説明

カッターの刃

【解決手段】折り溝を有する刃板1からなるカッターの刃において側面8と側面9との間の中心面Pに対し刃部10の尖端縁14の位置を側面8側へ片寄らせている。刃背縁から側面8を通って尖端縁14に入り込む複数の折り溝を並設している。
【効果】被切断物18に載せた定規19に側面8を当てがうと、尖端縁14と定規19との間の隙間Gを極力小さくすることができる。そのため、定規19を予め隙間Gだけ目分量でずらせて尖端縁14を被切断物18の切断所望位置に合わせる際に目分量による定規19のずらし量に誤差が生じにくくなり、尖端縁14を被切断物18の切断所望位置に合わせ易い。従って、刃板1により被切断物18を切断所望位置で切断し易くなって使い勝手を良くすることができる。また、折り溝で刃板1を折り易くしてより一層使い勝手を良くするとともに、折り溝で折った後の刃板1において刃頭縁を直線的で良好な形状にすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は折り溝を有する刃板からなるカッターの刃に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、図9(d)に示すように、複数の折り溝を有する刃板1からなるカッターの刃(例えば下記特許文献1を参照)においては、刃部10の尖端縁14が刃板1の両側面8,9間の中心面Pにある。各折り溝は刃背縁から両側面8,9を通って尖端縁14へ向けて延びている。
【特許文献1】特開2002−239267号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
被切断物18に定規19を載せた状態でその定規19に対し刃板1の側面8を当てがうと、刃部10の尖端縁14と定規19との間に隙間Gが生じる。そのため、定規19を予め隙間Gだけ目分量でずらせて尖端縁14を被切断物18の切断所望位置に合わせる。しかし、その隙間Gが大きくなり過ぎると、目分量による定規19のずらし量に誤差が生じ易くなり、尖端縁14を被切断物18の切断所望位置に合わせにくい。従って、刃板1により被切断物18を切断所望位置で切断しにくくなる。また、折り溝の端部が尖端縁14から離れ過ぎていると、刃板1が折りにくくなり、折り溝で折った後の刃板1において刃頭縁の形状が悪くなる。
【0004】
この発明は、折り溝を有する刃板からなるカッターの刃において、上記隙間を極力小さくすることにより刃板により被切断物を切断所望位置で切断し易くして使い勝手を良くすることを目的としている。また、折り溝で刃板を折り易くしてより一層使い勝手を良くするとともに、折り溝で折った後の刃板において刃頭縁を直線的で良好な形状にすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
後記実施形態の図面(図1〜2に示す第1実施形態、図3〜4に示す第2実施形態、図5〜6に示す第3実施形態、図7〜8に示す第4実施形態)の符号を援用して本発明を説明する。
【0006】
請求項1の発明にかかるカッターの刃は、第1〜3実施形態に対応し、下記のように構成されている。
厚みの薄い刃板1において長手方向Xの両側にある刃頭縁2及び刃尻縁3と幅方向Yの両側にある刃背縁4及び刃腹縁5とで囲まれる厚み方向Zの両側の刃板面6,7のうち、一方の第一刃板面6には刃背縁4から刃腹縁5側に延びる側面8を形成するとともに、他方の第二刃板面7には刃背縁4から刃腹縁5側に延びる側面9を形成し、第一刃板面6及び第二刃板面7の刃腹縁5側には尖端縁14を有する刃部10を第一刃板面6の側面8及び第二刃板面7の側面9と連続して形成している。第一刃板面6の側面8と第二刃板面7の側面9とが互いに平行に延び、第一刃板面6の側面8と第二刃板面7の側面9との間で厚み方向Zの中央部を通ってそれらの側面8,9に平行に延びる中心面Pに対し、前記刃部10の尖端縁14の位置を第一刃板面6の側面8側へ片寄らせている。第一刃板面6または第二刃板面7で、刃背縁4から側面8を通って刃部10に入り込む複数の折り溝15を長手方向Xへ互いに間隔をあけて並設している。
【0007】
請求項1の発明では、被切断物18に載せた定規19に対し第一刃板面6の側面8を当てがうと、刃部10の尖端縁14が定規19に近付き、その尖端縁14と定規19との間の隙間Gを極力小さくすることができる。そのため、定規19を予め隙間Gだけ目分量でずらせて尖端縁14を被切断物18の切断所望位置に合わせる際に、目分量による定規19のずらし量に誤差が生じにくくなり、尖端縁14を被切断物18の切断所望位置に合わせ易い。従って、刃板1により被切断物18を切断所望位置で切断し易くなって使い勝手を良くすることができる。しかも、尖端縁14の位置を厚み方向Zへ片寄らせた刃板1において折り溝15を並設したので、切れ味の低下に応じてその折り溝15で刃板1を折ることができ、より一層使い勝手を良くすることができる。
【0008】
請求項1の発明を前提とする請求項2の発明(第1〜3実施形態に対応)において、前記各折り溝15は、第一刃板面6と第二刃板面7とのうち前記刃部10の尖端縁14を片寄らせた側の第一刃板面6で並設されている。
【0009】
請求項2の発明を前提とする請求項3の発明(第1,3実施形態に対応)にかかる刃部10において、尖端縁14は第一刃板面6の側面8から刃付面(第1実施形態では11、第3実施形態では17,11)を介して連続するとともに第二刃板面7の側面9から刃付面12,13を介して連続し、第一刃板面6にある前記各折り溝15はこの刃付面(第1実施形態では11,第3実施形態では17)に入り込んでいる。
【0010】
請求項2〜3の発明では、折り溝15の深さUが浅い場合にも折り溝15の端部15aを尖端縁14に近付けることができる。従って、折り溝15で刃板1を折り易くなってより一層使い勝手を良くすることができる。
【0011】
請求項3の発明を前提とする請求項4の発明(第1,3実施形態に対応)にかかる刃部10においては、前記各折り溝15が入り込んだ刃付面11,17で、その刃付面11,17と側面8との間の境界端部8aにその各折り溝15が交差部16で交差し、その交差部16を通り且つ前記中心面Pに直交する基準面Qに対しその各折り溝15の端部15aがなす距離S15は、刃部10の尖端縁14がこの基準面Qに対しなす距離S14の20%以上に設定されている。
【0012】
請求項4の発明では、折り溝15の端部15aを尖端縁14に近付けるかまたは尖端縁14まで延ばすことができる。従って、折り溝15で刃板1を折り易くなってより一層使い勝手を良くすることができるとともに、折り溝15で折った後の刃板1において刃頭縁2を直線的で良好な形状にすることができる。
【0013】
請求項2の発明を前提とする請求項5の発明(第2実施形態に対応)にかかる刃部10において、尖端縁14は第一刃板面6の側面8から連続するとともに第二刃板面7の側面9から刃付面12,13を介して連続し、第一刃板面6にある前記各折り溝15はこの尖端縁14に入り込んでいる。
【0014】
請求項5の発明では、折り溝15の深さUが浅い場合にも折り溝15の端部15aを尖端縁14まで延ばすことができる。従って、折り溝15で刃板1を折り易くなってより一層使い勝手を良くすることができるとともに、折り溝15で折った後の刃板1において刃頭縁2を直線的で良好な形状にすることができる。
【0015】
請求項6の発明にかかるカッターの刃は、第1,3,4実施形態に対応し、下記のように構成されている。
厚みの薄い刃板1において長手方向Xの両側にある刃頭縁2及び刃尻縁3と幅方向Yの両側にある刃背縁4及び刃腹縁5とで囲まれる厚み方向Zの両側の刃板面6,7のうち、一方の第一刃板面6には刃背縁4から刃腹縁5側に延びる側面8を形成するとともに、他方の第二刃板面7には刃背縁4から刃腹縁5側に延びる側面9を形成し、第一刃板面6及び第二刃板面7の刃腹縁5側には尖端縁14を有する刃部10を第一刃板面6の側面8及び第二刃板面7の側面9と連続して形成している。前記刃部10で尖端縁14は第一刃板面6の側面8から刃付面(第1実施形態では11、第3,4実施形態では17,11)を介して連続するとともに第二刃板面7の側面9から刃付面12,13を介して連続し、第一刃板面6で刃背縁4から側面8を通って刃付面(第1実施形態では11,第3,4実施形態では17)に入り込む複数の折り溝15を長手方向Xへ互いに間隔をあけて並設している。前記各折り溝15が入り込んだ刃付面11,17において、その刃付面11,17と側面8との間の境界端部8aにその各折り溝15が交差部16で交差し、その交差部16を通り且つ側面8に直交する基準面Qに対しその各折り溝15の端部15aがなす距離S15は、刃部10の尖端縁14がこの基準面Qに対しなす距離S14の20%以上に設定されている。
【0016】
請求項6の発明では、折り溝15の端部15aを尖端縁14に近付けるかまたは尖端縁14まで延ばすことができる。従って、折り溝15で刃板1を折り易くなってより一層使い勝手を良くすることができるとともに、折り溝15で折った後の刃板1において刃頭縁2を直線的で良好な形状にすることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、折り溝15を有する刃板1からなるカッターの刃において、定規19に刃板1を当てがった際に刃部10の尖端縁14と定規19との間の隙間Gを極力小さくすることにより刃板1により被切断物18を切断所望位置で切断し易くして使い勝手を良くすることができる。また、折り溝15で刃板1を折り易くしてより一層使い勝手を良くするとともに、折り溝15で折った後の刃板1において刃頭縁2を直線的で良好な形状にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
まず、本発明の第1実施形態にかかるカッターの刃について図1〜2を参照して説明する。
図1(a)(b)に示すカッターの刃において、厚みの薄い刃板1で厚み方向Zの両側には、その厚み方向Zに対し直交する長手方向Xの両側にある刃頭縁2及び刃尻縁3と、その厚み方向Z及び長手方向Xに対し直交する幅方向Yの両側にある刃背縁4及び刃腹縁5とで囲まれる刃板面6,7を有している。この刃背縁4と刃腹縁5とは、長手方向Xに対し平行に延設されている。この刃頭縁2と刃尻縁3とは、互いに平行に形成され、刃背縁4側から刃腹縁5側に向かうに従い刃尻縁3側から刃頭縁2側へ延びるように長手方向Xに対し傾斜している。この両刃板面6,7のうち、一方の第一刃板面6には刃背縁4から刃腹縁5側に延びる側面8が形成されているとともに、他方の第二刃板面7には刃背縁4から刃腹縁5側に延びる側面9が形成され、第一刃板面6及び第二刃板面7の刃腹縁5側には刃部10が第一刃板面6の側面8及び第二刃板面7の側面9と連続して形成されている。この第一刃板面6の側面8と第二刃板面7の側面9とは厚み方向Zに対し直交して互いに平行に延び、この両側面8,9間で厚みT(例えば0.5mm)を有している。
【0019】
前記刃部10において第一刃板面6側では、図1(c)(d)に示すように、側面8の端部8aから刃付面11がその側面8に対し傾斜角度α11(例えばその端部8aからの幅方向Yの寸法W11が0.1mmの範囲で11°)をなすように延びている。前記刃部10において第二刃板面7側では、図1(c)(d)に示すように、側面9の端部9aから刃付面12がその側面9に対し傾斜角度α12(例えばその端部9aからの幅方向Yの寸法W12が1.66mmの範囲で15°)をなすように延びているとともに、この刃付面12の端部12aから刃付面13がその側面9に対し傾斜角度α13(例えばその端部12aからの幅方向Yの寸法W13が0.1mmの範囲で20°)をなすように延びている。この刃部10は、第一刃板面6の刃付面11と第二刃板面7の刃付面13とが刃縁角度θ14(例えば31°=傾斜角度α11+傾斜角度α13)で互いに交差する尖端縁14を有し、この尖端縁14は複数の切欠きで断続せずに直線的に連続して延設されている。この第一刃板面6の側面8と第二刃板面7の側面9との間で厚み方向Zの中央部を通ってそれらの側面8,9に平行に延びる中心面Pを想定した場合、この刃部10の尖端縁14の位置はその中心面Pに対し寸法L14(例えば0.23mm)だけ第一刃板面6の側面8側へ片寄っている。
【0020】
図1(a)に示すように、前記第一刃板面6においては、刃背縁4から側面8を通って刃部10に入り込む複数の折り溝15が、長手方向Xへ互いに間隔をあけて並設され、前記刃頭縁2及び刃尻縁3と平行に延設されている。図2(a)(b)(c)に示すように、この各折り溝15は、両斜面が直角に交差する深さUの断面V状をなし、刃付面11に尖端縁14まで入り込んでいる。そのため、刃付面11においては、刃付面11と側面8との間の境界である端部8aに各折り溝15が交差部16で交差し、その交差部16を通り且つ前記中心面Pに直交する基準面Qに対し各折り溝15の端部15aがなす距離S15は、尖端縁14がこの基準面Qに対しなす距離S14と同一になっている。
【0021】
次に、本発明の第2実施形態にかかるカッターの刃について第1実施形態との相違点を中心に図3〜4を参照して説明する。
第1実施形態では刃部10において尖端縁14が第一刃板面6の側面8から刃付面11を介して連続しているが、第2実施形態では図3(b)(c)(d)に示すようにその刃付面11が省略されて尖端縁14が第一刃板面6の側面8から直接連続している。第1実施形態では刃部10において尖端縁14が第二刃板面7の側面9から両刃付面12,13を介して連続しているが、第2実施形態では図3(b)(c)(d)に示すようにその刃付面13が省略されて尖端縁14が第二刃板面7の側面9からその刃付面12のみを介して連続している。この刃部10は、第一刃板面6の側面8と第二刃板面7の刃付面12とが刃縁角度θ14で互いに交差する尖端縁14を有している。
【0022】
第1実施形態では第一刃板面6において各折り溝15が刃背縁4から側面8を通って刃付面11に尖端縁14まで入り込んでいるが、第2実施形態では図4(a)(b)(c)に示すように各折り溝15が刃背縁4から側面8を通って尖端縁14に直接入り込んでいる。そのため、第1実施形態の基準面Qに該当するものがない。
【0023】
次に、本発明の第3実施形態にかかるカッターの刃について第1実施形態との相違点を中心に図5〜6を参照して説明する。
第1実施形態では刃部10において尖端縁14が第一刃板面6の側面8から刃付面11を介して連続しているが、第3実施形態では図5(b)(c)(d)に示すように側面8の端部8aから刃付面17がその側面8に対し傾斜角度α17をなすように延びているとともにこの刃付面17の端部17aから刃付面11が延びている。第一刃板面6の刃付面11と第二刃板面7の刃付面13とが互いに交差する尖端縁14の位置は、中心面Pに対し第一刃板面6の側面8側へ片寄っている。
【0024】
第1実施形態では第一刃板面6において各折り溝15が刃背縁4から側面8を通って刃付面11に尖端縁14まで入り込んでいるが、第3実施形態では図6(a)(b)(c)に示すように各折り溝15が刃背縁4から側面8を通って刃付面17に入り込んでいる。その際、刃付面17においては、刃付面17と側面8との間の境界である端部8aに各折り溝15が交差部16で交差し、その交差部16を通り且つ前記中心面Pに直交する基準面Qに対し各折り溝15の端部15aがなす距離S15は、尖端縁14がこの基準面Qに対しなす距離S14の20%以上好ましくは30%以上に設定されている。従って、図6(b)の想像線で示すように、各折り溝15の端部15aをその距離S14の20%の位置から尖端縁14の位置までの範囲で設定することが可能である。
【0025】
次に、本発明の第4実施形態にかかるカッターの刃について第3実施形態との相違点を中心に図7〜8を参照して説明する。
第3実施形態では刃部10において第一刃板面6の刃付面11と第二刃板面7の刃付面13とが互いに交差する尖端縁14の位置が中心面Pに対し第一刃板面6の側面8側へ片寄っているが、第4実施形態ではその尖端縁14の位置が中心面Pにある。すなわち、第一刃板面6と第二刃板面7とは中心面Pを中心に対称であり、第一刃板面6の刃付面17と第二刃板面7の刃付面12とがなす交差角度βは、例えば側面8,9の端部8a,9aからの幅方向Yの寸法W17,W12が1.16mmの範囲で22°をなし、また、第一刃板面6の刃付面11と第二刃板面7の刃付面13とがなす刃縁角度θ14は、例えば刃付面12,17の端部12a,17aからの幅方向Yの寸法W11,13が0.08mmの範囲で35°をなす。
【0026】
本実施形態は下記の効果を有する。
* 第1〜3実施形態では、刃板1の尖端縁14を厚み方向Zへ片寄らせたので、図9(a)(b)(c)に示すように、例えばこのカッターの刃を表具切りに利用する場合に、障子等の被切断物18に定規19を載せた状態で、その定規19に対し第一刃板面6の側面8を当てがうと、刃部10の尖端縁14が定規19に近付いてその尖端縁14と定規19との間の隙間Gを極力小さくすることができる。ところが、第4実施形態の図9(d)に示すように、その隙間Gがある程度大きくなると、定規19を予め隙間Gだけ目分量でずらせて尖端縁14を被切断物18の切断所望位置に合わせる際に、目分量による定規19のずらし量に誤差が生じ易くなり、尖端縁14を被切断物18の切断所望位置に合わせにくい。しかし、第1〜3実施形態の図9(a)(b)(c)に示すように、その隙間Gを極力小さくすれば、目分量による定規19のずらし量に誤差が生じにくくなり、尖端縁14を被切断物18の切断所望位置に合わせ易い。従って、刃板1により被切断物18を切断所望位置で切断し易くなって使い勝手を良くすることができる。
【0027】
* 第1〜3実施形態のように尖端縁14の位置を厚み方向Zへ片寄らせた刃板1において折り溝15を並設したので、切れ味の低下に応じてその折り溝15で刃板1を折ることができ、より一層使い勝手を良くすることができる。しかも、尖端縁14を片寄らせた側の第一刃板面6に折り溝15を並設したので、その折り溝15の深さUが浅い場合にも折り溝15の端部15aを尖端縁14に近付けるかまたは尖端縁14まで延ばすことができ、折り溝15で刃板1を折り易くなってより一層使い勝手を良くすることができるとともに、折り溝15で折った後の刃板1において刃頭縁2を直線的で良好な形状にすることができる。
【0028】
* 第1〜4実施形態では、折り溝15の端部15aを尖端縁14に近付けるかまたは尖端縁14まで延ばすことができるので、折り溝15で刃板1を折り易くなってより一層使い勝手を良くすることができるとともに、折り溝15で折った後の刃板1において刃頭縁2を直線的で良好な形状にすることができる。
【0029】
前記実施形態以外にも下記のように構成してもよい。
・ 前記第1〜4実施形態では、第一刃板面6に各折り溝15を並設したが、その第一刃板面6の各折り溝15の代わりに、または、その第一刃板面6の各折り溝15に加えて、第二刃板面7で刃背縁4から側面9を通って刃部10に入り込む複数の折り溝15を長手方向Xへ互いに間隔をあけて並設してもよい。
【0030】
・ 刃板1の強度を増したり刃板1の外観を良くしたりするために、前記各折り溝15をコーティング材により埋めてもよい。その際、例えば、刃板1の場所に応じてコーティング材の種類を変えることにより、一枚の刃板1内で強度差や外観差を持たせるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】(a)は第1実施形態にかかるカッターの刃を示す正面図であり、(b)は(a)のA−A線拡大断面図であり、(c)は(b)の部分拡大図であり、(d)は(c)の部分拡大図である。
【図2】(a)は図1(a)のB−B線拡大断面図であり、(b)は図1(a)の部分拡大正面図であり、(c)は(b)の部分拡大図である。
【図3】(a)は第2実施形態にかかるカッターの刃を示す正面図であり、(b)は(a)のC−C線拡大断面図であり、(c)は(b)の部分拡大図であり、(d)は(c)の部分拡大図である。
【図4】(a)は図3(a)のD−D線拡大断面図であり、(b)は図3(a)の部分拡大正面図であり、(c)は(b)の部分拡大図である。
【図5】(a)は第3実施形態にかかるカッターの刃を示す正面図であり、(b)は(a)のE−E線拡大断面図であり、(c)は(b)の部分拡大図であり、(d)は(c)の部分拡大図である。
【図6】(a)は図5(a)のF−F線拡大断面図であり、(b)は図5(a)の部分拡大正面図であり、(c)は(b)の部分拡大図である。
【図7】(a)は第4実施形態にかかるカッターの刃を示す正面図であり、(b)は(a)のG−G線拡大断面図であり、(c)は(b)の部分拡大図であり、(d)は(c)の部分拡大図である。
【図8】(a)は図7(a)のH−H線拡大断面図であり、(b)は図7(a)の部分拡大正面図であり、(c)は(b)の部分拡大図である。
【図9】(a)は第1実施形態にかかるカッターの刃の使用状態を示す部分拡大断面図であり、(b)は第2実施形態にかかるカッターの刃の使用状態を示す部分拡大断面図であり、(c)は第3実施形態にかかるカッターの刃の使用状態を示す部分拡大断面図であり、(d)は第4実施形態にかかるカッターの刃の使用状態を示す部分拡大断面図である。
【符号の説明】
【0032】
1…刃板、2…刃頭縁、3…刃尻縁、4…刃背縁、5…刃腹縁、6…第一刃板面、7…第二刃板面、8…第一刃板面の側面、8a…端部、9…第二刃板面の側面、10…刃部、11…第一刃板面の刃付面、12…第二刃板面の刃付面、13…第二刃板面の刃付面、14…刃部の尖端縁、15…折り溝、15a…端部、16…交差部、17…第一刃板面の刃付面、P…中心面、Q…基準面、X…長手方向、Y…幅方向、Z…厚み方向、S14,S15…距離。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚みの薄い刃板において長手方向両側にある刃頭縁及び刃尻縁と幅方向両側にある刃背縁及び刃腹縁とで囲まれる厚み方向両側の刃板面のうち、一方の第一刃板面には刃背縁から刃腹縁側に延びる側面を形成するとともに、他方の第二刃板面には刃背縁から刃腹縁側に延びる側面を形成し、第一刃板面及び第二刃板面の刃腹縁側には尖端縁を有する刃部を第一刃板面の側面及び第二刃板面の側面と連続して形成したカッターの刃において、
第一刃板面の側面と第二刃板面の側面とが互いに平行に延び、第一刃板面の側面と第二刃板面の側面との間で厚み方向中央部を通ってそれらの側面に平行に延びる中心面に対し、前記刃部の尖端縁の位置を第一刃板面の側面側へ片寄らせ、
第一刃板面または第二刃板面で、刃背縁から側面を通って刃部に入り込む複数の折り溝を長手方向へ互いに間隔をあけて並設した
ことを特徴とするカッターの刃。
【請求項2】
前記各折り溝は、第一刃板面と第二刃板面とのうち前記刃部の尖端縁を片寄らせた側の第一刃板面で並設されていることを特徴とする請求項1に記載のカッターの刃。
【請求項3】
前記刃部において尖端縁は第一刃板面の側面から刃付面を介して連続するとともに第二刃板面の側面から刃付面を介して連続し、第一刃板面にある前記各折り溝はこの刃付面に入り込んでいることを特徴とする請求項2に記載のカッターの刃。
【請求項4】
前記各折り溝が入り込んだ刃付面において、その刃付面と側面との間の境界端部にその各折り溝が交差部で交差し、その交差部を通り且つ前記中心面に直交する基準面に対しその各折り溝の端部がなす距離は、刃部の尖端縁がこの基準面に対しなす距離の20%以上に設定されていることを特徴とする請求項3に記載のカッターの刃。
【請求項5】
前記刃部において尖端縁は第一刃板面の側面から連続するとともに第二刃板面の側面から刃付面を介して連続し、第一刃板面にある前記各折り溝はこの尖端縁に入り込んでいることを特徴とする請求項2に記載のカッターの刃。
【請求項6】
厚みの薄い刃板において長手方向両側にある刃頭縁及び刃尻縁と幅方向両側にある刃背縁及び刃腹縁とで囲まれる厚み方向両側の刃板面のうち、一方の第一刃板面には刃背縁から刃腹縁側に延びる側面を形成するとともに、他方の第二刃板面には刃背縁から刃腹縁側に延びる側面を形成し、第一刃板面及び第二刃板面の刃腹縁側には尖端縁を有する刃部を第一刃板面の側面及び第二刃板面の側面と連続して形成したカッターの刃において、
前記刃部で尖端縁は第一刃板面の側面から刃付面を介して連続するとともに第二刃板面の側面から刃付面を介して連続し、第一刃板面で刃背縁から側面を通って刃付面に入り込む複数の折り溝を長手方向へ互いに間隔をあけて並設し、
前記各折り溝が入り込んだ刃付面において、その刃付面と側面との間の境界端部にその各折り溝が交差部で交差し、その交差部を通り且つ側面に直交する基準面に対しその各折り溝の端部がなす距離は、刃部の尖端縁がこの基準面に対しなす距離の20%以上に設定されている
ことを特徴とするカッターの刃。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2008−183094(P2008−183094A)
【公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−17660(P2007−17660)
【出願日】平成19年1月29日(2007.1.29)
【出願人】(000001454)株式会社貝印刃物開発センター (123)
【Fターム(参考)】