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カソード
説明

カソード

本発明は、モリブデンを含む、ペロブスカイト型又はフルオライト型混合金属酸化物を含むカソードに、前記混合金属酸化物を含む複合体に、及び前記カソードを含む固体酸化物燃料電池に関する。カソード混合金属酸化物は経験式EMoを持つる。ここでTはMo以外の1以上の遷移金属元素、Eはランタニド金属元素、アルカリ金属元素、アルカリ土塁金属元素、Pb及びBiを含む群から選択される1以上であり、a、b、c及びnはゼロでない数字であり、それぞれの元素で同じであっても異なっていてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は混合金属酸化物を含むカソード、混合金属酸化物を含む複合体及びカソードを含む固体酸化物燃料電池に関する。
【背景技術】
【0002】
クリーンで再生可能なエネルギーについての要求が大きくなるにつれ、固体酸化物燃料電池(SOFC)は、その高いエネルギー効率、環境への優しさ及び優れた燃料の柔軟性により大きな注目を受けてきた。従来の技術と比較し得るSOFCを経済的に作るためには500℃から750℃の中間運転温度又は低温(<600℃)が望ましい( Steele, B. C. H.; Heinzel, A. Nature 2001, 414, 345; Vohs, J. M.; Gorte, R. J. Adv. Mater. 2009, 21, 1; 及び Yang, Lら. Adv. Mater. 2008, 20, 3280)。かかる温度は改善された耐久性(即ち、熱サイクルでのクラック発生や内部拡散の低減)、低製造コスト及び安価な金属の使用(シーリング及び相互接続のため)を与えるけれども、かかる温度では適切なSOFCコンポーネントのための材料がないという問題がある。かかる温度で電解質及び電極のオーミック及び分極損失の大きな増加を相殺するために、より高いイオン伝導性及び/又は厚さが低減されたものが使用される(即ち例えば、Gd3+又はSm3+ドープCeO、Sr2+及びMg2+ドープLaGaO(LSGM))。前記アノードはNi又はYSZを含むサーメット又はドープCeOである。しかしこれらの運転温度で全抵抗性に寄与する大部分はカソード分極抵抗であり、これがSOFCの商業化のための重要な新規カソード材料の開発を促すものである(Ivers-Tiffee, Eら. J. Eur. Ceram. Soc. 2001, 21, 1805)。1Wcm−2の目標電力密度につき、セルコンポーネント(電解質、アノード及びカソード)の比面積抵抗(ASR)は0.3Ωcm未満及び理想的には0.1Ωcm近くである。
【0003】
初期のSOFCカソードは、ペロブスカイト型及びそれに関連する構造を含んでいた。例えば、La1−xSrMnO3−δは、ジルコニア電解質系SOFCの現在選択されるカソードであり、効果的に高温度(通常700℃を超える)で運転される。Ln1−xSrCoO3−δ、La1−xSrCo1−xFeyO3−δ、及びBa0.5r0.5Co0.8Fe0.23−δは、セリア電解質との組み合わせでより中間温度範囲で好ましい性能を有する( Shao, Z. P.; Haile, S. M. Nature 2004, 431,170; Xia, C. R.ら. Solid State Ionics 2002, 149, 11; 及び Stevenson, J. W. ら J. Electrochem. Soc. 1996, 143, 2722)。他のカソード材料には、ペロブスカイト構造で規則的なA−サイトカチオンを持つLnBaCo5+δ(ここでLnはGd、Pr)と、ルドルスデン−ポッパ(RP)構造を持つLaNiO4+δ及びLaSr(Fe、Co)10−δ(Lee, K. T.; Manthiram, A. Chem. Mater. 2006, 18, 1621; 及び Tarancon, A.ら. A. J. Mater. Chem. 2007, 17, 3175)が含まれる。
【0004】
コバルトはしばしば、混合導電性ペロブスカイト酸化物に含まれるが、これは高い導電性及び酸化物−イオンとの弱い結合のためである(これは酸素欠乏を生成するように作用し、従って高温度でイオン導電性となる)。コバルタイトは狭い温度及びpO範囲で限定的な構造安定性を持つが、これはコバルト(II)、(III)及び(IV)のイオン半径、酸化状態及びスピン状態の揺れによるものである。例えば、これらの材料のいくつかは、短時間での運転では酸素透過膜又はSOFCカソードとして非常に好ましい性能を示すものではあるが時間経過と共に急激に分解する。このことは、限定的な安定性を意味し、特に実用上問題となる。さらに酸素欠乏はpOが0.1気圧未満で、750℃未満で、Ln1−xSrCo3−δ及びSrCo0.8Fe0.23−δにおいて生じ、斜方ブラウンミラーライトを生じる(Kruidhof, H ら. J. Solid State Ionics 1993, 63-65, 816; Deng, Z. Qら.; J. Solid State Chem. 2006, 179, 362; 及び Harrison, W. T. A ら. Mater. Res. Bull. 1995, 30, 621)。欠乏不規則ペロブスカイト及び欠乏規則的ブラウンミラーカイト間の相転移は、電気及びイオン伝導性を大きく減少させ、かつ格子拡張に伴う機械的不安定性を生じる。実際、Ba0.5Sr0.5Co0.8Fe0.23−δは、最も好ましい酸素透過膜及びSOFCカソード材料として報告されている(Zhao)。しかし最近の研究では、前者の単一立方ペロブスカイト相は六角ペロブスカイト構造へ分解することが示されており、従って長時間での、中間温度で立方ペロブスカイトはSOFCカソード材料としては疑問とされる(Svarcova, Sら. Solid State Ionics 2008, 775, 1787)。
【0005】
カソード及び電解質間の境界反応はカソード性能について他の問題である。製造時及び運転時の高温での望ましくない不純物相の形成は、カソード応用に有害となり得る。これまでペロブスカイト関連構造のBサイトカチオンについてはほとんど注意が払われてこなかった。いくつかのモリブデン化合物は、炭化水素の選択的酸化反応の高い活性を持つ触媒であることはよく知られている(see Stern, D. L; Grasselli, R.K. Journal of Catalysis 1997, 167, 550; Yoon, Y. S. ら. Topics in Catalysis 1996, 3, 265)。ニオブ置換は、高酸素透過性ペロブスカイト構造を、ストロンチウムコバルタイト中で安定化することが見出されている(Nagai, Tら. Solid State Ionics 2007, 777, 3433)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、混合金属酸化物を含むカソード、混合金属酸化物を含む複合体及びカソードを含む固体酸化物燃料電池を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、ペロブスカイト型又は蛍石型混合金属酸化物中のモリブデンの存在は、安定性を促進し、イオン伝導性を低減させるのもかかわらず活性を維持するという、認識に基づくものである。
【0008】
本発明の第一の側面から、ペロブスカイト型及び/又は蛍石型構造を示す混合金属酸化物を含むカソードに関し、次の経験式を持つ:
Mo
ここでTはMo以外の1以上の遷移金属元素;Eは1以上の金属元素であり、ランタニド金属元素、アルカリ金属元素、アルカリ土類金属元素、Pb及びBiを含む群から選択される元素;及びA、B、C、nはゼロでない数字であり、それぞれの元素につき同じでも異なっていてもよい。
【0009】
本発明のカソードは有利な性質を有し、これらには、固体燃料電池電解質を持つ混合金属酸化物との適合性、混合金属酸化物により示される低電気的抵抗(例えば、中間温度で)などの望ましい電気化学的特性を含む。モリブデンの存在は、酸素還元反応を促進し、又は高温での相変化を促成する作用をする。
【0010】
好ましくは、カソードは導電性である。好ましくは、カソードは酸化物イオン導電性である。
【0011】
好ましくは、E及びTの金属元素の全数は3以上である。好ましくは、少なくとも1つのE及びTが一対の金属元素である。Moは四面体又は八面体サイトを占め、規則的か又は不規則であってよい。好ましくは、Moは主に四面体サイトを占める(規則的である)。
【0012】
ランタニド金属元素は、Th、Ce、d、La、m、d、Pr又はEuが含まれ、好ましくはLa、Sm、Nd、Gd、Pr又はEuであり、特に好ましくはLa、Sm、Nd又はGdである。
【0013】
アルカリ金属元素は、Ca、a又はSrである。
【0014】
モリブデン以外の1以上の遷移金属元素は、3d遷移金属元素及び4d遷移金属元素を含む群から選択され得る。好ましくは、3d遷移金属元素及びNdを含む群から、好ましくはNi、Co、V、Nb、Mn及びFeを含む群から選択される。
【0015】
A、B、C及びnは、整数又は非整数であり、それぞれの元素につき同じであってもよく、又は異なっていてもよい。好ましくはnは非整数である(即ち、混合金属酸化物中の酸素は非化学量論的である)。例えば、混合金属酸化物は酸素欠乏型である(例えば、酸素欠陥又は欠乏を示す)。通常はn<15である。
【0016】
ペロブスカイト型構造的特徴は、ペロブスカイト構造、二重ペロブスカイト構造、ペロブスカイトスーパー構造、ルドルスデン−ポッパ構造又はブラウンミラーライト構造に寄与するものであり得る。好ましくは、ペロブスカイト型構造的特徴は、ペロブスカイト構造に寄与するものであり得る。
【0017】
蛍石型構造特徴は蛍石構造又はパイロクロア型構造に寄与するものである得る。
【0018】
好ましい実施態様では、混合金属酸化物はペロブスカイト型構造特徴を示す。
【0019】
混合金属酸化物の構造は、連晶構造(例えば、層、ブロック又はスラブ連晶構造)であり得る。連晶構造は部分的あり得るし、実質的に規則的又は不規則的連晶構造であり得る。
【0020】
混合金属酸化物はさらに岩塩型構造特徴を持つ。
【0021】
第一の実施態様では、混合金属酸化物は、次の経験式を持つ:
(E’A’E’’A’’)TMo
ここで、E’はBa、Sr又はランタニド金属元素;
E’’はBa、Ca又はSr;
Tは1以上の遷移金属元素であり、Co、Nb、Mn、V、Fe及びNiを含む群から選択され;
A’、A’’、B、C及びnはゼロでない数値であり、それぞれの元素について同じであっても、異なっていてもよい。
【0022】
特に好ましくは、E’はランタニド金属元素(好ましくは、La、Nd、Gd及びSmを含む群から選択される)である。特に好ましくは、E’’はSrである。より好ましいE’はLa及びE’’がSrである。
【0023】
特に好ましくは、TはCo(場合によりFe及び/又はNbと共に)である。
【0024】
好ましくは、第一の実施態様で、混合金属酸化物は次式の構造単位を含む:
(E’1−xE’’)(T1−y−vFey−z)Mov+z3−δ
ここで、
0<x<1、
0≦y≦1、
0<v+z<1、
E’はBa又はランタニド金属元素であり;
E’’はSr又はCa;及び
Tは1以上の遷移金属であり、Co、V又はMnを含む群から選択される。
【0025】
特に好ましくは、yは0である。特に好ましくは、zは0である。特に好ましくは、TがCo又はMnである。より好ましくはTはCoである。特に好ましくは、E’はLaである。
【0026】
特に好ましくは、混合金属酸化物は次の構造単位を含む:
(Ba1−xSr)(Co1−y−vFey−z)Mov+z3−δ
ここで:
0<x<1;
0.2≦y≦0.4;
0.05≦v+z≦0.5。より好ましくは、xは0.5である。より好ましくは、0.125≦v+z≦0.375である。
【0027】
好ましくは、第一の実施態様では、混合金属酸化物は次の式の構造単位を含む:
LaSr((Co1−y−vFey−z)(Mo1−xNbv+z10−δ
ここで;
0≦y≦1;
0≦x<1;及び
0<v+z<1である。
【0028】
第二の好ましい実施態様では、混合金属酸化物は次の構造単位を含む:
(E’2−xE’’)T1−zMo4+δ
ここで;
0≦x≦1;
0<z<1;
Eはランタニド金属元素;及び
E’’はSr又はBaである。
【0029】
特に好ましくは、Tは1以上の遷移金属元素であり、Ni又はCuを含む群から選択される。より好ましくは、TはNiである。
【0030】
特に好ましくは、E’はLaである。
【0031】
第三の好ましい実施態様では、混合金属酸化物は次の構造単位を持つ:
(E’A’E’’A’’)(Co1−z(Mo1−yNb)O5+δ
ここで;
0<z<1;
0≦y<1;
A’及びA’’はゼロでない数字であり、それぞれの元素について同じであっても異なっていてもよい;E’はランタニド金属元素;及びE’’はBa、Ca、Sr又はランタニド金属元素である。
【0032】
特に好ましくは、E’’はBaである。
【0033】
特に好ましくは、混合金属酸化物は固溶体系列、(NdCaBa(Co3/4Mo1/4)CoFe13の相である。
【0034】
第四の好ましい実施態様では、混合金属酸化物はペロブスカイト型構造特徴を持ち、Moが締四面体を占める。
【0035】
特に好ましくは、Moが四面体サイトを占める混合金属酸化物はブラウンミラーライト構造である。より好ましくは、混合金属酸化物は次の構造単位を持つ:
(T1−zMo
ここで;
0<z<1;
Eは1以上のランタニド金属元素であり、Sr、Ca及びBaを含む群から選択され;及びTはは1以上の、Fe及びCoを含む群から選択される。
【0036】
より好ましくは、混合金属酸化物は、固溶体系、(CaFe1−X−(BaCoMoOの相である。
【0037】
特に好ましくは、Moが四面体サイトを占めるペロブスカイトスーパー構造である、混合金属酸化物である。特に好ましい混合金属酸化物は、NdCaBa(Co3/4Mo1/4)CoFe13である。
【0038】
第五の好ましい実施態様では、混合金属酸化物は次の式の構造単位を持つ:
(E’2−xE’’)(Co1−z(Mo1−yNb6−δ
ここで;
0≦x≦1;
0≦y<1;
0<z<1;
E’はSr又はBa;及びE’’はランタニド金属元素である。特に好ましくは、yは0.5である。
【0039】
特に好ましくは、xはゼロである。特に好ましくは、E’はBaである。
【0040】
この実施態様では、MoがCoが酸化される全ての傾向を抑制し、より望ましくない格子位置を占めることを抑制するということである。
【0041】
第六の好ましい実施態様では、混合金属酸化物は次の構造単位を持つ:
Sr(Fe1−x−zCo(Mo1−yNb13
ここで:
0<z<1;
0≦y≦1;及び
0≦x≦1である。
【0042】
特に好ましくは混合金属酸化物が固溶体相である、(SrFe13−(BaCoMo0.5Nb0.51−xである。
【0043】
さらに好ましい実施態様では、混合金属酸化物は、蛍石型構造特徴を持つ。特に好ましくは蛍石型構造特徴は、蛍石又はパイロクロル構造に寄与する。特に好ましくはMoが主に蛍石型構造の四面体のカチオンサイトを占めることである。
【0044】
好ましくは実施態様では、混合金属酸化物はMo−ドープコバルタイト酸化物(例えば、Moドープコバルタイトフェライト酸化物又はコバルタイトニオベイト酸化物)であり、ここでペロブスカイト型構造特徴がペロブスカイト又は二重ペロブスカイト構造に寄与する。特に好ましくは混合金属酸化物は、Moドープコバルタイトフェライト酸化物であり、ここではペロブスカイト型構造特徴が、ペロブスカイト又は二重ペロブスカイト構造に寄与する。より好ましくは混合金属酸化物はバリウム−ストロンチウムコバルタイトフェライト酸化物であり、ここでペロブスカイト型構造特徴がペロブスカイト又は二重ペロブスカイト構造に寄与する。
【0045】
本発明の特に好ましい混合金属酸化物の例は次の1以上である:
モリブデン置換La1−xSrMnO3−δ(ここで0<x<1、好ましくはxは0.2);
モリブデン置換Ln1−xSrCoO3−δ(ここで0<x<1及びLnはランタニド元素、好ましくはLnはLa及びxは0.4又はLnはSm及びxは0.5);
モリブデン置換La1−xSrCo1−yFe3−δ(ここで0<x<1、好ましくはx=0.4及びy=0.8);
モリブデン置換Ba0.5r0.5Co0.8Fe0.23−δ又はBa0.5Sr0.5Co0.6Fe0.43−δ(好ましくはBa0.5Sr0.5Co0.88Fe0.1Mo0.13−δ、Ba0.5Sr0.5Co0.5Fe0.125Mo0.3753−δ、Ba0.5Sr0.5Co0.7Fe0.175Mo0.1253−δ、Ba0.5Sr0.5Co0.7Fe0.1Mo0.2O3−δ、Ba0.5Sr0.5Co0.48Fe0.32Mo0.23−δ及びBa0.5Sr0.5Co0.6Fe0.1Mo0.33−δ);BaCoMo0.5Nb0.56−δ;モリブデン置換LnBaCo5+x(ここでLnはランタニド元素、好ましくはNdである);
LaSrNi1−xMo4+δ
LaSr(Fe、Co、Nb、Mo)10−δ
NdCaBa(Co3/4Mo1/4)CoFe13
モリブデン置換CaFe
モリブデン置換SrFe6−yCo13(ここで0≦y≦6);及び
モリブデン置換La0.74Ca0.25Co0.8Fe0.23−δ
【0046】
より特に好ましくは、BaCoMo0.5Nb0.56−δ、Ba0.5Sr0.5Co0.8Fe0.1Mo0.13−δ、Ba0.5Sr0.5Co0.5Fe0.125Mo0.3753−δ、Ba0.5Sr0.5Co0.7Fe0.175Mo0.1253−δ、Ba0.5Sr0.5Co0.7Fe0.1Mo0.23−δ、Ba0.5Sr0.5Co0.48Fe0.32Mo0.23−δ及びBa0.5Sr0.5Co0.6Fe0.1Mo0.33−δを含む群から選択される1以上である。
【0047】
本発明の混合金属酸化物は、化合物形(例えば、金属酸化物、水酸化物、硝酸塩又は炭酸塩など)の構成金属又は溶液化学で形成される前駆体(例えばゾルゲル合成又は共沈殿)を高温で固体状態反応で製造され得る。本発明の混合金属酸化物は、水熱合成、燃焼、凍結乾燥、エアロゾル技術又はスプレードライで製造され得る。
【0048】
本発明の混合金属酸化物はバルク形状又は薄膜形状であってよい。薄膜はパルスレーザー堆積、化学蒸着、化学溶液堆積、原子層堆積、スパッター又は物理蒸着などで形成され得る。
【0049】
混合金属酸化物は、単一の又は複数の相システムで存在し得る(例えば、2相又は3相システム)。好ましくは混合金属酸化物は実質的に単一相システムである。
【0050】
本発明のさらなる側面では、ここで定める混合金属酸化物、及び酸化物イオン又は導電性促進剤を含む組成物を提供する。
【0051】
前記促進剤は酸化セリウムであり、好ましくはドープされている(例えばランタニドドープ)。好ましい材料はサマリウムドープ酸化セリウム(例えば、Ce0.8Sm0.22−δ)及びガドリウムドープ酸化セリウム(例えばGd0.1Ce0.91.95)である。
【0052】
本発明のさらなる側面では、ここで定める混合金属酸化物及び安定化セラミックスを含む組成物を提供する。
【0053】
安定化セラミックスは混合金属酸化物を構造的に又は反応的に安定化する。例えば、安定化セラミックスは混合金属酸化物を使用中に電極との反応に対して安定化する。通常混合金属酸化物は安定化セラミックスで飽和させる。安定化セラミックスは混合金属酸化物と連晶を形成する。
【0054】
安定化セラミックスは混合金属酸化物と混合されてよい。安定化セラミックスはペロブスカイトであってよい。安定化セラミックスは、Ba1−xSrCe0であってよい。
【0055】
本発明のさらなる側面で、固体酸化物燃料電池でのここで定められたカソードの使用を提供する。
【0056】
本発明のさらなる側面で、ここで定めるカソードとアノード及び酸素イオン伝導性電解質を含む固体酸化物燃料電池でのここで定められたカソードの使用を提供する。
【0057】
通常電解質はセラミック電解質である。電解質はイットリア安定化ジルコニア、サマリウムドープ酸化セリウム(例えば、例えばCe0.8Sm0.22−δ)又はガドリニウムドープ酸化セリウム(例えば、Ga0.1Ce0.91.95)である。
【0058】
電解質はアノード及びカソードとのサンドイッチであってよい。固体燃料電池は対称的でも非対称的であってもよい。固体燃料電池は中間層又はバッファ層を含んでいてよい。
【0059】
本発明は以下、実施例及び図面を参照して限定する目的ではなく説明される。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】図1は、BaCoMn0.5Nb0.56−δの、(a)室温及び(b)900℃での粉末中性子回折データのリートベルト解析を示す。上部チックマークは個々のBragg回折反射の位置を示す。株曲線は関す及び計算プロフィルとの差を示す。
【図2】図2は、合成されたBaCoMn0.5Nb0.56−δの、空気中5℃/分の加熱速度及び0.5時間900℃維持でのTGA分析を示す。加熱で重量減−0.43%が観測され、これは式上の単位で0.14の酸素原子を放出したことに対応する。
【図3】BaCoMn0.5Nb0.56−δの、
【0061】
(外1)

領域軸の複合SAEDパターンを示す。回折は、二重ペロブスカイト立方単位セルで、格子パラメータは約8.1Åおよび空間軍
【0062】
(外2)

である。
【図4】図4は、BaCoMn0.5Nb0.56−δの[112]領域軸に沿ったHRTEMを示す。上左から右への挿入図は該イメージのファーストフーリエ変換パターン、HRTEMシミュレーションによる原子構造の模式図及び該シミュレートされたイメージでの枠内の詳細をそれぞれ示す。
【図5】BaCoMn0.5Nb0.56−δサンプルの空気中での導電性の温度依存性を示す。
【図6】1000℃/3時間で燃焼させる対称電池でのSDC電解質を持つBCMNカソードの、(a)断面及び(b)表面図(SEMイメージ)を示す。
【図7】図7は、空気中、800、750、700及び650℃で測定されたSDC電解質対称電池でのBCMNのカソード分極を示す。
【図8】図8は、BCMN/SDC/BCMN電池のインピーダンススペクトルの、(a)650℃及び(b)600℃でのフィッティングを示し及び図中に等価回路を挿入した。
【図9】図9は、温度範囲600から750℃での、高周波(HF)及び低周波(LF)アーク抵抗の活性化エネルギー及び全ASRを示す。
【図10】図10は、BaCoMn0.5Nb0.56−δのXRDパターンを示し、(a)合成されたもの(1100℃/12時間)及び(b)空気中で750℃/240時間アニーリングされたもの及び(c)1050℃/10時間の共加熱されたBCMN−SDC混合物を示す。
【図11】図11は、BaCoMn0.5Nb0.56−δのCo/(Mo、Nb)トータルオーダリング付きアンチサイトモデルに基づく粉末中性子回折のリートベルト解析を示し、(a、上)室温、(b、下)900℃である。上のチックマークはここのBragg回折反射の位置を示す。下の曲線は観察結果及び計算プロフィルとの差を示す。
【図12】図12は、BaCoMn0.5Nb0.56−δのCo/Nbアンチサイトモデルに基づく粉末中性子回折のリートベルト解析を示し、(a、上)室温、(b、下)900℃である。上のチックマークはここのBragg回折反射の位置を示す。下の曲線は観察結果及び計算プロフィルとの差を示す。
【図13】図13は、BaCoMn0.5Nb0.56−δのCo/Moアンチサイトモデルに基づく粉末中性子回折のリートベルト解析を示し、(a、上)室温、(b、下)900℃である。上のチックマークはここのBragg回折反射の位置を示す。下の曲線は観察結果及び計算プロフィルとの差を示す。
【図14】図14はBaCoMn0.5Nb0.56−δのXANESスペクトルを示す。
【図15】図15は、1000℃/3時間で焼成された、BCMNカソード及びSDC電解質及びカソード間の境界の断面図(SEMイメージイメージ)を示す。
【図16】図16は、Ba0.5Sr0.5Co0.8Fe0.23−δのXRDパターンを示し、(a)合成後(1100℃/8時間)及び(b)750℃/240時間アニーリング後及び(c)1000℃/5時間で共加熱されたSDC−SDC混合物及び(d)SDCである。
【図17】図17は、1000℃/3時間で焼成されたBCMN/SDC境界を示し、(a)SEM及び(b〜g)元素分布分析である。
【図18】図18は、(a)BSCF_Mo01及び(b)BSCF_Mo03のXRDパターンを示す。
【図19】図19は、空気中でのBSCF_Mo01及びBSCF_Mo03サンプルの導電性の温度依存を示す。
【図20】図20は、空気中での、合成されたままのBSCF_Mo01及びBSCF_Mo03のTGA分析を示し、温度速度5℃/分で2回加熱冷却サイクルを行った。
【図21】図21は、SDC電解質での関連する材料のカソード分極性と対称的電池構成との550℃での比較を示す。電解質の寄与は全インピーダンスから差し引いてある。対称的電池は1000℃/3時間(SDC中間層を持つBSCF_Mo03を含む電池は例外で950℃/3時間で燃焼)で加熱させた。SDC中間層は、BSCF_Mo03カソードを印刷される前にスクリーン印刷して1270℃/1時間加熱させた。
【図22】図22は、BSCF_Mo03/SDC/BSCF_Mo03の600℃及び550℃でのインピーダンススペクトルのフィッティングを示し、その等価回路を挿入されている。R1は全オーム抵抗値である。R2及びR3はそれぞれ、電極からの高周波及び低周波アーク抵抗に対応し、CPEは一定相エレメントである。
【図23】図23は、BSCF_Mo01、BSCF_Mo03及びBSCFについて温度範囲500℃から800℃でのASR比較を示す。
【図24】図24は、温度範囲500℃から800℃での、ABSCF_Mo01、BSCF_Mo03及びBSCFについての活性化エネルギーを示す。
【図25】図25は、合成されたままのBSCFの空気中、温度速度5℃/分で2回加熱冷却サイクルのRGA分析を示す。
【図26】図26は、BSCF_Mo01及びMo01、BSCF_Mo03の導電性についての活性化エネルギーを示す。
【図27】図27は、Ba0.5r0.5(Co0.8−xFe0.2−yMox+y)O3−δの組成につき、擬似的相ダイヤグラムを示す。
【図28】BSCF_Mo0.375の、高温アニーリング後のPXRD測定を示す。
【図29】図29は、BSCF_Mo0.375の、空気中でのdc導電性の測定による電気的特徴を示す。
【図30】図30は、BSCF_Mo0.375の合成のままの、空気中温度速度5℃/分で1加熱冷却サイクルでのTGA分析を示す。
【図31a】図31aは、分裂対称性のBSCF−Mo0.375/SDC/BSCF−Mo0.375電池のSEMイメージを示す。
【図31b】図31bは、SDC−BSCF−MoO.375の1:1混合物の750℃/10時間(上)で加熱したもののPXRDパターンと、合成されたままのBSCF−MoO.375のPXRDパターンとの比較を示す。
【図32】図32は、BSCF−Mo0.375/SDC/BSCF−Mo0.375のインピーダンススペクトルのフィッティングのための等価回路を示す。
【図33】図33は、BSCF−Mo0.375/SDC/BSCF−Mo0.375のインピーダンスを、図32で示される等価回路への種々の温度でのフィッティング結果を示す。
【図34】図34は、BSCF−Mo0.125、BSCF−Mo0.25及びBSCF−Mo0.375について600℃でのASR値を示す。
【図35】図35は、酸素還元反応の活性化エネルギーの計算のフィッティング結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0063】
実施例1−BaCoMo0.5Nb0.56−δ
BCMNサンプル合成
BaCoMo0.5Nb0.56−δ(BCMN)は固体状態反応方法で製造した。化学量論量の高純度BaCO、Co、MoO及びNb共に混合し、24時間アルコールを用いてボールミルした後乾燥させ、粉砕し、700℃で6時間及び900℃で8時間焼成した。得られた粉末を再度ボールミルして、Autoclave Engineers Cold Isostatic Pressを用いて圧力200MPaで均等圧縮してペレット化し、継いで1100℃で12時間焼成した。XRDにて単一相であることを確認後、得られたペレットを標準のdc4プローブ方法を用いる導電性測定のためにバー状に切断した。又他の特徴測定のために再度粉砕しボールミルして粉末を製造した。
【0064】
構造の特徴づけ
材料の特徴は、Panalytical X'pert Pro diffractometer(CoKα1放射線)を用いて粉末X線回折(XRD)により分析された。飛行時間中性子線回折(ND)データは、Rutherford Appleton LaboratoriesのISIS研究所のPOLARISを用いて、室温から900℃の100℃間隔の種々の温度で収集された。TEM測定は、JEOL JEM3010 (JEOL, LaB6 filament, 300keV)を用いて行い、EDSデータは、JEM2000FX (JEOL, W filament, 200keV)に付したEDAX分析装置で行った。EDSから得られたBa、Co、Mo及びNbの原子比は、2.02:1.01:0.48:0.49であり、見かけの式BaCoMo0.5Nb0.56−δとよく一致していた。X線吸収近接端スペクトル(XANES)は、Daresbury Laboratory (Warrington, UK)のSRSシンクロトロンでのステーション9.3で実施された。
【0065】
SDCとの化学的適合性及び長時間アニーリング
異なる温度で焼成されたBCMN又はBSCF及びSDC(Ce0.8Sm0.22−δ)の混合物の相成分をXRDで決定した。BCMN又はBSCF及びSDCの重量比1:1の粉末をよく混合し、ペレットの圧縮し、1000℃又は1050℃で焼成した。長期間の構造安定化試験のために、単一相のBCMN又はBSCFの合成したままの粉末を空気中で750℃で240時間アニーリングして、XRD測定に使用した。XRDパターンは、購入したままのSDC粉末(fuelcellmaterials.comから入手のSDC20−M、表面積は30から40m/g:粒子サイズ(d50)は0.3から0.5μm)を900℃で2時間焼成により得られた粉末から取得された。
【0066】
対称電池製造及び試験
Ce0.8Sm0.22−δを、最初に圧縮してペレットにし、1400℃で8時間焼成して、完全密度SDC電解質基板(厚さ1.5mm、直径10mm)を得た。電極ペーストを調製するために、BCMN粉末をボールミルを用いて有機バインダ(Heraeus V006)及び希釈剤(Heraeus RV372)と混合した。電極ペーストを前記SDC基板の両面にスクリーン印刷を用いて適用し、その後1000℃で3時間焼成した。電極の厚さ及び直径は、それぞれ約30μm及び10mmであった。電気的測定のためのコンタクトを、金ペーストを用いて固定された金メッシュを用いて作成された。対称的電池のインピーダンススペクトルは、空気雰囲気下で、流速100ml/分、550℃から800℃の温度範囲で、Solartron 1260 周波数応答分析装置に1287電気化学インタフェースを付けて測定され、Zplot電気化学インピーダンスソフトウェアを用いて制御された。インピーダンススペクトルはZviewソフトウェア(Scribner Associates, Inc.)を用いて分析された。電極のミクロ構造は、走査電子顕微鏡(SEM, Hitachi S-4800)を用いて行った。
【0067】
結果
XRD、ED及び中性子線回折(ND)データ(図1から3)は、BaCoMo0.5Nb0.56−δが、室温及び高温で二重ペロブスカイト構造AB’B’’Oで、8cサイトでA=Ba、4aサイトでB’=Co及び4bサイトでB’’=Mo/Nbであることを示す(Kobayashi, K. Iら. Nature 1998, 395, 677)。NDデータは、酸素含有量とカチオンについての占有部分を、見かけの組成及びMo及びNbの理想的原子変位値を調整するために用いた。Bサイトカチオンアンチサイトモデルがまた、Co/(Mo、Nb)、Co/Mo又はCo/Nbの不規則性を導入することで検証された。EDS測定は、Ba、Co、Mo及びNbの原子比が、2.02:1.01:0.48:0.49であることを確認した。
【0068】
図1及び11から13及び表1及びS1からS3に示されるように、最適値は、Co/(Mo、Nb)アンチサイトから得られる結果は、Ba(Co1−xMox/2Nbx/2)(Mo0.5−x/2Nb0.5−x/2Co)O6−δであり、室温及び900℃でのデータ調整値は、室温でx=0.102(χ=1.57、RF2=6.55%)及びx=0.070カチオン性不規則性(χ=1.43、R=14.23%)であった。この調整からの全酸素含有量は、質問及び900℃でそれぞれのサンプルで、5.87(7)及び5.70(2)である。
【0069】
XANESスペクトルは、材料中で純粋なNb5+状態であること、及び室温ではCoは+2/+3の混合酸化状態であることを示す(図14)。ZANESデータの屈曲点シフトによる定量的分析は、室温でCo2+:Co3+が70:30であることを示す(Arcon, I.ら. J. Am. Cerarn. Soc. 1998, 81, 222)。Moの酸化化学を電荷バランスと共に考慮すると、Mo(VI)の生成が示される(Deng, Z. Q.ら. Chem. Mater. 2008, 20, 6911)。酸素含有量は5.90と計算され、中性子線回折から得られる結果(5.87(7))と一致する。BaCoMo0.5Nb0.56−δについて、室温及び900℃での最終的に調整された構造結果は表1及びS1からS3にまとめられている。室温と900℃間のND調整からの酸素含有量の変化は、式の単位当たり0.17であり、これはまたTGA結果(図2、式単位当たり0.14)と整合し、これは高温ではCo3+のCo2+への還元を示唆するものである。高温度での酸素欠乏形成は酸化物イオン導電性を起こすために予想されるものであり、これにより酸素還元反応のためのカソードASR値を低減することを助ける。高温度でCo3+からCo2+への還元は、部分的には、Co2+とMo/Nb間のより大きな電荷及び/又はイオン半径の違いにより、900℃での酸素含有量の減少に寄与するものである。
【0070】
透過電子顕微鏡(TEM)研究が、局所結晶構造を調べるために実施された。サンプルの選択領域電子回折(SAED)パターンが図3に示され、7つの主な回折パターン、これらは基本的な方向三角形でのそれらの方向により配置される
【0071】
(外3)

領域軸に沿った回折パターンからなる。SAEDパターンは、酸化物がペロブスカイト立方単位セルを持ち、格子定数aが約8.1Åであることを確認し、反射条件は空間群
【0072】
(外4)

と同じであり、これは近隣Nサイトが異なることを示唆する(即ち、規則性である)。この結果は、XRD及びND研究により提案される全体構造と一致する。他の領域軸及び異なる粒塊でのASEDもまた測定され指数付けされた。余分の弱い回折線又はストリークはSAEDパターンには見られなかった。SAED及びXRDの結果の一致は上記の説明と同じである。
【0073】
Bサイトカチオン規則性はさらに、[112]領域軸(この軸は、近隣Bサイトが容易に分離される方向である)に沿って高分解能TEM(HRTEM)により確認された(図4に示される)。
【0074】
(外5)

方向に沿って、B層が交互の黒白コントラストで積層され、これはBサイトが交互に異なるBサイトカチオンの成分で占められていることを示す。HRTEMイメージシミュレーションは、より暗いB層がCoで置換されており、より明るいB層がMo/Nbで置換されていることを示す。Co含有量を高めるための置換(BaCo1.5Mo0.25Nb0.256−δ及びBaCo0.9Nb0.13−δ)は、多重層システムを生じる。
【0075】
図5には、400から950℃にわたり空気中で測定された導電性データを示す。BaCoMo0.5Nb0.56−δは、800℃及び700℃それぞれで導電性1.2及び1.0S/cm、測定温度にわたり活性化エネルギー0.29eVを示す。図6(a)は、スクリーン印刷技術で製造され1000℃で3時間焼成された、分割した電解質/電極2層の断面走査電子顕微鏡イメージを示す。BCMN電極は、要求される高度に多孔性の形態を示し、均一な厚さ28から30μm(Au集電体がまた電極上に見える)であることが分かる。また、SDC電解質は完全密度構造と、良好な電極への接着性を示す。代表的な表面SEMイメージ(図6(b))は、均一な、多孔性電極表面を示し、これは酸化物塊状物で形成され平均サイズが約500nmであり、良好な粒塊間接続が保たれていることを示す。断面SEMイメージは図15にも与えられている。
【0076】
インピーダンススペクトル測定は対称電池BCMN/SDC/BCMNで温度範囲550℃から800℃で、空気中で行った。図7には、図6で示されるカソードについて典型的なEISスペクトルを示した。実軸の低周波数(LF)及び高周波数(HF)交差点の違いは面積比抵抗(ASR)とされる。カソード材料のASRデータは、組成、形態及びプロセスパラメータに強く依存し、かつカソードが単一相は複合体かにより、及び電解質と電極間の中間相適用に強く依存する。例えば、600℃では、ASR値は次のように報告されている( Tarancon, Aら. Power Sources 2007, 174, 255; Bellino, M. Gら. J. Am. Chem. Soc. 2007, 129, 3066; Grunbaum, N.ら. Solid State Ionics 2006, 177, 907; 及び Sahibzada, M.ら. Solid State Ionics 1998, 113-115, 285)。
2.8Ωcm:GdBaCo5+δ(YSZ上GBCO)、
1.15Ωcm:La0.6Sr0.4CoO3−δ(SDC上LSC)、
2.0Ωcm:Sm0.5Sr0.5CoO3−δ(SDC上SSC)、
1.3Ωcm:La0.6Sr0.4Co0.2Fe0.83−δ(Gd0.1Ce0.91.95上LSCF)及び
0.1から1.1Ωcm:Ba0.5Sr0.5Co0.8Fe0.23−δ(SDC上BSCF)。
【0077】
より直接の対比のために、対称的電池BSCF/SDC/BSCFを、この実施例でのカソードとしてBCMNを含む電池のために使用された同じ方法で製造した(ただし、電池は、以下示すようにBSCFとSDC間の反応により、やや低い温度である970℃で3時間焼成された)。0.51Ωcmの値が600℃で得られ、いくつかの報告値とよく一致する(Li, S. Yら. J, Alloys 及び Compounds 2008, 448, 116)。従ってBCMNは、これまで存在する最良のカソード材料と同等の電気化学的を有する。
【0078】
図8は、図中に挿入されて示される等価回路を用いたEISデータのベストフィットを示す。ここでR1はオーム抵抗値(このアークは現在のデータには示されていない)を表し及びR/CPEは2つのアークを持つ電極プロセスを表す(CPEは一定相エレメント)。抵抗、時間定数及びCPE指数を含むインピーダンスデータの、温度範囲600から750℃でのフィッティグパラメータは表S4に挙げられている。図8で観測されるR1は、600℃でイオン伝導性0.016Scm−1であった。550から800℃の範囲での他の点で、この方法で得られる伝導性値はSDCで報告された値とよく一致する(Eguchi, Kら. Solid State Ionics 1992, 52, 165)。
【0079】
図9は、BCMN電極の、ASR(RLF+RHF)の温度依存性と、LF(RLF)及びHFアーク(RHF)の抵抗値を示す。LF及びHFアークの活性化エネルギーは、147.9及び112.1kJmol−1であることが見出され、また全カソードASRの値は130.0kJmol−1であった(上の2つの値の平均値に等しい)。BCMNカソード上での酸素還元のための活性化エネルギーは、同じ温度範囲でSDC電解質でのBSCFの116から127.4kJmol−1及びLSCFの131から138kJmol−1と同程度の値である(Shao [supra]; Esquirol, Aら, Solid State Ionics 2004, 175, 63)。表S4及び図8に示されるように、キャパシタンスは650から750℃で、1.1x10−2から5.7x10−2Fcm−2、及び時間定数値(τ=RC)8.6x10−3から2.3x10−3秒であり、LFアークにつき147.9kJmol−1の高い活性化エネルギーを伴うものであり、これらは以下の報告される値と同程度である(Baumann, F. S.ら, J. Solid State Ionics 2006, 177, 1071; Jiang, S. P. Solid State Ionics 2002, 146, 1; Jiang, S. Pら. Journal of Power Sources 2002, 110, 201; 及び Chen, C. W.ら. Solid State Ionics 2008, 179, 330):
緻密LSCFミクロ電極15mFcm−2(750℃)。
多孔性LSCF電極3.6mFcm−2
多孔性LSM電極12.2x10−3Ω−1cm−2sn(n=0.7、700℃)及び
多孔性La0.74Ca0.25Co0.8Fe0.23−δ12.7x10−3Ω−1cm−2(n=0.89、750℃)。
【0080】
他方、HFアークがLFアークの値よりも一桁低いキャパシタンスを持ち、典型的な時間定数が約10−4秒であることは、電荷移動プロセスに関係する可能性がある(Adler, S. Bら. J. Electrochem. Soc. 1996, 143, 3554; Shah, M.; Barnett, S. A. Solid State Ionics 2008, 179, 2059; 及び Dusastre, V.; Kilner, J.A.; Solid State Ionics 1999, 126, 163)。BCMNについては、低温度では律速段階がBCMN電極表面で低温度での解離性吸収及び拡散であり、T>700℃の高温度では律速段階が電荷移動プロセスである。BCMNについて顕著なことは、表面速度論的インピーダンスは電荷移動インピーダンスに同程度の寄与を示すということであり、これはLSCやLSCFなどの材料とは対照的であり、これらはLF表面速度論インピーダンスがASRの主な部分である(Zhao, F ら. Mater. Res. Bull. 2008, 43, 370)。
【0081】
図8及び表S4に示されるように、BCMNは600℃でRLF0.78Ωcm−2及びRHF0.55Ωcm−2を示し、590℃でのLSCF電極で報告されているRLF3.0Ωcm−2及びRHF1.0Ωcm−2及びLSC−SDC複合電極についてのRLF1.6Ωcm−2及びRHF1.1Ωcm−2(HF)と比較される(Dusastreら [supra] 及び Zhaoら [supra])。これは、BCMN(即ち、800℃、700℃でそれぞれ1.2及び1.0S/cm)が、750℃でのLSCF及びLSMの300から320S/cmに比べて低いことを表す(Jiang [supra]; 及び Stevenson, J. Wら. J. Electrochem. Soc. 1996, 143, 2722)。一方で、BCMNの表面速度論が酸素還元反応のための優れた電極性能において重要な役割を果たすことができることを示唆する。この示唆は、BCMN電極について酸素表面交換の活性化エネルギー(−147.9kJmol−1)が、多孔性LSM(202から236kJmol−1)、緻密LSCFミクロ電極(154.4kJmol−1)及び緻密BSCFミクロ電極(173.7kJmol−1)よりも600から750℃の範囲でより低い、という事実により支持される(Jiang [supra]; Jiangら [supra]; 及び Baumann, F. S.ら. J. Electrochem. Soc. 2007, 154, B931)。この知見の理由はいまだ明確ではないがひとつの可能性は次の通りである。Moのさらなる触媒活性であり、カソード上の酸素種の表面解離及び3相境界(TPB)へ拡散を促進し酸素還元反応を改善するものである。さらにBCMNは高温では酸素欠乏によりいくらかの酸素イオン性伝導性を有し、これは優れた電極性能に関与するものである。
【0082】
BCMNの長期安定性を研究するために、合成されたままの単一相粉末を長時間アニーリングした(750℃で240時間保持)。比較のために、Ba0.5Sr0.5Co0.8Fe0.23−δ(BSCF)粉末(1100℃で8時間で合成し、XRDで単一相が確認された)を同じ条件でアニールした。図10に示されるように、アニールの前後でXRDパターンには変化がなかった(ただし、ピークが少し低角度へシフトし、ペロブスカイト格子の僅かな拡張を示唆するものであり、これはアニールの際の酸素損失によるものであろう)。XRDデータの調整セルパラメータは、合成したままと、アニールしたサンプルのそれぞれについて8.1117(1)及び8.1148(1)Åであった。対照的に、BSCFは部分的に分解し(図16)、これはBCMNについて長期安定性がずっと優れていることを示唆するものである。BSCFの構造安定性についての知見は、これまでの研究とよく一致している。これまでの研究では、BSCFは分離されて、バリウム豊富鉄不含有コバルトペロブスカイトの六方晶相と、ストロンチウム豊富鉄コバルトペロブスカイトの立方晶相となるということである(Svaracovaら [supra]; Ovenstone, Jら. J. Solid State Chem. 2008, 181, 576; 及び Arnold, Mら. Chem. Mater. 2008, 20, 5851)。BCMNの改良された安定性は、Bサイトカチオンが、イオン半径の違いにより規則的な順序で積層されているという、独特の構造に関連するものであるのかもしれない(Co2+=0.0745nm(HS)、Co2+=0.065nm(LS)、これに対してMo6+=0.059nm、Nb5+=0.064nm)。
【0083】
BCMNのカソード適用のために、SDC電解質との適合性がまた研究された。BCMN及びSDCとの反応試験が、BCMNの圧縮ペレットとSDC(重量比1:1)とで異なる温度で加熱することで実施された。BSCFがまた、比較のために試験された。図10のXRDデータで示されるように、1050℃で10時間加熱した後でも、BCNM及びSDC以外の新たな相は見えず、又該成分の明らかなピークシフトも見られなかった。このことは、SDCとBCMNとの固体状態反応が存在しないことを示すものである。反応後のBCMN及びSDCの調整セルパラメータは、8.1187(2)及び5.4314(1)Å(出発SDCサンプルは5.4288(5)Å)であった。しかし、BSCFとSDCとの反応は、明らかな不純物相がより低い温度である1000℃で5時間でさえ生成した(図16にも示される)。BCMNについて、SDCとの優れた反応適合性はまた、他の対称的電池(1050℃、3時間で焼成されたこと以外は同様の方法で製造されたもの)でのASR測定によっても支持される。1000℃、3時間で焼成された電池についてはASRの変化は全く見られなかった。SDCとの反応ではBCMNとは何らの反応も観察されなかったが、カソード及び電解質はイオンの拡散により変化する可能性がある((c)で88.46°、(b)で111.14°との比較から示されるように、図10のXRDデータにより明らかなようにピークがやや広がる。)エネルギー分散X線スペクトル(EDX)を含むさらなる試験で、CoのSDC内への僅かな内部拡散及び境界でのCeのBCMNへの拡散が示された。
【0084】
結論
SOFCカソード適用の可能性ということにおいて、本発明は、Bサイトカチオン規則的二重ペロブスカイト構造を有する、新規な酸化物 BaCoMo0.5Nb0.56−δ(BCMN)を提供する。この新規材料は、従来の酸化物と同程度の電気化学的性質を有しかつずっと改善された安定性を有するものである。変動Polarisデータから、BCMNの熱膨張係数の計算値は16.0ppmK−1であり、これはBSFCでの値の27.3ppmK−1、及びLa0.6Sr0.4Co0.2Fe0.83−δの16.2ppmK−1と好ましく同程度(Ried, Pら. J. Electrochem. Soc. 2008, 155, Bl 029)であるが、20から900℃の温度範囲でのSDC(12.7ppmK−1)よりは高い。BCMNの限定的なイオン伝導性と組み合わせると、このことは、カソードの分極抵抗のさらなる低減が、最適量のSDCを含ませて複合カソードとすることで可能となることを意味する。これは、カソード及び電解質間の熱的不適合を解消し、より好ましい界面接触を確実にし、かつ酸素還元を全カソード表面へと拡張するものである。
【0085】
【表1】

a:混合サイト原子のUisoは同じ値になるように限定され、同時に調整された。
b:Uij=0
【0086】
【表S1】

a:Mo/Nbの占有率は0.5/0.5と設定。
b:混合サイト原子のUisoは同じ値になるように限定され、同時に調整された。
c:Uij=0
【0087】
【表S2】

a:混合サイト原子のUisoは同じ値になるように限定され、同時に調整された。
b:Uij=0 等価Uis0を示すためにこの線を使うことが好ましい。
【0088】
【表S3】

a:混合サイト原子のUisoは同じ値になるように限定され、同時に調整された。
b:Uij=0。
【0089】
【表S4】

CPE=1/[T(jω)]、ここでTは比例因子、jは虚数、ωは角周波数を示す。キャパシタンスは(T/R(n−1)1/nで計算され、Rはパラレル抵抗値(Chen [supra])を示す。
【0090】
実施例2−Moドープバリウムコバルタイトペロブスカイト
次のMoドープバリウムコバルタイトペロブスカイトをカソード材料として試験(例えば、分極抵抗性)した。
Ba0.5Sr0.5Co0.8Fe0.1Mo0.13−δ(BSCF_Mo01とする)、
Ba0.5Sr0.5Co0.6Fe0.1Mo0.33−δ(BSCF_Mo03とする)及び
比較目的としてBa0.5Sr0.5Co0.8Fe0.23−δ(BSCF)である。
【0091】
BSCF_Mo01及びBSCF_Mo03は、1100℃8時間及び1050℃24時間でそれぞれ固体反応で合成した。図18のXRDデータは、BSCF_Mo01及びBSCF_Mo03システムが単一で二重ペロブスカイト構造を持ち、セルパラメータがBSCF_Mo01で3.9799(1)Å(Pm−3m)であり、
BSCF_Mo03で7.9888(5)Å(Fm−3m)であることを示す。
【0092】
図19に、450℃から900℃の範囲の温度にわたり測定された導電性が示される。BSCF_Mo01は、800℃で導電性43.8S/cm、600℃で39.8S/cmを示す。BSCF_Mo03は、800℃で導電性9.5S/cm、600℃で7.5S/cmを示す。活性化エネルギーは測定範囲でBSCF_Mo01で0.11eV及びBSCF_Mo03で0.13eV である(図25)。比較のため、BSCFは導電性が800℃で41.8S/cm及び600℃で42.9S/cmである。
【0093】
図20はTGA結果を示す。2回の加熱−冷却サイクルを空気中で、速度5℃/分で行った。最初のサイクル後に、BSCF_Mo01及びBSCF_Mo03は、温度範囲300から900℃で加熱−冷却サイクルで可逆的酸素交換を示す。酸素欠乏は、300℃から900℃の第二のサイクルから、BSCF_Mo01で1.45%(O0.20)であり、BSCF_Mo03で0.48%(O0.07)である。可逆的酸素交換はこれらのMoドープ材料の興味あるSOFCカソード性能に関連している可能性がある。一方でBSCFはシステムは、図25に示されるように加熱・冷却サイクルの際に非可逆性酸素交換を示す。
【0094】
図21はBSCF_Mo01、BSCF_Mo03及びBSCFとの分極性質の比較を示す。対称的電池(酸化物|SDC|酸化物、ここでSDCはCe0.8Sm0.22−δ)はスクリーン印刷技術により製造された。製造は、製造方法による効果を最小限にし、材料間の本来の違いを強調するように、異なる材料につき、同じ方法が使用されるように厳密に制御して製造した。
【0095】
【表S5】

CPE=1/[T(jω)]、ここでTは比例因子、jは虚数、ωは角周波数を示す。キャパシタンスは(T/R(n−1)1/nで計算され、Rはパラレル抵抗値を示す。
【0096】
図21及び22には、カソードの代表的EISスペクトルが示される。実軸上の低周波数(LF)及び高周波数(HF)の交差点が面積比抵抗(ASR)とされる。最高性能は、BSCF_Mo03カソードと、カソードと電解質との間にSDC中間層を含むが対称的電池で得られた(即ち、測定されたASR値は、750、700、650、600及び550℃のそれぞれで、0.04、0.07、0.16、0.35及び0.89Ωcm−2であった)。SDC上のBSCFは既存の材料の中で最善のカソード性能を有することが報告されている。より直接比較するため、対照的電池BSCF/SDC/BSCFを、Moドープ材料を含む電池と同一の方法で製造した。図21から、Moドープが、低温度でのカソード性能を強化することが分かる(即ち、抵抗を低下させることにより。)
図22は、図中に挿入された等価回路を用いたEISデータのベストフィットを示す(ここでR1はオーム抵抗を表し(このアークは本データには示されていない)及びR/CPEは、2つのアークをLFとHFで持つ電極プロセス(CPEは一定相エレメント)を表す)。600℃及び550℃での抵抗、時間定数及びCPE指数を含むインピーダンスのフィットパラメータは表S5にまとめられる。図22で観察されるR1は600℃でイオン伝導性0.016Scm−1を与えた。550℃から800℃からの他の点で、この方法で得られた導電性はSDCで報告される値とよく一致する。表S5及び図22に示されるように、600℃及び550℃でのキャパシタンス及び時定数値(τ=RC)は、低周波数(LF)及び高周波数(HF)は、電極表面(酸素の解離的吸着及び拡散)及び電荷移動プロセスに関与されることを示唆する。
【0097】
図23は、 BSCF−Mo01、BSCF_Mo03及びBSCFの測定された面積比抵抗(ASR)を示す。BSCF_Mo01は、BSCFの値と比べて高温度では同程度の値を、また低温度ではより低い値を示す。現在の材料は好ましいカソード性能を示す。例えば、多孔性中間層を電極と電解質の間に設けた対称性電池BSCF_Mo03/SDC/BSCF_Mo03については、ASR値は、700、650、600、550及び500℃で、それぞれ0.08、0.16、0.35、0.88及び2.63Ωcm−2である。この値はSOFCカソードとして文献に報告された値では最良のものである。
【0098】
図24は、BSCF_Mo01、BSCF_Mo03及びBSCFについてASRの温度依存性を比較したものである。BSCFシステムで転移が観測されたが、これは高温度でのバルク拡散制御として説明され、低温度での表面交換制御又は高温立方ペロブスカイト構造及び低温度構造での相転移として説明される。Moドーピングは、BSCFシステムにおいて見られた材料の表面交換動力学の強化又は相転移のいずれにも効果はない。
【0099】
実施例3−固体酸化物燃料電池用カソード材料としてのBa0.5Sr9.5Co0.8−xMox+yFe0.23−δ
実験
Ba0.5Sr9.5Co0.8−xMox+yFe0.23−δを固体状態反応により製造した。化学量論的量の、高純度(99.99%)のBaCO、SrCO、Co、Fe及びMoOをイソプロパノールとともにボールミルにて24時間混合した。これを乾燥させて、粉砕し、700℃で6時間及び900℃で8時間焼成した。得られた粉末を再び18時間イソプロパノールとともにボールミルし、その後乾燥、粉砕した後圧縮してペレットとし、4つの中間的再粉末物を用いて、950℃から1000℃(組成に依存)で空気中48時間焼成した。
【0100】
PXRDにより相を確認した後、粉末をAutoclave Engineers Cold Isostatic Pressを用いて200MPaで圧縮してペレットとした。得られた密度は約90%であった。ペレットは標準の4プローブ方法による導電性測定のためにバー形状に切り出した。4プローブ方法は、Ptペースト及びPtワイヤを用いて、4−インライン接触構造を持つ4つのプローブを作成した。
【0101】
完全緻密のSDC電解質基板(1.0mm厚さ、10mm直径)は、粉末Ce0.8Sm0.22−δ(FuelcellMaterials.comから入手SDC)をペレットへ圧縮し1400℃で8時間焼成して得られた。対称的電池試験のために、Mo−BSCF粉末をボールミルで有機バインダ(Heraeus V006)と混合して電極ペーストを作成し、これをスクリーン印刷によりSDC電解質の両面に適用し、これを900から1000℃(組成に依存する)の範囲で3時間焼成した。厚さ及び直径は、それぞれ約30μm及び10mmであった。電気測定のためのコンタクトはいくらかの金ペーストで固定された金ゲージを用いて作成した。
【0102】
化学適合性を試験するために、合成されたままのMo−BSCF及びSDCを重量比1:1でよく混合し、圧縮してペレットとし、1000℃で10時間焼成した。ペレットは粉末に粉砕してPXRD測定に用いた。
【0103】
長期間安定性試験のために、合成したままの粉末を空気中で120時間750℃でアニールした後、PXRDによる特徴付けを行った。
【0104】
組成物及び安定性
ある範囲のBa0.5Sr9.5Co0.8−xMox+yFe0.23−δ組成物につき、図27に示される擬相ダイヤグラムにより、より詳細に研究するための組成を選択するために研究した。これらのBサイト組成物は表6に示される。
【0105】
【表6】

予期される不均一性がこれらの組成物に見られた。3つの領域が明確に同定された。Ba0.5Sr0.5Co0.8Fe0.23−δ(点1参照)でのCo:Fe比が4のラインに沿って移動すると、M0の少量のドープ(x+y=0.125、点5参照)は単純なペロブスカイト構造を与える。Moドープがより多くなると(x+y=0.25、点6参照)、分離したピ−クを持つ二重ペロブスカイト構造形成の結果となり、これはPXRDで確認されるように単一のいくつかのペロブスカイト形成の証拠である。Mo含有量がさらに多くなると(x+y=0.375、点7参照)、PXRDパターンのフィッティングは二重ペロブスカイト形成に一致する。従って、Mo含有量は単一又は二重ペロブスカイトをとる上で重要となる。点7から、3より低いFe/Co比(Co含有量は0.5と一定)点への移動で、BaMoO不純物が形成され(点10参照、Fe/Co=0.66)かつ単一のペロブスカイトが主な相である。従ってCo/Fe比は重要な因子であり、Co/Feが4(点7参照)の場合に二重ペロブスカイト構造の形成が優先される。Co/Fe比を0.6に維持してMoをより多く導入すると、単一のペロブスカイト及びBaMoO不純物形を形成させることとなる(点11及び12を点10と比較して参照)。
【0106】
さらなる試験のための組成物を、上記記載のように従来の固体状態合成とボールミルとの組み合わせ方法で調製し、その組成をEDSで確認した。
【0107】
BSFC(Ba0.5Sr0.5Co0.8Fe0.23−δ、点1参照)、BSCF_Mo0.125(Ba0.5Sr0.5Co0.7Fe0.125Mo0.1253−δ、点5参照、単一ペロブスカイ構造をとる)及びBSCF_Mo0.375(Ba0.5Sr0.5Co0.5Fe0.125Mo0.3753−δ及び、点7参照、二重ペロブスカイト構造をとる)などのCo:Fe比4を持つ組成物の長期安定性を調べた。750℃で120時間及び240時間アニーリングした後、PXRDは、BSCF_Mo0.125は分裂して六方相のバリウム豊富鉄不含有コバルトペロブスカイト及び立方相のストロンチム豊富鉄コバルトペロブスカイトとなった。BSFC_Mo0.375については、PXRDで変化がなくBサイト規則性は安定性を強化する(図28)。
【0108】
電気特性−dc導電性(空気中)
4プローブdc導電性データが、空気中で450から900℃の範囲でステップ50℃で測定された。BSFC_Mo0.375は、測定温度にわたり、800℃及び600℃でそれぞれ18.5Scm−1及び12.6Scm−1を示した(図29)。比較のために、同じ条件でBSFCの導電性を測定し、800℃及び600℃にわたり38から43cm−1であり、このことは、電荷キャリアの全濃度がd0MoVIの導入により減少することを示唆する。
【0109】
700℃でのdc導電性の明確なpO依存性は測定された酸素部分圧力範囲10から10−13気圧ではない。このことは酸素含有量が一定であることを示した。従って、BSCF_Mo0.375の安定性の強化は、単に空気中では観測されるだけでなく、全ての広い酸素分圧にわたりMoによる安定化の効果を確認するものである。
【0110】
TGA
最初に約400℃で加熱される際に、BSCF_Mo0.375サンプルはなんらの重量変化も示さなかった。400から750℃へ5℃/分で加熱を続ける際には(図30)、酸素損失は0.18%(O0.03)であり、これはこの温度範囲では酸素キャリアの数には非常に僅かな変化しかない、ということを示唆するものである。BSCFは750℃で加熱される際に約0.8%酸素の減少があると報告されている。
【0111】
400℃に5℃/分でサンプルを冷却すると、再現可能に重量が戻る。非常に僅かな履歴が観察されたが、最もあり得ることは、これはサンプルのO吸収によるということである。酸素欠乏濃度は400℃で一定となりさらに冷却しても有意な重量変化はなかった。最初の加熱の後、粉末は熱的に繰り返され、TGA曲線は良好な再現性を示す。これは粉末が測定のタイムスケールで環境(酸素取得、損失)と平衡を達成し得ることを意味する。
【0112】
電気化学的特徴
スクリーン印刷及び1000℃で3時間焼成されて製造された対称的電池を分裂させた断面SEMは、電解質/電極2相を示した(この図31a)。電極層は、緻密SDC電解質と対照的に多孔性構造を持ち、優れた接着性の存在を示す。代表的な表面SEMイメージは、均一な多孔性構造を明らかにする。PXRDパターンによると、Mo_BSCF及びSDC電解質の重量1:1混合物の間の、空気中、1000℃で10時間では、なんら望ましくない固体反応が怒らない(図31b)。
【0113】
50℃毎の600から800℃の温度範囲にわたり空気中で測定されたBSCF_Mo0.375のインピーダンススペクトルは、図32に示される等価回路を用いたZView2.3ソフトウェアによりフィッティングされた。この等価回路では、Lはケーブルによるインダクタンスであり、第一の抵抗Re1は電解質のオーム抵抗に対応し、及びR−CPE回路がカソード応答である(ここでRはカソード分極抵抗及びCPEは不均一性効果を表す)。
【0114】
600℃でのNyquistプロットのフィッティングのために、第二のR−CPEエレメントが追加され、誤差を最小化するために高周波での追加の小さいアークにつきフィットさせた。カソードの分極抵抗は温度上昇とともに減少した。BSCF−Mo0.375につき、ASR値0.52、0.21、0.09、0.06及び0.04Ωcm−2が、600℃、650℃、700℃、75O℃及び800℃のぞれぞれで観測された(図33)。比較のために、図34は、BSCF_Mo0.125、BSCF_Mo0.25及びBSCF_Mo0.375についての600℃でのASRを示す。
【0115】
他の、SDC上のBサイト規則性ペロブスカイトBCMN(BaCoMo0.5Nb0.56−δ)のASRは、600℃で1.31Ωcm−2である(実施例1参照)。BSCFのBサイトドープの他の試みは、SDCと上のBa0.5Sr0.5(Co0.6Zr0.2)Fe0.23−δが600℃で0.58Ωcm−2(Mengら Materials Research Bulletin 44 (2009) 1293)及びBa0.5Sr0.5Zn0.2Fe0.83−δが600℃で1.06Ωcm−2(Wei, Bら. Journal of Power Sources 176 (2008), 1; 及び Zhou, Wら. Journal of Power Sources 192 (2009), 231)を与える。BSCFについて報告されている値は、600℃で0.055から0.071Ωcm−2(Shao [supra])であり、これは一桁小さい。文献には、カソード材料についてASR値は、そのミクロ構造及びプロセスパラメータに強く依存することが示されている。ミクロ構造は最適化されてなくかつより直接の比較のために、対照的電池BSCF/SDC/BSCFであって、Mo−BSCFと同一の方法で製造された(ただしわずかに低い温度である970℃で3時間加熱した)もののASRは、600℃で0.6Ωcm−2であることが見出された。
【0116】
電極メカニズムを証明するために、電極分極抵抗の0.16から0.75気圧の酸素分圧で700℃で酸素分圧依存性を検討した。R−pOプロットの傾きから反応次数mを決定し、約0.3となった。これは電荷移動が律速であることを示す。さらに、650から700℃でのキャパシタンス値10−3Fcm及び時定数(τ=RC)が10−3秒であることは、電極表面上での酸素の解離的吸収及び挿入に伴う特徴と整合した。従って、電解銅プロセスが律速段階であり、これによりカソード反応速度を制御する。600℃でのNyquistプロットの周波数10−2での小さいアークは、LFアーク及び通常の時定数10−4秒よりも一桁小さいキャパシタンス値を持つ。このことは、低温度ではより遅い、電解質電極境界を横切る酸素イオンの移動に伴うものであると思われる。
【0117】
フィッティング線(図35)の傾きから計算される酸素還元反応の活性化エネルギーは、97kJ/molであることが見出され、この値は同じ温度範囲でSDC電解質上での、BSCF(116から127.4kJ/mol、Shao [supra])及びLSFC(131−138kJ/mol、Esquirol, Aら; Solid State Ionics 175 (2004), 63)よりも小さい。同じ条件で製造されたBSCFカソードは、活性エネルギー121.7kJ/molを示し、これはBSCF_Mo0.375よりも大きい。SDC上BCMNなどの他のBサイト規則性ペロブスカイトを同じ温度範囲で比較すると、活性化エネルギー130kJ/molはMo−BSCFの計算値よりも高い。Ba0.5Sr0.5(Co0.6Zr0.2)Fe0.23−δ(Meng [supra])及びBa0.5Sr0.5Zn0.2Fe0.83−δ(Wei [supra] 及び Zhou [supra])などのBサイトドープBSCF構造は、酸素還元反応につきそれぞれ活性化エネルギー114.45kJ/mol及び112.9±1.3kJ/molを持ち、これはMo−BSCFの値よりも高い。
【0118】
Co:Fe比は一定にしてMo含有量を減少させると(BSCF−Mo0.25、点6参照)、電極分極抵抗はほとんど2倍になる。Mo含有量をさらに減少させて0.125とすると(BSCF−Mo0.125、点5参照)、単一ペロブスカイトの形成が主となり、ASR値は約0.4Ωcm−2となる。このことは、MoをBSCFのへ導入することが酸素還元反応を強化することを示す。対応する活性化エネルギーは、BSCF−Mo0.125及びBSCF−Mo0.25につきそれぞれ、115.79kJ/mol及び125.24kJ/molである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペロブスカイト型及び/又は蛍石型構造を示す混合金属酸化物を含むカソードに関し、次の経験式単位を持ち:
Mo
ここで、TはMo以外の1以上の遷移金属元素;Eは1以上の金属元素であり、ランタニド金属元素、アルカリ金属元素、アルカリ土類金属元素、Pb及びBiを含む群から選択される元素;及びA、B、C、nはゼロでない数字であり、それぞれの元素につき同じでも異なっていてもよい、カソード。
【請求項2】
請求項1に記載のカソードであり、前記混合金属酸化物は、次の経験式単位を持ち:
(E’A’E’’A’’)TMo
ここで、E’はBa、Sr又はランタニド金属元素;
E’’はBa、Ca又はSr;
Tは1以上の遷移金属元素であり、Co、Nb、Mn、V、Fe及びNiを含む群から選択され;
A’、A’’、B、C及びnはゼロでない数値であり、それぞれの元素について同じであっても、異なっていてもよい、カソード。
【請求項3】
請求項2に記載のカソードであり、前記混合金属酸化物は、次の構造単位を持ち:
(E’1−xE’’)(T1−y−vFey−z)Mov+z3−δ
ここで、
0<x<1;
0≦y≦1;
0<v+z<1;
E’はBa又はランタニド金属元素であり;
E’’はSr又はCa;及び
Tは1以上の遷移金属であり、Co、V又はMnを含む群から選択される、カソード。
【請求項4】
請求項2に記載のカソードであり、前記混合金属酸化物が次の構造単位を持ち:
LaSr((Co1−y−vFey−z)(Mo1−xNbv+z10−δ
ここで、
0≦y≦1;
0≦x<1;、
0<v+z<1、であるカソード。
【請求項5】
請求項1に記載のカソードであり、前記混合金属酸化物が次の構造単位を持ち:
(E’2−xE’’)T1−zMo4+δ
ここで
0≦x≦1;
0<z<1;
E’はランタニド金属元素;及び
E’’はSr又はBaである、カソード。
【請求項6】
請求項1に記載のカソードであり、前記混合金属酸化物が次の構造単位を持ち:
(E’A’E’’A’’(Co1−z(Mo1−yNb5+δ
ここで、
0<z<1;、
0≦y<1;
A’及びA’’はゼロでない数値であり、それぞれの元素につき同じであっても異なっていてもよく;
E’はランタニド金属元素;及び
E’’はBa、Ca、Sr又はランタニド金属元素である、カソード。
【請求項7】
請求項1に記載のカソードであり、前記混合金属酸化物がペロブスカイト型構造的特徴を示す、カソード。
【請求項8】
請求項7に記載のカソードであり、前記ペロブスカイト型構造的特徴が、ペロブスカイト又は二重ペロブスカイト構造に依る、カソード。
【請求項9】
請求項1に記載のカソードであり、前記混合金属酸化物がペロブスカイト型構造的特徴を示し、Moが八面体サイトを占める、カソード。
【請求項10】
請求項1に記載のカソードであり、前記混合金属酸化物がペロブスカイト型構造的特徴を持ち、Moが四面体サイトを占める、カソード。
【請求項11】
請求項10に記載のカソードであり、前記混合金属酸化物が次の構造単位を持つ:
(T1−zMo
ここで
0<z<1;
Eは、ランタニド金属元素、Sr、Ca及びBaを含む群から選択される1以上の元素であり;及び
TはFe及びCoを含む群から選択される1以上の元素である、カソード。
【請求項12】
請求項1に記載のカソードであり、前記混合金属酸化物が次の構造単位を持つ:
(E’2−xE’’)(Co1−z(Mo1−yNb6−δ
ここで、
0≦x<1;
0≦y<1;
0<z<1;
E’はSr又はBa;及び
E’’はランタニド金属元素である、カソード。
【請求項13】
請求項1に記載のカソードであり、前記混合金属酸化物が次の構造単位を持つ:
Sr(Fe1−x−zCo(Mo1−yNb13
ここで、
0<z<1;
0≦y<1;及び
0≦x≦1である、カソード。
【請求項14】
請求項1に記載のカソードであり、前記混合金属酸化物がフルオライト型構造的特徴を持つ、カソード。
【請求項15】
請求項14に記載のカソードであり、前記フロライト型構造的特徴が、フルオライト又はパイロクロア構造に依る、カソード。
【請求項16】
請求項1乃至15のいずれか1項に記載の混合金属酸化物及び酸化物イオン又は導電性促進剤を含む、組成物。
【請求項17】
請求項1乃至15のいずれか1項に記載の混合金属酸化物及び安定化セラミックを含む、組成物。
【請求項18】
請求項1乃至15のいずれか1項に記載の混合金属酸化物、アノード及び酸素伝導性電解質を含む、固体酸化物燃料電池。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6(a)】
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【図6(b)】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17(a)−(c)】
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【図17(d)−(g)】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31a】
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【図31b】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【公表番号】特表2012−528438(P2012−528438A)
【公表日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−512459(P2012−512459)
【出願日】平成22年5月28日(2010.5.28)
【国際出願番号】PCT/GB2010/050907
【国際公開番号】WO2010/136816
【国際公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【出願人】(508346000)ザ ユニバーシティ オブ リバプール (5)
【氏名又は名称原語表記】THE UNIVERSITY OF LIVERPOOL
【Fターム(参考)】