説明

カット食品パックの製造方法及びカット食品パック

【課題】風味や食感に優れると共に、保存用の添加物を一切使用せずに長期保存が可能で、料理用食材として簡便に使用できるカット食品パックを得ることができるカット食品パックの製造方法及びカット食品パックを提供する。
【解決手段】カット食品パックの製造方法は、青果物を水で洗浄する洗浄工程10と、洗浄した青果物の水切りを行う水切り工程20と、水切りした青果物の脱水を行う脱水工程30と、脱水した青果物を所定の形状に切断する切断工程40と、切断したカット青果物を乾燥する乾燥工程50と、乾燥したカット青果物を袋に収納する収納工程60と、カット青果物を収納した袋を真空包装する真空包装工程70と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、詳しくは風味や食感に優れると共に、料理用食材として簡便に使用できるカット食品パックを得ることができるカット食品パックの製造方法及びカット食品パックに関する。
【背景技術】
【0002】
青果物として、食用の野菜、果物、山菜、キノコなどがあり、料理の具材としての野菜は、従来は生のまま、あるいはフィルムなどで包装されて販売されている。また、果物も同様に従来は生のまま、あるいはフィルムなどで包装されて販売されている。このように、野菜や果物は生のまま、あるいはフィルムなどで包装された状態で販売されると、新鮮度が数時間で低下し、鮮度が低下した野菜や果物は安売りや廃棄処分にしている。
【0003】
例えば、野菜サラダ等のカット野菜をポリエチレンフィルムや塩化ビニルフィルム等からなる袋に充填したカット野菜パックが流通されているが、このようなカット野菜パックは、野菜を洗浄し、所望の形状にカットした後、小分け袋に充填、包装することにより製造される(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−305919号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このカット野菜パックでは、野菜は収穫後も酸素を吸収して炭酸ガスを排出する呼吸活動が行われるが、特にカットされることにより大きな損傷を受けた野菜は、一時的に呼吸量が増大し、その後徐々に減少するため、従来からカット野菜パックの製造過程では、呼吸活動による鮮度低下を防ぐ目的でカット後の野菜を冷却することが行われているが、鮮度の低下は避けられなかった。
【0006】
この発明は、かかる実情に鑑みなされたもので、風味や食感に優れると共に、保存用の添加物を一切使用せずに長期保存が可能で、料理用食材として簡便に使用できるカット食品パックを得ることができるカット食品パックの製造方法及びカット食品パックを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決し、かつ目的を達成するために、この発明は、以下のように構成した。
【0008】
請求項1に記載の発明は、青果物を水で洗浄する洗浄工程と、前記洗浄した青果物の水切りを行う水切り工程と、前記水切りした青果物の脱水を行う脱水工程と、前記脱水した青果物を所定の形状に切断する切断工程と、前記切断したカット青果物を乾燥する乾燥工程と、前記乾燥したカット青果物を袋に収納する収納工程と、前記カット青果物を収納した袋を真空包装する真空包装工程と、を有することを特徴とするカット食品パックの製造方法である。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1のカット食品パックの製造方法を用いて製造されたことを特徴とするカット食品パックである。
【発明の効果】
【0010】
前記構成により、この発明は、以下のような効果を有する。
【0011】
請求項1に記載の発明では、青果物を水で洗浄し、水切りを行い、さらに脱水を行い、所定の形状に切断し、切断したカット青果物を乾燥し、袋に収納して真空包装し、簡単に乾燥したカット食品パックを製造することができる。
【0012】
請求項2に記載の発明では、請求項1のカット食品パックの製造方法を用いて製造されカット食品パックは、カット青果物が風味や食感に優れると共に、保存用の添加物を一切使用せずに長期保存が可能で、料理用食材として簡便に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】カット食品パックの製造方法カットを示す工程図である。
【図2】カット食品パックを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、この発明のカット食品パックの製造方法及びカット食品パックの実施の形態について説明する。この発明の実施の形態は、発明の最も好ましい形態を示すものであり、この発明はこれに限定されない。
【0015】
この実施の形態のカット食品パックの製造方法を、図1に基づいて説明する。この実施の形態では、洗浄工程10、水切り工程20、脱水工程30、切断工程40、乾燥工程50、収納工程60、真空包装工程70を備え、カット食品パック100の製造方法である。
【0016】
洗浄工程10は、青果物を水で洗浄する工程であり、青果物としては、食用の野菜、果物、山菜、キノコなどがあり、特に限定されない。洗浄は、例えば、水流コンベアーにより旋回流洗浄槽に搬送投入し、この旋回流洗浄槽で洗浄して泥、汚れ、害虫等を除去する。
【0017】
水切り工程20は、洗浄した青果物の水切りを行う工程であり、例えば、ネットコンベアーからなる水切りコンベアーで旋回流洗浄槽から青果物を回収すると共に、水切りする。
【0018】
脱水工程30は、水切りした青果物の脱水を行う工程であり、例えば、水切りした青果物は、ネットコンベアー上で軽く水切りされた後、ベルトコンベアーで遠心脱水機に投入され、この遠心脱水機で脱水した青果物を樹脂バケットに収容する。
【0019】
切断工程40は、脱水した青果物を所定の形状に切断する工程であり、例えば、青果物が大根である場合には、大根を作業台に搬送し、この作業台で大根の葉を切断して除き、この大根をベルトコンベアーで回転刃自動スライス機等のスライサーに供給し、輪切り、千切り等所望の形状、大きさにカットする。例えば、青果物がりんごである場合にも同様に、りんごをベルトコンベアーで回転刃自動スライス機等のスライサーに供給し、輪切り、千切り等所望の形状、大きさにカットする。
【0020】
乾燥工程50は、切断したカット青果物を乾燥する工程であり、例えば、カット青果物を樹脂バケットに収容してローラコンベアーにより真空冷却槽を通過させることにより真空冷却乾燥した後、カット青果物をバケットコンベアーに移し、コンピュータスケールに搬送する。
【0021】
収納工程60は、乾燥したカット青果物を袋に収納する工程であり、例えば、コンピュータスケールで乾燥したカット青果物を所望の重量に自動秤量し、これを充填機で袋に充填する。
【0022】
真空包装工程70は、カット青果物を収納した袋を真空包装する工程であり、例えば、カット青果物を収納した袋を真空包装機により真空包装する。
【0023】
このように包装されたカット青果物は、ベルトコンベアーで低温室から搬出し、ウエイトチェッカーで重量検査し、金属探知機で金属の混入を検査し、真空漏れをチェックし、製函,封函し、製品庫に冷蔵保存した後、市場に出荷する。
【0024】
このように、青果物を水で洗浄し、水切りを行い、さらに脱水を行い、所定の形状に切断し、切断したカット青果物を乾燥し、袋に収納して真空包装し、簡単に乾燥したカット食品を製造することができる。
【0025】
このカット食品パックは、図2に示すように、透明の袋1に乾燥したカット青果物2を真空包装したものであり、カット青果物2は風味や食感に優れると共に、保存用の添加物を一切使用せずに長期保存が可能で、料理用食材として簡便に使用できる。例えば、カット青果物2が大根である場合には、水に戻してサラダなどに使用することができ、また煮物に使用することができる。また、カット青果物2がりんごである場合には、乾燥した状態で食べることができ、また水に戻すと生のチップ状のりんごのように食べることができる。
【産業上の利用可能性】
【0026】
この発明は、風味や食感に優れると共に、保存用の添加物を一切使用せずに長期保存が可能で、料理用食材として簡便に使用できるカット食品パックを得ることができる。
【符号の説明】
【0027】
1 透明の袋
2 カット青果物
10 洗浄工程
20 水切り工程
30 脱水工程
40 切断工程
50 乾燥工程
60 収納工程
70 真空包装工程
100 カット食品パック





【特許請求の範囲】
【請求項1】
青果物を水で洗浄する洗浄工程と、
前記洗浄した青果物の水切りを行う水切り工程と、
前記水切りした青果物の脱水を行う脱水工程と、
前記脱水した青果物を所定の形状に切断する切断工程と、
前記切断したカット青果物を乾燥する乾燥工程と、
前記乾燥したカット青果物を袋に収納する収納工程と、
前記カット青果物を収納した袋を真空包装する真空包装工程と、
を有することを特徴とするカット食品パックの製造方法。
【請求項2】
請求項1のカット食品パックの製造方法を用いて製造されたことを特徴とするカット食品パック。




【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−152183(P2012−152183A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−16253(P2011−16253)
【出願日】平成23年1月28日(2011.1.28)
【出願人】(506099982)シュウ インコーポレーション (6)
【Fターム(参考)】