説明

カットポリマー自動供給装置

【課題】短冊状にカットされたカットポリマーを、作業者の手作業によらず、粉砕機に自動で安定的に定量供給できるカットポリマー自動供給装置を提供する。
【解決手段】短冊状カットポリマーを粉砕機に供給するカットポリマー自動供給装置であって、カットポリマーが投入されるホッパー11と、ホッパー内に投入されているカットポリマーを攪拌する攪拌手段3と、噛み込み刃を有する複数の駆動ロール14を水平に併設し噛み込み刃が噛み合ってカットポリマーをホッパーから粉砕機に送り出す噛み込み送り出し手段4とを備えており、攪拌手段3はホッパー11の排出口の上方に配置されたアームをホッパー内において駆動手段16により上下に揺動させるように構成され、噛み込み刃は駆動ロール14のロール軸を中心として放射状に突出した長刃および短刃から構成され、長刃および短刃がロール軸の周方向に交互に配置されているカットポリマー自動供給装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カットポリマーを粉砕機に安定的に自動供給するためのカットポリマー自動供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリエチレンなど熱可塑性のポリマーを粉砕機に供給して、粉砕加工することが従来より行われている(例えば特許文献1)。
【0003】
このような粉砕加工は、従来より樹脂シートを再生させるための前処理のために行われ、例えば、図5に示すように、短冊状にカットされたポリマー(カットポリマー)を粉砕機に定量供給することにより行われていた。
【0004】
図5は従来のカットポリマーの供給装置を模式的に示す正面図である。図5において、50は例えば、長さ100〜250m、幅50〜250mmのポリマーシートAが巻かれたリール(リール径200mm)、51は複数のリール50が配置されるリール配置部である。そして、52は支持体であり、支持体52にはポリマーシートAを束ねる枠体53が設けられている。
【0005】
短冊状にカットされたカットポリマーPは、リール配置部51から枠体53に巻き出された複数のポリマーシートAの間に投入されて、挟み込まれ、枠体53においてポリマーシートAと共に束ねられた後、ガイド部17を経由して粉砕機2に送られ、粉砕される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−232631号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、前記したカットポリマーの投入は、作業者が手作業で行っていたため、例えば、4800回/日(作業時間6.0h/日)程度の手作業による投入が必要となり、作業者にとって肉体的、精神的な負担が大きいという問題があった。
【0008】
本発明は、上記の問題に鑑み、短冊状にカットされたカットポリマーを、作業者の手作業によらず、粉砕機に自動で安定的に定量供給することができるカットポリマー自動供給装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の発明は、
短冊状にせん断されたカットポリマーを粉砕機に供給するカットポリマー自動供給装置であって、
前記カットポリマーが投入されるホッパーと、
前記ホッパー内に投入されている前記カットポリマーを攪拌する攪拌手段と、
噛み込み刃を有する複数の駆動ロールを水平に併設し、前記噛み込み刃が噛み合って前記カットポリマーを前記ホッパーから前記粉砕機に送り出す噛み込み送り出し手段と
を備えており、
前記攪拌手段は、前記ホッパーの排出口の上方に配置されたアームを、前記ホッパー内において駆動手段により上下に揺動させるように構成されており、
前記噛み込み刃は、前記駆動ロールのロール軸を中心として放射状に突出した長刃および短刃から構成され、前記長刃および前記短刃が前記ロール軸の周方向に交互に配置されている
ことを特徴とするカットポリマー自動供給装置である。
【0010】
請求項2に記載の発明は、
前記駆動ロールが間欠的に回転駆動されるように制御する制御手段を備えていることを特徴とする請求項1に記載のカットポリマー自動供給装置である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、短冊状にカットされたカットポリマーを、作業者の手作業によらず、粉砕機に自動で安定的に定量供給することができるカットポリマー自動供給装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態のカットポリマー自動供給装置を模式的に示す縦断面図である。
【図2】(a)は本発明の実施の形態のカットポリマー自動供給装置を模式的に示す平面図であり、(b)はカットポリマー自動供給装置の攪拌手段のアームを示す斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態のカットポリマー自動供給装置の攪拌手段の動作を説明する図である。
【図4】本発明の実施の形態のカットポリマー自動供給装置の噛み込み動作を説明する図である。
【図5】従来のカットポリマー供給装置を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施の形態に基づき、図面を用いて説明する。
【0014】
1.カットポリマー自動供給装置の構成
図1は、本発明の実施の形態のカットポリマー自動供給装置を模式的に示す縦断面図である。図1に示すように、カットポリマー自動供給装置1は、カットポリマーが投入されるホッパー11と、ホッパー11内に投入されたカットポリマーを攪拌するアーム15を備えた攪拌手段3と、ホッパー11内で攪拌されたカットポリマーを駆動ロール14に設けられた噛み込み刃に噛み込ませながら下方に送り出す噛み込み送り出し手段4と、送り出されたカットポリマーを粉砕機2に供給するガイド部17と、これら攪拌手段3、噛み込み送り出し手段4およびガイド部17を制御する制御手段とを備えている。
【0015】
カットポリマーは、例えば、低密度ポリエチレン(LD−PE)を押出成形機で厚さ0.26〜0.28mmのシート状に成形してエンボス加工を施した後、長さ600〜1300mm、幅20mm程度の短冊状にせん断されたものが使用される。
【0016】
図2(a)は、本発明の実施の形態のカットポリマー自動供給装置を模式的に示す平面図であり、(b)はカットポリマー自動供給装置の攪拌手段のアームを示す斜視図である。図2(a)に示すように、攪拌手段3は、ホッパー11の排出口11aの上方に配置され、横方向に複数の丸棒状のアーム15を列設して形成された攪拌体15Aと、ホッパー内において攪拌体15Aを上下に揺動させる駆動手段5とを備えている。駆動手段5は、ホッパー11にヒンジ連結されたアーム支持体6と、アーム支持体6を上下に揺動させるシリンダー16とで構成されている(図1参照)。
【0017】
2.カットポリマー自動供給装置の動作
図3は本発明の実施の形態のカットポリマー自動供給装置の攪拌手段の動作を説明する図である。また、図4は本発明の実施の形態のカットポリマー自動供給装置の噛み込み動作を説明する図である。
【0018】
図3に示すように、アーム15の揺動角度θはアーム15が上方に揺動したときに上方に移動し過ぎないように設定されている。アーム15を上方に揺動し過ぎた場合、下記の駆動ロール14に噛み込まれたカットポリマーを巻き上げてアーム15が破損する恐れがある。揺動角度θは例えば、30°程度に設定され、そのためシリンダー16の伸縮の長さは例えば25〜30cmに設定される。
【0019】
この揺動時、アーム15にカットポリマーが巻きつくことがあるが、アーム15の強度を上げる、もしくは、アーム15とカットポリマーとの間の摩擦を低減させることにより、回避することができる。
【0020】
噛み込み送り出し手段4は、ホッパー11の排出口11aに接続される角筒状のハウジング13と、ハウジング13に収容され、水平に併設された一対の駆動ロール14と、一対の駆動ロール14を回転駆動させる図外のモーターとを備えている。
【0021】
図4に示すように、駆動ロール14は、駆動ロール本体14aと、駆動ロール本体14aのロール軸から放射状に突出された噛み込み刃14bとを備えている。噛み込み刃14bは、長刃14cと短刃14dとで構成され、長刃14cおよび短刃14dは駆動ロール本体14aの周方向に交互に配置されている。具体的には、駆動ロール本体14aに3枚の長刃14cおよび3枚の短刃14dが交互に、かつロール軸の周方向に等間隔(60°間隔)に配置されている。
【0022】
このように長刃14cと短刃14dとを交互に配置した場合、カットポリマーの噛み込み量が向上する。即ち、長刃14cのみを配置した場合、アームに短冊状のカットポリマーが引っ掛かり易くなるのに対して、短刃14dを配置することにより前記カットポリマーの引っ掛かりを解消することができる。
【0023】
一対の駆動ロール14は、駆動ロール本体14a間において噛み込み刃14bの長刃14cと短刃14dとが交互に噛み合いながら上方から下方に向かって移動するように回転する。したがって、アーム15の揺動により攪拌されたカットポリマーは、駆動ロール14の間で噛み込まれてガイド部17に送り出された後、粉砕機2に供給される。なお、刃の先端は尖っていないため、カットポリマーを切断することがない。
【0024】
制御手段は、図外のタイマーにより駆動ロール14を間欠的に回転駆動させて粉砕機2への単位時間当たりのカットポリマーの供給量を調整して粉砕機2への供給タイミングを自動設定化している。これにより粉砕機2にカットポリマーが過剰に供給されて粉砕機2につまることを防止することができる。
【0025】
また、ホッパー11の排出口11aとハウジング13との境界部分には、図3に示すように、枠状プレート12が設けられている。そして、枠状プレート12の内周側はホッパー11の傾斜角度よりも緩やかな傾斜角度θで下方に傾斜している。これにより、一対の駆動ロール14間に噛み込まれるカットポリマーの量を調整できるため、カットポリマーを一対の駆動ロール14間にスムーズに噛み込ませ、粉砕機に送り出すことができる。
【0026】
ホッパー11およびハウジング13のサイズは、供給量などを考慮して適宜適切なサイズに設定される。一例を挙げると、ホッパー11の上端のサイズは1150mm□、深さ450mm、下端の開口サイズ450mm□であり、ハウジング13の高さは400mmである。このとき、アーム15は、長さ350mm、半径100mmの丸棒5本を間隔110mmに並べて形成される。また、駆動ロール14の駆動ロール本体14aの半径は44mm、駆動ロール本体14aの間隔は160mm、長刃14bと短刃14cの長さはそれぞれ45mm、25mmに設定される。また、枠状プレート12の開口(噛み込み口)の大きさは、300mm□とホッパー11の下端の開口サイズより小さい。また、傾斜角度θは10〜15°に設定される。
【0027】
3.本実施の形態の効果
(1)ホッパー11内にアーム15を揺動させる撹拌手段3を備えているため、カットポリマーがアーム15によって攪拌される。このため、ホッパー11内に投入されたカットポリマーがからまってダマになることを防止することができ、ホッパー11の排出口11aにおけるカットポリマーのつまりを防止できる。そして、この攪拌手段はアーム15を揺動させるだけの簡単な構造であるため、設備費の負担が大きくならない。
【0028】
(2)ホッパー11の排出口11aの直下に、一対の駆動ロール14の長刃14cと短刃14dとが交互に噛み合いながら、カットポリマーを噛み込み、送り出す噛み込み送り出し手段4を備えているため、カットポリマーを噛み込ませながら、ホッパー11の排出口11aをスムーズに通過させて、粉砕機2まで供給することができる。
【0029】
(3)この結果、カットポリマーを粉砕機2に自動で定量供給することができ、作業者の負担を軽減することができる。
【0030】
(4)制御手段は、駆動ロール14を間欠的に回転駆動させるように制御するため、粉砕機2への単位時間当たりのカットポリマーの供給量を調整して粉砕機2への供給タイミングを自動設定化でき、粉砕機2にカットポリマーが過剰に供給されて粉砕機2がつまることを防止することができる。
【0031】
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではない。本発明と同一および均等の範囲内において、上記の実施の形態に対して種々の変更を加えることができる。
【符号の説明】
【0032】
1 カットポリマー自動供給装置
2 粉砕機
3 攪拌手段
4 噛み込み送り出し手段
5 駆動手段
6 アーム支持体
11 ホッパー
11a ホッパーの排出口
12 枠状プレート
13 ハウジング
14 駆動ロール
14a 駆動ロール本体
14b 噛み込み刃
14c 長刃
14d 短刃
15 アーム
15A 攪拌体
16 シリンダー
17 ガイド部
50 リール
51 リール配置部
52 支持体
53 枠体
P 帯状カットポリマー
θ 揺動角度
θ 傾斜角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
短冊状にせん断されたカットポリマーを粉砕機に供給するカットポリマー自動供給装置であって、
前記カットポリマーが投入されるホッパーと、
前記ホッパー内に投入されている前記カットポリマーを攪拌する攪拌手段と、
噛み込み刃を有する複数の駆動ロールを水平に併設し、前記噛み込み刃が噛み合って前記カットポリマーを前記ホッパーから前記粉砕機に送り出す噛み込み送り出し手段と
を備えており、
前記攪拌手段は、前記ホッパーの排出口の上方に配置されたアームを、前記ホッパー内において駆動手段により上下に揺動させるように構成されており、
前記噛み込み刃は、前記駆動ロールのロール軸を中心として放射状に突出した長刃および短刃から構成され、前記長刃および前記短刃が前記ロール軸の周方向に交互に配置されている
ことを特徴とするカットポリマー自動供給装置。
【請求項2】
前記駆動ロールが間欠的に回転駆動されるように制御する制御手段を備えていることを特徴とする請求項1に記載のカットポリマー自動供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−107251(P2013−107251A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−253154(P2011−253154)
【出願日】平成23年11月18日(2011.11.18)
【出願人】(000183233)住友ゴム工業株式会社 (3,458)
【Fターム(参考)】