサジニル(「ベンゾイソオキサゾリル」としても知られる)、アントラニリル、ベンゾジオキソリル、ベンゾジオキサニル、ベンゾオキサジアゾリル、ベンゾフラニル(「クマロニル」としても知られる)、イソベンゾフラニル、ベンゾチエニル(「ベンゾチオフェニル」、「チオナフテニル」、または「ベンゾチオフラニル」としても知られる)、イソベンゾチエニル(「イソベンゾチオフェニル」、「イソチオナフテニル」、または「イソベンゾチオフラニル」としても知られる)、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾオキサジニル(1,3,2−ベンゾオキサジニル、1,4,2−ベンゾオキサジニル、2,3,1−ベンゾオキサジニル、または3,1,4−ベンゾオキサジニルを含める)、ベンゾイソキサジニル(1,2−ベンゾイソキサジニルまたは1,4−ベンゾイソキサジニルを含める)、テトラヒドロイソキノリニル、カルバゾリル、キサンテニル、およびアクリジニルが挙げられる。
【0064】
用語「ヘテロアリール」は、CもしくはC炭素環などのC4〜10炭素環または4〜10員ヘテロ環に縮合した、ピリジルやキノリニルなどの置換基も包含し、このような縮合ヘテロアリール基を置換基として有する基は、ヘテロアリール基の芳香族炭素またはヘテロアリール基のヘテロ原子に結合している。このような縮合ヘテロアリール基が1個または複数の置換基で置換されているとき、その1個または複数の置換基は、別段指定しない限り、ヘテロアリール基の芳香族炭素またはヘテロアリール基のヘテロ原子にそれぞれ結合している。縮合C4〜10炭素環または4〜10員ヘテロ環は、ハロゲン、C1〜6アルキル、C3〜10シクロアルキル、または=Oで置換されていてもよい。
【0065】
ヘテロアリールおよびヘテロシクロアルキルの追加の例として、その限りでないが、3−1H−ベンゾイミダゾール−2−オン、(1−置換)−2−オキソ−ベンゾイミダゾール−3−イル、2−テトラヒドロフラニル、3−テトラヒドロフラニル、2−テトラヒドロピラニル、3−テトラヒドロピラニル、4−テトラヒドロピラニル、[1,3]−ジオキサラニル、[1,3]−ジチオラニル、[1,3]−ジオキサニル、2−テトラヒドロチオフェニル、3−テトラヒドロチオフェニル、2−モルホリニル、3−モルホリニル、4−モルホリニル、2−チオモルホリニル、3−チオモルホリニル、4−チオモルホリニル、1−ピロリジニル、2−ピロリジニル、3−ピロリジニル、1−ピペラジニル、2−ピペラジニル、1−ピペリジニル、2−ピペリジニル、3−ピペリジニル、4−ピペリジニル、4−チアゾリジニル、ジアゾロニル、N−置換ジアゾロニル、1−フタルイミジニル、ベンゾオキサニル、ベンゾ[1,3]ジオキシン、ベンゾ[1,4]ジオキシン、ベンゾピロリジニル、ベンゾピペリジニル、ベンゾオキソラニル、ベンゾチオラニル、4,5,6,7−テトラヒドロピラゾール[1,5−a]ピリジン、ベンゾチアニル、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、ジヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、テトラヒドロピラニル、ジヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、ピペリジノ、モルホリノ、チオモルホリノ、チオキサニル、ピペラジニル、アゼチジニル、オキセタニル、チエタニル、ホモピペリジニル、オキセパニル、チエパニル、オキサゼピニル、ジアゼピニル、チアゼピニル、1,2,3,6−テトラヒドロピリジニル、2−ピロリニル、3−ピロリニル、インドリニル、2H−ピラニル、4H−ピラニル、ジオキサニル、1,3−ジオキソラニル、ピラゾリニル、ジチアニル、ジチオラニル、ジヒドロピラニル、ジヒドロチエニル、ジヒドロフラニル、ピラゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサニル、3−アザビシクロ[4.1.0]ヘプタニル、3H−インドリル、キノリジニル、ピリジニル、イミダゾリル、ピリミジニル、ピラゾリル、トリアゾリル、ピラジニル、テトラゾリル、フリル、チエニル、イソオキサゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソチアゾリル、ピロリル、キノリニル、イソキノリニル、インドリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾフラニル、シンノリニル、インダゾリル、インドリジニル、フタラジニル、ピリダジニル、トリアジニル、イソインドリル、プテリジニル、プリニル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、フラザニル、ベンゾフラザニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、キナゾリニル、キノキサリニル、ナフチリジニル、およびフロピリジニルが挙げられる。前述の基は、上で列挙した基から導かれるとき、それが可能である場合、C結合型でもN結合型でもよい。たとえば、ピロールから導かれる基は、ピロール−1−イル(N結合型)でもピロール−3−イル(C結合型)でもよい。さらに、イミダゾールから導かれる基は、イミダゾール−1−イル(N結合型)またはイミダゾール−2−イル(C結合型)でもよい。
【0066】
置換基は、1個または複数の水素原子に結合している少なくとも1個の炭素原子または窒素原子を含む場合、「置換可能」である。したがって、たとえば、水素、ハロゲン、およびシアノは、この定義の範囲内にない。
【0067】
置換基について、「置換されている」と記載する場合、置換基の炭素または窒素上にある水素置換基の場所に、非水素置換基が存在する。したがって、たとえば、置換アルキル置換基は、アルキル置換基上の水素置換基の場所に、少なくとも1個の非水素置換基が存在するアルキル置換基である。例示すると、モノフルオロアルキルは、1個のフルオロ置換基で置換されているアルキルであり、ジフルオロアルキルは、2個のフルオロ置換基で置換されているアルキルである。置換基上に2箇所以上の置換が存在する場合、各非水素置換基は、(別段記載しない限り)同一でも異なってもよいと理解すべきである。
【0068】
置換基について、「置換されていてもよい」と記載する場合、置換基は、(1)置換されていなくても、または(2)置換されていてもよい。置換基の炭素について、置換基のリストの1つまたは複数で置換されていてもよいと記載する場合、炭素上の水素の1個または複数(存在する限り)が、独立に選択される取捨選択可能な置換基で、個別にかつ/または一緒に置き換えられていてもよい。置換基の窒素について、置換基のリストの1つまたは複数で置換されていてもよいと記載する場合、窒素上の水素の1個または複数(存在する限り)が、独立に選択される取捨選択可能な置換基でそれぞれ置き換えられていてもよい。例となる一置換基は、−NR’R”と表記することができ、R’およびR”は、これらが結合している窒素原子と一緒になって、酸素、窒素、または硫黄から独立に選択される1または2個のヘテロ原子を含むヘテロ環を形成していてもよく、前記ヘテロシクロアルキル部分は、置換されていてもよい。R’およびR”ならびにこれらが結合している窒素原子から形成されるヘテロ環は、部分的もしくは完全に飽和したものまたは芳香族であってよい。一実施形態では、ヘテロ環は、4〜10個の原子からなる。別の実施形態では、ヘテロ環は、ピペリジニル、モルホリニル、アゼチジニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、イソオキサゾリル、およびチアゾリルからなる群から選択される。
【0069】
本明細書では、用語「置換基」、「ラジカル」、および「基」を区別なく使用する。
【0070】
置換基の群について、置換基のリストの1つまたは複数で置換されていてもよいと、一まとめにして記載する場合、その群は、(1)置換可能でない置換基、(2)取捨選択可能な置換基によって置換されていない置換可能な置換基、および/または(3)取捨選択可能な置換基の1つまたは複数によって置換されている置換可能な置換基を包含し得る。
【0071】
置換基について、特定の数までの非水素置換基で置換されていてもよいと記載する場合、その置換基は、(1)置換されていなくてもよく、または(2)その特定の数までの非水素置換基によって、もしくは置換基上の最大数までの置換可能な位置において、どちらか少ない方で置換されていてもよい。したがって、たとえば、置換基について、3個までの非水素置換基で置換されていてもよいヘテロアリールと記載する場合、3箇所未満の置換可能な位置を有するヘテロアリールであれば、ヘテロアリールが置換可能な位置を有するのと同じ数までに限り、非水素置換基で置換されていてもよいことになる。例示すると、(置換可能な位置を1箇所だけ有する)テトラゾリルであれば、1個までの非水素置換基で置換されていてもよいことになる。さらに例示すると、アミノ窒素について、2個までの非水素置換基で置換されていてもよいと記載する場合、アミノ窒素が第一級窒素なら、窒素は2個までの非水素置換基で置換されていてもよく、一方アミノ窒素が第二級窒素なら、アミノ窒素は1個までの非水素置換基だけで置換されていてもよい。
【0072】
多部分置換基に付いた接頭辞は、最初の部分だけに適用される。例示すると、用語「アルキルシクロアルキル」は、アルキルとシクロアルキルという2つの部分を含有する。したがって、C1〜6アルキルシクロアルキルのC1〜6接頭辞は、アルキルシクロアルキルのアルキル部分が1〜6個の炭素原子を含有することを意味し、C1〜6接頭辞は、シクロアルキル部分について述べていない。さらに例示すると、ハロアルコキシアルキルの接頭辞「ハロ」は、アルコキシアルキル置換基のアルコキシ部分だけが1個または複数のハロゲン置換基で置換されていることを示す。ハロゲン置換がアルキル部分上にだけに存在するなら、置換基は、「アルコキシハロアルキル」と記載されることになる。ハロゲン置換がアルキル部分とアルコキシ部分の両方に存在するなら、置換基は、「ハロアルコキシハロアルキル」と記載されることになる。
【0073】
置換基について、群から「独立に選択される」と記載する場合、各置換基は、他の(1つまたは複数の)置換基と無関係に選択される。したがって、各置換基は、他の(1つまたは複数の)置換基と同一でも、異なってもよい。
【0074】
本明細書では、用語「式I」を、以下では「本発明の(1つまたは複数の)化合物」と呼ぶ場合もある。このような用語は、その水和物、溶媒和物、異性体、結晶および非結晶形態、同形体、多形体、および代謝産物を含めて、式Iの化合物のすべての形態を包含するように定義される。たとえば、式Iの化合物または薬学的に許容できるその塩は、溶媒和していない形態および溶媒和した形態で存在する場合がある。溶媒または水が固く結合しているとき、その錯体は、湿度に関係なく明確な化学量論性を有する。しかし、チャネル溶媒和物や吸湿性化合物のように、溶媒または水の結合が弱いと、水/溶媒含有量は、湿度および乾燥条件次第となる。そのような場合では、非化学量論性が標準となる。
【0075】
式Iの化合物は、クラスレートまたは他の錯体として存在してもよい。本発明の範囲には、クラスレート、すなわち、前述の溶媒和物とは対照的に、薬物およびホストが化学量論量または非化学量論量で存在する薬物−ホスト包接錯体などの錯体も含める。化学量論量でも非化学量論量でもよい2種以上の有機および/または無機成分を含有する式Iの錯体も含める。得られる錯体は、イオン化したものでも、部分的にイオン化したものでも、またはイオン化していないものでもよい。このような錯体の総説については、HaleblianによるJ.Pharm.Sci.、64(8)、1269〜1288(1975年8月)を参照されたい。
【0076】
式Iの化合物は、不斉炭素原子を有する場合もある。式Iの化合物の炭素間結合は、本明細書では、実線(
【0077】
【化8】

)、くさび形実線(
【0078】
【化9】

)、またはくさび形破線(
【0079】
【化10】

)を使用して表記することがある。不斉炭素原子への結合の表記に実線が使用されていれば、その炭素原子における考えられるすべての立体異性体(たとえば、特定の鏡像異性体、ラセミ混合物など)が含まれることを示すものとする。不斉炭素原子への結合の表記にくさび形実線または破線が使用されていれば、示した立体異性体だけが含まれることを示すものとする。式Iの化合物が2個以上の不斉炭素原子を含んでいる場合があることも考えられる。こうした化合物において、不斉炭素原子への結合の表記に実線が使用されていれば、考えられるすべての立体異性体が含まれるものであることを示すものとする。たとえば、別段記述しない限り、式Iの化合物は、鏡像異性体およびジアステレオ異性体として、またはそのラセミ体および混合物として存在し得るものとされる。式Iの化合物中の1個または複数の不斉炭素原子への結合の表記に実線が使用され、同じ化合物中の他の不斉炭素原子への結合の表記にくさび形実線または破線が使用されていれば、ジアステレオ異性体の混合物が存在することを示すものとする。
【0080】
式Iの立体異性体には、2種以上の異性を示す化合物を含めて、式Iの化合物のシスおよびトランス異性体、RおよびS鏡像異性体などの光学異性体、ジアステレオ異性体、幾何異性体、回転異性体、配座異性体、および互変異性体、ならびにその混合物(ラセミ体やジアステレオ異性体のペアなど)が含まれる。対イオンが光学活性を有する、たとえばD−乳酸もしくはL−リシンである、またはラセミ体である、たとえばDL−酒石酸もしくはDL−アルギニンである、酸付加塩または塩基付加塩も含まれる。
【0081】
ラセミ体が結晶するとき、2種の異なるタイプの結晶が考えられる。第1のタイプは、両方の鏡像異性体を等モル量で含有する均質な一形態の結晶が生成する、上で言及したラセミ化合物(真のラセミ体)である。第2のタイプは、2形態の結晶が等モル量で生成し、それぞれが単一の鏡像異性体を含む、ラセミ混合物または集成体である。
【0082】
式Iの化合物は、互変異性および構造異性の現象を示す場合もある。たとえば、式Iの化合物は、エノールおよびイミン型、およびケトおよびエナミン型を含めたいくつかの互変異性体形態、幾何異性体、ならびにその混合物で存在することがある。そうした互変異性体形態はすべて、式Iの化合物の範囲内に含まれる。互変異性体は、溶液中では互変異性体の組の混合物として存在する。固体形態では、通常は一方の互変異性体が優勢である。1つの互変異性体について記載する場合があるとしても、本発明は、式Iの化合物のすべての互変異性体を包含する。
【0083】
本発明は、1個または複数の原子が、原子質量または質量数が自然界で通常見られる原子質量または質量数と異なっている原子で置き換えられていることを除き、上記式Iとして列挙した化合物と同一である、同位体標識された化合物も包含する。式Iの化合物に組み込むことのできる同位体の例として、その限りでないがH、H、13C、14C、15N、18O、17O、31P、32P、35S、18F、36Clなどの、水素、炭素、窒素、酸素、リン、フッ素、および塩素の同位体が挙げられる。特定の同位体標識された式Iの化合物、たとえば、Hや14Cなどの放射性同位体が組み込まれている式Iの化合物は、薬物および/または基質の組織分布アッセイにおいて有用である。トリチウム化、すなわちH、およびカーボン14、すなわち14C同位体は、その調製しやすさと検出性を考えると特に好ましい。さらに、ジュウテリウム、すなわちHなどのより重い同位体で置換すると、代謝安定性がより高いために生じる特定の治療上の有利点、たとえば、in vivo半減期の延長または投与必要量の縮小がもたらされる場合があり、したがって状況によっては好ましいこともある。同位体標識された式Iの化合物は、一般に、以下でスキームならびに/または実施例および調製例に記載する手順を、同位体標識されていない試薬の代わりに同位体標識された試薬を用いて実施することにより調製できる。
【0084】
本発明の化合物は、無機酸または有機酸から導かれる塩の形で使用してもよい。特定の化合物に応じて、化合物の塩は、異なる温度および湿度の中での薬学的安定性の向上や、水または油への望ましい溶解性などの、塩の物理的性質の1つまたは複数のために、有利になる場合がある。一部の例では、化合物の塩を、化合物の単離、精製、および/または分割を助けるものとして使用する場合もある。
【0085】
(たとえば、in vitroの状況で使用するのとは対照的に、)塩を患者に投与しようとする場合、塩は、薬学的に許容できることが好ましい。用語「薬学的に許容できる塩」とは、式Iの化合物を、そのアニオンまたはカチオンがヒトによる消費に適切であると一般にみなされる酸または塩基と化合させることにより調製された塩を指す。薬学的に許容できる塩は、親化合物より水への溶解性が高いため、本発明の方法の生成物として特に有用である。医学における使用では、本発明の化合物の塩は、非毒性の「薬学的に許容できる塩」である。用語「薬学的に許容できる塩」の範囲に含まれる塩は、遊離塩基を適切な有機酸または無機酸と反応させることにより一般に調製される、本発明の化合物の非毒性の塩を指す。
【0086】
本発明の化合物の薬学的に許容できる適切な酸付加塩としては、可能であるとき、塩化水素酸、臭化水素酸、フッ化水素酸、ホウ酸、フルオロホウ酸、リン酸、メタリン酸、硝酸、炭酸、スルホン酸、硫酸などの無機酸、および酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、クエン酸,エタンスルホン酸、フマル酸、グルコン酸、グリコール酸、イソチオン酸、乳酸、ラクトビオン酸、マレイン酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、コハク酸、トルエンスルホン酸、酒石酸、トリフルオロ酢酸などの有機酸から導かれる塩が挙げられる。適切な有機酸として、一般に、その限りでないが、脂肪族、脂環式、芳香族、芳香脂肪族(araliphatic)、ヘテロ環式、炭素環式、およびスルホン酸の部類の有機酸が挙げられる。
【0087】
適切な有機酸の具体例としては、その限りでないが、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、ギ酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、グリコール酸塩、グルコン酸塩、ジグルコン酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸、クエン酸塩、アスコルビン酸塩、グルクロン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、ピルビン酸塩、アスパラギン酸塩、グルタミン酸塩、安息香酸塩、アントラニル酸、ステアリン酸塩、サリチル酸塩、p−ヒドロキシ安息香酸塩、フェニル酢酸塩、マンデル酸塩、エンボン酸塩(パモ酸塩)、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、パントテン酸塩、トルエンスルホン酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、スルファニル酸塩、シクロヘキシルアミノスルホン酸塩、アルゲン酸(algenic acid)、β−ヒドロキシ酪酸、ガラクタル酸塩、ガラクツロン酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、酪酸塩、ショウノウ酸塩、カンファースルホン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ドデシル硫酸塩、グリコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ニコチン酸塩、2−ナフタレスルホン酸塩(2−naphthalesulfonate)、シュウ酸塩、パルモ酸塩(palmoate)、ペクチン酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、チオシアン酸塩、およびウンデカン酸塩が挙げられる。
【0088】
さらに、本発明の化合物が酸性部分を有する場合、薬学的に許容できる適切なその塩として、アルカリ金属塩、すなわちナトリウム塩またはカリウム塩、アルカリ土類金属塩、たとえばカルシウム塩またはマグネシウム塩、および適切な有機配位子を相手に形成された塩、たとえば第四級アンモニウム塩を挙げることができる。別の実施形態では、アルミニウム、アルギニン、ベンザチン、コリン、ジエチルアミン、ジオールアミン、グリシン、リシン、メグルミン、オールアミン、トロメタミン、および亜鉛の塩を始めとする、非毒性の塩を形成する塩基から、塩基塩が生成される。
【0089】
有機塩は、第二級、第三級、または第四級アミン塩、たとえば、トロメタミン、ジエチルアミン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルミン(N−メチルグルカミン)、プロカインから生成することができる。塩基性窒素を含有する基は、低級アルキル(C〜C)ハロゲン化物(たとえば、メチル、エチル、プロピル、およびブチルの塩化物、臭化物、およびヨウ化物)、ジアルキル硫酸塩(すなわち、ジメチル、ジエチル、ジブチル、およびジアミルの硫酸塩)、長鎖ハロゲン化物(すなわち、デシル、ラウリル、ミリスチル、およびステアリルの塩化物、臭化物、およびヨウ化物)、アリールアルキルハロゲン化物(すなわち、ベンジルおよびフェネチルの臭化物)他などの作用剤で四級化することができる。
【0090】
一実施形態では、酸および塩基の半塩、たとえば、半硫酸塩および半カルシウム塩を生成することもできる。
【0091】
通常、本発明の化合物は、本明細書に記載の状態の治療に有効な量で投与する。本発明の化合物は、任意の適切な経路によって、そのような経路に適合させた医薬組成物の形で、目的の治療に有効な用量で投与する。医学的状態の進行の治療に必要となる、化合物の治療上有効な用量は、医学分野でよく知られている前臨床および臨床の手法を使用して、当業者により容易に突きとめられる。用語「治療有効量」とは、本明細書では、治療対象の障害の症状の1つまたは複数をある程度軽減する、化合物投与量を指す。
【0092】
用語「治療する」とは、本明細書では、別段指摘しない限り、そうした用語が適用される障害もしくは状態、またはその障害もしくは状態の1つまたは複数の症状を後退させ、緩和し、その進行を阻止し、または予防することを意味する。用語「治療」とは、本明細書では、別段指摘しない限り、治療する行為を指し、「治療する」は、直前で定義したものである。用語「治療する」は、対象の補助治療およびネオアジュバント治療も包含する。
【0093】
本発明の化合物は、経口投与することができる。経口投与は、化合物が消化管に入るように飲み込むものでもよく、または化合物が口から直接血流に入る頬側もしくは舌下投与を用いてもよい。
【0094】
別の実施形態では、本発明の化合物は、血流中、筋肉中、または内臓に直接投与することもできる。非経口投与に適する手段としては、静脈内、動脈内、腹腔内、くも膜下腔内、脳室内、尿道内、胸骨内、頭蓋内、筋肉内、および皮下が挙げられる。非経口投与に適する装置としては、(微細針を含めた)針注射器、無針注射器、および注入技術が挙げられる。
【0095】
別の実施形態では、本発明の化合物は、皮膚または粘膜に局所的に、すなわち、皮膚上にまたは経皮的に投与することもできる。別の実施形態では、本発明の化合物は、鼻腔内投与または吸入投与することもできる。別の実施形態では、本発明の化合物は、直腸または膣内に投与することができる。別の実施形態では、本発明の化合物は、眼または耳に直接投与することもできる。
【0096】
化合物および/または化合物を含有する組成物の投与計画は、患者のタイプ、年齢、体重、性別、および医学的状態、状態の重症度、投与経路、ならびに用いる特定の化合物の活性を含めた様々な要素に基づく。したがって、投与計画は、広い範囲で様々となり得る。体重1キログラムあたり1日約0.01mg〜約100mg程度の投与量レベルが、上で指摘した状態の治療において有用である。一実施形態では、(1回分として、または数回分に分けて投与される)本発明の化合物の合計日用量は通常、約0.01〜約100mg/kgである。別の実施形態では、本発明の化合物の合計日用量は、約0.1〜約50mg/kgであり、別の実施形態では、約0.5〜約30mg/kg(すなわち、体重1kgあたりの本発明の化合物mg)である。一実施形態では、投薬は、0.01〜10mg/kg/日である。別の実施形態では、投薬は、0.1〜1.0mg/kg/日である。投与単位組成物は、このような量またはその約数を含有して日用量を構成するものであってよい。多くの例で、化合物の投与は、1日に複数回(通常は4回以下)繰り返される。1日あたりの複数回用量は通常、所望であれば、合計日用量を増やすのに使用することができる。
【0097】
経口投与では、組成物は、患者への投与量の症状による調整を考えて、0.01、0.05、0.1、0.5、1.0、2.5、5.0、10.0、15.0、25.0、50.0、75.0、100、125、150、175、200、250、および500ミリグラムの活性成分を含有する錠剤の形で提供することができる。医薬は通常、約0.01mg〜約500mgの活性成分、または別の実施形態では約1mg〜約100mgの活性成分を含有する。静脈内では、用量は、定速注入の際、約0.1〜約10mg/kg/分の範囲であってよい。
【0098】
本発明による適切な対象には、哺乳動物対象が含まれる。本発明による哺乳動物としては、その限りでないが、イヌ、ネコ、ウシ、ヤギ、ウマ、ヒツジ、ブタ、げっ歯動物、ウサギ目、霊長類などが挙げられ、子宮内の哺乳動物も含まれる。一実施形態では、ヒトが適切な対象である。ヒト対象は、どちらの性でもよく、いずれの発育段階でもよい。
【0099】
別の実施形態では、本発明は、本明細書で列挙した状態を治療する医薬を調製するための、1種または複数の本発明の化合物の使用を含む。
【0100】
上で言及した状態を治療するために、本発明の化合物は、化合物それ自体として投与することができる。代替として、薬学的に許容できる塩は、親化合物より水への溶解性が高いため、医学的適用に適する。
【0101】
別の実施形態では、本発明は、医薬組成物を含む。そのような医薬組成物は、薬学的に許容できる担体が加えられた本発明の化合物を含む。担体は、固体、液体、または両方でよく、0.05重量%〜95重量%の活性化合物を含有してよい単位用量組成物、たとえば錠剤としての化合物に配合することができる。本発明の化合物を、標的設定可能な薬物担体としての適切なポリマーに連結することもできる。薬理活性のある他の物質が存在してもよい。
【0102】
本発明の化合物は、適切な任意の経路で、好ましくはそのような経路に適合させた医薬組成物の形で、また目的の治療に有効な用量で投与することができる。活性化合物および組成物は、たとえば、経口、直腸、非経口、または局所投与することができる。
【0103】
固体服用形態の経口投与は、たとえば、それぞれが所定の量の少なくとも1種の本発明の化合物を含有する、硬または軟カプセル剤、丸剤、カシェ剤、ロゼンジ、錠剤などの別個の単位にして行うことができる。別の実施形態では、経口投与は、粉末または顆粒の形にすることができる。別の実施形態では、経口服用形態は、たとえばロゼンジなどの舌下である。このような固体剤形では、式Iの化合物を1種または複数の佐剤と組み合わせるのが普通である。こうしたカプセル剤または錠剤は、徐放製剤を含有するものでもよい。カプセル剤、錠剤、および丸剤の場合では、剤形は、緩衝剤を含んでもよく、または腸溶コーティングを施して調製してもよい。
【0104】
別の実施形態では、経口投与は、液体服用形態にすることができる。経口投与用の液体剤形としては、たとえば、当分野で一般に使用される不活性希釈剤(すなわち、水)を含有する薬学的に許容できる乳濁液、溶液、懸濁液、シロップ、およびエリキシルが挙げられる。このような組成物は、湿潤剤、乳化剤、懸濁化剤、香味剤(たとえば、甘味剤)、および/または着香剤などの佐剤も含んでよい。
【0105】
別の実施形態では、本発明は、非経口投与形態を含む。「非経口投与」は、たとえば、皮下注射、静脈内注射、腹腔内注射、筋肉内注射、胸骨内注射、および注入を包含する。注射製剤(すなわち、注射可能な水性または油性滅菌懸濁液)は、適切な分散剤、湿潤剤、および/または懸濁化剤を使用し、既知の技術に従って製剤することができる。
【0106】
別の実施形態では、本発明は、局所投与形態を含む。「局所投与」は、たとえば、経皮パッチやイオン導入デバイスによるものなどの経皮投与、眼内投与、または鼻腔内もしくは吸入投与を包含する。局所投与用の組成物として、たとえば、局所用のゲル、スプレー、軟膏、およびクリームも挙げられる。局所用製剤は、皮膚または他の患部を介した活性成分の吸収または浸透を高める化合物を含んでもよい。本発明の化合物を経皮的デバイスによって投与するとき、投与は、レザバーと多孔質膜のタイプまたは各種固体マトリックスのいずれかのパッチを使用して実現される。この目的のための典型的な製剤として、ゲル、ヒドロゲル、ローション、溶液、クリーム、軟膏、散粉剤、包帯剤、フォーム、フィルム、皮膚パッチ、ウェーハ、植込錠、スポンジ、繊維、絆創膏、およびマイクロエマルジョンが挙げられる。リポソームを使用してもよい。典型的な担体として、アルコール、水、鉱油、流動パラフィン、白色ワセリン、グリセリン、ポリエチレングリコール、およびプロピレングリコールが挙げられる。浸透性改善剤を混ぜてもよい。たとえば、FinninおよびMorgan、J.Pharm.Sci.、88(10)、955〜958(1999)を参照されたい。
【0107】
眼への局所投与用の製剤としては、たとえば、本発明の化合物を適切な担体に溶解または懸濁させてある点眼剤が挙げられる。眼または耳への投与に適する典型的な製剤は、pH調整された等張性滅菌食塩水中の微粒子化懸濁液または溶液からなる液滴の形にすることができる。眼または耳への投与に適する他の製剤としては、軟膏、生分解性(すなわち、被吸収性ゲルスポンジ、コラーゲン)および非生分解性(すなわち、シリコーン)の植込錠、ウェーハ、レンズ、ならびにニオソームやリポソームなどの微粒子系または小胞系が挙げられる。架橋ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ヒアルロン酸、セルロースポリマー、たとえば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、もしくはメチルセルロース、またはヘテロ多糖ポリマー、たとえばゲランガムなどのポリマーを、塩化ベンザルコニウムなどの保存剤と共に混ぜることもできる。このような製剤は、イオン導入法によって送達することもできる。
【0108】
鼻腔内投与または吸入による投与では、本発明の活性化合物は、患者によって圧迫もしくはポンピングされるポンプスプレー容器から溶液もしくは懸濁液の形で、または適切な噴射剤を使用して加圧容器もしくはネブライザーからエアロゾルスプレー体裁として、好都合に送達される。鼻腔内投与に適する製剤は通常、(単独、たとえばラクトースとの乾燥ブレンドにした混合物として、またはたとえばホスファチジルコリンなどのリン脂質と混合した混合型成分粒子としての)乾燥粉末の形で乾燥粉末吸入器から、または加圧容器、ポンプ、スプレー、アトマイザー(好ましくは、電気水力学を使用して微細な霧を生成するアトマイザー)、もしくはネブライザーからエアロゾルスプレーとして、1,1,1,2−テトラフルオロエタンや1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパンなどの適切な噴射剤を使用しもしくは使用せずに投与される。鼻腔内の使用では、粉末は、生体接着剤、たとえばキトサンまたはシクロデキストリンを含んでよい。
【0109】
別の実施形態では、本発明は、直腸投与形態を含む。そうした直腸投与形態は、たとえば、坐剤の形にすることができる。カカオ脂が伝統的な坐剤基剤であるが、種々の代替品を適宜使用してもよい。
【0110】
医薬分野で知られている他の担体材料および投与方式も使用してよい。本発明の医薬組成物は、有効な製剤および投与手順などの薬学のよく知られている技術のいずれによって調製してもよい。有効な製剤および投与手順に関しての上記の考慮事項は、当業界でよく知られており、標準的な教本に記載されている。薬物の製剤については、たとえば、Hoover,John E.、Remington’s Pharmaceutical Sciences、Mack Publishing Co.、ペンシルヴェニア州イーストン、1975;Libermanら編、Pharmaceutical Dosage Forms、Marcel Decker、ニューヨーク州ニューヨーク、1980;およびKibbeら編、Handbook of Pharmaceutical Excipients(第3版)、American Pharmaceutical Association、ワシントン、1999で論述されている。
【0111】
本発明の化合物は、種々の状態または病態の治療において、単独で、または他の治療薬と組み合わせて使用することができる。本発明の(1つまたは複数の)化合物および他の(1つまたは複数の)治療薬は、(同じ剤形または別々の剤形で)同時に、または逐次投与することができる。例となる治療薬は、たとえば、代謝型グルタミン酸受容体作動薬であってよい。
【0112】
2種以上の化合物の「組み合わせた」投与とは、一方の存在が他方の生物学的効果を変更するのに十分なだけ時間を接近させて、2種の化合物を投与することを意味する。2種以上の化合物は、同時に、並行して、または逐次投与することができる。加えて、同時投与は、投与前に化合物を混合する、または同じ時点であるが、異なる解剖学的部位で、もしくは異なる投与経路を使用して化合物を投与することにより、実施することもできる。
【0113】
語句「並行投与」、「共投与」、「同時投与」、および「同時に投与する」とは、化合物を組み合わせて投与することを意味する。
【0114】
本発明は、上述の治療方法を実施する際の使用に適するキットをさらに含む。一実施形態では、キットは、本発明の化合物の1種または複数を含む第1の剤形と、剤形の容器とを、本発明の方法を実施するのに十分な量で収容する。
【0115】
別の実施形態では、本発明のキットは、1種または複数の本発明の化合物を含む。
【0116】
別の実施形態では、本発明は、本発明の化合物を調製するのに有用な新規な中間体に関する。
【0117】
一般合成スキーム
式Iの化合物は、以下で述べる方法、ならびに有機化学の分野で知られている合成方法または当業者によく知られている修飾および誘導体化によって調製することができる。本明細書で使用する出発材料は、市販されており、または当分野で知られている型どおりの方法(COMPENDIUM OF ORGANIC SYNTHETIC METHODS、第I〜XII巻(Wiley−Interscience刊)などの標準の参考書籍に記載されている方法など)によって調製することができる。好ましい方法として、その限りでないが、以下に記載の方法が挙げられる。
【0118】
以下の合成シーケンスのいずれの際も、問題の分子のいずれかにある感受性基または反応性基を保護することが必要かつ/または望ましいといえる。これは、参照により本明細書に援用される、T.W.Greene、Protective Groups in Organic Chemistry、John Wiley&Sons、1981;T.W.GreeneおよびP.G.M.Wuts、Protective Groups in Organic Chemistry、John Wiley&Sons、1991;ならびにT.W.GreeneおよびP.G.M.Wuts、Protective Groups in Organic Chemistry、John Wiley&Sons、1999に記載の保護基などの、従来の保護基によって実現することができる。
【0119】
式Iの化合物またはその薬学的に許容できる塩は、以下で論述する反応スキームに従って調製することができる。別段指摘しない限り、スキームにおける置換基は、上記のように規定される。生成物の単離および精製は、当業の化学者に知られている標準の手順によって実現される。
【0120】
スキーム、方法、および実施例で使用する種々の記号、上付き文字、および下付き文字は、表示の都合のため、かつ/またはそれらがスキームに導入される順番を反映させるために使用し、添付の特許請求の範囲にある記号、上付き文字、または下付き文字に必ずしも対応するものでないことは、当業者に理解されよう。スキームは、本発明の化合物の合成において有用な方法の典型である。スキームは、本発明の範囲を決して制約するものではない。
【0121】
実験手順および作業実施例
【0122】
【化11】

【0123】
がHである式Ibの化合物は、スキームIに示すように調製することができる。アルデヒドIIIとアミノ置換されたBOC保護[BOC=tert−ブトキシカルボニル]環式アミンIVとを、ジエチルエーテル、または好ましくはtert−ブチルメチルエーテルなどの適度に不活性な溶媒中にて、0℃〜50℃、好ましくは周囲温度で反応させることにより、式Vのイミンを調製する。アルデヒドVI、4−メチルベンゼンスルホン酸、ホルムアミド、および塩化トリメチルシリルから、文献(Organic Syntheses;Wiley&Sons:ニューヨーク、2004;全集第10巻、692頁)に記載の2ステップの一般手順に従って、トルエンスルホニルメチルイソシアニド[tosmic]試薬VIIを調製する。次いで、ジメチルアセトアミド、1−メチル−2−ピロリジノン、または好ましくはN,N−ジメチルホルムアミド[DMF]などの適度に極性のある不活性溶媒中にて、イミンVとtosmic試薬VIIとを、炭酸ナトリウム、好ましくは炭酸カリウムなどの炭酸塩塩基と共に、0℃〜50℃、好ましくは周囲温度で反応させることにより、イミダゾールIIを生成する。好ましくは無希釈もしくはジクロロメタン溶液としてのトリフルオロ酢酸[TFA]を使用し、またはHClのアルコール性溶媒、好ましくはメタノールもしくはエタノールを用い、酸性条件下でBOC保護基をまず除去することにより、化合物IIから式Ibの化合物を調製する。得られる第二級アミンを、式RL=Oのアルデヒドまたはケトンを用いた還元的アミノ化にかけると、式Ibの化合物が得られる。RL=Oがアルデヒドである場合、この変換は、共溶媒としての酢酸の存在下または非存在下、0℃〜100℃、好ましくは周囲温度〜50℃の温度で、化合物IIと前記アルデヒドを、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、または好ましくはテトラヒドロフラン[THF]中で混合し、次いでシアノ水素化ホウ素ナトリウム、または好ましくはトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムなどの適切な水素化物還元剤を加えることにより実施するのが好ましい。この変換は、脱水試薬、たとえば、THFやジクロロメタンなどの非反応性溶媒中の塩化チタン(IV)もしくはチタン(IV)イソプロポキシド、メタノールもしくはエタノール中の硫酸マグネシウム、または還流トルエン中のpara−トルエンスルホン酸の存在下、共沸により水を除去しながら、アルデヒドRL=Oと化合物IIを化合させて、別個のイミノ中間体を生成することにより実現してもよい。引き続いて、得られるイミノ種を、水素化ホウ素ナトリウム、シアノ水素化ホウ素ナトリウム、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムなどの水素化物試薬を用い、またはパラジウム炭素や水酸化パラジウムなどの適切な金属触媒の存在下で水素化することにより還元すると、式Ibの化合物が得られる。
【0124】
【化12】

【0125】
式Icのピリミジン化合物を調製する代替法をスキームIIに示す。最初に2−オキソプロパニルとアミノ置換されたBOC保護環式アミンIVを反応させて式VIIIのイミンを調製し、次いで、スキームIでイミダゾールIIの生成について記載したのと同様にして、tosmic試薬VIIと反応させて、アセチル置換されたイミダゾールIXを得る。IXを、無希釈またはジクロロメタンなどの適度に非反応性の溶媒中のtert−ブトキシビス(ジメチルアミノ)メタン、または好ましくはN,N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタールと共に、周囲温度〜120℃の温度(75〜100℃が好ましい)で加熱することにより、ビニル性アミドXを調製する。還流ホルムアミド、または50℃〜120℃の温度で融解させたホルムアミドアセテートで処理することにより、Xから、水素が2位を占有する式IIaのピリミジンを調製することができる。同様に、エタノールやメタノールなどのアルコール溶媒中にて、ナトリウムエトキシドやナトリウムメトキシドなどのアルコキシド塩基の存在下、0℃〜還流温度(周囲温度〜50℃が好ましい)で、グアニジン塩または置換グアニジン塩で処理しても、2−アミノ置換ピリミジンIIaが得られる。式Icの化合物の調製は、化合物IIaから、スキームIで化合物IIから化合物Ibへの変換について記載した同じ一般法を使用して実施する。
【0126】
がC1〜3アルキルまたはC3〜4シクロアルキルであってもよい化合物(式I)は、スキームIIIに示す手順に従って調製することができる。Organic Syntheses、Wiley&Sons:ニューヨーク、2004、全集第10巻、692頁に記載の手順の変更形態に従い、アルデヒドVIを、アセトニトリルとトルエンの混合物中にて、好ましくは高めの温度で、アミドおよび塩化トリメチルシリルで処理する。4−メチルベンゼンスルホン酸を加えて、アリールスルホニルアミドXI得る。J.A.Murryら、J.Am.Chem.Soc.2001、123、9696〜9697に記載の手順に従い、XIを、アルデヒドIII、チアゾリウム触媒、およびトリエチルアミンで処理して、アミドケトンXIIを得るのが典型的である。メタノールやエタノールなどのアルコール溶媒中にて、酢酸の存在下、アミノ置換ヘテロシクロアルキル化合物IVaと縮合させると、式Iの化合物が得られる。
【0127】
【化13】

【0128】
式XIXの5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2−a]ピラジンは、スキームIVに概略を示す合成シーケンスに従って調製することができる。アリールエステルXIIIをメチルヘテロアリール化合物XIVのアニオンと縮合させて、ケトンXVを調製することができる。このアニオンは、THFやジアルキルエーテルなどの非反応性溶媒中でリチウムジイソプロピルアミド[LDA]やリチウムヘキサメチルジシラジド[LHMDS]などの適切なアミド塩基を使用して生成することができる。ジケトンXVIを得るためのXVの酸化は、DMSO中のHBrで実現することができる。ジエチルエーテルやtert−ブチルメチルエーテルなどのエーテル系溶媒中にて、酢酸アンモニウムの存在下、XVIをジメトキシアセトアルデヒドと縮合させて、イミダゾールアセタールXVIIを生成する。XVIIを酸水溶液、たとえば、HClのTHF/水溶液で処理すると、マスキングされていないアルデヒドXVIIIが得られ、このアルデヒドXVIIIをTHFなどの不活性溶媒と混合し、トリエチルアミンなどの酸スカベンジャー存在下の2−ブロモメチルアミン、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムなどの水素化物還元剤、およびBOC無水物で、単一反応において段階的に処理して、レギオ異性体化合物XIXa/bを得る。先行するスキームに示したとおりにXIXaをさらに誘導体化すると、式Iの化合物を得ることができる。
【0129】
【化14】

【0130】
以下では、本発明の種々の化合物の合成について例示する。本発明の範囲内にある追加の化合物は、それら実施例において例示する方法を、単独で、または当業界で一般に知られている技術と組み合わせて使用し、調製することができる。
【0131】
実験は一般に、特に酸素または水分に感受性の試薬または中間体を用いる場合では、不活性雰囲気(窒素またはアルゴン)中で実施した。市販の溶媒および試薬は、適切な場合では無水溶媒(一般に、Aldrich Chemical Company、ウィスコンシン州ミルウォーキーのSure−Seal(商標)製品)を含めて、一般にそれ以上精製せずに使用した。質量分析データは、液体クロマトグラフィー質量分析(LCMS)、大気圧化学イオン化(APCI)、またはガスクロマトグラフィー質量分析(GCMS)計測から報告する。核磁気共鳴(NMR)データの化学シフトは、用いた重水素化溶媒からの残存ピークを基準とした百万分率(ppm、δ)で表示する。
【0132】
他の実施例または方法における手順に言及する合成では、反応条件(反応の長さおよび温度)は様々となり得る。一般に、反応は、薄層クロマトグラフィーまたは質量分析によって追跡し、適切であれば後処理にかけた。精製は、実験によって様々となる場合があり、一般に、溶離液/勾配に使用する溶媒および溶媒比率は、適切なRまたは保持時間が得られるように選択した。
【実施例】
【0133】
(実施例1)
4−{4−(4−フルオロフェニル)−1−[1−(ピリミジン−2−イルメチル)アゼチジン−3−イル]−1H−イミダゾール−5−イル}ピリミジン−2−アミン(1)
【0134】
【化15】

tert−ブチル3−{[(1E)−2−オキソプロピリデン]アミノ}アゼチジン−1−カルボキシレート(C1)
3−アミノアゼチジン−1−カルボン酸tert−ブチル(16.8g、97.5mmol)と2−オキソプロパノール(10g、140mmol)の混合物を室温で5分間撹拌した。得られる材料をシリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:1:1 石油エーテル:酢酸エチル)によって精製して、生成物を油状物として得、この油状物を次のステップでそのまま使用した。収率:12.5g、55.2mmol、57%。
【0135】
tert−ブチル3−[5−アセチル−4−(4−フルオロフェニル)−1H−イミダゾール−1−イル]アゼチジン−1−カルボキシレート(C3)
1−フルオロ−4−{イソシアノ[(4−メチルフェニル)スルホニル]メチル}ベンゼン(C2、Organic Syntheses、Wiley&Sons:ニューヨーク、2004、全集第10巻、692頁を参照されたい)(12.5g、43.2mmol)およびtert−ブチル3−{[(1E)−2−オキソプロピリデン]アミノ}アゼチジン−1−カルボキシレート(C1)(10g、44mmol)をDMF(150mL)に溶かした溶液に、炭酸カリウム(15.0g、108mmol)を加えた。混合物を室温で16時間撹拌し、次いで酢酸エチル(500mL)と水(500mL)とに分配した。有機層を水(3×500mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:1:1 石油エーテル:酢酸エチル)によって精製して、生成物を固体として得た。収率:11g、31mmol、72%。
【0136】
tert−ブチル3−[5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−4−(4−フルオロフェニル)−1H−イミダゾール−1−イル]アゼチジン−1−カルボキシレート(C4)
tert−ブチル3−[5−アセチル−4−(4−フルオロフェニル)−1H−イミダゾール−1−イル]アゼチジン−1−カルボキシレート(C3)(5.6g、15.6mmol)のn−プロパノール(50mL)溶液に、N,N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタール(12g、100mmol)を加え、反応混合物を90℃で3時間撹拌した。その時点で、反応混合物にグアニジン塩酸塩(7.2g、75mmol)および炭酸カリウム(10g、72mmol)を加えた。92℃でさらに16時間撹拌した後、反応液を水酸化ナトリウム水溶液(5N、10mL、50mmol)で処理し、92℃で16時間撹拌を続けた。真空中で濃縮した後、残渣を酢酸エチル(100mL)と水(100mL)とに分配し、水相を酢酸エチル(2×100mL)で抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。未精製材料をシリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:1:1〜1:2 石油エーテル:酢酸エチル)によって精製して、生成物を固体として得た。収率:2.1g、5.1mmol、33%。NMRデータは、同様の条件下で実施した反応の生成物から取得した。1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 1.46 (s, 9H), 4.22 (dd, J=9, 5 Hz, 2H), 4.41 (dd, J=9, 9 Hz, 2H),
5.47 (m, 1H), 6.39 (d, J=5.1 Hz, 1H), 7.10 (dd, J=8.7, 8.7 Hz, 2H), 7.42-7.47
(m, 2H), 8.09 (d, J=5.3 Hz, 1H), 8.25 (s, 1H).
【0137】
4−[1−アゼチジン−3−イル−4−(4−フルオロフェニル)−1H−イミダゾール−5−イル]ピリミジン−2−アミン(C5)
tert−ブチル3−[5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−4−(4−フルオロフェニル)−1H−イミダゾール−1−イル]アゼチジン−1−カルボキシレート(C4)(2.1g、5.1mmol)のメタノール(10mL)溶液に、塩酸水溶液(5N、30mL)を加え、反応液を室温で2時間撹拌した。溶液を濃縮し、残渣を水(100mL)および酢酸エチル(100mL)で希釈した。アンモニア水溶液で混合物をpH=9に調整した後、水層を酢酸エチル(100mL)で抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮して、生成物を固体として得た。収率:1.1g、3.5mmol、69%。LCMS m/z 311.4 (M+1). 1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 3.95 (br d, J=7.5 Hz, 4H), 5.51 (m, 1H), 6.38 (br d, J=5.2 Hz, 1H),
7.10 (br dd, J=8.5, 8.5 Hz, 2H), 7.44 (br dd, J=8, 5 Hz, 2H), 8.10 (br d, J=5.0
Hz, 1H), 8.21 (br s, 1H).
【0138】
4−{4−(4−フルオロフェニル)−1−[1−(ピリミジン−2−イルメチル)アゼチジン−3−イル]−1H−イミダゾール−5−イル}ピリミジン−2−アミン(1)
4−[1−アゼチジン−3−イル−4−(4−フルオロフェニル)−1H−イミダゾール−5−イル]ピリミジン−2−アミン(C5)(11.2mg、0.0361mmol)、ピリミジン−2−カルバルデヒド(5.9mg、0.055mmol)、トリエチルアミン(0.010mL、0.072mmol)、および酢酸(0.010mL、0.17mmol)を1,2−ジクロロエタン(1.0mL)に混ぜた混合物を、30分間撹拌した。トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(22.9mg、0.11mmol)を加え、さらに18時間撹拌を続け、その時点で、希水酸化ナトリウム水溶液により反応を失活させた。水層を1,2−ジクロロエタンで抽出した後、有機層を合わせ、真空中で濃縮した。逆相HPLC(勾配:5%〜60%のアセトニトリル水溶液)によって残渣を精製して、生成物を黄色の油状物として得た。収率:1mg、0.0025mmol、7%。LCMS m/z 403.6 (M+1). 1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 3.66-3.70 (m, 2H), 3.96-4.00 (m, 2H), 4.02 (s, 2H), 5.34 (m, 1H),
6.38 (d, J=5.2 Hz, 1H), 7.10 (dd, J=8.8, 8.8 Hz, 2H), 7.38 (t, J=4.9 Hz, 1H),
7.44 (dd, J=8.9, 5.4 Hz, 2H), 8.09 (d, J=5.2 Hz, 1H), 8.24 (br s, 1H), 8.77 (d,
J=5.0 Hz, 2H).
【0139】
(実施例2)
4−{4−(4−フルオロフェニル)−1−[1−(1−イソオキサゾール−3−イルエチル)ピペリジン−4−イル]−1H−イミダゾール−5−イル}−N−メチルピリミジン−2−アミン(2)
【0140】
【化16】

1−イソオキサゾール−3−イルエタノール(C6)
イソオキサゾール−3−カルバルデヒド(1.00g、10.3mmol)のTHF(10mL)溶液を−78℃に冷却し、ヨウ化メチルマグネシウムのジエチルエーテル溶液(3.0M、3.50mL、10.5mmol)の滴下によって処理した。得られる固体層をヘラで砕き、反応液を1時間かけて0℃に温めた。室温でさらに1時間撹拌した後、反応液を飽和塩化アンモニウム水溶液で失活させ、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を水および飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:50%酢酸エチルヘプタン溶液)によって精製すると、生成物が黄色の油状物(536mg、プロトンNMR分光法によって判定したところ純度75〜80%)として得られ、この油状物を次のステップでそのまま使用した。1H NMR (400 MHz, CDCl3), 生成物のピークのみ: δ 1.58 (d, J=6.5 Hz, 3H), 2.34 (br d,
J=4.4 Hz, 1H), 5.10 (qd, J=6.6, 4.7 Hz, 1H), 6.40 (d, J=1.7 Hz, 1H), 8.36 (d,
J=1.7 Hz, 1H).
【0141】
1−イソオキサゾール−3−イルエチルメタンスルホネート(C7)
1−イソオキサゾール−3−イルエタノール(先行ステップのC6、536mg)およびトリエチルアミン(0.90mL、6.5mmol)をTHF(10mL)に溶かした溶液にメタンスルホン酸無水物(825mg、4.74mmol)を加え、反応混合物を18時間撹拌した。酢酸エチルを加えた後、混合物を水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。プロトンNMR分光法により反応が不完全であると判断されたので、2当量のメタンスルホン酸無水物を使用して、この材料を再び反応条件下に置き、同じようにして後処理した。未精製材料をシリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:25%酢酸エチルヘプタン溶液、続いて50%酢酸エチルヘプタン溶液)によって精製して、生成物を無色の油状物として得た。収率:276mg、1.44mmol、2ステップで14%。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 1.81 (d, J=6.6 Hz, 3H), 3.01 (s, 3H), 5.93 (q, J=6.6 Hz, 1H), 6.50
(d, J=1.8 Hz, 1H), 8.45 (d, J=1.7 Hz, 1H).
【0142】
4−{4−(4−フルオロフェニル)−1−[1−(1−イソオキサゾール−3−イルエチル)ピペリジン−4−イル]−1H−イミダゾール−5−イル}−N−メチルピリミジン−2−アミン(2)
4−[4−(4−フルオロフェニル)−1−ピペリジン−4−イル−1H−イミダゾール−5−イル]−N−メチルピリミジン−2−アミン(C8、J.Sisko、米国特許第6,239,279B1号、2001年5月29日の方法によって調製できる)(75mg、0.21mmol)、1−イソオキサゾール−3−イルエチルメタンスルホネート(C7)(60mg、0.31mmol)、および炭酸セシウム(139mg、0.43mmol)をアセトニトリル(2mL)に混ぜた混合物を、70℃で24時間加熱した。減圧下で溶媒を除去すると残渣が得られ、この残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:0%、次いで5%、次いで15%のメタノール酢酸エチル溶液)によって精製した。得られる無色の油状物を酢酸エチル/ヘプタンに溶解させ、次いで真空中で濃縮して、生成物を白色の固体として得た。収率:57mg、0.13mmol、62%。APCI m/z 448.3 (M+1). 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 1.46 (d, J=6.9 Hz, 3H), 1.93-2.07 (m, 2H), 2.12-2.24 (m, 4H),
2.98-3.08 (m, 2H), 3.02 (d, J=5.0 Hz, 3H), 3.94 (q, J=6.9 Hz, 1H), 4.59 (br m,
1H), 5.14 (br d, J=5 Hz, 1H), 6.35 (d, J=1.7 Hz, 1H), 6.40 (d, J=5.0 Hz, 1H),
7.00 (dd, J=8.8, 8.8 Hz, 2H), 7.46 (dd, J=9.0, 5.5 Hz, 2H), 7.77 (s, 1H), 8.15
(br d, J=5 Hz, 1H), 8.38 (dd, J=1.7, 0.6 Hz, 1H).
【0143】
(実施例3)
4−{4−(4−フルオロフェニル)−1−[1−(ピリミジン−2−イルメチル)ピペリジン−4−イル]−1H−イミダゾール−5−イル}ピリミジン−2−アミン(3)
【0144】
【化17】

4−[4−(4−フルオロフェニル)−1−ピペリジン−4−イル−1H−イミダゾール−5−イル]ピリミジン−2−アミン塩酸塩(C9、J.Sisko、米国特許第6,239,279B1号、2001年5月29日の方法によって調製できる)(200mg、0.534mmol)、2−(クロロメチル)ピリミジン(110mg、0.667mmol)、および炭酸セシウム(365mg、1.12mmol)を2−メチルテトラヒドロフラン(3mL)および水(1mL)にスラリー化したスラリーを、終夜70℃で加熱した。得られる溶液を冷却し、有機層を真空中で濃縮した。ジクロロメタンを加えると固体が生じ、ヘプタン(10mL)を加え、得られる混合物を10分間撹拌した。濾過すると、表題生成物が固体として得られた。収率:205mg、0.476mmol、89%。APCI m/z 431.1 (M+1). 1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 2.08-2.14 (m, 4H), 2.30-2.36 (m, 2H), 3.09 (br d, J=12 Hz, 2H),
3.84 (s, 2H), 4.62 (m, 1H), 6.40 (d, J=5.2 Hz, 1H), 7.07 (dd, J=8.8, 8.8 Hz,
2H), 7.39-7.43 (m, 3H), 8.04 (s, 1H), 8.13 (d, J=5.2 Hz, 1H), 8.80 (d, J=5.0
Hz, 2H).
【0145】
(実施例4)
4−{4−(4−フルオロフェニル)−1−[1−(イソオキサゾール−3−イルメチル)ピペリジン−4−イル]−1H−イミダゾール−5−イル}ピリミジン−2−アミン(4)
【0146】
【化18】

4−[4−(4−フルオロフェニル)−1−ピペリジン−4−イル−1H−イミダゾール−5−イル]ピリミジン−2−アミン塩酸塩(C9)(10.0g、26.7mmol)をTHF(20mL)およびジクロロメタン(6mL)にスラリー化したスラリーに、イソオキサゾール−3−カルバルデヒド(3.5g、36mmol)を加えた。30分後、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(95%、17.9g、80.2mmol)を加え、反応液を18時間撹拌した。次いでこの反応液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(250mL)で失活させ、ジクロロメタン(400mL)で希釈した。水層を追加のジクロロメタン(250mL)で抽出し、合わせた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過した。その時点で、有機相を、同じ規模で実施した同一の反応の有機相と合わせた。真空中で溶媒を除去すると、油状物と固体の混合物が得られ、この混合物をピペットで分離し、固体をジエチルエーテル(300mL)にスラリー化し、濾過し、新たなジエチルエーテル(150mL)で洗浄して、白色の固体(16.7g)を得た。油状物は、ジエチルエーテル(100mL)と混合し、得られる沈殿を濾過によって収集して、追加の白色固体(3.0g)を得た。合わせた粗生成物をシリカゲルでのクロマトグラフィー(溶離液:25%メタノール酢酸エチル溶液)にかけ、精製した材料をメタノール溶液から沈殿させて、表題生成物を白色の固体として得た。収率:12.7g、30.3mmol、57%。APCI m/z 420.1 (M+1). 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6)
δ 1.90-2.00 (m, 4H), 2.06-2.12 (m, 2H), 2.89 (br d,
J=11.7 Hz, 2H), 3.61 (s, 2H), 4.25 (m, 1H), 6.41 (d, J=5.0 Hz, 1H), 6.53 (d,
J=1.8 Hz, 1H), 6.80 (br s, 2H), 7.13 (dd, J=9.0, 9.0 Hz, 2H), 7.44 (dd, J=9.0,
5.6 Hz, 2H), 8.04 (s, 1H), 8.21 (d, J=5.0 Hz, 1H), 8.86 (d, J=1.7 Hz, 1H).
【0147】
(実施例5)
4−{4−(4−フルオロフェニル)−1−[1−(イソオキサゾール−3−イルメチル)ピペリジン−4−イル]−1H−イミダゾール−5−イル}−N−メチルピリミジン−2−アミン(5)
【0148】
【化19】

4−[4−(4−フルオロフェニル)−1−ピペリジン−4−イル−1H−イミダゾール−5−イル]−N−メチルピリミジン−2−アミン(C8)(150mg、0.426mmol)およびイソオキサゾール−3−カルバルデヒド(49.6mg、0.511mmol)をTHF(10mL)に溶かした溶液に、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(135mg、0.637mmol)を加えた。室温で90分経過後、反応液を真空中で濃縮し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液と酢酸エチルとに分配した。水層を酢酸エチルで抽出し、合わせた有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、濃厚な油状物を得た。シリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:酢酸エチル、続いて10%メタノール酢酸エチル溶液)によって精製すると、粘稠な油状物が得られ、この油状物をジエチルエーテルから濃縮し直して、生成物を白色の固体として得た。収率:77mg、0.18mmol、42%。LCMS m/z 434.6 (M+1). 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 1.99-2.09 (m, 2H), 2.16-2.22 (m, 4H), 3.03 (m, 2H), 3.05 (d, J=5.1
Hz, 3H), 3.69 (s, 2H), 4.67 (br m, 1H), 5.17 (m, 1H), 6.41 (d, J=5.1 Hz, 1H),
6.41 (d, J=1.7 Hz, 1H), 7.00 (dd, J=8.7, 8.7 Hz, 2H), 7.46 (dd, J=8.7, 5.4 Hz,
2H), 7.77 (s, 1H), 8.16 (br d, J=4.5 Hz, 1H), 8.40 (d, J=1.6 Hz, 1H).
【0149】
(実施例6)
4−{4−(4−フルオロフェニル)−1−[1−(イソオキサゾール−3−イルメチル)ピペリジン−4−イル]−1H−イミダゾール−5−イル}ピリミジン塩酸塩(6)
【0150】
【化20】

(3E)−4−(ジメチルアミノ)−1,1−ジメトキシブタ−3−エン−2−オン(C10)
N,N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタール(147g、1.23mol)および1,1−ジメトキシアセトン(146g、1.24mol)を2−ブタノール(1L)に溶かした溶液を、20時間還流加熱した。真空中で溶媒を除去した後、残渣を真空中で蒸留にかけて、生成物を油状物として得た。収率:145g、0.837mol、68%。沸点:132〜140℃/0.15トル。NMRおよびMSデータは、同様の条件下で実施した反応の生成物を使用して取得した。LCMS m/z 174.0 (M+1). 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 2.77 (br s, 3H), 3.02 (br s, 3H), 3.30 (s, 6H), 4.47 (s, 1H), 5.23
(br d, J=12.6 Hz, 1H), 7.63 (d, J=12.6 Hz, 1H).
【0151】
4−(ジメトキシメチル)ピリミジン(C11)
(3E)−4−(ジメチルアミノ)−1,1−ジメトキシブタ−3−エン−2−オン(C10)(147g、0.85mol)と酢酸ホルムアミジン(131g、1.26mol)の混合物を、110〜120℃で4時間加熱した。室温に冷却した後、反応液を水(250mL)中に注ぎ、クロロホルム(5×100mL)で抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。残渣を真空中で蒸留にかけると、生成物が油状物として得られた。収率:84g、0.54mol、64%。沸点:45〜50℃/0.2トル。NMRデータは、同様の条件下で実施した反応の生成物を使用して取得した。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 3.30 (s, 6H), 5.21 (s, 1H), 7.46 (dd, J=5.1, 1.4 Hz, 1H), 8.68 (d,
J=5.1 Hz, 1H), 9.12 (d, J=1.4 Hz, 1H).
【0152】
ピリミジン−4−カルバルデヒド(C12)
4−(ジメトキシメチル)ピリミジン(C11)(90g、0.58mol)および濃塩酸(10mL)を水(300mL)に溶かした溶液を、60〜70℃で24時間加熱した。混合物を冷却し、減圧下で蒸発にかけて、ガラス様の塊を得、この塊を炭酸カリウム水溶液で塩基性化し、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を真空中で濃縮し、残渣を蒸留によって精製して、生成物を油状物として得た。収率:16.3g、0.15mol、26%。GCMS m/z 108.0 (M+). 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6)
δ 7.90 (dd, J=5.0, 1.5 Hz, 1H), 9.14 (d, J=5.0 Hz, 1H),
9.49 (d, J=1.5 Hz, 1H), 9.96 (s, 1H).
【0153】
tert−ブチル4−{[(1E)−ピリミジン−4−イルメチレン]アミノ}ピペリジン−1−カルボキシレート(C13)
4−アミノピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(42.61g、212.8mmol)のtert−ブチルメチルエーテル(1.52L)中混合物に、ピリミジン−4−カルバルデヒド(C12)(23.00g、212.8mmol)を加えた。2.5時間経過後、反応液を濾過し、濾液を真空中で濃縮して、琥珀色の油状物を得、一般にこの油状物をそのまま以下のステップに用いた。収率:56.30g、193.9mmol、91%。1H NMR (400 MHz, CDCl3) 部分スペクトル, 特徴的ピーク: δ 1.49 (s,
9H), 7.95 (dd, J=5.2, 1.5 Hz, 1H), 8.36 (s, 1H), 8.81 (d, J=5.2 Hz, 1H), 9.28
(d, J=1.5 Hz, 1H).
【0154】
tert−ブチル4−[4−(4−フルオロフェニル)−5−ピリミジン−4−イル−1H−イミダゾール−1−イル]ピペリジン−1−カルボキシレート(C14)
tert−ブチル4−{[(1E)−ピリミジン−4−イルメチレン]アミノ}ピペリジン−1−カルボキシレート(C13)(57.66g、198.6mmol)、1−フルオロ−4−{イソシアノ[(4−メチルフェニル)スルホニル]メチル}ベンゼン(C2)(38.30g、132.4mmol)、および炭酸カリウム(36.59g、264.8mmol)をDMF(575mL)に混ぜた混合物を、18時間撹拌した。反応液を濾過し、固体を酢酸エチルで洗浄し、廃棄した。合わせた濾液を酢酸エチル(1L)で希釈し、水(2×1L)で洗浄し、合わせた水層を酢酸エチル(500mL)で抽出した。合わせた有機層を真空中で濃縮すると固体が得られ、この固体をtert−ブチルメチルエーテル(400mL)と共に還流加熱し、次いで室温に冷却し、1時間粒状化した。固体を濾過によって収集し、追加のtert−ブチルメチルエーテルで洗浄し、この濾液を減圧下で濃縮し、75mLのtert−ブチルメチルエーテルを使用して同様に処理して、第2の収穫を得た。合わせた固体が、白色固体としての生成物となった。収率:41.70g、98.47mmol、74%。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 1.49 (s, 9H), 1.81-1.92 (m, 2H), 2.16 (br d, J=12 Hz, 2H),
2.77-2.85 (m, 2H), 4.30 (br s, 2H), 4.90 (tt, J=12.0, 3.8 Hz, 1H), 7.04 (dd,
J=8.7, 8.7 Hz, 2H), 7.17 (dd, J=5.3, 1.4 Hz, 1H), 7.41 (dd, J=8.9, 5.4 Hz, 2H),
7.79 (s, 1H), 8.57 (d, J=5.4 Hz, 1H), 9.29 (d, J=1.5 Hz, 1H).
【0155】
4−[4−(4−フルオロフェニル)−1−ピペリジン−4−イル−1H−イミダゾール−5−イル]ピリミジン(C15)
tert−ブチル4−[4−(4−フルオロフェニル)−5−ピリミジン−4−イル−1H−イミダゾール−1−イル]ピペリジン−1−カルボキシレート(C14)(30.70g、72.49mmol)のジクロロメタン(242mL)溶液に、TFA(242mL)を加えた。18時間経過後、混合物のpHが12.0に達するまで、反応液を水酸化ナトリウム水溶液(2N)で処理した{注意:発熱の恐れあり!}。水層をジクロロメタン(2×500mL)で抽出し、合わせた有機層を真空中で濃縮して、生成物を黄色がかった固体として得た。収率:23.90g、73.91mmol、定量的。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 1.82-1.92 (m, 2H), 2.14 (br d, J=12 Hz, 2H), 2.71 (ddd, J=12.3,
12.3, 2.2 Hz, 2H), 3.22 (br d, J=12 Hz, 2H), 4.82 (tt, J=12.0, 3.9 Hz, 1H),
7.03 (dd, J=8.8, 8.8 Hz, 2H), 7.16 (dd, J=5.3, 1.4 Hz, 1H), 7.41 (dd, J=8.9,
5.4 Hz, 2H), 7.83 (s, 1H), 8.57 (d, J=5.3 Hz, 1H), 9.30 (d, J=1.4 Hz, 1H).
【0156】
4−{4−(4−フルオロフェニル)−1−[1−(イソオキサゾール−3−イルメチル)ピペリジン−4−イル]−1H−イミダゾール−5−イル}ピリミジン塩酸塩(6)
4−[4−(4−フルオロフェニル)−1−ピペリジン−4−イル−1H−イミダゾール−5−イル]ピリミジン(C15)(30.50g、94.32mmol)およびイソオキサゾール−3−カルバルデヒド(10.99g、113.2mmol)をTHF(544mL)に溶かした溶液に、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(29.99g、141.5mmol)を加え、反応混合物を18時間撹拌した。反応液をジクロロメタン(330mL)で希釈し、炭酸水素ナトリウム水溶液(875mL)で処理し、これによりpHが9〜10になった。水層をジクロロメタン(330mL)で抽出し、合わせた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。得られる固体をシリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:5%メタノールジクロロメタン溶液)によって精製し、生成物を酢酸エチル(300mL)に懸濁させ、加熱した。酢酸エチル(50mL)をさらに加えると、還流加熱したとき、溶液となり、この溶液をHClのジエチルエーテル溶液(2M、89mL、178mmol)で処理した。室温に冷却した後、混合物を30分間粒状化し、その時点で固体を濾過によって収集し、酢酸エチルで洗浄した。次いでこの材料をエタノール(700mL)中で加熱し、メタノール(150mL)を加えて溶液を生成した。混合物を煮詰めて体積を400mLとし、追加のエタノール(300mL)で処理した。室温に冷却し、1時間粒状化した後、混合物を濾過し、固体をエタノールで洗浄し、次いでエタノール(247mL)中で還流加熱した。冷却した後、混合物を1時間粒状化し、濾過し、エタノールで洗浄して、生成物を固体として得た。シリカゲルカラムをメタノールでフラッシュし、溶離液を真空中で濃縮して、追加の固体を得、混合物を加熱還流することにより、この固体を酢酸エチル(250mL)に溶解させた。HClのジエチルエーテル溶液(2N、30mL、60mmol)を加えた後、混合物を室温に冷却し、その混合物を30分間粒状化した。塩酸塩を濾過によって収集し、酢酸エチルで洗浄し、次いでその塩酸塩をエタノール(114mL)中で加熱還流し、冷却し、1時間粒状化し、濾過し、エタノールで洗浄して、追加の生成物を固体として得た。2ロットの総収率:35.4g、80.3mmol、85%。LCMSデータは、同様の条件下で実施した反応の生成物から取得した。LCMS m/z 405.5 (M+1). 1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 2.53-2.69 (m, 4H), 3.36-3.45 (m, 2H), 3.81 (br d, J=12 Hz, 2H),
4.60 (br s, 2H), 5.17-5.25 (m, 1H), 6.86 (d, J=1.8 Hz, 1H), 7.28 (dd, J=8.7,
8.7 Hz, 2H), 7.37 (dd, J=5.3, 1.4 Hz, 1H), 7.50 (dd, J=8.9, 5.2 Hz, 2H), 8.80
(d, J=5.3 Hz, 1H), 8.87 (d, J=1.8 Hz, 1H), 9.42 (d, J=1.5 Hz, 1H), 9.58 (br s,
1H).
【0157】
(実施例7)
4−{4−(4−フルオロフェニル)−1−[1−(イソオキサゾール−3−イルメチル)ピロリジン−3−イル]−1H−イミダゾール−5−イル}ピリミジン−2−アミン(7)
【0158】
【化21】

tert−ブチル3−[5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−4−(4−フルオロフェニル)−1H−イミダゾール−1−イル]ピロリジン−1−カルボキシレート(C17)
tert−ブチル3−[5−アセチル−4−(4−フルオロフェニル)−1H−イミダゾール−1−イル]ピロリジン−1−カルボキシレート[C16、3−アミノアゼチジン−1−カルボン酸tert−ブチルの代わりに3−アミノピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチルを使用したことを除き、実施例1のtert−ブチル3−[5−アセチル−4−(4−フルオロフェニル)−1H−イミダゾール−1−イル]アゼチジン−1−カルボキシレート(C3)の合成についての一般手順に従って調製したもの、1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 1.49 (s, 9H), 2.13 (s, 3H), 2.22 (m, 1H), 2.45 (m, 1H), 3.47-3.88
(m, 4H), 5.55 (m, 1H), 7.15 (dd, J=8.7, 8.7 Hz, 2H), 7.46 (dd, J=8.7, 5.4 Hz,
2H), 7.69 (br s, 1H)]を、実施例1のtert−ブチル3−[5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−4−(4−フルオロフェニル)−1H−イミダゾール−1−イル]アゼチジン−1−カルボキシレート(C4)の調製に使用したのと同様の反応条件下に置いて、生成物を固体として得た。収率:6.1g、14.4mmol、67%。1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 1.48 (s, 9H), 2.32-2.50 (m, 2H), 3.48-3.65 (m, 3H), 3.81 (m, 1H),
5.42 (m, 1H), 6.42 (d, J=4.9 Hz, 1H), 7.09 (dd, J=8.7, 8.7 Hz, 2H), 7.43 (dd,
J=8.5, 5.3 Hz, 2H), 7.92 (s, 1H), 8.13 (d, J=4.5 Hz, 1H).
【0159】
4−[4−(4−フルオロフェニル)−1−ピロリジン−3−イル−1H−イミダゾール−5−イル]ピリミジン−2−アミン(C18)
実施例1でtert−ブチル3−[5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−4−(4−フルオロフェニル)−1H−イミダゾール−1−イル]アゼチジン−1−カルボキシレート(C4)の4−[1−アゼチジン−3−イル−4−(4−フルオロフェニル)−1H−イミダゾール−5−イル]ピリミジン−2−アミン(C5)への変換に用いた同じ条件を使用し、tert−ブチル3−[5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−4−(4−フルオロフェニル)−1H−イミダゾール−1−イル]ピロリジン−1−カルボキシレート(C17)を生成物へと変換した。生成物は、固体として得た。収率:3.3g、10mmol、69%。LCMS m/z 325.6 (M+1). 1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 2.09-2.18 (m, 1H), 2.32-2.41 (m, 1H), 2.98-3.11 (m, 2H), 3.16-3.23
(m, 1H), 3.3 (m, 1H, 推定; 溶媒シグナルにより不明確), 5.26 (m, 1H), 6.42 (d, J=5.1 Hz, 1H), 7.07 (dd, J=8.8, 8.8 Hz,
2H), 7.42 (dd, J=8.7, 5.4 Hz, 2H), 8.05 (s, 1H), 8.14 (d, J=5.3 Hz, 1H).
【0160】
4−{4−(4−フルオロフェニル)−1−[1−(イソオキサゾール−3−イルメチル)ピロリジン−3−イル]−1H−イミダゾール−5−イル}ピリミジン−2−アミン(7)
4−[4−(4−フルオロフェニル)−1−ピロリジン−3−イル−1H−イミダゾール−5−イル]ピリミジン−2−アミン(C18)(300mg、0.925mmol)およびイソオキサゾール−3−カルバルデヒド(90mg、0.93mmol)をトルエン(5mL)に溶かした溶液に、トリエチルアミン(0.5mL、3.6mmol)を加え、混合物を80℃で16時間加熱した。室温に冷却した後、反応液をトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(500mg、2.36mmol)で処理し、80℃でさらに3時間撹拌した。真空中で溶媒を除去し、残渣を酢酸エチル(20mL)と水(20mL)とに分配した。水層を酢酸エチル(2×20mL)で抽出し、合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。シリカゲルでの分取薄層クロマトグラフィー(溶離液:酢酸エチル)によって精製すると、生成物が固体として得られた。収率:60mg、0.15mmol、16%。LCMS m/z 406.6 (M+1). 1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 2.10 (m, 1H), 2.50-2.59 (m, 2H), 2.84 (dd, J=10.5, 6.7 Hz, 1H),
3.09 (dd, J=10.4, 2.4 Hz, 1H), 3.16 (m, 1H), 3.85 (AB四重線, JAB=14.0 Hz, Δ AB=23.1 Hz, 2H), 5.29 (m, 1H), 6.40 (d, J=4.9 Hz, 1H), 6.55 (br s,
1H), 7.07 (dd, J=8.7, 8.7 Hz, 2H), 7.41 (dd, J=8.5, 5.5 Hz, 2H), 8.12 (d, J=5.2
Hz, 1H), 8.21 (s, 1H), 8.63 (br s, 1H).
【0161】
(実施例8)
4−{4−(4−フルオロフェニル)−1−[1−(イソオキサゾール−3−イルメチル)ピロリジン−3−イル]−1H−イミダゾール−5−イル}ピリミジン(8)
【0162】
【化22】

4−[4−(4−フルオロフェニル)−1−ピロリジン−3−イル−1H−イミダゾール−5−イル]ピリミジン(C20)
実施例7でtert−ブチル3−[5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−4−(4−フルオロフェニル)−1H−イミダゾール−1−イル]ピロリジン−1−カルボキシレート(C17)の4−[4−(4−フルオロフェニル)−1−ピロリジン−3−イル−1H−イミダゾール−5−イル]ピリミジン−2−アミン(C18)への変換に用いたのと同様の条件を使用して、tert−ブチル3−[4−(4−フルオロフェニル)−5−ピリミジン−4−イル−1H−イミダゾール−1−イル]ピロリジン−1−カルボキシレート(C19、グアニジン塩酸塩の代わりに酢酸ホルムアミジンを使用したことを除き、実施例7のtert−ブチル3−[5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−4−(4−フルオロフェニル)−1H−イミダゾール−1−イル]ピロリジン−1−カルボキシレート(C17)の合成についての一般手順に従って調製したもの)を、生成物へと変換した。生成物は、固体として得た。収率:1.58g、5.11mmol、70%。LCMS m/z 310.4 (M+1). 1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 2.16 (m, 1H), 2.37 (m, 1H), 3.02 (m, 1H), 3.09 (dd, J=12.2, 4.6 Hz,
1H), 3.21 (m, 1H), 3.3 (m, 1H, 推定; 溶媒シグナルにより不明確), 5.32 (m, 1H), 7.09 (dd, J=8.6, 8.6 Hz, 2H), 7.26 (d, J=5.2 Hz,
1H), 7.38 (dd, J=8.3, 5.5 Hz, 2H), 8.15 (s, 1H), 8.63 (d, J=5.5 Hz, 1H), 9.28
(s, 1H).
【0163】
4−{4−(4−フルオロフェニル)−1−[1−(イソオキサゾール−3−イルメチル)ピロリジン−3−イル]−1H−イミダゾール−5−イル}ピリミジン(8)
粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(勾配:50%〜100%の酢酸エチルヘプタン溶液、続いて1%トリエチルアミン酢酸エチルでの溶離)によって精製したことを除き、実施例1の4−{4−(4−フルオロフェニル)−1−[1−(ピリミジン−2−イルメチル)アゼチジン−3−イル]−1H−イミダゾール−5−イル}ピリミジン−2−アミン(1)の合成についての一般手順に従って、4−[4−(4−フルオロフェニル)−1−ピロリジン−3−イル−1H−イミダゾール−5−イル]ピリミジン(C20)を生成物へと変換した。生成物は、白色の固体として得た。収率:205mg、0.525mmol、41%。LCMS m/z 391.0 (M+1). 1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 2.07-2.16 (m, 1H), 2.48-2.58 (m, 2H), 2.82 (dd, J=10.5, 6.7 Hz,
1H), 3.12 (dd, J=10.5, 2.4 Hz, 1H), 3.15-3.20 (m, 1H), 3.85 (AB四重線, JAB=13.9 Hz, Δ AB=22.0 Hz, 2H), 5.30-5.35 (m, 1H), 6.54 (d, J=1.7 Hz, 1H), 7.09 (dd,
J=8.9, 8.9 Hz, 2H), 7.24 (dd, J=5.4, 1.5 Hz, 1H), 7.38 (dd, J=8.9, 5.4 Hz, 2H),
8.29 (s, 1H), 8.61 (d, J=5.4 Hz, 1H), 8.63 (d, J=1.7 Hz, 1H), 9.26 (d, J=1.2
Hz, 1H).
【0164】
(実施例9)
4−[4−(4−フルオロフェニル)−1−{1−[(1R)−1−イソオキサゾール−3−イルエチル]ピペリジン−4−イル}−1H−イミダゾール−5−イル]ピリミジン(9)
(実施例10)
4−[4−(4−フルオロフェニル)−1−{1−[(1S)−1−イソオキサゾール−3−イルエチル]ピペリジン−4−イル}−1H−イミダゾール−5−イル]ピリミジン(10)
【0165】
【化23】

1−イソオキサゾール−3−イルエチルメタンスルホネート(C7)(1.2g、6.3mmol)のDMF(40mL)溶液に、炭酸セシウム(1.5g、4.6mmol)および4−[4−(4−フルオロフェニル)−1−ピペリジン−4−イル−1H−イミダゾール−5−イル]ピリミジン(C15)(600mg、1.86mmol)を加え、反応液を60℃で18時間撹拌した。酢酸エチル(200mL)を加え、混合物を水(3×40mL)で洗浄し、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。残渣を分取HPLC(カラム:Phenomenex Luna、250×50mm、移動相A:0.1%TFA水溶液、移動相B:0.1%TFAアセトニトリル溶液、勾配:11%〜36%のB)によって精製すると、2種の鏡像異性体生成物の混合物が得られ、この混合物を、キラルHPLC(カラム:Chiralcel OD、250×20mm、10μm、移動相A:超臨界二酸化炭素、移動相B:0.05%のジエチルアミンを含有する2−プロパノール、溶離液:60:40のA:B 70mL/分)によって分離して、4−[4−(4−フルオロフェニル)−1−{1−[(1R)−1−イソオキサゾール−3−イルエチル]ピペリジン−4−イル}−1H−イミダゾール−5−イル]ピリミジン(9、絶対立体配置は仮に割り当てたものである)を黄色の油状物(収率:30mg、0.072mmol、4%)[LCMS m/z 419.2 (M+1); 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 1.47 (d, J=6.9 Hz, 3H), 1.93-2.06 (m, 2H), 2.12-2.28 (m, 4H),
2.98-3.05 (m, 2H), 3.96 (q, J=6.9 Hz, 1H), 4.60-4.68 (m, 1H), 6.34 (d, J=1.4
Hz, 1H), 7.02 (dd, J=8.7, 8.7 Hz, 2H), 7.15 (dd, J=5.3, 1.3 Hz, 1H), 7.40 (dd,
J=8.8, 5.5 Hz, 2H), 7.83 (s, 1H), 8.38 (br s, 1H), 8.55 (d, J=5.3 Hz, 1H), 9.27
(br s, 1H);Chiralpak OD−Hカラム(250×4.6mm、5μm、移動相A:超臨界二酸化炭素、移動相B:0.05%のジエチルアミンを含有する2−プロパノール、勾配:5%〜40%のB)を使用して保持時間2.81分]として、さらに4−[4−(4−フルオロフェニル)−1−{1−[(1S)−1−イソオキサゾール−3−イルエチル]ピペリジン−4−イル}−1H−イミダゾール−5−イル]ピリミジン(10、絶対立体配置は仮に割り当てたものである)を黄色の油状物(収率:30mg、0.072mmol、4%)[LCMS m/z 419.1 (M+1); 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 1.47 (d, J=6.9 Hz, 3H), 1.93-2.06 (m, 2H), 2.11-2.27 (m, 4H),
2.98-3.06 (m, 2H), 3.96 (q, J=6.9 Hz, 1H), 4.60-4.68 (m, 1H), 6.34 (d, J=1.5
Hz, 1H), 7.02 (dd, J=8.7, 8.7 Hz, 2H), 7.14 (br d, J=5.4 Hz, 1H), 7.39 (dd,
J=8.7, 5.5 Hz, 2H), 7.83 (s, 1H), 8.39 (br s, 1H), 8.55 (d, J=5.3 Hz, 1H), 9.27
(br s, 1H);1R鏡像異性体について上で詳述した分析HPLCと同一の系を使用して保持時間:2.65分]として得た。
【0166】
(実施例11)
2−{[4−(4−フェニル−5−ピリミジン−4−イル−1H−イミダゾール−1−イル)ピペリジン−1−イル]メチル}ピリミジン(11)
【0167】
【化24】

tert−ブチル4−(4−フェニル−5−ピリミジン−4−イル−1H−イミダゾール−1−イル)ピペリジン−1−カルボキシレート(C22)
炭酸カリウム(107mg、0.774mmol)、1−{[イソシアノ(フェニル)メチル]スルホニル}−4−メチルベンゼン(C21、Organic Syntheses、Wiley&Sons:ニューヨーク、2004、全集第10巻、692頁を参照されたい)(0.209g、0.770mmol)、およびtert−ブチル4−{[(1E)−ピリミジン−4−イルメチレン]アミノ}ピペリジン−1−カルボキシレート(C13)(582mg、2.00mmol)をDMF(3mL)に混ぜた混合物を、室温で18時間撹拌し、次いで水酸化ナトリウム水溶液(1N、50mL)で希釈した。混合物を酢酸エチルで抽出し、合わせた有機層を塩化リチウム水溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:50%、次いで75%の酢酸エチルヘプタン溶液)によって精製すると、生成物がクリーム色の固体として得られた。収率:267mg、0.658mmol、85%。APCI m/z 406.0 (M+1). 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 1.49 (s, 9H), 1.82-1.92 (m, 2H), 2.17 (br d, J=12 Hz, 2H),
2.77-2.86 (m, 2H), 4.26-4.34 (m, 2H), 4.93 (tt, J=12, 4 Hz, 1H), 7.20 (dd,
J=5.3, 1.5 Hz, 1H), 7.32-7.36 (m, 3H), 7.42-7.45 (m, 2H), 7.80 (s, 1H), 8.54
(d, J=5.3 Hz, 1H), 9.28 (d, J=1.3 Hz, 1H).
【0168】
4−(4−フェニル−1−ピペリジン−4−イル−1H−イミダゾール−5−イル)ピリミジン(C23)
tert−ブチル4−(4−フェニル−5−ピリミジン−4−イル−1H−イミダゾール−1−イル)ピペリジン−1−カルボキシレート(C22)(267mg、0.658mmol)のジクロロメタン(5mL)溶液に、TFA(2mL)を加えた。2時間後、反応液を真空中で濃縮し、次いで飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で処理した。混合物を温酢酸エチルで抽出し、合わせた有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。得られる淡黄色の油状物は、数日経過する間に凝固して、105mgの生成物となったが、約20%の関連不純物が混入していた。水層からは、微細な白色の針状結晶が沈殿し、これら針状結晶を濾過によって収集して、追加の生成物をクリーム色の固体として得た。水層からの収率:54mg、0.18mmol、27%。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 1.83-1.93 (m, 2H), 2.12-2.18 (m, 2H), 2.72 (ddd, J=12.3, 12.3, 2.3
Hz, 2H), 3.20-3.25 (m, 2H), 4.85 (tt, J=12.0, 4.0 Hz, 1H), 7.19 (dd, J=5.3, 1.5
Hz, 1H), 7.30-7.36 (m, 3H), 7.42-7.45 (m, 2H), 7.85 (s, 1H), 8.54 (d, J=5.4 Hz,
1H), 9.30 (d, J=1.4 Hz, 1H).
【0169】
2−{[4−(4−フェニル−5−ピリミジン−4−イル−1H−イミダゾール−1−イル)ピペリジン−1−イル]メチル}ピリミジン(11)
表題生成物は、実施例3の4−{4−(4−フルオロフェニル)−1−[1−(ピリミジン−2−イルメチル)ピペリジン−4−イル]−1H−イミダゾール−5−イル}ピリミジン−2−アミン(3)の合成についての一般手順に従い、4−(4−フェニル−1−ピペリジン−4−イル−1H−イミダゾール−5−イル)ピリミジン(C23)を2−(クロロメチル)ピリミジンと反応させることにより調製した。この場合では、反応混合物を濃縮した後、残渣を酢酸エチルと水とに分配した。有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:25%メタノール酢酸エチル溶液)によって精製して、生成物を白色の固体として得た。収率:63mg、0.16mmol、62%。APCI m/z 398.1 (M+1). 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 2.11-2.20 (m, 4H), 2.23-2.32 (m, 2H), 3.13 (br d, J=12 Hz, 2H),
3.87 (s, 2H), 4.78 (tt, J=11, 4.5 Hz, 1H), 7.18 (dd, J=5.3, 1.5 Hz, 1H), 7.22
(t, J=4.9 Hz, 1H), 7.29-7.34 (m, 3H), 7.41-7.44 (m, 2H), 7.85 (s, 1H), 8.53 (br
d, J=5.4 Hz, 1H), 8.76 (d, J=4.9 Hz, 2H), 9.29 (br d, J=1.5 Hz, 1H).
【0170】
(実施例12)
N−メチル−4−{4−フェニル−1−[1−(ピリミジン−2−イルメチル)ピペリジン−4−イル]−1H−イミダゾール−5−イル}ピリミジン−2−アミン(12)
【0171】
【化25】

tert−ブチル4−{5−[2−(メチルアミノ)ピリミジン−4−イル]−4−フェニル−1H−イミダゾール−1−イル}ピペリジン−1−カルボキシレート(C25)
tert−ブチル4−(5−アセチル−4−フェニル−1H−イミダゾール−1−イル)ピペリジン−1−カルボキシレート[C24、3−アミノアゼチジン−1−カルボン酸tert−ブチルの代わりに4−アミノピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルを使用したこと、および1−フルオロ−4−{イソシアノ[(4−メチルフェニル)スルホニル]メチル}ベンゼン(C2)ではなく1−{[イソシアノ(フェニル)メチル]スルホニル}−4−メチルベンゼン(C21)を用いたことを除き、実施例1のtert−ブチル3−[5−アセチル−4−(4−フルオロフェニル)−1H−イミダゾール−1−イル]アゼチジン−1−カルボキシレート(C3)の合成についての一般手順に従って調製したもの](414mg、1.12mmol)とN,N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタール(4mL)の混合物を、100℃で18時間加熱し、次いで冷却し、真空中で濃縮した。残渣を無水メタノール(2ml)に溶解させ、N−メチルグアニジンのメタノール溶液[ナトリウム金属(70mg、3mmol)を無水メタノール(2mL)と反応させ、次いで、得られるナトリウムメトキシド溶液にN−メチルグアニジン塩酸塩(413mg、3.77mmol)を加えることにより調製したもの]に加えた。反応混合物を50℃で21時間加熱し、次いで室温に冷却し、水で(1mL)処理した。固体を濾過によって収集し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液および水ですすぎ、乾燥させて、生成物を淡黄褐色の固体として得た。収率:230mg、0.53mmol、47%。APCI m/z 435.0 (M+1). 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 1.49 (s, 9H), 1.82-1.93 (m, 2H), 2.19 (br d, J=12 Hz, 2H),
2.73-2.82 (m, 2H), 3.06 (d, J=5.1 Hz, 3H), 4.26-4.35 (m, 2H), 4.81-4.90 (m,
1H), 5.16-5.21 (m, 1H), 6.45 (d, J=5.1 Hz, 1H), 7.28-7.34 (m, 3H), 7.48-7.51
(m, 2H), 7.75 (s, 1H), 8.15 (br d, J=4.9 Hz, 1H).
【0172】
N−メチル−4−(4−フェニル−1−ピペリジン−4−イル−1H−イミダゾール−5−イル)ピリミジン−2−アミン(C26)
表題化合物は、tert−ブチル4−{5−[2−(メチルアミノ)ピリミジン−4−イル]−4−フェニル−1H−イミダゾール−1−イル}ピペリジン−1−カルボキシレート(C25)から、実施例11の4−(4−フェニル−1−ピペリジン−4−イル−1H−イミダゾール−5−イル)ピリミジン(C23)の合成についての一般手順に従って調製した。この場合では、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した後、生成物を白色の固体として得た。収率:174mg、0.520mmol、100%。APCI m/z 335.0 (M+1). 1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 2.09-2.20 (m, 2H), 2.37 (br d, J=12 Hz, 2H), 2.97 (s, 3H), 3.0-3.04
(m, 2H), 3.41-3.46 (m, 2H), 4.93 (tt, J=12, 4 Hz, 1H, 推定; 水シグナルにより一部不明確), 6.33 (d, J=5.1 Hz, 1H),
7.27-7.35 (m, 3H), 7.37-7.41 (m, 2H), 8.05 (s, 1H), 8.09 (d, J=5.1 Hz, 1H).
【0173】
N−メチル−4−{4−フェニル−1−[1−(ピリミジン−2−イルメチル)ピペリジン−4−イル]−1H−イミダゾール−5−イル}ピリミジン−2−アミン(12)
表題生成物は、実施例3の4−{4−(4−フルオロフェニル)−1−[1−(ピリミジン−2−イルメチル)ピペリジン−4−イル]−1H−イミダゾール−5−イル}ピリミジン−2−アミン(3)の合成についての一般手順に従い、N−メチル−4−(4−フェニル−1−ピペリジン−4−イル−1H−イミダゾール−5−イル)ピリミジン−2−アミン(C26)を2−(クロロメチル)−ピリミジンと反応させることにより調製した。この場合では、反応液を室温に冷却した後、その反応液をジクロロメタン(20mL)および水(2mL)で希釈した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮して淡黄色の固体を得、この固体を少ない体積のジクロロメタンに溶解させた。ヘプタンを加えると、固体が沈殿し、この混合物を30分間撹拌し、次いで固体を濾過によって収集し、ヘプタンで洗浄し、ジエチルエーテルで洗浄して、生成物を淡黄色の固体として得た。収率:106mg、0.248mmol、34%。APCI m/z 427.1 (M+1). 1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 2.12-2.17 (m, 4H), 2.29-2.36 (m, 2H), 2.97 (s, 3H), 3.11 (br d,
J=12 Hz, 2H), 3.85 (s, 2H), 4.74 (br s, 1H), 6.34 (d, J=5.1 Hz, 1H), 7.29-7.35
(m, 3H), 7.38-7.43 (m, 3H), 8.06 (s, 1H), 8.09 (br d, J=5 Hz, 1H), 8.80 (d,
J=4.9 Hz, 2H).
【0174】
(実施例13)
4−{1−[1−(イソオキサゾール−3−イルメチル)ピペリジン−4−イル]−4−フェニル−1H−イミダゾール−5−イル}ピリミジン−2−アミン塩酸塩(13)
【0175】
【化26】

4−(4−フェニル−1−ピペリジン−4−イル−1H−イミダゾール−5−イル)ピリミジン−2−アミン[C27、N−メチルグアニジン塩酸塩の代わりにグアニジン塩酸塩を使用する以外は、実施例12に記載のN−メチル−4−(4−フェニル−1−ピペリジン−4−イル−1H−イミダゾール−5−イル)ピリミジン−2−アミン(C26)の合成と同様にして、tert−ブチル4−(5−アセチル−4−フェニル−1H−イミダゾール−1−イル)ピペリジン−1−カルボキシレート(C24)から調製したもの]を、実施例5の4−{4−(4−フルオロフェニル)−1−[1−(イソオキサゾール−3−イルメチル)ピペリジン−4−イル]−1H−イミダゾール−5−イル}−N−メチルピリミジン−2−アミン(5)の合成についての一般手順に従い、イソオキサゾール−3−カルバルデヒドと反応させた。4−{1−[1−(イソオキサゾール−3−イルメチル)ピペリジン−4−イル]−4−フェニル−1H−イミダゾール−5−イル}ピリミジン−2−アミン(13の遊離塩基)を黄色の固体として得た。収率:101mg、0.252mmol、29%。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 1.97-2.08 (m, 2H), 2.12-2.24 (m, 4H), 3.03 (br d, J=12 Hz, 2H),
3.69 (s, 2H), 4.59 (tt, J=11.8, 4.0 Hz, 1H), 5.07 (br s, 2H), 6.41 (d, J=1.7
Hz, 1H), 6.54 (d, J=5.2 Hz, 1H), 7.27-7.34 (m, 3H), 7.46-7.50 (m, 2H), 7.78 (s,
1H), 8.17 (d, J=5.2 Hz, 1H), 8.40 (br d, J=1.5 Hz, 1H).この固体を酢酸エチルに溶解させ、塩化水素のジエチルエーテル溶液(2N、1当量)で処理し、18時間撹拌した。得られる固体を濾過によって収集して、表題生成物を淡黄色の固体として得た。収率:70mg、0.16mmol、19%。
【0176】
(実施例14)
4−{4−(4−フルオロフェニル)−1−[1−(イソオキサゾール−3−イルメチル)ピペリジン−4−イル]−2−メチル−1H−イミダゾール−5−イル}ピリミジン(14)
【0177】
【化27】

N−{(4−フルオロフェニル)[(4−メチルフェニル)スルホニル]メチル}アセトアミド(C28)
4−フルオロベンズアルデヒド(3.18g、25.6mmol)、アセトアミド(3.78g、64.0mmol)、および塩化トリメチルシリル(3.58mL、28.2mmol)をアセトニトリル(12mL)およびトルエン(12mL)に混ぜた混合物を、50℃で1時間加熱した。追加のアセトアミド(1.28g、21.7mmol)および塩化トリメチルシリル(1.2mL、9.5mmol)を加え、加熱を90分間続け、その時点で4−メチルベンゼンスルフィン酸(6.00g、38.4mmol)を加えた。反応を50℃で18時間進行させ、次いで室温に冷却し、tert−ブチルメチルエーテル(20mL)で希釈した。5分間撹拌した後、混合物を水(100mL)でさらに希釈し、1時間0℃に冷却し、濾過し、収集された固体をtert−ブチルメチルエーテルですすいだ。生成物を白色の固体として得た。収率:4.276g、13.3mmol、52%。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 1.77 (s, 3H), 2.41 (s, 3H), 6.34 (d, J=10.5 Hz, 1H), 7.27 (dd,
J=8.9, 8.9 Hz, 2H), 7.43 (d, J=8.0 Hz, 2H), 7.65 (dd, J=8.8, 5.5 Hz, 2H), 7.70
(d, J=8.3 Hz, 2H), 9.39 (d, J=10.5 Hz, 1H).
【0178】
tert−ブチル4−[4−(4−フルオロフェニル)−2−メチル−5−ピリミジン−4−イル−1H−イミダゾール−1−イル]ピペリジン−1−カルボキシレート(C30)
J.A.Murryら、J.Am.Chem.Soc.2001、123、9696〜9697の方法に従い、N−{(4−フルオロフェニル)[(4−メチルフェニル)スルホニル]メチル}アセトアミド(C28)(250mg、0.778mmol)とヨウ化5−(2−ヒドロキシエチル)−3,4−ジメチル−1,3−チアゾール−3−イウム(44.5mg、0.156mmol)を合わせ、反応フラスコを排気し、窒素ガスを2回補充した。ジクロロメタン(4mL)を加えた後、ピリミジン−4−カルバルデヒド(92.5mg、0.856mmol)を加え、反応混合物を35〜40℃に加熱し、次いでトリエチルアミン(1.63mL、11.7mmol)で処理し、反応液を35℃で1時間撹拌し、次いで室温に冷却した。アリコート:LCMS m/z 274.5[N−[1−(4−フルオロフェニル)−2−オキソ−2−ピリミジン−4−イルエチル]アセトアミド(C29)についての(M+1)]。室温で2時間経過後、混合物を真空中で濃縮し、エタノール(4mL)に溶解させ、酢酸(0.22mL、3.8mmol)および4−アミノピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(358mg、1.79mmol)で処理した。反応液を3時間加熱還流し、次いで減圧下で濃縮し、混合物が塩基性になるまで酢酸エチルおよび炭酸水素ナトリウム水溶液で希釈した。混合物を酢酸エチルで抽出し、合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:5%メタノール酢酸エチル溶液)によって精製すると、生成物が得られた。収率:60mg、0.14mmol、18%。LCMS m/z 438.6 (M+1). 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 1.48 (s, 9H), 1.95-2.00 (m, 2H), 2.12-2.23 (m, 2H), 2.61 (s, 3H),
2.68-2.77 (m, 2H), 4.21-4.33 (m, 2H), 4.65 (tt, J=12.4, 3.9 Hz, 1H), 6.97 (dd,
J=8.7, 8.7 Hz, 2H), 7.12 (dd, J=5.2, 1.4 Hz, 1H), 7.29 (dd, J=8.8, 5.5 Hz, 2H),
8.54 (d, J=5.3 Hz, 1H), 9.27 (d, J=1.3 Hz, 1H).
【0179】
4−[4−(4−フルオロフェニル)−2−メチル−1−ピペリジン−4−イル−1H−イミダゾール−5−イル]ピリミジン(C31)
表題化合物は、この場合では抽出をジクロロメタンで実施したことを除き、実施例12のN−メチル−4−(4−フェニル−1−ピペリジン−4−イル−1H−イミダゾール−5−イル)ピリミジン−2−アミン(C26)の合成についての一般手順に従って、tert−ブチル4−[4−(4−フルオロフェニル)−2−メチル−5−ピリミジン−4−イル−1H−イミダゾール−1−イル]ピペリジン−1−カルボキシレート(C30)から調製した。収率:35.7mg、0.106mmol、50%。LCMS m/z 338.5 (M+1). 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 1.96-2.01 (m, 2H), 2.14-2.24 (m, 3H), 2.61-2.68 (m, 2H), 2.65 (s,
3H), 3.19-3.24 (m, 2H), 4.57 (tt, J=12.3, 3.9 Hz, 1H), 6.96 (dd, J=8.8, 8.8 Hz,
2H), 7.12 (dd, J=5.3, 1.4 Hz, 1H), 7.29 (dd, J=8.9, 5.5 Hz, 2H), 8.55 (d, J=5.3
Hz, 1H), 9.30 (d, J=1.3 Hz, 1H).
【0180】
4−{4−(4−フルオロフェニル)−1−[1−(イソオキサゾール−3−イルメチル)ピペリジン−4−イル]−2−メチル−1H−イミダゾール−5−イル}ピリミジン(14)
化合物14は、抽出をジクロロメタンで実施し、クロマトグラフィーに用いた溶離液を5%メタノールジクロロメタン溶液としたことを除き、実施例5の4−{4−(4−フルオロフェニル)−1−[1−(イソオキサゾール−3−イルメチル)ピペリジン−4−イル]−1H−イミダゾール−5−イル}−N−メチルピリミジン−2−アミン(5)の合成についての一般手順に従って、4−[4−(4−フルオロフェニル)−2−メチル−1−ピペリジン−4−イル−1H−イミダゾール−5−イル]ピリミジン(C31)から調製した。生成物を固体として得た。収率:10mg、0.024mmol、23%。LCMS m/z 419.6 (M+1). 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 1.95-2.00 (m, 2H), 2.15 (ddd, J=11.8, 11.8, 2.0 Hz, 2H), 2.27-2.37
(m, 2H), 2.65 (s, 3H), 3.01 (br d, J=11.6 Hz, 2H), 3.67 (s, 2H), 4.48 (tt,
J=12.4, 4.0 Hz, 1H), 6.39 (d, J=1.7 Hz, 1H), 6.96 (dd, J=8.8, 8.8 Hz, 2H), 7.12
(dd, J=5.3, 1.5 Hz, 1H), 7.29 (dd, J=8.8, 5.4 Hz, 2H), 8.38 (d, J=1.7 Hz, 1H),
8.55 (d, J=5.3 Hz, 1H), 9.30 (d, J=1.4 Hz, 1H).
【0181】
追加の実施例の構造は、表1および表2に示す。表1および表2には、それら追加実施例についての物性データおよび調製に関する情報を示し、表3には、すべての実施例についての関係する生物学的データを収める。
【0182】
方法
方法A:4−{4−(4−フルオロフェニル)−1−[(1−置換)ピペリジン−4−イル]−1H−イミダゾール−5−イル}ピリミジン(実施例29)の合成に例示される還元的アミノ化
【0183】
【化28】

適切なアルデヒド(0.075mmol)を含有するバイアルに、4−[4−(4−フルオロフェニル)−1−ピペリジン−4−イル−1H−イミダゾール−5−イル]ピリミジン(C15)(0.068mmol)のジクロロエタン(1mL)溶液を加え、混合物をトリエチルアミン(0.15mmol)および酢酸(0.38mmol)で処理した。バイアルを30分間振盪し、その時点でトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(0.22mmol)を加え、振盪をさらに66時間続けた。反応液を水酸化ナトリウム水溶液(1N、2mL)で失活させ、ジクロロエタン(2mL)に加え、振盪した。有機層を分離し、空の固相抽出カートリッジで濾過し、濾液を真空中で濃縮した。残渣をジメチルスルホキシド(1mL)に溶解させ、逆相HPLC(カラム:Waters XBridge C18、5μm、移動相A:0.03%NHOH水溶液(v/v)、移動相B:0.03%NHOHアセトニトリル溶液(v/v)、勾配:15%〜95%のB)によって精製した。特徴付けデータについては表2を参照されたい。生物学的活性は表3に示す。
【0184】
方法B:4−[4−(4−フルオロフェニル)−1−[(1−置換)ピペリジン−4−イル]−1H−イミダゾール−5−イル]ピリミジン−2−アミントリフルオロ酢酸塩(実施例17〜28)の合成に例示される還元的アミノ化
【0185】
【化29】

適切なアルデヒド(0.075mmol)を含有するバイアルに、4−[4−(4−フルオロフェニル)−1−ピペリジン−4−イル−1H−イミダゾール−5−イル]ピリミジン−2−アミン塩酸塩(C9)(0.075mmol)をDMFとジクロロメタン(0.50mL)の1:1混合物中にスラリー化したスラリーを加えた。トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(約50mg、0.24mmol)を加え、混合物を18時間振盪した。水酸化ナトリウム水溶液(1N、1.5mL)を加えた後、ジクロロメタン(2.0mL)を加え、バイアルを15分間ボルテックス撹拌した。水層をジクロロメタン(2×1.0mL)で抽出し、合わせた有機層を真空中で濃縮した。ジメチルスルホキシド(0.5mL)を加え、サンプルを濾過し、追加のジメチルスルホキシド(0.5mL)で希釈し、逆相HPLC(カラム:Waters Sunfire C18、5μm、移動相A:0.05%のTFA水溶液(v/v)、移動相B:0.05%TFAアセトニトリル溶液(v/v)、勾配:5%〜95%のB)によって精製した。特徴付けデータについては表2を参照されたい。生物学的活性は表3に示す。
【0186】
キナーゼアッセイ。10μMのATP、2nMのCK1δ酵素、および42μMのペプチド基質PLSRTLpSVASLPGLを含有する標準緩衝液においてCK1δキナーゼアッセイを実施した。反応液を25℃で85分間インキュベートした。1μLのCK1δ阻害剤または4%DMSOのいずれかの存在下で酵素阻害を実施した。PerkinElmer EnVisionプレートリーダー(PerkinElmer、マサチューセッツ州ウォルサム)において、Kinase−Gloアッセイ(Promega)について記載されているとおりに発光出力検出を実施した。
【0187】
10μMのATP、2.5nMのCK1ε野生型酵素、および42μMの濃度のペプチド基質PLSRTLpSVASLPGL(Flotowら、1990)を含有する標準緩衝液において、CK1εキナーゼアッセイを実施した。反応液を25℃で70分間インキュベートした。1μLのCK1ε阻害剤または4%DMSOの存在下で酵素阻害を測定した。検出は、Kinase−Gloアッセイ(Promega)について記載されておるとおりに実施した。発光出力をPerkinElmer EnVisionプレートリーダー(PerkinElmer、マサチューセッツ州ウォルサム)で測定した。
【0188】
【表1】

NMRおよびMSデータは、塩酸塩を生成する前に遊離塩基について取得した。
【0189】
【表2−1】

【0190】
【表2−2】

【0191】
【表2−3】

【0192】
【表2−4】

【0193】
【表2−5】

分析HPLC法−カラム:Waters XBridge C18、4.6×50mm、3.5μm、移動相A:0.1%NHOH水溶液(v/v)、移動相B:0.1%NHOHアセトニトリル(v/v)溶液、流速2mL/分。
【0194】
【表3】

分析HPLC法−カラム:Advanced Materials Technology Halo C18、3.0×30mm、2.7μm、移動相A:0.01%TFA水溶液(v/v)、移動相B:0.01%TFAアセトニトリル溶液(v/v)、流速1.5mL/分。
【0195】
【表4】

分析HPLC法−カラム:Waters XBridge C18、4.6×50mm、3.5μm、移動相A:0.1%NHOH水溶液(v/v)、移動相B:0.1%NHOHアセトニトリル溶液(v/v)、流速2mL/分。
【0196】
【表5】

この場合の分取HPLC精製は、方法Aに記載のとおりに実施した。
分析HPLC法−カラム:Waters Atlantis dC18、4.6×50mm、5μm、移動相A:0.1%TFA水溶液(v/v)、移動相B:0.1%TFAアセトニトリル溶液(v/v)、流速2mL/分。
【0197】
【表6】

【0198】
【表7】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物
【化1】

または薬学的に許容できるその塩[式中、
Aは、窒素を含有する4〜7員ヘテロシクロアルキルであり、または代替として、Aは、Aが結合している環に、Rを介して直接縮合することができ、
Lは、C1〜3アルキルであり、
は、水素、C1〜3アルキル、またはC3〜4シクロアルキルであり、
各Rは、独立に、C1〜3アルキル、フッ素、ヒドロキシル、C1〜3アルコキシ、またはシアノであり、
は、水素、C1〜3アルキル、またはC3〜4シクロアルキルであり、
は、1〜3個のR置換基で置換されていてもよい、1〜3個のヘテロ原子を有する5〜10員ヘテロアリールであり、
は、水素または−N(Rであり、
は、水素、ハロゲン、またはC1〜3アルキルであり、
各Rは、独立に、ハロゲン、−(CH−F、C1〜3アルキル、−CF、−(CH−C3〜4シクロアルキル、−(CH−O−C1〜3アルキル、−(CH−シアノ、または−(CH−ヒドロキシであり、
Zは、NまたはCRであり、
各Rは、独立に、水素またはC1〜3アルキルであり、
は、水素、C1〜3アルキル、またはハロゲンであり、
mは、0、1または2であり、
nは、0、1または2であり、
qは、1、2または3であり、
tは、0、1または2である]。
【請求項2】
Aが、窒素を含有する4〜7員ヘテロシクロアルキルであり、
【化2】

が、環上Nに結合しており、
Lが、Cアルキルであり、
各Rが、独立に、C1〜3アルキルまたはフッ素であり、
各Rが、独立に、ハロゲン、−(CH−F、C1〜3アルキル、−CF、−(CH−C3〜4シクロアルキル、または−(CH−O−C1〜3アルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Aが、窒素を含有する5員ヘテロシクロアルキルであり、前記ヘテロシクロアルキルが、ピロリジンであり、
【化3】

が、前記ピロリジンの環上Nに結合しており、mが0である、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
Aが、窒素を含有する6員ヘテロシクロアルキルであり、前記ヘテロシクロアルキルが、ピペリジンであり、
【化4】

が、前記ピペリジンの環上Nに結合しており、mが0である、請求項2に記載の化合物。
【請求項5】
nが1であり、Rがフッ素である、前記請求項のいずれかに記載の化合物。
【請求項6】
ZがNであり、Rが−N(Rであり、各Rが水素である、前記請求項のいずれかに記載の化合物。
【請求項7】
が、水素またはC1〜3アルキルである、前記請求項のいずれかに記載の化合物。
【請求項8】
が、5員ヘテロアリールであり、前記ヘテロアリールが、1または2個のR置換基で置換されていてもよいイソオキサゾールであり、tが0である、前記請求項のいずれかに記載の化合物。
【請求項9】
が、水素またはC1〜3アルキルである、前記請求項のいずれかに記載の化合物。
【請求項10】
治療有効量のCK1δまたはCK1εの阻害剤を投与するステップを含む、患者においてCK1δまたはCK1ε活性を阻害する方法。
【請求項11】
前記CK1δまたはCK1ε活性の阻害の結果、概日リズム期間が延長される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
神経学的および精神医学的疾患または障害の治療方法であって、そのような障害の治療に有効な量の請求項Iに記載の化合物または薬学的に許容できるその塩を哺乳動物に投与するステップを含む方法。
【請求項13】
前記疾患または障害が気分障害または睡眠障害である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
気分障害が、抑うつ障害および双極性障害からなる群から選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
請求項Iに記載の化合物と薬学的に許容できる担体とを含む、医薬組成物。

【公表番号】特表2013−509392(P2013−509392A)
【公表日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−535977(P2012−535977)
【出願日】平成22年10月20日(2010.10.20)
【国際出願番号】PCT/IB2010/054749
【国際公開番号】WO2011/051858
【国際公開日】平成23年5月5日(2011.5.5)
【出願人】(593141953)ファイザー・インク (302)
【Fターム(参考)】