説明

カチオン性のフッ素化エーテル型シラン組成物及び関連する方法

フッ素化エーテル基及びシラン基を有するカチオン性化合物を含む、組成物が提供され、その化合物は下記の式を有する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ペルフルオロ化されたエーテル基及び反応性シラン基を有するカチオン性化合物を含む、組成物に関する。より具体的には、本開示は、ペルフルオロ化されたエーテル基及び反応性シラン基を有するカチオン性化合物を含む水性組成物、及び基材の保護におけるそれらの使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
いくつかのフッ素化化合物は、撥水性、撥油性、又はその両方を、例えば、繊維、紙、不織材料、皮革及び石造物などの基材に与えることが示されている。繊維は、例えば綿のような天然繊維、及びポリエステルのような合成繊維を包含している。紙基材は、食品の包装に使用される紙を包含している。撥液性は、フッ素化化合物を含む、組成物を、例えば、基材の表面に塗布することにより達成されている。多くの場合、かなりの量の有機溶媒を含む、組成物中のフッ素化化合物が、基材の表面に塗布されている。いくつかの場合には、有機溶媒は引火性又は可燃性である。いくつかの場合には、有機溶媒は、例えばテトラクロロエチレン又はトリクロロトリフルオロエタンのようなハロゲンを含む種を含んでいる。フッ素化化合物を含む、組成物を基材に塗布する方法は、例えばエアロゾルの缶などの圧力化容器から溶液を噴霧することを含んでいる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
フッ素化化合物が他の溶媒には限定された溶解性しか有さないため、多くの場合、フッ素化化合物の組成物は、ハロゲンを含有するものを含む有機溶媒を含んでいる。しかしながら、各種の理由のために、かなりの量の可燃性有機溶媒を含む、組成物の使用があまり好ましくないという認識がある。同様に、かなりの量のハロゲン含有溶媒を含む、組成物の使用があまり好ましくないという認識がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
われわれは、これまで、フッ素化化合物を含む、組成物を開発すること、及び例えば、基材に撥水性、撥油性、又はその両方を付与する溶媒を開発することは困難であることを認識している。したがって、水性又は実質的に水性の媒質を含むか、又はそれらから供給され、基材、より具体的には基材の表面に撥水性及び撥油性を付与する、フッ素化化合物を含む、組成物、特にカチオン性フッ素化化合物に対する需要がある。
【0005】
1実施態様では、本発明は式I
【0006】
【化1】

【0007】
式中、a、b、及びcは、それぞれ独立して、約1〜約3の整数であり、Rは、ペルフルオロ化されたエーテル基、Aは、式−C2dZC2g−を持つ連結基であって、式中、d及びgは、独立して、約0〜約10の整数であり、Zは、共有結合、カルボニル基、スルホニル基、カルボキサミド基、スルホンアミド基、イミノカルボニル基、イミノスルホニル基、オキシカルボニル基、ウレア基、ウレタン基、カーボネート基、及びカルボニルオキシ基からなる群から選択され、Yは、約1〜約10個の炭素原子、及び約2〜約6の価数を有する架橋基であり、少なくとも1つのアルキレン基又はアリーレン基を含み、Qは、約1〜約10個の炭素原子、及び約2〜約6の価数を有する連結基であり、少なくとも1つのアルキレン基又はアリーレン基を含み、R及びRは、独立して、水素原子、アルキル基、アリール基、及びアラルキル基からなる群から選択され、それぞれのRは、独立して、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アシル基、アシルオキシ基、ハロ基、及びポリエーテル基からなる群から選択され、並びにXは、無機アニオン、有機アニオン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択されるカウンターイオンである、の少なくとも一種の化合物を含む、組成物を提供する。
【0008】
いくつかの実施形態では、本発明は、式II
【0009】
【化2】

【0010】
式中、nは、約2〜約12の整数であり、pは、約1〜約6の整数であり、b及びcは、それぞれ独立して、約1〜約3の整数であり、Aは、式−C2dZC2g−を持つ連結基であり、式中、d及びgは、独立して、約0〜約10の整数であり、Zは、共有結合、カルボニル基、スルホニル基、カルボキサミド基、スルホンアミド基、イミノカルボニル基、イミノスルホニル基、オキシカルボニル基、ウレア基、ウレタン基、カーボネート基、及びカルボニルオキシ基からなる群から選択され、Yは、約1〜約6個の炭素原子を有するアルキレン基を含む架橋基であり、Qは、約1〜約6個の炭素原子を有するアルキレン基を含む連結基であり、R及びRは、独立して、約1〜約4個の炭素原子を有するアルキル基であり、それぞれのRは、独立して、ヒドロキシ基、メトキシ基、エトキシ基、アセトキシ基、クロロ基、及びポリエーテル基からなる群から選択され、並びにXは、ハロゲン化物、硫酸塩、リン酸塩、アルカノアート、アルキルスルホン酸塩、アリールスルホン酸塩、アルキルホスホン酸塩、アリールホスホン酸塩、フッ素化アルカノアート、フッ素化アルキルスルホン酸塩、フッ素化アリールスルホン酸塩、フッ素化アルキルスルホンイミド、フッ素化アルキルメチド、及びそれらの組み合わせからなる群から選択されるカウンターイオンである、の少なくとも一種の化合物を含む、組成物を提供する。
【0011】
本発明の組成物は、撥水性、撥油性、又はその両方を基材に与えることを含む、基材の保護のために有用である。特に、本発明の組成物は、基材の少なくとも1つの表面に、撥水性、撥油性、又はその両方を与えるために有用である。本発明の組成物は、シラン基に相溶解性のある官能基を含むナノ粒子にグラフト又は混合し得る。1実施態様においては、ナノ粒子はヒドロキシル官能基を含む。1実施態様においては、ナノ粒子は、シリカ、チタニウム、又はジルコニウムのナノ粒子である。
【0012】
別の実施態様においては、本発明は、1)式I又は式IIの化合物を含む、組成物を提供すること、及び2)基材を組成物に接触させることを含む、表面の保護方法を提供する。1実施態様において、組成物は、基材との接触に先立ち、式I又は式IIのシラン基と相溶性のある官能基を含むナノ粒子とグラフト又は混合させることができる。基材は、セラミック、繊維、ケイ酸塩、紙、金属、木材、及びプラスチックを含むことができる。
【0013】
別の実施態様においては、本発明は、a)式Iの化合物を含む、組成物、及びb)キットの使用説明書を含む、キットを提供する。
【0014】
この「課題を解決するための手段」は、本発明のそれぞれの及び全ての実施形態又は実施を記載することを意図するものではない。本発明の更なる実施形態、特徴及び利点は、本発明の実施形態についての以下の「発明を実施するための形態」及び「特許請求の範囲」から明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本明細書にわたっていくつかの箇所で、実施例の一覧を通してガイダンスを提供するが、実施例は様々な組み合わせにおいて使用できる。それぞれの事例において、列挙された一覧は、代表的な群としてのみ役目を果たすのであって、排他的な一覧として解釈されるべきではない。
【0016】
本明細書で使用するとき、
端点による数の範囲の列挙にはいずれも、その範囲内に包含される全ての数が含まれる(例えば、1〜5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、5などを含む)。
【0017】
用語「a」、「an」、「the」、「少なくとも1つの」及び「1つ又はそれ以上の」は本明細書では交換可能に使用される。したがって、例えば、「1つの(a)」式Iの化合物を含む、組成物は、「1つ又はそれ以上の」式Iの化合物を含む、組成物を意味すると解釈することができる。
【0018】
用語「ペルフルオロ化されたエーテル基」は、少なくとも1つのフッ素と炭素との結合を有し、実質的に水素と炭素との結合を含まないエーテル基を指し、
用語「ペルフルオロポリエーテル基」は、1つ以上のペルフルオロ化されたエーテル基を含むペルフルオロ化されたエーテル基を指し、
用語「ペルフルオロアルキル基」は、少なくとも1つのフッ素と炭素との結合を有し、実質的に水素と炭素との結合を含まないアルキル基を指し、及び
用語「ペルフルオロアルキレン基」は、少なくとも1つのフッ素と炭素との結合を有し、実質的に水素と炭素との結合を含まないアルキレン基を指す。
【0019】
1実施態様では、本発明は式I
【0020】
【化3】

【0021】
の少なくとも一種の化合物を含む、組成物を提供する。
【0022】
ペルフルオロ化されたエーテル基R
一価のペルフルオロ化されたエーテル基は少なくとも1つの炭素原子を含む。ペルフルオロ化されたエーテル基は、直線のペルフルオロ化されたエーテル基であってよいか、又は分岐又は環状構造を含んでよい。ペルフルオロ化されたエーテル基中の酸素原子は1つ以上の直線、分岐、又は環状構造中にあることができる。ペルフルオロ化されたエーテル基は、約200〜約7000、約500〜約5000、約1000〜約5000、約1000〜約4000、約1000〜約3000、又は約1000〜1500の重量平均分子量を有することができる。いくつかの実施形態では、ペルフルオロ化されたエーテル基は、約300、約400、約600、約800、約1000、約1200、約1400、約1600、約1800、約2000、約2200、約2400、約2600、約2800、又は約3000の重量平均分子量を有することができる。
【0023】
ペルフルオロ化されたエーテル基はペルフルオロアルキル基、ペルフルオロアルキレン基、又はその両方を含み得る。ペルフルオロアルキル基は、直線、分岐、又は環状構造、又はかかる構造の組み合わせを含み得る。いくつかの実施形態では、ペルフルオロアルキル基は、1つ以上の直線、分岐、又は環状構造を含む。ペルフルオロアルキル基の非限定的な例としては、ペルフルオロメチル基、ペルフルオロエチル基、ペルフルオロプロピル基、ペルフルオロブチル基、ペルフルオロ−2−ブチル基、ペルフルオロヘキシル基、及びペルフルオロシクロヘキシル基、ペルフルオロシクロヘキシルメチル基が挙げられる。ペルフルオロアルキレン基は、直線、分岐、又は環状構造、又はかかる構造の組み合わせを含み得る。いくつかの実施形態では、ペルフルオロアルキレン基は1つ以上の直線、分岐、又は環状構造を含み得る。ペルフルオロアルキレン基の非限定的な例としては、ペルフルオロメチレン、ペルフルオロエチレン、及びペルフルオロ−1,2−プロピレンが挙げられる。
【0024】
いくつかの実施形態では、ペルフルオロ化されたエーテル基は、少なくとも2個の酸素原子を含むペルフルオロポリエーテル基である。
【0025】
ペルフルオロ化されたエーテル基は、F(C2mO)2p−の構造を含むことができ、式中、mは少なくとも約1の整数であり、nは少なくとも約2の整数であり、pは少なくとも約1の整数である。かかる構造を含むペルフルオロ化されたエーテルの調製は、それぞれが、m、n、及びpの異なる整数値を有するペルフルオロ化されたエーテルの混合物をもたらすことが理解される。かかるペルフルオロ化されたエーテルの混合物は、m、n及びpの非整数の平均値を有することができる。いくつかの実施形態では、mは約1〜約12の整数であり、nは、約2〜約10の整数であり、及びpは約1〜約6の整数である。いくつかの実施形態では、mは約2より大きい整数であり、約4より大きい整数であり、約6より大きい整数であり、約8より大きい整数であり、又は約10より大きい整数である。いくつかの実施形態では、nは約2より大きい整数である。いくつかの実施形態では、nは、約3より大きい整数であり、約4より大きい整数であり、約5より大きい整数であり、約6より大きい整数であり、約7より大きい整数であり、約8より大きい整数であり、約9より大きい整数である。いくつかの実施形態では、pは、約1〜約10、約1〜約8、又は約1〜約6である。いくつかの実施形態では、pは1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10の整数である。基礎構造の−C2m−及び−C2p−は、独立して、1つ以上の直線、分岐、又は環状構造を含み得る。
【0026】
ペルフルオロ化されたエーテル基は、式中、qが1より大きい整数である、F(CF(CF)CFO)CF(CF)−の構造を含み得る。かかる構造を含むペルフルオロ化されたエーテルの調製は、それぞれが、異なるqの整数値を有するペルフルオロ化されたエーテルの混合物をもたらすことが理解される。ペルフルオロ化されたエーテルのかかる混合物は、qの非整数値を有し得る。いくつかの実施形態では、qは、約2より大きい整数、約3より大きい整数、約4より大きい整数、約5より大きい整数、約6より大きい整数、約7より大きい整数、約8より大きい整数、約9より大きい整数、約10より大きい整数、約15より大きい整数、約20より大きい整数、又は約25より大きい整数である。いくつかの実施形態では、qは約2〜約12の整数である。ペルフルオロ化されたエーテル基は、例えば、米国特許第3,882,193号(ライス(Rice)他)及び同第3,250,807号(フリッツ(Fritz)他)に記載されているようなテトラフルオロエチレン又はヘキサフルオロプロピレンから誘導し得る。ペルフルオロ化されたエーテル基は、例えば、米国特許第6,923,921号(フリン(Flynn)他)及び同第3,250,808号(ムーア、ジュニア(Moore,Jr.)他)に記載されているようなヘキサフルオロプロピレンオキシドから誘導し得る。
【0027】
連結基A
連結基Aは、ペルフルオロ化されたエーテル基Rを架橋基Yに連結する。連結基Aは、少なくとも、ペルフルオロ化されたエーテル基Rを架橋基Yに連結させるのに十分な価数を有する。いくつかの実施形態では、連結基Aは少なくとも約2の価数を有する。いくつかの実施形態では、連結基Aは約2の価数を有する。いくつかの実施形態では、連結基Aは約2〜約6の価数を有する。
【0028】
連結基Aはペルフルオロ化されたエーテル基Rの部分として形成されることができ、即ち、連結基Aは、連結基Aが架橋基Yに連結する前に、ペルフルオロ化されたエーテル基Rに連結され得る。代替的には、連結基Aは架橋基Yの部分として形成されることができ、ペルフルオロ化されたエーテル基Rに連結する前に架橋基Yに連結され得る。代替的には、連結基Aはペルフルオロ化されたエーテルの前駆体化合物及び架橋基Yの前駆体化合物の化学反応の間に形成され得る。この実施形態では、連結基Aは、ペルフルオロ化されたエーテル基R及び架橋基Yに、本質的に同時に連結され得る。いくつかの実施形態では、連結基Aは2価である。
【0029】
いくつかの実施形態では、連結基Aは、式−C2dZC2g−を有し、式中、d及びgは、独立して、約0〜約10の整数であり、及びサブ基Zは、共有結合、カルボニル基、スルホニル基、カルボキサミド基、スルホンアミド基、イミノカルボニル基、イミノスルホニル基、オキシカルボニル基、ウレア基、ウレタン基、カーボネート基、及びカルボニルオキシ基からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、d及びgは、独立して、約1〜約4の整数であり、及びZは、共有結合、カルボニル基、スルホニル基、カルボキサミド基、スルホンアミド基、イミノカルボニル基、イミノスルホニル基、オキシカルボニル基、ウレア基、ウレタン基、カーボネート基、及びカルボニルオキシ基からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、例えばd及びgが両方とも0であるとき、連結基Aはサブ基Zを含む。
【0030】
いくつかの実施形態では、例えばZが共有結合であるとき、連結基Aはアルキレン基を含む。アルキレン基は直線、分岐、又は環状構造を含み得る。アルキレン基は少なくとも1つのヘテロ原子、例えば、酸素、窒素、又は硫黄、を更に含み得る。アルキレン基は、少なくとも約1個の炭素原子、又は最大約2、最大約3、最大約4、最大約5、最大約6、最大約7、最大約8、最大約9、最大約10、最大約14、最大約16、最大約18、若しくは最大約20個の炭素原子を含み得る。アルキレン基の非限定的な例としては、メチレン、エチレン、1,3−プロピレン、1,2−プロピレン、1,4−ブチレン、1,4−シクロヘキシレン、及び1,4−シクロヘキシルジメチレンが挙げられる。
【0031】
いくつかの実施形態では、連結基Aはアリーレン基を更に含む。アリーレン基は、1つ以上の芳香環を有する。アリーレン基が1つ以上の芳香環を含む場合、芳香環(互いに同じであっても異なっていてもよい)は、縮合されてよく、共有結合により連結されてよく、又は例えば、アルキレン基又は酸素のようなヘテロ原子などの連結基を経由して連結されることができる。アリーレン基は少なくとも1個のヘテロ原子、例えば、酸素、窒素、又は硫黄を含み得る。アリーレン基は、少なくとも約4個の炭素原子、又は少なくとも約5個、少なくとも約6個、少なくとも約10個、若しくは少なくとも約14個の炭素原子を含み得る。アリーレン基の非限定的な例としては、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、9−アントラセニル、フラニル、及びチオフェニルが挙げられる。
【0032】
いくつかの実施形態では、連結基Aはアルキレン基を含み得る。いくつかの実施形態では、連結基Aはアルカリーレン基を含み得る。
【0033】
架橋基Y
架橋基Yは、連結基A及びカチオン性窒素原子を架橋する。架橋基Yは、少なくとも連結基A及びカチオン性窒素原子を架橋するのに十分な価数を有する。式I及びIIに示されるように、例えば、架橋基Yは少なくとも約a+bの価数を有することができる。いくつかの実施形態では、架橋基Yは約2の価数を有する。いくつかの実施形態では、架橋基Yは約2より大きい価数を有する。いくつかの実施形態では、架橋基Yは約2〜約6の価数を有する。架橋基Yは2〜約6の価数を有することができ、約1〜約10個の炭素原子を有することができ、及びアルキレン基又はアリーレン基のうちの少なくとも1つを有することができる。
【0034】
架橋基Yは、カチオン性窒素原子を含む基の部分として形成され得る。代替的に、架橋基Yは後に4級化されて、カチオン性窒素原子を形成する窒素原子を含む基の部分として形成され得る。代替的に、架橋基Yは連結基Aの前駆体化合物及び含窒素化合物の化学反応の間に形成され得る。の実施形態では、架橋基Yは、連結基A及び中性又はカチオン性窒素原子と本質的に同時に架橋する。いくつかの実施形態では、架橋基Yは2価であり得る。
【0035】
いくつかの実施形態では、架橋基Yはアルキレン基を含む。アルキレン基は直線、分岐、又は環状構造を含み得る。アルキレン基は、少なくとも1個のヘテロ原子、例えば、酸素、窒素、又は硫黄を含み得る。アルキレン基は、少なくとも約1個の炭素原子、又は最大約2個、最大約3個、最大約4個、最大約5個、最大約6個、最大約7個、最大約8個、最大約9個、最大約10個、最大約14個、最大約16個、最大約18個、又は最大約20個の炭素原子を含み得る。アルキレン基は約20個より多い炭素原子を含み得る。アルキレン基の非限定的な例としては、メチレン、エチレン、1,3−プロピレン、1,2−プロピレン、1,4−ブチレン、1,4−シクロヘキシレン、及び1,4−シクロヘキシルジメチレンが挙げられる。
【0036】
いくつかの実施形態では、架橋基Yはアリーレン基を含む。アリーレン基は、1個以上の芳香環を含む。アリーレン基が1個以上の芳香環を含む場合、芳香環(互いに同じであっても異なっていてもよい)は、縮合されてよく、共有結合により連結されてよく、又は例えば、アルキレン基又は酸素のようなヘテロ原子などの連結基を経由して連結されることができる。アリーレン基は少なくとも。1個のヘテロ原子、例えば、酸素、窒素、又は硫黄を含み得る。アリーレン基は、少なくとも約4個の炭素原子、又は少なくとも約5個、少なくとも約6個、少なくとも約10個、若しくは少なくとも約14個の炭素原子を含み得る。アリーレン基の非限定的な例としては、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、9−アントラセニル、フラニル、及びチオフェニルが挙げられる。
【0037】
いくつかの実施形態では、架橋基Yは、アラールキレン基又はアルカリーレン基を含む。アラールキレン又はアルカリーレン基は、1個以上の芳香環を含む。アラールキレン又はアルカリーレン基が、1個以上の芳香環を含む場合は、芳香環(互いに同じであっても異なっていてもよい)は、縮合されてよく、共有結合により連結されてよく、又は例えば、アルキレン基又は酸素のようなヘテロ原子などの連結基を経由して連結されることができる。アラールキレン又はアルカリーレン基は少なくとも1個のヘテロ原子、例えば、酸素、窒素、又は硫黄を含み得る。アラールキレン又はアルカリーレン基は少なくとも約4個の炭素原子、又は少なくとも約5個、少なくとも約6個、少なくとも約10個、若しくは少なくとも約14個の炭素原子を含み得る。
【0038】
結合基Q
結合基Qは、カチオン性窒素原子をケイ素原子に結合する。結合基Qは、少なくともカチオン性窒素原子をケイ素原子に結合するのに十分な価数を有する。式I及びIIに示されるように、例えば、結合基Qは少なくとも約c+1の価数を有する。いくつかの実施形態では、結合基Qは約2の価数を有する。いくつかの実施形態では、結合基Qは約2より大きい価数を有する。いくつかの実施形態では、結合基Qは約2〜約6の価数を有する。結合基Q約2〜約6の価数を有することができ、約1〜約10個の炭素原子を含むことができ、及びアルキレン基又はアリーレン基のうちの少なくとも1つを含み得る。
【0039】
結合基Qはカチオン性窒素原子を有する基の部分として形成され得る。代替的に、結合基Qはケイ素原子を含む基の部分として形成され得る。代替的に、結合基Qは含窒素化合物及び含ケイ素化合物との化学反応の間に形成され得る。この実施形態では、結合基Qは、中性又はカチオン性窒素原子及びケイ素原子を本質的に同時に結合する。いくつかの実施形態では、結合基Qは2価である。
【0040】
いくつかの実施形態では、結合基Qはアルキレン基を有する。アルキレン基は、直線、分岐、又は環状構造を含み得る。アルキレン基は、少なくとも1個のヘテロ原子、例えば、酸素、窒素、又は硫黄を含み得る。アルキレン基少なくとも約1個の炭素原子、又は最大約2個、最大約3個、最大約4個、最大約5個、最大約6個、最大約7個、最大約8個、最大約9個、最大約10個、最大約14個、最大約16個、最大約18個、若しくは最大約20個の炭素原子を含み得る。いくつかの実施形態では、結合基Qは少なくとも1つのオキシアルキレン基を含む。いくつかの実施形態では、結合基Qはポリ(オキシアルキレン)基、例えば、ポリ(オキシエチレン)基を含む。アルキレン基は約20個より多い炭素原子を含み得る。アルキレン基の非限定的な例としては、メチレン、エチレン、1,3−プロピレン、1,2−プロピレン、1,4−ブチレン、1,4−シクロヘキシレン、及び1,4−シクロヘキシルジメチレンが挙げられる。
【0041】
いくつかの実施形態では、結合基Qはアリーレン基を含む。アリーレン基は、1個以上の芳香環を含む。アリーレン基が、1個以上の芳香環を含む場合は、芳香環(互いに同じであっても異なっていてもよい)は、縮合されてよく、共有結合により連結されてよく、又は例えば、アルキレン基又は酸素のようなヘテロ原子などの連結基を経由して連結されることができる。アリーレン基は少なくとも1個のヘテロ原子、例えば、酸素、窒素、又は硫黄を含み得る。アリーレン基は少なくとも約4個の炭素原子、又は少なくとも約5個、少なくとも約6個、少なくとも約10個、若しくは少なくとも約14個の炭素原子を含み得る。アリーレン基の非限定的な例としては、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、9−アントラセニル、フラニル、及びチオフェニルが挙げられる。
【0042】
いくつかの実施形態では、結合基Qはアラールキレン又はアルカリーレン基を含む。アラールキレン又はアルカリーレン基は、1個以上の芳香環を含む。アラールキレン又はアルカリーレン基が、1個以上の芳香環を含む場合は、芳香環(互いに同じであっても異なっていてもよい)は、縮合されてよく、共有結合により連結されてよく、又は例えば、アルキレン基又は酸素のようなヘテロ原子などの連結基を経由して連結されることができる。アラールキレン又はアルカリーレン基は少なくとも1個のヘテロ原子、例えば、酸素、窒素、又は硫黄を含み得る。アラールキレン又はアルカリーレン基は少なくとも約4個の炭素原子、又は少なくとも約5個、少なくとも約6個、少なくとも約10個、若しくは少なくとも約14個の炭素原子を含み得る。
【0043】
、R、及びR
式I及びIIの化合物で、R及びRはカチオン性窒素原子に結合している。R及びRのそれぞれは、独立して、水素原子、アルキル基、アリール基及びアラルキル基からなる群から選択される。
【0044】
又はRのどちらか、若しくは両方がアルキル基の場合、アルキル基は約1個の炭素原子、約1個より多い炭素原子、約2個より多い炭素原子、約4個より多い炭素原子、約6個より多い炭素原子、約8個より多い炭素原子、約10個より多い炭素原子、約16個より多い炭素原子、又は約20個より多い炭素原子を含み得る。いくつかの実施形態では、アルキル基1〜8個の炭素原子を含む。いくつかの実施形態では、アルキル基は直鎖アルキル基を含む。他の実施形態では、アルキル基は分岐アルキル基を含む。更に他の実施形態では、アルキル基は環状アルキル基を含む。R及びRのそれぞれが、アルキル基を含むとき、R及びRは同じアルキル基を含んでよく、又はR及びRは異なるアルキル基を含んでもよい。アルキル基の非限定的な例としては、メチル、エチル、1−プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、2−エチルヘキシル、オクチル、デシル、ウンデシル、ドデシル、テトラデシル、ペンタデシル、オクタデシル、シクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル、シクロヘキシルメチル、シクロペニル、及びシクロオクチルが挙げられる。
【0045】
又はRのどちらか1つか両方がアリール基の場合、1つのアリール基アレーン環又はアレーン環を含み得る。アレーン環は最大6個の炭素原子、最大8個の炭素原子、最大10個の炭素原子、最大12個の炭素原子、最大14個の炭素原子、最大16個の炭素原子、又は最大18個の炭素原子を含み得る。アレーン環は、ヘテロ原子、例えば、窒素、酸素又は硫黄を含み得る。1個を超えるアレーン環がアリール基中に存在する場合、アレーン環はともに縮合することができ、又は化学結合により結合することができる。R及びRのそれぞれがアリール基を含む場合、R及びRは同一のアリール基又はアリール基を含み得る。アリール基の非限定的な例としては、置換及び非置換フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、9−アントラセニル、及びビフェニルが挙げられる。
【0046】
又はRのいずれか又は両方がアラルキル基であるとき、アラルキル基は1個のアレーン環又は1個以上のアレーン環を含んでよい。アラルキル基は、最大6個の炭素原子、最大8個の炭素原子、最大10個の炭素原子、最大12個の炭素原子、最大14個の炭素原子、最大16個の炭素原子、最大18個の炭素原子、又は最大20個の炭素原子を含み得る。1個以上のアレーン環がアラルキル基中に存在するとき、アレーン環はともに縮合することができ、又は化学結合により結合することができる。アレーン環は、ヘテロ原子、例えば、窒素、酸素又は硫黄を含んでよい。R及びRのそれぞれがアラルキル基を含む場合、R及びRは、同一のアラルキル基を含むことができるか、又はR及びRは、異なるアラルキル基を含み得る。アラルキル基の非限定的な例としては、ベンジル、1−フェニルエチル、2−フェニルエチル、3−フェニルプロピル、2−ナフチルエチル及び9−アントラセニルメチルが挙げられる。
【0047】
式I及びIIの化合物において、それぞれのRは独立して、ケイ素原子と結合することができる。いくつかの実施形態では、それぞれのRは独立して、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アシル基、アシルオキシ基、ハロ基、及びポリエーテル基からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのRは、加水分解可能な結合を介してケイ素原子に結されする。この文脈において、「加水分解可能な結合を介して結合される」とは、R−ケイ素結合の水に対する反応性、即ち、加水分解反応を受ける結合であることを指す。いくつかの実施形態では、Rは炭素原子を含む結合を介してケイ素原子に結合され、即ち、Rはケイ素原子に結合された炭素原子を含む。いくつかの実施形態では、Rはケイ素原子に結合された炭素以外の原子を含む結合を介してケイ素原子に結合される。いくつかの実施形態では、Rは酸素原子を含む結合を介してケイ素原子に結合され、即ち、Rはケイ素原子に結合された酸素原子を含む。いくつかの実施形態では、Rは窒素原子を含む結合を介してケイ素原子に結合され、即ち、Rはケイ素原子に結合された窒素原子を含む。
【0048】
それぞれのRは、独立して、非イオン性基又はイオン性基であってよい。イオン基は、カチオン性、アニオン性、又は両性であり得る。非イオン性基の非限定的例としては、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アシル基、アシルオキシ基、ハロ基、及びポリエーテル基が挙げられる。アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基及びエトキシ基が挙げられる。ハロ基としては、例えば、クロロ基、ブロモ基、及びヨード基が挙げられる。アシル基としては、例えば、アセチル基、プロピオニル基、及びベンゾイル基が挙げられる。アシルオキシ基としては、例えば、アセトキシ基及びプロピオノキシ基が挙げられる。ポリエーテル基は、例えば(OC2v)の式を有するオキシアルキレン基であり、式中、vが約1〜約6の整数であるものを含み得る。オキシアルキレン基を含むポリエーテル基の非限定的例としては、ポリ(オキシメチレン)基、ポリ(オキシエチレン)基、及びポリ(オキシブチレン)基が挙げられる。いくつかの実施形態では、ポリエーテル基は約1〜約200個のオキシアルキレン基を含む。いくつかの実施形態では、ポリエーテル基は、約1〜約5、約1〜約10、約1〜約20、約1〜約30、約1〜約40、又は約1〜約50個のオキシアルキレン基を含む。
【0049】
イオン性基の非限定的例としては、−OCHCH(CH、−OCHCH(CHCl、及び−OCHCH(CHCHCHCHSOのような基が挙げられる。いくつかの実施形態では、ポリエーテル基は、1個以上のオキシアルキレン基であって、カチオン性基(例えば、カチオン性窒素原子を含む基)、アニオン性基、又はカチオン性基及びアニオン性基の両方を更に含む。
【0050】
カウンターイオンX
カウンターイオンXは、有機アニオン、無機アニオン、又は有機及び無機アニオンの組み合わせを含み得る。いくつかの実施形態では、カウンターイオンXは、カチオン性窒素原子を生成する化学反応、例えばアミンと、例えば、クロロアルキルシランなどのアルキル化剤との間の、窒素と炭素の結合を形成し、塩素イオンを置換する反応に由来することができる。いくつかの実施形態では、カウンターイオンXは、酸によるアミンのプロトン化に由来し得る。かかる反応はカチオン性窒素原子及びその酸の共役塩基(即ち、カウンターイオンX)を与えることができる。いくつかの実施形態では、カウンターイオンXは、イオン交換反応、例えば、1つのアニオンが別のもので交換される反応により由来することができる。
【0051】
いくつかの実施形態では、カウンターイオンXは、ハロゲン化物(例えば、塩化物、臭化物、又はヨウ化物)、硫酸塩、リン酸塩、アルカノアート(例えば、アセテート又はプロピオネート)、アルキルスルホン酸塩、アリールスルホン酸塩(例えば、ベンゼンスルホン酸塩)、アルキルホスホン酸塩、アリールホスホン酸塩、フッ素化アルカノアート(例えば、トリフルオロアセテート)、フッ素化アルキルスルホン酸塩(例えば、トリフルオロメタンスルホン酸塩)、フッ素化アリールスルホン酸塩(例えば、4−フルオロフェニルスルホン酸塩)、フッ素化アルキルスルホンイミド(例えば、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、フッ素化アルキルメチド(例えば、トリス(トリフルオロメチルスルホニル)メチド)、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され得る。
【0052】
溶媒
本発明の組成物は、少なくとも1つの水溶性有機溶媒を含み得る。本発明の組成物は、約1重量%未満〜約99重量%を超える水溶性有機溶媒を含み得る。組成物は約1重量%未満、約1重量%を超える量、約5重量%を超える量、約10重量%を超える量、約20重量%を超える量、約30重量%を超える量、約40重量%を超える量、約50重量%を超える量、約60重量%を超える量、約70重量%を超える量、約80重量%を超える量、約90重量%を超える量、約99重量%を超える量の水溶性有機溶媒を含む。
【0053】
水溶性有機溶媒は、有機溶媒と水の全部が水に溶解し得る。水溶性有機溶媒は水に対して、水中に最大約1重量%、最大約2重量%、最大約5重量%、最大約10重量%、最大約、20重量%、最大約30重量%、最大約40重量%、最大約50重量%、最大約60重量%、最大約70重量%、最大約80重量%、又は最大約90重量%の有機溶媒で溶解し得る。水溶性有機溶媒は、水に最大約90重量%を超える有機溶媒溶解し得る。好適な有機溶媒としては、ケトン(例えば、アセトン)、エーテル(例えば、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン)、エステル(例えば、酢酸メチル)、カーボネート(例えば、プロピレンカーボネート)、アミド(例えば、ジメチルアセトアミド)、スルホキシド(例えば、ジメチルスルホキシド)、スルホン(例えば、スルホラン)、及びアルコール(例えば、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール)が挙げられる。いくつかの実施形態では、水溶性有機溶媒はブトキシエタノール、メトキシエタノール、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、及び1−メトキシ−2−プロパノールのうちの1つ以上を含む。いくつかの実施形態では、水溶性有機溶媒は、式I又は式IIの化合物の調製に用いられた溶媒を含む。いくつかの実施形態では、水溶性有機溶媒は、式I又は式IIの化合物の調製に用いられなかった溶媒、例えば組成物に添加される溶媒を含む。いくつかの実施形態では、水溶性有機溶媒は、製剤処理の工程、例えば溶媒交換処理の間に、組成物に添加され得る。
【0054】
本発明の組成物は、水を含み得る。水は、組成物の約1重量%未満〜約99重量%を超えて存在し得る。いくつかの実施形態では、水は組成物の約1重量%を超えて、又は約10重量%を超えて、約20重量%を超えて、約30重量%を超えて、約40重量%を超えて、約50重量%を超えて、約60重量%を超えて、約70重量%を超えて、約80重量%を超えて、約90重量%を超えて、約95重量%を超えて、約97重量%を超えて、約98重量%を超えて、又は約99重量%重量%を超えて存在する。
【0055】
本発明の組成物は、水及び水溶性有機溶媒を含み得る。水の水溶性有機溶媒に対する重量比は、1未満:99〜99を超える値:1であることができる。いくつかの実施形態では、水の水溶性有機溶媒に対する重量比は、少なくとも約1:約99、約2:約98、約5:約95、約10:約90、約15:約85、約20:約80、約30:約70、約40:約50、約50:約50、約60:約40、約70:約30、約80:約20、約90:約10、約95:約5、約98:約2、又は約99:約1であることができる。
【0056】
式I又は式IIの化合物の、水及び水溶性有機溶媒の混合物中の濃度は、約99重量%未満、約90重量%未満、約80重量%未満、約70重量%未満、約60重量%未満、約50重量%未満、約40重量%未満、約30重量%未満、約20重量%未満、又は約10重量%未満であることができる。いくつかの実施形態では、式I又は式IIの化合物の水及び水溶性有機溶媒中の混合物中の濃度は、約9重量%未満、約8重量%未満、約7重量%未満、約6重量%未満、約5重量%未満、約4重量%未満、約3重量%未満、約2重量%未満、約1重量%未満、又は約0.5重量%未満である。さまざまな実施形態では、水の水溶性有機溶媒に対する重量比は、約90を超える値:約10であり、式I又は式IIの化合物のうちの少なくとも1つの水及び水溶性有機溶媒中の混合物中濃度は、約10重量%未満、約6重量%未満、約4重量%未満、約2重量%未満、又は約1重量%未満である。
【0057】
任意の添加剤
本発明の組成物は、1つ以上の添加剤を含み得る。かかる添加剤の例としては、例えば、紫外線吸収剤、緩衝剤、防火剤、抗菌剤(例えば、抗真菌剤)、又は無機塩が挙げられる。
【0058】
安定性
本発明の組成物は、特に水を含み、組成物は、室温(即ち、約25℃)において、最大1日、最大1週間、最大2週間、最大3週間、最大1ヶ月、最大3ヶ月、最大6ヶ月、最大1年、最大2年、又は最大3年の期間の安定性を示す。組成物は、最大50℃の温度においても、かかる安定性を示す。本明細書で使用される、用語「安定性」は、本発明の組成物、特に水を含む、組成物の、実質的に物理的に変化しないままである性質、即ち、時間の経過によって、例えば、実質的に沈殿しない又は実質的にゲル化しないことを意味する。いくつかの実施形態では、安定性は、ある期間、例えば、保管時間にわたって、沈殿又はゲルの生成について、組成物のサンプルを視覚的に観察することにより評価され得る。本発明の組成物は、調製時に少量の沈殿若しくはゲル、又はその両方を有することがあるが、この少量は時間の経過に従って実質的に増加することはないことが認められている。
【0059】
方法及びキット
本発明は、表面を保護する方法を提供し、その方法は、1)式Iの化合物を含む、組成物を提供すること、及び2)基材を組成物と接触させること、を含む。1実施態様において、組成物は、基材との接触に先立ち、式I又は式IIのシラン基と相溶性のある官能基を含むナノ粒子とグラフト又は混合させることができる。1実施態様において、ナノ粒子はヒドロキシル官能基を含む。1実施態様において、ナノ粒子はシリカ、チタニウム又はジルコミウムのナノ粒子である。
【0060】
接触の工程は、浸漬、噴霧、はけ塗り、ローラー塗り、フラッディング、又は凝縮を含み得る。基材は、セラミック、繊維、ケイ酸塩、紙、金属、木材、及びプラスチックを含み得る。いくつかの実施形態では、基材は、綿、ビスコース、羊毛、絹、ポリエステル、ポリアミド、スチレンポリマー及びコポリマー、酢酸セルロース、レーヨン、粘土、セラミック、ガラス、コンクリート、及びそれらの組み合わせであってよい。いくつかの実施形態では、方法は、基材を式I又は式IIの化合物のうちの少なくとも1つ、少なくとも1つの水溶性有機溶媒、及び水を含む、組成物と、接触させることを含む。
【0061】
基材はセラミックを含み得る。かかるセラミックは、例えば施釉した、又は施釉していないセラミックタイル(例えば、台所又は浴室のタイル)の形態であり得る。基材はガラス、例えばガラス繊維、鉛ガラス又はホウケイ酸ガラスを含み得る。基材は、例えば、構造コンクリート及び装飾コンクリートを含むコンクリートを含み得る。いくつかの実施形態では、基材は、綿及びポリエステルの混紡又はポリアミド及びポリエステルの混紡を含む繊維であり得る。いくつかの実施形態では、基材は、衣服又は室内装飾に用いられる繊維を含む。
【0062】
接触の工程は、室温(即ち、約25℃)又は高温で行なわれ得る。いくつかの実施形態では、方法は、本発明の組成物と接触させる前に基材を加熱する工程を含む。いくつかの実施形態では、方法は、本発明の組成物と接触させた後に基材を加熱する工程を含む。本発明の組成物と接触させた後での基材の加熱は、溶媒の蒸発速度を増加させることができる。
【0063】
本発明の組成物は、基材を撥水性、撥油性、又はその両方にするように、又は基材に土及び/又は汚れが付きにくくするように、基材の保護、特に基材の表面の保護に用いることができる。基材の保護は、保護された基材、特に、保護された基材表面の撥油性及び/又は撥水性に起因してより容易に清掃できる、保護された基材の保護された表面の提供をもたらすことができる。いくつかの実施形態では、基材は、脱イオン水又は蒸留水と少なくとも約70°の前進接触角を有し、ヘキサデカンと少なくとも約40°の前進接触角を有するのに十分な式I又は式IIの化合物の量で保護される。式I又は式IIの化合物は基材と反応して、イオン結合又は共有結合を形成できる。いくつかの実施形態では、本発明の組成物の接触前又は後の基材の加熱が化合物及び基材の間の反応を促進できる。
【0064】
例えば、基材が繊維の場合、繊維又は繊維の表面は、水及び/又は油に対する撥液性を有する繊維をもたらすのに十分な式I又は式IIの化合物の量で保護される。所望の水及び/又は油に対する撥液性の程度は、例えば、繊維の意図される用途によって決定できる。いくつかの実施形態では、繊維の表面は、繊維の表面に噴霧される水に対する抵抗性をもたらすのに十分な式I又は式IIの化合物の量で保護されることができ、即ち、保護された繊維は、「噴霧評点」値を持つことができる。
【0065】
表面を保護する方法は、本発明の組成物、特に水溶性有機溶媒を含む、組成物を、水と混合することを含み得る。本発明の組成物は、組成物に水を添加すること又は水に組成物を添加することにより、水と混合され得る。いくつかの実施形態では、組成物と水の混合を含む工程を提供する。いくつかの実施形態では、本発明の組成物と水の混合は、本発明の組成物を水で希釈することを含む。
【0066】
いくつかの実施形態では、基材、又は特に基材の表面は、本発明の組成物との接触前に清掃され得る。本発明の組成物との接触に先立ち、基材は、例えば基材を水又は有機溶媒で洗浄することにより清掃され得る。
【0067】
別の実施態様では、本発明は、式Iの化合物を含む、組成物を含む、キットを提供する。いくつかの実施形態では、キットは、容器、噴霧器、ブラシ、ローラー、又はそれらの組み合わせを含むアプリケーターを備える。いくつかの実施形態では、キットは、キットの使用説明書を含み得る。使用説明書は、例えば、組成物と水との混合又は組成物の水による希釈に関する説明を含み得る。使用説明書は、基材を本発明の組成物と接触させる方法の選択に関する情報を更に含み得る。
【実施例】
【0068】
別段の指定がない限り、全ての溶媒及び試薬は、ミズーリ州セントルイス(St. Louis)のシグマアルドリッチ社(Sigma-Aldrich Inc.)から入手したか、又は入手可能なものである。
【0069】
噴霧評点(SR)試験方法
処理済基材の噴霧評点は、処理済基材上に衝突する水に対する処理済基材の動的な撥水性を示す値である。撥水性は、米国繊維染色協会(American Association of Textile Chemists and Colorists(AATCC))の2001年技術マニュアルに刊行された、試験方法22−1996によって測定され、試験された基材の「噴霧評点(SR)」として表された。噴霧評点は、15cmの高さから基材上に250mLの水を噴霧することにより得た。濡れ模様は0〜100のスケールを使用して視覚的に等級付けしたが、ここで0は完全な濡れを意味し、100は濡れが全く存在しないことを意味する。
【0070】
撥水性(WR)試験方法
基材の撥水性(WR)は、一連の水−イソプロパノール試験液を用いて測定し、処理済基材の「WR」評点として表された。WR評点は最も浸透性のある試験液に対するものであって、これは、15秒間の曝露後に、基材に浸透しなかったか、又は基材の表面を濡らさなかった、点である。最も浸透性の小さい試験液である100%水(0%イソプロパノール)のみが浸透しなかったか、これに対してのみ抵抗性のあった基材は、0の評点を与えられ、一方、最も浸透性の大きい試験液である100%イソプロパノール(0%水)に対して抵抗性のあった基材は、10の評点を与えられる。他の中間的な評点は、試験液中のイソプロパノールのパーセントを10で割ることにより計算され、例えば、70%/30%のイソプロパノール/水混合液に抵抗性であったが、80%/20%混合液には抵抗性でなかった処理済基材は、7の評点が与えられた。
【0071】
撥油性(OR)試験方法
基材の撥油性は、米国繊維化学染色協会(AATCC)標準試験法No.118〜1983によって測定され、その試験は、異なる表面張力の油による浸透に対する処理済基材の抵抗性に基づいていた。Nujol(登録商標)鉱油(1の評点を与えられた最も浸透性のない試験油)にのみ抵抗性があった処理済基材は1の評点を与えられ、一方n−ヘプタン(最も浸透性の大きい試験油)に対して抵抗性のあった処理済基材は、8の評点を与えられた。表1に示すように、他の中間的な値は、他の純粋な油又は油の混合物を用いて測定された。
【0072】
【表1】

【0073】
(実施例1)
式Iの化合物の調製
電磁攪拌棒を付した500mLの丸底フラスコに、モル当たり約1285gの重量平均分子量の、メチルエステルで終端されたペルフルオロポリエーテルオリゴマー(100g、本質的に米国特許第3,250,808号(ムーア、ジュニア(Moore, Jr.)ら)に記載の通り調製された)、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン(8.1g)、及びtert−ブチルメチルエーテル(100g)を充填した。フラスコに還流コンデンサーを取り付け、混合物を撹拌しながら加熱還流した。反応の過程は赤外分光光度法を用いてモニターした。約12時間後に、混合物を室温まで冷却し、次いで真空ろ過した。揮発性成分はロータリーエバポレーターを用いて除去し、反応中間体を得た。
【0074】
次いで、電磁攪拌棒を付した50mLの丸底フラスコに、反応中間体(1g)及び3−クロロプロピルトリメトキシシラン(0.148g)を充填した。フラスコに還流コンデンサーを取り付け、混合物を窒素雰囲気下で撹拌しながら約140℃の温度まで加熱した。約12時間後、混合物を室温まで冷却し、生成物を得た。生成物のH−NMRスペクトルは、与えられた構造と一致した。
【0075】
比較例1
フルオロ脂肪族アンモニウムシラン化合物の調製
電磁攪拌棒及び気泡管に接続された窒素導入管を付した500mLの丸底フラスコに、C13CHCHOH(72.86g、クラリアント社(Clariant Corp.,)(ノースカロライナ州、マウントホリー(Mount Holly))より入手)、トリエチルアミン(23.27g)、及びtert−ブチルメチルエーテル(121.29g)を充填した。フラスコを氷浴で冷却し、内容物を窒素雰囲気下に保った。フラスコに滴下ロートを取り付け、次いで塩化メタンスルホニル(25.20g)をロートを通じて約120分間にわたり加えた。混合物を室温まで一晩かけて加温した。次いで、混合物を水性1N−HCl(120g)で洗浄し、次いで2重量%炭酸ナトリウム水溶液(120g)で洗浄した。混合物を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。次いで混合物を濾過した。ロータリーエバポレーターによる溶媒の除去は、中間体生成物を固体として与えた。
【0076】
電磁攪拌棒を付した50mLの丸底フラスコに、中間体生成物(1g)及び3−N,N−ジメチルプロピルトリメトキシシラン(0.4688g)を充填した。混合物を窒素雰囲気下に撹拌し、約80℃で約4時間撹拌した。混合物を室温まで冷却し、生成物を得た。
【0077】
(実施例2及び3)
溶液の安定性
実施例1及び比較例1の生成物を含む、組成物溶液の安定性が評価された。実施例2では、1重量%の実施例1の生成物の99重量部の水と1重量部のイソプロパノールの混合物溶液の25ミリリットルを、スクリューキャップつきのバイアルに入れて、オーブン中に65℃で保存した。1週間後、ゲル化又は沈殿は観察されなかった。3週間後、ゲル化又は沈殿は観察されなかった。実施例3では、1重量%の比較例1の水溶液の25ミリリットルを、スクリューキャップつきのバイアルに入れて、オーブン中に65℃で保存した。1週間後、ゲル化又は沈殿は観察されなかった。
【0078】
(実施例4〜9)
実施例1の化合物の溶液を噴霧した3つの布地の、撥油性(OR)、撥水性(WR)、及び噴霧評点(SR)を上述のように測定した。1重量%の実施例1の化合物の1容積%イソプロパノール水溶液中の溶液を、綿布地(スタイル400M、テストファブリックス社(Testfabrics,Inc.)、ペンシルバニア州、ウエストピッチソン(West Pittiston))より入手)、65/35ポリエステル/綿混紡布地(スタイル7436、テストファブリックス社(Testfabrics,Inc.)、ペンシルバニア州、ウエストピッチソン(West Pittiston))より入手)、及びカーキ色の綿綾織物布地(エイボンデール・ミルズ(Avondale Mills)、サウスカロライナ州、グラナイトビル(Graniteville)より入手)のそれぞれに、PREVAL噴霧器の商号で、プレシジョン・バルブ社(Precision Valve Corp.)、(ニューヨーク州、ヨンカーズ(Yonkers))から入手できるエアロゾル噴霧器を用いて噴霧した。それぞれの布地には10〜12gの溶液が噴霧された。実施例4〜6では、噴霧された布地は室温で一晩空気中で乾燥された。実施例7〜9では、噴霧された布地はアイロン(乾燥、最高温度の設定)で乾燥された。試験される前に、アイロンされた布地は室温で一晩放置された。表2に、データを示す。
【0079】
【表2】

【0080】
実施例10〜11及び比較例2〜3
2つの布地(実施例10及び比較例2、65/35 ポリエステル/綿混紡布地;実施例11及び比較例3、400M綿布地)をそれぞれ実施例1の化合物の50重量%溶液をイソプロパノールと水に希釈することにより調製(実施例10〜11)した溶液、又は市販品として入手可能な布地保護剤(3M PROTECTIVE CHEMICAL PM−930の商号で入手可能)を水で希釈して調製した溶液により、パッドによる塗布により、布地に1.2重量%の固体を送達する組成物が与えられるようにパッドによって塗布した。それぞれのパッドにより塗布された布地は、室温で一晩乾燥された。布地の撥油性(OR)、撥水性(WR)、及び噴霧評点(SR)はじ上述のように測定された。表3に、データを示す。
【0081】
【表3】

【0082】
実施例12及び比較例4〜6
動的接触角の測定
実施例12及び比較例4〜5のそれぞれでは、2つのガラススライド(それぞれが19.35平方センチメートルの表面積を有する)が試験液により被覆された。実施例12では、ガラススライドを1重量%の実施例1の化合物の5重量%溶液イソプロパノール水溶液に漬けた。比較例4では、ガラススライドを1重量%の比較例1の化合物の5重量%溶液イソプロパノール水溶液に漬けた。比較例5では、ガラススライドを、3M EASY CLEAN COATING ECC−1000の商号で、3M社(ミネソタ州、セントポール(St. Paul))から入手可能なフルオロポリマーコーティング溶液に漬けた。比較例6では、未処理のガラスが評価された。それぞれのガラススライドを水ですすぎ、室温で一晩乾燥させた。1組のガラススライド(実施例12及び比較例4〜6のそれぞれから)を、強力研磨パッド(SCOTCH−BRITEの商号で3M社(ミネソタ州、セントポール(St. Paul))から入手可能)で10回磨いた。それぞれの表面について、水(脱イオン水及びろ過水)及びヘキサデカン(試薬等級)の動的接触角が、Model VCA−2500XEのビデオ接触角度分析装置(ASTプロダクツ社(AST Products Inc.)、(マサチューセッツ州、ビレリカ(Billerica))より入手)を用いて測定された。データは、表4に示される。表4において、用語「コーティング物質」は、ガラスのコーティング組成物を指し、「H」はヘキサデカンを指し、「W」は水を指し、「adv」は前進接触角、及び「rec」は後退接触角を指す。例えば、「W−adv」は、水の前進接触角を指す。
【0083】
【表4】

【0084】
本明細書中に引用される特許、特許文献、及び刊行物の完全な開示は、それぞれが個々に組み込まれたかのように、その全体が参照により組み込まれる。本発明の範囲及び趣旨から逸脱しない本発明の様々な変更や改変は、当業者には明らかとなるであろう。本発明は、本明細書で述べる例示的な実施形態及び実施例によって不当に限定されるものではないこと、また、こうした実施例及び実施形態は、本明細書において以下に記述する特許請求の範囲によってのみ限定されると意図する本発明の範囲に関する例示のためにのみ提示されることを理解すべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I、
【化1】

式中、
a、b、及びcは、独立して1〜3の整数であり、
は、ペルフルオロ化されたエーテル基であり、
Aは、−C2dZC2g−の式を有する連結基であって、式中、d及びgは、独立して0〜10の整数であり、Zは、共有結合、カルボニル基、スルホニル基、カルボキサミド基、スルホンアミド基、イミノカルボニル基、イミノスルホニル基、オキシカルボニル基、ウレア基、ウレタン基、カーボネート基、及びカルボニルオキシ基からなる群から選択され、
Yは、1〜10個の炭素原子、2〜6の価数、及び少なくともアルキレン基又はアリーレン基のうちの1つを有する架橋基であり、
Qは、1〜10個の炭素原子、2〜6の価数、及び少なくともアルキレン基又はアリーレン基のうちの1つを有する連結基であり、
及びRは、独立して、水素原子、アルキル基、アリール基、及びアラルキル基からなる群から選択され、
それぞれのRは、独立して、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アシル基、アシルオキシ基、ハロ基、及びポリエーテル基からなる群から選択され、並びに
は、無機アニオン、有機アニオン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択されるカウンターイオンである、
の少なくとも一種の化合物を含む、組成物。
【請求項2】
水溶性有機溶媒を更に含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記水溶性有機溶媒が、アルコール、ケトン、及びエーテルからなる群から選択される、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
水を更に含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記ペルフルオロ化されたエーテル基が、ペルフルオロポリエーテル基である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記ペルフルオロ化されたエーテル基が、少なくとも約1000の重量平均分子量を有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記カウンターイオンXが、ハロゲン化物、硫酸塩、リン酸塩、アルカノアート、アルキルスルホン酸塩、アリールスルホン酸塩、アルキルホスホン酸塩、アリールホスホン酸塩、フッ素化アルカノアート、フッ素化アルキルスルホン酸塩、フッ素化アリールスルホン酸塩、フッ素化アルキルスルホンイミド、フッ素化アルキルメチド、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
d又はgの少なくとも1つが、少なくとも1であり、Zが、共有結合である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記架橋基Yが、1〜6個の炭素原子を有するアルキレン基である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記結合基Qが、1〜6個の炭素原子を有するアルキレン基である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
及びRが、独立して、水素原子又は1〜8個の炭素原子を有するアルキル基である、請求項1〜10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
前記ペルフルオロ化されたエーテル基が、F(C2mO)2p−の構造を有し、式中、mが、1〜12の整数であり、nが、2〜10の整数であり、pが、1〜6の整数である、請求項1〜11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
前記ペルフルオロ化されたエーテル基が、F(CF(CF)CFO)CF(CF)−の構造を有し、式中、qが、2〜12の整数である、請求項1〜11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
前記組成物が、液体、固体、溶液、発泡体、分散物、懸濁物、及びエマルションからなる群から選択される形態である、請求項1〜13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
式II、
【化2】

式中、
nは、2〜12の整数であり、
pは、1〜6の整数であり、
b及びcは、独立して1〜3の整数であり、
Aは、−C2dZC2g−の式を有し、式中、d及びgは、独立して0〜10の整数であり、Zは、共有結合、カルボニル基、スルホニル基、カルボキサミド基、スルホンアミド基、イミノカルボニル基、イミノスルホニル基、オキシカルボニル基、ウレア基、ウレタン基、カーボネート基、及びカルボニルオキシ基からなる群から選択され、
Yは、1〜6個の炭素原子を有するアルキレン基を含む架橋基であり、
Qは、1〜6個の炭素原子を有するアルキレン基を含む連結基であり、
及びRは、独立して、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基であり、
それぞれのRは、独立して、ヒドロキシ基、メトキシ基、エトキシ基、アセトキシ基、クロロ基、及びポリエーテル基からなる群から選択され、並びに
は、ハロゲン化物、硫酸塩、リン酸塩、アルカノアート、アルキルスルホン酸塩、アリールスルホン酸塩、アルキルホスホン酸塩、アリールホスホン酸塩、フッ素化アルカノアート、フッ素化アルキルスルホン酸塩、フッ素化アリールスルホン酸塩、フッ素化アルキルスルホンイミド、フッ素化アルキルメチド、及びそれらの組み合わせからなる群から選択されるカウンターイオンである、
の少くなくとも1種の化合物を含む、組成物。
【請求項16】
水溶性有機溶媒を更に含む、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
前記水溶性有機溶媒がアルコール、ケトン、及びエーテルからなる群から選択される、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
水を更に含む、請求項15〜17のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項19】
d及びgが、独立して1〜4の整数であり、Zが、共有結合、カルボニル基、スルホニル基、カルボキサミド基、スルホンアミド基、ウレア基、ウレタン基、及びカルボニルオキシ基からなる群から選択される、請求項1〜18のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項20】
前記架橋基Yがプロピレン基を含み、前記結合基Qがプロピレン基を含み、bが1、及びcが1である、請求項1〜7又は9〜19のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項21】
前記組成物が、シラン基に相溶性である官能基を含むナノ粒子にグラフト又は混合される、請求項1〜20のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項22】
表面を保護する方法であって、
1)請求項1に従う組成物を提供すること、及び
2)基材を該組成物に接触させること、を含む、方法。
【請求項23】
前記提供する工程が、前記組成物を水と混合させる工程を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記提供する工程が、前記組成物をシラン基に相溶性である官能基を含むナノ粒子にグラフト又は混合することを更に含む、請求項22又は23に記載の方法。
【請求項25】
前記基材が、セラミック、繊維、ケイ酸塩、紙、金属、木材、及びプラスチックからなる群から選択される、請求項22〜24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
キットであって、
a)請求項1に記載の組成物、及び
b)前記キットの使用説明書を含む、キット。

【公表番号】特表2010−540644(P2010−540644A)
【公表日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−528033(P2010−528033)
【出願日】平成20年9月22日(2008.9.22)
【国際出願番号】PCT/US2008/077195
【国際公開番号】WO2009/045771
【国際公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】