説明

カッパ−2カラギーナンを含む均一かつ熱可逆性ゲルフィルムの伝達システム

【課題】カッパ-2カラギーナンを使用して種々の活性物質を含みそして伝達するのに使用できるゲルフィルムを含む伝達システムの提供。
【解決手段】ゲルフィルムが、(1)フィルム形成量例えばゲルフィルムの乾燥重量の少なくとも0.5%の量のカッパ-2カラギーナンおよび所望により可塑剤、第二のフィルム形成剤、かさ高剤、およびpHコントロール剤の少なくとも1つ、並びに(2)活性物質例えば口腔ケア剤、口臭防止剤、抗菌剤、清涼剤、医薬、機能性食品、唾液促進剤、化粧品成分、農薬、ビタミン、ミネラル、着色剤、甘味剤、フラボラント、香料または食品の少なくとも1つを含む、均一な熱可逆性ゲルフィルムからなる伝達システムおよびその製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、均一かつ熱可逆性ゲルフィルムからなる伝達システムに関し、そのゲルフィルムは、(1)フィルム形成量のカッパ-2カラギーナンおよび所望により可塑剤、第二のフィルム形成剤、かさ高剤、およびpHコントロール剤の少なくとも1つ、並びに(2)活性物質を含む。本発明は、またその製造方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
例えば口臭および清浄ストリップ(strip)の口腔ケア活性物のための伝達システムの使用は、最近増加してきている。
【0003】
例えば、特許文献1は、少なくとも1つのフィルム形成剤、少なくとも1つのかさ高充填剤、少なくとも1つの可塑剤を含むプルーランの自由に食べることのできるフィルム組成物の使用を開示している。これらのフィルムは、医薬のような多数の物質を含み、そして口腔ケアにおける多数の応用例えば口臭防止(breath freshening)ストリップに使用できる。
【0004】
フィルム形成剤は、セルロースエーテル(メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、およびこれらの誘導体を含むと述べられている);変性澱粉(酸および酵素により加水分解されたトウモロコシおよび馬鈴薯澱粉を含むと述べられている);天然ガム(アラビアガム、グアガム、ローカストビーンガム、カラギーナンガム、アカシア、カラヤ、ガッティ(ghatti)、トラガントガム、タマリンドガム、キサンタンガム、およびこれらの誘導体を含むと述べられている);可食性ポリマー(微結晶セルロース、セルロースエーテル、キサンタンおよびこれらの誘導体を含むと述べられている);ヒドロコロイド粉末(グアガム、ローカストガム、微結晶セルロース、タラおよびこれらの誘導体を含むと述べられている);海草抽出物(アルギネート、カラギーナンおよびこれらの誘導体を含むと述べられている);並びに陸上植物抽出物(コンニャク、ペクチン、アラビノガラクタンおよびこれらの誘導体を含むと述べられている)の任意のものであると広く記述されている。しかし、カラギーナンに基づくゲルフィルムを製造するのに生ずる何らかの問題そしてこれらの問題を克服するやり方について述べられておらず、さらにカラギーナンが、タイプ、組成および性質において異なっていること、または特にカッパ-2カラギーナンの使用についても何も述べられていない。
【0005】
特許文献2は、口腔へ口臭防止剤、抗菌剤および唾液誘導剤を伝達するのに使用される早く溶けて口腔内でなくなるフィルムを開示している。この発明のフィルムを製造するのに使用されるフィルム形成剤は、プルーラン、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ナトリウムアルギネート、ポリエチレングリコール、キサンタンガム、トラガントガム、グアガム、アカシアガム、アラビアガム、ポリアクリル酸、メチルメタアクリレートコポリマー、カルボキシビニルポリマー、アミロース、高アミロース澱粉、ヒドロキシプロピル化高アミロース澱粉、デキストリン、ペクチン、キチン、キトサン、レバン、エルシナン、コラーゲン、ゼラチン、ゼイン、グルテン、大豆蛋白単離物、カゼインおよびこれらの混合物から選択されるといわれる。これらのフィルムは、口腔ケアの目的で販売されているフィルムにおいて必須の油の相互作用および比較的高い油含量を維持する問題を克服するといわれる。しかし、カラギーナンについて述べられておらず、また特にカッパ-2カラギーナンの使用について述べられていない。
【特許文献1】WO 02/43657
【特許文献2】WO 00/18365
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、一般に、種々の活性物質を含みそして伝達するのに使用できるゲルフィルムを含む伝達システムに関する。特に、本発明は、カッパ-2カラギーナンを使用して種々の活性物質を含みそして伝達するのに使用できるゲルフィルムを含む伝達システムに関する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第一の態様として、本発明は、ゲルフィルムが、(1)フィルム形成量のカッパ-2カラギーナンおよび所望により可塑剤、第二のフィルム形成剤、かさ高剤、およびpHコントロール剤の少なくとも1つ、並びに(2)活性物質を含む、均一な熱可逆性ゲルフィルムからなる伝達システムに関する。
【0008】
第二の態様として、本発明は、(1)均一な溶融組成物を形成する十分なせん断、温度および滞留時間をもたらす装置で該カッパ-2カラギーナン並びに所望により可塑剤、第二のフィルム形成剤、かさ高剤およびpHコントロール剤の少なくとも1つを加熱、脱水、混合、可溶化および所望により脱気し、該温度が該組成物の可溶化温度以上である工程、(2)溶融組成物の形成前またはその後の何れかで有効量の活性物質を添加する工程、そして(3)該活性物質を含む該ゲルフィルムを形成するためにそのゲル化温度以下で該活性物質を含む該溶融組成物を冷却する工程からなる上記の均一なゲルフィルム伝達システムを製造する方法に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
カラギーナンは、赤色の海草に見いだされる市販されている顕著なガラクタン多糖類である。すべてのカラギーナンは、交替するα1→3およびβ1→4グリコシド結合により結合する繰り返しガラクトース単位を含み、そして広く変化する程度に硫酸化される。カラギーナンのタイプは、一部、硫酸化のそれらの程度および位置、並びにそれらから得られる海草により区別できる。例えば、イオタカラギーナンは、D-ガラクトース-4-スルフェート-3、6-アンヒドロ-D-ガラクトース-2-スルフェートの繰り返し単位を有し、約25-34%のスルフェートエステル含量をもたらす。イオタカラギーナンは、例えばEucheuma denticulatum(または「Spinosum」として知られている)から得ることができる。カッパカラギーナンは、D-ガラクトース-4-スルフェート-3、6-アンヒドロ-D-ガラクトースの繰り返し単位を有し、そして例えばKappaphycus alvarezii(または「Eucheuma cottonii」として知られている)から得られる。対照的に、カッパ-2カラギーナンは、R.Falshaw、H.J.BixlerおよびK.Johndro「Structure and Performance of Commercial Kappa-2 Carrageenan Extracts」Food Hydrocolloids 15(2001)441-452、並びにH.Bixler、K.Johndroおよび_R.Falshaw「Kappa-2 Carrageenan:Structure and Performance of Commercial Extracts II」Food Hydrocolloids 15(2001)619-630により、コポリマー骨格に共有結合した或る量のカッパ繰り返し単位(3、6-アンヒドロガラクトース(3:6-AG)およびイオタ繰り返し単位(3:6-アンヒドロガラクトース-2-スルフェート(3:6-AG-2-S))を含みそして或るGigartinaceae藻から得られるコポリマーであることが報告されている。前記の文献は、これらのカッパ-2カラギーナンが、カッパおよびイオタカラギーナンの単なる混合物に比べて、明確に異なる性質を有することを述べている。カッパ-2カラギーナンを論じている他の文献は、これらの文献のなかで論じられている。Gigartina atropurpureaから抽出されたカッパ-2カラギーナンは、R.Falshaw、H.J.BixlerおよびK.Johndro「Structure and Performance of Commercial Kappa-2 Carrageenan Extracts III」Food Hydrocolloids 17(2003)129-139により報告されている。カッパ-2カラギーナンの物理的性質について歴史的にかなりな混乱が生じているが、最近の研究例えばすぐ前に述べたものは、カッパ-2カラギーナンが、カッパおよびイオタポリマーの物理的混合物とは明確に区別されてコポリマー骨格に共有結合された(カッパ部分対イオタ部分の或る比で)カッパおよびイオタ繰り返し単位を含むコポリマーであることを確証している。
【0010】
本明細書で使用されるとき、カッパ-2カラギーナンは、25-50%の3:6AG-2S対3:6AG含量のモル比を有し、イオタカラギーナンは、80-100%の3:6AG-2S対3:6AG含量のモル比を有し、そしてカッパカラギーナンは、カッパ-2カラギーナンについてのそれより低い3:6AG-2S対3:6AG含量のモル比を有する。例えば、カッパカラギーナンについて通常知られそして使用されている海草の源であるEucheuma cottoniiからのカッパカラギーナンは、約10%より低い3:6AG-2S対3:6AG含量のモル比を有し、そしてイオタカラギーナンについて通常知られそして使用されている海草の源であるSpinosumからのイオタカラギーナンは、約85%より大きい3:6AG-2S対3:6AG含量のモル比を有する。これは、カッパ-2カラギーナンが、1.0-3.0:1さらに特に1.5-3.0:1(さらに特に所望の応用に依存して)のカッパ(3:6AG)対イオタ(3:6AG-2S)の比からなることを意味する。25-50%の3:6AG-2S対3:6AG含量のモル比は、その変性度および前駆物質の含量(例えばmuおよびnu繰り返し単位)にかかわらず、カッパ-2カラギーナンに保持される。従って、25-50%の3:6AG-2S対3:6AG含量のモル比に合致するすべてのカッパ-2カラギーナンは、その変性度にかかわらず、本発明の範囲内にある。
【0011】
本発明で使用されるカッパ-2カラギーナンは、例えばGigartina radula,Gigartina corymbifera,Gigartina skottsbergii,Iridaea cordata,Sarcothalia crispataおよびMazzaella laminarioidesのようなGigartinaceae藻の綱内の多数の海草の種の内に含まれるか、またはそれらから精製または分離される。本発明で使用されるカッパ-2カラギーナンの海草の源は、本明細書で記載された3:6AG-2S対3:6AG含量のモル比を有するカッパ-2カラギーナンを生成する任意のものである。本発明で使用されるカッパ-2カラギーナンは、上記の海草で天然に生ずるか、またはそれらの前駆物質からカッパ-2カラギーナンの3:6AG-2Sおよび3:6AG部分の量を増加するように上記の海草から変性される(例えば、アルカリ処理によりその前駆物質nuから変性されたカッパ-2カラギーナン内の3:6AG-2S部分、そしてアルカリ処理によりその前駆物質muから変性されたカッパ-2カラギーナン内の3:6AG部分)。回収および変性の技術は、当業者にとり周知であり、Falshaw、BixlerおよびJohndroによる引用した文献に含まれる。例えば、カッパ-2カラギーナンの変性は、高温度におけるアルカリ処理の結果として、或るGigartinaceae藻からのその回収中に生ずる。回収方法は、原料からの不溶物の所望の完全なまたは部分的な濾過、または未濾過物の使用を含む。カッパ-2カラギーナン中のnuおよびmu前駆物質がそれぞれ3:6AG-2Sおよび3:6AGに変性されるとき、これらの変性は、完全であるか(すなわち、カッパ-2カラギーナン中のnuおよびmu前駆物質の100%がそれぞれ3:6AG-2Sおよび3:6AGに変性される)、または不完全である(すなわち、カッパ-2カラギーナン中のnuおよびmu前駆物質が100%より少なくそれぞれ3:6AG-2Sおよび3:6AGに変性される)。上記の海草からのカッパ-2カラギーナンの回収工程中、少量または痕跡量の他のカラギーナン(例えばラムダカラギーナン)が存在し、それは本発明においてカッパ-2カラギーナンと使用できることが理解される。
【0012】
本発明の驚くべき構成の1つは、カッパカラギーナン、イオタカラギーナンそして同じレベルの3:6-AG-2-Sを含むカッパおよびイオタカラギーナンの簡単な乾燥混合物に比べて、カッパ-2カラギーナンの機能性である。すなわち、イオタおよびカッパカラギーナンは、ゲル化カラギーナンである。区別して、カッパ-2カラギーナンは、弱いゲル性を有することが知られている。その結果、これらの弱いゲル性のカラギーナンは、弱いゲルフィルムを形成するであろうと予想されてきた。しかし、驚いたことに、カッパ-2カラギーナンは、驚くほど強いフィルムを形成することが分かった。
【0013】
カッパカラギーナンの水ゲル強さは、3:6-AG-2-S含量が増加する(例えば水中1%で1500-300g)につれ顕著に低下し、これは、らせんの凝集および凝集されたらせん間の水素結合によるこれらの追加のエステルスルフェートの構造上の干渉によると思われるが、この考えに束縛されるものではない。この傾向は、150gのように低い水ゲルでカッパ-2(特別な応用では25-50%、さらに特に25-40%3:6-AG-2-S)にも引き継がれ、そしてその構造上の変動性によると思われる。しかし、イオタカラギーナン(例えば80-100%3:6-AG-2-S)は、構造的にさらに秩序だっており、それによりこの水ゲルに対してより均一な三次元構造に寄与し、300g以上のその破断強さにより示されるように、より強い水ゲルをもたらす。どんな理論にも束縛されないが、カッパおよびイオタカラギーナンの簡単な物理的混合物が、冷却したとき別々の温度で生ずるそれらの理想的なゲル構造の相互の干渉に恐らく基づいて、ゲル強さに関していくらか相反するものと思われる。カッパおよびイオタカラギーナンに基づく水ゲルの乾燥ブレンドされた物理的混合物に関する得られたゲル強さの値は、カッパ-2カラギーナンより水ゲル強さにおいて遙かに高い。カッパおよびイオタカラギーナンを別々に加水および可溶化し、そしてそれらのゲル化温度より高い温度にこれらの溶液を維持している間、溶液を均一に混合しそして注型するかまたはブレンドを冷却してゲル化を開始させることにより、この対立する効果を達成することもできる。このゲル強さの低下(構造上の弱体化)は、抽出粘度の低下(短い分子)および二価付加によりさらに悪化する。従って、伝統的なゲル強さおよびテクスチャーの測定に基づいて、カッパ-2カラギーナンは、ゲルフィルムの応用に適していないと予想される。しかし、本発明者が見いだしたように、カッパ-2がゲルフィルムを製造するのに応用されるとき、それは、水ゲルに関し伝統的(従来技術)分子構造に基づく予想を越えて、驚くべきフィルム強さおよび機械的完全さを示す。それは、また伝統的なフィルム成分例えば澱粉、湿潤剤などとの完全な融和性を示す。これらゲルフィルムおよびフィルム組成物中のカッパ-2のランダムなコポリマー性ゲル構造が、時間とともにまたはフィルム乾燥工程中変化する必要または傾向なしに、ゲル化の開始から理想的に寄与する完全な構造安定性であると考えられる。構造は、それがゲル化するとき、そのままであり、それは、硬化し続けるカッパカラギーナン構造、あまりに弾性的であって硬化しないイオタカラギーナンそして構造上の干渉を示すカッパ/イオタ物理的ブレンド(カッパ-2コポリマーに対するように)とは異なる。カッパ-2カラギーナンのこの驚くべきフィルム強さも、より良くバランスのとれた工程の粘度および機械的な加工に必要なフィルム強さによりカラギーナンの分子量のコントロールを可能にし、そのような傾向は、他の必須のフィルムの性質を維持しつつ、注型フィルムにおける低い水分のレベルで操作できる能力を生ずる。
【0014】
カッパ-2カラギーナンは、カッパ-2カラギーナンは、痕跡量ではフィルムにフィルムとしての性質を付与しないが、それとは区別されるフィルム形成量(例えば、ゲルフィルムにフィルム強さを与える量)で本発明では使用される。従って、例えば、以下の第二のフィルム形成剤を含む本発明のゲルフィルムでは、カッパ-2カラギーナンのフィルム形成量は、全体のフィルムにフィルム強さを加える量である。このフィルム形成量は、一般に、所望の特徴に応じて、乾燥ゲルフィルムの少なくとも0.5重量%、特に0.5-90%、さらに特に0.5-50%、さらに特に0.5-25%、より特に1.5-25重量%である。
【0015】
本明細書で使用されるとき、「均一なフィルム」は、裸眼で均一と認められそして欠陥のない、例えば塊、裂け目、溶解しなければならないが溶解していない粒子、不溶粒子の非均一な分布などのないフィルムと定義される。「フィッシュアイ」(混合した液体および固体の状態)または「ゲルボール」(不均一なゲル構造)は、本明細書で使用されるとき、「均一」の定義に合致しないだろう。
【0016】
本発明のゲルフィルムは、均一な熱可逆性のゲルフィルムである。それらは、注型でき、そして注型フィルムとして広範囲の応用に使用される。
【0017】
本明細書で使用されるとき、「熱可逆性フィルム」は、融点を有するフィルムと定義される。本明細書で使用されるとき、融点は、ゲルフィルムが軟化または流動する温度または温度範囲である。
【0018】
本明細書で使用されるとき、用語「ゲルフィルム」は、カッパ-2カラギーナンの構造から形成される薄い膜または三次元網状構造をいう。ゲル形成組成物は、ゲル温度すなわちそれより下ではゲル組成物の溶融した塊が冷却されて自立性構造を形成する温度を特徴とする。所望により、溶融した塊は、加熱により注型でき、そして冷却および乾燥されて、ゲルフィルムがゲル組成物により形成されるまで、さらに濃縮できる(コントロールされた水分の除去)。熱可逆性ゲルフィルムの溶融温度は、そのゲル温度より高い。
【0019】
本発明のゲルフィルムは、活性物質を含む。ゲルフィルム内に含むことのできる活性物質の例は、口腔ケア剤、口臭防止剤(breath freshening agent)、抗菌剤、清涼剤(cooling agent)、医薬、機能性食品(nutraceutical agent)、唾液促進剤、化粧品成分、農薬、ビタミン、ミネラル、着色剤、甘味剤、フラボラント(flavorant)、香料または食品の少なくとも1つである。フラボラントの例は、他の成分例えば可塑剤、かさ高剤、第二のフィルム形成剤などが存在してもまたは存在しなくても、砂糖、コーンシロップ、フラクトース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、マルチトールなどを含む。本発明の伝達システムの1つの態様は、高固体システム例えば50%以上、60%以上、65%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上の固体でカッパ-2カラギーナン、フラボラントおよび水からなる。
【0020】
本発明のゲルフィルムは、望ましくは、カラギーナン構造形成すなわちゲル形成を促進する可溶性ゲル化カチオンを含む。このような有益なカチオンは、カリウム、ナトリウムおよびアンモニウムを含む。これらのカチオンは、カッパ-2カラギーナン内に存在するか、またはそのゲル化温度より上に溶融した塊を維持しつつ、方法中の種々の時点で他の有機または無機の源から添加できる。これらの有益なカチオンは、ゲルフィルム(水を含む)中のカッパ-2カラギーナンの乾燥重量の20%より少ない量で存在できる。この量は、システム中の成分、所望の溶融温度およびシーリング温度並びに方法の条件および器具の選択に応じて変化できる。
【0021】
他の可溶性のカチオン例えばカルシウム、マグネシウム、アルミニウムおよびクロムは、安定性に逆作用し、そしてゲルフィルム(水を含む)中のカッパ-2カラギーナンの乾燥重量の10%以下、5%以下、1%以下のように最低に保たねばならない。金属イオン封鎖剤またはキレート剤は、上記のカチオンの溶解度(および関与活性)を最低にする量で添加されて、ゲルシステムが金属イオン封鎖剤または得られた化合物により悪影響をうけないようにする。
【0022】
カッパ-2カラギーナンの分子量は、一般に、応用に応じて、100000ダルトン以上、好ましくは100000-1000000ダルトン、さらに好ましくは100000-450000、より好ましくは100000-350000である。
【0023】
本発明のいくつかのフィルムの適用では、カッパ-2カラギーナンのゲル化温度を下げることが望ましい。平均分子量から高い分子量を有するカッパ-2カラギーナンのゲル化したシステムは、それぞれカリウム/カルシウムおよびナトリウムの形で少なくとも59℃および35℃のゲル化温度を有する。従って、カリウムカチオンをナトリウムカチオンで置換することは、カッパ-2カラギーナンのゲル化温度を下げる1つの方法である。ゲル化温度がカッパ-2カラギーナンの分子量には無関係であることが一般に考えられている。しかし、驚いたことに、本発明者は、低下した分子量を有するカッパ-2カラギーナンを使用する少なくとも50%の固体を有する高固体システム(例えば、溶液の全重量に基づく重量により低下した分子量のカラギーナンの1.5%を含む0.10モル塩化ナトリウム溶液中で測定したとき、75℃で19cps以下さらに特に10cpsより低い粘度を有するシステム、この粘度テストは、60rpmでスピンドルNo.1を使用しそして6回の回転後に粘度を測定してブルックフィールドLVF(Brookfield Engineering Laboratories、Inc.)粘度計を使用して行われる)では、例えばナトリウムの形では35-25℃に、そしてカリウム/カルシウムの形では59-57℃にカッパ-2カラギーナンのゲル化温度をさらに下げることができる。カッパ-2カラギーナンにより生じた構造のゲル化温度を下げることは、例えば製造工程で使用される熱量の低下および乾燥したフィルムに対する残存応力の最低化により、本発明のゲルフィルムの加工に有益な効果を有する。
【0024】
本発明の均一な熱可逆性ゲルフィルムは、所望により、可塑剤、第二のフィルム形成剤、かさ高剤およびpHコントロール剤の少なくとも1つを含むことができる。ゲルフィルムに添加される成分およびそれらの量は、カッパ-2カラギーナンフィルム伝達システムの所望の用途に応じて変化できる。
【0025】
この可塑剤の例は、ポリオール例えばグリセリン、ソルビトール、マルチトール、ラクチトール、コーンスターチ、ポリデキストロース、フラクトース、可溶性油、およびポリアルキレングリコール例えばポリプロピレングリコールおよびポリエチレングリコールを含む。可塑剤の量は、所望の用途およびゲルフィルム伝達システムの弾性に応じて変化できる。例えば、これらの可塑剤は、一般に、伝達システムの所望の弾性に応じて、乾燥フィルム中の水を含むすべての成分の重量の少なくとも10%、好ましくは少なくとも20%、さらに好ましくは少なくとも30%の量で使用できる。また、伝達システムが可塑剤を全く含まなくてもよい。
【0026】
本発明で使用できる第二のフィルム形成剤の例は、ヒドロコロイド、アルキルセルロースエーテルまたは変性アルキルセルロースエーテルの少なくとも1つを含む。ヒドロコロイドの例は、カッパカラギーナン、イオタカラギーナン、低下した分子量を有するカッパおよびイオタカラギーナン(例えば、溶液の全重量に基づく重量により低下した分子量のカラギーナンの1.5%を含む0.10モル塩化ナトリウム溶液中で測定したとき、75℃で19cps以下さらに特に10cpsより低い粘度を有するもの、この粘度テストは、60rpmでスピンドルNo.1を使用しそして6回の回転後に粘度を測定してブルックフィールドLVF(Brookfield Engineering Laboratories、Inc.)粘度計を使用して行われる)およびこれらの完全には変性されていないもの;カリウムアルギネート、ナトリウムアルギネート、アンモニウムアルギネートおよびプロピレングリコールアルギネートを含むアルギネート;低粘度ポリマンナンガム(例えば、一般に、25℃の水中1重量%で測定して約1000mPsより低い粘度)例えば低粘度グアガム;プルーラン、ゼラン(高および低アシルゼラン);デキストラン、ペクチンおよびこれらの組み合わせを含む。本発明で使用できるアルキルセルロースの例は、ヒドロキシエチルセルロースである。本発明で使用できる変性アルキルセルロースエーテルの例は、ヒドロキシプロピルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む。カッパ-2カラギーナンは、ゲルフィルムにおける唯一のフィルム形成剤である。本発明のゲルフィルムが第二のフィルム形成剤を含むとき、カッパ-2カラギーナンは、乾燥ゲルフィルム中のフィルム形成剤の合計量の少なくとも10重量%、少なくとも40重量%、少なくとも60重量%または少なくとも80重量%の量で存在できる。
【0027】
乾燥したフィルムは、コントロールされた水の除去後の注型フィルムの残存物の形である。成分の組み合わせ、例えばカッパ-2カラギーナンおよび所望により処理用の澱粉、ポリオールおよび水は、本明細書に記載された工程を選択して、分散され、水和され、可溶化されそして所望により脱気される。得られた均一の塊は、注型されるかまたは所望の固体レベル(目的とする最終生成物を達成するのに必要な)で形成される。注型システムは、重力またはコントロールされた力によって形成され、次に直ちにさらに処理されるか、または注型した塊を、所望の水分レベルに達するまで均一かつコントロールされた水除去のための種々の方法を利用することによりさらに処理されるかの何れかを行う。注型システムからのコントロールされた水の除去は、均一なフィルム成分のさらに強化されたもの/整列されたものを密な構造にし、それはフィルムの特徴をさらに強化する。水分の除去は、種々のヒドロコロイドおよび炭水化物の成分の分子表面に結合しない水分に限定される。乾燥したフィルムは、排水/脱水工程で使用される種々の乾燥方法を受けている間、元来の注型フィルムが追加の重量を失わないとき、達成される。一定のレベルへの水分含量の低下は、またフィルムに安定性を与え、そして所望により水活性としてのその含量は、種々の方法により低下する(埋め込まれるかまたはコーティングされるかまたは捕捉されるかなど)。
【0028】
かさ高剤の例は、非コロイド状(植物起源)セルロース、微結晶(植物起源)セルロース、微結晶澱粉、変性および未変性の澱粉、澱粉誘導体およびフラクション、イヌリン、澱粉加水分解物、砂糖、コーンシロップおよびポリデキストロースを含む。本明細書で使用されるとき、用語「変性澱粉」は、ヒドロキシプロピル化澱粉、希酸処理(acid-thinned)澱粉などのような澱粉を含む。本発明で使用できる変性澱粉の例は、Pure Cote(商標)B760、B790、B793、B795、M250およびM180、Pure-Dent(商標)B890およびPure-Set(商標)B965(すべてGrain Processing Corporation of Muscatine、Iowaから入手可能である)およびCAraTex(商標)75701(Cerestar、Inc.から入手可能である)を含む。澱粉加水分解物の例は、デキストリンとも知られているマルトデキストリンを含む。未変性澱粉例えば馬鈴薯澱粉も、本発明の範囲内でヒドロコロイドと混合されるとき、フィルム強さに寄与する。一般に、変性澱粉は、澱粉の化学的処理により製造された生成物、例えば酸処理澱粉、酵素処理澱粉、酸化澱粉、架橋澱粉および他の澱粉誘導体である。変性された澱粉が誘導体化される(側鎖が親水性基または疎水性基により変性されそれにより側鎖間の強い相互作用とさらに複雑な構造を形成する)のが好ましい。
【0029】
本発明で使用されるかさ高剤の量は、一般に、乾燥フィルムの0-20重量%であるが、もし所望ならば、伝達システムの用途に応じて、さらに多い量、例えば乾燥フィルムの少なくとも20重量%、より好ましくは少なくとも30重量%も使用できる。
【0030】
澱粉、澱粉誘導体および澱粉加水分解物が多機能性であることに注意すべきである。すなわち、かさ高剤と使用されることに加えて、それらは第二のフィルム形成剤として使用できる。これらがかさ高剤および第二のフィルム形成剤として使用されるとき、それらは、一般に、応用に応じて、乾燥ゲルフィルムの少なくとも10重量%好ましくは少なくとも20重量%の量で使用される。
【0031】
本発明で所望により使用できるpHコントロール剤の例は、塩基、例えば水酸化物、炭酸塩、クエン酸塩、およびリン酸塩、これらの混合物ならびにそれらの塩(例えばクエン酸ナトリウム)を含む。pHコントロール剤は、カリウムまたはナトリウムのような添加される有益なカチオンの源として選ばれる。いくつかの組成物では、pHコントロール剤は、ゲルフィルムの安定性を改善するために使用できる。pHコントロール剤の量は、一般に、0-4%好ましくは0-2%である。
【0032】
本発明の乾燥ゲルフィルム(例えば、80%以上の固体)は、Texture Analyzer TA-108S Mini Film Test Rigを使用して測定されて、例えば少なくとも250g、少なくとも1000g、少なくとも2500g、少なくとも4000gおよび少なくとも6000gの破壊力を有することが分かっている。固体が少ないと、ゲルフィルムは、同様な方法で測定して、少なくとも50g、少なくとも100g、少なくとも200gの破壊力を有することが分かっている。
【0033】
本発明のフィルムは、ゲルフィルムのすべての成分の少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%および少なくとも90%の固体含量を有することが分かっている。15%以内、10%以内、5%以内の水が乾燥ゲルフィルムの固体と強く結合して維持されることが理解されている。
【0034】
本発明のフィルムが非熱可逆性ガムを含むことができる。しかし、本発明のゲルフィルムの均一かつ熱可逆性の性質に悪影響を与えない限り、これらの非熱可逆性ガムは、カッパ-2カラギーナンの重量の50%以下、好ましくは40%以下、さらに好ましくは30%以下の量で存在しなければならない。これら非熱可逆性ガムの例は、架橋されたガム、例えばカルシウム硬化(例えば架橋した)ペクチンおよび/またはアルギネートを含む。カルシウム反応性アルギネートおよびペクチン並びにそれらのより精製されていないものは、二価カチオンの不存在下熱可逆性ガムとして考えられる。他の非熱可逆性ガム例えばトラガントガムは、その構造内に水を吸収してそれによりカッパ-2カラギーナンが、より少ない水で可溶化されるとき密な三次元の構造を形成し、二次的フィルム形成剤なしでカッパ-2カラギーナンの量を増加するのと同じ効果をもたらすことにより、カッパ-2カラギーナンの熱可逆性に寄与する。追加のフィルム形成剤例えばポリマンナンは、それら自体、または活性化および注型方法中他の成分と相乗的に、連続的な網目構造を形成できる。
【0035】
本発明のカッパ-2カラギーナンゲルフィルムは、一般に、組成物の均一な溶融塊および冷却して得られるゲルをもたらすように、十分に高いせん断、温度(ゲル化温度より上)および滞留時間を可能にする装置を利用する方法から製造される。これらの装置は、ロス(Ross)ミキサー、ステファン(Stephan)プロセッサー、従来のジェットクッカー、押し出し機および図1に示される流体混合装置を含むが、これらに限定されない。ロスミキサー、ステファンプロセッサー、押し出し機および従来のジェットクッカーは、市販されて容易に入手できる。冷却前に、溶融した塊を、ポンプ、ミキサーまたは脱揮発物器に供給する。これらの機能の任意の1つを行う装置の例は、押し出し機である。押し出された溶融塊は、また連続するフィルムの均一な注型を助けるフィルム形成または成形装置(例えばスプレッダーボックス)に導かれるか、または溶融した塊の伝達装置からフィルムまたは成形した押し出し物の直接的な形成を可能にするダイを通る。制限された流れ/ゲル構造形成の開始より前に溶融した塊を維持するように注意しなければならない。絶縁されそして予熱された(適切な温度を維持するための)輸送ホースが使用されて、所望のゲルフィルム形成が開始されるまで溶融した塊の流れを確保する。追加の処理方法(例えば、Ross方法システムで見られるような放出/プランジャー様ヘッドの予熱)は、上記の輸送ホースを通って溶融した塊を押す(圧力により)。追加の絶縁は、混合装置から出た直後の溶融した塊の表面に最初に置かれたテフロン円盤の使用によって溶融した塊の温度の維持を助けることができる。注意すべきことは、本発明の追加の構成として、溶融した塊は、工程(1)で完全に均一に必ずしもなっている必要はない。すなわち、追加の装置例えばミキサー、ポンプおよび/または脱揮発物器が使用されるとき、溶融した塊の均一性は、もし溶融した塊がゲル化前に均一性に到達するならば、ミキサー、ポンプまたは脱揮発物器の少なくとも1つに溶融した組成物を供給する前またはその後得ることができる。
【0036】
工程(1)の装置の例は、ロスミキサー、ステファンプロセッサー、従来のジェットクッカー、押し出し機および図1に示されるような流体混合装置を含むが、これらに限定されない。ステファンプロセッサー、ロスミキサー、押し出し機および従来のジェットクッカーは、市販されており容易に入手できる。
【0037】
本明細書で使用されるとき、「流体混合装置」は、図1のものをいう。図1は、流体混合装置10を画いている。流体混合装置10は、溶融した塊またはスラリー混合物8を生成するために、水蒸気2を第一の流体またはスラリー4および第二の流体またはスラリー6と混合するように配置される。
【0038】
流体混合装置10は、それを通って水蒸気2がハウジング22に入る第一の入口22、それから水蒸気2がハウジング20を出るノズル末端24、そしてノズル末端24に配置されたノズルバルブまたは弁棒を有する第一のハウジング20からなる。作動手段30は、ノズル末端24での第一の流体2の流出速度または流出圧をコントロールするために第一のハウジング20に接続される。作動手段30は、Fisher Controls U.S.Aにより製造されるタイプのものである。
【0039】
流体混合装置10は、第一のハウジング20のノズル末端24で第一のハウジング20に結合した第二の混合ハウジング40をさらに含む。第二のハウジング40は、第一の流体4がそれを通って第二のハウジング40に入る第二の入口42、そして第二の流体6がそれを通って第二のハウジング40に入る第三の入口44を含む。入口42および44は、第一の入口22の下流に配置される。図1に示されるように、第二の入口42および第三の入口44は、共通の平面に置かれ、そして互いに放射状に離れており、最も好ましくは混合装置10の中心軸Yについて直接相対して(すなわち180度離れて)配置される。第二のハウジング40は、ほぼ円筒状の混合室52を画成し、後者は、次に混合室52の入口末端54から室52の出口末端56へ混合室52の軸の長さに沿って延在する流れの通路を画成する。ノズルバルブ26は、入口末端54で着座位置と未着座位置との間をアクチュエーター30により移動可能であって、混合室52への水蒸気2の流速をコントロールする。
【0040】
第一のハウジング20のノズル末端24は、水蒸気2を混合室52の入口末端54中に導く。第二の入口42および第三の入口44は、それぞれ第一の流体4および第二の流体6を混合室52へ放射状に導く。水蒸気2、第一の流体4および第二の流体6は、混合室52中で混合されて、混合室52を出る溶融した塊または混合物8を形成する。溶融した塊8は、次に成形した物品に成形されるか、または例えば混合物8を冷却ドラム上に注型することによりまたは混合物8を押し出し機に通過させることによりフィルムに形成できる。
【0041】
流体混合装置10は、フィルム、さらに特に可食性ストリップまたは伝達システムの製造用の可食性フィルムを形成するための混合物を製造するように適合される。不融合性フィルム成分は、一般に、これらの不融合性成分が、流体混合装置の混合室52内の水蒸気注入の界面でまず一緒になるように、異なる流体の入口の流れに置かれる。図1は、水蒸気および第一および第二の流体のための入口を示しているが、1つ以上の追加の流体のための1つ以上の追加の入口も用意できる。好ましくは、流体混合装置10のハウジング20、40および他のコンポーネントは、高級なステンレス鋼から構築される。
【0042】
ゲルフィルムは、また伝達システムの溶解プロフィルを改変するのに使用できる。例えば、本発明のゲルフィルムは、口中で急速に溶解するか、または時間をかけて活性物質の徐放性伝達を可能にする口中で容易に溶解しない伝達システムを生成できる。伝達システムは、一度消化されるならば、即時放出、腸溶性および遅延放出の能力を有することができる。「即時放出」、「遅延放出」および「腸溶性」は、米国薬局方に見いだすことができ、そして参考として引用される。
【0043】
本発明は、以下の実施例に関してさらに詳細に記述されるが、本発明がそれにより制限されるものと考えてはならないことを理解すべきである。本明細書に指示されていない限り、すべての部、%、比などは、重量による。
【0044】
それ以外に指示されていない限り、以下の方法は、実施例1-4の材料およびフィルムを製造し評価するのに使用された。ステファンUMS5プロセッサーは、実験室スケールの混合装置であり、実験室においてフィルムとして注型された処方物の好適な高せん断混合、加熱および脱気をもたらした。ステファンUMC5プロセッサーで使用された好適なバッチサイズは、1500gであった。
【0045】
水性澱粉分散物は、脱イオン水中にすべての塩/緩衝液およびpH改変剤を溶解することにより製造された。澱粉および/またはマルトデキストリン(M100)を添加しそして溶解/分散されるまで混合した。Pure Cote(商標)B760およびB790澱粉は、Grain Processing Corporation of Muscatine、Iowaから入手できる。
【0046】
それぞれの添加後200rpmで約30秒間混合しつつ、可塑剤を均一になるまで予備混合しそして予めブレンドされた乾燥ヒドロコロイドを分けて添加することにより、ヒドロコロイド混合物をステファンUMC5プロセッサーで製造した。Sorbitol Specialおよびグリセリンを可塑剤として使用した。Sorbitol Specialは、SPI Polyols、Inc.(New Castle、Delavare)により供給される76%固体のソルビトールおよびソルビトール無水物の水溶液である。
【0047】
澱粉分散物は、非水性ヒドロコロイド混合物に添加し、そして5分間300rpmで混合した。機械による攪拌を、2100rpmに増大し、そして混合物を攪拌しつつ85-95℃に加熱した。目標温度に達したとき、混合物を30分間攪拌し、次にサンプルを、さらに45分間攪拌を続けつつ真空(50-60バール)に保持した。
【0048】
温度で真空下の保持時間が完了したとき、サンプルを、予熱された広口クォートMasonジャーに注いだ。温度およびpHを記録した。粘度をBrookfield LVF粘度計を使用して加熱サンプルで測定した。
【0049】
小割合のサンプルをとりそしてAtago Eシリーズ携帯屈折計(Gardco、Pompano Beach、FL)を使用してゲル/溶融物の性質および固体を測定する前に通常1晩冷凍した。融点は、冷凍されたゲルの厚く切ったものが試験管の壁と接触しないように、試験管内に保持されたワイヤのスタンド上にその小さい厚く切ったものを置くことにより測定された。試験管を、小さい穴を開けたアルミニウムフォイルでカバーして、デジタル温度プローブを使用してゲル温度を測定した。厚く切ったものがほぼ100℃の熱水浴の表面の下にあるように、試験管を加熱浴に浸漬した。90℃より高い融点を有するサンプルについては、シリコーン油浴を使用した。ゲル化したサンプルが、外観上湿り軟化しそして攪拌できるようになったとき、融点を記録した(温度範囲を記録した)。いったんサンプルが溶融すると、冷水道水(15℃)を含む第二のビーカーに試験管を移した。温度プローブは、サンプルが冷却されたとき温度を記録し、そしてサンプルがゲルになり始めたかどうかを決めるためにサンプルの表面を調べるのに使用された。ゲル温度は、冷却してサンプルが流れてプローブにより作られたくぼみを最早満たさない温度であった。
【0050】
加熱サンプルを、次に3mmのクリアランスを与えるように設定された隙間を有する延伸棒を使用して、177mm×177mm×5mmの金属プレート(フィルム物質を容易に取り出すためにPAM(レシチン)を予め噴霧された)上に注型した。ゲル被覆プレートをカバーして、注型フィルムからの水分の損失を避けた。注型フィルムは、典型的には、テスト用のフィルムの取り出しの少なくとも1時間半前に冷凍(8℃よい低い)された。冷凍は、フィルム形成には要しない。乾燥したフィルムストリップは、被覆されたプレートを40℃の強制空気/ファンオーブンで乾燥することにより製造された。40℃で2時間乾燥されたフィルムは、約60%の中間の固体を与え、一方40℃で1晩乾燥したフィルムは、80%以上の固体を与えた。テストの性質は、他に特定されていない限り、室温(ほぼ20℃)で測定された。乾燥したフィルムの固体の%は、その処方された固体レベルの注型フィルムと重量において異なる乾燥したフィルムとの間で決定された。破壊力(BF)は、Texture Analyzer TA-108S Mini Film Test Rigを使用して注型および乾燥フィルムストリップで測定された。
【0051】
他に指示されていない限り、Maltrin M100は、Grain Processing Corporationから得られ、Pure-Cote B760は、Grain Processing Corporationから得られ、Sorbitol Specialは、SPI Polyolsから得られ、そしてグリセリンはVWR(EP/USPグレード)から得られた。
【実施例1】
【0052】
以下に示すように、Cgn Aは、本質的に半数体(配偶体)植物であるGigartina skottsbergiiのアルカリ処理された清澄な抽出物として得られそしてアルコールによる沈殿により回収された。二倍体(四胞子体)植物からの少量(合計5%以下)のラムダおよびテータ-カラギーナンも存在した。
【0053】
Cgn Bは、Cgn Aを水中に溶解し、そしてアルコール沈殿および乾燥により回収された。異なる分子量のサンプルは、Cgn C-Fを生ずる、溶解したカラギーナンと酸化剤との反応により得られた。水酸化ナトリウムを、酸化工程後そしてアルコール沈殿前にサンプルCgn C-Eに添加して、得られる生成物のpHをコントロールした。カッパ-2カラギーナンの性質は、表1に示される。1.5重量%固体での水溶液の粘度は、適切な速度およびスピンドルでBrookfield LVF粘度計を使用して75℃で測定された。それぞれ(No.1)カチオンの添加なし、(No.2)0.2重量%KCl添加、(No.3)0.2重量%KClおよび0.2重量%CaCl添加のCgn A-F2重量%を使用して製造された2%水ゲルの性質は、TXTM Teture Analyzerを使用して測定された。ゲルは、25℃でテストされ、そして破壊力(g)および針入(cm)を記録した。
【0054】
以下のCgn A-Fは、本発明で使用できるカッパ-2カラギーナンの例である。
【0055】
【表1】

以下の表2では、Cgn DおよびEは、示されたように処方されそしてフィルムとして注型された。処方および性質は、表2に報告される。すべての処方は、本発明の範囲内にあると考えられるが、いくつかは、他のものより特別な用途にさらに好適であろう。
【0056】
【表2】

上記の表は、実施例1-2および実施例1-1では、処理温度(それぞれ13700mPaおよび4000mPa)での溶融した塊の粘度が、Cgn D-Cgn Eの分子量(それぞれ24mPaおよび14mPaの粘度として示される)を低下させることによりコントロールされ、フィルムの性質に顕著な影響を与えなかったことを示す。
【0057】
注型材料の融点は、固体含量が所定の処方について増加すると、上昇した(実施例1-2、1-3および-4)。実施例1-2、1-3および1-4では、ゲル温度は、ゲル温度が溶融した塊の温度に近づくまで、固体の増加とともに上昇した。注型前のゲル化は、実施例1-4の注型フィルムの低下したゲル強さおよび高い溶融状態の粘度(>50000mPa)により示されるように、溶融した塊の温度に近づくゲル温度による。これは、もしさらに強いフィルムが望ましいならば、処理中ゲル温度より高く溶融塊の温度を維持することが望ましいことを示す。ゲル温度より低い温度での攪拌は、ゲル構造を破壊しそして強さを低下させる。使用に好適な処理装置は、適切に水和し、均一に混合しそして溶融塊をさらなる処理に「そのまま」容易に輸送するか、または追加の操作例えば成形またはフィルム注型に輸送する。
【実施例2】
【0058】
カッパ-2カラギーナンは、主として半数体(配偶体)植物であるGigartina skottsbergilおよびSarcothalia crispataの混合物のアルカリ処理かつ清澄な抽出物として得られた。二倍体(四胞子体)植物からのラムダ-およびテータ-カラギーナン約10-20%(合計)も存在した。抽出物を回収し、次にイオン交換して低二価を有するカッパ-2カラギーナンをもたらした。低二価カチオンカッパ-2カラギーナン(Cgn G-J)の性質は、表3に示される。Cgn G-Jは、本発明の範囲内にあると考えられる。
【0059】
【表3】

サンプルCgn G-Jの低二価カチオン含量カッパ-2カラギーナンを使用するフィルム組成物および対応するフィルムの性質は、表4に示される。以下のすべての処方は、本発明の範囲内にあると考えられるが、いくつかは、他のものより特別の使用にさらに好適であろう。
【0060】
【表4】

ポリオールおよびマルトデキストリン(かさ高剤として)と組み合わされたイオン交換したカッパ-2カラギーナン(IおよびJ)は、40%固体で無視しうる破壊力を有する比較的弱い注型ゲルフィルムをもたらした。これは、不十分な量のカリウムカチオンによると考えられ、該カチオンは、カラギーナンを主な構築剤にする温度でカラギーナンの二重らせん形成(すなわちゲル化)をより完全に促進することが望まれる。実施例2-1および2-2は、比較的より低い融点およびゲル温度を有するゲルフィルムである。たとえゲル化の可能性が最大にならないとしても(より低いカリウムレベルによる)、実施例2-1および2-2は、それぞれ3468および3697の破壊力を示す。実施例2-3は、Cgn Jのカッパ-2カラギーナンにより形成される構造に加えて、カリウムイオンの効果を立証する。軟らかいが、注型強さは、注型プレートからのフィルムの取り出しに十分な強さをもたらした。Cgn Jによる構造の進行は、カリウムイオンの添加により、実施例2-1に比較して、実施例2-3の融点およびゲル温度における上昇により確認される。乾燥したフィルムの破壊力は、実施例2-1および2-2に比較して維持された。
【0061】
実施例2-4は、実施例2-3のマルトデキストリンを変性澱粉(B970)により変える効果を立証する。粘度が増加すると、ゲル温度および融点は、マルトデキストリンを含んだ実施例2-3に比較的同様に維持された。実施例2-4の注型フィルム強さも実施例2-3に比較的等しかった。実施例2-4の乾燥したフィルムの強さは、実施例2-3に比較して2倍以上であった。これは、澱粉とカッパ-2カラギーナンカリウムカチオン(すなわちカッパ-2カラギーナンに関するゲル化イオン)とが存在するとき、両者の間の構造上の相乗性を示す。カリウムイオンは、無機塩、有機塩またはこれらの組み合わせの直接添加により、または追加の成分内に含まれるこれらによりもたらされる。残存処理塩を含むカッパ-2カラギーナンの使用は、ゲル構造および澱粉の相乗性を最大にする所望のゲル形成条件を促進できる。均一なカッパ-2カラギーナン/澱粉のゲル構造は、早いゲル化を防ぐのに十分な高温度で溶融した塊を注型することにより形成された。
【0062】
本発明の追加の処方は、直後に示される。
【0063】
【表5】

実施例2-5は、実施例1-1と同じカチオン含量を有するように製造された。両方のサンプルは、同じゲル溶融性を示す。実施例1-1のCgn E(14cp)のさらに高い分子量は、乾燥したフィルムのさらに高い破壊力により示されるように、実施例2-5のCgn H(6cp)に比べて、ゲルフィルムにより構造的な支持をもたらした。実施例2-7のさらに高い乾燥したフィルムの強さは、低分子量カッパ-2カラギーナンと組み合わされた変性澱粉が全体のフィルム構造をもたらしそして澱粉とのカッパ-2カラギーナンの錯体化を指示することを示す。
【実施例3】
【0064】
表6は、アルギネートとブレンドされたカッパ-2カラギーナンを含むフィルムのフィルム処方および性質を示す。KAHGは、高いレベルのグルロン(G)単位を有するアルギン酸カリウムである。Protanal(商標)エステルBV4830は、FMC BioPolymers(Philadelphia、PA)から入手できるプロピレングリコールアルギネートである
【0065】
【表6】

実施例3-1では、カリウムイオンは、アルギン酸カリウムから供給された。実施例3-2は、プロピレングリコールアルギネートはカッパ-2カラギーナンに強さを加えそして処理粘度を低下させることを示す。
【実施例4】
【0066】
表7は、カッパ-2カラギーナンとIndian Gum Industriesからの低粘度グアガムであるEdicol ULV50とのブレンドを使用して生成されたフィルムを示す。
【0067】
Cgn Kは、本質的に半数体(配偶体)植物であるGigartina skottsbergiiのアルカリ処理した清澄な抽出物として得られたカッパ-2カラギーナンであった。少量(合計5%以下)の二倍体(四胞子体)植物からのラムダ-およびテータ-カラギーナンも存在した。Ggn Kは、表1に示されるように、低い二価カチオン含量および低いカリウムカチオン含量を有する。
【0068】
Cgn Lは、主として半数体(配偶体)植物であるGigartina skottsbergiiおよびSarcothalia crispataのアルカリ処理した清澄な抽出物として得られたカッパ-2カラギーナンであった。合計約10-20%の二倍体(四胞子体)植物からのラムダ-およびテータ-カラギーナンも存在した。Cgn KおよびLの性質は、以下の通りである。
【0069】
【表7】

表8は、カッパ-2カラギーナンと組み合わされた低粘度グアガムを使用して製造された処方に関するフィルムの性質および組成を示す。
【0070】
【表8】

【実施例5】
【0071】
以下の実施例は、図1の流体混合装置を使用して製造されたフィルムを示す。これらの実施例では、部Aおよび部Bは、水蒸気注入流体混合装置10に入る2つの異なる入口42、44に、2つの別々の流れ4、6として周囲温度で別々の保持タンクからポンプで供給された。2つの個々の流れ4、6は、流体混合装置10の混合ゾーン52で水蒸気の界面で混合された。部Aと部Bとの別々の溶液は、流体混合装置10に容易にポンプで送られ、水蒸気2と混合された。水蒸気2は、120psiの圧力で混合ゾーンに導入された。得られた溶融した塊またはスラリー混合物8は、流体混合装置10の出口56から外に流れ出た。混合物8を滑らかな表面に注ぎ、そして延伸して均一なフィルム9を形成した。
【0072】
混合物8の粘度を測定するために、約500mLの混合物8のサンプルを出口56から集め、そしてジャーに注いだ。温度、pHおよび粘度をこのサンプルについて95℃で測定した。Brookfield LVF粘度計を使用して粘度を測った。読み取りができるように、適切な速度およびスピンドルの組み合わせを使用した。ダイアルの読み取りは、動的粘度(cP)に変換された。
【0073】
フィルムの強さおよび固体レベルを測定するために、溶融した塊8を出口56から集め、次に3mmの隙間に設定された延伸棒を使用してステンレス鋼金属プレート上に注型した。最初のフィルム9または「新鮮なフィルム」を集めた。新鮮なフィルム9の部分を、40℃強制空気オーブンに入れて乾燥した。破壊力を、Texture Analyzer TA-108S Mini Film Test Rigを使用して新鮮および乾燥のフィルムストリップについて測定した。固体%は、新鮮なフィルムの最初の重量と乾燥したフィルムの最終の重量との間の差を測定することにより得られた。
【0074】
ゲル温度を測定するために、溶融した塊8の一部を混合装置10の出口56から集め、そして試験管に移した。試験管の半分を空けたままにした。ガラス製温度計を溶融塊8中に挿入した。材料8を室温の条件下冷却した。それぞれの程度の冷却後、温度計を材料8から取り出した。小さい一時的なくぼみが塊8の表面で観察されたとき、この温度を記録した。温度計を塊8中に再挿入し、それをさらに冷却した。温度計を取り出し、そしてくぼみが再び満たされるように、永久的なくぼみが塊8に形成されるときまで、それぞれの冷却の程度で再挿入された。永久的なくぼみが形成される温度が記録された。報告されたゲル温度は、2つの記録された温度の間の範囲であった。
【0075】
【表9】

【0076】
【表10】

【0077】
【表11】

以下の表12は、この実施例で特定された成分のさらなる詳細を提供する。
【0078】
【表12】

カラギーナンの詳細については以下の通りである。カッパ-2カラギーナンAは、主として主として半数体(配偶体)植物であるGigartina skottsbergiiおよびSarcothalia crispataの混合物のアルカリ処理した清澄な低二価抽出物であり、この抽出物は、通常「カッパ-2カラギーナン」として知られている。二倍体(四小胞体)植物からのラムダおよびテータ-カラギーナンの約10-20%(合計)を含む。それぞれ約1.0および3.0:1の比のカッパ-およびイオタ-カラギーナンの天然のランダムブロックコポリマーとして定義され、そして同じ比の個々のカッパおよびイオタ-カラギーナンの天然ポリマーの混合物に比べて、顕著に異なる機能性を有する。供給者は、FMC Corporationである。カッパ-2カラギーナンBは、本質的に半数体(配偶体)植物であるGigartina skottsbergiiのアルカリ処理した清澄な低二価抽出物であり、この抽出物は通常「カッパ-2カラギーナン」として知られている。また、二倍体(四小胞体)植物からのラムダ-およびテータ-カラギーナンの少量(合計5%以下)を含む。それぞれ約1.0および3.0:1の比のカッパ-およびイオタ-カラギーナンの天然のランダムブロックコポリマーとして定義され、そして同じ比の個々のカッパおよびイオタ-カラギーナンの天然ポリマーの混合物に比べて、顕著に異なる機能性を有する。供給者は、FMC Corporationである。
【実施例6】
【0079】
カッパ-2カラギーナン(イオン交換/ナトリウム)伝達フィルムは、以下の方法により製造された。Maltrin M100マルトデキストリン(Grain Processing Corp.Muscatine、Iowa)をカッパ-2カラギーナンと乾燥ブレンドした。脱イオン水およびグリセリンを秤量して1.2L容ステンレス鋼ビーカーに入れた。乾燥プレミックスを激しく攪拌しつつ水に添加し、次に90℃に加熱しそして15分間90-95℃の温度範囲内に保持してガムを完全に水和した。蒸発によって失われたすべての水を補充した後、伝達成分を添加しそして分散のために2分間混合した。テストされた伝達成分は、(1)天然および合成イチゴフレーバー(Dragoco、0.1%)、(2)二酸化チタンおよび(3)カフェインであった。熱溶液を急速に容器に注いだ。ペトリ皿に注型した溶液を室温に冷却してフィルムを形成させ、次に45℃の強制ドラフトオーブンで1晩乾燥させて一定の重量にした。サンプルを冷却し、次にAtago E携帯屈折計(Gardco、Pompano Beach、FL)を使用してゲル/溶融物の性質および固体の測定前に、1晩冷凍(8℃より下)した。融点は、冷凍されたゲルの小さい厚く切ったものが試験管の壁と接触しないように、試験管内に保持されたワイヤースタンドに置くことにより測定された。試験管は、小さい穴を設けたアルミニウムフォイルでカバーして、デジタル温度プローブを使用してゲル温度を測定した。厚く切ったものが約100℃の加熱水浴の表面の下にあるように、加熱浴に浸漬した。シリコーン油浴を、90℃より高い融点を有するサンプルについて使用した。ゲル化したサンプルが外観上湿り、軟化するようになりそして攪拌(温度範囲を注目した)できたとき、融点を記録した。いったんサンプルが溶融すると、冷水道水(15℃)を含む第二のビーカーに試験管を移した。温度プローブを使用してサンプルが冷却したとき温度を記録し、そしてサンプルがゲルになり始めたかどうかを決定するためにサンプル表面を調べた。ゲル温度は、冷却して、サンプルが、プローブにより作られたくぼみを満たして最早や流れない温度であった。破壊力(BF)および針入は、Texture Analyzer TA-108S Mini Film Test Rigを使用して注型および乾燥したフィルムストリップについて測定された。剛性は、破壊力を針入により除して計算された。
【0080】
【表13】

上記で記述され立証されたように、本発明に従って製造されたフィルムは、種々の活性物質を含む伝達システムを製造するのに使用できる。
【0081】
本発明は詳細にそして本発明の特定の態様に関連して記述されたが、種々の変化および改変が、本発明の趣旨および範囲から離れることなく、行われうることは当業者に明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明で使用して好適な流体混合装置である。
【符号の説明】
【0083】
2 水蒸気
4 第一の流体
6 第二の流体
10 流体混合装置
20 第一のハウジング
22 第一の入口
24 ノズル末端
26 ノズルバルブ
30 作動手段
40 第二のハウジング
42 第二の入口
44 第三の入口
52 混合室
54 入口末端
56 出口末端

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲルフィルムが、(1)フィルム形成量のカッパ-2カラギーナンおよび所望により可塑剤、第二のフィルム形成剤、かさ高剤、およびpHコントロール剤の少なくとも1つ、並びに(2)活性物質を含む、均一な熱可逆性ゲルフィルムからなることを特徴とする伝達システム。
【請求項2】
該活性物質が、口腔ケア剤、口臭防止剤、抗菌剤、清涼剤、医薬、機能性食品、唾液促進剤、化粧品成分、農薬、ビタミン、ミネラル、着色剤、甘味剤、フラボラント、香料または食品の少なくとも1つである請求項1の伝達システム。
【請求項3】
該ゲルフィルムが、ゲルフィルム中のカッパ-2カラギーナンの乾燥重量の20%より少ない量でカリウム、ナトリウムまたはアンモニウムカチオンの少なくとも1つをさらに含む請求項1の伝達システム。
【請求項4】
該カッパ-2カラギーナンがゲルフィルムの乾燥重量の少なくとも0.5%の量で存在する請求項1の伝達システム。
【請求項5】
該カッパ-2カラギーナンがゲルフィルムの乾燥重量の0.5-25%の量で存在する請求項1の伝達システム。
【請求項6】
該カッパ-2カラギーナンがゲルフィルムの乾燥重量の1.5-25%の量で存在する請求項1の伝達システム。
【請求項7】
該カッパ-2カラギーナンがゲルフィルム中のフィルム形成剤の乾燥重量の少なくとも10%の量で存在する請求項1の伝達システム。
【請求項8】
該カッパ-2カラギーナンがゲルフィルム中のフィルム形成剤の乾燥重量の少なくとも20%の量で存在する請求項1の伝達システム。
【請求項9】
該カッパ-2カラギーナンがゲルフィルム中のフィルム形成剤の乾燥重量の少なくとも50%の量で存在する請求項1の伝達システム。
【請求項10】
該カッパ-2カラギーナンがゲルフィルム中のフィルム形成剤の乾燥重量の少なくとも80%の量で存在する請求項1の伝達システム。
【請求項11】
該カッパ-2カラギーナンがゲルフィルム中に存在する唯一のフィルム形成剤である請求項1の伝達システム。
【請求項12】
該第二のフィルム形成剤が、澱粉、澱粉誘導体、澱粉加水分解物、セルロースガム、カッパカラギーナン、イオタカラギーナン、アルギネート、プロピレングリコールアルギネート、ポリマンナンガム、デキストラン、プルーラン、ゼラン、ペクチン、アルキルセルロースエーテル、および変性アルキルセルロースエーテルからなる群から選ばれる請求項1の伝達システム。
【請求項13】
該可塑剤が、グリセリン、ソルビトール、マルチトール、ラクチトール、コーンスターチ、フラクトース、スクロースおよびポリアルキレングリコールからなる群から選ばれる少なくとも1つのメンバーであり、該第二のフィルム形成剤が、澱粉、澱粉誘導体、澱粉加水分解物、セルロースガム、カッパカラギーナン、イオタカラギーナン、アルギネート、プロピレングリコールアルギネート、ポリマンナンガム、デキストラン、プルーラン、ゼラン、ペクチン、アルキルセルロースエーテル、および変性アルキルセルロースエーテルからなる群から選ばれる少なくとも1つのメンバーであり、そして該かさ高剤が、微結晶セルロース、砂糖、コーンシロップ、ポリデキストロース、澱粉、澱粉誘導体、イヌリン、および澱粉加水分解物からなる群から選ばれる少なくとも1つのメンバーである請求項1の伝達システム。
【請求項14】
少なくとも2500gの破壊強度を有する請求項1の伝達システム。
【請求項15】
少なくとも4000gの破壊強度を有する請求項1の伝達システム。
【請求項16】
少なくとも5000gの破壊強度を有する請求項1の伝達システム。
【請求項17】
少なくとも6000gの破壊強度を有する請求項1の伝達システム。
【請求項18】
(1)均一な溶融組成物を形成する十分なせん断、温度および滞留時間をもたらす装置で該カッパ-2カラギーナン並びに所望により可塑剤、第二のフィルム形成剤、かさ高剤およびpHコントロール剤の少なくとも1つを加熱、脱水、混合、可溶化および所望により脱気し、該温度が該組成物の可溶化温度以上である工程、
(2)溶融組成物の形成前またはその後の何れかで有効量の活性物質を添加する工程、そして
(3)該活性物質を含む該ゲルフィルムを形成するためにそのゲル化温度以下で該活性物質を含む該溶融組成物を冷却する工程
からなる請求項1-17の何れか1つの項の均一なゲルフィルム伝達システムを製造する方法。
【請求項19】
該活性物質が、口腔ケア剤、口臭防止剤、抗菌剤、清涼剤、医薬、機能性食品、唾液促進剤、化粧品成分、農薬、ビタミン、ミネラル、着色剤、甘味剤、フラボラント、香料または食品の少なくとも1つである請求項18の方法。
【請求項20】
少なくとも250gの破壊強度を有する請求項1の伝達システム。
【請求項21】
少なくとも1000gの破壊強度を有する請求項1の伝達システム。
【請求項22】
該装置が、ロスミキサー、ステファンプロセッサー、押し出し機、ジェットクッカーまたは流体混合装置である請求項18の方法。
【請求項23】
該カッパ-2カラギーナンが、1.5%固体0.10モル塩化ナトリウム溶液で測定して75℃で10cpsより低い抽出粘度を有し、少なくとも50%の固体含量を有する請求項1の伝達システム。
【請求項24】
フラボラントをさらに含み少なくとも50%の固体含量を有する請求項1の伝達システム。

【図1】
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【公表番号】特表2007−526211(P2007−526211A)
【公表日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−510070(P2006−510070)
【出願日】平成16年4月14日(2004.4.14)
【国際出願番号】PCT/US2004/011632
【国際公開番号】WO2004/091533
【国際公開日】平成16年10月28日(2004.10.28)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(391022452)エフ エム シー コーポレーション (74)
【氏名又は名称原語表記】FMC CORPORATION
【Fターム(参考)】