カタラーゼ産生促進剤
【課題】 天然抽出物を含有したカタラーゼ産生促進作用剤を提供する。
【解決手段】 エイジツ、ジオウ及びヨクイニンを水、親水性有機溶媒またはそれらの混合物で抽出処理して得られる抽出物がカタラーゼ産生促進作用を有することを利用する。
【解決手段】 エイジツ、ジオウ及びヨクイニンを水、親水性有機溶媒またはそれらの混合物で抽出処理して得られる抽出物がカタラーゼ産生促進作用を有することを利用する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧料に配合して使用するカタラーゼ産生促進剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
皮膚の老化、肌荒れに伴う各種皮膚疾患などの原因や発症機構は多種多様であるが、その主な原因としては、皮膚の保湿機能の低下、生体内で生じた活性酸素、細胞外マトリックス構成成分の減少・変性などが挙げられる。
【0003】
環境などの外的要因やストレスなどの内的要因によって皮膚の保湿機能が低下すると、皮膚は乾燥し、弾力性も失われて、かさかさした状態になる。このような乾燥肌は、アトピー性皮膚炎や様々なスキントラブルを招くおそれがあり、さらには、シワなどの深刻な状態を招くと考えられている。したがって、皮膚組織に保湿成分を与えることにより、アトピー性皮膚炎や肌荒れなどの炎症、シワの形成などの皮膚の老化を予防・改善できるものと考えられる。
【0004】
また、近年生体成分を酸化させる要因として活性酸素が注目されており、生体への悪影響が問題となっている。活性酸素は、主に生体細胞内におけるエネルギー代謝過程で生じるものであり、スーパーオキサイド(すなわち酸素分子の一電子還元で生じるスーパーオキシドアニオン:・O2− )、過酸化水素(H2 O2 )、ヒドロキシラジカル(・OH)及び一重項酸素(1 O2 )などがある。これらの活性酸素は、好中球やマクロファージなどの食細胞による細胞内殺菌機構に関与するものであり、ウイルスや癌細胞の除去に重要な役割を果たしているが、活性酸素が過剰に生成されると、活性酸素が細胞膜や組織を構成する生体内分子を攻撃し、各種疾患を誘発するおそれがある。例えば、過酸化水素は、炎症、過酸化脂質の生成、種々の酵素の失活及びDNAの損傷などを引き起こすことが知られている。
【0005】
通常、過酸化水素がカタラーゼなどの過酸化水素分解酵素により分解されることで、生体内の過酸化水素濃度は低く維持され、その結果、過酸化水素によって生じる細胞や組織の酸化障害は回避されている。しかし、カタラーゼは加齢に伴ってその産生量が減少することが知られているため、カタラーゼの産生を促進させることによって、生体内中の余剰の過酸化水素を分解し、細胞や組織の酸化障害を予防・改善することができるものと考えられる。
【0006】
また、過酸化水素によって生じる細胞障害を予防・改善して、細胞の恒常性を高めることができれば、皮膚組織のターンオーバーサイクルを正常に維持することができると考えられる。したがって、カタラーゼ産生を促進したり、過酸化水素によって生じる細胞障害を予防・改善したりすることによって、皮膚の老化を予防・改善できるものと考えられる。このような考えに基づき、カタラーゼ産生促進作用を有する物質を、安全性の点で有利な天然物より取得する試みがなされており、例えば、ヨウサイからの抽出物(特許文献1)五斂子の花部からの抽出物(特許文献2)などに有効性が確認されている。
【0007】
【特許文献1】特開2004−250344号公報
【特許文献2】特開2006−008571号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで本発明の目的は、安全性の高い天然物由来の物質の中から安定性や使用感にも優れた効果的なカタラーゼ産生促進剤を見出し、カタラーゼ産生促進剤として提供することにある。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、カタラーゼ産生促進剤が提供される。本発明のカタラーゼ産生促進剤は優れたカタラーゼ産生促進作用を有するだけでなく使用感にも優れているので、各種化粧品や飲食品に配合して使用するのに好適なものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明が提供することに成功したカタラーゼ産生促進剤は、エイジツ、ジオウ及びヨクイニンからの抽出物を有効成分としてなるものである。
【0011】
ここで言う植物抽出物は、エイジツとはバラ科植物・ノイバラ(学名:Rosa multiflora)の成熟果実を用いたものである。また、ジオウとはゴマノハグサ科の多年草でアカヤジオウ(学名:Rehmannia glutinosa)の根を用いたものである。また、ヨクイニンとはイネ科植物ハトムギ(学名:Coix lachryma−jobi)の種皮を除いた種子を用いたものである。
【0012】
エイジツ、ジオウ及びヨクイニンからの抽出物を有効成分とするカタラーゼ産生促進剤を製造する場合、有効成分の抽出には水または含水アルコールを用いる。含水アルコールを使用する場合におけるアルコールとしては、メタノール、エタノール等の低級脂肪族アルコール、1,3−ブチレングリコール等の多価アルコールが好適であり、含水率は約30〜50%のものが適当である。
【0013】
抽出方法には特殊なものは不要であり、室温ないし還流加熱下に、任意の装置を用いて抽出することが出来る。簡単には、抽出溶媒を満たした処理槽に抽出原料を投入し、ときどき攪拌しながら可溶性成分を抽出させる。得られた抽出液を濃縮すると、濃い茶褐色の濃縮液(エキス)が得られる。乾燥して粉末化することは困難なので、通常はこのエキスをカタラーゼ産生促進剤に使用する。
【0014】
得られた抽出液はそのままでもカタラーゼ産生促進剤として使用することができるが、濃縮液又はその乾燥物としたものの方が利用しやすい。また、抽出原料となる植物は特有の匂いを有しているため、その生理活性の低下を招かない範囲で脱色、脱臭等を目的とする精製を行うことも可能であるが、化粧料に添加する場合には大量に使用するものではないから、未精製のままでも実用上支障はない。精製は、具体的には活性炭処理、吸着樹脂処理、イオン交換樹脂処理等によって行うことができる。
【0015】
エイジツ、ジオウ及びヨクイニンからの抽出物は、そのままでもカタラーゼ産生促進剤として使用することができるが、常法に従って製剤化して提供することもできる。製剤化する場合、保存や取扱いを容易にするために、デキストリン、シクロデキストリン等の薬学的に許容され得るキャリアーその他任意の助剤を添加することができる。
【0016】
本発明のカタラーゼ産生促進剤は皮膚に適用した場合の安全性に優れているため、皮膚化粧料に配合するのに好適である。皮膚化粧料には、カタラーゼ産生促進剤のみを配合してもよいし、その他の有効素材を組み合わせて配合してもよい。
【0017】
本発明のカタラーゼ産生促進剤を配合し得る皮膚化粧料は特に限定されないが、その具体例としては、軟膏、クリーム、乳液、ローション、パック、入浴剤等を例示することができる。
【0018】
本発明のカタラーゼ産生促進剤の配合量は、皮膚化粧料の種類や抽出物の生理活性等によって適宜調整することができるが、好適な配合率は標準的な抽出物に換算して約0.01〜10質量%である。
【0019】
本発明のカタラーゼ産生促進剤を配合する皮膚化粧料には、カタラーゼ産生促進作用の妨げにならない限り、皮膚化粧料の製造に通常使用される各種主剤及び助剤、その他任意の助剤を配合することができ、本発明のカタラーゼ産生促進剤のみが主剤となるものに限られるわけではない。
【0020】
本発明のカタラーゼ産生促進剤は安全性に優れているため、飲食品に配合するのに好適である。その場合の配合量は、添加対象飲食品の一般的な摂取量を考慮して成人1日当たりの抽出物摂取量が約1〜1000mgになるようにするのが適当である。
【0021】
本発明のカタラーゼ産生促進剤を配合し得る飲食品は特に限定されないが、その具体例としては、 清涼飲料、炭酸飲料、栄養飲料、果実飲料、乳酸飲料等の飲料(これらの飲料の濃縮原液及び調整用粉末を含む);アイスクリーム、アイスシャーベット、かき氷等の冷菓;そば、うどん、はるさめ、ぎょうざの皮、しゅうまいの皮、中華麺、即席麺等の麺類;飴、チューインガム、キャンディー、ガム、チョコレート、錠菓、スナック菓子、ビスケット、ゼリー、ジャム、クリーム、焼き菓子等の菓子類;かまぼこ、ハム、ソーセージ等の水産・畜産加工食品;加工乳、発酵乳等の乳製品;サラダ油、てんぷら油、マーガリン、マヨネーズ、ショートニング、ホイップクリーム、ドレッシング等の油脂及び油脂加工食品;ソース、たれ等の調味料;スープ、シチュー、サラダ、惣菜、漬物などが挙げられる。
【0022】
以上説明した本発明のカタラーゼ産生促進剤は、ヒトに対して好適に適用されるものであるが、それぞれの作用効果が奏される限り、ヒト以外の動物に対して適用することもできる。
【実施例】
【0023】
以下、実施例を示して本発明を更に詳細に説明する。なお、本発明の範囲はこれらの実施例等に限定されるものではない。
【0024】
[製造例1]
エイジツ、ジオウ及びヨクイニンの粗粉砕物それぞれ100gに抽出溶媒として水、50%エタノール又はエタノールを1000ml加え、還流抽出器で80℃にて2時間抽出し、濾過した。残渣について更に同様の抽出処理を行った。得られた抽出液を合わせて減圧下に濃縮を行い、乾燥して該抽出物を得た。各抽出物の収率は表1に示す。
【0025】
[表1]抽出物の収率
原料 水(%) 50%エタノール(%) エタノール(%)
エイジツ 7.8 5.0 4.3
ジオウ 14.4 15.0 9.8
ヨクイニン 1.7 2.0 1.5
【0026】
[試験例1]カタラーゼ産生促進作用試験
ヒト正常皮膚繊維芽細胞(NB1RGB)を、10%FBSを含有するα−MEM培地を用いて培養した後、トリプシン処理により細胞を回収した。回収した細胞を、4.0×105cells/mLの細胞濃度になるように5%FBSを含有するα−MEM培養液で希釈した後、48穴プレートに1穴当たり200μLずつ播種し、一晩培養した。
培養終了後、培養液を除去し、1%FBSを含有するα−MEM培養液に試料を溶解した試料溶液(試料濃度:100μg/mL)を各穴に200μLずつ添加し、24時間培養した。培養後、PBS(−)中で超音波破砕を行い、その細胞破砕液中に存在するカタラーゼ量を関節ELISA法により測定した。
同時に、ヒト正常費皮膚繊維芽細胞の全タンパク量当たりのカタラーゼ産生促進率は、下記の式により算出した。
カタラーゼ産生促進率(%)=A/B×100
上記式において、「A」は「試料添加時の全タンパク量当たりのカタラーゼ量」を、「B」は「試料無添加時の全タンパク量当たりのカタラーゼ量」を示す。
上記試験の結果を表2に示す。
【0027】
[表2]
試 料 カタラーゼ産生促進率(%)
エイジツ・水抽出物 102.5
エイジツ・50%エタノール抽出物 133.1
エイジツ・エタノール抽出物 112.4
ジオウ・水抽出物 118.6
ジオウ・50%エタノール抽出物 143.9
ジオウ・エタノール抽出物 120.3
ヨクイニン・水抽出物 105.7
ヨクイニン・50%エタノール抽出物 122.2
ヨクイニン・エタノール抽出物 110.1
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧料に配合して使用するカタラーゼ産生促進剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
皮膚の老化、肌荒れに伴う各種皮膚疾患などの原因や発症機構は多種多様であるが、その主な原因としては、皮膚の保湿機能の低下、生体内で生じた活性酸素、細胞外マトリックス構成成分の減少・変性などが挙げられる。
【0003】
環境などの外的要因やストレスなどの内的要因によって皮膚の保湿機能が低下すると、皮膚は乾燥し、弾力性も失われて、かさかさした状態になる。このような乾燥肌は、アトピー性皮膚炎や様々なスキントラブルを招くおそれがあり、さらには、シワなどの深刻な状態を招くと考えられている。したがって、皮膚組織に保湿成分を与えることにより、アトピー性皮膚炎や肌荒れなどの炎症、シワの形成などの皮膚の老化を予防・改善できるものと考えられる。
【0004】
また、近年生体成分を酸化させる要因として活性酸素が注目されており、生体への悪影響が問題となっている。活性酸素は、主に生体細胞内におけるエネルギー代謝過程で生じるものであり、スーパーオキサイド(すなわち酸素分子の一電子還元で生じるスーパーオキシドアニオン:・O2− )、過酸化水素(H2 O2 )、ヒドロキシラジカル(・OH)及び一重項酸素(1 O2 )などがある。これらの活性酸素は、好中球やマクロファージなどの食細胞による細胞内殺菌機構に関与するものであり、ウイルスや癌細胞の除去に重要な役割を果たしているが、活性酸素が過剰に生成されると、活性酸素が細胞膜や組織を構成する生体内分子を攻撃し、各種疾患を誘発するおそれがある。例えば、過酸化水素は、炎症、過酸化脂質の生成、種々の酵素の失活及びDNAの損傷などを引き起こすことが知られている。
【0005】
通常、過酸化水素がカタラーゼなどの過酸化水素分解酵素により分解されることで、生体内の過酸化水素濃度は低く維持され、その結果、過酸化水素によって生じる細胞や組織の酸化障害は回避されている。しかし、カタラーゼは加齢に伴ってその産生量が減少することが知られているため、カタラーゼの産生を促進させることによって、生体内中の余剰の過酸化水素を分解し、細胞や組織の酸化障害を予防・改善することができるものと考えられる。
【0006】
また、過酸化水素によって生じる細胞障害を予防・改善して、細胞の恒常性を高めることができれば、皮膚組織のターンオーバーサイクルを正常に維持することができると考えられる。したがって、カタラーゼ産生を促進したり、過酸化水素によって生じる細胞障害を予防・改善したりすることによって、皮膚の老化を予防・改善できるものと考えられる。このような考えに基づき、カタラーゼ産生促進作用を有する物質を、安全性の点で有利な天然物より取得する試みがなされており、例えば、ヨウサイからの抽出物(特許文献1)五斂子の花部からの抽出物(特許文献2)などに有効性が確認されている。
【0007】
【特許文献1】特開2004−250344号公報
【特許文献2】特開2006−008571号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで本発明の目的は、安全性の高い天然物由来の物質の中から安定性や使用感にも優れた効果的なカタラーゼ産生促進剤を見出し、カタラーゼ産生促進剤として提供することにある。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、カタラーゼ産生促進剤が提供される。本発明のカタラーゼ産生促進剤は優れたカタラーゼ産生促進作用を有するだけでなく使用感にも優れているので、各種化粧品や飲食品に配合して使用するのに好適なものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明が提供することに成功したカタラーゼ産生促進剤は、エイジツ、ジオウ及びヨクイニンからの抽出物を有効成分としてなるものである。
【0011】
ここで言う植物抽出物は、エイジツとはバラ科植物・ノイバラ(学名:Rosa multiflora)の成熟果実を用いたものである。また、ジオウとはゴマノハグサ科の多年草でアカヤジオウ(学名:Rehmannia glutinosa)の根を用いたものである。また、ヨクイニンとはイネ科植物ハトムギ(学名:Coix lachryma−jobi)の種皮を除いた種子を用いたものである。
【0012】
エイジツ、ジオウ及びヨクイニンからの抽出物を有効成分とするカタラーゼ産生促進剤を製造する場合、有効成分の抽出には水または含水アルコールを用いる。含水アルコールを使用する場合におけるアルコールとしては、メタノール、エタノール等の低級脂肪族アルコール、1,3−ブチレングリコール等の多価アルコールが好適であり、含水率は約30〜50%のものが適当である。
【0013】
抽出方法には特殊なものは不要であり、室温ないし還流加熱下に、任意の装置を用いて抽出することが出来る。簡単には、抽出溶媒を満たした処理槽に抽出原料を投入し、ときどき攪拌しながら可溶性成分を抽出させる。得られた抽出液を濃縮すると、濃い茶褐色の濃縮液(エキス)が得られる。乾燥して粉末化することは困難なので、通常はこのエキスをカタラーゼ産生促進剤に使用する。
【0014】
得られた抽出液はそのままでもカタラーゼ産生促進剤として使用することができるが、濃縮液又はその乾燥物としたものの方が利用しやすい。また、抽出原料となる植物は特有の匂いを有しているため、その生理活性の低下を招かない範囲で脱色、脱臭等を目的とする精製を行うことも可能であるが、化粧料に添加する場合には大量に使用するものではないから、未精製のままでも実用上支障はない。精製は、具体的には活性炭処理、吸着樹脂処理、イオン交換樹脂処理等によって行うことができる。
【0015】
エイジツ、ジオウ及びヨクイニンからの抽出物は、そのままでもカタラーゼ産生促進剤として使用することができるが、常法に従って製剤化して提供することもできる。製剤化する場合、保存や取扱いを容易にするために、デキストリン、シクロデキストリン等の薬学的に許容され得るキャリアーその他任意の助剤を添加することができる。
【0016】
本発明のカタラーゼ産生促進剤は皮膚に適用した場合の安全性に優れているため、皮膚化粧料に配合するのに好適である。皮膚化粧料には、カタラーゼ産生促進剤のみを配合してもよいし、その他の有効素材を組み合わせて配合してもよい。
【0017】
本発明のカタラーゼ産生促進剤を配合し得る皮膚化粧料は特に限定されないが、その具体例としては、軟膏、クリーム、乳液、ローション、パック、入浴剤等を例示することができる。
【0018】
本発明のカタラーゼ産生促進剤の配合量は、皮膚化粧料の種類や抽出物の生理活性等によって適宜調整することができるが、好適な配合率は標準的な抽出物に換算して約0.01〜10質量%である。
【0019】
本発明のカタラーゼ産生促進剤を配合する皮膚化粧料には、カタラーゼ産生促進作用の妨げにならない限り、皮膚化粧料の製造に通常使用される各種主剤及び助剤、その他任意の助剤を配合することができ、本発明のカタラーゼ産生促進剤のみが主剤となるものに限られるわけではない。
【0020】
本発明のカタラーゼ産生促進剤は安全性に優れているため、飲食品に配合するのに好適である。その場合の配合量は、添加対象飲食品の一般的な摂取量を考慮して成人1日当たりの抽出物摂取量が約1〜1000mgになるようにするのが適当である。
【0021】
本発明のカタラーゼ産生促進剤を配合し得る飲食品は特に限定されないが、その具体例としては、 清涼飲料、炭酸飲料、栄養飲料、果実飲料、乳酸飲料等の飲料(これらの飲料の濃縮原液及び調整用粉末を含む);アイスクリーム、アイスシャーベット、かき氷等の冷菓;そば、うどん、はるさめ、ぎょうざの皮、しゅうまいの皮、中華麺、即席麺等の麺類;飴、チューインガム、キャンディー、ガム、チョコレート、錠菓、スナック菓子、ビスケット、ゼリー、ジャム、クリーム、焼き菓子等の菓子類;かまぼこ、ハム、ソーセージ等の水産・畜産加工食品;加工乳、発酵乳等の乳製品;サラダ油、てんぷら油、マーガリン、マヨネーズ、ショートニング、ホイップクリーム、ドレッシング等の油脂及び油脂加工食品;ソース、たれ等の調味料;スープ、シチュー、サラダ、惣菜、漬物などが挙げられる。
【0022】
以上説明した本発明のカタラーゼ産生促進剤は、ヒトに対して好適に適用されるものであるが、それぞれの作用効果が奏される限り、ヒト以外の動物に対して適用することもできる。
【実施例】
【0023】
以下、実施例を示して本発明を更に詳細に説明する。なお、本発明の範囲はこれらの実施例等に限定されるものではない。
【0024】
[製造例1]
エイジツ、ジオウ及びヨクイニンの粗粉砕物それぞれ100gに抽出溶媒として水、50%エタノール又はエタノールを1000ml加え、還流抽出器で80℃にて2時間抽出し、濾過した。残渣について更に同様の抽出処理を行った。得られた抽出液を合わせて減圧下に濃縮を行い、乾燥して該抽出物を得た。各抽出物の収率は表1に示す。
【0025】
[表1]抽出物の収率
原料 水(%) 50%エタノール(%) エタノール(%)
エイジツ 7.8 5.0 4.3
ジオウ 14.4 15.0 9.8
ヨクイニン 1.7 2.0 1.5
【0026】
[試験例1]カタラーゼ産生促進作用試験
ヒト正常皮膚繊維芽細胞(NB1RGB)を、10%FBSを含有するα−MEM培地を用いて培養した後、トリプシン処理により細胞を回収した。回収した細胞を、4.0×105cells/mLの細胞濃度になるように5%FBSを含有するα−MEM培養液で希釈した後、48穴プレートに1穴当たり200μLずつ播種し、一晩培養した。
培養終了後、培養液を除去し、1%FBSを含有するα−MEM培養液に試料を溶解した試料溶液(試料濃度:100μg/mL)を各穴に200μLずつ添加し、24時間培養した。培養後、PBS(−)中で超音波破砕を行い、その細胞破砕液中に存在するカタラーゼ量を関節ELISA法により測定した。
同時に、ヒト正常費皮膚繊維芽細胞の全タンパク量当たりのカタラーゼ産生促進率は、下記の式により算出した。
カタラーゼ産生促進率(%)=A/B×100
上記式において、「A」は「試料添加時の全タンパク量当たりのカタラーゼ量」を、「B」は「試料無添加時の全タンパク量当たりのカタラーゼ量」を示す。
上記試験の結果を表2に示す。
【0027】
[表2]
試 料 カタラーゼ産生促進率(%)
エイジツ・水抽出物 102.5
エイジツ・50%エタノール抽出物 133.1
エイジツ・エタノール抽出物 112.4
ジオウ・水抽出物 118.6
ジオウ・50%エタノール抽出物 143.9
ジオウ・エタノール抽出物 120.3
ヨクイニン・水抽出物 105.7
ヨクイニン・50%エタノール抽出物 122.2
ヨクイニン・エタノール抽出物 110.1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エイジツ、ジオウ及びヨクイニンからなる群より選ばれる1種又は2種以上の植物からの抽出物を有効成分として含有することを特徴とするカタラーゼ産生促進剤。
【請求項1】
エイジツ、ジオウ及びヨクイニンからなる群より選ばれる1種又は2種以上の植物からの抽出物を有効成分として含有することを特徴とするカタラーゼ産生促進剤。
【公開番号】特開2007−302605(P2007−302605A)
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−132516(P2006−132516)
【出願日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【出願人】(591082421)丸善製薬株式会社 (239)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【出願人】(591082421)丸善製薬株式会社 (239)
【Fターム(参考)】
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