説明

カチオン性ポリマー系フッ素化エーテルシラン組成物及び使用方法

組成物は、ペルフルオロ化エーテル基又はペルフルオロアルカンスルホンアミド基の少なくとも1つから選択される第1のペンダント基と、アンモニウム基を有し、ケイ素を有さない第2のペンダント基と、アンモニウム基及び反応性ケイ素含有基を有する第3のペンダント基と、を有するポリマーを含む。このポリマーと組成物は、基材の保護、例えば基材への撥油性、撥水性、又はその両方の付与、又は基材への防汚性の供与に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カチオン性ポリマー系フッ素化エーテルシラン組成物及びこれらの組成物を使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
幾つかのフッ素化化合物は、例えばテキスタイル、紙、不織布材料、皮革、及びメーソンリーなどの基材に撥水撥油性を付与することができる。撥水撥油性は、例えば基材の表面にフッ素化化合物を含む組成物を塗布することにより達成されてきた。基材への撥水撥油性の付与が示されたフッ素化化合物には、幾つかのポリマー系フッ素化化合物、すなわちフッ素化ポリマーが挙げられる。フッ素化ポリマーとしては、ポリマー鎖にフッ素化基ペンダントを有するポリマー、例えばフッ素化(メタ)アクリレートポリマー及びフッ素化ウレタンポリマーが含まれる。
【0003】
多くの場合、それらフッ素化化合物は、かなりの量の有機溶媒を含む組成物の状態で基材表面に塗布されてきた。幾つかの場合で、有機溶媒は、テトラクロロエチレン又はトリクロロトリフルオロエタンなどの塩素含有及び/又はフッ素含有化合物を含むものであった。フッ素化化合物の溶液を塗布する方法は、例えばエアロゾルの缶などの加圧容器から溶液を噴霧することを含むものであった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
水性又は実質的に水性の媒質を含むか、又はそれから供給可能であり、基材、具体的には基材表面に撥水性及び撥油性を付与する、フッ素化ポリマー系化合物、特にカチオン性フッ素化化合物、を含む組成物に対するニーズが存在する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一つの態様では、ペルフルオロ化エーテル基又はペルフルオロアルカンスルホンアミド基の少なくとも1つから選択される第1のペンダント基と、アンモニウム基を有し、ケイ素を有さない第2のペンダント基と、反応性ケイ素含有基を有し、アンモニウム基を有さない第3のペンダント基と、を含む、ポリマーが提供される。
【0006】
別の態様では、式Iの構造を有する第1のモノマー、
【化1】

(I)
【0007】
式IIの構造を有する第2のモノマー、
【化2】

(II)
【0008】
式IIIの構造を有する第3のモノマー及び、
【化3】

(III)
【0009】
少なくとも1つの酸又はケイ素を有さないアルキル化剤を含む四級化剤を含むポリマーが提供される。式Iでは、Rは、式IV
F(C2mO)2p
(IV)
(式中、mは1から12の整数であり、nは1から40の整数であり、並びにpは1から6の整数である)の構造、式V
2X+1SON(R)−
(V)
(式中、Xは1から6の整数であり、Rは水素原子、アルキル基、アリール基、及びアラルキル基から選択される)の構造、及びこれらの組み合わせから選択される。式Iで、基Aは11個未満の炭素原子を有する連結基であり、Rは水素原子又は1から4個の炭素原子を有するアルキル基である。式IIで、Rは、アルキレン基、ヘテロアルキレン基、アリーレン基、又はアラルキレン基の少なくとも1つを含み、各Rは、独立して、水素原子又はアルキル基であり、R11は水素原子又は1から4個の炭素原子を有するアルキル基である。式IIIで、Rは、1個〜10個の炭素原子を有し、各Rは、独立して、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アシル基、アシロキシ基、ハロゲン基、エーテル基、又はポリエーテル基であり、Rは水素原子又は1個〜4個の炭素原子を有するアルキル基である。
【0010】
別な態様では、a)ペルフルオロ化エーテル基又はペルフルオロアルカンスルホンアミド基の少なくとも1つから選択される第1のペンダント基と、アンモニウム基を有し、ケイ素を有さない第2のペンダント基と、反応性ケイ素含有基を有し、アンモニウム基を有さない第3のペンダント基と、を含む、ポリマーと、b)少なくとも1つの水溶性有機溶媒又は水と、を含む、組成物が提供される。
【0011】
更に別の態様では、ポリマー及び少なくとも1つの水溶性有機溶媒又は水を含む組成物を準備する工程と、基材をこの組成物と接触させる工程とを含む、基材の保護方法が提供される。このポリマーは、ペルフルオロ化エーテル基又はペルフルオロアルカンスルホンアミド基の少なくとも1つのから選択される第1のペンダント基と、アンモニウム基を有し、ケイ素を有さない第2のペンダント基と、反応性ケイ素含有基を有し、アンモニウム基を有さない第3のペンダント基と、を含む。
【0012】
更に別の態様では、基材とポリマーを含む物品であって、ポリマーが基材表面の少なくとも一部と接触し、このポリマーが、ペルフルオロ化エーテル基又はペルフルオロアルカンスルホンアミド基の少なくとも1つから選択される第1のペンダント基と、アンモニウム基を有し、ケイ素を有さない第2のペンダント基と、反応性ケイ素含有基を有し、アンモニウム基を有さない第3のペンダント基と、を含む、物品が提供される。
【0013】
この「課題を解決するための手段」は、本発明のそれぞれの及び全ての実施形態又は実施を記載することを意図するものではない。本発明の更なる実施形態、特徴及び利点は、本発明の実施形態についての以下の「発明を実施するための形態」及び「特許請求の範囲」から明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本明細書にわたっていくつかの箇所で、実施例の一覧を通してガイダンスを提供するが、実施例はいろいろな組み合わせにおいて使用できる。それぞれの事例において、列挙された一覧は、代表的な群としてのみ役目を果たすのであって、排他的な一覧として解釈されるべきではない。
【0015】
端点による数の範囲の任意の列挙には、その範囲内に包含される全ての数が含まれる(例えば、1〜5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、5など)。
【0016】
用語「a」、「an」、「the」、「少なくとも1つの」及び「1つ又はそれ以上の」は本明細書では交換可能に使用される。したがって、例えば、「1つの」式Iの化合物を含む組成物は、「1つ又はそれ以上の」式Iの化合物を含む組成物を意味すると解釈され得る。
【0017】
用語「(メタ)アクリレート」は、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、又はアクリル酸エステルとメタクリル酸エステルの組み合わせのいずれかを指す。
【0018】
用語「アンモニウム基」は、四級窒素原子(窒素原子に対する4個の単結合を有する基を含む)を有する基を指す。
【0019】
用語「反応性ケイ素含有基」は、少なくとも1つのヒドロキシ基に結合した少なくとも1つのケイ素原子を有する基、又は加水分解性結合によりケイ素原子に結合した基を指す。
【0020】
用語「四級化剤」は、アミン基と反応して、アンモニウム基を形成することができる化合物又は組成物を指す。
【0021】
用語「ケイ素を有さないアルキル化剤」は、ケイ素を有さず、アミン基と反応して、ケイ素を有さないアルキル化剤中のアミン窒素原子と炭素原子との間に新しい化学結合を形成することができる化合物又は組成物を指す。
【0022】
ペルフルオロ化エーテル基又はペルフルオロアルカンスルホンアミド基の少なくとも1つから選択される第1のペンダント基と、アンモニウム基を有し、ケイ素を有さない第2のペンダント基と、反応性ケイ素含有基を有し、アンモニウム基を有さない第3のペンダント基と、を含む、ポリマーが提供される。
【0023】
第1のペンダント基は、少なくとも1つのペルフルオロ化エーテル基又はペルフルオロアルカンスルホンアミド基から選択される。ペルフルオロ化エーテル基は、少なくとも1個の酸素原子を有する。ペルフルオロ化エーテル基は、直鎖状のペルフルオロ化エーテル基であることができ、又は分岐鎖状若しくは環状構造を含むことができる。ペルフルオロ化エーテル基中の酸素原子は、1つ以上の直鎖状、分岐鎖状又は環状の構造中にあることができる。ペルフルオロ化エーテル基は、少なくとも200の、少なくとも300の、少なくとも400の、少なくとも500の、少なくとも600の、少なくとも700の、少なくとも800の、少なくとも900の、少なくとも1000の、少なくとも1250の、少なくとも1500の、少なくとも1750の、少なくとも2000の、少なくとも2250の、少なくとも2500の、少なくとも2750の、少なくとも3000の、少なくとも3250の、少なくとも3500の、少なくとも3750の、少なくとも4000の、少なくとも4500の、少なくとも5000の、少なくとも5500の、又は少なくとも6000の重量平均分子量(モル当りのグラムの単位で示される)を有することができる。ペルフルオロ化エーテル基は、6000以下の、5500以下の、5000以下の、4500以下の、4000以下の、3500以下の、3000以下の、2750以下の、2500以下の、2250以下の、2000以下の、1750以下の、1500以下の、1250以下の、1000以下の、900以下の、800以下の、700以下の、600以下の、500以下の、400以下の、300以下の、又は200以下の重量平均分子量を有することができる。ペルフルオロ化エーテル基は、200から6000の、300から6000の、300から5000の、500から5000の、750から5000の、750から4500の、1000から4500の、1250から4500の、1250から4000の、1250から3750の、1250から3500の、1250から3250の、1250から3200の、又は1250から3000の重量平均分子量を有することができる。
【0024】
ペルフルオロ化エーテル基はペルフルオロアルキル基、ペルフルオロアルキレン基、又はその両方を含み得る。ペルフルオロアルキル基は1つ以上の直鎖状、分岐鎖状又は環状の構造を含み得る。ペルフルオロアルキル基の非限定的な例としては、ペルフルオロメチル、ペルフルオロエチル、ペルフルオロプロピル、ペルフルオロブチル、ペルフルオロ−2−ブチル、ペルフルオロヘキシル、ペルフルオロシクロヘキシル、及びペルフルオロシクロヘキシルメチル基が挙げられる。ペルフルオロアルキレン基は1つ以上の直鎖状、分岐鎖状又は環状の構造を含み得る。ペルフルオロアルキレン基の非限定的な例としては、ペルフルオロメチレン、ペルフルオロエチレン、及びペルフルオロ−1,2−プロピレンが挙げられる。
【0025】
ペルフルオロ化エーテル基は、例えば米国特許第3,882,193号(Rice他)及び同第3,250,807号(Fritz他)に記載されているようにテトラフルオロエチレン又はヘキサフルオロプロピレンから誘導され得る。ペルフルオロ化エーテル基は、例えば米国特許第6,923,921号(Flynn他)及び同第3,250,808号(Moore,Jr.他)に記載されているようにヘキサフルオロプロピレンオキシドから誘導され得る。
【0026】
いくつかの実施形態では、ペルフルオロ化エーテル基はペルフルオロポリエーテル基である。ペルフルオロポリエーテル基は少なくとも2個の酸素原子を有し、2個以上の酸素原子を有することができる。
【0027】
ペルフルオロ化エーテル基は式IV
F(C2mO)2p
(IV)
(式中、mは1から12の整数であり、nは1から40の整数であり、並びにpは1から6の整数である)の構造を含むことができる。いくつかの実施形態では、mは少なくとも1の、少なくとも2の、少なくとも3の、少なくとも4の、少なくとも5の、少なくとも6の、少なくとも7の、少なくとも8の、少なくとも9の、少なくとも10の、又は少なくとも11の整数である。いくつかの実施形態では、mは12の、12未満の、11未満の、10未満の、9未満の、8未満の、7未満の、6未満の、5未満の、4未満の、3未満の、又は2未満の整数である。いくつかの実施形態では、nは少なくとも1の、少なくとも2の、少なくとも4の、少なくとも6の、少なくとも8の、少なくとも10の、少なくとも12の、少なくとも14の、少なくとも16の、少なくとも18の、少なくとも20の、少なくとも22の、少なくとも24の、少なくとも26の、少なくとも28の、少なくとも30の、少なくとも32の、少なくとも34の、少なくとも36の、又は少なくとも38の整数である。いくつかの実施形態では、nは40の、40未満の、38未満の、36未満の、34未満の、32未満の、30未満の、28未満の、26未満の、24未満の、22未満の、20未満の、18未満の、16未満の、14未満の、12未満の、10未満の、8未満の、6未満の、4未満の、又は2未満の整数である。いくつかの実施形態では、pは1、2、3、4、5、又は6の整数である。下位構造C2m及びC2pは、独立して、直鎖状、分岐鎖状又は環状の構造の1つ以上を含むことができる。このような構造を含むペルフルオロ化エーテルの調製は、それぞれが、m、n、及びpの異なる整数値を有する構造を含む、ペルフルオロ化エーテルの混合物を生じ得る。ペルフルオロ化エーテルのこのような混合物は、m、n及びpの非整数の平均値を有することができる。
【0028】
式IVのペルフルオロ化エーテル基は、式VI
F(CF(CF)CFO)CF(CF)−
VI
(式中、nは上記に定義した通りである)の構造を含むことができる。式VIのペルフルオロ化エーテルの調製は、それぞれがnの異なる整数値を有する構造を含む、ペルフルオロ化エーテルの混合物を生じ得る。ペルフルオロ化エーテルのこのような混合物は、nの非整数平均値を有し得る。
【0029】
ペルフルオロアルカンスルホンアミド基は、式V
2x+1SON(R)−
(V)
(式中、xは1から6の整数であり、Rは水素原子、アルキル基、アリール基、及びアラルキル基から選択される)の構造を有する。式Vで、xは1、2、3、4、5、又は6の整数であることができる。式Vで、Rは、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、フェニル基、又はベンジル基であることができる。このような構造を含むペルフルオロアルカンスルホンアミド化合物の調製は、それぞれがxの異なる整数値を有する構造を含む、ペルフルオロアルカンスルホンアミド基、を有する化合物の混合物を生じる可能性がある。それぞれがペルフルオロアルカンスルホンアミド基を有する化合物のこのような混合物は、xの非整数平均値を有することができる。
【0030】
式V中のRがアルキル基である場合には、アルキル基は直鎖状、分岐鎖又は環状のアルキル基であることができる。アルキル基は直鎖状、分岐鎖状、若しくは環状構造を含み得る。アルキル基は、20個までの、18個までの、16個までの、14個までの、12個までの、10個までの、8個までの、6個までの、4個までの、2個までの炭素原子、又は1個の炭素原子を有することができる。アルキル基は、20個の炭素原子、20個未満の、18個未満の、16個未満の、14個未満の、12個未満の、10個未満の、8個未満の、6個未満の、4個未満の、又は2個未満の炭素原子を含むことができる。アルキル基の非限定的な例としてはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、オクチル、デシル、2−プロピル、2−ブチル、2−ヘキシル、シクロヘキシル、及びシクロヘキシルメチルが挙げられる。いくつかの実施形態では、Rはメチル基である。他の実施形態では、Rはエチル基である。
【0031】
がアリール基である場合には、アリール基は1つのアレーン環又は2つ以上のアレーン環を含むことができる。アリール基は、6個までの炭素原子、8個までの炭素原子、10個までの炭素原子、12個までの炭素原子、14個までの炭素原子、16個までの炭素原子、又は18個までの炭素原子を有することができる。いくつかの実施形態では、アリール基は、ヘテロアレーン環(すなわち、ヘテロ原子、例えば窒素、酸素、又は硫黄を含むアレーン環)を含むことができる。2つ以上のアレーン環又はヘテロアレーン環がアリール基中に存在する場合には、アレーン環又はヘテロアレーン環はともに縮合することができるか、化学結合により連結することができる。アリール基の非限定的な例としては、置換及び非置換フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、9−アントラセニル、及びビフェニルが挙げられる。いくつかの実施形態では、Rはフェニル基である。
【0032】
式V中のRがアラルキル基である場合には、アラルキル基は1つのアレーン環又は2つ以上のアレーン環を含むことができる。アラルキル基は、6個までの炭素原子、8個までの炭素原子、10個までの炭素原子、12個までの炭素原子、14個までの炭素原子、16個までの炭素原子、18個までの炭素原子、又は20個までの炭素原子を有することができる。2個以上のアレーン環がアラルキル基中に存在するとき、アレーン環はともに縮合することができ、又は化学結合により連結することができる。いくつかの実施形態では、アラルキル基は、例えば窒素、酸素、又は硫黄などのへテロ原子を含むアレーン環を有することができる。アラルキル基は1つ以上のアルキル基を含む。アルキル基は、アレーン環に結合でき、1個の、2個の、3個の、4個の、5個の、6個の、又は6個以上の炭素原子を有することができる。アルキル基の例としては、メチル、エチル、1−プロピル、2−プロピル、1−ブチル、及び2−ブチル基が挙げられる。アラルキル基の非限定的な例としては、ベンジル、4−メチルベンジル、1−フェニルエチル、2−フェニルエチル、3−フェニルプロピル、2−ナフチルエチル、及び9−アントラセニルメチルが挙げられる。
【0033】
有用なペルフルオロアルカンスルホンアミド基としては、式CSON(CH)−、CSON(CHCH)−、CSON(CHCHCH)−、及びCSON(CHCHCHCH)−を有するペルフルオロブタンスルホンアミド基が含まれるが、それらに限定されるものでない。
【0034】
第2のペンダント基はアンモニウム基を有し、ケイ素を有さない。アンモニウム基は式VII
【化4】

(VII)
【0035】
式中、Rはアルキレン基、アリーレン基、又はアラルキレン基(すなわち、少なくとも1つのアルキル基と置換されたアリーレンラジカル)の少なくとも1つを有し、各Rは、独立して、水素原子又はアルキル基である)の構造を含む。
【0036】
いくつかの実施形態では、Rはアルキレン基を有する。アルキレン基は、直鎖状、分岐鎖状又は環状の構造の1つ以上を含むことができる。いくつかの実施形態では、Rは、ヘテロアルキレン基、すなわち少なくとも1つのヘテロ原子、例えば酸素、窒素、又は硫黄を含むアルキレン基を有する。アルキレン基又はヘテロアルキレン基は、少なくとも1個の炭素原子、若しくは2個までの、3個までの、4個までの、5個までの、6個までの、7個までの、8個までの、9個までの、10個までの、14個までの、16個までの、18個までの、又は20個までの炭素原子を有することができる。アルキレン基又はヘテロアルキレン基は、20個未満の、18個未満の、16個未満の、14個未満の、12個未満の、10個未満の、8個未満の、6個未満の、4個未満の、又は2個未満の炭素原子を有することができる。アルキレン基の非限定的な例としては、メチレン、エチレン、1,3−プロピレン、1,2−プロピレン、1,4−ブチレン、1,4−シクロヘキシレン、及び1,4−シクロヘキシルジメチレンが挙げられる。
【0037】
いくつかの実施形態では、Rはアリーレン基を有する。アリーレン基は1個以上のアレーン環を含む。アリーレン基が、2個以上のアレーン環を含む場合は、アレーン環(同一であるか若しくは異なることができる)は、縮合することができ、共有結合により連結することができ、又は例えばアルキレン基又は酸素のようなヘテロ原子などの連結基を経由して連結することができる。いくつかの実施形態では、アリーレン基は、例えば酸素、窒素、又は硫黄などの少なくとも1つのへテロ原子を有するヘテロアリーレン基を有する。アリーレン基又はヘテロアリーレン基は、少なくとも4個の炭素原子、若しくは少なくとも5個の、少なくとも6個の、少なくとも10個の、又は少なくとも14個の炭素原子を有することができる。アリーレン基の非限定的な例としては、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、9−アントラセニル、フラニル、及びチオフェニルが挙げられる。
【0038】
いくつかの実施形態では、Rはアラルキレン基を有する。アラルキレン基は1個以上のアレーン環を含むことができる。アラルキレン基が、2個以上のアレーン環を含む場合は、アレーン環(同一であるか若しくは異なることができる)は、縮合することができ、共有結合により連結することができ、若しくは例えばアルキレン基又は酸素のようなヘテロ原子などの連結基を経由して連結することができる。いくつかの実施形態では、アラルキレン基は、例えば酸素、窒素、又は硫黄などの少なくとも1つのへテロ原子を有するヘテロアラルキレン基を含むことができる。アラルキレン基又はヘテロアラルキレン基は、少なくとも4個の炭素原子、若しくは少なくとも5個の、少なくとも6個の、少なくとも10個の、又は少なくとも14個の炭素原子を有することができる。
【0039】
各Rは、独立して、水素原子又はアルキル基である。通常、少なくとも1つのRはアルキル基であり、更に通常、2個以上のRは独立してアルキル基である。2個以上のRが独立してルキル基である場合には、アルキル基は同一であるか若しくは異なることができる。アルキル基は、1個の炭素原子、若しくは1個を超える炭素原子、2個を超える、4個を超える、6個を超える、8個を超える、10個を超える、12個を超える、14個を超える、16個を超える、又は20個を超える炭素原子を有することができる。アルキル基は、20個の炭素原子、若しくは20個未満の、18個未満の、16個未満の、14個未満の、12個未満の、10個未満の、8個未満の、6個未満の、4個未満の、又は2個未満の炭素原子を有することができる。いくつかの実施形態では、アルキル基は1〜8個の炭素原子を有する。いくつかの実施形態では、アルキル基は直鎖状アルキル基を有する。他の実施形態では、アルキル基は分岐鎖状アルキル基を有する。更に他の実施形態では、アルキル基は環状アルキル基を有する。アルキル基の非限定的な例としては、メチル、エチル、1−プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、2−エチルヘキシル、オクチル、デシル、ウンデシル、ドデシル、テトラデシル、ペンタデシル、オクタデシル、シクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル、シクロヘキシルメチル、シクロペニル、及びシクロオクチルが挙げられる。
【0040】
いくつかの実施形態では、Rは、1から6個の炭素原子を有するアルキレン基を有し、各Rは、独立して、水素原子又は1から4個の炭素原子を有するアルキル基である。いくつかの実施形態では、Rは、2個の炭素原子を有するアルキレン基を有し、2個以上のRはメチル基である。
【0041】
第3のペンダント基は、アンモニウム基を有さない反応性ケイ素含有基を有する。いくつかの実施形態では、第3のペンダント基は、式VIII
【化5】

(VIII)
【0042】
(式中、Rは、1個〜10個の炭素原子を有し、各Rは、独立して、ヒドロキシ基及び加水分解性結合によりケイ素原子に結合した基である)の構造を含む。この文脈において、「加水分解性結合を介してケイ素原子に結合している」とは、R−ケイ素結合と水とが反応性(すなわち、加水分解反応を受けることができる結合)であることを指す。いくつかの実施形態では、Rは炭素原子を有する結合を介してケイ素原子に結合されている(すなわち、Rはケイ素原子に結合された炭素原子を有する)。いくつかの実施形態では、Rはケイ素原子に結合した炭素以外の原子を有する結合を介してケイ素原子に結合している。いくつかの実施形態では、Rは、例えば窒素、酸素、又は硫黄原子を有する結合を介してケイ素原子に結合する(すなわち、Rはケイ素原子に結合した窒素、酸素、又は硫黄原子を有する)。
【0043】
各Rは、独立して、非イオン性基又はイオン性であることができる。イオン性基は、カチオン性、アニオン性、又は両性イオン性であることができる。非イオン性基の非限定的な例としてはヒドロキシ基、アルコキシ基、アシル基、アシロキシ基、ハロゲン基、エーテル基、及びポリエーテル基が挙げられる。アルコキシ基としては、例えばメトキシ基及びエトキシ基が挙げられる。ハロゲン基としては、例えばクロロ基、ブロモ基、及びヨード基が挙げられる。アシル基としては、例えばアセチル基、プロピオニル基、及びベンゾイル基が挙げられる。アシロキシ基としては、例えばアセトキシ基及びプロピオノキシ基が挙げられる。エーテル基及びポリエーテル基は、オキシアルキレン基、例えば式IX
【0044】
【化6】

(IX)
【0045】
(式中、vは1から10の整数であり、wは1から200の整数である)の構造を有する基を有することができる。エーテル基は式IX(式中、wは1である)の基を有することができる。オキシアルキレン基を有するポリエーテル基の非限定的例としては、ポリ(オキシメチレン)基、ポリ(オキシエチレン)基、及びポリ(オキシブチレン)基が挙げられる。式IXで、wは、少なくとも1の、少なくとも2の、少なくとも4の、少なくとも6の、少なくとも8の、少なくとも10の、少なくとも20の、少なくとも30の、少なくとも40の、少なくとも50の、少なくとも60の、少なくとも80の、少なくとも100の、少なくとも150の、又は少なくとも190の整数であることができる。式IX中で、wは、200の、200未満の、180未満の、160未満の、150未満の、140未満の、120未満の、100未満の、80未満の、60未満の、40未満の、20未満の、15未満の、10未満の、8未満の、6未満の、4未満の、又は2未満の整数であることができる。Rは、イオン基である場合には、カチオン基であることができ、例えばカチオン性窒素原子を有することができる。イオン基の非限定的な例には、
−OCHCH(CH、−OCHCHCl、及び−OCHCH(CHCHCHCHSOなどの基が挙げられる。
【0046】
いくつかの実施形態では、2個以上のオキシアルキレン基を有するポリエーテル基は、カチオン性基(例えばカチオン性窒素原子を有する基)、アニオン性基、又はカチオン性基及びアニオン性基の両方を更に含む。
【0047】
式IXのアルキレン基(すなわち、下位構造C2v)を有する基)は、独立して、1つ以上の直鎖状、分岐鎖状、又は環状の構造を含むことができる。式IXで、Vは1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10であることができる。アルキレン基の非限定的な例としては、メチレン、エチレン、1,3−プロピレン、1,2−プロピレン、1,4−ブチレン、1,4−シクロヘキシレン、及び1,4−シクロヘキシルジメチレンが挙げられる。
【0048】
式VIIIで、Rは、アルキレン基、アリーレン基、又はその両方を有することができる。アルキレン基の例としては、エチレン、プロピレン、及びブチレンが挙げられる。アリーレン基の非限定的な例としては、フェニレンである。いくつかの実施形態では、Rは1から6個の炭素原子を有するアルキレン基を有し、各Rは、独立して、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アシル基、アシロキシ基、ハロゲン基、エーテル基、又はポリエーテル基である。いくつかの実施形態では、各Rは、独立して、ヒドロキシ基、メトキシ基、又はエトキシ基である。
【0049】
このポリマーは第4のペンダント基を更に有することができる。第4のペンダント基は非イオン性の非フッ素化基を有する。非イオン性非フッ素化基の例としては、1つ以上の直鎖状、分岐鎖状又は環状の構造を有する、非置換及び置換アルキル基、及びアリール基が挙げられる。アルキル基は、例えばハロゲン(フッ素以外)により置換することができ、又はアルキル基は、例えば酸素原子を含有することができる。アルキル基の非限定的な例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、オクチル、デシル、ドデシル、2−プロピル、2−ブチル、2−ヘキシル、2−オクチル、3−オクチル、4−オクチル、2−エチルヘキシル、2−デシル、4−デシル、2−ドデシル、3−ドデシル、シクロヘキシル、シクロヘキシルメチル、イソボルニル、及びシクロオクチル基が挙げられる。アリール基には、少なくとも1個のアレーン環を含む基、例えば非置換及び置換アレーン環が挙げられる。このようなアリール基の非限定的な例としては、フェニル、2−メチルフェニル、4−メチルフェニル、2,4,6−トリメチルフェニル、ベンジル、4−メチルベンジル、1−ナフチル、及び2−ナフチルが挙げられる。
【0050】
ポリマーは、例えばビニルエーテルポリマー、ビニルエステルポリマー、(メタ)アクリルアミドポリマー、又は(メタ)アクリレートポリマーであることができる。一般に、ポリマーは(メタ)アクリレートポリマーである。
【0051】
式Iの構造を有する第1のモノマー、
【化7】

(I)
【0052】
式IIの構造を有する第2のモノマー、
【化8】

(II)
【0053】
式IIIの構造を有する第3のモノマー及び、
【化9】

(III)
【0054】
少なくとも1つの酸又はアルキル化剤を含む四級化剤
(式中、R、R、R、R、R、R、R、及びR11は、上述された通りである)を含む反応物質から調製されるポリマーが提供される。いくつかの実施形態では、R、R、及びR11は、それぞれ独立した水素原子又はメチル基である。
【0055】
基Aは11個未満の炭素原子を有する連結基である。連結基Aは、10個の炭素原子、9個の炭素原子、8個の炭素原子、7個の炭素原子、6個の炭素原子、5個の炭素原子、4個の炭素原子、3個の炭素原子、2個の炭素原子、又は1個の炭素原子を有することができる。連結基Aは、アルキレン基(例えばエチレン、プロピレン、又はブチレン基)、アリーレン基(例えばフェニレン基)、又はその両方を含むことができる。
【0056】
いくつかの実施形態では、ポリマーはアミノ基を実質的に有さない(すなわち、一級、二級、又は三級アミノ基を実質的に有さない)。用語「一級、二級、又は三級アミノ基を実質的に有さない」は、ポリマーが5モルパーセント未満の、4モルパーセント未満の、3モルパーセント未満の、2モルパーセント未満の、1モルパーセント未満の、0.5モルパーセント未満の、0.25モルパーセント未満の、0.15モルパーセント未満の、0.1モルパーセント未満の、0.075モルパーセント未満の、0.05モルパーセント未満の、0.025モルパーセント未満の、0.02モルパーセント未満の、0.015モルパーセント未満の、0.01モルパーセント未満の、0.0075モルパーセント未満の、0.005モルパーセント未満の、0.0025モルパーセント未満の、0.002モルパーセント未満の、0.0015モルパーセント未満の、0.001モルパーセント未満の、0.00075モルパーセント未満の、0.0005モルパーセント未満の、0.00025モルパーセント未満の、0.0002モルパーセント未満の、0.00015モルパーセント未満の、0.0001モルパーセント未満の、0.000075モルパーセント未満の、0.00005モルパーセント未満の、0.000025モルパーセント未満の、0.00002モルパーセント未満の、0.000015モルパーセント未満の、又は0.00001モルパーセント未満の、一級、二級、又は三級アミノ基有することを意味する。いくつかの実施形態では、ポリマーは、一級、二級、又は三級アミノ基を有さない。
【0057】
いくつかの実施形態では、四級化剤は酸を含む。酸は、無機酸(例えば鉱酸)又は有機酸、又は無機酸及び有機酸の混合物であることができる。有用な酸の例としては、塩酸、臭化水素酸、硝酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、マレイン酸、フマル酸、及び安息香酸が挙げられる。
【0058】
他の実施形態では、四級化剤はケイ素を含有しないアルキル化剤を含む。ケイ素を有さないアルキル化剤は、任意のケイ素を有さないアルキル化剤、すなわちアミノ基と反応して、アルキル化アミノ基を生成することができる任意の剤であることができる。アルキル化剤の類型としては、例えばアルキルハライド及びアラルキルハライドが挙げられる。有用なアルキル化剤の例としては、ヨウ化メチル、塩化エチル、臭化ブチル、及び臭化ベンジルが挙げられる。
【0059】
四級化剤は通常、少なくとも1つの一級、二級、又は三級のアミノ基(例えば、式II中のモノマー)を有するモノマーのアミノ基と反応することによって、アンモニウム基を有するモノマーを形成する。この反応は通常、アミン含有モノマーの実質的に全てのアミノ基と反応するのに十分な四級化剤を使用して実行される。
【0060】
上述の式I、式II、及び式IIIのモノマーに加えて、ポリマーは、式X
【化10】

(X)
【0061】
(式中、R10は水素原子又は1から4個の炭素原子を有するアルキル基であり、Rは非イオン性の非フッ素化基である)の第4のモノマーを更に含む反応物質から調製できる。いくつかの実施形態では、R10は水素原子又はメチル基であり、Rは非置換又は置換のアルキル若しくは非置換又は置換のアリール基である。
【0062】
通常、第1のペンダント基は式Iの第1のモノマーから誘導され、第2のペンダント基は式IIの第2のモノマーから誘導され、第3のペンダント基は式IIIの第3のモノマーから誘導され、第4のペンダント基は(存在するならば)式Xの第4のモノマーから誘導される。
【0063】
ポリマーは、連鎖移動剤を更に含む反応物質から調製できる。いくつかの実施形態では、連鎖移動剤は硫黄原子を有する。いくつかの実施形態では、連鎖移動剤はチオール基を有する。連鎖移動剤は、構造Q−SRを有し得る(式中、Qは、アルキル基、アリール基、アラルキル基、反応性ケイ素含有基、又はこれらの組み合わせを含み、Rは、水素原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基、及びアシル基から選択される)。Q及びRがそれぞれアルキル基、アリール基、アラルキル基、又は反応性ケイ素含有基である場合には、Q及びRaは同一であるか又は異なることができる。Q又はRがアルキル基である場合には、Q又はRは、1個〜20個の炭素原子を有することができ、少なくとも直鎖状、分岐鎖状又は環状の構造を有することができる。いくつかの実施形態では、アルキル基は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20個の炭素原子を有する。Q又はRがアリール基である場合には、Q又はRは4個〜16個の炭素原子を有することができる。Q又はRがアラルキル基である場合には、Q又はRは4個〜20個の炭素原子を有することができる。通常、Rは、水素原子、1から7個の炭素原子を有するアルキル基、又はアシル基である。
【0064】
いくつかの実施形態では、Qは式XI
−R13Si(R12
(XI)
(式中、R13はアルキレン基、アリーレン基、又はその両方を有し、各R12は、ヒドロキシ基及び加水分解性結合を介してケイ素原子に結合された基から独立して選択される)の構造を有する反応性ケイ素含有基を有する。他の実施形態では、R13は1から6個の炭素原子を有するアルキレン基であり、各R12は、独立して、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アシル基、アシロキシ基、ハロゲン基、エーテル基、又はポリエーテル基である。いくつかの実施形態では、R13は2から4個の炭素原子を有するアルキレン基であり、各R12は、ヒドロキシ基、メトキシ基、又はエトキシ基から独立して選択される。代表的な連鎖移動剤としてはオクタンチオール、デカンチオール、ドデカンチオール、(3−メルカプトプロピル)トリメトキシシラン、及び(3−メルカプトプロピル)トリエトキシシランが挙げられる。ポリマーは、更に所望の重量平均分子量のポリマーをもたらすのに充分な量(例えば重量パーセント)の連鎖移動剤から調製できる。
【0065】
ポリマーは、反応混合物中のモノマーの全重量基準で少なくとも0.1重量パーセントの、少なくとも0.5重量パーセントの、少なくとも1重量パーセントの、少なくとも5重量パーセントの、少なくとも10重量パーセントの、少なくとも20重量パーセントの、少なくとも30重量パーセントの、少なくとも40重量パーセントの、少なくとも50重量パーセントの、少なくとも60重量パーセントの、少なくとも70重量パーセントの、少なくとも80重量パーセントの、少なくとも85重量パーセントの、少なくとも87重量パーセントの、少なくとも89重量パーセントの、少なくとも89.5重量パーセントの、又は少なくとも89.9重量パーセントの式Iの第1のモノマーを含む、反応混合物から調製され得る。ポリマーは、反応混合物中のモノマーの全重量基準で90重量パーセントの、90重量パーセント未満の、89.5重量パーセント未満の、89重量パーセント未満の、85重量パーセント未満の、80重量パーセント未満の、70重量パーセント未満の、60重量パーセント未満の、50重量パーセント未満の、40重量パーセント未満の、30重量パーセント未満の、20重量パーセント未満の、15重量パーセント未満の、10重量パーセント未満の、5重量パーセント未満の、1重量パーセント未満の、又は0.1重量パーセント未満の式Iの第1のモノマーを含む、反応混合物から調製され得る。
【0066】
ポリマーは、少なくとも0.1重量パーセントの、少なくとも0.5重量パーセントの、少なくとも1重量パーセントの、少なくとも5重量パーセントの、少なくとも10重量パーセントの、少なくとも15重量パーセントの、少なくとも20重量パーセントの、少なくとも25重量パーセントの、少なくとも30重量パーセントの、少なくとも35重量パーセントの、少なくとも40重量パーセントの、少なくとも45重量パーセントの、少なくとも49重量パーセントの、少なくとも49.5重量パーセントの、又は少なくとも49.9重量パーセントの式IIの第2のモノマーを含む反応混合物(又は、式IIのモノマーと四級化剤との反応生成物)から調製され得る。いくつかの実施形態では、ポリマーは、50重量パーセントの、50重量パーセント未満の、49.9重量パーセント未満の、49.5重量パーセント未満の、49重量パーセント未満の、45重量パーセント未満の、40重量パーセント未満の、35重量パーセント未満の、30重量パーセント未満の、25重量パーセント未満の、20重量パーセント未満の、15重量パーセント未満の、10重量パーセント未満の、5重量パーセント未満の、2重量パーセント未満の式IIの第2のモノマーを含む反応混合物(又は、式IIのモノマーと四級化剤との反応生成物)から調製される。
【0067】
ポリマーは、少なくとも0.1重量パーセントの、少なくとも0.5重量パーセントの、少なくとも1重量パーセントの、少なくとも5重量パーセントの、少なくとも10重量パーセントの、少なくとも15重量パーセントの、少なくとも20重量パーセントの、少なくとも25重量パーセントの、少なくとも30重量パーセントの、少なくとも35重量パーセントの、少なくとも40重量パーセントの、少なくとも45重量パーセントの、少なくとも49重量パーセントの、少なくとも49.5重量パーセントの、又は少なくとも49.9重量パーセントの式IIIの第3のモノマーを含む、ポリマー反応混合物から調製され得る。いくつかの実施形態では、ポリマーは、50重量パーセントの、50重量パーセント未満の、49.9重量パーセント未満の、49.5重量パーセント未満の、49重量パーセント未満の、45重量パーセント未満の、40重量パーセント未満の、35重量パーセント未満の、30重量パーセント未満の、25重量パーセント未満の、20重量パーセント未満の、15重量パーセント未満の、10重量パーセント未満の、5重量パーセント未満の、2重量パーセント未満の、1重量パーセント未満の、0.5重量パーセント未満の、0.25重量パーセント未満の、0.2重量パーセント未満の、0.1重量パーセント未満の式IIIの第3のモノマーを含む、反応混合物から調製される。
【0068】
ポリマーは、少なくとも0.1重量パーセントの、少なくとも0.5重量パーセントの、少なくとも1重量パーセントの、少なくとも5重量パーセントの、少なくとも10重量パーセントの、少なくとも15重量パーセントの、少なくとも20重量パーセントの、少なくとも25重量パーセントの、少なくとも30重量パーセントの、少なくとも35重量パーセントの、少なくとも40重量パーセントの、少なくとも45重量パーセントの、少なくとも49重量パーセントの、少なくとも49.5重量パーセントの、又は少なくとも49.9重量パーセントの式Xの第4のモノマーを含む、反応混合物から調製され得る。いくつかの実施形態では、ポリマーは、50重量パーセントの、50重量パーセント未満の、49.9重量パーセント未満の、49.5重量パーセント未満の、49重量パーセント未満の、45重量パーセント未満の、40重量パーセント未満の、35重量パーセント未満の、30重量パーセント未満の、25重量パーセント未満の、20重量パーセント未満の、15重量パーセント未満の、10重量パーセント未満の、5重量パーセント未満の、2重量パーセント未満の、1重量パーセント未満の、0.5重量パーセント未満の、0.25重量パーセント未満の、0.2重量パーセント未満の、0.1重量パーセント未満の式Xの第4のモノマーを含む、反応混合物から調製される。
【0069】
ポリマーは、式Iの第1のモノマーを0.1〜90重量パーセント、式IIの第2のモノマーを0.1〜50重量パーセント、及び式IIIの第3のモノマーを0.1〜50重量パーセント含む反応混合物から調製できる。あるいは、ポリマーは、式Iの第1のモノマーを5〜70重量パーセント、式IIの第2のモノマーを1〜40重量パーセント、及び式IIIの第3のモノマーを1〜40重量パーセント含む反応混合物から調製できる。あるいは、ポリマーは、式Iの第1のモノマーを10〜70重量パーセント、式IIの第2のモノマーを10〜30重量パーセント、及び式IIIの第3のモノマーを4〜35重量パーセント含む反応混合物から調製できる。
【0070】
ポリマーは、まず、式IIの第2のモノマーと四級化剤とを反応させて、中間アンモニウム生成物を形成し、次にこの中間のアンモニウム生成物を式Iの第1のモノマー、式IIIの第3のモノマー、及び場合によっては式Xの第4のモノマーと重合させることにより調製さできる。
【0071】
通常、この重合反応は、ペルオキシド(例えばベンゾイルペルオキシド)又はアゾ化合物(例えば2,2’−アゾビスイソブチロニトリル)などのフリーラジカル熱開始剤を使用することにより行われる。あるいは、この反応は、光化学反応開始剤と、場合によっては少なくとも1つの増感剤及び電子供与体化合物を含むことができる、光化学ラジカル開始剤系を用いることにより行われ得る。
【0072】
ポリマーはアンモニウム基を有する。ポリマーはアニオンを更に含む。アニオンは無機(例えば塩化物)又は有機(例えばアセテート)であることができる。本発明の組成物及びポリマーは、2個以上のアニオン、例えば塩化物及びアセテートイオンを含むことができる。アニオンは、第1及び第2の四級化剤から誘導可能であるか、あるいは例えば初期のアニオンを別のアニオンに交換するアニオン交換反応から誘導可能である。
【0073】
ポリマーは、通常、直鎖状ポリマーである。ポリマーは、直鎖状、分岐鎖状又は環状の構造、若しくは直鎖状、分岐鎖状又は環状の構造のいずれかの組み合わせを含むことができる。いくつかの実施形態では、ポリマーはランダムポリマーである。
【0074】
ポリマーは任意の重量平均分子量を有することができる。いくつかの実施形態では、ポリマーは、500,000以下の、400,000以下の、300,000以下の、200,000以下の、100,000以下の、80,000以下の、60,000以下の、50,000以下の、40,000以下の、30,000以下の、20,000以下の、15,000以下の、10,000以下の、8,000以下の、6,000以下の、4,000以下の、2,000以下の、1,000以下の重量平均分子量を有することができる。いくつかの実施形態では、ポリマーは、少なくとも1000の、少なくとも2000の、少なくとも3000の、少なくとも4000の、少なくとも5000の、少なくとも6000の、少なくとも7000の、少なくとも8000の、少なくとも9000の、少なくとも10,000の、少なくとも12,000の、少なくとも15,000の、少なくとも17,000の、少なくとも20,000の、少なくとも25,000の、少なくとも30,000の、少なくとも40,000の、少なくとも50,000の、少なくとも60,000の、少なくとも70,000の、少なくとも80,000の、少なくとも90,000の、少なくとも100,000の、少なくとも200,000の、少なくとも300,000の、少なくとも400,000の、又は少なくとも500,000の重量平均分子量を有する。
【0075】
いくつかの実施形態では、ポリマーは水溶性有機溶媒に溶解され得る。通常、ポリマーは水溶性有機溶媒中で調製される。いくつかの実施形態では、ポリマーは水中に分散され得る。他の実施形態では、ポリマーは水に溶解され得る。通常、ポリマーは、水と水溶性有機溶媒の混合物中に分散され得る。いくつかの実施形態では、水溶性有機溶媒を含む溶媒中のポリマーの溶液又は分散液は水と混合され又は希釈されて、溶媒と水の混合物中のポリマーの溶液又は分散液を提供する。
【0076】
組成物は少なくとも1つの水溶性有機溶媒を含むことができる。組成物は10重量パーセント未満から99重量パーセントを超える水溶性有機溶媒を含むことができる。組成物は、0.1重量パーセントを超える、0.5重量パーセントを超える、1重量パーセントを超える、5重量パーセントを超える、10重量パーセントを超える、20重量パーセントを超える、30重量パーセントを超える、40重量パーセントを超える、50重量パーセントを超える、60重量パーセントを超える、70重量パーセントを超える、80重量パーセントを超える、90重量パーセントを超える、又は99重量パーセントを超える水溶性有機溶媒を含むことができる。組成物は、99.9重量パーセントの、99.9重量パーセント未満の、99.5重量パーセント未満の、99重量パーセント未満の、95重量パーセント未満の、90重量パーセント未満の、80重量パーセント未満の、70重量パーセント未満の、60重量パーセント未満の、50重量パーセント未満の、40重量パーセント未満の、30重量パーセント未満の、20重量パーセント未満の、又は10重量パーセント未満の水溶性有機溶媒を含むことができる。組成物は水溶性有機溶媒中の濃厚液で提供され得る。
【0077】
水溶性有機溶媒は有機溶媒と水の全ての比率で水に溶解できる。水溶性有機溶媒は、水中1重量パーセントまでの、2重量パーセントまでの、5重量パーセントまでの、10重量パーセントまでの、20重量パーセントまでの、30重量パーセントまでの、40重量パーセントまでの、50重量パーセントまでの、60重量パーセントまでの、70重量パーセントまでの、80重量パーセントまでの、又は90重量パーセントまでの水中有機溶媒で水に溶解できる。水溶性有機溶媒は、水中で90重量%を超えるまでの有機溶媒が水に可溶であり得る。好適な有機溶媒としては、ケトン(例えばアセトン)、エーテル(例えばジメトキシエタン、テトラヒドロフラン)、エステル(例えばメチルアセテート)、カーボネート(例えばプロピレンカーボネート)、アミド(例えばジメチルアセトアミド)、スルホキシド(例えばジメチルスルホキシド)、スルホン(例えばスルホラン)、及びアルコール(例えばエタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、メトキシプロパノール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル)が挙げられる。いくつかの実施形態では、水溶性有機溶媒は、ポリマーの調製に使用される溶媒を含む。他の実施形態では、水溶性有機溶媒は、ポリマーの調製に使用されない溶媒、例えば組成物に添加される溶媒を含む。更に他の実施形態では、水溶性有機溶媒は、処理又は配合の工程、例えば溶媒交換工程時に、組成物に添加され得る。
【0078】
組成物は水を含むことができる。水は、組成物の1重量パーセント未満〜99重量パーセントを超えて存在することができる。組成物は、0.1重量パーセントを超える、0.5重量パーセントを超える、1重量パーセントを超える、5重量パーセントを超える、10重量パーセントを超える、20重量パーセントを超える、30重量パーセントを超える、40重量パーセントを超える、50重量パーセントを超える、60重量パーセントを超える、70重量パーセントを超える、90重量パーセントを超える、90重量パーセントを超える、又は99重量パーセントを超える水を含むことができる。組成物は、99.9重量パーセント未満の、99.5重量パーセント未満の、99重量パーセント未満の、95重量パーセント未満の、90重量パーセント未満の、80重量パーセント未満の、70重量パーセント未満の、60重量パーセント未満の、50重量パーセント未満の、40重量パーセント未満の、30重量パーセント未満の、20重量パーセント未満の、10重量パーセント未満の、5重量パーセント未満の、1重量パーセント未満の、0.5重量パーセント未満の、又は0.1重量パーセント未満の水を含むことができる。
【0079】
組成物は水と水溶性有機溶媒とを含むことができる。水のパーセント(水と水溶性有機溶媒の全重量に対する)は、1重量パーセント未満から99重量パーセントを超えていることができる。水のパーセントは、水と水溶性有機溶媒の全重量の1重量パーセントを超える、2重量パーセントを超える、5重量パーセントを超える、10重量パーセントを超える、15重量パーセントを超える、20重量パーセントを超える、30重量パーセントを超える、40重量パーセントを超える、50重量パーセントを超える、60重量パーセントを超える、70重量パーセントを超える、80重量パーセントを超える、90重量パーセントを超える、95重量パーセントを超える、99重量パーセントを超える、99.5重量パーセントを超える、99.8重量パーセントを超える、又は99.9重量パーセントを超えることができる。水のパーセントは、99.9重量パーセント、99.9重量パーセント未満、99.8重量パーセント未満、99.5重量パーセント未満、99重量パーセント未満、95重量パーセント未満、90重量パーセント未満、85重量パーセント未満、80重量パーセント未満、75重量パーセント未満、70重量パーセント未満、65重量パーセント未満、60重量パーセント未満、55重量パーセント未満、50重量パーセント未満、45重量パーセント未満、40重量パーセント未満、35重量パーセント未満、30重量パーセント未満、25重量パーセント未満、20重量パーセント未満、15重量パーセント未満、10重量パーセント未満、5重量パーセント未満、2重量パーセント未満、又は1重量パーセント未満であることができる。
【0080】
水と水溶性有機溶媒の混合物中のポリマーの濃度は、1重量パーセントを超える、2重量パーセントを超える、5重量パーセントを超える、10重量パーセントを超える、15重量パーセントを超える、20重量パーセントを超える、30重量パーセントを超える、40重量パーセントを超える、50重量パーセントを超える、60重量パーセントを超える、70重量パーセントを超える、80重量パーセントを超える、又は90重量パーセントを超えることができる。水と水溶性有機溶媒の混合物中のポリマーの濃度は、90重量パーセント、90重量パーセント未満、85重量パーセント未満、80重量パーセント未満、75重量パーセント未満、70重量パーセント未満、65重量パーセント未満、60重量パーセント未満、55重量パーセント、50重量パーセント未満、45重量パーセント未満、40重量パーセント未満、35重量パーセント未満、30重量パーセント未満、25重量パーセント未満、20重量パーセント未満、15重量パーセント未満、10重量パーセント未満、5重量パーセント未満、2重量パーセント未満、1重量パーセント未満、0.5重量パーセント未満、0.2重量パーセント未満、又は0.1重量パーセント未満であることができる。
【0081】
水と水溶性有機溶媒の混合物中のポリマーの濃度は、0.1重量パーセント〜90重量パーセント、0.1重量パーセント〜70重量パーセント、0.1重量パーセント〜50重量パーセント、0.1重量パーセント〜30重量パーセント、0.1重量パーセント〜20重量パーセント、0.1重量パーセント〜10重量パーセント、1重量パーセント〜10重量パーセント、又は1重量パーセント〜5重量パーセントであることができる。
【0082】
組成物は1つ以上の添加物を含むことができる。このような添加物は、例えばUV吸収剤、無機若しくは有機ミクロ粒子又はナノ粒子、緩衝剤、難燃剤、帯電防止剤、抗菌剤(例えば殺菌剤)、金属イオン封鎖剤、鉱物質塩、界面活性剤、又は漂白剤を含むことができる。
【0083】
方法及び物品
a)ペルフルオロ化エーテル基又はペルフルオロアルカンスルホンアミド基の少なくとも1つから選択される第1のペンダント基と、アンモニウム基を有し、ケイ素を有さない第2のペンダント基と、アンモニウム基及び反応性ケイ素含有基を有する第3のペンダント基と、を含むポリマー、及びb)少なくとも1つの水溶性有機溶媒又は水を含む、組成物を提供することを含む、基材を保護する方法が提供される。この方法は、基材を組成物と接触させることを更に含む。いくつかの実施形態では、この方法は、非イオン性の非フッ素化基を有する第4のペンダント基を更に有するポリマーを含む組成物を提供することを含む。いくつかの実施形態では、ポリマーはアミノ基を実質的に有さない。他の実施形態では、ポリマーはアミノ基を有さない。
【0084】
接触の工程は、例えば組成物中に基材を浸漬すること、基材上で組成物を凝縮、噴射、刷毛塗り、又はロール掛けすること、又は基材に組成物をフラッドコーティングすることを含むことができる。基材は、テキスタイル、ケイ酸塩、紙、金属、木材、及びプラスチックを含むことができる。いくつかの実施形態では、基材は、木綿、ビスコース、羊毛、絹、ポリエステル、ポリアミド、レイヨン、粘土、セラミック、ガラス、コンクリート、及びこれらの組み合わせであることができる。いくつかの実施形態では、この方法は、基材をポリマーと、水溶性有機溶媒又は水の少なくとも1つとを含む組成物と接触させることを含む。
【0085】
基材はセラミックを含むことができる。このようなセラミックは、例えばうわぐすりをかけた又はうわぐすりをかけていないセラミックタイル(例えばキッチン又は浴室タイル)の形のものであることができる。基材は、ガラス、例えばファイバ−ガラス、鉛ガラス又はホウケイ酸ガラスを含むことができる。基材は、限定するものではないが、構造用コンクリート及び装飾用コンクリートを含むコンクリートを含むことができる。いくつかの実施形態では、基材は、木綿とポリエステルの混紡又はポリアミドとポリエステルの混紡を含むテキスタイルであることができる。いくつかの実施形態では、基材は、衣類又は室内内張りでの使用に好適なテキスタイルを含む。
【0086】
この組成物を使用して、基材、特に基材の表面を保護して、基材に撥油性、撥水性又はその両方を付与するか、あるいはこのような基材に防汚性をもたらすことができる。基材の保護は、結果として保護された基材、特に保護された基材の表面又は保護された表面を提供し、保護された基材又は表面の撥油及び/又は撥水性によって、より容易な清浄化を可能にすることができる。通常、基材は、少なくとも80°の蒸留水との接触角と、少なくとも40°のヘキサデカンとの接触角を有する基材をもたらすのに充分な量の組成物により保護される。いくつかの実施形態では、保護された基材は、保護された基材を減磨又はスクラブにかけた後に、保護状態を保つことができる。
【0087】
表面を保護する方法は、組成物、特にポリマー及び水溶性有機溶媒を含む組成物を水と混合させて、水性混合物を提供する工程を含むことができる。組成物は、水を組成物に添加することにより、あるいは組成物を水に添加することにより水と混合することができる。いくつかの実施形態では、組成物を水と混合することは、組成物(いくつかの実施形態では水溶性有機溶媒を含む)を水で希釈することを含む。この方法のいくつかの実施形態では、組成物を提供する工程は、組成物を水と混合させることを含む。酸又は塩基などの添加物を水性混合物に添加することができる。
【0088】
いくつかの実施形態では、基材、特に基材の表面は、組成物と接触させる前に清浄化され得る。基材は、組成物と接触させる前に、例えば基材を水又は有機溶媒により洗浄することにより清浄化され得る。
【0089】
基材とポリマーを含む物品が提供される。このポリマーは、基材の表面の少なくとも一部と接触し、ペルフルオロ化エーテル基又はペルフルオロアルカンスルホンアミド基の少なくとも1つから選択される第1のペンダント基と、アンモニウム基を有し、ケイ素を有さない第2のペンダント基と、アンモニウム基及び反応性ケイ素含有基を有する第3のペンダント基と、を有する。いくつかの実施形態では、このポリマーは、非イオン性の非フッ素化基を有する第4のペンダント基を更に有する。いくつかの実施形態では、ポリマーはアミノ基を実質的に有さない。基材は、テキスタイル、ケイ酸塩、紙、金属、木材、及びプラスチックを含むことができる。いくつかの実施形態では、基材は、木綿、ビスコース、羊毛、絹、ポリエステル、ポリアミド、レイヨン、粘土、セラミック、ガラス、コンクリート、及びこれらの組み合わせであることができる。
【実施例】
【0090】
特に注記のない限り、全ての試薬及び溶媒は、Sigma−Aldrich Co.(St.Louis,MO)から入手可能である。
【0091】
本明細書で使用するとき、
「MeFBSEA」は、N−2−ヒドロキシエチル−N−メチルペルフルオロブタンスルホンアミドのアクリル酸エステルを指し、本質的に国際公開第01/30873号に記載されている通りに調製される。
【0092】
「DMAEMA」はN,N−ジメチルアミノエチルメタクリレートを指す。
【0093】
「DMAPA」は、N,N−ジメチルアミノプロピルアミンを指す。
【0094】
「HSPTES」は(3−メルカプトプロピル)トリエトキシシランを指す。
【0095】
「MAOPTES」は(3−メタクリルオキシプロピル)トリエトキシシランを指す。
【0096】
「AIBN」は2,2’−アゾビスイソブチロニトリルを指す。
【0097】
「HOAc」は酢酸を指す。
【0098】
「HFPOアクリレート」は、ペルフルオロポリエーテルアクリレートを指し、ほぼ1300の重量平均分子量を有するヘキサフルオロプロピレンオキシドのオリゴマーから誘導されるアルコールのアクリル酸エステルであって、米国特許第6,923,921号(Flynn他)に記載されている通りに調製される。
【0099】
(実施例1)
ポリマーの調製
機械的撹拌機、マントルヒーター、還流コンデンサー、及び温度計を取り付けた500mLの三口フラスコにDMAEMA(10.2g)とギ酸(3.1g)を投入した。その混合物を室温で窒素雰囲気下約15分撹拌した。撹拌混合物にMeFBSEA(49.3g)、HSPTES(4g)、MAOPTES(15g)、イソプロパノール(73g)、及びAIBN(0.1g)を添加した。3サイクルのフラスコの部分排気及び窒素ガスの再充填によりこの混合物を脱気した。混合物を窒素雰囲気下で撹拌し、ほぼ70℃まで加熱した。ほぼ6時間後、追加の0.05gのAIBNを添加した。混合物を約70℃で一晩撹拌し、続いて追加の0.05gAIBNを添加した。撹拌を更に約4時間続けた。混合物を室温まで冷却し、生成物を得た。
【0100】
(実施例2)
ポリマーの調製
機械的撹拌機、マントルヒーター、還流コンデンサー、及び温度計を取り付けた500mLの三口フラスコにDMAEMA(11.3g)と酢酸(4.4g)を投入した。その混合物を室温で窒素雰囲気下約15分撹拌した。撹拌混合物にMeFBSEA(49.3g)、HSPTES(4g)、MAOPTES(15g)、オクタデシルメタクリレート(6.8g)、イソプロパノール(73g)、及びAIBN(0.1g)を添加した。3サイクルのフラスコの部分排気及び窒素ガスの再充填によりこの混合物を脱気した。混合物を窒素雰囲気下で撹拌し、ほぼ70℃まで加熱した。ほぼ6時間後、追加の0.05gのAIBNを添加した。混合物を約70℃で一晩撹拌し、続いて追加の0.05gAIBNを添加した。撹拌を更に約4時間続けた。混合物を室温まで冷却し、生成物を得た。
【0101】
(実施例3)
ポリマーの調製
機械的撹拌機、マントルヒーター、還流コンデンサー、及び温度計を取り付けた500mLの三口フラスコにDMAEMA(10.1g)と酢酸(4g)を投入した。その混合物を室温で窒素雰囲気下約15分撹拌した。撹拌混合物にMeFBSEA(49.3g)、オクタンチオール(2.9g)、MAOPTES(15g)、イソプロパノール(73g)、及びAIBN(0.1g)を添加した。3サイクルのフラスコの部分排気及び窒素ガスの再充填によりこの混合物を脱気した。混合物を窒素雰囲気下で撹拌し、ほぼ70℃まで加熱した。ほぼ6時間後、追加の0.05gのAIBNを添加した。混合物を約70℃で一晩撹拌し、続いて追加の0.05gAIBNを添加した。撹拌を更に約4時間続けた。混合物を室温まで冷却し、生成物を得た。
【0102】
(実施例4)
ポリマーの調製
機械的撹拌機、マントルヒーター、還流コンデンサー、及び温度計を取り付けた500mLの三口フラスコにDMAEMA(10.7g)と酢酸(4.2g)を投入した。その混合物を室温で窒素雰囲気下約15分撹拌した。撹拌混合物にMeFBSEA(49.3g)、オクタデシルメルカプトプロピオネート(7.2g)、MAOPTES(15g)、イソプロパノール(73g)、及びAIBN(0.1g)を添加した。3サイクルのフラスコの部分排気及び窒素ガスの再充填によりこの混合物を脱気した。混合物を窒素雰囲気下で撹拌し、ほぼ70℃まで加熱した。ほぼ6時間後、追加の0.05gのAIBNを添加した。混合物を約70℃で一晩撹拌し、続いて追加の0.05g AIBNを添加した。撹拌を更に約4時間続けた。混合物を室温まで冷却し、生成物を得た。
【0103】
(実施例5)
ポリマーの調製
機械的撹拌機、マントルヒーター、還流コンデンサー、及び温度計を取り付けた500mLの三口フラスコにDMAEMA(8.6g)と酢酸(3.2g)を投入した。その混合物を室温で窒素雰囲気下約15分撹拌した。撹拌混合物にMeFBSEA(49.3g)、HSPTES(4g)、MAOPTES(7.5g)、イソプロパノール(73g)、及びAIBN(0.1g)を添加した。3サイクルのフラスコの部分排気及び窒素ガスの再充填によりこの混合物を脱気した。混合物を窒素雰囲気下で撹拌し、ほぼ70℃まで加熱した。ほぼ6時間後、追加の0.05gのAIBNを添加した。混合物を約70℃で一晩撹拌し、続いて追加の0.05g AIBNを添加した。撹拌を更に約4時間続けた。混合物を室温まで冷却し、生成物を得た。
【0104】
(実施例6〜19)
ポリマーの調製
本質的に実施例5に述べたような手順に従って、実施例6〜19のポリマー溶液を調製した。表1に組成を示す。
【0105】
【表1】

【0106】
(実施例20)
ポリマーの調製
機械的撹拌機、マントルヒーター、還流コンデンサー、及び温度計を取り付けた500mLの三口フラスコにDMAEMA(14.4g)と酢酸(5.6g)を投入した。その混合物を室温で窒素雰囲気下約15分撹拌した。撹拌混合物にHFPOアクリレート(70g)、HSPTES(1g)、MAOPTES(7.5g)、イソプロパノール(73g)、及びAIBN(0.1g)を添加した。3サイクルのフラスコの部分排気及び窒素ガスの再充填によりこの混合物を脱気した。混合物を窒素雰囲気下で撹拌し、ほぼ70℃まで加熱した。ほぼ6時間後、追加の0.05gのAIBNを添加した。混合物を約70℃で一晩撹拌し、続いて追加の0.05gのAIBNを添加した。撹拌を更に約4時間続けた。混合物を室温まで冷却し、生成物を得た。
【0107】
(実施例20〜36)
セラミックタイルの保護
実施例1〜11、13〜15、18〜20のそれぞれの生成物(各0.1g)を脱イオン水(98.9g)に撹拌しながら添加して、水性混合物を分散液又は溶液として得た。次に、37重量パーセント水溶液のHCl(1g)をそれぞれの混合物に添加して、スプレー水性混合物を得た。白色のうわぐすりをかけたセラミックタイル(Villeroy & Boch AG(Mettlach,Germany)から入手可能)をほぼ100℃まで加熱し、それぞれのタイルのうわぐすりをかけた側にそれぞれのスプレー水性混合物をスプレーした。スプレー速度は1分当りほぼ40mLのスプレー用水性混合物であった。それぞれのタイルをほぼ30秒間スプレーした。スプレーしたタイルをほぼ24時間乾燥させた。Erichsenクリーニング機(DCI(Belgium)から入手)及び商品名CIF CREAM(Unilever PLC(London,United Kingdom))で入手可能なクレンザーを用いて、それぞれのタイルのスプレーした領域の一部を40サイクルスクラブして、非スクラブ及びスクラブの部分を含むタイルを得た。モデルDSA100接触角測定システム(Kruss GmbH(Hamburg,Germany))を用いて、それぞれのタイルの非スクラブ部分及びスクラブ部分における水及びヘキサデカンのそれぞれの静的接触角を測定した。表3にデータを示す。
【0108】
【表2】

【0109】
実施例37〜38及び比較例1
テラコッタタイルの耐汚染性
3重量パーセントの水性混合物を分散液又は溶液として提供するために、実施例8〜13の生成物をそれぞれ脱イオン水で薄めた。それぞれの水性混合物を、ブラシを用いてテラコッタタイル(BARCELONAシリーズ、Ceramica Calaf,S.A.,Barcelona,Spain)に塗布した。タイルの1平方メートルにつきそれぞれのポリマーを約2グラム塗布した。そのタイルを室温で約24時間乾燥させた。続いて、各タイルに少量の、イソベタジン(殺菌剤)、赤ワイン、コーラ、コーヒー、及びオリーブオイルの試験材料を塗った。無処理のタイルも同様に処理した。続いて、それぞれのタイルを室温で約24時間放置した。次に、濡れた布を用いて、それぞれのタイルから試験材料を拭き取った。タイルに残った染みは、0(染み無し)〜5(はっきりとした染み)の範囲で、視覚的染み評定を用いて評価した。表4にデータを示す。表4において、「CE」は比較実施例を意味し、「N/A」は、ポリマーがタイルに塗布されなかったこと、すなわちタイルが無処理のタイルであることを意味する。
【0110】
【表3】

【0111】
本発明の範囲及び趣旨から逸脱しない本発明のさまざまな変更や改変は、当業者には明らかとなるであろう。本発明は、本明細書で述べる例示的な実施形態及び実施例によって不当に限定されることを意図するものではないこと、又こうした実施例及び実施形態は、本明細書において以下に記述する特許請求の範囲によってのみ限定されることを意図する本発明の範囲に関する例示のためにのみ提示されることを理解すべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)少なくとも1つのペルフルオロ化エーテル基又はペルフルオロアルカンスルホンアミド基から選択される、第1のペンダント基と、
b)アンモニウム基を有し、ケイ素を有さない第2のペンダント基と、
c)反応性ケイ素含有基を有し、アンモニウム基を有さない第3のペンダント基と、を有するポリマー。
【請求項2】
前記ポリマーがアミノ基を実質的に有さない、請求項1に記載のポリマー。
【請求項3】
前記ポリマーが(メタ)アクリレートポリマーを含む、請求項1又は請求項2に記載のポリマー。
【請求項4】
非イオン性の非フッ素化基を有する第4のペンダント基を更に有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリマー。
【請求項5】
前記ペルフルオロ化エーテル基が式IV
F(C2mO)2p
(IV)
(式中、mは1から12の整数であり、nは1から40の整数であり、並びにpは1から6の整数である)の構造を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載のポリマー。
【請求項6】
前記ペルフルオロ化エーテル基が式VI
F(CF(CF)CFO)CF(CF)−
(VI)
(式中、nは1から40の整数である)の構造を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載のポリマー。
【請求項7】
前記ペルフルオロ化エーテル基が300〜6000の重量平均分子量を有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載のポリマー。
【請求項8】
前記ペルフルオロアルカンスルホンアミド基が式V
2x+1SON(R)−
(V)
(式中、xは1から6の整数であり、Rは水素原子、アルキル基、アリール基、及びアラルキル基から選択される)の構造を有する、請求項1〜7のいずれか一項に記載のポリマー。
【請求項9】
xが1から4の整数であり、Rが1から8個の炭素原子を有するアルキル基である、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
前記第2のペンダント基が、式VII
【化1】

(VII)
(式中、Rはアルキレン基、ヘテロアルキレン基、アリーレン基、又はアラルキレン基の少なくとも1つを有し、各Rは、独立して、水素原子又はアルキル基である)の構造を含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記第3のペンダント基が式VIII
【化2】

(VIII)
(式中、Rは1から10個の炭素原子を有し、各Rは、独立して、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アシル基、アシロキシ基、ハロゲン基、エーテル基、又はポリエーテル基である)の構造を含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
前記ポリマーが30,000以下の重量平均分子量を有する、請求項1〜11のいずれか一項に記載のポリマー。
【請求項13】
a)式Iの構造を有する第1のモノマー、
【化3】

(I)
b)式IIの構造を有する第2のモノマー、
【化4】

(II)
c)式IIIの構造を有する第3のモノマー及び、
【化5】

(III)
d)酸又はケイ素を有さないアルキル化剤の少なくとも1つを含む四級化剤
(式中、Rは式IV、式V、及びそれらの組み合わせの構造から選択される)を含む反応物質から調製されるポリマーであって、
F(C2mO)2p
(IV)
2X+1SON(R)−
(V)
式中、
Aは11個未満の炭素原子を有する連結基であり、
mは1から12の整数であり、
nは1から40の整数であり、
pは1から6の整数であり、
xは1から6の整数であり、
は水素原子、アルキル基、アリール基、及びアラルキル基、並びにこれらの組み合わせから選択され、
、R、及びR11は、独立して、水素原子又は1個〜4個の炭素原子を有するアルキル基であり、
は、アルキレン基、ヘテロアルキレン基、アリーレン基、又はアラルキレン基の少なくとも1つを有し、
各Rは、独立して、水素原子又はアルキル基であり、
は1個〜10個の炭素原子を有し、
各Rは、独立して、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アシル基、アシロキシ基、ハロゲン基、エーテル基、及びポリエーテル基であり、
前記ポリマーがアミノ基を実質的に有さない、ポリマー。
【請求項14】
前記ポリマーがアミノ基を実質的に有さない、請求項13に記載のポリマー。
【請求項15】
式X
【化6】

(X)
(式中、Rは非イオン性の非フッ素化基であり、R10は水素原子又は1から4個の炭素原子を有するアルキル基である)の第4のモノマーを更に含む反応物質から調製される、請求項13又は請求項14に記載のポリマー。
【請求項16】
連鎖移動剤を更に含む反応物質から調製される、請求項13〜15のいずれかに記載のポリマー。
【請求項17】
前記連鎖移動剤が構造
Q−SR
(式中、Qはアルキル基、アリール基、アラルキル基、又は反応性ケイ素含有基の少なくとも1つを有し、Rは水素原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基、及びアシル基から選択される)を有する、請求項16に記載のポリマー。
【請求項18】
Qが式XI
−R13Si(R12
(XI)
(式中、R13はアルキレン基、アリーレン基、又はその両方を有し、各R12は、独立して、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アシル基、アシロキシ基、ハロゲン基、エーテル基、又はポリエーテル基である)の構造を含む、請求項17に記載のポリマー。
【請求項19】
a)
i)少なくとも1つのペルフルオロ化エーテル基又はペルフルオロアルカンスルホンアミド基から選択される、第1のペンダント基と、
ii)アンモニウム基を有し、ケイ素を有さない第2のペンダント基と、
iii)反応性ケイ素含有基を有し、アンモニウム基を有さない第3のペンダント基と、を含むポリマー、並びに、
b)少なくとも1つの水溶性有機溶媒又は水を含む、組成物。
【請求項20】
前記ポリマーが非イオン性の非フッ素化基を有する第4のペンダント基を更に有する、請求項19に記載の組成物。
【請求項21】
基材を保護する方法であって、前記方法が
a)
i)少なくとも1つのペルフルオロ化エーテル基又はペルフルオロアルカンスルホンアミド基から選択される、第1のペンダント基と、アンモニウム基を有し、ケイ素を有さない第2のペンダント基と、反応性ケイ素含有基を有し、アンモニウム基を有さない第3のペンダント基と、を含むポリマーと、
ii)少なくとも1つの水溶性有機溶媒又は水と、を含む、組成物を準備する工程と、
b)前記基材を前記組成物と接触させる工程と
を含む、方法。
【請求項22】
前記組成物が水溶性有機溶媒を更に含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記組成物が水を更に含む、請求項21又は請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記基材がセラミック、ガラス、テキスタイル、ケイ酸質材料、金属、メーソンリー、石材、又は木材を含む、請求項21〜23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
a)基材と、
b)
i)少なくとも1つのペルフルオロ化エーテル基又はペルフルオロアルカンスルホンアミド基から選択される、第1のペンダント基と、
ii)アンモニウム基を有し、ケイ素を有さない第2のペンダント基と、
iii)反応性ケイ素含有基を有し、アンモニウム基を有さない第3のペンダント基と、を含むポリマーと、
を含む物品。
【請求項26】
前記基材がセラミック、ガラス、テキスタイル、ケイ酸質材料、金属、メーソンリー、石材、又は木材を含む、請求項25に記載の物品。

【公表番号】特表2011−505487(P2011−505487A)
【公表日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−536997(P2010−536997)
【出願日】平成20年11月26日(2008.11.26)
【国際出願番号】PCT/US2008/084928
【国際公開番号】WO2009/073537
【国際公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】