説明

カップホルダ

【課題】
カップを収納しない不使用時、カップの収納空間をベース部材から見えなくしてベース部材の上面を整然とすることができ、使用時にカップの収納空間を半自動的に形成でき、構成が簡単で低コストで構成できるカップホルダを提供する。
【解決手段】
カップホルダHのカップトレイ30はロック機構90が操作ボタン110によりロック解除された際、自重により下降して不使用位置に位置する。ロック機構90は規制体50が規制位置に位置した状態で第1位置へ操作された際、連動機構によりカップトレイ30が使用位置から不使用位置へ復帰したとき、カップトレイ30を不使用位置でロックする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の車室内に設けられるカップホルダに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から自動車の車室内では助手席と運転席間に設けられたコンソール等に缶、カップ、ボトル等の飲料容器を収納するためのカップホルダが設けられていることが多い。
特許文献1及び特許文献2では、コンソールの上面を凹設して、該凹設された部分を、カップを収納するカップホルダとしたものが提案されている。しかし、コンソール上面にカップホルダを凹設する場合、カップを収納しない不使用時にはコンソール上面が整然とならない問題がある。
【0003】
特許文献3では、コンソール内に有底筒状のカップホルダを上下動自在に支持し、使用時にはコンソール内から突出した位置に位置させ、不使用時にはコンソール内に収納するとともにカップホルダがコンソールから出入りする出入り口を蓋体で閉塞するようにしている。特許文献3では、カップを収納しない不使用時には、コンソール上面の前記出入り口がカップホルダで閉塞されるため、コンソール上面が整然にすることができる利点がある。
【0004】
また、特許文献4では、コンソールの上面に対して、収納穴を有する容器状の基体を埋め込むように配置し、前記基体に対して、収納穴を塞ぐ低円筒状の蓋体を180度上下反転可能に支持するとともに前記基体に上下方向に摺動自在に支持した筒状の保持部材を配置したカップホルダが提案されている。
【0005】
この構成によれば、蓋体は不使用時には底面(意匠面)をコンソール上面と面一とし、使用時に反転して容器の下部を収納可能にしている。一方、筒状の保持部材は、不使用時には、コンソール内に収納し、使用時には、コンソール上面から突出配置して、この状態で、容器の上部を保持できるようにしている。
【0006】
特許文献4によれば、容器を保持しない不使用状態では、蓋体がコンソールの上面と面一になるとともに、保持部材がコンソール内に収納されて隠れるため、コンソール上面にスペースを確保でき、整然にすることができる利点がある。また、容器を保持する使用状態では、反転された蓋体が収納穴内でコップ下部を支持するとともに、保持部材がコンソール上面から突出してコップの上部を保持するため、高さが高いコップを安定して保持できる利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平7−112642号公報、図1、図3
【特許文献2】特開2011−111072号公報
【特許文献3】特開2006−282094号公報
【特許文献4】特開2009−40196号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところが、特許文献3では、蓋体は、モータで駆動されるようにしているため、モータ及びモータを制御するコントローラが必要となり、コストアップとなる問題がある。
特許文献4のカップホルダでは、不使用状態から使用状態に変移する際、保持部材(保持体に相当)がコンソール上面から上方への移動と、蓋体の反転が同時に行われるように両者間が連動機構で連結作動されている。特許文献4では、カップホルダを使用したい場合、予めロック解除のための押しボタンを操作することにより、蓋体を反転させるとともに保持部材を同時に上昇移動させる必要がある。このため、ロック解除する前に容器を反転前の不使用状態の蓋体に載置した状態でカップホルダのロックを解除すると、蓋体に載置された容器が転倒するおそれがある。
【0009】
本発明の目的は、カップを収納しない不使用時には、カップを収納する収納空間をベース部材から見えなくしてベース部材の上面を整然とすることができるとともに、使用時にはカップの収納空間を半自動的に形成でき、しかも、モータ及びコントローラを必要としないため、構成が簡単で低コストで構成でき、さらにカップ収納時にカップが転倒することないカップホルダを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、ベース部材に形成された収納部の開口部に位置して前記開口部を閉塞する不使用位置と不使用位置よりも下方であって収納部の開口部を開放する使用位置間を移動可能に支持されたカップトレイと、前記カップトレイを不使用位置にロックするロック手段と、前記ロック手段をロック解除するロック解除手段と、第1位置と第2位置間を移動自在に前記ベース部材に対して設けられた操作部材と、ロック解除されたカップトレイが下降する際に、カップトレイの下降に連動して前記操作部材を前記第1位置から第2位置に移動させる連動機構を備え、前記カップトレイは、自身の重量で下降可能に構成され、又はカップトレイに付加された重量付加手段により下降可能に構成され、又は前記カップトレイとカップトレイに載せられたカップと内容物の重量により下降可能に構成され、前記カップトレイは、前記ロック手段が前記ロック解除手段によりロック解除された際に、下降して使用位置に位置し、前記ロック手段は、操作部材が第2位置から第1位置へ操作された際、前記連動機構により前記カップトレイが使用位置から不使用位置へ復帰したとき、前記カップトレイを不使用位置でロックすることを特徴とするカップホルダを要旨としている。
【0011】
請求項1の発明によれば、ロック解除手段によりロック手段のロックを解除すると、カップトレイが下降して使用位置に位置し、ベース部材の収納部がカップの収納空間として半自動的に形成される。
【0012】
また、操作部材はロック解除されたカップトレイが下降する際に、カップトレイの下降に連動する連動機構により第1位置から第2位置へ移動する。操作部材が第2位置から第1位置へ操作されると、連動機構によりカップトレイが使用位置から不使用位置へ復帰したとき、カップトレイが不使用位置でロックされる。
【0013】
請求項2の発明は、請求項1において、前記操作部材が、前記カップトレイに載置されたカップ(C)を前記カップトレイ(30)の上方空間で規制する規制体(50)であることを特徴とする。
【0014】
請求項2の発明によれば、操作部材を規制体とすることにより、カップトレイに載置されたカップをカップトレイの上方空間で規制する。
請求項3の発明は、請求項2において、前記操作部材が第1位置に位置するとき、操作部材の上面と前記ベース部材の上面とは面一にされていることを特徴とする。
【0015】
請求項3の発明によれば、操作部材が第1位置に位置するとき、操作部材の上面とベース部材の上面とは面一にされているため、カップホルダが不使用のときは、操作部材によりベース部材の上面が雑然とすることなく整然とすることが可能となる。
【0016】
請求項4の発明によれば、カップトレイの不使用位置から使用位置へ下降する際に、下降の衝撃を緩和する緩和手段を備えることにより、カップトレイにカップを載置した状態で、使用位置へ下降する際、カップへの衝撃が抑制され、カップ内の飲み物等がこぼれることがない。
【0017】
請求項5の発明は、請求項1乃至請求項4のうちいずれか1項において、前記カップトレイの不使用位置に位置するとき、前記カップトレイのカップを載置する載置面と前記ベース部材の上面とは面一にされていることを特徴とする。
【0018】
請求項5の発明によれば、カップトレイの不使用位置に位置するとき、カップトレイのカップを載置する載置面とベース部材の上面とが面一にされていることにより、カップホルダが不使用のときは、カップトレイによりベース部材の上面が雑然とすることなく整然とすることが可能となる。
【発明の効果】
【0019】
請求項1乃至請求項5の発明によれば、カップを収納しない不使用時には、カップを収納する収納空間をベース部材から見えなくしてベース部材の上面を整然とすることができるとともに、使用時にはカップの収納空間を半自動的に形成でき、しかも、モータ及びコントローラを必要としないため、構成が簡単で低コストで構成でき、さらにカップ収納時にカップが転倒することないカップホルダを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】(a)はカップを収納していない状態のベース部材を表面側から見た一実施形態のカップホルダの斜視図、(b)はカップを収納している状態のベース部材を表面側から見た一実施形態のカップホルダの斜視図。
【図2】(a)はカップを収納していない状態の一実施形態のカップホルダの断面図、(b)はカップを収納している状態の一実施形態のカップホルダの断面図。
【図3】図2(a)の3−3線断面図。
【図4】図2(a)の4−4線断面図。
【図5】一実施形態のカップホルダのカップトレイと規制体の動作のタイミングチャート。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(実施形態)
以下、本発明の実施形態として、自動車のコンソール(コンソールボックスともいう、以下単にコンソールという)に配置したカップホルダHについて図1〜図5を参照して説明する。
【0022】
図2(a)、図2(b)に示すように、自動車のコンソール10の上壁には、収納部11が形成されている。収納部11は、コンソール10の上壁から、筒状に形成された収納壁12が下方へ突出されることにより形成されている。コンソール10は、ベース部材に相当する。
【0023】
収納壁12は、上下方向の中央部から上部は断面円形状をなす筒部14となっており、断面円形状の内周面16を有する。また、収納壁12の上下方向の中央部から下部は断面正四角筒状をなす筒部18となっている。筒部18の各コーナーには、対角線上に位置して相対するコーナーに向かって、突条20が突出され、上下方向に延びている。各突条20の上端面22は、同一高さに形成され、後述するカップトレイ30を係止可能である。
【0024】
収納部11内には、上面をカップCの載置面30aとするカップトレイ30が上下方向へ移動自在に収納されている。カップトレイ30は、断面正四角筒状をなす筒部32(図3参照)と、筒部32の上部を覆うように形成された円板状のトレイ部34により構成されている。トレイ部34は図2(a)、図2(b)に示すように周縁部が下方に折り返されて、内周面16に対して摺接可能な周壁36が形成されている。また、周壁36の下面はトレイ部34が下方へ移動した際に、各突条20の上端面22に係止可能である。周壁36が突条20の上端面22に係止した際のカップトレイ30の位置は使用位置に相当する。
【0025】
図3に示すように筒部32の各コーナーには、相互に離間した一対のガイド片35がそれぞれ外方に向かって突出されている。各一対のガイド片35間には、前記突条20がそれぞれ上下方向に摺動自在に挿入されている。
【0026】
前記カップトレイ30のトレイ部34が、図1及び図2(a)に示すように、収納部11の開口部に位置する不使用位置では、その意匠面(上面)がコンソール10上面と面一となるように設定されている。そして、カップトレイ30は不使用位置と、使用位置間で収納部11内において移動可能である。カップトレイ30が不使用位置から使用位置へ移動すると、収納部11の開口部が閉塞された状態から開放されて、収納部11内において、使用位置に位置するカップトレイ30の載置面30aの上方空間をカップ収納空間として形成される。
【0027】
また、図3に示すように筒部32の一側壁外面には、上下方向に延びるラック38が形成されている。
ラック38と相対する筒部18には、図3に示すように、一対の取付壁19が相対して形成されている。両取付壁19には、前記ラック38と噛合するピニオン40が軸40aにより回動自在に支持されている。
【0028】
取付壁19に近位に位置する後述する規制体50のサポートピラー54には、ラック歯59が上下方向に並んで形成され、取付壁19から突出した軸40aには、ラック歯59と噛合する歯車60が固定されている。ピニオン40、軸40a及び歯車60により、連動機構100が構成されている。
【0029】
図1(b)、図2(a)に示すように、収納部11の上部の内周面16の開口周縁には、円形リング状の係止段部16aが形成されている。
規制体50について説明する。規制体50は、図2(a)、図2(b)に示すように、係止段部16a上面に載置可能に形成された円形リング状の規制リング52と、規制リング52の下面に連結固定されるとともに係止段部16aに対して上下方向に摺動自在に貫通した複数のサポートピラー54と、各サポートピラー54の下端に連結固定された円形リング状の連結環56とにより構成されている。規制リング52は、収納部11の内周面16の中心と同心となるように設定されている。
【0030】
図4に示すようにコンソール10の筒部14の外面にはガイド筒74が上下方向に延出されているとともに、各サポートピラー54の上部はガイド筒74内面に設けられたガイド突条76により上下方向に円滑に滑動するようにガイドされている。ガイド筒74の下端は、後述する第1位置に位置していた規制体50が上昇作動した際、規制体50の連結環56が当接係止可能である(図2(b)参照)。この上昇して連結環56に係止したときの位置を、規制リング52がコンソール10上面から遠位に離間した規制体50の規制位置という。前記規制位置は、第2位置に相当する。
【0031】
また、規制体50は、カップトレイ30が不使用位置から使用位置間を移動する際に前記連動機構100を介して連動する。そして、カップトレイ30が、不使用位置に位置している際は、規制リング52が係止段部16a上面に載置された第1位置に位置するように設定されている。さらに、規制リング52が係止段部16a上面に載置された第1位置に位置している場合、規制リング52の上面は、コンソール10の上面と面一となるようにその高さが設定されている。また、カップトレイ30が、使用位置に位置する際は、規制体50は、図2(b)に示すように連結環56がガイド筒74の下端に係止する規制位置間を移動可能である。このようにして、規制体50は、連動機構100により連動することにより第1位置と第2位置(規制位置)間で移動可能である。
【0032】
カップトレイ30のトレイ部34の下面と、コンソール10の下部間には、緩和手段としてのエアーダンパ80が配置されている。エアーダンパ80は、コンソール10の下部に固定されたシリンダ82と、シリンダ82の上部から上下方向への進退可能に内嵌されたロッド84からなる。ロッド84はトレイ部34の中央下面に連結されている。
【0033】
本実施形態では、カップトレイ30の自重は、エアーダンパ80の反力と規制体50の自重を加えたものよりも大きく設定されている。このため、カップトレイ30の拘束が解除された際に、エアーダンパ80の反力に抗して連動機構100を介して、規制体50を上昇させることが可能となっている。カップトレイ30の自重は自重手段に相当する。また、規制体50は、操作部材に相当する。
【0034】
図2(a)、図2(b)に示すように、係止段部16aの近傍において、コンソール10の上面には、カップトレイ30を不使用位置にロック規制するためのロック手段としてのロック機構90が設けられている。
【0035】
ロック機構90について説明する。
コンソール10の上壁において、係止段部16aの下方にはロック部材収納室92が設けられ、ロック部材収納室92内には、ロック部材94が収納部11の中心に向かって移動自在に収納されている。ロック部材収納室92は、収納部11側の端部が開口されていて、ロック部材94の先端が収納部11内に突出可能となっている。この突出位置を以下ロック位置という。ロック部材94の先端は斜め下方に向かうように傾斜面94bが形成されている。また、ロック部材収納室92は、収納部11側とは反対側の閉塞端とされていて、該端部とロック部材94の基端間にはロック部材94を収納部11側へ常時付勢する付勢手段としてのコイルスプリング96が配置されている。なお、付勢手段としては板バネ等の他のバネ材、或いはゴム等の弾性部材であってもよい。ロック部材94の上面には、係止段部16aに向かった斜状の操作面94aが形成されている。ロック部材94と、付勢部材としてのコイルスプリング96とによりロック機構90が構成されている。
【0036】
ロック部材収納室92の上方のコンソール10の上壁には、下面に係止段部98aを備えた操作ボタン用の貫通孔98が貫通されている。貫通孔98には、下方から上下移動自在に挿通された操作ボタン110が挿入されている。操作ボタン110には、係止段部98aに係止可能にフランジ112が形成されている。また、操作ボタン110の下部には、ロック部材94の操作面94aに当接する突起114が突出されている。
【0037】
ロック部材94は、操作ボタン110が操作されていない場合は、図2(a)に示すように、コイルスプリング96の付勢によってロック部材94の先端が収納部11内に突出するロック位置に位置することにより、カップトレイ30を不使用位置に規制すべくカップトレイ30の周壁36の下面を係止し、ロックしている。また、操作ボタン110はコイルスプリング96の付勢により、操作面94aに押圧されてフランジ112が係止段部98aに係止されるとともに、上部が貫通孔98から上方に突出されている。
【0038】
また、上記のようにカップトレイ30が不使用位置にロックされた状態で、コイルスプリング96の付勢力に抗して操作ボタン110が上方から下方へ押圧操作されると、突起114が操作面94aを押圧して、ロック部材94をロック部材収納室92の閉塞端側へ移動する。このことにより、周壁36の下面への係止が解除されてカップトレイ30の不使用位置のロックが解除される。このように操作ボタン110は、ロック機構90(ロック手段)のロック解除手段に相当する。
【0039】
(実施形態の作用)
次に、本実施形態のカップホルダHの作用を説明する。
1. カップホルダHを使用状態にする場合
図2(a)に示すように、規制体50が第1位置に位置し、カップトレイ30が不使用位置に位置している状態で、操作ボタン110を乗員が押圧操作すると、ロック機構90のロックが解除されて、カップトレイ30が自重により不使用位置から使用位置へ下降する(図5参照)。この下降は、エアーダンパ80により、ロック解除時の衝撃が緩和されてスムーズに行われる。なお、乗員による操作ボタン110の押圧操作が解除されると、カップトレイ30のロックを解除したロック部材94の先端は、コイルスプリング96により付勢されて図2(a)の実線で示すロック位置に復帰する。
【0040】
カップトレイ30の下動により、ラック38を介してピニオン40が回動されて、連動機構100の軸40a、歯車60を介してラック歯59を有するサポートピラー54が上動する。このことにより規制体50が第1位置から規制位置まで上昇する。
【0041】
規制体50が規制位置に位置している場合、カップトレイ30の自重により、規制体50が下降することが防止されている。
そして、この状態では収納部11の開口部の閉塞が解除されて、収納部11においてカップトレイ30の載置面30aの上方空間は、カップCの収納空間が形成されるため、この収納空間内にカップCを収納し、載置面30aに載置する。カップCのコンソール10上面から突出した部位は、規制体50の規制リング52により、傾きが防止され、或いは規制可能であり、カップCが倒れることもない。
【0042】
2.カップホルダHを不使用状態にする場合
図2(b)に示す状態で、乗員が規制位置に位置する規制体50の規制リング52を第1位置まで下方に押圧操作する。
【0043】
この押圧により、連動機構100及びカップトレイ30は、前述の作動とは逆方向に動作し、カップトレイ30が使用位置から不使用位置へ上昇する。
また、カップトレイ30が上昇して、ロック位置に位置するロック部材94の先端の傾斜面94bを押圧すると、ロック部材94は、コイルスプリング96の付勢力に抗してロック部材収納室92側にロック位置から退避する。この後、カップトレイ30の周壁36の下面がロック部材94の先端上方に移動するとコイルスプリング96の付勢力によりロック部材94の先端がロック位置に復帰して、周壁36の下面を係止する。
【0044】
本実施形態によれば、以下のような特徴がある。
(1) 本実施形態のカップホルダHでは、コンソール10(ベース部材)に形成された収納部11の開口部に位置して開口部を閉塞する不使用位置と不使用位置よりも下方であって収納部11の開口部を開放する使用位置間を移動可能に支持されたカップトレイ30と、カップトレイ30を不使用位置にロックするロック機構90(ロック手段)と、ロック機構90をロック解除する操作ボタン110(ロック解除手段)を備えている。
【0045】
また、カップホルダHは、コンソール10の上面に対して、第1位置と規制位置(第2位置)間を移動自在に設けられた規制体50(操作部材)と、ロック解除されたカップトレイ30が下降する際に、カップトレイ30の下降に連動して規制体50(操作部材)を第1位置から規制位置(第2位置)に移動させる連動機構100を備えている。また、カップホルダHでは、カップトレイ30が、自身の重量で下降可能な自重(自重手段)を有する。そして、カップトレイ30は、ロック機構90(ロック手段)が操作ボタン110(ロック解除手段)によりロック解除された際に、自重により下降して不使用位置に位置する。また、ロック機構90(ロック手段)は、規制体50(操作部材)が規制位置(第2位置)から第1位置へ操作された際、連動機構100によりカップトレイ30が使用位置から不使用位置へ復帰したとき、カップトレイ30を不使用位置でロックする。
【0046】
この結果、本実施形態のカップホルダHでは、操作ボタン110(ロック解除手段)によりロック機構90(ロック手段)のロックを解除すると、カップトレイ30が自身の重量により下降して使用位置に位置し、コンソール10の収納部11がカップの収納空間として半自動的に形成される。
【0047】
このため、本実施形態によれば、カップを収納しない不使用時には、カップを収納する収納空間をベース部材から見えなくしてベース部材の上面を整然とすることができるとともに、使用時にはカップの収納空間を半自動的に形成でき、しかも、モータ及びコントローラを必要としないため、構成が簡単で低コストで構成でき、さらにカップ収納時にカップが転倒することない。
【0048】
(2) 本実施形態のカップホルダHは、操作部材が、カップトレイ30に載置されたカップCをカップトレイ30の上方空間で規制する規制体50としていることにより、カップトレイ30に載置されたカップCをカップトレイの上方空間で規制でき、或いはカップCの径が収納部11の径よりも小径の場合は、傾きが抑制できる。
【0049】
(3) 本実施形態のカップホルダHは、規制体50(操作部材)が第1位置に位置するとき、規制体50(操作部材)の規制リング52上面とコンソール10の上面とは面一にされているため、カップホルダHが不使用のときは、規制体50によりベース部材の上面が雑然とすることなく整然とすることができる。
【0050】
(4) 本実施形態のカップホルダHは、カップトレイ30の不使用位置から使用位置へ下降する際に、下降の衝撃を緩和するエアーダンパ80(緩和手段)を備えることにより、カップトレイにカップを載置した状態で、使用位置へ下降する際、カップへの衝撃が抑制され、カップ内の飲み物等がこぼれることがない。
【0051】
(5) 本実施形態のカップホルダHは、カップトレイ30の不使用位置に位置するとき、カップトレイ30のカップCを載置する載置面30aとコンソール10の上面とが面一にされていることにより、カップホルダHが不使用のときは、カップトレイ30によりコンソール10の上面が雑然とすることなく整然とすることができる。
【0052】
なお、本実施形態は以下のように変更してもよい。
・ 前記実施形態では、ベース部材をコンソール10としたが、コンソール10に限定するものではない。
【0053】
・ 前記実施形態では、サポートピラー54を複数設けたが、単数であってもよい。
・ 前記実施形態では、カップトレイ30の自重を自重手段としたが、カップトレイ30に重量付加手段として重りを付加してもよい。例えばカップトレイ30の自重のみでは、エアーダンパ80の反力及び規制体50の重量に抗して、規制体50を上昇させることができない場合、前記重りを、例えば、カップトレイ30の裏面側に取付けて、重りとカップトレイ30の自重を加えた重さにより、エアーダンパ80の反力及び規制体50の重量に抗して、規制体50を上昇させるようにする。
【0054】
また、カップトレイ30の自重により下降させるように構成する代わりに、カップトレイ30とカップトレイ30に載せられたカップと内容物の重量により下降を可能としてもよい。すなわち、カップトレイ自身の重量ではロック手段のロックを解除しても、下降はしないが、不使用位置に位置するカップトレイ30に飲料等の内容物を貯留したカップを載置した状態でロック手段のロックを解除した場合には、前記カップを搭載した状態のカップトレイ30が、カップ及び内容物、並びにカップトレイの合計重量により下降を開始するようにカップトレイ30の重量を設定する。
【0055】
・ 前記実施形態からエアーダンパ80を省略してもよい。
・ 前記実施形態では、操作部材を規制体50としたが、規制体50に限定されるものではない。
【0056】
例えば、規制体50を省略して、すなわち規制リング52、及びラック歯59を有するサポートピラー54以外のサポートピラー54を省略して。残ったラック歯59を有するサポートピラー54を操作部材にする。この場合、ラック歯59を有する操作部材の上端には、操作ノブ等を設けるようにする。
【符号の説明】
【0057】
10…コンソール(ベース部材)、
11…収納部、30…カップトレイ、34…トレイ部、
50…規制体(操作部材)、80…エアーダンパ(緩和手段)、
90…ロック機構(ロック手段)、100…連動機構、
110…操作ボタン(ロック解除手段)、C…カップ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース部材に形成された収納部の開口部に位置して前記開口部を閉塞する不使用位置と不使用位置よりも下方であって収納部の開口部を開放する使用位置間を移動可能に支持されたカップトレイと、
前記カップトレイを不使用位置にロックするロック手段と、
前記ロック手段をロック解除するロック解除手段と、
第1位置と第2位置間を移動自在に前記ベース部材に対して設けられた操作部材と、
ロック解除されたカップトレイが下降する際に、カップトレイの下降に連動して前記操作部材を前記第1位置から第2位置に移動させる連動機構を備え、
前記カップトレイは、自身の重量で下降可能に構成され、又はカップトレイに付加された重量付加手段により下降可能に構成され、又は前記カップトレイとカップトレイに載せられたカップと内容物の重量により下降可能に構成され、
前記カップトレイは、前記ロック手段が前記ロック解除手段によりロック解除された際に、下降して使用位置に位置し、
前記ロック手段は、操作部材が第2位置から第1位置へ操作された際、前記連動機構により前記カップトレイが使用位置から不使用位置へ復帰したとき、前記カップトレイを不使用位置でロックすることを特徴とするカップホルダ。
【請求項2】
前記操作部材が、前記カップトレイに載置されたカップを前記カップトレイの上方空間で規制する規制体であることを特徴とする請求項1に記載のカップホルダ。
【請求項3】
前記操作部材が第1位置に位置するとき、操作部材の上面と前記ベース部材の上面とは面一にされていることを特徴とする請求項2に記載のカップホルダ。
【請求項4】
前記カップトレイの不使用位置から使用位置へ下降する際に、下降の衝撃を緩和する緩和手段を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項3のうちいずれか1項に記載のカップホルダ。
【請求項5】
前記カップトレイの不使用位置に位置するとき、前記カップトレイのカップを載置する載置面と前記ベース部材の上面とは面一にされていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のうちいずれか1項に記載のカップホルダ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−107456(P2013−107456A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−252889(P2011−252889)
【出願日】平成23年11月18日(2011.11.18)
【出願人】(000110321)トヨタ車体株式会社 (1,272)
【Fターム(参考)】