説明

カチオン性アクリル樹脂

1分子に付き少なくとも1個の官能基を有するビニルコポリマーAと、1分子に付き平均で少なくとも2個の官能基を有するエポキシド官能性化合物に由来する多官能性化合物Eとの反応生成物AEであって、エチレン性不飽和モノマー、およびベータ−ヒドロキシアルキレンイミン(−NR−CH−CR’(OH)−)[式中、RおよびR’は、お互いから独立して、Hまたは1〜8個の炭素原子を有するアルキル基を表す]、または対応するアンモニウム構造に由来する構造要素を有する反応生成物AE、反応生成物AEの調製方法、および水性コーティング組成物への結合剤としてのその使用方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カチオン性アクリル樹脂、それらの調製方法、および優れた腐食防止特性を提供する水性コーティング組成物への結合剤としてのこれらのカチオン性アクリル樹脂の使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ペンダント鎖アミン官能基を有するラテックスを含有する水性コーティング組成物は、US5,922,398により知られている。この文献のアミン官能化ラテックスは、限定されるものではないが、アミン官能基を含有するエチレン性不飽和モノマーの付加重合、加水分解によってアミンを容易に生成するモノマーの重合、アジリジンとカルボキシル基含有ポリマーとの反応、エノール型カルボニル基を含有するポリマー、例えばメタクリル酸アセトアセトキシエチルとジアミンの反応、アミンとエポキシ含有ポリマーとの反応、およびアミンと塩化ビニルベンジルのポリマーとの反応を含む、いくつかの方法のうちのいずれかに従って調製することができる。
【0003】
カチオン性アクリル樹脂はまた、EP0525695A1により知られている。これらの樹脂は、第二級または第三級アミノ基を有するアクリル酸またはメタクリル酸のエステル、二価アルコールとアクリル酸またはメタクリル酸とのモノエステル、一価アルコールとアクリル酸またはメタクリル酸とのエステル、および場合によって、スチレンなどのさらなるビニルモノマーから形成される、コポリマーをベースとしている。
【0004】
これらの樹脂は、エポキシ−アミン付加物の存在下でのラジカル開始重合によって形成される。このようにして得られた混合物は、カソード析出性ペイント結合剤として使用される。
【0005】
結合剤としてのこれらの樹脂と一緒に調製されるコーティングの耐腐食性は、純粋なエポキシ−アミン付加物から調製されるコーティングの耐腐食性より劣っている。その一方で、アクリルポリマーは、特に光に曝露された場合、黄変およびまたチョーキングに対する傾向が低いことで注目に値する。
【0006】
他方、エポキシ樹脂、すなわち、少なくとも二官能性エポキシド基含有化合物、および特にエポキシ−アミン付加物に由来する樹脂は、それから調製されるコーティングに非常に優れた耐腐食性を提供するが、黄変および光誘発性劣化を被る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】US5,922,398
【特許文献2】EP0525695A1
【特許文献3】EP1233034A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、UV吸収剤を加えなくても、優れた光およびUV抵抗性を有し、また、基材金属から形成された基材に、エポキシ樹脂により知られている顕著な、優れた耐腐食性を与える、アクリルベースのコーティング組成物を提供することが、本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の基礎となる実験において、アミノ官能性アクリルコポリマーを多官能性エポキシ化合物と、またはエポキシド官能性アクリル樹脂を多官能性アミンと反応させることによるアクリル樹脂の鎖延長によって、架橋化合物を加えなくてもフィルムを形成し、優れた耐腐食性および光照射による劣化に対する低い傾向を与えるコーティングを調製するために使用できる、高いモル質量の樹脂が得られることがわかった。
【0010】
したがって、本発明は、1分子に付き少なくとも1個の官能基を有するビニルコポリマーAと、1分子に付き平均で少なくとも2個の官能基を有するエポキシド官能性化合物に由来する多官能性化合物Eとの反応生成物AEであって、エチレン性不飽和モノマー、およびベータ−ヒドロキシアルキレンイミン(−NR−CH−CR’(OH)−)[式中、RおよびR’は、互いから独立して、Hまたは1〜8個の炭素原子を有するアルキル基を表す]、または対応するアンモニウム構造に由来する構造要素を有する反応生成物AEに関する。
【0011】
これらの反応生成物AEは、アミノ官能性ビニルコポリマーAaと1分子に付き平均で少なくとも2個のエポキシド基を有する多官能性エポキシド化合物Eeとの反応によって、および代替方法として、エポキシ官能性ビニルコポリマーAeと1分子に付き平均で少なくとも2個のアミノ基を有するアミノ官能性エポキシ−アミン付加物Eaとの反応によって、形成することができ、反応生成物AEは、エチレン性不飽和モノマー、およびベータ−ヒドロキシアルキレンイミン(−NR−CH−CR’(OH)−)[式中、RおよびR’は、互いから独立して、Hまたは1〜8個の炭素原子を有するアルキル基を表す]、または第三級アミンがエポキシド官能性化合物と反応させられる場合、対応するアンモニウム構造に由来する構造要素を有する。
【0012】
本発明はまた、アミノ官能性ビニルコポリマーAaを、1分子に付き平均で少なくとも2個のエポキシド基を有する多官能性エポキシ化合物Eeと反応させることによって、反応生成物AEを形成する方法に関する。
【0013】
本発明はさらに、エポキシ官能性ビニルコポリマーAeと1分子に付き平均で少なくとも2個のアミノ基を有するアミノ官能性エポキシ−アミン付加物Eaとを反応させることによって、反応生成物AEを形成する方法に関する。
【0014】
本発明はまた、基材に適用され、可視光またはUV光照射によってほとんど、または全く劣化を示さないコーティングフィルムを前記基材に提供し、コーティングされた基材に優れた耐腐食性を与える、水性コーティング組成物における結合剤としての反応生成物AEの使用の方法に関する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の文脈において、ビニルコポリマーは、「ビニルモノマー」とも呼ばれる少なくとも2種の異なるエチレン性不飽和モノマーから形成されるポリマーである。分子は、2個以上の特異的な種類の官能基を有する場合、「多官能性」と呼ばれる。したがって、多官能性エポキシド化合物は、1分子に付き少なくとも2個のエポキシド基を有し、多官能性アミンは、1分子に付き少なくとも2個のアミノ基を有する。
【0016】
1つの実施形態において、反応生成物AEは、官能性アミノ基を有するビニルコポリマーAaに由来する構造部分、および1分子に付き平均で少なくとも2個のエポキシド基を有する多官能性エポキシド化合物Eeに由来する構造部分を含む。
【0017】
別の実施形態において、反応生成物AEは、1分子に付き少なくとも1個のエポキシド基を有するビニルコポリマーAeに由来する構造部分、および1分子に付き平均で少なくとも2個のアミノ基を有する多官能性エポキシ−アミン付加物Eaに由来する構造部分を含む。
【0018】
アミノ官能性ビニルコポリマーAaは、少なくとも3種の異なる種類のエチレン性不飽和モノマーからのポリマーであって、前記少なくとも3種の異なる種類のエチレン性不飽和モノマーは、A1sと呼ばれる、1分子に付き少なくとも1個の第二級アミノ基を有する少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマー、A1tと呼ばれる、1分子に付き少なくとも1個の第三級アミノ基を有する少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマー、およびアミノ基を有さない少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマーA2である。モノマーA2は、少なくとも1個の酸性基(好ましくはカルボン酸またはスルホン酸基)、および2〜10個の炭素原子を有するアルケン基を有する酸性ビニルモノマーA20(好ましくは、モノカルボン酸およびジカルボン酸、ならびにそれらのC〜C25−アルキル半エステル)(好ましいモノマーA20は、アクリル酸およびメタクリル酸、ビニル酢酸、ならびにクロトン酸およびイソクロトン酸、マレイン酸およびフマル酸、オレフィン性不飽和ジカルボン酸のモノアルキルエステル、例えばモノメチルおよびモノエチルマレイネートまたは対応するフマレート、イタコネート、メサコネート、およびシトラコネートである);1分子に付き25個以下の炭素原子を有する脂肪族の直鎖状、分岐状または環状の一価アルコール(メチレン基は、2個の酸素原子が互いに直接結合しないという条件下で、酸素原子によって置換されていてもよい)と3〜20個の炭素原子を有するオレフィン性不飽和カルボン酸とのエステルである、オレフィン性不飽和カルボン酸のアルキルエステルA21(好ましくは、(メタ)アクリル酸と前記アルコールとのエステルであるアルキル(メタ)アクリレート);4〜20個の炭素原子を有するオレフィン性不飽和カルボン酸と、1分子に付き25個以下の炭素原子を有する脂肪族の直鎖状、分岐状もしくは環状の二価または多価アルコール(メチレン基は、2個の酸素原子が互いに直接結合しないという条件下で、酸素原子によって置換されていてもよい)とのエステルである、オレフィン性不飽和カルボン酸のヒドロキシアルキルエステルA22(好ましくは(メタ)アクリル酸と前記二価または多価アルコールとのエステルであるヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート);オレフィン性不飽和アルコール(好ましくはビニルおよびアリルおよびメタリルアルコール、ならびにA21において述べられた一価アルコール)のビニルエーテルA23;好ましくはクロロおよびブロモ置換されている2〜20個の炭素原子を有するアルケンであってもよいハロゲン化ビニルA24(好ましくは塩化ビニル、臭化ビニル、塩化および臭化アリル、ならびに塩化および臭化メタリル、ならびに塩化および臭化ビニリデン);ビニルニトリルA25(好ましくはアクリロニトリル、メタクリロニトリル、フマル酸およびマレイン酸ジニトリル);ビニルアルコールと、25個以下の炭素原子を有する直鎖状、分岐状または環状の脂肪族モノカルボン酸とのエステルであるビニルエステルA26(好ましくは酢酸エステル、プロピオン酸エステル、イソオクタン酸エステル、およびネオデカン酸エステル(2,2−ジメチルオクタン酸エステル));メチル、エチル、ブチル、およびデシルビニルケトンなどの全部で4〜20個の炭素原子を有するビニルケトンA27;アリルおよびメタリルアルコールなどの不飽和脂肪族直鎖状または分岐状のアルコールA28;さらに、スチレン、ビニルナフタレン、およびビニルトルエン(後者2つは、2−および4−ビニルトルエン、ならびに1−および2−ビニルナフタレン、または前記異性体の混合物などの個別の化合物から選択されてもよい)などのビニル芳香族化合物A29からなる群から選択される。アミノ官能性ビニルポリマーAaは好ましくは、1分子に付き平均で少なくとも1個のアミノ基を有する。
【0019】
アミノ基含有ビニルモノマーA1sは、第二級アミノ基を有し、アミノ基含有ビニルモノマーA1tは、第三級アミノ基、または第二級と第三級の両方のアミノ基を有する。特に好ましいのは、重合条件下でのマイケル付加にとってあまり好ましくないtert−ブチル基または3−ペンチル基のような嵩高い置換基の近くにある第二級アミノ基を有するようなモノマーA1s、例えばtert−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレートである。第三級アミノ基を有するその他の好ましいモノマーA1tは、好ましくは、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、およびジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどのジアルキルアミノ−アルキル(メタ)アクリレートであり、好ましくは、ジメチルアミノエチルメタクリレートである。共重合された後にポリマー類似体反応においてアジリジンとの反応によってアミン官能基に変換される酸性基を有するビニルモノマーA20から、または共重合された後にポリマー類似体反応においてジアミンと反応させられるビニルケトンモノマーA27から、アミン官能基を生成することもまた可能である。アミノ官能性ビニルコポリマーを調製するために使用されるモノマー混合物中に少なくとも2%、より好ましくは少なくとも5%、および好ましくは20%を超えない質量分率の、第三級アミノ基を有するエチレン性不飽和モノマーA1tを存在させることにより、結合剤成分としてのかかるアミノ官能性ビニルコポリマーの使用によって形成されるコーティングの腐食防止特性が改良されることが、本発明の基礎となる実験においてわかった。質量分率は、モノマーA1tの質量とコポリマーのベースとなる全てのモノマーの質量の合計との比という通常の意味を有する。
【0020】
表現「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸とメタクリル酸のうちの1つまたは両方を表す。同様に、表現「(メタ)アクリレート」は、アクリレートとメタクリレートのうちの1つまたは両方を表す。アルコールまたはフェノールは、1分子に付き正確に1個のヒドロキシル基を有する場合、一価であると言われる。アルコールまたはフェノールは、1分子に付き正確に2個のヒドロキシル基を有する場合、二価であると言われる。アルコールまたはフェノールは、1分子に付き2個を超えるヒドロキシル基を有する場合、多価であると言われる。本分野において一般的であるように、アルコールは、ヒドロキシル基を保有する炭素原子が脂肪族炭素原子である、有機ヒドロキシ官能性化合物である。同様に、フェノールは、ヒドロキシル基を保有する炭素原子が芳香族炭素原子である、有機ヒドロキシ官能性化合物である。酸は、1分子に付き正確に2個の酸性水素原子を有する場合、二塩基性であると言われる。酸は、1分子に付き2個を超える酸性水素原子を有する場合、多塩基性であると言われる。
【0021】
1分子に付き平均で少なくとも2個のエポキシド基を有する多官能性エポキシド化合物Eeは好ましくは、グリシジルアルコールと二価もしくは多価アルコールまたは二価もしくは多価フェノールとのエーテル、グリシジルアルコールと二塩基性または多塩基性の酸とのエステル、および1分子に付き正確に2個のエポキシド基を有する直鎖状もしくは分岐状のジエポキシアルカンまたは1分子に付き2個を超えるエポキシド基を有するポリエポキシアルカンからなる群から選択される。グリシジルアルコールの代わりに、またはグリシジルアルコールと混合して、2−メチルグリシドールもまた、使用してもよい。最高の耐腐食性は、グリシジルアルコールと二価フェノールとのエーテル、特に、ビスフェノールAおよびビスフェノールFのジグリシジルエーテルを単独でまたは混合して使用する場合に実現される。有用な物質のその他の例は、アジピン酸およびグルタル酸のグリシジルジエステル、ならびに二量体脂肪酸のグリシジルジエステル、ならびにジエポキシアルカン、例えば1,2,5,6−ジエポキシヘキサンまたは1,2,5,6−ジエポキシシクロオクタン、3,4−エポキシシクロヘキサンカルボン酸(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)エステル、およびヘキサヒドロフタル酸のジグリシジルエステルである。
【0022】
エポキシド化合物Eeとしては、オリゴマーまたはポリマーのエポキシド化合物、例えば、二価アルコール(例えば、オリゴマーもしくはポリマーのオキシアルキレングリコール、好ましくはポリプロピレングリコール、またはビスフェノールAもしくはビスフェノールFなどのフェノール)と二価アルコールのもしくは二価フェノールのビスグリシジルエーテルなどのジエポキシド化合物との反応生成物であることができる、1分子に付き少なくとも2個のエポキシド基を有する既知のいわゆるエポキシ樹脂、ならびにまた、ノボラックをベースとするよく知られているエポキシ樹脂を使用することもまた可能である。それから調製されるコーティング組成物の耐腐食性が優れているために特に好ましいのは、ビスフェノールAおよびビスフェノールFをベースとするエポキシ樹脂、ならびにその両方の混合物のエポキシ樹脂である。
【0023】
エポキシ官能性ビニルコポリマーAeは、上記に特定されたようなモノマーA2の少なくとも1種と、少なくとも1個のエポキシ官能性オレフィン性不飽和モノマーA3とのコポリマーを含む。エポキシ官能性オレフィン性不飽和モノマーA3は、ビニル、アリル、およびメタリルアルコールなどのヒドロキシ官能性ビニルモノマーとグリシドールもしくは2−メチルグリシドールとのエーテルA31、またはヒドロキシアルキル基を有するオレフィン性不飽和モノマーA22の1種、好ましくはヒドロキシエチルもしくはヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートとグリシドールもしくは2−メチルグリシドールとのエーテルA31、またはグリシドールもしくは2−メチルグリシドールと、好ましくは、3個〜12個の炭素を有するオレフィン性不飽和脂肪族カルボン酸もしくは4〜12個の炭素を有するオレフィン性不飽和ジカルボン酸のC〜C−アルキル半エステルである酸官能性ビニルモノマーA20とのエステルであってもよい。好ましいモノマーA20は、アクリル酸およびメタクリル酸、ビニル酢酸、ならびにクロトン酸およびイソクロトン酸、ならびにモノメチルおよびモノエチルマレイネートまたは対応するフマレート、イタコネート、メサコネート、およびシトラコネートである。その他の有用なエポキシド基含有モノマーは、1,2−エポキシ−3−ブテン、1,2−エポキシ−5−ヘキセン、1,2−エポキシ−7−オクテン、および1,2−エポキシ−9−デセンなどの、脂肪族ジエン、特に4〜16個の炭素原子を有するアルファ−オメガ−ジエンに由来するオレフィン性不飽和モノエポキシドA32である。
【0024】
アミノ官能性エポキシ−アミン付加物Eaは、1分子に付き平均で少なくとも2個のアミノ基を有し、1分子に付き少なくとも2個のエポキシド基を有する芳香族または脂肪族エポキシド化合物E1、および1分子に付き少なくとも1個の第一級または第二級アミノ基を有する脂肪族または芳香脂肪族アミンE2に由来する。E1およびE2の量は、Ea中に残るエポキシド基の物質量に対して、エポキシド基に反応性があるE1およびE2から形成される付加物Ea中のヒドロキシル基n(OH)の物質量と第一級および第二級アミノ基n(NH)の物質量との合計が、少なくとも1モル/モル、好ましくは少なくとも10モル/モル、および特に好ましくは少なくとも20モル/モルであるように、好ましくは選択される。同様に、アミノ官能性エポキシ−アミン付加物Eaはまた、アンモニウム構造を形成しながらエポキシド官能性化合物と反応する、第三級アミノ基を有する。
【0025】
芳香脂肪族アミンは、芳香族と脂肪族の両方の炭素原子を有するようなアミンであり、アミノ基が、もっぱら脂肪族炭素原子と結合し、芳香族炭素原子と直接的に連結しないアミンである。アミンE2の中で好ましいのは、少なくとも1個の第一級アミノ基、および場合によってまた、第三級アミノ基を有するアミンE21である。第一級アミノ基を有さず、好ましくはまた第三級アミノ基を有さない、さらなるアミンE22と混合して、かかるアミン21を使用することもまた好ましい。アミンE22は、第二級アミノ基、および場合によってまた、1個または複数のヒドロキシル基を有する。E2を用いてアミンに言及する場合、これは、アミンE21およびアミンE22の総計量を表す。
【0026】
好ましい実施形態において、エポキシド官能性化合物E1は、最初にアミンE22と反応させ、次にアミンE21と反応させる。この段階的な反応は、30%〜70%の間のE1のエポキシド基がアミンE22との反応によって消費され、第2段階においてエポキシド基の残り、すなわち、E1中に最初に存在するエポキシド基の、合計で少なくとも90%、および好ましくは少なくとも95%までがアミノ化合物E2のエポキシド基への添加によって消費されるように実施するのが好ましい。
【0027】
好ましいエポキシド化合物E1は、上記Ee下で述べられたエポキシド化合物E1、特に、ビスフェノールA、ビスフェノールFおよびそれらの混合物に由来するエポキシ樹脂、ならびにまたノボラックをベースとするエポキシ樹脂である。
【0028】
アミンE2の中で、好ましいアミンE21は、1分子に付き少なくとも1個の第一級アミノ基、および場合によってまた、1分子に付き少なくとも1個の第一級アミノ基に加えて、第二級もしくは第三級アミノ基、または第二級と第三級の両方のアミノ基、および2〜40個の炭素原子を有するものである。2または3個の第一級アミノ基を有するジアミンおよびトリアミン、例えばエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、および高級オリゴマーのジアミノエチレンイミン、1,2−および1,3−プロピレンジアミン、1,4−ジアミノブタン、1,6−ジアミノヘキサン、ビス−4−アミノブチルアミン、N,N’−ビス(4−アミノブチル)−1,4−ジアミノブタン、m−キシリレンジアミン、イソホロンジアミン、ならびにシクロヘキサンジアミン異性体が好ましい。第一級と第三級の両方のアミノ基を有するアミンE21は、3−ジメチルアミノプロピルアミン、2−ジメチルアミノエチルアミン、4−アミノ−1−メチルピペリジン、N−(2−アミノエチル)モルホリン、およびN−(3−アミノプロピル)モルホリンである。
【0029】
アミンE2の中で、好ましい第二級アミンE22は、ジエタノールアミン、ジプロパノールアミン、N,N’−ビス−(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、ピペリジン、ピペラジンおよび4−ピペラジノ−ピペラジンである。
【0030】
反応生成物は好ましくは、第1の代替方法においては成分AaおよびEeを別々に合成することによって、または第2の代替方法においては成分AeおよびEaを別々に合成することによって形成される。
【0031】
ポリマーAaおよびAeは、使用される溶媒中で可溶性であるラジカル開始剤を使用するラジカル開始溶液重合によって、または乳化剤の存在下での乳化重合によって、それぞれ形成できる。ポリマーAaに対してはEeおよびポリマーAeに対してはEaという、適切な成分とのその反応の前に、溶液のポリマーは好ましくは、水中で乳化する。ポリマーが酸基または塩基性アミノ基などのイオノゲン基を有する場合には、内部乳化と呼ばれる少なくとも部分的な中和によって、または石鹸(アニオン性乳化剤)、アルキルフェノールエトキシレートもしくは脂肪酸エトキシレート(非イオン性乳化剤)、または好ましくは第4級アンモニウム基を有する脂肪族長鎖アミノ化合物(カチオン性乳化剤)などの乳化剤の添加によって、乳化を達成してよい。アニオン性またはカチオン性乳化剤との非イオン性乳化剤の混合物もまた、好ましくは使用してよい。
【0032】
EeまたはEaを、液体としてまたは1500ミリパスカル秒を超えない、反応温度での粘度を有する低融点化合物として使用する場合、ポリマーAaまたはAeは、対応する化合物EeまたはEaと、バルクで反応させてもよい。化合物EeまたはEaを装填し、ポリマーAaまたはAeを、混合条件下で、温度管理しながら加える。特にポリマーAaまたはAeを混合するときにおよび混合する間に、必要な場合、一方のエポキシド基と他方のアミノ基またはヒドロキシル基との間の反応において不活性である溶媒を加えて、粘度を調整してよい。AEを形成する反応温度は、好ましくは20℃〜100℃の間、特に30℃〜80℃までである。反応の進行は、反応混合物から試料を取り出し、エポキシド基の消費またはアミノ基の消費を測定することによって、モニターする。
【0033】
水性分散体の形態においてポリマーAaまたはAeと化合物EeまたはEaとの反応を実施することもまた可能であり、溶媒を加える必要性がなくなる。この場合、ポリマーAaまたはAeの水性分散体を提供し、撹拌下、化合物EeまたはEaを加えて反応生成物AEの分散体を形成することが好ましい。反応温度およびモニターするための方法は、上記と同じように選択される。
【0034】
反応生成物AEの水性分散体は、特に基材金属上に、ならびにまたプラスチック、ガラス、木材および木材ベースの材料、紙、ボール紙などのその他の基材、およびコンクリート、石、石膏、石造物、および乾式壁などの鉱物基材上にコーティング組成物を作成するために使用できる。
【0035】
これらの水性分散体から調製されるコーティングは、優れた耐腐食性を提供し、黄変およびチョーキングへの低い傾向を有し、特に基材金属または木材上へのプライマーとして、またはモノコートとして使用できる。
【0036】
このコーティングは、有効な、タンニンに対するバリアを提供するので、特に木材および木質材料のコーティングにとって好ましい。石造物上または乾式壁上に適用されるプライマーとして、このコーティングは、タールおよび紙巻タバコの煙からのその他の凝縮物に対する有効な保護層を提供する。
【0037】
フィルム形成は、硬化剤の添加なしにすでに起こるが、多官能性イソシアネート、キャッピングされた多官能性イソシアネート、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂架橋剤およびアミノプラスト架橋剤などのヒドロキシ官能性結合剤との組合せで使用できる硬化剤を加えることができ、それによって一般的には硬化速度を上昇させることができる。また、通常の触媒を使用してもよい。AEの分散体から調製されるコーティング配合物はまた、湿潤剤、均展剤、消泡剤、顔料、沈降剤、垂れ制御剤、および殺生物剤などの通常の添加剤を含んでいてもよい。
【0038】
実施例
以下の実施例は、本発明をさらに説明するために提供するものであり、限定的に解釈するものではない。
【0039】
実施例および本明細書において、単位「%」によって述べられる濃度は、溶液S中の溶質Lの質量分率wであり、溶質の質量mと溶液の質量mの比として計算される。
【0040】
酸価は、試験中の試料を中和させるために必要な水酸化カリウムの質量mKOHとこの試料の質量m、または溶液もしくは分散体の場合には、試料中の固体の質量との比として、DIN EN ISO3682(DIN53402)に従って定義され、その通常の単位は「mg/g」である。
【実施例1】
【0041】
メトキシプロパノール400gを装填し、窒素ブランケット下で120℃まで加熱された重合容器中に、一定の撹拌および温度制御下、5時間にわたって、n−ブチルアクリレート200g、メチルメタクリレート450g、4−ヒドロキシブチルアクリレート180g、N−tert−ブチルアミノエチルメタクリレート100gおよびN,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート100gの第1の混合物と、ならびに第2の混合物としてのメトキシプロパノール100g中のアゾビス−イソバレロニトリル30gの溶液とを加えることによって、溶液重合を実施した。前記5時間の後で、開始溶液のさらなる部分(メトキシプロパノール80gに溶解したtert−ブチルペルオクトエート4g)を、三等分して、30分以内に加えた。反応溶液を、120℃で、さらに90分間維持し、次に冷却した。反応容器から取り出した試料は、固体の質量分率64.1%、DIN EN ISO3219に従って判定された動的粘度4700ミリパスカル秒、および23℃で、溶媒としてのクロロホルム中で測定されたシュタウディンガー指数9.2cm/gを有していた。その酸価は、2.7mg/gであると求められた。その平均モル質量は、スチレン標準物質によって較正されたGPCによって測定されて、14kg/molであった。
【実施例2】
【0042】
実施例1のポリマー溶液1614gを、ロータリー蒸留装置中に満たし、およそ90%の固体の質量分率に到達するまで、減圧下で溶媒をストリッピングにより除去した。蒸留の間に、脱イオン水を全部で50g加えることによって、蒸留器の冷却を達成した。留出物496gを収集した後で、乳酸の50%濃度水溶液s56gを、10分間、95℃で加え、次に中和された樹脂を、脱イオン水1500g中に、十分な撹拌下、ゆっくり分散させた。水をさらに225g加えて、固体の質量分率をおよそ36%に設定した。結果として生じた分散体は、23℃で動的粘度500ミリパスカル秒を有していた。取り出した試料について、120℃で、10分間、試料800mgを乾燥させた後で、残渣を秤量することによって測定して、固体の質量分率が36.7%であると求められた。
【実施例3】
【0043】
実施例2の中和されたポリマー分散体を、反応容器中へ装填し、撹拌下、75℃まで加熱した。ビスフェノールAジグリシジルエーテル80gを、撹拌下および一定温度で加えた。反応混合物を、さらに4時間、撹拌した。付加物のモル質量は、分散された樹脂が不溶性であったため、求めることができなかった。付加物分散体の固体の質量分率を、脱イオン水によって、33%に調整した。分散体の平均の粒子サイズを、ISO13321に従って求め、高調波強度平均粒径についての結果は151nmであった。
【実施例4】
【0044】
脱塩水88g、分散剤((登録商標)Additol VXW6208、Cytec Austria GmbH)22g、消泡剤((登録商標)Surfynol SE−F、E.I.DuPont de Nemours & Co.)3g、アクリレート増粘剤((登録商標)Acrysol RM8/12WA、Rohm & Haas)3g、およびチキソトロープ剤((登録商標)Luwothix HT、Lehmann & Voss & Co.)6gから、混合物を調製した。酸化鉄顔料((登録商標)Bayferrox、Bayer Material Science AG)62g、リン酸亜鉛顔料(Heucophos ZPO、Heubach GmbH)106g、カオリン((登録商標)ASP600、Engelhardt)55g、およびタルク((登録商標)Talkum ATI、Norwegian Talc)55gを、前記混合物中に分散させた。次に、実施例3の付加物分散体480gを、さらに117gの脱塩水と一緒に加えた。このようにして得られた水性プライマーは、約30秒の流出時間(4mmカップ、DIN EN ISO2431)を有していた。同一の装置および試験方法を使用して、すなわち、乾燥フィルム厚さ30μmで未処理の鉄板に適用して、このプライマーを、EP1233034A1の実施例2のプライマーと比較して試験した。室温で10日間乾燥後、DIN50021に従って腐食試験を実施した。いずれの鉄板も400時間は腐食しないままである一方、DIN50021の規則に従って「0」と評価されたEP1233034A1の実施例2の比較のプライマーについては600時間で腐食の徴候があるが、本発明による実施例3のプライマー(「+」の評価)によってコーティングされた板では腐食は検出されないことがわかった。実施例4のプライマーによってコーティングされた板について、200時間後、QUVB試験への曝露で、黄変もチョーキングも検出できなかったが、一方、EP1233034A1の実施例2の比較のプライマーによってコーティングされたさらなる鉄板は、コーティングされた表面の顕著な黄変およびまたチョーキングを示した。
【0045】
したがって、本発明による反応生成物AEは、より優れた耐腐食性がより優れている点ならびに黄変およびチョーキングの傾向がより低い点の両方において、先行技術の系より卓越している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1分子に付き少なくとも1個の官能基を有するビニルコポリマーAと、1分子に付き平均で少なくとも2個の官能基を有するエポキシド官能性化合物に由来する多官能性化合物Eとの反応生成物AEであって、エチレン性不飽和モノマー、およびベータ−ヒドロキシアルキレンイミン(−NR−CH−CR’(OH)−)[式中、RおよびR’は、互いから独立して、Hまたは1〜8個の炭素原子を有するアルキル基を表す]、または対応するアンモニウム構造に由来する構造要素を有する反応生成物AE。
【請求項2】
ビニルコポリマーAが、官能性第二級アミノ基および官能性第三級アミノ基を有するポリマーAaであり、多官能性化合物Eが、エポキシド官能性化合物Eeであり、1分子に付き平均で少なくとも2個のエポキシド基を有する、請求項1に記載の反応生成物AE。
【請求項3】
アミノ官能性ビニルコポリマーAaが、少なくとも3種の異なる種類のエチレン性不飽和モノマーからのポリマーであって、前記少なくとも3種の異なる種類のエチレン性不飽和モノマーが、A1sと呼ばれる、1分子に付き少なくとも1個の第二級アミノ基を有する少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマー、A1tと呼ばれる、1分子に付き少なくとも1個の第三級アミノ基を有する少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマー、およびアミノ基を有さない少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマーA2であり、前記少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマーA2が、好ましくは、3〜12個の炭素原子を有するオレフィン性不飽和脂肪族カルボン酸または4〜12個の炭素原子を有するオレフィン性不飽和ジカルボン酸のC〜C−アルキル半エステルである酸官能性ビニルモノマーA20、(メタ)アクリル酸と1分子に付き25個以下の炭素原子を有する脂肪族直鎖状、分岐状または環状の一価アルコールとのエステルであるアルキル(メタ)アクリレートA21、(メタ)アクリル酸と1分子に付き25個以下の炭素原子を有する脂肪族直鎖状、分岐状もしくは環状の二価または多価アルコールとのエステルであるヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートA22、ビニルエーテルA23、ハロゲン化ビニルA24、ビニルニトリルA25、ビニルアルコールと25個以下の炭素原子を有する直鎖状、分岐状または環状の脂肪族モノカルボン酸とのエステルであるビニルエステルA26、ビニルケトンA27、アリルアルコールおよびメタリルアルコールなどの不飽和脂肪族直鎖状または分岐状のアルコールA28、ならびにスチレン、ビニルトルエンおよびビニルナフタレン、およびこれらの異性体の混合物からなる群から選択されるビニル芳香族化合物A29からなる群から選択されることを特徴とする、請求項2に記載の反応生成物。
【請求項4】
多官能性エポキシド化合物Eeが、1分子に付き平均で少なくとも2個のエポキシド基を有し、好ましくは、グリシジルアルコールおよび/または2−メチルグリシドールと二価もしくは多価アルコールまたは二価もしくは多価フェノールとのエーテル、グリシジルアルコールおよび/または2−メチルグリシドールと二塩基性または多塩基性の酸とのエステル、ならびに1分子に付き正確に2個のエポキシド基を有する直鎖状または分岐状のジエポキシアルカン、および1分子に付き2個を超えるエポキシド基を有するポリエポキシアルカンからなる群から選択されることを特徴とする、請求項2または3に記載の反応生成物。
【請求項5】
オリゴマーまたはポリマーのエポキシド化合物が、エポキシド化合物Eeとして使用され、二価および/または多価アルコール(例えば、オリゴマーもしくはポリマーのオキシアルキレングリコール、二価および/または多価フェノール)とジエポキシドまたはポリエポキシド化合物(二価および/もしくは多価アルコールのまたは二価もしくは多価フェノールのグリシジルエーテルからなる群から選択される)との反応生成物である、1分子に付き少なくとも2個のエポキシド基を有するエポキシ樹脂、ならびにまた、ノボラックをベースとするエポキシ樹脂からなる群から選択されることを特徴とする、請求項2または3に記載の反応生成物。
【請求項6】
ビニルコポリマーAが、1分子に付き少なくとも1個のエポキシド基を有するポリマーAeであり、多官能性化合物Eが、1分子に付き平均で少なくとも2個のアミノ基を有する、アミノ官能性エポキシ−アミン付加物Eaである、請求項1に記載の反応生成物AE。
【請求項7】
エポキシ官能性ビニルコポリマーAeが、(メタ)アクリル酸と1分子に付き25個以下での炭素原子を有する脂肪族直鎖状、分岐状または環状の一価アルコールとのエステルであるアルキル(メタ)アクリレートA21、(メタ)アクリル酸と1分子に付き25個以下の炭素原子を有する脂肪族直鎖状、分岐状もしくは環状の二価または多価アルコールとのエステルであるヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートA22、ビニルエーテルA23、ハロゲン化ビニルA24、ビニルニトリルA25、ビニルアルコールと25個以下の炭素原子を有する直鎖状、分岐状または環状の脂肪族モノカルボン酸とのエステルであるビニルエステルA26、ビニルケトンA27、不飽和脂肪族直鎖状または分岐状のアルコールA28、ならびにスチレン、ビニルトルエンおよびビニルナフタレン(その後者が、2−および4−ビニルトルエンならびに1−および2−ビニルナフタレン、さらにこれらの異性体の混合物などの個別の化合物から選択されてもよい)などのビニル芳香族化合物A29からなる群から選択されるアミノ基を有さないモノマーA2の少なくとも1種と、ヒドロキシ官能性ビニルモノマーA22とグリシドールまたは2−メチルグリシドールとのエーテル、グリシドールまたは2−メチルグリシドールと、好ましくは、3〜12個の炭素原子を有するオレフィン性不飽和脂肪族カルボン酸または4〜12個の炭素原子を有するからオレフィン性不飽和ジカルボン酸のC〜C−アルキル半エステルである酸官能性ビニルモノマーA20とのエステルからなる群から選択される少なくとも1種のエポキシ官能性オレフィン性不飽和モノマーA3とのコポリマーを含むことを特徴とする、請求項6に記載の反応生成物。
【請求項8】
モノマーA20が、アクリル酸およびメタクリル酸、ビニル酢酸、ならびにクロトン酸およびイソクロトン酸、ならびにモノメチルおよびモノエチルマレイネートおよび対応するフマレート、イタコネート、メサコネート、およびシトラコネートからなる群から選択されることを特徴とする、請求項3または7に記載の反応生成物。
【請求項9】
エポキシド基含有モノマーが、脂肪族ジエンに由来するオレフィン性不飽和モノエポキシドA31を含むことを特徴とする、請求項7に記載の反応生成物。
【請求項10】
アミノ官能性エポキシ−アミン付加物Eaが、1分子に付き平均で少なくとも2個のアミノ基を有し、1分子に付き少なくとも2個のエポキシド基を有する芳香族または脂肪族エポキシド化合物E1および1分子に付き少なくとも1個の第一級または第二級アミノ基を有する脂肪族または芳香脂肪族アミンE2に由来することを特徴とする、請求項7に記載の反応生成物。
【請求項11】
E1およびE2の量が、Ae中のエポキシド基の物質量に対する、Ae中の前記エポキシド基に反応性であるE1およびE2から形成される付加物Ea中のヒドロキシル基n(OH)の物質量と第一級および第二級アミノ基n(NH)の物質量との合計が、少なくとも1モル/モルであるように選択されることを特徴とする、請求項10に記載の反応生成物。
【請求項12】
アミノ官能性ビニルコポリマーAaを、1分子に付き平均で少なくとも2個のエポキシド基を有する多官能性エポキシ化合物Eeと反応させることによって、請求項2に記載の反応生成物AEを形成する方法。
【請求項13】
エポキシ官能性ビニルコポリマーAeと、1分子に付き平均で少なくとも2個のアミノ基を有するアミノ官能性エポキシ−アミン付加物Eaとを反応させることによって、請求項6に記載の反応生成物AEを形成する方法。
【請求項14】
酸の添加によって反応生成物AEを中和すること、中和した反応生成物AEを水中に分散すること、および結果として生じた分散体を基材に適用してコーティングされた基材を形成することを含む、水性コーティング組成物における結合剤としての、請求項1に記載の反応生成物AEの使用方法。
【請求項15】
中和の前または後に、湿潤剤、流動剤、均展剤、消泡剤、沈降剤、粘度調整剤、有機および無機の顔料、充填剤、融合助剤、および殺生物剤からなる群から選択される添加剤の少なくとも1種を加えることを含む、請求項14に記載の使用方法。
【請求項16】
コーティング組成物を、金属、木材、木材製品、紙、ボール紙、石膏、コンクリート、石造物、および乾式壁からなる群から選択される基材に適用することを含む、請求項14または15に記載の使用の方法。
【請求項17】
架橋剤を、基材への適用前にコーティング組成物に混合し、該架橋剤が、多官能性イソシアネート、キャッピングされた多官能性イソシアネート、アミノプラスト架橋剤、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂架橋剤、および多官能性アジリジンからなる群から選択されることを特徴とする、請求項14乃至16のいずれか1項に記載の使用方法。

【公表番号】特表2013−519773(P2013−519773A)
【公表日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−553336(P2012−553336)
【出願日】平成23年2月19日(2011.2.19)
【国際出願番号】PCT/EP2011/052476
【国際公開番号】WO2011/101460
【国際公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【出願人】(512015987)サイテク オーストリア ゲーエムベーハー (7)
【Fターム(参考)】