説明

カチオン変性精製ガラクトマンナン多糖及び該物質を含む化粧料組成物

【課題】 毛髪処理用組成物に配合した場合には、優れたコンディショニング効果と、乾燥後にはしっとりした良好な感触と柔軟性を与え、ボディ用洗浄剤などの皮膚化粧料組成物に配合した場合には、コンディショニング効果と、乳化性能により使用感が改善されるカチオン変性ガラクトマンナン多糖を提供する。
【解決手段】 豆科植物であるフェヌグリークの種子の胚乳部分より得られる、マンノースを構成単位とする主鎖に、ガラクトース単位が側鎖として構成された、マンノースとガラクトースの組成比が1対1である粗製ガラクトマンナンを精製することにより得られる、ガラクトマンナンの含有量が85質量%以上である精製ガラクトマンナン多糖であって、該精製ガラクトマンナン多糖に含まれる水酸基の一部に、特定の第4級窒素含有基を導入して得られるカチオン変性精製ガラクトマンナン多糖と、該カチオン変性精製ガラクトマンナン多糖を含有する化粧料組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は化粧料組成物に配合した場合、毛髪や皮膚に対する吸着性が良く、良好なコンディショニング効果をもたらし、乾燥後にはゴワツキ感の無い良好な仕上げ感をもたらすカチオン性ポリマーとして、特定のカチオン変性ガラクトマンナン多糖と、これを配合した化粧料組成物、特に毛髪処理用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
洗浄を目的とした毛髪処理用組成物には、洗髪、すすぎ時の毛髪の絡まり合いによる損傷や、洗髪後の感触改善の為にコンディショニング剤が配合されている。コンディショニング効果を与える物質としては、毛髪に吸着することが必須である事から、主にイオン性に基づく吸着作用を有するカチオン性ポリマーが用いられ、中でもカチオン変性セルロース誘導体、カチオン変性グアーガム、塩化ジメチルジアリルアンモニウム誘導体などが広く用いられている。例えば、特許文献1には、シャンプーや毛髪化粧料に第4級窒素含有基を導入したカチオン変性セルロース誘導体を使用する事が、特許文献2には、ガラクトマンナン多糖に属する主鎖のマンノースと側鎖のガラクトースが2対1であるグアーガムのカチオン性誘導体が、カチオン性コンディショニングポリマーとして不溶性、且つ不揮発性のシリコーンと共にシャンプー、リンス等のヘアケア製品に使用することで美髪効果が得られることが、さらに特許文献3には、ガラクトマンナン多糖としてグアーガム、ローカストビーンガムを用い、これを酵素等により分解し低分子化した後、カチオン変性したカチオン変性ガラクトマンナン多糖が、特許文献4には、ガラクトマンナン多糖としてグアーガム、ローカストビーンガムを用い、ヒドロキシアルキル変性の後にカチオン変性を行い、更に低分子化したカチオン変性ガラクトマンナン多糖が、毛髪処理組成物、及び皮膚化粧料組成物に用いられる事が示されている。
【0003】
しかし、これらのカチオン変性ポリマーを用いた場合、乾燥後のゴワツキによる使用感の悪化やすすぎ時のコンディショニング効果の不足が、ガラクトマンナン多糖の主鎖と側鎖の組成比、ヒドロキシアルキル基の有無等による構造上の違い、及び低分子化の有無に起因する粘度などの違いによって生じる。これらを改善する目的でカチオン変性フェヌグリークガムが使用され、特許文献5、6にはカチオン変性フェヌグリークガムを、シャンプー等の洗浄組成物に使用した場合、起泡力、コンディショニング性に優れた洗浄剤組成物が提供されることが示されている。更に特許文献7には、カチオン変性フェヌグリークガムとカチオン変性セルロース、カチオン変性グアーガムを配合することで起泡力、コンディショニング性に優れた洗浄剤組成物が提供されることが示されている。
【0004】
【特許文献1】特公昭47-20635号公報(第5頁)
【特許文献2】特開平4-364111公報(第1-6頁)
【特許文献3】特開平7-173029公報(第1-7頁)
【特許文献4】特許第3349219号公報(第1-6頁)
【特許文献5】特開2004-203799号公報(第1-17頁)
【特許文献6】特開2004-203800号公報(第1-16頁)
【特許文献7】特開2004-203803号公報(第1-16頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、ファッションの多様化によりヘアカラー、ヘアダイを使用する機会が多くなり、これに伴い毛髪が著しく損傷するため、コンディショニング剤のコンディショニング効果、特に使用時のすべり性が重要となってきた。カチオン変性セルロース誘導体や低分子化したカチオン変性ガラクトマンナン多糖、及びカチオン変性グアーガム等で見られた使用時のコンディショニング効果の不足、及び使用感の悪化を改善する目的で発明されたフェヌグリークガムをカチオン変性した、カチオン変性フェヌグリークガムをこのような損傷毛髪に用いた場合、すすぎ時の指どおり、及び乾燥後の仕上がり感は十分満足できるものではない。さらに、乳化性能への影響も生じる。また、皮膚化粧料組成物に配合した場合においても使用感は十分満足できるのものではなく、さらに外観にも課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる実情において、本発明者らは従来のカチオン変性フェヌグリークガムの毛髪処理用組成物に配合した時のぬれた髪へのすべり性を改善すると共に、乾燥後の仕上がり感を改善し、また皮膚化粧料組成物に配合した時の泡質の改善と使用後の感触を改善する化合物について鋭意検討した。その結果、ガラクトマンナン含有量が85質量%以上の、マンノースを構成単位とする主鎖に、ガラクトース単位が側鎖として構成されたマンノースとガラクトースの組成比が1対1のガラクトマンナン多糖(以下、精製ガラクトマンナン多糖とも記す)に、特定量の第4級窒素含有基を導入し、かつカチオン電荷量を特定範囲に調節したカチオン変性ガラクトマンナン多糖が、化粧料組成物におけるコンディショニング剤として優れた特性をもち、濡れた髪へのすべり性の改善、泡立ち及び泡質の改善、さらには感触の改善ができることを見出し、本発明品を完成するに至った。
【0007】
従って本発明は、各種毛髪処理用組成物、皮膚化粧料組成物、その他メイクアップ剤等の化粧料組成物への使用に適する、粗製ガラクトマンナン多糖を精製することにより得られる、マンノースを構成単位とする主鎖にガラクトース単位が側鎖として構成された、マンノースとガラクトースの組成比が1対1であるガラクトマンナンの含有量が85質量%以上である精製ガラクトマンナン多糖であって、該精製ガラクトマンナン多糖の水酸基の一部が、下記化学式(1)で表される第4級窒素含有基で置換されており、該第4級窒素含有基由来のカチオン電荷量が0.1〜3.0meq/gであるカチオン変性精製ガラクトマンナン多糖(以下、カチオン変性精製ガラクトマンナン多糖とも記す)に関する。
【化1】

(式中R1、R2は各々炭素数1〜3個のアルキル基、R3は炭素数1〜24のアルキル基を示し、X-は陰イオンを示す。nは、n=0又はn=1〜30を示し、n=1〜30の時、(R4O)nは炭素数2〜4のアルキレンオキサイドの重合体残基であって、単一のアルキレンオキサイドからなるポリアルキレングリコール鎖及び/又は2種類以上のアルキレンオキサイドからなるポリアルキレングリコール鎖を示す。)
【発明の効果】
【0008】
本発明のカチオン変性ガラクトマンナン多糖は、粗製ガラクトマンナン多糖中の水不溶物が減量されたことで、シャンプー・リンスなど毛髪処理用組成物に配合した場合、使用時には毛髪に対し、従来のコンディショニング剤として用いられる、ガラクトマンナン含有量が85質量%未満の粗製ガラクトマンナン多糖をカチオン変性した、カチオン変性フェヌグリークガム(以下、未精製カチオン変性フェヌグリークガムとも記す)と同等以上のコンディショニング効果を与えつつ、乾燥後には良好な感触が得られる。さらに、本発明のカチオン変性精製ガラクトマンナン多糖をボディ用洗浄剤等の皮膚化粧料組成物に配合した場合、泡立ちの改善及び泡質の向上効果と、良好な仕上がり感を与える。従って、従来品よりもより使い心地の優れた化粧料組成物を提供することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明で用いられるガラクトマンナン多糖は、マンノースを構成単位とする主鎖に、ガラクトース単位が側鎖として構成され、マンノースとガラクトースの組成比が1対1の非イオン性多糖類であり、地中海地方を原産地に中近東、アフリカ、インドで栽培されている1年草の豆科植物である、フェヌグリーク(学名Trigonella foenum-graecum)の種子の胚乳部分より得られる天然水溶性ガムである。本発明には、フェヌグリークの種子の胚乳部分より得られる粗製ガラクトマンナン多糖を、ガラクトマンナン含有量が85質量%以上、好ましくは87質量%以上となるように精製したガラクトマンナン多糖を用いる。
【0010】
粗製ガラクトマンナン多糖をガラクトマンナンの含有量が85質量%以上に精製する方法の一つとしては、ガラクトマンナン含有量85質量%未満の粗製ガラクトマンナン多糖(以下、未精製ガラクトマンナン多糖とも記す)を水に溶解し水溶液とし、ろ過により不純物を除去した後、ろ液を有機溶剤中で再沈殿させ、沈殿物を乾燥することで得られる。或いは、種子の外皮を含む外側部分を除去して得られた胚乳の中心部分のみを粉砕することでも得られる。
【0011】
また、このマンノースとガラクトースの組成比が1対1のガラクトマンナン多糖であるフェヌグリークガムは、同じガラクトマンナン多糖でもマンノースとガラクトースの組成比が2対1のグアーガムや、4対1のローカストビーンガムとは、水溶液のレオロジーが異なることは公知の事実である。またさらに、組成比や水溶液のレオロジー等に起因し、乳化安定性がグアーガムやローカストビーンガムと比較し良好でもあることも公知の事実である。
【0012】
本発明によるカチオン変性ガラクトマンナン多糖は、粗製ガラクトマンナン多糖を精製することにより得られるガラクトマンナン含有量が85質量%以上のガラクトマンナン多糖であって、マンノースとガラクトースの組成比が1対1の精製ガラクトマンナン多糖(以下、精製フェヌグリークガムとも記す)に、第4級窒素含有基を有するグリシジルトリアルキルアンモニウム塩または、3-ハロゲノ-2-ヒドロキシプロピルトリアルキルアンモニウム塩を反応させることによって製造することができる。この場合、反応は適当な溶媒、好適には含水アルコール中において、アルカリの存在下で実施される。このような第4級窒素含有基の導入は、従来公知の方法に従って行うことができるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。例えば、マンノースとガラクトースの組成比が1対1の精製ガラクトマンナン多糖に含まれる水酸基の一部に、炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを付加した後、上記グリシジルトリアルキルアンモニウム塩または、3-ハロゲノ-2-ヒドロキシプロピルトリアルキルアンモニウム塩の第4級窒素含有基と反応させることによって本発明のカチオン変性ガラクトマンナン多糖(以下、カチオン変性精製フェヌグリークガムとも記す)を製造することもできる。また、反応時に溶媒中での精製フェヌグリークガムの凝集を防ぐため、無機塩、好適には塩化ナトリウムを添加することもできる。更に、精製フェヌグリークガムの凝集を防ぎ、分散性を良くし反応率を上げるため、反応溶媒中にアルカリ及び無機塩を添加後溶解又は分散させ、その後、該精製フェヌグリークガムを添加し、溶解又は分散させた後、上記の第4級窒素含有基を導入することでも製造することができる。
【0013】
さらには、ガラクトマンナン含有量が85質量%未満の粗製ガラクトマンナン多糖を同様の方法でカチオン化した後、粉砕、分級する、或いはろ過する等の方法で外皮等の水不溶物を除去、精製することでも、本発明のガラクトマンナン含有量が85質量%以上のカチオン変性精製ガラクトマンナン多糖を製造することができる。
【0014】
本発明でマンノースとガラクトースの組成比が1対1のガラクトマンナン多糖である精製フェヌグリークガム中に導入する前記化学式(1)で示された第4級窒素含有基において、R1、及びR2の具体例としては、メチル、エチル、及びプロピルが挙げられ、炭素数1〜24のアルキル基としてのR3の具体例としては上記R1、及びR2と同じものの他、オクチル、デシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、ドコシル等が挙げられる。R4Oの具体例としては、エトキシ、プロポキシ、及びブトキシが挙げられる。また、陰イオンX-の具体例としては、塩素イオン、臭素イオン、及び沃素イオンなどのハロゲンイオンの他、メチル硫酸イオン、エチル硫酸イオン、酢酸イオン等を挙げることができる。
【0015】
本発明のカチオン変性精製ガラクトマンナン多糖は、ガラクトマンナン含有量を85質量%以上とした精製ガラクトマンナン多糖をカチオン変性する事で、毛髪、及び皮膚への吸着能を有し、良好なすべり性を付与することから化粧料組成物の配合成分として優れたものであり、例えば、毛髪処理用組成物に配合した場合、すすぎ時の指通り、及び乾燥後の仕上がり感を改善し、また皮膚化粧料組成物、例えばボディ用洗浄剤に配合した場合には、泡質の改善と使用後の感触を改善する。従って、本発明はまた、前記、本発明のカチオン変性ガラクトマンナン多糖を配合した、これらの化粧料組成物にも関する。
【0016】
本発明のカチオン変性ガラクトマンナン多糖の、第4級窒素含有基由来のカチオン電荷量は0.1〜3.0meq/gであるが、より好ましくは0.5〜2.5meq/gである。カチオン電荷量が0.1meq/g未満では毛髪や皮膚に対する吸着量が不十分となり、実際シャンプー、リンス、ボディ用洗浄剤等の毛髪処理組成物や皮膚化粧料組成物に配合しても効果は認められない。また、電荷量が3.0meq/gを越えるカチオン変性精製ガラクトマンナン多糖を、毛髪処理用組成物、及び皮膚化粧料組成物を配合した場合、使用時に泡立ちの悪化、及びべたつき感、ぬるつき感が生じ使用感を悪化させ、使用後の仕上がり感も、ごわつき感、べたつき感を生じるなど好ましくない。
【0017】
なお、カチオン変性精製ガラクトマンナン多糖の第4級窒素含有基由来のカチオン電荷量とは、カチオン変性精製ガラクトマンナン多糖1g当たりに含まれる化学式(1)で示された第4級窒素含有基の当量数である。通常は第4級窒素含有基由来の窒素分をケルダール法(旧化粧品原料基準、一般試験方法、窒素定量法、第2法)により求め、測定値から算出できるが、本発明で用いられるガラクトースとマンノースの組成比が1対1の精製ガラクトマンナン多糖中には、窒素分が含まれるため、ケルダール法により求めた本発明のカチオン変性ガラクトマンナン多糖中の窒素分から、本発明で用いるガラクトースとマンノースの組成比が1対1のガラクトマンナン多糖由来の窒素分を引いた値が、第4級窒素含有基由来の窒素分となる。具体的に説明すると、化学式(1)で示された第4級窒素含有基のR1、R2、R3はメチル、X-は塩素イオン、nは、n=0の第4級窒素含有基であり、精製フェヌグリークガムをカチオン変性することで得られた本発明品の窒素分をケルダール法により測定した結果、1.38%であった場合、この物質のカチオン電荷量は以下の式にて求められる。本発明で用いられる精製フェヌグリークガム中には、通常窒素分を0.35%前後含有している。
【数1】

【0018】
また、粗製ガラクトマンナン多糖中のガラクトマンナン含有量とは、カチオン変性精製ガラクトマンナン多糖の原料となる、天然水溶性ガムである粗製ガラクトマンナン多糖1g当たりに含まれるガラクトマンナンの質量百分率である。測定方法としては、以下の通りであるが、酵素分解後の吸光度による測定のほか、液体クロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー等によって測定することも可能である。測定方法としては、試料を約20mgを正確に量り、遠沈管に入れ、エタノール5mLを加えて85〜95°Cでインキュベートした後、遠心分離する。上相と下相に分離した下相に50mM酢酸緩衝液(pH4.5)10.0mLを加えて加熱した後、40°Cで12時間放置した。その後β-マンナナーゼ20μLを加え、40°Cで180分間培養する。培養後、遠心分離し、上澄み0.1mLをとり、50mM酢酸緩衝液(pH4.5)0.2mL、α-ガラクトシターゼ20μLを加える。この液を40°Cでインキュベートした後200mMトリス緩衝液2.5mLを加え、さらにβ-ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(0.1g/10mL)0.1mL、ガラクトースデヒドロゲナーゼ8μLを加えてさらに40°Cで60分間インキュベートし、その溶液の340nmの吸光度を測定する。得られた吸光度より次式を用いてガラクトース含有量を求める。ガラクトマンナン含有量は、ガラクトース量から、試料のマンノースとガラクトースの組成比を用いて算出する。
〈計算式〉
【数2】

具体的に説明すると、日本バイオコン(株)社製ガラクトマンナン測定キットを用い、本発明品に使用する精製フェヌグリークガム中のガラクトマンナン含有量を測定した場合、検量線より求められたガラクトース含有量への換算係数A*が1384.6であり、ブランクの340nmにおける吸光度が0.276である時、精製フェヌグリークガムを固形分換算で12.1mg採集し、その試料溶液の340nmにおける吸光度が0.663である例では、ガラクトース含有量は44.3%となる。フェヌグリークガムはマンノースとガラクトースの組成比が1対1であるから、ガラクトマンナン含有量は88.6%となる。
【0019】
本発明のカチオン変性精製ガラクトマンナン多糖は化粧料組成物の配合成分として優れたものである。例えば、毛髪処理用組成物に配合した場合、従来の未精製カチオン変性ガラクトマンナン多糖を配合した場合に比べて、ぬれた髪に対するすべり性とコンディショニング効果が向上し、乾燥後の仕上がり感も改善される。また、未精製カチオン変性ガラクトマンナン多糖中には、天然水溶性ガムであるガラクトマンナン多糖以外の水不溶性物が多いため、皮膚化粧量組成物として使用した場合、感触の低下が認められるが、本発明のカチオン変性精製ガラクトマンナン多糖を使用した場合、水不溶物が精製により減少しているため、感触が低下することはない。その上、良好な泡立ちが得られるため、皮膚化粧量組成物としても優れている。
【0020】
本発明のカチオン変性精製ガラクトマンナン多糖の毛髪処理用組成物や皮膚化粧料組成物に対する配合量は、組成物全体を100質量%として、0.05〜5質量%が好ましく、0.05質量%未満ではコンディショニング効果、乳化性能が十分に発揮されない傾向にあり、5質量%を越えると使用時にぬるつき感、べたつき感が生じると共に、すべり性が悪化し、使用感が悪くなる傾向がある。
【0021】
また、本発明の毛髪処理用組成物にはコンディショニング効果の向上の為、さらに種々のカチオン性水溶性高分子、両性水溶性高分子を併用することができるが、その配合量はカチオン変性精製ガラクトマンナン多糖の毛髪に対するすべり性及びコンディショニング効果、さらには泡質などを損なわない範囲であり、組成物全体を100質量%として、5質量%以下が好ましく、これを超えると使用時にごわつき感が生じ使用感が悪くなると共に、毛髪に対するすべり性も悪化する傾向にある。さらに、皮膚化粧料組成物に於いては、ぬるつき感が生じ、使用感が悪くなる。
【0022】
配合されるカチオン性水溶性高分子、両性水溶性高分子としては、下記のようなものが挙げられるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0023】
カチオン性水溶性高分子の例としては、第4級窒素変性ポリサッカライド(カチオン変性ヒドロキシエチルセルロース、カチオン変性グアーガム、カチオン変性デンプン、カチオン変性タマリンドガム、カチオン変性ローカストビーンガム、カチオン変性タラガム等)、塩化ジメチルジアリルアンモニウム誘導体(塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体、ポリ塩化ジメチルメチレンピペリジニウム等)、ビニルピロリドン誘導体(ビニルピロリドン・ジメチルアミノエチルメタクリル酸共重合体塩、ビニルピロリドン・メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド共重合体、ビニルピロリドン・塩化メチルビニルイミダゾリウム共重合体等)、メタクリル酸誘導体(メタクリロイルエチルジメチルベタイン・塩化メタクリロイルエチルトリメチルアンモニウム・メタクリル酸2-ヒドロキシエチル共重合体、メタクリロイルエチルジメチルベタイン・塩化メタクリロイルエチルトリメチルアンモニウム・メタクリル酸メトキシポリエチレングリコール共重合体等)等が挙げられる。
【0024】
両性水溶性高分子の例としては、両性化デンプン、塩化ジメチルジアリルアンモニウム誘導体(アクリルアミド・アクリル酸・塩化ジメチルジアリルアンモニウム共重合体、アクリル酸・塩化ジメチルジアリルアンモニウム共重合体等)、メタクリル酸誘導体(ポリメタクリロイルエチルジメチルベタイン、N-メタクリロイルオキシエチルN,N-ジメチルアンモニウム-α-メチルカルボキシベタイン・メタクリル酸アルキル共重合体等)等が挙げられる。
【0025】
上述のように、本発明のカチオン変性ガラクトマンナン多糖を公知の処方により処方系内に所要量配合することで本発明の化粧料が得られるが、化粧料中の他の成分は特に限定されず、化粧料に一般に用いられる成分を任意成分として配合することが可能である。配合可能な他の成分を下記に例示する。
【0026】
アニオン界面活性剤としては、アルキル(炭素数8〜24)硫酸塩、アルキル(炭素数8〜24)エーテル硫酸塩、アルキル(炭素数8〜24)ベンゼンスルホン酸塩、アルキル(炭素数8〜24)リン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキル(炭素数8〜24)エーテルリン酸塩、アルキル(炭素数8〜24)スルホコハク酸塩、ポリオキシアルキレンアルキル(炭素数8〜24)エーテルスルホコハク酸塩、アシル(炭素数8〜24)化アラニン塩、アシル(炭素数8〜24)化N-メチル-β-アラニン塩、アシル(炭素数8〜24)化グルタミン酸塩、アシル(炭素数8〜24)化イセチオン酸塩、アシル(炭素数8〜24)化サルコシン酸塩、アシル(炭素数8〜24)化タウリン塩、アシル(炭素数8〜24)化メチルタウリン塩、α-スルホ脂肪酸エステル塩、エーテルカルボン酸塩、ポリオキシアルキレン脂肪酸モノエタノールアミド硫酸塩、長鎖(炭素数8〜24)カルボン酸塩等が挙げられる。
【0027】
ノニオン界面活性剤としては、アルカノールアミド、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレングリコールエーテル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビット脂肪酸エステル、ソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、テトラポリオキシアルキレンエチレンジアミン縮合物類、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン脂肪酸アミド、ポリオキシアルキレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンヒマシ油誘導体、ポリオキシアルキレン硬化ヒマシ油誘導体、アルキルポリグリコシド、ポリグリセリン脂肪酸エステル等が挙げられる。
【0028】
両性界面活性剤としては、アルキル(炭素数8〜24)アミドプロピルベタイン、アルキル(炭素数8〜24)カルボキシベタイン、アルキル(炭素数8〜24)スルホベタイン、アルキル(炭素数8〜24)ヒドロキシスルホベタイン、アルキル(炭素数8〜24)アミドプロピルヒドロキシスルホベタイン、アルキル(炭素数8〜24)ヒドロキシホスホベタイン、アルキル(炭素数8〜24)アミノカルボン酸塩、アルキル(炭素数8〜24)アンホ酢酸ナトリウム、アルキル(炭素数8〜24)アミンオキシド、3級窒素、及び4級窒素を含むアルキル(炭素数8〜24)リン酸エステル等が挙げられる。
【0029】
また本発明の毛髪処理用組成物や皮膚化粧料組成物に配合されるカチオン性、両性水溶性高分子以外にも、粘度調整、及びスタイリング時の使用性をある程度改善するなどの目的によりアニオン性、ノニオン性高分子を、本発明の効果を損なわない範囲でさらに配合することができ、例えば下記のようなものが挙げられる。
【0030】
アニオン性高分子の例としては、アクリル酸誘導体(ポリアクリル酸及びその塩、アクリル酸・アクリルアミド・アクリル酸エチル共重合体及びその塩等)、メタクリル酸誘導体(ポリメタクリル酸及びその塩、メタクリル酸・アクリルアミド・ジアセトンアクリルアミド・アクリル酸アルキルエステル・メタクリル酸アルキルエステル共重合体及びその塩等)、クロトン酸誘導体(酢酸ビニル・クロトン酸共重合体等)、マレイン酸誘導体(無水マレイン酸・ジイソブチレン共重合体、イソブチレン・マレイン酸共重合体等)、ポリグルタミン酸及びその塩、ヒアルロン酸及びその塩、カルボキシメチルセルロース、カルボキシビニルポリマー等が挙げられる。
【0031】
ノニオン性高分子の例としては、アクリル酸誘導体(アクリル酸ヒドロキシエチル・アクリル酸メトキシエチル共重合体、ポリアクリル酸アミド等)、ビニルピロリドン誘導体(ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン・酢酸ビニル共重合体等)、ポリオキシアルキレングリコール誘導体(ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等)、セルロース誘導体(メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等)、ポリサッカライド及びその誘導体(グアーガム、ローカストビーンガム、デキストラン等)等が挙げられる。
【0032】
さらに別の態様において、本発明の毛髪処理用組成物及び皮膚化粧料組成物に、アミドアミン化合物を有機酸及び/または無機酸等の中和剤で完全中和または部分中和したアミドアミン化合物の有機酸塩及び/または無機酸塩とさらに、高級脂肪酸及び/または高級アルコールを添加することで、コンディショニング効果を向上することができる。その配合量はアミドアミン化合物として組成物全体を100質量%として、5質量%以下が好ましく、これを越えると、使用後の感触が重くなったり、ぬるつきを生じたりと、使用感が悪くなる。
【0033】
本発明の毛髪処理用組成物及び皮膚化粧料組成物に配合されるその他の成分としては、カチオン界面活性剤(アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルピリジウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、塩化ベンゼトニウム、塩化ベンザルコニウム等)、可溶化剤(エタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール等)、ワックス類(カルナバロウ、キャンデリラロウ等)、炭化水素油(流動パラフィン、スクワラン、オリーブ油、ホホバ油等)、保湿剤(グリセリン、トレハロース、ソルビトール、マルチトール、ジプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ヒアルロン酸Na等)、エステル類(ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸-2-ヘキシルデシル、トリミリスチン酸グリセリン、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸-2-ヘプチルウンデシル、パルミチン酸-2-ヘキシルデシル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸イソセチル、12-ヒドロキシステアリン酸コレステリル、セトステアリルアルコール、オクタン酸セチル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、イソステアリン酸イソセチル、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、オレイン酸デシル、オレイン酸オイル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、酢酸エチル、酢酸ブチル酢酸アミル、酢酸ラノリン、2-エチルヘキサン酸セチル、2-エチルヘキシルパルミテート、ジ-2-エチルヘキシル酸エチレングリコール、トリ-2-エチルヘキシル酸トリメチロールプロパン、トリ-2-エチルヘキシル酸グリセリン、テトラ-2-エチルヘキシル酸ペンタエリスリトール、セチル-2-エチルヘキサノエート、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸-2-ヘプチルウンデシル、アジピン酸-2-ヘキシルデシル、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセライド、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、アセトグリセライド、N-ラウロイル-L-グルタミン酸-2-オクチルドデシルエステル、セバシン酸ジ-2-エチルヘキシル、セバシン酸ジイソプロピル、コハク酸-2-エチルヘキシル、クエン酸トリエチル、エチルラウレート、ミンク油脂肪酸エチル等)、酸化防止剤(トコフェロール、BHT等)、シリコーン(メチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、高重合度メチルポリシロキサン、環状ポリシロキサン等)及びシリコーン誘導体(ポリエーテル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン等)、高級アルコール、高級脂肪酸(ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、ウンデシレン酸、トール油脂肪酸、ヤシ油脂肪酸、パーム脂肪酸、パーム核脂肪酸、リノール酸、リノレイン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸等)、アミノ酸類(アルギニン、グルタミン酸等)紫外線吸収剤、(ベンゾフェノン誘導体、パラアミノ安息香酸誘導体、メトキシ桂皮酸誘導体等)、パール化剤(脂肪酸エチレングリコール等)、懸濁剤(ポリスチレン乳化物等)、増粘剤、金属封鎖剤(エデト酸塩等)、pH調整剤、殺菌剤、防腐剤、育毛剤、ビタミン類、抗炎症剤、色素、香料、起泡増進剤等が挙げられる。
【0034】
上述の本発明にかかる化粧料組成物の剤型は限定されず任意の剤型を取ることができ、さらに上記(必須)成分の他に本発明の効果を損なわない範囲で、その剤型によって通常当該化粧料組成物に配合される各種成分を加え常法により製造することができるが、中でも毛髪処理用組成物として好ましく使用できる。剤型としては、シャンプー、リンス、コンディショナー、ヘアワックス、ヘアローション、ヘアミスト等が挙げられ、いずれも、本発明のカチオン変性ガラクトマンナン多糖のすべり性とコンディショニング効果の改善、使用後の仕上がり感の向上、泡質の改善等の効果を利用したものである。また、使用感触向上効果から、ボディ用洗浄剤、洗顔料、ローションへの利用も可能であり、酸性染毛料、酸化染毛料、パーマ剤等へ配合することも可能である。
【実施例】
【0035】
以下に本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。特に指定のない限り、配合量は質量%で示す。
【0036】
[カチオン変性精製ガラクトマンナン多糖の製造]
実施例1
48質量%の水酸化ナトリウム水溶液11.8gを50容量%のイソプロパノール水溶液900mLに添加した後、ガラクトマンナン含有量88質量%の精製フェヌグリークガム162gを徐々に添加し分散させた。次に80質量%グリシジルトリメチルアンモニウムクロライド(以下GTAとも記す)水溶液65.5gを加え、加温し50°Cで3時間反応させた。反応終了後35%塩酸14.0gを50容量%のイソプロパノール水溶液1500mLで希釈し、中和に使用した。室温で1時間中和後、メタノール1800mLに反応液を注ぎ、反応生成物を沈殿させ、濾別した。得られた沈殿物をメタノール水溶液にて洗浄した後、反応生成物を減圧下で乾燥した。このようにして得られたカチオン変性精製ガラクトマンナン多糖のカチオン電荷量は0.93meq/gであった。この結果を表1に示した(表1中、試料番号1)。
【0037】
同様に添加するGTAの量を変えることでカチオン電荷量の異なるカチオン変性精製ガラクトマンナン多糖を合成した。この結果を表1中に示した(表1中、試料番号2、3)。
【0038】
実施例2
ガラクトマンナン含有量90質量%の精製フェヌグリークガム162gを、55容量%のイソプロパノール水溶液900mLに分散させ、48質量%の水酸化ナトリウム水溶液48.3gを添加した。次に3-ハロゲノ-2-ヒドロキシプロピルジメチルモノラウリルアンモニウムクロライド142.8gを加え、加温し50°Cで3時間反応させた。反応終了後35%塩酸14.0gを70容量%のイソプロパノール水溶液1500mLで希釈し、中和に使用した。室温で1時間中和後、メタノール1800mLに反応液を注ぎ、反応生成物を沈殿させ、濾別した。得られた沈殿物をメタノール水溶液にて洗浄した後、反応生成物を減圧下で乾燥した。このようにして得られたカチオン変性精製ガラクトマンナン多糖のカチオン電荷量は0.76meq/gであった。この結果を表1中に示した(表1中、試料番号4)。
【0039】
実施例3
加圧密閉容器内に実施例1で用いた精製フェヌグリークガム162gを、80容量%のイソプロパノール水溶液900mLに分散させ、48質量%の水酸化ナトリウム水溶液11.8gを添加した。次にエチレンオキサイド66g、プロピレンオキサイド240gを加え、加温し70°Cで3時間、加圧密閉下で反応させた。反応終了後解圧し、50°Cまで冷却する。冷却後、80質量%GTA水溶液150gを加え、50°Cで3時間反応させる。反応終了後35%塩酸14.0gを70容量%のイソプロパノール水溶液1500mLで希釈し、中和に使用した。室温で1時間中和後、メタノール800mLに反応液を注ぎ、反応生成物を沈殿させ、濾別した。得られた沈殿物をメタノール水溶液にて洗浄した後、反応生成物を減圧下で乾燥した。このようにして得られたカチオン変性精製ガラクトマンナン多糖のカチオン電荷量は0.82meq/gであった。この結果を表1中に示した(表1中、試料番号5)。
【0040】
実施例4
48質量%の水酸化ナトリウム水溶液11.8gを、50容量%のイソプロパノール水溶液900mLに添加した後、ガラクトマンナン含有量97質量%の精製フェヌグリークガム162gを徐々に添加し分散させた。次に80質量%GTA水溶液77.2gを加え、加温し50°Cで3時間反応させた。反応終了後35%塩酸14.0gを50容量%のイソプロパノール水溶液1500mLで希釈し、中和に使用した。室温で1時間中和後、メタノール1800mLに反応液を注ぎ、反応生成物を沈殿させ、濾別した。得られた沈殿物をメタノール水溶液にて洗浄した後、反応生成物を減圧下で乾燥した。このようにして得られたカチオン変性精製ガラクトマンナン多糖のカチオン電荷量は1.07meq/gであった。この結果を表1中に示した(表1中、試料番号6)。
【0041】
例1
本発明のカチオン変性ガラクトマンナン多糖と比較するために、実施例1の方法に準じ、添加するGTAの量を変えることでカチオン電荷量の異なるカチオン変性精製ガラクトマンナン多糖を合成した。この結果を表1中に示した(表1中、試料番号7、8)。
【0042】
比較例1
本発明のカチオン変性ガラクトマンナン多糖と比較するために、ガラクトマンナン多糖中のガラクトマンナン含有量が85質量%未満の未精製フェヌグリークガムを用いてカチオン変性未精製ガラクトマンナン多糖を合成した。ガラクトマンナン多糖中のガラクトマンナン含有量が79質量%の未精製フェヌグリークガムを実施例1の方法に準じてカチオン変性した。得られた未精製カチオン変性ガラクトマンナン多糖のカチオン電荷量は0.91meq/gであった。この結果を表1中に示した(表1中、試料番号9)。
【0043】
【表1】

【0044】
[カチオン変性精製ガラクトマンナン多糖を配合した各化粧料の製造と評価]
実施例5 毛髪に対するすべり性(その1)
カチオン変性精製ガラクトマンナン多糖の毛髪に対するすべり性を洗い流し製品で確認した。
〈洗い流し製品の調整〉
5-a
実施例1、2、及び4で得たカチオン変性精製ガラクトマンナン多糖を用いて表2中の(A)に示した組成のシャンプーを調製した。表2中の(A)の成分(12)を80°Cに加熱し、成分(1)を攪拌しながらゆっくり加え溶解させ、溶解を確認した後、加熱を止め成分(5)〜(7)を加えて攪拌して均一とし、30〜40°Cで成分(8)〜(11)を加え均一に混合した。こうして表2の(A)に示した組成のシャンプーを各々調整し、試料番号1のカチオン変性精製ガラクトマンナン多糖を配合したものを本発明品の処方S1、試料番号4のカチオン変性精製ガラクトマンナン多糖を配合したものを本発明品の処方S2、試料番号6のカチオン変性精製ガラクトマンナン多糖を配合したものを本発明品の処方S3とした。
【0045】
5-b
実施例1で得た試料番号1のカチオン変性精製ガラクトマンナン多糖を用い、さらにカチオン性水溶性高分子としてエチレンオキサイド平均付加モル数1.8、窒素含有率1.8質量%のカチオン変性ヒドロキシエチルセルロース(カチナールHC-100;東邦化学工業(株)社製)と、両性水溶性高子としてN-メタクリロイルオキシエチルN,N-ジメチルアンモニウム-α-メチルカルボキシベタイン・メタクリル酸アルキル共重合体(Yukaformer SM;三菱化学株式会社製)の両方を含む、表2の(B)に示した組成のシャンプーを調製した。表2中の(B)の成分(12)を80°Cに加熱し成分(1)及び(3)、(4)を攪拌しながらゆっくり加え溶解させ、溶解を確認した後、加熱を止め成分(5)〜(7)を加えて攪拌して均一とし、30〜40°Cで成分(8)〜(11)を加え均一に混合し、こうして表2の(B)に示した組成のシャンプーを調整し、本発明品の処方S4とした。
【0046】
5-c(比較品の調整)
本発明品のカチオン変性ガラクトマンナン多糖のシャンプーにおける効果を比較するため、比較例1で得た未精製カチオン変性ガラクトマンナン多糖を用いて表2中の(C)に示した組成の比較品シャンプーを各々調製した。表2中の比較品(C)の成分(12)を80°Cに加熱し、成分(2)を攪拌しながらゆっくり加え溶解させ、溶解を確認した後、加熱を止め成分(5)〜(7)を加えて攪拌して均一とし、30〜40°Cで成分(8)〜(11)を加え均一に混合した。試料番号12の未精製カチオン変性ガラクトマンナン多糖を配合したものを比較品C1とした。
【0047】
【表2】

【0048】
(評価)
上記5-a〜5-bで調製した、各々の本発明品の処方S1〜S4のシャンプーの5%水溶液に、毛髪ストランド((株)ビューラックス社製、根元揃え人毛、長さ60mm、幅40mm)を浸漬し、シャンプーを充分に洗い落とした後、この濡れたままの毛髪について摩擦感テスター(カトーテック(株)社製、KES-SE)により動摩擦係数を測定し、すべり性の評価とした。この評価結果を表3に示した。さらに5-cで調製した、比較品C1のシャンプーについても、同様に毛髪ストランドを浸漬し、シャンプーを充分に洗い落とした後、濡れたままの毛髪ストランドの動摩擦係数を摩擦感テスターにより測定し、すべり性の評価をとした。この結果を表3中に示した。
【0049】
先述の5-a〜5-cで調製した、各々の本発明品の処方S1〜S4のシャンプーと、比較品C1のシャンプーについて、10名のテスターにより洗髪後の指通り試験を以下の方法にて行った。本発明品の処方S1〜S4のシャンプー、及び比較品C1のシャンプーを用いて洗髪、すすぎを行い、すすぎ時の指通りを確認した。指通りが良好であるとしたテスターの人数により次の基準で評価し、その結果を表3中に示した。
・指通りが良いと感じたテスターが8名以上・・・◎
・指通りが良いと感じたテスターが6〜7名
・・・○
・指通りが良いと感じたテスターが4〜5名
・・・△
・指通りが良いと感じたテスターが4名未満・・・×
【0050】
【表3】

【0051】
表3の結果から、本発明品のカチオン変性ガラクトマンナン多糖を配合したシャンプーは、未精製カチオン変性ガラクトマンナン多糖を配合したものよりも、濡れた髪の動摩擦係数を低下させるということが確認された。このことは官能評価でも現れ、洗髪後の指通りも未精製カチオン変性ガラクトマンナン多糖を配合したシャンプーよりも、本発明品を配合したものが優れた指通りを示すことが確認された。また、カチオン性水溶性高分子、両性水溶性高分子を併用した系でも、その効果は失われないことが確認された。よって、粗製ガラクトマンナン多糖中のガラクトマンナン含有量が85質量%以上のガラクトマンナン多糖をカチオン変性させることで、すべり性が向上することが確認された。また、毛髪に対するすべり性の向上が認められることから、ボディ用洗浄剤、洗顔料等の皮膚化粧料に対する感触改善も期待できる。
【0052】
実施例6 毛髪に対するすべり性(その2)
(評価)
実施例5で調整した、各々の本発明品の処方S1〜S4のシャンプーと比較品C1のシャンプーを用い、本発明のカチオン変性精製ガラクトマンナン多糖の損傷した毛髪に対するすべり性付与効果を、洗い流し製品で確認した。実施例5の試験に使用したものと同様の毛髪ストランドを6%H2O2と3%アンモニア水の2:1混合液(w/w)のブリーチ剤に、浴比1:100(毛髪ストランド:溶液重量)、40°Cの条件下で60分間浸漬した。温水で洗浄後、ドライヤー乾燥した。このブリーチ処理により得られた損傷の著しい毛髪ストランドを、先述の5-a〜5-bで調製した本発明品の処方S1〜S4のシャンプーの5%水溶液にそれぞれ浸漬し、シャンプーを充分に洗い落とした後、この濡れたままの毛髪ストランドの動摩擦係数を摩擦感テスターにより測定し、すべり性の評価とした。この評価結果を表4に示した。さらに、5-cで調製した比較品C1のシャンプーについても同様にブリーチ処理を行った毛髪ストランドを浸漬し、シャンプーを充分に洗い落とした後、濡れたままの毛髪ストランドについて摩擦感テスターによるすべり性の評価を実施し、結果を表4中に示した。
【0053】
【表4】

【0054】
表4の結果から、損傷毛髪においても、ガラクトマンナン含有量が85質量%以上の精製ガラクトマンナン多糖をカチオン変性させて得られたカチオン変性精製ガラクトマンナン多糖を配合した処方では、未精製カチオン変性ガラクトマンナン多糖を配合したものよりも、濡れた損傷毛髪に対するすべり性の向上効果が優れているということが確認され、更に、実施例5でのブリーチ未処理の健常毛髪で評価した場合よりも、動摩擦係数の差が大きくなっていることから、本発明品の損傷毛髪での有用性が確認された。
【0055】
実施例7 泡立ち試験
実施例5の5-a〜5-bで調製した、各々の本発明品の処方S1〜S4のシャンプーを用いて泡立ちについて測定を行った。比較のため、5-cで調製した、比較品C1のシャンプーについても同様に泡立ちを測定した。
測定方法は、本発明品の処方S1〜S4のシャンプーと比較品C1のシャンプーを硬度4の水でそれぞれ有り姿で1.5質量%となるよう希釈調製し、調製したそれぞれの水溶液145mLを市販のジューサーミキサーに入れ撹拌し泡立て、この時の泡の量を測定した。この結果を表5に示した。
【0056】
【表5】

【0057】
表5の結果から、本発明品のカチオン変性精製ガラクトマンナン多糖は、従来の未精製カチオン変性ガラクトマンナン多糖に比べ、泡立ちが優れることが証明された。よって、本発明品はシャンプー、ボディ用洗浄剤、洗顔料等の泡立ちを有する化粧料組成物に配合した場合、泡立ちの改善が期待できる。
【0058】
実施例8 毛髪に対する柔軟性
カチオン変性精製ガラクトマンナン多糖の毛髪に対する柔軟性を洗い流し製品(ヘアシャンプー)で確認した。
【0059】
(評価)
実施例5の5-a〜5-bで調製した、各々の本発明品の処方S1〜S4のシャンプーと比較品C1のシャンプーを、それぞれ1.0g用いて15gの毛髪ストランド(全長180mm)を洗髪した。その後流水中ですすぎ、恒温恒湿(20℃、40%RH)雰囲気中に24時間放置し、自然乾燥を行った。その後毛髪のコシの強さを純曲げ試験機(カトーテック株式会社製、KES-FB2-S)にて測定した。その結果を表6に示した。
【0060】
実施例5の5-a〜5-bで調製した、各々の本発明品の処方S1〜S4のシャンプーと比較品C1のシャンプーについて、10名のテスターにより洗髪した後、ドライヤーにて乾燥した後の毛髪の柔らかさを確認した。仕上がりの髪質が柔らかいと感じたテスターの人数により次の基準で評価し、その結果を表6中に示した。
・髪質が柔らかいと感じたテスターが8名以上・・・◎
・髪質が柔らかいと感じたテスターが6〜7名・・・○
・髪質が柔らかいと感じたテスターが4〜5名・・・△
・髪質が柔らかいと感じたテスターが4名未満・・・×
【0061】
【表6】

【0062】
表5の結果から、精製ガラクトマンナン多糖をカチオン変性した試料番号1、3、4、5のカチオン変性精製ガラクトマンナン多糖を含む本発明品のシャンプーS1〜S4は、従来の未精製ガラクトマンナン多糖をカチオン変性した、試料番号9を含む比較品C1のシャンプーと比較すると曲げ剛性(B値)、ヒステリシス幅(2HB)がともに向上している。更にこの結果は、手による感触面で毛髪へ柔らかな感触を与える等の効果が得られたことによって確認された。よって、本発明のカチオン変性精製ガラクトマンナン多糖はシャンプー、リンス等の洗い流し製品に配合した場合においても、その効果を十分発揮することが判った。
【0063】
また、本発明のカチオン変性精製ガラクトマンナン多糖とエチレンオキサイド平均付加モル数1.8、窒素含有率1.8質量%のカチオン変性ヒドロキシエチルセルロース(カチナールHC-100;東邦化学工業(株)社製)、N-メタクリロイルオキシエチルN,N-ジメチルアンモニウム-α-メチルカルボキシベタイン・メタクリル酸アルキル共重合体(Yukaformer SM;三菱化学株式会社製)等のコンディショニング効果を持つ水溶性高分子と併用した系に於いてヒステリシス幅(2HB)に差は無く、併用によってもその効果は失われないばかりか、曲げ剛性が適度に改善され、毛髪へのコシを与えることが確認された。
【0064】
実施例9 乳化性能
本発明のカチオン変性精製したガラクトマンナン多糖(表1の試料番号1、2、4及び5)の乳化性能を以下の方法で確認した。室温(25℃)において、内容積100mlの栓付きメスシリンダーに、40mlの試験液(0.125%水溶液)に油分としてn−ブタノール10mlを加え、30秒間振とう撹拌しn−ブタノールを乳化させた後、30分後及び24時間後の分離してくるn−ブタノールの容積を測定した。結果を表7に示した。表7の数値は小さいほど乳化性能が大きいことを示す。比較のため、比較例1で得た試料番号9の未精製カチオン変性ガラクトマンナン多糖をについて同様の乳化性能試験を実施した。結果を表7中に示す。
【0065】
【表7】

【0066】
表7の結果から、本発明のカチオン変性精製ガラクトマンナン多糖は、未精製のカチオン変性ガラクトマンナン多糖と比較し、乳化性能が増していることが証明された。これは、原料のフェヌグリークガムに含まれる外皮由来の沈殿物や、タンパク質、非水溶性物質を除去または少なくすることで乳化性能が改善されたものと考えられる。よって、本発明のカチオン変性精製ガラクトマンナン多糖を毛髪処理用組成物、皮膚化粧料組成物に配合した場合、乳化性能に伴う感触改善が期待できる。
【0067】
以下、健常毛髪、及び損傷毛髪に対するカチオン変性精製ガラクトマンナン多糖によって得られるすべり性の改善、良好な泡立ち性能、及び感触の向上を、剤型の異なる化粧料組成物それぞれにおいてさらに確認した。
【0068】
ヘアシャンプー
(調製)
実施例10
10-a
実施例1〜4で得た本発明の試料番号1〜6のカチオン変性精製ガラクトマンナン多糖を用いて表8の(A)に示した組成のシャンプーを調製した。表8中の(A)の成分(14)を65°Cに加熱し成分(1)を攪拌しながらゆっくり加え溶解させ、溶解を確認した後、加熱を止め(5)〜(10)を加えて攪拌して均一とし、さらに30〜40°Cで成分(11)〜(13)を加え均一に混合した。こうして表1中の試料番号1〜6に対応するカチオン変性精製ガラクトマンナン多糖を配合した表8の(A)に示した組成のシャンプーを各々調製し、表1中の試料番号1〜6を含むシャンプーを順に、本発明品の処方1〜6とした。
【0069】
10-b
実施例1で得た試料番号1のカチオン変性精製ガラクトマンナン多糖を用い、さらにカチオン性水溶性高分子Aとしてエチレンオキサイド平均付加モル数1.8、窒素含有率1.8質量%のカチオン変性ヒドロキシエチルセルロース(カチナールHC-100;東邦化学工業(株)社製)を含む、表8の(B)に示した組成のシャンプーを調製した。表8中の(B)の成分(14)を65°Cに加熱し、成分(1)、及び(3)を攪拌しながらゆっくり加え溶解させ、溶解を確認した後、加熱を止め成分(5)〜(10)を加えて攪拌して均一とし、さらに30〜40°Cで成分(11)〜(13)を加え均一に混合し、得られたシャンプーを本発明品の処方7とした。
【0070】
10-c
上記カチオン性水溶性高分子Aの代わりにカチオン性水溶性高分子Bとして塩化ジアリルジメチルアンモニウム・アクリルアミド共重合体(Merquat 550;NALCO社製)を含む表8の(C)に示した組成のシャンプーを同様に調製し、これを本発明品の処方8とした。
【0071】
10-d
実施例1で得た試料番号1のカチオン変性精製ガラクトマンナン多糖を用い、さらに両性水溶性高分子としてN-メタクリロイルオキシエチルN,N-ジメチルアンモニウム-α-メチルカルボキシベタイン・メタクリル酸アルキル共重合体(Yukaformer SM;三菱化学株式会社製)を含む、表8の(D)に示した組成のシャンプーを調製した。表8中の(D)の成分(14)を65°Cに加熱し成分(1)、及び(4)を攪拌しながらゆっくり加え溶解させ、溶解を確認した後、加熱を止め成分(5)〜(10)を加えて攪拌して均一とし、さらに30〜40°Cで成分(11)〜(13)を加え均一に混合し、得られたシャンプーを本発明品の処方9とした。
【0072】
10-e
実施例1で得た試料番号1のカチオン変性精製ガラクトマンナン多糖を用いてカチオン性水溶性高分子、両性水溶性高子を含む、表8の(E)に示した組成のシャンプーを調製した。表8中の(E)の成分(14)を65°Cに加熱し成分(1)、及び(3)、(4)を攪拌しながらゆっくり加え溶解させ、溶解を確認した後、加熱を止め成分(5)〜(10)を加えて攪拌して均一とし、30〜40°Cで成分(11)〜(13)を加え均一に混合し、得られたシャンプーを本発明品の処方10とした。
【0073】
10-f(比較品の調製)
本発明によるカチオン変性精製ガラクトマンナン多糖のシャンプーにおけるその効果を比較するため、例1で得たカチオン変性精製ガラクトマンナン多糖、すなわち表1中の試料番号7及び8を用いて表8の比較品(G)に示した組成のシャンプーを調製した。表8中の比較品(G)の成分(14)を65°Cに加熱し成分(2)を攪拌しながらゆっくり加え溶解させた。溶解を確認した後、加熱を止め成分(5)〜(10)を加えて攪拌して均一とし、30〜40°Cで成分(11)〜(13)を加え均一に混合し、得られたシャンプーをそれぞれ比較品1及び2とした。
【0074】
10-g(比較品の調製)
さらに効果を比較する為、上記10-fにおけるカチオン変性精製ガラクトマンナン多糖の代わりに、比較例1で得た、ガラクトマンナン多糖中のガラクトマンナン含有量が85質量%未満である未精製ガラクトマンナン多糖をカチオン変性した、未精製カチオン変性ガラクトマンナン多糖、すなわち表1中の試料番号9を用いて、表8の比較品(G)に示した組成のシャンプーを10-fと同様に調製し、比較品3とした。
【0075】
【表8】

【0076】
(評価)
実施例11
上記10-a〜10-eで調製した各々のシャンプー、すなわち本発明品の処方1〜10について10名のテスターにより次に示した項目の性能評価を実施した。性能評価方法は、成分にカチオン性ポリマー等を含まない表8の標準品(F)に示される組成のシャンプーと、それぞれ評価するべき対象のシャンプーとを使用し、洗髪時の使用感、乾燥後の使用感を、標準品(F)を基準にして、
・洗髪時の泡立ち
・使用時のすべり性(指通り、及び髪の手触り)
・使用後(乾いた髪)の櫛通り感
について比較し、下記表9に示す方法にて数値化し、それぞれの項目について10名のテスターの評価値を合計した。この評価結果を表10に示した。尚、上記標準品(F)は表8の標準品(F)中の成分(14)を65°Cに加熱した後、成分(5)〜(10)を加え攪拌して均一とした後、冷却し30〜40°Cで成分(11)〜(13)を加え均一に混合して調製した。
【0077】
比較例2
上記10-f〜10-hで調製した各々のシャンプー、比較品1〜3について、実施例11と同様に性能評価を実施し、その結果を表10中に示した。
【0078】
【表9】

【0079】
【表10】

【0080】
表10の結果から、精製ガラクトマンナン多糖をカチオン変性させた、本発明のカチオン変性ガラクトマンナン多糖をシャンプーに用いた場合、洗髪時の泡立ちと、使用時の指通り及び手触りなどのコンディショニング効果に優れ、乾燥後は櫛通りなどのコンディショニング効果に優れることが確認された。
【0081】
また、未精製のガラクトマンナン多糖をカチオン変性した試用番号9を含む比較品3では、洗浄時の指通り等のコンディショニング効果が本発明のカチオン変性精製ガラクトマンナン多糖と比較し劣り、乾燥後のすべり性、仕上がり感も乏しく、この事からガラクトマンナン多糖中のガラクトマンナン含有量の多い精製ガラクトマンナン多糖をカチオン変性した本発明のカチオン変性精製ガラクトマンナン多糖によって性能が改善される事が示された。さらに、配合成分としてカチオン性水溶性高分子(カチナールHC-100、Merquat 550)及び/又は両性水溶性高分子(Yukaformer SM)を併用することにより、本発明のカチオン変性精製ガラクトマンナン多糖のもつ性能を損なうこと無く、コンディショニング効果が向上することが確認された。
【0082】
(配合例1〜3)
以下に、シャンプーへの本発明の好適な配合例を示す。
【表11】

精製水を70°Cに加熱し、他成分を加え均一に溶解した後、冷却した。
【0083】
【表12】

精製水を70°Cに加熱し、他成分を加え均一に溶解した後、冷却した。
【0084】
【表13】

精製水を70°Cに加熱し、他成分を加え均一に溶解した後、冷却した。
【0085】
ヘアリンス
(調製)
実施例12
12-a
実施例1、2及び3で得られた試料番号1、4及び5のカチオン変性精製ガラクトマンナン多糖を用いて下記表14の(A)に示した、アミドアミン化合物と中和剤としてクエン酸を用い中和した、ベヘン酸ジメチルアミノプロピルアミド・クエン酸塩とさらには、高級アルコール(セタノール)を含む組成のリンスを調製した。表14の(A)の成分(5)〜(11)を80°Cに加熱し、攪拌して均一にした溶液に、予め成分(13)に成分(1)を攪拌しながら加え溶解させた溶液を80°Cに加熱したものを攪拌しながら加えた後、冷却しながら成分(12)を加えて均一に混合した。こうして表14の(A)に示した組成のリンスを調製し、表1中の試料番号1、4及び5の本発明のカチオン変性精製ガラクトマンナン多糖を含むリンスを順に、本発明品の処方11〜13とした。
【0086】
12-b
実施例2で得られた試料番号4のカチオン変性精製ガラクトマンナン多糖を用いて下記表14の(B)に示した、アミドアミン化合物と中和剤としてクエン酸を用い中和した、ベヘン酸ジメチルアミノプロピルアミド・クエン酸塩とさらには、高級アルコール(セタノール)、シリコーンを含む組成のリンスを調製した。表14の(A)の成分(5)〜(11)を80°Cに加熱し、攪拌して均一にした溶液に、予め成分(13)に成分(1)を攪拌しながら加え溶解させた溶液を80°Cに加熱したものを攪拌しながら加えた後、冷却しながら成分(12)を加えて均一に混合した。こうして表14の(A)に示した組成のリンスを調製し、表1中の試料番号4の本発明のカチオン変性精製ガラクトマンナン多糖を含むリンスを、本発明品の処方13とした。
【0087】
12-b
実施例1で得た試料番号1のカチオン変性精製ガラクトマンナン多糖を用い、さらにカチオン性水溶性高分子としてエチレンオキサイド平均付加モル数1.8、窒素含有率1.8質量%のカチオン変性ヒドロキシエチルセルロース(カチナールHC-100;東邦化学工業(株)社製)を含む、表14の(B)に示した組成のリンスを調製した。表14の(B)の成分(5)〜(10)を80°Cに加熱し、攪拌して均一にした溶液に、予め成分(12)に成分(1)、及び(3)を攪拌しながら加え溶解させた溶液を80°Cに加熱したものを攪拌しながら加えた後、冷却しながら成分(11)を加えて均一に混合し、得られたリンスを本発明品の処方14とした。
【0088】
12-c
実施例1で得た試料番号1のカチオン変性精製ガラクトマンナン多糖を用い、さらに両性水溶性高分子としてN-メタクリロイルオキシエチルN,N-ジメチルアンモニウム-α-メチルカルボキシベタイン・メタクリル酸アルキル共重合体(Yukaformer SM;三菱化学株式会社製)を含む、表14の(C)に示した組成のリンスを調製した。表14の(C)の成分(5)〜(10)を80°Cに加熱し、攪拌して均一にした溶液に、予め成分(12)に成分(1)、及び(4)を攪拌しながら加え溶解させた溶液を80°Cに加熱したものを攪拌しながら加えた後、冷却しながら成分(11)を加えて均一に混合し、得られたリンスを本発明品の処方15とした。
【0089】
12-d(比較品の調製)
本発明によるカチオン変性精製ガラクトマンナン多糖のリンスにおけるその効果を比較するため、例1で得たカチオン変性精製ガラクトマンナン多糖、すなわち表1中の試料番号7及び8を用いて表14の比較品(E)に示した組成のリンスを調製した。表14中の比較品(E)の成分(5)〜(10)を80°Cに加熱し、攪拌して均一にした溶液に、予め成分(12)に成分(2)を攪拌しながら加え溶解させた溶液を80°Cに加熱したものを攪拌しながら加えた後、冷却しながら成分(11)を加えて均一に混合し、表1中の試料番号7及び8を含むリンスを、それぞれ比較品4及び5とした。
【0090】
12-e(比較品の調製)
さらに効果を比較する為、前記試料番号7及び8の代わりに比較例1の未精製のガラクトマンナン多糖をカチオン変性した、未精製カチオン変性ガラクトマンナン多糖、すなわち表1中の試料番号9を用いて、表14の比較品(E)に示した組成のリンスを12-dと同様に調製し、得られたリンスを比較品6とした。
【0091】
【表14】

【0092】
(評価)
実施例13
先述の12-a〜12-cで調製した各々のリンス、すなわち本発明品の処方11〜15について、10名のテスターにより次に示した項目の性能評価を実施した。性能評価方法は、成分にカチオン性ポリマーを含まない表14の標準品(D)に示される組成のリンスと、それぞれ評価するべき対象のリンスとを使用し、すすぎ時の指通り、ドライヤー乾燥を行った後の使用感を、標準品(D)を基準にして、
・すすぎ時のすべり性(指通り)
・乾いた髪のコンディション効果の有無(櫛通り、きしみ感など)
について比較し、それを下記表15の方法にて数値化し、評価を実施した10名のテスターの値を合計した。この評価結果を表16に示した。尚、上記標準品(D)は表14の標準品(D)中の成分(5)〜(10)を80°Cに加熱し、攪拌して均一にした溶液に、80°Cに加熱した成分(12)を攪拌しながら加えた後、冷却しながら成分(11)を加えて均一に混合し調製した。
【0093】
比較例3
先述の12-d及び12-eで調製した各々のリンス、すなわち比較品4〜6について、実施例13と同様に性能評価を実施し、その結果を表16中に示した。
【0094】
【表15】

【0095】
【表16】

【0096】
表16の結果から、粗製ガラクトマンナン多糖中のガラクトマンナン含有量が85質量%以上である精製ガラクトマンナン多糖をカチオン変性させた本発明のカチオン変性精製ガラクトマンナン多糖を含み、さらにアミドアミン化合物、中和剤、及び高級アルコール(セタノール)を含むリンスでは、組成物のすすぎ時のすべり性が優れることが確認された。さらに、乾燥後の櫛通りの改善や、きしみ感の少なさ等のコンディショニング効果が得られることから、アミドアミン化合物、中和剤、及び高級アルコールを含む系においても、本発明品による良好な仕上がり感が確認された。
【0097】
またアミドアミン化合物、中和剤、及び高級アルコールを含むリンスにおける本発明品の性能(本発明品の処方11〜15)を、ガラクトマンナン多糖中のガラクトマンナン含有量が85質量%未満である未精製のガラクトマンナン多糖をカチオン変性した試料番号9の未精製カチオン変性ガラクトマンナン多糖(比較品の処方6)と比較すると、使用時のコンディショニング効果及び使用後の仕上がり感ともに優れていることが確認された。これは本発明のカチオン変性精製ガラクトマンナン多糖では、従来の未精製カチオン変性ガラクトマンナン多糖よりも外皮由来の沈殿物や、タンパク質、非水溶性物質が減じており、このことによりすすぎ時に良好なすべり性が得られると同時に、使用後の仕上がり感も向上するものと考えられる。さらに、カチオン性水溶性高分子及び/又は両性水溶性高分子を併用することにより、カチオン変性ガラクトマンナン多糖のもつ性能を損なうこと無く、コンディショニング効果が向上することが確認された。またさらに、シリコーンを配合することにより、カチオン変性ガラクトマンナン多糖のもつ性能を損なうこと無く、コンディショニング効果が向上することも確認された。
【0098】
(配合例4〜6)
以下に、リンス、コンディショナー等のコンディショニング効果を必要とする毛髪処理用組成物への、本発明の好適な配合例を示す。
【表17】

表17の精製水に、本発明品、塩化ヒドロキシプロピルトリモニウムデンプン、ベヘン酸ジメチルアミノプロピルアミド、加水分解コムギ、L-グルタミン酸、グリセリン、1,3-ブチレングリコール、色素を加え80°Cに保つ(水相)。残りの他の成分を混合、加熱溶解し、80°Cに保つ(油相)。水相と油相を加えホモミキサーで乳化後、撹拌しながら冷却した。
【0099】
【表18】

表18の精製水に、本発明品、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、グリセリン、ヒドロキシプロピルトリモニウム加水分解ケラチン、フェノキシエタノール、色素を加え75°Cに保つ(水相)。残りの他の成分を混合、加熱溶解し、75°Cに保つ(油相)。水相と油相を加えホモミキサーで乳化後、撹拌しながら冷却した。
【0100】
【表19】

表19の精製水に、本発明品、N-(3-アルキル(12,14)オキシ-2-ヒドロキシプロピル)-L-アルギニン塩酸塩、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、50%乳酸、グリセリン、フェノキシエタノール、安息香酸ナトリウム、を加え70°Cに保つ(水相)。残りの他の成分を混合、加熱溶解し、70°Cに保つ(油相)。水相と油相を加えホモミキサーで乳化後、撹拌しながら冷却した。
【0101】
ボディ用洗浄剤
(調製)
実施例14
14-a
実施例1、2及び4で得られた試料番号1、4及び6のカチオン変性精製ガラクトマンナン多糖を用いて表20の(A)に示した組成のボディ用洗浄剤(ボディソープ)を調製した。表20中の(A)の成分(11)を60°Cに加熱し、成分(1)を攪拌しながら加え溶解させ、溶解を確認した後、50〜60°Cで成分(3)〜(7)を撹拌しながら加えて均一とし、更に30〜40°Cで成分(8)〜(10)を同様に撹拌しながら加え、均一に混合した。こうして表20の(A)に示した組成のボディ用洗浄剤を各々調製し、表1中の試料番号1、4及び6の本発明のカチオン変性ガラクトマンナン多糖を含むボディ用洗浄剤を順に、本発明品の処方16、17及び18とした。
【0102】
【表20】

【0103】
14-b(比較品の調製)
本発明で用いるカチオン変性精製ガラクトマンナン多糖の、ボディ洗浄剤におけるその効果を比較するため、比較例1で得られた試料番号9及び他のカチオン性ポリマーとしてエチレンオキサイド平均付加モル数1.8、窒素含有率1.8質量%のカチオン変性ヒドロキシエチルセルロース(カチナールHC-100:東邦化学工業(株)社製)について表20の(C)に示した組成のボディ用洗浄剤を調製した。表20中の(C)の成分(11)を60°Cに加熱し、成分(2)を攪拌しながらゆっくり加え溶解させ、溶解を確認した後、50〜60°Cで成分(3)〜(7)を撹拌しながら加えて均一とし、更に30〜40°Cで成分(8)〜(10)を同様に撹拌しながら加え、均一に混合した。こうして表20の(C)に示した組成のボディ用洗浄剤を調製し、それぞれ比較品7及び8とした。
【0104】
(評価)
実施例15
上記14-aで得た本発明品の処方16、17及び18各々のボディ用洗浄剤について、10名のテスターにより次に示した項目の性能評価を実施した。性能評価方法は、成分にカチオン性ポリマー等の高分子化合物を含まない表20の標準品(B)に示される組成のボディ用洗浄剤と、それぞれ評価するべき対象のボディ用洗浄剤とを使用し、
・使用時の泡の量及び泡質
・使用時の使用感(すすぎ易さ、すすぎ後のつっぱり感、及びぬめり感)
・使用後(乾いた後)の使用感(つっぱり感、滑らかさ感、しっとり感)
について、標準品(B)の使い心地と比較し、それを下記表21及び22の方法にて数値化し、評価を実施した10名のテスターの値を合計した。この評価結果を表23に示した。なお、標準品は表20の標準品(B)の成分(11)を60°Cに加熱した後、50〜60°Cで成分(3)〜(7)を撹拌しながら加えて均一とし、更に30〜40°Cで成分(8)〜(10)を同様に撹拌しながら加え、均一に混合し、表20の(B)に示した組成のボディ用洗浄剤を調製し、本評価の標準品とした。
【0105】
【表21】

【0106】
【表22】

【0107】
比較例5
先述の14-bで得た比較品7及び8のボディ用洗浄剤について、実施例15と同様の性能評価を行った。これらの結果を表23中に示した。
【0108】
【表23】

【0109】
表23の結果から、本発明のカチオン変性精製ガラクトマンナン多糖は、ボディ用洗浄剤に用いた場合、未精製カチオン変性ガラクトマンナン多糖を含む比較品7と比較しても、カチオン変性ガラクトマンナン多糖中の水不溶物が少ないため使用時の使用感が良好となり、尚且つ泡の質の改善効果が確認され、使用後の仕上がり感も向上するということが確認された。また、他のカチオン性ポリマー(比較品8)と比較しても、カチオン変性ガラクトマンナン多糖に由来する洗浄時、及び乾燥後の良好な使用感を与えることが確認された。
【0110】
(配合例9〜12)
以下に、本発明のカチオン変性ガラクトマンナン多糖によるコンディショニング効果と水不溶物除去による感触改善を利用した、ボディ用洗浄剤等の皮膚化粧料組成物への好適な配合例を示す。
【表24】

常法に基づき、液体状ボディ用洗浄剤(ボディソープ)を製造する。
【0111】
【表25】

常法に基づき、液体状ボディ用洗浄剤(ボディソープ)を製造する。
【0112】
【表26】

常法に基づき、液体状ボディ用洗浄剤(ボディソープ)を製造する。
【0113】
(配合例12〜)
以下に、本発明のカチオン変性精製ガラクトマンナン多糖の皮膚化粧料組成物に対する感触改善を利用する他の適用例としてアフターシューブローション等の配合例を示す。
【表27】

【0114】
【表28】

表28の精製水に本発明品を溶解した後、グリセリン、スクワラン及び1,3−ブタンジオールを添加して水相部とした。次に、エチルアルコールにポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(8)セチルエーテル、オクチルドデカノール、ビタミンアセテート、メチルパラベン及び香料を添加して調整したアルコール相部を水相部に添加し混合した。この混合物に、タルク、黄酸化鉄、赤酸化鉄、黒酸化鉄を添加して分散処理し、メーキャップローションを製造する。
【0115】
【表29】

常法に基づき、ファンデーションを製造する。
【0116】
【表30】

常法に基づき、入浴剤を製造する。




【特許請求の範囲】
【請求項1】
粗製ガラクトマンナン多糖を精製することにより得られる、マンノースを構成単位とする主鎖にガラクトース単位が側鎖として構成された、マンノースとガラクトースの組成比が1対1であるガラクトマンナンの含有量が85質量%以上である精製ガラクトマンナン多糖であって、該精製ガラクトマンナン多糖の水酸基の一部が、下記化学式(1)で表される第4級窒素含有基で置換されており、該第4級窒素含有基由来のカチオン電荷量が0.1〜3.0meq/gであるカチオン変性精製ガラクトマンナン多糖。
【化1】

(式中R1、R2は各々炭素数1〜3個のアルキル基、R3は炭素数1〜24のアルキル基を示し、X-は陰イオンを示す。nは、n=0又はn=1〜30を示し、n=1〜30の時、(R4O)nは炭素数2〜4のアルキレンオキサイドの重合体残基であって、単一のアルキレンオキサイドからなるポリアルキレングリコール鎖及び/又は2種類以上のアルキレンオキサイドからなるポリアルキレングリコール鎖を示す。)
【請求項2】
マンノースとガラクトースの組成比が1対1のガラクトマンナン多糖が、豆科植物であるフェヌグリーク(学名Trigonella foenum-graecum)の種子の胚乳部分より得られる天然水溶性ガムである請求項1のカチオン変性精製ガラクトマンナン多糖。
【請求項3】
精製ガラクトマンナン多糖中の水酸基を第4級窒素含有基で置換するに当たりグリシジルトリアルキルアンモニウム塩または、3-ハロゲノ-2-ヒドロキシプロピルトリアルキルアンモニウム塩をガラクトマンナン多糖と反応させることで製造することができる請求項1乃至2記載のカチオン変性精製ガラクトマンナン多糖。
【請求項4】
精製ガラクトマンナン多糖のカチオン変性が、精製ガラクトマンナン多糖に含まれる水酸基の一部に、炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを付加した後、カチオン変性剤としてグリシジルトリアルキルアンモニウム塩または、3−ハロゲノ−2−ヒドロキシプロピルトリアルキルアンモニウム塩を用いてなされたものである請求項1〜3記載のカチオン変性精製ガラクトマンナン多糖。
【請求項5】
請求項1〜4記載のカチオン変性精製ガラクトマンナン多糖を含有する化粧料組成物。
【請求項6】
請求項1〜4記載のカチオン変性精製ガラクトマンナン多糖の含有量が組成物全体を100質量%として、0.05〜5質量%である請求項5記載の化粧料組成物。
【請求項7】
請求項5または6記載の化粧料組成物に、他のカチオン性水溶性高分子及び/又は両性水溶性高分子を、組成物全体を100質量%として、5質量%以下含有することを特徴とする当該化粧料組成物。
【請求項8】
請求項5〜7記載の化粧料組成物に、アミドアミン化合物と有機酸及び/又は無機酸等の中和剤とさらに、高級脂肪酸及び/又は高級アルコールを含むことを特徴とする当該化粧料組成物。
【請求項9】
請求項5〜8記載の化粧料組成物に、シリコーンを配合することを特徴とする当該化粧料組成物。
【請求項10】
請求項5〜9記載の化粧料組成物が毛髪処理用組成物である組成物。




【公開番号】特開2006−131862(P2006−131862A)
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−368566(P2004−368566)
【出願日】平成16年12月20日(2004.12.20)
【出願人】(000221797)東邦化学工業株式会社 (188)
【Fターム(参考)】