説明

カップル用コート

【課題】 従来のカップル用コートでは、携帯するために大きめのバッグやビニール袋等を別に準備しなければならないため、取り扱いが煩雑であった。
【解決手段】 カップルの胴体を覆うコート本体1と、コート本体1の上部に設けられたケープ3とを備え、ケープ3は、コート本体1やフード2を収納して携帯するための携帯具として用いることができるように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばスポーツ競技場やコンサート会場等において、カップルが横並びの状態で着用するようにしたカップル用コートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のコートとしては、例えば実開平4−60506号公報に示すようなものが提案されている。この種のコートは、二人分の胴体を覆うように形成されているため、折り畳んだ状態では結構嵩張り、携帯するためには大きめのバッグ等を準備しなければならなかった。
【0003】
また、コートが雨水で濡れている場合には、バッグ内の他の収納物に雨水が付着しないように、降り畳んだコートを入れるビニール袋等も準備しなけらればならないため、取り扱いが煩雑であった。
【特許文献1】実開平4−60506号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
解決しようとする問題点は、従来のカップル用コートでは、携帯するために大きめのバッグやビニール袋等を別に準備しなければならないため、取り扱いが煩雑な点である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明は、カップルが横並びの状態で着用するようにした一着のコートであって、その一部分が他の部分を収納して携帯するための携帯具として用いることができるように構成されたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0006】
本発明のカップル用コートは、コートを収納するバッグやビニール袋等を別に準備する必要がないので、取り扱いが容易である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明の第1の実施形態の正面図、図2は第1の実施形態の背面図、図3は第1の実施形態のコート本体の正面図、図4は第1の実施形態の要部の構造説明図、図5は第1の実施形態の使用方法の説明図である。
【0008】
本実施形態のカップル用コートは、ビニール等の撥水及び防水性を有する布帛から成り、図1、図2に示すように、カップルの胴体を覆うコート本体1、カップルの頭部を覆うフード2、及びケープ3を備えている。
【0009】
コート本体1は、下端部が開口した袋状の形状を呈しており、上部には一対の頭部通し孔4、5が設けられている。また、図3に示すように、コート本体1の両側上部にはそれぞれ腕通し孔6、7が設けられている。
【0010】
コート本体1の正面には、各着用者の前身頃の中央部を縦断するように前開き部8、9が設けられ、これらの前開き部8、9はオープンタイプのファスナー10、11によって上部及び下部から開閉するようになっている。なお、オープンタイプのファスナーに代えて、ベルベット式のファスナーや釦等で前開き部8、9を開閉するようにしてもよい。
【0011】
コート本体1の正面の略中央部には、カップルが内側の腕を外に出すための横長の腕通し孔12(図4参照)と、この孔12を開閉自在に覆うフラップ13とが設けられている。このフラップ13を設けたことで、腕通し孔12からコート本体1内に風や雨水が侵入するのを防ぐことができるので、コート本体1内の保温性を高めることができるとともに、コート本体1内が雨水で濡れるのを防ぐことができる。
【0012】
また、頭部通し孔4、5の周囲には立襟14、15が設けられており、着用者の首と頭部通し孔4、5との間からコート本体1内に風や雨水が侵入するのを防ぐことができるので、コート本体1内の保温性を高めることができるとともに、コート本体1内が雨水で濡れるのを防ぐことができる。
【0013】
フード2は複数個の釦16を介してコート本体1に着脱自在に取り付けられている。また、ケープ3もフード2と同様に複数個の釦を介してコート本体1に着脱自在に取り付けられている。なお、釦に代えてファスナーでフード2やケープ3をコート本体1に着脱自在に取り付けるようにしてもよい。
【0014】
なお、図1に示すように、フード2の内面における二人の頭部の間となる位置に、二点鎖線で示す如く、ポケット状等に形成された小物収納部2aを一つ又は複数設けるようにしてもよい。このようにすると、例えば、スポーツ観戦の際にラジオを収納して実況中継を聞きながら観戦したり、菓子や飲み物等を収納しておくことができる。また、小物収納部2aに通気孔を設けておくと、携帯用カイロ等の発熱体を収納した際に熱が外部に放散してフード2内を暖かくすることができるので、好ましい。
【0015】
ケープ3は、折り畳んだコート本体1及びフード2を収納して携帯するための携帯具にすることができるように構成されている。
【0016】
すなわち、図1に示すように、ケープ3の一方の側縁にはオープンタイプのファスナー17の一方のエレメント17aが取り付けられ、ケープ3の他方の側縁にはファスナー17の他方のエレメント17bが取り付けられている。
【0017】
また、図2に示すように、ケープ3の左側の部分と右側の部分の襟元に沿ってそれぞれ片クローズドタイプのファスナー18が取り付けられている。なお、片クローズドタイプのファスナーとは、各エレメントの一端側のムシは分離可能であるが、他端側のムシは分離不能のファスナーのことをいう。
【0018】
さらに、ケープ3の裾に沿ってドローコード20が設けられている。すなわち、ケープ3の裾は、三つ巻き処理等、ドローコード20を長手方向に通せるような構造になっており、ドローコード20を長手方向に摺動自在に支持している。
【0019】
図1に示すように、ドローコード20の一方の端部20aはケープ3の一方の側縁の下端部から下方に垂下し、他方の端部20bはケープ3の他方の側縁の下端部から下方に垂下している。また、図2に示すように、ドローコード20の中央部20cはケープ3の裾の中央部から下方に突出している。
【0020】
なお、ケープ3の背面の左側部分と右側の部分の内面側にはそれぞれポケット状の収納部21が設けられ、その開口はクローズドタイプのファスナー22で開閉されるようになっている。ケープ3は、着用時と後述する携帯時とでは上下が逆になるため、収納部21の内部袋地は、ファスナー22よりも下方の部位21aと上方の部位21bとがあり、いずれの部位においても収納物を収納できるようになっている。すなわち、収納部21は、着用時においてはファスナー22よりも下方の部位21aに収納物を収納し、携帯時においてはファスナー22よりも上方の部位21bに収納物を収納する。
【0021】
次に、本実施形態のカップル用コートの使用方法を説明する。このコートを着用する際には、ファスナー10、11のスライダーを引き下げて前開き部8、9を開放し、右側の着用者は頭部を頭部通し孔4に通すと共に右腕を腕通し孔6に通し、左側の着用者は頭部を頭部通し孔5に通すと共に左腕を腕通し孔7に通し、ファスナー10、11のスライダーを引き上げる。なお、右側の着用者の左腕と左側の着用者の右腕は腕通し孔12を介して外に出すことができる。
【0022】
コートを着用しないときには、コート本体1からフード2とケープ3を取り外してコート本体1とフード2を折り畳む。そして、ケープ3の一方の側縁と他方の側縁をファスナー17で結合して上下が開口した筒状とし、さらにケープ3の襟元側を各ファスナー18で閉口する。これにより、ケープ3は裾側が開口した袋状となる。
【0023】
そして、折り畳んだコート本体1とフード2をケープ3内に収納し、ドローコード20の両端部20a、20bと中央部20cを引っ張ってケープ3の裾側を巾着袋状に閉口する。図5はその状態を示す。
【0024】
なお、ドローコード20の両端部20a、20b、中央部20cは、結び合わせることで把手として使用することができる。また、収納部21は小物を収納するためのものとして使用することができる。
【0025】
このように、本実施形態のカップル用コートは、ケープ3を携帯具として使用するようにしたことで、コートを入れるバッグやビニール袋等を別に準備する必要が無いため、取り扱いが容易である。
【0026】
また、コートの一部分を携帯具として用いるようにしたことで、コートとは別体の携帯具を付属させる場合と比べて部品点数が低減し、製造コストも安価となる。
【0027】
次に、本発明の第2の実施形態を説明する。図6は第2の実施形態の正面図である。なお、以下の各実施形態において、第1の実施形態と同一又は類似の部分には同一の符号を付してあり、重複する説明は省略してある。
【0028】
本実施形態では、腕通し孔12が釣り鐘状に形成された袖部23の下端側に形成されており、袖部23により開閉自在に覆われている。
【0029】
このように構成することで、第1の実施形態と同様に腕通し孔12からコート本体1内に風や雨水が侵入しにくく、コート本体1内の保温性を保つことができるとともに、コート本体1内が濡れるのを防ぐことができる。
【0030】
次に、本発明の第3の実施形態を説明する。図7は第3の実施形態の正面図である。 本実施形態では、コート本体1の正面に設けられた腕通し孔12が一対の切り込み12a、12bから成っており、これらの切り込み12a、12bは下方に向けて拡開するハの字形を成している。また、切り込み12a、12bはクローズドタイプのファスナー24、25によって開閉するようになっている。
【0031】
本実施形態では、切り込み12a、12bが上記のように形成されたことで、着用者が両腕を上げて万歳をするような動作を行うときに抵抗が少なく、スムーズに腕を上げることができる。すなわち、人間が両腕を上げて万歳をする際には、通常、両腕の間隔が上方に向かって次第に広がるように両腕を斜め上方に向けて上げるからである。
【0032】
また、ファスナー24、25を設けたことで、切り込み12a、12bから腕を出さないときには切り込み12a、12bを閉じておくことで、コート本体11内の保温性を高めることができるとともに、コート本体1内が濡れるのを防ぐことができる。
【0033】
次に、本発明の第4の実施形態を説明する。図8は第4の実施形態の正面図である。
【0034】
本実施形態では、コート本体1の正面の腕通し孔12が上下に延びるスリット状に形成され、一対のファスナー26、27及びこれらの間に設けた摺動体28により、腕通し孔12の上部と下部をそれぞれ独立して開閉するようになっている。
【0035】
なお、摺動体28はファスナー26、27のスライダーと共に腕通し孔12に沿って摺動可能となっており、腕通し孔12の上部と下部の開口の長さをそれぞれ調節することができる。このようにすることで、カップルの身長差や姿勢等に応じて腕を出す位置を選択することができるので、腕を動かし易くすることができるという利点がある。
【0036】
以上、具体例を挙げて本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記の各実施形態に限定されるものではない。
【0037】
例えば、上記実施形態では、ケープを携帯具として用いるように構成した場合を例に挙げて説明したが、ケープ以外の部分(例えばフード)を携帯具として用いるようにしてもよい。
【0038】
また、携帯具として用いる部分に、バッグのように手で提げるための手提げ紐や、リュックサックのように背中に担ぐための肩紐を設けるようにしてもよい。
【0039】
また、上記の実施形態では、コート本体は、袖が無いノースリーブのものとなっているが、袖付きのものであってもよい。
【0040】
図9はその一例を示しており、ケープを外した状態の正面図である。この例では、コート本体1の両側上部にラグラン袖29、30が取り付けてある。ラグラン袖は着用者の肩の位置が規制されず、肩を動かす際に抵抗が少ないため、着心地が良いという利点が有る。
【0041】
その他にも本発明の要旨を逸脱しない範囲で上記の各実施形態に種々の改変を施すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の第1の実施形態の正面図である。
【図2】第1の実施形態の背面図である。
【図3】第1の実施形態のコート本体の正面図である。
【図4】第1の実施形態の要部の構造説明図である。
【図5】第1の実施形態の使用方法の説明図である。
【図6】本発明の第2の実施形態の正面図である。
【図7】本発明の第3の実施形態の正面図である。
【図8】本発明の第4の実施形態の正面図である。
【図9】コート本体の変形例を示す図であり、ケープを外した状態の正面図である。
【符号の説明】
【0043】
1・・・コート本体
2・・・フード
3・・・ケープ
13・・・フラップ(開閉手段)
23・・・袖部(開閉手段)
24、25、26、27・・・ファスナー(開閉手段)
28・・・摺動体(開閉手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カップルが横並びの状態で着用するようにした一着のコートであって、その一部分が他の部分を収納して携帯するための携帯具として用いることができるように構成されたことを特徴とするカップル用コート。
【請求項2】
カップルの胴体を覆うコート本体と、このコート本体の上部に設けられたケープとを備え、前記ケープが前記携帯具として用いることができるように構成されたことを特徴とする請求項1記載のカップル用コート。
【請求項3】
カップルの胴体を覆うコート本体と、このコート本体の上部に設けられたフードとを備え、前記フードが前記携帯具として用いることができるように構成されたことを特徴とする請求項1記載のカップル用コート。
【請求項4】
正面にカップルが内側の腕を外に出すための腕通し孔が設けられると共に、この腕通し孔を開閉する開閉手段が設けられたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項記載のカップル用コート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−161240(P2006−161240A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−357986(P2004−357986)
【出願日】平成16年12月10日(2004.12.10)
【出願人】(504455850)
【Fターム(参考)】