説明

カチオン変性ペクチン及び該物質を含む化粧料組成物

【課題】 従来のカチオン性ポリマーのもつ毛髪や皮膚に対する吸着性を改善し、毛髪処理用組成物に配合した時のすすぎ時のコンディショニング効果の弱さを改善すると共に、乾燥後には保水性に基づくパサツキ感の無い潤いの有るしっとりしたあるいはさっぱりとした使用感を持つ化合物を提供すること。
【解決手段】 ペクチンに含まれる水酸基の一部が、所定の第4級窒素含有基で置換されたカチオン変性ペクチンであって、該第4級窒素含有基由来のカチオン電荷量が0.1〜3.0meq/gであるカチオン変性ペクチン。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は化粧料組成物に配合した場合、毛髪や皮膚に対する吸着性が良く、良好なコンディショニング効果をもたらし、乾燥後には保水性に基づくパサツキ感の無い潤いの有るしっとりしたあるいはさっぱりとした使用感を持つカチオン変性ペクチンと、これを配合した化粧料組成物、特に毛髪処理用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
洗浄を目的とした毛髪処理用組成物には、洗髪、すすぎ時の毛髪の絡まり合いによる摩擦による損傷や、洗髪後の感触改善の為にコンディショニング剤が配合されている。この為、コンディショニング剤は毛髪に吸着する事が必須であり、コンディショニング効果を与える物質としては、毛髪表面が負に帯電している為、主としてイオン性に基づく吸着作用を有するカチオン性ポリマーが用いられている。カチオン性ポリマーとしては、セルロース誘導体やグアーガム、デンプン等のポリサッカライドに第4級窒素含有基を導入して得られる水溶性高分子や、ジアルキルジアリルアンモニウム塩重合体等が使用されている。
【0003】
例えば、特許文献1にはシャンプーや毛髪化粧料に、第4級窒素含有基を導入したカチオン変性セルロース誘導体を使用することが示されている。
特許文献2には第4級窒素含有基を導入したカチオン変性デンプンを、シャンプー、リンス等のヘアケア製品に使用することが示されている。
【0004】
また、特許文献3、特許文献4、特許文献5には、ガラクトマンナン多糖に属する主鎖のマンノースと側鎖のガラクトースが2対1のグアーガムをカチオン変性した、カチオン変性グアーガムを、特許文献6には主鎖のマンノースと側鎖のガラクトースが4対1のローカストビーンガムをカチオン変性した、カチオン変性ローカストビーンガムを、特許文献7にはガラクトマンナン多糖としてグアーガム及びマンノースとガラクトースの組成比が異なるローカストビーンガムをカチオン変性したカチオン変性ポリガラクトマンナンが、シャンプー、リンス等のヘアケア製品及びボディソープに使用することが示されている。しかし、グアーガムを用いたカチオン変性グアーガムの場合、グアーガムの特徴がカチオン変性した後にも現れ、コンディショニング効果、乾燥後には保水性に基ずくパサツキ感の無い潤いの有るしっとりしたあるいはさっぱりとした使用感を持つ点等で本発明のカチオン変性ペクチンと比較して十分ではなく、毛髪処理用組成物及び皮膚化粧料組成物に配合した場合に、感触面で異なるものである。すなわち、カチオン性グアーガムは、乾燥後のごわつき感は少ないものの、吸着量が少なく、すすぎ時のコンディショニング効果は弱いという欠点がある。また近年、ファッションの多様化によりヘアカラー、ヘアダイを使用する機会が多くなり、それに伴い毛髪の損傷が著しく、カチオン変性グアーガムであっても、損傷した毛髪では柔軟性が不足し、ごわつき感を示すという課題がある。同様に、ローカストビーンガムを用いたカチオン変性ローカストビーンガムの場合も、本発明のカチオンペクチンと機能も異なり、損傷した毛髪では柔軟性が不足し、ごわつき感を示すという課題がある。
【0005】
さらに、特許文献8にはガラクトマンナン多糖としてグアーガム、ローカストビーンガムを用い、酵素等により分解し低分子化した後、カチオン変性したカチオン変性ガラクトマンナン多糖が、特許文献9にはガラクトマンナン多糖としてグアーガム、ローカストビーンガムを用い、ヒドロキシアルキル変性の後にカチオン変性を行い、更に低分子化した、カチオン変性ガラクトマンナン多糖が示されているが、主鎖及び側鎖の構造が、本発明のペクチンとは異なることと、低分子化の有無に起因する粘度の違いにより、本発明のカチオン変性ペクチンと比較してコンディショニング剤としての機能、及び使用感は十分とは言えない。
【0006】
一方で、皮膚化粧料組成物の場合には、石鹸及びアニオン界面活性剤等が汎用されるが、洗浄の際、皮膚の油脂成分を必要以上に除去してしまい、皮膚に対してつっぱり感が生じるという問題もある。このような不都合を解消し、しっとり感を付与する効果から、ボディ用洗浄剤等の皮膚化粧料組成物にもカチオン性ポリマー等のコンディショニング剤や、グリセリン等の保湿剤が配合されている。ただ、処方中の配合量によってはべたつき、ぬるつきを生じる場合もある。
【0007】
また、特許文献10には、ジアルキルジアリルアンモニウム塩の共重合体と第4級窒素含有基を導入したセルロース誘導体とを配合したシャンプー組成物が、洗髪時につるつるした指通りと滑らかな泡感触を与え、かつすすぎ時の毛髪にさらっとした滑らかな指通りを与えると共に、仕上がり時に毛髪に良好な艶を与えることが示されている。また、これらのカチオン性ポリマーを配合する事でクリーミィな泡質が得られたり、皮膚に対してつっぱり感を解消し、しっとり感を付与する効果からボディ用洗浄剤等の皮膚化粧料組成物へも配合されている。
【0008】
さらに、特許文献11にはオルガノポリシロキサンを含有する多糖化合物として、使用出来る多糖化合物として、ペクチン等の多糖類及び多糖類の水溶性誘導体としてペクチン等の多糖類のカチオン化物が使用出来ると明記されているがカチオン変性ペクチンについては明記されていない。
【0009】
特許文献12、13、14には、シリコン化多糖化合物の構成成分である多糖化合物として、ペクチン等の多糖類及びその誘導体として、カチオン化物が明記され、使用感に優れる化粧量、口紅組成物、日焼け止め化粧料として使用出来る事が明記されているが、本発明に係るカチオン変性ペクチンとは構造及び機能で異なる。
【0010】
特許文献15には、ペクチン等の酸化誘導体から誘導された酸化オリゴ糖組成物が、創傷ドレッシングならびに他の医療用用途及び製薬用途において、酸化オリゴ糖のアニオン性カルボキシレート基がペプチドおよびタンパク質のカチオン性アミノ基と複合対を形成し、有用な止血性材料となる事が示されているが、カチオン変性ペクチンに関する記述は無い。
【0011】
【特許文献1】特公昭47−20635号公報(第5頁)
【特許文献2】特公昭60−42761号公報(第1−9頁)
【特許文献3】特開昭55−164300号公報(第1−2頁)
【特許文献4】特開平4−364111号公報(第1−6頁)
【特許文献5】特公平7−17491号公報(第1−4頁)
【特許文献6】特開2000−103724号公報(第1−6頁)
【特許文献7】特開平7−238186号公報(第2−3、5−6頁)
【特許文献8】特開平7−173029公報(第1−7頁)
【特許文献9】特許第3349219号公報(第1−6頁)
【特許文献10】特開平1−128914号公報(第1−3頁)
【特許文献11】特開平7−70204号公報(第1−3頁)
【特許文献12】特開平10−29910号公報(第1−4頁)
【特許文献13】特開平10−29915号公報(第1−4頁)
【特許文献14】特開平10−29921号公報(第1−3頁)
【特許文献15】特表2000−514110号公報(第1−6頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明が解決しようとする課題は、従来のカチオン性ポリマーのもつ毛髪や皮膚に対する吸着性を改善し、毛髪処理用組成物に配合した時のすすぎ時のコンディショニング効果の弱さを改善すると共に、乾燥後には保水性に基づくパサツキ感の無い潤いの有るしっとりしたあるいはさっぱりとした使用感を持つ化合物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、ペクチンに特定量の第4級窒素含有基を導入し、かつカチオン電荷量を特定範囲に調節したカチオン変性ペクチンが、化粧料組成物におけるコンディショニング剤として優れた特性をもち、更には乾燥後には保水性に基づくパサツキ感の無い潤いの有るしっとりしたあるいはさっぱりとした使用感を改善出来ることを見出し本発明を完成するに至った。
【0014】
従って本発明は、各種毛髪処理用組成物、皮膚化粧料組成物、その他メイクアップ剤等の化粧料組成物への使用に適する、ペクチンに含まれる水酸基の一部が、下記化学式(1)で表される第4級窒素含有基で置換されたカチオン変性ペクチンであって、該第4級窒素含有基由来のカチオン電荷量が0.1〜3.0meq/gであるカチオン変性ペクチンに関する。
【化1】

(式中R、Rは各々炭素数1〜3個のアルキル基、Rは炭素数1〜24のアルキル基又はアルケニル基を示し、Xは無機酸又は有機酸の陰イオンを示す。nは、n=0又はn=1〜30を示し、n=1〜30の時、(RO)は炭素数2〜4のアルキレンオキサイドの重合体残基であって、単一のアルキレンオキサイドからなるポリアルキレングリコール鎖及び/又は2種類以上のブロック状又はランダム状のアルキレンオキサイドからなるポリアルキレングリコール鎖を示す。)
【0015】
本発明で用いられるペクチンは、主成分が部分的にメチル化されたα1−4結合によって結びついたD−ポリガラクチュロン酸を構成単位とする直鎖状の高分子多糖類であって、カルボキシル基はメチルエステル化されるか、フリーの酸のままかあるいは部分的又は全てナトリウム、カリウム、アンモニウム塩になっているものと考えられており、柑橘類の果皮又はリンゴの果実より抽出/精製/濃縮/乾燥/粉砕することにより得ることができる。このペクチンは、一般的にはコペンハーゲンペクチン社のアルコール沈殿法により製造された「GENU」として容易に入手可能である。
【0016】
このペクチンについては、総ガラクチュロン酸数に対するエステル化されたガラクチュロン酸数の割合、即ちエステル化度が溶解性、ゲル化特性に大きく影響する。ぺクチンの最重要特性は適当な糖と酸の存在下でゲルを形成することである。又、2価の金属イオンによってもゲルを形成する。エステル化度が50%以上のペクチンをHMペクチン、50%以下のペクチンをLMペクチンと称し、HMペクチンのゲルは熱非可逆でLMペクチンは熱可逆的である。
【0017】
本発明によるカチオン変性は、ペクチンに含まれる水酸基の一部に、第4級窒素含有基を有するグリシジルトリアルキルアンモニウム塩または、3−ハロゲノ−2−ヒドロキシプロピルトリアルキルアンモニウム塩を反応させることによって行うことができる。この場合、反応は適当な溶媒、好適には含水アルコール中において、アルカリの存在下で実施される。このような第4級窒素含有基の導入は、従来公知の方法に従って行うことができ、必ずしも例示した方法に限定されるものではない。例えばペクチンに含まれる水酸基の一部に、炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを付加した後、上記グリシジルトリアルキルアンモニウム塩または、3−ハロゲノ−2−ヒドロキシプロピルトリアルキルアンモニウム塩と反応させることによって本発明のカチオン変性ペクチンを製造することもできる。また、反応時に溶媒中でのペクチンの凝集を防ぐため、無機塩、好適には塩化ナトリウムを添加することもできる。更に、ペクチンの凝集を防ぎ、分散性を良くし反応率を上げるため、反応溶媒中にアルカリ及び無機塩を添加後溶解又は分散させ、その後該ペクチンを添加し、溶解又は分散させた後、上記の第4級窒素含有基を導入することでも製造することができる。
【0018】
本発明でペクチン中に導入する前記化学式(1)で示された第4級窒素含有基において、R及びRの具体例としては、メチル、エチル及びプロピルが挙げられ、炭素数1〜24のアルキル基としてのRの具体例としては上記R及びRと同じものの他、オクチル、デシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、ドコシル、オレイル等が挙げられる。ROの具体例としては、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基が挙げられる。また、陰イオンXの具体例としては、塩素イオン、臭素イオン及び沃素イオンなどのハロゲンイオンの他、メチル硫酸イオン、エチル硫酸イオン、酢酸イオン等を挙げることができる。
【0019】
本発明のカチオン変性ペクチンは、毛髪及び皮膚への良好な吸着能を有し、化粧料組成物の配合成分として優れたものであり良好なコンディショニング効果をもたらし、乾燥後には保水性に基づくパサツキ感の無い潤いの有るしっとりしたあるいはさっぱりとした使用感を改善でき、また皮膚化粧料組成物例えばボディ用洗浄剤に配合した場合には皮膚に対するつっぱり感、かさつき感を解消し、べたつき感、ぬるつき感を改善する。従って、本発明はまた、前記本発明のカチオン変性ペクチンを配合したこれらの化粧料組成物にも関する。
【0020】
本発明のカチオン変性ペクチンの、第4級窒素含有基由来のカチオン電荷量は0.1〜3.0meq/gであるが、より好ましくは0.3〜1.5meq/gである。カチオン電荷量が0.1meq/g未満では毛髪や皮膚に対する吸着量が不十分となり、実際シャンプー、リンス、ボディ用洗浄剤等の毛髪処理組成物や皮膚化粧料組成物に配合しても効果は認められない。また、電荷量が3.0meq/gを越えると、そのようなカチオン変性ペクチンを配合した毛髪処理用組成物及び皮膚化粧料組成物を使用しても、使用時に泡立ちの悪化及び、べたつき感、ぬるつき感が生じ使用感を悪化させ、使用後の仕上がり感も、ごわつき感、べたつき感、ざらつき感を生じるなど好ましくない。
【0021】
なお、カチオン変性ペクチンの第4級窒素含有基由来のカチオン電荷量とは、カチオン変性ペクチン1g当たりに含まれる化学式(1)で示された第4級窒素含有基の当量数である。通常は第4級窒素含有基由来の窒素分をケルダール法(旧化粧品原料基準、一般試験方法、窒素定量法、第2法)により求め、測定値から算出できるが、本発明で用いられるペクチン中には、カルボキシル基の中和塩として含有されるアンモニウム塩として窒素分が含まれるため、ケルダール法により求めた本発明のカチオン変性ペクチン中の窒素分から、本発明で用いるペクチン由来の窒素分を引いた値が、第4級窒素含有基由来の窒素分となる。具体的に説明すると、化学式(1)で示された第4級窒素含有基のR、R、Rはメチル、Xは塩素イオン、nは、n=0の第4級窒素含有基でペクチンをカチオン変性することで得られた本発明品の窒素分は、ケルダール法により測定した結果、4.70%であった場合、この物質のカチオン電荷量は以下の式にて求められる。本発明で用いられるペクチン中には、通常窒素分を1.89%前後含有している。

【0022】
本発明のカチオン変性ペクチンの毛髪処理用組成物や皮膚化粧料組成物に対する配合量は、組成物全体を100質量%として、0.05〜5質量%が好ましく、0.05質量%未満ではコンディショニング効果、乾燥後の保水性に基づくパサツキ感の無い潤いの有るしっとりしたあるいはさっぱりとした使用感が十分に発揮されない傾向にあり、5質量%を越えると使用時にぬるつき感、べたつき感、ごわつき感が生じると共に、柔軟性が悪化し、使用感が悪くなる傾向がある。
【0023】
また、本発明の毛髪処理用組成物にはコンディショニング効果及び使用感の向上の為、さらに種々のカチオン性水溶性高分子、両性水溶性高分子を併用することができるが、その配合量はカチオン変性ペクチンの毛髪に対する柔軟性を損なわない範囲であり、組成物全体を100質量%として、5質量%以下が好ましく、これを超えると使用時にごわつき感が生じ使用感が悪くなり毛髪に対する柔軟性も悪化する傾向にある。さらに、皮膚化粧料組成物に於いては、ぬるつき感が生じ、使用感が悪くなる。
【0024】
配合されるカチオン性水溶性高分子、両性水溶性高分子としては、下記のようなものが挙げられるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0025】
カチオン性水溶性高分子の例としては、第4級窒素変性ポリサッカライド(カチオン変性ヒドロキシエチルセルロース、カチオン変性グアーガム、カチオン変性ローカストビーンガム、カチオン変性デンプン、カチオン変性タラガム、カチオン変性タマリンドガム等)、塩化ジメチルジアリルアンモニウム誘導体(塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体、ポリ塩化ジメチルメチレンピペリジニウム等)、ビニルピロリドン誘導体(ビニルピロリドン・ジメチルアミノエチルメタクリル酸共重合体塩、ビニルピロリドン・メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド共重合体、ビニルピロリドン・塩化メチルビニルイミダゾリウム共重合体等)、メタクリル酸誘導体(メタクリロイルエチルジメチルベタイン・塩化メタクリロイルエチルトリメチルアンモニウム・メタクリル酸2−ヒドロキシエチル共重合体、メタクリロイルエチルジメチルベタイン・塩化メタクリロイルエチルトリメチルアンモニウム・メタクリル酸メトキシポリエチレングリコール共重合体等)等が挙げられる。
【0026】
両性水溶性高分子の例としては、両性化デンプン、塩化ジメチルジアリルアンモニウム誘導体(アクリルアミド・アクリル酸・塩化ジメチルジアリルアンモニウム共重合体、アクリル酸・塩化ジメチルジアリルアンモニウム共重合体等)、メタクリル酸誘導体(ポリメタクリロイルエチルジメチルベタイン、N-メタクリロイルオキシエチルN,N-ジメチルアンモニウム-α-メチルカルボキシベタイン・メタクリル酸アルキル共重合体等)等が挙げられる。
【0027】
上述のように、本発明のカチオン変性ペクチンを公知の処方により処方系内に所要量配合することで本発明の化粧料が得られるが、化粧料中の他の成分は特に限定されず、化粧料に一般に用いられる成分を任意成分として配合することが可能である。配合可能な他の成分を下記に例示する。
【0028】
アニオン界面活性剤としては、アルキル(炭素数8〜24)硫酸塩、アルキル(炭素数8〜24)エーテル硫酸塩、アルキル(炭素数8〜24)ベンゼンスルホン酸塩、アルキル(炭素数8〜24)リン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキル(炭素数8〜24)エーテルリン酸塩、アルキル(炭素数8〜24)スルホコハク酸塩、ポリオキシアルキレンアルキル(炭素数8〜24)エーテルスルホコハク酸塩、アシル(炭素数8〜24)化アラニン塩、アシル(炭素数8〜24)化N−メチル−β−アラニン塩、アシル(炭素数8〜24)化グルタミン酸塩、アシル(炭素数8〜24)化イセチオン酸塩、アシル(炭素数8〜24)化サルコシン酸塩、アシル(炭素数8〜24)化タウリン塩、アシル(炭素数8〜24)化メチルタウリン塩、α―スルホ脂肪酸エステル塩、エーテルカルボン酸塩、ポリオキシアルキレン脂肪酸モノエタノールアミド硫酸塩、長鎖(炭素数8〜24)カルボン酸塩等が挙げられる。
【0029】
ノニオン界面活性剤としては、アルカノールアミド、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレングリコールエーテル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビット脂肪酸エステル、ソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、テトラポリオキシアルキレンエチレンジアミン縮合物類、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン脂肪酸アミド、ポリオキシアルキレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンヒマシ油誘導体、ポリオキシアルキレン硬化ヒマシ油誘導体、アルキルポリグリコシド、ポリグリセリン脂肪酸エステル等が挙げられる。
【0030】
両性界面活性剤としては、アルキル(炭素数8〜24)アミドプロピルベタイン、アルキル(炭素数8〜24)カルボキシベタイン、アルキル(炭素数8〜24)スルホベタイン、アルキル(炭素数8〜24)ヒドロキシスルホベタイン、アルキル(炭素数8〜24)アミドプロピルヒドロキシスルホベタイン、アルキル(炭素数8〜24)ヒドロキシホスホベタイン、アルキル(炭素数8〜24)アミノカルボン酸塩、アルキル(炭素数8〜24)アンホNa、アルキル(炭素数8〜24)アミンオキシド、3級窒素及び4級窒素を含むアルキル(炭素数8〜24)リン酸エステル等が挙げられる。
【0031】
油分としては、オリーブ油、ホホバ油、流動パラフィン、脂肪酸アルキルエステル等が挙げられる。また、パール化剤としては、脂肪酸エチレングリコール等、懸濁剤としてはポリスチレン乳化物等が挙げられる。
【0032】
また本発明の毛髪処理用組成物や皮膚化粧料組成物に配合されるカチオン性、両性水溶性高分子以外にも、粘度調整及びスタイリング時の使用性をある程度改善するなどの目的によりアニオン性、ノニオン性高分子を、本発明の効果を損なわない範囲でさらに配合することができ、例えば下記のようなものが挙げられる。
【0033】
アニオン性高分子の例としては、アクリル酸誘導体(ポリアクリル酸及びその塩、アクリル酸・アクリルアミド・アクリル酸エチル共重合体及びその塩等)、メタクリル酸誘導体(ポリメタクリル酸及びその塩、メタクリル酸・アクリルアミド・ジアセトンアクリルアミド・アクリル酸アルキルエステル・メタクリル酸アルキルエステル共重合体及びその塩等)、クロトン酸誘導体(酢酸ビニル・クロトン酸共重合体等)、マレイン酸誘導体(無水マレイン酸・ジイソブチレン共重合体、イソブチレン・マレイン酸共重合体等)、ポリグルタミン酸及びその塩、ヒアルロン酸及びその塩、カルボキシメチルセルロース、カルボキシビニルポリマー等が挙げられる。
【0034】
ノニオン性高分子の例としては、アクリル酸誘導体(アクリル酸ヒドロキシエチル・アクリル酸メトキシエチル共重合体、ポリアクリル酸アミド等)、ビニルピロリドン誘導体(ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン・酢酸ビニル共重合体等)、ポリオキシアルキレングリコール誘導体(ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等)、セルロース誘導体(メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等)、ポリサッカライド及びその誘導体(グアーガム、ローカストビーンガム、デキストラン等)等が挙げられる。
【0035】
さらに別の態様において、本発明の毛髪処理用組成物及び皮膚化粧料組成物に、アミドアミン化合物を有機酸及び/又は無機酸等の中和剤で完全または部分中和したアミドアミン化合物の有機酸塩及び又は無機酸塩さらに、高級脂肪酸及び/または高級アルコールを添加することで、コンディショニング効果を向上することができる。その配合量はアミドアミン化合物として組成物全体を100質量%として、5質量%以下が好ましく、これを越えると、使用後の感触が重くなったり、ぬるつきを生じ、使用感が悪くなる。
【0036】
本発明の毛髪処理用組成物及び皮膚化粧料組成物に配合されるその他の成分としては、カチオン界面活性剤(アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルピリジウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、塩化ベンゼトニウム、塩化ベンザルコニウム等)、可溶化剤(エタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール等)、ワックス類(カルナバロウ、キャンデリラロウ等)、炭化水素油(流動パラフィン、スクワラン等)、保湿剤(グリセリン、トレハロース、ソルビトール、マルチトール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ヒアルロン酸Na等)、エステル類(ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸−2−ヘキシルデシル、トリミリスチン酸グリセリン、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸−2−ヘプチルウンデシル、パルミチン酸−2−ヘキシルデシル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸イソセチル、12−ヒドロキシステアリン酸コレステリル、セトステアリルアルコール、オクタン酸セチル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、イソステアリン酸イソセチル、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、オレイン酸デシル、オレイン酸オイル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、酢酸エチル、酢酸ブチル酢酸アミル、酢酸ラノリン、2−エチルヘキサン酸セチル、2−エチルヘキシルパルミテート、ジ−2−エチルヘキシル酸エチレングリコール、トリ−2−エチルヘキシル酸トリメチロールプロパン、トリ−2−エチルヘキシル酸グリセリン、テトラ−2−エチルヘキシル酸ペンタエリスリトール、セチル−2−エチルヘキサノエート、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸−2−ヘプチルウンデシル、アジピン酸−2−ヘキシルデシル、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセライド、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、アセトグリセライド、N−ラウロイル−L−グルタミン酸−2−オクチルドデシルエステル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル、セバシン酸ジイソプロピル、コハク酸−2−エチルヘキシル、クエン酸トリエチル、エチルラウレート、ミンク油脂肪酸エチル等)、酸化防止剤(トコフェロール、BHT等)、シリコーン(メチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、高重合度メチルポリシロキサン、環状ポリシロキサン等)及びシリコーン誘導体(ポリエーテル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、(メタ)アクリル−シリコーン系グラフト共重合物等)、高級アルコール、高級脂肪酸(ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、ウンデシレン酸、トール油脂肪酸、ヤシ油脂肪酸、パーム脂肪酸、パーム核脂肪酸、リノール酸、リノレイン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸等)、アミノ酸類(アルギニン、グルタミン酸等)、紫外線吸収剤(ベンゾフェノン誘導体、パラアミノ安息香酸誘導体、メトキシ桂皮酸誘導体等)、紫外線散乱剤(酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化チタン等の無機化合物)、増粘剤、金属封鎖剤(エデト酸塩等)、pH調整剤、殺菌剤、防腐剤、育毛剤、ビタミン類、抗炎症剤、色素、顔料(二酸化チタン等の無機白色顔料、酸化鉄(ベンガラ)、チタン酸鉄等の無機赤色系顔料、チタン酸コバルト等の無機緑色系顔料、酸化鉄処理雲母チタン、カーボンブラック処理雲母チタン等)、香料、起泡増進剤等が挙げられる。
【0037】
上述の本発明にかかる化粧料組成物の剤型は限定されず任意の剤型を取ることができ、さらに上記(必須)成分の他に本発明の効果を損なわない範囲で、その剤型によって通常当該化粧料組成物に配合される各種成分を加え常法により製造することができるが、中でも毛髪処理用組成物として好ましく使用できる。剤型としては、シャンプー、リンス、コンディショナー、ヘアワックス、ヘアローション、ヘアミスト等が挙げられ、いずれも本発明のカチオン変性ペクチンの化粧料組成物におけるコンディショニング剤として優れた特性をもち、更には使用感向上効果から、ボディ用洗浄剤、洗顔料、ローションへの利用も可能であり、酸性染毛料、酸化染毛料、パーマ剤等へ配合することも可能である。
【実施例】
【0038】
以下に本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。特に指定のない限り、配合量は質量%で示す。
【0039】
[カチオンペクチンの製造]
実施例1
48質量%の水酸化ナトリウム水溶液0.1g及び塩化ナトリウム2.0gを、80容量%のイソプロパノール水溶液374mlに添加した後、GENUペクチンLM−102AS−J(コペンハーゲンペクチン社製)82.0gを徐々に添加し分散させた。次に80質量%グリシジルトリメチルアンモニウムクロライド(以下GTAとも記す)水溶液145.0gを加え、加温し50℃で3時間反応させた。反応終了後35%塩酸1.34gを80容量%のイソプロパノール水溶液699mlで希釈し、中和に使用した。室温で1時間中和後、メタノール636mlに反応液を注ぎ、反応生成物を沈殿させ、濾別した。得られた沈殿物をメタノール水溶液にて洗浄した後、反応生成物を減圧下で乾燥した。このようにして得られたカチオン変性ペクチンのカチオン電荷量は2.01meq/gであった。この結果を表1に示した(表1中、試料番号1)。
【0040】
同様に添加するGTAの量を変えることでカチオン電荷量の異なるカチオン変性ペクチンを合成した。この結果を表1中に示した(表1中、試料番号2)。
【0041】
実施例2
48質量%の水酸化ナトリウム水溶液0.1g及び塩化ナトリウム2.0gを、80容量%のイソプロパノール水溶液374mlに添加した後、GENUペクチンLM−102AS−J(コペンハーゲンペクチン社製)82.0gを徐々に添加し分散させた。次に3−ハロゲノ−2−ヒドロキシプロピルジメチルモノラウリルアンモニウムクロライド327.3gを加え、加温し50℃で3時間反応させた。反応終了後35%塩酸1.34gを80容量%のイソプロパノール水溶液699 mlで希釈し、中和に使用した。室温で1時間中和後、メタノール636mlに反応液を注ぎ、反応生成物を沈殿させ、濾別した。得られた沈殿物をメタノール水溶液にて洗浄した後、反応生成物を減圧下で乾燥した。このようにして得られたカチオン変性ペクチンのカチオン電荷量は1.95meq/gであった。この結果を表1中に示した(表1中、試料番号3)。
実施例3
加圧密閉容器内でGENUペクチンLM−102AS−J(コペンハーゲンペクチン社製)82.0gを80容量%のイソプロパノール水溶液730mlに分散させ、48質量%の水酸化ナトリウム水溶液16.3gを添加した。次にエチレンオキサイド9.3g、プロピレンオキサイド32.6gを加え、加温し70℃で3時間、加圧密閉下で反応させた。反応終了後解圧し、50℃ま冷却する。冷却後、80質量%GTA水溶液156.7gを加え、50℃で3時間反応させる。反応終了後35%塩酸1.34gを80容量%のイソプロパノール水溶液699mlで希釈し、中和に使用した。室温で1時間中和後、メタノール636mlに反応液を注ぎ、反応生成物を沈殿させ、濾別した。得られた沈殿物をメタノール水溶液にて洗浄した後、反応生成物を減圧下で乾燥した。このようにして得られたカチオン変性ペクチンのカチオン電荷量は1.98meq/gであった。この結果を表1に示した(表1中、試料番号4)。
【0042】
例1
実施例1の方法に準じ、添加するGTAの量を変えることで電荷量の異なるカチオン変性ペクチンを合成した。この結果を表1中に示した(表1中、試料番号5、6)。
【0043】
比較例1
本発明のカチオン変性ペクチンと比較するために、マンノースとガラクトースの組成比が2対1であるグアーガム及び4対1であるローカストビーンガムを実施例1の方法に準じてカチオン変性した。得られたカチオン変性グアーガムの窒素含有率は1.7質量%、カチオン電荷量は0.74meq/gであった。一方、カチオン変性ローカストビーンガムの窒素含有率は1.9質量%、カチオン電荷量は0.72meq/gであった。この結果を表1中に示した(表1中、試料番号7、8)。なお、未変性のグアーガム及びローカストビーンガムに含まれる窒素はそれぞれ0.7質量%、0.9質量%であった。
【0044】
【表1】

【0045】
[カチオン変性ペクチンを配合した各化粧料の製造とその評価]
実施例4 毛髪に対する柔軟性(その1)
カチオン変性したペクチンの毛髪に対する柔軟性を洗い流し製品
(ヘアシャンプー)で確認した。
(ヘアシャンプーの調製)
4−a
実施例1、2及び3で得たカチオン変性ペクチンを用いて表2の(A)に示した組成のシャンプーを調製した。表2中の(A)の成分(12)を60℃に加熱し、成分(1)を攪拌しながらゆっくり加え溶解させ、溶解を確認した後、加熱を止め成分(5)〜(7)を加えて攪拌して均一とし、30〜40℃で成分(8)〜(11)を加え均一に混合した。こうして表2の(A)に示した組成のシャンプーを各々調製し、表1中の試料番号1、2、3、及び4に対応するカチオン変性ペクチンから調製したものを順に、本発明品の処方S1〜S4とした。
【0046】
4−b
実施例1で得た試料番号1のカチオン変性ペクチンを用い、さらにカチオン性水溶性高分子としてエチレンオキサイド平均付加モル数1.8、窒素含有率1.8質量%のカチオン変性ヒドロキシエチルセルロース(カチナールHC-100;東邦化学工業(株)社製)を含む、表2の(B)に示した組成のシャンプーを調製した。表2中の(B)の成分(12)を60℃に加熱し、成分(1)及び(3)を攪拌しながらゆっくり加え溶解させ、溶解を確認した後、加熱を止め成分(5)〜(7)を加えて攪拌して均一とし、30〜40℃で成分(8)〜(11)を加え均一に混合し、得られたシャンプーを本発明品の処方S5とした。
【0047】
4−c
実施例1で得た試料番号1のカチオン変性ペクチンを用い、さらに両性水溶性高分子としてN-メタクリロイルオキシエチルN,N-ジメチルアンモニウム-α-メチルカルボキシベタイン・メタクリル酸アルキル共重合体(YukaformerSM;三菱化学株式会社製)を含む、表2の(C)に示した組成のシャンプーを調製した。表2中の(C)の成分(12)を60℃に加熱し、成分(1)及び(4)を攪拌しながらゆっくり加え溶解させ、溶解を確認した後、加熱を止め成分(5)〜(7)を加えて攪拌して均一とし、30〜40℃で成分(8)〜(11)を加え均一に混合し、本発明品の処方S6とした。
【0048】
4−d
実施例1で得た試料番号1のカチオン変性ペクチンを用い、さらにカチオン性水溶性高分子と両性水溶性高子の両方を含む、表2の(D)に示した組成のシャンプーを調製した。表2中の(D)の成分(12)を60℃に加熱し成分(1)及び(3)、(4)を攪拌しながらゆっくり加え溶解させ、溶解を確認した後、加熱を止め成分(5)〜(7)を加えて攪拌して均一とし、30〜40℃で成分(8)〜(11)を加え均一に混合し、得られたシャンプーを本発明品の処方S7とした。
【0049】
4−e(比較品の調製)
本発明で用いるカチオン変性ペクチンのシャンプーにおける効果を比較するため、例1で得た表1中の試料番号5及び6のカチオン変性ペクチンを用いて表2の比較品(E)に示した組成のシャンプーを調製した。表2中の比較品(E)の成分(12)を60℃に加熱し成分(2)を攪拌しながらゆっくり加え溶解させた。溶解を確認した後、加熱を止め成分(5)〜(7)を加えて攪拌して均一とし、30〜40℃で成分(8)〜(11)を加え均一に混合し、表1中の試料番号5及び6を含むシャンプーを、それぞれ比較品C1及びC2とした。
【0050】
4−f(比較品の調製)
本発明で用いるカチオン変性ペクチンのシャンプーにおけるその効果を比較するため、上記4−eで使用した試料番号5の代わりに、同じ配合割合の未変性ペクチン用い、表2の比較品(E)に示した組成のシャンプーを4−eと同様に調製し、これを比較品C3とした。
【0051】
【表2】

【0052】
(評価)
先述の4−a〜4−fで調製した、各々の本発明品の処方S1〜S7のシャンプーと比較品C1、C2及びC3のシャンプー、さらにブランクとして表2のブランク(F)に示す組成からなるシャンプーを、それぞれ1.0g用いて15gの毛髪ストランド(全長180mm)を洗髪した。その後流水中ですすぎ、恒温恒湿(20℃、40%RH)雰囲気中に24時間放置し、自然乾燥を行った。その後毛髪のコシの強さを純曲げ試験機(カトーテック株式会社製、KES-FB2-S)にて測定した。その結果を表3に示した。尚、ブランクは表2のブランク(F)中の成分(12)を60℃に加熱した後、成分(5)〜(7)を加え攪拌して均一とした後、冷却し30〜40℃で成分(8)〜(11)を加え均一に混合して調製した。
【0053】
先述の4−a〜4−fで調製した、各々の本発明品の処方S1〜S7のシャンプーと比較品C1、C2及びC3のシャンプー、さらにブランクとして表2のブランク(F)に示す組成からなるシャンプーについて、10名のテスターにより洗髪した後、ドライヤーにて乾燥した後の毛髪の柔らかさを確認した。仕上がりの髪質が柔らかいと感じたテスターの人数により次の基準で評価し、その結果を表3中に示した。
・髪質が柔らかいと感じたテスターが8名以上・・・◎
・髪質が柔らかいと感じたテスターが6〜7名・・・○
・髪質が柔らかいと感じたテスターが4〜5名・・・△
・髪質が柔らかいと感じたテスターが4名未満・・・×
【0054】
【表3】

【0055】
表3の結果から、ペクチンをカチオン変性した試料番号1、2,3,4のカチオン変性ペクチンを含む本発明品のシャンプーS1〜S4はブランクと比較すると曲げ剛性(B値)に大きな変化は認められないが、ヒステリシス幅(2HB)がともに向上している。同様の結果はカチオン電荷量値が本発明の範囲よりも高い試料番号6のカチオン変性ペクチンを含む比較品C2にもみられたが、曲げ剛性が大きくなりすぎ、ごわつき感を示唆する結果となった。一方、カチオン電荷量値が本発明の範囲よりも低い試料番号5のカチオン変性ペクチンを含む比較品C1及び未変性のペクチンを含む比較品C3はブランクとほぼ同じ結果となった。これは未変性のペクチン及びカチオン電荷量値が本発明の範囲よりも低いカチオン変性ペクチンを洗い流し製品に用いた場合、毛髪に対しイオン性に基づく吸着能が得られず、該ペクチンの毛髪への吸着が少ないので、その効果が得られなかったことを示したものと考えられる。これに対し、ペクチンをカチオン変性した本発明品は、毛髪へのイオン性に基づく吸着能を有するので、シャンプーのような洗い流し製品に於いて柔軟性が得られる。その結果、ヒステリシス値の向上、さらに、手による感触面では毛髪へ柔らかな感触を与える等の効果が得られた。よって、本発明のカチオン変性ペクチンはシャンプー、リンス等の洗い流し製品に配合した場合においても、その効果を十分発揮することが判った。
【0056】
また、本発明のカチオン変性ペクチンとエチレンオキサイド平均付加モル数1.8、窒素含有率1.8質量%のカチオン変性ヒドロキシエチルセルロース(カチナールHC-100;東邦化学工業(株)社製)、N-メタクリロイルオキシエチルN,N-ジメチルアンモニウム-α-メチルカルボキシベタイン・メタクリル酸アルキル共重合体(YukaformerSM;三菱化学株式会社製)等のコンディショニング効果を持つ水溶性高分子と併用した系に於いてヒステリシス幅(2HB)に大きな差は無く、併用によってもその効果は失われないばかりか、曲げ剛性が適度に改善され、毛髪へのコシを与えることが確認された。
【0057】
実施例5 毛髪に対する柔軟性(その2)
(評価)
実施例4で調整した各々の本発明品の処方S1〜S7のシャンプーと、比較品C1、C2及びC3のシャンプーを用い、本発明のカチオン変性ペクチンの損傷した毛髪に対する柔軟性を洗い流し製品で確認した。実施例4で使用したものと同様の毛髪ストランドを、6%H2O2と3%アンモニア水の2対1混合液(w/w)のブリーチ剤に、浴比1対100(毛髪ストランド重量対ブリーチ剤溶液重量)、40℃の条件下で60分間浸漬した。温水で洗浄後、ドライヤーで乾燥した。このブリーチ処理により得られた損傷の著しい毛髪ストランドを、先述の4−a〜4−dで調製した本発明品の処方S1〜S7、4−e、4−fで調製した比較品C1〜C3、さらにブランクとして表2のブランク(F)に示す組成からなるシャンプーを、それぞれ1.0g用いて15gの毛髪ストランド(全長180mm)を洗髪した。その後流水中ですすぎ、恒温恒湿(20℃、40%RH)雰囲気中に24時間放置し、自然乾燥を行った。その後毛髪のコシの強さを純曲げ試験機(カトーテック株式会社製、KES-FB2-S)にて測定した。その結果を表4に示した。
【0058】
【表4】

【0059】
表4の結果から損傷毛髪で評価した場合、本発明品を含むシャンプーS1〜S7をブランクと比較すると、曲げ剛性(B値)とヒステリシス幅(2HB)がともに向上している。同様の結果は、カチオン電荷量値が本発明の範囲よりも高い試料番号6のカチオン変性ペクチンを含む比較品C2にもみられる。一方、カチオン電荷量値が本発明の範囲よりも低い試料番号5のカチオン変性ペクチンを含む比較品C1では、曲げ剛性はかなり向上しているが、ヒステリシス幅はブランクとの優位差を確認できる程度の向上は得られず、未変性のペクチンを含む比較品C3でもほぼ比較品C1と同様の結果であった。更に、実施例4のブリーチ未処理の健常毛髪で評価した場合よりも、曲げ剛性、ヒステリシス幅ともにブランクとの差が大きくなっていることから、本発明品の損傷毛髪での有用性が確認された。
【0060】
また、本発明のカチオン変性ペクチンとエチレンオキサイド平均付加モル数1.8、窒素含有率1.8質量%のカチオン変性ヒドロキシエチルセルロース(カチナールHC-100;東邦化学工業(株)社製)、N-メタクリロイルオキシエチルN,N-ジメチルアンモニウム-α-メチルカルボキシベタイン・メタクリル酸アルキル共重合体(YukaformerSM;三菱化学株式会社製)等のコンディショニング効果を持つ水溶性高分子と併用した系に於いてヒステリシス幅(2HB)に余り大きな差は無く、併用によってもその効果は失われないばかりか、曲げ剛性が適度に改善され、毛髪へのコシを与えることが確認された。
【0061】
以下、カチオン変性したペクチンにより得られるコンディショニング効果及び柔軟性を、剤型の異なる化粧料組成物それぞれにおいてさらに確認した。
【0062】
ヘアシャンプー
(調製)
実施例6
6−a
実施例1、2及び3で得た本発明の試料番号1、2、3、4のカチオン変性ペクチンを用いて表6の(A)に示した組成のシャンプーを調製した。表6中の(A)の成分(14)を60℃に加熱し成分(1)を攪拌しながらゆっくり加え溶解させ、溶解を確認した後、加熱を止め(5)〜(10)を加えて攪拌して均一とし、さらに30〜40℃で成分(11)〜(13)を加え均一に混合した。こうして表1中の試料番号1、2,3、4に対応するカチオン変性ペクチンを配合した表6の(A)に示した組成のシャンプーを各々調製し、表1中の試料番号1、2、3、4を含むシャンプーを順に、本発明の処方1〜4とした。
【0063】
6−b
実施例1で得た試料番号1のカチオン変性ペクチンを用い、さらにカチオン性水溶性高分子Aとしてエチレンオキサイド平均付加モル数1.8、窒素含有率1.8質量%のカチオン変性ヒドロキシエチルセルロース(カチナールHC-100;東邦化学工業(株)社製)を含む、表6の(B)に示した組成のシャンプーを調製した。表6中の(B)の成分(14)を60℃に加熱し、成分(1)及び(3)を攪拌しながらゆっくり加え溶解させ、溶解を確認した後、加熱を止め成分(5)〜(10)を加えて攪拌して均一とし、さらに30〜40℃で成分(11)〜(13)を加え均一に混合し、得られたシャンプーを本発明品の処方5とした。
【0064】
6−c
上記カチオン性水溶性高分子Aの代わりにカチオン性水溶性高分子Bとして塩化ジアリルジメチルアンモニウム・アクリルアミド共重合体(Merquat 550;NALCO社製)を含む表6の(C)に示した組成のシャンプーを同様に調製し、これを本発明品の処方6とした。
【0065】
6−d
実施例1で得た試料番号1のカチオン変性ペクチンを用い、さらに両性水溶性高分子としてN-メタクリロイルオキシエチルN,N-ジメチルアンモニウム-α-メチルカルボキシベタイン・メタクリル酸アルキル共重合体(YukaformerSM;三菱化学株式会社製)を含む、表6の(D)に示した組成のシャンプーを調製した。表6中の(D)の成分(14)を60℃に加熱し成分(1)及び(4)を攪拌しながらゆっくり加え溶解させ、溶解を確認した後、加熱を止め成分(5)〜(10)を加えて攪拌して均一とし、さらに30〜40℃で成分(11)〜(13)を加え均一に混合し、得られたシャンプーを本発明品の処方7とした。
【0066】
6−e
実施例1で得た試料番号1のカチオン変性ペクチンを用いてカチオン性水溶性高分子、両性水溶性高子を含む、表6の(E)に示した組成のシャンプーを調製した。表6中の(E)の成分(14)を60℃に加熱し成分(1)及び(3)、(4)を攪拌しながらゆっくり加え溶解させ、溶解を確認した後、加熱を止め成分(5)〜(10)を加えて攪拌して均一とし、30〜40℃で成分(11)〜(13)を加え均一に混合し、得られたシャンプーを本発明品の処方8とした。
【0067】
6−f(比較品の調製)
本発明によるカチオン変性ペクチンのシャンプーにおけるその効果を比較するため、例1で得たカチオン変性ペクチン、すなわち表1中の試料番号5及び6を用いて表6の比較品(G)に示した組成のシャンプーを調製した。表6中の比較品(G)の成分(14)を60℃に加熱し成分(2)を攪拌しながらゆっくり加え溶解させた。溶解を確認した後、加熱を止め成分(5)〜(10)を加えて攪拌して均一とし、30〜40℃で成分(11)〜(13)を加え均一に混合し、得られたシャンプーをそれぞれ比較品1及び2とした。
【0068】
6−g(比較品の調製)
さらに効果を比較する為、上記6−fにおけるカチオン変性ペクチンの代わりに、比較例1で得た、本発明品と主鎖のマンノースと側鎖のガラクトースの組成比の異なる、カチオン変性ガラクトマンナン多糖、すなわち表1中の試料番号7及び8を用いて、表6の比較品(G)に示した組成のシャンプーを6−fと同様に調製し、それぞれを比較品3及び4とした。
【0069】
6−h(比較品の調製)
さらに他のカチオン性ポリマーとその効果を比較する為、先述の6−fにおけるカチオン変性ペクチンの代わりに、エチレンオキサイド平均付加モル数1.8、窒素含有率1.8質量%のカチオン変性ヒドロキシエチルセルロース(カチナールHC-100;東邦化学工業(株)社製)を用い、表6の比較品(G)に示した組成のシャンプーを6−fと同様に調製し、これを比較品5とした。
【0070】
【表6】

【0071】
実施例7
(評価)
実施例6−aないし6−eで調製した各々のシャンプー、すなわち本発明品の処方1〜8について10名のテスターにより次に示した項目の性能評価を実施した。
性能評価方法は、成分にカチオン性ポリマー等を含まない表2の標準品(F)に示される組成のシャンプーと、それぞれ評価するべき対象のシャンプーとを使用し、洗髪時の使用感、泡立ち、泡質、保水性について、標準品(F)を基準にして、
・洗髪使用時におけるコンディショニング効果の有無(櫛通り感、髪の手触り、及びすすぎ後のきしみ感など)
・使用後(乾いた髪)のコンディショニング効果の有無(櫛通り感、髪の手触りなど)
・泡立ち・泡質
・保水性
について比較し、下記表8、9、10に示す方法にて数値化し、それぞれの項目について10名のテスターの評価の値を合計した。この評価結果を表11に示した。尚、上記標準品(F)は表6の標準品(F)中の成分(14)を60℃に加熱した後、成分(5)〜(10)を加え攪拌して均一とした後、冷却し30〜40℃で成分(11)〜(13)を加え均一に混合して調製した。
【0072】
比較例1
6−f、6−g及び6−hで調製した各々のシャンプー、比較品1〜5について、実施例7と同様に性能評価を実施し、その結果を表11中に示した。
【0073】
【表8】

【0074】
【表9】

【0075】
泡立ち測定方法
SANYOミキサー PRO Big 1200 チタンミキサー(容量:1200mL)中に、表6のシャンプーの1.5%水溶液を調整し、40℃、175mLを採取し10秒間撹拌した時の泡の量を測定した。
泡質測定方法
頭髪を左右に分け、片方に標準品3gをもう片方に本発明品処方及び比較品3gを施し洗髪し泡のクリーミー感にて評価した。
保水性
本発明品、標準品、比較品シャンプー1.0gにて、それぞれ15gの毛髪ストランド(全長180mm)を洗髪した。その後流水中ですすぎ、恒温恒湿(20℃、40%RH)雰囲気中に24時間放置し、自然乾燥を行った。洗髪直後及び24時間放置後の毛髪ストランドの重量を測定し、その差を毛髪ストランドの重量(15g)で割った数値を保水性の評価とした。
【表10】

【0076】
【表11】

【0077】
表11の結果から、カチオン変性ペクチンのカチオン電荷量が0.1〜3.0meq/gにある本発明のカチオン変性ペクチンは、毛髪処理用組成物に配合した時のすすぎ時のコンディショニング効果の弱さを改善すると共に、乾燥後には保水性に基づくパサツキ感の無い潤いの有るしっとりしたあるいはさっぱりとした使用感が確認された。
【0078】
また、本発明品を含むシャンプーの性能は、従来よりコンディショニング剤として用いられるカチオン変性ヒドロキシエチルセルロース(カチナールHC-100)のみを含む比較品5と比較すると、コンディショニング効果については使用後で同等以上であるが、使用後において従来のコンディショニング剤には無いカチオン変性ペクチンのもつパサツキ感の無い潤いの有るしっとりしたあるいはさっぱりとした使用感が得られた。また、配合成分に、カチオン性水溶性高分子(カチナールHC-100、Merquat 550)及び/又は両性水溶性高分子(Yukaformer SM)を併用することにより、本発明のカチオン変性ペクチン類のもつ性能を損なう事が無い事が確認された。表11の結果から、シャンプーに用いた場合、洗髪時の泡立ちと、使用時の指通り、手触りなどのコンディショニング効果に優れ、使用後ではパサツキ感の無い潤いの有るしっとりしたあるいはさっぱりとした使用感が確認された。
【0079】
一方、マンノースとガラクトースの組成比が異なるグアーガム及びローカストビーンガムをカチオン変性した試量番号7及び8を含む比較品3及び4では、洗浄時の指通り等のコンディショニング効果はある程度は得られるものの、乾燥後のしっとり感や柔軟性に乏しいことが確認された。また、本発明品を含むシャンプーの性能は、従来よりコンディショニング剤として用いられるカチオン性ポリマー(カチオン変性ヒドロキシエチルセルロース:カチナールHC-100)を含む比較品5と比較すると、使用時の評価は同等以上であり、使用後においては、従来のコンディショニング剤には無い、本発明のカチオン変性ペクチンのもつパサツキ感の無い潤いの有るしっとりしたあるいはさっぱりとした使用感が確認された。また、配合成分に、カチオン性水溶性高分子(カチナールHC-100、Merquat
550)及び/又は両性水溶性高分子(Yukaformer SM)を併用することにより、本発明のカチオン変性ペクチンのもつ性能を損なう事が無い事が確認された。
【0080】
(配合例1〜3)
以下に、シャンプーへの本発明の好適な配合例を示す。
【表12】

精製水を60℃に加熱し、他成分を加え均一に溶解した後、冷却した。
【0081】
【表13】

精製水を60℃に加熱し、他成分を加え均一に溶解した後、冷却した。
【0082】
【表14】

精製水を60℃に加熱し、他成分を加え均一に溶解した後、冷却した。
【0083】
ヘアリンス
(調製)
実施例8
8−a
実施例1で得られた試料番号1のカチオン変性ペクチンを用いて下記表15の(A)に示した、アミドアミン化合物と中和剤としてグリコール酸を用い中和した、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド・グリコール酸塩とさらには、高級アルコール(セタノール)を含む組成のリンスを調製した。表15の(A)の成分(5)〜(11)を80℃に加熱し、攪拌して均一にした溶液に、予め成分(13)に成分(1)を攪拌しながら加え溶解させた溶液を60℃に加熱したものを攪拌しながら加えた後、冷却しながら成分(12)を加えて均一に混合した。こうして表15の(A)に示した組成のリンスを調製し、表1中の試料番号1のカチオン変性ペクチンを含むリンスを本発明品の処方9とした。
【0084】
8−b
実施例1、2及び3で得られた試料番号2,3,4のカチオン変性ペクチンを用いて下記表15の(B)に示した、アミドアミン化合物の有機酸塩(ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド・グリコール塩)と高級アルコール(セタノール)、シリコーンを含む組成のリンスを調製した。表15の(B)の成分(5)〜(11)を80℃に加熱し、攪拌して均一にした溶液に、予め成分(13)に成分(1)を攪拌しながら加え溶解させた溶液を60℃に加熱したものを攪拌しながら加えた後、冷却しながら成分(12)を加えて均一に混合した。こうして表15の(B)に示した組成のリンスを各々調製し、表1中の試料番号2,3,4の本発明のカチオン変性ペクチンを含むリンスを順に、本発明品の処方10〜12とした。
【0085】
8−c
実施例1で得た試料番号1のカチオン変性ペクチンを用い、さらにカチオン性水溶性高分子としてエチレンオキサイド平均付加モル数1.8、窒素含有率1.8質量%のカチオン変性ヒドロキシエチルセルロース(カチナールHC-100;東邦化学工業(株)社製)を含む、表15の(C)に示した組成のリンスを調製した。表15の(C)の成分(5)〜(11)を80℃に加熱し、攪拌して均一にした溶液に、予め成分(13)に成分(1)及び(3)を攪拌しながら加え溶解させた溶液を60℃に加熱したものを攪拌しながら加えた後、冷却しながら成分(12)を加えて均一に混合し、得られたリンスを本発明品の処方13とした。
【0086】
8−d
実施例1で得た試料番号1のカチオン変性ペクチンを用い、さらに両性水溶性高分子としてN-メタクリロイルオキシエチルN,N-ジメチルアンモニウム-α-メチルカルボキシベタイン・メタクリル酸アルキル共重合体(YukaformerSM;三菱化学株式会社製)を含む、表15の(D)に示した組成のリンスを調製した。表15の(D)の成分(5)〜(11)を80℃に加熱し、攪拌して均一にした溶液に、予め成分(13)に成分(1)及び(4)を攪拌しながら加え溶解させた溶液を60℃に加熱したものを攪拌しながら加えた後、冷却しながら成分(12)を加えて均一に混合し、得られたリンスを本発明品の処方14とした。
【0087】
8−e(比較品の調製)
本発明によるカチオン変性ペクチンのリンスにおけるその効果を比較するため、例1で得たカチオン変性ペクチン、すなわち表1中の試料番号5及び6を用いて表15中の比較品(F)に示した組成のリンスを調製した。表15中の比較品(F)の成分(5)〜(11)を80℃に加熱し、攪拌して均一にした溶液に、予め成分(13)に成分(2)を攪拌しながら加え溶解させた溶液を60℃に加熱したものを攪拌しながら加えた後、冷却しながら成分(12)を加えて均一に混合し、表1中の試料番号5及び6を含むリンスを、それぞれ比較品6及び7とした。
【0088】
8−f(比較品の調製)
さらに効果を比較する為、前記試料番号6及び7の代わりに、比較例1で得た、カチオン変性ガラクトマンナン多糖、すなわち表1中の試料番号7及び8を用いて、表15の比較品(F)に示した組成のリンスを8−eと同様に調製し、得られたリンスをそれぞれ比較品8及び9とした。
【0089】
【表15】

【0090】
(評価)
実施例9
先述の8−a〜8−dで調製した各々のリンス、すなわち本発明品の処方9〜12について、20名のテスターにより次に示した項目の性能評価を実施した。
性能評価方法は、成分にカチオン性ポリマーを含まない表15の標準品(E)に示される組成のリンスと、それぞれ評価するべき対象のリンスとを使用し、ドライヤーによる乾燥後の使用感を、標準品(E)を基準にして、
・乾いた髪のコンディション効果の有無(櫛通り、きしみ感など)
・毛髪の柔軟性
について比較し、それを下記表16の方法にて数値化し、評価を実施した20名のテスターの値を合計した。この評価結果を表17に示した。尚、上記標準品(E)は表15の標準品(E)中の成分(5)〜(11)を80℃に加熱し、攪拌して均一にした溶液に、60℃に加熱した成分(13)を攪拌しながら加えた後、冷却しながら成分(12)を加えて均一に混合し調製した。
【0091】
比較例3
先述の8−e及び8−fで調製した各々のリンス、すなわち比較品6〜9について、実施例9と同様に性能評価を実施し、その結果を表17中に示した。
【0092】
【表16】

【0093】
【表17】

【0094】
表17の結果から、カチオン電荷量が0.1〜3.0meq/gにある本発明のカチオン変性ペクチンを含み、さらにアミドアミン化合物、中和剤及び高級アルコール(セタノール)を含むリンスでは、組成物の毛髪へのコンディショニング効果が優れるとともに、柔軟性が得られることが確認された。
【0095】
またアミドアミン化合物、中和剤及び高級アルコールを含むリンスにおける本発明品の性能を、同じガラクトマンナン多糖であってもマンノースとガラクトースの組成比の異なるグアーガム及びローカストビーンガムをカチオン変性した試料番号7及び8のカチオン変性グアーガム、カチオン変性ローカストビーンガムと比較すると、コンディショニング効果は使用時及び使用後で同等以上であり、かつ使用後には柔軟性が得られた。これは、本発明のカチオン変性ペクチンの有する分散性能及び保護コロイド効果により、リンス処方中の油分等が毛髪に適度に残存することで得られるものと考えられる。またさらに、カチオン性水溶性高分子及び/又は両性水溶性高分子を併用することにより、カチオン変性ペクチンのもつ性能を損なうこと無く、コンディショニング効果が向上することが確認された。またさらに、シリコーンを配合することにより、カチオン変性ペクチンのもつ性能を損なうこと無く、コンディショニング効果が向上することも確認された。
【0096】
(配合例4〜6)
以下に、リンス、コンディショナー等のコンディショニング効果を必要とする毛髪処理用組成物への、本発明の好適な配合例を示す。

【表18】

表18の精製水に、本発明品、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、グリセリン、ヒドロキシプロピルトリモニウム加水分解シルク、色素を加え75℃に保つ(水相)。残りの他の成分を混合、加熱溶解し、75℃に保つ(油相)。水相と油相を加えホモミキサーで乳化後、撹拌しながら冷却した。
【0097】
【表19】

表19の精製水に、本発明品、塩化ヒドロキシプロピルトリモニウムデンプン、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、加水分解コムギ、L−グルタミン酸、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、フェノキセタノール、色素を加え80℃に保つ(水相)。残りの他の成分を混合、加熱溶解し、80℃に保つ(油相)。水相と油相を加えホモミキサーで乳化後、撹拌しながら冷却した。
【0098】
【表20】

表20の精製水に、本発明品、N−(3−アルキル(12,14)オキシ−2−ヒドロキシプロピル)−L−アルギニン塩酸塩、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、50%乳酸、グリセリン、フェノキセタノール、安息香酸ナトリウム、を加え70℃に保つ(水相)。残りの他の成分を混合、加熱溶解し、70℃に保つ(油相)。水相と油相を加えホモミキサーで乳化後、撹拌しながら冷却した。
【0099】
ヘアカラー
(調製)
実施例10
10−a
実施例1、3で得られた試料番号1,4のカチオン変性ペクチンを用いて下記表21の(A)に示した、二剤式酸化染毛剤を調製し、表1中の試料番号1及び4のカチオン変性ペクチンを含む二剤式酸化染毛剤を本発明品の処方15及び16とした。使用時には、この二剤式酸化染毛剤の第一剤と第二剤とを重量比1対1で混合し、毛髪に塗布した。
【0100】
10−b(比較品の調整)
本発明によるカチオン変性ペクチンのヘアカラーにおけるその効果を比較するため、比較例1で得られたカチオン変性ガラクトマンナン多糖、すなわち表1中の試料番号7を用いて表21の比較品(C)に示した、二剤式酸化染毛剤を調製し比較品10とした。使用時には、この二剤式酸化染毛剤の第一剤と第二剤とを重量比1対1で混合し、毛髪に塗布した。
【0101】
【表21】

【0102】
(評価)
実施例11
先述の10−aで調製した各々の二剤式酸化染毛剤、すなわち本発明品の処方15及び16について、20名のテスターにより次に示した項目の性能評価を実施した。性能評価方法は、成分にカチオン性ポリマーを含まない表17の標準品(B)に示される組成の酸化染毛剤と、それぞれ評価するべき対象の酸化染毛剤とを使用し、第一剤と第二剤の等量混合液を毛髪に塗布し、室温下で30分間放置した後、40℃の流水で3分間すすぎ、ドライヤーで乾燥した。この時のすすぎ時のすべり性と、ドライヤーで乾燥後の感触を、標準品(B)を基準にして、
・すすぎ時のすべり性
・乾燥後の感触(しっとり感、柔軟性)
について比較し、それを下記表22の方法にて数値化し、評価を実施した20名のテスターの値を合計した。この評価結果を表23に示した。尚、上記標準品(B)は10−aに準じて調製し、第一剤と第二剤とを重量比1対1で混合して毛髪に塗布した。
【0103】
比較例4
先述の10−bで調製した比較品10の酸化染毛剤について、実施例11と同様に性能評価を実施し、その結果を表23中に示した。
【0104】
【表22】

【0105】
【表23】

【0106】
表23の結果より、本発明のカチオン変性ペクチンを染毛剤に配合した場合、損傷毛髪に対するコンディショニング効果により、すすぎ時におけるすべり性が向上し、良好な指通り感が得られた。また、乾燥後の仕上がり感も改善され、染毛剤の組成物として優れていることが確認された。
【0107】
さらに、グアーガムをカチオン変性した、試料番号7を含む比較品10と比べて、本発明品の処方15及び16はともに、乾燥後の感触が向上しており、損傷毛髪においても、本発明のカチオン変性ペクチンが優れていることが確認された。
【0108】
(配合例7)
以下に本発明のカチオン変性ペクチンの損傷毛髪に対するコンディショニング効果を利用した、好適な配合例を示す。
【表24】

【0109】
ボディ用洗浄剤
(調製)
実施例12
12−a
実施例1、2、3で得られた試料番号1、3及び4のカチオン変性ペクチンを用いて表25の(A)に示した組成のボディ用洗浄剤(ボディソープ)を調製した。表25中の(A)の成分(13)を60℃に加熱し、成分(1)を攪拌しながら加え溶解させ、溶解を確認した後、50〜60℃で成分(3)〜(9)を撹拌しながら加えて均一とし、更に30〜40℃で成分(10)〜(12)を同様に撹拌しながら加え、均一に混合した。こうして表25の(A)に示した組成のボディ用洗浄剤を各々調製し、表1中の試料番号1、3及び4の本発明のカチオン変性ペクチンを含むボディ用洗浄剤を順に、本発明品の処方17、18及び19とした。
【0110】
12−b(比較品の調製)
本発明によるカチオン変性ペクチンのボディ用洗浄剤におけるその効果を比較するため、マンノースとガラクトースの組成比が2対1であるグアーガムカチオン変性物について表25の(C)に示した組成のボディ用洗浄剤を調製した。表25中の(C)の成分(13)を60℃に加熱し、成分(2)を攪拌しながらゆっくり加え溶解させ、溶解を確認した後、50〜60℃で成分(3)〜(9)を撹拌しながら加えて均一とし、更に30〜40℃で成分(10)〜(12)を同様に撹拌しながら加え、均一に混合した。こうして表25の(C)に示した組成のボディ用洗浄剤を調製し、これを比較品11とした。
【0111】
12−c(比較品の調製)
同様に、本発明で用いるカチオン変性ペクチンの、ボディ洗浄剤におけるその効果を比較するため、他のカチオン性ポリマーとしてエチレンオキサイド平均付加モル数1.8、窒素含有率1.8質量%のカチオン変性ヒドロキシエチルセルロース(カチナールHC-100:東邦化学工業(株)社製)について表25の(C)に示した組成のボディ用洗浄剤を調製した。表25中の(C)の成分(13)を60℃に加熱し、成分(2)を攪拌しながらゆっくり加え溶解させ、溶解を確認した後、50〜60℃で成分(3)〜(9)を撹拌しながら加えて均一とし、更に30〜40℃で成分(10)〜(12)を同様に撹拌しながら加え、均一に混合した。こうして表25の(C)に示した組成のボディ用洗浄剤を調製し、比較品12とした。
【0112】
【表25】

【0113】
(評価)
実施例13
先述の12−aで得た本発明品の処方17、18及び19の各々のボディ用洗浄剤について、20名のテスターにより次に示した項目の性能評価を実施した。性能評価方法は、成分にカチオン性ポリマー等の高分子化合物を含まない表25の標準品(B)に示される組成のボディ用洗浄剤と、それぞれ評価するべき対象のボディ用洗浄剤とを使用し、
・使用時の泡の量及び質
・使用時の使用感(すすぎ易さ、すすぎ後のつっぱり感及びぬめり感)
・使用後(乾いた後)の使用感(つっぱり感、滑らかさ感、しっとり感)
について、標準品(B)の使い心地と比較し、それを下記表26及び27の方法にて数値化し、評価を実施した20名のテスターの値を合計した。この評価結果を表28に示した。なお、標準品は表25の標準品(B)の成分(13)を60℃に加熱した後、50〜60℃で成分(3)〜(9)を撹拌しながら加えて均一とし、更に30〜40℃で成分(10)〜(12)を同様に撹拌しながら加え、均一に混合し、表25の(B)に示した組成のボディ用洗浄剤を調製し、本評価の標準品とした。
【0114】
比較例5
先述の12−b及び12−cで得た比較品11及び、12のボディ用洗浄剤について、実施例13と同様の性能評価を行った。これらの結果を表28中に示した。
【0115】
【表26】

【0116】
【表27】

【0117】
【表28】

【0118】
表28の結果から、本発明のカチオン変性ペクチンは、ボディ用洗浄剤に用いた場合、ボディ用洗浄剤の泡立ち、泡質及び使用感が改善されるとともに、使用時に皮膚の油脂成分を除去せず、使用後潤いの有るしっとりしたあるいはさっぱりとした使用感を与えることが確認された。
【0119】
また、従来のコンディション剤としてのグアーガムをカチオン変性したカチオン変性グアーガム(比較品11)やカチオン変性ヒドロキシエチルセルロース(比較品12)と比較すると、特に泡の量及び泡質に優れ、使用時及び使用後のつっぱり感を解消し、しっとり感あるいはさっぱり感を得ることが確認された。
【0120】
(配合例8〜16)
以下に、本発明のコンディショニング効果と分散性能による感触改善を利用した、皮膚化粧料組成物の配合例を示す。
【表29】

常法に基づき、液体状ボディ用洗浄剤(ボディソープ)を製造する。
【0121】
【表30】

常法に基づき、液体状ボディ用洗浄剤(ボディソープ)を製造する。
【0122】
【表31】

常法に基づき、洗顔料を製造する。
【0123】
【表32】

常法に基づき、液体状アフターシェーブローションを製造する。
【0124】
【表33】

表33の精製水に本発明品を溶解した後、エデト酸2ナトリウム、1,3ブチレングリコール、エタノール、水酸化カリウム、グリセリンを加熱し水相とする。次に、イソプロピルミリステート、流動パラフィン、ワセリン、ソルビタンセスキオレート、POE(20)オレイルエーテル、多孔性球状セルロース粉末、メチルパラベン、香料を加熱撹拌溶解し油相とする。水相中に油相を混合しながら添加し、メーキャップローションを製造する。
【0125】
【表34】

常法に基づき、ファンデーションを製造する。
【0126】
【表35】

常法に基づき、入浴剤を製造する。
【0127】
配合例15〜18
以下に、本発明のカチオン変性ペクチンのケラチンに対するコンディショニング効果を利用する他の適用例として、塗布型の毛髪処理組成物への配合例を示す。
【表36】

本発明品とグリセリンに一部の精製水を加え90℃で加熱溶解した。他の成分を残部の精製水に溶解し、撹拌しながら添加した。
【0128】
【表37】

【0129】
【表38】

【0130】
【表39】

【0131】
本発明のカチオン変性ペクチンは、毛髪及び皮膚への良好な吸着能を有し、化粧料組成物の配合成分として優れたものであり良好なコンディショニング効果をもたらし、乾燥後には保水性に基づくパサツキ感の無い潤いの有るしっとりしたあるいはさっぱりとした使用感を改善でき、また皮膚化粧料組成物例えばボディ用洗浄剤に配合した場合には皮膚に対するつっぱり感、かさつき感を解消し、べたつき感、ぬるつき感を改善する。従って、本発明はまた、前記本発明のカチオン変性ペクチンを配合したこれらの化粧料組成物に関するものであり、従って従来品よりもより使い心地の優れた化粧料組成物を提供することが出来る。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペクチンに含まれる水酸基の一部が、下記化学式(1)で表される第4級窒素含有基で置換されたカチオン変性ペクチンであって、該第4級窒素含有基由来のカチオン電荷量が0.1〜3.0meq/gであるカチオン変性ペクチン。
【化1】

(式中R、Rは各々炭素数1〜3個のアルキル基、Rは炭素数1〜24のアルキル基又はアルケニル基を示し、Xは無機酸又は有機酸の陰イオンを示す。nは、n=0又はn=1〜30を示し、n=1〜30の時、(RO)は炭素数2〜4のアルキレンオキサイドの重合体残基であって、単一のアルキレンオキサイドからなるポリアルキレングリコール鎖及び/又は2種類以上のブロック状又はランダム状のアルキレンオキサイドからなるポリアルキレングリコール鎖を示す。)
【請求項2】
ペクチンが、柑橘類の果皮又はリンゴの果実より抽出/精製/濃縮/乾燥/粉砕された水溶性高分子多糖類である請求項1に記載のカチオン変性ペクチン。
【請求項3】
ペクチンのカチオン変性が、グリシジルトリアルキルアンモニウム塩または、3−ハロゲノ−2−ヒドロキシプロピルトリアルキルアンモニウム塩を用いてなされたものである請求項1又は2に記載のカチオン変性ペクチン。
【請求項4】
ペクチンのカチオン変性が、ペクチンに含まれる水酸基の一部に、炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを付加した後、カチオン変性剤としてグリシジルトリアルキルアンモニウム塩または、3−ハロゲノ−2−ヒドロキシプロピルトリアルキルアンモニウム塩を用いてなされたものである請求項1〜3のいずれか1項に記載のカチオン変性ペクチン。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のカチオン変性ペクチンを含有する化粧料組成物。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のカチオン変性ペクチンの含有量が組成物全体を100質量%として、0.05〜5質量%である請求項5に記載の化粧料組成物。
【請求項7】
請求項5又は6記載の化粧料組成物に、他のカチオン性水溶性高分子及び/又は両性水溶性高分子を、組成物全体を100質量%として、5質量%以下含有することを特徴とする当該化粧料組成物。
【請求項8】
請求項5〜7のいずれか1項に記載の化粧料組成物に、アミドアミン化合物を有機酸及び/又は無機酸等の中和剤で完全または部分中和したアミドアミン化合物の有機酸塩及び又は無機酸塩とさらに、高級脂肪酸及び/又は高級アルコールを含むことを特徴とする当該化粧料組成物。
【請求項9】
請求項5〜8のいずれか1項に記載の化粧料組成物に、シリコーンを配合することを特徴とする当該化粧料組成物。
【請求項10】
請求項5〜8のいずれか1項に記載の化粧料組成物が毛髪処理用組成物である組成物。


【公開番号】特開2007−99785(P2007−99785A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−287224(P2005−287224)
【出願日】平成17年9月30日(2005.9.30)
【出願人】(000221797)東邦化学工業株式会社 (188)
【Fターム(参考)】