説明

カップリング

【課題】部品交換を容易に行うことができるカップリングを提供する。
【解決手段】このカップリングは、シャフト40を受ける第1シャフト受け部10と、シャフト50を受ける第2シャフト受け部20と、各シャフト受け部10,20を連結する連結部30とを備える。連結部30は、第1シャフト受け10に接続されていて、かつ、第2シャフト受け部20の端面と側面との角部に形成されている窪部14に当接されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2本のシャフトを相互に連結するカップリングに関し、自動車、航空機、船舶や産業機械などの動力伝達部に用いられるカップリングに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スタンド交換時の着脱が容易であり、かつ振動が発生しないミルドライブカップリングが特許文献1に開示されている。このカップリングは、圧延機のロール駆動軸のハウジング側駆動軸とスタンド側駆動軸を連結するものであって、ハウジング側駆動軸に取り付けられる第1ボスと、スタンド側駆動軸に取り付けられる第2ボスと、第1・第2ボスに両端をダイヤフラムで結合されたトルクチューブとからなり、ハウジング側駆動軸のスプライン形成部の奥側に直径の大きい第1テーパ部が形成され、先端に直径の小さい第2テーパ部が形成され、第1ボスの奥側に直径の大きい第1テーパ穴が形成され、先端に直径の小さい第2テーパ穴が形成され、2カ所でテーパ嵌合しているものである。
【0003】
【特許文献1】特開平11-047810号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、カップリングを構成する部品が僅かに一点でも故障、磨耗等すると、その部品を交換することが求められる。しかし、特許文献1に開示されている発明は、その構成が複雑であることから、部品交換をする場合には、カップリングの分解作業、当該部品の交換作業、カップリングの再組立作業が必要となる。これらの作業は、煩雑であり、作業工賃も発生することから、改善が求められている。
【0005】
特に、カップリングの分解作業の際には、カップリングにおけるシャフトを受ける部分を、シャフトの軸方向に移動させるといった、面倒な作業が必要となる。
【0006】
そこで、本発明は、部品交換を容易に行うことができるカップリングを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のカップリングは、
シャフトをそれぞれ受ける第1及び第2シャフト受け部と、前記各シャフト受け部を連結する連結部とを備え、
前記連結部は、前記第1シャフト受けに接続されていて、かつ、前記第2シャフト受け部の端面と側面との角部に形成されている窪部に当接されている。
【0008】
本発明によれば、たとえば、連結部を交換する際には、連結部と第1シャフト受け部との接続を解除して、第1シャフト受け部に対して新たな連結部を接続すればよいので、部品交換が容易となる。また、第1又は第2シャフト受け部を交換する際にも、第1又は第2シャフト受け部をシャフトの軸方向に対して直交方向にずらしてシャフトに対する交換を行えばよい。
【0009】
当業者であれば、このような部品交換作業は、通常のカップリングに比しても、容易であることがわかるであろう。
【0010】
しかも、本発明は、第1及び第2シャフト受け部と連結部という少ない部品点数で、容易な部品交換を実現できるという利点がある。
【0011】
前記連結部は、軸部と当該軸部の外周を覆う外輪とを備えるローラとするとよい。これにより、連結部と第2シャフト受け部とを弾性的に線接触させることが可能となるので、連結部と第2シャフト受け部との耐久性を高めることができる。
【0012】
また、ローラの外輪を回転させることで、連結部と第2シャフト受け部との接触面を変更することが可能となるので、連結部と第2シャフト受け部との高寿命化も実現できる。なお、選択的に、軸部と外輪との間に複数の針状ころを配置して、更に、連結部と第2シャフト受け部との耐久性を高めてもよい。
【0013】
前記窪部は、当該連結部の径に応じた幅で形成するとよい。こうすると、第1及び第2シャフトを時計回りに回転させた場合でも、その反対方向に回転させた場合でも、高トルクを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態のカップリングの模式的な使用例を示す図である。
【図2】図1のカップリングの分解図である。
【符号の説明】
【0015】
10 第1シャフト受け部
12,22 クランプ用穴
14 窪部
16,26 貫通孔
18,28 キー
20 第2シャフト受け部
24 取付部
30 連結部
40,50 シャフト
60,70 クランプ
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0017】
図1は、本発明の実施形態のカップリングの模式的な使用例を示す図であり、図1(a)には平面図を示し、図1(b)には側面図を示している。
【0018】
図1(a)に示すように、本実施形態のカップリングは、第1シャフト受け部10と、第2シャフト受け部20と、連結部30とに大別される。換言すると、本実施形態のカップリングは、第1及び第2シャフト受け部10,20と連結部30という少ない部品点数で構成されている。
【0019】
本実施形態のカップリングの構成部品の材料は、限定的ではなく、鉄、アルミニウム、ステンレス、樹脂などを用いることができ、さらには、表面をニッケルめっきなどで処理したものとすることもできる。また、本実施形態のカップリングは、第1シャフト受け部10と第2シャフト受け部20との原型は、同一の鋳型などの型を用いて形成することができる。
【0020】
第1シャフト受け部10及び第2シャフト受け部20には、それぞれ、中央部が膨らむ外形となっており、ここに、シャフト40,50が連結される。なお、図1(a)には、相対的に細いシャフト40と相対的に太いシャフト50とを示しているが、これらは例示であり、シャフトの太さの相違は、本発明とは無関係である。
【0021】
図1(b)に示すように、連結部30は、シャフト40,50の軸方向に延びる軸部34と、軸部34と第2シャフト受け部20とを接続するねじ32と、軸部34の外周を覆う外輪36と、軸部34からの外輪36の離脱を防止する蓋部38とを備えるローラとしている。なお、軸部34を、第2シャフト受け部20と一体成型することで、ねじ32をなくすこともできる。特に、カップリングが相対的に小型の場合には、軸部34と第2シャフト受け部20とを一体成型すると、部品の組み立て、一回当たりの部品の製造数などの点でメリットがある。
【0022】
連結部30をローラとすると、連結部30と第2シャフト受け部20とを弾性的に線接触させることが可能となる。このため、連結部30と第2シャフト受け部20との耐久性が高まる。
【0023】
また、連結部30をローラとすると、ローラの外輪36を例えば定期的に回転させることで、連結部30と第2シャフト受け部20との接触面を変更することが可能となる。これにより、連結部30と第2シャフト受け部20との高寿命化も実現できる。
【0024】
なお、連結部30と第2シャフト受け部20との間に、複数の針状ころを配置して、更に、連結部30と第2シャフト受け部20との回転をスムーズに行えるようにするとよい。これにより、これらの耐久性を一層高めることができる。
【0025】
第2シャフト受け部20には、取付部24に形成されている貫通孔にねじ32が通され、ねじ32が軸部34と結合される。また、第2シャフト受け部20には、シャフト50と連結した後に、これとの連結を維持するためのクランプ用穴24が形成されている。
【0026】
一方、第1シャフト受け部10には、連結部30の外輪36との当接用の窪部14が形成されている。窪部14は、第2シャフト受け部の端面と側面との角部に形成されている。また、第1シャフト受け部10にも、クランプ用穴24と同じく、クランプ用穴14が形成されている。
【0027】
図2は、図1のカップリングの分解図であり、図2(a)には第1シャフト受け部10の平面図を示し、図2(b)には図2(a)の図面下方向からの図を示し、図2(c)には図2(b)の図面左方向からの図を示している。
【0028】
また、図2(d)には第2シャフト受け部20の平面図を示し、図2(e)には図2(d)の図面下方向からの図を示し、図2(f)には図2(e)の図面右方向からの図を示している。
【0029】
図2(a)及び図2(b)を見ると理解し易いが、既述のように、窪部14は、第2シャフト受け部の端面(ここでは上端面)と側面との角部に形成されている。こうすると、たとえば、連結部30が、故障等によって交換が必要な場合に、ねじ32を外せば、容易に連結部30と第1シャフト受け部10との接続を解除できる。したがって、新たな連結部30を第1シャフト受け部10に対して接続すれば、簡単に連結部30の交換が可能となる。
【0030】
また、窪部14を、第2シャフト受け部20の端面と側面との角部に形成すると、たとえば、第1シャフト受け部10を交換する際にも、第1シャフト受け部10を、シャフトの軸方向に対して直交方向(図1(b)でいえば、下方向)にずらせば、第1シャフト受け部10と第2シャフト受け部20との接続を解除できる。したがって、新たな第1シャフト受け部10を第2シャフト受け部20に対して接続すれば、簡単に第1シャフト受け部10の交換が可能となる。
【0031】
なお、本実施形態では、窪部14の幅を、外輪36の直径と略同じにしている。具体的には、窪部14の幅を、外輪36の直径を2/100mm〜5/100mmほど広くしている。これにより、第1及び第2シャフトを時計回りに回転させた場合でも、その反対方向に回転させた場合でも、高トルクを実現できる。
【0032】
また、本実施形態では、外輪36を、その側面中央部の径が最大で、側面端部の径が最小となるような樽状としている。また、これに応じて、窪部14の形状も側面方向から見て中央部が幅広で、奥側及び手前側が幅狭の形状としている。これにより、シャフト40,50の偏心ズレが生じる場合でも、トルク伝達が可能となる。
【0033】
なお、シャフト40,50の中心軸間のズレ量を[e]とし、シャフト50の中心軸と軸部34の中心軸との距離を[R]とすると、最大変速比が[e/R]となる。
【0034】
図2(b)には、既述の部分の他に、シャフト40が通される貫通孔16と、貫通孔16に付帯してシャフト40とのキー結合用のキー18と、クランプ用穴14に取り付けられているクランプ60とを示している。なお、キー18は必ずしも必要なものではなく、別の手法によって、シャフト40と第1シャフト受け部10との連結を実現してもよい点に留意されたい。
【0035】
図2(e)にも、既述の部分の他に、シャフト50が通される貫通孔26と、貫通孔26に付帯してシャフト50とのキー結合用のキー28と、クランプ用穴24に取り付けられているクランプ70とを示している。なお、キー28は必ずしも必要なものではない点に留意されたい。
【0036】
以上説明したように、本実施形態のカップリングによれば、第2シャフト受け部の端面と側面との角部に、窪部14を形成しているので、連結部30の交換時であろうが、第1シャフト受け部10又は第2シャフト受け部20の交換時であろうが、交換対象を他部分から容易に取り外すことができるので、その交換を容易に行うことが可能となる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャフトをそれぞれ受ける第1及び第2シャフト受け部と、前記各シャフト受け部を連結する連結部とを備え、
前記連結部は、前記第1シャフト受けに接続されていて、かつ、前記第2シャフト受け部の端面と側面との角部に形成されている窪部に当接されているカップリング。
【請求項2】
前記連結部は、軸部と当該軸部の外周を覆う外輪とを備えるローラである、請求項1記載のカップリング。
【請求項3】
前記連結部は、軸部と、当該軸部の外周を覆う外輪と、前記軸部と前記外輪との間に配置された複数の針状ころとを備えるローラである、請求項1記載のカップリング。
【請求項4】
前記窪部は、当該連結部の径に応じた幅で形成されている、請求項1記載のカップリング。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−179521(P2011−179521A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−41501(P2010−41501)
【出願日】平成22年2月26日(2010.2.26)
【出願人】(593182381)アサ電子工業株式会社 (5)