説明

カップリング装置

【課題】両継手の分離状態において雌継手の副開閉弁から流体が滲み出るのを簡単な構造で確実に防止し、雌継手内部の流体に残圧があっても常圧付近であっても空気を含む流体を確実にシールすることができるようなカップリング装置を提供する。
【解決手段】雄継手3とこの雄継手3に着脱可能に接続される雌継手4とを備え、雌継手4の筒状部材70の先端部分に、接続状態のとき、雄継手3の突出筒部13と筒状部材70間を封止する環状シール部78aと筒状部材70の弁体部73を形成する環状シール部78bとを一体形成した環状シール部材78を装着した。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】 本発明は、雄継手と雌継手とを有するカップリング装置に関し、特に分離状態における雌継手の出口部の弁部の遮断性を確保し、雌継手から流体が外部に滲み出さないように改善したものに関する。
【0002】
【従来の技術】 各種機械装置における流体供給系(油圧系や加圧エア系など)における流体通路を分離可能に接続する為のカップリング装置(雄継手と雌継手とからなる)としては種々実用化されている。例えば、マシニングセンタにおいて機械加工の対象としてのワークを着脱可能に固定する為のワークパレットには、1又は複数の油圧式のクランプ装置が装備されるが、その油圧式クランプ装置に油圧を供給する油圧通路を接続するカップリング装置が設けられることがある。
【0003】図8〜図10に示すように、例えば本願出願人が提案して開発中のカップリング装置100は雄継手101と雌継手102と油圧シリンダ103とを有する。雄継手101は複数のボルト104で固定され、雌継手102は雄継手101よりも下方に配設され、油圧シリンダ103により進退移動可能に設けられている。油圧シリンダ103のシリンダ本体105の内部に雌継手102が配設され、この油圧シリンダ103により雌継手102を接続位置と分離位置とに亙って移動駆動するようになっている。
【0004】雄継手101の下端部の突出筒部は、雌継手102の上端部分に挿入可能に構成され、両継手101,102の接続状態(図10参照)のとき、雄継手101の主開閉弁106はその油の通路を開き且つ副開閉弁107もその油の通路を開く。両継手101,102の分離状態(図8、図9参照)のとき、主開閉弁106はその通路を閉じ且つ副開閉弁107もその通路を閉じるようになっている。この副開閉弁107においては、接続状態のとき、弁軸部材109が突出筒部に対して相対的に上方へ後退する構造であるため、副開閉弁107の弁座部108が環状テーパ面に、弁軸部材109の弁体部110をメタルタッチにて当接させるシート型の弁として構成することができる。
【0005】両継手101,102の接続状態(図10参照)のとき、雌継手102の主開閉弁111はその油の流路を開き且つ副開閉弁112もその油の流路を開く。分離状態(図8、図9参照)のとき、主開閉弁111はその流路を閉鎖し且つ副開閉弁112もその流路を閉じるようになっている。図9に示すように、分離状態のとき、主開閉弁111は通路を開き且つ副開閉弁112において筒状部材113と軸状体114間の通路が閉じられる。即ち、図10に示すように、接続状態のとき、軸状体114が雄継手101の突出筒部内へ突入する関係上、副開閉弁112をシート型の弁に構成することが難しい。そのため、副開閉弁112は、その軸状体114の先端部を筒状部材113の弁面孔に嵌合させることで通路を遮断するような構造になっている。そして、筒状部材113の先端部分には、接続状態のとき雄継手101の突出筒部の下端面との間を封止する合成樹脂製の環状シール部材115が装着されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】 電動ポンプ等の加圧手段を有する油圧供給源を適用した場合、油は微少な空気を巻き込んだ状態で吐出される。すると両継手101,102を分離した際、雌継手102内部にも微少な空気が残留してしまい、副開閉弁112から空気と共に油が微少に滲み出し、油も無駄になり、カップリング装置の周辺が汚れ易くなり環境上好ましくない。
【0007】例えば、雌継手102の軸状体114を分割構造にして、副開閉弁112を雄継手101のようなシート型の弁にすることも可能であるが、雌継手102内部の圧力は、分離した後常圧近くまで低下しているので、シート部を強く圧接できない。従って前記と同様に副開閉弁112から空気と共に油が微少に滲み出す。更に、主開閉弁111がリークし、雌継手102の先端部まで高圧の油が作用すれば、軸状体114に大きな力が作用するので、軸状体114を小径化できなくなる。
【0008】本発明の目的は、両継手の分離状態において雌継手の副開閉弁から流体が滲み出るのを簡単な構造で確実に防止し、雌継手内部の流体に残圧があっても常圧付近であっても空気を含む流体を確実にシールすることができるようなカップリング装置を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】 請求項1のカップリング装置は、雄継手とこの雄継手に着脱可能に接続される雌継手とを備え、圧力流体の通路を分離可能に接続するカップリング装置において、前記雄継手は、雄継手に部分的に挿入可能な突出筒部と、この突出筒部の内部に軸方向へ移動可能に装着された弁軸部材と、突出筒部の内部の弁座部とこの弁座部に奥側から接離可能に弁軸部材に形成された弁体部とを有し且つ突出筒部と弁軸部材間の流体通路部分を閉鎖可能な第1弁機構と、弁軸部材を閉弁側へ付勢するスプリングとを備え、前記雌継手は、突出筒部が内嵌状に係合可能な係合孔を有する本体ケースと、この本体ケースの内部に装着された軸状体と、この軸状体に軸方向摺動自在に外嵌され且つ突出筒部の先端面に対向する筒状部材と、軸状体の先端近傍部の円筒弁面部とこの円筒弁面部に奥側から外嵌可能に筒状部材に形成された弁体部とを有し且つ筒状部材と軸状体間の流体通路部分を閉鎖可能な第2弁機構と、筒状部材を閉弁側へ付勢するスプリングとを備え、前記筒状部材の先端部分に、接続状態のとき突出筒部と筒状部材間を封止する環状シール部と筒状部材の弁体部を形成する環状シール部とを一体形成した環状シール部材を装着したことを特徴とするものである。
【0010】雄継手と雌継手が分離状態のとき、雄継手の第1弁機構においては、突出筒部の内部の弁座部に、弁軸部材の弁体部がスプリングの付勢力で当接し、突出筒部と弁軸部材間の流体通路部分が遮断される。雌継手の第2弁機構においては、筒状部材がスプリングの付勢力で閉弁側へ付勢され、筒状部材の弁体部が軸状体の先端付近部の円筒弁面部に接触して筒状部材と軸状体間の流体通路部分を閉じる。筒状部材の先端部分に環状シール部材が装着され、この環状シール部材には筒状部材の弁体部を形成する環状シール部が形成されているので、雌継手の第2弁機構の遮断性能が高まり、両継手が分離状態の間に第2弁機構から流体が滲み出すことがない。
【0011】雄継手と雌継手を接続する際、両継手を相接近移動させると、突出筒部と筒状部材とが当接し、弁軸部材と軸状体とが当接し、その後弁軸部材と軸状体とが当接したまま、突出筒部が雌継手の本体ケースの係合孔に部分的に挿入していき、突出筒部と筒状部材間が筒状部材に装着された環状シール部材の環状シール部で封止される。雄継手の第1弁機構においては、弁軸部材の弁体部がスプリングの付勢力に抗して突出筒部の弁座部から離隔し、突出筒部と弁軸部材間の流体通路部分を開く。雌継手の第2弁機構においては、スプリングの付勢力に抗して筒状部材が突出筒部の先端面に押圧され、筒状部材が退入移動して筒状部材と軸状体間の流体通路部分が開く。
【0012】請求項2のカップリング装置は、請求項1の発明において、前記環状シール部材が弾力性のあるゴム材料で構成されたことを特徴とするものである。それ故、環状シール部材の環状シール部(筒状部材の弁体部)が弾性変形して軸状体の円筒弁面部に圧接するので、雌継手内部の圧力が常圧付近であっても、雌継手の第2弁機構から油や微少な空気が滲み出すのを確実に防止することができる。その他、請求項1と同様の作用を奏する。
【0013】請求項3のカップリング装置は、請求項1又は2の発明において、第1弁機構の弁座部が環状テーパ面に形成され、この弁座部に弁軸部材の弁体部がメタルタッチにて当接することを特徴とするものである。両継手の分離状態のとき、スプリングにより弁軸部材が閉弁側へ付勢されて、弁軸部材の弁体部が環状テーパ面に圧接するため、雄継手の第1弁機構においても油が滲み出すことがない。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。本実施形態は、マシニングセンタにおいて加工対象の多数のワークを着脱可能に取付けて機械に供するワークパレットに装備された油圧式クランプへ油圧を供給、排出する油圧通路を分離可能に接続するカップリング装置に本発明を適用した場合の一例である。
【0015】図1〜図4に示すように、カップリング装置1は、ワークパレットに3本のボルト2により固定される上側の雄継手3と、この雄継手3に下方から対向する状態に配設され且つマシニングセンタのベース側に設装備される雌継手4と、カップリング装置1の接続、分離の為にこの雌継手4を雄継手3に対して進退駆動する油圧シリンダ5などを備えている。
【0016】最初に、雄継手3について説明する。図1〜図3に示すように、雄継手3は、本体ケース6と、この本体ケース6内の油の通路7と、通路7を開閉可能な主開閉弁8と、通路7を開閉可能な副開閉弁9とを有する。本体ケース6は鉛直向きに配設され、その上端部分のフランジ部10が3本のボルト2でワークパレット(図示略)に固定されている。本体ケース6の下端部分には、本体ケース6の一部をなす筒状ケース11が内嵌され4本のボルト12により固定されている。図1、図5R>5に示すように、筒状ケース11の下端部分には、下方に突出する突出筒部13が形成され、突出筒部13は雌継手4に部分的に挿入可能に構成されている。突出筒部13の内部には、弁軸部材14が軸方向へ移動可能に装着され、この弁軸部材14には、その上端部から下方に向けて、順次、小径部15、中径部16、大径部17、摺動案内面19、弁体部20が形成されている。
【0017】雄継手3の主開閉弁8について説明する。図1、図6、図7に示すように、主開閉弁8は、弁座形成部材23、弁部材28、圧縮スプリング29、突出弁座部31、環状シール部材30、弁軸部材14の小径部15、通路25、孔26などを有する。本体ケース6内の中段付近部より上部には、筒状ケース11の係合孔21に連続し係合孔21よりもやや小径の孔22が形成され、この孔22に略筒状の弁座形成部材23が可動に内装されている。この主開閉弁8には、弁座形成部材23と孔22との間の通路24、通路25,27に通ずる複数の孔26などが形成されている。
【0018】弁座形成部材23の内部には、弁部材28が移動可能に装着されて、圧縮スプリング29により閉弁側へ付勢されている(図1参照)。弁部材28の下端には弁面部をなす合成樹脂(例えば、ナイロン等)製の環状シール部材30が装着され、弁座形成部材23には環状シール部材30に対向する環状の突出弁座部31が形成され、環状シール部材30が突出弁座部31に圧接されると、通路25が閉じる。図7に示すように、両継手3,4が接続状態のとき、弁部材28は、弁軸部材14の小径部15で上方へ押動され、圧縮スプリング29の付勢力に抗して軸方向上方に移動し主開閉弁8が開弁する。また、両継手3,4が分離状態のとき、環状シール部材30が突出弁座部31に当接して主開閉弁8が閉弁状態を保持する。
【0019】雄継手3の副開閉弁9について説明する。図1、図5〜図7に示すように、係合孔21の上端部において、弁座形成部材23と筒状ケース11との間にはバネ受部材32が介設され、このバネ受部材32は、弁軸部材14の中径部16を摺動案内するガイド筒部33と、通路34(筒状ケース11の内側部分の通路)と通路35とを連通する複数の孔36とを有し、ガイド筒部33には弁軸部材14を下方へ付勢する圧縮スプリング37の上端部が外装されている。
【0020】副開閉弁9は第1弁機構に相当するものである。突出筒部13の内部には弁座部39が環状テーパ面として形成され、弁軸部材14の下端付近の弁体部20が、弁座部39に上側から接離可能である。突出筒部13と弁軸部材14間に通路又は通路部分が形成され、弁体部20は圧縮スプリング37により下方へ付勢されている。副開閉弁9が閉弁状態のときには、弁体部20が弁座部39にメタルタッチにて強く圧接し、副開閉弁9の通路を閉じる。筒状ケース11の内部には、雄継手2内の通路のうちの、主開閉弁8と副開閉弁9の間の部分の容積を調整して、その部分の油の残圧や負圧を調整する為のスペーサ40が設けられている。尚、符号41〜43はシール部材を示し、符号44は油圧ホース接続金具の為のポートを示し、符号45はプラグを示す。
【0021】次に、雌継手4について説明する。図1、図4に示すように、雌継手4は、本体ケース50と、本体ケース50内の油の通路51と、通路51を開閉可能な主開閉弁52と、副開閉弁53とを有する。本体ケース50は鉛直向きに配設され、本体ケース50の下端部分には、本体ケース50の一部をなす下部ケース54が内嵌螺合されている。
【0022】図1、図5〜図7に示すように、本体ケース50の上端部分には、雄継手3の突出筒部13が内嵌状に係合可能な係合孔55が形成され、本体ケース50の内部には、本体ケース50の上端から中段付近部にわたる軸状体56が固定的に設けられている。この軸状体56には、上端部から下方に向って順次、円筒弁面部57、小径部58、円筒弁面部57とほぼ同径の中径部59、大径部60、フランジ部61、大径部60とほぼ同径の弁座形成部62などが形成されている。
【0023】雌継手4の主開閉弁52について説明する。図1、図6、図7に示すように、主開閉弁52は、筒状弁体63、この筒状弁体63に形成された環状突起65、合成樹脂製の環状シール66、圧縮スプリング68とピン69等を備えている。即ち、下部ケース54内の上端から中段付近部には、上端から順次小径となるように、大径孔と中径孔と小径孔とが段付き加工され、このうち小径孔には、筒状弁体63が内嵌され軸方向に移動可能に装着されている。筒状弁体63の上端部には、フランジ部64が形成されこのフランジ部64が大径孔内部を移動する。フランジ部64の上端には、環状突起65が形成され、この環状突起65は、弁座形成部62の下端部に装着された環状シール66に当接可能になっている。
【0024】フランジ部64と段部67の間には、筒状弁体63を上方へ付勢する圧縮スプリング68が介装され、両継手3,4が分離状態のとき、圧縮スプリング68の付勢力により環状突起65が環状シール66に当接して主開閉弁52が閉弁状態になる(図1参照)。フランジ部61には、6つの孔が周方向等間隔おきに形成され、1つおきの3つの孔には3本のピン69が挿入され、これらピン69の下端はフランジ部64に当接して支持されている。尚、残りの3つの孔は油の通路となっている。図1、図7に示すように、3つのピン69の上端部が大径部60の上側へ突出し、両継手3,4が接続状態のとき、ピン69が軸状体56に外嵌された筒状部材70で下方へ押動されて、圧縮スプリング68の付勢力に抗して筒状弁体63を下方へ移動して、油の通路71を開く(主開閉弁52が開弁する)(図7参照)。
【0025】雌継手4の副開閉弁53について説明する。副開閉弁53は第2弁機構に相当するものである。図5に示すように、副開閉弁53は、円筒弁面部57を有する軸状体56と、弁体部73を有する筒状部材70とを備え、筒状部材70と軸状体56間の油の通路74を開閉する。筒状部材70は、雄継手3の突出筒部13の先端面に下方から対向するように配設されて、係合孔55に移動可能に内嵌されている。この筒状部材70には、上端から下方に向かって順次、係合孔55と略長の筒状部75と、フランジ部76と、筒状部材下部77とが形成されている。図5に示すように、筒状部75の先端部分に形成した溝部には弾力性のあるゴム材料製の環状シール部材78が装着されて接着や焼付にて固着されている。
【0026】この環状シール部材78には、筒状部材70の上端面外へ突出した環状シール部78aと、円筒弁面部57よりも小径側へはみ出す環状シール部78bとが一体形成されている。環状シール部78aは、両継手3,4の接続状態のとき突出筒部13と筒状部材70間を封止する。筒状部材70の弁体部73を構成する環状シール部78bは、両継手3,4の分離状態のときに、軸状体56の円筒弁面部57に密着して、副開閉弁53の内側の通路を遮断する。
【0027】筒状部材70を閉弁側(上方)へ付勢する圧縮スプリング79が設けられ、筒状部材下部77には複数の油の通路77aが形成されている。筒状部材下部77は両継手3,4が接続状態のときピン69の上端を下方へ押動させて、主開閉弁52を開弁させる。軸状体56の大径部60と圧縮スプリング79との間には、雌継手4内の通路のうちの、主開閉弁52と副開閉弁53の間の部分の容積を調整して、その部分の油の残圧や負圧を調整する為の筒状のスペーサ80が設けられている。尚、符号81〜85はシールを示し、符号86は油圧給排ポートを示す。
【0028】以上説明したカップリング装置1の作用について説明する。図1、図5に示すように、雄継手3と雌継手4が分離状態のとき、雄継手3においては、主開閉弁8が閉弁状態を維持するとともに、突出筒部13の内部の弁座部39に、弁軸部材14の弁体部20が圧縮スプリング37の付勢力で圧接し、副開閉弁9が閉弁状態となる。雌継手4においては、主開閉弁52が閉弁状態を維持し、副開閉弁53が閉弁状態を維持する。即ち、軸状体56の円筒弁面部57に、筒状部材70の弁体部73が圧縮スプリング79の付勢力で外嵌し、環状シール部材78の一部からなる弁体部73が弾性変形した状態を維持するため、筒状部材70と軸状体56間の流体通路部分が密閉状態となり、雌継手4内部の油に残圧があっても、雌継手4内が常圧付近の圧力であっても、副開閉弁53から油や微少な空気が外部へ滲み出すことがない。
【0029】図6、図7に示すように、雄継手3と雌継手4を接続する際、油圧シリンダ5により雄継手3に対して雌継手4を進出作動させていくと、突出筒部13と筒状部材70とが当接し、弁軸部材14と軸状体56とが当接する。その後、弁軸部材14と軸状体56とが当接したまま、雄継手3の突出筒部13が雌継手4の本体ケース50の係合孔55に挿入していき、雄継手3の弁軸部材14が筒状ケース11に対して相対的に上方へ後退し、主開閉弁8,52が開弁するとともに副開閉弁9,53が開弁し、両継手3,4内の通路が連通状態となる。この接続状態のとき、筒状部材70の環状シール部78aにより、突出筒部13と筒状部材70の間が確実に封止されるため、通路内の油が突出筒部13と筒状部材70の間から外部へリークすることはない。
【0030】両継手3,4を分離する際には、油圧シリンダ5により雌継手4を下降させることで分離状態に切換えることができる。この分離の際、例えば雌継手4の主開閉弁52がリークし、雌継手4の先端部まで高圧の油が作用しても、環状シール部材78が弾性変形することで副開閉弁53からのリークは生じない。
【0031】以上説明したカップリング装置1によれば、環状シール部材78の環状シール部78bにより、両継手3,4の分離状態における副開閉弁53の密閉性を格段に高め、油の滲み出しにより油が無駄になることがなく、カップリング装置1の周辺の環境を汚すこともなく、耐久性を確保できる。そして、環状シール部材78を弾力性のあるゴム材料で構成したので、油内の微少な空気をも確実にシールすることができ、副開閉弁53の高い優れた密閉性を確保することができる。2つの環状シール部78a,78bを1つの環状シール部材78に形成したので、筒状部75の先端部分の構造を簡単化でき、部品数を少なくできる。
【0032】尚、本発明に係るカップリング装置1は、油圧以外の種々の流体の通路を分離可能に接続する種々のカップリング装置に適用可能であることは勿論である。また、カップリング装置1の雌継手4を油圧シリンダ5で移動可能にする代わりに雄継手3を油圧シリンダ5で移動可能に構成したり、油圧シリンダ5を省略してもよく、別の手段で両継手3,4の一方を他方に対して相対移動可能に構成してもよい。
【0033】
【発明の効果】 請求項1の発明によれば、筒状部材の先端部分に、接続状態のとき突出筒部と筒状部材間を封止する環状シール部と筒状部材の弁体部を形成する環状シール部とを一体形成した環状シール部材を装着したので、雌継手内部の油に残圧があっても、雌継手の内部が常圧付近の圧力であっても、両継手の分離状態における雌継手の第2弁機構の密閉性を確保でき、第2弁機構から空気を含む流体が外部に滲み出すのを確実に防止できる。それ故、油などの流体が無駄になることがなく、カップリング装置の周囲環境を流体で汚すこともなく、カップリング装置の耐久性を高めることができる。2つの環状シール部を1つの環状シール部材に形成したので、筒状部材の先端部分の構造を簡単化でき、部品数を少なくできる。
【0034】請求項2の発明によれば、環状シール部材が弾力性のあるゴム材料で構成されているため、環状シール部材が弾性変形して軸状体の円筒弁面部に強く圧接するので、雌継手の第2弁機構から油や微少な空気が滲み出すのを確実に防止することができ、シール性能を確保することができる。不意に雌継手の先端部まで高圧の油が作用しても、環状シール部材が弾性変形するため、第2弁機構からのリークは生じない。その他請求項1と同様の効果を奏する。
【0035】請求項3の発明によれば、環状テーパ面に形成された弁座部に弁軸部材の弁体部がメタルタッチにて当接するので、両継手の分離状態のとき、スプリングにより弁軸部材が閉弁側へ付勢されることで、弁軸部材の弁体部が環状テーパ面に強く圧接する。それ故、雄継手の第1弁機構の密閉性能を確保できる。その他請求項1又は2と同様の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るカップリング装置(雄継手と雌継手の分離状態)の縦断面図である。
【図2】雄継手の平面図である。
【図3】図1のIII − III線端面図である。
【図4】図1のIV−IV線端面図である。
【図5】両継手(分離状態)の要部拡大断面図である。
【図6】両継手(接続途中状態)の縦断面図である。
【図7】両継手(接続完了状態)の縦断面図である。
【図8】従来のカップリング装置(分離状態)の縦断面図である。
【図9】図8のカップリング装置の要部拡大断面図である。
【図10】図8のカップリング装置(接続状態)の縦断面図である。
【符号の説明】
1 カップリング装置
3 雄継手
4 雌継手
9 副開閉弁
13 突出筒部
14 弁軸部材
20 弁体部
37、79 圧縮スプリング
39 弁座部
50 本体ケース
53 副開閉弁
55 係合孔
56 軸状体
57 円筒弁面部
70 筒状部材
73 弁体部
78 環状シール部材
78a、78b 環状シール部

【特許請求の範囲】
【請求項1】 雄継手とこの雄継手に着脱可能に接続される雌継手とを備え、圧力流体の通路を分離可能に接続するカップリング装置において、前記雄継手は、雌継手に部分的に挿入可能な突出筒部と、この突出筒部の内部に軸方向に移動可能に装着された弁軸部材と、突出筒部の内部の弁座部とこの弁座部に奥側から接離可能に弁軸部材に形成された弁体部とを有し且つ突出筒部と弁軸部材間の流体通路部分を閉塞可能な第1弁機構と、弁軸部材を閉弁側へ付勢するスプリングとを備え、前記雌継手は、突出筒部が内嵌状に係合可能な係合孔を有する本体ケースと、この本体ケースの内部に装着された軸状体と、この軸状体に軸方向摺動自在に外嵌され且つ突出筒部の先端面に対向する筒状部材と、軸状体の先端付近部の円筒弁面部とこの円筒弁面部に奥側から外嵌可能に筒状部材に形成された弁体部とを有し且つ筒状部材と軸状体間の流体通路部分を閉鎖可能な第2弁機構と、筒状部材を閉弁側へ付勢するスプリングとを備え、前記筒状部材の先端部分に、接続状態のとき突出筒部と筒状部材間を封止する環状シール部と筒状部材の弁体部を形成する環状シール部とを一体形成した環状シール部材を装着したことを特徴とするカップリング装置。
【請求項2】 前記環状シール部材が弾力性のあるゴム材料で構成されたことを特徴とする請求項1に記載のカップリング装置。
【請求項3】 前記第1弁機構の弁座部が環状テーパ面に形成され、この弁座部に弁軸部材の弁体部がメタルタッチにて当接することを特徴とする請求項1又は2に記載のカップリング装置。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図1】
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【図5】
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【図6】
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【図9】
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【図7】
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【図8】
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【図10】
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【公開番号】特開2000−346266(P2000−346266A)
【公開日】平成12年12月15日(2000.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平11−156416
【出願日】平成11年6月3日(1999.6.3)
【出願人】(596037194)パスカル株式会社 (106)
【Fターム(参考)】